JP2012083663A - 定着装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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尚志 村瀬
Hitoshi Okazaki
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Abstract

【課題】経時後の駆動トルクの変動が抑制された定着装置及びそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】外周面が回動する回動部材と、最外層が前記外周面に接触し、回転可能に配置され、少なくとも最内層がフッ素化ポリイミド樹脂を有する帯状部材と、帯状部材の最内層に接触し、帯状部材の前記最内層との接触面に、フッ素系グリースから構成された潤滑剤を保持し、帯状部材と摺動する摺動部材と、摺動部材を介して、帯状部材を回動部材に圧接させて、回動部材とベルト部材との間に、ニップ部を形成するように圧力を付与する圧力付与部材と、を備えるように構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着装置等に関し、さらに詳しくは、例えば、電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンター等の画像形成装置では、例えば、ドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を一様に帯電させ、この帯電した感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着している。
画像形成装置の定着装置として、ロールとベルトとによってニップを形成するいわゆるベルトニップ方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された定着装置では、圧力パッドを用いてエンドレスベルトを定着ロールに圧接させている。
特許文献2に記載された画像形成装置では、ベルトニップ方式で、ベルトの最内層にフッ素化ポリイミド樹脂を主成分とする材料が用いられている。
また、別の方法として、ベルト内面に接触する押圧部材の、ベルト内層面との接触面に潤滑材を保持し、潤滑剤のちょう度を適切な範囲に維持する定着装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。すなわち、特許文献3では、潤滑剤として、フッ素樹脂を増ちょう剤としたフッ素系グリースを用い、使用温度での潤滑剤のちょう度を250〜350の範囲内としている。
特許第3298354号公報 特開平9−274402号公報 特開2004−198655号公報
本発明は、経時後の駆動トルクの変動が抑制された定着装置及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の定着装置及びそれを用いた画像形成装置が提供される。
[1]外周面が回動する回動部材と、最外層が前記外周面に接触し、回転可能に配置され、少なくとも最内層がフッ素化ポリイミド樹脂を有する帯状部材と、前記帯状部材の前記最内層に接触し、前記帯状部材の前記最内層との接触面に、フッ素系グリースから構成された潤滑剤を保持し、前記帯状部材と摺動する摺動部材と、前記摺動部材を介して、前記帯状部材を前記回動部材に圧接させて、前記回動部材と前記ベルト部材との間に、ニップ部を形成するように圧力を付与する圧力付与部材と、を備えた定着装置。
[2]前記帯状部材の最内層を構成するフッ素化ポリイミド樹脂は、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂である前記[1]に記載の定着装置。
[3]前記[1]又は[2]に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、経時後の駆動トルクの変動が抑制された定着装置を提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、主鎖にエーテル基を持たないフッ素化ポリイミドを使用した場合に比べて、ベルトとベルト内層面との接触部材との摺動性が向上する
請求項3に係る発明によれば、長期間に亘り、高品質な定着画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す説明図である。 図1に示す画像形成装置に用いられる定着装置の断面図である。 定着装置におけるエンドレスベルトが支持される構成を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態における定着装置の構成を示す断面図である。 本実施の形態に用いられる定着ベルトの構成を示す断面図である。 実施例及び比較例におけるプリント枚数と駆動トルクとの関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という。)について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す説明図である。図1には、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置が示されている。図1に示された画像形成装置は、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図1中、露光ビームを符号Bmで示す)と、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14と、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17と、等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、ほぼ直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は、10Ωcm〜1014Ωcmとなるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって、図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動(回動)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモーター(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回動させる駆動ロール31と、各感光体ドラム11の配列方向に沿ってほぼ直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えるとともに中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33と、二次転写部20に設けられるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34と、を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16により構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したアクリロニトリル ブタジエンゴム(NBR)とスチレン・ブタジエンゴム(SBR)とエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)とのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が10Ωcm〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16には、トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25と、によって構成される。バックアップロール25は、EPDMゴムからなる内層部とカーボンを分散したEPDM及びNBRのブレンドゴムからなるチューブ状の表面層とから構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□〜1010Ω/□となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が当接配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムから形成され、体積抵抗率が10Ωcm〜10Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
さらに、本実施の形態の画像形成装置では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50と、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51と、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52と、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56と、を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
図1に示すような画像形成装置では、画像読取装置(IIT)(図示せず)やパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等から出力される画像データは、画像処理装置(IPS)(図示せず)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが当接する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により、中間転写ベルト15の基材に対し、トナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール22とバックアップロール25とによって押圧される二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙載置部に搬送される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施の形態の画像形成装置に用いられる定着装置60について説明する。
図2は、図1に示す画像形成装置に用いられる定着装置の断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61と、ベルト部材(帯状部材)の一例としてのエンドレスベルト62と、エンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64と、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、圧力パッド64のエンドレスベルト62との接触面に配設された、摺擦部材の一例としての摺動シート68と、により主要部が構成されている。
定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、及び離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されて所定の表面速度(例えば、194mm/sec)で回転する。本実施の形態の定着ロール61は、外径が軸方向で一様な所謂ストレートロールで形成されている。定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば、定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
エンドレスベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトである。エンドレスベルト62は、エンドレスベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63と、さらにはエンドレスベルト62の両端部に配置されたエッジガイド部材80(後述する図3参照)と、によって回動自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置され、定着ロール61に従動して回動(例えば、194mm/sec)する。
ここで、図3は、定着装置におけるエンドレスベルト62が支持される構成を示す説明図である。図3は、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801と、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802と、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803と、で構成されている。
そして、エンドレスベルト62の両端部では、ニップ部Nとその近傍を除いて、両端部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、エンドレスベルト62はベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回動する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数の小さな材質で形成され、さらには、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
また、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、エンドレスベルト62の幅とほぼ一致する間隔を持つように配置されている。そして、エンドレスベルト62が回動する際には、エンドレスベルト62の端部がフランジ部802の内側面に当接することによって、エンドレスベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、エンドレスベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
また、エンドレスベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている(図2も参照)。そして、エンドレスベルト62の両端部を除く領域では、エンドレスベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回動する。ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、ベルトガイド部材63には、エンドレスベルト62の回転方向に向けて複数のリブが形成され、エンドレスベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。さらに、ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的には、テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
次に、圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内側において金属製のホルダ65に支持されている。そして、エンドレスベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、ニップ部Nの入口側(上流側)に、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aを配置している。また、ニップ部Nの出口側(下流側)には、定着ロール61表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール61表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成するための剥離ニップ部材64bを配置している。
さらに、圧力パッド64には、上述のように、エンドレスベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、エンドレスベルト62と接触する面に摺擦部材の一例としての摺動シート68が設けられている。
摺動シート68は、ニップ部Nの上流側端部が低摺動シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、エンドレスベルト62の回動方向に沿って、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、摺動シート68のニップ部N下流側は、摺動シート68に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、摺動シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
このような構成において、定着ロール61は、図示しない駆動モーターに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動してエンドレスベルト62も定着ロール61と同じ方向に回動する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施の形態の定着装置60では、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができるため、安定した定着性能を確保することができる。
なお、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
次に、定着装置60を構成する各部材について、具体的に説明する。
まず、定着ロール61では、コア611は、鉄、アルミニウム(例えば、A 5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属又は合金、セラミックス、FRMで形成された、例えば、外径φ30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15°〜45°(JIS A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。なかでも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム等が挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等を挙げることができる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS A)のHTVシリコーンゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。耐熱性弾性体層612の厚さは、通常、3mm以下、好ましくは、0.1mm 1.5mmの範囲内である。耐熱性弾性体層612のコア611の表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、公知のコーティング法、成型等が採用できる。
実施の形態においては、定着ロール61の耐熱性弾性体層612の外周面に離型層613が形成されていることにより、トナー像のオフセットを効果的に防止でき、安定した状態で定着装置60を稼動させることができる。離型層613の材質としては、トナー像に対し適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等を挙げることができる。これらの材質の中でもフッ素樹脂が好適に挙げられる。フッ素樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を挙げることができる。さらに、テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等を挙げることができる。これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。
離型層613の厚さは、通常、10μm〜50μm、好ましくは15μm〜30μmの範囲内である。離型層613を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上述したコーティング法等を挙げることができる。また、押出し成型によって形成されたチューブを被覆する方法を挙げることができる。本実施の形態の定着装置60では、厚さ30μmのPFAを被覆している。
次に、エンドレスベルト62としては、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトが用いられる。エンドレスベルト62は、最内層と、この最内層の定着ロール61側の面(外周面)又は両面に被覆された離型層(表面層)とから構成されている。最内層は、主鎖にエーテル結合を有するフッ素化ポリイミドが用いられる。
以下、最内層を構成する、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂について説明する。
この主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂は、エンドレスベルト62が、長期間に亘り、適度な離型性を保持することを可能ならしめるために用いられる。主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂の前駆体としてのフッ素化ポリアミック酸は、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類を合成することによって得られるが、これらの酸無水物及びジアミン類としては、フッ素基(−F)及び/又はパーフルオロアルキル基(−C2n+1:nは1以上の整数)を有するものを挙げることができる。パーフルオロアルキル基(−C2n+1)におけるnは、1〜9であることが好ましく、具体的には、−CF,−C,−C等を挙げることができる。なお、上述の少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類の少なくともいずれか一方は、主鎖にエーテル基を持つことが必要である。
具体的には、少なくともその一部がフッ素化された酸無水物としては、例えば、下記化学式(1)〜(3)で表されるものを挙げることができる。
また、少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類としては、一般的に、下記化学式(4)で表され、具体的に、例えば、下記化学式(5)〜(15)で表されるものを挙げることができる。
上述のように、本発明に用いられる少なくともその一部がフッ素化された酸無水物及び少なくともその一部がフッ素化されたジアミン類としては、完全フッ素化されたものだけではなく、一部がフッ素化されることなく(フッ素基(−F)及び/又はパーフルオロアルキル基(−C2n+1:nは1以上の整数)で置換されることなく)、水素基(−H)のままであるものをも用いることができる。
最内層の表面に被覆される離型層(表面層)としては、フッ素樹脂が用いられる。ここで、フッ素樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);テトラフルオロエチレン パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を挙げることができる。さらに、テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等を挙げることができる。これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。離型層(表面層)の厚さは、通常、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜30μm程度に設定される。
圧力パッド64は、エンドレスベルト62の内部に配置され、上述したように、プレニップ部材64aと剥離ニップ部材64bとで構成され、バネや弾性体によって定着ロール61を、例えば、40kgfの荷重で押圧するようにホルダ65に支持されている。プレニップ部材64aには、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹状曲面で形成されている。本実施の形態の定着装置60では、幅10mm、厚さ5mm、長さ320mmのシリコーンゴムを用いている。圧力パッド64の硬さは、特に制限はなく、通常、JIS A硬度が10°〜40°の範囲である。
剥離ニップ部材64bは、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、又は鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約8mm幅のニップ部Nを形成している。
摺動シート62は、低摩擦シートであり、硬質でかつ可撓性を有する低摩擦材料であることが要求される。摺動シート62の具体的な例としては、1)耐熱性の不織布をシート材として用いる方法、2)ガラスクロス等の織布にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を含浸コートしたものをシート材として用いる方法、3)フッ素樹脂クロス等の織布をシート材として用いる方法、4)ポリイミド等の耐熱樹脂の表面に、プレス型押しで連続した凹凸形状を設け、これをシート材として用いる方法等を挙げることができる。
さらに、ホルダ65には、定着装置60の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材67が配設されている。潤滑剤塗布部材67は、エンドレスベルト62内周面に対して接触するように配置され、潤滑剤を適量供給する。これにより、エンドレスベルト62と摺動シート68との摺動部に潤滑剤を供給し、摺動シート68を介したエンドレスベルト62と圧力パッド64との摺動抵抗をさらに低減して、エンドレスベルト62の円滑な回動を図っている。また、エンドレスベルト62の内周面や摺動シート68表面の摩耗を抑制する効果も有している。
本発明における潤滑剤としては、ベルトとの濡れ性が良いことが好ましい。このような観点から、本発明においては、基油としてフルオロシリコーン油、パーフルオロポリエーテル油等のフッ素オイルを用いることが好ましい。
さらに、本発明における潤滑剤は、ちょう度が、定着装置の使用状態の温度において適切なものとすることが望まれ、具体的には、使用温度(本実施形態で言えば、加熱ロール20の表面温度周辺。具体的な使用温度は、耐熱性の説明において記載の通りである。)において250〜350の範囲内であることが好ましく、290〜330の範囲内であることがより好ましい。また、室温状態では、200〜330の範囲内であることが好ましく、230〜300の範囲内であることがより好ましい。潤滑剤のちょう度が250未満であるとトルクアップに繋がる場合があり、350を超えるとサラサラして圧力部材表面から流出しやすくなるため、それぞれ好ましくない。なお、「ちょう度」とは、JIS K 2220で規定される方法に準じて測定されるものをいう。以上の観点から、本発明における潤滑剤は、フルオロシリコーン油、パーフルオロポリエーテル油等のフッ素オイルに増ちょう剤として、PTFE等のフッ素樹脂を混合した、フッ素系グリースを用いることが好ましい。
PTFE等のフッ素樹脂は固体潤滑剤でもあるため、これを増ちょう剤として用いた潤滑剤をニップ部に作用させれば、このニップ部においてフッ素樹脂がパッド状に層を形成する状態となり、フッ素樹脂自身の固体潤滑剤としての効果も加わることとなる点においても優れている。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。第2の実施の形態では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として電磁誘導加熱部材として磁場発生ユニットを用いた定着装置について説明する。なお、第1の実施の形態と同様な構成については同様な符号を用い、その詳細な説明を省略する。
図4は、本発明の第2の実施の形態における定着装置90の構成を示す断面図である。図4に示すように、定着装置90は、定着部材の一例としての定着ベルト261、定着ベルト261に交流磁界を発生させる電磁誘導加熱部材の一例としての磁場発生ユニット85、定着ベルト261に対向するように配置する加圧部材の一例としての加圧ロール262、定着ベルト261を介して加圧ロール262から押圧される圧力パッド264、圧力パッド264と定着ベルト261との間に配設された摺擦部材の一例としての摺動シート268を有する。
定着ベルト261は、円筒形状を有し、例えば、直径30mm程度のエンドレスベルトである。定着ベルト261の構成は後述する。定着ベルト261は、圧力パッド264とベルトガイド部材263、定着ベルト261の両端部に配置するエッジガイド部材(図示せず)によって回動自在に支持される。そして、ニップ部Nにおいて加圧ロール262に圧接され、加圧ロール262に従動して回動する。
図5は、本実施の形態に用いられる定着ベルトの構成を示す断面図である。図5に示すように、定着ベルト261は、耐熱性樹脂を含む基材261aと、基材261aの外周面上に積層する金属層261bと、表面を形成する離型層261eとを有する。さらに、本実施の形態では、金属層261bの外側に形成する保護層261cと、保護層261cと離型層261eとの間に設ける弾性層261dとを有する。
ベルトガイド部材263は、定着ベルト261の内部に配置するホルダ265に取り付ける。また、定着ベルト261の回動方向に向けた複数のリブ(図示せず)で形成し、定着ベルト261内周面との接触面積を小さくする。ベルトガイド部材263は、摩擦係数が低く、かつ熱伝導率が低いPFAやPPS等の耐熱性樹脂で形成し、定着ベルト261内周面との摺動抵抗を低減し、熱の発散が低くなるように構成する。
圧力パッド264は、定着ベルト261を介して加圧ロール262から押圧されてニップ部Nを形成する。圧力パッド264は、バネや弾性体によって加圧ロール262を、例えば、35kgfの荷重で押圧するようにホルダ265により支持する。圧力パッド264は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体からなり、加圧ロール262側を平面状に形成し、ニップ部Nにおいて、ほぼ均一なニップ圧を形成する。本実施の形態では、圧力パッド64として、ゴム硬度が20°(JIS A)のシリコーンゴムを用い、幅8.5mm、ゴム厚5mmに設定する。定着ベルト261は、圧力パッド64の加圧ロール262側の面から離れる際に急激な曲率の変化を生じるため、定着後の用紙Pは定着ベルト261から剥離する。
ニップ部Nの下流側近傍に配設する剥離補助部材270は、剥離バッフル271を定着ベルト261の回転方向と対向する方向(カウンタ方向)に向け、バッフルホルダ272により保持する。また、圧力パッド264と定着ベルト261との間に摺動シート268を配設し、定着ベルト261内周面と圧力パッド264との摺動抵抗を低減する。本実施の形態では、低摩擦シートからなる摺動シート268は圧力パッド264と別体に構成し、両端をホルダ265に固定する。
ホルダ265に、定着装置90の長手方向に亘って潤滑剤塗布部材267を配設する。潤滑剤塗布部材267は、定着ベルト261内周面に接触し、定着ベルト261と摺動シート268との摺動部に潤滑剤を供給する。
加圧ロール262は、例えば、図示しないが、直径16mmの中実の鉄製コア(円柱状芯金)と、コアの外周面を被覆する、例えば、厚さ12mmのシリコーンスポンジ等の耐熱性弾性体層と、例えば、厚さ30μmのPFA等の耐熱性樹脂被覆又は耐熱性ゴム被覆による離型層とを有するように構成する。
加圧ロール262は、定着ベルト261に対向するように配置し、矢印D方向に、例えば、194mm/sのプロセススピードで回転し、定着ベルト261を従動させる。また、加圧ロール262と圧力パッド264とにより定着ベルト261を挟持した状態で保持してニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させ、熱及び圧力を加えて未定着トナー像を用紙Pに定着する。
電磁誘導加熱部材の一例である磁場発生ユニット85は、断面が定着ベルト261の形状に沿った形状を有し、定着ベルト261の外周表面と0.5mm〜2mm程度の間隙で設置する。磁場発生ユニット85は、磁界を発生させる励磁コイル851と、励磁コイル851を保持するコイル支持部材852と、励磁コイル851に電流を供給する励磁回路853とを有する。
励磁コイル851は、例えば、相互に絶縁された直径φ0.5mmの銅線材を16本〜20本程度束ねたリッツ線を、長円形状や楕円形状、長方形状等の閉ループ状に巻いて形成したものを用いる。励磁コイル851に励磁回路853によって所定の周波数の交流電流を印加することにより、励磁コイル851の周囲に交流磁界Hが発生する。交流磁界Hが、後述する定着ベルト261の金属層261b(図5参照)を横切る際に、電磁誘導作用によってその交流磁界Hの変化を妨げる磁界を発生するように渦電流Iが生じる。励磁コイル851に印加する交流電流の周波数は、例えば、10kHz〜50kHzに設定する。渦電流Iが定着ベルト261の金属層を流れることによって、金属層261bの抵抗値Rに比例した電力W(W=I2R)によるジュール熱が発生し、定着ベルト261を加熱する。
コイル支持部材852は、耐熱性を有する非磁性材料で構成する。このような非磁性材料としては、例えば、耐熱ガラス、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱性樹脂、又はこれらにガラス繊維を混合した耐熱性樹脂を挙げることができる。
以下、実施例に基づき、本実施の形態をさらに具体的に説明する。なお、本実施の形態は、実施例から何等の制限を受けるものではない。
1.画質評価
第1の実施の形態において説明した定着装置60と同様な構成の定着装置を備えた画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)を用いて、フルカラーのベタ画像をC2紙に出力し、以下の基準に従い画質を評価した。
(画質評価基準)
○:画質欠陥が発生しない。
△:画質欠陥は軽微に存在するが、実用上問題ない。
×:実用上問題のある画質欠陥が発生する。
2.駆動トルク
ダイレクトトルクメーター(富士ゼロックス株式会社の社内作製機器)の測定ギヤを定着ロールのギヤ部に嵌め合わせて、定着ロールの初期駆動及び経時駆動に要するトルクを測定した(単位:Nm)。駆動トルクが1.0Nmを超えると、駆動源である定着ロールの駆動ギヤに負担がかかり、実用上問題がある。特に不具合を示す現象としては、画像を得る用紙に紙しわが発生したり、ギヤに異音が発生する。
なお、評価に用いた定着装置の各構成部品の仕様は以下の通りである。
定着ロール61は、外径26mm、肉厚1.8mm、長さ360mmである円筒状鉄製のコアの外周面に、厚さ600μmのシリコーンHTVゴム(ゴム硬度33度:JIS A)の弾性層が設けられ、この弾性層の表面に、厚さ25μmのテトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のチューブが離型層として被覆され、鏡面状態に近い表面に仕上げられている。定着ロールのコアの内部には、加熱源としてハロゲンランプ(600w)が配設されている。定着ロールの表面温度は、加熱された定着ロールの表面に当接した状態で配置された感温素子である温度センサー及び温度コントローラーとにより175℃に制御した。
エンドレスベルト62は、周長94mm、厚さ80μm、幅344mmの熱硬化性ポリイミド樹脂を基材とし、この基材の外周面に、テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を厚さ30μmにコーティングして離型層が形成されている。
エンドレスベルト62を押圧する圧力パッド64は、幅10mm、厚さ5mm、長さ340mmのシリコーンゴムからなる支持体上に摺動シート68が設けられ、摺動シート68の表面には、潤滑剤としてパーフルオロポリエーテルオイル(ダイキン工業株式会社製:S100)が供給されている。また、支持体の上に配置されたベルト走行ガイドの表面には、ベルト回転方向のリブが設けられており、エンドレスベルトの内周面との接触面積を少なくしている。圧力パッド64は、エンドレスベルト62を介して圧縮コイルスプリングにより定着ロール61を40kgの荷重で押圧している。
定着ロール61へのエンドレスベルト62の巻き付け角度は約40°であり、ニップ部Nの幅は、約10mmであった。モーターから定着ロール61に伝達された駆動力により、定着ロール61及びエンドレスベルト62は、速度194mm/secで回転した。
(実施例1)
[ベルト部材の製造方法]
実施例1においては、ベルト部材の最内層を、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂から構成したが、このベルト部材を構成する主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂の製造は、支持体の表面へ前駆体(ワニス)を塗布することによって行った。
具体的には、支持体の表面への前駆体(ワニス)の塗布は、フローコート装置を用いて以下のように実施した。前駆体液(ワニス)として、溶媒としてのN−メチルピロリドンに、上述の化学式(2)で表される酸無水物(10FEDA:1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン二無水物)及び上述の化学式(15)で表される芳香族ジアミン(6FBAPP:2,2−ビス(p−(p−アミノフェノキシ)フェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン)から合成してなる部分フッ素化ポリアミック酸を溶解した部分フッ素化ポリアミック酸の溶液を用意した。また、支持体としては、外径30mm、長さ500mmのアルミ製円筒を用い、この表面を、周方向に切削加工することにより、支持体の表面の表面粗さRaが、軸方向で、2.0μm、周方向で、0.3μmとしたものを用意した。さらに支持体の表面にはシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学社製)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理した。次いで、支持体の表面に、フローコート装置を用いて、前述の前駆体としての分散液(ワニス)を塗布した。次に、窒素置換した加熱炉(イナートオーブン)を使って加熱成膜を行った。加熱は、120℃で30分加熱した後、200℃で30分、250℃で30分、最後に380℃で30分加熱するという方法で、支持体の表面にフッ素化ポリイミド皮膜を形成した。このフッ素化ポリイミド皮膜を、図1に示すベルト部材(エンドレスベルト)の最内層とした。
また、潤滑剤として、グリース(基油として、パーフロロポリエーテル、増ちょう剤としてPTFEを用い、増ちょう剤の内添量を30質量%としたもの)を用いた。
次に、このようにして作製したベルト及び潤滑剤を用いた図1に示す定着装置をカラー複合機(商品名:DocuCentre C7600:富士ゼロックス社製)に組み込み、40万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(40万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図6に示す。
(実施例2)
実施例1と同様にして得られたフッ素化ポリイミド皮膜の上層に、厚さ10μmの金属発熱層を形成し、さらにその上層に厚さ10μmの金属保護層を形成した。このようにして得られた定着ベルトを有し、潤滑剤として実施例1において用いたのと同様のグリースを用いた図4に示す定着装置を、カラー複合機(商品名:DocuCentre C7600:富士ゼロックス社製)を改造した画像形成装置に組み込み、30万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(40万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図6に示す。
(比較例1)
ベルト部材の最内層をポリイミド皮膜としたこと以外は、実施例1と同様とした図1に示す定着装置を、カラー複合機(商品名:DocuCentre C7600:富士ゼロックス社製)に組み込み、30万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(40万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。結果を表1及び図6に示す。その結果、経時で画像ズレが生じ、紙しわも発生した。また、駆動トルクは、初期には低いが、経時で徐々に上昇した。
(比較例2)
潤滑剤をシリコーンオイルとしたこと以外は、実施例1と同様とした図1に示す定着装置を、カラー複合機(商品名:DocuCentre C7600:富士ゼロックス社製)に組み込み、40万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(40万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。結果を表1及び図6に示す。その結果、経時で画像ズレが生じ、紙しわが発生した。また、駆動トルクは、初期には低いが、経時で徐々に上昇した。
10 一次転写部
11 感光体ドラム
12 帯電器
13 レーザ露光器
14 現像器
15 中間転写ベルト
16 一次転写ロール
17 ドラムクリーナ
20 二次転写部
22 二次転写ロール
25 バックアップロール
26 給電ロール
31 駆動ロール
32 支持ロール
33 テンションロール
34 クリーニングバックアップロール
35 中間転写ベルトクリーナ
40 制御部
42 基準センサ(ホームポジションセンサ)
43 画像濃度センサ
50 用紙トレイ
51 ピックアップロール
52 搬送ロール
53 搬送シュート
55 搬送ベルト
56 定着入口ガイド
60 定着装置
61 定着ロール
62 エンドレスベルト
63 ベルトガイド部材
64 圧力パッド
64a プレニップ部材
64b 剥離ニップ部材
65 ホルダ
66 ハロゲンヒータ
67 潤滑剤塗布部材
68 摺動シート
69 温度センサ
70 剥離補助部材
71 剥離バッフル
72 バッフルホルダ
80 エッジガイド部材
85 磁場発生ユニット
90 定着装置
256 定着入口ガイド
261 定着ベルト
261a 基材
261b 金属層
261c 保護層
261d 弾性層
261e 離型層
262 加圧ロール
263 ベルトガイド部材
264 圧力パッド
265 ホルダ
267 潤滑剤塗布部材
268 摺動シート
270 剥離補助部材
271 剥離バッフル
272 バッフルホルダ
611 金属製のコア(円筒状芯金)
612 耐熱性弾性体層
613 離型層
621 芯金
622 弾性体層
623 離型層
801 ベルト走行ガイド部
802 フランジ部803
851 励磁コイル
852 コイル支持部材
853 励磁回路

Claims (3)

  1. 外周面が回動する回動部材と、
    最外層が前記外周面に接触し、回転可能に配置され、少なくとも最内層がフッ素化ポリイミド樹脂を有する帯状部材と、
    前記帯状部材の前記最内層に接触し、前記帯状部材の前記最内層との接触面に、フッ素系グリースから構成された潤滑剤を保持し、前記帯状部材と摺動する摺動部材と、
    前記摺動部材を介して、前記帯状部材を前記回動部材に圧接させて、前記回動部材と前記ベルト部材との間に、ニップ部を形成するように圧力を付与する圧力付与部材と、を備えた定着装置。
  2. 前記帯状部材の最内層を構成するフッ素化ポリイミド樹脂は、主鎖にエーテル基を持つフッ素化ポリイミド樹脂である請求項1に記載の定着装置。
  3. 請求項1又は2に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014034177A (ja) * 2012-08-10 2014-02-24 Inoac Corp インク保持体
JP2018141946A (ja) * 2017-02-27 2018-09-13 コニカミノルタ株式会社 定着装置用摺動部材、定着装置用摺動部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置

Cited By (2)

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JP2014034177A (ja) * 2012-08-10 2014-02-24 Inoac Corp インク保持体
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