JP5966806B2 - 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents
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この定着装置としては、例えば、加熱ロールと加熱ロールに接触して配置された加圧ベルトとを備えた構成、又は、加熱ベルトと加熱ベルトに接触して配置された加圧ロールとを備えた構成のベルトニップ方式と呼ばれる定着装置が知られている。
また、特許文献2には、「芯金上に弾性層のみ形成した状態での硬度を定着ローラ、加圧ローラで異なるものとし、芯金上に弾性層のみ形成した状態での硬度が低いローラの製品硬度が、芯金上に弾性層のみ形成した状態での硬度が高いローラの製品硬度よりも高くした定着装置」が開示されている。
また、特許文献3には、「基材の表面に形成される弾性層と、最上層として形成される離型層と、さらにこれら弾性層と離型層との間に、前記離型層より引張弾性率の高い中間層が形成されてなる定着用ベルト」が開示されている。
また、特許文献4には、「芯金部材の表面側に被覆される弾性層と、当該弾性層の表面側に被覆される弾性層よりも弾性の高い中間層を備えた定着ローラ」が開示されている。
請求項1に係る発明は、
基材と、
基材上に設けられた第1弾性層と、
前記第1弾性層上に設けられ、前記第1弾性層の弾性率Eeよりも低い弾性率Eiの第2弾性層と
前記第2弾性層上に設けられ、厚みが20μm以下の表面層であって、前記第2弾性層の外周面に被覆された管状物からなる表面層と、
を有する定着部材。
前記表面層が、フッ素樹脂を含んで構成されている請求項1に記載の定着部材。
前記第2弾性層が、シリコーンゴムを含んで構成されている請求項1又は2に記載の定着部材。
定着部材が、ベルト状である請求項1〜3のいずれか1項の定着部材。
第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項5に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
請求項2に係る発明によれば、第2弾性層の弾性率Eiが第1弾性層の弾性率Eeよりも高い場合に比べ、シワが発生し易いフッ素樹脂を含んで構成される表面層を設けても、表面層のシワの発生を抑制する定着部材が提供される。
請求項3に係る発明によれば、シリコーンゴム以外の弾性材料を含んで構成された第2弾性層を設けた場合に比べ、表面層のシワの発生を抑制する定着部材が提供される。
請求項4に係る発明によれば、第2弾性層の弾性率Eiが第1弾性層の弾性率Eeよりも高い場合に比べ、シワが発生し易いベルト状の定着部材であっても、表面層のシワの発生を抑制する定着部材が提供される。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。
表面層110Dの厚みは20μm以下である。そして、第2弾性層110Cの弾性率Eiは、第1弾性層110Bの弾性率Eeよりも低くなっている。
これは、表面層110Dと第1弾性層110Bとの間に位置する第2弾性層110Cを下層の第1弾性層110Bよりも高い弾性率を持つ層とすることにより、表面層に歪みが発生したとき、当該歪みが表面層のみに集中せず、その下層である第2弾性層110Cと共に第1弾性層110Bに分散される形となるためと考えられる。
一方、第2弾性層110Cの弾性率Eiは、例えば、0.1MPa以上2.2MPa以下であることがよく、望ましくは0.2MPa以上1.9MPa以下、より望ましくは0.3MPa以上1.7MPa以下である。
まず、定着部材から測定対象となる弾性層のサンプルを採取し、これを測定試料(試料幅:2mm、試料長さ:10mm)とする。
この測定試料を用いて、動的粘弾性試験機RHEOVIBRON(ORIENTEC社製)により、温度30℃周波数10Hz/振幅100μmの測定条件で、弾性率を測定する。
本実施形態に係る定着部材は、ロール状であってもよいし、ベルト状であってもよい。但し、本実施形態に係る定着部材では、表面層が歪みを受け易く、シワが発生し易いベルト状であっても、当該表面層のシワの発生が抑制される点で有利である。
定着部材がロール状の場合、基材としては、例えば、金属(アルミ、SUS、鉄、銅等)、合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)等で構成された円筒体が挙げられる。
定着部材がロール状の場合、基材の外径及び肉厚は、例えば、外径10mm以上50mm以下であることがよく、例えば、アルミニウム製の場合は厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製又は鉄製の場合は厚さ0.1mm以上2mm以下である。
なお、樹脂ベルトには導電性粉体などを添加分散して、体積抵抗率が制御されていてもよい。具体的には、樹脂ベルトとしては、例えば、カーボンブラックを添加・分散して、体積抵抗率を制御したポリイミドベルトが挙げられる。また、樹脂ベルトとしては、例えば、長尺のポリイミドシートの両端部をパズル上に組合せ、熱圧着部材を用いて熱圧着し、ベルト状に仕立てたものも挙げられる。
第1弾性層は、耐熱性弾性材料を含んで構成される。耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
なお、「耐熱性」とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
1)シリコーンゴムを含む構成、2)フッ素ゴムを含む構成等である。
第2弾性層も、耐熱性弾性材料を含んで構成される。耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。これら、シリコーンゴム、フッ素ゴム等は、第1弾性層で説明したものと同様なものが挙げられる。
また、第2弾性層には、第1弾性層と同様に各種添加剤が配合されてもよい。
1)シリコーンゴムを含む構成、2)フッ素ゴムを含む構成等である。
特に、第2弾性層は、シリコーンゴム(例えば、ジメチルポリシロキサンゴム)を含んで構成されることで、表面層のシワが抑制され易くなる。
表面層は、例えば、耐熱性離型材料を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。フッ素樹脂を含む表面層は、薄膜化するとシワを発生し易いが、本実施形態では、当該表面層のシワが抑制される。
このようなフッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
本実施形態に係る定着部材は、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。なお、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。
但し、本実施形態に係る定着部材を電磁誘導方式により加熱する加熱ベルトに適用する場合、基材と第1弾性層との間に、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けることがよい。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
−基体の作製−
NMP(N−メチルピロリドン)を溶媒とした固形分濃度18%のポリアミック酸溶液を準備し、アルミニウム製円筒である遠心成形型にポリアミック酸溶液を注入し、遠心成形型を軸線周りに回転させて塗布膜を形成し、145℃30分間加熱乾燥させ、乾燥皮膜を得た。乾燥皮膜を遠心成形型から外してイミド化型にセットし、200℃で20分間、380℃で20分間加熱し、無端ベルト状で、内径168mm、膜厚80μmのポリイミド(PI)基材を得た。
次に、作製したPI基体上に、液状シリコーンゴム「DY35−2147(東レダウコーニング社製)」をブレード塗布し、110℃で20分間加熱した後、200℃で4時間加熱し、膜厚200μmの第1弾性層を形成した。
次に、形成した第1弾性層上に、液状シリコーンゴム「DY35−1306(東レダウコーニング社製)をブレード塗布し、60℃で30分間加熱し、膜厚20μmの第2弾性層を形成した。
次に、第2弾性層まで形成したポリイミド基材の外径より2%小径である膜厚20μmのPFAチューブを準備し、内径が当該ポリイミド基材の外径より%大径である外型の内周にPFAチューブをセットした。そして、PFAチューブの内側に、第2弾性層まで形成したポリイミド基材を挿入した状態で、PFAチューブを外型から外し第2弾性層の外周に被覆し、200℃で30分間加熱し、膜厚20μmの表面層を形成した。
表1に従って、第1及び第2弾性層の組成、加熱処理及び厚み、並びに、表面層の組成及び厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを作製した。
(物性評価)
各例で得られた定着ベルトの各弾性層の弾性率について、記述の方法に従って測定した。その結果を表1に示す。
加熱ベルトとして、各例で得られた定着ベルトを富士ゼロックス社製:Color1000Pres用の定着装置の装着した。
次に、定着ベルトを装着した定着装置を、富士ゼロックス社製:Color1000Pressに組み込んだ。
そして、この画像形成装置を用いて次の評価を行った。
画像形成装置により、画像濃度30%のハーフトーンの定着画像をA4用紙を連続して出力し、定着ベルトの表面層に目視にてシワが発生するまでの時間、又は発生したシワの程度を評価した。但し、本評価は、第2弾性層を形成しない以外は実施例1と同様に作製した基準定着ベルトを基準として行った。
評価基準は、以下の通りである。
A:基準定着ベルトと比較し、表面層シワが発生するまでの時間が2.1倍以上に長くなった、
B:基準定着ベルトと比較し、表面層シワが発生するまでの時間が1.6倍から2.0倍になった。
C:基準定着ベルトと比較し、表面層シワが発生するまでの時間が1.1倍から1.5倍になった。
D:基準定着ベルトと比較し、表面層シワが発生するまでの時間が変わらなかった、又は短くなった。
・DY35−2147: 液状シリコーンゴム「DY35−2147(東レダウコーニング社製)」
・DY35−1306: 液状シリコーンゴム「DY35−1306(東レダウコーニング社製)」
・KE−1820:液状シリコーンゴム「KE−1820(信越化学工業社製)」
・KE−1830: 液状シリコーンゴム「KE−1830(信越化学工業社製)」
・KE―1833: 液状シリコーンゴム「KE−1833(信越化学工業社製)」
・KE−2019−40A/B:液状シリコーンゴム「KE−2019−40A/B(信越化学工業社製)」
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
Claims (6)
- 基材と、
基材上に設けられた第1弾性層と、
前記第1弾性層上に設けられ、前記第1弾性層の弾性率Eeよりも低い弾性率Eiの第2弾性層と
前記第2弾性層上に設けられ、厚みが20μm以下の表面層であって、前記第2弾性層の外周面に被覆された管状物からなる表面層と、
を有する定着部材。 - 前記表面層が、フッ素樹脂を含んで構成されている請求項1に記載の定着部材。
- 前記第2弾性層が、シリコーンゴムを含んで構成されている請求項1又は2に記載の定着部材。
- 定着部材が、ベルト状である請求項1〜3のいずれか1項の定着部材。
- 第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項5に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
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