JP2007212614A - 定着装置およびこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】設計上の自由度を大きくし、状況に応じた最適の仕様を選択するのに役立つようにする。
【解決手段】加熱部材がハロゲンヒータ33の内装された加熱ローラ30と、加熱ローラ30と対向配置された対向部材としての定着ローラ40と、加熱ローラ30および定着ローラ40に張設された定着ベルト50とから構成され、加圧部材は、対向部材に対向配置された加圧ローラ60によって構成され、ニップ部Nにおける定着ローラ40の発泡筒体42には、用紙Pの移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層43が設けられ、発泡筒体42は、内部に連続気泡が形成されてなる発泡体によって形成されている。
【選択図】図2
【解決手段】加熱部材がハロゲンヒータ33の内装された加熱ローラ30と、加熱ローラ30と対向配置された対向部材としての定着ローラ40と、加熱ローラ30および定着ローラ40に張設された定着ベルト50とから構成され、加圧部材は、対向部材に対向配置された加圧ローラ60によって構成され、ニップ部Nにおける定着ローラ40の発泡筒体42には、用紙Pの移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層43が設けられ、発泡筒体42は、内部に連続気泡が形成されてなる発泡体によって形成されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、画像形成装置において転写材に転写されたトナー像を当該転写材へ定着させるべく所定の定着処理を施すように構成された定着装置およびこの定着装置を備えた画像形成装置に関するものである。
従来、特許文献1に記載されているような定着装置が知られている。この定着装置は、画像形成装置における画像形成部の直下流側に設けられ、画像形成部で用紙(転写材)に転写されたトナー像を当該用紙に対し加熱により定着させる、いわゆる定着処理を施すようになされている。かかる定着装置は、内部に熱源を備えた加熱ローラと、この加熱ローラに対向配置された定着ローラと、これら定着ローラおよび加熱ローラ間に張設された定着ベルトとを備えているとともに、当該定着ベルトを介して前記定着ローラに押圧当接された加圧ローラが設けられている。
そして、軸心回りに回転している加圧ローラと、加熱ローラおよび定着ローラ間で周回している定着ベルトとの間に形成されたニップ部に向けて転写処理済みの用紙を供給することにより、ニップ部を通過する用紙に対し定着ベルトから熱を供給することによってトナーを溶融させ、溶融トナーの用紙表面への固着によって定着処理が施されるようになっている。
前記定着ベルトは、薄いニッケル製の芯材の表面側にシリコンゴム製の剥離層が積層されることにより形成され、これによって定着処理後の転写材を定着ベルトから良好に剥離し得るようになされている。また、前記定着ローラは、表層がスポンジ状の断熱材によって形成され、このスポンジ状の断熱材のニップ部における弾性変形でニップ部下流直後位置に小円弧形成部が形成されるようにし、これによる定着ベルトの膨出で定着処理後の用紙の定着ベルトからの剥離性がさらに良好になるようになされている。
ところで、定着ローラの表層が、独立気泡によってスポンジ状になっている場合には、定着ローラが定着ベルトからの伝熱により加熱されることにより独立気泡が膨張して破泡することがあり、かかる破泡が各独立気泡に広がると、定着ローラの表層は減容変形してしまうため、この減容変形が定着ベルトを介してニップ部に影響を与え、用紙に対して均一かつ適正なニップが行われなくなる。そして、用紙が適正にニップされなくなくなると、用紙に対する定着ベルトからの伝熱状態にバラツキが生じ、これによって用紙に対し均一な定着処理を施すことができなくなり、画像不良が生じる等の不都合が起こる。
かかる不都合を解消するものとして、特許文献2には、円筒状芯材の外周に連続気泡を有するスポンジ状のシリコンゴムを同心で積層してなる定着処理用の加圧ローラが記載されている。使用されるスポンジ状シリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに水と所定の添加剤と触媒とを混入し、加熱することによる水の蒸発で連続気泡を形成させることによって得られる、いわゆる水発泡シリコンゴムである。
また、特許文献3にも、円筒状芯金の外周に連続気泡を有するスポンジ状シリコンゴムを同心で積層してなる定着処理用の加圧ローラが記載されている。但し、特許文献3のスポンジ状シリコンゴムは、液状シリコンゴム原料にマイクロバルーン(直径が1〜50μmの熱可塑性樹脂製の外殻内に揮発性物質を密封した微小中空球体。マイクロカプセルともいう。)と所定の添加剤とを混入し、加熱することによるマイクロバルーン内の揮発性物質の揮発で外殻を破壊させることによって得られる連続気泡を備えた、いわゆるマイクロバルーンシリコンゴムが使用されている。
そして、特許文献2および3のスポンジ状シリコンゴムは、いずれも連続気泡を備えているため、定着処理中の加熱で加圧ローラが昇温することにより連続気泡中の空気が膨張しても外部に導出され、従って、気泡が破裂して加圧ローラが変形するような不都合は生じない。
特開平11−282293号公報
特開2004−70159号公報
特開2002−70838号公報
しかしながら、特許文献2および3に記載の定着装置にあっては、定着ローラに対向配置された加圧ローラ側にのみ連続気泡を備えたスポンジ状シリコンゴムが採用されているが、熱変形を起こさない優れた特性を有する連続気泡を備えたスポンジ状シリコンゴムを加圧ローラにのみ適用していたのでは適用範囲が狭く、定着装置の設計上の自由度を小さくしてしまうという問題点が存在した。
そこで、本発明は、加圧ローラ以外の部材に連続気泡を備えたスポンジ状シリコンゴムを適用可能とし、これにより定着処理におけるスポンジ状シリコンゴムの適用範囲の拡大を図ることを可能として設計上の自由度を大きくし、状況に応じた最適の仕様を選択するのに役立つ定着装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明(定着装置)は、トナー像が転写された転写材に対して定着処理を施す定着装置であって、所定の加熱部材および加圧部材により形成されトナー像が転写された転写材が通過されるニップ部と、該ニップ部において前記転写材の移動方向で所定のニップ長を確保させるための弾性層とを有し、前記弾性層は、内部に連続気泡が形成されてなる発泡体によって形成されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、トナー像が転写された転写材を、加熱部材と加圧部材との間のニップ部を通過させることにより、転写材上のトナー像を構成するトナーが加熱されて溶融し、転写材の表面に固着することで転写材へのトナー像の定着処理が行われる。
そして、ニップ部には、転写材の移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層が設けられているため、転写材上のトナーは、ニップ部を通過するに際して熱源からの熱を必要かつ十分に受け、これによってトナー像の転写材への確実な定着処理が実現する。
しかも、弾性層は、内部に連続気泡が形成されてなる発泡体によって形成されているため、弾性層が加熱されることによりその構成要素である発泡体が有する連続気泡内の空気が加熱されて膨張しても、膨張した空気は連続気泡内から外部に通じる通路を通って放出され、気泡が膨張した加熱空気によって破壊される、いわゆる破泡が生じることはない。従って、破泡に起因した弾性層の変形が生じることがないため、弾性層の変形に起因した定着処理後のトナー像の画像不良が確実に防止される。
そして、加熱による定着処理に寄与する連続気泡を備えた部材を、転写材の移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層としたため、従来のように連続気泡を備えた部材が加圧ローラのみであった場合に比較し、弾性層として各種の部材を設定することが可能となり、定着装置を設計する際の自由度が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記加熱部材は、熱源が内装された加熱ローラと、加熱ローラと対向配置された対向部材と、前記加熱ローラおよび対向部材に張設された定着ベルトとから構成され、前記加圧部材は、前記対向部材に対向配置された加圧ローラにて構成され、前記ニップ部は、前記加圧ローラと前記対向部材により支持された定着ベルトとの間に形成されてなり、前記対向部材が、前記発泡体からなる前記弾性層を具備していることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、定着ベルトを熱源からの熱により加熱された軸心回りに回転している加熱ローラと、この加熱ローラと対向配置された対向部材との間で定着ベルトを周回させた状態で、当該定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部へ向けてトナー像が転写された転写材を送り込むことにより、転写材は、ニップ部で高温の定着ベルトと加圧ローラとにより押圧挟持された状態で定着ベルトからの熱を得てトナー像の転写材に対する定着処理が施される。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記対向部材は、前記定着ベルトが掛け回される軸心回りに回転可能な定着ローラであることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、定着ローラが軸心回りに回転することにより当該定着ローラに掛け回された定着ベルトは加熱ローラとの間で円滑に周回する。
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記対向部材は、前記定着ベルトが掛け回される非回転の定着パッドであることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、定着ベルトが掛け回される定着パッドは非回転のものであるため、回転する場合には必要な軸や軸受け部材等が不要になり、その分装置コストの低減化に貢献する。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記加熱部材は、熱源が内装された加熱定着ローラであり、前記加圧部材は、前記加熱定着ローラに対向配置された加圧パッドにより押圧支持された無端の加圧ベルトであって、前記ニップ部は、前記加熱定着ローラと前記加圧パッドにより支持された加圧ベルトとの間に形成されてなり、前記加圧パッドが、前記発泡体からなる前記弾性層を具備していることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、熱源からの熱により加熱された軸心回りに回転している加熱定着ローラと、この加熱定着ローラと対向配置され、かつ、加圧パッドにより加熱定着ローラに向けて加圧された加圧ベルトとの間のニップ部へ向けてトナー像が転写された転写材を送り込むことにより、転写材は、ニップ部で高温の加熱定着ローラと加圧ベルトとによって押圧挟持された状態で加熱定着ローラからの熱を得てトナー像の転写材に対する定着処理が施される。
そして、加圧ベルトは、加熱定着ローラと対向した部分が加圧パッドによって当該加熱定着ローラに向けて押圧されている以外はローラ等によって支持されておらず、加熱定着ローラに従動して周回するようになされているため、部品点数が少なく、その分装置コストの低減化に貢献する。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記発泡体は、シリコンゴムを製造する原料中に混入された水に対し蒸発処理を施すことで連続気泡を形成させてなる水発泡シリコンゴムであることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、連続気泡を有する水発泡シリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに水と所定の添加剤と触媒とを混入し、最高でも200℃前後で加熱処理することによって容易に得られるため、発泡体が容易かつ安価に製造される。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記発泡体は、シリコンゴムを製造する原料中に混入された合成樹脂製の微小中空体に対し破泡処理を施すことで連続気泡を形成させてなるマイクロバルーンシリコンゴムであることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、連続気泡を有するマクロバルーンシリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに、内部に揮発性物質を密封した微小中空球体と所定の添加剤とを混入し、最高でも300℃前後で加熱処理することによって容易に得られるため、発泡体が容易かつ安価に製造される。
請求項8記載の発明(画像形成装置)は、所定の画像情報に基づく画像形成処理によって形成されたトナー像を転写材上に転写し、このトナー像の転写された転写材を請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置に供給することにより当該転写材にトナー像の定着処理を施すように構成されていることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、画像形成装置が請求項1乃至7のいずれかに記載の優れた性能を有する定着装置を備えたものになる。
請求項1記載の発明によれば、加熱による定着処理に寄与する連続気泡を備えた部材を、転写材の移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層としたため、従来のように連続気泡を備えた部材が加圧ローラのみであった場合に比較し、弾性層として各種の部材を設定することが可能となり、定着装置を設計する際の設計自由度を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、定着ベルトを熱源からの熱により加熱された軸心回りに回転している加熱ローラと、この加熱ローラと対向配置された対向部材との間で定着ベルトを周回させた状態で、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部へ向けてトナー像が転写された転写材を送り込むことにより、転写材は、ニップ部で高温の定着ベルトと加圧ローラとにより押圧挟持された状態で定着ベルトからの熱を得るため、これによってトナー像の転写材に対する定着処理を施すことができる。
請求項3記載の発明によれば、対向部材として定着ベルトが掛け回される軸心回りに回転可能な定着ローラが採用されているため、定着ローラが軸心回りに回転することにより当該定着ローラに掛け回された定着ベルトを加熱ローラとの間で円滑に周回させることができる。
請求項4記載の発明によれば、対向部材は、定着ベルトが掛け回される非回転の定着パッドが採用されているため、回転する場合には必要な軸や軸受け部材等が不要になり、その分装置コストの低減化に貢献することができる。
請求項5記載の発明によれば、加圧ベルトは、加熱定着ローラと対向した部分が加圧パッドによって当該加熱定着ローラに向けて押圧されている以外はローラ等によって支持されておらず、加熱定着ローラに従動して周回するようになされているため、部品点数が少なく、その分装置コストの低減化に貢献することができる。
請求項6記載の発明によれば、発泡体としてシリコンゴムを製造する原料中に混入された水に対し蒸発処理を施すことで連続気泡を形成させてなる水発泡シリコンゴムが採用されているため、連続気泡を有する水発泡シリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに水と所定の添加剤と触媒とを混入し、最高でも200℃前後で加熱処理することによって容易に得られ、発泡体を容易かつ安価に製造することができる。
請求項7記載発明によれば、発泡体としてシリコンゴムを製造する原料中に混入された合成樹脂製の微小中空体に対し破泡処理を施すことで連続気泡を形成させてなるマイクロバルーンシリコンゴムが採用されているため、連続気泡を有するマクロバルーンシリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに、内部に揮発性物質を密封した微小中空球体と所定の添加剤とを混入し、最高でも300℃前後で加熱処理することによって容易に得られ、発泡体を容易かつ安価に製造することができる。
請求項8記載の発明によれば、画像形成装置を請求項1乃至7のいずれかに記載の優れた性能を有する定着装置を備えたものにすることができる。
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る定着装置が適用された画像形成装置の内部構成を概略的に示す断面視の説明図である。本発明に係る画像形成装置は、未定着トナー像を溶融定着することで画像形成を行う複写機、複合機、プリンタ或いはファクシミリ等が対象となる。本実施形態では、この画像形成装置としてプリンタ1を例に挙げて説明する。
プリンタ1は、プリンタ本体10に内装された画像形成部2を有している。画像形成部2は、外部の機器から伝送されてきた画像情報に基づき画像形成して用紙(転写材)Pに当該画像の転写処理(印刷)を施すものであり、ドラム心回りに回転可能に構成された例えばアモルファスシリコン層が周面に積層されてなる像担持体としての感光体ドラム3と、この感光体ドラム3の周囲に配設された帯電部4、露光部5、現像部6およびクリーニング部7とを備えて構成されている。
帯電部4は、感光体ドラム3の表面を所定電位に均一に帯電させるものである。露光部5は所謂レーザ走査ユニット(レーザスキャナ)であり、所定の画像データ記憶部から伝送されてきた画像データに基づき生成されたレーザービームを感光体ドラム3の表面に照射し、感光体ドラム3上に静電潜像を形成するものである。現像部6は、トナー(現像剤)を収納するトナーカートリッジ601、および現像ローラ603等を備えた現像ユニット62から構成され、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対して、トナーカートリッジ601から供給されるトナーを付着させることで、トナー像として静電潜像を顕在化させるものである。クリーニング部7は、後述の転写部9によるトナー転写が終了した後、感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを清掃するものである。
また、プリンタ1は、画像形成部2(感光体ドラム3)へ向けて給紙を行う給紙部8と、感光体ドラム3上のトナー像を用紙Pに転写する転写部9と、用紙Pに転写されたトナー像に対し定着処理を施す定着部11を備えている。
前記給紙部8は、複数枚の用紙Pからなる用紙束を収納可能な給紙カセット801と、収納されている用紙束から用紙Pを1枚ずつ取り出すためのピックアップローラ802と、用紙Pが搬送される経路である搬送路803と、搬送路803中の用紙Pの搬送を行う搬送ローラ804とを備え、給紙カセット801から1枚ずつ繰り出された用紙Pを後述の転写ローラ901と感光体ドラム3とのニップ部へ向けて搬送する。なお、給紙部8はトナー像が転写された用紙Pを搬送路805を経て定着部11へ搬送し、さらに、定着部11で定着処理された用紙Pを、搬送ローラ806や排出ローラ807によってプリンタ本体10上部に設けられた用紙排出トレイ12まで搬送するようになっている。
前記転写部9は、転写ローラ901を備え、搬送されてきた用紙Pを介して該転写ローラ901を感光体ドラム3に押し付けた状態で、感光体ドラム3上に顕在化されたトナー像を、当該トナー像と逆極性の静電気によって感光体ドラム3から引き剥がし、用紙Pに転写させるものである。
前記定着部11は、前記転写部9において感光体ドラム3周面のトナー像が転写された用紙Pに対しトナー像の定着処理を施すものであり、搬送路805における転写部9より下流側(図1の左側)の適所に設けられている。かかる定着部11は、外観視で直方体状を呈する定着装置20を備えて構成されている。図2は、本発明に係る定着装置の第1実施形態を説明するために側面断面視で模式的に示した説明図である。
図2に示すように、定着装置20は、箱形の筐体21内に加熱ローラ30と、下部でこの加熱ローラ30に対向配置された定着ローラ(対向部材)40と、この定着ローラ40および前記加熱ローラ30間に張設された定着ベルト(加熱部材)50と、この定着ベルト50を介して前記定着ローラ40に当接される加圧ローラ(加圧部材)60とが装着されることによって構成されている。定着ベルト50と加圧ローラ60との間には、画像形成部2から送り込まれた用紙Pをニップしながら搬送するニップ部Nが形成されている。
因みに、第1実施形態においては、本発明に係る加熱部材は、加熱ローラ30と定着ローラ40と定着ベルト50とによって構成されている。
前記加熱ローラ30は、定着ベルト50を介してニップ部Nを通過中の用紙Pへ熱を供給するためのものであり、円筒状を呈した薄肉(本実施形態においては0.5mm〜1.0mm。なお、図面では厚み寸法を誇張して示している。)の加熱ローラ本体31と、この加熱ローラ本体31の周面に積層されたコーティング層32と、前記加熱ローラ本体31に内装された当該加熱ローラ本体31と略同一長を有する熱源としてのハロゲンヒータ33とを備えて構成されている。加熱ローラ本体31は、薄肉に形成されていることにより、ハロゲンヒータ33に通電されると速やかに昇温し、これによって運転初期にプリンタ1が迅速に立ち上がるようになされている。本実施形態においては、ハロゲンヒータ33として1000Wのものが採用されている。
かかる加熱ローラ本体31は、良好な熱伝導で長手方向の温度分布が均一になるようにAl(アルミニウム)やFe(鉄)等の金属材料によって形成されている。
前記コーティング層32は、定着ベルト50との摺接で加熱ローラ30の周面が損傷することを防止するためのものである。かかるコーティング層32として本実施形態においてはPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などが採用されている。
定着ローラ40は、ニップ部へ搬送されてきた、トナーTが付与されている用紙Pに対し定着ベルト50および加圧ローラ60と協動して該トナーTを用紙Pに定着させるものであり、図略の駆動モータの駆動により定着ローラ40が駆動回転することで定着ベルト50を周回可能に支持するようになっている。
かかる定着ローラ40は、表面にメッキ処理が施されたAlやFe等の金属材料からなる筒状または中実状の芯金41(因みに図2に示す例では芯金41が中実品によって形成されている。)と、この芯金41の周面に同心で形成された発泡筒体42とを備えて構成されている。前記発泡筒体42は、本実施形態においては、その材料として多数の連続気泡が形成された水発泡シリコンゴムが採用されている。
前記水発泡シリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに水と所定の添加剤と触媒とを混入し、加熱することによる水の蒸発で連続気泡を形成させることによって製造される。具体的には、特許文献2に記載があるように、液状シリコーンベースポリマーの100重量部に対して、吸水性ポリマーの0.1〜20重量部、水の10〜200重量部、および例えば白金化合物等からなる硬化触媒の若干量が混合されてなる第1の組成物を調製する。同時に液状シリコーンベースポリマーの100重量部、吸水性ポリマーの0.1〜20重量部、水の10〜200重量部、および架橋剤としてのSiHポリマーが混合されてなる第2の組成物を調製する。これら第1および第2の組成物の等量ずつを十分に攪拌して脱泡させることによって配合物を得る。
このようにして得られた前記配合物を所定の型に装填し、まず、シリコーンベースポリマーが実質的に硬化せず、かつ、水分が蒸発しない100℃以下、好ましくは50〜80℃の温度条件で10〜30時間加熱し所定の形状に成型する。ついで、この成形物を120〜250℃、好ましくは120〜180℃で1〜5時間加熱して含まれている水を蒸発させる。この水分の蒸発時に、独立した各気泡が互いに連通し、かつ、外部に向けて開口した連続気泡が形成されてなる発泡体が得られる。そして、最後にこの発泡体を180〜300℃、好ましくは200℃〜250℃で2〜8時間加熱して硬化させることにより、水発泡シリコンゴムが形成される。
前記液状シリコンゴムベースポリマーは、GE東芝シリコーン株式会社製の商品名「XE15−B7503A」および「XE15−B7503B」、並びに東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の商品面「DY39−1119A」および「DY39−1119B」として市場で流通しており、容易に入手することができる。
また、吸水性ポリマーとしては、例えばアクリル酸あるいはメタアクリル酸のアルカリ金属塩の重合体、ポリアルキレングリキール、特にポリエチレングリコール類をグラフトしたアクリル酸ないしメタアクリル酸の重合体、ポリアルキレングリキール、特にポリエチレングリコール類をブレンドないしは共重合したポリエステルやポリアミド、N−ビニールカルボン酸アミド系の架橋重合体などを挙げることができる。
また、液状シリコーンベースポリマーに吸水性ポリマー、水、および硬化触媒を添加して得られた前記第1の組成物としては、例えば、GE東芝シリコーン株式会社製の「XE15−B8400A」を挙げることができ、液状シリコーンベースポリマーに吸水性ポリマー、水、および架橋剤を添加して得られた前記第2の組成物として、例えば、GE東芝シリコーン株式会社製の「XE15−B8400B」を挙げることができ、これら第1および第2の組成物は市場で流通しているため、これらを入手して利用すれば水発泡シリコンゴムを容易に、かつ、効率的に製造することができる。
そして、本発明に係る定着ローラ40は、その構成要素である発泡筒体42に多数の連続気泡が形成された上記のような水発泡シリコンゴムが採用されているのである。
前記定着ベルト50は、ハロゲンヒータ33によって加熱された加熱ローラ30の周面に掛け回され、その周面からの伝熱によって加熱されるものである。かかる定着ベルト50は、この伝熱加熱により得られた熱を用紙P上のトナーTに供給して溶融させ、トナーTに定着処理を施すものであり、加熱ローラ30および定着ローラ40間に張設され、図略の駆動モータの駆動による定着ローラ40の軸心回りの回転で加熱ローラ30および定着ローラ40間を周回するようになっている。
このような定着ベルト50は、図2の円内の拡大図で示すように、薄く展伸されたNi(ニッケル)あるいは耐熱性のポリイミド樹脂等からなる芯ベルト51と、この芯ベルト51の表面側に積層されたシリコンゴム層52と、このシリコンゴム層52にさらに積層されたコーティング層53とからなっている。
前記芯ベルト51は、Ni製の場合厚み寸法が30μmに設定される一方、ポリイミド樹脂製の場合、厚み寸法が90μmに設定される。また、前記シリコンゴム層52は、厚み寸法が200〜300μmに設定されている。しかしながら、本発明は、芯ベルト51の厚み寸法が前記のように30μmあるいは90μmに設定され、また、シリコンゴム層52の厚み寸法が200〜300μmに設定されることに限定されるものではなく、状況に応じて適宜最適の厚み寸法が設定される。
前記コーティング層53は、PFAやPTFEなどのフッ素樹脂がシリコンゴム層52の表面にコーティング処理されたり、あるいはシリコンゴム層52にこれらのフッ素樹脂からなるチューブが被せられたりすることによって形成されている。定着ベルト50は、かかるコーティング層53の存在で剥離性が良好になり、定着処理済みの用紙Pが剥がれやすくなる。
前記加圧ローラ60は、周面が定着ベルト50に押圧当接した状態で前記定着ローラ40に対向配置され、定着ベルト50との間に、定着ローラ40の水発泡シリコンゴムからなる発泡筒体42が弾性変形することによる弾性力で用紙Pを押圧挟持するニップ部Nを形成し、これによって用紙Pに付与されたトナーに定着処理を施し得るようにするものである。
かかる加圧ローラ60は、AlやFe等のメッキを施してなるパイプ状の芯金61と、この芯金61に外嵌されたソリッドの(すなわち、発泡体ではない)シリコンゴム等からなる弾性筒体62と、この弾性筒体62の外周面にコーティング処理が施されることによって形成された、積層されたPFAやPTFEなどのフッ素樹脂からなるコーティング層63と、前記筒状の芯金61内に設けられたハロゲンヒータ64とを備えて構成されている。なお、前記コーティング層63については、弾性筒体62にフッ素樹脂製のチューブを被せることで形成してもよい。
パイプ状の芯金61内には、前記加熱ローラ30の場合と同様にハロゲンヒータ64が設けられている。このハロゲンヒータ64により、ニップ部Nに位置した用紙Pは、その裏面側が補助的に加熱処理され、これによって効率的な定着処理が実現するようになっている。本実施形態においては、加圧ローラ60に採用されるハロゲンヒータ64は、加熱ローラ30に採用されるハロゲンヒータ33よりワット数が小さい600Wのものが採用されている。
そして、本発明においては、ニップ部Nにおいて用紙Pの搬送方向で用紙P上のトナーに対し必要かつ十分な定着処理を施すことができる有効ニップ長を確保するための弾性層43が定着ローラ40側に形成されている。この弾性層43の有効ニップ長は、用紙Pの搬送速度(すなわち定着ベルト50の周回速度)と、定着ベルト50の温度と、トナーTの用紙Pに対する定着状態との間の関係を、種々の確認試験を実施することにより導き出し、この導出された関係から弾性層43の有効ニップ長を設定している。
そして、導き出された有効ニップ長が確保されるように、加熱ローラ30,定着ローラ40および加圧ローラ60の相対的な位置関係および定着ベルト50の長さを設定するようにしている。一旦、弾性層43の有効ニップ長が設定されると、定着ローラ40の発泡筒体42は、多数の連続気泡を有する水発泡シリコンゴムで形成されているため、たとえ定着ローラ40が加熱され、これによって気泡中の空気が膨張しても、気泡が連続気泡であることから膨張した空気は発泡筒体42から外部に排出される。
従って、気泡内で膨張した空気によって弾性層43が膨張変形したり、膨張した空気により気泡が破壊したりすることで弾性層43が圧縮変形したりすることがなく、弾性層43は、常に同一形状が確保されるため、弾性層43の変形で有効ニップ長が確保し得なくなるような不都合が生じないようになされている。
図3は、本発明に係る定着装置の第2実施形態を説明するために側面断面視で模式的に示した説明図である。図3に示すように、第2実施形態の定着装置20′にあっては、本発明に係る対向部材として、第1実施形態の定着ローラ40に代えて定着パッド(対向部材)44が採用されている。この定着パッド44は、第1実施形態の発泡筒体42と同一の材料によって非回転の半円形に形成され、筐体21に固定されている。かかる定着パッド44は、定着ベルト50を介して加圧ローラ60に押圧当接されることによって下部が側面視で円弧状に弾性変形して凹没した弾性層43が形成されている。
かかる第2実施形態の定着装置20′において、定着パッド44以外の構成は、加熱ローラ30側が駆動回転されることを除いて第1実施形態のものと同様である。
第2実施形態の定着装置20′によれば、加熱ローラ30が駆動回転されることにより、加熱ローラ30および定着パッド44間に張設された定着ベルト50は、加熱ローラ30および定着パッド44間を周回し、加圧ローラ60と当接している部分に形成されたニップ部Nにおいて用紙P上のトナーTに定着処理を施すことになる。
そして、第2実施形態においても、有効ニップ長を確保するべく定着パッド44の設置位置を適正に設定することにより、用紙P上のトナーTに対して適正な定着処理を施すことができる。
図4は、本発明に係る定着装置の第3実施形態を説明するために側面断面視で模式的に示した説明図である。図4に示すように、第3実施形態の定着装置20″は、定着ベルト50が採用されていない点が先の実施形態と顕著に相違している。すなわち、第3実施形態の定着装置20″は、先の実施形態の加熱ローラ30と同様に構成された加熱定着ローラ30′と、この加熱定着ローラ30′の下部で当該加熱定着ローラ30′と対向配置された加圧ベルト70と、この加圧ベルト70を介して前記加熱定着ローラ30′と対向配置された加圧パッド80とを備えて構成されている。
前記加圧ベルト70は、加熱定着ローラ30′と加圧パッド80とに挟持された状態で、加熱定着ローラ30′の駆動回転に従動して周回し、これによってニップ部Nに位置した用紙Pを円滑に搬送するためのものであり、上部が加圧パッド80によって支持されている以外はフリーとされている。かかる加圧ベルト70は、図4の円内の拡大図で示すように、定着ベルト50の芯ベルト51と同一の材料で形成された芯ベルト71と、この芯ベルト71の表面側に積層されたシリコンゴム層72と、このシリコンゴム層72にさらに積層されたコーティング層73とからなっている。
また、前記芯ベルト71の材質および寸法的な要素は、前記定着ベルト50の芯ベルト51のそれらと同様に設定されている。また、シリコンゴム層72およびコーティング層73の材質については、定着ベルト50のシリコンゴム層52およびコーティング層53のそれと同様である。
前記加圧パッド80は、前記と同様の水発泡シリコンゴムによって形成されている。かかる加圧パッド80は、加熱定着ローラ30′の軸心方向に長尺の直方体状に形状設定され、加圧ベルト70を介して加熱定着ローラ30′の周面に押し付けられることによって上面が下に凹に凹没している。この凹没した部分に弾性層81が形成されている。そして、加熱定着ローラ30′の周面と加圧ベルト70の表面との当接位置に用紙Pを押圧挟持するニップ部Nが形成されている。
第3実施形態の定着装置20″によれば、加熱定着ローラ30′を駆動回転することにより、ニップ部Nにおいて加熱定着ローラ30′の周面と当接している加圧ベルト70が周回するため、この状態で用紙Pをニップ部Nに給紙すると、用紙Pは、加圧パッド80の弾性力でこれら加熱定着ローラ30′と加圧パッド80とに押圧挟持されつつ搬送され、この搬送中に加熱定着ローラ30′からの熱を得てトナーTの用紙Pに対する定着処理が施されることになる。
そして、第3実施形態においても、加圧パッド80が連続気泡を有する水発泡シリコンゴムによって形成されているため、加圧パッド80が加熱されることによって立体形状が変化することはなく、用紙PのトナーTに対して安定した状態で定着処理を施すことができる。
以上詳述したように、本発明に係る第1実施形態の定着装置20は、加熱部材がハロゲンヒータ33の内装された加熱ローラ30と、加熱ローラ30と対向配置された対向部材としての定着ローラ40と、加熱ローラ30および定着ローラ40に張設された定着ベルト50とから構成され、加圧部材は、対向部材に対向配置された加圧ローラ60によって構成されているため、トナー像が転写された用紙Pを、加圧ローラ60と定着ベルト50を介して定着ローラ40との間に形成されニップ部Nに供給し当該ニップ部Nを通過させることにより、用紙P上のトナー像を構成するトナーが定着ベルト50からの熱で加熱されて溶融し、用紙Pの表面に固着することで用紙Pへのトナー像の定着処理が行われる。
そして、ニップ部Nにおける定着ローラ40の発泡筒体42には、用紙Pの移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層43が設けられているため、用紙P上のトナーは、ニップ部Nを通過するに際してハロゲンヒータ33からの熱を必要かつ十分に受け、これによってトナー像の用紙Pへの確実な定着処理が実現する。
しかも、弾性層43を構成する定着ローラ40の発泡筒体42は、内部に連続気泡が形成されてなる発泡体によって形成されているため、弾性層43が加熱されることによりその構成要素である発泡体が有する連続気泡内の空気が加熱されて膨張しても、膨張した空気は連続気泡内から外部に通じる通路を通って放出され、気泡が膨張した加熱空気によって破壊される、いわゆる破泡が生じることはない。従って、破泡に起因した弾性層43の変形が生じることがないため、弾性層43の変形に起因した定着処理後のトナー像の画像不良が確実に防止される。
そして、加熱による定着処理に寄与する連続気泡を備えた部材を、用紙Pの移動方向で所定のニップ長を確保するための弾性層43としたため、従来のように連続気泡を備えた部材が加圧ローラのみであった場合に比較し、弾性層43として各種の部材を設定することが可能となり、定着装置を設計する際の設計自由度を向上させることができる。
また、第1実施形態においては、本発明に係る対向部材として定着ベルト50が掛け回される軸心回りに回転可能な定着ローラ40が採用されているため、定着ローラ40が軸心回りに回転することにより当該定着ローラ40に掛け回された定着ベルト50を加熱ローラ30との間で円滑に周回させることができる。
上記第2実施形態に係る定着装置20′によれば、本発明にかかる対向部材として定着ベルト50が掛け回される非回転の定着パッド44が採用されているため、回転する場合には必要な軸や軸受け部材等が不要になり、その分装置コストの低減化に貢献することができる。
上記第3実施形態に係る定着装置20″によれば、本発明に係る加熱部材としてハロゲンヒータ33が内装された加熱定着ローラ30′が採用され、加圧部材として加熱定着ローラ30′に対向配置され、かつ、当該加熱定着ローラ30′との間でニップ部Nを形成する無端の加圧ベルト70が採用され、弾性層81は、加圧ベルト70を加熱定着ローラ30′に向けて押圧支持する水発泡シリコンゴム製の加圧パッド80により形成されている。
かかる構成によれば、ハロゲンヒータ33からの熱により加熱された軸心回りに回転している加熱定着ローラ30′と、この加熱定着ローラ30′と対向配置され、かつ、加圧パッド80により加熱定着ローラ30′に向けて加圧された加圧ベルト70との間のニップ部Nへ向けてトナー像が転写された用紙Pを送り込むことにより、用紙Pは、ニップ部Nで高温の加熱定着ローラ30′と加圧ベルト70とによって押圧挟持された状態で加熱定着ローラ30′からの熱を得てトナー像の用紙Pに対する定着処理が施される。
そして、加圧ベルト70は、加熱定着ローラ30′と対向した部分が加圧パッド80によって当該加熱定着ローラ30′に向けて押圧されている以外はローラ等によって支持されておらず、加熱定着ローラ30′に従動して周回するようになされているため、部品点数が少なく、その分装置コストの低減化に貢献することができる。
そして、上記の各実施形態においては、定着ローラ40、定着パッド44および加圧パッド80を構成する構成要素としての発泡体は、シリコンゴムを製造する原料中に混入された水に対し蒸発処理を施すことで連続気泡を形成させてなる水発泡シリコンゴムが採用されているため、連続気泡を有する水発泡シリコンゴムは、液状シリコンゴムベースポリマーに水と所定の添加剤と触媒とを混入し、最高でも200℃前後で加熱処理することによって容易に得られ、発泡体を容易かつ安価に製造することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、本発明に係る定着装置20が画像形成装置の一種であるプリンタ1に適用されているが、本発明は、画像形成装置がプリンタ1であることに限定されるものではなく、複写機やファクシミリ装置等であってもよい。
(2)上記の第1実施形態においては、定着ベルト50が張設されるローラとして互いに対向した一対のローラ(加熱ローラ30と定着ローラ40)が採用されているが、本発明は、ローラが一対であることに限定されるものではなく、定着ベルト50が3つ以上のローラに張設されていてもよい。
(3)上記の実施形態においては、加熱ローラ30を加熱する通電発熱体としてハロゲンヒータ33が採用されているが、本発明は、通電発熱体がハロゲンヒータ33であることに限定されるものではなく、ニクロム線などの他の種類の通電発熱体であってもよい。
(4)上記の第1および第2実施形態においては、加圧ローラ60のパイプ状の芯金61内にハロゲンヒータ64が設けられているが、本発明は、加圧ローラ60にハロゲンヒータ64を設けることに限定されるものではなく、加熱ローラ30のハロゲンヒータ33によって必要かつ十分な熱量が確保されるのであれば、特に加圧ローラ60にハロゲンヒータ64を設けなくてもよい。
(5)上記の実施形態においては、定着ローラ40の発泡筒体42、定着パッド44および加圧パッド80を構成する発泡他の材料として水発泡シリコンゴムが採用されているが、本発明は、これらの発泡対が水発泡シリコンゴムであることに限定されるものではなく、発泡体としてシリコンゴムを製造する原料中に混入された合成樹脂製の微小中空体(マイクロカプセル)に対し破泡処理を施すことで連続気泡を形成させてなる、いわゆるマイクロバルーンシリコンゴムを採用してもよい。
マイクロカプセルは、直径が5〜30μmの熱可塑性合成樹脂からなる外殻中に揮発性の溶剤を内包させたものである。前記熱可塑性合成樹脂としては、エチレン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。また、揮発性の溶剤としては、ブタン、イソブタン等の炭化水素を挙げることができる。
因みに、市販されているマイクロカプセルとしては、例えば、エクスパンセル社製の商品名「WU#642」や松本樹脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェア−F−30D」等を挙げることができ、これらは市場で流通しているため、容易に入手することができる。
かかるマイクロカプセルを液状シリコンゴムベースポリマーに混入し、所定の処理を施しつつ最高でも300℃前後で加熱処理することによってマイクロカプセル中の揮発性物質が揮発して外殻を破り、外部に漏れ出ることで連続気泡が形成されたマクロバルーンシリコンゴムが製造される。
1 プリンタ(画像形成装置)
2 画像形成部 3 感光体ドラム
4 帯電部 5 露光部
6 現像部 601 トナーカートリッジ
602 現像ユニット 603 現像ローラ
7 クリーニング部 8 給紙部
801 給紙カセット 802 ピックアップローラ
803 搬送路 804 搬送ローラ
805 搬送路 806 搬送ローラ
807 排出ローラ 9 転写部
901 転写ローラ 10 プリンタ本体
11 定着部 12 用紙排出トレイ
20,20′,20″ 定着装置
21 筐体 30 加熱ローラ(加熱部材)
30′ 加熱定着ローラ(加熱部材)
31 加熱ローラ本体 32 コーティング層
33 ハロゲンヒータ 40 定着ローラ(加熱部材、対向部材)
41 芯金 42 発泡筒体
43 弾性層 44 定着パッド(加熱部材、対向部材)
50 定着ベルト(加熱部材)
51 芯ベルト 52 シリコンゴム層
53 コーティング層 60 加圧ローラ(加圧部材)
61 芯金 62 弾性筒体
63 コーティング層 64 ハロゲンヒータ
70 加圧ベルト(加圧部材)
71 芯ベルト 72 シリコンゴム層
73 コーティング層 80 加圧パッド
81 弾性層 N ニップ部
P 用紙(転写材) T トナー
2 画像形成部 3 感光体ドラム
4 帯電部 5 露光部
6 現像部 601 トナーカートリッジ
602 現像ユニット 603 現像ローラ
7 クリーニング部 8 給紙部
801 給紙カセット 802 ピックアップローラ
803 搬送路 804 搬送ローラ
805 搬送路 806 搬送ローラ
807 排出ローラ 9 転写部
901 転写ローラ 10 プリンタ本体
11 定着部 12 用紙排出トレイ
20,20′,20″ 定着装置
21 筐体 30 加熱ローラ(加熱部材)
30′ 加熱定着ローラ(加熱部材)
31 加熱ローラ本体 32 コーティング層
33 ハロゲンヒータ 40 定着ローラ(加熱部材、対向部材)
41 芯金 42 発泡筒体
43 弾性層 44 定着パッド(加熱部材、対向部材)
50 定着ベルト(加熱部材)
51 芯ベルト 52 シリコンゴム層
53 コーティング層 60 加圧ローラ(加圧部材)
61 芯金 62 弾性筒体
63 コーティング層 64 ハロゲンヒータ
70 加圧ベルト(加圧部材)
71 芯ベルト 72 シリコンゴム層
73 コーティング層 80 加圧パッド
81 弾性層 N ニップ部
P 用紙(転写材) T トナー
Claims (8)
- トナー像が転写された転写材に対して定着処理を施す定着装置であって、
所定の加熱部材および加圧部材により形成されトナー像が転写された転写材が通過されるニップ部と、該ニップ部において前記転写材の移動方向で所定のニップ長を確保させるための弾性層とを有し、
前記弾性層は、内部に連続気泡が形成されてなる発泡体によって形成されていることを特徴とする定着装置。 - 前記加熱部材は、熱源が内装された加熱ローラと、加熱ローラと対向配置された対向部材と、前記加熱ローラおよび対向部材に張設された定着ベルトとから構成され、
前記加圧部材は、前記対向部材に対向配置された加圧ローラにて構成され、
前記ニップ部は、前記加圧ローラと前記対向部材により支持された定着ベルトとの間に形成されてなり、
前記対向部材が、前記発泡体からなる前記弾性層を具備していることを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 前記対向部材は、前記定着ベルトが掛け回される軸心回りに回転可能な定着ローラであることを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記対向部材は、前記定着ベルトが掛け回される非回転の定着パッドであることを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記加熱部材は、熱源が内装された加熱定着ローラであり、
前記加圧部材は、前記加熱定着ローラに対向配置された加圧パッドにより押圧支持された無端の加圧ベルトであって、
前記ニップ部は、前記加熱定着ローラと前記加圧パッドにより支持された加圧ベルトとの間に形成されてなり、
前記加圧パッドが、前記発泡体からなる前記弾性層を具備していることを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 前記発泡体は、シリコンゴムを製造する原料中に混入された水に対し蒸発処理を施すことで連続気泡を形成させてなる水発泡シリコンゴムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発泡体は、シリコンゴムを製造する原料中に混入された合成樹脂製の微小中空体に対し破泡処理を施すことで連続気泡を形成させてなるマイクロバルーンシリコンゴムであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の定着装置。
- 所定の画像情報に基づく画像形成処理によって形成されたトナー像を転写材上に転写し、このトナー像の転写された転写材を請求項1乃至7のいずれかに記載の定着装置に供給することにより当該転写材にトナー像の定着処理を施すように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
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- 2006-02-08 JP JP2006030685A patent/JP2007212614A/ja active Pending
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