JP2023030496A - アルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 不導態を形成し易いアルミニウム材に対して、銀、銅、スズなどの導電性皮膜の密着力を強化する。【解決手段】 アルミニウム材上に下地皮膜を介して銀、銅、スズなどの導電性皮膜を形成する方法であって、当該下地皮膜がNi-Co-P合金皮膜であり、この下地皮膜を所定の錯化剤などを含む電気メッキ浴を用いて形成し、且つ、下地皮膜、或は下地皮膜と導電性皮膜を30℃以上の低温度域を含む条件で熱処理することで(より好ましくは150~250℃)、Ni-Co-P合金からなる下地皮膜を介してアルミニウム材上に導電性皮膜を強固に密着形成できる。【選択図】 なし

Description

本発明は、不導態を形成し易いアルミニウム材の素地上に導電性皮膜を形成する方法に関して、所定のニッケル系皮膜を素地上に下地形成し、且つ、熱処理を施すことにより、銅、銀、スズなどの導電性皮膜をアルミニウム素地上に強固な密着力で形成できるものを提供する。
アルミニウムは大気中で強固な酸化皮膜を容易に形成して不導態となるため、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、アルミニウム材という)の表面に銅、銀、スズなどの導電性皮膜を形成しようとしても、メッキなどによる表面処理は困難であり、たとえ、メッキ皮膜を形成できたとしても上記アルミニウム材との間で良好な密着性を確保することは難しい。
従来では、ダブルジンケート法、陽極酸化法、反転電解活性化法などにより、アルミニウム材を表面処理した後に電気メッキなどで導電性皮膜を形成していたが、特に、亜鉛とアルミニウムの置換反応を利用する上記ダブルジンケート法では、最初に形成した亜鉛皮膜の粒子が大きいために、これを一度剥離して再度亜鉛粒子により皮膜形成する必要から、処理が煩雑で生産性が良くないうえ、処理表面が相対的に粗く、続く電気メッキで平滑な皮膜を形成することが難しいという問題があった。
そこで、アルミニウム材上に導電性皮膜を形成する場合、導電性皮膜の密着性を向上する見地から、先ず、本出願人は以下の特許文献1~2を開示した。
(1)特許文献1
アルミニウム材上に導電性皮膜を形成する場合、アルミニウム材と導電性皮膜の間にニッケル-リンの下地皮膜を介在させるとともに、当該下地皮膜を所定の錯化剤と界面活性剤などを併用添加した特定の電気ニッケル-リンメッキ浴で形成することで、ニッケル-リンの下地皮膜をアルミニウム材上に良好に密着できる。
(2)特許文献2
上記特許文献1を基本として、アルミニウム材上にニッケル-リンの下地皮膜を形成してから当該下地皮膜を熱処理するか、或は、次工程の導電性皮膜を形成してから下地皮膜と導電性皮膜を熱処理すると、アルミニウム材に対する下地皮膜の密着力を増して、アルミニウム材上に導電性皮膜をより有効に密着形成できる。
上記特許文献1~2はアルミニウム材と導電性皮膜の間にニッケル-リン皮膜を下地層として形成することを特徴とする。
一方、上記ニッケル-リン皮膜とは異なるニッケル系皮膜、特に、ニッケル-コバルト合金皮膜、或いは、ニッケル-コバルト-リン合金皮膜を得るためのメッキ浴の先行文献を挙げると、次の通りである。
(3)特許文献3
電気ニッケル-リン合金、コバルト-リン合金又はニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴に関し、長期に亘り安定したリン含量のメッキ皮膜が得られる([0039])。
(a)可溶性ニッケル塩及び/又は可溶性コバルト塩(硫酸ニッケル又はコバルト、スルファミン酸ニッケル又はコバルト([0017]))と、
(b)硫酸塩、メタンスルホン酸塩、スルファミン酸塩から選ばれた導電性塩(硫酸、メタンスルホン酸、或いはスルファミン酸のナトリウム塩、カリウム塩([0018]))と、
(c)亜リン酸又はその塩とを含有するとともに、
(d)ハロゲンイオンを所定濃度以下に抑制し、pH0.8~5であるNi-P、Co-P、又はNi-Co-P合金メッキ浴である(請求項1)。
これらのメッキ浴には、
(i)緩衝剤(有機カルボン酸及びその塩(リンゴ酸、酒石酸、クエン酸及びこれらの塩など)、アミン類、ホウ酸など;[0020])、或いは
(ii)光沢剤(サッカリン、プロパギルアルコール、ブチンジオールなど;[0022])を含有できる。
但し、実施例1~3は電気ニッケル-リン合金メッキ浴、電気コバルト-リン合金メッキ浴であり、電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴の実施例はない。
(4)特許文献4
均一電着性に優れた電気ニッケル、コバルト、鉄又はこれらの合金のメッキ浴に関する(第3頁右下欄)。
(a)可溶性ニッケル、コバルト又は鉄、又はこれらの混合物(硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸第一鉄など(第2頁左下欄~右下欄))と、
(b)アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルミニウムの硫酸塩から選ばれた導電性塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウムなど(第2頁右下欄~第3頁左上欄))と、
(c)緩衝剤としてホウ酸とを含有し、ハロゲンを含まないNi、Co、Fe又はこれらの合金の電気メッキ浴である(特許請求の範囲)。
但し、実施例は電気ニッケルメッキ浴だけであり、電気ニッケル-コバルト合金メッキ浴の実施例はない。
(5)特許文献5
酸性ニッケル-コバルト合金メッキ浴に、(a)スルホン酸化合物(ベンゼンスルホン酸、スルホサリチル酸、サッカリンなど)と、(b)脂肪族不飽和アルコール(プロパギルアルコール、3-ブチン-1-オールなど)と、(c)脂肪族不飽和カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、クロトン酸など)とを含有することで、均一で応力や延性に優れた電着物を得ることができる(特許請求の範囲、発明の効果(第2頁左上欄、第3頁右下欄~第4頁左上欄))。
(6)特許文献6
ニッケル塩と、コバルト塩と、亜リン酸含有化合物と、トリエチレン・テトラミン、ジエチレン・トリアミン、又はヒドラゾベンゼンから選ばれた多座キレート剤とを含有する電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴に関して、得られた皮膜の内部応力が低く、硬度が高く、耐食性が良好であるなどの利点を具備する([0012])。
pHは0.2~5が好ましい(請求項7、[0010])。
(7)特許文献7
多量の亜リン酸と少量のリン酸を含む浴を使用し、陽極電流密度を高く維持することで、メッキ浴中で亜リン酸が酸化してリン酸になるのを防止し、浴中のリン酸含有量が本質的に増加しないように設定したニッケル及び/又はコバルトとリンとの合金の電気メッキ浴に関する(特許請求の範囲の第1項、第6頁右上欄第4行~第7行)。
実施例2(第9頁左下欄第4行~右下欄第3行)は、塩化ニッケル及び炭酸ニッケルと、塩化コバルトと、多量の亜リン酸と、少量のリン酸を含有し、陽極電流密度を所定域(250~500アンペア/平方フィート)に高く設定したニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴である。
実施例3(第9頁右下欄第4行~第10頁左上欄第1行)は、0.75モル/Lの塩化ニッケルと、0.25モル/Lの炭酸コバルトと、1.2モル/Lの亜リン酸と、0.2モル/Lのリン酸を含有し、陽極電流密度を所定域に高く設定したニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴である。
特開2017-110276号公報 特開2018-070911号公報 特開平10-060680号公報 特開平04-116191号公報 特開昭61-147896号公報 特開2007-308801号公報 特開昭63-109184号公報
上記特許文献1~2は、ニッケル-リンの下地皮膜を介してアルミニウム材上に銅、銀、スズなどの導電性皮膜を形成する際に、導電性皮膜をアルミニウム材に密着性良く形成することを課題としていたが、実際問題として、下地皮膜の種類がニッケル-リン皮膜から他種のニッケル系皮膜に変わると、アルミニウム材に対する導電性皮膜の密着度を良好に担保できるのかという問題がある。
本発明は、アルミニウム材上に導電性皮膜を形成する際に、技術の豊富化の見地からも、ニッケル系皮膜としてニッケル-リン皮膜ではなく、ニッケル-コバルト-リン合金皮膜を選択した場合に、アルミニウム材上に銅、銀などの導電性皮膜を強固に密着形成することを技術的課題とする。
本発明者らは、不導態を形成し易いアルミニウム材上に下地皮膜を介して銅、銀、スズなどの導電性皮膜を形成する場合、下地皮膜を特許文献1~2のようなニッケル-リン皮膜からニッケル-コバルト-リン合金皮膜に変えると、下地皮膜用のメッキ浴のうち、金属塩を除く組成、或いはさらに、熱処理の条件を円滑に踏襲できるのか否かについて、見当を重ねた。
その結果、ニッケル-コバルト-リン合金の下地皮膜を介して銅、銀、スズなどの導電性皮膜を形成する場合、第一に、下地皮膜が特許文献1~2のようなニッケル-リン皮膜である場合とは異なり、メッキ浴の必須成分のうち、金属供給源(即ち、ニッケル、コバルト、リン成分)以外の成分を変える必要があり、界面活性剤は必須成分ではなく、光沢剤の含有は逆に弊害となる場合があること、第二に、アルミニウム材上に形成した下地皮膜、或は、当該下地皮膜と導電性皮膜を共に熱処理すると下地皮膜の密着力を増強できること、下地皮膜の密着力の強化には、30℃以上の低温度域を含む温度条件で足りることを見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、(S1)アルミニウム材上に電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を用いてニッケル-コバルト-リン合金皮膜からなる下地皮膜を形成する工程と、
(S2)下地皮膜上に導電性皮膜を形成する工程とからなる導電性皮膜形成方法において、
上記工程(S1)と工程(S2)の間に下地皮膜を30℃以上で熱処理する工程(S12)を介在させるか、又は、
上記工程(S2)の後に下地皮膜及び導電性皮膜を30℃以上で熱処理する工程(S3)を付加するとともに、
上記電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴は、
(a)可溶性ニッケル塩と、
(b)可溶性コバルト塩と、
(c)リンを含む化合物と、
(d)アミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、糖質、アミノアルコール類、ポリカルボン酸類、ポリアミン類より選ばれた錯化剤と、
(e)緩衝剤と、
とを含有することを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
本発明2は、上記本発明1において、電気ニッケル-リンメッキ浴のリンを含む化合物(c)が亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、ヒドロキシエチレンジアミンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)又はこれらの塩の少なくとも一種であることを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
本発明3は、上記本発明では1又は2において、電気ニッケル-リンメッキ浴の錯化剤(d)がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸より選ばれたオキシカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノカルボン酸又はその塩の少なくとも一種であることを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
本発明4は、上記き本発明1~3のいずれかにおいて、電気ニッケル-リンメッキ浴の緩衝剤(e)がホウ酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ニッケル、アスコルビン酸又はその塩の少なくとも一種であることを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
本発明5は、上記本発明1~4のいずれかにおいて、電気ニッケル-リンメッキ浴に、さらに界面活性剤を含有することを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
本発明6は、上記本発明5において、電気ニッケル-リンメッキ浴の界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種であることを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
本発明7は、上記本発明1~6のいずれかにおいて、上記導電性皮膜を電気メッキ、無電解メッキ、スパッタリング又は蒸着で形成し、
当該導電性皮膜が銅、スズ、銀、金、ニッケル、ビスマス、パラジウム、白金、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、亜鉛、クロムより選ばれた金属又はこれらの金属の合金からなる皮膜であることを特徴とする記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法である。
上記特許文献1はアルミニウム材などの不導態形成性の軽金属上にニッケル-リンの電着皮膜を介して銅、銀、スズなどの導電性皮膜を形成する方法であり、特許文献2はこの特許文献1を基本として下地皮膜、或いはさらに導電性皮膜に熱処理を施すことを特徴とする。
これに対して、本発明は下地皮膜をニッケル-リン皮膜からニッケル-コバルト-リン合金皮膜に変更したもので、第一に、当該ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴において、前記特許文献1のニッケル-リン浴の組成を構成した界面活性剤や光沢剤は必須成分ではないこと、第二に、特許文献2と同様に、アルミニウム材上に形成した下地皮膜、或は、下地皮膜と導電性皮膜を共に所定温度域で熱処理することにより、アルミニウム材上に導電性皮膜を強固に密着形成できる。
本発明の下地皮膜形成用のニッケル-コバルト-リン合金浴の組成については、特許文献1のメッキ浴の必須成分である界面活性剤は省略できるが、その一方で、同じく特許文献1の必須成分であった光沢剤については密着性を逆に低下させる場合もあり得るため、含有しないことも選択肢である。
また、上記熱処理条件としては、30℃以上の低温度域を含む温度条件で足り、例えば、30~100℃で湯煎するなどの低温度域での簡便な熱処理によっても、アルミニウム材上への下地皮膜の密着力を充分に強化できる。熱処理の条件としては、150~250℃がより好適であるが、低温度域で熱処理すれば、投下するエネルギーを軽減して生産性を向上できる。
尚、冒述の特許文献3には、必須金属塩(Ni及びCoの可溶性塩)及び亜リン酸などを含むNi-Co-P合金メッキ浴に、緩衝剤(=本発明の錯化剤(d)に相当、同文献3の[0020])や光沢剤(請求項3、同文献3の[0022])を含有できることを開示するが、メッキ浴に光沢剤を添加すると、アルミニウム材に対する下地皮膜の密着性が低下する恐れがある。
本発明は、アルミニウム材上にニッケル-コバルト-リン合金皮膜よりなる下地皮膜を介して、銀、銅、スズなどの導電性皮膜を形成する方法であって、下地皮膜を特定の錯化剤と緩衝剤を含む所定組成の電気メッキ浴を用いて、アルミニウム材上にニッケル-コバルト-リン合金皮膜を形成するとともに、下地皮膜の形成後、又は下地皮膜と導電性皮膜の形成後に30℃以上の条件で熱処理する方法である。
上記アルミニウム材は純アルミニウム、アルミニウム合金を包含する概念である。
本発明は、次の下地皮膜形成工程(S1)と、導電性皮膜形成工程(S2)と、工程(S1)の後又は工程(S2)の後に熱処理する工程とからなる(本発明1参照)。
(S1)アルミニウム材上に電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を用いてニッケル-コバルト-リン合金皮膜からなる下地皮膜を形成する工程
(S2)当該下地皮膜上に導電性皮膜を形成する工程
また、上記工程(S1)で用いる電気ニッケル-リンメッキ浴は、
(a)可溶性ニッケル塩と、
(b)可溶性コバルト塩と、
(c)リンを含む化合物と、
(d)アミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、糖質、アミノアルコール類、ポリカルボン酸類、ポリアミン類より選ばれた錯化剤と、
(e)緩衝剤
とを必須成分とする。
上記可溶性ニッケル塩(a)はメッキ浴中にニッケルイオンを供給可能であれば良く、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、酸化ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、有機スルホン酸のニッケル塩などが挙げられ、硫酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、酸化ニッケルなどが好ましい。
上記可溶性コバルト塩(b)はメッキ浴中にコバルトイオンを供給可能であれば良く、酢酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト、四酸化三コバルト、臭化コバルト、ギ酸コバルト、有機スルホン酸のコバルト塩などが挙げられ、酢酸コバルト、酸化コバルト、硫酸コバルトなどが好ましい。
また、上記リンを含む化合物(c)としては、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、ヒドロキシエチレンジアミンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの塩が挙げられる。
上記可溶性ニッケル塩(a)は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.01~3.0モル/L、好ましくは0.05~2.0モル/L、より好ましくは0.1~1.5モル/Lである。
上記可溶性コバルト塩(b)は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.01~0.5モル/L、好ましくは0.01~0.1モル/L、より好ましくは0.01~0.05モル/Lである。
上記リンを含む化合物(c)は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.05~2.0モル/L、好ましくは0.1~1.0モル/L、より好ましくは0.1~0.8モル/Lである。
上記電気ニッケル-コバルト-リンメッキ浴に含有する錯化剤(d)は、メッキ浴中で主にニッケル、或いはコバルトの錯体を形成する化合物であり、電極電位の変化に対する陰極電流密度の変化を緩やかにして、金属皮膜の析出を容易にする機能を果たすもので、アミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、糖質、アミノアルコール類、ポリカルボン酸類、ポリアミン類よりなる群から選ばれる。
上記アミノカルボン酸類には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、メタフェニレンジアミン四酢酸、1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N′,N′-四酢酸、ジアミノプロピオン酸及びこれらの塩などが挙げられ、NTA、EDTAが好ましい。
上記オキシカルボン酸類には、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、グルコヘプトン酸及びこれらの塩などが挙げられ、クエン酸、酒石酸、グルコン酸及びこれらの塩が好ましい。
上記糖質には、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース(麦芽糖)、イソマルツロース(パラチノース)、キシロース、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、還元水飴、ラクチトール、還元イソマルツロース、グルコノラクトンなどが挙げられ、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、マルチトールなどの糖アルコールが好ましい。
上記アミノアルコール類には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどが挙げられ、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンが好ましい。
上記ポリカルボン酸類としては、コハク酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、マロン酸及びこれらの塩などが挙げられ、コハク酸が好ましい。
上記ポリアミン類には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンなどが挙げられ、エチレンジアミンが好ましい。
上記錯化剤(d)としては、オキシカルボン酸類、アミノカルボン酸類、糖質が好ましく、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸及びこれらの塩、ソルビトール、マンニトール、マルチトールなどが好適である。
上記錯化剤(d)は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.001~2モル/Lであり、好ましくは0.05~0.8モル/L、より好ましくは0.1~0.5モル/Lである。
上記電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴に含有する緩衝剤(e)は下地皮膜の密着性を向上するとともに、メッキ浴の安定剤としても作用する。
緩衝剤(e)としては、ホウ酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ニッケル、コハク酸、アスコルビン酸などが挙げられ、ホウ酸、炭酸ナトリウムが好ましい。
上記緩衝剤(e)は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.05~1.5モル/Lであり、好ましくは0.05~1.0モル/L、より好ましくは0.1~0.6モル/Lである。
一方、上記電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴には、上記必須成分の外に、界面活性剤を含有することができる。
上記界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれ、アルミニウム材と下地皮膜の密着性を増進する。
上記ノニオン系界面活性剤としては、一般的に、C1~C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、(ポリ)C1~C25アルキルフェノール、(ポリ)アリールアルキルフェノール、C1~C25アルキルナフトール、C1~C25アルコキシル化リン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1~C22脂肪族アミン、C1~C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2~300モル付加縮合させたものや、C1~C25アルコキシル化リン酸(塩)などが挙げられる。例えば、ポリオキシエチレンクミンフェノールエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ジブチル-β-ナフトールポリエトキシレート、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、エチレンジアミン・テトラポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン、ポリエチレングリコール、ラウリルアルコールポリエトキシレートなどが好適である。
上記アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、イミダゾリンベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸などが挙げられる。例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが好適である。また、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとアルキルアミン又はジアミンとの縮合生成物の硫酸化、或はスルホン酸化付加物も使用できる。
上記界面活性剤(d)は単用又は併用でき、そのメッキ浴に対する含有量は0.01~10g/Lであり、好ましくは0.1~5.0g/L、より好ましくは0.1~1.0g/Lである。
尚、本発明のニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴では、例えば、ノニオン性、アニオン性、或いは両性界面活性剤に加えて、カチオン性界面活性剤を併用的に添加することを排除するものではない。
前述したように、特許文献1の電気ニッケル-リンメッキ浴では光沢剤を必須成分とした。
上記光沢剤としては、サッカリン及びその塩、ベンゼンスルホン酸及びその塩、p-トルエンスルホン酸及びその塩、ナフタレンスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、ブチンジオール(具体的には、2-ブチン-1,4-ジオールなど)、エチレンシアンヒドリン、クマリン、プロパギルアルコール、ビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロパンスルホン酸、チオリンゴ酸などが挙げられ、メッキ浴に対する(単用又は併用の)含有量は0.001~0.15モル/Lであり、好ましくは0.005~0.07モル/L、より好ましくは0.01~0.05モル/Lとした。
しかしながら、先述したように、本発明の電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴では、特許文献1の電気ニッケル-リン浴とは異なり、アルミニウム材に対するメッキ皮膜の密着性を低下する場合もあるため、注意を要する。
本発明の電気メッキ浴はアルミニウム材上にニッケル-コバルト-リン合金メッキ皮膜を下地形成することを目的とするが、メッキ浴のpHは3.0~6.0が適当であり、好ましくは4.0~5.0である。
また、下地形成工程(S1)において、電気メッキの際の陰極電流密度は0.01~5.0A/dm2、好ましい範囲0.05~2.0A/dm2である。
上記下地皮膜の形成工程(S1)において、下地皮膜となるニッケル-コバルト-リン合金皮膜は上層に導電性皮膜を形成するに足る導電性と密着力を付与できれば良いので、厚く形成する必要はない。従って、その膜厚は0.01~5.0μm、好ましくは0.1~5.0μm、より好ましくは0.3~5.0μmである。
以上において、アルミニウム材上にニッケル-コバルト-リン合金の下地皮膜を形成する工程(S1)を詳述したが、次に、当該工程(S1)で形成したニッケル-コバルト-リン合金皮膜の上層に、導電性皮膜を形成する工程(S2)を説明する。
上記導電性皮膜は導電性を有する公知の皮膜であれば特段の制約はないが、例えば、銅、スズ、銀、金、ニッケル、ビスマス、パラジウム、白金、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、亜鉛、クロムより選ばれた金属又はこれらの金属の合金が挙げられる。
導電性金属を構成する金属としては、銀、銅、ニッケル、スズ、パラジウム、金、ビスマスが好適である。また、上記金属の合金としては、ニッケル-タングステン合金、ニッケル-モリブデン合金、ニッケル-スズ合金、スズ-銀合金、スズ-ビスマス合金、スズ-銅合金、スズ-亜鉛合金、金-スズ合金などが好適である。
上記導電性皮膜は電気メッキ、無電解メッキ、スパッタリング又は蒸着などにより形成することができ、この中では、生産性の見地からメッキ方式が好ましいが、スパッタリング又は蒸着を排除するものではない。
本発明はアルミニウム材上に下地皮膜を介して導電性皮膜を形成することを特徴とするが、導電性皮膜は単層で形成しても良いが、2層、3層などの複層で形成することもできる。
複層の導電性皮膜を例示すれば、ニッケル、銅、コバルト、ビスマス、亜鉛、クロム、鉄などから選ばれた金属、又はこれらの金属の合金を下層(つまり、下地皮膜に臨む側)とし、スズ、銅、金、銀などを上層とした2層の導電性皮膜を挙げることができる。
また、複層の導電性皮膜の最上層をスズ、ニッケル、コバルト、クロム、銀、パラジウム及びこれらの合金などで形成すると、最上層の表面に銀色の美麗な外観を付与できる。
本発明は、前述したように、下地皮膜形成工程(S1)と導電性皮膜形成工程(S2)に、熱処理工程を必須構成要件として付加することを特徴とする。
そこで、この熱処理工程について詳述する。
先ず、熱処理の第一の方法は、下地皮膜形成工程(S1)と導電性皮膜形成工程(S2)の間に熱処理工程(S12)を介在させたもので、この中間熱処理方式は次の3工程からなる。
(S1)アルミニウム材上に電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を用いてニッケル-コバルト-リン合金の下地皮膜を形成する工程
(S12)下地皮膜を30℃以上で熱処理する工程
(S2)当該下地皮膜上に導電性皮膜を形成する工程
下地皮膜を形成した後、30℃以上で下地皮膜を熱処理すると、不導態を形成し易いアルミニウム材に対する下地皮膜の密着力をより向上することができ、もって、導電性皮膜をアルミニウム材上にさらに強固に密着形成できる。
熱処理温度としては30~350℃が適しており、80~300℃が好ましく、より好ましくは150~250℃である。
熱処理温度を350℃より上げても、密着力を強化する効果はあまり変わらず、却って下地皮膜に熱歪みが生じて密着力に悪影響を及ぼし、或は、下地皮膜を酸化するリスクがあるうえ、無駄なエネルギーの投入により生産性も低下する。この点に鑑みると、熱処理温度の上限は300℃程度が好ましい(より好ましくは250℃)。また、下地皮膜形成工程(S1)の後、30℃程度でもアルミニウム材への下地皮膜の実用的な密着性を担保できることから、熱処理の下限を30℃程度とした。
次いで、熱処理の第二の方法は、導電性皮膜形成工程(S2)の後に熱処理工程(S3)を付加したもので、この後段階の熱処理方式は次の3工程からなる。
(S1)アルミニウム材上に電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を用いてニッケル-コバルト-リン合金の下地皮膜を形成する工程
(S2)下地皮膜上に導電性皮膜を形成する工程
(S3)当該下地皮膜及び導電性皮膜を30℃以上で熱処理する工程
第二の方法における熱処理の温度条件は第一の方法と同様で良い。
上記熱処理については、中間及び後段階の熱処理方式ともに共通であるが、オーブン加熱、ドライヤーによる熱風加熱、温水或いはオイルバスへの浸漬などの様々な態様を選択できる。また、例えば、30~100℃の温水処理(温水に浸漬する湯煎)を選択すると、湯煎による低温度域での加熱処理なので、熱エネルギーの軽減化と処理の簡便化を図り、生産性を向上できる。
以下、アルミニウム材上に下地皮膜を形成するための電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴、導電性皮膜を形成するためのメッキ浴、並びに熱処理方式で上記アルミニウム材上に当該下地皮膜を介して導電性皮膜を形成する方法の実施例を述べるとともに、上記アルミニウム材に対するニッケル-コバルト-リン合金皮膜の密着性の評価試験例を順次説明する。
尚、本発明は下記の実施例、試験例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《熱処理方式でアルミニウム材上に導電性皮膜を形成する方法の実施例》
下記の実施例1~18のうち、実施例1は下地皮膜形成工程(S1)→導電性皮膜(=ニッケル)形成工程(S2)→熱処理工程(S3)を順に行った基本的な例であり、熱処理条件は180℃、15分である。
以下の実施例2~18は当該実施例1を基本とする。
実施例2は導電性皮膜をニッケルから銅皮膜に変更した例、実施例3は同じくスズ皮膜に変更した例である。
実施例4~11は実施例1のニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴の組成を夫々変更した例であり、実施例4は可溶性ニッケル塩の変更例、実施例5は可溶性コバルト塩の変更例、実施例6はリンを含む化合物の変更例、実施例7~8は錯化剤の各変更例、実施例9は緩衝剤の変更例、実施例10は実施例1にノニオン性界面活性剤を追加した例、実施例11は実施例1に両性界面活性剤を追加した例である。
実施例12~14は実施例1の熱処理工程(S3)を変更した例であり、実施例12は熱処理温度を好ましい下限温度に設定した例、実施例13は熱処理温度をより好ましい上限付近の温度に設定した例、実施例14は熱処理時間を長くした例である。
実施例15は、実施例1の後方式の熱処理とは異なり、下地皮膜形成工程(S1)と導電性皮膜形成工程(S2)の間に熱処理工程(S12)を設けた中間方式の例である。
実施例16~18は下地皮膜形成工程(S1)のメッキ条件を変更した例であり、実施例16はメッキ浴の浴温の変更例、実施例17は電気メッキの電流密度の変更例、実施例18はメッキ時間の変更例である。
一方、下記の比較例1~5のうち、比較例1は実施例1を基本として熱処理工程(S3)を実施しない例、比較例2は実施例10を基本として熱処理工程(S3)を実施しない例、
比較例3は実施例18を基本として熱処理工程(S3)を実施しない例である。
比較例4~5は実施例1を基本とし、比較例4は下地皮膜形成工程(S1)のメッキ浴に錯化剤(d)を含まない例、比較例5は同じく工程(S1)のメッキ浴に緩衝剤(e)を含まない例である。
(1)実施例1
(S1)下地皮膜を形成する工程
次の(i)~(ii)に示すように、2種類の5cm×10cm角のアルミニウム板、及びアルミニウム合金板を試料とした。アルミニウム材の種類は多種に及ぶため、アルミニウム材の種類が変わっても、本発明の下地皮膜を密着性良く下張りできるか否かの汎用性を確認するため、工業的に使用されることが多い純アルミニウムとアルミニウム合金を代表例として2種類選択した。
(i)試料1:純Al系(A1050P;JIS規格)
(ii)試料2:アルミニウム合金/Al-Mg系(A5052P;JIS規格)
先ず、上記各試料をアルカリ脱脂剤(石原ケミカル社製、AC-10脱脂剤)を用いて50℃、1分の条件で脱脂処理し、25℃、30秒の条件で水洗し、硝酸(50重量%)で25℃、30秒でスマット除去処理を行った後、25℃、30秒の条件で水洗し、下記(A)のニッケル―コバルト―リン合金メッキ浴と電気メッキ条件により、各試料1~2上に下地皮膜を形成し、25℃、30秒の条件で水洗した。
(A)ニッケル―コバルト―リン合金メッキ浴の組成と電気メッキ条件
次の組成でニッケル―コバルト―リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
上記ホウ酸は緩衝剤、亜リン酸はリンを含む化合物、クエン酸は錯化剤である。
[電気メッキ条件]
浴温:50℃
電流密度:1.0A/dm2
メッキ時間:3分
[メッキ皮膜]
膜厚:0.5μm
リンの含有率:25%
(S2)導電性皮膜形成工程
上記工程(S1)で形成した下地皮膜上に、下記(B)のニッケルメッキ浴と電気メッキ条件により導電性皮膜を形成し、水洗した後、乾燥処理した。
(B)ニッケルメッキ浴の組成と電気メッキ条件
次の組成でニッケルメッキ浴を建浴した。
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として) 600g/L
塩化ニッケル(Ni2+として) 10g/L
ホウ酸 40g/L
[電気メッキ条件]
浴温:60℃
電流密度:4.0A/dm2
メッキ時間:50分
(S3)熱処理工程
次いで、導電性皮膜を形成した各試料を下記条件で熱処理した。
[熱処理条件]
処理温度:180℃
処理時間:15分
(2)実施例2(導電性皮膜をニッケルから銅に置き換えた例)
上記実施例1を基本として、(S2)導電性皮膜形成工程を下記(B)の銅メッキ浴と電気メッキ条件に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(B)銅メッキ浴の組成
次の組成で銅メッキ浴を建浴した。
硫酸銅5水和物(Cu2+として) 200g/L
硫酸 50g/L
35%塩酸(塩化物イオンとして) 50mg/L
SPS(ビス―(3-スルホプロピル)ジスルフィドナトリウム)
10mg/L
ヤヌスグリーンB 5mg/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量1,000) 1g/L
[電気メッキ条件]
浴温:25℃
電流密度:2.0A/dm2
メッキ時間:90分
(3)実施例3(導電性皮膜をニッケルからスズに置き換えた例)
上記実施例1を基本として、(S2)導電性皮膜形成工程を下記(B)のスズメッキ浴と電気メッキ条件に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(B)スズメッキ浴の組成
次の組成で銅メッキ浴を建浴した。
メタンスルホン酸第一スズ(Sn2+として) 0.5モル/L
メタンスルホン酸 1.0モル/L
ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテル(EO10モル)10g/L
[電気メッキ条件]
浴温:40℃
電流密度:2.0A/dm2
メッキ時間:40分
(4)実施例4(下地形成用メッキ浴組成を変更した例)
上記実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(5)実施例5(下地形成用メッキ浴組成を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴の組成を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
塩化コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(6)実施例6(下地形成用メッキ浴組成を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
ピロリン酸 0.1モル/L
クエン酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(7)実施例7(下地形成用メッキ浴組成を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
リンゴ酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(8)実施例8(下地形成用メッキ浴組成を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
ソルビトール 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(9)実施例9(下地形成用メッキ浴組成を変更した例1)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じにニッケル設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
炭酸ナトリウム 0.3モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(10)実施例10(下地形成用メッキ浴組成を変更した例1)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
ポリエチレングリコール(重量平均分子量1,000) 1.0g/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(11)実施例11(下地形成用メッキ浴組成を変更した例1)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴を下記(A)に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(A)次の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 1.0g/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
(12)実施例12(熱処理条件を変更した例)
実施例1を基本として、(S3)熱処理工程を下記条件に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(S3)熱処理工程
[熱処理条件]
処理温度:80℃
処理時間:15分
(13)実施例13(熱処理条件を変更した例)
実施例1を基本として、(S3)熱処理工程を下記条件に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(S3)熱処理工程
[熱処理条件]
処理温度:230℃
処理時間:15分
(14)実施例14(熱処理条件を変更した例)
実施例1を基本として、(S3)熱処理工程を下記条件に変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
(S3)熱処理工程
[熱処理条件]
処理温度:180℃
処理時間:30分
(15)実施例15(中間方式の熱処理)
実施例1を基本として、熱処理工程を(S2)導電性皮膜形成の後ではなく、(S1)下地皮膜形成工程と(S2)導電性皮膜形成工程の間に実施した以外は、実施例1と同じに設定した。
(S12)熱処理工程
[熱処理条件]
処理温度:180℃
処理時間:15分
(16)実施例16(下地形成のメッキ条件を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ条件を変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
[電気メッキ条件]
浴温:60℃
電流密度:1.0A/dm2
メッキ時間:3分
(17)実施例17(下地形成のメッキ条件を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ条件を変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
[電気メッキ条件]
浴温:50℃
電流密度:0.5A/dm2
メッキ時間:3分
(18)実施例18(下地形成のメッキ条件を変更した例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ条件を変更した以外は、実施例1と同じに設定した。
[電気メッキ条件]
浴温:50℃
電流密度:1.0A/dm2
メッキ時間:6分
(19)比較例1((S3)熱処理工程を実施しない例)
実施例1を基本として、(S3)熱処理工程を実施しない以外は、実施例1と同じに設定した。
(20)比較例2((S3)熱処理工程を実施しない例)
実施例10を基本として、(S3)熱処理工程を実施しない以外は、実施例1と同じに設定した。
(21)比較例3((S3)熱処理工程を実施しない例)
実施例18を基本として、(S3)熱処理工程を実施しない以外は、実施例1と同じに設定した。
(22)比較例4(下地形成用メッキ浴組成に(d)錯化剤を含まない例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴組成に(d)錯化剤を含有しない例である。
(A)下記の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
ホウ酸 0.2モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
上記メッキ浴を建浴する際のpH調整で水酸化ニッケルの沈殿が多量に発生したため、下地皮膜の形成自体が実施できず、次の(S2)導電性皮膜形成工程に進めなかった。
(23)比較例5(下地形成用メッキ浴組成に(e)緩衝剤を含まない例)
実施例1を基本として、(S1)下地皮膜形成工程のメッキ浴組成に(e)緩衝剤を含有しない例である。
(A)下記の組成でニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を建浴した。
硫酸ニッケル(Ni2+として) 0.3モル/L
硫酸コバルト(Co2+として) 0.02モル/L
亜リン酸 0.2モル/L
クエン酸 0.3モル/L
pH(24%水酸化ナトリウム溶液で調整) 4.5
上記メッキ浴は建浴直後は問題なく使用できたが、電解量の増加とともにpHの管理が困難になり、安定したメッキ性能が得られない問題がある。
《アルミニウム材に対する下地皮膜の密着力の評価試験例》
アルミニウム材に対する下地皮膜の密着力が増すと、当該アルミニウム材に対する上層の導電性皮膜の密着力は改善されるため、密着力の評価試験はアルミニウム材に対する(導電性皮膜と一体に密着形成される)下地皮膜の密着力の優劣により評価した。
そこで、上記実施例1~18並びに比較例1~5で得られたアルミニウム材からなる各試料1~2に、カッターを用いて幅5mmの切り込みを入れた密着強度測定用サンプルを作成し、強度試験機(島津製作所社製、EZ-SX)を用いて90度引き剥がし強度を測定することにより、下記の基準に基づいて密着強度の優劣を評価した。
◎:密着強度が50N/cm以上であった。
○:同じく30~50N/cmであった。
△:同じく10~30N/cmであった。
×:同じく10N/cm未満であった。
尚、例えば、本出願人が開示した冒述の特許文献1(下地皮膜はニッケル-リン皮膜)の剥離試験([0067]参照)では、導電性皮膜に張り付けた粘着テープを剥離した場合、導電性皮膜と一体に密着形成された下地皮膜が基材のアルミニウム材から剥離するか否かを評価したものであり、特許文献1の試験例に比べて上述の本試験例では剥離の外力が強いことから、特許文献1の試験例では良好な評価でも本試験例の評価は低くなる場合があり、両者で評価の基準が異なるうえ、本発明と特許文献1では下地皮膜の種類も異なるため、一律な対比はできない。
下表Aはその試験結果である。
尚、比較例4では下地皮膜自体が形成できなかったので、下表の「--」は下地皮膜の剥離試験自体を行わなかったことを示す。
[表A] 試料1 試料2 試料1 試料2
実施例1 〇 〇 実施例13 ◎ ◎
実施例2 〇 〇 実施例14 ◎ ◎
実施例3 〇 〇 実施例15 〇 〇
実施例4 〇 〇 実施例16 〇 ◎
実施例5 〇 〇 実施例17 〇 〇
実施例6 〇 〇 実施例18 〇 ◎
実施例7 〇 〇 比較例1 × ×
実施例8 〇 〇 比較例2 × ×
実施例9 〇 〇 比較例3 × △
実施例10 〇 〇 比較例4 -- --
実施例11 〇 ◎ 比較例5 〇 〇
実施例12 〇 〇
《試験結果の評価》
上表によると、比較例1~3はアルミニウム材上にニッケル-コバルト-リン合金メッキ皮膜(下地皮膜)/ニッケル皮膜(導電性皮膜)を形成し、熱処理を省略した例であるが、密着強度は概ね×の評価であり、基本となる実施例1よりメッキ時間を増し(3分→6分)、Al-Mg系合金をアルミニウム材に用いた比較例3(試料2)では、△の評価であった。
これに対して、アルミニウム材にニッケル-コバルト-リン合金メッキ皮膜(下地皮膜)/ニッケル皮膜(導電性皮膜)を形成し、且つ、所定の熱処理を施した実施例1~18では、密着強度の評価は〇~◎であった。
これにより、アルミニウム材に下地皮膜としてニッケル-コバルト-リン合金メッキ皮膜を形成する場合、比較例1~3との対比から、所定温度域での熱処理の付与が密着強度の増強に重要であることが裏付けられた。
本発明の下地皮膜用メッキ浴とは異なり、錯化剤(d)を含まないメッキ浴でニッケル-コバルト-リン合金メッキ皮膜を形成しようとした比較例4では、メッキ浴自体が機能せず下地皮膜を良好に形成できないため、比較例4の実施例1~18との対比では、ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴への錯化剤の添加が、ニッケル、或いはコバルトイオンに対する錯化機能を担保し、皮膜形成にきわめて重要であることが裏付けられた。
上記比較例4とは異なり、緩衝剤(e)を含まない比較例5のニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を用いた場合には、建浴直後の皮膜形成に問題はなかったが、電解量の増加により、メッキ性能が安定しないという問題がある。
上述のように、下地皮膜に熱処理を加えた実施例1~18では、純アルミニウム(試料1)、或いはアルミニウム合金(Al-Mg系合金、試料2)を問わず、各種のアルミニウム材上に下地皮膜を強固に密着形成できることが分かる。
そこで、以下では、実施例1~18を順次詳述する。
先ず、実施例1は所定のNi-Co-P合金メッキ浴でアルミニウム材上に下地皮膜を形成し、導電性皮膜としてニッケル皮膜を形成した後、180℃、15分の条件で熱処理した例であり、密着強度の評価は試料1~2共に〇であった。
以下の実施例2~18は当該実施例1を基本とした例である。
実施例2~3は導電性皮膜をニッケル皮膜から銅皮膜、或いはスズ皮膜に変更した例であり、密着強度の評価は試料1~2と同じく、共に〇であった。
実施例4~5はNi-Co-P合金メッキ浴の可溶性ニッケル塩(a)、或いは可溶性コバルト塩(b)の種類を変更した例で、評価は共に〇であった。
実施例6はNi-Co-P合金メッキ浴のリンを含む化合物(c)の亜リン酸からピロリン酸に変更した例である。
実施例7はNi-Co-P合金メッキ浴の錯化剤をクエン酸からリンゴ酸に、同じく実施例8はソルビトールに夫々変更した例である。
実施例9はNi-Co-P合金メッキ浴の緩衝剤をホウ酸から炭酸ナトリウムに変更した例である。
上記実施例4~9の評価は夫々試料1~2共に〇であった。
実施例10は実施例1のNi-Co-P合金メッキ浴にノニオン性界面活性剤を追加した例、実施例11は同じく両性界面活性剤を追加した例であり、実施例10の評価は試料1~2共に〇であったが、実施例11では試料1で〇、試料2では◎の評価であった。
実施例12は工程(S3)での熱処理温度を180℃から80℃に下げた例、実施例13は同じく180℃から230℃に上げた例であり、熱処理80℃の実施例12では共に〇の評価であったが、熱処理230℃(実施例14)では共に◎に変わった。
実施例14は工程(S3)での熱処理時間を15分から30分に延ばした例であり、評価は共に◎に変わった。
実施例15は熱処理工程の順番を変えたもので、下地皮膜形成工程(S1)と導電性皮膜形成工程(S2)の間に熱処理工程(S12)を介在させた例である。
実施例16は下地皮膜形成工程(S1)のメッキ浴の温度を上げた例(50℃→60℃)、実施例17は下地皮膜形成工程(S1)での電流密度を上げた例(0.5→1.0A/dm2)、実施例18はメッキ時間を延ばした例(3分→6分)であり、実施例16と18において試料2の評価は◎であった。
以上の評価を要約すると、下地皮膜用のメッキ浴に両性界面活性剤を追加した実施例11では、基本の実施例1に対して、アルミニウム合金(試料2)に対する密着強度が増した(〇→◎)。また、熱処理温度を180℃(実施例1)から230℃に高めた実施例13、或いは、熱処理時間を15分(実施例1)から30分に延ばした実施例14では、試料1~2共に密着強度が増した。さらに、下地皮膜用のメッキ浴の浴温を50℃(実施例1)から60℃に上げた実施例16、或いは、下地皮膜メッキのメッキ時間を3分(実施例1)から6分に延ばした実施例18では、アルミニウム合金(試料2)に対する密着強度が増した。
一方、逆に、熱処理温度を180℃(実施例1)から80℃に下げた実施例12であっても、実施例1と同様の密着強度(=〇)を試料1~2共に保持できることが明らかになった。従って、低温度域での熱処理(例えば、湯煎)を選択すれば、熱エネルギーの投入を軽減して生産性を向上することができる。

Claims (7)

  1. (S1)アルミニウム材上に電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴を用いてニッケル-コバルト-リン合金皮膜からなる下地皮膜を形成する工程と、
    (S2)下地皮膜上に導電性皮膜を形成する工程とからなる導電性皮膜形成方法において、
    上記工程(S1)と工程(S2)の間に下地皮膜を30℃以上で熱処理する工程(S12)を介在させるか、又は、
    上記工程(S2)の後に下地皮膜及び導電性皮膜を30℃以上で熱処理する工程(S3)を付加するとともに、
    上記電気ニッケル-コバルト-リン合金メッキ浴は、
    (a)可溶性ニッケル塩と、
    (b)可溶性コバルト塩と、
    (c)リンを含む化合物と、
    (d)アミノカルボン酸類、オキシカルボン酸類、糖質、アミノアルコール類、ポリカルボン酸類、ポリアミン類より選ばれた錯化剤と、
    (e)緩衝剤
    とを含有することを特徴とするアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
  2. 電気ニッケル-リンメッキ浴のリンを含む化合物(c)が亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、ヒドロキシエチレンジアミンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)又はこれらの塩の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
  3. 電気ニッケル-リンメッキ浴の錯化剤(d)がクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸より選ばれたオキシカルボン酸、ポリカルボン酸、アミノカルボン酸又はその塩の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
  4. 電気ニッケル-リンメッキ浴の緩衝剤(e)がホウ酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ニッケル、アスコルビン酸又はその塩の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
  5. 電気ニッケル-リンメッキ浴に、さらに界面活性剤、或いは光沢剤を含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
  6. 電気ニッケル-リンメッキ浴の界面活性剤が、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤より選ばれた少なくとも一種であり、
    光沢剤が、サッカリン及びその塩、ベンゼンスルホン酸及びその塩、トルエンスルホン酸及びその塩、ナフタレンスルホン酸及びその塩、アリルスルホン酸及びその塩、ブチンジオール、エチレンシアンヒドリン、クマリン、プロパギルアルコール、ビス(3-スルホプロピル)ジスルフィド、メルカプトプロパンスルホン酸、チオリンゴ酸より選ばれた化合物の少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
  7. 上記導電性皮膜を電気メッキ、無電解メッキ、スパッタリング又は蒸着で形成し、
    当該導電性皮膜が銅、スズ、銀、金、ニッケル、ビスマス、パラジウム、白金、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、亜鉛、クロムより選ばれた金属又はこれらの金属の合金からなる皮膜であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のアルミニウム材上への熱処理式の導電性皮膜形成方法。
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