JP2004126274A - 定着ベルト - Google Patents

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佐々木 浩二
Yomin Shu
周 耀民
Masaaki Takahashi
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Abstract

【課題】小熱容量の加熱体を利用して低エネルギー加熱を可能とした像加熱装置において、高耐久の定着ベルトを提供する。
【解決手段】少なくとも離型層とニッケル電鋳ベルトからなる金属層とを有する定着ベルトであって、かつ、該ニッケル電鋳ベルトの厚みを20〜100μmとし、その面粗さRzを0.07〜0.6μmとする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置・静電記録装置等の画像形成装置に用いられる定着ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス・磁気記録プロセス等の画像形成プロセス手段部で被記録材(転写材シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報の未定着画像(トナー画像)を被記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置としては、熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。これはローラ内にハロゲンヒータ等の熱源を用いるものが一般的である。
【0003】
一方、加熱方式としては、セラミックヒータを熱源として小熱容量の樹脂ベルトあるいは金属ベルトを加熱するものが広く提案され、実用に供されている。すなわち、加熱方式では一般に、加熱体としてのセラミックヒータと加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性ベルト(定着ベルト)を挟ませてニップ部を形成し、ニップ部で定着ベルトと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入してベルトと一緒に挟持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒータの熱をベルトを介して被記録材に与え、この熱とニップ部の加圧力とで未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させる。このような像加熱定着装置の例として、図4を示すことができる。
【0004】
このベルト加熱方式の像加熱定着装置は、ベルトとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができる。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
【0005】
このようなベルト加熱方式におけるベルトとしては耐熱樹脂等が用いられ、特に耐熱性、強度に優れたポリイミド樹脂が用いられている。しかしながら、さらに機械を高速化、高耐久化した場合、耐熱樹脂フィルムでは強度が不十分である。このことから、強度に優れた金属、例えばSUS、ニッケル、銅、アルミニウム等を基層とするベルトを用いることが提案されている。
【0006】
また、金属ベルトを利用して、これを電磁誘導による渦電流で自己発熱させる誘導加熱方式も知られている(特許文献1等参照)。すなわち、磁束によりベルト自身あるいはベルトに近接させた導電性部材に渦電流を発生させ、ジュール熱によって発熱させる加熱装置が提案されている。この電磁誘導加熱方式は、発熱域をより被加熱体に近くすることができるため、消費エネルギーの効率アップが達成できる利点がある。なお、このような誘導加熱方式の像加熱定着装置の例として、図3を示すことができる。
【0007】
ベルト加熱方式の像加熱定着装置では定着ベルトの駆動方法として、ベルト内面を案内するフィルムガイドと加圧ローラとで圧接されたフィルムを加圧ローラの回転駆動によって従動回転させる方法(加圧ローラ駆動方式)や、逆に駆動ローラとテンションローラによって張架された無端ベルト状のベルトの駆動によって加圧ローラを従動回転させる方法等がある。
【0008】
金属ベルトを用いた定着ベルトとしては、ヒータ面接触部の表面粗さが0.5μm未満で、40μm前後の厚みのニッケル製定着ベルトを用いたもの(特許文献2参照)が、外周面に離型性を有するコーティング層を有し、周面には樹脂層を有する10〜35μm厚みのニッケル製定着ベルト(特許文献3参照)がある。
【0009】
このように、電子写真用像・静電記録装置等に画像形成装置に用いられる定着ベルトには一般にシームレスのベルト基材が使用されており、ニッケル材からなるシームレスベルト基材は、一般にスルファミン酸ニッケルやワット浴等による電気鋳造法を用いて製造される。
【0010】
この電気鋳造法では、所要形状の母型が使用され、その母型の外周上に電気鋳造成膜が行われ母型から引き抜かれてシームレスベルト基材が製造される。
【0011】
上記シームレスベルト基材の製造において表面(外周面)の膜の機械的耐久性及び適度な圧縮応力を得る為、サッカリンナトリウムやブチンジオール等の光沢剤を電鋳浴に添加することが行われており、その影響により、面粗さRzは0.05〜0.1μm程度とかなり平滑化されたものとなっている。
【0012】
ところで、ベルト定着式の像加熱定着装置では、上述したシームレスベルト基材の外周面に離型層または、離型層を有する弾性層としてシリコーンゴムを被覆したものが従来より用いられているが、上記シームレスベルト基材は、以下理由により、その表面に特性範囲の粗さが必要となってくる。
【0013】
まず、シームレスベルト基材の上に弾性層、または離型層、そしてこれらの樹脂層を積層の為の下引き層が成膜されるが、これらの膜が良好に形成される為にはある面粗さを有していることが必要であり、面粗さが小さ過ぎると離型層、弾性層を成膜時の下引き層形成時の密着力不足によるベルト耐久性の悪化を招き、また面粗さが大き過ぎると、ニッケル電鋳ベルト基材そのもの強度不足による耐久性低下が起こる。また、図2で示す構成での定着ベルトでは定着画像品質にも影響を及ぼすという問題点がある。
【0014】
【特許文献1】
特開平7−114276号公報
【特許文献2】
特開平7−013448号公報
【特許文献3】
特開平6−222695号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を解決する為になされたものであり、電気鋳造法により形成された適正な表面粗さを有する定着ベルトを提供することをその課題とする。
【0016】
【課題を解決する為に手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。
【0017】
(1)少なくとも離型層とニッケル電鋳ベルトからなる金属層とを有する定着ベルトであって、該ニッケル電鋳ベルトの厚みが20〜100μmであり、その表面の面粗さRzが0.07〜0.6μmであることを特徴とする定着ベルト。
【0018】
(2)前記ニッケル電鋳ベルトのビッカース硬さHvが300〜400N/mmである上記の定着ベルト。
【0019】
(3)離型層と前記金属層との間に、さらに弾性層を有する上記(1)または(2)の定着ベルト。
【0020】
(4)弾性層がシリコーンゴム、フッ素ゴムおよびフルオロシリコーンゴムからなる群より選ばれる上記(3)の定着ベルト。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の定着ベルトは、少なくとも離型層とニッケル電鋳ベルトからなる金属層とを有するものである。
【0022】
なお、ニッケル電鋳ベルトは厚みが20〜100μmであることが肝要であり、かつ、面粗さRz(JIS B0601の5.十点平均粗さ)が0.07〜0.6μmであることが必要である。面粗さRzは0.07〜0.4μmであることがより好ましい。
【0023】
また、ニッケル電鋳ベルトは、そのビッカース硬さHv(JIS G0202)が300〜400N/mmであることが好ましい。
【0024】
ここで、ニッケル電鋳とは電気鋳造プロセスにより形成したニッケル及びその合金のことをいう。
【0025】
本発明により、ニッケル電鋳ベルトが、弾性層及び離型層形成に十分な強度を持っており、加熱定着装置に用いられる定着ベルトとしての耐久性を確保することができる。
【0026】
以下、図面により本発明を説明する。
【0027】
(1)定着ベルト
まず、本発明の定着ベルトについて説明する。
【0028】
図1は本発明における定着ベルト10の層構成模型図の一例である。
【0029】
本例の定着ベルト10は、基層となるニッケル電鋳無端ベルトからなる金属層1と、その外面に積層した弾性層2と、さらにその外面に積層した離型層3と、金属層1の内面に積層した摺動層4との複合構造を有する。定着ベルト10において、摺動層4が内面側(ベルトガイド面側)であり、離型層3が外面側(加圧ローラ面側)である。
【0030】
金属層1と弾性層2との間、弾性層2と離型層3との間、あるいは金属層1と摺動層4との間には、接着のためにプライマー層(不図示)を設けてもよい。プライマー層はシリコーン系、エポキシ系、ポリアミドイミド系等の公知のものを使用すればよく、その厚さは、通常、1〜10μm程度である。
【0031】
図2は本発明における定着ベルトの層構成模型図の他の例である。
【0032】
このものは、弾性層を設けない例である。本例の定着ベルト10は、基層となるニッケル電鋳無端ベルトからなる金属層1と、その外面に積層した離型層3と、金属層1の内面に積層した摺動層4との複合構造を有する。定着ベルト10において、摺動層4が内面側(ベルトガイド面側)であり、離型層3が外面側(加圧ローラ面側)である。
【0033】
金属層1と離型層3との間、あるいは金属層1と摺動層4との間には、接着のためにプライマー層(不図示)を設けてもよい。プライマー層は上記の例で示したと同様のものを設ければよい。特に、被記録材上のトナー乗り量が少なく、トナー層の凹凸が比較的小さいモノクロ画像の加熱定着用の場合は、このような弾性層を省略した形態のものとすることができる。
【0034】
この定着ベルトを電磁誘導加熱方式に用いた場合、ニッケル電鋳無端ベルトからなる金属層1が電磁誘導発熱性を示す発熱層として機能する。後述するが、金属層1に交番磁束が作用することで金属層1に渦電流が発生し、金属層1が発熱する。その熱が弾性層2・離型層3を介して定着ベルト10を加熱し、定着ニップ部Nに通紙される被記録材を加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0035】
また、本発明の定着ベルト10は、セラミックヒータを用いたベルト加熱方式に用いてもよい。
【0036】
a.金属層
金属層1はステンレス材等の円筒状金型を電解浴(電気鋳造浴)に浸漬させ、金型の表面あるいは裏面に電気鋳造プロセスにより成長させたニッケル(合金)からなる。このニッケル電鋳ベルトの表面において、その面粗さRzが0.07〜0.6μmである。面粗さRzが0.07μm未満になると、基材に対して弾性層、離型層及び下引き層形成時のアンカーコート効果が低下し、基材と形成した樹脂層間での強度不足が発生し、耐久性に問題を生じる。面粗さRzが0.6μm超になると、光沢剤等の機械的強度を向上させる成分の被膜内への取り込み量が低下し、被膜そのもの硬度が低下し、定着ベルトとしての絶対強度不足による耐久性の低下を招くことになってしまう。本発明では、面粗さが0.07〜0.6μmとすることによって、定着ベルトとしての十分な耐久性と定着品質の安定を確保することができる。なお、好ましくは、面粗さRzが0.07〜0.4μmである。
【0037】
本発明のニッケル電鋳ベルトは、例えばステンレス鋼製などの母型を陰極として、電気鋳造プロセスにより製造される。この場合の電解浴としては、例えば、スルファミン酸系など公知のニッケル電解浴を用いることができる。また、pH調整剤、ピット防止剤、光沢剤などの添加剤を適宜加えてもよい。ニッケル電解浴として、例えば、スルファミン酸ニッケル300〜450g/L、塩化ニッケル0〜30g/L、およびホウ酸30〜45g/Lからなるニッケル電解液浴が挙げられる。そして、添加する光沢剤濃度、電解浴温度、陰極電流密度などを制御することによって、所望の面粗さを有したニッケルまたはニッケル合金からなるニッケル電鋳ベルトが得られる。用いる電解浴によっても異なるが、通常、電解浴温度45〜60℃程度、陰極電流密度1〜20A/dm程度で行なうことが好ましい。
【0038】
添加する光沢剤は、サッカリン、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム等を含む応力減少剤・一次光沢剤、2−ブチン−1,4−ジオール(以下、「ブチンジオール」という。)、クマリン、ジエチルトリアミン等含む二次光沢剤と呼ばれる添加剤等であるが、一般的な特性を得るためにはその添加量が多く、得られるニッケル電鋳ベルトはその面粗さRzは0.05〜0.3μmであり、非常に高い光沢面を有した表面状態になる。
【0039】
従って、本発明の面粗さを有するニッケル電鋳ベルトを得るためには、電解浴にサッカリン0.1g/L以下、ブチンジオール1g/L以下を添加することが好ましい。より好ましく、サッカリン0.05g/L以下、ブチンジオール0.5g/L以下の添加である。
【0040】
しかし、ニッケル電鋳に対し、完全に光沢剤を入れなくても、電鋳プロセスパラメータを制御することにより,小さい内部応力を有するニッケル電鋳を得られるが、面粗さが粗大化になる傾向があり、前述したように定着ベルトに要求される強度が達成できなくなり耐久性に問題が生じる。従って、下限の使用量としては、第一光沢剤であるサッカリン0.005g/L、第二光沢剤であるブチンジオール0.05g/Lとすることが好ましい。
【0041】
この時のニッケル電鋳ベルトの硬度は、通常、ビッカース硬さHvで300〜400N/mmになる。
【0042】
上記の様にベルト基材表面の面粗さは、光沢剤の濃度度合いより制御可能であるが、必要に応じては光沢剤濃度を上記指定範囲内で一定にした条件で電流密度条件を制御し所定硬度になるようすることでも、所定の面粗さを持った表面層を形成することが可能である。
【0043】
金属層1の厚みは、次の式1で表される表皮深さσより厚く、特に1μm以上にすることが好ましく、また、200μm以下、特に100μm以下にすることが好ましい。
【0044】
【数1】
σ=503×(ρ/fμ)1/2         (1)
ここで、σは表皮深さ[m]、fは励磁回路の周波数[Hz]、μは透磁率、ρは固有抵抗[Ωm]である。
【0045】
表皮深さσは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいうとほとんどのエネルギーはこの深さまでで吸収されている。
【0046】
金属層1があまりに薄いと、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれなくなってきて効率が悪くなってくることがある。また、金属層1があまりに厚いと、剛性が高くなり、また、屈曲性が悪くなって回転体として使用しにくくなることがある。また、セラミックヒータを用いたベルト加熱方式に用いる場合では、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、膜厚は100μm以下、特に50μm以下が適当であり、20μm以上であることが好ましい。
【0047】
b.弾性層
弾性層2は設けても設けなくてもよい。弾性層を設けることにより、ニップ部Nにおいて被加熱像を覆って熱の伝達を確実にするとともに、ニッケル電鋳ベルトの復元力を補って回転・屈曲による疲労を緩和することができる。また、弾性層を付与することにより、定着ベルト離型層表面の未定着トナー像表面への追従性を増し、熱を効率よく伝達させることが可能になる。弾性層2を設けた定着ベルトは、特に、未定着トナーの乗り量が多いカラー画像の加熱定着に適している。
【0048】
弾性層2の材質としては、特に限定されず、耐熱性がよく、熱伝導率がよいものを選べばよく、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が、特に、シリコーンゴムが好ましい。
【0049】
弾性体層に使用されるシリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体等を例示することができる。
【0050】
なお、必要に応じて、乾式シリカ、湿式シリカ等の補強性充填材、炭酸カルシウム、石英紛、珪酸ジルコニウム、クレー(珪酸アルミニウム)、タルク(含水珪酸マグネシウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ベンガラ(酸化鉄)等を弾性体層に含有させてもよい。
【0051】
弾性層2の厚さは、10〜1000μm、特に50〜500μmが好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材やトナー層の凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分とで画像に光沢ムラが発生する。つまり、伝熱量が多い部分は光沢度が高くなり、伝熱量が少ない部分では光沢度が低くなる。弾性層2があまりに薄いと、被記録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず画像光沢ムラが発生してしまうことがある。また、弾性層2があまりに厚いと、弾性層の熱抵抗が大きくなりクイックスタートを実現するのが難しくなることがある。
【0052】
弾性層の硬度(JIS A硬さ)は、画像光沢ムラの発生が十分抑制され、良好な定着画像品質が得られるので、60゜以下、特に45゜以下が好ましい。
【0053】
弾性層の熱伝導率λは、2.5×10−3[W/cm・℃]以上、特に3.3×10−3[W/cm・℃]以上が好ましく、8.4×10−3[W/cm・℃]以下、特に6.3×10−3[W/cm・℃]以下が好ましい。熱伝導率λがあまりに小さい場合には、熱抵抗が大きくなってきて定着ベルトの表層(離型層3)における温度上昇が遅くなることがある。熱伝導率λがあまりに大きい場合には、硬度が高くなったり、圧縮永久歪みが悪化したりすることがある。
【0054】
このような弾性体層は公知の方法、例えば、液状のシリコーンゴム等の材料をブレードコート法等の手段によって金属層上に均一な厚みでコート、加熱硬化する方法、液状のシリコーンゴム等の材料を成形型に注入し加硫硬化する方法;押出成形後に加硫硬化する方法;射出成形後に加硫硬化する方法等で形成すればよい。
【0055】
c.離型層
離型層3の材料としては特に限定されず、離型性、耐熱性のよいものを選べばよい。離型層3としては、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどが好ましく、特にPFAが好ましい。
【0056】
なお、必要に応じて、離型層にはカーボン、酸化スズ等の導電剤等を離型層の10質量%以下含有させてもよい。
【0057】
離型層の厚さは1〜100μm程度が好ましい。離型層3があまりに薄いと、塗膜の塗ムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足したりすることがある。また、離型層があまりに厚いと、熱伝導が悪化することがあり、特に樹脂系の離型層の場合は硬度が高くなって弾性層2の効果がなくなってしまうことがある。
【0058】
このような離型層は公知の方法、例えば、フッ素樹脂系の場合、フッ素樹脂粉末を分散塗料化したものをコート・乾燥・焼成により、あるいは予めチューブ化したものを被覆・接着する方法で形成すればよく、ゴム系の場合、液状の材料を成形型に注入し加硫硬化する方法;押出成形後に加硫硬化する方法;射出成形後に加硫硬化する方法等で形成すればよい。
【0059】
また、予め内面プライマー処理されたチューブと予め表面プライマー処理されたニッケル電鋳ベルトを円筒金型内に装着し、チューブとニッケル電鋳ベルト間隙間に液状シリコーンゴムを注入、加熱することでゴムの硬化及び接着を行なう手法を用いれば、弾性層、離型層を同時に形成することも可能である。
【0060】
d.摺動層
摺動層4は本発明では必ずしも必須ではないが、本発明の像加熱定着装置を作動させる際の駆動トルクの低減を図るうえで設けることが好ましい。摺動層4を設けると、定着ベルトの熱容量を大きくしすぎることなく、発熱層1に発生した熱が定着ベルトの内側に向かわないように断熱できるので、摺動層4がない場合と比較して被記録材P側への熱供給効率がよくなり、消費電力を抑えることもできる。また立ち上がり時間の短縮を図ることもできる。
【0061】
その材質は、特に限定されず、高耐熱性で強度が高く、表面が滑らかにできるものを選べばよく、ポリイミド樹脂等が好ましい。
【0062】
なお、必要に応じて、摺動層に摺動剤としてフッ素樹脂粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等を含有させてもよい。
【0063】
摺動層4の厚さとしては5〜100μm、特に10〜60μmが好ましい。摺動層4があまりに薄いと耐久性が不足することがある。摺動層4があまりに厚いと定着ベルトの熱容量が大きくなり、立ち上がり時間が長くなることがある。
【0064】
このような摺動層は公知の方法、例えば、液状の材料をコート・乾燥・硬化等の方法、あるいは予めチューブ化したものを貼りつける方法等で形成すればよい。
【0065】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0066】
製造例1(ニッケル電鋳ベルトの製造)
スルファミン酸ニッケル四水塩450g/L、塩化ニッケル10g/Lおよび硼酸40g/Lの水溶液に、必要量のピット防止剤を加えた後、第一光沢剤としてサッカリン、第二光沢剤としてブチンジオールを表1に示す量添加して、さらに濾過を行ない、次いで低電流で電解精製を行なって電解浴を作成した。
【0067】
この電解浴に、ステンレス鋼製の母型を陰極として、表1に示す、電解浴温度および陰極電流密度でニッケル電鋳を行ない、内径34mm厚み50μmのニッケル電鋳を成膜した。このニッケル電鋳を母型から取り外し、所定の面粗さを有したニッケル電鋳ベルト(金属層)を得た。
【0068】
なお、ニッケル電鋳ベルトの面粗さRzは、きわめて測定精度が高く、Åオーダの分解能を持つ、AFM装置(原子間力顕微鏡)(セイコーインスツルメンツ株式会社製、SP−400)により行なった。測定モードは凹凸の大きいものでも安定した測定ができるDFM(ダイナミックフォースモード)とし、スキャナー範囲は10μmの設定とした。
【0069】
実施例1〜5、比較例1〜4
上記製造例で得た面粗さRzの異なるニッケル電鋳ベルトを選び、予めプライマー(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製DY35‐051)をスプレーにより塗布し、150℃で30分間乾燥させて、プライマー層を形成した。その厚みは5μmであった。
【0070】
一方、PFAチューブ内面に同様にしてプライマー層を形成し、PFAチューブの外径とほぼ同内径の円筒状金型に、上記金属層と共に同軸上に装着し,チューブと金属層間に液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製:DY32‐561A/B)を注入し、200℃で30分間温風循環炉内で加熱した。ゴムの硬化と各層接着が同時に行われ、金属層上に弾性層2として厚さ300μmのシリコーンゴム、離型層3として厚さ30μmのPFAチューブが積層された。
【0071】
金属層の逆の面に、ポリイミドワニス(宇部興産製 U−ワニスS)をコートし、210℃で1時間温風循環炉内で乾燥硬化し、摺動層4として厚さ15μmのポリイミド樹脂層を積層して、各種定着ベルトを得た。
【0072】
このようにして作製した定着ベルトについて、図3のような電磁誘導加熱方式の像加熱定着装置に装着し、空回転耐久テストを行なった。その結果を表1に示す。
【0073】
(空回転耐久テスト)
220℃に温調しながら、所定の加圧力で加圧ローラを定着ベルトに押し付け、定着ベルトを加圧ローラに従動回転させた。加圧ローラは、肉厚3mmシリコーン層に30μmのPFAチューブを被覆した外径30mmのゴムローラを用いた。このテストでは、加圧力は200N、定着ニップは8mm×230mmであり、定着ベルトの表面速度は100mm/secとなる条件に定めた。各定着ベルトをそれぞれ上記回転試験に供し、ベルトの亀裂・破断が発生するまでの時間を耐久時間とした。また、耐久性の判定は、テスト400時間時のベルト状態で問題ないものを「○」とし、それ以前に問題が発生したものを「×」とした。
【0074】
【表1】
Figure 2004126274
【0075】
空回転耐久試験の結果、ニッケル電鋳ベルトの表面粗さRzが0.07μm未満のもの(比較例3、4)はいずれも弾性層での接着性不良によるゴム層に剥離、浮き現象が確認され、耐久が250hr時間を超えたものはなかった。また、表面粗さRzが0.6μmを超えるもの(比較例1、2)ではニッケル電鋳ベルトの基材から発生した強度不足によるクラック発生が発生し、耐久が300Hrを超えたものはなかった。
【0076】
これに対して表面粗さRzが0.07〜0.6μmのニッケル電鋳ベルトを用いることによりいずれの実施例でも、500Hr以上の安定した耐久性を得た。
【0077】
実験例1
上記実施例、比較例で用いたと同様にして作成した定着装置をキャノン製フルカラーLBP LASER SHOT『LBP−2040』に搭載し、画出して耐久テスト(連続10万枚)を行った。
【0078】
加圧力は200N、定着ニップは8mm×230mmであり、定着温度は200℃、プロセススピードは100mm/secに設定した。
【0079】
実施例1〜5の定着ベルトを用いたものは、トラブルなく10万枚画出し耐久テストを終了したが、比較例1の定着ベルトを用いたものは1万枚で、比較例2〜4の定着ベルトを用いたものは2万〜3万枚で定着ベルトの破壊により通紙不可能となった。
【0080】
実験例2
実施例1〜5で製造したと同様の定着ベルトを、図4のような加熱体としてセラミックスヒータを用いたベルト加熱装置に装着し、実験例1と同様に耐久性評価を実施したところ、充分な耐久性が確認できた。
【0081】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明により、電気鋳造法で形成され、適正表面粗さの表面を有したニッケル電鋳ベルトを用いることにより、耐久性を良好に維持することのできる高品質な定着ベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着ベルトの層構成模型図の一例である。
【図2】本発明の定着ベルトの層構成摸型図の一例である。
【図3】実験例1に用いた像加熱装置の概略構成図である。
【図4】実験例2に用いた像加熱装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1   発熱層(金属層)
2   弾性層
3   離型層
4   摺動層
10  定着ベルト
12  セラミックヒータ
16  ベルトガイド
17  磁性コア
18  励磁コイル
19  絶縁部材
22  加圧用剛性ステイ
26  温度検知素子(サーミスタ)
30  加圧部材(加圧ローラ)
N   定着ニップ部
t   トナー画像
P   被記録材

Claims (4)

  1. 少なくとも離型層とニッケル電鋳ベルトからなる金属層とを有する定着ベルトであって、該ニッケル電鋳ベルトの厚みが20〜100μmであり、その表面の面粗さRzが0.07〜0.6μmであることを特徴とする定着ベルト。
  2. 前記ニッケル電鋳ベルトのビッカース硬さHvが300〜400N/mmである請求項1に記載の定着ベルト。
  3. 離型層と金属層との間に、さらに弾性層を有する請求項1または2に記載の定着ベルト。
  4. 弾性層が、シリコーンゴム、フッ素ゴムおよびフルオロシリコーンゴムからなる群より選ばれる請求項3に記載の定着ベルト。
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