JP2007065315A - 画像加熱装置 - Google Patents

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Akito Kanamori
昭人 金森
Satoru Izawa
悟 伊澤
Hiroto Hasegawa
浩人 長谷川
Hideyuki Matsubara
英之 松原
Shinji Hashiguchi
伸治 橋口
Kouji Nihonyanagi
亘児 二本柳
Koji Uchiyama
康治 内山
Toshiya Kaino
俊也 甲斐野
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Abstract

【課題】記録材との分離性能の向上、画像品質の向上。
【解決手段】可撓性部材23の内周面と接して前記可撓性部材の移動軌跡を規制する支持部材21・22は、前記可撓性部材の移動軌跡中の曲率を最大にする支持部R1と最小にする他の支持部R2をそれぞれ有する。前記支持部をニップ部Nよりも前記可撓性部材移動方向の下流側に配設し、前記他の支持部を前記ニップ部よりも前記可撓性部材移動方向の上流側に配設する。そして前記可撓性部材の外周面を加熱する加熱手段24を前記他の支持部と対向させて配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式、或いは静電記録方式の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置として用いれば好適な画像加熱装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置(以下、定着装置と略記する)として、特許文献1に開示されているものが知られている。
この定着装置は、図7に示すように、定着部材90と、定着部材加熱用の第1加熱ローラ95と、加圧ローラ60と、加圧部材加熱用の第2加熱ローラ66と、を有している。定着部材90は、可撓性を有するエンドレス状の定着ベルト92が巻き掛けローラ93とテンションローラ91とにテンションをかけて張架させたベルト回転体として構成してある。加圧ローラ60は、基体である芯金61上に、断熱層62、弾性層63、離型層64を順で積層された層を有するローラ体として構成してある。そして加圧ローラ60を巻き掛けローラ93に近接させて定着ベルト92に加圧させることによって定着ベルトと加圧ローラとの間に圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成している。そしてヒータ94を内蔵する第1加熱ローラ95によって定着ベルト92を外部から加熱し、ヒータ65を内蔵する第2加熱ローラ66によって加圧ローラ60を外部から加熱して、未定着トナー画像tを担持した記録材Pを圧接ニップ部Nで挟持搬送する。この搬送過程で記録材Pに熱と圧力を作用させることによって未定着トナー画像を記録材に永久画像として加熱定着させている。そして圧接ニップ部Nを出た記録材Pを定着ベルト外周面から曲率分離させて定着装置の外部へ排出する。
この定着装置において、定着ベルト92としては、ポリイミド樹脂のベルト基体に断熱層として発泡シリコーンゴム層、その上に弾性層としてソリッドシリコーンゴム層、さらに表面にフッ素樹脂離型層を塗布して形成されている。この場合、低熱容量の定着ベルト92を外部から加熱する方式のため、急速に定着ベルトの外周面を加熱することが可能となり、ウォームアップ時間が短縮される。さらに、定着ベルト92が弾性層を有しているため、定着ベルトが記録材上の未定着トナー画像に均一に接することで画像光沢ムラの発生を防止することが可能になっている。
特開2002−278338号公報
上記定着装置においては、図に示すように巻き掛けローラ93の半径r1がテンションローラ91の半径r2よりも大きい(r1>r2)場合、定着ベルト92の回転軌跡中の曲率がテンションローラと接する部分で最大となる。また定着ベルト92の回転軌跡中の曲率が巻き掛けローラ93と接する部分で最小となる。つまり圧接ニップ部Nを出た記録材Pが定着ベルト92から分離する分離部Aにおいて定着ベルトの回転軌跡中の曲率が最小となる。定着ベルト92の回転軌跡中の曲率がテンションローラ91と接する部分で最大になると、定着ベルト外周面と第1加熱ローラ95との接触幅が狭くなり、第1加熱ローラから定着ベルトへの伝熱効率が低下し易くなるという懸念があった。また、定着ベルト92の回転軌跡中の曲率が分離部Aで最小になると、定着ベルト92の曲率分離による記録材Pとの分離性能が低下して定着ベルトに記録材が巻き付き易くなるという懸念もあった。
本発明の目的は、記録材との分離性能の向上と、画像品質の向上を図れる画像加熱装置を提供することにある。
本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、可撓性部材と、前記可撓性部材の内周面と接して前記可撓性部材の移動軌跡を規制する支持部材と、前記可撓性部材の外周面を加熱する加熱手段と、前記支持部材と前記可撓性部材を挟んでニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する画像加熱装置において、前記支持部材は、前記可撓性部材の移動軌跡中の曲率を最大にする支持部と最小にする他の支持部をそれぞれ有し、前記支持部を前記ニップ部よりも前記可撓性部材移動方向の下流側に配設し、前記他の支持部を前記ニップ部よりも前記可撓性部材移動方向の上流側に配設し、前記他の支持部と対向させて前記加熱手段を配置していることを特徴とする画像加熱装置、である。
本発明によれば、支持部材において可撓性部材の移動軌跡中の曲率を最大にする支持部で記録材を分離できる。また、可撓性部材の移動軌跡中の曲率を最小にする他の支持部で可撓性部材を加熱することにより可撓性部材の伝熱効率の低下を防止できる。よって、記録材との分離性能の向上と、画像品質の向上を図ることができる。
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
(1)画像形成装置
図6は本発明に係る画像加熱装置を画像加熱定着装置として搭載できる画像形成装置の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真画像形成プロセス利用のレーザープリンタである。
画像形成装置は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラム)1を備えている。感光ドラム1は装置本体Mによって回転自在に支持されている。この感光ドラム1は駆動手段(不図示)によって矢印R方向に所定のプロセススピードで回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って帯電ローラ(帯電装置)2と、露光手段3と、現像装置4と、転写ローラ(転写装置)5と、クリーニング装置6とがその順に配設されている。また装置本体Mの下部には、転写紙等のシート状の記録材Pを収納した給送カセット(以下、カセットと略記する)7が配置されている。そして記録材Pの搬送経路に沿ってカセット7側から順に、給送ローラ15と、搬送ローラ8と、トップセンサ9と、搬送ガイド10と、画像加熱定着装置11と、排紙センサ16と、搬送ローラ12と、排出ローラ13と、排出トレイ14と、が配置されている。
また、消耗品であるトナーの補給や感光ドラム1の交換を簡便化するため、感光ドラム1と、帯電ローラ2と、現像装置4と、クリーニング装置6は、一体型のカートリッジCとして構成されている。そしてこのカートリッジCは装置本体Mに取り外し可能に装着される。
次に、上記画像形成装置の画像形成動作を説明する。
(i)駆動手段(不図示)によって矢印R方向に回転駆動された感光ドラム1は、帯電ローラ2によって所定の極性、所定の電位に一様に帯電される。
(ii)帯電後の感光ドラム1はその外周面(表面)に対しレーザー光学系等の露光手段3によって画像情報に基づいた画像露光Lがなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。
(iii)静電潜像は現像装置4によって現像される。すなわち現像装置4は、現像ローラ4aを有し、この現像ローラに現像バイアスを印加して感光ドラム1上の静電潜像にトナー(現像剤)を付着させ、静電潜像をトナー像として現像(顕像化)する。
(iv)トナー像は転写ローラ5によって記録材Pに転写される。すなわち給送カセット7に収納されている記録材Pは給送ローラ15によって給送され、次いで搬送ローラ8によって搬送される。そしてトップセンサ9を介して感光ドラム1と転写ローラ5との間の転写ニップ部に搬送される。このとき記録材Pはトップセンサ9によって先端が検知され、感光ドラム1上のトナー像と同期がとられる。転写ローラ5には転写バイアスが印加される。これにより感光ドラム1上のトナー像が記録材P上の所定の位置に転写される。
(v)転写によって未定着トナー像を表面に担持した記録材Pは、搬送ガイド10に沿って画像加熱定着装置(以下、定着装置と略記する)11に搬送され、ここで未定着トナー画像が加熱および加圧されて記録材表面に定着される。
(vi)トナー画像定着後の記録材Pは、搬送ローラ12によって搬送され、次いで排出ローラ13によって装置本体Mの上部に設けられた排出トレイ14上に排出される。
(vii)一方、トナー画像転写後の感光ドラム1は、記録材Pに転写されないで表面に残ったトナーがクリーニング装置6のクリーニングブレード6aによって除去され、次の画像形成に供される。
上記(i)から(vii)の動作を繰り返すことによって、給送カセット7から順次給送されてくる記録材Pに対して次々と画像形成を行なうようになっている。
(2)定着装置11
図1は定着装置11の一例の横断面側面模型図である。この定着装置11は可撓性のエンドレスベルトを有する加圧ローラ駆動方式の定着装置である。
定着装置11は、可撓性部材としての定着ベルト23と、支持部材としての大径のバックアップローラ(バックアップ部材)21および小径の巻き掛けローラ22と、加熱手段としてのヒータ24と、加圧部材としての加圧ローラ25と、を有している。エンドレス状の定着ベルト(以下、ベルトと略記する)23はバックアップローラ21と巻き掛けローラ22とにテンションをかけて張架されている。そしてベルト23を介してバックアップローラ21に加圧ローラ25を不図示の加圧バネ等の加圧手段により加圧することによって、ベルトと加圧ローラ25との間に所定幅の定着ニップ部(以下、ニップ部と略記する)Nを形成している。この加圧ローラ25は回転駆動系Mによって反時計方向へ回転駆動される。すると加圧ローラ25の回転力がニップ部Nを介してベルト23に伝達され、これによりベルトが加圧ローラの回転に追従して時計方向へ回転する。
ベルト23の回転は加圧ローラ25による従動回転に限られず、バックアップローラ21、或いは巻き掛けローラ22による回転駆動でも良い。
上記ベルト23、バックアップローラ21、巻き掛けローラ22および加圧ローラ25について更に詳述する。
a)ベルト23
ベルト23は、図2に示すように、可撓性を有するエンドレスベルト状の基層23aを支持部材21・22側に基材として備える断熱ベルトである。基層23aとしては、後述する断熱層23bの熱伝導率や厚みにも依るが、熱伝導性の低い部材を使用した方が好ましい。例えば、基層23aとして、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PFA、PTFE、FEP等の耐熱性樹脂、あるいはSUS、Ni等の金属によって可撓性を有する程度に薄肉に形成したもの用いることができる。
基層23aの外側(ニップ側)には、シリコーンゴムに発泡剤を加えて発泡させたシリコーンスポンジからなる断熱層23bが形成されている。断熱層23bの厚さは特に制限されないが、0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜3.5mmとする。断熱層23bの厚さをこの値とすることにより、発泡体の弾性を活かして記録材P上の未定着トナー画像tの定着一様性を確保するとともに、断熱層としての有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径のベルト23を構成することが可能となる。
ベルト23の外周面には離型層23cが被覆してあった方が好ましい。ベルト23の外周面は、長期間に渡りヒータ24により加熱され、記録材Pから多数回の摩擦を受け、さらにトナーにさらされる。このため、良好な耐熱性、摺動性、トナー離型性を備える離型層23cが必要なのである。このような要求を満たす好ましい材料としての例としては、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。フッ素系樹脂としては、フッ素系樹脂コーティング剤やフッ素系樹脂チューブなどにより形成されるものを挙げることができる。例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)等である。その他に、フッ化エチレンポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)等である。コーティングとしては、ラテックスやダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)、ディスパージョンによるディッピング塗工、スプレー塗工等、断熱ベルトの表面に被覆するどのような方法であっても良い。離型層23cの厚さは特に制限されないが、1〜50μm、好ましくは5〜30μmとする。
またベルト23の外周面に対し、後述するヒータ24からの輻射熱を効率良く吸収させるため、上記断熱層23bや上記離型層23c、あるいは断熱層23bと離型層23c間を接着するプライマー層の内、少なくとも一層は黒色に着色した方が好ましい。黒色への着色方法は、一般的にはカーボンの添加にて達成している。しかし、輻射熱を効率良く吸収でき、かつ離型層23cで言えば、耐熱性や離型性等の特性を低下させないような手法であれば、特に制限は無い。
b)バックアップローラ21および巻き掛けローラ22
バックアップローラ21および巻き掛けローラ22は、それぞれ、記録材搬送方向Kと直交する長手方向に細長いローラ形状に形成してあり、ベルト23の内周面と接してベルトの回転軌跡を規制するように配置されている。このバックアップローラ21および巻き掛けローラ22の長手方向両端は装置フレームの側板対に回転自在に軸受け支持されている。
ところで、ベルト23の回転軌跡を規制する支持部材として、一部品の支持部材をベルトの内周面全域に接触させてベルトの回転軌跡を規制しても構わないが、支持部材が一部品の場合は容積が大きくなる。このため支持部材としての熱容量が大きくなり、無駄な電力が消費されてしまう。このような問題を回避するためには支持部材を2つの部材に分割することが好ましい。
また、少なくともベルト23の回転軌跡中の最小曲率を形成する支持部材は、ベルトと摺動する面積が大きく、かつ加圧ローラ25とニップ部Nを形成するため、ベルトの回転と略等速で回転するローラ形状であることが好ましい。
そこで、本実施例では、バックアップローラ21と巻き掛けローラ22を支持部材として用いた。バックアップローラ21は、ベルト23の回転軌跡中の曲率が最大となるようにベルトの内周面と接する支持部に対応するものである。このバックアップローラ21は、ベルト23の回転軌跡を形成できる最低限必要な形状に形成されている。すなわち、加圧ローラ25と対向してニップ部Nを広く形成できるようベルト回転軌跡中の円弧部における最小曲率(曲率半径R1)部を外周面に有する形状に形成されている。巻き掛けローラ22は、ベルト23の回転軌跡中の曲率が最小となるようにベルトの内周面と接する他の支持部に対応するものである。この巻き掛けローラ22は、ベルト23の回転方向においてニップ部Nの下流側にベルトと記録材Pとが曲率分離可能に最大曲率(曲率半径R2)部を外周面に有する形状に形成されている。これによりベルト23の回転方向において巻き掛けローラ22の曲率に沿う円弧部のニップ部N寄りの部分に分離部としての分離ポイントAを形成することができた。
さらに、ベルト23の回転方向においてニップ部Nを形成するバックアップローラ21から最大曲率部を形成する巻き掛けローラ22間は記録材P以外にベルトと接触する部材が配置されないことが好ましい。本実施例においては記録材Pはニップ部Nから分離ポイントAにかけて薄肉で熱容量も小さいベルト23としか接触しない。従って、ニップ部Nで加熱溶融された記録材P上の未定着トナー画像tの熱を記録材がニップ部から分離ポイントAに達するまで放熱させることができる。このため分離ポイントAにおける記録材上のトナー画像温度を下げることができる。すなわち、ベルト23と記録材Pの分離時におけるトナー画像の凝集力を、トナー画像とベルトの粘着力よりも高くすることができる。このため、ベルト23と記録材Pはたやすく分離でき、ベルトへの記録材Pの巻き付き防止効果をより高めることができる。
c)加圧ローラ25
加圧ローラ25は、記録材搬送方向Kと直交する長手方向に細長いローラ形状に形成してある。この加圧ローラ25は、芯軸部25aの外周面に断熱層25bを有し、更にその上に離型層25cを有する横断面円形状のローラ体である。そして芯軸部25aの両端を不図示の装置フレームの側板対に回転自在に軸受け支持させている。芯軸部25aは、アルミ、鉄製、あるいはセラミック多孔質体等にて形成されている。断熱層25bとしては、シリコーンゴム、シリコーンゴムを発泡して形成したシリコーンスポンジゴム、シリコーンゴム中に中空フィラー、吸水性ポリマー、ガラスビーズ等を含有させたバルーンあるいは気泡含有シリコーンゴム等が用いられている。離型層25cは、断熱層25bの外周面においてフッ素ゴムラテックス(ダイキン工業株式会社製、商品名:GLS213)をプライマ処理(ダイキン工業株式会社製、商品名:GLP103SR)した後にスプレーコートすることで形成している。離型層25cはこれに限られず、断熱層25bの外周面にPFA、PTFE等のフッ素樹脂層をコーティングあるいはチューブ状に被覆して形成してもよい。
上記加圧ローラ25をバックアップローラ21と巻き掛けローラ22によりテンションをかけられたベルト23に加圧させてニップ部Nを形成しても構わない。しかし、ベルト23のテンションのみで加圧ローラ25に対しバックアップの無い状態では、例え幅広のニップ部Nが形成できてもニップ内圧力としては低いため、記録材Pに対してのベルト23からの効率的な伝熱は難しい。
そこで本実施例では、加圧ローラ25をベルト23を挟んで大径のバックアップローラ21の円弧部に加圧させてニップ部Nを形成することにより、バックアップ付加によりニップ内圧力がアップし、かつ円弧部の曲率に応じてニップ幅も広く取れるようになった。これにより記録材Pに対してのベルト23からの効率的な伝熱が可能となった。
加圧部材は加圧ローラに限られず、固定の加圧シート等の加圧部材でも良い。この場合も加圧部材は断熱性を有する部材にすることが望ましい。また、上記ベルト23との間で所定の圧力を付与させた場合に強度的に十分な強度を有するものであれば良い。例えば加圧部材は、ガラスビーズを含有する液晶ポリマー等の樹脂の加熱ローラ側に摺動材としてフッ素樹脂を被覆させてある部材等で構成されていても構わない。
d)ヒータ24
ヒータ24は、ベルト23の回転方向において巻き掛けローラ22の下流側とニップ部Nの上流側の間に配置されている。すなわち、ヒータ24は、バックアップローラ21の円弧部すなわち最小曲率(曲率半径R1)部と対向する位置に配置されている。このヒータ24は、加熱源24aとしてハロゲンヒータやカーボンヒータ等のように被加熱物(本実施例ではベルト23)に対して非接触で加熱可能なものを用いる。加熱源24aのベルト23と反対側には、加熱源の輻射熱を効率良くバックアップローラ21の円弧部においてベルト外周面に反射する反射板24bが配置されている。反射板24bは、高輝アルミや、金や銀等で表面をメッキされた金属や耐熱樹脂等からなり、加熱源24aを内包する側の面が、特に赤外線光に対して反射率の高い鏡面状となっており、効率良くベルト23の外周面に輻射熱を与える構成となっている。
31は温度制御手段である。温度制御手段31は、トライアック33と、制御部(CPU)32と、を有する。制御部32は、温度検知手段としてベルト23の外周面に対して接触あるいは非接触に配置された温度検知素子26が測定するベルト外周面の温度に基づいてトライアック33を制御し、ヒータ24の加熱源24aに対する電力供給を制御する。
温度検知素子(以下、サーミスタと記す)26は、ヒータ24の温度制御や、異常昇温の監視のために設けられている。サーミスタ26の取り付け位置としては、ベルトの回転方向においてヒータ24とニップ部Nの間に配置することが好ましい。この位置にサーミスタ26を配置することで、ニップ部突入前のベルト23の外周面の温度を測定でき、かつヒータ24への電力供給制御によるベルト外周面の温度変化を、他に熱を奪われることなくダイレクトに検知でき、精度の高い温度制御が可能となる。
(3)定着装置11の加熱定着動作
加圧ローラ25の回転駆動によりベルト23が従動回転された状態において温度制御手段31はサーミスタ26から温度情報を取り込む。制御部32はその温度情報に基づいてベルト23の外周面温度が所定の定着温度(目標温度)に維持されるようにトライアック33を温調制御する。これによってニップ部Nの温度は定着温度に維持される。
ニップ部Nの温度を定着温度に維持した状態でニップ部に未定着トナー画像tを形成担持させた記録材Pが導入されると、記録材はニップ部において加圧ローラ25とベルト23とで挟持搬送される。その搬送過程で未定着トナー画像tに対してベルト23により熱を付与して未定着トナー画像を溶融加熱すると共に、ニップ部Nにより圧力を付与してその未定着トナー画像を記録材P上に加圧定着させる。これにより未定着トナー画像は記録材P上に永久画像として固着される。
ニップ部Nを出た記録材Pはベルト23の分離ポイントAでベルト外周面から曲率分離されて定着装置11の外部に排出される。
(4)比較実験
本実施例の定着装置11において、ベルト23の回転軌跡における曲率半径R1とR2を各々振った場合について、ベルトへの記録材Pの巻き付き評価、及び定着性の評価を実施した。またその際、プリント速度の異なる本体(LTRサイズの縦送り方向に、30PPM/40PPM)での比較も実施した。なお、ベルト23は、基層23aはポリイミド50μm、断熱層23bはシリコーンスポンジ2mm、離型層23cはPFAチューブ20μmから構成され、内径は27mm品を使用した。
(A)巻き付き評価
紙の剛性が低下し、巻き付きに対する条件としては厳しくなる32.5℃/80%RHの環境下で、薄紙であるBadger Bond/Offset 16/40 lb.(Badger Paper Mills Inc.製)紙を用いた。この薄紙にベタ黒パターンを100枚連続プリントして、ベルト23への紙の巻き付きの有無の評価を行なった。なお定着条件としては、各々の構成で上記紙種の定着性を満足できる最低限の電力で評価を行なった。
この評価は、高速化により分離ポイントAにおける紙上のトナーのトナー温度が低下せず、トナーとベルト23の粘着力の方がトナーの凝集力よりも高くなり、ベルトと紙が分離しにくくなるため、各々の構成における巻き付き防止効果を比較するものである。
(B)定着性評価
紙の温度が低下し、定着性の条件としては厳しくなる15℃/10%RHの環境下で、表面性の粗いラフ紙であるFox River Bond #24(Fox River Paper Co.製)紙を用いた。このラフ紙に文字パターンを500枚連続プリントして、擦り試験等により定着性の評価を行なった。なお定着条件としては、定着性を満足させるのに必要な電力が最も少ない構成を見つけ、その電力を他の構成にも投入し、定着性を評価した。
この評価は、各々の構成における同一電力投入時の定着性が比較できるため、より低消費電力の構成を明確にするものである。
これらの結果を表1に示す。表中の○は巻き付きの発生無し、或いはOKレベル、△は実用上問題の無いレベル、×は巻き付きが発生、或いはNGレベルを示す。
この結果より、プリント速度を高速化しても、ベルト23の回転軌跡における分離ポイントAの曲率半径R2を小さくすることで巻き付き防止効果が高められることが確認できた。また、ベルト23の回転軌跡におけるヒータ24からの被加熱部及びニップ部Nの曲率半径R1を大きくすることで、ヒータからベルトへの伝熱効率の低下を防止できる。より低い電力で定着性を満足させることができることが確認できた。
本実施例では、固定式の支持部材を用いてベルトの回転軌跡を規制する定着装置11の一例を説明する。実施例1と同一若しくは同一機能の部材には同じ符号を付して再度の説明を省略する。図3に本実施例の定着装置の一例の横断面側面模型図を示す。
固定式の支持部材30は、ベルト23の内周面と接する支持部としての円弧状の最小曲率(曲率半径R3)部と、ベルト23の内周面と接する他の支持部としての円弧状の最大曲率(曲率半径R4)部を、それぞれ外周面に有する形状に形成してある。そして支持部材30の外周面はベルトの周長に余裕を持たせた形(テンションが加わらない状態)でベルトの内周面と接している。図中破線Bは円弧状の最小曲率(曲率半径R3)部を円とした場合の仮想軌跡である。
加圧ローラ25は、不図示の加圧バネによりベルト23を介して支持部材30を圧接するように配置することで、記録材Pを搬送し、かつ記録材上の未定着トナー画像tを加熱、加圧するニップ部Nを形成している。そして、不図示の回転駆動系により加圧ローラ25を回転駆動させることによってベルト23が加圧ローラ25により従動回転される。支持部材30においてベルト23の内周面と接する外周面に潤滑剤(不図示)を介在させて支持部材とベルト間の摺動トルクを低減することにより、ベルトに対して記録材Pをスリップさせないようにしている。潤滑剤はフッ素系グリス(例えば、HP−300 GREASE(ダウコーニング社)や、DEMNUM GREASE L−65(ダイキン工業社))等の耐熱品を使用しているが、特に制限は無い。
ベルト23の回転軌跡は、ニップ部Nよりも上流側が支持部材30の最小曲率(曲率半径R3)部と対応した最小曲率となっている。またニップ部よりも下流側が支持部材30の最大曲率(曲率半径R4)部により記録材搬送方向Kの下流方向へ突っ張り出されて最大曲率となっている。そして支持部材30の最大曲率部により突っ張り出された最大曲率のニップ部N寄りの部分に分離部としての分離ポイントAを形成している。
本実施例のように支持部材30を固定式としても、ベルト23の回転方向においてニップ部Nよりも下流側にニップ部から距離α遠ざけた位置に分離ポイントAを設けることができる。これにより、ニップ部Nで加熱溶融された記録材P上の未定着トナー画像tの熱を記録材がニップ部から分離ポイントAに達するまで放熱させることができるため、分離ポイントにおける記録材上のトナー画像温度を下げることができる。すなわち、ベルト23と記録材Pの分離時におけるトナー画像の凝集力を、トナー画像とベルトの粘着力よりも高くすることができる。このため、ベルト23と記録材Pはたやすく分離できる。さらに、分離ポイントAをベルト23の回転軌跡中の最大曲率となるように形成しているため、ベルトへの記録材Pの巻き付き防止効果をより高めることができる。
本実施例では、接触式の加熱部材を用いた定着装置11の一例を説明する。実施例1と同一若しくは同一機能の部材には同じ符号を付して再度の説明を省略する。図4は本実施例の定着装置の一例の横断面側面模型図である。図5は接触式の加熱部材の一例の横断面側面模型図である。
加熱部材27として、ベルト23の外周面を急速加熱可能な面状発熱体を用いている。具体的には、記録材搬送方向Kと直交する長手方向に細長い基板27aと、この基板上に形成された発熱抵抗層27bと、この発熱抵抗層を覆うように基板上に形成された保護摺動層27cと、を有するセラミックヒータ(以下、ヒータと略記する)を用いている。28はヒータ27を保持する断熱性のステイホルダー(以下、ホルダーと略記する)である。26はヒータ27の基板27aの温度を検知するサーミスタ26である。サーミスタ26は、ヒータ27の温度制御や、異常昇温の監視のために設けられている。
ヒータ27において、基板27aはアルミナや窒化アルミ等の絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板より形成されている。基板27aの表面には、基板の長手方向に沿って例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO、TaN等の通電発熱抵抗層28bをスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成してある。基板27aのベルト23側(表面側)には、熱効率を損なわない範囲で基板上の通電発熱抵抗層27bを保護する保護摺動層27cを設けてあっても良い。但し、保護摺動層27cの厚みは充分薄く、表面性を良好にする程度が好ましい。その例としては、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)、等のフッ素樹脂層を単独ないしは混合して被覆する。あるいはエチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(CTEF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素樹脂層を単独ないしは混合して被覆する。あるいは保護摺動層27cとして、グラファイト、ダイアモンド・ライク・カーボン(DLC)、二硫化モリブデン等からなる乾性被膜潤滑剤、ガラスコート等を用いることが考えられる。また、基板27aとして熱伝導性の良好な窒化アルミ等を使用する場合には、通電発熱抵抗層27bは基板に対してベルト23側と反対に形成してあっても良い。
ホルダー28は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により形成されている。このホルダー28は、バックアップローラ21側の面に設けた凹部によってヒータ27の基板27aを保持している。そして不図示の加圧バネ等によりバックアップローラ21側に付勢されている。これによりヒータ27の保護摺動層27cがベルト23の外周面に接触して、ヒータとベルト外周面とで加熱ニップ部Hが形成される。このホルダー28は熱伝導率が低いほどベルト23の外周面の加熱に際する熱効率が高くなる。よって樹脂層の中に中空のフィラー、例えばガラスバルーン、シリカバルーン等を内包してあっても良い。
サーミスタ26は、ヒータ27のベルト23側の反対側(裏面側)に配置されている。このサーミスタ26は通電発熱抵抗層27bの発熱に応じて昇温した基板27aの温度を検知する。その温度情報を温度制御手段31の制御部32が取り込み、その温度情報に基づいてトライアック33を制御してヒータ27の通電発熱抵抗層28bへの通電を制御する。すなわち、サーミスタ26の温度情報に応じて、基板27aの長手方向端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層28bに印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、ヒータ27を発熱させている。このヒータ27の発熱によってベルト23の外周面の加熱・温調を行っている。
もちろん、上記のヒータ27に代えて、加熱源(ハロゲンヒータ)を内包するローラ形状の加熱部材を用いてもよい。この場合に加熱部材はベルト23の回転に従動する方式とする。このようにベルト23の外周面に接触してベルト外周面を加熱する加熱部材であれば加熱源の種類に制限は無い。
ここで、ヒータ27とベルト23外周面とで形成される加熱ニップ部Hは、ニップ内圧力が高く、ニップ幅が広い方がベルトの効率的な加熱が可能となる。そのためヒータ27は、本実施例のように、ベルト回転軌跡中の円弧部における最小曲率(曲率半径R1)部を外周面に有するバックアップローラ21とベルト23を挟んで対向させるとよい。これによって、バックアップローラ21のバックアップ付加によりニップ内圧力をアップでき、かつ円弧部における最小曲率部のためニップ幅も広く取れて好ましい。
なお、加熱部材が接触式の場合、輻射熱の吸収は無関係となるため、ベルト23の断熱層23bや離型層23c、あるいは断熱層と離型層間を接着するプライマー層の内、少なくとも一層を黒色に着色する必要も無い。
次に実施例4として、ベルト23を構成する断熱層23bの他の例を示す。実施例1と同一若しくは同一機能の部材には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
実施例1における断熱層23bのシリコーンスポンジは、射出成形のように金型内で発泡させる成形手法で微小かつ均一なセルを形成することは難しいため、層中のセル径は不均一に成形されやすく、セルの壁厚も不均一で強度のバラツキが大きかった。すなわち、シリコーンスポンジをベルト23として形成した場合、大きな曲率でベルトにテンションをかけ続けると強度の弱いセル壁が破れ、破泡に至ることがある。このため、分離性の向上としてベルト23の最大曲率をより一層大きく設定することは困難であり、さらなる高速化及び高耐久化の懸念点であった。
そこで、本実施例では、ベルト23の曲率によるベルトと記録材Pの分離性能をより一層向上させるため、図2に示すベルト23の断熱層23bとして、バルーン含有シリコーン弾性層、あるいは気泡含有シリコーン弾性層を採用する。この弾性層のいずれも、層中にセルを略均一に微小な粒径で均一に分散でき、セルの壁厚も均一で強度のバラツキも小さく、ベルト23の曲率を大きくしても破泡しにくい性状を有する。
バルーン含有シリコーン弾性層と、気泡含有シリコーン弾性層について、詳細に説明する。
(i)バルーン含有シリコーン弾性層
熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に平均粒子径が300μm以下の中空フィラーを0.1〜200重量部配合してなるシリコーンゴム組成物を加熱硬化して形成される。
ここで、中空フィラーとしては、硬化物内に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させる材料が用いられる。このような材料としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなど、いかなるものでも構わない。
無機系マイクロバルーンの具体例を以下に挙げるが、無機系マイクロバルーンはこれらに限定されない。シラスバルーンとしては、イヂチ化成(株)製のウインライト、三機工業(株)製のサンキライトである。ガラスバルーンとしては、日本板硝子(株)製のカルーン、旭ガラス(株)製のセルスター、3M(株)製のグラスバブルズフィラーである。シリカバルーンとしては、旭硝子(株)製のQ−CELである。フライアッシュバルーンとしては、PFAMARKETING(株)製のCEROSPHERESである。アルミナバルーンとしては、昭和電工(株)製のBWである。ジルコニアバルーンとしては、ZIRCOA(株)製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEESである。カーボンバルーンとしては、呉羽化学(株)製クレカスフェアである。これらの中では、中空フィラー自体が弾性を有するもの、即ち、熱可塑性樹脂製中空バルーンが好適である。特に塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合物或いはこれらのうち、2種以上の共重合物などからなるものが好適である。さらには、熱膨張マイクロバルーン材として、松本油脂製薬株式会社の松本マイクロスフェア-Fシリーズ、エクスパンセル社のエクスパンセルシリーズ等などを挙げることができる。熱膨張マイクロバルーンの場合には、未膨張の樹脂マイクロカプセルは通常その直径が約1〜50μmであり、これを適切な加熱温度で膨張させ直径が約10〜500μm程度のほぼ真球に近い球体とすることができる。
また、中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で、表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。この場合、シリコーンゴム組成物内で十分な熱伝導性の低下を行うには、中空フィラーの真比重が0.01〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。但し、熱膨張マイクロバルーンを用いる場合には、未膨張時のマイクロバルーンの真比重は0.5〜1.4程度が好ましい。真比重が小さすぎると配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で成形時に破壊してしまい、軽量化、熱伝導率の低下ができなくなってしまう。
また、比重が大きすぎると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、熱伝導性の低下が十分とはならない場合が生じる。
また、中空フィラーの平均粒子径は、500μm以下、好ましくは300μm以下である。平均粒子径が大きすぎると成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまい、熱伝導率が高くなってしまったり、ロール成形後の表面の粗さが大きくなってしまうなどの問題が生じる。中空フィラーの平均粒子径の下限は特に制限されないが、通常、10μm、特に20μmである。なお、ここでの平均粒子径は、通常、レーザー光回折法による重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
上記中空フィラーの配合量は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対し0.1〜200重量部であり、好ましくは0.2〜150重量部、より好ましくは0.5〜100重量部である。この場合、中空フィラーの熱定着ロール用シリコーンゴム組成物中での含有量が体積比で10〜80%、特に15〜75%となるように配合することが好ましい。体積割合が少なすぎると熱伝導率の低下が不十分で、また多すぎると成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまうおそれがある。
また、熱膨張マイクロバルーンを未膨張でオルガノポリシロキサン組成物に混入させる場合には、マイクロバルーンが熱膨張することを考慮しなければならない。かかる点を考慮してオルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して未膨張のマイクロバルーンを0.1〜10重量部程度混入、加熱硬化させることで断熱性の良好な断熱層を形成できる。
一方、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては、シリコーンゴム層を形成する公知の組成の熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物を使用することができ、有機過酸化物硬化型のものでも付加反応硬化型のものでもよい。
また、このオルガノポリシロキサン組成物の構造は基本的には直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状構造、環状構造などであってもよい。分子量については、特に限定なく、粘度の低い液状のものから、粘度の高い生ゴム状のものまで使用できる。しかし硬化してゴム状弾性体になるためには、25℃での粘度が、100センチポイズ以上であり、通常100〜1,000,000、特に500〜100,000であることが好ましい。
上記熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、その他の成分として、必要に応じて、シリカ微粒子、炭酸カルシウムのような充填剤等を配合することは任意とされる。さらに、補強剤となるシリコーン系のレジン、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤等を配合することは任意とされる。また、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤、連泡化剤としてのトリエチレングリコール等を配合することは任意とされる。
(ii)バルーン含有シリコーン弾性層
オルガノポリシロキサン組成物100重量部に吸水性ポリマーを0.1〜50重量部、水を10〜200重量部、その他、白金化合物触媒のような硬化触媒、SiHポリマーのような架橋剤を添加した組成物を形成後、加熱成形して成る。
加熱は以下の三段階あるいは二段階に分けて行なう。すなわち、第一段階では、シリコーンベースポリマーの実質的な硬化が起こらず、しかも水分が蒸発しない100℃以下、好ましくは50〜80℃のもとで10〜30時間加熱して型成型する。次いで第二段階では、該型成形物を120〜250℃、好ましくは120〜180℃でに1〜5時間加熱して、含まれている水及び水を含んだ不純物中の水分を蒸発させる。この水分が蒸発する際の加熱条件により独立した各気泡が連続気泡構造に転化する条件としても転化しない条件としても構わない。硬化速度が速ければ転化せずに独立した気泡が多くなり、架橋による実質的硬化が生じないようにコントロールすれば、連続気泡構造に転化する。そして、最後の第三段階では、得られた気泡体を180〜300℃、好ましくは200℃〜250℃でに2〜8時間加熱して、硬化を進めることにより、所望の多孔質ゴム状弾性体のシリコーンゴム層を完成させる。二段階の加熱とする場合には、上記加熱段階の後の二段階を同じ加熱温度で続けて実施する方法がある。なおこの場合には、高い温度での硬化となるため、独立した気泡で硬化されやすい傾向がある。
なお、断熱層23bの厚さは特に制限されない。しかし弾性層としての弾性を活かして記録材P上の画像の定着一様性を確保するとともに、断熱層としての有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径のベルト23を構成するためには、0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜3.5mmとする。
以上のような工程で製造された、バルーン含有シリコーン弾性層、あるいは気泡含有シリコーン弾性層を断熱層23bとして採用することで、実施例1で説明したシリコーンスポンジ層に比べて、以下の利点がある。すなわち層中にセルを略均一に微小な粒径で均一に分散でき、セルの壁厚も均一で強度のバラツキも小さく、曲率を大きくしても破泡しにくくできる。このため、ベルト23の回転軌跡中の最大曲率を大きくでき、かつベルトの耐久性も高くなるため、ベルトへの記録材Pの巻き付き防止効果が一層高めることができる。
(比較実験)
図1に示すベルト23の回転軌跡における曲率半径R1とR2を各々振り、かつベルトの断熱層23bとして本実施例(バルーン含有シリコーン)と実施例1(シリコーンスポンジ)を採用した場合について、巻き付き評価、及び耐久性評価を実施した。またその際、プリント速度の異なる本体(LTRサイズの縦送り方向に、40PPM/50PPM)での比較も実施した。
なお、ベルト23は、基層23aはポリイミド50μm、断熱層23bmm、離型層23cはPFAチューブ20μmから構成されている。またプリント速度の高速化に対応させるため、内径は25mmと実施例1の比較実験時と比べて小径化して熱容量を低減させたものを使用した。
(A)巻き付き評価
紙の剛性が低下し、巻き付きに対する条件としては厳しくなる32.5℃/80%RHの環境下で、薄紙であるBadger Bond/Offset 16/40 lb.(Badger Paper Mills Inc.製)紙を用いた。この薄紙にベタ黒パターンを100枚連続プリントして、ベルト23への紙の巻き付きの有無の評価を行なった。なお定着条件としては、各々の構成で上記紙種の定着性を満足できる最低限の電力で評価を行なった。
この評価は、高速化により分離ポイントAにおける紙上のトナーのトナー温度が低下せず、トナーとベルト23の粘着力の方がトナーの凝集力よりも高くなり、ベルト23と紙が分離しにくくなるため、各々の構成における巻き付き防止効果を比較するものである。
(B)耐久性評価
常温常湿の環境下で、普通紙であるXEROX 4024 20lb.(XEROX製)紙を用いて、文字パターンを10万枚連続プリントして、ベルト23の耐久性を評価した。なお定着条件としては、各々の構成で上記紙種の定着性を満足できる最低限の電力で耐久評価を行なった。
これは、通紙耐久によって断熱層中のセルが破泡して、ベルト23として破壊されないか、各々の構成における定着ベルトの耐久性を比較するものである。
これらの結果を表2に示す。表中の○は巻き付きの発生無し、或いはOKレベル、×は巻き付きが発生、或いはベルト23の破壊を示す。
この結果のように、プリント速度をさらに高速化した場合は、ベルト23の低熱容量化による小径化に加えて、巻き付き防止のため分離性能を一層高める必要があるため、ベルトの回転軌跡における分離部の曲率半径R2をさらに小さくしなければならない。それにより、断熱層中のセル強度のバラツキの大きい実施例1で述べたシリコーンスポンジは、セルに加わるストレスが増大してしまうため、通紙耐久による繰り返しストレスにより強度の弱いセルが破泡しベルト23が破壊してしまった。
一方、本実施例で述べたバルーン含有シリコーンは、断熱層中のセル強度を均一にできるため、通紙耐久による繰り返しストレスが加わってもセルの破泡は無くベルト23も破壊しなかった。すなわち、プリント速度のさらなる高速化、及び高耐久化を満足させるためには、ベルト23の断熱層としてバルーン含有シリコーン弾性層、あるいは気泡含有シリコーン弾性層を採用することが好ましいことが確認できた。
〔その他〕
1)本発明の画像加熱装置は、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる定着装置ばかりでなく、未定着画像を記録材上に仮定着させる画像加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する画像加熱装置なども包含される。
実施例1に係る定着装置の一例の横断面側面模型図である。 ベルトの層構成の一例の断面図である。 実施例2に係る定着装置の一例の横断面側面模型図である。 実施例3に係る定着装置の一例の横断面側面模型図である。 接触式の加熱部材の一例の横断面側面模型図である。 画像形成装置の構成模型図である。 従来の定着装置の説明図である。
符号の説明
11‥‥定着装置、21‥‥バックアップローラ、22‥‥巻き掛けローラ、
23‥‥定着ベルト、24‥‥加熱部材(非接触式)、25‥‥加圧ローラ、
27‥‥加熱部材(接触式)、P ‥‥記録材

Claims (5)

  1. 可撓性部材と、前記可撓性部材の内周面と接して前記可撓性部材の移動軌跡を規制する支持部材と、前記可撓性部材の外周面を加熱する加熱手段と、前記支持部材と前記可撓性部材を挟んでニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する画像加熱装置において、
    前記支持部材は、前記可撓性部材の移動軌跡中の曲率を最大にする支持部と最小にする他の支持部をそれぞれ有し、前記支持部を前記ニップ部よりも前記可撓性部材移動方向の下流側に配設し、前記他の支持部を前記ニップ部よりも前記可撓性部材移動方向の上流側に配設し、前記他の支持部と対向させて前記加熱手段を配置していることを特徴とする画像加熱装置。
  2. 前記可撓性部材は、少なくともシリコーン多孔質層を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  3. 前記可撓性部材は、前記支持部材側から順に、基層、シリコーン多孔質層、離型層の少なくとも三層で構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
  4. 前記シリコーン多孔質層が、オルガノポリシロキサンに、中空フィラーを配合した配合物を焼成及び硬化してなるバルーン含有シリコーン多孔質層であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像加熱装置。
  5. 前記シリコーン多孔質層が、オルガノポリシロキサンに、吸水ポリマーと該吸水ポリマーに吸収されている水とを配合した配合物を焼成及び硬化してなる気泡含有シリコーン多孔質層であることを特徴とする請求項2または3に記載の画像加熱装置。
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