JP2004068148A - 定着ベルトおよび像加熱定着装置 - Google Patents

定着ベルトおよび像加熱定着装置 Download PDF

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Yomin Shu
周 耀民
Koji Sasaki
佐々木 浩二
Kazuo Kishino
岸野 一夫
Hideyuki Yano
矢野 秀幸
Masahiro Suzuki
鈴木 雅博
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Abstract

【課題】小熱容量の加熱体を利用して低エネルギー加熱を可能とした像加熱装置において、高耐久性の定着ベルト、および、高耐久性で信頼性の高い像加熱装置を提供する。
【解決手段】本発明の定着ベルトは、少なくとも離型層と、電鋳ニッケルからなる金属層とを有し、前記電鋳ニッケルの結晶組織において、結晶子の平均サイズが0.05μm以上0.2μm以下である。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置・静電記録装置等の画像形成装置に用いられる定着ベルト、および、被記録材に形成担持させた未定着像を加熱定着処理する像加熱定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
画像形成装置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス・磁気記録プロセス等の画像形成プロセス手段部で被記録材(転写材シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報の未定着画像(トナー画像)を被記録材面に永久固着画像として加熱定着させる定着装置としては、熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。これはローラ内にハロゲンヒータ等の熱源を用いるものが一般的である。
【0003】
一方、加熱方式としては、セラミックヒータを熱源として小熱容量の樹脂ベルトあるいは金属ベルトを加熱するものが広く提案、実施されている。すなわち、加熱方式では一般に、加熱体としてのセラミックヒータと加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性ベルト(定着ベルト)を挟ませてニップ部を形成させ、前記ニップ部の定着ベルトと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入してベルトと一緒に挟持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒータの熱をベルトを介して被記録材に与え、この熱とニップ部の加圧力とで未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させる。
【0004】
このベルト加熱方式の定着装置は、ベルトとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができる。すなわち、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
【0005】
このようなベルト加熱方式におけるベルトとしては耐熱樹脂等が用いられ、特に耐熱性、強度に優れたポリイミド樹脂が用いられている。しかしながら、さらに機械を高速化、高耐久化した場合、樹脂フィルムでは強度が不十分である。このことから、強度に優れた金属、例えばSUS、ニッケル、銅、アルミニウム等を基層とするベルトを用いることが提案されている。
【0006】
また、特許文献1等では、金属ベルトを利用して、これを電磁誘導による渦電流で自己発熱させる誘導加熱方式も開示されている。すなわち、磁束によりベルト自身あるいはベルトに近接させた導電性部材に渦電流を発生させ、ジュール熱によって発熱させる加熱装置が提案されている。この電磁誘導加熱方式は、発熱域をより被加熱体に近くすることができるため、消費エネルギーの効率アップが達成できる。
【0007】
ベルト加熱方式の定着装置の定着ベルトの駆動方法としては、ベルト内面を案内するベルトガイドと加圧ローラとで圧接されたベルトを加圧ローラの回転駆動によって従動回転させる方法(加圧ローラ駆動方式)や、逆に駆動ローラとテンションローラによって張架された無端ベルト状のベルトの駆動によって加圧ローラを従動回転させる方法等がある。
【0008】
金属ベルトを用いた定着ベルトとしては、特許文献2には表面粗さが0.5μm未満で、40μm前後の厚みのニッケル製定着ベルトを用いたものが、特許文献3には外周面に離型性を有するコーティング層を有し、内周面には樹脂層を有する10〜35μm厚みのニッケル製定着ベルトが例示されている。
【0009】
ニッケル製の無端ベルトはニッケル電鋳プロセスによって容易に得られる。従来、ニッケル電鋳プロセスは耐摩耗性向上あるいは装飾用としての光沢性を目的として利用されており、このため得られる電鋳ニッケルは、通常、多くのイオウを含んでいる。この電鋳ニッケルを定着ベルトに利用した場合、イオウの作用による高温状態における脆化等によって耐久性に問題が生じる場合がある。
【0010】
これに対し、特許文献4では、耐熱耐久性をあげる目的で、イオウの含有量を0.04wt%以下、マンガンの含有量を0.2wt%以上としたニッケル金属層からなる定着ベルトが提案されている。また、特許文献5では、マンガン0.05〜0.6重量%を含むニッケル・マンガン合金からなるマイクロビッカーズ硬度が450〜650の無端状電鋳シートを基体とした定着ベルトが提案されている。
【0011】
しかしながら、ベルト加熱方式、特に金属ベルトを用いたベルト加熱方式の場合には、ベルト自身の回転に伴ってニップ部およびその出入口においてベルトが屈曲を繰り返すために機械的に疲労しやすく、更なる耐熱耐久性の改善が求められている。
【0012】
ところで、結晶粒径が小さくなればなるほど材料の強度と靭性とが両立できると考えられるが、電鋳条件の下では、大きい結晶組織となるため、通常、それを小さくするために応力減少剤とするイオウが含まれる一次光沢剤を添加する。陰極表面(母型)に生成するイオウ・ニッケル化合物は微小粒子であるため、結晶粒径は二桁ほど下がり、電鋳製品に光沢性を与えるが、結晶粒径が小さ過ぎてしまう。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−114276号公報
【特許文献2】
特開平7−13448号公報
【特許文献3】
特開平6−222695号公報
【特許文献4】
特開平10−48976号公報
【特許文献5】
特許2706432号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、小熱容量の加熱体を利用して低エネルギー加熱を可能とした像加熱装置において、高耐久性の定着ベルト、および、高耐久性で信頼性の高い像加熱装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも離型層と、電鋳ニッケルからなる金属層とを有する定着ベルトであって、
前記電鋳ニッケルの結晶組織において、結晶子の平均サイズが0.05μm以上0.2μm以下である定着ベルトである。
【0016】
また本発明は、この定着ベルトと、定着ベルトを介して互いに圧接する一対の圧接部材とを有し、前記定着ベルトの内面は前記圧接部材の一方と摺動し、前記定着ベルトからの熱により記録材上の画像を加熱定着する像加熱定着装置である。
【0017】
また本発明は、磁束を発生する磁束発生手段を有し、
前記磁束発生手段により発生する磁束によりこの定着ベルトが発熱して記録材上の画像を加熱定着する像加熱定着装置である。
【0018】
本発明は、電鋳ニッケルの結晶組織の結晶子の平均サイズを0.05μm以上0.2μm以下とすることにより、耐久性、特に高温時の耐久性に優れた定着ベルト、および、高耐久性で信頼性の高い像加熱装置を提供することができるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の定着ベルトは、少なくとも離型層と電鋳ニッケルからなる金属層とを有し、前記電鋳ニッケルの結晶組織において、結晶子の平均サイズが0.05μm以上0.2μm以下である。電鋳ニッケルの結晶組織の結晶子の平均サイズは0.07μm以上であることが好ましく、0.08μm以上であることがより好ましい。また、電鋳ニッケルの結晶組織の結晶子の平均サイズは0.15μm以下であることが好ましく、0.12μm以下であることがより好ましい。
【0020】
本発明では、電鋳ニッケルの結晶組織において、結晶子の平均サイズを0.05μm以上0.2μm以下とすることによって、十分な耐熱性および耐久性を確保できる。
【0021】
また、前記電鋳ニッケルの断面結晶組織において、結晶粒の長軸をb、短軸をaとしたとき、結晶粒の平均サイズ[(b+a)/2]が0.1μm以上3μm以下であり、かつ、結晶粒の長軸bと短軸aの比(b/a)である結晶形状因子が2以下である組織の占める面積比率が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。さらには、電鋳ニッケルの断面結晶組織において、結晶粒の平均サイズ[(b+a)/2]が0.5μm以上1.5μm以下であり、かつ、結晶粒の長軸bと短軸aの比(b/a)である結晶形状因子が約0.8〜1.3である組織の占める面積比率が80%以上であることが特に好ましい。
【0022】
また、結晶組織が規則性を持った配列をなすものが好ましい。規則性を持つ結晶組織は柔軟性の点で有利であり、屈曲性を要求される定着ベルトに適している。
【0023】
本発明では、図1に示すように、断面結晶組織の結晶粒の短軸をa、長軸をbとしたとき、結晶粒の平均サイズは(a+b)/2、形状因子はb/aで定義される。長軸(b)とは結晶粒の最大長さであり、短軸(a)とはその長軸直角方向の最大長さをいう。
【0024】
また、本発明では、断面結晶組織の規則性は、任意の3ヶ所の結晶粒それぞれに対し、結晶粒の成長方向(電鋳時における電流の方向)に対して垂直方向に連続隣接する10個の各結晶粒の長軸の成長方向に対する角度のバラツキが30°以下と定義される。
【0025】
電鋳ニッケルは、70℃以下の硫酸ニッケルのワット浴あるいはスルファミン酸ニッケル浴から成膜され、その生成には母型表面における核生成と成長、結晶子の形成、結晶子の合体による結晶粒の形成などの過程が含まれる。陽極の溶解によって金属を電着させる場合は、通常、電着金属は電流の方向、すなわち、陰極(母型)に垂直の方向に軸を有する柱状構造を示す。電気還元による一次光沢剤の分解物イオウが多量にめっき層に取り込まれた場合、柱状内部の構造は微結晶である。微結晶組織とは、結晶粒にならずに、配向性を持たず、サイズが小さい結晶子からなる組織である。
【0026】
従来、一般的な電鋳ニッケルでは、断面結晶組織は微結晶、柱状組織、あるいは、樹枝状組織である。したがって、定着ベルトでも、これらの組織を有する電鋳ニッケルが用いられていた。それに対し、本発明では、上記のような電鋳ニッケルを用いており、これによって定着ベルトの耐久性が向上し、十分な耐熱性および耐久性を確保できる。さらに、前述の通り、規則性を持つ結晶組織であれば柔軟性の点で有利であり、屈曲性を要求される定着ベルトに適している。
【0027】
結晶子の平均サイズが0.05μm未満の場合、電鋳ニッケルの結晶組織は微結晶または針状組織になる。なお、微結晶の場合には、結晶子のサイズは結晶粒サイズと同じ意味になる。一方、結晶子の平均サイズが0.2μmを超える場合、電鋳ニッケルの結晶組織は粗大な組織になる。
【0028】
断面結晶組織の結晶粒の平均サイズが0.1μm未満の場合、電鋳ニッケルの結晶組織が微結晶になり、ベルトの柔軟性に関して問題が生じることがある。一方、断面結晶組織の結晶粒の平均サイズが3μmを超える場合、電鋳ニッケルの結晶組織が粗大な柱状組織になり、ベルト耐久に要求される基本特性(引っ張り強度、硬度)に満足せず、ベルトの屈曲により破壊されやすくなることがある。本発明では、断面結晶組織の結晶粒の平均サイズを0.1μm以上3μm以下とすることによって、十分な耐久性を確保している。
【0029】
結晶形状因子が2を超える場合、電鋳ニッケルの結晶組織が粗大な柱状組織になり、ベルトに要求される強度、柔軟性、耐久時間などに悪影響が生じることがある。
【0030】
(1)定着ベルト10
次に、本発明の定着ベルトについて説明する。
【0031】
図2は本例における定着ベルト10の層構成模型図の一例である。本例の定着ベルト10は、基層となる電鋳ニッケル無端ベルトからなる金属層1と、その外面に積層した弾性層2と、さらにその外面に積層した離型層3と、金属層1の内面に積層した摺動層4との複合構造を有する。定着ベルト10において、摺動層4が内面側(ベルトガイド面側)であり、離型層3が外面側(加圧ローラ面側)である。金属層1と弾性層2との間、弾性層2と離型層3との間、あるいは金属層1と摺動層4との間には、接着のためにプライマー層(不図示)を設けてもよい。プライマー層はシリコーン系、エポキシ系、ポリアミドイミド系等の公知のものを使用すればよく、その厚さは、通常、1〜10μm程度である。
【0032】
図3は本例における定着ベルト10’の層構成模型図の一例である。このものは、弾性層を設けない例である。本例の定着ベルト10’は、基層となる電鋳ニッケル無端ベルトからなる金属層1’と、その外面に積層した離型層3’と、金属層1’の内面に積層した摺動層4’との複合構造を有する。定着ベルト10’において、摺動層4’が内面側(ベルトガイド面側)であり、離型層3’が外面側(加圧ローラ面側)である。金属層1’と離型層3’との間、あるいは金属層1’と摺動層4’との間には、接着のためにプライマー層(不図示)を設けてもよい。プライマー層は図2の定着ベルト10と同様のものを設ければよい。特に、被記録材上のトナーのり量が少なく、トナー層の凹凸が比較的小さいモノクロ画像の加熱定着用の場合は、このような弾性層を省略した形態のものとすることができる。
【0033】
この定着ベルトを電磁誘導加熱方式に用いた場合、電鋳ニッケル無端ベルトからなる金属層1または1’が電磁誘導発熱性を示す発熱層として機能する。後述するが、金属層1または1’に交番磁束が作用することで金属層1または1’に渦電流が発生し、金属層1または1’が発熱する。その熱が弾性層2・離型層3または離型層3’を介して定着ベルト10または10’を加熱し、定着ニップ部Nに通紙される被記録材を加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
【0034】
また、本発明の定着ベルト10または10’は、セラミックヒータを用いたベルト加熱方式に用いてもよい。後述するが、この場合、セラミックヒータの熱が定着ベルト10または10’を介して被記録材に付与され、トナー画像が被記録材面に加熱定着される。
【0035】
a.金属層1
金属層1は、SUS等の円柱状母型を電鋳浴に浸漬させ、母型の表面または裏面に電鋳プロセスにより成長させたニッケル(合金も含む)からなる。前述の通り、この電鋳ニッケルの結晶組織において、結晶子の平均サイズは0.05μm以上0.2μm以下である。また、電鋳ニッケルの断面結晶組織において、結晶粒の長軸をb、短軸をaとしたとき、結晶粒の平均サイズ[(b+a)/2]が0.1μm以上3μm以下であり、かつ、結晶粒の長軸bと短軸aの比(b/a)である結晶形状因子が2以下である組織の占める面積比率が50%以上であることが好ましい。
【0036】
電鋳ニッケルの結晶子のサイズは、X線回折装置により、特性X線Cu−K((波長:1.5405620Å)を用いてNi(111)回折面で測定を行い、回折プロファイルの広がり(積分幅)の測定結果をHall式に算入して求める。
【0037】
なお、本発明において、通常、測定試料の面、あるいは、母型に平行する面内の方向を変えて電鋳ニッケルの結晶子のサイズを測定したとき、試料の方向によって配向の仕方は変わらないため、面内での配向はないものと考えられる。したがって、結晶子のサイズの測定では、平らになるように試料をプラスチック板に貼り付け、任意の方向で測定を行うことができる。
【0038】
また、断面結晶組織の結晶粒の短径a、長径bは、電鋳ニッケルの断面結晶組織のSEM写真から任意の50個の結晶組織を取り出して測定する。そして、この測定値を元に、結晶粒のサイズ(a+b)/2の平均値、形状因子b/aの平均値を求める。
【0039】
電鋳ニッケルの断面結晶組織は、結晶子の合体組織と考えられる。電鋳プロセスによるめっき材、電鋳材の結晶子のサイズは、微結晶、柱状、樹枝状、粒状組織の間にはあまり顕著な違いはなく、数nmから数十nmであるといわれる。電鋳プロセスの過電圧が高くなったり、光沢剤の添加量が多くなったりする場合、原子の析出速度は結晶成長よりも速くなり、それだけ核生成速度が高くなり、結晶子のサイズは0.05μm未満になって微結晶組織になる。
【0040】
本発明において、電鋳ニッケルは、最適な結晶組織サイズを有する断面結晶組織が一定の規則性を持った配列をしていることが好ましい。電鋳浴組成および電鋳プロセスの制御により、このような電鋳ニッケルが得られる。
【0041】
イオウが含まれる光沢剤を多量に添加して得られる、結晶子のサイズが数nmから数十nmである微結晶組織の場合、通常、結晶の配向がランダムであり、規則性を持たない。一方、微量の光沢剤を添加して得られる、結晶組織サイズが3μm以上の柱状組織の場合、通常、結晶粒の配列が乱される。
【0042】
本発明の電鋳ニッケルベルトは、ニッケル以外に、イオウ、炭素、コバルト、マンガン、鉄などの元素を含有してもよい。
【0043】
ニッケル電鋳の析出するイオウの含有率は0.03質量%以下が好ましく、0.02質量%以下がより好ましい。ニッケル電鋳のイオウ成分は、電着応力を低減させ、成形精度を向上させる必須成分であるが、その一方、柔軟性や高温時の弾力性を損ない、金属疲労による破断現象に密に関与する。あまりに多くのイオウが存在すると、高温状態においてイオウがニッケル粒界周りに薄い脆性膜を形成し、ニッケル電鋳の粒界が不連続状態になることがあり、脆性破壊が発生しやすい場合がある。イオウの含有率の下限は特に規定されないが、通常、0.001質量%程度である。
【0044】
電鋳ニッケルは、例えば、ステンレス鋼製などの母型を陰極として、電鋳プロセスにより製造される。この場合の電鋳浴としては、例えばスルファミン酸系などの公知のニッケル電鋳浴を用いることができ、pH調整剤、ピット防止剤、光沢剤などの添加剤を適宜加えてもよい。ニッケル電鋳浴としては、例えば、スルファミン酸ニッケル300〜450g/L、塩化ニッケル0〜30g/L、および、ホウ酸30〜45g/Lからなるニッケル電解液が挙げられる。そして、電鋳浴温度、陰極電流密度などを制御することによって、所望のニッケルまたはニッケル合金からなるニッケル電鋳が得られる。電鋳プロセスは、用いる電鋳浴によっても異なるが、通常、電鋳浴温度45〜60℃程度、陰極電流密度1〜30A/dm程度で行うことが好ましい。
【0045】
通常、電鋳プロセスによるニッケルは、電鋳浴中にサッカリン、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム等の応力減少剤・一次光沢剤、2−ブチン−1,4−ジオール、クマリン、ジエチルトリアミン等の二次光沢剤と呼ばれる添加剤を加えることにより、電着応力を低減させて成型精度を向上させる。
【0046】
一次光沢剤(応力減少剤)は、めっきの結晶を微細化し、光沢を付与する。一方、二次光沢剤は、めっき膜にレベリングと光沢とを与える。一次光沢剤はめっき膜に圧縮応力を生じるが、二次光沢剤はめっき膜に引張応力を与える。
【0047】
一次光沢剤は=C−SOの結合を持つもので、めっき膜に光沢を与えるとともに、二次光沢剤による脆化を防ぐ。主な一次光沢剤は、スルホン酸、スルホン・アミド、ナフタリン・ジスルホン酸ソーダなどが使われている。
【0048】
二次光沢剤はコバルト塩、亜鉛塩、カドミウム塩などの金属塩の他、最近はC=O、C≡C、C=N、C≡N、N=Nなどの不飽和結合を有する有機化合物が使われている。
【0049】
電鋳ニッケルの結晶子サイズ、断面結晶組織は、電鋳浴に添加される光沢剤の種類および添加量、陰極(母型)にかける電流密度、陰極付近の電鋳浴の流速(母型表面に対する電鋳浴の流速)に影響され、これらのパラメータを制御することにより最適化できる。
【0050】
サッカリン等のイオウが含まれる第一光沢剤を電鋳浴に多量に添加すると、多量のイオウがニッケルの電析と共に析出する。電鋳ニッケル最表面に存在するイオウは、ニッケル結晶の核として働く。多量のイオウの共析により、電鋳ニッケルの結晶組織は微結晶となり、電鋳ニッケルを200℃以上に加熱すると、ニッケル結晶内にあるイオウがニッケル粒界へ偏析し、ニッケル粒界にはイオウ脆性膜が生成する。そのため、定着ベルトのような繰り返し応力作用の下で、ニッケル粒界には微小クラックが発生しやすく、定着ベルトが早期に破断しやすくなる傾向がある。
【0051】
一方、例えば、炭素三重結合を有するブチンジオールを電鋳ニッケル浴に添加することにより、電鋳ニッケルの結晶は(200)に優先配向となり、断面の結晶組織は母型表面および膜成長方向に沿って配列する。しかし、ブチンジオールを電鋳浴に多量に添加すると、電鋳ニッケルの残留応力が過大な引張り応力となり、ベルトの作製が難しくなり、定着ベルトの耐久性が低下してくる傾向がある。
【0052】
したがって、光沢剤の添加量としては、例えば、電鋳浴にサッカリン0.1g/L以下を添加し、ブチンジオール1g/L以下を添加することが好ましい。サッカリンの添加量は0.05g/L以下であることがより好ましく、ブチンジオールの添加量は0.5g/L以下であることがより好ましい。
【0053】
また、電鋳浴に全く光沢剤を添加せず、電鋳プロセスパラメータを制御することにより、小さい内部応力を有する電鋳ニッケルを得ることができるが、この場合、結晶組織が粗大化する傾向があり、定着ベルトに要求される硬度も得られないことがある。
【0054】
したがって、光沢剤の添加量の下限としては、例えば、電鋳浴に第一光沢剤とするサッカリン0.005g/L以上を添加し、第二光沢剤とするブチンジオール0.05g/L以上を添加することが好ましい。
【0055】
陰極(母型)にかける電流密度は、30A/dm以下が好ましく、20A/dm以下がより好ましい。陰極(母型)にかける電流密度があまりに大きくなると、ニッケルの析出率は高いが、結晶粒径が粗大化する傾向がある。また、陰極(母型)にかける電流密度は、1A/dm以上が好ましく、4A/dm以上がより好ましい。陰極(母型)にかける電流密度があまりに小さくなると、電鋳ニッケルの結晶組織が微結晶あるいは樹枝状組織になる傾向がある。
【0056】
母型表面に対する電鋳浴の流速は0.25m/sec以上が好ましく、0.5m/sec以上がより好ましい。母型表面に対する電鋳浴の流速があまりに小さくなりすぎると、母型表面に発生した水素ガスの脱泡が困難となり、電圧負荷が上昇し、めっきやけ性が低下してくる傾向がある。また、めっき液流速の上限は特に規定されないが、通常、母型表面に対する電鋳浴の流速は5m/sec以下が好ましい。めっき液流速があまりに大きくなりすぎると、電鋳浴の流れが激しく乱れ、めっきむらが生じ、結晶組織の規則性が乱されやすくなる。また、実用的な能力レベルの点からも、上記範囲が好ましい。
【0057】
母型付近(母型表面から5〜10mm付近)の電鋳浴の流速測定は、ピトー管法により行うことができる。
【0058】
母型表面に対する電鋳浴の流速の制御は、ポンプを用いためっき液の循環による攪拌、エアーの噴出による攪拌、攪拌羽根の運動による攪拌、多孔ノズルによる攪拌などの攪拌手法を用いることにより行うことができる。
【0059】
金属層1の厚みは、次の式で表される表皮深さより厚く、特に1μm以上にすることが好ましく、また、200μm以下、特に100μm以下にすることが好ましい。表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]で
σ=503×(ρ/fμ)1/2
と表される。これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいうとほとんどのエネルギーはこの深さまでで吸収されている(図4)。金属層1があまりに薄いと、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれなくなってきて効率が悪くなってくることがある。また、金属層1があまりに厚いと、剛性が高くなり、また、屈曲性が悪くなって回転体として使用しにくくなることがある。また、セラミックヒータを用いたベルト加熱方式に用いる場合では、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、膜厚は100μm以下、特に50μm以下であることが好ましく、また、20μm以上であることが好ましい。
【0060】
本発明で用いるニッケル電鋳は、通常、結晶であるが、一部アモルファスを含んでいてもよい。また、結晶は、硬度、柔軟性の点で微結晶でないことが好ましい。
【0061】
本発明で用いる、好ましくはビッカース硬度HV300〜450のニッケル電鋳は、定着ベルトとして十分な耐熱性を有するので、450℃まで加熱したときのビッカース硬度の低下率は20%以下であることが好ましい。
【0062】
また、ニッケル電鋳は、定着ベルトとして十分な耐熱性を有するので、再結晶温度が450℃以上であることが好ましい。
【0063】
ニッケル電鋳は、常温時の引っ張り強度は700〜1500MPaが好ましく、伸び率は2〜8%が好ましい。
【0064】
また、ニッケル電鋳は、定着ベルトとして十分な耐熱性を有するので、450℃まで加熱したときの特性低下率は20%以下であることが好ましい。
【0065】
b.弾性層2
弾性層2は設けても設けなくてもよい。弾性層を設けることにより、ニップ部において被加熱像を覆って熱の伝達を確実にするとともに、電鋳ニッケルベルトの復元力を補って回転・屈曲による疲労を緩和することができる。また、弾性層を付与することにより、定着ベルト離型層表面の未定着トナー像表面への追従性を増し、熱を効率よく伝達させることが可能になる。弾性層2を設けた定着ベルトは、特に、未定着トナーののり量が多いカラー画像の加熱定着に適している。
【0066】
弾性層2の材質としては、特に限定されず、耐熱性がよく、熱伝導率がよいものを選べばよい。弾性層2としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が好ましく、特にシリコーンゴムが好ましい。
【0067】
弾性体層に使用されるシリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体等を例示することができる。
【0068】
なお、必要に応じて、弾性体層には乾式シリカ、湿式シリカ等補強性充填材、炭酸カルシウム、石英紛、珪酸ジルコニウム、クレー(珪酸アルミニウム)、タルク(含水珪酸マグネシウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ベンガラ(酸化鉄)等を弾性体層に含有させてもよい。
【0069】
弾性層2の厚さは、良好な定着画像品質が得られるので、10μm以上、特に50μm以上が好ましく、1000μm以下、特に500μm以下が好ましい。カラー画像を印刷する場合、特に写真画像等では被記録材P上で大きな面積に渡ってベタ画像が形成される。この場合、被記録材の凹凸あるいはトナー層の凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないと加熱ムラが発生し、伝熱量が多い部分と少ない部分とで画像に光沢ムラが発生する。つまり、伝熱量が多い部分は光沢度が高くなり、伝熱量が少ない部分は光沢度が低くなる。弾性層2があまりに薄いと、被記録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまうことがある。また、弾性層2があまりに厚いと、弾性層の熱抵抗が大きくなり、クイックスタートを実現するのが難しくなることがある。
【0070】
弾性層2の硬度(JIS−A)は、画像光沢ムラの発生が十分抑制され、良好な定着画像品質が得られるので、60゜以下、特に45゜以下が好ましい。
【0071】
弾性層2の熱伝導率λは、2.5×10−3[W/cm・℃]以上、特に3.3×10−3[W/cm・℃]以上が好ましく、8.4×10−3[W/cm・℃]以下、特に6.3×10−3[W/cm・℃]以下が好ましい。熱伝導率λがあまりに小さい場合には、熱抵抗が大きくなってきて定着フィルムの表層(離型層3)における温度上昇が遅くなることがある。熱伝導率λがあまりに大きい場合には、硬度が高くなったり、圧縮永久歪みが悪化したりすることがある。
【0072】
このような弾性体層は公知の方法、例えば、液状のシリコーンゴム等の材料をブレードコート法等の手段によって金属層上に均一な厚みでコート、加熱硬化する方法;液状のシリコーンゴム等の材料を成形型に注入し加硫硬化する方法;押出成形後に加硫硬化する方法;射出成形後に加硫硬化する方法等で形成すればよい。
【0073】
c.離型層3
離型層3の材料としては特に限定されず、離型性、耐熱性のよいものを選べばよい。離型層3としては、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムが好ましく、特にPFAが好ましい。
【0074】
なお、必要に応じて、離型層にはカーボン、酸化すず等の導電剤等を離型層の10質量%以下含有させてもよい。
【0075】
離型層3の厚さは1μm以上または100μm以下が好ましい。離型層3があまりに薄いと、塗膜の塗ムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足したりすることがある。また、離型層があまりに厚いと、熱伝導が悪化することがあり、特に樹脂系の離型層の場合は硬度が高くなって弾性層2の効果がなくなってしまうことがある。
【0076】
このような離型層は公知の方法、例えば、フッ素樹脂系の場合、フッ素樹脂粉末を分散塗料化したものをコート・乾燥・焼成する方法により、あるいは予めチューブ化したものを被覆・接着する方法で形成すればよく、ゴム系の場合、液状の材料を成形型に注入し加硫硬化する方法;押出成形後に加硫硬化する方法;射出成形後に加硫硬化する方法等で形成すればよい。
【0077】
また、予め内面プライマー処理されたチューブ、予め表面プライマー処理された電鋳ニッケルベルトを円筒金型内に装着し、チューブと電鋳ニッケルベルト間隙間に液状シリコーンゴムを注入、加熱することでゴムの硬化及び接着を行う手法を用いれば、弾性層、離型層を同時に形成することも可能である。
【0078】
d.摺動層4
摺動層4は本発明の必須成分ではないが、本発明の像加熱定着装置を作動させる際の駆動トルクの低減を図るうえで設けることが好ましい。摺動層4を設けると、定着ベルトの熱容量を大きくしすぎることなく、発熱層1に発生した熱が定着ベルトの内側に向かわないように断熱できるので、摺動層4がない場合と比較して被記録材P側への熱供給効率がよくなり、消費電力を抑えることもできる。また立ち上がり時間の短縮を図ることもできる。
【0079】
その材質は、特に限定されず、高耐熱性で強度が高く、表面が滑らかにできるものを選べばよい。摺動層4としては、ポリイミド樹脂等が好ましい。
【0080】
なお、必要に応じて、摺動層には摺動剤としてフッ素樹脂粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等を摺動層に含有させてもよい。
【0081】
摺動層4の厚さとしては5μm以上、特に10μm以上が好ましく、100μm以下、特に60μm以下が好ましい。摺動層4があまりに薄いと耐久性が不足することがある。摺動層4があまりに厚いと定着ベルトの熱容量が大きくなり、立ち上がり時間が長くなることがある。
【0082】
このような摺動層は公知の方法、例えば、液状の材料をコート・乾燥・硬化する方法、あるいは予めチューブ化したものを貼りつける方法等で形成すればよい。
【0083】
(2)像加熱定着装置100
次に、本発明の像加熱定着装置について説明する。本発明の像加熱定着装置は、定着ベルトと、この定着ベルトを介して互いに圧接する一対の圧接部材とを有し、前記定着ベルトの内面は前記圧接部材の一方と摺動し、前記定着ベルトからの熱により記録材上の画像を加熱定着するものであって、用いる定着ベルトは前述の本発明の定着ベルトである。特に、磁束を発生する磁束発生手段を有し、この磁束発生手段により発生する磁束により定着ベルトが発熱して記録材上の画像を加熱定着する像加熱定着装置、または、定着ベルトと摺動する圧接部材が加熱体であり、定着ベルトを介した加熱体からの熱により記録材上の画像を加熱定着する像加熱定着装置が好ましい。
【0084】
(第1の実施形態例)
図5は本例の像加熱定着装置100の要部の横断模型図の一例である。本例において像加熱定着装置100は電磁誘導加熱方式の装置であり、定着ベルト10は前述の本発明のものである。
【0085】
磁場発生手段は、磁性コア17(a〜c)および励磁コイル18からなる。図6は、この像加熱装置の磁場発生手段模型図である。
【0086】
磁性コア17は高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料が好ましく、特に100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いることが好ましい。
【0087】
励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電線)として一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では11ターン巻いて励磁コイル18を形成している。
【0088】
絶縁被覆は、定着ベルト10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いることが好ましい。例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等による被覆を用いる。ここで、励磁コイル18の外部から圧力をかけて密集度を向上させてもよい。
【0089】
磁場発生手段と定着ベルト10との間には、ベルトガイド部材としても機能する絶縁部材を配設してある。絶縁部材の材質としては絶縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PES(ポリエーテルスルホン)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)樹脂、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)樹脂、LCP(液晶ポリエステル)樹脂等が好ましく挙げられる。
【0090】
励磁コイル18には給電部18a・18bに励磁回路27を接続してある。この励磁回路27は、好ましくは20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。励磁コイル18は励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。
【0091】
図7は交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。
【0092】
磁性コア17に導かれた交番磁束(C)は、定着ベルト10の電鋳ニッケルからなる金属層(電磁誘導発熱層)1に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度によって決まり、図7のグラフような分布を示す。図7右図は、縦軸は電磁誘導発熱層の位置を角度θで表わし、横軸は定着ベルト10の電磁誘導発熱層1での発熱量Qを表す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとした場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これは、定着に必要な発熱量が得られる領域である。
【0093】
この定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流供給を制御することで所定の温度が維持されるように温調される。図5の温度センサ26は定着ベルト10の温度を検知するサーミスタ等であり、本例においては温度センサ26で測定した定着ベルト10の温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
【0094】
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させたシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等の耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
【0095】
加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用構成ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより、ベルトガイド部材16aの下面に配設した摺動板40の下面と加圧ローラ30の上面とが定着ベルト10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。なお、ベルトガイド部材16としては、耐熱フェノール樹脂、LCP(液晶ポリエステル)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂等、耐熱性に優れた樹脂を用いることが好ましい。
【0096】
加圧ローラ30は、駆動手段Mにより矢示のように反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による加圧ローラ30と定着ベルト10との摩擦力で定着ベルト10に回転力が作用して、定着ベルト10が、その内面が定着ニップ部Nにおいて摺動板40の下面に摺動しながら、矢示のように時計方向に加圧ローラ30の回転速度にほぼ対応した周速度でベルトガイド部材16aと16bの外回りを回転する。
【0097】
こうして、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って定着ベルト10が回転し、励磁回路27から励磁コイル18への給電により上記のように定着ベルト10の電磁誘導発熱がなされ、定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された被記録材Pが、定着ニップ部Nの定着ベルト10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、すなわち定着ベルト面に対向して導入される。そして、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着ベルト10の外面に密着し、定着ベルト10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この過程において、定着ベルト10の電磁誘導発熱によって加熱されて未定着トナー画像tが被記録材P面に加熱定着される。被記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると、回転定着ベルト10の外面から分離して排出搬送されていく。被記録材上の加熱定着トナー画像は定着ニップ部Nを通過後、冷却して永久固着像となる。
【0098】
本例では定着装置にオフセット防止のためのオイル塗布機構を設けていないが、低軟化物質を含有させていないトナーを使用した場合にはオイル塗布機構を設けてもよい。また、低軟化物質を含有させたトナーを使用した場合にもオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
【0099】
また、加圧部材30はローラ体に限らず、回動フィルム型等他の形態の部材にすることもできる。また、加圧部材30側からも被記録材に熱エネルギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘導加熱等の発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調する装置構成にすることもできる。
【0100】
(第2の実施形態例)
加熱体としてセラミックヒータを用いたベルト加熱方式の定着装置においても本発明の定着ベルトを好ましく用いることができる。
【0101】
図8は本例における像加熱定着装置の横断面模型図の一例である。本例において像加熱定着装置は加熱体としてセラミックヒータを用いたベルト加熱方式の装置であり、定着ベルト10は前述の本発明のものである。
【0102】
ベルトガイド16は耐熱性・断熱性のベルトガイドである。加熱体としてのセラミックヒータ12は、ベルトガイド16の下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に嵌入して固定支持させてある。そして、円筒状もしくはエンドレス状の本発明の定着ベルト10はベルトガイド16にルーズに外嵌させてある。
【0103】
加圧用剛性ステイ22はベルトガイド16の内側に挿通してある。
【0104】
加圧部材30は、本例では弾性加圧ローラである。この加圧部材30は、芯金30aにシリコーンゴム等の弾性層30bを設けて硬度を下げたもので、芯金30aの両端部を装置の不図示の手前側と奥側のシャーシー側板との間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。弾性加圧ローラは、表面性を向上させるために、さらに外周にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂層を設けてもよい。
【0105】
定着ニップ部Nを形成するための加圧手段および定着フィルム端部の保持手段については第1の実施形態例と同様の構成をとる。
【0106】
加圧ローラ30は、駆動手段Mにより矢示のように反時計方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による加圧ローラ30と定着ベルト10との外面との摩擦力で定着ベルト10に回転力が作用して、定着ベルト10はその内面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ12の下面に密着して摺動しながら、矢示のように時計方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度でベルトガイド16の外回りに回転する(加圧ローラ駆動方式)。
【0107】
プリントスタート信号に基づいて加圧ローラ30の回転が開始され、またセラミックヒータ12のヒートアップが開始される。加圧ローラ30の回転による定着ベルト10の回転周速度が定常化し、セラミックヒータ12の温度が所定温度に立ち上がった状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト10と加圧ローラ30との間に被加熱材としてのトナー画像tを担持させた被記録材Pがトナー画像担持面側を定着ベルト10側にして導入される。そして、被記録材Pは定着ニップ部Nにおいて定着ベルト10を介してセラミックヒータ12の下面に密着し、定着ベルト10と一緒に定着ニップ部Nを移動通過していく。その移動通過過程において、セラミックヒータ12の熱が定着ベルト10を介して被記録材Pに付与され、トナー画像tが被記録材P面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した被記録材Pは定着ベルト10の外面から分離して搬送される。
【0108】
加熱体としてのセラミックヒータ12は、定着ベルト10・被記録材Pの移動方向に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の線状加熱体である。チッ化アルミニウム等でできたヒータ基板12aと、このヒータ基板12aの表面にその長手に沿って設けた発熱層12b、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を約10μm、幅1〜5mmにスクリーン印刷等により塗工して設けた発熱層12bと、さらにその上に設けたガラスやフッ素樹脂等の保護層12cを基本構成とするものである。なお、用いるセラミックヒータはこのようなものに限定されるわけではない。
【0109】
そして、セラミックヒータ12の発熱層12bの両端間に通電されることで発熱層12bは発熱し、ヒータ12が急速に昇温する。そのヒータ温度が温度センサ(不図示)に検知され、ヒータ温度が所定の温度に維持されるように制御回路(不図示)で発熱層12bに対する通電が制御されてヒータ12は温調管理される。
【0110】
セラミックヒータ12は、ベルトガイド16の下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に、保護層12c側を上向きに嵌入して固定支持させてある。定着ベルト10と接触する定着ニップ部Nには、このセラミックヒータ12の摺動部材40の面と定着ベルト10の内面が相互接触摺動する。
【0111】
また、セラミックヒータのかわりに鉄板等の強磁性体金属板を設け、第1の実施形態例で用いた電磁誘導によって前記強磁性体金属板を発熱させて、ヒータとして用いることもできる。
【0112】
また、加圧部材30はローラ体に限らず、回動フィルム型等他の形態の部材にすることもできる。また、加圧部材30側からも被記録材に熱エネルギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘導加熱等の発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調する装置構成にすることもできる。
【0113】
(その他の実施形態例)
像加熱定着装置の装置構成は、上記のような実施形態例の加圧ローラ駆動方式に限られるものではない。
【0114】
その他にも、例えば、図9のように、ベルトガイド16と駆動ローラ31とテンションローラ32との間に本発明の定着ベルト10を懸回張設し、ベルトガイド16の下面部と加圧部材としての加圧ローラ30とを定着ベルト10に挟んで圧接させて定着ニップ部Nを形成させ、定着ベルト10を駆動ローラ31によって回転駆動させる装置構成にすることもできる。この場合、加圧ローラ30は従動回転ローラである。
【0115】
また、この場合も加圧部材30はローラ体に限らず、回動フィルム型等他の形態の部材にすることもできる。また、加圧部材30側からも被記録材に熱エネルギーを供給するために、加圧部材30側にも電磁誘導加熱等の発熱手段を設けて所定の温度に加熱・温調する装置構成にすることもできる。
【0116】
本発明の像加熱装置は、画像加熱定着装置としてに限らず、画像を担持した被記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置や、仮定着する像加熱装置として使用できる。その他、被加熱材の加熱乾燥装置、加熱ラミネート装置等、広く被加熱材を加熱処理する手段・装置として使用できる。
【0117】
【実施例】
[実験例1]
金属層1として内径34mm、厚み50μmの表1に示す条件で下記のようにして作成した電鋳ニッケル無端ベルトを選び、弾性層2として厚み300μmのシリコーンゴム、離型層3として厚み30μmのPFAチューブを各々プライマーを介して積層し、さらに摺動層4として厚み15μmのポリイミド樹脂層を積層して各種定着ベルトを作成した。
【0118】
<電鋳ニッケル無端ベルトの作成>
まず、電鋳浴として、スルファミン酸ニッケル四水塩450g/L、塩化ニッケル10g/L、硼酸40g/Lからなる水溶液浴を作り、次に必要量のピット防止剤を加えた後、第一光沢剤としてサッカリン、第二光沢剤として2−ブチン−1,4−ジオールを下記表1に示す量添加した。活性炭を充填した容器でろ過しながら、低電流で電解精製を行った。
【0119】
得られた各種ニッケル電鋳浴を用い、ステンレス鋼製の母型を陰極として、同じく下記表1に示す各種電鋳浴温度、陰極電流密度、攪拌による母型付近の浴流速(母型表面に対する電鋳浴の流速)でニッケル電鋳を行い、内径34mm、厚み50μmの電鋳ニッケルを成膜した。そして、この電鋳ニッケルを母型から取り外し、金属層とした。
【0120】
【表1】
Figure 2004068148
得られた電鋳ニッケルの結晶子サイズの測定は、X線回折装置(リガク株式会社製、RINT2100/PC)と解析ソフトウェア「JADE」を用い、特性X線Cu−K((波長:1.5405620Å)を用いてNi(111)回折面で行い、回折プロファイルの広がり(積分幅)の測定結果をHall式に算入して求めた。Hall方法とは、回折線の広がりから結晶子サイズと格子歪による回折線の広がりを抽出して、結晶子の大きさと格子歪みとを算出する。つまり、本発明においては、格子歪まで考慮し、結晶子による(111)方向の回折プロファイルの真の広がり(積分幅)を用い、結晶子サイズを求めた。
【0121】
得られた電鋳ニッケルの断面結晶組織の観察および評価は、以下のようにして行った。
【0122】
まず、試料(電鋳ニッケル)を樹脂(エポキシド合成樹脂:エポキシド硬膜液=5:1)で包埋し、鏡面研磨を行い、平調液(硝酸:酢酸=1:1)でエッチングを行った。次に、よく観察できるように、光学顕微鏡を用いて1000倍率の下で研磨とエッチング状態とを確認した上で、日本電子製の電子顕微鏡(SEM)を用いて断面結晶組織を1500〜6000倍率の下で観察、評価した。その写真を図10に示す。図10に示すものは、実施例4の電鋳ニッケルの断面結晶組織のSEM写真である。その写真から任意の50個の結晶組織を取り出し、画像解析ソフト(Image−Pro Plus)および装置を用いて結晶粒の長径bと短径aとを測定し、形状因子(b/a)の平均値、および、結晶粒の平均サイズ(b+a)/2を求めた。
【0123】
同時に、画像解析装置を用いて電鋳ニッケル断面結晶組織の規則性(任意の3ヶ所の結晶粒それぞれに対しての、10個連続隣接する結晶粒の長軸の成長方向に対する角度のバラツキ)を求めた。その結果、断面の結晶組織は成長方向、あるいは、母型表面の垂直方向に揃って粒状の組織が一定の規則性を持っていることを確認した。
【0124】
また、日本電子製、2010F電界放射型電子顕微鏡(FE−TEM)を用い、微結晶の結晶組織を観察し、本発明にかかる結晶組織にある小傾角粒界を持つ双晶組織の存在を確認した。実施例の双晶の幅は、すべて、0.05μmであった。
【0125】
また、日本電子製、2010F電界放射型電子顕微鏡(FE−TEM)を用い、結晶子サイズの確認を行った。
【0126】
以上の評価結果を表2に示す。
【0127】
比較例3を除いて所定の電鋳ニッケルベルトが得られた。ブチンジオールを1.2g/L添加した比較例3では、ニッケル結晶成長中にニッケル膜が母型から剥離してしまった。これは、成膜したニッケルが過大な引張り応力を持つことによる。
【0128】
<定着ベルトの作成>
上記のようにして作成した電鋳ニッケル無端ベルト(金属層)に、あらかじめプライマー(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製DY35‐051)をスプレーにより塗布し、150℃で30分間乾燥させて、厚さ5μmのプライマー層を形成した。
【0129】
次に、PFAチューブ内面に同様にしてプライマー層を形成し、PFAチューブの外径とほぼ同内径の円筒状金型に、上記金属層と共に同軸上に装着し、チューブと金属層間に液状シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製:DY32‐561A/B)を注入、200℃で30分間温風循環炉内で加熱した。ゴムの硬化及び各層接着が同時に行われ、金属層上に弾性層2として厚さ300μmのシリコーンゴム、離型層3として厚さ30μmのPFAチューブが積層された。
【0130】
また、金属層の逆の面にはポリイミドワニス(宇部興産製 U−ワニスS)をコートし、210℃で1時間温風循環炉内で乾燥硬化し、摺動層4として厚さ15μmのポリイミド樹脂層を積層した。
【0131】
そして、このようにして作成した実施例1〜8、比較例1〜8の定着ベルトを図5のような電磁誘導加熱方式の像加熱定着装置100に装着し、空回転耐久テストに供した。その結果を表2に示す。
【0132】
(空回転耐久テスト)
220℃に温調しながら、所定の加圧力で加圧ローラを定着ベルトに押し付け、定着ベルトを加圧ローラに従動回転させた。加圧ローラは、肉厚3mmのシリコーン層に30μmのPFAチューブを被覆した外径30mmのゴムローラを用いた。本実験例では、加圧力は200N、定着ニップは8mm×230mmであり、定着ベルトの表面速度は100mm/secとなる条件に定めた。各定着ベルトをそれぞれ上記回転試験に供し、ベルトの亀裂・破断の発生するまでの時間を耐久時間とした。
【0133】
【表2】
Figure 2004068148
電鋳ニッケルの結晶組織において結晶子の平均サイズが0.05μm以上0.2μm以下であり、電鋳ニッケルの断面結晶組織において、結晶粒の平均サイズ[(b+a)/2]が0.1μm以上3μm以下であり、かつ、結晶形状因子(b/a)が2以下である組織の占める面積比率が50%以上であり、かつ、結晶組織が規則性を持った配列をなす(10個連続隣接する結晶粒の長軸の成長方向に対する角度のバラツキが30°以下)本発明(実施例1〜8)の電鋳ニッケル定着ベルトを用いた場合、いずれも、耐久時間は500時間を超えた。
【0134】
一方、結晶子の平均サイズが0.05μm未満または0.2μmを超える比較例1〜8の電鋳ニッケル定着ベルトを用いた場合、耐久時間が230時間を超えるものはなかった。
【0135】
[実験例2]
さらに、実験例1で用いた上記定着装置をキヤノン製フルカラーLBP LASER SHOT『LBP−2040』に搭載し、画出して耐久テストを行った。加圧力は200N、定着ニップは8mm×230mmであり、定着温度は200℃、プロセススピードは100mm/secに設定した。 [実施例1] 〜 [実施例8] の定着ベルトを用いたものはトラブルなく10万枚画出し、耐久テストを終了した。それに対して、[比較例1] の定着ベルトを用いたものは1万枚、[比較例2]、[比較例4] 〜 [比較例8] の定着ベルトを用いたものは3万枚でそれぞれ定着ベルトの破壊により通紙不可能となった。
【0136】
[実験例3]
[実施例1] 〜 [実施例8] の定着ベルトを図8のような加熱体としてセラミックヒータを用いたベルト加熱方式の装置(定着装置100)に装着し、空回転耐久テストに供したところ、十分な耐熱耐久性を確認できた。
【0137】
【発明の効果】
本発明により、小熱容量の加熱体を利用して低エネルギー加熱を可能とした像加熱装置において、耐久性、特に高温時の耐久性に優れた定着ベルト、および、高耐久性で信頼性の高い像加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定着ベルトの結晶粒の平均サイズ[(b+a)/2]、結晶粒の長軸bと短軸aの比(b/a)の定義を説明するための図である。
【図2】本発明の定着ベルトの層構成模型図の一例である。
【図3】本発明の定着ベルトの層構成摸型図の一例である。
【図4】発熱層深さと電磁波強度との関係を示す図である。
【図5】第1の実施形態例に用いた像加熱装置の概略構成図である。
【図6】第1の実施形態例に用いた像加熱装置の磁場発生手段模型図である。
【図7】第1の実施形態例に用いた像加熱装置の磁場発生手段と発熱量Qの関係を示す図である。
【図8】第2の実施形態例に用いた像加熱装置の概略構成図である。
【図9】その他の実施形態例に用いた像加熱装置の概略構成図である。
【図10】実施例4の電鋳ニッケルの断面結晶集合組織のSEM写真である。
【符号の説明】
1,1’    発熱層(金属層)
2       弾性層
3,3’    離型層
4,4’    摺動層
10,10’  定着ベルト
12      セラミックヒータ
12b     発熱層
12c     保護層
16      ベルトガイド
17      磁性コア
18      励磁コイル
18a,18b 給電部
22      加圧用剛性ステイ
23a,23b 定着ベルト端部の規制・保持用フランジ部材
26      温度検知素子(サーミスタ)
27      励磁回路
30      加圧部材(加圧ローラ)
30a     芯金
30b     耐熱性・弾性材層
31      駆動ローラ
32      テンションローラ
40      摺動板
N       定着ニップ部
t       トナー画像
P       被記録材
C       磁束
M       駆動手段
100     像加熱定着装置

Claims (9)

  1. 少なくとも離型層と、電鋳ニッケルからなる金属層とを有する定着ベルトであって、
    前記電鋳ニッケルの結晶組織において、結晶子の平均サイズが0.05μm以上0.2μm以下であることを特徴とする定着ベルト。
  2. 前記電鋳ニッケルの断面結晶組織において、結晶粒の長軸をb、短軸をaとしたとき、結晶粒の平均サイズ[(b+a)/2]が0.1μm以上3μm以下であり、かつ、結晶粒の長軸bと短軸aの比(b/a)である結晶形状因子が2以下である組織の占める面積比率が50%以上である請求項1に記載の定着ベルト。
  3. 前記電鋳ニッケルの断面結晶組織において、前記結晶組織が規則性を持った配列をなす請求項1に記載の定着ベルト。
  4. 前記電鋳ニッケルが、母型表面に対する電鋳浴の流速が0.25m/sec以上5m/sec以下であり、母型にかける電流密度が1A/dm以上30A/dm以下であり、かつ、電鋳浴中の一次光沢剤とするサッカリンの含有量が0.1g/L以下であり、二次光沢剤とするブチンジオールの含有量が1g/L以下である条件で形成したものである請求項1に記載の定着ベルト。
  5. 前記離型層と前記金属層との間に弾性層を有する請求項1に記載の定着ベルト。
  6. 前記弾性層がシリコーンゴム、フッ素ゴムまたはフルオロシリコーンゴムのいずれかである請求項5に記載の定着ベルト。
  7. 定着ベルトと、この定着ベルトを介して互いに圧接する一対の圧接部材とを有し、前記定着ベルトの内面は前記圧接部材の一方と摺動し、前記定着ベルトからの熱により記録材上の画像を加熱定着する像加熱定着装置であって、
    前記定着ベルトは請求項1に記載の定着ベルトであることを特徴とする像加熱定着装置。
  8. 磁束を発生する磁束発生手段を有し、
    前記磁束発生手段により発生する磁束により前記定着ベルトが発熱して記録材上の画像を加熱定着する請求項7に記載の像加熱定着装置。
  9. 前記定着ベルトと摺動する圧接部材が加熱体であり、
    前記定着ベルトを介した前記加熱体からの熱により記録材上の画像を加熱定着する請求項7に記載の像加熱定着装置。
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