JP2008116843A - 積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性ゴムから構成される弾性層と、塗工作業性が容易で且つ加工時において弾性層の熱劣化を抑制するプライマー層と、フッ素系樹脂から構成される離型層と、を備えた非粘着性及び柔軟性を有する積層体、かかる積層体を用いた定着部材、定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に使用する定着部材として、基体上に、耐熱性ゴムからなる第1の層、フッ素樹脂を主成分とする接着樹脂からなる第2の層、及びフッ素系樹脂からなる第3の層が順次設けられた積層体において、前記第2の層が、反応性シリコーン化合物を用いて得られることを特徴とする積層体を主たる構成にする。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置に関し、特にフッ素樹脂層を表面に有し、耐熱性、非粘着性及び柔軟性を有する積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置に関する。
プリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化や高速化の市場要求が強くなってきている。これらの要求性能を達成するためには、画像形成装置に用いられる定着装置の熱効率の改善が重要である。
画像形成装置では、電子写真記録、静電記録、磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式で、記録材シート、印刷紙、感光紙あるいは静電記録紙などの記録材上に未定着トナー画像を形成する。
この場合、未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、ベルト定着方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
また、これら最近の画像形成装置において用いられる定着部材(ローラ形状やベルト形状)には、オイルレスでのトナー離型性、柔軟性、弾力性などが必要とされている。これらの要求を満たすため、積層体により構成した部材が使用されている。
その積層体の構成として、例えば、基体上に、第1の層(耐熱合成ゴムからなる弾性層)と、第2の層(第1の層と第3の層を接合するフッ素樹脂を主成分とする接着層:プライマー層)、第3の層(フッ素樹脂からなる離型層)を設けたものが知られている。
上記の第1の層(弾性層)を構成する材料としては、耐熱性ゴム、中でも耐熱性合成ゴムであるシリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴムなどが使用されている。また第3の層(離型層)を構成する材料としては四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、及び、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)などが使用されている。この第3の層(離型層)を設ける場合、第1の層(弾性層)の表面にプライマー層を形成し、更にその上に上述したようなフッ素樹脂の分散塗料や粉体塗料、もしくはフッ素樹脂チューブを積層し、これらフッ素樹脂の融点以上の温度で加熱して層形成することが知られている。
しかしながら、上記第3の層のフッ素樹脂の融点は非常に高温であり、第1の層の弾性層に用いる耐熱性合成ゴムにとって過酷な温度である。このため、高温加熱して定着部材を作製すると、耐熱合成ゴムが熱劣化し、定着部材の性能を左右する第3の層の離型層の剥がれや、第1の層の弾性層にクラックや表層硬度変化などの問題を引き起こすことがあった。なお、弾性層にクラックや表層硬度の変化を引き起こすと定着部材の表面性が損なわれ、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の不具合の発生を生じたりする。
そこで、上記問題を解決するための対策として、耐熱合成ゴムに酸化錫及び酸化チタンから選ばれる少なくとも一つを含有(耐熱合成ゴムにSnO2、TiO2を添加)させる手法(例えば、特許文献1参照)や、耐熱合成ゴムに酸化錫と、酸化鉄、カーボンブラック、酸化セリウム及び水酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種とを含有(耐熱合成ゴムにSnO2、Fe23、他を添加)させる手法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。これにより、耐熱合成ゴムの耐熱性が向上し、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ画像定着不良などが防止される。
また、他の手法として、離型層を形成するために用いるフッ素樹脂にリン酸基を含有させて焼成温度を耐熱合成ゴムが耐えうる温度まで下げる手法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−163715号公報 特開2004−170758号公報 特開2005−212318号公報
しかしながら、上述のように無機充填剤の添加による耐熱性向上の手法では、耐熱合成ゴムの粘度上昇を引き起こし、定着部材を塗工加工により製作する際の加工性が必ずしも充分であると言えるものではなかった。また、離型層としてフッ素樹脂を使用するため、耐熱合成ゴムの熱劣化に問題があった。
また、離型層を形成するために用いるフッ素樹脂にリン酸基を含有させて焼成温度を耐熱合成ゴムが耐えうる温度まで下げる手法においては、焼成温度は300℃という高温処理であるため、耐熱合成ゴムの劣化を必ずしも充分に抑制できるものとは言い難い。さらに、上記構成の定着ベルトにおいても離型層にフッ素樹脂が使用され、熱伝導性を向上させるために熱伝導性の高い無機充填剤が添加されているため、上述した問題と同様の問題がある。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、基体上に順次設ける耐熱性ゴム層とフッ素系樹脂層の間にフッ素樹脂を主成分とする接着樹脂に反応性シリコーン化合物を含有させた接着層を介在させ、耐熱性、非粘着性及び柔軟性を有する積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基体上に、耐熱性ゴムからなる第1の層、フッ素樹脂を主成分とする接着樹脂からなる第2の層、及びフッ素系樹脂からなる第3の層が順次設けられた積層体であり、前記第2の層は、反応性シリコーン化合物を用いて得られることを特徴とする積層体である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の積層体において、前記反応性シリコーン化合物は、アミノ変性シリコーン化合物、カルボキシル変性シリコーン化合物、メルカプト変性シリコーン化合物、カルビノール変性シリコーン化合物、カルビトール変性シリコーン化合物、エポキシ変性シリコーン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の積層体において、前記反応性シリコーン化合物は、両末端または片末端に反応性基を有する化合物であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、転写体上のトナー像を定着させるローラ形状もしくはベルト形状を有する定着部材であって、前記定着部材は、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とする定着部材である。
請求項5に記載の発明は、画像形成プロセスにおいて転写体上のトナー像を定着させる定着部材を備える定着装置であって、前記定着部材は、請求項4に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置である。
請求項6に記載の発明は、少なくとも像担持体、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段、除電手段、及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、前記定着手段は、請求項5に記載の定着装置により構成されることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、第2の層プライマー層は、積層体作製時の塗工作業性が容易で且つ加工時において弾性層の熱劣化を抑制し、層間接着性を良好とする。これによって、表面性が良好で、耐熱性、非粘着性及び柔軟性を有するフッ素系樹脂からなる第3の層(離型層)を備えた積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置を提供することが出来る。
以下に、本発明の実施形態に係る積層体、定着部材、定着装置及び画像形成装置を、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明の実施形態に係る積層体は、基体上に、耐熱性ゴムからなる第1の層、フッ素樹脂を主成分とする接着樹脂からなる第2の層、及びフッ素系樹脂からなる第3の層が順次設けられた積層体において、前記第2の層が、少なくとも変性シリコーン化合物を用いて得られることを特徴とする。
図1は、本実施形態に係る積層体の構成例を示す概略断面図である。図1の構成では、基体1上に、耐熱性ゴムからなる第1の層(弾性層)2、フッ素樹脂を主成分とする接着樹脂と反応性シリコーン化合物を含有する第2の層(プライマー層)3、及びフッ素系樹脂からなる第3の層(離型層)4が順次設けられている。
すなわち、第2の層3は反応性シリコーン化合物を用いて得られることによって、積層体作製時の塗工性を良好に維持しつつ、高温度による加熱加工時における第1の層2を形成する耐熱性ゴムの熱劣化を抑制し、接着性を良好とすることが可能となり、耐熱性、非粘着性及び柔軟性を有するフッ素樹脂層を表面に備えた積層体が得られる。
本実施形態に係る積層体50は、シート形状、ローラ形状、あるいはベルト形状であっても構わない。そして、後述のように画像形成装置における定着装置の定着部材のほか、加圧部材や搬送部材(搬送ベルトやローラ)として有用であるばかりではなく、画像形成装置以外の用途、例えば、汚れ防止、離型性、耐熱性などが必要とされる部材として使用可能である。
本発明で使用される前記反応性シリコーン化合物としては、アミノ変性シリコーン化合物、カルボキシル変性シリコーン化合物、メルカプト変性シリコーン化合物、カルビノール変性シリコーン化合物、エポキシ変性シリコーン化合物、カルビトール変性シリコーン化合物、メタクリル変性シリコーン化合物、フェノール変性シリコーン化合物などが挙げられる。これらから選ばれる何れか一種若しくはそれらを組み合せたものであることが好ましい。以下に、反応性シリコーン化合物について具体的に説明する。
反応性シリコーンとは、その主要な骨格が−(SiMe2O)−基、−(SiPh2O)−基すなわちジメチルシリコーン基、あるいはジフェニルシリコーン基などで形成された有機シリコーン化合物であり、その一部(たとえば末端基)がアミノ基(ジアミン型、モノアミン型、2級アミン型:ただしこれらの基はアルキレン基を介してSiに結合している)、アミド基、エポキシ基(エーテル型(たとえば−R−gly :glyはグリシジルエーテル基を表し、Rはアルキレン基を表す)、脂環型)、カルボキシル基(−R−COOH :Rは前記同様)、カルビノール基、カルビトール基、メルカプト基(たとえば−RSH:Rは前記同様)、フェノール基、(メタ)アクリル基(たとえば−R−OOCC(CH3)=CH2 :Rは前記同様)等により変性された有機シリコーン化合物(これらがSiと結合したSi-C結合を有する化合物)であり、これらの変性基は一例であり、この例示に限定されない。
これら反応性シリコーンをプライマー中に含有していると高温度による加熱加工時において、劣化の抑制、あるいは接着強度の向上に効果がある。
これらの反応性基があることによって劣化を抑制することができる。例えば、分子鎖断裂やそれに伴う再架橋硬化反応のバランスを取ることによって劣化を抑制し、またプライマー中のフッ素樹脂に存在する反応性基と相互作用等して、より接着強度を向上させると推測される。
また、これら反応性シリコーン化合物は耐熱性ゴム層に浸透し、分子鎖が相互に絡むことなどにより、プライマーとゴムとにより強い接着効果が上がるものと思われる。なお、ゴムよりもこれら化合物はやや耐熱性に劣るために先に分子鎖断裂等が起き、それによりゴムの劣化を抑制することが可能となったとも考えられる。
例えばアミノ変性シリコーン化合物やメルカプト変性シリコーン化合物は、アミノ基やメルカプト基がプライマー中のフッ素樹脂の反応性基(例えばアミド基、カルボキシル基など)と反応する上に、不対電子をもっているので再架橋反応におけるゴム中の触媒活性を抑制し、再架橋硬化反応をする効果があり、ゴムが効果的に硬化劣化を防止していると考えられる。
また、カルボキシル変性シリコーン化合物やカルビトール変性シリコーン化合物は、カルボキシル基やカルビトール基がプライマー中の反応性基と反応し、接着性を向上させ、また分子断裂したシリコーンと先に反応し、分子断裂したものが再架橋硬化し続けるのを抑制し硬化性を制御し、効果的にゴムが経時変化による劣化も防止していると推測される。
アミノ変性シリコーン化合物としては、例えば、反応性基がジアミン型(たとえば−C3H6NHC2H4NH2)、モノアミン型(たとえば−C3H6NH2)、2級アミン型(−C3H6NH(R):Rはアルキル基)であり、(両)末端メチル側鎖ジアミン、(両)末端OH側鎖ジアミン、(両)末端メチル側鎖モノアミン、(両)末端OH側鎖モノアミン、(両)末端モノアミン、アミノ・ポリエーテル、片末端アミノなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
なお、両末端型の方が側鎖型よりも反応性は高い。またアミノ変性シリコーン化合物は水分散エマルジョンにおいて良くエマルジョン化・分散安定化されるので塗料の添加化合物としても好ましい。
メルカプト変性シリコーン化合物としては、例えば、反応性基がメルカプト基(たとえば−C3H6SH)であり、両末端メルカプト基型と両末端ジメチル側鎖メルカプト基型が挙げられるがこれに限定されるものではない。
なお、メルカプト変性シリコーン化合物も、両末端型の方が側鎖型よりも反応性は高い。ビニル基含有シリコーン化合物との反応性が高く、ゴム層に存在するビニル基とエンチオール反応にてより接着性を向上させることが出来ると思われる。
カルボキシル変性シリコーン化合物としては、反応性基は(−(CH2)b―COOH:bは整数)であり、両末端カルボキシル基型と両末端ジメチル側鎖カルボキシル基型が挙げられるがこれに限定されるものではない。なおカルボキシル変性シリコーン化合物も、両末端型の方が側鎖型よりも反応性は高い。
またカルボキシル変性シリコーン化合物は水分散エマルジョンにおいて、良くエマルジョン化・分散安定化されるので塗料の添加化合物としても好ましい。
カルビノール変性シリコーン化合物は、反応性基は(−C3H6OH、−C3H6(EO)aH:EOはエチレンオキサイド鎖でありaは整数、−C3H6(PO)bH:POはプロピレンオキサイド鎖でありbは整数)であり、両末端カルビノール基型と両末端ジメチル側鎖カルビノール基型が挙げられるがこれに限定されるものではない。
なおカルビノール変性シリコーン化合物も、両末端型の方が側鎖型よりも反応性は高い。またカルビノール変性シリコーン化合物は水に対して溶解性が良く、フッ素エマルジョン塗料において安定化されるので塗料の添加化合物としても好ましい。このような上記変性シリコーン化合物を用いることによって、加熱工程における耐熱ゴム材料の熱劣化に伴うゴム材料の再架橋硬化反応を抑制し、効果的にゴムの硬化劣化を抑制することが出来る。
そのため、耐熱性ゴムからなる第1の層(弾性層)にクラックの発生や、表層硬度の変化や接着層間剥がれを引き起こすことなく、表面性が良好で耐熱接着強度の良い積層体が得られる。
上記反応性シリコーン化合物を用いることによって、加熱加工工程における耐熱ゴム材料の熱劣化を抑制し、層間剥がれを抑制する効果が充分に発揮される。これによって、弾性層にクラックや表層硬度変化を引き起こすことなく表面性の良好な、積層体層間の接着力の優れた積層体が提供される。
他に用途に応じて、未反応性シリコーン化合物を添加しても良い。このような未変性シリコーン化合物は、相溶性向上や改質によって接着性向上等をするために添加することができる。例えばジメチルシリコーンに未反応性有機基で置換したシリコーン化合物、たとえば未反応性有機基としてはポリエーテル基、アルキル基、アラルキル基、高級アルコールエステル基、フルオロアルキル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特にフルオロアルキル基はフッ素プライマーあるいはフッ素ゴムなどの樹脂とよくなじみ、ポリエーテル基は水分散液エマルジョンに界面活性を付与し、分散安定化に寄与するので好ましい。
本発明の実施形態に係る積層体は、画像形成プロセスにおいて転写体上のトナー像を定着させる定着部材として好適に用いられる。定着部材は、ローラ形状もしくはベルト形状であるものが好ましい。
以下、本発明における定着部材の構成を説明する。図2(a)は、ローラ形状の定着部材の構成例を示し、(b)はベルト形状の定着部材の構成例を示す概略断面図である。図2(a)において、Aは定着部材の一例であるローラである。ローラAは、基体A1上に、耐熱性合成ゴム等の耐熱性弾性体(ゴム)(以降、「耐熱性合成ゴム」と称することがある。)で構成される第1の層(弾性層)A2、第2の層であるプライマー層A3、及び第3の層であるフッ素系樹脂で構成される離型層A4とを順次備えている。そして、前記プライマー層A3には、変性シリコーン化合物を用いて得られるシリコーン樹脂が含有されている。
図2(b)において、Bは定着部材である無端ベルトである。定着部材の無端ベルトBは、基体B1上に、耐熱性合成ゴムで構成される第1の層の弾性層B2、第2の層のプライマー層B3、及び第3の層のフッ素系樹脂で構成される離型層B4を順次備えている。そして、前記プライマー層B3には、変性シリコーン化合物を用いて得られるシリコーン樹脂が含有されている。なお、基体A1と弾性層A2との間、または基体B1と弾性層B2との間に接着強度を高めるためにシリコーン系プライマーを使用してもよい。
図2(a)及び図2(b)に示す定着部材は、それぞれ耐熱性の基体A1またはB1の表面に前記した耐熱性合成ゴムをコーティングして弾性層A2またはB2を設け、更にその上面にコーティングにより、プライマー層A3またはB3を設け、その上にフッ素系樹脂をコーティングして離型層A4またはB44を設けて作製することができる。
また上記した弾性層の作製方法としては、シリコーンプライマー等で基体表面を改質し、耐熱合成ゴム材料をスプレー塗装やブレードコート、ディッピング等によって塗布し、その後ゴムを加硫して弾性層とすることができる。また、プライマー層の作製方法としては、フッ素樹脂を主成分とするプライマー分散液(水系フッ素樹脂ディスパージョンなど)を弾性層と同様に塗布後、乾燥してプライマー層を形成することができる。
更に離型層の作製方法としては、前記弾性層上のプライマー層上にフッ素系樹脂分散液(水系フッ素樹脂ディスパージョンなど)を、前記した弾性層と同様に、スプレー塗装、ブレードコート、またはディピングなどによる塗装や、フッ素樹脂系粉体塗料を静電塗装、流動浸漬、または回転ライニング法などによってフッ素系樹脂塗布膜を形成後、形成されたフッ素系樹脂を焼成して離型層とすることができる。
前述のように、プライマー層A3またはB3が、反応性シリコーン化合物を用いると、弾性層と離型層の界面の耐熱性を向上させ、フッ素樹脂焼成時の熱による弾性層を構成する耐熱性合成ゴムの劣化及びそれに起因する接着強度の低下をより抑制させることができる。これは焼成時の硬化による劣化を抑制し、また使用時である定着装置稼動の高温経時においても、界面劣化が抑制され、離型層剥がれや弾性層の表面硬度変化やクラックが抑制されるため、生産時にも、その後この生産されたものを使用する際の熱劣化など、経時変化にも強い。
上記本発明の実施形態に係る定着部材は、オイルレスでのトナー離型性があり、柔軟性、弾力性等を有し、定着性能及び耐久性の優れた画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等が発生せず、高品質定着を実現することが出来る。
以上述べたような、本発明の実施形態に係る定着部材は、画像形成装置の定着装置に配備されることが好ましく、このような画像形成装置における画像形成プロセスにおいて転写体上のトナー像を定着させる役割を担うのであるので、耐熱劣化に強く、経時変化にも強いため、画像形成装置は耐環境特性により優れ、経時変化にも優れたものとなる。
本発明の実施形態に係る積層体を用いてローラ形状もしくはベルト形状の定着部材とすると、オイルレスでのトナー離型性、柔軟性、弾力性などの要求を達成することができ、画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の発生のない高品質の画像が定着できる。すなわち、定着性能及び耐久性に優れる。従って、定着手段として上記定着装置が配備された画像形成装置は、常に安定した高品質の画像が形成され、長期に亘ってもこのような性能が低下することが少ない。
以下、図を参照して画像形成装置及び定着装置について説明する。図3は、本発明における電子写真方式の画像形成装置(例えば、複写機やレーザプリンタ等を含む)を説明するための概略構成図である。
図3において、画像形成装置100は、静電潜像が形成される感光体ドラム101、感光体ドラム101に接触して帯電処理を行う帯電ローラ102、レーザビーム等の露光手段103、感光体ドラム101の静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ104、帯電ローラ102にDC電圧を印加するためのパワーパック105、感光体ドラム101上のトナー像を記録紙107に転写処理する転写ローラ106、転写処理後の感光体ドラム101をクリーニングするためのクリーニング装置108、感光体ドラム101の表面電位を測定する表面電位計109、並びに定着ローラ111及び加圧ローラ112からなる定着装置110などを含んで構成されている。
この電子写真方式を用いる画像形成装置100では、回転する感光体ドラム101の感光体層を帯電ローラ102を用いて一様に帯電させた後にレーザビーム等の露光手段103で露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーによって現像してトナー像とし、このトナー像を記録紙107上に転写する。そして、この記録紙107を、定着ローラ111及び加圧ローラ112からなる定着装置110に通過させ、記録紙107上に付着しているトナーを定着ローラ111の熱により軟化させつつ加圧して記録紙107上にトナー像が定着するように構成されている。
この場合の定着ローラ111として、本発明の積層体からなる定着部材が好適に用いられる。図3の構成では定着部材は、いわゆるローラ形状であるが、定着部材がベルト形状であってもよいことは、言を待たない。このようなベルト方式の定着装置について以下に説明する。
図4はベルト方式の定着装置を説明するための概略構成図である。図4に示した定着装置117は、加熱ローラ115と、加熱ローラ115に平行配置される定着ローラ114と、前記加熱ローラ115と定着ローラ114とによって掛け回される、回転可能に設けた定着ベルト113と、前記ベルト113を介して定着ローラ114に圧接すると共に、前記ベルト113との間で定着ニップ部を形成する加圧ローラ116から構成されている。この場合のベルト113として、本発明の積層体からなる定着部材が好適に用いられる。
図4に示すようなベルト方式の定着装置117は、加熱ローラ115で加熱された定着ベルト113と加圧ローラ116との間に記録紙107を通過させることにより、記録紙107の上に付着しているトナーを定着ベルト113の熱により軟化させつつ加圧ローラ116で加圧して記録紙上に定着させるようになっている。
本発明の積層体により構成した定着部材について詳しく説明する。図1に示したように、積層体からなる定着部材の構成は、基体1と、この基体の上に第1の層として耐熱性ゴム(耐熱合成ゴム)からなる弾性層2と、第2の層として、第1の層と第3の層を接合するフッ素樹脂を主成分とする接着樹脂と反応性シリコーン化合物を用いて得られるプライマー層3と、この第2の層の上に第3の層としてフッ素樹脂からなる離型層4を設けた構成になっている。本明細書中、「第1の層」を「弾性層」、「第2の層」を「プライマー層」、及び「第3の層」を「離型層」と表現することがある。
本発明の定着部材を構成するプライマー層としては、フッ素系樹脂を主成分とするフッ素樹脂系プライマーを用いていれば特に限定されない。ここで、フッ素樹脂系プライマーは、官能基を有するフッ素樹脂からなり、弾性層を形成する材料の種類、その表面の性質、及びフッ素樹脂系プライマーを介して形成する離型層(フッ素樹脂、いわゆるトップコートの種類)などにより適宜選択される。
フッ素樹脂系プライマーは、その上に被覆する離型層のフッ素樹脂の構造と類似の構造を有し、この構造に官能基を含んでいる構造体を用いているものが好ましい。このように類似構造のフッ素樹脂を1種または2種以上組合せることによって、フッ素樹脂系プライマーに用いられるフッ素樹脂とその上に被覆されるフッ素樹脂との相性が分子論的に近いものであるのでいわゆるなじみやすい性質を有しているため良好なものとなる。
これにより、フッ素樹脂系プライマー層と弾性層の表面との接着性だけではなく、フッ素樹脂系プライマー層と離型層との層間接着強度も良好なものとなる。また、このようなプライマーは焼成時に反応性シリコーン化合物と反応して、より強く弾性層との接着性を向上させるように働く機能ももたらす。
このようなフッ素樹脂系プライマーを用いて得られた積層体を用いれば、高温での使用においても、例えば、他の樹脂成分からなるプライマーを用いた場合に問題となるような、重合体の熱収縮率の違いなどによる層間剥離やクラック、ピンホールなどを起こし難い。
また、塗膜の最表面に官能基を含まないフッ素樹脂を用いて離型層を形成しても、優れた耐熱性、耐薬品性、非粘着性、及び低摩擦性をより効果的に発揮することができる。なお、フッ素樹脂系プライマーで得られるプライマー層の層厚は0.01〜5μmであることが好ましい。この範囲の厚さにしていないと、接着強度が低下したり、プライマー自身にクラックや凝集破壊が起きる虞があり、所望の性能が得られない場合がある。
また、プライマー層における反応性シリコーン化合物の添加量は、フッ素樹脂系プライマー分散液100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。変性シリコーン化合物の添加量が0.01重量部未満では所望の耐熱性が得られず、接着強度が低下したり、耐熱合成ゴムの劣化によってゴム破壊する場合がある。一方、10重量部を越えるとプライマー層の成膜性が劣り、得られるプライマー層にクラックや凝集破壊が生じる場合がある。
なお、前記プライマー分散液への添加方法としては、超音波やホモジナイザー等、一般的な方法で分散・乳化して、添加使用することができる。
図2に示す弾性層A2またはB2を構成する耐熱性ゴムとしては、好ましくは、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム等の耐熱性合成ゴムであるが、耐熱性ゴム(いわゆる耐熱性弾性体)であれば特にこれらに限定されるものではない。また特に、弾性層A2またはB2を構成する耐熱性合成ゴムがシリコーンゴム、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴムなどの耐熱性合成ゴムであると、定着時の温度(〜200℃)において耐熱性を有しているので、定着部材の表面の柔軟性が表層にそのまま反映され、安定して良好な定着画像品質が得られる。
また、図2に示すように、離型層A4またはB4を構成するフッ素系樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などから選ばれるフッ素系樹脂、またはそれらのフッ素樹脂の混合物、またはそれらのフッ素樹脂を耐熱性の樹脂に分散させたものが挙げられるが、フッ素系樹脂であればよく、特にこれらに限定されるものではない。離型層A4またはB4がフッ素系樹脂で構成されることでトナーのオイルレス離型性が発現することになる。なお、本発明における離型層A4またはB4の膜厚が厚いと光沢ムラが発生し易くなるので層構成に応じて適宜厚さを設定することが好ましい。
図2に示すように、加熱定着部材Aにおける基体A1は、好ましくは、アルミニウム、ステンレススチール、真鍮等の金属材料で構成されるローラ状の基体である。また、前記加熱定着部材Bにおける基体B1は、ステンレススチール、ニッケル等の金属材料で構成される無端ベルト、ポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等の耐熱性樹脂材料で構成される無端ベルト、あるいは、これらの積層無端ベルトである。なお、定着部材がローラ形状、ベルト形状(無端ベルト)であるものについて記載したが、目的、用途に応じて上記材料から構成される(積層構成も含む)シート形状であるものを用いることもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されて解釈されるものではない。先ず、実施例と比較例において用いるフッ素系樹脂含有プライマーについて以下に例示する。
〔調整例〕
プライマー分散液(水性フッ素樹脂ディスパージョン)
攪拌機、バルブ、圧力ゲージ、温度計を備えた3リットルガラスライニング製オートクレーブに純水1500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム9.0gを入れ、窒素ガスで充分置換した後、真空にし、エタンガス20mlを仕込んだ。
次いで、ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体として、パーフルオロ−(1,1,9,9−テトラハイドロ−2,5−ビストリフルオロメチル−3,6−ジオキサ−8−ノネン−1−オール)3.8g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)18gを、窒素ガスを用いて圧入し、系内の温度を70℃に保った。攪拌を行いながらテトラフルオロエチレンガスを内圧が8.5kgf/cm2Gとなるように圧入した。次いで、過硫酸アンモニウム0.15gを水5.0gに溶かした溶液を、窒素を用いて圧入して反応を開始した。
重合反応の進行に伴って圧力が低下するので、7.5kgf/cm2Gまで低下した時点で、テトラフルオロエチレンガス8.5kgf/cm2Gまで再加圧し、降圧、昇圧を繰り返した。テトラフルオロエチレンの供給を続けながら、重合開始からテトラフルオロエチレンガスが約40g消費されるごとに、前記ヒドロキシル基を有する含フッ素エチレン性単量体1.9gを計3回(計5.7g)圧入して重合を継続し、重合開始よりテトラフルオロエチレンが約160g消費された時点で供給を止めてオートクレーブを冷却し、未反応モノマーを放出して、青みがかった半透明の水性フッ素樹脂ディスパージョン1702gを得た。得られた水性フッ素樹脂ディスパージョン中のフッ素樹脂の固形分濃度は10.9重量%であり、動的光散乱法で測定した粒子径は70.7nmであった。
更にこの水性フッ素樹脂ディスパージョンを界面活性剤により濃縮して、固形分濃度を15重量%とした。この水性フッ素樹脂ディスパージョン100重量部(固形分濃度15重量%)と、界面活性剤を濃縮時に使用した量と併せて1.0重量部、増粘剤:メチルセルロース水溶液(メチルセルロース4.8重量%)4.0重量部を均一混合し、SUS網(300メッシュ)で濾過して、プライマー分散液とした。
以下の工程を順次経て、実施例1の積層体を作製した。
〈a−1〉工程:40μm厚のシート状のステンレススチール(SUS)製基体上にプライマー(東レダウコーニングシリコーン社製、DY39−051)を塗布し乾燥してシリコーンプライマー層を形成した。
〈b−1〉工程:形成したシリコーンプライマー層の上に耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニングシリコーン社製、DY35−2083)の溶液を塗布して300μmの塗布層を形成し、シリコーンゴムを120℃×15分間の1次加硫後、200℃×4時間の2次加硫を経て弾性層を形成した。
〈c−1〉工程:形成した弾性層の上に、調整例で調整したプライマー分散液(水性フッ素樹脂ディスパージョン)に1.0重量部のアミノ変性シリコーン:両末端モノアミノ型(BY-16-853:東レダウコーニングシリコーン製)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
〈d−1〉工程:形成したプライマー層の上に、PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製、PFA340−J)を20μmの膜厚になるように粉体塗布してフッ素樹脂塗布層を形成し、この塗布層を340℃で30分間焼成して離型層を形成した。
実施例1の〈c−1〉工程において用いた、1.0重量部のアミノ変性シリコーン:両末端ジメチ
ル側鎖ジアミン型(KF-393:信越化学製)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
実施例1の〈c−1〉工程において用いた、2.0重量部のメルカプト変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖メルカプト型(KF-2001:信越化学製)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
実施例1の〈c−1〉工程において用いた、1.0重量部のカルボキシル変性シリコーン:両末端カルボキシル型(X-22-162A:信越化学製)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
実施例1の〈c−1〉工程において用いた、1.0重量部のカルボキシル変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖カルボキシル型(X-22-3710:信越化学製)と0.5重量部の両末端ジメチル側鎖ジアミン型(KF-393:信越化学製)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
実施例1の〈c−1〉工程において用いた、1.0重量部のカルビノール変性シリコーン:両末端カルビノール型(KF-6003:信越化学製(官能基:−C36OC24OH)粘度96cs)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
〔比較例1〕
実施例1の〈c−1〉工程において用いた、1.0重量部のアミノ変性シリコーン:両末端モノアミノ型(BY-16-853:東レダウコーニングシリコーン製)を含まず、調整例で調整したプライマー分散液(水性フッ素樹脂ディスパージョン)のみのプライマーを用いた以外は、実施例1と同様の工程を順次経て比較例1の積層体を作製した。
上記作製した実施例1〜実施例6、及び比較例1の積層体を用いて、次の条件で剥離試験を行い接着性の評価を行った。結果を下記表1に示す。
<剥離試験法>
試験巾10mm、引張り速度約50mm/minで、90度剥離試験を行った。剥離場所が弾性層とプライマー、あるいはゴム層とプライマーの間のものを×とし、ゴム層での破壊より強い接着強度が出たものを○として表1に示した。
Figure 2008116843
実施例1〜6の積層体における各層間の剥離強度は高く、ゴム層で破壊するほどの接着強度を示し、積層体形成工程での焼成による劣化は認められなかった。一方、比較例1については、プライマー層とゴム層間で剥離することが観察され、接着力不足であることが認められた。このことから、積層体形成工程での焼成によりゴム層が硬化劣化し、非常に硬くなったため層界面間で剥がれたものと考えられる。
以下の工程を順次経て、実施例7の定着ローラを作製した。
〈a−2〉工程:直径40mmのアルミニウムで構成される芯金上にプライマー(東レダウコーニングシリコーン社製、DY39−051)を塗布し乾燥してシリコーンプライマー層を形成した。
〈b−2〉工程:形成したシリコーンプライマー層の上に耐熱性シリコーン樹脂(東レダウコーニングシリコーン社製、DY35−2083)溶液を250μmの塗布層を形成し、シリコーンゴムを120℃×15分間の1次加硫後、200℃×4時間の2次加硫を経て弾性層を形成した。
〈c−2〉工程:形成した弾性層の上に、0.5重量部のアミノ変性シリコーン:両末端OH側鎖ジアミン型(BY-16-892:東レダウコーニングシリコーン製)を分散させたプライマー液をスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
〈d−2〉工程:形成したプライマー層の上に、プライマー層の上にPFA分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製、PFA945HP−Plus)をスプレー塗装して30μm厚の塗布層を形成し、この塗布層を340℃で30分間焼成して離型層を形成した。
実施例7の(c−2)工程において用いた、0.5重量部のアミノ変性シリコーン:両末端OH側鎖ジアミン型(BY-16-892:東レダウコーニングシリコーン製)に替えて1.5重量部のアミノ変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖ジアミン型(KF-393:信越化学製)と0.2重量部のフッ素変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖フッ素型(X-22-822:信越化学製を分散させたプライマーを用いた以外は、実施例4と同様の工程を順次経て実施例5の定着ローラを作製した。
〔比較例2〕
実施例7の(c−2)工程において用いた、0.5重量部のアミノ変性シリコーン:両末端OH側鎖ジアミン型(BY-16-892:東レダウコーニングシリコーン製)を含まず、調整例で調整したプライマー分散液(水性フッ素樹脂ディスパージョン)のみのプライマーを用いた以外は、実施例7と同様の工程を順次経て比較例2の定着ローラを作製した。
以下の工程を順次経て、実施例6の定着ベルトを作製した。
〈a−3〉工程:直径60mm、幅400mm、厚さ0.1mmのポリイミド樹脂製シームレスベルトの表面にシリコーンゴム用プライマー(東レダウコーニング社製、DY39−067)をスプレー塗装して厚さ1μmのシリコーンプライマー層を形成した。
〈b−3〉工程:このシリコーンプライマー層の上に耐熱性シリコーンゴム(東レダウコーニング社製、DY35−2083)のトルエン溶液をスプレー塗装して200μmの塗布層を形成し、シリコーンゴムを120℃×15分間の1次加硫後、200℃×4時間の2次加硫を経て弾性層を形成した。
〈c−3〉工程:形成した弾性層の上に、調整例4で調整したプライマー分散液(水性フッ素樹脂ディスパージョン)に2.0重量部のアミノ変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖ジアミン型(KF-393:信越化学製)分散させたプライマーをスプレー塗装して厚さ2μmのプライマー層を形成した。
〈d−3〉このフッ素系樹脂含有プライマー層の上にPFA分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製、PFA945HP−Plus)をスプレー塗装して30μm厚の塗布層を形成し、この塗布層を340℃で30分間焼成して離型層を形成した。
実施例9の(c−3)工程において用いた、2.0重量部のアミノ変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖ジアミン型(KF-393:信越化学製)に替えて2.0重量部のカルボキシル変性シリコーン:両末端カルボキシル型(X-22-162A:信越化学製)を分散させたプライマーを用いた以外は、実施例9と同様の工程を順次経て実施例10の定着ベルトを作製した。
〔比較例3〕
実施例6の(c−3)工程において用いた、2.0重量部のアミノ変性シリコーン:両末端ジメチル側鎖ジアミン型(KF-393:信越化学製)を含まず、調整例で調整したプライマー分散液(水性フッ素樹脂ディスパージョン)のみのプライマーを用いた以外は、実施例9と同様の工程を順次経て比較例3の定着ベルトを作製した。
なお、実施例及び比較例の他のPFA系フッ素樹脂としては、PFA940HP−puls(三井・デュポンフロロケミカル社製)、PFA440HP−J(三井・デュポンフロロケミカル社製)、PFA441HP−J(三井・デュポンフロロケミカル社製)、PFA940HP−puls(三井・デュポンフロロケミカル社製)、PFA950HP−puls(三井・デュポンフロロケミカル社製)等も用いることができる。
上記作製した実施例7〜10、及び比較例2、3で作製した定着部材(定着ローラ及び定着ベルト)について次の評価を行った。
「部材作製後の外観」を目視により観察した。次いで、それぞれの定着部材を用いて複写を行い、複写枚数が「1枚」、「10万枚」及び「20万枚」に達した時点での「画質(ベタ地)」を観察し、定着部材(定着ローラ及び定着ベルト)の表面における「複写後の外観」について異常の有無を目視により確認し、下記評価基準により評価した。評価結果を下記表2に示す。
<目視観察による評価基準>
○:実用上、問題とならないレベル
△:若干の異変や劣化が認められるレベル
×:著しい異変や劣化が認められるレベル
ここでいう画質の劣化とは、ゆず肌や光沢ムラのことを意味する。これは定着部材の弾性層が劣化することで、部材表面の平滑性が失われ、あるいは定着時の圧力が不均一になったことに起因するものである。
Figure 2008116843
実施例7〜10については、定着部材作製後(1枚)、10万枚、及び20万枚の複写を終えても、画質及び定着ベルトに特に異常は見られなかった。一方、比較例2、3については、10万枚の複写を終えた時点で定着ベルト表面に多少のクラック、及び弾性層の硬化劣化による画質の劣化が見られたが、部品は破損していなかったので評価を継続した。
しかし、20万枚の複写を終えた時点では、画質が著しく劣化し、定着ベルトを観察するとクラックが発生・成長・層間剥がれが生じており、定着部材として満足に機能しないレベルまで劣化・破損していた。なお、クラックが発生した場合には、クラックが発生した部分にトナーが残留するので、画像汚れや表面不均一による画像定着不良などの不具合が発生することとなる。
本発明の積層体からなる定着部材を備えた定着装置を組み込んで画像形成装置を構成した。図5は、本発明における定着装置を組み込んだ画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図中1は像担持体、2は帯電手段、3はレーザ書き込みユニット、4は現像装置、5は転写ローラ、6はクリーニング装置である。また図中7は給紙部、8は給紙ローラ、9はレジストローラ対、10は定着装置、11は排紙部、12は画像形成装置を示す。なお、定着装置10の定着ベルトは、例えば、実施例6、7のようなベルト構成からできている。
像担持体1は、図示しない駆動手段により図中矢印方向に回転駆動され、帯電手段12によりその表面を一様に帯電させ、ついでレーザ書き込みユニット13からの露光により表面に潜像を形成する。この潜像は、現像装置14によって可視像化し、給紙部17から給紙ローラ18やレジストローラ対19等を介して供給する紙等の転写体Pに転写ローラ15によってトナー像を転写する。
トナー像転写後に像担持体1表面上に残留するトナーはクリーニング装置6によって除去する。画像を転写された転写体Pは、定着装置10へ導入し、加熱、加圧によってトナー像を転写体Pに定着させ、その後排紙部11へと排紙する。
上記構成の画像形成装置を用いて複写した結果、オイルレスでも画像汚れ、画像ムラ、光沢ムラ、画像定着不良等の発生のない高品質の画像が形成された。なお、本発明の画像形成装置は図5に示す構成に限定されない。
前述のように本発明の積層体を用いれば、第2の層(官能基を有するフッ素樹脂系プライマー層)に反応性シリコーン化合物を含有しているので、何ら熱的な悪影響を与えずに第1の層(弾性層)を形成しつつ、第3の層(離型層)界面との接着性向上が図られるため、耐熱性、非粘着性、柔軟性に優れた定着部材を得ることができる。このような定着部材を画像装置に配備すれば、耐熱合成ゴムの劣化による弾性層のクラック発生や層間剥がれに起因する画像汚れ、部材破壊、表面不均一による画像定着不良等の不具合の発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係る積層体の構成例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係るローラ形状及びベルト形状の定着部材の構成例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るベルト方式の定着装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るベルト方式の定着装置を組み込んだ画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1、A1、B1 基体
2、A2、B2 第1の層(弾性層)
3、A3、B3 第2の層(プライマー層)
4、A4、B4 第3の層(離型層)
1 像担持体
2 帯電手段
3 レーザ書き込みユニット
4 現像装置
5 転写ローラ
6、108 クリーニング装置
7 給紙部
8 給紙ローラ
9 レジストローラ対
10、110、117 定着装置
11 排紙部
12、100 画像形成装置
101 感光体ドラム
102 帯電ローラ
103 露光手段
104 現像ローラ
105 パワーパック
106 転写ローラ
107 記録紙
109 表面電位計
111 定着ローラ
112 加圧ローラ
113 定着ベルト
114 定着ローラ
115 加熱ローラ
116 加圧ローラ
A 定着部材(ローラ)
B 定着部材(無端ベルト)

Claims (6)

  1. 基体上に、耐熱性ゴムからなる第1の層、フッ素樹脂を主成分とする接着樹脂からなる第2の層、及びフッ素系樹脂からなる第3の層が順次設けられた積層体であり、
    前記第2の層は、反応性シリコーン化合物を用いて得られることを特徴とする積層体。
  2. 前記反応性シリコーン化合物は、アミノ変性シリコーン化合物、カルボキシル変性シリコーン化合物、メルカプト変性シリコーン化合物、カルビノール変性シリコーン化合物、カルビトール変性シリコーン化合物、エポキシ変性シリコーン化合物から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 前記反応性シリコーン化合物は、両末端または片末端に反応性基を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層体。
  4. 転写体上のトナー像を定着させるローラ形状もしくはベルト形状を有する定着部材であって、
    前記定着部材は、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層体からなることを特徴とする定着部材。
  5. 画像形成プロセスにおいて転写体上のトナー像を定着させる定着部材を備える定着装置であって、
    前記定着部材は、請求項4に記載の定着部材であることを特徴とする定着装置。
  6. 少なくとも像担持体、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段、定着手段、除電手段、及びクリーニング手段を有する画像形成装置であって、
    前記定着手段は、請求項5に記載の定着装置により構成されることを特徴とする画像形成装置。
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