JP2005024610A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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晃 進士
Masahiko Sato
雅彦 佐藤
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Abstract

【課題】ユーザーを長時間待たせることなく、定着装置における表面移動体やこれを押圧する押圧部材の圧縮歪に起因する画質劣化を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置6における2つの表面移動体である定着ローラ62と加圧ローラ63とのうち、加圧ローラ63の弾性層63cに、連続気泡体からなる多孔質弾性材料を用いた。これにより、長期に渡る運転停止で加圧ローラ63の弾性層63cに部分的な圧縮歪が生じたとしても、運転開始時に、それを迅速に復元させることができるようになった。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面移動する2つの表面移動体の当接によって形成したニップに記録体を挟み込んで、可視像をその記録体に定着せしめる定着装置、及びこれを用いる画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置において、トナー等の可視像形成物質によって記録紙等の記録体に形成した可視像を、定着装置によって記録体に定着せしめるものがある。かかる画像形成装置に採用される画像形成方式としては、種々のものが知られている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置に採用されているような、感光体等の潜像担持体上に形成した潜像を現像器によって可視像に現像する電子写真方式などが挙げられる。また例えば、特許文献2に記載の画像形成装置に採用されているような、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させた画像形成物質(本例ではトナー)を記録体に付着させて可視像を直接記録するいわゆる直接記録方式も知られている。何れの方式においても、記録体に形成した未定着の可視像を定着装置によって定着せしめることになる。
【0003】
定着装置に採用される定着方式としては、加熱方式、加圧方式、溶剤方式などによるものが知られている。何れの方式においても、表面移動する2つの表面移動体の当接によって形成したニップに記録体を挟み込んで定着処理を行うのが一般的である。例えば、特許文献1や特許文献2に記載の画像形成装置の定着装置は、何れも加熱方式と加圧方式とを併用した加熱加圧方式を実施するものであり、表面移動体たる定着(加熱)ローラと、同じく表面移動体たる加圧ローラとを有している。両ローラは、所定の圧力で互いに当接しながら、ニップでそれぞれ同方向に表面移動するように回転駆動される。そして、ニップに挟み込んだ記録体を両ローラの表面移動に伴って搬送する過程で、可視像たるトナー像を加圧しながら、定着ローラに内包されるハロゲンランプ等の熱源からの熱によって加圧して、記録体表面に定着させる。定着ローラの代わりに、無端移動せしめられながら加熱される定着ベルトが用いられる場合もある。この場合、定着ベルトと加圧ローラとが当接するニップでは、定着ベルトを張架する複数の張架ローラの1つであるバックアップローラが、定着ベルトをその裏面側(ループ内面側)から加圧ローラに向けて押圧する。加熱を行わない加圧方式単独の場合でも、ローラ対や、ローラとベルトとの当接によるニップに記録体を挟み込んで、加圧による定着処理を行うことが多い。また、溶剤方式では、ローラ対や、ローラとベルトとの当接によるニップに挟み込んだ記録体に対し、何れか一方(ローラ又はベルト)によって溶剤を塗布して定着処理を施すことが多い。
【0004】
このような2つの表面移動体の当接によって形成したニップに記録体を挟み込む定着方式においては、少なくとも何れか一方の表面移動体、あるいは、上記バックアップローラに、弾性材料を用いることが望ましい。表面移動体やバックアップローラを当接圧によって柔軟に弾性変形させることで、より表面移動方向に長いニップを形成して十分な定着処理時間を確保することができるからである。
【0005】
しかしながら、かかる構成では、弾性材料が用いられた表面移動体や押圧部材の圧縮歪に起因して、画質劣化を引き起こし易くなるという問題があった。具体的には、待機時や電源OFF時などにおいては、表面移動体や上記バックアップローラの駆動が長期間停止されるため、表面移動体や上記バックアップローラのニップ形成部が長期間に渡って弾性変形し続ける。すると、そのニップ形成部に圧縮歪が生ずる。この圧縮歪は、表面移動体等の駆動開始後に圧力のかからない条件下におかれたとしても、なかなか復元することができずにいる。そして、復元しないままに繰り返しニップを通過することで、ニップ圧を変動させて画質劣化を引き起こすのである。加熱加圧方式では、かかる圧縮歪によって画像に光沢ムラが発生してしまう。
【0006】
表面移動体や上記バックアップローラの駆動が開始されてしばらくすると、上記圧縮歪は徐々に回復してくるので、圧縮歪に起因する画質劣化は駆動開始初期に起こる。この画質劣化の発生を抑えるべく、駆動開始直後から、圧縮歪の回復に要する時間が経過するまで、作像を開始させないで定着装置を空運転させる対策が講じられることもある。しかしながら、このような対策では、ユーザーの待ち時間を長くしてしまうことになる。そして、加熱加圧方式を採用している画像形成装置においては、様々な工夫によってウォーミングアップ時間の短縮化を実現しても、それによるメリットが失われてしまうことになりかねない。具体的には、加熱加圧方式では、ニップでの熱量不足による定着不良を回避すべく、プリント命令を受けてから、定着ローラ等の表面温度を十分に昇温せしめるまでの間、作像を開始しないウォーミングアップ時間が設けられる。近年においては、ユーザーの利便性を向上させる目的で、このウォーミングアップ時間をできるだけ短縮するための様々な工夫がなされるようになってきている。ところが、上述のような空運転を行うと、ウォーミングアップよりも空運転の時間が長くなって、結果としてユーザーの待ち時間を短縮することができなかったり、却って長くしてしまったりするといった事態が起こり得る。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−288431号公報
【特許文献2】
特開2002−307737号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上述の圧縮歪について鋭意研究を行ったところ、次のようなことを見出した。即ち、加圧ローラやバックアップローラとして互いに異なる弾性材料からなる複数のものを用意し、それらについて回復時間を調べたところ、回復に長時間を要したものの大半は多孔質弾性材料製であった。この一方で、多孔質弾性材料製であっても、圧縮歪を迅速に回復させるものもあった。そして、両者の構造を比較したところ、回復に長時間を要する多孔質弾性材料が独立気泡体であったのに対し、迅速な回復を実現した多孔質弾性材料は連続気泡体であった。
【0009】
上記独立気泡体は、図1に示すように、内部に無数に存在する気泡Bがそれぞれ壁によって仕切られた独立した空間になっており、そこに空気を内包している。発泡スチロールが代表的な独立気泡体である。個々の気泡は完全に独立しているわけではく、オングストロームなどといったオーダーで見ると極小隙間によって繋がっていることが多い。独立気泡体が長期間に渡って部分的に弾性変形した場合、この極小隙間を通して気泡体の空気が弾性変形部から周囲の非変形部へと徐々に移動する。そして、この移動によって弾性変形部の気泡が殆どつぶれてしまうことで、圧縮歪が発生する。このような圧縮歪を回復させるためには、殆どつぶれてしまった気泡に十分量の空気を送り込む必要があるが、極小隙間を通してそれを実現するには、どうしても長時間を要してしまう。このため、独立気泡体からなる多孔質弾性材料を用いた加圧ローラやバックアップローラの圧縮歪がなかなか回復しなかったのである。
【0010】
一方、連続気泡体は、図2に示すように、内部に無数の気泡Bを有するものの、それらの大部分が孔によって繋がった連続構造になっている。連続気泡体が長期間に渡って部分的に弾性変形した場合にも、弾性変形部の気泡が殆どつぶれて圧縮歪が発生する。しかし、連続気泡体では、圧力から開放された弾性変形部において、空気が孔を通してつぶれた気泡の奥深くまで容易に送られるため、圧縮歪が迅速に回復するのである。
【0011】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような定着装置及びこれを用いる画像形成装置を提供することである。即ち、ユーザーを長時間待たせることなく、表面移動体や押圧部材の圧縮歪に起因する画質劣化を抑えることができる定着装置等である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、互いに当接してニップを形成しながら該ニップでそれぞれ同方向に表面移動するように駆動される2つの表面移動体を備え、表面に未定着の可視像が形成された記録体を該ニップに挟み込んで該可視像を該記録体に定着せしめる定着装置において、2つの上記表面移動体の少なくとも何れか一方、あるいは、その何れか一方を他方に向けて押圧する押圧部材、における少なくとも一部に、連続気泡体からなる多孔質弾性材料を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、2つの上記表面移動体の少なくとも何れか一方を加熱するための熱源を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の定着装置において、上記ニップにおける2つの上記表面移動体の食い込み量を0.8[mm]以上にし、且つ、上記ニップにおける圧力であるニップ圧を6[N/cm]以上にするように、2つの上記表面移動体を当接させたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の定着装置において、上記一方の表面移動体として、上記多孔質弾性材料からなる弾性層と、これの上に被覆された表面層とを有するものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの定着装置において、上記多孔質弾性材料として、空隙率が60[%]以上であるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、記録体に可視像を形成する可視像形成手段と、該記録体に可視像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、上記定着手段として、請求項1乃至5の何れかの定着装置を用いたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図3は、本プリンタの概略構成図である。同図において、潜像担持体であるドラム状の感光体1の周囲には、帯電手段2、図示しない露光手段、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段7、除電手段8などが配設されている。また、転写手段5の図中左側方には、定着装置6が配設されている。
【0014】
上記感光体1は、アルミ等の素管の表面に感光性を発揮する有機感光層が形成されたもので、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動される。このように回転駆動される感光体1の表面は、上記帯電手段2との対向位置にて、例えば後述のトナーの帯電極性と同極性に一様帯電せしめられる。帯電手段2としては、コロトロン等によって感光体1に対して非接触で帯電処理を施す帯電チャージャの他、回転駆動されながら帯電バイアスが印加される帯電ローラ等の回転部材を感光体1に接触又は近接させる回転部材方式のものを用いることができる。
【0015】
一様帯電せしめられた感光体1の表面は、パーソナルコンピューター等から送られてくる画像情報に基づいて図示しないレーザー発信手段を駆動する上記露光手段によるレーザー光Lの光走査によって静電潜像を担持する。この静電潜像は、感光体1の表面移動に伴って上記現像手段4との対向位置である現像領域を通過する際に、トナーが付着せしめられてトナー像に現像される。
【0016】
上記転写手段5は、上記現像領域よりもドラム回転方向下流側において、転写ローラを感光体1表面に当接させながら回転させて転写ニップを形成している。この転写ローラは、図示しない電源によってトナーとは逆極性の転写バイアスが印加されている。感光体1上で現像された上記トナー像は、感光体1の表面移動に伴って転写ニップに進入する。
【0017】
転写ニップの図中下方の図示しない領域には、レジストローラ対が配設されている。このレジストローラ対は、図示しない給紙手段から送られてくる転写紙をローラ間に挟み込んだ後、感光体1上のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで転写ニップに向けて送り出す。よって、転写ニップでは、感光体1上のトナー像が転写紙に重ね合わせながら押圧される。そして、上記転写バイアスが印加される転写ローラと、感光体1の静電潜像との間に形成される転写電界やニップ圧の影響を受けて、トナー像が感光体1表面から転写紙上に静電転写される。なお、転写手段5としては、図示のような転写ローラ方式のものの他、転写ベルト方式のものや、転写チャージャ方式のものを用いることもできる。
【0018】
このようにしてトナー像が転写された転写紙は、感光体1や転写ローラの回転に伴って転写ニップを出た後、上記定着装置6に送られる。定着装置6は、図示しないハロゲンランプ等の発熱手段を内包する定着ローラと、これに当接しながら回転する加圧ローラとによって定着ニップを形成しており、送り込まれて来た転写紙をこの定着ニップに挟み込む。そして、定着ニップ内における加熱や加圧の影響によってトナー像を転写紙上に定着せしめる。
【0019】
上記転写ニップを通過した感光体1表面に付着している転写残トナーは、上記クリーニング手段7によってドラム表面から除去される。この除去によってクリーニングが施された感光体1表面は、除電手段8によって残留電荷が除去された後、上記帯電手段2によって一様帯電せしめられて初期化される。
【0020】
以上の構成を備える本プリンタでは、感光体1、帯電手段2、上記露光手段、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段7、除電手段8などにより、記録体たる転写紙に可視像たるトナー像を形成する可視像形成手段が構成されている。
【0021】
図4は、上記定着装置6を示す拡大構成図である。同図において、定着装置6は、ケーシング61、定着ローラ62、加圧ローラ63、付勢バネ64、分離爪65、排紙ガイド板66、図示しない表面温度検知センサなどを備えている。表面移動体たる定着ローラ62と加圧ローラ63とは、互いに当接して定着ニップを形成しながらニップでそれぞれ同方向に表面移動するように回転駆動される。
【0022】
定着ローラ62は、アルミニウムや鉄等の金属製の素管に、トナー離型性に優れた材料からなる離型促進層が被覆されたローラ部62aと、これに内包されたヒータ62bとを有している。ローラ部62aの表面層である離型促進層を構成するトナー離型性に優れた材料としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられる。ローラ部62aは、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられる。必要に応じて、ローラ部62a内に、補強用のリブを設けてもよい。ヒータ62bは、回転駆動せしめられるローラ部62aに連れ回らないように固定され、ローラ部62aをその内部から加熱する。同図では、ローラ部62a内周面に対して非接触に配設されて主に輻射による加熱を行うものを示しているが、接触加熱させるようにしてもよい。また、ローラ部62aを外部から加熱させるようにしてもよい。ヒータ62bとしては、ハロゲンランプ、ニクロム線ヒータ、セラミックヒータなどを用いることができる。
【0023】
上記表面温度検知センサは、定着ローラ62の表面温度を検知して、検知結果に応じた信号を出力する。この信号は、図示しない温度制御部におくられて、ヒータ62bへの電源のON/OFF制御に利用される。具体的には、温度制御部は、表面温度検知センサからの信号に基づいて、定着ローラ62の表面温度を所定範囲内に維持するように、ヒータ62bへの電源をON/OFF制御する。これにより、定着ローラ62の表面温度が、例えば140〜160[℃]に保たれる。但し、プリンタの主電源のOFF時や、プリンタが待機状態であるときには、表面温度にかかわらず、ヒータ62bへの電源供給が停止される。よって、主電源立ち上げ直後や、長期間の待機状態からのプリントスタート時には、ほぼ室温になっている定着ローラ62の表面温度を加熱によって所定レベルまで昇温させるためのウォーミングアップが必要になる。
【0024】
上記加圧ローラ63は、アルミニウムや鉄等の金属芯金63bと、これの両端面から延びる回転軸63aと、金属芯金63bに被覆された耐熱性且つ弾性に優れた材料からなる肉厚の弾性層63cとを有している。そして、回転軸63aに接続された付勢バネ64による付勢を受けて定着ローラ62に圧接せしめられながら、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される。
【0025】
図示しない転写ニップでトナー像が静電転写せしめられた転写紙Pは、その像転写面を定着ローラ62に接触させる姿勢で、定着装置6の定着ニップに挟まれる。すると、定着ローラ62表面に直接接触するトナー像が定着ローラ62からの熱によって軟化して、転写紙Pの紙繊維に馴染んでいく。定着ニップを通過した転写紙Pは、軟化したトナーの発揮する接着力によって定着ローラ62に連れ回るように移動する。分離爪65は、定着ローラ62から転写紙Pを分離しながら、定着装置出口に向けて案内する役割を担っている。定着装置出口に至った転写紙Pは、排紙ガイド板66を経由した後、定着装置6の側方に配設された排紙コロ対や排紙ローラを有する排紙装置9に送られる。そして、機外へと排出される。
【0026】
本発明者らは、以上の構成と同様のプリンタ試験機を用いて、以下に説明する実験1及び実験2を行った。
[実験1]
定着ローラ62としては、直径40[mm]で、ローラ部62aの厚みが0.4[mm]のものを用いた。また、加圧ローラ63としては、金属芯金63bに、独立気泡体たる単泡ゴムからなる弾性層63cを被覆し、更にその上にPFAチューブからなる表面層を設けたものを用いた。全体の直径は40[mm]で、硬度はアスカーCで42[Hs]である。なお、以下、かかる構成の加圧ローラ63を「単泡ゴム加圧ローラ」という。
【0027】
付勢バネ64として、定着ニップにおける面圧を4[N/cm]にする付勢力のものをセットした。そして、主電源をOFFにして24時間後放置した後、電源を投入してから20秒後に画像をプリントアウトした。次に、付勢バネ64を6[N/cm]の面圧にするものに取り替えて、同様にして24時間後に画像をプリントアウトした。また、8[N/cm]の面圧における画像についても、同様にしてプリントアウトした。そして、得られた3種類のプリントアウト画像の光沢性について、複数の被験者によって光沢ムラなし(○)、光沢ムラややあり(△)、光沢ムラ(×)の3段階で評価した。なお、本プリンタ試験機におけるウォーミングアップ時間は、室温にもよるが、概ね10〜20秒程度である。実験室の質問については、10秒程度で終了する25[℃]以上に保った。
【0028】
実験結果は、次に列記する通りであった。
・面圧4[N/cm]で光沢ムラなし(○)
・面圧6[N/cm]で光沢ムラややあり(△)
・面圧8[N/cm]で光沢ムラなし(×)
【0029】
定着ニップの面圧を6[N/cm]以上にすると、光沢ムラが起こり始めたのである。画像の光沢ムラは、24時間持続して押圧されたことによる加圧ローラ63の弾性層63cの部分的な圧縮歪によって起こっている。電源投入から定着開始までの間(20秒+作像に要した時間)に圧縮歪が十分に回復していれば、光沢ムラは起こらない。6[N/cm]以上では、電源投入から定着開始までの間に圧縮歪を回復させることができなくなっているのである。よって、上述した構成の「単泡ゴム加圧ローラ」を用いる場合には、面圧を4[N/cm]以下にすれば光沢ムラを抑えることができるのであるが、4[N/cm]以下では画像に部分的な定着不良が認められた。面圧を弱めたことにより、弾性変形による定着ニップ長さを小さくして、十分な定着時間が確保できなくなったからである。本プリンタ試験機のように、定着ローラ62として比較的小径のものを用いる場合には、定着ニップ長さを十分に確保すべく、定着ニップ圧をある程度高くする必要がある。定着ローラ62として小径のものを用いているのは、ウォーミングアップ時間の短縮化や省エネルギー化を図るためである。小径であることに起因して熱容量の比較的小さな定着ローラ62を用いることで、ウォーミングアップ時間の短縮化や省エネルギー化を図ることができる。比較的大径の定着ローラ62を用いれば、定着ニップ圧を高く設定しなくても(6[N/cm]以上)、十分な定着ニップ長さを確保することができる。しかし、そうすると、定着ローラ62の熱容量の増大によって温度立ち上がりを遅くしてしまうので、ウォーミングアップ時間を長くしてしまう。
【0030】
なお、6[N/cm]のときにおける定着ローラ62の加圧ローラ63への食い込み量は0.8[mm]であった。この食い込み量とは、ニップ部で高硬度のローラがより低硬度のローラに食い込む量のことである。
【0031】
[実験2]
実験1と同じ定着ローラ62と、「単泡ゴム加圧ローラ」とを所定の面圧で当接させてセットした後、2週間放置した。そして、電源投入から15秒経過した時点で画像のプリントアウトを行った。同様にして、2週間放置後、電源投入から25秒、35秒経過後にそれぞれ画像をプリントアウトした。
【0032】
次に、「単泡ゴム加圧ローラ」を、「連泡ゴム加圧ローラ」に交換した。これは、弾性層63cの材料として、単泡ゴムの代わりに、連続気泡体たる連泡ゴム(連泡シリコンゴム)を用いた加圧ローラ63である。全体の直径、硬度は、「単泡ゴム加圧ローラ」と同様に40[mm]、42[Hs]である。かかる「連泡ゴム加圧ローラ」を用いて、「単泡ゴム加圧ローラ」のときと同様のプリントアウトを行った。そして、それぞれのプリントアウト画像の光沢性を評価した。結果を次の表1に示す。
【表1】
Figure 2005024610
【0033】
「連泡ゴム加圧ローラ」を用いると、2週間という長期間の持続的且つ部分的な弾性層(63c)の圧縮歪でも迅速に回復させて、光沢ムラのない画像にし得ることがわかる。そこで、本実施形態に係るプリンタにおいては、加圧ローラ63として、「連泡ゴム加圧ローラ」を用いている。また、ニップにおける定着ローラ62の加圧ローラ63に対する食い込み量を0.8[mm]以上にし、且つ、ニップ圧を6[N/cm]以上にしている。
【0034】
弾性層(63c)に使用可能な連続気泡体としては、「発泡・熱可塑性ポリウレタン」、「脱炭カル・熱可塑性ポリウレタン」、「湿式焼結・熱可塑性ポリウレタン」、「脱炭カル・ポリオレフィン」、「nbrゴムスポンジ」、「化学発泡・熱可塑性プラスチック」、「ラテックスの機械発泡体ゴムスポンジ」、「塩ビペーストの機械発泡体」などが挙げられる。
【0035】
上記発泡・熱可塑性ポリウレタンは、メートル角の大きなブロックを発泡成形後、爆発力で、単泡体の気泡の壁を破り連泡体にした材料である。後工程でスライス加工して厚みを調整した後、カッティング、打ち抜き等によって所望の形状にすることができる。また、圧縮して、高密度の連泡体にすることもできる。
【0036】
上記脱炭カル・熱可塑性ポリウレタンは、ポリウレタンに炭酸カルシュウムの微粉末を練り込んだ材料を射出成形した後、成形品を塩酸水中に浸漬して、粉末炭酸カルシュウムを分解溶出させた材料である。
【0037】
上記湿式焼結・熱可塑性ポリウレタンは、非常に微少で均一な連泡体である。です。製法の詳細は不明(特許が見当たらない)ですが、ウレタン粉末の表面を溶剤で溶かして融着させる湿式焼結によって製造することができる。
【0038】
上記脱炭カル・ポリオレフィンは、ポリウレタンにポリオレフィンの微粉末を練り込んだ材料を射出成形した後、成形品を塩酸水中に浸漬して、ポリオレフィンを分解溶出させた材料である。
【0039】
上記nbrゴムスポンジは、ゴムに塩を練り込んで成形加硫した後、水中で塩を溶出して得た材料である。脱塩法スポンジと呼ばれることがある。
【0040】
上記化学発泡・熱可塑性プラスチックは、樹脂に予め発泡剤を添加しておき、発泡成形後に、物理的に気泡の壁を破って得た材料である。押し出し成形、プレス成形法によって成型することができる。
【0041】
上記「ラテックスの機械発泡体ゴムスポンジ」は、ソフトクリームを作るような機械を使用して連続的にゴムラテックスに空気を吹き込み、高速攪拌して単泡体を型に流し込んでゲル化させた後、温浴加硫させて得た材料である。ゲル化時の材料の収縮力によって気泡の壁にクラックが入って連泡体になる。
【0042】
上記「塩ビペーストの機械発泡体」は、材料として塩化ビニールを用いる以外は、「ラテックスの機械発泡体ゴムスポンジ」と同様にして得られる材料である。成形後オーブンで熱を掛けてゲル化固化させることで、その時気泡の壁に存在する揮発成分を気化させ、その跡が微細な孔として残ることで連泡体となる。
【0043】
「連泡ゴム加圧ローラ」としては、実験2で用いたもののように、弾性層63cに表面層(実験2ではPFAチューブ)を被覆したものを用いることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、連続気泡体(連泡体)からなる弾性層63cの表面は、無数の気泡が露出していることでかなり粗くなっている。このような粗い表面の弾性層63cを表面層として兼用してしまうと、トナー像を軟化させる定着ニップにて、その微妙な凹凸形状をトナー像表面に転像してしまう。そこで、弾性層63cの上に、表面平滑性に優れた表面層を被覆して、かかる転像を抑えるのである。なお、上述の転像は、加圧ローラ63を定着ニップでトナー像に直接接触させる場合に更に顕著に現れる。本プリンタは、加圧ローラ63を定着ニップで転写紙Pのトナー像非転写面に接触させる構成であるが、転写紙Pの両面にトナー像を転写してから定着せしめる構成では、加圧ローラ63をトナー像に直接接触させることになる。よって、両面転写を採用している場合には、弾性層63c上の表面層によって上述の転像による画質劣化(粒状性の悪化)を特に有効に抑えることができる。また、表面層の材料として、実験2で用いたPFAチューブのようなトナー離型性に優れたものを用いることで、加圧ローラ63へのトナーオフセットも抑えることができる。
【0044】
弾性層63cに被覆する表面層については、塗膜等によって形成するのではなく、表面層の材料となるチューブを熱収縮させて形成することが望ましい。チューブの熱収縮によって形成された表面層は、塗膜によって形成されたものに比べ、自在に変形する弾性層63cに追従して変形しても、ひび割れを生じ難いからである。なお、連続気泡体は、厚み方向だけではく、長さ方向にも良好な通気性を発揮する。よって、連続発泡体からなる弾性層63cの上に表面層を設けても、ローラ軸線方向の通気によって圧縮歪を迅速に回復させることができる。
【0045】
本発明者らは、上述の実験2の後に「単泡ゴム加圧ローラ」を観察したところ、ローラ軸線方向に延びる多数の皺が表面層のPFAチューブに形成されていることを発見した。この皺は、定着ニップを繰り返し通過することで徐々に疲労し、やがて破れてしまう可能性がある。また、定着ニップ内における皺の転像によって画質を低下させてしまうおそれもある。一方、「連泡ゴム加圧ローラ」の表面層には、このような皺が認められなかった。そこで、この原因について鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかった。即ち、「単泡ゴム加圧ローラ」の場合、図5に示すように、弾性層63cが定着ニップで厚み方向に押圧されて圧縮されると、その厚み方向の体積減少分を補うように、定着ニップ前後で弾性層63cが大きく盛り上がる。そして、この盛り上がりによって、表面層63dに皺が発生していたのである。これに対し、「連泡ゴム加圧ローラ」の場合には、図6に示すように、定着ニップ前後における弾性層63cの盛り上がりが殆ど起こらない。これは、定着ニップで弾性層63cが厚み方向に圧縮される際、圧縮部内の気泡が非圧縮部に逃げることでその体積の減少分が補われるためである。
【0046】
「連泡ゴム加圧ローラ」の弾性層63cに用いる連続発泡体としては、空隙率60[%]以上のものを用いることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、ウォーミングアップ時間は、定着ローラ62から加圧ローラ63への熱伝導量が多くなるほど、余計にかかってしまう。換言すれば、かかる熱伝導量を少なくするほど、ウォーミングアップ時間を短くすることができる。「連泡ゴム加圧ローラ」は、この熱伝導量を少なくするのに適した構造になっている。具体的には、熱伝導率の極めて低い空気を多量に含む肉厚の弾性層63cの上に、非常に薄くて熱容量の小さな表面層63dが存在している。このような構造では、定着ローラ62からの熱が、熱容量の小さな表面層63dに伝わるものの、肉厚の弾性層63cには伝わり難い。よって、上述の熱伝導量を非常に少なくすることができる。但し、弾性層63cの空隙率が60[%]未満であると、表面層63dから弾性層63cへの断熱効果が良好に発揮されずに、熱伝導量が急激に増加し始めてしまう。
【0047】
図7は、本プリンタにおける定着装置(6)の変形例装置600を示す拡大構成図である。この変形例装置600では、互いに当接してニップを形成しながら表面移動する2つの表面移動体として、定着ベルト607と加圧ローラ603とを用いている。定着ベルト607は、ニッケルやポリイミド等からなる無端状のベルト基体のおもて面側(ループ外面側)に、弾性層や表面層が被覆されたものである。弾性層の材料としてはシリコン等が用いられる。また、表面層の材料としては、トナー離型性に優れたPFAやPTFE等が用いられる。
【0048】
かかる構成の定着ベルト607は、図中反時計回りに回転駆動せしめられる駆動ローラ608と、熱源を内包する加熱ローラ602とによって張架されながら、駆動ローラ608の回転に伴って図中反時計回りに無端移動する。そして、無端移動する過程において、加熱ローラ602による張架位置で加熱された後、駆動ローラ608による張架位置の中央で定着ニップに進入する。
【0049】
加圧ローラ603は、アルミニウムや鉄等からなる金属芯金上に、耐熱性に優れたシリコンゴム等からなる弾性層が設けられ、その上に更にPFAやPTFE等のトナー離型性に優れた表面層が被覆されたものである。そして、その回転軸に接続された付勢バネ604による付勢を受けて、定着ベルト607のおもて面に圧接せしめられながら、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される。
【0050】
駆動ローラ608は、アルミニウムや鉄等の金属芯金と、これに被覆された耐熱性且つ弾性に優れた材料からなる肉厚の弾性層とを有している。そして、加圧ローラ603との間に定着ベルト607を挟み込みながら、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転駆動される。加圧ローラ603が付勢バネ604の付勢を受けて定着ベルト607を押圧すると、加圧ローラ603との間に定着ベルト607を挟んでいる駆動ローラ608は、定着ベルト607を加圧ローラ603に押し返すように押圧する。よって、駆動ローラ608は、一方の表面移動体である定着ベルト607を、他方の表面移動体である加圧ローラ603に向けて押圧する押圧部材として機能している。なお、駆動ローラ608は、加圧ローラ603よりも低硬度に構成されている。よって、定着ニップでは、加圧ローラ603が定着ベルト607を介して駆動ローラ608に食い込むことになる。
【0051】
定着ベルト607に対しては、ベルトにテンションを与えるためのテンションローラを裏面に当接させたり、おもて面にオイル塗布ローラを当接させたりしてもよい。また、定着ベルト607を加熱する手段として、ベルト内に設けた発熱体を電磁誘導によって発熱させるものや、ベルトを輻射によって加熱するものなどを用いてもよい。
【0052】
本発明者らは、このような変形例装置600と同様の構成の定着試験機をプリンタ試験機にセットした。そして、以下に説明する実験を行った。
[実験3]
加圧ローラ603として、シリコンゴムからなる弾性層を有し、直径40[mm]、アスカーC硬度78[Hs]のものを用いた。また、駆動ローラ608として、金属製芯金に単泡ゴムからなる弾性層63cを被覆し、更にその上にPFAチューブからなる表面層を設けたものを用いた。全体の直径は40[mm]で、硬度はアスカーCで42[Hs]である。なお、以下、かかる構成の駆動ローラ608を「単泡ゴム駆動ローラ」という。
【0053】
付勢バネ604として、定着ニップにおける面圧を4[N/cm]にする付勢力のものをセットした。そして、主電源をOFFにして24時間後放置した後、電源を投入してから20秒後に画像をプリントアウトした。次に、付勢バネ604を6[N/cm]の面圧にするものに取り替えて、同様にして24時間後に画像をプリントアウトした。また、8[N/cm]の面圧における画像についても、同様にしてプリントアウトした。そして、得られた3種類のプリントアウト画像の光沢性について、複数の被験者によって光沢ムラなし(○)、光沢ムラややあり(△)、光沢ムラ(×)の3段階で評価した。
【0054】
実験結果は、次に列記するように、実験1と全く同じになった。
・面圧4[N/cm]で光沢ムラなし(○)
・面圧6[N/cm]で光沢ムラややあり(△)
・面圧8[N/cm]で光沢ムラなし(×)
【0055】
[実験4]
実験3と同じ加圧ローラ604と、定着ベルト607とを所定の面圧で当接させてセットした後、2週間放置した。そして、電源投入から15秒経過した時点で画像のプリントアウトを行った。同様にして、2週間放置後、電源投入から25秒、35秒経過後にそれぞれ画像をプリントアウトした。
【0056】
次に、「単泡ゴム駆動ローラ」を、「連泡ゴム駆動ローラ」に交換した。これは、弾性層の材料として、単泡ゴムの代わりに、連続気泡体たる連泡ゴム(連泡シリコンゴム)を用いた駆動ローラ608である。全体の直径、硬度は、「単泡ゴム駆動ローラ」と同様に40[mm]、42[Hs]である。かかる「連泡ゴム駆動ローラ」を用いて、「単泡ゴム駆動ローラ」のときと同様のプリントアウトを行った。そして、それぞれのプリントアウト画像の光沢性を評価した。結果は、次の表2に示すように、実験2と全く同じになった。
【表2】
Figure 2005024610
【0057】
なお、これまで、電子写真方式のプリンタに本発明を適用した例について説明したが、直接記録方式のプリンタにも、本発明の適用が可能である。
【0058】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、2つの表面移動体たる定着ローラ62及び加圧ローラ63のうち、何れか一方である加圧ローラ63の弾性層63cに、連続気泡体たる連泡シリコンゴムからなる多孔質弾性材料を用いている。かかる弾性層63cを有する加圧ローラ63は、長期間に渡る運転停止によって部分的な圧縮歪を生じたとしても、連続気泡体の良好な通気性によって運転再開時にその圧縮歪を速やかに回復させる。よって、たとえ圧縮歪を回復させるために運転再開時に空運転を実施する場合でも、僅かな時間の空運転で足りるので、ユーザーを長時間待たせることなく、表面移動体たる加圧ローラ63の圧縮歪に起因する画質劣化を抑えることができる。
【0059】
また、変形例装置600を搭載したプリンタにおいては、2つの表面移動体たる加圧ローラ603及び定着ベルト607のうち、何れか一方である定着ベルト607を他方の加圧ローラ603に向けて押圧する押圧部材たる駆動ローラ608の弾性層に、連続気泡体たる連泡シリコンゴムからなる多孔質弾性材料を用いている。かかる弾性層を有する駆動ローラ608は、長期間に渡る運転停止によって部分的な圧縮歪を生じたとしても、連続気泡体の良好な通気性によって運転再開時にその圧縮歪を速やかに回復させる。よって、たとえ圧縮歪を回復させるために運転再開時に空運転を実施する場合でも、僅かな時間の空運転で足りるので、ユーザーを長時間待たせることなく、押圧部材たる駆動ローラ608の圧縮歪に起因する画質劣化を抑えることができる。
【0060】
また、実施形態に係るプリンタや、変形例装置600を搭載したプリンタにおいては、2つの表面移動体の少なくとも何れか一方である定着ローラ62や定着ベルト607を加熱するための熱源を設けている。かかる構成では、定着ニップでトナー像を加熱しながら加圧して加熱加圧方式の定着処理を行うことができる。そして、圧縮歪に起因して加熱加圧方式で発生してしまう画像の光沢ムラを抑えることができる。
【0061】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、定着ニップにおける定着ローラ62の加圧ローラ63への食い込み量を0.8[mm]以上にし、且つ、ニップ圧を6[N/cm]以上にしている。かかる構成では、定着ローラ62として、40[mm]程度の小径のものを用いてウォーミングアップ時間の短縮化を図り、且つ、6[N/cm]以上の比較的高いニップ圧をかけた定着ニップの増大化によって定着不良の発生を抑える場合に、圧縮歪の回復のための空運転時間をウォーミングアップ時間よりも長くして後者の時間を短縮した効果が失われてしまうといった事態を抑えることができる。
【0062】
また、一方の表面移動体である加圧ローラ63として、連続気泡体の多孔質弾性材料からなる弾性層63cと、これの上に被覆された表面層63dとを有するものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、弾性層63cの粗い表面形状を定着ニップでトナー像に転像してしまうことによる画像の乱れを抑えることができる。
【0063】
また、弾性層63cに用いる連続気泡体の多孔質弾性材料として、空隙率が60[%]以上であるものを用いているので、既に述べたように、定着ローラ62から加圧ローラ63への熱伝導を有効に抑えて、ウォーミングアップ時間の短縮化や省エネルギー化を図ることができる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1乃至6の発明によれば、ユーザーを長時間待たせることなく、表面移動体や押圧部材の圧縮歪に起因する画質劣化を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】独立気泡体からなる多孔質弾性材料を示す模式図。
【図2】連続気泡体からなる多孔質弾性材料を示す模式図。
【図3】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図4】同プリンタの定着装置を示す拡大構成図。
【図5】定着ニップを形成している単泡ゴム加圧ローラと定着ローラとを示す部分断面図。
【図6】同プリンタにおける連泡ゴム加圧ローラと定着ローラとを示す部分断面図。
【図7】同定着装置の変形例装置を示す拡大構成図。
【符号の説明】
6 定着装置
62 定着ローラ(他方の表面移動体)
62b ヒータ(熱源)
63 加圧ローラ(一方の表面移動体)
63c 弾性層(一方の表面移動体の一部)
63d 表面層
600 変形例装置(定着装置)
603 加圧ローラ(他方の表面移動体)
607 定着ベルト(一方の表面移動体)
608 駆動ローラ(押圧部材)
P 転写紙(記録体)

Claims (6)

  1. 互いに当接してニップを形成しながら該ニップでそれぞれ同方向に表面移動するように駆動される2つの表面移動体を備え、表面に未定着の可視像が形成された記録体を該ニップに挟み込んで該可視像を該記録体に定着せしめる定着装置において、
    2つの上記表面移動体の少なくとも何れか一方、あるいは、その何れか一方を他方に向けて押圧する押圧部材、における少なくとも一部に、連続気泡体からなる多孔質弾性材料を用いたことを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    2つの上記表面移動体の少なくとも何れか一方を加熱するための熱源を設けたことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項2の定着装置において、
    上記ニップにおける2つの上記表面移動体の食い込み量を0.8[mm]以上にし、且つ、上記ニップにおける圧力であるニップ圧を6[N/cm]以上にするように、2つの上記表面移動体を当接させたことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項2又は3の定着装置において、
    上記一方の表面移動体として、上記多孔質弾性材料からなる弾性層と、これの上に被覆された表面層とを有するものを用いたことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかの定着装置において、
    上記多孔質弾性材料として、空隙率が60[%]以上であるものを用いたことを特徴とする定着装置。
  6. 記録体に可視像を形成する可視像形成手段と、該記録体に可視像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、
    上記定着手段として、請求項1乃至5の何れかの定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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