JP7155551B2 - 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンタ等)では、記録媒体上に形成された未定着のトナー像を定着装置によって定着して画像が形成される。
例えば、特許文献1には、「基材層と表面層からなる多層ベルトであって、表面層がフッ素系樹脂からなり、基材層と表面層との接着強度が1.5N/10mm以上であり、基材層と表面層との間にプライマー層を有さない、多層無端管状ベルト。」が開示されている。
特許文献2には、「筒状に形成された樹脂製の基層を少なくとも有する無端ベルトであって、上記基層は、ポリアミドイミドおよびポリイミドから選択される1種または2種以上の樹脂を含んで構成されており、かつ、上記基層内に、独立した回転楕円体状の気孔を多数有していることを特徴とする無端ベルト。」が開示されている。
特許文献3には、「湿式凝固法により得られる芳香族ポリアミド製の多孔質膜からなるベルト基材用シームレス管状体。」が開示されている。
特開2014-231153号公報 特開2015-087546号公報 特開2002-229351号公報
定着部材は、例えば、基材と、基材上に設けられた弾性層とを有している。従来の定着部材では、基材と弾性層との間で剥離が生じることがあるため、耐久性が低い場合があった。
本発明の課題は、基材及び弾性層を有する定着部材において、基材上に、直接弾性層が設けられている場合、又は、基材、接着層、及び弾性層がこの順で設けられている場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
基材と、
前記基材上に設けられた発泡層と、
前記発泡層上に設けられた弾性層と、
を有する定着部材。
<2>
基材と、
前記基材上に設けられた発泡層と、
前記発泡層上に設けられた弾性層と、
を有し、
前記基材と前記弾性層との初期の層間剥離力が1.0N/15mmを超える定着部材。
<3>
前記基材と前記発泡層が、同じ樹脂を含む<1>又は<2>に記載の定着部材。
<4>
前記基材及び前記発泡層に含まれる樹脂が、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方の樹脂である<3>に記載の定着部材。
<5>
前記基材及び前記発泡層に含まれる樹脂が、ポリイミドである<4>に記載の定着部材。
<6>
前記発泡の膜厚が30μm以上200μm以下である<1>~<5>のいずれか1項に記載の定着部材。
<7>
前記発泡層の膜厚が40μm以上200μm以下である<6>に記載の定着部材。
<8>
前記発泡層中に存在する気孔の割合が、周方向に沿う方向で切断した断面を観察したとき、面積比率で5.0%以上20.0以下である<1>~<7>のいずれか1項に記載の定着部材。
<9>
前記発泡層と、前記表面層との間に、接着層を有する<1>~<8>のいずれか1項に記載の定着部材。
<10>
前記弾性層上に、表面層を有する<1>~<9>のいずれか1項に記載の定着部材。
<11>
ベルト状の定着部材である<1>~<10>のいずれか1項に記載の定着部材。
<12>
第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、<1>~<11>のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
<13>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、<12>に記載の定着装置である定着手段と、
を備える画像形成装置。
<1>又は<2>に係る発明によれば、基材及び弾性層を有する定着部材において、基材上に、直接弾性層が設けられている場合、又は、基材、接着層、及び弾性層がこの順で設けられている場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材が提供される。
<3>、<4>、又は<5>に係る発明によれば、基材と発泡層とに含まれる樹脂が異なる場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材が提供される。
<6>又は<7>に係る発明によれば、発泡層の膜厚が30μm未満である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材が提供される。
<8>に係る発明によれば、発泡層中に存在する気孔の割合が、周方向に沿う方向で切断した断面を観察したとき、面積比率で5.0%未満である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材が提供される。
<9>に係る発明によれば、発泡層上に、弾性層が直接設けられている場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材が提供される。
<10>に係る発明によれば、基材及び弾性層を有する定着部材において、基材上に、直接弾性層が設けられている場合、又は、基材、接着層、及び弾性層がこの順で設けられている場合に比べ、前記弾性層上に、表面層を有していても、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材が提供される。
<11>に係る発明によれば、基材及び弾性層を有する定着部材において、基材上に、直接弾性層が設けられている場合、又は、基材、接着層、及び弾性層がこの順で設けられている場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している、ベルト状の定着部材が提供される。
<12>又は<13>に係る発明によれば、基材及び弾性層を有する定着部材において、基材上に、直接弾性層が設けられている場合、又は、基材、接着層、及び弾性層がこの順で設けられている定着部材を備える場合に比べ、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上している定着部材を備える定着装置、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る定着部材の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る定着部材の一例を示す部分断面図である。 第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
<定着部材>
本実施形態に係る定着部材について説明する。
図1は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す概略断面図である。また、図2は、本実施形態に係る定着部材の一例を示す部分断面図である。
本実施形態に係る定着部材110は、図1及び図2に示すように、例えば、基材110Aと、基材110A上に設けられた発泡層110Bと、発泡層110B上に設けられた弾性層110Cと、弾性層110C上に設けられた表面層110Dとを有している。また、本実施形態に係る定着部材110は、図1及び図2に示すように、例えば、基材110Aと、基材110A上に設けられた発泡層110Bと、発泡層110B上に設けられた弾性層110Cと、弾性層110C上に設けられた表面層110Dとを有し、前記発泡層と前記弾性層との初期の層間剥離力が1.0N/15mmを超えている。なお、図示はしないが、発泡層と弾性層との間に接着層を設けてもよい。
本実施形態に係る定着部材110の発泡層110Bは、図2に示すように、多数の孔が形成されており、開口していない孔113と、開口した孔115とを有している。開口した孔115の一部は、発泡層中で、開口した孔115どうしが、開口を介して互いに連結して連なっている。発泡層110B中に存在する開口した孔115の一部には、弾性層110Cが入り込んでいる。また、発泡層110Bと弾性層110Cと境界に存在する孔113の周囲は、弾性層110Cに囲まれている。以下の説明において、開口していない孔113と、開口した孔115とを総称して気孔と称する。
ここで、図1及び図2に示す表面層110Dは、必要に応じて設けられる層である。
なお、本実施形態に係る定着部材110は、上記層構成に限られず、必要に応じて、例えば、基材110Aと弾性層110Bとの間に、金属層やその保護層を介在させた層構成であってもよい。以下の説明において、符号は省略して説明する。
ここで、従来の定着部材では、基材と弾性層との間で剥離が生じることがある。そのため、従来は、基材と弾性層との物理的結合力を向上させるため、1)基材表面に複数の溝を設け、切込み方向、溝角度、深さを特定の範囲とする方法、2)アルカリ性溶液で基材表面を処理することで粗面化させる方法、3)貫通孔を有するシート状のもので被覆する方法。4)接着剤を塗布する方法、などが行われている。例えば、基材がポリイミド等の樹脂である場合、樹脂を成膜した後に、物理的及び化学的の少なくとも一方の処理によって、弾性層との接着力を確保している。
しかしながら、上記の方法によっても、基材と弾性層との間で剥離が生じることがあることが分かってきた。
これに対し、本実施形態に係る定着部材では、基材と弾性層との間の中間層として、発泡層を設ける。基材上に中間層である発泡層を設けることで、発泡層と弾性層との接触面積が拡大する効果が得られる。さらに、発泡層は、気泡が開口していない孔と、破泡することによって気泡が開口した孔とを有することで、発泡層の表面には、凹凸形状が形成される。そのため、くさび効果によって、弾性層が発泡層に食い込みやすくなることで、発泡層と弾性層と層間の接着性が向上する。このため、本実施形態に係る定着部材は、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上していると考えられる。
また、本実施形態では、前記発泡層と前記弾性層との初期の層間剥離力が1.0N/15mmを超える定着部材も得られるため、基材と弾性層との剥離耐久性に優れた定着部材となるものと考えられ得る。
以下、本実施形態に係る定着部材の構成要素について詳細に説明する。
(基材)
基材としては、例えば樹脂材料、金属材料を用いたものが挙げられる。なお、定着部材は、ベルト状の定着部材(すなわち定着ベルト)であっても、ロール状の定着部材(すなわち定着ロール)であってもよい。定着部材が、ベルト状である場合、樹脂材料および金属材料の少なくとも一方であることがよく、樹脂材料を含むことが好ましい。基材として樹脂材料を用いた樹脂ベルトとすることで、後述の発泡層との接着性が向上し、定着部材の基材と弾性層との剥離耐久性をより向上させ得る。
基材に用いられる金属材料としては、例えば、SUS、ニッケル、銅、アルミ等の各種金属が挙げられる。
なお、樹脂材料と金属材料とを積層して基材としてもよい。
基材に用いられる樹脂材料としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエステル(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。これらの中でも、基材に用いる樹脂材料は、機械的強度、耐熱性等の点で、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方であることがよく、ポリイミドであることが好ましい。
なお、樹脂ベルトには導電性粉体などを添加分散して、体積抵抗率が制御されていてもよい。具体的には、樹脂ベルトとしては、例えば、カーボンブラックを添加・分散して、体積抵抗率を制御したポリイミドベルトが挙げられる。また、樹脂ベルトとしては、例えば、長尺のポリイミドシートの両端部をパズル上に組合せ、熱圧着部材を用いて熱圧着し、ベルト状に仕立てたものも挙げられる。
定着部材がベルト状の場合、基材の厚みは、例えば、20μm以上200μm以下であることがよく、望ましくは30μm以上150μm以下、より望ましくは40μm以上130μm以下である。
(発泡層)
発泡層は、非弾性層である。発泡層としては、気孔(開口した孔及び開口していない孔)を有していれば、発泡層を形成するための材料は特に限定されず、例えば、樹脂材料が挙げられる。基材が樹脂材料を含む場合、定着部材の基材と弾性層との剥離耐久性をより向上させる点で、基材と同種の樹脂材質を用いることが好ましい。基材としての樹脂がポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方を含む場合、発泡層は、基材と同じ樹脂を含み、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方を含む樹脂から形成されることが好ましい。基材としての樹脂がポリイミドを含む場合、発泡層は、ポリイミドを含むことがより好ましい。
発泡層中の気孔率としては(発泡層中の気孔が存在する部分の割合を意味する。)、定着部材を周方向に沿う方向で切断した断面を観察したとき、面積比率で5.0%以上20.0以下であることがよく、7.0%以上18.0%以下であることが好ましい。発泡層の気孔率が、5.0%以上20.0%以下(面積比率)の範囲であると、繰り返し画像を形成したときであっても、基材と弾性層との剥離耐久性が向上しやすくなる。ここで、開口していない孔は、孔に開口した部分が形成されていない構造の孔を表す。また、開口した孔は、開口した部分が孔の一部に形成された構造の孔を表す。
発泡層中の気孔率の測定方法としては、以下のとおりである。
まず、測定対象となる定着部材の周方向に沿う方向で切断する。発泡層をある単位長さで顕微観察し、発泡層に含まれる気泡の大きさ(長手方向と短手方向の直径)を測定し、発泡層全体に占める気泡面積率(=気孔率)を計算する。
定着部材の基材と弾性層との剥離耐久性をより向上させる点で、発泡層の膜厚は、30μm以上200μm以下であることがよく、40μm以上200μm以下であることが好ましく、40μm以上150μm以下がより好ましい。膜厚が30μm以上であると、気孔による凹凸が形成されやすくなり、接着性が向上しやすくなる。発泡層を形成のしやすさの点で200μm以下であることがよい。
(接着層)
定着部材の基材と弾性層との剥離耐久性をより向上させる点で、発泡層と、弾性層との間に、接着層を設けてもよい。なお、接着層は、発泡層上に、連続した層で形成されていてもよく、非連続の層で形成されていてもよい。
接着層を形成する材料は、特に限定されず、例えば、シランカップリング剤系、チタンカップリング剤系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系などの接着剤が挙げられる。これらの中でも、シリコーンゴムの接着に通常使用される接着剤が挙げられる。シリコーンゴムの接着に通常使用される接着剤としては、例えば、アミノシラン系カップリング剤、クロロシラン系カップリング剤、クロロメチルシラン系カップリング剤、シアノシラン系カップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、スチリル系シランカップリング剤、チタン酸エステル系カップリング剤、などが挙げられる。これらの中では、アミノシラン系カップリング剤及びチタン酸エステル系カップリング剤が好ましい。
さらに、接着層には、各種添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、弾性層に配合されてもよい各種添加剤と同様の添加剤が挙げられる。
接着層の厚みは、特に限定されず、例えば、300μm以下であることがよく、100μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。接着層の厚みの下限は、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよい。
本実施形態に係る定着部材では、発泡層と弾性層との初期の層間剥離力が、1.0Nを超える。発泡層と弾性層との初期の層間剥離力は、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましい。初期の層間剥離力の上限は特に限定されず、例えば、3.0N以下であってもよい。
ここで、本実施形態に係る定着部材において、発泡層と弾性層との初期の層間剥離力とは、定着部材を製造した後、特に処理(例えば、加熱処理)を施すことのない試験片を、ホットプレートで200℃に加熱した定着ベルトを180°剥離で測定した値のことを示す。
(弾性層)
弾性層は、耐熱性弾性材料を含んで構成される。耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
ここで、弾性層は、非発泡の弾性層である。非発泡の弾性層は、気孔を有していないか、又は有していても、発泡層の気孔率より少ない気孔率を有する弾性層である。
なお、弾性層とは、100Paの外力印加により変形しても、もとの形状に復元する材料から構成される層をいう。
耐熱性とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
弾性層には、各種添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
弾性層の厚みは、例えば、30μm以上600μm以下であることがよく、100μm以上500μm以下であることがさらに好ましい。
(表面層)
表面層は、例えば、耐熱性離型材料を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。フッ素樹脂を含む表面層は、薄膜化するとシワを発生し易いが、本実施形態では、当該表面層のシワが抑制される。
このようなフッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層の厚みは、100μm以下であるが、例えば、5μm以上50μm以下であることがよく、望ましくは10μm以上40μm以下である。
なお、表面層を形成するためのチューブには、接着層との接着性を高めるため、内面に予め接着処理が施されてもいてもよい。この接着処理としては、例えば、液体アンモニア処理、ナトリウムナフタレン処理、エキシマレーザ処理、プラズマ処理が挙げられる。
次に、本実施形態に係る定着部材の好ましい製造方法について説明する。
本実施形態に係る定着部材の製造方法は、基材上に、発泡層と形成する工程と、発泡層上に、弾性層を形成する工程と、を有する。
以下、定着部材の製造方法について具体的に説明するが、これに限られるわけではない。
まず、発泡層を形成する工程について説明する。
基材として、例えば、ベルト状の基材を準備する。以下、ベルト状の基材として、樹脂ベルトを用いた場合について説明する。
樹脂ベルトとしては、公知の方法(フローコート法(螺旋巻き塗布)による塗布など)により製造すればよい。例えば、基材形成用塗布液を、円筒状又は円柱状の芯体の外周面に塗布して塗膜を形成する第1過程、塗膜を加熱することで樹脂組成物の膜である無端状の基材を形成する第2過程などを経る方法が挙げられる。発泡層基材形成用塗布液には、例えば、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方の樹脂を含有している。
次に、基材上に発泡層を形成する。発泡層は、例えば、フローコート法による塗布などによって、気体(例えば、空気)を供給しながら形成する。気体の供給量などを調整しながら基材上に塗布することで、目的とする気孔が形成される。発泡層の形成方法は、例えば、基材形成用塗布液を、円筒状又は円柱状の芯体の外周面に、気体を供給しながら塗布して塗膜を形成する第1過程、塗膜を加熱することで樹脂組成物の膜である無端状の基材を形成する第2過程などを経る方法が挙げられる。
発泡層形成用塗布液は、基材形成用塗布液と同種の樹脂を含有しており、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方の樹脂を含有している。発泡層形成用塗布液が基材形成用塗布液と同種の樹脂を含有していると、定着部材の基材と弾性層との剥離耐久性が向上する点で、好ましい。また、発泡層形成用塗布液は、発泡させやすくする点で、基材形成用塗布液よりも粘度が高いことが好ましい。具体的には、発泡層形成用塗布液の粘度は、40Pa・s以上120Pa・s以下(好ましくは60Pa・s以上120Pa・s以下)であることがよい。発泡層形成用塗布液の粘度を40Pa・s以上とすると、気孔を形成しやすくなる。また、120Pa・s以下であると、発泡層形成用塗布液が塗布しやすくなる。発泡層に占める気孔の割合は、塗布液の粘度以外にも、例えば、空気の供給量によって調整すればよい。そして、発泡層形成用塗布液を塗布して、塗膜を形成させた後、塗膜を加熱することで、基材上に発泡層が形成される。
次に、接着層を設ける場合は、発泡層上に接着剤を塗布して接着剤層を形成する。接着層の形成は、公知の方法を適用すればよく、例えば接着層形成用塗布液を、公知の塗布法によって発泡層上に形成すればよい。接着層形成用塗布液の調製は、公知の方法で行えばよい。
次に、発泡層上(接着層を設ける場合は接着層上)に、弾性層を形成する。弾性層の形成は公知の方法を適用すればよく、例えば、塗布法によって接着層上に形成すればよい。
具体的には、例えば、まず、加熱により硬化されてシリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムを含む弾性層形成用塗布液を調製する。次に、発泡層上(接着層が設けられている場合は、接剤層形成用組成物の塗布及び乾燥により形成された接着剤皮膜上)に、弾性層形成用塗布液を塗布(例えば、フローコート法による塗布)して弾性塗膜を形成し、例えば、必要に応じて弾性塗膜を加硫させることで、接着層上に弾性層が形成される。なお、加硫における加硫温度としては、例えば150℃以上250℃以下が挙げられ、加硫時間としては、例えば30分以上120分以下が挙げられる。
弾性層上に、表面層を設ける場合は、弾性層上に表面層を設ける工程を有していてもよい。例えば、弾性層上に、表面層となる離型性のチューブ(例えばPFAチューブ)を、内径が弾性層を塗布した円筒体の外径よりも大きい内径を有する中空金属管(外金型)の内面に沿って真空吸引により貼りつくよう拡張させる。離型性のチューブは、内面に、例えば、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
本実施形態に係る定着部材は、ロール状およびベルト状のいずれの形状であってもよく、ベルト状であることが好ましい。
本実施形態に係る定着部材がベルト状の部材である場合、定着部材は、例えば、画像形成装置用の定着装置において、加熱ベルト、及び加圧ベルト等に適用される。なお、加熱ベルトにおける熱源としては、外部の熱源から加熱する方式や、電磁誘導方式等が挙げられる。
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着部材が適用される。
以下に、第1及び2実施形態として、加熱ベルトと加圧ロールとを備えた定着装置を説明する。そして、第1及び2実施形態において、本実施形態に係る定着部材は、加熱ベルト、及び加圧ロールのいずれにも適用され得る。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着部材は、加熱ロール、加熱ベルト及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
(定着装置の第1実施形態)
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図3に示すように、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)とを備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)を維持される。
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
(定着装置の第2実施形態)
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図4は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第2実施形態に係る定着装置80は、図4に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90とを備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱手段の一例)が設けられている。
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚み20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれると、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
なお、第2実施形態に係る定着装置80では、加熱源の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図5に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態に係る定着装置60である。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図5に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能であり、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは言うまでもない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
[基材の準備]
導電剤として、カーボンブラック50部、及び樹脂としてポリイミド前駆体溶液100部を分散機で分散し、カーボンブラックが分散したポリイミド前駆体溶液を得た。そして、得られたカーボンブラックが分散したポリイミド前駆体溶液を、溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に、固形分比率が20%、カーボンブラックの部数が樹脂100部に対して26部となるように混合して、真空混合し、基材形成用塗布液を得た。この基材形成用塗布液の粘度は22Pa・sであった。この基材形成用塗布液の供給用にラジアルスクリューポンプ、吐出用にモーノポンプを用いて、ステンレス製の円筒状基体に、外面らせん塗布により塗布した後、塗膜を140℃で20分乾燥し、残留溶媒率が約30%の基材を準備した。
[発泡層の形成]
基材よりも高粘度(80Pa・s)のポリイミド前駆体溶液を含む発泡形成用塗布液に、体積比で1.2倍に相当する空気を空気供給ポンプを用いて一定に近い量で供給する。吐出用モーノポンプのみを連結した流下装置内で圧力開放を行い、空気を含んだ発泡形成用塗布液を、ノズル(吐出口径2mm)から毎分15mlで、発泡形成用塗布液の吐出を行う。円筒状基体を50rpmで回転させ、吐出された発泡形成用塗布液が円筒状基体上の基材に付着後、その表面にブレードを押し当て、円筒状基体軸方向に55mm/分の速度で移動させてブレードコートを行った。その後、140℃で15分乾燥させ、円筒状基体を垂直にした状態で、加熱焼成炉に入れ、130℃で25分、200℃で25分、250℃で25分、315℃で25分間加熱した。冷却後、円筒状基体から取り外し、ポリイミド(表1中、「PI」と表記)を含む基材と、ポリイミドを含む発泡層の2層構造体を得た。発泡層の表面には、塗布ピッチに対応した気孔が形成されていた。
[弾性層及び表面層の形成]
上記で得た2層構造体の発泡層の外周面上に、接着剤として、プライマーNo4(信越化学工業社製)を塗布及び乾燥した。その後、信越化学工業社製のシリコーンゴム材料(X-34-1972-3A/X-34-1972-3B=50/50(質量比))85質量%を、酢酸ブチル15質量%で希釈した、弾性層形成用塗布液を、フローコート法で、膜厚200μmとなるように塗布し、100℃×20分乾燥で硬化させた。その後、信越化学工業社製のプライマー(KE-1950-10A/KE-1950-10B=1/1(質量比))をフローコート法により、20μmとなるように塗布した。その後、50℃で60分乾燥して半硬化し、プラズマ処理の易接着処理されたPFAチューブを被覆した。空気抜き後、200℃で4時間加熱硬化させ、幅360mmに切断して、実施例1の定着ベルトを得た。
<実施例2>
2層構造体の発泡層の外周面上に、接着剤を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の定着ベルトを得た。
<実施例3>
基材と発泡層のポリイミドをポリアミドイミド(表1中、「PAI」と表記)に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の定着ベルトを得た。
<実施例4>
基材と発泡層の厚みを変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の定着ベルトを得た。
<比較例1>
発泡層を設けず、基材の外周面上に、接着剤を塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の定着ベルトを得た。
<比較例2>
発泡層を設けず、基材の外周面上に、接着剤を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の定着ベルトを得た。
<評価>
(層間剥離試験)
-初期の層間剥離試験-
各例で得た各々の定着ベルトについて、幅15mm×長さ10cmに切り出し試験用の試料を作製した。この試料を、ホットプレート上で加熱した状態で、弾性層と基材(発泡層)との間の初期の層間剥離力をフォースゲージにて測定した。層間剥離試験は、ベルト表面温度200℃、剥離速度2cm/秒、剥離方向180°で行った。層間剥離力とともに、目視により、層間の状態を観察した。弾性層と基材(発泡層)との界面での剥離が発生していないものをG0とし、全面で界面剥離が発生しているものをG4とした。なお、初期の層間剥離試験は、表1中で(t=0)と表記している。
-経時での層間剥離試験-
剥離力測定用試料と同じ大きさの試料を230℃に加熱したオーブンに入れ、温度230℃、100時間経過後にオーブンから取り出して、上記の初期の層間剥離試験と同様の手順により、経時での層間剥離試験を行い、層間剥離力と目視による観察により評価した。なお、経時での層間剥離試験は、表1中で、(230℃×100hr)と表記している。
(耐久性試験)
各例で得られた定着ベルトロールを、画像形成装置(富士ゼロックス社製、「Docu Centre-III C3300」)の定着装置に装着した。この定着装置を画像形成装置に組み込んだ。この画像形成装置により、J紙(富士ゼロックス社製)を用いて、2万枚の画像を出力する走行試験を行った。その後、弾性層と基材(発泡層)との剥離について、目視にて観察し、下記評価基準にて評価を行った。
G0:10回試験のうち、全ての試験片で層間剥離が認められない。
G1:10回試験のうち、一部の試験片で層間剥離が認められる。
G2:10回試験のうち、全ての試験片で層間剥離が認められる。
(気孔率の測定)
発泡層の気孔の量の測定を既述の方法で測定した。なお、表1中の気孔率は面積比率である。
Figure 0007155551000001

上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、層間剥離の結果が良好であることがわかる。したがって、本実施例は、比較例に比べ、基材と弾性層との剥離耐久性が向上していることがわかる。なお、比較例2は、接着していないため、耐久性試験を行わなかった。
62 加圧ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着部材
110A 基材
110B 発泡層
110C 弾性層
110D 表面層

Claims (11)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられた発泡層と、
    前記発泡層上に設けられた弾性層と、
    を有し、前記発泡層中に存在する気孔の割合が、周方向に沿う方向で切断した断面を観察したとき、面積比率で5.0%以上20.0%以下であり、
    前記発泡層の膜厚が30μm以上200μm以下である定着部材。
  2. 基材と、
    前記基材上に設けられた発泡層と、
    前記発泡層上に設けられた弾性層と、
    を有し、前記発泡層中に存在する気孔の割合が、周方向に沿う方向で切断した断面を観察したとき、面積比率で5.0%以上20.0%以下であり、
    前記発泡層と前記弾性層との初期の層間剥離力が1.0N/15mmを超え
    前記発泡層の膜厚が30μm以上200μm以下である定着部材。
  3. 前記基材と前記発泡層が、同じ樹脂を含む請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
  4. 前記基材及び前記発泡層に含まれる樹脂が、ポリイミド及びポリアミドイミドの少なくとも一方の樹脂である請求項3に記載の定着部材。
  5. 前記基材及び前記発泡層に含まれる樹脂が、ポリイミドである請求項4に記載の定着部材。
  6. 前記発泡層の膜厚が40μm以上200μm以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の定着部材。
  7. 前記発泡層と、前記弾性層との間に、接着層を有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の定着部材。
  8. 前記弾性層上に、表面層を有する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の定着部材。
  9. ベルト状の定着部材である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の定着部材。
  10. 第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、
    前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の定着部材である定着装置。
  11. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
    帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段であって、請求項10に記載の定着装置である定着手段と、
    を備える画像形成装置。
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