JP2004184517A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルム状の加熱部材10と、前記加熱部材を支持する支持部材16と、前記加熱部材10を挟んで前記支持部材16に当接する加圧部材30とを有し、前記加熱部材10は前記支持部材16の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材10と前記加圧部材30との当接によって形成されるニップ部Nにおいて被加熱材Pを挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、フィルム状加熱部材内面等の磨耗やスティックスリップの発生を防止でき、トナー画像定着装置にあっては、定着不良や光沢ムラの発生しない印刷画像を得ることのできる加熱装置を提供する。
【解決手段】前記支持部材16の前記加熱部材10を挟んで前記ニップ部Nと相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状40A・40Bを配設していることを特徴とする加熱装置。
【選択図】図1
【解決手段】前記支持部材16の前記加熱部材10を挟んで前記ニップ部Nと相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状40A・40Bを配設していることを特徴とする加熱装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、未定着トナー画像を形成担持させた記録材を加熱して、記録材上に永久固着像を形成するトナー画像定着装置として用いて好適な加熱装置に関する。
【0002】
本発明は、特にカラー画像形成装置に使用される、低コストで立ち上がり時間(いわゆるウォームアップタイム)の短い、耐久性に優れたオンデマンド定着装置として用いて好適な加熱装置に関するものである。
【0003】
さらに詳しくは、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
加熱タイプのトナー画像定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真、静電記録、磁気記録等の適時の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、記録材(紙、印刷紙、転写材シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム等)の面に直接方式もしくは間接転写方式で目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している記録材面上に永久固着画像として加熱定着処理するものである。
【0005】
近年、プリンターや複写機等の画像形成装置におけるカラー化が進んできている。
【0006】
このようなカラー画像形成装置に使用される定着装置としては、定着部材に弾性層を有する熱ローラ定着が良く知られている。このような弾性層を有する定着ローラを使用する定着装置の一例を図23に示す。
【0007】
この定着装置では、温度調整された定着ローラ101及び加圧ローラ102からなる二本の加熱ローラの当接ニップ部で未定着トナー画像を載せた記録材(被加熱材)Pが通過できるように構成されている。
【0008】
未定着トナー画像がニップ部を通過する際に、定着ローラ101および加圧ローラ102により加熱、加圧されて、記録材P上に完成画像として定着される。
【0009】
各々のローラの表面にはサーミスタ103、104が接触しており、該サーミスタ103、104により検知した温度に基づいて各々のローラの温度調整が行われている。
【0010】
また、各々のローラは、中央にハロゲンヒーター105を備えており、該ヒーターから発生する輻射エネルギーを各ローラ内側のアルミ芯金で吸収して加熱される。
【0011】
アルミ芯金の周りには厚さ2mmのシリコーンゴムからなる弾性層が設けられており、さらにその外側の、各ローラの表面には、トナーや紙紛等が固着することを防ぐためにPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーエテル共重合体/4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体/4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂)等の、離型性かつ耐熱性の良い樹脂によるコーティング層が設けられている。
【0012】
定着ニップ部において、未定着トナーが接する定着部材である定着ローラ101側に弾性層を設けている理由は、トナー画像表面をできるだけ均一に定着するためである。
【0013】
定着ローラ101側に弾性層を設けることにより、トナー画像が定着ニップを通過する際に、弾性層がトナー層や記録材Pの凹凸形状に沿って変形することで、画像上不均一に載っているトナーが、弾性層によって包み込まれ、均一に熱を与えられることにより、均一な定着が達成される。
【0014】
このように均一に定着された画像は、光沢ムラがなく、特にOHT(オーバーヘッドプロジェクター用透明シート)を定着した際に、画像の光透過性が優れるという特徴をもつ。
【0015】
しかし、このような弾性層を有する熱ローラ方式の定着装置においては、熱ローラ自体の熱容量が大きくなってしまい、定着ローラ101をトナー画像定着に適した温度までに昇温させるまでに必要な時間(ウォームアップタイム)が長かったり、各々のローラ表面の温度を一定温度に保つ温調制御が難しいため温度リップルが大きくなってしまい、高速で連続印刷を行った際に定着不良や光沢ムラを生じるという問題があった。また、定着部材のコストも高価なものとなっていた。
【0016】
一方、ウォームアップタイムが短く、安価な定着装置として、白黒プリンター等に使用されている、フィルム定着方式の定着装置が良く知られている。このようなフィルム定着装置の一例を図24に示す。
【0017】
この定着装置では、薄肉の定着フィルム111を介し、ヒーター112を記録材(被加熱材)Pに押し当てて加熱するよう構成された定着フィルムユニットを加熱装置として採用している。定着フィルム111は、例えば厚さ50μm程度の耐熱樹脂製のエンドレスフィルムを用い、その表面に厚さ10μm程度の離型性層(フッ素樹脂コーティング層など)を形成したものであり、ヒーター112はセラミック基板上に抵抗発熱体を形成したものである。ヒーター112に温度検知手段113が当接され、ヒーター112の温度が検知され、不図示の制御手段によりヒーター112の温度が所望の温度になるように温調制御される。
【0018】
また、定着フィルム111の熱容量を小さくするため、定着フィルム111には弾性層を設けていない。
【0019】
加圧ローラ114は、記録材(被加熱材)Pを介して定着フィルムユニットに対向して配置される。
【0020】
記録材(被加熱材)P上の未定着トナー像は、定着ニップ部を通過する際に、熱と圧力を受け、記録材(被加熱材)P上に完成定着画像として定着される。
【0021】
このような構成の定着装置では、定着フィルム111の熱容量が非常に小さくなっているので、ヒーター112に電力を投入した後、短時間で定着ニップ部をトナー画像の定着可能温度まで昇温させることが可能である。
【0022】
しかし、このような弾性層を設けていない定着フィルム111を使用しているフィルム定着装置をカラー画像形成装置の定着装置として使用すると、特に写真画像等では、記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、記録材Pの凹凸或いはトナー層の凹凸に加熱面(離型層)が追従できないと加熱ムラが生じ、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラ(以下この光沢ムラを「す」と呼ぶ)が発生してしまって画像品質を劣化させたり、記録材(被加熱材)がOHTの場合は、定着画像を投影した際に透過性が悪かったりして、画像品質の低下があった。
【0023】
そこで、弾性層を有する定着フィルムを使用することで、低コストなオンデマンド定着装置を構成する定着装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特許第3051085号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着フィルムの弾性層に使用されるシリコーンゴム等の熱伝導率はあまり高くないため、弾性層の厚みを厚くすると熱応答性が悪化し、温度検出手段による定着フィルム表面の温調制御が難しくなってしまい、一方、弾性層の厚みを薄くすれば前述凹凸形状に対する追従性が低下して十分な画像品質が得られないという問題があった。
【0025】
このような問題を解決する手段の一つとして、定着フィルム表面の弾性層の厚みを薄くして十分な熱応答性を確保し、ニップ部の圧を増加させることで前述凹凸形状に対する追従性を増加させて画像品質を確保する方法が挙げられる。
【0026】
しかしながら、ニップ部の圧を過剰に増加させると定着フィルム内面と摺動部材やセラミックヒーターとの摩擦力も増加してしまうため、摺動部材等の表面や定着フィルム内面の削れが発生したり、この摩擦力が加圧ローラとベルト表面との間の摩擦力よりも大きくなることによってベルトがスリップして回転しなくなる現象(以下スティックスリップと呼ぶ)が発生してしまうといった問題が生じていた。
【0027】
本発明は、上記問題点にかんがみてなされたものであり、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、フィルム状加熱部材内面等の磨耗やスティックスリップの発生を防止でき、トナー画像定着装置にあっては、定着不良や光沢ムラの発生しない印刷画像を得ることのできる加熱装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明にかかる請求項1記載の加熱装置は、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、前記支持部材の前記加熱部材を挟んで前記ニップ部と相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状を配設していることを特徴とする加熱装置である。
【0029】
これによって、ニップ部へ印加される加圧力が突起形状部に集中的に印加され、ニップ部内の突起以外の部分への加圧力を緩和させることが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
〈画像形成装置例〉
図22に、本発明に従う加熱装置としてのトナー画像定着装置を搭載したカラー画像形成装置の一例の概略構成図を示す。
【0032】
本発明の実施の形態は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得る、フルカラー画像形成装置に、本発明に従う加熱装置としてのトナー画像定着装置を組み込んだものであり、プロセススピードは、90mm/secである。
【0033】
本例のカラー画像形成装置においては、像担持体たる感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)、帯電手段たる帯電ローラ(62Y、62C、62M、62K)、静電潜像を顕像化するための現像手段(63Y、63C、63M、63K)、感光体ドラムのクリーニング手段(64Y、64C、64M、64K)等をひとつの容器にまとめた、いわゆるオールインワンカートリッジ(Y、C、M、K)を使用している。
【0034】
イエロー(Y)トナーを現像器に充填したイエローカートリッジY、マゼンタ(M)トナーを現像器に充填したマゼンタカートリッジM、シアン(C)トナーを現像器に充填したシアンカートリッジC、そしてブラック(K)トナーを現像器に充填したブラックカートリッジKの4つのカートリッジを使用している。
【0035】
本実施例の画像形成装置においては、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系65が、上記4色のトナーカートリッジ(Y、C、M、K)に対応して設けられている。光学系としては、レーザー走査露光光学系を用いている。
【0036】
光学系65より、画像データに基づいた走査光が、帯電手段(62Y、62C、62M、62K)により一様に帯電された感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上を露光することにより、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)表面に画像に対応する静電潜像が形成される。
【0037】
不図示のバイアス電源より現像ローラ(63Y、63C、63M、63K)に印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露後部)電位の間の適切な値に設定することで、負の極性に帯電されたトナーが、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上の静電潜像に選択的に付着されることにより、現像が行われる。
【0038】
感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上に現像された単色トナー画像は、該感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)と同期して、略等速で回転する中間転写体66上へ転写される。本実施例においては、中間転写体66として、中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ67によって駆動され、テンションローラ68によって張架されている。中間転写ベルト66へ感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上のトナー像を転写する、一次転写手段としては、一次転写ローラ(69Y、69C、69M、69K)を用いている。一次転写ローラ(69Y、69C、69M、69K)に対して、不図示のバイアス電源より、トナーと逆極性の一次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト66に対して、トナー像が一次転写される。
【0039】
一次転写後、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上に転写残として残ったトナーは、クリーニング手段(64Y、64C、64M、64K)により除去される。本実施例においては、クリーニング手段として、ウレタンブレードによるブレードクリーニングを用いている。
【0040】
上記工程を中間転写ベルト66の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して行い、中間転写ベルト66上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
【0041】
また、記録材(被加熱材)供給部となる記録材(被加熱材)カセット70にセットされた記録材Pは、給送ローラ71により給送され、二次転写部に所定のタイミングで、レジストローラ72により、中間転写ベルト66と二次転写手段73とのニップ部に搬送される。
【0042】
中間転写ベルト66上に形成された一次転写トナー像は、二次転写手段たる二次転写ローラ73に、不図示のバイアス印加手段より印加される、トナーと逆極性のバイアスにより、記録材P上に一括転写される。また、74は、二次転写ローラ対向ローラである。
【0043】
二次転写後中間転写ベルト66上に残った二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング手段75により除去される。本実施例においては、感光体ドラムのクリーニング手段と同様、ウレタンブレードによる中間転写体クリーニングを行っている。
【0044】
記録材P上に二次転写されたトナー画像は、加熱装置としての定着装置100を通過することで、記録材P上に溶融定着され、画像形成装置の出力画像となる。
【0045】
〈実施例1〉
本実施形態例における加熱装置としての定着装置100は、加熱部材として円筒状の定着フィルム(定着ベルト)を用いた、加圧ローラ駆動方式、セラミックヒーター方式の装置である。
【0046】
図1は本実施形態例における定着装置100の要部の横断面側面模型図、図2は要部の正面模型図、図3は要部の縦断面正面模型図である。
【0047】
この装置100は、大きく分けて円筒状の支持部材としてのフィルムガイド部材16(16a・16b)と、このフィルムガイド部材16にルーズに外嵌させた、加熱部材としての円筒状定着フィルム10と、フィルムガイド部材16の下面に嵌め込まれた加熱源としてのセラミックヒーター41と、セラミックヒーター41を含むフィルムガイド部材16の下面との間に定着フィルム10を挟んでニップ部Nを形成させた、加圧部材としての加圧ローラ30とからなる。
【0048】
円筒状のフィルムガイド部材(フィルム支持部材)16は、左右一対の横断面略半円弧状樋型半体16aと16bとを互いに開口部を向かい合わせて組み合わせることで円筒体を構成させてある。
【0049】
セラミックヒーター41は、アルミナの基板上に、銀・パラジウム合金を含んだ導電ペーストをスクリーン印刷法によって均一な厚さの膜状に塗布することで抵抗発熱体を形成した上に耐圧ガラスによるガラスコートを施し、アルミナ基板のもう一方の面にはポリイミド樹脂層を6μmの厚みで形成したものを使用している。
【0050】
本例ではセラミックヒーター41をフィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0051】
さらに、セラミックヒーター41と定着フィルム10の内周面との間に潤滑剤を介在させ、定着フィルム10の摺動抵抗低減を図っている。本実施形態例においては、潤滑剤としてフッ素グリースを用いている。
【0052】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、表層に離型層30cを設けてある。例えば、離型層30cはフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0053】
本実施例に用いた加圧ローラ30は、は、ステンレス製の芯金に、射出成形により、厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み約40μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。
【0054】
定着フィルム10を外嵌させたフィルムガイド部材16は加圧ローラ30の上側に配置され、フィルムガイド部材16内に挿通して配設した加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより、フィルムガイド部材16の下面と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接して、所定の加圧力と幅を持った定着ニップ部Nが形成される。
【0055】
加圧力が過剰となると、セラミックヒーター41を含むフィルムガイド部材16と定着フィルム10の内面との間の摩擦力の増加やセラミックヒーター41の表面に設けたポリイミド樹脂層が磨耗に伴って、スティックスリップやセラミックヒーター41の破壊あるいは定着フィルム10の破断といった不具合が生じてしまう。一方で十分な加圧力が印加されないと、トナーtが記録材Pにしっかり固着されず定着不良が発生してしまう。本実施例における加圧力は総圧が196Nとなるように、加圧バネ25a・25bを選定した。
【0056】
加圧ローラ30は駆動手段M(図1)により矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し、定着フィルム10の内周面が定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド部材16の下面に設けられたセラミックヒーター41と密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0057】
定着ニップ部Nにおける定着フィルム10の摺動部近傍のフィルムガイド部材16およびセラミックヒーター41の構成については、後記(2)項にて詳述する。
【0058】
また、図1中右側のフィルムガイド部材半体16aの周面には、図4に示すように、その長手方向に所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、フィルムガイド部材半体16aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部16eは図中左側のフィルムガイド部材半体16bにも同様に形成具備することができる。なお、凸リブ部16eは定着フィルム10の接触摺動抵抗を低減できればよく形状は任意に選択できる。
【0059】
23a・23bは図2に示すとおり円筒状のフィルムガイド部材16の手前側と奥側の端部に嵌着して配設したフランジ部材であり、定着フィルム10の回転時に定着フィルム10の端部を受けて、定着フィルム10のフィルムガイド部材16の長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。フランジ部材23a・23bは定着フィルム10の回転に従動で回転する構成にしてもよい。
【0060】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着フィルム10が回転し、セラミックヒーター用電源供給手段からセラミックヒーター41への給電によりセラミックヒーター41が発熱し、定着ニップ部Nにおける加熱部材としての定着フィルム10への熱伝導によって、定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調される。
【0061】
この状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10と一緒に挟持搬送されていく。
【0062】
記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると、定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。記録材P上の加熱定着トナー画像tは定着ニップ部Nを通過後、冷却して永久固着画像となる。
【0063】
本実施形態例における画像加熱定着装置100では、トナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着装置にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合には、オイル塗布機構を設けても良い。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行っても良い。
【0064】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段26(図10)を含む不図示の温調系によりセラミックヒーター41に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。温度検知手段26は定着フィルム10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においてはサーミスタで測定した定着フィルム10の温度情報を基に定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0065】
(1)定着フィルム10
図5は、本実施形態例における定着フィルム10の層構成模型図である。
【0066】
本実施形態例の定着フィルム10は、金属フィルム等でできた基層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0067】
基層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
【0068】
略円筒形状である定着フィルム10において、基層1がセラミックヒーター41と接触する内面側であり、離型層3が加圧ローラ30若しくは記録材Pと接触する外面側である。
【0069】
上述したように、セラミックヒーター41への給電によりセラミックヒーター41が発熱し、この熱が定着ニップ部Nにおいて基層1、弾性層2、離型層3に伝達されて、定着フィルム10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pを加熱してトナーt画像の加熱定着がなされる。
【0070】
a.基層
基層1としては、耐熱性樹脂や金属を用いることができるが、特に高画質を要求されるカラー印刷用の定着装置としては金属製のベルトが好ましく用いられる。このような金属としては、ニッケル、鉄、ステンレス等、定着フィルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力対して耐久性のある金属類が用いられる。
【0071】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
【0072】
弾性層2の厚さは、定着画像品質を保証するために10〜500μmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では、記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、記録材Pの凹凸或いはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラ(「す」)が発生する。即ち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2の厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層3が記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず「す」が発生してしまう。又、弾性層2が上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層2の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートの実現や温調制御が難しくなる。この弾性層2の厚さは、より好ましくは50〜300μmが良い。
【0073】
弾性層2は、硬度が高すぎると記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JIS−A)以下がよい。
【0074】
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10−1〜8.4×10−1W/m・℃であることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着フィルム10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層2の硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1W/m・℃が良い。
【0075】
c.離型層3
離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性且つ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
【0076】
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが上記範囲よりも薄い場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。又、離型層3の厚さが上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層3に樹脂系の材質を用いた場合は、離型層3の硬度が高くなりすぎて、弾性層2の効果がなくなってしまう。
【0077】
これらの点を考慮し、本実施例に使用する定着フィルム10は、厚み50μmの円筒状に形成したステンレス製のエンドレスベルト上に、シリコーンゴム層をリングコート法により厚さ250μmに形成した。シリコーンゴム層には、熱伝導率が約4.0×10− 1W/m・℃と、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
【0078】
さらに、離型層として厚み30μmのPFA樹脂チューブをシリコーンゴム層上に被覆して定着フィルム10を形成した。
【0079】
(2)定着フィルム10の摺動部の構成
定着フィルム10と加圧ローラ22とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図6に示す。フィルムガイド部材16においてセラミックヒーター41を挟んでプロセス方向下流側と上流側には凸型の突起42Aと42Bを持つ耐熱性・低摩擦性の摺動部材40a・40bが設けられており、それぞれが定着ニップ部N内の下流側と上流側に配置されている。
【0080】
摺動部材40は、この摺動部材40a・40bの固定部材としてのフィルムガイド部材16よりも定着フィルム10の内面との滑り性が良い部材であり、例えばポリイミド樹脂、ガラス、アルミナ、アルミナにガラスをコートしたものなどで構成するのが好ましい。本例では、アルミナ基板にガラスをコートしたものを摺動部材40a・40bとして、フィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0081】
摺動部材40a・40bの突起42Aと42Bの高さおよび幅は、セラミックヒーター41の表面に印加される圧を最小限に抑えつつ定着フィルム10が受けるストレスも最小限に抑える必要があり、突起高さは0.1mmから1.0mm、突起幅は0.1〜5.0mmの範囲内とすることが望ましい。また、突起42Aと42Bの横断面形状は箱型・三角型・半円型など任意の形状とすることがかのうであるが、本実施例では図6に示すとおり、高さ0.5mm、幅2.0mmの箱型突起とした。
【0082】
図7に本実施例における定着ニップ部N内の圧分布の測定結果と、図24に示す従来のフィルムガイド部材構成と図5に示す定着フィルムを組み合わせた定着ニップ部N内の圧分布の測定結果を示す。この図から明らかなように、加圧バネ25a・25bによって定着ニップ部Nに与えられた加圧力は、定着ニップ部N内の突起42Aと42Bの部分に集中する。これによって、トナーが記録材Pに定着し、かつ定着フィルム10の表面が記録材Pの凹凸に十分追従できるだけの加圧力を突起42Aと42Bの部分で確保しつつ、セラミックヒーター41の表面と定着フィルム10の内面との摺動部に与えられる加圧力はセラミックヒーター41で発生した熱を定着フィルム10に伝導させるのに必要最小限な圧に抑えることが可能となる。
【0083】
本実施例の定着装置100を用いて、サーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10の表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストを行った場合と、比較実験例として図25に示す従来のフィルムガイド部材構成の定着装置を用いて同様の条件で空回転耐久テストを行った場合を比較したところ、表1に示すように本実施例の定着装置に対してセラミックヒーター41の摺動面の磨耗度やスティックスリップの発生状況において明らかな改善効果が認められた。
【0084】
【表1】
【0085】
〈実施例2〉
本発明の第2の実施例における、定着フィルム10と加圧ローラ22とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図8に示す。
【0086】
また、本実施例における加圧力は、総加圧力として294N(30kgf)となる設定とし、その他の設定については図8に示す定着ニップ部の形状を除いては第1の実施例と同様の装置構成となっているため、詳細な説明は割愛する。
【0087】
フィルムガイド部材16において、セラミックヒーター41を挟んでプロセス方向下流側と上流側には、第1の実施例に示された凸型の突起42Aと42Bと同様の位置に、ローラ部材43A・43Bがセラミックヒーター41表面よりも加圧ローラ30側に出っ張るようにして回転可能に設けられており、それぞれが定着ニップN内の上流側と下流側に配置されている。ローラ部材43A・43Bはフィルムガイド部材16のセラミックヒーター41部の下流側・上流側それぞれに設けられた溝部44Aと44Bにステンレス製摺動板45を介して収められており、溝部44A・44Bの空隙部には潤滑材Gが充填されている。これによってローラ部材43A・43Bは容易に摺動回転することが可能となっている。
【0088】
ローラ部材43として用いるものに特に制限はないが、溝部44で摺動回転することを考慮すると耐久性に優れた金属製のローラ類を用いることが望ましい。また、ローラ部材43の外形は大きすぎると熱容量が大きくなってしまい、ウォームアップタイムが長くなったり温調制御が難しくなるなどの弊害を伴ってしまうため、1mmから10mmの範囲内に収めることが望ましい。また、ローラ部材43A・43Bの出っ張り量はセラミックヒーター41の表面に印加される圧を最小限に抑えつつ定着フィルム10が受けるストレスも最小限に抑える必要があり、0.1mmから1.0mmの範囲内とすることが望ましい。
【0089】
本実施例ではローラ部材43として直径4.0mmのステンレス製シャフトをセラミックヒーター41の摺動面よりも0.5mm出っ張るように設置した。
【0090】
本実施例における定着ニップ部N内の圧分布を測定したところ、図9に示す通りのプロファイルとなった。すなわち、加圧バネ25a・25bによって定着ニップ部Nに与えられた加圧力は、定着ニップ部N内のローラ部材43の部分に集中する。ローラ部材43は回転可能に設置されており、定着フィルム10の回転に伴って従動回転するため、本実施例では第1の実施例よりも更に大きな加圧力を印加しているにも関わらず、定着フィルム10の回転に対する摩擦力は殆ど増加することがなく、スティックスリップが発生することもない。
【0091】
そして加圧力が大きくなる効果として、第1の実施例よりも更にトナーが記録材Pに強固に定着し、かつ定着フィルム10表面が記録材Pの凹凸により追従しやすくなる。更にセラミックヒーター41表面と定着フィルム10内面との摺動部に与えられる加圧力は第1の実施例と同様にセラミックヒーター41で発生した熱を定着フィルム10に伝導させるのに必要最小限な圧に抑えることが可能となる。本実施例の定着器を用いて、メインサーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストを行ったところ、表2に示すようにセラミックヒーター41摺動面の磨耗度やスティックスリップの発生状況において実施例1と同様のが認められた。
【0092】
【表2】
【0093】
〈実施例3〉
本実施形態例における加熱装置としての定着装置は、加熱部材として電磁誘導発熱性の円筒状の定着フィルムを用いた、加圧ローラ駆動方式、電磁誘導加熱方式の装置である。
【0094】
図10は本実施形態例における定着装置100の要部の横断面側面模型図、図11は要部の正面模型図、図12は要部の縦断面正面模型図である。
【0095】
この装置100は、大きく分けて円筒状の支持部材としてのフィルムガイド部材16と、このフィルムガイド部材16にルーズに外嵌させた、加熱部材としての円筒状の電磁誘導発熱性の定着フィルム10と、フィルムガイド部材16との間に定着フィルム10を挟んで定着ニップ部Nを形成させた、加圧部材としての加圧ローラ30とからなる。
【0096】
以下、第1の実施例にて説明した構成とは異なる部分のみを説明し、同様の構成となる部分についての説明は割愛する。
【0097】
図10中で右側のフィルムガイド部材半体16aの内側には、磁場発生手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を配設して保持させてある。
【0098】
定着ニップ部Nにおけるフィルムガイド部材16の下面と定着フィルム10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために、フィルムガイド部材16の下面の定着ニップ部Nに対応する面部分には、耐熱性・低摩擦性の摺動部材40を配設してある。摺動部材40は、この摺動部材の固定部材としてのフィルムガイド部材16よりも定着フィルム10の内面との滑り性が良い部材であり、例えばポリイミド樹脂、ガラス、アルミナ、アルミナにガラスをコートしたものなどで構成するのが好ましい。本例では、アルミナ基板にガラスをコートしたものを、フィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0099】
さらに、摺動部材40と定着フィルム10内周面との間に潤滑剤を介在させ、定着フィルム10の摺動抵抗低減を図っている。本実施形態例においては、潤滑剤としてフッ素グリースを用いている。
【0100】
定着ニップ部Nにおける定着フィルム10の摺動部近傍のフィルムガイド16部材および摺動部材40の構成については、後記(3)項にて詳述する。
【0101】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着フィルム10が回転し、励磁回路27(図13)から励磁コイル18への給電により発生する磁場の作用で加熱部材としての定着フィルム10が電磁誘導発熱して定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調される。
【0102】
(1)磁場発生手段
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料が良く、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのが良い。
【0103】
磁場発生手段を構成する励磁コイル18は、コイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では12回巻きで励磁コイルを形成している。
【0104】
絶縁被覆を行う被覆部材は、定着フィルム10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリイミド等の被覆を用いるとよい。本実施形態例においては、ポリイミドによる被覆を用いており耐熱温度は220℃である。
【0105】
励磁コイル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
【0106】
磁場発生手段17a・17b・17c・18と加圧用剛性ステイ22の間には、絶縁部材19を配設してある。絶縁部材19の材質としては、絶縁性に優れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂等を選択するとよい。
【0107】
図14は、磁場発生手段によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a,17b,17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィルム10の発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層1の固有抵抗によって、発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
【0108】
発熱量Qは発熱層1を通る磁束Cの密度によって決まり、図14のグラフのような分布を示す。図14に示すグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
【0109】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段26(図10)を含む不図示の温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。温度検知手段26は定着フィルム10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においてはサーミスタで測定した定着フィルム10の温度情報を基に定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0110】
(2)定着フィルム10
図15は、本実施形態例における定着フィルム10の層構成模型図である。
【0111】
本実施形態例の定着フィルム10は、基層となる電磁誘導発熱性の金属フィルム等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0112】
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
【0113】
略円筒形状である定着フィルム10において、発熱層1が摺動部材40と接触する内面側であり、離型層3が加圧ローラ若しくは記録材(被加熱材)と接触する外面側である。
【0114】
上述したように、発熱層1に交番磁束が作用することにより、発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。この熱が弾性層2、離型層3に伝達されて、定着フィルム10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pを加熱してトナー画像tの加熱定着がなされる。
【0115】
a.発熱層1
発熱層1としては、磁性及び非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。又、定着フィルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
【0116】
発熱層1の厚さは、次の式で表される表皮深さσ[m]より厚く、且つ200μm以下にすることが好ましい。発熱層1の厚さをこの範囲とすれば、発熱層1が電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
【0117】
σ=(ρ/πfμ)1/2 …(1)
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1の透磁率、ρは発熱層1の固有抵抗[Ωm]である。
【0118】
この表皮深さσは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図17に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
【0119】
発熱層1の厚さは、より好ましくは1〜100μmがよい。発熱層1の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。又、発熱層1が上記範囲よりも厚い場合には、発熱層1の剛性が高くなりすぎ、又、屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的でなくなる。
【0120】
d.断熱層4
図16に示すように、定着フィルム10の構成において、発熱層1の摺動部材40との接触面側に断熱層4を設けてもよい。断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂等の耐熱樹脂がよい。
【0121】
断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも薄い場合には断熱効果が得られず、又、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる。
【0122】
断熱層4は、発熱層1に発生した熱が定着フィルム10の内側に向かわないように断熱できるので、断熱層1がない場合と比較して記録材Pへの熱供給効率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0123】
又、断熱層4を滑り性の良い材料で構成すれば、摺動部材40と定着フィルム10との摺動抵抗を軽減することができる。
【0124】
これらの点を考慮し、本実施例に使用する定着フィルム10は、厚み60μmの円筒状に形成したニッケル製のエンドレスベルト上に、シリコーンゴム層をリングコート法により厚さ250μmに形成した。シリコーンゴム層には、熱伝導率が約4.0×10− 1W/m・℃と、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
さらに、離型層として厚み30μmのPFA樹脂チューブをシリコーンゴム層上に被覆し、断熱層として10μmのポリイミド樹脂をコートして定着フィルム10を形成した。
【0125】
(3)定着フィルム10の摺動部の構成
本発明の実施例3における、定着フィルム10と加圧ローラ22とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図18に示す。
【0126】
また、本実施例における加圧力は、総加圧力として196N(20kgf)となる設定とし、その他の設定については図18に示す定着ニップ部の形状を除いては第1の実施例と同様の装置構成となっているため、詳細な説明は割愛する。
【0127】
フィルムガイド部材16において、摺動部材40を挟んでプロセス方向下流側に、第1の実施例に示された凸型の突起42Aと同様の位置に、ローラ部材43Aとして直径4mmのステンレス製シャフトが摺動部材40の表面よりも0.5mm加圧ローラ側に出っ張るようにして回転可能に設けられており、定着ニップ部N内の下流側に配置されている。ローラ部材43Aはフィルムガイド部材16の摺動部材40の下流側に設けられた溝部44Aにステンレス摺動部材45を介して収められており、溝部44Aの空隙部には潤滑材Gが充填されている。これによってローラ部材43は容易に摺動回転することが可能となっている。
【0128】
本実施例における定着ニップ部N内の圧分布を測定したところ、図19に示す通りのプロファイルとなった。すなわち、加圧バネ25a・25bによって定着ニップ部Nに与えられた加圧力は、定着ニップ部N内のローラ部材43A部分に集中する。ローラ部材43Aが下流側の1箇所のみであるため、総加圧力が同等であるにも関わらず第1の実施例と比較してローラ部材43A部分に集中する加圧力は大きくなるが、ローラ部材43Aは回転可能に設置されており、定着フィルム10の回転に伴って従動回転するので、定着フィルム10の回転に対する摩擦力は殆ど増加することなく、第1の実施例よりも更にトナーが記録材Pに強固に定着し、かつ定着フィルム10の表面が記録材Pの凹凸により追従しやすくなる。
【0129】
本実施例の定着装置100を用いて、メインサーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストを行ったところ、表3に示すようにスティックスリップの発生状況において第1の実施例と同等の改善効果を得ることができた。
【0130】
【表3】
【0131】
〈実施例4〉
本発明の第4の実施例における、定着フィルム10と加圧ローラ30とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図20および図21に示す。
【0132】
また、本実施例における加圧力は、総加圧力として196N(20kgf)となる設定とし、その他の設定については図20および図21に示す定着ニップ部の形状を除いては実施例3と同様の装置構成となっているため、詳細な説明は割愛する。
【0133】
フィルムガイド部材16において、摺動部材40を挟んでプロセス方向下流側に、実施例1に示された凸型の突起42Aと同様の位置に、ローラ部材43Aとして直径4mmのステンレス製シャフトが摺動部材40表面よりも0.5mm加圧ローラ側に出っ張るようにして回転可能に設けられており、定着ニップ部N内の下流側に配置されている。ローラ部材43Aはフィルムガイド部材16の摺動部材40の下流側に設けられた回転支持部材としてのローラ対46を介して収められている。これによってローラ部材43Aは更に容易に回転することが可能となっている。
【0134】
本実施例における定着ニップ部N内の圧分布を測定したところ、実施例3と同等のプロファイルとなり、メインサーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストにおいても、実施例3と同様の改善効果を得ることができた。
【0135】
〈その他〉
a)実施例1または2において、突起形状部は定着ニップ部Nの定着フィルム移動方向の上流側または下流側の一方だけに配設することもできる。また実施例3または4において、突起形状部は定着ニップ部Nの定着フィルム移動方向の上流側に配設することもできる。上流側と下流側の一方だけに配設することもできる。
【0136】
b)実施例1〜4において加圧部材30は、ローラ体の代わりに、例えば、特開2001−228731公報に開示されているエンドレスベルトと加圧部材からなる加圧フィルムユニットを用いて小熱容量化を図ってもよい。
【0137】
c)本発明の加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0138】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0139】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0140】
〔実施態様1〕 フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、前記支持部材の前記加熱部材を挟んで前記ニップ部と相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状を配設していることを特徴とする加熱装置。
【0141】
これによって、ニップ部へ印加される加圧力が突起形状部に集中的に印加され、ニップ部内の突起以外の部分への加圧力を緩和させることが可能となる。
【0142】
〔実施態様2〕 前記支持部材摺動部の少なくとも一部分が摺動部材を有することを特徴とする実施態様2記載の加熱装置。
【0143】
これによって、摺動部分の磨耗を最小限に抑えることが可能となり、突起形状を摺動部材で構成すれば更に耐久性の優れた加熱装置を提供することが可能となる。
【0144】
〔実施態様3〕 前記突起形状は、前記摺動部材に設けられていることを特徴とする実施態様2記載の加熱装置。
【0145】
これによって、摺動部分の磨耗を最小限に抑えることが可能となり、突起形状を摺動部材で構成すれば更に耐久性の優れた加熱装置を提供することが可能となる。
【0146】
〔実施態様4〕 前記突起形状は、前記加熱部材の移動に対して従動可能なローラ部材で形成されることを特徴とする実施態様1記載の加熱装置。
【0147】
これによって、加熱部材の移動に対する摩擦力は大幅に低減し、スティックスリップの発生を低減させることができると同時に、加熱装置の耐久性をより高めることが可能となる。
【0148】
〔実施態様5〕 前記支持部材が前記ローラ部材を配設するための溝部を有することを特徴とする実施態様4記載の加熱装置。
【0149】
これによって、加熱部材の移動に対する摩擦力は大幅に低減し、スティックスリップの発生を低減させることができると同時に、加熱装置の耐久性をより高めることが可能となる。
【0150】
〔実施態様6〕 前記支持部材が前記ローラ部材を配設するための回転支持部材を有することを特徴とする実施態様4記載の加熱装置。
【0151】
これによって、加熱部材の移動に対する摩擦力は大幅に低減し、スティックスリップの発生を低減させることができると同時に、加熱装置の耐久性をより高めることが可能となる。
【0152】
〔実施態様7〕 熱源として線状発熱体を用いることを特徴とする、実施態様1から6記載の加熱装置。
【0153】
〔実施態様8〕 熱源としてセラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒーターを用いることを特徴とする、実施態様1から6記載の加熱装置。
【0154】
〔実施態様9〕 前記摺動部材が線状発熱体であることを特徴とする、実施態様2および3記載の加熱装置。
【0155】
〔実施態様10〕 前記摺動部材がセラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒーターであることを特徴とする、実施態様2および3記載の加熱装置。
【0156】
〔実施態様11〕 電磁誘導発熱性部材を設けた加熱部材と、前記電磁誘導発熱性部材に磁場を入れて発熱させる磁場発生手段を有し、被加熱材を前記加熱部材の電磁誘導発熱性部材からの熱により加熱することを特徴とする実施態様1から6記載の加熱装置。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、フィルム状加熱部材内面等の磨耗やスティックスリップの発生を防止でき、この結果、画像加熱定着装置にあっては定着不良や光沢ムラの発生しない印刷画像を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における定着装置の要部の横断面側面模型図
【図2】同装置の要部の正面模型図
【図3】同装置の要部の縦断面正面模型図
【図4】フィルムガイド部材半体(右側)の斜視図
【図5】定着フィルムの層構成模型図
【図6】定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部の拡大図
【図7】実施例1と比較例の定着装置の定着ニップ部内の圧分布の測定結果
【図8】実施例2における定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部の拡大図
【図9】実施例2の定着装置の定着ニップ部内の圧分布の測定結果
【図10】実施例3における定着装置の要部の横断面側面模型図
【図11】同装置の要部の正面模型図
【図12】同装置の要部の縦断面正面模型図
【図13】フィルムガイド部材半体(右側)の斜視図
【図14】磁場発生手段によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表した図
【図15】定着フィルムの層構成模型図(その1)
【図16】定着フィルムの層構成模型図(その2)
【図17】発熱層深さと電磁波強度の関係図
【図18】定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部Nの拡大図
【図19】実施例3の定着装置の定着ニップ部内の圧分布の測定結果
【図20】実施例4における定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部の拡大図
【図21】その要部の斜視模型図
【図22】本発明に従う加熱装置としてのトナー画像定着装置を搭載したカラー画像形成装置の一例の概略構成図
【図23】弾性層を有する定着ローラを使用する定着装置の一例の概略構成図
【図24】フィルム定着装置の一例の概略構成図
【符号の説明】
100・・定着装置(加熱装置)、10・・定着フィルム(フィルム状の加熱部材)、16(16a,16b)・・フィルム支持部材、30・・加圧ローラ(加圧部材)、N・・定着ニップ部、P・・記録材(被加熱材)、40a・40b・40・・摺動部材、42A・42B・・突起部、43A・43B・・ローラ部材(突起部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、未定着トナー画像を形成担持させた記録材を加熱して、記録材上に永久固着像を形成するトナー画像定着装置として用いて好適な加熱装置に関する。
【0002】
本発明は、特にカラー画像形成装置に使用される、低コストで立ち上がり時間(いわゆるウォームアップタイム)の短い、耐久性に優れたオンデマンド定着装置として用いて好適な加熱装置に関するものである。
【0003】
さらに詳しくは、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
加熱タイプのトナー画像定着装置は、画像形成装置の作像部において電子写真、静電記録、磁気記録等の適時の画像形成プロセス手段により、加熱溶融性の樹脂等よりなるトナーを用いて、記録材(紙、印刷紙、転写材シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム等)の面に直接方式もしくは間接転写方式で目的の画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している記録材面上に永久固着画像として加熱定着処理するものである。
【0005】
近年、プリンターや複写機等の画像形成装置におけるカラー化が進んできている。
【0006】
このようなカラー画像形成装置に使用される定着装置としては、定着部材に弾性層を有する熱ローラ定着が良く知られている。このような弾性層を有する定着ローラを使用する定着装置の一例を図23に示す。
【0007】
この定着装置では、温度調整された定着ローラ101及び加圧ローラ102からなる二本の加熱ローラの当接ニップ部で未定着トナー画像を載せた記録材(被加熱材)Pが通過できるように構成されている。
【0008】
未定着トナー画像がニップ部を通過する際に、定着ローラ101および加圧ローラ102により加熱、加圧されて、記録材P上に完成画像として定着される。
【0009】
各々のローラの表面にはサーミスタ103、104が接触しており、該サーミスタ103、104により検知した温度に基づいて各々のローラの温度調整が行われている。
【0010】
また、各々のローラは、中央にハロゲンヒーター105を備えており、該ヒーターから発生する輻射エネルギーを各ローラ内側のアルミ芯金で吸収して加熱される。
【0011】
アルミ芯金の周りには厚さ2mmのシリコーンゴムからなる弾性層が設けられており、さらにその外側の、各ローラの表面には、トナーや紙紛等が固着することを防ぐためにPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーエテル共重合体/4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体/4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合樹脂)等の、離型性かつ耐熱性の良い樹脂によるコーティング層が設けられている。
【0012】
定着ニップ部において、未定着トナーが接する定着部材である定着ローラ101側に弾性層を設けている理由は、トナー画像表面をできるだけ均一に定着するためである。
【0013】
定着ローラ101側に弾性層を設けることにより、トナー画像が定着ニップを通過する際に、弾性層がトナー層や記録材Pの凹凸形状に沿って変形することで、画像上不均一に載っているトナーが、弾性層によって包み込まれ、均一に熱を与えられることにより、均一な定着が達成される。
【0014】
このように均一に定着された画像は、光沢ムラがなく、特にOHT(オーバーヘッドプロジェクター用透明シート)を定着した際に、画像の光透過性が優れるという特徴をもつ。
【0015】
しかし、このような弾性層を有する熱ローラ方式の定着装置においては、熱ローラ自体の熱容量が大きくなってしまい、定着ローラ101をトナー画像定着に適した温度までに昇温させるまでに必要な時間(ウォームアップタイム)が長かったり、各々のローラ表面の温度を一定温度に保つ温調制御が難しいため温度リップルが大きくなってしまい、高速で連続印刷を行った際に定着不良や光沢ムラを生じるという問題があった。また、定着部材のコストも高価なものとなっていた。
【0016】
一方、ウォームアップタイムが短く、安価な定着装置として、白黒プリンター等に使用されている、フィルム定着方式の定着装置が良く知られている。このようなフィルム定着装置の一例を図24に示す。
【0017】
この定着装置では、薄肉の定着フィルム111を介し、ヒーター112を記録材(被加熱材)Pに押し当てて加熱するよう構成された定着フィルムユニットを加熱装置として採用している。定着フィルム111は、例えば厚さ50μm程度の耐熱樹脂製のエンドレスフィルムを用い、その表面に厚さ10μm程度の離型性層(フッ素樹脂コーティング層など)を形成したものであり、ヒーター112はセラミック基板上に抵抗発熱体を形成したものである。ヒーター112に温度検知手段113が当接され、ヒーター112の温度が検知され、不図示の制御手段によりヒーター112の温度が所望の温度になるように温調制御される。
【0018】
また、定着フィルム111の熱容量を小さくするため、定着フィルム111には弾性層を設けていない。
【0019】
加圧ローラ114は、記録材(被加熱材)Pを介して定着フィルムユニットに対向して配置される。
【0020】
記録材(被加熱材)P上の未定着トナー像は、定着ニップ部を通過する際に、熱と圧力を受け、記録材(被加熱材)P上に完成定着画像として定着される。
【0021】
このような構成の定着装置では、定着フィルム111の熱容量が非常に小さくなっているので、ヒーター112に電力を投入した後、短時間で定着ニップ部をトナー画像の定着可能温度まで昇温させることが可能である。
【0022】
しかし、このような弾性層を設けていない定着フィルム111を使用しているフィルム定着装置をカラー画像形成装置の定着装置として使用すると、特に写真画像等では、記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、記録材Pの凹凸或いはトナー層の凹凸に加熱面(離型層)が追従できないと加熱ムラが生じ、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラ(以下この光沢ムラを「す」と呼ぶ)が発生してしまって画像品質を劣化させたり、記録材(被加熱材)がOHTの場合は、定着画像を投影した際に透過性が悪かったりして、画像品質の低下があった。
【0023】
そこで、弾性層を有する定着フィルムを使用することで、低コストなオンデマンド定着装置を構成する定着装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
特許第3051085号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、定着フィルムの弾性層に使用されるシリコーンゴム等の熱伝導率はあまり高くないため、弾性層の厚みを厚くすると熱応答性が悪化し、温度検出手段による定着フィルム表面の温調制御が難しくなってしまい、一方、弾性層の厚みを薄くすれば前述凹凸形状に対する追従性が低下して十分な画像品質が得られないという問題があった。
【0025】
このような問題を解決する手段の一つとして、定着フィルム表面の弾性層の厚みを薄くして十分な熱応答性を確保し、ニップ部の圧を増加させることで前述凹凸形状に対する追従性を増加させて画像品質を確保する方法が挙げられる。
【0026】
しかしながら、ニップ部の圧を過剰に増加させると定着フィルム内面と摺動部材やセラミックヒーターとの摩擦力も増加してしまうため、摺動部材等の表面や定着フィルム内面の削れが発生したり、この摩擦力が加圧ローラとベルト表面との間の摩擦力よりも大きくなることによってベルトがスリップして回転しなくなる現象(以下スティックスリップと呼ぶ)が発生してしまうといった問題が生じていた。
【0027】
本発明は、上記問題点にかんがみてなされたものであり、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、フィルム状加熱部材内面等の磨耗やスティックスリップの発生を防止でき、トナー画像定着装置にあっては、定着不良や光沢ムラの発生しない印刷画像を得ることのできる加熱装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明にかかる請求項1記載の加熱装置は、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、前記支持部材の前記加熱部材を挟んで前記ニップ部と相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状を配設していることを特徴とする加熱装置である。
【0029】
これによって、ニップ部へ印加される加圧力が突起形状部に集中的に印加され、ニップ部内の突起以外の部分への加圧力を緩和させることが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
〈画像形成装置例〉
図22に、本発明に従う加熱装置としてのトナー画像定着装置を搭載したカラー画像形成装置の一例の概略構成図を示す。
【0032】
本発明の実施の形態は、電子写真方式を用いて、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナー像を重ね合わせることでフルカラー画像を得る、フルカラー画像形成装置に、本発明に従う加熱装置としてのトナー画像定着装置を組み込んだものであり、プロセススピードは、90mm/secである。
【0033】
本例のカラー画像形成装置においては、像担持体たる感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)、帯電手段たる帯電ローラ(62Y、62C、62M、62K)、静電潜像を顕像化するための現像手段(63Y、63C、63M、63K)、感光体ドラムのクリーニング手段(64Y、64C、64M、64K)等をひとつの容器にまとめた、いわゆるオールインワンカートリッジ(Y、C、M、K)を使用している。
【0034】
イエロー(Y)トナーを現像器に充填したイエローカートリッジY、マゼンタ(M)トナーを現像器に充填したマゼンタカートリッジM、シアン(C)トナーを現像器に充填したシアンカートリッジC、そしてブラック(K)トナーを現像器に充填したブラックカートリッジKの4つのカートリッジを使用している。
【0035】
本実施例の画像形成装置においては、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)に露光を行うことにより静電潜像を形成する光学系65が、上記4色のトナーカートリッジ(Y、C、M、K)に対応して設けられている。光学系としては、レーザー走査露光光学系を用いている。
【0036】
光学系65より、画像データに基づいた走査光が、帯電手段(62Y、62C、62M、62K)により一様に帯電された感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上を露光することにより、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)表面に画像に対応する静電潜像が形成される。
【0037】
不図示のバイアス電源より現像ローラ(63Y、63C、63M、63K)に印加される現像バイアスを、帯電電位と潜像(露後部)電位の間の適切な値に設定することで、負の極性に帯電されたトナーが、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上の静電潜像に選択的に付着されることにより、現像が行われる。
【0038】
感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上に現像された単色トナー画像は、該感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)と同期して、略等速で回転する中間転写体66上へ転写される。本実施例においては、中間転写体66として、中間転写ベルトを用いており、駆動ローラ67によって駆動され、テンションローラ68によって張架されている。中間転写ベルト66へ感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上のトナー像を転写する、一次転写手段としては、一次転写ローラ(69Y、69C、69M、69K)を用いている。一次転写ローラ(69Y、69C、69M、69K)に対して、不図示のバイアス電源より、トナーと逆極性の一次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト66に対して、トナー像が一次転写される。
【0039】
一次転写後、感光体ドラム(61Y、61C、61M、61K)上に転写残として残ったトナーは、クリーニング手段(64Y、64C、64M、64K)により除去される。本実施例においては、クリーニング手段として、ウレタンブレードによるブレードクリーニングを用いている。
【0040】
上記工程を中間転写ベルト66の回転に同調して、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して行い、中間転写ベルト66上に、各色の一次転写トナー画像を順次重ねて形成していく。単色のみの画像形成(単色モード)時には、上記工程は、目的の色についてのみ行われる。
【0041】
また、記録材(被加熱材)供給部となる記録材(被加熱材)カセット70にセットされた記録材Pは、給送ローラ71により給送され、二次転写部に所定のタイミングで、レジストローラ72により、中間転写ベルト66と二次転写手段73とのニップ部に搬送される。
【0042】
中間転写ベルト66上に形成された一次転写トナー像は、二次転写手段たる二次転写ローラ73に、不図示のバイアス印加手段より印加される、トナーと逆極性のバイアスにより、記録材P上に一括転写される。また、74は、二次転写ローラ対向ローラである。
【0043】
二次転写後中間転写ベルト66上に残った二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング手段75により除去される。本実施例においては、感光体ドラムのクリーニング手段と同様、ウレタンブレードによる中間転写体クリーニングを行っている。
【0044】
記録材P上に二次転写されたトナー画像は、加熱装置としての定着装置100を通過することで、記録材P上に溶融定着され、画像形成装置の出力画像となる。
【0045】
〈実施例1〉
本実施形態例における加熱装置としての定着装置100は、加熱部材として円筒状の定着フィルム(定着ベルト)を用いた、加圧ローラ駆動方式、セラミックヒーター方式の装置である。
【0046】
図1は本実施形態例における定着装置100の要部の横断面側面模型図、図2は要部の正面模型図、図3は要部の縦断面正面模型図である。
【0047】
この装置100は、大きく分けて円筒状の支持部材としてのフィルムガイド部材16(16a・16b)と、このフィルムガイド部材16にルーズに外嵌させた、加熱部材としての円筒状定着フィルム10と、フィルムガイド部材16の下面に嵌め込まれた加熱源としてのセラミックヒーター41と、セラミックヒーター41を含むフィルムガイド部材16の下面との間に定着フィルム10を挟んでニップ部Nを形成させた、加圧部材としての加圧ローラ30とからなる。
【0048】
円筒状のフィルムガイド部材(フィルム支持部材)16は、左右一対の横断面略半円弧状樋型半体16aと16bとを互いに開口部を向かい合わせて組み合わせることで円筒体を構成させてある。
【0049】
セラミックヒーター41は、アルミナの基板上に、銀・パラジウム合金を含んだ導電ペーストをスクリーン印刷法によって均一な厚さの膜状に塗布することで抵抗発熱体を形成した上に耐圧ガラスによるガラスコートを施し、アルミナ基板のもう一方の面にはポリイミド樹脂層を6μmの厚みで形成したものを使用している。
【0050】
本例ではセラミックヒーター41をフィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0051】
さらに、セラミックヒーター41と定着フィルム10の内周面との間に潤滑剤を介在させ、定着フィルム10の摺動抵抗低減を図っている。本実施形態例においては、潤滑剤としてフッ素グリースを用いている。
【0052】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、表層に離型層30cを設けてある。例えば、離型層30cはフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0053】
本実施例に用いた加圧ローラ30は、は、ステンレス製の芯金に、射出成形により、厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み約40μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。
【0054】
定着フィルム10を外嵌させたフィルムガイド部材16は加圧ローラ30の上側に配置され、フィルムガイド部材16内に挿通して配設した加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで加圧用剛性ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより、フィルムガイド部材16の下面と加圧ローラ30の上面とが定着フィルム10を挟んで圧接して、所定の加圧力と幅を持った定着ニップ部Nが形成される。
【0055】
加圧力が過剰となると、セラミックヒーター41を含むフィルムガイド部材16と定着フィルム10の内面との間の摩擦力の増加やセラミックヒーター41の表面に設けたポリイミド樹脂層が磨耗に伴って、スティックスリップやセラミックヒーター41の破壊あるいは定着フィルム10の破断といった不具合が生じてしまう。一方で十分な加圧力が印加されないと、トナーtが記録材Pにしっかり固着されず定着不良が発生してしまう。本実施例における加圧力は総圧が196Nとなるように、加圧バネ25a・25bを選定した。
【0056】
加圧ローラ30は駆動手段M(図1)により矢示の反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動により、定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用し、定着フィルム10の内周面が定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド部材16の下面に設けられたセラミックヒーター41と密着して摺動しながら矢示の時計方向に加圧ローラ30の周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外周を回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0057】
定着ニップ部Nにおける定着フィルム10の摺動部近傍のフィルムガイド部材16およびセラミックヒーター41の構成については、後記(2)項にて詳述する。
【0058】
また、図1中右側のフィルムガイド部材半体16aの周面には、図4に示すように、その長手方向に所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、フィルムガイド部材半体16aの周面と定着フィルム10の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着フィルム10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部16eは図中左側のフィルムガイド部材半体16bにも同様に形成具備することができる。なお、凸リブ部16eは定着フィルム10の接触摺動抵抗を低減できればよく形状は任意に選択できる。
【0059】
23a・23bは図2に示すとおり円筒状のフィルムガイド部材16の手前側と奥側の端部に嵌着して配設したフランジ部材であり、定着フィルム10の回転時に定着フィルム10の端部を受けて、定着フィルム10のフィルムガイド部材16の長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。フランジ部材23a・23bは定着フィルム10の回転に従動で回転する構成にしてもよい。
【0060】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着フィルム10が回転し、セラミックヒーター用電源供給手段からセラミックヒーター41への給電によりセラミックヒーター41が発熱し、定着ニップ部Nにおける加熱部材としての定着フィルム10への熱伝導によって、定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調される。
【0061】
この状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10と一緒に挟持搬送されていく。
【0062】
記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると、定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。記録材P上の加熱定着トナー画像tは定着ニップ部Nを通過後、冷却して永久固着画像となる。
【0063】
本実施形態例における画像加熱定着装置100では、トナーtに低軟化物質を含有させたトナーを使用したため、定着装置にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合には、オイル塗布機構を設けても良い。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行っても良い。
【0064】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段26(図10)を含む不図示の温調系によりセラミックヒーター41に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。温度検知手段26は定着フィルム10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においてはサーミスタで測定した定着フィルム10の温度情報を基に定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0065】
(1)定着フィルム10
図5は、本実施形態例における定着フィルム10の層構成模型図である。
【0066】
本実施形態例の定着フィルム10は、金属フィルム等でできた基層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0067】
基層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
【0068】
略円筒形状である定着フィルム10において、基層1がセラミックヒーター41と接触する内面側であり、離型層3が加圧ローラ30若しくは記録材Pと接触する外面側である。
【0069】
上述したように、セラミックヒーター41への給電によりセラミックヒーター41が発熱し、この熱が定着ニップ部Nにおいて基層1、弾性層2、離型層3に伝達されて、定着フィルム10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pを加熱してトナーt画像の加熱定着がなされる。
【0070】
a.基層
基層1としては、耐熱性樹脂や金属を用いることができるが、特に高画質を要求されるカラー印刷用の定着装置としては金属製のベルトが好ましく用いられる。このような金属としては、ニッケル、鉄、ステンレス等、定着フィルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力対して耐久性のある金属類が用いられる。
【0071】
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等の、耐熱性、熱伝導率が良い材質が好ましく用いられる。
【0072】
弾性層2の厚さは、定着画像品質を保証するために10〜500μmであることが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では、記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、記録材Pの凹凸或いはトナー層tの凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分で画像に光沢ムラ(「す」)が発生する。即ち、伝熱量が多い部分は光沢度が高く、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2の厚さが上記範囲よりも小さい場合には、上記離型層3が記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず「す」が発生してしまう。又、弾性層2が上記範囲よりも大きすぎる場合には、弾性層2の熱抵抗が大きくなりすぎ、クイックスタートの実現や温調制御が難しくなる。この弾性層2の厚さは、より好ましくは50〜300μmが良い。
【0073】
弾性層2は、硬度が高すぎると記録材P或いはトナー層tの凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては60゜(JIS−A)以下、より好ましくは45゜(JIS−A)以下がよい。
【0074】
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10−1〜8.4×10−1W/m・℃であることが好ましい。熱伝導率λが上記範囲よりも小さい場合には、熱抵抗が大きすぎて、定着フィルム10の表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが上記範囲よりも大きい場合には、弾性層2の硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが発生しやすくなる。より好ましくは3.3×10−1〜6.3×10−1W/m・℃が良い。
【0075】
c.離型層3
離型層3は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性且つ耐熱性のよい材料を用いることが好ましい。
【0076】
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが上記範囲よりも薄い場合には、塗膜の塗ムラが生じ、離型性の悪い部分が発生したり、耐久性が不足するといった問題が発生する。又、離型層3の厚さが上記範囲よりも厚い場合には、熱伝導が悪化する。特に、離型層3に樹脂系の材質を用いた場合は、離型層3の硬度が高くなりすぎて、弾性層2の効果がなくなってしまう。
【0077】
これらの点を考慮し、本実施例に使用する定着フィルム10は、厚み50μmの円筒状に形成したステンレス製のエンドレスベルト上に、シリコーンゴム層をリングコート法により厚さ250μmに形成した。シリコーンゴム層には、熱伝導率が約4.0×10− 1W/m・℃と、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
【0078】
さらに、離型層として厚み30μmのPFA樹脂チューブをシリコーンゴム層上に被覆して定着フィルム10を形成した。
【0079】
(2)定着フィルム10の摺動部の構成
定着フィルム10と加圧ローラ22とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図6に示す。フィルムガイド部材16においてセラミックヒーター41を挟んでプロセス方向下流側と上流側には凸型の突起42Aと42Bを持つ耐熱性・低摩擦性の摺動部材40a・40bが設けられており、それぞれが定着ニップ部N内の下流側と上流側に配置されている。
【0080】
摺動部材40は、この摺動部材40a・40bの固定部材としてのフィルムガイド部材16よりも定着フィルム10の内面との滑り性が良い部材であり、例えばポリイミド樹脂、ガラス、アルミナ、アルミナにガラスをコートしたものなどで構成するのが好ましい。本例では、アルミナ基板にガラスをコートしたものを摺動部材40a・40bとして、フィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0081】
摺動部材40a・40bの突起42Aと42Bの高さおよび幅は、セラミックヒーター41の表面に印加される圧を最小限に抑えつつ定着フィルム10が受けるストレスも最小限に抑える必要があり、突起高さは0.1mmから1.0mm、突起幅は0.1〜5.0mmの範囲内とすることが望ましい。また、突起42Aと42Bの横断面形状は箱型・三角型・半円型など任意の形状とすることがかのうであるが、本実施例では図6に示すとおり、高さ0.5mm、幅2.0mmの箱型突起とした。
【0082】
図7に本実施例における定着ニップ部N内の圧分布の測定結果と、図24に示す従来のフィルムガイド部材構成と図5に示す定着フィルムを組み合わせた定着ニップ部N内の圧分布の測定結果を示す。この図から明らかなように、加圧バネ25a・25bによって定着ニップ部Nに与えられた加圧力は、定着ニップ部N内の突起42Aと42Bの部分に集中する。これによって、トナーが記録材Pに定着し、かつ定着フィルム10の表面が記録材Pの凹凸に十分追従できるだけの加圧力を突起42Aと42Bの部分で確保しつつ、セラミックヒーター41の表面と定着フィルム10の内面との摺動部に与えられる加圧力はセラミックヒーター41で発生した熱を定着フィルム10に伝導させるのに必要最小限な圧に抑えることが可能となる。
【0083】
本実施例の定着装置100を用いて、サーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10の表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストを行った場合と、比較実験例として図25に示す従来のフィルムガイド部材構成の定着装置を用いて同様の条件で空回転耐久テストを行った場合を比較したところ、表1に示すように本実施例の定着装置に対してセラミックヒーター41の摺動面の磨耗度やスティックスリップの発生状況において明らかな改善効果が認められた。
【0084】
【表1】
【0085】
〈実施例2〉
本発明の第2の実施例における、定着フィルム10と加圧ローラ22とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図8に示す。
【0086】
また、本実施例における加圧力は、総加圧力として294N(30kgf)となる設定とし、その他の設定については図8に示す定着ニップ部の形状を除いては第1の実施例と同様の装置構成となっているため、詳細な説明は割愛する。
【0087】
フィルムガイド部材16において、セラミックヒーター41を挟んでプロセス方向下流側と上流側には、第1の実施例に示された凸型の突起42Aと42Bと同様の位置に、ローラ部材43A・43Bがセラミックヒーター41表面よりも加圧ローラ30側に出っ張るようにして回転可能に設けられており、それぞれが定着ニップN内の上流側と下流側に配置されている。ローラ部材43A・43Bはフィルムガイド部材16のセラミックヒーター41部の下流側・上流側それぞれに設けられた溝部44Aと44Bにステンレス製摺動板45を介して収められており、溝部44A・44Bの空隙部には潤滑材Gが充填されている。これによってローラ部材43A・43Bは容易に摺動回転することが可能となっている。
【0088】
ローラ部材43として用いるものに特に制限はないが、溝部44で摺動回転することを考慮すると耐久性に優れた金属製のローラ類を用いることが望ましい。また、ローラ部材43の外形は大きすぎると熱容量が大きくなってしまい、ウォームアップタイムが長くなったり温調制御が難しくなるなどの弊害を伴ってしまうため、1mmから10mmの範囲内に収めることが望ましい。また、ローラ部材43A・43Bの出っ張り量はセラミックヒーター41の表面に印加される圧を最小限に抑えつつ定着フィルム10が受けるストレスも最小限に抑える必要があり、0.1mmから1.0mmの範囲内とすることが望ましい。
【0089】
本実施例ではローラ部材43として直径4.0mmのステンレス製シャフトをセラミックヒーター41の摺動面よりも0.5mm出っ張るように設置した。
【0090】
本実施例における定着ニップ部N内の圧分布を測定したところ、図9に示す通りのプロファイルとなった。すなわち、加圧バネ25a・25bによって定着ニップ部Nに与えられた加圧力は、定着ニップ部N内のローラ部材43の部分に集中する。ローラ部材43は回転可能に設置されており、定着フィルム10の回転に伴って従動回転するため、本実施例では第1の実施例よりも更に大きな加圧力を印加しているにも関わらず、定着フィルム10の回転に対する摩擦力は殆ど増加することがなく、スティックスリップが発生することもない。
【0091】
そして加圧力が大きくなる効果として、第1の実施例よりも更にトナーが記録材Pに強固に定着し、かつ定着フィルム10表面が記録材Pの凹凸により追従しやすくなる。更にセラミックヒーター41表面と定着フィルム10内面との摺動部に与えられる加圧力は第1の実施例と同様にセラミックヒーター41で発生した熱を定着フィルム10に伝導させるのに必要最小限な圧に抑えることが可能となる。本実施例の定着器を用いて、メインサーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストを行ったところ、表2に示すようにセラミックヒーター41摺動面の磨耗度やスティックスリップの発生状況において実施例1と同様のが認められた。
【0092】
【表2】
【0093】
〈実施例3〉
本実施形態例における加熱装置としての定着装置は、加熱部材として電磁誘導発熱性の円筒状の定着フィルムを用いた、加圧ローラ駆動方式、電磁誘導加熱方式の装置である。
【0094】
図10は本実施形態例における定着装置100の要部の横断面側面模型図、図11は要部の正面模型図、図12は要部の縦断面正面模型図である。
【0095】
この装置100は、大きく分けて円筒状の支持部材としてのフィルムガイド部材16と、このフィルムガイド部材16にルーズに外嵌させた、加熱部材としての円筒状の電磁誘導発熱性の定着フィルム10と、フィルムガイド部材16との間に定着フィルム10を挟んで定着ニップ部Nを形成させた、加圧部材としての加圧ローラ30とからなる。
【0096】
以下、第1の実施例にて説明した構成とは異なる部分のみを説明し、同様の構成となる部分についての説明は割愛する。
【0097】
図10中で右側のフィルムガイド部材半体16aの内側には、磁場発生手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を配設して保持させてある。
【0098】
定着ニップ部Nにおけるフィルムガイド部材16の下面と定着フィルム10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために、フィルムガイド部材16の下面の定着ニップ部Nに対応する面部分には、耐熱性・低摩擦性の摺動部材40を配設してある。摺動部材40は、この摺動部材の固定部材としてのフィルムガイド部材16よりも定着フィルム10の内面との滑り性が良い部材であり、例えばポリイミド樹脂、ガラス、アルミナ、アルミナにガラスをコートしたものなどで構成するのが好ましい。本例では、アルミナ基板にガラスをコートしたものを、フィルムガイド部材16の下面に長手に沿って具備させた嵌め込み用の溝部に位置決め保持させてある。さらには、耐熱性接着剤で固定すると良い。
【0099】
さらに、摺動部材40と定着フィルム10内周面との間に潤滑剤を介在させ、定着フィルム10の摺動抵抗低減を図っている。本実施形態例においては、潤滑剤としてフッ素グリースを用いている。
【0100】
定着ニップ部Nにおける定着フィルム10の摺動部近傍のフィルムガイド16部材および摺動部材40の構成については、後記(3)項にて詳述する。
【0101】
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着フィルム10が回転し、励磁回路27(図13)から励磁コイル18への給電により発生する磁場の作用で加熱部材としての定着フィルム10が電磁誘導発熱して定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調される。
【0102】
(1)磁場発生手段
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料が良く、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのが良い。
【0103】
磁場発生手段を構成する励磁コイル18は、コイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では12回巻きで励磁コイルを形成している。
【0104】
絶縁被覆を行う被覆部材は、定着フィルム10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いることが好ましい。例えば、アミドイミドやポリイミド等の被覆を用いるとよい。本実施形態例においては、ポリイミドによる被覆を用いており耐熱温度は220℃である。
【0105】
励磁コイル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
【0106】
磁場発生手段17a・17b・17c・18と加圧用剛性ステイ22の間には、絶縁部材19を配設してある。絶縁部材19の材質としては、絶縁性に優れ、耐熱性がよいものが好ましい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂等を選択するとよい。
【0107】
図14は、磁場発生手段によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a,17b,17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着フィルム10の発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は、発熱層1の固有抵抗によって、発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。
【0108】
発熱量Qは発熱層1を通る磁束Cの密度によって決まり、図14のグラフのような分布を示す。図14に示すグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着フィルム10における円周方向の位置を示し、横軸が定着フィルム10の発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとし、発熱量がQ/e以上の領域と定義する(eは自然対数の底)。これは、定着プロセスに必要な発熱量が得られる領域である。
【0109】
この定着ニップ部Nの温度は、温度検知手段26(図10)を含む不図示の温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。温度検知手段26は定着フィルム10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においてはサーミスタで測定した定着フィルム10の温度情報を基に定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0110】
(2)定着フィルム10
図15は、本実施形態例における定着フィルム10の層構成模型図である。
【0111】
本実施形態例の定着フィルム10は、基層となる電磁誘導発熱性の金属フィルム等でできた発熱層1と、その外面に積層した弾性層2と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。
【0112】
発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のために、各層間にプライマー層(図示せず)を設けてもよい。
【0113】
略円筒形状である定着フィルム10において、発熱層1が摺動部材40と接触する内面側であり、離型層3が加圧ローラ若しくは記録材(被加熱材)と接触する外面側である。
【0114】
上述したように、発熱層1に交番磁束が作用することにより、発熱層1に渦電流が発生して発熱層1が発熱する。この熱が弾性層2、離型層3に伝達されて、定着フィルム10全体が加熱され、定着ニップ部Nに通紙される記録材Pを加熱してトナー画像tの加熱定着がなされる。
【0115】
a.発熱層1
発熱層1としては、磁性及び非磁性の金属を用いることができるが、磁性金属が好ましく用いられる。このような磁性金属としては、ニッケル、鉄、強磁性ステンレス、ニッケル−コバルト合金、パーマロイといった強磁性体の金属が好ましく用いられる。又、定着フィルム10回転時に受ける繰り返しの屈曲応力による金属疲労を防ぐために、ニッケル中にマンガンを添加した部材を用いるのも良い。
【0116】
発熱層1の厚さは、次の式で表される表皮深さσ[m]より厚く、且つ200μm以下にすることが好ましい。発熱層1の厚さをこの範囲とすれば、発熱層1が電磁波を効率よく吸収することができるため、効率良く発熱させることができる。
【0117】
σ=(ρ/πfμ)1/2 …(1)
ここで、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは発熱層1の透磁率、ρは発熱層1の固有抵抗[Ωm]である。
【0118】
この表皮深さσは、電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっている。逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図17に示した発熱層深さと電磁波強度の関係を参照)。
【0119】
発熱層1の厚さは、より好ましくは1〜100μmがよい。発熱層1の厚みが上記範囲よりも薄い場合には、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。又、発熱層1が上記範囲よりも厚い場合には、発熱層1の剛性が高くなりすぎ、又、屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的でなくなる。
【0120】
d.断熱層4
図16に示すように、定着フィルム10の構成において、発熱層1の摺動部材40との接触面側に断熱層4を設けてもよい。断熱層4としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂等の耐熱樹脂がよい。
【0121】
断熱層4の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層4の厚さが10μmよりも薄い場合には断熱効果が得られず、又、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17a,17b,17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる。
【0122】
断熱層4は、発熱層1に発生した熱が定着フィルム10の内側に向かわないように断熱できるので、断熱層1がない場合と比較して記録材Pへの熱供給効率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
【0123】
又、断熱層4を滑り性の良い材料で構成すれば、摺動部材40と定着フィルム10との摺動抵抗を軽減することができる。
【0124】
これらの点を考慮し、本実施例に使用する定着フィルム10は、厚み60μmの円筒状に形成したニッケル製のエンドレスベルト上に、シリコーンゴム層をリングコート法により厚さ250μmに形成した。シリコーンゴム層には、熱伝導率が約4.0×10− 1W/m・℃と、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
さらに、離型層として厚み30μmのPFA樹脂チューブをシリコーンゴム層上に被覆し、断熱層として10μmのポリイミド樹脂をコートして定着フィルム10を形成した。
【0125】
(3)定着フィルム10の摺動部の構成
本発明の実施例3における、定着フィルム10と加圧ローラ22とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図18に示す。
【0126】
また、本実施例における加圧力は、総加圧力として196N(20kgf)となる設定とし、その他の設定については図18に示す定着ニップ部の形状を除いては第1の実施例と同様の装置構成となっているため、詳細な説明は割愛する。
【0127】
フィルムガイド部材16において、摺動部材40を挟んでプロセス方向下流側に、第1の実施例に示された凸型の突起42Aと同様の位置に、ローラ部材43Aとして直径4mmのステンレス製シャフトが摺動部材40の表面よりも0.5mm加圧ローラ側に出っ張るようにして回転可能に設けられており、定着ニップ部N内の下流側に配置されている。ローラ部材43Aはフィルムガイド部材16の摺動部材40の下流側に設けられた溝部44Aにステンレス摺動部材45を介して収められており、溝部44Aの空隙部には潤滑材Gが充填されている。これによってローラ部材43は容易に摺動回転することが可能となっている。
【0128】
本実施例における定着ニップ部N内の圧分布を測定したところ、図19に示す通りのプロファイルとなった。すなわち、加圧バネ25a・25bによって定着ニップ部Nに与えられた加圧力は、定着ニップ部N内のローラ部材43A部分に集中する。ローラ部材43Aが下流側の1箇所のみであるため、総加圧力が同等であるにも関わらず第1の実施例と比較してローラ部材43A部分に集中する加圧力は大きくなるが、ローラ部材43Aは回転可能に設置されており、定着フィルム10の回転に伴って従動回転するので、定着フィルム10の回転に対する摩擦力は殆ど増加することなく、第1の実施例よりも更にトナーが記録材Pに強固に定着し、かつ定着フィルム10の表面が記録材Pの凹凸により追従しやすくなる。
【0129】
本実施例の定着装置100を用いて、メインサーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストを行ったところ、表3に示すようにスティックスリップの発生状況において第1の実施例と同等の改善効果を得ることができた。
【0130】
【表3】
【0131】
〈実施例4〉
本発明の第4の実施例における、定着フィルム10と加圧ローラ30とで形成される定着ニップ部Nの拡大図を図20および図21に示す。
【0132】
また、本実施例における加圧力は、総加圧力として196N(20kgf)となる設定とし、その他の設定については図20および図21に示す定着ニップ部の形状を除いては実施例3と同様の装置構成となっているため、詳細な説明は割愛する。
【0133】
フィルムガイド部材16において、摺動部材40を挟んでプロセス方向下流側に、実施例1に示された凸型の突起42Aと同様の位置に、ローラ部材43Aとして直径4mmのステンレス製シャフトが摺動部材40表面よりも0.5mm加圧ローラ側に出っ張るようにして回転可能に設けられており、定着ニップ部N内の下流側に配置されている。ローラ部材43Aはフィルムガイド部材16の摺動部材40の下流側に設けられた回転支持部材としてのローラ対46を介して収められている。これによってローラ部材43Aは更に容易に回転することが可能となっている。
【0134】
本実施例における定着ニップ部N内の圧分布を測定したところ、実施例3と同等のプロファイルとなり、メインサーミスタ26での検出温度190℃、定着フィルム10表面の回転速度90mm/secの条件で1200時間の空回転耐久テストにおいても、実施例3と同様の改善効果を得ることができた。
【0135】
〈その他〉
a)実施例1または2において、突起形状部は定着ニップ部Nの定着フィルム移動方向の上流側または下流側の一方だけに配設することもできる。また実施例3または4において、突起形状部は定着ニップ部Nの定着フィルム移動方向の上流側に配設することもできる。上流側と下流側の一方だけに配設することもできる。
【0136】
b)実施例1〜4において加圧部材30は、ローラ体の代わりに、例えば、特開2001−228731公報に開示されているエンドレスベルトと加圧部材からなる加圧フィルムユニットを用いて小熱容量化を図ってもよい。
【0137】
c)本発明の加熱装置は実施形態例の画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着する像加熱装置、その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置など、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0138】
以上、本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0139】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0140】
〔実施態様1〕 フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、前記支持部材の前記加熱部材を挟んで前記ニップ部と相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状を配設していることを特徴とする加熱装置。
【0141】
これによって、ニップ部へ印加される加圧力が突起形状部に集中的に印加され、ニップ部内の突起以外の部分への加圧力を緩和させることが可能となる。
【0142】
〔実施態様2〕 前記支持部材摺動部の少なくとも一部分が摺動部材を有することを特徴とする実施態様2記載の加熱装置。
【0143】
これによって、摺動部分の磨耗を最小限に抑えることが可能となり、突起形状を摺動部材で構成すれば更に耐久性の優れた加熱装置を提供することが可能となる。
【0144】
〔実施態様3〕 前記突起形状は、前記摺動部材に設けられていることを特徴とする実施態様2記載の加熱装置。
【0145】
これによって、摺動部分の磨耗を最小限に抑えることが可能となり、突起形状を摺動部材で構成すれば更に耐久性の優れた加熱装置を提供することが可能となる。
【0146】
〔実施態様4〕 前記突起形状は、前記加熱部材の移動に対して従動可能なローラ部材で形成されることを特徴とする実施態様1記載の加熱装置。
【0147】
これによって、加熱部材の移動に対する摩擦力は大幅に低減し、スティックスリップの発生を低減させることができると同時に、加熱装置の耐久性をより高めることが可能となる。
【0148】
〔実施態様5〕 前記支持部材が前記ローラ部材を配設するための溝部を有することを特徴とする実施態様4記載の加熱装置。
【0149】
これによって、加熱部材の移動に対する摩擦力は大幅に低減し、スティックスリップの発生を低減させることができると同時に、加熱装置の耐久性をより高めることが可能となる。
【0150】
〔実施態様6〕 前記支持部材が前記ローラ部材を配設するための回転支持部材を有することを特徴とする実施態様4記載の加熱装置。
【0151】
これによって、加熱部材の移動に対する摩擦力は大幅に低減し、スティックスリップの発生を低減させることができると同時に、加熱装置の耐久性をより高めることが可能となる。
【0152】
〔実施態様7〕 熱源として線状発熱体を用いることを特徴とする、実施態様1から6記載の加熱装置。
【0153】
〔実施態様8〕 熱源としてセラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒーターを用いることを特徴とする、実施態様1から6記載の加熱装置。
【0154】
〔実施態様9〕 前記摺動部材が線状発熱体であることを特徴とする、実施態様2および3記載の加熱装置。
【0155】
〔実施態様10〕 前記摺動部材がセラミック基板上に抵抗発熱体を形成してなるセラミックヒーターであることを特徴とする、実施態様2および3記載の加熱装置。
【0156】
〔実施態様11〕 電磁誘導発熱性部材を設けた加熱部材と、前記電磁誘導発熱性部材に磁場を入れて発熱させる磁場発生手段を有し、被加熱材を前記加熱部材の電磁誘導発熱性部材からの熱により加熱することを特徴とする実施態様1から6記載の加熱装置。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、フィルム状加熱部材内面等の磨耗やスティックスリップの発生を防止でき、この結果、画像加熱定着装置にあっては定着不良や光沢ムラの発生しない印刷画像を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における定着装置の要部の横断面側面模型図
【図2】同装置の要部の正面模型図
【図3】同装置の要部の縦断面正面模型図
【図4】フィルムガイド部材半体(右側)の斜視図
【図5】定着フィルムの層構成模型図
【図6】定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部の拡大図
【図7】実施例1と比較例の定着装置の定着ニップ部内の圧分布の測定結果
【図8】実施例2における定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部の拡大図
【図9】実施例2の定着装置の定着ニップ部内の圧分布の測定結果
【図10】実施例3における定着装置の要部の横断面側面模型図
【図11】同装置の要部の正面模型図
【図12】同装置の要部の縦断面正面模型図
【図13】フィルムガイド部材半体(右側)の斜視図
【図14】磁場発生手段によって発生される交番磁束の発生の様子を模式的に表した図
【図15】定着フィルムの層構成模型図(その1)
【図16】定着フィルムの層構成模型図(その2)
【図17】発熱層深さと電磁波強度の関係図
【図18】定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部Nの拡大図
【図19】実施例3の定着装置の定着ニップ部内の圧分布の測定結果
【図20】実施例4における定着フィルムと加圧ローラとで形成される定着ニップ部の拡大図
【図21】その要部の斜視模型図
【図22】本発明に従う加熱装置としてのトナー画像定着装置を搭載したカラー画像形成装置の一例の概略構成図
【図23】弾性層を有する定着ローラを使用する定着装置の一例の概略構成図
【図24】フィルム定着装置の一例の概略構成図
【符号の説明】
100・・定着装置(加熱装置)、10・・定着フィルム(フィルム状の加熱部材)、16(16a,16b)・・フィルム支持部材、30・・加圧ローラ(加圧部材)、N・・定着ニップ部、P・・記録材(被加熱材)、40a・40b・40・・摺動部材、42A・42B・・突起部、43A・43B・・ローラ部材(突起部材)
Claims (1)
- フィルム状の加熱部材と、前記加熱部材を支持する支持部材と、前記加熱部材を挟んで前記支持部材に当接する加圧部材とを有し、前記加熱部材は前記支持部材の摺動部に対して摺動して移動し、前記加熱部材と前記加圧部材との当接によって形成されるニップ部において被加熱材を挟持搬送して加圧および加熱する加熱装置において、
前記支持部材の前記加熱部材を挟んで前記ニップ部と相対する領域の、前記加熱部材移動方向に対する上流側乃至は下流側の少なくとも一方に、突起形状を配設していることを特徴とする加熱装置。
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- 2002-11-29 JP JP2002348472A patent/JP2004184517A/ja not_active Withdrawn
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