JP5239404B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
従来から、電子写真方式の画像形成装置には、記録媒体上に転写されたトナーを記録媒体に定着させるための定着装置が設けられている。
このような定着装置として、加熱源を有する定着ロールと、この定着ロールに圧接して設けられ定着ロールと共に回転移動する無端ベルトと、を含んで構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような定着装置においては、無端ベルトの内周側に圧力部材等の圧力部材を設けて、この圧力部材により無端ベルトを定着ロールに向かって押圧することで、無端ベルトと定着ロールとを圧力部材により圧接させる。この無端ベルトと定着ロールとの加圧された加圧領域に記録媒体を通過させることで、記録媒体上の未定着トナーを該記録媒体に定着させている。このような構成の定着装置は、2ロール方式と呼ばれて一般に広く利用されている。
ところで、このような構成の定着装置において定着高率を維持したまま高速化を図ろうとすると、トナーの定着に必要な充分な熱量が定着領域に供給されるよう、定着ロールと無端ベルトとの加圧領域(所謂、ニップ領域)を定着速度に比例して広くする必要が生じる。この加圧領域を広げる方法としては、定着ロールと無端ベルトとの間に加わる圧力を大きくする方法や、無端ベルトの厚みを厚くする方法、さらには定着ロールの径を大きくする方法等が挙げられる。しかし、定着ロールと無端ベルトとの間に加わる圧力を大きくする方法や、無端ベルトの厚みを厚くする方法では、無端ベルトの撓み等により加圧領域の形状が不均一となり、記録媒体へのトナーの定着ムラや記録媒体のシワ等が発生する場合があった。また、定着ロールの径を大きくする方法では、定着装置の大型化を招くと共に、加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間(所謂、ウォームアップ時間)が長くなる場合があった。
この定着装置の大型化や及びウォームアップ時間の増大を抑制しつつ高速化を実現する定着装置としては、いくつかの提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の技術によれば、定着フィルムを加圧領域に通過させて記録媒体の画像保持面を、定着フィルムを介して加熱体で加熱することで画像の加熱定着を行っている(所謂、サーフ方式)。また、別の方式として、特許文献2には、定着ロールとして発熱層の内蔵された回転ロールを用いる技術が示され、特許文献3には、正温度特性を有する発熱層を備えた定着ベルト部材を用いる技術が示されている。
しかしながら、特許文献1で用いられているサーフ方式では、カラー定着装置への適用をする場合に、カラー画像の発色性をよくするため耐熱性の定着フィルムに弾性層をもたせる必要があるが、この弾性層によって、発熱体からニップ領域への熱供給が阻害されることになり、高速化に限界があった。
また、特許文献2〜3の技術によれば、ウォームアップ時間の短縮は図れるものの、発熱シートに設けられた抵抗発熱体に、外部の電極から電力を供給された固定ブラシを介して電力を供給することで抵抗発熱体を発熱させており、固定ブラシと回転ロールの回転に伴って回転する抵抗発熱体との摺擦による電気的ノイズ等により、周りの機械に誤動作などの影響を与えたり、信頼性に劣る場合があり、画質劣化を引き起こす場合があった。
これらの問題を解消して、画像形成装置の高速化及び高画質化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能な無端ベルトと、この無端ベルトの内側に非回転状態で配置された圧力部材とを具備し、圧力部材によって、定着ロールとの接触面が形成されるように無端ベルトを定着ロールに圧接させ、無端ベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側ニップ部を局部的に弾性変形させるように構成したフリーベルトニップ方式の定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献4、5参照)。
特許文献4及び特許文献5の技術によれば、従来のロールニップ方式の定着装置における加圧ロールに代え、シート入り口側ニップ部の弾性材部と出口側の極圧部の複数の圧力部を設けた圧力部材を用いて無端ベルトを定着ロールに圧接させている。このような構成を採用することにより、定着ロールと無端ベルトとによって形成されるベルトニップの幅が従来の定着ロールと加圧ロールとのロールニップの幅よりも大きくなり、ニップ部において均一で高いニップ圧を付与することができるので、カラー化、高速化への対応が可能となり、しかも装置の小型化を図ることも容易である。
さらには、定着ロールに圧接させる無端ベルトの熱容量は小さく、加えて圧力部材が非回転状態で配置されていることから、定着ロールから伝わる熱が外部に発散され難い構成が実現されている。そのため、2ロール方式に比べ定着ロールの回転が開始されても、定着ロールから無端ベルト側に奪われる熱量は少なく、トナーの溶融に際しての熱効率を高めることができるとともに、ベルトニップでの温度低下量も小さいことから、トナーの定着性の向上を図ることができるという利点も有している。
特開平02−157878号公報 特開平08−194401号公報 特開2006−350241号公報 特開平11−133776号公報等 特開2001−356625号公報
しかしながら、このフリーベルトニップ方式を用いた場合であっても、加圧領域(ニップ領域)で奪われる熱量が無視できない程度にあり、ウォームアップ時間として実際には30秒程度が必要であり、さらなる短縮化が期待されていた。ウォームアップ時間の短縮化する方法としては、定着装置における加圧領域に相当する部分の構成を簡略化することで低熱容量化を図る技術もあるが、簡略化による強度や精度の低下が懸念される場合があり、画質劣化も懸念されていた。
本発明は、簡易な構成で、加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の短縮を図ると共に、画質劣化を抑制し且つ信頼性の高い定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、
<1>本発明の定着装置は、回転可能に配設された回転部材と、前記回転部材との間で記録媒体を挟持搬送する無端ベルトと、前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトまたは前記無端ベルト及び前記記録媒体を介して前記回転部材に圧力を加えることにより、前記回転部材との間に圧力の加えられた加圧領域を形成する圧力部材と、少なくとも一部の領域が前記圧力部材と前記無端ベルトとの間に介在され、前記無端ベルトに接する低摩擦層と、該低摩擦層に積層された発熱層と、を少なくとも有するシート状部材と、を備え、前記シート状部材における前記加圧領域に対応する領域の、少なくとも前記記録媒体の搬送方向下流側には前記発熱層が設けられていない。
<2>前記シート状部材は、前記発熱層より前記圧力部材側に積層された絶縁層を更に有することを特徴とする上記<1>に記載の定着装置である。
<3>前記回転部材は、内部に発熱部材が設けられていることを特徴とする<1>または<2>に記載の定着装置である。
<4>前記圧力部材は、前記回転部材と前記無端ベルトとの間の前記加圧領域における、前記記録媒体の搬送方向上流側に比べて該搬送方向下流側の圧力が高くなるように、前記無担ベルト及び前記記録媒体を介して前記回転部材に圧力を加えることを特徴とする<1>〜<3>の何れか1つに記載の定着装置である。
<5>前記絶縁層の熱抵抗値は、前記低摩擦層の熱抵抗値より大きいことを特徴とする<2>〜<>の何れか1つに記載の定着装置である。
>前記発熱層の発熱を制御する制御手段を備えたことを特徴とする<1>〜<>の何れか1つに記載の定着装置である。
>前記発熱層は、前記シート状部材を複数領域に分割した各分割領域毎に設けられ、前記制御手段は、前記各分割領域に設けられた発熱層の内の少なくとも1つを選択的に発熱させることを特徴とする<>に記載の定着装置である。
>前記発熱層に電流を印加する電圧印加手段を備え、前記発熱層は、前記電圧印加手段に接続された被加熱体に該電圧印加手段から印加された電圧により電流が流れることによる抵抗加熱により発熱することを特徴とする<>または<>の何れか1つに記載の定着装置である
>像保持体と、前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーにより現像して前記像保持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体へ定着する定着手段と、を備え、前記定着手段が、回転可能に配設された回転部材と、前記回転部材との間で記録媒体を挟持搬送する無端ベルトと、前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトまたは前記無端ベルト及び前記記録媒体を介して前記回転部材に圧力を加えることにより、前記回転部材との間に圧力の加えられた加圧領域を形成する圧力部材と、少なくとも一部の領域が前記圧力部材と前記無端ベルトとの間に介在され、前記無端ベルトに接する低摩擦層と、該低摩擦層に積層された発熱層と、を少なくとも有するシート状部材と、を備え、前記シート状部材における前記加圧領域に対応する領域の、少なくとも前記記録媒体の搬送方向下流側には前記発熱層が設けられていないことを特徴とする画像形成装置である。
<10>前記発熱層の発熱を制御する制御手段を備えたことを特徴とする<9>に記載の画像形成装置である。
<11>前記発熱層に電圧を印加する電圧印加手段を備え、前記発熱層は、前記電圧印加手段に接続された被加熱体に該電圧印加手段から印加された電圧により電流が流れることによる抵抗加熱により発熱し、前記制御手段は、前記電圧印加手段から前記発熱層に電圧を印加し、前記発熱層を発熱させることを特徴とする<10>に記載の画像形成装置である。
12>前記記録媒体の厚みを示す厚み情報を取得する取得手段を備え、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記記録媒体の厚みを示す厚み情報に基づいて、該厚み情報の厚みが大きくなるほど前記発熱層の発熱量が増加するように、前記電圧印加手段を制御する<11>に記載の画像形成装置である。
13>前記取得手段は、前記定着装置の環境温度及び画像形成装置内の環境湿度の少なくとも一方を取得し、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記環境温度及び画像形成装置内の環境湿度の少なくとも一方に基づいて、前記環境温度が高くなるほど前記発熱層の発熱量が小さく、前記環境湿度が高くなるほど前記発熱層の発熱量が大きくなるように、前記電圧印加手段を制御する<11>または<12>に記載の画像形成装置である。
<15>前記発熱層は、前記シート状部材を複数領域に分割した各分割領域毎に設けられ、前記取得手段は、前記記録媒体の大きさを示す大きさ情報を取得し、前記制御手段は、前記取得手段によって取得された大きさ情報に基づいて、前記各分割領域に設けられた発熱層の内の、該大きさ情報の大きさの記録媒体に対応する領域に設けられた発熱層を選択的に発熱させるように、前記電圧印加手段を制御することを特徴とする<11>〜<13>の何れか1つに記載の画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、簡易な構成で、加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の短縮が図れると共に、画質劣化を抑制し且つ信頼性の高い定着装置が提供される、という効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、発熱層によって発生した熱量が高率良く加圧領域へと供給され、更なる加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の短縮が図れると共に、発熱層から圧力部材への電気漏洩を防止しやすい、という効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、更なる画質劣化の抑制と信頼性の向上が図れる、という効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、記録媒体の定着装置からの良好な剥離性能が得られる、と共に、安定した定着性能が得られる、という効果を奏する。
請求項に係る発明によれば、シート状部材の劣化が抑制される、という効果を奏する。
請求項に係る発明によれば、発熱層によって発生した熱量がより効率良く加圧領域へと供給され、更なる加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の一層の短縮が図れるという効果を奏する。
請求項に係る発明によれば、発熱層の発熱量が所望の発熱量となるように容易に調整される、という効果を奏する。
請求項に係る発明によれば、記録材の大きさや画像印字エリアに応じて必要最小限のエネルギー供給をすることができ、省エネルギー化が図れると共に、効率良くトナーの記録媒体への定着が図れる、という効果を奏する。
請求項に係る発明によれば、簡易な構成で加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の短縮が図れると共に、画質劣化を抑制し、且つ更に信頼性が向上される、という効果を奏する。
請求項に係る発明によれば、加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の短縮が図れると共に、画質劣化を抑制し且つ信頼性の高い画像形成装置が提供される、という効果を奏する。
請求項10に係る発明によれば、簡易な構成で発熱層の発熱量が所望の発熱量となるように容易に調整される、という効果を奏する。
請求項11に係る発明によれば、簡易な構成で加圧領域の温度をトナーの記録媒体への定着可能な温度にまで上昇させるために要する時間の短縮が図れると共に、画質劣化を抑制し、且つ更に信頼性が向上される、という効果を奏する。
請求項12に係る発明によれば、記録媒体の厚みに応じて発熱層の発熱量が調整され、更に高率の良い定着が図れると共に、省エネルギー化が図れる、という効果を奏する。
請求項13に係る発明によれば、環境温度及び環境湿度に応じて発熱層の発熱量が調整されるので、シート状部材の劣化が抑制されると共に、省エネルギー化が図れるという効果を奏する。
請求項14に係る発明によれば、記録媒体の大きさに応じた領域が選択的に発熱され、省エネルギー化が図れるという効果を奏する。
以下、本実施形態に係る定着装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例としての画像形成装置10が示されている。
画像形成装置10において、画像形成装置10の本体を構成する筐体12内に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及び ブラック(K)の各トナーに対応した光ビームを出射する光走査装置14Y、14M、14C、14Kが固定されている。また、光走査装置14Kに隣接する位置に、画像形成装置10の各部の動作を制御する主制御部35が設けられている。
光走査装置14Y、14M、14C、14Kは、光源から出射された光ビームを図示しない回転多面鏡(ポリゴンミラー)で走査するとともに、反射ミラー等の複数の光学部品で反射して、各トナーに対応した光ビーム16Y、16M、16C、16Kを出射するようになっている。
光ビーム16Y、16M、16C、16Kは、それぞれ対応する各感光体18Y、18M、18C、18Kに導かれる。各感光体18Y、18M、18C、18Kは、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段によって、矢印A方向に回転するようになっている。
感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向上流側には、感光体18Y、18M、18C、18Kの表面を帯電する帯電器20Y、20M、20C、20Kが設けられている。
また、感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向下流側には、Y、M、C、Kの各トナーをそれぞれ感光体18Y、18M、18C、18K上に現像する現像器22Y、22M、22C、22Kが設けられている。
感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向で、現像器22Y、22M、22C、22Kの下流側には、現像されたトナー像が一次転写される中間転写ベルト28が配置されている。
中間転写ベルト28は、例えば、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10 〜10 14 Ωcmとなるように形成されており、その厚みは例えば0.1mm程度に構成されている。
感光体18Y、18M、18C、18Kと中間転写ベルト28が対向する位置で中間転写ベルト28の内側には、感光体18Y、18M、18C、18K上に形成された各色トナー像を中間転写ベルト28に転写する一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kが配置されている。この一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kによって、感光体18Y、18M、18C、18Kから中間転写ベルト28に一次転写を行う一次転写部25が構成されている。
一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kは、図示しないシャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とを有している。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5〜108.5Ωcmのスポンジ状の円筒ロールである。
一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kは、中間転写ベルト28を挟んで各感光体18Y、18M、18C、18Kに圧接されている。一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kには、図示しない電圧印加手段によって各トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体18Y、18M、18C、18K上のトナー像が中間転写ベルト28に順次、静電吸引され、中間転写ベルト28上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
さらに、感光体18Y、18M、18C、18Kの回転方向下流側には、感光体18Y、18M、18C、18K上の残留トナーが除去されるクリーナ26Y、26M、26C、26Kが設けられている。
中間転写ベルト28の内側には、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト28を移動させる駆動ロール30と、各感光体18Y、18M、18C、18Kの配列方向に沿って略直線状に延び、中間転写ベルト28を支持する支持ロール32が設けられている。これにより、中間転写ベルト28は、矢印B方向に所定の速度で循環駆動されるようになっている。
また、中間転写ベルト28の内側には、中間転写ベルト28に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト28の蛇行を防止するテンションロール34が設けられている。
中間転写ベルト28の移動方向下流側には、中間転写ベルト28上のトナー像を記録媒体P上に転写する二次転写部42が設けられている。
二次転写部42は、中間転写ベルト28のトナー像担持面側に配置される二次転写ロール38と、バックアップロール36とによって構成されている。
二次転写ロール38は、図示しないシャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が1×107.5Ωcm以上1×108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
また、二次転写ロール38は、中間転写ベルト28を挟んでバックアップロール36に圧接配置されている。ここで、二次転写ロール38は、接地されるとともにバックアップロール36との間に二次転写バイアスが印加され、2次転写部42に搬送される記録媒体P上にトナー像を二次転写するようになっている。
バックアップロール36は、例えば、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRとのブレンドゴムのチューブ、内部がEPDMゴムで構成されている。そして、表面抵抗率が1×10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカーC)に設定される。
また、バックアップロール36は、中間転写ベルト28の裏面側に配置されて二次転写ロール38の対向電極を形成しており、バックアップロール36と接触配置された金属製の給電ロール40を介して二次転写バイアスが安定的に印加されるようになっている。
中間転写ベルト28の移動方向における二次転写部42の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト28上の残留トナーや紙粉を除去する中間転写ベルトクリーナ46が、中間転写ベルト28に対して接離自在に設けられている。中間転写ベルトクリーナ46における中間転写ベルト28の内側には、クリーニングバックアップロール44が設けられている。
一方、イエロートナーに対応する一次転写ロール24Yの上流側には、各トナーに対応した画像形成のタイミングを合わせるための基準となる信号を発生するホームポジションセンサ48が設けられている。
ホームポジションセンサ48は、中間転写ベルト28の裏側に設けられた所定のマークを検知して基準信号を発生するようになっている。この基準信号に基づいて、前述の主制御部35が画像形成装置10の各部を動作させ、画像形成を開始するようになっている。
また、ブラックトナーに対応する一次転写ロール24Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が設けられている。
一方、画像形成装置10の下方側には、記録媒体Pを収納する用紙トレイ50が設けられている。用紙トレイ50の一方端には、記録媒体Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール52が設けられている。
ピックアップロール52の上方には、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段で回転駆動され、ピックアップロール52によって送出された記録媒体Pを、前述の二次転写部42に搬送する複数の搬送ロール54、56が設けられている。
記録媒体Pの搬送方向における搬送ロール56の下流側には、記録媒体Pを二次転写部42へ送り込む搬送シュート58が設けられている。
二次転写部42における記録媒体Pの送出方向には、トナー像の二次転写が終了した記録媒体Pを定着装置70へ搬送する搬送ベルト60が設けられている。搬送ベルト60は、張架ロール57、59によって張架され、図示しないモータ及びギアからなる駆動手段で移動可能に設けられている。
定着装置70の入口側には、記録媒体Pを定着装置70に案内するガイド37が設けられている。また、定着装置70の出口側には、画像形成装置10の筐体12に固定された用紙集積トレイ39が設けられている。
ここで、画像形成装置10の画像形成の動作の一例について説明する。
まず、図示しない画像読取装置やパーソナルコンピュータ等から出力される画像データが、図示しない画像処理装置によって所定の画像処理を施される。画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、光走査装置14Y、14M、14C、14Kに出力される。
光走査装置14Y、14M、14C、14Kは、入力された色材階調データに応じて、光ビーム16Y、16M、16C、16Kを各々の感光体18Y、18M、18C、18Kに照射する。
感光体18Y、18M、18C、18Kは、予め帯電器20Y、20M、20C、20Kによって表面が帯電されており、光ビーム16Y、16M、16C、16Kによって表面が露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、現像器22Y、22M、22C、22Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
続いて、感光体18Y、18M、18C、18K上に形成されたトナー像は、一次転写部25において中間転写ベルト28上に転写される。この転写は、一次転写ロール24Y、24M、24C、24Kにより中間転写ベルト28に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト28の表面に順次重ね合わせることで行われる。
続いて、トナー像が転写された中間転写ベルト28は、二次転写部42に搬送される。
一方、トナー像が二次転写部42に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール52が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの記録媒体Pが送出される。
ピックアップロール52により送出された記録媒体Pは、搬送ロール54、56により搬送され、搬送シュート58を経て二次転写部42に到達する。この二次転写部42に到達する前に記録媒体Pは一旦停止され、トナー像が担持された中間転写ベルト28の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、記録媒体Pの位置とトナー像の位置との位置合わせが行われる。
二次転写部42では、中間転写ベルト28を介して、二次転写ロール38がバックアップロール36に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された記録媒体Pは、中間転写ベルト28と二次転写ロール38との間に挟み込まれる。
また、このとき、給電ロール40からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加され、二次転写ロール38とバックアップロール36との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト28上に担持された未定着トナー像は、二次転写ロール38とバックアップロール36とによって押圧され、記録媒体P上に一括して静電転写される。
続いて、トナー像が静電転写された記録媒体Pは、二次転写ロール38によって中間転写ベルト28から剥離された状態でそのまま搬送され、搬送ベルト60へと搬送される。
搬送ベルト60では、定着装置70における最適な搬送速度に合わせて、記録媒体Pを定着装置70まで搬送する。定着装置70に搬送された記録媒体P上の未定着トナー像は、定着装置70によって記録媒体P上に定着される。
定着画像が形成された記録媒体Pは、用紙集積トレイ39に排出され集積される。
一方、記録媒体Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト28上に残った残留トナーは、中間転写ベルト28の回転移動にともなって中間転写ベルトクリーナ46まで搬送され、中間転写ベルト28上から除去される。
このようにして、画像形成装置10の画像形成が行われる。
次に、定着装置70の一例について説明する。なお、定着装置70としては、シート状部材68における加圧領域Nに対応する領域の、少なくとも記録媒体Pの搬送方向下流側には前記発熱層68Bが設けられていないことを特徴とする定着装置が適用される。
図2に示す定着装置70は、回転部材としての回転ロール61と、無端ベルト62と、圧力部材としての圧力部材64と、無端ベルト62と圧力部材64との間に少なくとも一部の領域が介在されるように設けられたシート状部材68と、を含んで構成されている。また、定着装置70は、定着装置70の環境温度を測定するための温度センサ76と、定着装置70の環境湿度を測定するための湿度センサ78と、定着装置70における後述するシート状部材68の発熱量を制御する制御部72と、を含んで構成されている。
無端ベルト62の外周面は、回転ロール61の外周面に対して回転ロール61の軸方向に接触して配置されている。なお、無端ベルト62と回転ロール61の軸方向は互いに同じ方向となるように設けられている。圧力部材64は、無端ベルト62の軸方向に長い長尺状であって、無端ベルト62の内周面側に配置されている。圧力部材64は、無端ベルト62の内周面側から無端ベルト62を介して回転ロール61へ圧力を加えるように配置されており、圧力部材64と無端ベルト62との間に圧力の加えられた加圧領域Nを形成する。
回転ロール61と無端ベルト62とは、回転方向が逆方向となるように回転駆動される。このため、互いに対向する領域においては、同方向に移動された状態となる。例えば、回転ロール61は、図2中矢印C方向に回転され、無端ベルト62は、図2中、矢印A方向に回転される。無端ベルト62と回転ロール61との間の加圧領域Nに、図示を省略する搬送機構によって未定着のトナーTを担持した記録媒体Pが搬送されて来ると、この加圧領域Nに搬送された記録媒体Pは、回転ロール61と無端ベルト62とによって挟持されると共に、これらの回転ロール61と無端ベルト62との回転によって、図2中矢印X方向(以下、記録媒体Pの「搬送方向」と称する場合がある)へと搬送される。これにより、記録媒体P上にトナーTが定着される。
回転ロール61は、例えば、円筒状のコア61Aと、このコア61Aの表面に被覆された弾性体層61Bと、この弾性体層61Bの表面に被覆された離型層61Cとを有しており、コア61Aの内部には、加熱源66が設けられている。
コア61Aの材質としては、機械的強度に優れ、熱伝導性の良好な材質のものであれば、特に制限はないが、例えば、アルミニウム、SUS、鉄、銅、真鍮等の金属や合金等が挙げられる。コア61Aの外径および肉厚は、本実施の形態の定着装置70では、後述するシート状部材68を設けたことにより加圧領域Nへ高率良く熱が加えられることから、圧力部材64の押圧力を従来構成より小さくできるため、小径化、薄肉化が図れる。
このコア61Aの径は、具体的には、例えば、外径20mm〜40mmであり、コア61Aの厚みは構成材料によって異なるが、アルミを用いた場合には1mm〜3mm、SUSや鉄を用いた場合には0.4mm〜1.5mm程度である。
弾性体層61Bの材質としては、弾性体層61Bとして耐熱性の高い公知の材料の中から適宜選択され、特に、硬度が15〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体が好ましく用いられる。弾性体層61Bとしては、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が用いられる。この弾性体層61Bは、公知の手法によってコア61Aの表面に形成され、その手法については、特に制限がなく、例えば、それ自体公知の注入成型法またはコーティング法等が採用される。
離型層61Cは、記録媒体P上の未定着のトナーが回転ロール61側に付着することを好適に防止するために設けられるものであって、その材質としては、耐熱性がありトナーに対し適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が用いられる。これらの中でもトナーに対する離型性や耐摩耗性の観点から、フッ素樹脂が適している。フッ素樹脂としては、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)や、それらの複合材料、また、それらの樹脂にカーボンやアルミナ、硫酸バリウムのようなフィラーを配合したものが使用される。離型層61Cの厚みとしては、好ましくは5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜40μmである。
加熱源66としては、図1に示すようにコア61Aの内部に収容される形状及び構造のものや、コア61Aの外部に設けられる形状及び構造のものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、ハロゲンランプ等が用いられる。この加熱源66により加熱された回転ロール61の表面温度は、例えば、回転ロール61の表面に接触するように温度を検出するための温度センサ90を設けて、この温度センサによる温度検知結果に基づいて、回転ロール61の表面温度が所定の温度となるように、加熱源66による回転ロール61の加熱温度を調整するようにすればよい。この加熱温度の調整は、画像形成装置10の主制御部35や後述する制御部72によって行えばよい。このような温度センサとしては、特に制限はなく、例えば、サーミスタ、熱電対等が用いられる。
例えば、画像形成装置10の主制御部35は、この温度センサ90による温度計測値に基づいて加熱源66の点灯を制御し、回転ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、160℃)を維持するように調整する。
回転ロール61に接触して、回転ロール61との間で記録媒体Pを挟持搬送する上記無端ベルト62としては、無端状で且つシート状であればよく、形状、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択して使用される。無端ベルト62としては、例えば、直径30mmの円筒状のもの等が用いられるがこのような形態に限られない。
無端ベルト62の構造としては、単層構造であっても良いが、本実施の形態においては、基材の表面に離型層を形成したものが好適に用いられる。
この基材の材質としては、例えば、熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性ポリマーや、ステンレス、ニッケル、銅等の金属が挙げられる。この基材の厚みは、30μm〜200μm、好ましくは40μm〜125μm、より好ましくは50μM〜100μm程度である。
離型層としては、トナーに対する剥離性に優れていることが好ましく、その材質としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂が挙げられる。この離型層の厚みは、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜40μm程度である。
無端ベルト62は、無端ベルトの内部に配置された、圧力部材64、ベルト走行ガイド63、さらには図示しない両端部に配置されたエッジガイドによって回転可能に支持されている。ベルト走行ガイド63は、無端ベルト62が走行により位置ずれを発生することを抑制するための規制部材である。このベルト走行ガイド63は、他の部材(例えば、無端ベルト62内周面)と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルト走行ガイド63は、無端ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されている。
なお、本実施の形態において、静摩擦係数とは、フリクションディスクをスチールプレートに押付け、0.7rpmで引きずり開始後のピークトルクTsから式(6)で算出される静摩擦係数値(μs)である。
μ :摩擦係数
T :摩擦トルク(Nm)
n :フリクションディスク枚数(=3)
re:平均摩擦有効半径(=58.6mm)
P :押し付け荷重(=0.817MPa)
A :摩擦面積(=6297mm
また、本実施の形態において「静止摩擦係数が小さい」とは、静止摩擦係数が0.4以下であることを示している。
また、本実施の形態において、「熱伝導率」は、熱拡散率αを、フラッシュ法によって測定し、比熱CpをDSCにより測定する。また、アルキメデス法によって密度ρを測定する。そして、測定した熱拡散率αと比熱Cpと密度ρを用いて、熱伝導率λ=α×Cp×ρの式から、熱伝導率を求めればよい。
なお、本実施の形態において「熱伝導率が低い」とは、熱伝導率が3W/m・K以下であることを示している。
圧力部材64は、弾性圧力部材64Aと、高剛性パット64Bから構成されており、ホルダ65によって無端ベルト62内部に支持されている。
圧力部材64は、無端ベルト62の内周側に配置され、この無端ベルト62を介して回転ロール61に押圧されるように配置されている。これにより、回転ロール61との間に加圧領域Nが形成される。弾性圧力部材64Aは、該加圧領域Nにおける記録媒体Pの搬送方向上流側(加圧領域Nの入り口側)に配設さられ、高剛性パット64Bは、該加圧領域Nにおける記録媒体Pの搬送方向下流側(加圧領域Nの出口側)に配設されている。
本実施の形態では、高剛性パット64Bは、回転ロール61の回転軸方向に長い凹部を有する凹形状とされており、該凹部の記録媒体Pの搬送方向(図2中、矢印X方向)上流側の凸部は、加圧領域Nより該搬送方向上流側に位置され、該搬送方向下流側の凸部は、加圧領域N内の該搬送方向下流側に位置されている。また、これらの搬送方向の上流側及び下流側の凸部の内の、該搬送方向下流側に位置された凸部は、回転ロール61の外周面形状に対して突出されている。なお、該搬送方向上流側に位置された凸部は、回転ロール61の外周面に対して突出されてはいない。そして、圧力部材64は、この凹部の設けられた高剛性パット64Bの凹部内に、弾性圧力部材64Aが充填されて構成されている。
このように、加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向(図2中、矢印X方向)上流側には、少なくとも弾性圧力部材64Aが位置されていることから、幅の広い加圧領域Nが確保される。そして、該加圧領域Nの、記録媒体Pの該搬送方向下流側には、高剛性パット64Bが位置されており、この高剛性パット64Bが該下流側において回転ロール61の外周面に対して突出されている。このため、加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向下流側においては、該高剛性パット64Bにより回転ロール61に歪みが与えられ、回転ロール61の歪みが局所的に大きくなる。このように、回転ロール61の歪みを局所的に大きくすると、ロール対による定着方式のようにニップ全域で歪みを生じさせる場合と比較して、小さい歪み量で記録媒体Pの高い離型性能が得られる。このため、記録媒体Pのシワの発生が防止され、画質劣化が抑制される。
圧力部材64は、上記ホルダ65によって回転ロール61の外周面に近づく方向へ、所定の圧力(例えば、1〜2kg/cm)で付勢されている。ここで、上述のように、本実施の形態では圧力部材64は、上記構成の弾性圧力部材64Aと、高剛性パット64Bから構成されている。このため、圧力部材64によって、加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向中央部及び上流部は、下流部に比べて低い圧力で回転ロール61側へ付勢されることとなる。
高剛性パット64Bは、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂や、それらの樹脂にガラスファイバー等を添加し強化した材料、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。
弾性圧力部材64Aの材質としては、耐熱性の高い弾性体であればどのような材料を使用することもできる。特に、ゴム硬度25〜40°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いることが好ましく、具体的にはシリコーンゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。耐熱性弾性体層10bの厚みとしては、用いる材料のゴム硬度にもよるが0.3〜1.0mm程度が好ましい。
なお、記録媒体Pの剥離の補助として、回転ロール61の加圧領域Nの、記録媒体Pの搬送方向下流側に、剥離部材71を配設してもよい。剥離部材71は、剥離バッフル71Aが回転ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に回転ロール61と近接する状態でホルダ71Bによって保持されている。この剥離部材71によって、記録媒体Pの剥離がさらに良好となる。
さらに、無端ベルト62の内周面側には、無端ベルト62の内周面に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給部材91が設けられている。
潤滑剤供給部材91は無端ベルト62の内周面に接触配置されている。この潤滑剤供給部材91には、予め潤滑剤が含浸されている。この潤滑剤供給部材91としては、耐熱温度が130℃以上、好ましくは、200℃以上の耐熱性を有する材料が用いられ、この潤滑剤供給部材91としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等からなる不織布を好適に用いることができる。この潤滑剤供給部材91を支持する支持部材としては、離型剤を透過、含浸しないもので、耐熱性が130℃以上であればよく、具体的には、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅等の金属や、ポリカーボネート、メラミン樹脂等の耐熱性樹脂が用いられる。
潤滑剤としては、常温(25℃)、湿度50%RHにおける粘度が50〜3000csであるシリコーンオイルが好適に用いられる。このようなシリコーンオイルとしては、例えば、アミノ変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル等が用いられる。
潤滑剤の含浸された潤滑剤供給部材91は、無端ベルト62の回転軸方向のほぼ全域に当接して設けられている。このため、無端ベルト62の回転に伴って、無端ベルト62の内周面全面に潤滑剤が供給される。
温度センサ76及び湿度センサ78は、搬送ベルト60の内部に設けられている。温度センサ76は、定着装置70の環境温度を測定し、湿度センサ78は、定着装置70の環境湿度を測定する。なお、これらの温度センサ76及び湿度センサ78は、定着装置70内に設けられていれば、無端ベルト62の外部に設けられた構成であってもよい。
シート状部材68は、無端ベルト62の内周面と圧力部材64との間の摩擦を低減するために設けられ、少なくとも一部の領域が無端ベルト62と圧力部材64との間に介在されるように、無端ベルト62の内周面に倣うように設けられている。
シート状部材68は、図3(A)に示すように、定着装置70に装着されたときに、無端ベルト62に接するように配置される摺動層68A上に、発熱層68B、及び絶縁層68Cを積層した構成とされている。なお、このシート状部材68は、図3(C)に示すように、少なくとも摺動層68A上に発熱層68Bが設けられた構成であればよく、図3(A)に示す構成に限られない。また、図3(B)に示すように、摺動層68A上に、発熱層68B、絶縁層68C、及び断熱層68Dを積層した構成であってもよい。
摺動層68Aは、摩擦係数が小さく、耐摩耗性・耐熱性に優れた材質が適している。具体的には、シンタード成型したPTFE樹脂シート、フッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シート、またガラス繊維にフッ素樹脂からなるフィルムシートを加熱融着しサンドイッチした積層シート等が用いられる。
摺動層68Aの厚みは、発熱層68Bを構成する材料に応じて適宜選択され、一概には規定されないが、通常は、1nm〜20μm程度であり、10nm〜5μmが好ましい。
発熱層68Bは、外部からエネルギーを加えられることで発熱する材料により構成されている。発熱層68Bとしては、例えば、外部配線と通じて電流による抵抗加熱により発熱する発熱層が用いられるが、その他、光等の電磁波を照射することにより発熱する発熱層などを用いても良い。
発熱層68Bとして、抵抗加熱により発熱する発熱層を用いる場合には、この発熱層としては、絶縁性(例えばポリイミド樹脂)の基材の上に、下記発熱材料をパターン形成することで得られる。そして、この発熱材料がパターン形成されることで構成された発熱領域に後述する制御部72から電圧が印加されることで、印加された電圧値に応じた発熱量で発熱層68Bが発熱する。
例えば、この発熱材料としては、例えば、Ni−Cr合金、Cu−Ni合金、Fe−Cr合金などの高抵抗材料が挙げられる。また、SUSや銅などを用いても良い。発熱層68Bは、これらの材料を用い、上記基材の上に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって所望のパターンにパターンニングすることで形成される。また、パターニング法としては、塗装や、スクリーン印刷、インクジェット印刷等を用いても良い。
また、発熱層68Bは、例えば、金属粉体やカーボンやグラファイト材料等からなる導電性ペーストを上記基材上に塗膜形成したり、所定の電気抵抗を有する抵抗性フィルムを張設したりすることによっても形成される。
また、発熱層68Bとして、抵抗加熱により発熱する発熱層を用いる場合において、上記発熱材料としては、上記導電剤だけではなく、導電剤にマトリックスを成す合成樹脂またはガラスを添加した混合物を用いてもよい。また、目的に応じてその他の公知の材料を添加した構成としてもよい。導電剤としては、例えば、Ag、Ni、Au、Pd、Mo、Mn、W等の金属材料、あるいはRe、Mn、LaMnO等の金属化合物が用いられる。またマトリックスを成すガラスを混合することにより、加熱サイクルによっても抵抗値の変化を少なくすることができる。
更に好ましくは、導電剤としてAg、Niを主剤とし、これにマトリックスとしてガラスを混合させ、流動性のある導電性ペーストにする。この導電性ペーストを上記基材上にスクリーン印刷法により所望パターンに塗膜形成することで、発熱層68Bを形成してもよい。
ガラス系材料をマトリックスとして用いた場合には、加熱冷却サイクルによっても抵抗値の変化を少なくすることができる。また、合成樹脂やガラスをマトリックスとして用いると成膜強度を向上することができる等、発熱層68Bの物性値の改善効果が得られる。なお、上記導電材料は、発熱層68Bの構成成分100質量%に対して、90質量%〜10質量%、マトリックスは10質量%〜90重量%の範囲で含有させることが好ましい。なお、配合量は、これらの数値に限定されるものではなく、昇温性能や高温保持特性、温度分布特性などの諸条件を満足させるように、より適切な数値を選択すればよい。
また、発熱層68Bとして、光等の電磁波を照射することにより発熱する材料を用いる場合には、具体的には、Cr等の金属蒸着膜、カーボンブラック、クロムブラック(クロム酸化物)、紫外線などを吸収して発熱する半導体を含有する層、赤外吸収色素等を光熱変換材料として含有する層、により発熱層を構成すればよい。このような発熱層を形成する方法としては、上記のような材料を用い、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式が挙げられる。
発熱層68Bの厚みは、発熱層68Bを構成する材料に応じて適宜選択され、一概には規定されないが、通常は、5μm〜100μm程度であり、20μm〜60μmが好ましい。しかし、厚みは、これらの数値に限定されるものではなく、昇温性能や高温保持特性、温度分布特性などの諸条件を満足させるように、より適切な数値を選択すればよい。
なお、この発熱層68Bの厚みを調整することで、抵抗値が調整され、結果的に最大発熱量が調整される。
断熱層68Dは、図3(B)に示すように、絶縁層68Cの加圧領域Nから離れる側の面に積層されている。このため、発熱層68Bから発生された熱が効果的に加圧領域Nへと供給される。
断熱層68Dは、断熱効果を有する材料で構成されればよく、例えば、シリコンゴムやフッ素ゴムや、多孔質のポリイミド樹脂やフッ素樹脂等により構成される。この断熱層68Dの厚みは、シート状部材68として構成されたときに無端ベルト64の内周面に倣う程度の弾性を有するために影響を与えない程度であることが好ましく、例えば、20μm〜200μmに調整される。
ここで、発熱層68Bにおける発熱材料によるパターニングについて説明する。
なお、説明を簡略化するために、発熱層68Bは、絶縁性の基材の上に、抵抗加熱により発熱する発熱材料によるパターンの形成された発熱領域に、後述する制御部72から電圧が印加されることで印加された電圧値に応じた発熱量で発熱層68Bが発熱するとして説明する。
図4(A)に示すように、絶縁性の基材67上に、例えば、発熱材料によって連続するS字状のパターン69Aが形成されることで、電圧印加により発熱する発熱領域73の形成された発熱層68Bが形成される。
この連続するパターン69Aは、本実施の形態ではS字状である場合を説明するが、S字状に限られない。この連続するパターン69Aの一端部69B及び他端部69Cは、各々電線(図示省略)によって後述する電圧を印加するための電圧印加部79に接続されている。詳細には、これらの一端部69Bに電線の一端部が接続された状態で固定化され、且つ該電線の他端部が無端ベルト64の軸方向両端部の開口を介して電圧印加部79に接続された状態で固定化されている。同様に、他端部69Cに、該一端部69Bに接続された電線とは別体の電線の一端部が接続された状態で固定化され、且つ該電線の他端部が無端ベルト64の軸方向両端部の開口を介して電圧印加部79に接続された状態で固定化されている。
このため、無端ベルト64が回転駆動されても、電圧印加部79からこれらの電線を介してパターン69Aへ安定して電圧が印加され、精度良く目的とする温度に発熱層68Bが発熱される。
図4(A)に示す例では、発熱層68Bに発熱領域73が1つのみ設けられた構成である場合を説明したが、このような構成に限られず、例えば、図4(B)に示すように、加圧領域Nに対応する領域には発熱領域73の設けられていない構成であることが好ましい。
具体的には、図4(B)に示すように、発熱層68Bの加圧領域Nに対応する領域には発熱領域73を設けず、発熱層68Bの全領域の内の加圧領域Nより記録媒体Pの搬送方向X下流側に、発熱領域73を設けて、該発熱層68Bの全領域の内の加圧領域Nより記録媒体Pの搬送方向X上流側に、発熱領域73を設ければよい。
そして、この発熱領域73及び発熱領域73の各々を、上記と同様に、発熱材料によって連続するS字状のパターン69A、パターン69Aの各々を形成することで構成すればよい。また、これらのパターン69A、パターン69Aの各々についても、上記パターン69Aと同様に、各々の一端部69B、69B、及び他端部69C、69Cの各々を、各々別体の電線(図示省略)によって無端ベルト64の開口を介して電圧印加部79に接続すればよい。
このような構成とすれば、加圧領域Nでの発熱層に対する屈曲ストレスを避けるようにでき、発熱層自体の耐久性の向上が図れる。
なお、このような発熱領域73の設けられていない領域の調整は、上述のように、対象となる領域に発熱材料によるパターンを形成しない方法も挙げられるが、この領域に、発熱層68B自体を設けない構成としてもよい。
なお、このように、加圧領域Nに相当する領域には、発熱領域73(または発熱層68B)が設けられていないことが好ましいが、図4(C)に示すように、少なくとも加圧領域N内の、記録媒体Pの搬送方向(図1、2、図4中、矢印X方向)下流側には特に発熱領域73(または発熱層68B)が設けられていない事が好ましい。
この場合についても、上述のように、対象となる領域に発熱材料によるパターンを形成しない方法や、対応する領域に、発熱層68B自体を設けない構成とすればよい。
上述のように、本実施の形態の定着装置70の圧力部材64は、上述の弾性圧力部材64Aと高剛性パット64Bから構成されていることから、圧力部材64によって、無端ベルト64の、加圧領域Nにおける記録媒体Pの搬送方向下流部は、中央部及び上流部に比べて高い圧力で回転ロール61側へ付勢されている。このため、少なくとも加圧領域N内の、記録媒体Pの搬送方向(図1、2、図4中、矢印X方向)下流側には特に発熱領域73(または発熱層68B)が設けられていない事で、特に加圧領域で圧力の高い部分を避けることができ、発熱層自体の耐久性の一層の向上が図れる。
なお、図5(A)に示すように、発熱層68Bに設けられている複数の発熱領域73は、無端ベルト62の軸方向(図5中、矢印Y方向)の長さが互いに異なっていても良い。例えば、図5(A)に示すように、2つの発熱領域73及び発熱領域73が設けられているとすると、一方の発熱領域73を、発熱層68Bの該軸方向の一端から他端に渡る領域に設けて、他方の発熱領域73を、発熱層68Bの該軸方向中央部のみに設けた構成であってもよい。そして、この発熱領域73の該軸方向の長さを、例えば、画像形成装置10で処理しうる記録媒体の内の比較的小さい大きさの記録媒体の幅と略同じ幅とし、この発熱領域73の該軸方向の長さを、画像形成装置10で処理しうる記録媒体の内の最も大きい大きさの記録媒体の幅と略同じ幅とすればよい。
このようにすれば、後述する制御部72の処理によって、発熱領域73または発熱領域73を構成するパターン69Aまたはパターン69Aの何れか一方に選択的に電圧を印加して何れか一方の発熱領域を発熱させることで、処理対象の記録媒体Pの大きさに応じて発熱領域が調整される。
さらに、このように複数の発熱領域73を設ける形態としては、例えば、図5(B)に示す形態が挙げられる。図5(B)に示すように、発熱層68Bを、少なくとも幅方向(無端ベルト62の軸方向(図5中、矢印Y方向))に複数の領域に分割する。そして、各発熱領域73〜7310各々は、各領域に上記発熱材料によりパターン69A〜パターン6910の各々を形成すればよい。
なお、これらの発熱領域及びパターンの各々を総称する場合には、下付数字(例えば、73)については省略して説明する。
このようにすれば、さらに複数種類の記録媒体Pの大きさに応じて、適宜発熱層63Bにおける発熱領域を変更可能となるため、更なる消エネルギー化及び高率化が図れる。
次に、本実施の形態の定着装置70の電気的構成の一例を説明する。
図6に示す定着装置70は、制御部72と、温度センサ76と、湿度センサ78と、各種情報を取得するための取得部74と、電圧印加部79と、シート状部材68と、を含んで構成されている。
制御部72は、温度センサ76、湿度センサ78、取得部74、及び電圧印加部79に、信号授受可能に接続されている。電圧印加部79は、上記説明したように、シート状部材68の発熱層68Bの各発熱領域73に設けられたパターン69Aの一端部69B及び他端部69Cの各々に接続された電線の各々に接続されている。
制御部72は、CPU、ROM、RAMを含むマイクロコンピュータとして構成されている。
取得部74は、画像形成装置10で処理する記録媒体Pの大きさを示すサイズ情報や、厚みを示す厚み情報を取得する。取得部74は、例えば、画像形成装置10に設けられた各種データを入力するときにユーザによって操作される操作部として構成されていてもよいし、画像形成装置10の外部機器に有線または無線回線を介して接続された接続部として構成されていてもよいし、画像形成装置10の主制御部35から該画像形成装置10で処理する対象の記録媒体Pを示す上記サイズ情報や厚み情報を入力される入力ポートとして構成してもよい。なお、入力ポートとして構成する場合には、主制御部35と取得部74とを信号授受可能に接続すればよい。
以下、制御部72で実行される発熱処理を、図7を用いて説明する。
なお、発熱処理においては、発熱層68Bは、図5(B)に示すように、複数の発熱領域73〜7310から構成されているとして説明する。
また、制御部72では、制御部72内の図示を省略するROM内に記憶されている発熱処理プログラムを読み取ることによって、図7に示す発熱処理ルーチンを実行する。
ステップ100では、取得部74から記録媒体情報を取得するまで否定判断を繰り返し、肯定されるとステップ102へ進む。
例えば、ステップ100の処理によって、記録媒体Pのサイズを示すA4、B4等のサイズ情報や、厚みを示す情報が取得される。
次のステップ102では、発熱層83Bの複数の発熱領域73〜7310の内の、上記ステップ100で取得したサイズ情報の記録媒体Pが定着装置70の加圧領域Nを通過するときに無端ベルト等を介して接する発熱領域73を導出する。
例えば、処理対象の記録媒体Pの大きさが、定着装置70によって定着されるときに加圧領域Nの内の、無端ベルト64の軸方向(図5中、矢印Y方向)中央部のみを通過する大きさである場合には、複数の発熱領域73〜7310の内の、該中央部に相当する発熱領域73及び73が、発熱対象となる発熱領域73として導出される。
この発熱領域73の導出は、例えば、予め制御部72の図示を省略するROM内に、記録媒体Pのサイズを示すサイズ情報に対応づけて、複数の発熱領域73の内の発熱対象となる発熱領域73を示す情報を予め記憶しておいて、上記ステップ100で取得した記録媒体Pのサイズ情報に対応する発熱領域73を示す情報を読み取ればよい。
次のステップ103では、上記ステップ100で取得した記録媒体Pの厚みを示す厚み情報に基づいて、上記ステップ102で導出した発熱領域73の発熱量を導出する。
この発熱量の導出は、例えば、予め制御部72の図示を省略するROM内に、記録媒体Pの厚みを示す厚み情報に対応づけて、該厚みの記録媒体Pにトナーを定着させるために必要な定着温度が得られるために発熱領域73を発熱させる発熱量を示す発熱量情報を予め記憶しておけばよい。そして、上記ステップ100で取得した記録媒体の厚みを示す厚み情報に対応する発熱量情報を、ROMから読み取ればよい。
次のステップ104では、温度情報を温度センサ76から読み取ると共に、湿度情報を湿度センサ78から読み取る。
次のステップ106では、上記ステップ104で読み取った温度情報及び湿度情報に基づいて、上記ステップ103で求めた発熱量を調整する。
ステップ106の処理は、例えば、予め制御部72の図示を省略するROM内に、温度情報と湿度情報に対応する発熱量の補正値を記憶しておけばよい。そして、上記ステップ104で読み取った温度情報及び湿度情報に対応する補正値を読取り、この補正値を用いて上記ステップ103で求めた発熱量を補正すればよい。
一般的に、定着装置22内の温度が低下するほど、定着装置22内の温度が室温である場合に比べて、トナーを記録媒体Pへ定着させるために要する温度は高くする必要がある。反対に、定着装置22内の温度が上昇するほど、定着装置22内の温度が室温である場合に比べて、トナーを記録媒体Pへ定着させるために要する温度は低くても良い。
また、画像形成装置10内の湿度が上昇するほど、記録材の皺を防ぐため、画像形成装置10内の湿度が低い場合に比べてトナーを記録媒体Pへ定着させるために要する温度について、加圧側と定着側の差を少なくする必要がある。
このため、補正値は、定着装置22内の温度が室温に近いほど補正せず、室温より高くなるほど発熱量が低くなるように調整し、室温より低くなるほど発熱量が高くなるように調整するような補正値を定めればよい。また、補正値は、画像形成装置10内の湿度が高くなるほど、シート状部材68側の発熱量を高くするように調整し、低くなるほど発熱量が低くなるように調整するような補正値を定めればよい。これらの補正値は、予め画像形成装置10に定着装置70を搭載して環境温度及び環境湿度を変更した様々な環境下で画像実験を行い、加圧領域Nがトナーを記録媒体Pに定着可能な温度(定着温度)となるように上記ステップ103で得られた値を補正する補正値を定めればよい。
次のステップ107では、上記ステップ106で調整した後の発熱量が発熱層68Bにおいて実現されるように、上記ステップ102で導出した各発熱領域73の各々の各パターン69Aの各々へ印加する電圧の電圧値を導出する。
ステップ107の処理は、例えば、制御部72の図示を省略するROM内に、発熱領域73を示す情報に対応づけて、発熱量を示す情報と、該発熱量を得るために対応する発熱領域73に印加する電圧の電圧値を示す情報と、を記憶しておけばよい。
次のステップ108では、上記ステップ102で導出した発熱領域73の各々へ、上記ステップ107で導出した電圧値の電圧印加を指示する指示信号を電圧印加部79へ出力した後に、本ルーチンを終了する。
上記指示信号を受け付けた電圧印加部79は、受け付けた指示信号に含まれる発熱領域73の各々に対応するパターン69Aの一端部69B及び他端部69C間に、対応する電圧値情報の電圧を印加する。これによって、発熱層68Bの複数の発熱領域73の内の、上記ステップ100で取得した記録媒体Pの大きさに対応する領域の発熱領域73へ、記録媒体Pの厚み及び定着装置70の環境温度及び環境湿度に応じた電圧値の電圧が印加される。
上記ステップ100〜ステップ108の処理が実行されることによって、発熱層68Bに設けられた複数の発熱領域73の内の、記録媒体Pの大きさに対応する発熱領域73が、記録媒体Pの厚み及び定着装置70の環境温度及び環境湿度に応じた発熱量で発熱する。このため、高率良く発熱層68Bの特定の領域が発熱され、省エネルギー化が図れる。
なお、本実施の形態では、定着装置70においては、記録媒体Pの、トナーTの保持された側の面が回転ロール61側に接触するように、記録媒体Pが搬送される場合を説明したが、トナーTの保持された側の面が、無端ベルト62側に接するように搬送された構成であってもよい。
本実施の形態の画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施の形態の定着装置の断面を示す模式図である。 (A)〜(C)本実施の形態の定着装置におけるシート状部材の断面図を示す模式図である。 (A)〜(C)本実施の形態の定着装置におけるシート状部材の、発熱層を示す模式図である。 (A)〜(B)本実施の形態の定着装置におけるシート状部材の、発熱層を示す模式図である。 本実施の形態の定着装置における電気的構成を示す概略ブロック図である。 本実施の形態の制御部で実行される処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10 画像形成装置
18 感光体
20 帯電器
22 現像器
22 定着装置
29 電圧印加部
61 回転ロール
62 無端ベルト
64 圧力部材
64B 高剛性パット
64A 弾性圧力部材
64 無端ベルト
67 基材
68 シート状部材
68A 摺動層
68B 発熱層
68C 絶縁層
68D 断熱層
70 定着装置
72 制御部
73 発熱領域
74 取得部
76 温度センサ
78 湿度センサ
79 電圧印加部
83B 発熱層

Claims (14)

  1. 回転可能に配設された回転部材と、
    前記回転部材との間で記録媒体を挟持搬送する無端ベルトと、
    前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトまたは前記無端ベルト及び前記記録媒体を介して前記回転部材に圧力を加えることにより、前記回転部材との間に圧力の加えられた加圧領域を形成する圧力部材と、
    少なくとも一部の領域が前記圧力部材と前記無端ベルトとの間に介在され、前記無端ベルトに接する低摩擦層と、該低摩擦層に積層された発熱層と、を少なくとも有するシート状部材と、
    を備え、
    前記シート状部材における前記加圧領域に対応する領域の、少なくとも前記記録媒体の搬送方向下流側には前記発熱層が設けられていないことを特徴とする定着装置。
  2. 前記シート状部材は、前記発熱層より前記圧力部材側に積層された絶縁層を更に有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記回転部材は、内部に発熱部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記圧力部材は、前記回転部材と前記無端ベルトとの間の前記加圧領域における、前記記録媒体の搬送方向上流側に比べて該搬送方向下流側の圧力が高くなるように、前記無担ベルト及び前記記録媒体を介して前記回転部材に圧力を加えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の定着装置。
  5. 前記絶縁層の熱抵抗値は、前記低摩擦層の熱抵抗値より大きいことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の定着装置。
  6. 前記発熱層の発熱を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の定着装置。
  7. 前記発熱層は、前記シート状部材を複数領域に分割した各分割領域毎に設けられ、
    前記制御手段は、前記各分割領域に設けられた発熱層の内の少なくとも1つを選択的に発熱させることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記発熱層に電流を印加する電圧印加手段を備え、
    前記発熱層は、前記電圧印加手段に接続された被加熱体に該電圧印加手段から印加された電圧により電流が流れることによる抵抗加熱により発熱することを特徴とする請求項6または請求項7の何れか1項に記載の定着装置。
  9. 像保持体と、
    前記像保持体に静電潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記静電潜像をトナーにより現像して前記像保持体上にトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体へ定着する定着手段と、
    を備え、
    前記定着手段が、回転可能に配設された回転部材と、前記回転部材との間で記録媒体を挟持搬送する無端ベルトと、前記無端ベルトの内周側に配置され、前記無端ベルトまたは前記無端ベルト及び前記記録媒体を介して前記回転部材に圧力を加えることにより、前記回転部材との間に圧力の加えられた加圧領域を形成する圧力部材と、少なくとも一部の領域が前記圧力部材と前記無端ベルトとの間に介在され、前記無端ベルトに接する低摩擦層と、該低摩擦層に積層された発熱層と、を少なくとも有するシート状部材と、を備え、前記シート状部材における前記加圧領域に対応する領域の、少なくとも前記記録媒体の搬送方向下流側には前記発熱層が設けられていないことを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記発熱層の発熱を制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記発熱層に電圧を印加する電圧印加手段を備え、
    前記発熱層は、前記電圧印加手段に接続された被加熱体に該電圧印加手段から印加された電圧により電流が流れることによる抵抗加熱により発熱し、
    前記制御手段は、前記電圧印加手段から前記発熱層に電圧を印加し、前記発熱層を発熱させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 前記記録媒体の厚みを示す厚み情報を取得する取得手段を備え、
    前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記記録媒体の厚みを示す厚み情報に基づいて、該厚み情報の厚みが大きくなるほど前記発熱層の発熱量が増加するように、前記電圧印加手段を制御する請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 前記取得手段は、前記定着装置の環境温度及び画像形成装置内の環境湿度の少なくとも一方を取得し、
    前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記環境温度及び画像形成装置内の環境湿度の少なくとも一方に基づいて、前記環境温度が高くなるほど前記発熱層の発熱量が小さく、前記環境湿度が高くなるほど前記発熱層の発熱量が大きくなるように、前記電圧印加手段を制御する請求項11または請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記発熱層は、前記シート状部材を複数領域に分割した各分割領域毎に設けられ、
    前記取得手段は、前記記録媒体の大きさを示す大きさ情報を取得し、
    前記制御手段は、前記取得手段によって取得された大きさ情報に基づいて、前記各分割領域に設けられた発熱層の内の、該大きさ情報の大きさの記録媒体に対応する領域に設けられた発熱層を選択的に発熱させるように、前記電圧印加手段を制御することを特徴とする請求項11〜請求項13の何れか1項に記載の画像形成装置。
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