JP2006171542A - 定着ベルト - Google Patents

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Abstract

【課題】高温下においても耐久性に優れたニッケル電鋳製の定着ベルトを提供する。
【解決手段】転写材上のトナー像を定着するための定着ベルト(10)は、ニッケル電鋳製の無端状ベルト基体(101)を有する。ベルト基体(101)を構成する結晶子のうち、300℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が400Å以下の平均粒径を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ファクシミリ、レーザビームプリンター等の画像形成装置の定着部で転写材上のトナー像を定着させるために使用される、ニッケル電鋳製の無端状ベルト基体を備えた定着ベルトに関する。
ファクシミリ、レーザビームプリンター等の画像形成装置には、小型化、省エネルギー化、印字・複写の高速化等の要求に応えるために、定着ローラの代わりに無端状の定着ベルトを使用したベルト定着方式が採用されるようになってきている。定着ベルトは、厚さが薄いために、全体が迅速に加熱され、電源投入後の待機時間を大幅に短縮することができるという利点もある。
このようなトナー定着ベルトのベルト基体として、電鋳法により形成されたいわゆるニッケル電鋳製の無端状ニッケルベルト基体を用いることは、例えば特許文献1により公知である。電鋳法では、母型(電型、鋳型)、例えばステンレス製の円筒状母型を陰極とし、その表面にニッケルメッキ浴を用いて電気メッキを施すことによりニッケルメッキ膜を形成し、このメッキ膜を母型から剥離(脱型)して製品とする。
特許文献1には、電鋳により炭素含有量が0.01〜0.1質量%の無端状ニッケルベルトを形成することが記載されている。また、特許文献2には、ハロゲンランプを熱源として用いたベルト定着方式が記載されている。
特開2002−148975号公報 特開2003−57981号公報
しかしながら、ニッケル電鋳をベルト基体として有する従来の定着ベルトは、高温下での耐熱疲労強度が十分でなく、耐久性に乏しい。すなわち、従来のニッケル電鋳製定着ベルト基体は、高温下での繰り返しの使用により、クラックが発生し、ベルト基体が破断してしまうという問題があった。
従って、本発明は、高温下での耐熱疲労特性を改善した高耐久性の定着ベルトを提供することを目的とする。
本発明者らは、高温下で使用した定着ベルトのニッケル電鋳製ベルト基体について結晶学的研究を重ねたところ、破断したベルト基体には、ニッケル電鋳を構成する結晶子のうち、ある特定の結晶成長面を有する結晶子、例えば裏面における(111)面に配向する結晶子が、高温下での加熱により、比較的大きく成長し、それが高温下でのベルト基体の破断の要因となることを究明した。この知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、ニッケル電鋳ベルト基体を構成する結晶子のうち、所定の温度で加熱した後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径を所定の値以下となるように抑制することにより、定着ベルト製品の製造までにベルト基体が受けた熱履歴如何にかかわらず、耐久性(耐熱疲労性)に優れた定着ベルトが得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の側面によれば、転写材上のトナー像を定着するための定着ベルトであって、ニッケル電鋳製無端状ベルト基体を備え、前記ベルト基体を構成する結晶子のうち、300℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が400Å以下の平均粒径を有することを特徴とする定着ベルトが提供される。
また、本発明の第2の側面によれば、転写材上のトナー像を定着するための定着ベルトであって、ニッケル電鋳製無端状ベルト基体を備え、前記ベルト基体を構成する結晶子のうち、350℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が500Å未満の平均粒径を有することを特徴とする定着ベルトが提供される。
本発明の定着ベルトにおいて、ベルト基体は、結晶成長抑制剤を含有することが好ましい。かかる結晶成長抑制剤は、リン、マンガン、および/またはホウ素により構成され得る。
本発明において、ベルト基体について、裏面とはベルト基体の内周面を意味し、表面とはベルト基体の外周面を意味する。
本発明によれば、使用環境下での熱劣化を抑制し、高温下での耐熱疲労特性を改善した高耐久性の定着ベルトを得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の種々の態様を説明する。
図1は、本発明の1つの態様に係るトナー定着ベルト10の概略正面図であり、図2は、図1のII−IIに沿う断面部分を示す図である。
トナー定着ベルト10は、ニッケル電鋳により無端状に形成されたベルト基体101を備える。通常、ベルト基体101の表面(外周面)101aには、直接またはシリコーンゴムなどの弾性層102を介してフッ素樹脂等からなる離型層103が被覆形成される。また、ベルト基体101の裏面(内周面)101bには、必要に応じて、摺動性を向上させるための摺動層(例えば、ポリイミド、フッ素樹脂等)104が形成される。ベルト基体101と弾性層102との間、弾性層102と離型層103との間、あるいはベルト基体101と摺動層104との間に、接着のためにプライマー層(図示せず)を設けてもよい。弾性層102の厚さは、通常、20〜1000μmであり、好ましくは150〜450μmである。離型層103の厚さは、通常、1〜150μmであり、好ましくは5〜50μmである。また、摺動層104の厚さは、通常、5〜100μmであり、好ましくは10〜60μmである。
ベルト基体101の厚さは、電磁誘導加熱方式を用いる場合は、次式:
σ=503×(ρ/fμ)1/2
(ここで、σは、表皮深さ(m)、fは、励磁回路の周波数(Hz)、μは、透磁率、ρは、固有抵抗(Ωm))で表される表皮深さより厚く、特に1μm以上100μm以下にすることが好ましい。この表皮深さは、電磁誘導加熱に使用される電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になり、ほとんどのエネルギーはこの深さまでで吸収される。ベルト基体の厚さが1μmを下回ると、ベルト基体101がほとんどの電磁エネルギーを吸収しきれなくなり、効率が低下してくることがあるので好ましくない。一方、ベルト基体101の厚さが100μmを上回ると、剛性が大きくなり、柔軟性が低下し、屈曲性が損なわれて定着ベルトとして使用しにくくなる傾向にある。
一方、ハロゲンヒータを熱源として用いたベルト定着方式に用いる場合は、熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、ベルト基体101の厚さは、通常10〜100μm、好ましくは15〜80μm、より好ましくは20〜60μm程度である。熱容量、熱伝導性、機械的強度、可撓性などのバランスの観点から、30〜50μm程度の厚さであることが最も好ましい。電子写真複写機の定着ベルトに適用する場合には、幅を転写紙などの転写材の幅に応じて適宜定めることができる。
ベルト基体101(ニッケル電鋳)は、種々の結晶成長面を有する結晶子により構成される。より具体的には、ニッケル電鋳法により形成されたベルト基体101は、その表面および裏面において、特定の複数の成長面を有する(成長面に配向する)結晶子を有する。例えば、表面において(111)面に配向する結晶子(以下、「表面(111)結晶子」という。)、裏面において(111)面に配向する結晶子(以下、「裏面(111)結晶子」という。)、表面において(200)面に配向する結晶子(以下、「表面(200)結晶子」という。)および裏面において(200)面に配向する結晶子(以下、「裏面(200)結晶子」という。)から主として構成され得る。得られたままの状態あるいは未加熱状態のベルト基体の結晶子全体の平均粒径は、90Å〜250Å程度であり得る。
本発明において、ニッケル電鋳製ベルト基体101は、1つの態様においては、ベルト基体101を構成する結晶子のうち、300℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が400Å以下の平均粒径を有する。この場合、最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径は、300Å以下であることが好ましい。
別の(好ましい)態様においては、ベルト基体101を構成する結晶子のうち、350℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が500Å未満の平均粒径を有する。この場合、最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径は350Å以下であることが好ましい。
なお、各結晶成長面に配向する結晶子の平均粒径は、X線回折装置を用いて測定することができる。結晶子の平均粒径は、市販の解析ソフトにより求めることができる。上記加熱後における結晶子の平均粒径の選択は、他の結晶成長面を有するニッケル電鋳製ベルト基体にも適用できることはいうまでもない。
ベルト基体101は、一般に、硫酸ニッケルや塩化ニッケルを主成分とするワット浴やスルファミン酸ニッケルを主成分とするスルファミン酸浴等のニッケルメッキ浴を用いて、電鋳法により形成することができる。電鋳法は、母型の表面に厚メッキを行ない、これを母型から剥離して製品を得る方法である。すなわち、ベルト基体101の裏面(内周面)101bは、母型と接触する側の面である。
ベルト基体101を得るには、ステンレス鋼、黄銅、アルミニウム等からなる円筒を母型とし、その表面にニッケルメッキ浴を用いてニッケルメッキ膜を形成することができる。母型がシリコーン樹脂や石膏などの不導体である場合には、黒鉛、銅粉、銀鏡、スパッタリングなどにより、導電性処理を行う。金属母型への電鋳では、ニッケルメッキ膜の剥離を容易にするために、母型の表面に酸化膜、化合物膜、黒鉛粉塗布膜などの剥離膜を形成するなどの剥離処理を行うことが好ましい。
ニッケルメッキ浴は、ニッケルイオン源、アノード溶解剤、pH緩衝剤、その他の添加剤を含む。ニッケルイオン源としては、スルファミン酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケルを例示することができる。アノード溶解剤としては、ワット浴の場合、塩化ニッケルがこの役割を果たしており、他のニッケル浴では、塩化アンモニウム、臭化ニッケルなどが用いられている。ニッケルメッキは、一般に、pH3.0〜6.2の範囲で行なわれるが、この間の望ましい範囲に調整するために、ホウ酸、ギ酸、酢酸ニッケルなどのpH緩衝剤が用いられる。その他の添加剤としては、平滑化、ピット防止、結晶微細化、残留応力の低減などを目的として、例えば、光沢剤、ピット防止剤、内部応力減少剤などが用いられる。
ニッケルメッキ浴としては、スルファミン酸浴が好ましい。スルファミン酸浴の組成としては、スルファミン酸ニッケル四水塩300〜600g/L、塩化ニッケル0〜30g/L、ホウ酸20〜40g/L、適量の界面活性剤、適量の光沢剤(一次光沢剤、二次光沢剤)等を含有するものを挙げることができる。一次光沢剤としては、ニッケル電鋳中への硫黄の供給源ともなるナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸三ナトリウム等を例示することができ、二次光沢剤としては、2−ブチン−1,4−ジオールを例示することができる。スルファミン酸浴のpHは、好ましくは3.5〜4.5である。浴温は好ましくは40〜60℃である。電鋳の際の電流密度は、好ましくは、0.5〜15A/dm2の範囲とし、高濃度浴の場合には、3〜40A/dm2の範囲とすることが好ましい。
本発明の1つの態様において、上記ニッケルメッキ浴、特にスルファミン酸ニッケル浴に結晶成長抑制剤を添加して上記条件で電鋳を行うことにより、結晶子の加熱による粒子成長をより一層効果的に抑制することができることがわかった。そのような結晶成長抑制剤は、リン、ホウ素、およびマンガンからなる群の中から選ぶことができる。
リンは、例えば次亜リン酸ナトリウム一水和物のような水溶性リン含有酸の塩の形態でニッケルメッキ浴に添加することによりニッケルと共析させることができる。ホウ素は、例えばトリメチルアミンボランのような水溶性有機ホウ素化合物の形態でニッケルメッキ浴に添加することによりニッケルと共析させることができる。また、マンガンは、スルファミン酸マンガン四水和物のような水溶性マンガン化合物の形態でニッケルメッキ浴に添加することにより、ニッケルと共析させることができる。なお、ホウ酸は、ニッケル電鋳中へのホウ素の供給源とはならない。本発明のニッケル電鋳製ベルト基体は、結晶成長抑制剤を0.01〜0.5質量%の含有率で含有することが好ましい。結晶成長抑制剤の含有率が0.01質量%未満であると、結晶成長抑制効果が十分に発揮されず、他方結晶成長抑制剤の含有率が0.5質量%を越えると、母型からの離型性が低下し、生産性に問題を生じる傾向を示す。
また、本発明において、ニッケル電鋳ベルト基体の硫黄の含有率を0.001質量%以上とすることにより、製造時の脱型性が向上する。また、この硫黄含有率を0.004質量%以上とすることにより、電鋳で得られたままのベルト基体中の結晶子の粒径を小さくすることができる。硫黄含有率は、0.02質量%未満とすることが好ましい。硫黄含有率が0.02質量%以上であると、硫黄脆性により強度が低下する傾向を示す。
トナー定着ベルトは、電鋳による製造後、弾性層、離型層、あるいは摺動層の形成のために種々の温度での加熱を受ける。しかしながら、そのような熱履歴如何にかかわらず、300℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径を400Å以下とすることにより、あるいは350℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径を500Å未満とすることにより、耐熱疲労特性が十分に向上するものである。
なお、本発明により、300℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径を400Å以下とすることにより、あるいは350℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径を500Å未満とすることにより、耐熱疲労特性が十分に向上することが見いだされたので、ニッケル電鋳製ベルト基体を製造した後、300℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が400Å以下の平均粒径を示すもの、より好ましくは350℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が500Å未満の平均粒径を示すものを製品化することにより耐熱疲労特性に優れた定着ベルトを安定に製造することができるということができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明を限定するものではない。
比較例1〜5および実施例1〜7
スルファミン酸ニッケル四水塩を500g/Lおよびホウ酸を35g/Lの割合で含有する水溶液を作り、活性炭を充填した容器で0.5μmのフィルターを用いてろ過しながら、低電流で電解精製を行った。次に、活性炭を取り出し、必要量のピット防止剤を加えた後、一次光沢剤としてナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸三ナトリウムを、二次光沢剤として2−ブチン−1,4−ジオールを、さらに場合に応じてリン供給源として次亜リン酸ナトリウム一水和物を、ホウ素供給源としてトリメチルアミンボランを、マンガン供給源としてスルファミン酸マンガン四水和物を用い、それぞれ下記表1に示す割合で所望のスルファミン酸浴(電解浴)を調製した。
この電解浴を用い、外径34mmのステンレス鋼製の円筒状母型を陰極として、所定の浴温度で電鋳を行ない、母型の外周面に電析体を50μmの厚さに形成した。なお、電流密度は、実施例3〜5については、16.1A/dm2に設定し、他の例では10.7A/dm2に設定した。得られた電析体を純水で洗浄した後、母型から取り外し、内径34mm、厚さ50μmのニッケル電鋳製ベルト基体を得た。
比較例1〜5および実施例1〜7で得たニッケル電鋳製ベルト基体について、硫黄の含有率(質量%)を燃焼−赤外線吸収法を用いて分析し、リンおよびホウ素の含有率(質量%)をICP発光分析装置を用いて分析し、マンガンの含有率(質量%)を原子吸光分光光度計を用いて分析した。結果を表2に示す。
Figure 2006171542
Figure 2006171542
次に、比較例1〜5および実施例1〜7で得たベルト基体を、事前に加熱することなく、300℃で2時間、または350℃で2時間加熱した後、それぞれ、表面(111)結晶子、表面(200)結晶子、裏面(111)結晶子、裏面(200)結晶子の平均粒径をX線回折装置(理学電気(株)製RINT−2100)を用い、回折データを解析ソフト(JADE(登録標章))により求めた。結果を下記表3〜表4に示す。
Figure 2006171542
Figure 2006171542
なお、比較例5で得たベルト基体について、まず220℃で2時間加熱し、室温に戻した後、300℃で2時間加熱し、裏面(111)結晶子の平均粒径を同様に求めたところ、558Åであった。また、比較例5で得たベルト基体について、まず250℃で2時間加熱し、室温に戻した後、300℃で2時間加熱し、裏面(111)結晶子の平均粒径を同様に求めたところ、566Åであった。
同様に、実施例1で得たベルト基体について、まず220℃で2時間加熱し、室温に戻した後、300℃で2時間加熱し、裏面(111)結晶子の平均粒径を同様に求めたところ、237Åであった。また、実施例1で得たベルト基体について、まず250℃で2時間加熱し、室温に戻した後、300℃で2時間加熱し、裏面(111)結晶子の平均粒径を同様に求めたところ、238Åであった。
すなわち、種々の温度で熱履歴を受けたにもかかわらず、300℃で2時間、あるいは350℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径を所定の値以下となるように抑制することにより、耐久性(耐熱疲労性)に優れた定着ベルトが得られることがわかる。
<熱疲労試験>
比較例1〜5および実施例1〜7で得たベルト基体からJISZ2201に規定された13B号試験片形状を切り出し、INSTRON社製INSTRON8871システムを用いて熱疲労試験を以下の条件で行った。
繰り返し最大張力:650MPa;繰り返し最小張力:約80MPa;
雰囲気温度:250℃;繰り返し周期:15Hz。
この熱疲労試験は、試験片が破断するまで行い、そのときの繰り返し回数を記録した。なお、繰り返し回数は、上限を100万回に設定した。この熱疲労試験で、繰り返し回数が30万回未満のものを「×」とし、繰り返し回数が100万回に達しても破壊しなかったものを「○」として評価した。結果を下記表3に示す。この結果は表4にも併記した。
表3に示す結果から、300℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径が400Å以下、より好ましくは300Å以下であると、耐熱疲労特性が大幅に向上することがわかる。また、表4に示す結果から、350℃で2時間加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子の平均粒径が500Å未満、より好ましくは350Å以下であると、耐熱疲労特性が大幅に向上することがわかる。
以上本発明を種々の態様に関して詳しく説明したが、本発明は、上記態様そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記態様に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、上記態様に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更には、異なる態様に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本発明に係る定着ベルトの正面図。 図1のII−II線に沿う断面の一部を拡大して示す図。
符号の説明
10…定着ベルト
101…ベルト基体
101a…ベルト基体の表面
101b…ベルト基体の裏面
102…弾性層
103…離型層
104…摺動層

Claims (8)

  1. 転写材上のトナー像を定着するための定着ベルトであって、ニッケル電鋳製無端状ベルト基体を備え、前記ベルト基体を構成する結晶子のうち、300℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が400Å以下の平均粒径を有することを特徴とする定着ベルト。
  2. 前記加熱に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が、300Å以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の定着ベルト。
  3. 転写材上のトナー像を定着するための定着ベルトであって、ニッケル電鋳製無端状ベルト基体を備え、前記ベルト基体を構成する結晶子のうち、350℃で2時間の加熱後に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が500Å未満の平均粒径を有することを特徴とする定着ベルト。
  4. 前記加熱に最も粗大化した結晶成長面を有する結晶子が、350Å以下の平均粒径を有することを特徴とする請求項3に記載の定着ベルト。
  5. 前記ベルト基体が、結晶子の結晶成長抑制剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の定着ベルト。
  6. 前記結晶成長抑制剤が、リン、ホウ素およびマンガンからなる群の中から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載の定着ベルト。
  7. 前記ベルト基体が、前記結晶成長抑制剤を0.01〜0.5質量%の含有率で含有することを特徴とする請求項5または6に記載の定着ベルト。
  8. 前記ベルト基体が、硫黄を0.001質量%以上、0.02質量%未満の含有率で含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着ベルト。
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