JP6029202B2 - アルミニウムまたはアルミニウム合金材への純鉄の電気めっき方法 - Google Patents
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Description
この方法では、まず、アルミニウム合金製のピストンをアルカリクリーナー(Allied Kelite社製のCHEMIZID740などの市販品が例示されている)に浸漬して表面に付着する油脂成分を除去したのち水洗し、ついで硫酸、硝酸、フッ酸を含む酸エッチャントで表面の酸化アルミニウム(自然酸化皮膜)を溶解除去し、更に水洗するという連続工程から成る前処理を施し、それから電気めっき工程に移送する。その電気めっき工程では、まず前処理が施されたピストンは亜鉛酸塩浴に浸漬され、亜鉛置換反応によってピストン表面に再び酸化アルミニウム皮膜が生成することを防止する処理を施し、次いでそこに無電解ニッケルめっきを行って表面に導電性を付与したのち、そこに電気めっきで高硬度の鉄めっき皮膜が製膜されている。すなわち、この方法の場合、アルミニウム合金材の脱脂工程−水洗工程−酸エッチャントによる自然酸化皮膜の溶解除去工程−水洗工程−亜鉛置換処理工程−水洗工程−無電解めっき工程−水洗工程−電気めっき工程という一連の工程によって構成されている。そしてこの方法では、亜鉛置換処理工程と無電解めっき工程が不可欠の工程として含まれる。
この方法では、酸活性化バスと鉄メッキバスの2つのバスが用意され、まず酸活性化バスでは、硫酸溶液内にアルミニウム合金の被めっき材を陰極として配置し、その陰極と陽極間に通電して陰極(被めっき材)で水素を発生させ、その水素で被めっき材表面の自然酸化皮膜を還元除去して被めっき材の表面を活性化させる(陰極酸活性化)。そして表面を活性化させたその被めっき材を鉄メッキバスに移動し、被めっき材は硫化鉄を含む鉄めっき浴に浸漬され、そこで鉄めっきが施される。この方法の場合、被めっき材の自然酸化皮膜は通電時の発生水素で還元除去されることになるので、被めっき材の表出表面に対して特許文献1のような亜鉛置換処理−ニッケルの無電解めっきという工程は必要とされなくなる。
この観点から例えば上記した特許文献1の方法を考えると、前記したように、出発素材であるアルミニウム合金材に最終的に鉄の電気めっきを行う前までに基本的には8工程を経ることが必要である。このうち、亜鉛置換処理と無電解めっきに関係する必要工程は水洗工程を含めて4工程を占めている。仮にこれら4つの工程を省くことができれば、生産ラインの稼働効率は向上し、製造時間も短縮されるのであるが、しかし、この方法の場合、この4工程を省くことはできないという問題がある。
また、前記第3工程終了後のめっき材の表面には変色防止処理を行うことが好ましい。
また製造された鉄めっき材は、表面の鉄に例えば鉄合金やニッケル−クロム合金のような硬質で耐摩耗性に優れた材料を電気めっきすることができるので、軽量で耐摩耗性に優れた各種製品の出発素材として使用することができる。またこの鉄めっき膜に他の材料を例えば溶接することもできる。
この第1工程で製造された第1の中間処理材は、その表面を水洗したのち、第2工程に移送される。
濃度が40%より低濃度の浴を用いると、上記した酸化皮膜が再生しなかったり、またはパッシベーション膜として有効な膜厚になるまでの時間が長くなりすぎ、また濃度が60%より高濃度の浴を用いると、短時間で膜厚の厚い酸化皮膜が再生し、しかもそれが不動態膜になってしまい最終工程の電気めっきで純鉄を一様に電析することができなくなったり、製膜された鉄めっき膜の密着性が悪くなる。
この第2工程で製造された第2の中間処理材は、その表面を水洗したのち、第3工程に移送される。
なお、鉄めっき膜の膜厚はこの電気めっきの稼働時間を適宜に管理することにより所望する厚みに制御することができる。
第3工程で製造されためっき材に対しては、純鉄の酸化に伴う変色を防止するために、更に、例えば低濃度のクロム酸やアルカリ液を用いた変色防止処理を施すことが好ましい。
出発素材として、純アルミニウム(JISA1100P)の試片(縦87mm、幅70mm、厚み2mm)を用意した。
アルカリ浴として、カセイソーダ(特級試薬)とイオン交換樹脂で処理した純水を用いて、濃度30g/Lのカセイソーダ水溶液1Lを調製した。
酸性浴として、硝酸(特級試薬)とイオン交換樹脂で処理した純水を用いて濃度50%の希硝酸液を1L調製した。
鉄めっき浴として、塩化第二鉄・六水塩(特級試薬)と塩化カルシウム・二水塩をイオン交換樹脂で処理した純水に溶解して、塩化第二鉄としての濃度300g/L、塩化カルシウムとしての濃度100g/Lのめっき浴を10L調製した。めっき浴のpHは2.0であった。
このとき、電流密度は3A/dm2となっている。また、pH計で浴のpHを測定し、カセイソーダをpH調整剤として浴のpHを2.0±0.1に保持し続けた。
鉄めっき膜の厚みを無作為に10点測定したところ、0.5〜1.4μmであり、平均値は1.0μmであった。
また、テープ試験法で鉄めっき膜の密着性を調べた。密着性は良好であった。
製膜された鉄めっき膜と第2の中間処理材との境界部の断面TEM(透過電子顕微鏡)像を撮影し、同時にEDX(エネルギー分散型X線)分析を行った。
まず、ある境界部の断面TEM像(倍率は300000倍)を図1に示す。また、図1で1−1、1−2、1−3、および1−4と印字されている箇所のEDX分析の結果を、それぞれ、図2、図3、図4、および図5に示した。
なお、比較のために、鉄めっき膜が製膜されていなかった表面箇所の断面TEM像(倍率300000倍)を図6に、図6で1−5、1−6と印字されている箇所のEDX分析の結果を、それぞれ図7、図8に示した。
Claims (4)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金から成る被めっき材をアルカリ浴に浸漬して、前記被めっき材の表面を被覆する自然酸化皮膜と前記自然酸化皮膜の表面に付着する油脂成分とを溶解除去することにより、前記被めっき材の表面が活性化した第1の中間処理材を製造する第1工程、前記第1の中間処理材を酸性浴に浸漬して、前記第1の中間処理材の表面に前記自然酸化皮膜よりも薄い酸化皮膜を製膜して第2の中間処理材を製造する第2工程、および前記第2の中間処理材を鉄めっき浴に浸漬して、前記第2の中間処理材を陰極とする電気めっきを行うことにより、前記第2の中間処理材の表面に純鉄を直接電析して鉄めっき材を製造する第3工程を必須工程として含み、かつ前記第1工程から第2工程への移行時、および第2工程から第3工程への移行時には水洗工程が介在し、前記第3工程が、鉄めっき浴として、塩化第二鉄250〜450g/Lと塩化カルシウム50〜150g/Lを含み、浴温30〜70℃に管理されためっき浴を用い、浴のpHを1.2〜2.5に管理しながら、電流密度2〜5A/dm 2 の通電条件で行われることを特徴とする、アルミニウムまたはアルミニウム合金材への純鉄の電気めっき方法。
- 前記第1工程が、前記アルカリ浴として、濃度25〜55g/L、浴温30〜50℃の水酸化ナトリウム水溶液を用い、浸漬時間は2〜15分に管理して行われる請求項1のアルミニウムまたはアルミニウム合金材への純鉄の電気めっき方法。
- 前記第2工程が、酸性浴として、濃度40〜60%、浴温25〜40℃の希硝酸浴を用い、浸漬時間は3〜15分に管理して行われる請求項1または2のアルミニウムまたはアルミニウム合金材への純鉄の電気めっき方法。
- 前記第3工程終了後の前記鉄めっき材に表面の変色防止処理が行われる請求項1〜3のいずれかのアルミニウムまたはアルミニウム合金材への純鉄の電気めっき方法。
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