JP2014178470A - ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法 - Google Patents

ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014178470A
JP2014178470A JP2013052092A JP2013052092A JP2014178470A JP 2014178470 A JP2014178470 A JP 2014178470A JP 2013052092 A JP2013052092 A JP 2013052092A JP 2013052092 A JP2013052092 A JP 2013052092A JP 2014178470 A JP2014178470 A JP 2014178470A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastic layer
silicone rubber
roller body
porosity
roller
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013052092A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Kobayashi
徹 小林
Norihiko Yasuse
徳彦 安瀬
Katsunori Sudo
克典 須藤
Takashi Endo
剛史 遠藤
Masayuki Kami
正之 上
Yusuke Arai
優介 荒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2013052092A priority Critical patent/JP2014178470A/ja
Priority to CN201410085218.1A priority patent/CN104049506B/zh
Publication of JP2014178470A publication Critical patent/JP2014178470A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】柔軟性と耐久性とを共に確保できるローラ体、そのローラ体を備えた定着装置、及び、その定着装置を備えた画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法を提供する。
【解決手段】加圧ローラ50は、芯金51と、芯金51の周囲に設けられた多孔質構造の発泡シリコーンゴムからなる弾性層52と、を有している。そして、弾性層52が水発泡シリコーンゴムを材料として構成され、当該弾性層52における半径方向外側の部分52bの空孔率が、半径方向内側の部分52aの空孔率より大きくなっている。
【選択図】図5

Description

本発明は、ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法に関する。
例えば、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置は、シート状の記録媒体である用紙などのシート材に形成された未定着のトナー画像を当該シート材に定着させる定着装置を備えている。定着装置は、シート材を加熱するローラやベルト等の加熱回転体と、この加熱回転体の回転表面に外周面が押しつけられ、当該加熱回転体との間にシート材が挿通される加圧ローラと、を備えている。そして、定着装置は、加熱回転体と加圧ローラとの間にシート材を挟み込み、これらの回転によりシート材を搬送しつつ、トナーの定着に必要な圧力でシート材を押圧する。
このような定着装置において用いられる加圧ローラが、例えば、特許文献1に開示されている。この加圧ローラ(図中、符号863で示す)は、図9に示すように、金属芯金863aと、金属芯金863aの両端面から延びる回転軸863bと、金属芯金863aの周囲に設けられた弾性層863cと、弾性層863cを覆う離型層863dと、を有している。弾性層863cは、気泡を含む発泡シリコーンゴムで構成されている。この加圧ローラ863は、回転軸863bに接続されたバネにより加熱された定着ローラ862に押しつけられ、図10に示すように、当該定着ローラ862との間に定着ニップ部Nが形成される。そして、加圧ローラ863は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動され、定着ローラ862が加圧ローラ863とともに連れ回る。
このような加圧ローラ863は、弾性層863cが気泡の形状及び分布ともに均一に形成された発泡シリコーンゴムで構成されている。そして、弾性層863cにおいて、気泡により形成される空孔が多い(空孔率が大きい)と硬度が低くなる。そのため、定着ローラ862に押しつけられたときの変形量が多くなり、定着ローラ862との間に十分な大きさの定着ニップ部Nを形成することができるが、硬度が低いと耐久性を十分に確保することができない。特に、弾性層863cにおける芯金に近い部分、即ち、弾性層863cにおける半径方向内側の部分に応力が加わり、これにより当該部分の気泡が潰れるなどして形状復元性が悪化して、早い段階で初期の性能を維持することができなくなってしまう。これとは反対に、弾性層863cにおいて、気泡により形成される空孔が少ない(空孔率が小さい)と硬度が高くなる。そのため、耐久性については十分に確保することができるが、硬度が高いと弾性層863cの変形量が少なくなり十分な大きさの定着ニップ部Nを形成することができない。特に、弾性層における外周面に近い部分、即ち、弾性層における半径方向外側の部分の硬度が定着ニップ部Nの形成に大きく影響する。このように、発泡シリコーンゴムからなる弾性層を有する加圧ローラにおいて、ニップ形成性(柔軟性)と耐久性とを共に確保することは困難であるという課題があった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、柔軟性と耐久性とを共に確保できるローラ体、そのローラ体を備えた定着装置、及び、その定着装置を備えた画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、芯金と、前記芯金の周囲に設けられた多孔質構造の発泡シリコーンゴムからなる弾性層と、を有し、回転体に直接的又は間接的に押しつけられるローラ体において、前記弾性層が、水発泡シリコーンゴムを材料として構成され、前記弾性層における半径方向外側の部分の空孔率が、半径方向内側の部分の空孔率より大きくなっていることを特徴とするローラ体である。
請求項1に記載された発明によれば、ローラ体の弾性層が、水発泡シリコーンゴムを材料として構成され、当該弾性層における半径方向外側の部分の空孔率が、半径方向内側の部分の空孔率より大きくなっている。このようにしたことから、弾性層における半径方向内側の部分については、空孔率が比較的小さいので、硬度が高くなり、そのため、耐久性を確保できる。また、弾性層における半径方向外側の部分については、空孔率が比較的大きいので、硬度が低くなり、そのため、柔軟性を確保できる。これにより、柔軟性と耐久性とを共に確保できる。また、弾性層が水発泡シリコーンゴムで構成されているので、例えば、化学発泡では気泡のサイズが大きいため、複写機の定着用回転体として用いた場合にトナーに対して均一な圧力負荷ができず、画像ムラや耐久不足(硬度低下、破断など)が起こることがある。その一方で、水発泡シリコーンゴムでは微細な気泡が均一に形成されているので、トナーに対して均一な圧力負荷ができ、圧力負荷を均等に受けることができるため耐久性を確保できる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。 図1の画像形成装置が備える本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。 図2の定着装置が備える定着ベルトの構成を模式的に示す拡大断面図である。 図2の定着装置が備える本発明の一実施形態に係る加圧ローラの構成を模式的に示す軸方向に直交する方向の断面図である。 (a)は、図2の定着装置が備える加圧ローラの構成を模式的に示す軸方向に直交する方向の断面図であり、(b)は、(a)の加圧ローラの弾性層の半径方向の位置と当該位置における空孔率及び硬度との関係を模式的に示すグラフである。 (a)は、図2の定着装置が備える加圧ローラの変形例の構成を模式的に示す軸方向に直交する方向の断面図であり、(b)は、(a)の加圧ローラの弾性層の半径方向の位置と当該位置における空孔率及び硬度との関係を模式的に示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。 図7の定着装置が備える定着ローラの断面図である。 従来の定着装置の概略構成を示す図である。 図9の定着装置が備える加圧ローラ及び定着ローラの一部を拡大して示す拡大断面図である。
(実施形態)
本発明の一実施形態の画像形成装置を、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図1に示すように、電子写真方式の画像形成装置(図中、符号100で示す)は、4組の像形成手段の一例である画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、定着部の一例である定着装置40と、を備えている。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、像担持体の一例である感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを有している。画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ対応した感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkの表面上に形成する。
これら画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの図中下方には、各画像形成部を通してシート状の記録媒体の一例である用紙Sを搬送するための搬送ベルト20が張架されている。用紙Sは搬送ベルト20の表面に静電的に吸着される。各画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、搬送ベルト20にそれぞれの外周面を接して回転可能に配置されている。感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkの表面上に形成されたトナー像は、搬送ベルト20により搬送される用紙Sに順次転写される。用紙Sは、シート材の一例にも相当する。
4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、略同じ構造を有する。そのため、ここでは用紙Sの搬送方向最上流側に配設されたイエロー用の画像形成部10Yについて代表して説明する。そして、他の色用の画像形成部10M、10C、10Bkについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部10Yは、その略中央位置に搬送ベルト20に転接された感光体ドラム1Yを有し、感光体ドラム1Yの周囲には、帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、転写ローラ5Y、クリーナ6Y、及び、図示しない除電ランプが配設されている。これら帯電装置2Y、露光装置3Y、現像装置4Y、転写ローラ5Y(転写装置)、クリーナ6Y、及び、除電ランプは、感光体ドラム1Yの回転方向に沿って順に配置されている。
帯電装置2Yは、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電させる。露光装置3Yは、帯電されたドラム表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、ドラム表面上に静電潜像を形成する。現像装置4Yは、ドラム表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する。転写ローラ5Y(転写装置)は、現像したトナー像を搬送ベルト20を介して搬送される用紙S上に転写する。クリーナ6Yは、転写されずにドラム表面に残留した残留トナーを除去する。除電ランプは、および図示しないドラム表面に残留した電荷を除去する。
搬送ベルト20の図中右下方には、用紙Sを搬送ベルト20上に給紙するための給紙機構30が配設されている。
搬送ベルト20の図中左側には、後述する定着装置40が配設されている。搬送ベルト20によって搬送された用紙Sは、搬送ベルト20から連続して定着装置40を通って延びた搬送路を搬送され、定着装置40を通過する。
定着装置40は、搬送された用紙S、すなわちその表面上に各色のトナー像が転写された状態の用紙Sを加熱および加圧する。そして、各色のトナー像を溶融して用紙Sに浸透させて定着させる。そして、定着装置40は、その搬送経路下流側に排紙ローラを介して排紙する。
次に、本発明の一実施形態の定着装置40を、図2、図3を参照して説明する。
図2は、図1の画像形成装置が備える本発明の一実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。図3は、図2の定着装置が備える定着ベルトの構成を模式的に示す拡大断面図である。
図2に示すように、定着装置40は、回転可能に設けられた加熱回転体の一例である定着ベルト41と、定着ベルト41に対向して回転可能に設けられた加圧回転体の一例である加圧ローラ50と、を備えている。また、定着装置40は、定着ベルト41を加熱する加熱源の一例であるハロゲンヒータ42を備えている。ハロゲンヒータ42にかえて、カーボンヒータなどを備えていてもよい。さらに、定着装置40は、定着ベルト41の内側に配設されたニップ形成部材43と、ニップ形成部材43を支持する支持部材としてのステー44と、ハロゲンヒータ42から放射される光を定着ベルト41へ反射する反射部材45等を備えている。加圧ローラ50は、外周面が定着ベルト41の回転表面に押しつけられており、定着ベルト41との間にトナー像Tが形成された用紙Sが挿通される。
上記定着ベルト41は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。定着ベルト41は、図3に一例を示すように、基材41aと、弾性層41bと、離型層41cと、が内側から外側に順に重ねられて構成されている。図3は、図2の定着装置が備える定着ベルトの構成を模式的に示す拡大断面図である。基材41aは、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成されている。弾性層41bは、基材41aと離型層41cとの間に設けられ、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成されている。離型層41cは、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)若しくはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、又は、これら樹脂の混合物、耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものなどで形成されている。定着ベルト41は、弾性層41bを省略した構成でもよい。
ニップ形成部材43は、定着ベルト41の内周面の一部に当接するように配置されており、加圧ローラ50が、外周面とニップ形成部材43との間に定着ベルトを挟んで定着ニップ部Nを形成するように、当該ニップ形成部材43に向けて押しつけられている。つまり、加圧ローラ50は、外周面を定着ベルト41の外周面(回転表面)に押しつけられるように配置されている。定着ベルト41は、加圧ローラ50が図示しない回転駆動手段によって回転されると、この加圧ローラ50の回転に伴って回転される。そして、定着ベルト41におけるハロゲンヒータ42によって加熱された箇所が、定着ニップ部Nに移動して、このとき定着ベルト41と加圧ローラ50との間を挿通される用紙Sが加熱及び加圧されてトナー像Tが定着される。なお、加圧ローラ50を回転駆動する構成以外に、定着ベルト41を回転駆動する構成としてもよく、または、加圧ローラ50と定着ベルト41とをともに回転駆動する構成としてもよい。
次に、本発明の一実施形態のローラ体である加圧ローラ50を、図4、図5を参照して説明する。
図4は、図2の定着装置が備える本発明の一実施形態に係る加圧ローラの構成を模式的に示す軸方向に直交する方向の断面図である。図5(a)は、図2の定着装置が備える加圧ローラの構成を模式的に示す軸方向に直交する方向の断面図であり、(b)は、(a)の加圧ローラの弾性層の半径方向の位置と当該位置における空孔率及び硬度との関係を模式的に示すグラフである。
加圧ローラ50は、図4及び図5(a)に示すように、芯金51と、弾性層52と、表面離型層53と、一対のグリップ層54と、を備えている。
芯金51は、例えば、ステンレス鋼や炭素鋼などの剛性の比較的高い金属製の円筒状又は円柱状(即ち、中空又は中実)の部材である。
弾性層52は、多孔質構造の水発泡シリコーンゴムを材料(多孔質体)として構成されており、芯金51の外周面に周方向及び軸方向(図5(a)において手前−奥方向)に均一な厚みとなるように設けられている。弾性層52の詳細については後述する。
表面離型層53は、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂を材料として構成されている。表面離型層53は、弾性層52の外周面における用紙Sが挿通される通紙領域Wt(シート材の挿通領域の一例)に均一な厚みで形成された層である。本実施形態において、通紙領域Wtの幅方向の長さは、用紙Sの幅方向の長さに数十mm程度のマージンを含めた長さとしている。
本実施形態において、加圧ローラ50における表面離型層53が設けられた通紙領域Wtは、その幅方向(即ち、加圧ローラ50の軸方向)の全体にわたって外径が20mm〜40mm程度で均一に形成されている。
一対のグリップ層54は、弾性層52の外周面の両端部に表面離型層53を間に挟むように設けられている。グリップ層54を構成する材料として、表面離型層53より高い表面摩擦係数をもつ材料を用いている。これにより、定着ベルト41の回転する外周面にグリップ層54が接したときに、加圧ローラ50と定着ベルト41との滑りの発生が抑制される。グリップ層54を構成する材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料が挙げられる。
本実施形態において、加圧ローラ50における芯金51以外の部材は、軸方向の中心について対称に形成されている。芯金51の一端部は、弾性層52の端面からの突出量が他端部より多くされている。
加圧ローラ50は、ニップ形成部材43との間に定着ベルト41の一部を挟むように当該ニップ形成部材43と対向して配置されている。そして、加圧ローラ50は、図示しないばねなどの押圧部材により芯金51がニップ形成部材43側に押圧されて、加圧ローラ50の外周面が定着ベルト41の外周面(回転表面)に押しつけられている。つまり、加圧ローラ50は、回転体である定着ベルト41に直接的に押しつけられている。
ここで、弾性層52について説明する。
弾性層52は、多孔質構造を有する多孔質体で構成されている。本実施形態では、水発泡シリコーンゴムが用いられている。水発泡シリコーンゴムを得る方法としては、液状シリコーンゴム中に水を乳化させたのち加熱により水を揮発させて発泡構造を形成する水発泡法などが知られている。弾性層52に水発泡シリコーンゴムなどの多孔質体を用いることで断熱性を得ることができるので、加圧ローラへの伝熱を低減することができる。そのため、ウォームアップ時間(電源投入時等、常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)までに要する時間)や、ファーストプリント時間(印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間)の短縮化を図ることができる。これにより、機器の立ち上げ時間を短縮でき、省エネ(TEC値低減)が可能となる。
弾性層52は、図5(a)に示すように、単一の構成体からなり半径方向内側の部分52aから半径方向外側の部分52bにかけて空孔率が次第に大きくなるように構成されている。ここで、単一の構成体とは、別個に作製された複数の多孔質体をつなぎ合わせたものでなく、1つの多孔質体として作製されたものを意味する。本明細書において「空孔率」とは、単位体積当たりの空孔等による空間体積の割合である。そして、発泡シリコーンゴムなどの多孔質体では空孔率により硬度が変化する。このような構成により、弾性層52は、半径方向内側の部分52aから外側の部分52bに向かうにしたがって、連続的に硬度が低くなるように構成されている。図5(b)に、弾性層52の半径方向の位置と空孔率及び硬度との関係を模式的に示す。本実施形態において、弾性層52の半径方向内側の部分とは、弾性層52の内周面から半径方向長さ(即ち、弾性層52の厚み)の3分の1程度までの部分をいう。また、弾性層52の半径方向外側の部分とは、弾性層52の外周面から半径方向長さの3分の1程度までの部分をいう。単一の構成体の弾性層52は、エマルション組成物を遠心分離することにより半径方向に空孔率の傾きを設けている。つまり、弾性層52における半径方向外側の部分52bの空孔率が、半径方向内側の部分52aの空孔率より大きくなっている。単一の構成体からなる弾性層52の製法の詳細については後述する。
または、弾性層52は、図6(a)に示すように、空孔率の異なる複数の弾性層部分521〜525が、半径方向内側から外側に向かうにしたがって次第に空孔率が大きくなるように重ねられて構成されていてもよい。図6(a)は、図2の定着装置が備える加圧ローラの変形例の構成を模式的に示す軸方向に直交する方向の断面図であり、(b)は、(a)の加圧ローラの弾性層の半径方向の位置と当該位置における空孔率及び硬度との関係を模式的に示すグラフである。このような構成により、弾性層52は、半径方向内側の部分から外側の部分に向かうにしたがって、段階的に硬度が低くなるように構成されている。図6(b)に、弾性層52の半径方向の位置と空孔率及び硬度との関係を模式的に示す。これら各弾性層部分521〜525は、例えば、水発泡で作製する場合に水の量などを変えることにより、互いの空孔率を異ならせている。この構成においても、弾性層52における半径方向外側の弾性層部分525の空孔率が、半径方向内側の弾性層部分521の空孔率より大きくなっている。
本実施形態において、弾性層52を構成する多孔質体は、熱伝導率0.1〜0.2W/(m・K)、硬度20〜60°(アスカーC)とされている。
また、弾性層52を構成する多孔質体は、次の(i)〜(iii)の条件を満たすものが好ましい。
(i)多孔質体を切断したときに得られる断面に存在する気泡が0.1μm以上50μm以下の範囲の大きさであって、かつ、該断面における一辺が200μmの正方形の面積100に対して、該正方形内で球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡が占める面積が60以上70以下である。
(ii)多孔質体を切断したときに得られる断面に存在する気泡が0.1μm以上50μm以下の範囲の大きさであって、かつ、5μm以上50μm以下の大きさの気泡について5μm毎に分画したときに5μm以上10μm以下の大きさの気泡が最も多く存在する。
(iii)前記5μm以上10μm以下の大きさの気泡の数を100としたときに、10μm以上20μm以下の大きさの気泡の数割合が45以上である。
上記(i)の条件を満たすことにより、加圧ローラ50を小径としても周方向に広いニップ幅を得ることができ、ウォーミングアップ時間の短縮化を可能としながら、耐久性に優れた加圧ローラ50となる。なお、複合気泡は、単独気泡の球形状とは異なり球形が互いに部分的に重なり合っているので、多孔質体の断面を顕微鏡などで観察することで単独気泡と容易に区別できる。
上記(ii)の条件を満たすことにより、加圧の応力を均等に分散できるので、加圧ローラ50を小径としても周方向に広いニップ幅を得ることができ、ウォーミングアップ時間の短縮化を可能としながら、耐久性に優れた加圧ローラとなる。
上記(iii)の条件を満たすことにより、加圧の応力をより均等に分散できるために、より高い耐久性を得ることができる。
多孔質体の製造方法としては、主に化学発泡と水発泡がある。このうち、化学発泡では気泡(セル)のサイズが大きいので、複写機の定着用回転体として用いた場合にトナーに対して均一な圧力負荷ができず、画像ムラや耐久不足(硬度低下、破断など)が起こることがある。一方、水発泡シリコーン法では微細な気泡を均一に形成することできるので、トナーに対して均一な圧力負荷ができ、圧力負荷を均等に受けることができるため耐久不足が起きにくい。そして、水発泡の技術を応用することで、上記(i)〜(iii)の条件を満たす発泡シリコーンゴムを得ることができる。
次に、上述した加圧ローラ50の製造方法の一例を示す。ここでは、弾性層52が単一の構成体であるものについて説明する。
加圧ローラ50は、弾性層52及び表面離型層53を順次重ねて形成するとともに、弾性層52の外周面の両端部に表面離型層53を挟むようにグリップ層54を形成することにより得られる。
まず、弾性層52を構成する多孔質体を形成する。
上述した弾性層52となる多孔質体を得るために、エマルション組成物を調製する(調製工程)。具体的には、エマルション組成物は、2液型の液状シリコーンに触媒、界面活性剤、架橋材を添加して混ぜる。そして、これと、水(必要に応じてアルコールを加える)に添加剤、充填剤、分散剤等を混ぜて液状シリコーンゴムと同等の粘度にした混合溶液と、を合わせて攪拌して得る。混合溶液の密度は、添加剤等の種類を変えることで制御する。本実施形態において、液状シリコーンゴムの密度は1.04g/cm3である。また、混合溶液の密度は1.0g/cm3〜2.0g/cm3であり、好ましくは、1.2g/cm3〜1.5g/cm3である。混合溶液は、所定の液体の一例である。
液状シリコーンゴムと混合溶液との配合比率(体積比率)は、所望の空孔率により変わる。例えば、液状シリコーンゴムと混合溶液との配合比率を1:1にすると、エマルション組成物中の微粒子状の水分が蒸発し気泡(セル)となるので、全体の空孔率が50%となる多孔質体を得ることができる。
エマルション組成物は、ホモジナイザーや、必要に応じて超音波処理を伴う攪拌機を用い、上記条件を満足するような気泡分布が得られるよう攪拌手段、攪拌時間、攪拌速度(例えば300〜1500rpm)などの各種攪拌条件を調整する。
このとき、最終的に形成される多孔質体において、その多孔質体を切断したときに得られる断面に存在する気泡が0.1μm以上50μm以下の範囲の大きさであって、かつ、該断面における一辺が200μmの正方形の面積100に対して、該正方形内で球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡が占める面積が60以上70以下であるように攪拌して乳化させることによりエマルション組成物を調製してもよい。
また、最終的に形成される多孔質体において、それを切断したときに得られる断面に存在する気泡が0.1μm以上50μm以下の範囲の大きさであって、かつ、5μm以上50μm以下の大きさの気泡について5μm毎に分画したときに5μm以上10μm以下の大きさの気泡が最も多く存在するように攪拌して乳化させることによりエマルション組成物を調製してもよい。
それから、調製されたエマルション組成物を円筒型の金型に注入して、遠心分離を行う(遠心分離工程)。具体的には、エマルション組成物が注入された金型の軸方向端を保持して、軸を中心として周方向に回転させることにより金型内のエマルション組成物に遠心力を与える。このとき液体シリコーンゴムと混合溶液とに密度差(即ち、比重差)があるため、密度が大きいものが回転半径方向の外側に移動し、密度が小さいものが回転半径方向の内側に移動する。これにより、エマルション組成物に含まれる液体シリコーンゴムと混合溶液との混合比率が、回転半径方向について傾斜する。この傾斜は、密度差が大きい程、回転速度が高い程、回転時間(遠心力を与える時間)が長い程、顕著になる。本実施形態において、回転速度は5000〜100000rpmの範囲であり、10000〜50000rpmの範囲が望ましい。
その後、エマルション組成物を硬化・脱水して多孔質構造のシリコーンゴムを形成する(形成工程)。具体的には、遠心力を与えられた金型内のエマルション組成物を加熱することでエマルション組成物内の水分を蒸発させずにシリコーンゴムを硬化させる(1次加熱)。ここで、加熱温度は、80〜130℃の範囲、加熱時間はで30〜120分の範囲で行う。加熱温度90〜110℃、加熱時間60〜90分が望ましい。
そして、1次加熱後の多孔質体から水分を除去するために2次加熱を行う。加熱温度は150〜300℃、加熱時間は1〜24時間の範囲で行う。加熱温度200〜250℃、加熱時間3〜5時間が望ましい。このような2次加熱を行うことで、多孔質体から水分を除去し、気泡を連泡タイプとするとともに、シリコーンゴムの最終的な硬化を終了させる。このようにして、弾性層52となるチューブ状の多孔質体が得られる。この多孔質体は、液体シリコーンゴムと混合溶液との混合比率が回転半径方向(即ち、厚み方向)について傾斜されたエマルション組成物を硬化・脱水して得られたものである。そのため、脱水により形成された空孔の割合(空孔率)が厚み方向に傾斜されている(傾斜配向)。つまり、この多孔質体は、厚み方向について、空孔率が次第に変化している構成を有している。
弾性層52を構成する多孔質体が得られた後、当該多孔質体における空孔率が小さい側を内側に、空孔率が大きい側を外側にして、芯金51に当該多孔質体を接着等により固定させる。そして、多孔質体を所定の外径に削りだしてローラ形状に成形することで、芯金51の周囲に弾性層52が形成される(弾性層形成工程)。
芯金51の周囲に弾性層52が形成されたのち、弾性層52の外周面に一液熱硬化型の接着剤を均一に塗布して当該外周面における通紙領域Wtに対応する部分にPFA等のフッ素樹脂からなるチューブを被覆して表面離型層53を形成する(表面離型層形成工程)。
続いて、弾性層52の外周面の両端部付近に表面離型層53と軸方向に並べてグリップ層54を設ける(グリップ層形成工程)。グリップ層54は、通紙領域Wtと同じ幅とした表面離型層53を軸方向に挟むように設けられる。グリップ層54の成形方法としては、グリップ層54の形成組成物をスプレー塗装、ディップ塗装、ロールコートなどの方法で塗装してその後乾燥する方法が挙げられる。グリップ層54の材料には、グリップ力を得るためタック性を有すること、ニップ部を形成するため弾性体であること、定着温度に対する耐熱性を有すること、の3つの特性が必要となる。そうした材料として、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料を用いることが望ましい。
このようにして、本実施形態の加圧ローラ50が得られる。
次に、本実施形態の加圧ローラ50における気泡の個数の測定方法の一例について説明する。
まず、鋭利な刃物で弾性層52を構成する多孔質体を切断し、その断面をレーザ顕微鏡(LSM)、走査型電子顕微鏡(SEM)で一辺が200μmの正方形の領域が鮮明に見えるように撮影する。
得られた画像を市販の画像処理ソフトにより、シリコーンゴム部分が白く、気泡部分が黒くなるようにして白黒2値化する。気泡部分を黒くして抽出した後、各気泡径を構成要素として、画像処理の手法の一つであるオープニング処理を用いて、上記抽出した気泡を各気泡径にふるい分けをする。各オープニング処理の前後の結果の差分を取ることでふるい分けした構成要素(気泡径)の画素数がわかる。この画素数を構成要素の画素数で除することで各径範囲毎に含まれる個数(分画された各分画に存在する気泡数)が分かり、分布を求めることができる。
ここで上記のように水発泡シリコーンゴムにより形成された多孔質体は、1次加熱後の多孔質体から水等が抜けるときに形成された微細な通路によりつながっている、いわゆる連泡形(連続気泡型)である。
また、本発明における弾性層52を構成する多孔質体は、上述のように、球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡が前記断面中の一辺が200μmの正方形領域において占める面積割合が60%以上70%以下である。この面積割合は次のように求める。上記顕微鏡による画像データにおいて、一辺が200μmの正方形領域を切り出す。切り出した領域における、部分的に重なり合って形成された複合気泡以外の気泡に係る画像を目視で確認しながら消したのち、白黒2値化する。そして、この領域の全体面積に対する黒の部分の面積比(画像処理ソフトによって算出される)を算出して、面積割合とする。
また、空孔率の測定は、次式で算出した
空孔率=(ソリッドゴムの比重−多孔質体の比重)
/(ソリッドゴムの比重)×100(%)
(ソリッドゴム:空孔を含まないシリコーンゴム、多孔質体:水発泡シリコーンゴム)
比重測定は、比重計(A&D社製電子比重計 MD−200S)を用いて測定した。具体的には、多孔質体を1〜2cm3に切り出して、比重計を用いて測定した。また、空孔率の傾斜配向は、例えば、多孔質体を厚み方向(半径方向)に三等分して、内側部分(芯金側)、中央部分、外側部分(表面離型層側)をそれぞれ測定することで確認できる。
また、連泡率は、メタノール浸漬重量増加率で測定した。この方法は特開2002−12696に記載されている方法である。すなわち、JIS 6249の圧縮永久歪測定に用いられる試験片(直径約29mm、厚さ約12.5mmの円柱形状)を作成する。これをメタノール500gを満たした容量約1Lの金属缶に浸漬し、蓋をして25℃の雰囲気中で放置する。浸漬前及び浸漬24時間後の重量から、下記の計算式で重量増加率を測定した。なお、比重が小さく、浮いてしまうサンプルについては、金属メッシュでメタノール上部を覆った。
以上より、本実施形態の加圧ローラ50によれば、加圧ローラ50の弾性層52が、水発泡シリコーンゴムを材料として構成され、当該弾性層52における半径方向外側の部分52bの空孔率が、半径方向内側の部分52aの空孔率より大きくなっている。このようにしたことから、弾性層52における半径方向内側の部分52aについては、空孔率が比較的小さいので、硬度が高くなり、そのため、耐久性を確保できる。また、弾性層52における半径方向外側の部分52bについては、空孔率が比較的大きいので、硬度が低くなり、そのため、柔軟性を確保できる。これにより、弾性層52において柔軟性と耐久性とを共に確保できる。また、弾性層52が水発泡シリコーンゴムで構成されているので、例えば、化学発泡では気泡のサイズが大きいため、複写機の定着用回転体として用いた場合にトナーに対して均一な圧力負荷ができず、画像ムラや耐久不足(硬度低下、破断など)が起こることがある。その一方で、水発泡シリコーンゴムでは微細な気泡が均一に形成されているので、トナーに対して均一な圧力負荷ができ、圧力負荷を均等に受けることができるため耐久性を確保できる。
また、加圧ローラ50は、弾性層52を切断したときに得られる断面に存在する気泡が0.1μm以上50μm以下の範囲の大きさであって、かつ、球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡が前記断面中の一辺が200μmの正方形領域において占める面積割合が60%以上70%以下である。このようにしたことから、加圧ローラ50を小径としても周方向に広いニップ幅を得ることができ、ウォーミングアップ時間の短縮化を可能としながら、耐久性に優れた加圧ローラ50となる。
また、加圧ローラ50は、弾性層52の空孔率が、半径方向内側の部分52aから半径方向外側の部分52bにかけて次第に大きくなっている。例えば、弾性層52の半径方向について空孔率が急激に変化する箇所があると、当該箇所において弾性層52の硬度が急激に変化して応力が集中しまい、耐久性が低下する恐れがある。しかしながら、弾性層52の空孔率が、半径方向内側の部分52aから半径方向外側の部分52bにかけて次第に大きくなっていることで、空孔率の急激な変化、つまり、硬度の急激な変化を回避して応力の集中を抑制し、耐久性をさらに向上できる。
また、加圧ローラ50は、弾性層52が、単一の構成体で構成されている。このようにしたことから、各弾性層部分を構成する空孔率の異なる複数の多孔質体を別々に作製して、複数の多孔質体のそれぞれを芯金に固定することが不要となる。つまり、1つの多孔質体を作製してそれを芯金に固定する作業のみとなるので、製造工数を削減でき、製造コストを抑制することができる。
また、加圧ローラ50は、液状シリコーンゴムと混合溶液とからなるエマルション組成物を材料として構成されている。このようにしたことから、水発泡により形成された多孔質体によって弾性層52が構成されるので、化学発泡による多孔質体に比べて、トナーに対して均一な圧力負荷をかけることができ、画像ムラや耐久不足(硬度低下、破断など)を抑制できる。
また、加圧ローラ50は、弾性層52の外周面に重ねて設けられた表面離型層53をさらに有している。このようにしたことから、弾性層52の外周面を表面離型層53で被覆して、弾性層52の耐久性をさらに向上できる。
また、加圧ローラ50は、表面離型層53が、フッ素系樹脂を材料として構成されている。このようにしたことから、加圧ローラ50へのトナー固着を抑制し、紙離型性を向上させることができる。
また、本実施形態の定着装置40は、上述した加圧ローラ50を備えている。このようにしたことから、加圧ローラ50の弾性層52における半径方向内側の部分52aについては、空孔率が比較的小さいので、硬度が高くなり、そのため、耐久性を確保できる。また、弾性層52における半径方向外側の部分52bについては、空孔率が比較的大きいので、硬度が低くなり、そのため、柔軟性を確保できる。これにより、加圧ローラ50の弾性層52において柔軟性と耐久性とを共に確保できる。したがって、定着装置40において、定着性と耐久性とを共に確保できる。
また、本実施形態の画像形成装置100は、用紙Sにトナー像Tを形成する画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkによって用紙Sに形成されたトナー像Tを該用紙Sに定着させる定着装置40と、を少なくとも備えている。このようにしたことから、定着装置40が備える加圧ローラ50の弾性層52における半径方向内側の部分52aについては、空孔率が比較的小さいので、硬度が高くなり、そのため、耐久性を確保できる。また、弾性層52における半径方向外側の部分52bについては、空孔率が比較的大きいので、硬度が低くなり、そのため、柔軟性を確保できる。これにより、加圧ローラ50の弾性層52において柔軟性と耐久性とを共に確保できる。したがって、定着装置40において、定着性と耐久性とを共に確保できるので、画像形成装置100において、画質の向上と耐久性とを共に確保できる。
また、本実施形態の加圧ローラ50の製造方法は、互いに比重の異なる液状シリコーンゴムと混合溶液とからなるエマルション組成物を調製する調製工程を含む。また、調製工程で調製されたエマルション組成物を金型に注入し、この金型に注入されたエマルション組成物において液状シリコーンゴムと混合溶液との混合比率が回転半径方向について傾斜するように、金型を回転させる遠心分離工程を含む。また、遠心分離工程で混合比率が遠心分離の回転半径方向について傾斜されたエマルション組成物に含まれる液状シリコーンゴムを硬化させたのち水分を除去して、弾性層を構成する多孔質構造の水発泡シリコーンゴムからなる単一の構成体を形成する形成工程を含む。このようにしたことから、加圧ローラ50について、単一の構成体でありかつ空孔率が半径方向内側の部分52aから半径方向外側の部分52bにかけて次第に大きくなっている弾性層52を形成することができる。そのため、弾性層52について1つの多孔質体を作製してそれを芯金に固定する作業のみとなるので、製造工数を削減でき、製造コストを抑制することができる。また、弾性層52における空孔率の急激な変化、つまり、硬度の急激な変化を回避して応力の集中を抑制し、耐久性をさらに向上できる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法は上記実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、上述した定着装置40は、ローラ体の一例である加圧ローラ50を備えた構成であったが、これに限定されるものではない。定着装置は、加圧ローラ以外にも、例えば、ローラ体の一例である定着ローラを備えた構成であってもよい。図7、図8に、このような構成の定着装置200を示す。
図7は、本発明の他の実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。図8は、図7の定着装置が備える定着ローラの断面図である。
図7に示すように、定着装置(図中、符号200で示す)は、ローラ体の一例である定着ローラ211と、加熱ローラ212と、テンションローラ213と、定着ベルト214と、加圧ローラ215と、クリーニング機構217と、を備えている。また、定着装置200は、定着ローラ211を回転駆動する駆動部230を備えている。
定着ローラ211は、アルミニウム(アルミニウム合金含む)又は鉄などの金属製の芯金211aの上に発泡シリコーンゴム等の弾性層211bが設けられている。定着ローラ211の弾性層211bには、ウォームアップ時間短縮のため、定着ベルト214の熱を吸収しにくいように多孔質構造を有する水発泡シリコーンゴムで構成されている。図8に示すように、弾性層211bは、上述した実施形態の加圧ローラ50の弾性層52と同様に、単一の構成体からなり半径方向内側の部分211b1から半径方向外側の部分211b2にかけて空孔率が次第に大きくなるように構成されている。このような構成により、弾性層211bは、半径方向内側の部分211b1から外側の部分211b2に向かうにしたがって、連続的に硬度が低くなるように構成されている。
加熱ローラ212は、アルミニウム製又は鉄製の中空ローラで、定着ローラ211と軸同士が互いに平行になるように間隔をあけて対向配置されている。加熱ローラ212は、その内部にハロゲンヒータなどのヒータ212hからなる熱源を有している。熱源は誘導加熱機構(IH)でもよい。または、熱源となるヒータは、加熱ローラ212内ではなく、定着ベルト214の外周面に対向して配置されていてもよい。
テンションローラ213は、アルミニウムや鉄などの金属製又は樹脂製の中空ローラである。テンションローラ213は、定着ローラ211と加熱ローラ212との間に、軸同士が互いに平行で、かつ、その軸が定着ローラ211と加熱ローラ212のそれぞれの軸を含む一平面内に収まらないようにずれて配置されている。
定着ベルト214は、無端状のベルトであり、断面構造としては、例えばニッケル、ステンレス、ポリイミドなどの基材にシリコーンゴム層などの弾性層を形成した2層構造となっている。定着ベルト214は、定着ローラ211、加熱ローラ212及びテンションローラ213に一定のテンションで架け渡されている。
加圧ローラ215は、アルミニウム又は鉄などの金属製の芯金215aの上に発泡シリコーンゴム等の弾性層215bが設けられた円筒形状のローラである。加圧ローラ215は、定着ベルト214に対して図中下側で回転自在に配置され、定着ローラ211の外周面に定着ベルト214を介して自身の外周面が押しつけられている。換言すると、定着ローラ211は、回転体である加圧ローラ215に間接的に押しつけられている。加圧ローラ215は、定着ベルト214との間に定着ニップ部Nを形成している。この実施形態において、加圧ローラ215は、回転体の一例に相当する。
クリーニング機構217は、クリーニングウェブを押し付けて加圧ローラ215のクリーニングを行うものである。駆動部230は、モータ231及びギヤ232を有しており、定着ローラ211を回転駆動する。定着ローラ211が回転駆動されることにより、定着ベルト214が回転移動する。または、駆動部230は、定着ローラ211に代えて、加圧ローラ215を回転駆動するように構成されていてもよく、または、定着ローラ211及び加圧ローラ215を共に回転駆動するように構成されていてもよい。
この定着装置200は、定着ベルト214が回転移動されるとともに加圧ローラ215及び加熱ローラ212が回転され、かつ、定着ベルト214の表面は所定の温度に加熱された状態となる。この状態において、定着ニップ部Nに未定着トナー像が形成されたシート材Pが通されると(図中、右側から左側方向への通紙)、定着ニップ部Nにおける加圧及び加熱により未定着トナー像がシート材P上に熱融着されて、シート材Pに定着される。
以上より、上述した定着ローラ211によれば、定着ローラ211の弾性層211bにおける半径方向外側の部分211b2の空孔率が、半径方向内側の部分211b1の空孔率より大きくなっている。このようにしたことから、弾性層211bにおける半径方向内側の部分211b1については、空孔率が比較的小さいので、硬度が高くなり、そのため、耐久性を確保できる。また、弾性層211bにおける半径方向外側の部分211b2については、空孔率が比較的大きいので、硬度が低くなり、そのため、柔軟性を確保できる。これにより、弾性層211bにおいて柔軟性と耐久性とを共に確保できる。
また、定着装置200は、上述した定着ローラ211を備えている。このようにしたことから、定着ローラ211の弾性層211bにおける半径方向内側の部分211b1については、空孔率が比較的小さいので、硬度が高くなり、そのため、耐久性を確保できる。また、弾性層211bにおける半径方向外側の部分211b2については、空孔率が比較的大きいので、硬度が低くなり、そのため、柔軟性を確保できる。これにより、弾性層211bにおいて柔軟性と耐久性とを共に確保できる。また、弾性層211bが水発泡シリコーンゴムで構成されている。そのため、例えば、化学発泡では気泡のサイズが大きいため、複写機の定着用回転体として用いた場合にトナーに対して均一な圧力負荷ができず、画像ムラや耐久不足(硬度低下、破断など)が起こることがある。その一方で、水発泡シリコーンゴムでは微細な気泡が均一に形成されているので、トナーに対して均一な圧力負荷ができ、圧力負荷を均等に受けることができるため耐久性を確保できる。したがって、定着装置200において、定着性と耐久性とを共に確保できる。
また、上述した実施形態では、液状シリコーンゴムと、この液状シリコーンゴムより比重の高い混合溶液と、からエマルション組成物を調製していたが、これに限定されるものではない。例えば、液状シリコーンゴムと、この液状シリコーンゴムより比重の低い混合溶液と、からエマルション組成物を調製してもよい。この場合、遠心分離により密度の高いシリコーンゴムが回転半径外側に移動し、密度の低い混合溶液が回転半径内側に移動する。そのため、チューブ状に形成された多孔質体は、半径方向内側の部分の空孔率が大きく、半径方向外側の部分の空孔率が小さくなる。そして、この多孔質体において、内側と外側とをひっくり返すことで、径方向内側の部分の空孔率が小さく、半径方向外側の部分の空孔率が大きい多孔質体を得ることができる。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
(検証)
本発明者らは、以下に示す本発明に係るローラ体の一例である加圧ローラの実施例1〜4及び比較例1〜3をそれぞれ作製して、それぞれについて検証を行った。
(実施例1)
上述した実施形態の加圧ローラ50において、(1)芯金51として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)弾性層52を構成する多孔質体を次のように作製した。密度1.04g/cm3の液状シリコーンゴムと、添加剤として塩化ナトリウム(NaCl)を23重量%添加した密度1.2g/cm3の混合溶液とを、体積比1:1で混ぜ、攪拌機において1500rpmで攪拌してエマルション組成物を調製した。このエマルション組成物を金型に注入して、回転速度30000rpmの回転を90分間与えた。そして、100℃で1時間加熱する一次加熱及び230℃で4時間加熱する二次加熱を行った。これにより、全長380mm、外径φ37mm、厚さ6mmとした発泡シリコーンゴムチューブである多孔質体を得た。この多孔質体では、半径方向内側の部分52aについて比重0.57(空孔率40%)、平均気泡径φ20μmとされ、半径方向外側の部分52bについて比重0.39(空孔率60%)、平均気泡径φ20μmとされている。また、外周面の硬度が33Hs(アスカーC)とされている。そして、上記多孔質体の内側に芯金51を挿入して固定するとともに、多孔質体の厚みが5mmとなるように削りだしてローラ形状に成形することで、芯金51の周囲に弾性層52を形成した。(3)表面離型層53として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層52の外周面を被覆した。(4)グリップ層54としてシリコーンゴムを用い、弾性層52の両端の外周面に、表面離型層53を挟むように厚み50μmの層を形成した。実施例1として、このような構成の加圧ローラを作製した。
(実施例2)
上述した実施形態の加圧ローラ50において、(1)芯金51として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)弾性層52を構成する多孔質体を次のように作製した。密度1.04g/cm3の液状シリコーンゴムと、添加剤として塩化ナトリウム(NaCl)を23重量%添加した密度1.2g/cm3の混合溶液とを、体積比1:1で混ぜ、攪拌機において800rpmで攪拌してエマルション組成物を調製した。このエマルション組成物を金型に注入して、回転速度10000rpmの回転を30分間与えた。そして、100℃で1時間加熱する一次加熱及び230℃で4時間加熱する二次加熱を行った。これにより、全長380mm、外径φ37mm、厚さ6mmとした発泡シリコーンゴムチューブである多孔質体を得た。この多孔質体では、半径方向内側の部分52aについて比重0.58(空孔率40%)、気泡径φ30μm以下とされ、半径方向外側の部分52bについて比重0.41(空孔率60%)、径φ30μm〜50μmの気泡が全体の7割を占めるものとされている。また、外周面の硬度が32Hs(アスカーC)とされている。そして、上記多孔質体の内側に芯金51を挿入して固定するとともに、多孔質体の厚みが5mmとなるように削りだしてローラ形状に成形することで、芯金51の周囲に弾性層52を形成した。(3)表面離型層53として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層52の外周面を被覆した。(4)グリップ層54としてシリコーンゴムを用い、弾性層52の両端の外周面に、表面離型層53を挟むように厚み50μmの層を形成した。実施例2として、このような構成の加圧ローラを作製した。上記(1)、(3)、(4)については、実施例1と同一の構成である。
(実施例3)
上述した実施形態の加圧ローラ50において、(1)芯金51として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)弾性層52を構成する多孔質体を次のように作製した。密度1.04g/cm3の液状シリコーンゴムと、添加剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を48重量%添加した密度1.5g/cm3の混合溶液とを、体積比1:1で混ぜ、攪拌機において1500rpmで攪拌してエマルション組成物を調製した。このエマルション組成物を金型に注入して、回転速度30000rpmの回転を30分間与えた。そして、100℃で1時間加熱する一次加熱及び230℃で4時間加熱する二次加熱を行った。これにより、全長380mm、外径φ37mm、厚さ6mmとした発泡シリコーンゴムチューブである多孔質体を得た。この多孔質体では、半径方向内側の部分52aについて比重0.63(空孔率35%)、平均気泡径φ20μmとされ、半径方向外側の部分52bについて比重0.30(空孔率70%)、平均気泡径φ20μmとされている。また、外周面の硬度が33Hs(アスカーC)とされている。そして、上記多孔質体の内側に芯金51を挿入して固定するとともに、多孔質体の厚みが5mmとなるように削りだしてローラ形状に成形することで、芯金51の周囲に弾性層52を形成した。(3)表面離型層53として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層52の外周面を被覆した。(4)グリップ層54としてシリコーンゴムを用い、弾性層52の両端の外周面に、表面離型層53を挟むように厚み50μmの層を形成した。実施例3として、このような構成の加圧ローラを作製した。上記(1)、(3)、(4)については、実施例1と同一の構成である。
(実施例4)
上述した実施形態の加圧ローラ50において、(1)芯金51として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)弾性層52を構成する多孔質体を次のように作製した。密度1.04g/cm3の液状シリコーンゴムと、添加剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を48重量%添加した密度1.5g/cm3の混合溶液とを、体積比1:1で混ぜ、攪拌機において800rpmで攪拌してエマルション組成物を調製した。このエマルション組成物を金型に注入して、回転速度10000rpmの回転を15分間与えた。そして、100℃で1時間加熱する一次加熱及び230℃で4時間加熱する二次加熱を行った。これにより、全長380mm、外径φ37mm、厚さ6mmとした発泡シリコーンゴムチューブである多孔質体を得た。この多孔質体では、半径方向内側の部分52aについて比重0.61(空孔率35%)、気泡径φ30μm以下とされ、半径方向外側の部分52bについて比重0.34(空孔率65%)、径φ40μm〜70μmの気泡が全体の7割を占めるものとされている。また、外周面の硬度が32Hs(アスカーC)とされている。そして、上記多孔質体の内側に芯金51を挿入して固定するとともに、多孔質体の厚みが5mmとなるように削りだしてローラ形状に成形することで、芯金51の周囲に弾性層52を形成した。(3)表面離型層53として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層52の外周面を被覆した。(4)グリップ層54としてシリコーンゴムを用い、弾性層52の両端の外周面に、表面離型層53を挟むように厚み50μmの層を形成した。実施例4として、このような構成の加圧ローラを作製した。上記(1)、(3)、(4)については、実施例1と同一の構成である。
(比較例1)
(1)芯金として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)比重0.52(空孔率45%)、全長380mm、外径φ37mm、厚さ6mm、外周面の硬度が33Hs(アスカーC)である連続気泡型の水発泡シリコーンゴムチューブである多孔質体を作成した。この多孔質体の内側に芯金51を挿入して固定した。そして、多孔質体の厚みが5mmとなるように削りだしてローラ形状に成形することで、芯金51の周囲に弾性層を形成した。(3)表面離型層として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層の外周面を被覆した。(4)グリップ層としてシリコーンゴムを用い、弾性層の両端の外周面に、表面離型層を挟むように厚み50μmの層を形成した。比較例1として、このような構成の加圧ローラを作製した。上記(1)、(3)、(4)については、実施例1と同一の構成である。
(比較例2)
(1)芯金として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)比重0.50(空孔率48%)、全長380mm、外径φ37mm、厚さ6mm、外周面の硬度が33Hs(アスカーC)である連続気泡型の化学発泡シリコーンゴムチューブである多孔質体を作成した。この多孔質体の内側に芯金51を挿入して固定した。そして、多孔質体の厚みが5mmとなるように削りだしてローラ形状に成形することで、芯金の周囲に弾性層を形成した。(3)表面離型層として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層の外周面を被覆した。(4)グリップ層としてシリコーンゴムを用い、弾性層の両端の外周面に、表面離型層を挟むように厚み50μmの層を形成した。比較例2として、このような構成の加圧ローラを作製した。上記(1)、(3)、(4)については、実施例1と同一の構成である。
(比較例3)
(1)芯金として径φ25mmのSUM材(快削鋼)を用いた。(2)化学発泡シリコーンゴムで構成され、内層部分の比重が0.56(空孔率40%)、気泡径がφ40〜50μm、厚みが2.5mm、外層部分の比重が0.41(空孔率60%)、気泡径がφ40〜50μm、厚みが2.5mmである二層構造の弾性層を芯金の周囲に形成した。(3)表面離型層として厚みが30μm均一のPFAチューブを用いて弾性層の外周面を被覆した。(4)グリップ層としてシリコーンゴムを用い、弾性層の両端の外周面に、表面離型層53を挟むように厚み50μmの層を形成した。比較例3として、このような構成の加圧ローラを作製した。上記(1)、(3)、(4)については、実施例1と同一の構成である。
(耐久性試験)
上記実施例1〜4及び比較例1〜3の加圧ローラを外径φ40mmの加熱ローラと対向して配置するとともに、加圧ローラを、その弾性層が1.4mm圧縮されるように加熱ローラに押しつけて配置した。このとき、各加圧ローラにおいて、加圧ローラと加熱ローラとの間に形成されるニップ部における周方向の長さ(ニップ幅)は8mmであった。そして、加熱ローラを、その表面温度が160℃となるように加熱すると共に、加圧ローラを150rpmの回転速度で5秒間回転させた後1秒間停止する動作を300時間にわたって繰り返し実行した。そして、各加圧ローラの外周面の硬度低下を測定するとともに、各加圧ローラの弾性層の側面の状態を目視により確認して、以下の基準に基づき判定した。
○・・・試験開始時からの硬度低下が3%以下であり、かつ、弾性層の側面に破裂した気泡(破泡)が確認されない。
×・・・試験開始時からの硬度低下が3%超である、又は、弾性層の側面に破裂した気泡が確認された。
(柔軟性試験)
上記実施例1〜4及び比較例1〜3について、上記耐久性試験が終了した後(即ち、300時間経過後)のニップ幅の減少量を測定して、以下の基準に基づき判定した。
○・・・ニップ幅の減少量が2mm以下である。
×・・・ニップ幅の減少量が2mm超である。
(総合判定)
総合判定について、以下の基準に基づき判定した。
○・・・耐久性試験及び柔軟性試験の結果がともに良好(○)である。
×・・・耐久性試験及び柔軟性試験のうち少なくとも一方が不良(×)である。
表1に、上記実施例1〜4の構成を示し、表2に、上記比較例1〜3の構成を示し、表3に、各試験結果及び総合判定結果を示す。
Figure 2014178470
Figure 2014178470
Figure 2014178470
表3に示すように、実施例1、3については、300時間経過しても加圧ローラの外周面(即ち、弾性層)に顕著な硬度低下は発生せず、また、弾性層の側面に気泡の破裂は確認されなかった。実施例2、4についても同様に、300時間経過しても顕著な硬度低下は発生せず、また、弾性層の側面に気泡の破裂は確認されなかった。但し、弾性層の側面に、性能に影響がない程度のシワの発生が確認された。
一方、比較例1は、300時間経過しても弾性層の側面に気泡の破裂は確認されなかったが、顕著な硬度低下(8%以上)が発生した。比較例2は、300時間の経過により、顕著な硬度低下(22%)が発生し、さらに、弾性層の側面に気泡の破裂が確認された。比較例3は、300時間に満たない200時間の経過により、弾性層の側面に気泡の破裂が確認された。また、300時間の経過により、顕著な硬度低下(25%)が発生した。
つまり、いずれの実施例においても、比較例に対して耐久性が上回った。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3においては、300時間経過後のニップ幅が、7mmとなり、それぞれの減少量は1mmであった。つまり、実施例1〜4では、比較例1〜3において弾性層の劣化が生じる300時間を経過した時点でも、十分な柔軟性を備えていることが確認できた。
したがって、上述した検証結果からも、本発明のローラ体の一例である加圧ローラにおいて柔軟性と耐久性とを共に確保できるという効果を確認することが確認できた。
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成部
20 搬送ベルト
30 給紙機構
40 定着装置(定着部の一例)
41 定着ベルト(回転体及び加熱回転体の一例)
50 加圧ローラ(ローラ体の一例)
51 芯金
52 弾性層
52a 弾性層の半径方向内側の部分
52b 弾性層の半径方向外側の部分
53 表面離型層
54 グリップ層
100 画像形成装置
200 定着装置
211 定着ローラ(ローラ体の一例)
211a 芯金
211b 弾性層
211b1 弾性層の半径方向内側の部分
211b2 弾性層の半径方向外側の部分
215 加圧ローラ(回転体の一例)
N 定着ニップ部
S 用紙(シート材及びシート状の記録媒体の一例)
特開2005−24610号公報

Claims (10)

  1. 芯金と、前記芯金の周囲に設けられた多孔質構造の発泡シリコーンゴムからなる弾性層と、を有し、回転体に直接的又は間接的に押しつけられるローラ体において、
    前記弾性層が、水発泡シリコーンゴムを材料として構成され、
    前記弾性層における半径方向外側の部分の空孔率が、半径方向内側の部分の空孔率より大きくなっていることを特徴とするローラ体。
  2. 前記弾性層を切断したときに得られる断面に存在する気泡が0.1μm以上50μm以下の範囲の大きさであって、かつ、球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡が前記断面中の一辺が200μmの正方形領域において占める面積割合が60%以上70%以下であることを特徴とする請求項1に記載のローラ体。
  3. 前記弾性層の空孔率が、前記半径方向内側の部分から半径方向外側の部分にかけて次第に大きくなっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラ体。
  4. 前記弾性層が、単一の構成体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のローラ体。
  5. 前記弾性層が、液状シリコーンゴムと所定の液体とからなるエマルション組成物を材料として作製された水発泡シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のローラ体。
  6. 前記弾性層の外周面に重ねて設けられた表面離型層をさらに有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のローラ体。
  7. 芯金と、前記芯金の周囲に設けられた多孔質構造の発泡シリコーンゴムからなる弾性層と、を有し、回転体に直接的又は間接的に押しつけられるローラ体において、
    前記弾性層が、水発泡シリコーンゴムを材料として構成された単一の構成体であり、
    前記弾性層の空孔率が、半径方向内側の部分から半径方向外側の部分にかけて次第に大きくなっている
    ことを特徴とするローラ体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載されたローラ体を備えたことを特徴とする定着装置。
  9. シート状の記録媒体にトナー像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって前記記録媒体に形成されたトナー像を該記録媒体に定着させる定着部と、を少なくとも備えた画像形成装置において、
    前記定着部が、請求項8に記載された定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 芯金と、前記芯金の周囲に設けられた多孔質構造の発泡シリコーンゴムからなる弾性層と、を有し、回転体に直接的又は間接的に押しつけられるローラ体の製造方法であって、
    互いに比重の異なる液状シリコーンゴムと所定の液体とからなるエマルション組成物を調製する調製工程と、
    前記調製工程で調製された前記エマルション組成物を金型に注入し、前記金型に注入された前記エマルション組成物において前記液状シリコーンゴムと前記液体との混合比率が回転半径方向について傾斜するように、前記金型を回転させる遠心分離工程と、
    前記遠心分離工程で前記混合比率が遠心分離の回転半径方向について傾斜された前記エマルション組成物に含まれる前記液状シリコーンゴムを硬化させたのち水分を除去して、前記弾性層を構成する多孔質構造の水発泡シリコーンゴムからなる単一の構成体を形成する形成工程と、
    を含むことを特徴とするローラ体の製造方法。
JP2013052092A 2013-03-14 2013-03-14 ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法 Pending JP2014178470A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013052092A JP2014178470A (ja) 2013-03-14 2013-03-14 ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法
CN201410085218.1A CN104049506B (zh) 2013-03-14 2014-03-10 辊体、定影装置、图像形成装置以及辊体的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013052092A JP2014178470A (ja) 2013-03-14 2013-03-14 ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014178470A true JP2014178470A (ja) 2014-09-25

Family

ID=51502542

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013052092A Pending JP2014178470A (ja) 2013-03-14 2013-03-14 ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2014178470A (ja)
CN (1) CN104049506B (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6066011B1 (ja) * 2016-06-30 2017-01-25 富士ゼロックス株式会社 回転部材、定着装置、及び画像形成装置
JP2019008102A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 キヤノン株式会社 定着部材、これを用いた定着装置および画像形成装置、並びに定着部材の製造方法
JP2019174744A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 住友理工株式会社 定着部材

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6946780B2 (ja) * 2017-06-29 2021-10-06 株式会社リコー 定着ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
CN112110253B (zh) * 2020-09-23 2022-04-01 芜湖韩保光学新材料有限公司 一种保护膜生产加工用的压合装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001109232A (ja) * 1999-10-01 2001-04-20 Sharp Corp 導電性部材およびその製造方法
JP2007170473A (ja) * 2005-12-20 2007-07-05 Synztec Co Ltd スポンジロール及びその製造方法
JP2009276578A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Kyocera Mita Corp 定着装置及びそれを備えた画像形成装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09297512A (ja) * 1996-04-30 1997-11-18 Bridgestone Corp ローラ及びその製造方法
JP2005024610A (ja) * 2003-06-30 2005-01-27 Ricoh Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2006276538A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Kyocera Mita Corp 中間転写ベルトおよび画像形成装置
JP5109463B2 (ja) * 2006-09-05 2012-12-26 富士ゼロックス株式会社 転写ロール及び画像形成装置
JP5243061B2 (ja) * 2008-02-25 2013-07-24 株式会社ブリヂストン 画像形成装置用ローラーの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001109232A (ja) * 1999-10-01 2001-04-20 Sharp Corp 導電性部材およびその製造方法
JP2007170473A (ja) * 2005-12-20 2007-07-05 Synztec Co Ltd スポンジロール及びその製造方法
JP2009276578A (ja) * 2008-05-15 2009-11-26 Kyocera Mita Corp 定着装置及びそれを備えた画像形成装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6066011B1 (ja) * 2016-06-30 2017-01-25 富士ゼロックス株式会社 回転部材、定着装置、及び画像形成装置
JP2019008102A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 キヤノン株式会社 定着部材、これを用いた定着装置および画像形成装置、並びに定着部材の製造方法
JP2019174744A (ja) * 2018-03-29 2019-10-10 住友理工株式会社 定着部材
JP7063678B2 (ja) 2018-03-29 2022-05-09 住友理工株式会社 定着部材

Also Published As

Publication number Publication date
CN104049506B (zh) 2016-12-07
CN104049506A (zh) 2014-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5761064B2 (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
KR100408462B1 (ko) 가열 조립체, 화상 형성 장치, 및 실리콘 고무 스폰지와롤러의 제조 방법
JP2007206265A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6312544B2 (ja) ニップ部形成部材、画像加熱装置、及びニップ部形成部材の製造方法
JP2014178470A (ja) ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法
JP2012037874A (ja) 加圧ローラ、及びこの加圧ローラを用いた像加熱装置
US20090285610A1 (en) Fixing device and image forming apparatus using same
JP6881988B2 (ja) 電子写真用部材の製造方法
JP4528258B2 (ja) 画像形成装置
JP2017044847A (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置
JP2014238547A (ja) 加圧ロール、定着装置および画像形成装置
JP6303826B2 (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置
JP2014174535A (ja) 加圧ローラ、定着装置及び画像形成装置
JP2019008102A (ja) 定着部材、これを用いた定着装置および画像形成装置、並びに定着部材の製造方法
US11561495B2 (en) Pressing rotating member and production method thereof, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
JP2016161656A (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置
JP6946780B2 (ja) 定着ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
JP2010271394A (ja) 加圧部材、加圧部材の製造方法、定着装置及び画像形成装置
JP7374641B2 (ja) 定着装置用の加圧ローラ、定着装置、及び画像形成装置
CN110865527A (zh) 用于定影设备的加压辊、定影设备和成像设备
JP2017116804A (ja) 定着装置
JP2010286788A (ja) 定着部材、定着装置、及び画像形成装置
JP6658322B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2022186614A (ja) 加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
JP2012163829A (ja) 定着装置用ローラ、その製造方法、定着装置、及び、画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161031

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170106

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170314