JP6066011B1 - 回転部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

回転部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】弾性層の基材からの剥離に起因する外周面の隆起が抑制される回転部材の提供。【解決手段】管状の基材10Aと、基材10A上に設けられた弾性層10Dであり、弾性層10Dの内周面における硬度Bが弾性層10Dの外周面における硬度Aの15倍以上である弾性層10Dと、を有する画像形成装置用の回転部材10。【選択図】図1

Description

本発明は、回転部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、樹脂製の基材層の外周面に、ゴム弾性層、及び樹脂製の表面層を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、ゴム弾性層中にカップリング剤で処理されたフィラーを含み、フィラーがゴム弾性層中の表面層側に偏在しており、表面層のテーバー磨耗量、表面層側から測定したマルテンス硬さ、及び表面層側から測定したIRHD硬度が特定の範囲である画像形成装置用ベルトが開示されている。
特開2012−181494号公報
画像形成装置用の回転部材は、画像形成装置の動作に伴って圧力を受けながら回転し続ける用途で使用されることが多い。例えば、回転部材を定着部材として用いて画像の定着を繰り返すと、定着部材は外周面側から圧力を受けながら、回転を繰り返す。
そして、管状の基材上に弾性層が設けられた回転部材が圧力を受けながら回転を繰り返すと、基材と弾性層との間の硬度差が大きいことによって、弾性層における基材側の界面(すなわち内周面)に応力が集中し、上記界面における剥離が生じることがあった。そして、上記剥離に起因して、回転部材の外周面が隆起することがあった。
本発明は、弾性層の内周面における硬度Bが弾性層の外周面における硬度Aの15倍未満である場合に比べ、弾性層の基材からの剥離に起因する外周面の隆起が抑制される回転部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
請求項1に係る発明は、管状の基材と、
管状の基材と、
前記基材の外周面上に設けられた弾性層であり、前記弾性層の内周面における硬度Bが前記弾性層の外周面における硬度Aの15倍以上である弾性層と、
前記基材と前記弾性層との間に前記弾性層の内周面に接して設けられ、SiH構造を有するシロキサンオリゴマー、アルケニル基を有するシランカップリング剤、及びテトラアルコキシシランを含む組成物の硬化物である層と、
を有する画像形成装置用の回転部材。
請求項2に係る発明は、
前記SiH構造を有するシロキサンオリゴマーが、後述の一般式(1)で表される化合物であり、
前記アルケニル基を有するシランカップリング剤が、後述の一般式(3)で表される化合物であり、
前記テトラアルコキシシランが、後述の一般式(2)で表される化合物である、
請求項1に記載の回転部材。
請求項3に係る発明は、
前記弾性層を前記弾性層の内周面から厚み方向に2μm削って得られる面における硬度Cが、前記弾性層の外周面における硬度Aの1.0倍以上1.2倍以下である請求項1又は請求項2に記載の回転部材。
請求項4に係る発明は、
第1の回転体と、前記第1の回転体の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を前記第1の回転体と共に挟み込む第2の回転体と、を有し、
前記第1の回転体及び前記第2の回転体の少なくとも一方が請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の回転部材である定着装置。
請求項5に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項4に記載の定着装置と、
を有する画像形成装置。
請求項1〜3に係る発明によれば、弾性層の内周面における硬度Bが弾性層の外周面における硬度Aの15倍未満である場合に比べ、弾性層の基材からの剥離に起因する外周面の隆起が抑制される回転部材が提供される。
請求項4又は5に係る発明によれば、弾性層の内周面における硬度Bが弾性層の外周面における硬度Aの15倍未満である回転部材を定着部材として適用した場合に比べ、回転部材における弾性層離の基材からの剥離に起因する外周面の隆起に伴う記録媒体の皺の発生が抑制される定着装置又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る回転部材の一例における層構成を示す概略断面図である。 本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<回転部材>
本実施形態に係る画像形成装置用の回転部材(以下、単に「回転部材」ともいう)は、管状の基材と、前記基材の外周面上に設けられた弾性層と、を有する。
そして、本実施形態に係る回転部材は、前記弾性層の内周面における硬度B(以下、単に「硬度B」ともいう)が、前記弾性層の外周面における硬度A(以下、単に「硬度A」ともいう)の15倍以上である。
本実施形態に係る回転部材は、上記構成であることにより、弾性層の基材からの剥離に起因する外周面の隆起が抑制される。
その理由は定かではないが、以下のように推測される。
一般的に、画像形成装置用の回転部材に用いる基材は、回転部材としての形状を保つ目的で相対的に高い硬度が求められるのに対し、基材の外周面上に設けられる弾性層は、弾性を有することが求められるため、硬度が相対的に低い。例えば定着装置の定着部材として用いる回転部材では、定着画像の光沢ムラを抑制する観点から、特に硬度の低い弾性層が求められている。つまり、画像形成装置用の回転部材では、基材の硬度が高く、かつ、弾性層の硬度が低いものが好ましいとされ、結果的に好ましい回転部材では基材と弾性層との間の硬度差が大きくなっている。
しかしながら、基材と弾性層との間の硬度差が大きい回転部材が圧力を受けると、弾性層における基材側の界面(すなわち内周面)に応力が集中し、集中した応力によって弾性層の剥離が起こり、それに起因して回転部材の外周面が隆起する場合がある。
これに対して本実施形態では、弾性層の内周面が弾性層の外周面に比べて相対的に15倍以上高い硬度を有する。そのため本実施形態の回転部材では、硬度の低い弾性層を用い、基材と弾性層の外周面との硬度差が大きくても、基材と弾性層の内周面との硬度は小さくなる。それにより、弾性層の基材側の界面における応力の集中が緩和されて剥離が起こりにくく、弾性層の基材からの剥離に起因する回転部材の外周面の隆起が抑制されると推測される。
ここで、上記硬度A及び硬度Bは、ナノインデンターを用いてナノインデンテーション法により得られた硬さである。
具体的には、例えば、まず回転部材の弾性層における外周面又は内周面が露出した測定試料を準備する。そして、測定試料の表面(弾性層の外周面又は内周面)について、ナノインデンター(フィッシャー・インストルメンツ社製HM500)を用いてナノインデンテーション法によりの硬さを測定する。測定は、ベルコビッチ圧子により、最大押し込み深さ0.5μmの条件で行い、それぞれ3か所測定して平均値を求める。
なお、弾性層の外周面又は内周面が露出した測定試料を準備する方法は、外周面又は内周面に直接接触する層の有無及び材質によって異なるが、例えば、外周面又は内周面に直接接触する層を機械研磨により削り取る方法が挙げられる。
本実施形態では、弾性層がシリコーンゴムを含有し、かつ、基材と弾性層との間に弾性層の内周面に接して設けられ、SiH構造を有するシロキサンオリゴマーを含む組成物の硬化物である層を、さらに有することが好ましい。以下、SiH構造を有するシロキサンオリゴマーを「SiH含有シロキサンオリゴマー」ともいう。また、弾性層の内周面に接して設けられ、かつ、SiH含有シロキサンオリゴマーを含む組成物の硬化物である層を、「特定中間層」ともいう。
上記構成の回転部材では、特定中間層がSiH含有シロキサンオリゴマーに由来するSiH構造を有する。SiH構造におけるSi原子に直接結合する水素原子は、弾性層に含まれるシリコーンゴムの炭素−炭素二重結合(例えばビニル基等)に付加反応することで、共有結合を形成する。特定中間層と弾性層との界面において共有結合が形成されることで、弾性層の内周面における硬度(すなわち硬度B)が弾性層の外周面における硬度(すなわち硬度A)の15倍以上高くなると考えられる。加えて、特定中間層と弾性層との界面において共有結合が形成されると、特定中間層と弾性層との間の接着力が向上し、弾性層の基材からの剥離が抑制されることで、弾性層の剥離に起因する回転部材の外周面の隆起がさらに抑制されると考えられる。
また本実施形態では、弾性層を弾性層の内周面から厚み方向に2μm削って得られる面における硬度Cが、硬度Aの1.0倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
ここで、硬度Cは、硬度A及び硬度Bと同様に、ナノインデンターを用いてナノインデンテーション法により得られた硬さである。硬度Cの測定方法についても、硬度A及び硬度Bと同様である。
なお、硬度Cを測定するための測定試料は、硬度Bを測定するための測定試料(弾性層の内周面が露出した測定試料)を準備した上で、弾性層を2μm削りとる。弾性層を削りとる方法は、弾性層の材質によっても異なるが、例えば、機械研磨により弾性層を2μm削り取る方法が挙げられる。
上記のように、硬度Bが硬度Aの15倍以上であり、かつ、硬度Cが硬度Aの1.0倍以上1.2倍以下である回転部材は、弾性層の内周面と基材との硬度差が小さいが、弾性層の外周面だけでなく弾性層の内周面から厚み方向に2μmの位置においても硬度が低い。つまり、弾性層の内周面の表層のみにおいて硬度が高くなっている。そのため、上記回転部材では、弾性層の外周面だけでなく弾性層の内部まで硬度が低いことでより弾性層としての機能を発揮しつつ、弾性層の基材からの剥離に起因する外周面の隆起も抑制される。そのため、例えば上記回転部材を定着部材として用いると、弾性層としての機能により定着画像の光沢ムラを抑制しつつ、定着部材の外周面における隆起に起因する記録媒体の皺の発生も抑制される。
硬度Bが硬度Aの15倍以上であり、かつ、硬度Cが硬度Aの1.0倍以上1.2倍以下とする実現手段として、例えば、基材と弾性層との間に弾性層の内周面に接して他の層を設け、弾性層と他の層との界面において共有結合を形成する方法が挙げられる。また、弾性層と他の層との界面において共有結合を形成する方法として、例えば前述のように、シリコーンゴムを含有する弾性層を採用し、他の層として前記特定中間層を適用することで、弾性層と特定中間層との界面において共有結合を形成する方法が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置用の回転部材の一例として、電磁誘導方式の定着装置における定着ベルトとして用いる無端ベルトの構成について、図を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置用の無端ベルトの一例を示す概略構成図である。
図1に示すベルト10(回転部材)は、管状の基材10Aの外周面上に、金属層10Bと、中間層10Cと、弾性層10Dと、離型層10Eと、が順に積層された層構成を有する無端ベルトである。なお、金属層10Bは、下地金属層102、電磁誘導作用により自己発熱する電磁誘導金属層104、及び金属保護層106がこの順に積層されてなる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置用の無端ベルトを構成する各層についてより詳細に説明する。
なお、以下においては図1に示す構成のベルト10を例にして説明するが、本実施形態はこの構造に限定されるものではない。例えば、図1には金属層10Bとして、下地金属層102、電磁誘導金属層104、金属保護層106がこの順に積層されてなる構造を示すが、積層される金属層の数が異なっていてもよい。具体的には、単層の金属層からなり、電磁誘導作用により自己発熱する金属層であってもよい。
また、図1には、中間層10Cが金属層10Bに直接接触して設けられている構造を示すが、金属層10Bと中間層10Cとの間に他の層を有していてもよい。
また、図1には、金属層10Bと弾性層10Dとの間に中間層10Cが設けられている構造を示すが、弾性層10Dの硬度A及び硬度Bが前記要件を満たせば、中間層10Cを有していなくてもよい。
さらに、図1には、弾性層10Dの外周面に離型層10Eが設けられている構造を示すが、離型層10Eを有していなくてもよい。
なお、以下において、各層の符号は省略して説明する場合がある。
[基材10A]
基材10Aは、金属層10Bが発熱した状態でも物性の変化が少なく、高強度を維持する層であることがよい。このため、基材10Aは、主として耐熱性樹脂から構成されることが好ましい(本明細書において、「主として」、「主成分」とは、質量比で50%以上であることを意味し、以下も同義である)。
耐熱性樹脂から主に構成される基材10Aの場合、ベルトの内周面と接触する押圧部材との摺動性が確保され、押圧部材の寿命が延長される。更に、耐熱性樹脂には断熱効果があるため、金属層10Bからの熱を押圧部材へ逃がすことなく、効率よく外周表面側に伝熱し得る。
基材10Aを構成しうる耐熱性樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱かつ高強度の樹脂等が挙げられるが、これら以外にも、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が用いられる。これらの中でも、ポリイミドが好ましい。
また、耐熱性樹脂中に断熱効果のある充填材を加えたり、耐熱性樹脂を発泡させたりすることにより、断熱効果を更に向上させてもよい。
基材10Aの厚さは、ベルトの長期に渡る繰り返しの周動搬送を実現する剛性と柔軟性とを両立させる観点から、10μm以上200μm以下の範囲が好ましく、30μm以上100μm以下の範囲がより好ましい。
また、金属層10Bの亀裂の発生を抑制する観点から、基材10Aの引張り強度は200MPa以上(より好ましくは250MPa以上)を満たすことが好ましい。基材の引張り強度は、樹脂の種類、充填材の種類及び添加量によって調整される。
なお、基材の引張り強度(MPa)は、基材を幅5mmの短冊形状に切り出し、これを引張試験機Model 1605N(アイコーエンジニアリング社製)に設置し、10mm/sec等速で引っ張った際の引張破断強度(MPa)にして測定される。
また、基材10Aの外周面における硬度(ナノインデンターを用いてナノインデンテーション法により得られた硬さ)としては、形状を維持する観点で3000MPa以上が挙げられ、ベルトとして機能させるためには3000MPa以上7000MPa以下が好ましい。
[下地金属層102]
下地金属層102は、基材10Aの外周面に電磁誘導金属層104を電解めっき法により形成するために予め形成される層であり、必要に応じて設けられる。電磁誘導金属層104の形成方法としては、コスト等の観点から電解めっき法が好ましいが、主に樹脂で構成される基材10Aを用いる場合は、直接電解めっきを行うことが困難である。そこで、電磁誘導金属層104形成のため、下地金属層102を設けることが好ましい。
基材10Aの外周面に下地金属層102を形成する方法としては、無電解めっき法、スパッタリング法、蒸着法等が挙げられ、成膜の容易性の観点から化学めっき法(無電解めっき法)が好ましく、中でも一般的な無電解ニッケルめっき層、無電解銅めっき層等が好ましい。
なお、無電解めっき法によって基材10Aの外周面に下地金属層102を形成する前に、金属粒子が付着し易いように、基材10Aの外周面の表面粗さを予め粗くする処理(粗面化処理)を施してもよい。粗面化処理としては、例えば、アルミナ砥粒等を用いたサンドブラスト、切削、サンドペーパーがけ等により、基材10Aの表面を粗面化する方法が挙げられる。
下地金属層102の厚さは0.1μm以上5μm以下の範囲が好ましく、0.3μm以上3μm以下の範囲がより好ましい。
なお、本実施形態に係るベルトを構成する各層の厚さは、ベルトの円筒体の周方向、軸方向について断面を作製し、走査型電子顕微鏡(日本電子社製「JSM6700F」)の加速電圧2.0kV、5000倍における観察像から膜厚を測定した値である。
[電磁誘導金属層104]
電磁誘導金属層104は、磁界が印加された際にこの層内に発生する渦電流により発熱する機能を有する発熱層であり、電磁誘導作用を生ずる金属で構成される。
電磁誘導作用を生ずる金属としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛などの単一金属、又は、2種類以上の金属を含む合金を選択してもよい。コスト、発熱性能、及び加工性を考慮すると、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロムが適しており、その中でも特に、銅又は銅を主成分とする合金が好ましい。
電磁誘導金属層104は、周知の方法、例えば電解めっき処理を施すことで形成される。
電磁誘導金属層104の厚さは、その金属材質により最適な厚さが異なるが、例えば銅を電磁誘導金属層104に用いる場合、効率的に発熱させる観点から、電磁誘導金属層104の厚さは3μm以上50μmの範囲であることが好ましく、3μm以上30μmの範囲であることがより好ましく、5μm以上20μmの範囲であることがさらに好ましい。
[金属保護層106]
電磁誘導金属層104の外周表面側には、膜強度を向上させ、繰り返しの変形による亀裂や、長時間の繰り返し加熱による酸化劣化等を抑制し、発熱特性を維持するために、金属保護層を電磁誘導金属層104と接触して設けることが好ましい。
金属保護層106は、薄膜で破断強度が高く、耐久性及び耐酸化性が高いことが良く、耐酸化金属であることが好ましい。具体的には、例えば、銅、又はニッケルを含んで構成されることがよく、特に、繰り返しの変形による亀裂の発生、及び繰り返し加熱での酸化劣化等の抑制の点から、耐酸化金属であるニッケル(又はニッケル合金)を含むことが好ましい。
金属保護層の厚さは、その材質により最適な厚さが異なるが、例えばニッケルによって金属保護層を形成する場合は、破断強度の不足による亀裂発生を抑制する一方、柔軟性が得られ、膜自体の熱容量が大きくなりすぎず、ウォームアップ時間を短く抑える観点から、2μm以上20μm以下の範囲であることが好ましく、2μm以上15μm以下の範囲であることがより好ましく、5μm以上10μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
金属保護層は、薄膜での加工性も考慮した場合、電解めっき法で形成することが好ましく、中でも強度が高い電解ニッケルめっきがより好ましい。
電界めっき法により形成する場合、まずニッケルイオン等の金属イオンを含むめっき液を準備し、このめっき液に下地金属層102及び電磁誘導金属層104を有する基材10Aを浸漬して電解めっきを行い、求められる厚さの電解めっき層を形成する。
[中間層10C]
中間層10Cは、金属層10Bと弾性層10Dとの間に、必要に応じて設けられる層である。
前述の通り、弾性層10Dがシリコーンゴムを含有する場合、中間層10Cは、SiH含有シロキサンオリゴマーを含む組成物の硬化物の層(すなわち前記特定中間層)であることが好ましい。
以下、SiH含有シロキサンオリゴマーを含む組成物を「特定組成物」ともいう。
以下、中間層10Cの一例として、特定組成物の硬化物である特定中間層について説明するが、これに限定されるものではない。
−特定組成物−
特定組成物は、少なくともSiH含有シロキサンオリゴマーを含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
特定組成物は、その他の成分として、アルケニル基を有するシランカップリング剤(以下「アルケニル系シランカップリング剤」ともいう)を含んでもよい。
特定組成物が、SiH含有シロキサンオリゴマーに加えてアルケニル系シランカップリング剤を含むと、さらに弾性層の剥離が抑制される。その理由は定かではないが、SiH含有シロキサンオリゴマーのSiH構造における水素原子とアルケニル系シランカップリング剤のアルケニル基との付加反応により架橋構造が形成されることで、特定中間層が適度なゴム弾性を得るためと推測される。特定中間層が適度なゴム弾性を有していると、回転部材が圧力を受け続けても、応力の集中がさらに緩和され、弾性層の剥離が抑制される。
また、特定組成物は、その他の成分として、テトラアルコキシシランを含んでもよい。
なお、特定組成物がSiH含有シロキサンオリゴマーに加えてアルケニル基を有するシランカップリング剤を含む場合、さらにテトラアルコキシシランを含むと、より弾性層の剥離が抑制される。その理由は定かではないが、テトラアルコキシシランをさらに含むことで、特定中間層の硬度が低くなりすぎず、適度なゴム弾性が得られるためと推測される。特定中間層が適度なゴム弾性を有することで、特定中間層の硬度が低くすぎることによる特定中間層の内周面への応力集中が抑制され、弾性層及び特定中間層の剥離に起因する回転部材の外周面の隆起が抑制される。
以上のことから、特定組成物は、その他の成分としてテトラアルコキシシラン及びアルケニル基を有するシランカップリング剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。また、特定組成物は、その他の成分としてテトラアルコキシシラン及びアルケニル基を有するシランカップリング剤の両方を含むことがさらに好ましい。
以下、特定組成物に含まれる各成分について説明する。
(SiH構造を有するシロキサンオリゴマー)
SiH含有シロキサンオリゴマーは、1つ以上のSiH構造(すなわち、ケイ素原子と水素原子とが直接結合した構造)と、2つ以上の連続したシロキサン結合と、を有するシロキサン化合物である。
SiH含有シロキサンオリゴマーの1分子が有するSiH構造の数は、1以上であり、特定中間層と弾性層との接着性の観点から、2以上が好ましく、2以上10以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。
SiH含有シロキサンオリゴマーの1分子が有するSi原子の数は、3以上であり、接着性の向上の観点から、3以上100以下が好ましい。
SiH含有シロキサンオリゴマーの数平均分子量は、例えば200以上10000以下が挙げられ、接着性の向上の観点から、200以上6000以下が好ましい。
なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
SiH含有シロキサンオリゴマーの分子構造は、直鎖状でもよく、分岐状でもよく、環状でもよい。
SiH含有シロキサンオリゴマーとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を示し、nは1以上の整数を示す。
一般式(1)中、R11〜R17が示す1価の有機基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で炭素数1以上4以下(好ましくは1以上3以下)のアルキル基等が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアルキル基の置換基としては、例えば、後述する置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すアリール基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、後述する置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17が示すシリルオキシ基の置換基としては、例えば、前述の置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のシリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(1)中、R11〜R17は、これらの中でも、接着性の向上の観点から、水素原子、炭素数1以上2以下の無置換のアルキル基、無置換のフェニル基、無置換のシリルオキシ基、炭素数1以上2以下の無置換のアルキル基で置換されたシリルオキシ基が好ましく、水素原子、炭素数1以上2以下のアルキル基がより好ましい。
なお、一般式(1)中のnが2以上の場合、一般式(1)で表される化合物における2以上のR13及びR14は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
また、一般式(1)中のR13とR14とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR11とR12とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。一般式(1)中のR15とR16とは、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、これらの中でも、R11〜R16が水素、メチル基、又はエチル基であり、R17が水素原子である化合物が好ましく、R11〜R16がいずれもメチル基であり、R17が水素原子である化合物がより好ましい。
特定組成物中の固形分全体に対するSiH含有シロキサンオリゴマーの含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、接着性、塗布性の向上の観点から、2質量%以上30質量%以下が好ましい。
(テトラアルコキシシラン)
テトラアルコキシシランは、Si原子に4つのアルコキシ基が結合した化合物であり、下記一般式(2)で表される。
一般式(2)中、R21、R22、R23、及びR24は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基を示す。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状で炭素数1以上4以下(好ましくは1以上3以下)のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
一般式(2)中、R21〜R24が示すアルキル基の置換基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のアルコキシ基が挙げられ具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等が挙げられる。
一般式(2)中、R21〜R24は、これらの中でも、接着性向上の観点から、無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
一般式(2)中のR21〜R24は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(2)で表されるテトラアルコキシシランは、これらの中でも、R21〜R24がメチル基又はエチル基である化合物が好ましく、R21〜R24のいずれもがメチル基である化合物がより好ましい。
特定組成物中の固形分全体に対するテトラアルコキシシランの含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、2質量%以上30質量%以下が好ましい。
なお、特定組成物に含まれる、SiH含有シロキサンオリゴマー100質量部に対するテトラアルコキシシランの量としては、例えば、質量部以上質量部以下が挙げられ、質量部以上質量部以下が好ましい。
(アルケニル基を有するシランカップリング剤)
アルケニル系シランカップリング剤は、アルケニル基を有するシランカップリング剤であれば特に限定されない。
ここで、シランカップリング剤とは、Si原子にアルコキシ基及びハロゲン原子の少なくとも一方が直接結合した化合物である。
また、アルケニル基としては、例えば、炭素数2以上4以下のアルケニル基が挙げられ、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。また、アルケニル基としては、末端に二重結合を有するアルケニル基が好ましい。
アルケニル系シランカップリング剤の具体例としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
特に、アルケニル系シランカップリング剤として好ましくは、アルケニル基を有し、かつ、3つのアルコキシ基がSi原子に直接結合した化合物が挙げられる。
また、アルケニル系シランカップリング剤としては、例えば、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(3)中、R31、R32、及びR33は、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基を示し、R34は、アルケニル基を有する1価の有機基を示す。
一般式(3)中、R31〜R33が示す置換又は無置換のアルキル基としては、例えば、前記一般式(2)中のR21〜R24が示す置換又は無置換のアルキル基と同様のものが挙げられる。
一般式(3)中のR31〜R33は、互いに同じであっても異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基としては、例えば、アルケニル基、アルケニルオキシアルキル基、アルケニルシクロアルキル基、アルケニルアリール基等が挙げられる。
一般式(3)中、R34が示すアルケニル基を有する1価の有機基は、これらの中でも、アルケニル基が好ましく、末端に二重結合を有するアルケニル基がより好ましく、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基がさらに好ましく、ビニル基が特に好ましい。
一般式(3)で表されるアルケニル系シランカップリング剤は、これらの中でも、R31〜R33がメチル基又はエチル基であり、R34がビニル基又はアリル基である化合物が好ましく、R31〜R33のいずれもがメチル基であり、R34がビニル基である化合物がより好ましい。
特定組成物中の固形分全体に対するアルケニル系シランカップリング剤の含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下が挙げられ、弾性層の剥離抑制の観点から2質量%以上30質量%以下が好ましい。
なお、特定組成物に含まれる、SiH含有シロキサンオリゴマー100質量部に対するアルケニル系シランカップリング剤の量としては、例えば、20質量部以上500質量部以下が挙げられ、30質量部以上300質量部以下が好ましい。
(その他の成分)
その他の成分としては、例えば、溶剤(例えば、酢酸ブチル等)、無機粒子(例えば、酸化鉄、シリカ等)も挙げられる。
また、特定組成物は、その他の成分として、他のシランカップリング剤をさらに含んでもよい。他のシランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基系シランカップリング剤、アミノ基系シランカップリング剤、メタクリル基系シランカップリング剤、スチリル基系シランカップリング剤、及びアミノ基系シランカップリング剤等が挙げられる。
(特定組成物の調製)
特定組成物の調製は、公知の方法で行えばよく、例えば、上記各成分を混合し、攪拌することで、特定組成物を調製すればよい。
−特定中間層の形成方法及び特性−
特定中間層の形成は、公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって金属層10B上に形成すればよい。
具体的には、例えば、まず、特定組成物を金属層10B上に塗布して乾燥させることで特定皮膜を形成する。次に、特定皮膜上に、後述する弾性層形成用塗布液を塗布して弾性塗膜を形成し、必要に応じて弾性塗膜を乾燥させて弾性皮膜とした後、これらを加熱することで、弾性層10Dの形成とともに特定中間層が形成される。このようにして形成された特定中間層は、特定組成物の未硬化物(すなわち特定皮膜)が弾性層形成用塗布液の未硬化物(すなわち弾性塗膜又は弾性皮膜)に接触した状態で硬化した硬化物である。
なお、特定中間層の形成は、上記方法に限られず、例えば、特定組成物の未硬化物(すなわち特定皮膜)を加熱して硬化物(すなわち特定中間層)を形成した後に、形成された特定中間層上に弾性層形成用塗布液を塗布してもよい。
特定皮膜形成時における乾燥温度としては、例えば、10℃以上35℃以下が挙げられ、乾燥時間としては、例えば10分以上360分以下が挙げられる。
また、上記加熱における加熱温度としては、100℃以上200℃以下の範囲が挙げられる。また、上記加熱は、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス等)雰囲気下で行ってもよい。
特定中間層の膜厚としては、例えば、0.1μm以上10μm以下が挙げられ、0.5μm以上2μm以下が好ましく、1μm以上1.5μm以下がより好ましい。
[弾性層10D]
弾性層10Dは、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う層である。特に、多色画像を形成する場合、弾性層10Dにより、記録媒体及びトナー像の加熱ムラによる発色性低下及び光沢ムラが抑制された画像が得られる。また、弾性層10Dが加圧部材との接触領域内で変形し、低荷重でも接触幅が得られることから、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)が速くなってもトナー像への熱の受け渡しがなされて定着が行われ、白黒画像を形成する場合でも、高速化が実現される。
弾性層10Dは、例えば、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する弾性材料から構成されることがよい。
前述の通り、中間層10Cが特定中間層である場合、弾性層10Dはシリコーンゴムを含有することが好ましい。シリコーンゴムの未硬化物は、炭素−炭素二重結合(例えばビニル基等)を有する。そして、特定組成物の膜とシリコーンゴムの未硬化物とが接した状態で硬化することにより、シリコーンゴムに含まれる炭素−炭素二重結合と特定組成物に含まれるSiH構造の水素原子(すなわちSi原子に直接結合する水素原子)とが反応し共有結合を形成する。
以下、弾性層10Dの一例として、シリコーンゴムを含有する形態を説明するが、これに限られるものではない。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
市販品としては、例えば、東レダウコーニングシリコーン社製の液状シリコーンゴムSE6744等が挙げられる。
なお、本実施形態では、弾性層10Dに含まれる弾性材料中において、シリコーンゴムが主成分である(つまり質量比で50%以上含む)ことが好ましく、さらにその含有率は90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以下であることがさらに好ましい。
弾性層10Dは、弾性材料としてさらにシリコーンゴム以外の材料を含んでもよく、例えばフッ素ゴム等の耐熱性のゴムが挙げられる。フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
市販品としては、例えば、DuPont Dow elastmers社製のバイトンB−202等が挙げられる。
弾性層には、各種添加剤が配合されてもよい。
特に、弾性層10Dの熱伝導性を向上させる観点から、フィラーを添加することが好ましい。尚、フィラーの熱伝導率は、弾性層10Dにおいてより高い熱伝導性を得る観点から、0.3W/mK以上が好ましく、更には50W/mK以上がより好ましく、100W/mK以上が更に好ましい。
フィラーの材質としては、炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)、酸化チタン、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、金属ケイ素等の周知の無機フィラーが挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性の点から、窒化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、窒化ホウ素、炭化物が好ましい。
弾性層10Dのフィラーの含有量は、求められる熱伝導性、機械的強度等により決定されればよい。例えば、弾性層10D中に占めるフィラーの含有率は、1質量%以上20質量%以下の範囲が好ましく、3質量%以上15質量%以下の範囲がより好ましく、5質量%以上10質量%以下の範囲がさらに好ましい。
また、添加剤としては、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
弾性層10Dの形成は公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって中間層10C上に形成すればよい。
なお、中間層10Cが特定中間層である場合は、例えば以下の方法で弾性層10Dを形成する。具体的には、例えば、まず、加熱により硬化されて上記シリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムを含む弾性層形成用塗布液を調製する。次に、前述のように、特定組成物の塗布及び乾燥により形成された特定皮膜上に弾性層形成用塗布液を塗布して弾性塗膜を形成し、必要に応じて弾性塗膜を乾燥させた後、これらを加熱することで、特定中間層と共に弾性層10Dが形成される。このようにして形成された弾性層10Dは、弾性層形成用塗布液の未硬化物が特定組成物の未硬化物に接触した状態で硬化した硬化物である。
なお、弾性層10Dの形成は、上記方法に限られず、特定中間層を形成した後に、形成された特定中間層上に弾性層形成用塗布液を塗布し、弾性層10Dを形成してもよい。
上記加熱における加熱温度等の条件は、前記の通りである。
弾性層10Dの厚みは、例えば、30μm以上600μm以下であることがよく、好ましくは100μm以上500μm以下である。
弾性層10Dの外周面における硬度Aは、定着画像の光沢ムラを抑制する観点で、1.6MPa以下が好ましく、0.4MPa以上1.4MPa以下がより好ましく、0.6MPa以上1.2MPa以下がさらに好ましい。
また、弾性層10Dの内周面における硬度Bは、弾性層の剥離に起因する隆起の抑制の観点で、前記の通り、弾性層10Dの外周面における硬度Aの15倍以上であり、15倍以上150倍以下が好ましく、50倍以上150倍以下がより好ましく、100倍以上150倍以下がさらに好ましい。
[離型層10E]
離型層10Eは、記録媒体と接触する側の面(外周面)に、定着時に溶融状態のトナー像が固着するのを抑制する役割を担う層である。
離型層10Eは、フッ素系化合物等の低表面エネルギー材料を主成分として含んで構成されることがよい。フッ素系化合物としては、例えば、フッ素ゴムや、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」という)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(以下、「FEP」という)等のフッ素樹脂などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
離型層10Eの厚さは、10μm以上100μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以上50μm以下の範囲であることがより好ましい。離型層10Eの厚さが10μm以上であることにより、用紙の縁部での繰り返し摩擦による離型層10Eの摩滅が抑制される。また、離型層10Eの厚さが100μm以下であることにより、表面の柔軟性が保たれ、定着画像の粒状性が維持され、ウォームアップ時間も短縮される。
離型層10Eの形成は公知の方法を適用すればよく、例えば塗布法によって形成すればよい。
また、離型層10Eは、チューブ状の離型層を予め準備し、例えばチューブの内面に接着層を形成した上で、弾性層10Dの外周上に被覆させることで、離型層10Eを形成してもよい。
[その他の形態]
以上、本実施形態に係る画像形成装置用の回転部材の一例として、電磁誘導方式の定着装置における定着ベルトとして用いる無端ベルトの一例について詳細に説明したが、本実施形態の回転部材はこれに限られるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置用の回転部材としては、その他に、例えば、電磁誘導方式以外の定着装置における定着ベルト、加圧ベルト、中間転写ベルト、冷却ベルト、記録媒体を搬送する搬送ベルト等の無端ベルトが挙げられる。電磁誘導方式の定着装置における定着ベルト以外の無端ベルトは、基材10A及び弾性層10Dを有していればよく、金属層10Bを有していなくてもよい。
また、本実施形態に係る画像形成装置用の回転部材としては、無端ベルトに限られるものではなく、例えばロール状の回転部材(例えば、定着ロール、転写ロール、帯電ロール等)であってもよい。
ロール状の回転部材に用いる基材としては、例えば、金属(アルミ、SUS、鉄、銅等)、合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)等で構成された円筒体が挙げられる。
ロール状の回転部材における基材の外径及び肉厚は、例えば、外径10mm以上50mm以下であることがよく、例えば、アルミニウム製の場合は厚さ0.5mm以上4mm以下、SUS(ステンレス鋼)製又は鉄製の場合は厚さ0.1mm以上2mm以下である。
ロール状の回転部材における基材以外の層(金属層、中間層、弾性層、及び離型層)については、前述の無端ベルトにおける基材以外の層(金属層、中間層、弾性層、及び離型層)と同様のものが適用される。
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置は、第1の回転体(以下「定着部材」ともいう)と、第1の回転体の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を第1の回転体と共に挟み込む第2の回転体(以下「加圧部材」ともいう)と、を有する。そして、定着部材及び加圧部材の少なくとも一方が前述の実施形態に係る回転部材である。すなわち、定着部材のみに前述の実施形態に係る回転部材を適用してもよく、加圧部材のみに前述の実施形態に係る回転部材を適用してもよく、定着部材及び加圧部材の両方に前述の実施形態に係る回転部材を適用してもよい。
以下、本実施形態に係る定着装置の一例として、定着部材として前述の無端ベルトを適用し、かつ、加熱手段が回転部材である無端ベルトの前記金属層を電磁誘導によって発熱させる電磁誘導発熱装置である形態について説明するが、これに限られない。
図2は、本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る定着装置100は上記本実施形態に係るベルト10を備える電磁誘導方式の定着装置である。図2に示すごとく、ベルト10の一部を加圧するよう加圧ロール(加圧部材)11が配置され、効率的に定着を行う観点でベルト10と加圧ロール11との間に接触領域(ニップ)が形成され、ベルト10は加圧ロール11の周面に沿った形に湾曲している。また、記録媒体の剥離性を確保する観点で前記接触領域(ニップ)の末端においてベルトが屈曲する屈曲部が形成される。
加圧ロール11は、基材11A上にシリコーンゴム等による弾性層11Bが形成され、さらに弾性層11B上にフッ素系化合物による離型層11Cが形成されて構成されている。
ベルト10の内側には、加圧ロール11と対向する位置に対向部材13が配置されている。対向部材13は、金属、耐熱樹脂、耐熱ゴム等からなり、ベルト10の内周面に接して局所的に圧力を高めるパッド13Bと、パッド13Bを支持する支持体13Aを有している。
ベルト10を中心として加圧ロール11(加圧部材の一例)と対向する位置には、電磁誘導コイル(励磁コイル)12aを内蔵した電磁誘導発熱装置12が設けられている。電磁誘導発熱装置12は、電磁誘導コイルに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させ、ベルト10の金属層10B(特に図1に示す態様のベルトでは電磁誘導金属層104)に渦電流を発生させる。この渦電流が金属層10Bの電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的にベルト10の表面が発熱する。
なお、電磁誘導発熱装置12の位置は図2に示す位置に限定されず、例えば、ベルト10の接触領域に対して回転方向Bの上流側に設置されていてもよいし、ベルト10の内側に設置されていてもよい。
本実施形態に係る定着装置100では、ベルト10の端部に固定されたギアに駆動装置により駆動力が伝達されることで、ベルト10が矢印B方向に自己回転し、ベルト10の回転に伴って加圧ロール11は逆方向、すなわち矢印C方向に回転する。
未定着トナー像14が形成された記録媒体15は、矢印A方向に、定着装置100におけるベルト10と加圧ロール11との接触領域(ニップ)に通され、未定着トナー像14が溶融状態として圧力が加えられて記録媒体15に定着される。
以上説明した定着装置では、加熱手段として無端ベルトの金属層を電磁誘導によって発熱させる電磁誘導発熱装置を用いているが、これに限られない。加熱手段として、例えば、ハロゲンランプ等の発熱部材を無端ベルトに接して設け、無端ベルトを介して未定着のトナー像を加熱する手段を用いてもよく、加熱手段を有さない形態でもよい。
また、前述の定着装置では、定着部材として前述の無端ベルトを適用しているが、これに限られず、金属層を有さない無端ベルトを適用してもよく、ロール状の回転部材を適用してもよい。
さらに、前述の定着装置では、定着部材のみが前述の実施形態に係る回転部材であるが、これに限られず、加圧部材のみが前述の実施形態に係る回転部材であってもよく、定着部材及び加圧部材の両方が前述の実施形態に係る回転部材であってもよい。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる本実施形態に係る定着装置と、を有する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置200は、図3に示すように、感光体(像保持体の一例)202、帯電装置204、レーザー露光装置(静電潜像形成装置の一例)206、ミラー208、現像装置210、中間転写体212、転写ロール(転写装置の一例)214、クリーニング装置216、除電装置218、定着装置100、及び給紙装置(給紙ユニット220、給紙ローラ222、位置合わせローラ224、及び、記録媒体ガイド226)を備えている。
この画像形成装置200で画像形成を行う場合、まず、感光体202に近接して設けられた非接触型の帯電装置204が、感光体202の表面を帯電させる。
帯電装置204により帯電した感光体202の表面に各色の画像情報(信号)に応じたレーザー光が、ミラー208を介してレーザー露光装置206より照射されて静電潜像が形成される。
現像装置210は、感光体202の表面に形成された潜像にトナーを付与することによりトナー像を形成する。現像装置210は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容した各色の現像器(不図示)を備えており、現像装置210が矢印方向に回転することにより、感光体202の表面に形成されている潜像に各色のトナーを付与し、トナー像が形成される。
感光体202の表面に形成された各色のトナー像は、感光体202と中間転写体212との間に印加されたバイアス電圧により、感光体202と中間転写体212との接触部において、各色のトナー像毎に画像情報と一致するように中間転写体212の外周面に重ねて転写される。
中間転写体212は、外周面が感光体202の表面に接触し矢印E方向に回転する。
中間転写体212の周囲には、感光体202の他に、転写ロール214が設けられている。
多色のトナー像が転写された中間転写体212は矢印E方向に回転する。中間転写体212上のトナー像は、転写ロール214と中間転写体212との接触部において、給紙装置によって接触部に矢印A方向に搬送されてきた記録媒体15の表面に転写される。
なお、中間転写体212と転写ロール214との接触部への給紙は、給紙ユニット220に収納された記録媒体が、給紙ユニット220に内蔵された不図示の記録媒体押し上げ手段により給紙ローラ222に接触する位置まで押し上げられ、その記録媒体15が給紙ローラ222に接触した時点で、給紙ローラ222及び位置合わせローラ224が回転することにより記録媒体ガイド226に沿って矢印A方向に搬送されることにより行われる。
記録媒体15の表面に転写されたトナー像は、矢印A方向に移動し、ベルト10と加圧ロール11との接触領域(ニップ)では、トナー像14は溶融状態で記録媒体15の表面に押圧され、記録媒体15の表面に定着される。これにより、記録媒体の表面に定着した画像が形成される。
中間転写体212の表面にトナー像を転写した後の感光体202の表面はクリーニング装置216によって清掃される。
感光体202の表面はクリーニング装置216によって清掃された後、除電装置218によって除電される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
・基材(PI基材)の作製
ポリイミド前駆体(ポリイミドワニス「Uワニス−S」、宇部興産製)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を、直径φ30mmの金型上にフローコーターにて塗布し、380℃まで下記ステップ昇温により焼成した。前記ステップ昇温は、具体的には、25℃から120℃まで昇温し、120℃で1時間維持し、120℃から250℃まで昇温し、250℃で1時間維持し、250℃から380℃まで昇温し、380℃で1時間維持した後、380℃から25℃まで降温した。
これにより、外径30mm、膜厚60μm、幅400mmのポリイミド(樹脂単一層)のみによるシームレス樹脂管状体を得た。
得られた管状のシームレス樹脂管状体の表面を、液体ホーニング装置(不二精機製、LH−8TTHiS)を用い、表面粗さRa=0.5μm以上1.0μm以下となるよう粗面化処理した。なお、ホーニング条件は砥粒#320、噴射圧0.3MPa、噴射距離100mm、処理時間1.5分で実施した。
粗面化されたシームレス樹脂管状体の表面の砥粒をイオン交換水にて洗い流した後、さらに圧縮空気で水分を除去し、PI基材を得た。
基材の外周面における硬度(ナノインデンターを用いてナノインデンテーション法により得られた硬さ)は、5000MPaであった。
・下地金属層の形成
次に、PI基材の外周面にアルカリエッチング処理を行い、洗浄した後、PI基材をめっき治具に組み込み、無電解めっき処理により厚さ0.5μmの無電解ニッケルめっき層(下地金属層)を形成した。
・電磁誘導金属層の形成
無電解ニッケルめっき層(下地金属層)を形成した後、めっき治具両端に電極をセットし、硫酸銅めっき液により電解めっき処理を施し、厚さ10μmの電解銅めっき層(電磁誘導金属層)を形成した。
なお、上記電界めっき処理の条件として、使用しためっき液は、硫酸銅(70g/L)、硫酸(200g/L)、塩酸(50mg/L)からなり、電流密度は0.2A/dmとした。
・金属保護層の形成
次いで、めっき治具両端に電極をセットし、ニッケルイオンを含むめっき液に浸漬してニッケルの電解めっきを行い、厚さ9μmの電解ニッケル層(金属保護層)を形成した。
・特定中間層、弾性層、及び離型層の形成
続いて、A液として東レ・ダウコーニング社製PrimerXを100質量部と、B液として東レ・ダウコーニング社製PrimerYを100質量部と、を秤量し、5分間撹拌して、中間層形成用塗布液(特定組成物)を調製した。
なお、東レ・ダウコーニング社製PrimerXは、テトラアルコキシシランに該当する化合物を含む。具体的には、東レ・ダウコーニング社製PrimerXは、テトラアルコキシシランとして一般式(2)で表される化合物(R21〜R24=メチル基)を含有する。
また、東レ・ダウコーニング社製PrimerYは、SiH含有シロキサンオリゴマーに該当する化合物を含む。具体的には、東レ・ダウコーニング社製PrimerYは、SiH含有シロキサンオリゴマーとして、一般式(1)で表される化合物を含有する。
金属保護層の外周面に、フロー塗布法によりスパイラルコート装置を用いて中間層形成用塗布液(特定組成物)を塗布し、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、30分間風乾を行うことで、膜厚0.5μmの皮膜(特定皮膜)を形成した。
次に、低高度タイプのシリコーンゴム(X34−1053;信越化学工業製)を酢酸ブチルで15質量%に希釈し、弾性層形成用塗布液を得た。
特定皮膜の表面(外周面)に、スパイラルコート装置を用いて弾性層形成用塗布液を200μmの厚みになるように塗布して塗膜(弾性塗膜)を形成した。
続いて、形成された塗膜に対し、自己平滑化処理(40℃×20分)及び一次加硫(120℃×20分)を行った。
内面に接着層を形成したPFA円筒チューブ(膜厚30μm)を、自己平滑化処理及び一次加硫が行われた弾性塗膜上に被覆し、200℃で4時間焼成した。
こうして、PI基材の外周面に、金属層、特定中間層、弾性層、及び離型層を順次形成した後、両端部15mmを切除し、定着ベルトを得た。
形成された特定中間層の膜厚は1μm、弾性層の膜厚は200μm、離型層の膜厚は30μmであった。
〔実施例2〕
・基材(PI基材)の作製、並びに下地金属層、電磁誘導金属層、及び金属保護層の形成
実施例1と同様にして、基材の作製、並びに下地金属層、電磁誘導金属層、及び金属保護層の形成を行った。
・特定中間層の形成
続いて、A液として信越化学工業社製プライマーNo.32−A剤を100質量部と、B液として信越化学工業社製プライマーNo.32−B剤を100質量部と、を秤量し、5分間撹拌して、中間層形成用塗布液(特定組成物)を調製した。
なお、信越化学工業社製プライマーNo.32−A剤は、SiH含有シロキサンオリゴマーに該当する化合物及びテトラアルコキシシランに該当する化合物を含む。具体的には、信越化学工業社製プライマーNo.32−A剤は、SiH含有シロキサンオリゴマーとして一般式(1)で表される化合物(R11〜R16=メチル基、R17=水素)と、テトラアルコキシシランとして一般式(2)で表される化合物(R21〜R24=メチル基)と、を含有する。
また、信越化学工業社製プライマーNo.32−B剤は、アルケニル系シランカップリング剤に該当する化合物を含む。具体的には、信越化学工業社製プライマーNo.32−B剤は、アルケニル系シランカップリング剤として、一般式(3)で表される化合物(R31〜R33=メチル基、R34=ビニル基)を含有する。
金属保護層の外周面に、フロー塗布法用いて中間層形成用塗布液(特定組成物)を塗布し、室温25℃相対湿度50%の環境下で30分間風乾を行った後、150℃で20分焼成することで、膜厚1.0μmの特定中間層を形成した。
・弾性層及び離型層の形成
次に、低高度タイプのシリコーンゴム(X34−1053;信越化学工業製)を酢酸ブチルで15質量%に希釈し、弾性層形成用塗布液を得た。
特定中間層の表面(外周面)に、スパイラルコート装置を用いて弾性層形成用塗布液を200μmの厚みになるように塗布して塗膜(弾性塗膜)を形成した。
続いて、形成された塗膜に対し、自己平滑化処理(40℃×20分)及び一次加硫(120℃×20分)を行った。
内面に接着層を形成したPFA円筒チューブ(膜厚30μm)を、自己平滑化処理及び一次加硫が行われた弾性塗膜上に被覆し、200℃で4時間焼成した。
こうして、PI基材の外周面に、金属層、特定中間層、弾性層、及び離型層を順次形成した後、両端部15mmを切除し、定着ベルトを得た。
形成された特定中間層の膜厚は1μm、弾性層の膜厚は200μm、離型層の膜厚は30μmであった。
〔実施例3〕
実施例1において、特定中間層の膜厚を0.05μmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてベルトを作製した。
〔比較例1〕
実施例1の特定中間層、弾性層、及び離型層の形成において、特定組成物としてA液(東レ・ダウコーニング社製PrimerX)のみを用い、かつ、特定中間層の膜厚を0.3μmとした以外は、実施例1と同様にしてベルトを作製した。
〔比較例2〕
実施例1において、特定中間層の膜厚を0.01μmとした以外は、実施例1と同様にしてベルトを作製した。
<測定>
〔硬度の測定〕
得られたベルトを20mm幅に切り出し、離型層を機械研磨により削り取ることで、弾性層の外周面が露出した硬度Aを測定するための測定試料を準備した。
得られたベルトを20mm幅に切り出し、基材、下地金属層、電磁誘導金属層、金属保護層、及び特定中間層を機械研磨により削り取ることで、弾性層の内周面が露出した硬度Bを測定するための測定試料を準備した。
弾性層の内周面が露出した測定試料に対し、機械研磨によりさらに2μm厚の弾性層を削り取ることで、硬度Cを測定するための測定試料を準備した。
準備した測定試料を用いて前述の方法により表面における硬度(硬度A、硬度B、及び硬度C)を測定した。
各実施例及び比較例で得られたベルトにおける硬度A、硬度B、硬度C、硬度B/硬度A(表中の「B/A」)、及び硬度C/硬度A(表中の「C/A」)を表1に示す。
<評価方法>
〔ベルト外周面の隆起評価〕
得られたベルトを20mm幅に切り出し、さらに短冊状(20mm×45mm)に切った試料の離型層側の面に、SUS整φ5R形状のピンを20kgf/cmの圧力で押し当て、往復擦り運動させ、ベルトの擦り部が隆起するまでの往復擦り回数を調べた。
なお、ベルトの表面が隆起したものを調べたところ、金属層と弾性層との間が剥離していることが確認された。試験温度は、定着動作時のベルト温度を想定し、170℃とした。
上記ベルトの擦り部が隆起するまでの往復擦り回数(表中の「往復擦り回数」)を表1に示す。なお、ベルトの擦り部が隆起するまでの往復擦り回数が1000回以上のものは、弾性層の基材からの剥離に起因するベルト外周面の隆起が抑制されているといえる。
〔定着画像の光沢ムラ評価〕
得られたベルトを、画像形成装置(富士ゼロックス社製、型番:ApeosPort−V C7776)における電磁誘導方式の定着装置に定着ベルトとして搭載し、温度22℃、湿度55%の環境下で、プリント速度70枚/分の条件で、ベルトの外周面に0.2MPaの圧力で加圧し170℃に加熱しながら、70枚の定着画像を形成した。
具体的には、上質紙(OKトップコート紙)上に5cm×5cmでトナー載り量が6g/mの四角のベタ画像の定着画像を形成した。10枚目の定着画像について、定着画像の端部から24点、一定の間隔で、グロスメーター(BYK マイクロトリグロス光沢計(20+60+85゜)、ガードナー社製)を用いて、60度グロスを測定した。その24点での光沢度の差(最大値−最小値)から光沢ムラの評価を行った。評価基準は、以下の通りである。
−評価基準−
A:光沢度の差が5%未満
B:光沢度の差が5%以上15%未満
C:光沢度の差が15%以上
上記のように、実施例では、比較例に比べ、ベルトの擦り部が隆起するまでの往復擦り回数が多く、弾性層の基材からの剥離に起因するベルト外周面の隆起が抑制されていることが分かる。
10 ベルト
10A 基材
102 下地金属層
104 電磁誘導金属層
106 金属保護層
10B 金属層
10C 中間層
10D 弾性層
10E 離型層
11 加圧ロール
11A 基材
11B 弾性層
11C 離型層
12 電磁誘導発熱装置
13 対向部材
13A 支持体
13B パッド
14 トナー像
15 記録媒体
100 定着装置
200 画像形成装置
202 感光体
204 帯電装置
206 露光装置
210 現像装置
212 中間転写体
214 転写ロール

Claims (5)

  1. 管状の基材と、
    前記基材の外周面上に設けられた弾性層であり、前記弾性層の内周面における硬度Bが前記弾性層の外周面における硬度Aの15倍以上である弾性層と、
    前記基材と前記弾性層との間に前記弾性層の内周面に接して設けられ、SiH構造を有するシロキサンオリゴマー、アルケニル基を有するシランカップリング剤、及びテトラアルコキシシランを含む組成物の硬化物である層と、
    を有する画像形成装置用の回転部材。
  2. 前記SiH構造を有するシロキサンオリゴマーが、下記一般式(1)で表される化合物であり、
    前記アルケニル基を有するシランカップリング剤が、下記一般式(3)で表される化合物であり、
    前記テトラアルコキシシランが、下記一般式(2)で表される化合物である、
    請求項1に記載の回転部材。

    一般式(1)中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 16 、及びR 17 は、各々独立に、水素原子、炭素数1以上2以下のアルキル基、フェニル基、シリルオキシ基、又は炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたシリルオキシ基を示し、nは1以上の整数を示す。

    一般式(2)中、R 21 、R 22 、R 23 、及びR 24 は、各々独立に、メチル基、エチル基又はn−プロピル基を示す。

    一般式(3)中、R 31 、R 32 、及びR 33 は、各々独立に、メチル基又はエチル基を示し、R 34 は、ビニル基、アリル基又は3−ブテニル基を示す。
  3. 前記弾性層を前記弾性層の内周面から厚み方向に2μm削って得られる面における硬度Cが、前記弾性層の外周面における硬度Aの1.0倍以上1.2倍以下である請求項1又は請求項2に記載の回転部材。
  4. 第1の回転体と、前記第1の回転体の外周面を加圧し、未定着のトナー画像が表面に形成された記録媒体を前記第1の回転体と共に挟み込む第2の回転体と、を有し、
    前記第1の回転体及び前記第2の回転体の少なくとも一方が請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の回転部材である定着装置。
  5. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    前記像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
    前記トナー像を前記記録媒体に定着させる請求項4に記載の定着装置と、
    を有する画像形成装置。
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