JP2010091665A - 像加熱装置 - Google Patents

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康治 内山
Tokuyoshi Abe
篤義 阿部
Kenichi Ogawa
賢一 小川
Satoshi Nishida
聡 西田
Masashi Tanaka
正志 田中
Naoki Yoshikawa
直紀 吉川
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Abstract

【課題】ウォームアップタイムの短縮とヒータ温度の低減を両立できるようにした像加熱装置の提供。
【解決手段】記録材Pが担持する画像Tを加熱する加熱用回転体20と、前記加熱用回転体の表面と接触し前記加熱用回転体の表面を加熱する加熱部材28と、を有する像加熱装置において、前記加熱部材は、熱伝導性の基板上に発熱体を有するヒータ30と、前記基板と接触し前記基板の材料よりも高い熱伝導率を有する材料からなる熱伝達部材31と、を有し、前記ヒータと前記熱伝達部材の両方で前記加熱用回転体の表面を加熱するための加熱領域Haを形成していることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する加熱定着装置(定着器)として用いれば好適な像加熱装置に関する。
電子写真式の複写機やプリンタに搭載する加熱定着装置(定着器)として、外部加熱方式の加熱定着装置が知られている。この定着装置は、定着ローラと、定着ローラの外周面(表面)と接触し定着ローラ表面を加熱する加熱ローラと、定着ローラ表面と接触しニップ部を形成する加圧ローラと、を有する。特許文献1から特許文献3にはこのタイプの定着装置が記載されている。未定着トナー画像を担持する記録材はニップ部で挟持搬送されつつ加熱され、これにより記録材上のトナー画像は記録材に加熱定着される。特許文献4には加熱ローラに代えて熱容量の小さいプレート状のヒータを用いる構成の熱ローラ方式の加熱定着装置が記載されている。
特開平04−159585号公報 特開平09−204114号公報 特開平10−301434号公報 特開2003−186327号公報
上記の定着装置のうち、ヒータを用いる定着装置では、定着ローラ表面の加熱開始後、定着ローラ表面がトナー画像の加熱定着可能な所定の定着温度に達するまでの時間(ウォームアップタイム)を短くすることが望まれている。
そこで、ウォームアップタイムを短縮するために、定着ローラとして、芯金上に設けられる弾性層を発泡シリコーンゴム等のスポンジ状に形成し、表面に離型性層としてPFAチューブを被覆した構成のローラを用いる。その場合、ウォームアップタイムは短縮されるが、記録材上のトナー画像が加熱定着可能となる定着ローラ表面温度は高く設定する必要がある。これは、定着ローラが断熱性を優先するあまり、定着ローラの熱容量が小さくなり、ニップ部でトナー画像の加熱定着に必要な熱量を十分に確保することが困難になることによる。また、定着ローラ表面のPFAチューブが断熱性を有するため、ヒータからの定着ローラへの熱量の受渡しが積極的に行われないことから、ヒータ温度を定着ローラ表面温度に比べて十分に高い温度に維持する必要があった。
ところが、ヒータ温度を定着ローラ表面温度に比べて十分に高い温度に維持すると、ヒータを保持する保持部材に高い耐熱性能が要求されてしまっていた。特に、ヒータ上に配置するサーミスタなどの温度検知素子や温度ヒューズなどの安全素子は定着ローラ表面温度に比べて十分に高いヒータ温度を感知して作動する素子を選択する必要があり、コスト的により高価な素子を使用しなければならなくなっていた。
本発明の目的は、ウォームアップタイムの短縮とヒータ温度の低減を両立できるようにした像加熱装置を提供することにある。
上記目的を達成するための構成は、記録材が担持する画像を加熱する加熱用回転体と、前記加熱用回転体の表面と接触し前記加熱用回転体の表面を加熱する加熱部材と、を有する像加熱装置において、前記加熱部材は、熱伝導性の基板上に発熱体を有するヒータと、前記基板と接触し前記基板の材料よりも高い熱伝導率を有する材料からなる熱伝達部材と、を有し、前記ヒータと前記熱伝達部材の両方で前記加熱用回転体の表面を加熱するための加熱領域を形成していることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための構成は、記録材が担持する画像を加熱する加熱用回転体と、前記加熱用回転体の表面と接触する熱伝導性部材と、前記熱伝導性部材と接触し前記熱伝導性部材を介して前記加熱用回転体の表面を加熱する加熱部材と、を有する像加熱装置において、前記加熱部材は、熱伝導性の基板上に発熱体を有するヒータと、前記基板と接触し前記基板の材料よりも高い熱伝導率を有する材料からなる熱伝達部材と、を有し、前記ヒータと前記熱伝達部材の両方が前記熱伝導性部材と接触し前記熱伝導性部材を介して前記加熱用回転体の表面を加熱するための加熱領域を形成しており、前記熱伝導性部材の前記加熱用回転体の表面と接触する面には、前記加熱用回転体の表面との摺動性を確保するための処理が施されていることを特徴とする。
本発明によれば、ヒータ温度を低減できウォームアップタイムを短縮できる像加熱装置を提供することができる。
本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
[実施例1]
(1)画像形成装置例
図11は本発明に係る像加熱装置を加熱定着装置として搭載する画像形成装置の一例の構成模式図である。この画像形成装置は電子写真方式のレーザープリンタであって、ホストコンピュータ等の外部装置(不図示)より入力する画像情報に応じた画像を記録材に形成する。
本実施例に示す画像形成装置Aは、外部装置からプリント指令を入力すると、像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)8を矢印方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動する。その感光ドラム8は感光ドラム8の外周面(表面)が帯電器9により所定の極性・電位に一様に帯電される。その感光ドラム8表面の帯電面に対して露光手段としてのレーザースキャナ10により画像情報の書き込みがなされる。レーザースキャナ10は、外部装置からプリンタに入力される画像情報の時系列電気デジタル画素信号に応じて変調されたレーザー光Laを出力する。そしてレーザースキャナ10はそのレーザー光Lにより感光ドラム8の帯電面を走査露光する。これにより、感光ドラム8表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。その静電潜像は現像器11によりトナー(現像剤)を用いてトナー画像(現像像)として現像される。感光ドラム8表面のトナー画像(以下、トナー像と記す)は感光ドラム8の回転によって感光ドラム8表面とこの感光ドラム8表面に対向して配置されている転写ローラ14の外周面(表面)との間の転写ニップ部に送られていく。
以上が画像形成部の構成である。
一方、給送カセット1のシート積載台2上に積載されている記録材(転写用紙、OHPシート)Pは、所定の制御タイミングで駆動される給送ローラ3により一枚ずつピックアップされ、搬送ローラ4と搬送コロ5とによりレジスト部へと送られる。レジスト部では、記録材Pの先端をレジストローラ6とレジストコロ7間のニップ部で一旦受け止めて記録材Pの斜行矯正を行い、所定の搬送タイミングでその記録材Pを転写ニップ部へと給送する。即ち、レジスト部では、感光ドラム8表面のトナー像の先端部位が転写ニップ部に到達したとき、記録材Pの先端部位も転写ニップ部に到達するように記録材Pの搬送タイミングが制御される。
転写ニップ部に給送された記録材Pは感光ドラム8と転写ローラ14とにより挟持搬送される。そしてその記録材Pの搬送過程において転写ローラ14に印加される転写バイアスにより感光ドラム8表面のトナー像が記録材Pに転写され、記録材Pはそのトナー像を後述する加熱定着装置(定着器)15の定着ローラ20側の面上に担持する。転写ニップ部で未定着トナー像を担持した記録材Pは感光ドラム8表面から分離されて加熱定着装置(以下、定着装置と記す)15へと搬送される。
定着装置15は、未定着トナー像を担持した記録材Pに後述のニップ部(定着ニップ部)Nで熱と圧力を付与することによって未定着トナー像を記録材Pに加熱定着し、その記録材Pをニップ部Nから排出する。
定着装置15のニップ部Nから排出された記録材Pは中間排出ローラ16により排出ローラ17に搬送される。そして排出ローラ17がその記録材Pを排出トレイ18上に排出する。
記録材P分離後の感光ドラム8表面は、クリーナー12により転写残トナーが除去され、繰り返して作像に供される。
本実施例の画像形成装置Aは、感光ドラム8と帯電器9と現像器11とクリーナー12を一体化してプロセスカートリッジ13としている。そしてそのカートリッジ13は画像形成装置Aの筐体を構成する画像形成装置本体Bに取り外し可能に装着されている。
画像形成装置本体Bには冷却ファンFが設けられている。この冷却ファンFは、適宜回転され、外気を画像形成装置本体B内に取り込んで画像形成部、電装基板等の昇温箇所を冷却する。冷却ファンFの近傍には、サーミスタ等の温度検知手段Sが設けられ、冷却ファンFによって機外の空気を取り込んだ際に、画像形成装置Aが設置されている環境の温度を検知する。そして、その検知結果を加熱定着装置15の温度制御シーケンスにフィードバックしている。
(2)定着装置(像加熱装置)
以下の説明において、定着装置及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。また長手方向とは後述する加熱用回転体の軸線方向でもある。短手方向とは、記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。また、記録材に関し、幅方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。
(2−1)定着装置の構成
図1は加熱定着装置15の横断側面模式図である。
本実施例に示す加熱定着装置15は、加熱用回転体(定着部材)としての定着ローラ20と、加圧用回転体(加圧部材)としての加圧ローラ24と、外部加熱手段としての外部加熱装置29と、を有する。定着ローラ20と加圧ローラ24は何れも長手方向に細長い部材である。そして定着ローラ20と加圧ローラ24の長さは画像形成装置Aに用いられる最大サイズの記録材Pの幅よりも長い。
定着ローラ20は外径約20mmのローラ形状の部材である。この定着ローラ20は、直径14mmのステンレス製の丸軸状の芯金21の外周面上に厚みおよそ3mmの低熱伝導性シリコーンゴムからなる弾性層22を設け、その弾性層22の外周面上に厚さ30μmのフッ素樹脂からなる離型層23を設けたものである。そして定着ローラ20は、芯金21の長手方向両端部が装置フレーム(不図示)に軸受を介して回転自在に保持されている。
弾性層22は、低熱伝導性シリコーンゴム層内に中空のフィラーを分散させ、硬化物内に気体部分を持たせ、断熱作用を高めた弾性層(気泡ゴム層)からなる。
この中空フィラーにはマイクロバルーン材等がある。中空フィラーは、マイクロバルーンに限られずガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなどでもかまわない。
弾性層22の低熱伝導性シリコーンゴム層は、その硬化物(シリコーンゴム)の熱伝導度が0.15W/mK以下、好ましくは0.13W/mK以下であることが望ましく、かかる熱伝導度を達成するように調整することが好ましい。
熱伝導度が高いと、外部加熱手段29の後述するヒータ30の熱を内部に吸収しやすく、定着ローラ20の外周面(表面)の温度が上昇しにくくなるため、出来るだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果が高い方が定着ローラ20の立上りに有利である。ここで、定着ローラ20の立上りとは、定着ローラ表面の加熱開始から定着ローラ表面の温度が未定着のトナー像を加熱定着可能な所定の定着温度(目標温度)に到達するまでの所要時間をいう。
加圧ローラ24は上述した定着ローラ20と同じ構成としてある。即ち、加圧ローラ24は外径約20mmのローラ形状の部材である。そして直径14mmのステンレス製の丸軸状の芯金25の外周面上に厚みおよそ3mmの低熱伝導性シリコーンゴムからなる弾性層26を設け、その弾性層26の外周面上に厚さ30μmのフッ素樹脂からなる離型層27を設けたものである。加圧ローラ24は、加圧ローラ24の外周面(表面)が定着ローラ20表面と対向するように定着ローラ20の下方に配されている。そして加圧ローラ24の芯金25の長手方向両端部を装置フレームに軸受を介して回転自在に保持させるとともに、その軸受を加圧ばねなどの加圧手段によって定着ローラ20の軸線に向け総圧98Nで加圧している。その加圧力により定着ローラ21及び加圧ローラ24の弾性層22,26を弾性変形させることによって、定着ローラ21表面と加圧ローラ24表面との間にニップ幅およそ8mmのニップ部(定着ニップ部)Nを形成している。
加熱用回転体及び加圧用回転体は定着ローラ20や加圧ローラ24に限られずエンドレスベルトであってもよい。加熱用回転体及び加圧用回転体としてエンドレスベルトを用いる場合は、所定の材料からなるエンドレスベルト状の基層の外周面上に上記弾性層を設け、その弾性層の外周面上に上記離型層を設ける層構成を適用する。
外部加熱装置29は、定着ローラ20表面を定着ローラ20表面側から加熱する手段である。この外部加熱装置29は、定着ローラ20表面と接触し定着ローラ20表面を加熱する加熱部材28と、加熱部材28を保持する保持部材としての断熱ステイホルダ32と、断熱ステイホルダ32を押圧する金属ステイ33と、を有する。そして加熱部材28は、ヒータ30と、熱伝達部材としてヒータ30を係合可能にコの字形状に形成されているアルミニウム板金(以下、コの字板金と記す)31と、を有する。ヒータ30とコの字板金31と断熱ステイホルダ32と金属ステイ33は何れも長手方向に細長い部材である。そしてヒータ30とコの字板金31と断熱ステイホルダ32と金属ステイ33の長さは画像形成装置Aに用いられる最大サイズの記録材Pの幅よりも長い。
断熱ステイホルダ32は、断熱ステイホルダ32の長手方向両端部が装置フレームに保持されている。そして断熱ステイホルダ32は、断熱ステイホルダ32の短手方向の下面中央で長手方向に沿って設けられている凹溝32aによってヒータ30及びコの字板金31を保持している。
図2はヒータ30の一例の説明図であって、(a)はヒータ30の裏面(定着ローラ20表面と反対側の面)の説明図、(b)はヒータ30の表面(定着ローラ20表面側の面)側の説明図、(c)は(b)に示すヒータ30のC−C線断面拡大図である。
ヒータ30は、アルミナや窒化アルミ等の熱伝導性の絶縁性セラミックスからなる細長い基板30aを有する板状加熱用ヒータである。基板30aの表面(定着ローラ20表面側の面)には、基板30aの長手方向に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)等の通電発熱抵抗層30bをスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して2本形成してある。つまり、ヒータは基板上に発熱体として通電発熱抵抗層を有する。基板30aの表面の一方の長手方向端部内側には3.7mm×3.7mm程度の大きさのAg/Ptからなる電極30cが2つ形成してある。その通電発熱抵抗層30b及び電極30cは、それぞれ、電極30cと同じ材料からなる2つの通電層30dによって接続されている。基板30aの表面の他方の長手方向端部内側には電極30cと同じ材料からなる導電層30eが形成されている。この導電層30eによって2つの通電発熱抵抗層30bは接続されている。また、基板30aの表面には、通電発熱抵抗層30bの熱効率を損なわない範囲で通電発熱抵抗層30bを被覆し保護する保護摺動層30fが設けてある。この保護摺動層30fの材料としては主にガラスコートが挙げられるが、保護摺動層30fの材料はこれに限られずポリイミドやフッ素樹脂、などの材料を用いてもよい。
本実施例で使用した基板30aの材料はアルミナであり、基板30aの長さは270mm、基板30aの幅(以下、基板幅と称する)は5.0mmである。保護摺動層30fにはガラスコートを用い、その保護摺動層30fの厚みは約50μmである。5.0mmの基板幅に対して、1mmの幅を持つ通電発熱抵抗層30bを2本配置した。その配置の位置は、基板30aの短手方向の両エッジ部から内側にそれぞれ1.0mmのところに配置した。通電発熱抵抗層30fの抵抗は25Ωになるように調整した。通電発熱抵抗層30bの材料は銀パラジウムを使用し、その配合比を変更することで抵抗値を調整した。
図3は加熱部材28の長手方向中央部を省略した説明図であって、ヒータ30とコの字板金31との接触形態を表わす説明図である。図4は加熱部材28のヒータ30及びコの字板金31と定着ローラ20表面との加熱領域Haを表わす説明図である。
コの字板金31は、ヒータ30の基板30aの厚みよりも厚い板状の部材の短手方向において定着ローラ20表面と対向する面(以下、表面と記す)31aの略中央に凹溝31dを設けたものである。凹溝31dは板状の部材の長手方向に沿って設けられており、その凹溝31dにはヒータ30の保護摺動層30fを定着ローラ20表面と対向させた状態に基板30aが嵌合されている。コの字板金31の長さLはヒータ30の基板30aの長さと同じ270mm、幅Wは9mm、厚み(高さ)Hは2mmである。凹溝31dの幅Wdはヒータ30の基板30aの幅と略同じ5mmであり、凹溝31dの深さDはヒータ30の基板30aの厚みと略同じ1mmである。そしてコの字板金31において、凹溝31dを区画する天井面31b1が基板30aの裏面30a1と、凹溝31dを区画する内側面31b2,31b3が対応する基板30aの側面30a2,30a3と、それぞれ、面接触している。それらの面接触している各面の接触性(密着性)を増すために、熱伝導率の高いグリスを塗布することが望ましい。本実施例では、熱伝導率が0.8W/mKの熱伝導グリスを面接触している全て面を合わせて60mg塗布した。
図2に示すように断熱ステイホルダ32上に配された金属ステイ33は、金属ステイ33の長手方向両端部が加圧ばねなどの加圧手段(不図示)によって定着ローラ20の軸線に向け総圧98Nで加圧されている。これにより断熱ステイホルダ32に保持されているヒータ30の保護摺動層30fの表面とコの字板金31の表面31aがそれぞれ定着ローラ20表面と接触し定着ローラ20の弾性層22を弾性変形させている。従って外部加熱装置29は、ヒータ30とこのヒータ30を保持するコの字板金31を断熱ステイホルダ32及び金属ステイ33によってバックアップする構成となっている。これによって、定着ローラ20表面とその定着ローラ20表面と面接触しているヒータ30の保護摺動層30f表面及びコの字板金31の表面31aとの間に幅およそ7mmの加熱領域Haを形成している(図4参照)。加熱領域Haの幅7mmのうち、定着ローラ20表面とヒータ30の保護摺動層30f表面の面接触領域を5mmとしている。そして定着ローラ21表面とコの字板金31の表面31aとの面接触領域を定着ローラ21の回転方向上流側及び下流側でそれぞれ1mmとしている。従ってコの字板金31は、定着ローラ20の回転方向においてヒータ30の上流側と下流側が定着ローラ20表面と均等に接触している。つまりコの字板金31は、ヒータ30の定着ローラ20表面と接触している表面(保護摺動層30f)以外の面の少なくとも1つの面(表面31a)が定着ローラ20表面と接触している。
ここで、コの字板金31の材料について説明する。
コの字板金31の材料はアルミニウムに限られるものではない。ステンレスやリン青銅など他の金属材料でも代用可能であるし、ヒータ30の基板30aの材料にも使用されているアルミナなどのセラミックスでもよい。
しかしながら、コの字板金31の材料として、ヒータ30の基板30aの材料よりも熱伝導率が高い材料を用いることが必要である。基板30aの材料として用いたアルミナはおよそ25W/mKの熱伝導率を有する。これに対して、コの字板金31の材料に用いられるアルミニウムは270W/mK以上の熱伝導率を有する。基板30aの材料よりも高い熱伝導率を有する材料をコの字板金31の材料に使用することによって、ヒータ30の定着ローラ20表面との接触領域以外から発せられ捨てられる熱の回収と定着ローラ20表面への熱伝達を効率よく行うことができるようになる。これにより、ヒータ30のみで定着ローラ20表面を加熱する場合と比較して、より速く定着ローラ20表面を昇温させることができるようになるのである。
ヒータ30及びコの字板金31を保持する断熱ステイホルダ32は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEKなどの耐熱性樹脂によって形成され、熱伝導率が低いほど定着ローラ20表面の加熱に際する熱効率が高くなる。よって断熱ステイホルダ32は、耐熱性樹脂層の中に中空のフィラー、例えばガラスバルーン、シリカバルーンなどを内包してあってもよい。
(2−2)定着装置の加熱定着動作
制御手段としての回転駆動・温度制御部41は、プリント指令の応じて所定の回転駆動シーケンスを実行し、駆動源であるモータMを駆動して定着ローラ20の芯金21の長手方向端部に設けられている駆動ギア(不図示)を回転させる。これにより定着ローラ20は、定着ローラ20表面がヒータ30の保護摺動層30f表面及びコの字板金31の表面31aに摺動しながら所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向へ回転する。その際、ニップ部Nにおける定着ローラ20表面と加圧ローラ24表面との摩擦力によって加圧ローラ24に定着ローラ20の回転方向とは逆向きに回転力が作用する。これにより加圧ローラ24は定着ローラ20と略同じ周速度で矢印方向へ従動回転する。
また、回転駆動・温調制御部41は、プリント指令に応じて所定の温度制御シーケンスを実行し、電源42からヒータ30の電極30cを通じて通電発熱抵抗層30bに通電する。その通電により通電発熱抵抗層30bが発熱しその通電発熱抵抗層30bによって基板30aが加熱されることによりヒータ30は急速昇温する。そしてその急速昇温したヒータ30は保護摺動層30fを介して定着ローラ20表面を加熱するとともに基板30aを介してコの字板金31を加熱する。そしてその基板30aによって加熱されたコの字板金31はコの字板金31の表面31aにより定着ローラ20表面を加熱する。つまり、定着ローラ20表面は、加熱領域Haにおいてヒータ30及びコの字板金31の表面31aにより加熱される。
コの字板金31のヒータ30と反対側の面(以下、裏面と記す)には温度検知手段としてのサーミスタなどの温度検知素子34(図1)が設けられ、この温度検知素子34はヒータ30の温度を検知して信号(温度情報)を出力する。回転駆動・温度制御部41は、温度検知素子34からの出力信号を取り込み、その出力信号に基づいてヒータ30が所定の温調温度(目標温度)を維持するように通電発熱抵抗層30bへの通電を制御する。またコの字板金31の裏面には温度ヒューズなどの安全素子43(図2参照)が設けられている。この安全素子43は、ヒータ30の異常昇温時にヒータ30への通電をカットすることによってヒータ30の異常昇温を防止する。
定着ローラ20及び加圧ローラ24の回転が安定し、かつヒータ30の温度が所定の温調温度に維持された状態で、未定着トナー像Tを担持する記録材Pがニップ部Nに導入される。その記録材Pはニップ部Nで定着ローラ20表面と加圧ローラ24表面とにより挟持搬送される。その搬送過程において記録材Pにはヒータ30により加熱されている定着ローラ20表面の熱とニップ部Nの圧力が加えられ、その熱と圧力によってトナー像Tは記録材Pの面上に加熱定着される。
(3)比較実験例
本実施例1の定着装置15と下記の比較例の加熱定着装置50について、定着ローラ20の立ち上げ速度の比較試験を行った。
図5は比較例の加熱定着装置50の横断側面模式図である。
比較例の加熱定着装置(以下、定着装置と記す)50において、本実施例1の定着装置15の部材と同じ部材及び同じ部分には同一の符号を付す。
比較例の定着装置50の外部加熱装置29は、コの字板金(熱伝達部材)を有していない点、ヒータ30の基板30aの幅が広く、かつ基板30aの厚みよりも厚い点を除いて、本実施例1の定着装置15の外部加熱装置29と同じ構成としてある。従って比較例の定着装置50の外部加熱装置29は、ヒータ31を断熱ステイホルダ32及び金属ステイ33によってバックアップする構成となっている。
本実施例1の定着装置15ではヒータ30の基板30aの幅は5.0mmであったが、比較例の定着装置50ではヒータ30の基板30aの幅を9.0mmとした。これは、本実施例1の定着装置15における基板30aの幅とコの字板金31の幅を合わせた合計幅と、比較例の定着装置50における基板30aの幅を同じにするためである。また本実施例の定着装置15では基板30aの厚みは1mmであったが、比較の定着装置50では基板30aの厚みを1.7mmとした。これは、本実施例1の定着装置15におけるヒータ30の熱容量とコの字板金31の熱容量を合わせた合計熱容量と、比較例の定着装置50におけるヒータ30単体での熱容量とを同じにするためである。比較例の定着装置50において基板30aの厚みを1.7mmとした根拠を説明する。基板30aの材料に用いられるアルミナの比重は3.89×10−6kg/mmで、比熱は779J/kg・Kである。また、コの字板金31の材料に用いられるアルミニウムの比重は2.70×10−6kg/mmで、比熱は896J/kg・Kである。これらの値と体積をもちいて計算を行い、熱容量を合わせた結果、1.7mmという厚みが算出される。
上述の本実施例1の定着装置15と比較例の定着装置50において、定着ローラ20の立ち上げ速度の比較試験を行った。
ヒータ30には600Wの電力を投入し、定着ローラ20及び加圧ローラ24の回転速度を115mm/secとした。定着ローラ20の表面温度は非接触温度センサ−(型番:IT550S、堀場製作所製)にてモニターした。また、比較例の定着装置50のヒータ30の裏面に配置した温度検知素子34が200℃に達すると、温度検知素子34からの温度情報により、そのままの温度で温調するように回転駆動・温調制御部41の温調制御回路を組み立てた。モニターしたのは、定着ローラ20の表面が150℃に到達する時間と、温度検知素子34が200℃を検知するまでの時間、及び、ヒータ30が200℃に温調されているときの定着ローラ20の表面温度である。これらを表1にまとめる。

定着ローラ20表面が150℃に到達する時間は、本実施例1の定着装置15では4.1秒、比較例の定着装置50では4.3秒であった。この段階では、本実施例1の定着装置15及び比較例の定着装置50の何れもまだ温調が開始されておらず、ヒータ30はフル通電の状態で発熱している。フル通電状態において、定着ローラ20表面の昇温能力に差が見られる。従って本実施例1の定着装置15の方が比較例の定着装置50よりもより速く定着ローラ20表面を暖めることができる。
温度検知素子34が200℃を検知する時間は、本実施例1の定着装置15では4.8秒であり、比較例の定着装置50では4.3秒であった。本実施例の定着装置15の方が比較例の定着装置50よりも温度検知素子が200℃を検知するのに要する時間が長いという結果になった。本実施例1の定着装置15では温度検知素子34はコの字板金31に接触された状態となっている。その温度検知素子34はヒータ30からの熱をコの字板金31を介して受け取り、温度検知を行っている。コの字板金31の材料であるアルミニウムは非常に熱伝導率が高いため、ヒータ30の定着ローラ20表面と接触する保護摺動層30f表面と反対側の基板30aの裏面からの熱は、コの字板金31に伝達されると、非常に早い速度でコの字板金31内を移動する。コの字板金31は、コの字板金31の凹溝31dによりヒータ30の保護摺動層30f表面を除いてヒータ30を覆う形態に形成されている。そしてコの字板金31の短手方向において凹溝31dの外側にある表面13aが定着ローラ20表面と接触している。即ち、コの字板金31に伝わった熱の中には、温度検知素子34にも伝達されるものの、コの字板金31内を温度検知素子34方面には伝達されず、定着ローラ20表面に伝達されるものも多いのである。このことにより、定着ローラ20表面の昇温速度が速くなるとともに、温度検知素子34が200℃を検知する時間(以下、検知時間と記す)も遅くなることになるのである。しかし、この検知時間が遅くなるということは決して悪いことではなく、その分、温調されないフル通電の時間が長くなるため、より高い温度まで定着ローラ20表面を高めることができるようになるのである。即ち、コの字板金31において温度検知素子34が配置される部分の温度と、定着ローラ20表面の温度の差を小さくすることができる、ということができる。
温調が始まった後の定着ローラ20表面の温度は、本実施例1ではおおよそ180℃で推移し、比較例ではおおよそ170℃で推移した。上述のとおり、本実施例1の定着装置15ではヒータ30は保護摺動層30f表面を除いてアルミニウムのような熱伝導率の高いコの字板金31により覆われている。そのため、その熱伝導率の高いコの字板金31によってヒータ30の定着ローラ20表面と接触していない部分から発せられる熱を、定着ローラ20表面に伝達することで、定着ローラ20表面を高い温度のまま維持することが可能となるのである。一方、比較例の定着装置50のようなヒータ30単体の場合では、アルミニウムほどの熱伝導率がない。そのため、比較例の定着装置50は、定着ローラ20表面への加熱は基本的にヒータ30が定着ローラ20表面と接触している部分からの熱供給のみとなり、よって定着ローラ20表面の加熱が本実施例1の定着装置15と比較して十分に行えないのである。
即ち、本実施例1の定着装置15によれば、ヒータ30と、このヒータ30の基板30aと接触し基板30aの材料よりも高い熱伝導率を有する材料からなるコの字板金31の両方が定着ローラ20表面と接触して加熱領域Haを形成している。これにより定着ローラ20表面には、加熱領域Haにおいてヒータ30から直接熱が伝達されるとともにヒータ30の基板30aから熱を伝達されたコの字板金31からも直接熱が伝達される。これによって定着ローラ20表面はヒータ30及びコの字板金31から熱を受け取ることになり、ウォームアップタイムの短縮を図れる。また、ヒータ30の熱は定着ローラ20表面とコの字板金31に伝達され定着ローラ20表面の加熱に用いられる。そのためヒータ30の温度を定着ローラ20表面に比べて十分に高い温度に維持する必要がなく、これによりヒータ30温度を低減できるようになる。従って、本実施例1の定着装置15によれば、ウォームアップタイムの短縮とヒータ30温度の低減を両立でき、外部加熱装置29のヒータ30からの熱をより効率的に定着ローラ20表面に伝達できるようになる。
[実施例2]
定着装置の他の例を説明する。
本実施例2に示す定着装置は、加熱部材の熱伝達部材としてヒータを係合可能にLの字形状に形成されているアルミニウム板金(以下、L字板金と記す)を用いた点を除いて、実施例1の定着装置15と同じ構成としてある。
本実施例2では、実施例1の定着装置15と同じ部材及び部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。実施例3、実施例4についても同様とする。
図6は加熱部材28の長手方向中央部を省略した説明図であって、ヒータ30とL字板金36との接触形態を表わす説明図である。図7は加熱部材28のヒータ30及びL字板金36と定着ローラ20表面との加熱領域Haを表わす説明図である。
L字板金36は長手方向に細長い部材である。このL字板金36は、ヒータ30の基板30aの厚みよりも厚みのある板状の部材の短手方向において定着ローラ20表面と対向する面(以下、表面と記す)36aの右半分の領域に切除部36dを設けたものである。そしてその切除部36dにヒータ30の基板30aを嵌合させている。
L字板金36において、長さLと幅Wと厚みHは、それぞれ、実施例1のコの字板金31と長さLと幅Wと厚みHと同じである。切除部36dの幅Wdはヒータ30の基板30aの幅と略同じ5mmである。切除部36dの深さDはヒータ30の基板30aの厚みと略同じ1mmである。そして切除部36dを区画する天井面36b1が基板30aの裏面30a1と、切除部36dを区画する内側面36b2が対応する基板30aの側面30a2と、それぞれ、面接触している。
本実施例2の定着装置15は、実施例1の定着装置15と同様、断熱ステイホルダ32上に配された金属ステイ33の長手方向両端部が加圧ばねなどの加圧手段(不図示)によって定着ローラ20の軸線に向け総圧98Nで加圧されている。これにより断熱ステイホルダ32に保持されているヒータ30の保護摺動層30fの表面とL字板金36の表面36aがそれぞれ定着ローラ20表面と接触し定着ローラ20の弾性層22を弾性変形させている(図7)。従って外部加熱装置29は、ヒータ30とこのヒータ30を保持するL字板金36を断熱ステイホルダ32及び金属ステイ33によってバックアップする構成となっている。これによって、定着ローラ20表面とその定着ローラ20表面と面接触しているヒータ30の保護摺動層30f表面及びL字板金36の表面36aとの間に幅およそ7mmの加熱領域Haを形成している。従ってL字板金36は、L字板金36の表面36aが定着ローラ20の回転方向においてヒータ30の上流側で定着ローラ20表面と接触している。つまりL字板金36は、ヒータ30の定着ローラ20表面と接触している表面(保護摺動層30f)以外の面の少なくとも1つの面(表面36a)が定着ローラ20表面と接触している。
本実施例2の定着装置15について、実施例1と同様、定着ローラ20の立ち上げテストを行ったところ、実施例1の定着装置15よりも良好な結果を示した。即ち、定着ローラ20表面が150℃に達する時間は3.9秒であり、温度検知素子34が200℃を検知するのに要した時間は5.0秒であった。また、ヒータ30が200℃に温調されたとき、定着ローラ20表面の温度は平均して185℃で推移した。
本実施例2の定着装置15のように、加熱領域Haにおいてヒータ30を定着ローラ20の回転方向下流側に配置することによって効率よく定着ローラ20表面を加熱することができるようになる。これは、加熱領域Ha内において定着ローラ20表面と接触するL字板金36の表面36a及びヒータ30の保護摺動層30f表面に、効率よく定着ローラ20表面を加熱できるような温度勾配を形成することができるようになるからである。
定着ローラ20表面と接触するL字板金36の表面36a及びヒータ30の保護摺動層30f表面の温度のうち、L字板金36の表面36aの温度よりもヒータ30の保護摺動層30f表面の温度の方が高い。これはヒータ30はそれ自身が発熱しているためである。従って、定着ローラ20表面は、定着ローラ20の回転とともに加熱領域Ha内で、まず比較的温度の低いL字板金36の表面36aと接触し、その後に比較的温度の高いヒータ30の保護摺動層30f表面と接触することになる。よって、定着ローラ20表面には、加熱領域Ha内でL字板金36の表面36aから熱が伝達された後に、ヒータ30の保護摺動層30f表面から熱が伝達され、定着ローラ20表面の温度が高まっていく。このときの熱伝達の速度は、L字板金36とヒータ30との温度差によって決まる。この温度差の適切な値は特に限定されないが、加熱領域Ha全域に渡り、ある程度の温度差を保つことで、効率よく定着ローラ20表面を加熱することができる。
本実施例2の定着装置15において、定着ローラ20表面が加熱領域Haに突入した直後は記録材Pや未定着トナー像Tに熱を伝達した後であるため、定着ローラ20表面の温度は低い状態になっている。このときには、ヒータ30の温度もある程度低くても、定着ローラ20表面に熱を伝えることができる。加熱領域Ha内を定着ローラ20表面が移動するに従い、L字板金36の温度が高まっていくため、定着ローラ20表面への熱伝達の速度を遅めないためには、ヒータ30の温度が高くなっていく必要がある。
本実施例2の定着装置15は、加熱領域Haにおいて定着ローラ20の回転方向上流側部分では比較的温度の低いL字板金36で熱を定着ローラ20表面に伝達する。そして定着ローラ20の回転方向下流側部分では比較的温度の高いヒータ30で熱を定着ローラ20表面に伝達する。これにより、加熱領域Haの定着ローラ20の回転方向上流側から回転方向下流側にかけて温度が高くなっていく定着ローラ20表面に対し、ヒータ30との温度差を大きく保つことができるようになる。これによって、加熱領域Ha全域に渡って、良好な熱伝達を行うことができるようになるのである。
従って、本実施例2の定着装置15も、定着ローラ20表面には、加熱領域Haにおいてヒータ30から直接熱が伝達されるとともにヒータ30の基板30aから熱を伝達されたL字板金36からも直接熱が伝達される。よって実施例1の定着装置15と同様、ウォームアップタイムの短縮とヒータ30温度の低減を両立でき、外部加熱装置29のヒータ30からの熱をより効率的に定着ローラ20表面に伝達できるようになる。
[実施例3]
定着装置の他の例を説明する。
本実施例3に示す定着装置15は、加熱部材28の熱伝達部材としてヒータを係合可能にLの字形状に曲げ加工を施したアルミニウム板金(以下、L字曲げ板金と記す)37を用いた点を除いて、実施例1の定着装置15と同じ構成としてある。
図8は加熱部材28の長手方向中央部を省略した説明図であって、ヒータ30とL字曲げ板金37との接触形態を表わす説明図である。図9は加熱部材28のヒータ30及びL字曲げ板金37と定着ローラ20表面との加熱領域Haを表わす説明図である。
L字曲げ板金37は長手方向に細長い部材である。このL字曲げ板金37は、ヒータ30の基板30aの厚みと同じ厚みの板状の部材の短手方向において定着ローラ20表面と対向する面(以下、表面と記す)36aの右半分の領域に左半分の領域と平行になるように曲げ加工を施したものである。曲げ加工を施した部分37cでは、右半分の領域と左半分の領域間のエッジ部分に曲げ加工によるR形状が生じ、傾きなども生じるため、実施例2のL字板金36とは異なり、そのエッジ部分にヒータ30の基板30aの側面30a2が接触することはない。
L字曲げ板金37において、長さLと幅Wは、それぞれ、実施例1のコの字板金31と長さLと幅Wと同じである。L字曲げ板金37の厚みHはヒータ30の基板30aの厚みと略同じ1mmである。そして右半分の領域における定着ローラ20側の表面37aから左半分の領域における定着ローラ20側の表面37b1までの段差(高さ)Dhはヒータ30の基板30aの厚みと略同じ1mmである。右半分の領域の幅Wdはヒータ30の基板30aの幅と略同じ5mmである。左半分の領域の幅Weは3.5mmである。曲げ加工を施した部分37cの幅Wfは0.5mmである。そして左半分の領域の表面37b1が基板30aの裏面30a1と面接触している。
本実施例3の定着装置15は、実施例1の定着装置15と同様、断熱ステイホルダ32上に配された金属ステイ33の長手方向両端部が加圧ばねなどの加圧手段(不図示)によって定着ローラ20の軸線に向け総圧98Nで加圧されている。これにより断熱ステイホルダ32に保持されているヒータ30の保護摺動層30fの表面とL字曲げ板金37の右半分の領域の表面37aがそれぞれ定着ローラ20表面と接触し定着ローラ20の弾性層22を弾性変形させている(図9)。従って外部加熱装置29は、ヒータ30とこのヒータ30を保持するL字曲げ板金37を断熱ステイホルダ32及び金属ステイ33によってバックアップする構成となっている。これによって、定着ローラ20表面とその定着ローラ20表面と面接触しているヒータ30の保護摺動層30f表面及びL字曲げ板金37の表面36aとの間に幅およそ7mmの加熱領域Haを形成している。従ってL字曲げ板金37は、L字曲げ板金37の表面37aが定着ローラ20の回転方向においてヒータ30の上流側で定着ローラ20表面と接触している。つまりL字板金36は、ヒータ30の定着ローラ20表面と接触している表面(保護摺動層30f)以外の面の少なくとも1つの面(表面37a)が定着ローラ20表面と接触している。
このように、一枚の板状の部材に曲げ加工を施したL字曲げ板金37において、ヒータ30の定着ローラ20表面と接触する面以外の表面37aにより定着ローラ20表面に熱を伝達することが可能となる。
本実施例3の定着装置15について、実施例1と同様、定着ローラ20の立ち上げテストを行ったところ、実施例2の定着装置15と同じ結果が得られた。即ち、定着ローラ20表面が150℃に達する時間は3.9秒であり、温度検知素子34が200℃を検知するのに要した時間は5.0秒であった。また、ヒータ30が200℃に温調されたとき、定着ローラ20表面の温度は平均して185℃で推移した。
本実施例3のようなL字曲げ板金37を熱伝達部材として用いることにより、熱伝達部材の製造コストを下げることが可能となる。熱伝達部材として実施例1に示したコの字板金31又は実施例2に示したL字板金36を用いる場合、一枚の板状のアルミニウム板金に切削加工を施す必要があることから、その分だけ熱伝達部材に製造コストがかかってしまう。本実施例3に示したL字曲げ板金37は一枚の板状のアルミニウム板金に曲げ加工を施すだけであり、切削加工を施す必要のある熱伝達部材に比べ製造コストを抑えることができる。
また、実施例1で示したコの字板金31は、ヒータ30の裏面の他に側面30a2,30a3とも接触して熱を受け取るように構成されている。実施例2で示したL字板金36は、ヒータ30の裏面の他に側面30a2とも接触して熱を受け取るように構成されている。このようなコの字板金31及びL字板金36を熱伝達部材として用いる場合、その熱伝達部材とヒータ30との部品寸法が合う必要があり、公差を持つことができない、もしくは厳しい部品公差が求められる。本実施例3に示したL字曲げ板金37のようにヒータ30の裏面が接触し側面30a2が接触しないように構成すれば、そのL字曲げ板金37とヒータ30との部品寸法の公差を厳しくする必要がなく、製造コストへ反映することができるようになる。従って、安価な部材で定着装置15を構成することが可能となるのである。
また、本実施例3の定着装置15について定着ローラ20の立ち上げテストを行ったときの結果は、実施例2の定着装置15の結果とほぼ一致している。
これによりヒータ30の基板30aからのL字曲げ板金37への熱伝達は、ヒータ30の裏面から主に行われていることが解かる。つまりL字曲げ板金37は、ヒータ30の裏面の面積よりも狭い面積の側面30a2,30a3と接触していなくてもヒータ30の基板30aから充分に熱伝達が行われることがわかった。
従って、本実施例3の定着装置15も、定着ローラ20表面には、加熱領域Haにおいてヒータ30から直接熱が伝達されるとともにヒータ30の基板30aから熱を伝達されたL字曲げ板金37からも直接熱が伝達される。よって実施例1の定着装置15と同様、ウォームアップタイムの短縮とヒータ30温度の低減を両立でき、外部加熱装置29のヒータ30からの熱をより効率的に定着ローラ20表面に伝達できるようになる。
[実施例4]
定着装置の他の例を説明する。
本実施例4に示す定着装置は、加熱部材28と定着ローラ20表面との間に熱伝導性部材として耐熱性を有するシート状の樹脂部材38を介在させた点を除いて、実施例1の定着装置15と同じ構成としてある。
図10は加熱部材28と、定着ローラ20表面と、加熱部材28と定着ローラ20表面との間に介在させた樹脂部材38を表わす説明図である。
樹脂部材38は、加熱部材28のヒータ30及びコの字板金31と定着ローラ20表面との摺動性を向上させる目的で、加熱部材28のヒータ30及びコの字板金31と定着ローラ20表面との間に設けられる。従って加熱部材28は、ヒータ30の保護摺動層30f表面とコの字板金31の表面31aの両方が樹脂部材38の裏面と接触し樹脂部材38を介して定着ローラ20表面を加熱するための加熱領域Haを形成している。
樹脂部材38は、基層として例えばポリイミドなどの耐熱性を有する樹脂シートを有し、その樹脂シートの定着ローラ20表面と対向するシート表面上にはPFAなどの摺動性や離型性に優れた材料により形成された摺動層(不図示)を有する。つまり、樹脂部材38の定着ローラ20表面と接触する面には、定着ローラ20表面との摺動性を確保するための処理が施されている。定着ローラ20表面と対向するシート表面上に設けられる材料はPFAに限定されることはなく、PTFE、FEP等であってもよい。
樹脂シートの材料はポリイミドに限られず他の樹脂材料、例えば、PEEK、PES、PPS、等を使用しても良い。定着ローラ20表面と対向するシート表面上に設けられる材料はPFAに限定されることはなく、PTFE、FEP等であってもよい。また、樹脂シートに代えて、アルミニウムやステンレス、リン青銅等の金属材料で形成された金属シートを使用しても良い。
この樹脂部材38は、定着ローラ20の長さよりも長く形成され装置フレームに固定した状態に保持されている。樹脂部材38は、加熱部材28及び定着ローラ20に対し移動可能であってもよい。その場合、樹脂部材38を巻き取り可能に長尺に形成する。そしてその樹脂部材38の一端部を装置フレームに回転自在に保持させた巻き取りローラ(不図示)に結合するとともに他端部を装置フレームに回転自在に保持させたテンションローラ(不図示)に結合する。そして所定のタイミングで巻き取りローラを回転させ樹脂部材38を巻き取り定着ローラ20表面に付着したオフセットトナーを定着ローラ20表面から除去することによって、定着ローラ20表面のクリーニングを行うようにすることができる。
上述のように加熱部材28と定着ローラ20表面との間に熱伝導性部材として耐熱性を有するシート状の樹脂部材38を介在させる構成は、実施例2又は実施例3の定着装置15にも適用することができる。
実施例1の加熱定着装置の横断側面模式図 ヒータの一例の説明図 実施例1の加熱定着装置における加熱部材の長手方向中央部を省略した説明図であって、ヒータとコの字板金との接触形態を表わす説明図 実施例1の加熱定着装置における加熱部材のヒータ及びコの字板金と定着ローラ表面との加熱領域を表わす説明図 比較例の加熱定着装置の横断側面模式図 実施例2の加熱定着装置における加熱部材の長手方向中央部を省略した説明図であって、ヒータとL字板金との接触形態を表わす説明図 実施例2の加熱定着装置における加熱部材のヒータ及びL字板金と定着ローラ表面との加熱領域を表わす説明図 実施例3の加熱定着装置における加熱部材の長手方向中央部を省略した説明図であって、ヒータとL字曲げ板金との接触形態を表わす説明図 実施例3の加熱定着装置における加熱部材のヒータ及びL字曲げ板金と定着ローラ表面との加熱領域を表わす説明図 実施例4の加熱定着装置における加熱部材と、定着ローラ表面と、加熱部材と定着ローラ表面との間に介在させた樹脂部材を表わす説明図 画像形成装置の一例の構成模式図
符号の説明
20・・・定着ローラ、28・・・加熱部材、30・・・ヒータ、31・・・コの字板金、36・・・L字板金、37・・・L字曲げ板金、38・・・樹脂部材、Ha・・・加熱領域

Claims (8)

  1. 記録材が担持する画像を加熱する加熱用回転体と、前記加熱用回転体の表面と接触し前記加熱用回転体の表面を加熱する加熱部材と、を有する像加熱装置において、
    前記加熱部材は、熱伝導性の基板上に発熱体を有するヒータと、前記基板と接触し前記基板の材料よりも高い熱伝導率を有する材料からなる熱伝達部材と、を有し、前記ヒータと前記熱伝達部材の両方で前記加熱用回転体の表面を加熱するための加熱領域を形成していることを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記熱伝達部材は、前記加熱用回転体の回転方向において前記ヒータの上流側と下流側で前記加熱用回転体の表面と接触していることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 前記熱伝達部材は、前記加熱用回転体の回転方向において前記ヒータの上流側で前記加熱用回転体の表面と接触していることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  4. 前記熱伝達部材は、前記ヒータの前記加熱用回転体の表面と接触している面以外の面の少なくとも一つの面が前記加熱用回転体の表面と接触していることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  5. 記録材が担持する画像を加熱する加熱用回転体と、前記加熱用回転体の表面と接触する熱伝導性部材と、前記熱伝導性部材と接触し前記熱伝導性部材を介して前記加熱用回転体の表面を加熱する加熱部材と、を有する像加熱装置において、
    前記加熱部材は、熱伝導性の基板上に発熱体を有するヒータと、前記基板と接触し前記基板の材料よりも高い熱伝導率を有する材料からなる熱伝達部材と、を有し、前記ヒータと前記熱伝達部材の両方が前記熱伝導性部材と接触し前記熱伝導性部材を介して前記加熱用回転体の表面を加熱するための加熱領域を形成しており、前記熱伝導性部材の前記加熱用回転体の表面と接触する面には、前記加熱用回転体の表面との摺動性を確保するための処理が施されていることを特徴とする像加熱装置。
  6. 前記熱伝達部材は、前記加熱用回転体の回転方向において前記ヒータの上流側と下流側で前記加熱用回転体の表面と接触していることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
  7. 前記熱伝達部材は、前記加熱用回転体の回転方向において前記ヒータの上流側で前記熱伝導性部材と接触していることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
  8. 前記熱伝達部材は、前記ヒータの前記加熱用回転体の表面と接触している面以外の面の少なくとも一つの面が前記熱伝導性部材と接触していることを特徴とする請求項5に記載の像加熱装置。
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