JP2007292848A - 加熱定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱部材の加熱効率をより向上できる画像加熱装置の提供。
【解決手段】加熱部材15を前記加熱部材の外部から加熱する加熱手段9を有する。
前記加熱手段は、金属製の可撓性部材11と、前記可撓性部材を放射熱により加熱する発熱体10と、前記可撓性部材の記録材搬送方向と直交する長手方向の両端を保持する保持部材17と、を有する。前記可撓性部材は前記加熱部材と接触して加熱ニップ部N2を形成するように前記保持部材により保持される。
【選択図】図2
【解決手段】加熱部材15を前記加熱部材の外部から加熱する加熱手段9を有する。
前記加熱手段は、金属製の可撓性部材11と、前記可撓性部材を放射熱により加熱する発熱体10と、前記可撓性部材の記録材搬送方向と直交する長手方向の両端を保持する保持部材17と、を有する。前記可撓性部材は前記加熱部材と接触して加熱ニップ部N2を形成するように前記保持部材により保持される。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子写真方式、或いは静電記録方式の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置として用いれば好適な画像加熱装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置に搭載される画像加熱定着装置(以下、定着装置と略記する)として、特許文献1に開示されているものが知られている。
この定着装置は、図7に示すように、加熱部材90と、加熱部材加熱用の第1加熱ローラ95と、加圧ローラ60と、加圧部材加熱用の第2加熱ローラ66と、を有している。加熱部材90は、可撓性を有するエンドレス状の定着ベルト92が巻き掛けローラ93とテンションローラ91とにテンションをかけて張架させて構成してある。加圧ローラ60は、基体である芯金61上に、断熱層62、弾性層63、離型層64を順で積層された層を有する加圧部材として構成してある。そして加圧ローラ60を巻き掛けローラ93に近接させて定着ベルト92に加圧させることによって定着ベルトと加圧ローラとの間に圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成している。定着ベルト92の外周面(表面)には第1加熱ローラ95を、加圧ローラ60の外周面(表面)には第2加熱ローラ66をそれぞれ接触させている。第1加熱ローラ95と第2加熱ローラ66はそれぞれ内部にハロゲンヒータを有する94・65を有するアルミ中空ローラより成る加熱手段として構成してある。第1加熱ローラ95によって定着ベルト92を外部から加熱し、第2加熱ローラ66によって加圧ローラ60を外部から加熱して、未定着トナー画像tを担持した記録材Pを圧接ニップ部Nで挟持搬送する。この搬送過程で記録材Pに熱と圧力を作用させることによって未定着トナー画像を記録材に永久画像として加熱定着させている。
この定着装置においては、低熱容量の定着ベルト92を外部から加熱する方式のため、急速に定着ベルトの外周面を加熱することが可能となり、ウォームアップ時間が短縮される。
特開2002−278338号公報
上記従来技術において、定着ベルトに第1加熱ローラを接触させているため、定着ベルトの加熱効率は、かなり改善される。
本発明は、従来技術をさらに改善して、加熱部材の加熱効率をより向上できる画像加熱装置を提供することを目的とする。
本発明に係る画像加熱装置の代表的な構成は、加熱部材と、前記加熱部材と接触してニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材を前記加熱部材の外部から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する画像加熱装置において、
前記加熱手段は、金属製の可撓性部材と、前記可撓性部材を放射熱により加熱する発熱体と、前記可撓性部材の記録材搬送方向と直交する長手方向の両端を保持する保持部材と、を有し、前記可撓性部材が前記加熱部材と接触して加熱ニップ部を形成するように前記保持部材に保持されることを特徴とする画像加熱装置、である。
前記加熱手段は、金属製の可撓性部材と、前記可撓性部材を放射熱により加熱する発熱体と、前記可撓性部材の記録材搬送方向と直交する長手方向の両端を保持する保持部材と、を有し、前記可撓性部材が前記加熱部材と接触して加熱ニップ部を形成するように前記保持部材に保持されることを特徴とする画像加熱装置、である。
本発明によれば、加熱部材の加熱効率をより向上できる画像加熱装置を提供するができる。
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
(1)画像形成装置例の説明
図1は本発明に係る画像加熱装置を画像加熱定着装置として搭載できる画像形成装置の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真プロセスを利用したレーザプリンタである。
図1は本発明に係る画像加熱装置を画像加熱定着装置として搭載できる画像形成装置の構成模型図である。この画像形成装置は電子写真プロセスを利用したレーザプリンタである。
1は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。
感光ドラム1は矢印の方向に回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様帯電される。
次に、その感光ドラム1の一様帯電面に対してレーザスキャナユニット3によりレーザビーム走査露光Lが施されて画像情報の静電潜像が形成される。感光ドラム1に対するレーザビーム走査露光Lは画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームがレーザスキャナユニット3内で回転するポリゴンミラーにより反射されてなされる。
この静電潜像は現像装置4によりトナー(現像剤)によって現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
可視化されたトナー画像は、転写装置としての転写ローラ5により、不図示の給紙機構部から所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム1上より転写される。ここで感光ドラム1上のトナー画像の画像形成位置と記録材の先端の書き出し位置が合致するようにセンサ6にて記録材Pの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム1と転写ローラ5とによって一定の加圧力で挟持搬送される。
トナー画像が転写された記録材Pは画像加熱定着装置(以下、定着装置と記す)7へと搬送され、永久画像として定着される。
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置8により感光ドラム1表面より除去される。
(2)定着装置7の説明
以下の説明において、定着装置を構成する部材について長手方向とは記録材Pの面において記録材搬送方向Kと直交する方向をいう。また、長手方向とはエンドレス状(スリーブ状)の定着部材のスラスト方向でもある。
以下の説明において、定着装置を構成する部材について長手方向とは記録材Pの面において記録材搬送方向Kと直交する方向をいう。また、長手方向とはエンドレス状(スリーブ状)の定着部材のスラスト方向でもある。
1)定着装置7の全体的構成
図2は定着装置7の横断面側面模型図である。
図2は定着装置7の横断面側面模型図である。
定着装置7は、加熱部材としてのエンドレス状の断熱性ベルト15と、この断熱性ベルト15を巻きかける巻き掛け部材としての2つの巻き掛けローラ13・14と、断熱性ベルト15を加熱する加熱手段9と、加圧部材としての加圧ローラ16と、を有している。巻き掛けローラ13・14のうち、一方の巻き掛けローラ13として大径の上ローラを用い、他方の巻き掛けローラ14として小径のテンションローラを用いている。
断熱性ベルト15は上ローラ13とテンションローラ14とにテンションをかけて張架されている。そして不図示の加圧バネ等の加圧手段により上ローラ13を断熱性ベルト15を介して加圧ローラ16に加圧することによって、断熱性ベルト15と加圧ローラ16との間に所定幅の定着ニップ部N2を形成している。
上記加圧ローラ16、断熱性ベルト15、上ローラ13、テンションローラ14および加熱手段9について更に詳しく説明する。
2)加圧ローラ16
加圧ローラ16は、SUS、SUM、Al等の金属製芯金16aの外周に、シリコーンゴムやシリコーンゴムを発泡して形成したシリコーンスポンジゴム、シリコーンゴム中に中空フィラー、ガラスビーズなどを含有させたバルーンゴム等の弾性層16bを有する。上記加圧ローラ16においては、弾性層16bの外周にPFA、PTFE、FEPなどの離型性層を形成してあっても良い。この加圧ローラ16は、前記の長手方向に細長い部材であり、金属製芯金16aの両端が不図示の装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。金属製芯金16aの一端部には駆動ギア(図示せず)が設けてあり、この駆動ギアが回転駆動系Mにより回転される。
加圧ローラ16は、SUS、SUM、Al等の金属製芯金16aの外周に、シリコーンゴムやシリコーンゴムを発泡して形成したシリコーンスポンジゴム、シリコーンゴム中に中空フィラー、ガラスビーズなどを含有させたバルーンゴム等の弾性層16bを有する。上記加圧ローラ16においては、弾性層16bの外周にPFA、PTFE、FEPなどの離型性層を形成してあっても良い。この加圧ローラ16は、前記の長手方向に細長い部材であり、金属製芯金16aの両端が不図示の装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。金属製芯金16aの一端部には駆動ギア(図示せず)が設けてあり、この駆動ギアが回転駆動系Mにより回転される。
3)断熱性ベルト15
図3は断熱性ベルト15の断面図である。15aは上ローラ13側の外周面と接触するエンドレス状の基層である。基層15aは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PFA、PTFE、FEP等の耐熱性樹脂、あるいはSUS、Ni等の金属より形成されている。基層15aとしては、曲率の小さいテンションローラ14部での屈曲でも破損しないように厚み10〜100μm程度が好ましい。また、外部の加熱手段9からの熱を上ローラ13に伝達しないように熱伝導性の低い材料を使用した方が好ましい。
図3は断熱性ベルト15の断面図である。15aは上ローラ13側の外周面と接触するエンドレス状の基層である。基層15aは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PFA、PTFE、FEP等の耐熱性樹脂、あるいはSUS、Ni等の金属より形成されている。基層15aとしては、曲率の小さいテンションローラ14部での屈曲でも破損しないように厚み10〜100μm程度が好ましい。また、外部の加熱手段9からの熱を上ローラ13に伝達しないように熱伝導性の低い材料を使用した方が好ましい。
基層15aの外周(定着ニップ部N2側)には、以下の方法により形成された断熱層15bを有する。断熱層15bとしては、シリコーンゴム組成物であり、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に平均粒子径が500μm以下の中空フィラーを0.1〜200重量部配合してなるシリコーンゴム組成物を加熱硬化して形成される。ここで、中空フィラーとしては、硬化物内に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、マイクロバルーン材等がある。このような材料としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーンなど、いかなるものでもかまわない。無機系マイクロバルーンの具体例を以下に挙げるが、マイクロバルーンはこれらに限定されない。シラスバルーンとしては、イヂチ化成(株)製のウインライト、三機工業(株)製のサンキライトがある。ガラスバルーンとしては、日本板硝子(株)製のカルーン、旭ガラス(株)製のセルスター、3M(株)製のグラスバブルズフィラーがある。シリカバルーンとしては、旭硝子(株)製のQ−CELがある。フライアッシュバルーンとしては、PFAMARKETING(株)製のCEROSPHERESがある。アルミナバルーンとしては、昭和電工(株)製のBWがある。ジルコニアバルーンとしては、ZIRCOA(株)製のHOLLOW ZIRCONIUM SPHEESがある。カーボンバルーンとしては、呉羽化学(株)製クレカスフェアがある。
これらの中では、中空フィラー自体が弾性を有するもの、即ち、熱可塑性樹脂製中空バルーン、特に塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの重合物が好適である。或いはこれらのうち、2種以上の共重合物などからなるものが好適である。さらには、熱膨張マイクロバルーン材として、松本油脂製薬株式会社の松本マイクロスフェア−Fシリーズ、エクスパンセル社のエクスパンセルシリーズ等などを挙げることができる。熱膨張マイクロバルーンの場合には、未膨張の樹脂マイクロカプセルは通常その直径が約1〜50μmであり、これを適切な加熱温度で膨張させ直径が約10〜500μm程度のほぼ真球に近い球体とすることができる。
また、中空フィラーの強度を持たせるため等の理由で、表面に無機フィラー等を付着させたものでもよい。この場合、シリコーンゴム組成物内で十分な熱伝導性の低下を行うには、中空フィラーの真比重が0.01〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5である。但し、熱膨張マイクロバルーンを用いる場合には、未膨張時のマイクロバルーンの真比重は0.5〜1.4程度が好ましい。真比重が小さすぎると配合・取り扱いが難しいばかりか、中空フィラーの耐圧強度が不十分で成形時に破壊してしまい、軽量化、熱伝導率の低下ができなくなってしまう。また、比重が大きすぎると、中空フィラーの殻の厚さが大きく、熱伝導性の低下が十分とはならない場合が生じる。
また、中空フィラーの平均粒子径は、500μm以下、好ましくは300μm以下がよい。平均粒子径が大きすぎると成形時の射出圧力により中空フィラーが破壊されてしまい、熱伝導率が高くなってしまったり、ロール成形後の表面の粗さが大きくなってしまうなどの問題が生じる。中空フィラーの平均粒子径の下限は特に制限されないが、通常、10μm、特に20μmである。なお、ここでの平均粒子径は、通常、レーザー光回折法による重量平均値(又はメジアン径)として求めることができる。
上記中空フィラーの配合量は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対し0.1〜200重量部であり、好ましくは0.2〜150重量部、より好ましくは0.5〜100重量部である。この場合、中空フィラーの熱定着ロール用シリコーンゴム組成物中での含有量が体積比で10〜80%、特に15〜75%となるように配合することが好ましい。体積割合が少なすぎると熱伝導率の低下が不十分で、また多すぎると成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまうおそれがある。
また、熱膨張マイクロバルーンを未膨張でオルガノポリシロキサン組成物に混入させてもよい。この場合には、マイクロバルーンが熱膨張することを考慮してオルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して未膨張のマイクロバルーンを0.1〜10重量部程度混入、加熱硬化させることで断熱性の良好な断熱層を形成できる。
また、断熱層15bは、オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して吸水性ポリマーを0.1〜50重量部、水を10〜200重量部配合した配合物を形成後に焼成および硬化して形成されていてもよい。
上記熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、その他の成分として、必要に応じて、シリカ微粒子、炭酸カルシウムのような充填剤を配合することは任意とされる。その他、補強剤となるシリコーン系のレジン、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物を配合することも任意とされる。また、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤、連泡化剤としてのトリエチレングリコール等を配合することも任意とされる。
ここで、シリコーンゴム組成物は、その硬化物(シリコーンゴム)の熱伝導度が0.2W/m・K以下、特に0.15W/m・K以下であることが好ましく、かかる熱伝導度を達成するように配合組成を調整することが好ましい。
また、断熱層15bであるシリコーン組成物は熱分解方発泡剤を添加する方法や硬化時に副生する水素ガスを発泡剤として発泡体を形成する方法などにより形成する発泡シリコーンゴムであっても良い。
上記断熱層15bの厚さは特に制限されないが、有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径のベルトを構成するためには、0.5〜3.0mm、好ましくは1.0〜2.5mmとすることが好ましい。
また、上記断熱性ベルト15の外周面(表面)には離型性層15cが被覆してあっても良い。離型性層15cとしては、長期間に渡り加熱手段9により加熱され、記録材Pから多数回の摩擦を受け、さらにトナーに曝される。このため、離型性層15cには、良好な耐熱性、摺動性、トナー離型性が要求される。
このような要求を満たす好ましい材料の例としては、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、液晶ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。フッ素系樹脂としては、フッ素系樹脂コーティング剤やフッ素系樹脂チューブなどが用いられる。具体的には、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)等を挙げることができる。その他にも、フッ化エチレンポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂(PVF)等を挙げることができる。コーティングとしては、ラテックスやダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)、ディスパージョンによるディッピング塗工、スプレー塗工等、断熱性ベルト15の表面に被覆するどのような方法であっても良い。
4)上ローラ13
断熱性ベルト15の基層15a内面と接する上ローラ13は、上述したように加圧手段により断熱性ベルト15を介して加圧ローラ16に加圧されるため、この加圧によるたわみを防止する目的で、SUS、SUM、Al等の金属製芯金13aを有している。そしてこの金属製芯金13aの外周にシリコーンゴムやシリコーンスポンジゴム、またはバルーンゴムあるいは耐熱性樹脂などの弾性層13bを有する。弾性層13bの材料としては、断熱性ベルト15の熱を奪わないような熱伝導率の低いものが望ましい。この上ローラ13も前記の長手方向に細長い部材であり、金属製芯金13aの両端が装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。そしてこの金属製芯金13aの両端が加圧手段により加圧ローラ16側に所定の加圧力で付勢されている。これによって断熱性ベルト15と加圧ローラ16との間に定着ニップ部N1を形成している。
断熱性ベルト15の基層15a内面と接する上ローラ13は、上述したように加圧手段により断熱性ベルト15を介して加圧ローラ16に加圧されるため、この加圧によるたわみを防止する目的で、SUS、SUM、Al等の金属製芯金13aを有している。そしてこの金属製芯金13aの外周にシリコーンゴムやシリコーンスポンジゴム、またはバルーンゴムあるいは耐熱性樹脂などの弾性層13bを有する。弾性層13bの材料としては、断熱性ベルト15の熱を奪わないような熱伝導率の低いものが望ましい。この上ローラ13も前記の長手方向に細長い部材であり、金属製芯金13aの両端が装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。そしてこの金属製芯金13aの両端が加圧手段により加圧ローラ16側に所定の加圧力で付勢されている。これによって断熱性ベルト15と加圧ローラ16との間に定着ニップ部N1を形成している。
5)テンションローラ14
本実施例の定着装置においては、断熱性ベルト15の回転方向において定着ニップ部N2の下流側に上ローラ13の径よりも小径のテンションローラ14を配設している。これにより断熱性ベルト15の回転方向において定着ニップ部N2下流側の曲率を小さくすることができる。これによって記録材Pが断熱性ベルト15から分離せずに断熱性ベルト15に巻きついてしまう現象の発生確率を極力小さくすることができる。このテンションローラ14も前記の長手方向に細長い部材であり、その両端が装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。
本実施例の定着装置においては、断熱性ベルト15の回転方向において定着ニップ部N2の下流側に上ローラ13の径よりも小径のテンションローラ14を配設している。これにより断熱性ベルト15の回転方向において定着ニップ部N2下流側の曲率を小さくすることができる。これによって記録材Pが断熱性ベルト15から分離せずに断熱性ベルト15に巻きついてしまう現象の発生確率を極力小さくすることができる。このテンションローラ14も前記の長手方向に細長い部材であり、その両端が装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。
6)加熱手段9
加熱手段9は、金属製の可撓性部材としてのエンドレス状の金属製フィルム11を有する。さらに、金属製フィルム11を放射熱により加熱する発熱体としてのヒータ10と、金属製フィルム11の幅方向の両端を保持する保持部材としての端部フランジ17・17(図4、図5)と、を有する。そして金属製フィルム11が断熱性ベルト15と接触して加熱ニップ部N1を形成するように端部フランジ17・17に保持されている。この金属製フィルム11は、端部フランジ17・17によってのみ保持され、テンションフリーとなっている。
加熱手段9は、金属製の可撓性部材としてのエンドレス状の金属製フィルム11を有する。さらに、金属製フィルム11を放射熱により加熱する発熱体としてのヒータ10と、金属製フィルム11の幅方向の両端を保持する保持部材としての端部フランジ17・17(図4、図5)と、を有する。そして金属製フィルム11が断熱性ベルト15と接触して加熱ニップ部N1を形成するように端部フランジ17・17に保持されている。この金属製フィルム11は、端部フランジ17・17によってのみ保持され、テンションフリーとなっている。
図4は金属製フィルム11端部と端部フランジ17の第2規制部17bとの関係を示す説明図である。図5は端部フランジ17による金属製フィルム11端部の保持状態を示す説明図である。
6−1)端部フランジ17
端部フランジ17は、金属製フィルム11の回転軌跡をガイドする役目を担っていると同時に金属製フィルム11を断熱性ベルト15に加圧する手段としての役目を果たしている。すなわち、金属製フィルム11の両端部側に配置される端部フランジ17・17は、それぞれ、金属製フィルム11のスラスト方向への移動を規制する第1規制部17a・17aを金属製フィルム11端部の外側面と対向する位置に有する(図4、図5)。第1規制部17a・17aの金属製フィルム11側の内面の外周部と内周部には、金属製フィルム11のラジアル方向への移動を規制する第2規制部17b・17bが設けられている。第2規制部17b・17bはそれぞれ金属製フィルム11の表面に沿う弧状に形成してある。そして第1規制部17a・17aの金属製フィルム11と反対側の外面に設けられたバネ受け部17cを装置フレームの側板に保持させている。
端部フランジ17は、金属製フィルム11の回転軌跡をガイドする役目を担っていると同時に金属製フィルム11を断熱性ベルト15に加圧する手段としての役目を果たしている。すなわち、金属製フィルム11の両端部側に配置される端部フランジ17・17は、それぞれ、金属製フィルム11のスラスト方向への移動を規制する第1規制部17a・17aを金属製フィルム11端部の外側面と対向する位置に有する(図4、図5)。第1規制部17a・17aの金属製フィルム11側の内面の外周部と内周部には、金属製フィルム11のラジアル方向への移動を規制する第2規制部17b・17bが設けられている。第2規制部17b・17bはそれぞれ金属製フィルム11の表面に沿う弧状に形成してある。そして第1規制部17a・17aの金属製フィルム11と反対側の外面に設けられたバネ受け部17cを装置フレームの側板に保持させている。
各端部フランジ17は、第2規制部17b・17b間に金属製フィルム11端部を位置させた状態で、バネ受け部17cが加圧手段としての加圧バネ18により断熱性フィルム15側に付勢されている。加圧バネ18によりバネ受け部17cを介して断熱性フィルム15側に付勢された端部フランジ17は、第1規制部17aの外周部側の第2規制部17bの内面が金属製フィルム11表面と接触して金属製フィルム11を断熱性フィルム15側に加圧する。この加圧力により金属製フィルム11が断熱性フィルム15表面に沿って押し潰されるように弾性変形する。すなわち、図5に示すように、加圧バネ18・18によって端部フランジ17・17を断熱性ベルト15側に加圧することにより金属製フィルム11も弾性変形しながら断熱性ベルト15に加圧される。これによって、金属製フィルム11と断熱性フィルム15との間に所定幅の加熱ニップ部N1が形成される。
6−2)ヒータ10
エンドレス状の金属製フィルム11の内部に配置されたヒータ10は、ハロゲンヒータやカーボンヒータなど放射熱により非接触で金属製フィルム11を内面側から加熱するものであればよい。このヒータ10も前記の長手方向に細長い部材であり、その両端が装置フレームの側板に保持されている。このヒータ10の長さは、定着ニップ部N2の通紙域(最大サイズの記録材Pを定着ニップ部N2に通過させたときの定着ニップ部N2の長手領域)と略等しい。
エンドレス状の金属製フィルム11の内部に配置されたヒータ10は、ハロゲンヒータやカーボンヒータなど放射熱により非接触で金属製フィルム11を内面側から加熱するものであればよい。このヒータ10も前記の長手方向に細長い部材であり、その両端が装置フレームの側板に保持されている。このヒータ10の長さは、定着ニップ部N2の通紙域(最大サイズの記録材Pを定着ニップ部N2に通過させたときの定着ニップ部N2の長手領域)と略等しい。
6−3)金属製フィルム11
金属製フィルム11はクイックスタートを可能にするために総厚200μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Ni、Al、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層とした金属製スリーブである。また、長寿命の定着装置7を構成するために十分な強度を持ち、耐久性にすぐれた金属製スリーブとして、総厚20μm以上の厚みが必要である。よって金属製スリーブの総厚みとしては20μm以上200μm以下が最適である。
金属製フィルム11はクイックスタートを可能にするために総厚200μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Ni、Al、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層とした金属製スリーブである。また、長寿命の定着装置7を構成するために十分な強度を持ち、耐久性にすぐれた金属製スリーブとして、総厚20μm以上の厚みが必要である。よって金属製スリーブの総厚みとしては20μm以上200μm以下が最適である。
金属製フィルム11において、トナーのオフセット防止や記録材Pの分離性を確保するために、断熱性ベルト15と接触する表面にはフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆してあっても良い。フッ素樹脂として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等が用いられる。その他にも、ETFE(エチレン テトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等が用いられる。被覆の方法としては、金属製スリーブ基材の外面をエッチング処理した後に上記離型性層をディッピング、粉体スプレー等の塗布によるものや、あるいはチューブ状に形成されたものを金属製スリーブの表面に被せる方式のものであっても良い。または、金属製スリーブ基材の外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマー層を塗布し、上記離型性層を被覆する方法であっても良い。被覆する領域は、少なくとも記録材Pが通過する領域が含まれていればよい。
また、金属製フィルム11において、ヒータ10の放射熱を効率よく吸収するために、ヒータ10の放射熱を80〜100%吸収する材料で断熱性ベルト15と接触する表面と反対側の内面をコーティングすると良い。上記材料として黒色塗料を金属製フィルム11の内面に塗装することにより吸収層を形成することができる。黒色塗装の方法としては、金属製フィルム11内面の油分を除去し、例えば黒色塗料としておきつも#8000(三重油脂化工業株式会社製、商品名)等の塗料を塗布する。このおきつも#8000は黒色金属顔料または黒色金属化合物顔料をシリコーン樹脂バインダとともに溶剤に分散させて溶解させたものであり、黒色顔料、無機質顔料、シリコーン樹脂(メチルフェニルシリコーンベース)、及び溶剤を配合してある。塗布後の焼付け条件としては、300℃で1時間程度の焼付けが施される。本実施例では吸収層としておきつも#8000の黒色塗料を用いて説明しているが、放射熱の吸収率が高い物質であればどのような物質であっても構わない。
(3)加熱手段9の温調制御系
金属製フィルム11表面において定着ニップ部N2の通紙域内の所定位置には、温度検知手段としてのサーミスタ等の温度検知素子19と、安全手段としてのサーモスイッチ20と、が接触している。温度検知素子19及びサーモスイッチ20は何れも装置フレームの側板に設けられた支持部材(図示せず)によって支持されている。温度検知素子19は、金属製フィルム11の表面温度を検知し、その検知信号を制御手段としての温調制御回路30に出力する。サーモスイッチ20は、温度検知素子19の故障等により金属製フィルム11の表面温度が制御温度をはるかに超えた場合に動作して、電力制御手段としてのトライアック31からヒータ10への通電を切断するような構成となっている。
金属製フィルム11表面において定着ニップ部N2の通紙域内の所定位置には、温度検知手段としてのサーミスタ等の温度検知素子19と、安全手段としてのサーモスイッチ20と、が接触している。温度検知素子19及びサーモスイッチ20は何れも装置フレームの側板に設けられた支持部材(図示せず)によって支持されている。温度検知素子19は、金属製フィルム11の表面温度を検知し、その検知信号を制御手段としての温調制御回路30に出力する。サーモスイッチ20は、温度検知素子19の故障等により金属製フィルム11の表面温度が制御温度をはるかに超えた場合に動作して、電力制御手段としてのトライアック31からヒータ10への通電を切断するような構成となっている。
(4)定着装置7の加熱定着動作
加圧ローラ16は回転駆動系Mによって反時計方向へ回転駆動される。すると加圧ローラ16の回転力が定着ニップ部N2を介して断熱性ベルト15に伝達され、断熱性ベルト15は加圧ローラ16の回転に追従して時計方向へ従動回転する。断熱性ベルト15の回転力は加熱ニップ部N1を介して加熱手段9の金属製フィルム11に伝達され、金属製フィルム11は断熱性ベルト15の回転に追従して反時計方向へ従動回転する。
加圧ローラ16は回転駆動系Mによって反時計方向へ回転駆動される。すると加圧ローラ16の回転力が定着ニップ部N2を介して断熱性ベルト15に伝達され、断熱性ベルト15は加圧ローラ16の回転に追従して時計方向へ従動回転する。断熱性ベルト15の回転力は加熱ニップ部N1を介して加熱手段9の金属製フィルム11に伝達され、金属製フィルム11は断熱性ベルト15の回転に追従して反時計方向へ従動回転する。
金属製フィルム11は、回転開始時あるいは回転中において、金属製フィルム11のスラスト方向へ移動する可能性がある。この場合、その移動方向において金属製フィルム11端部の外側面が端部フランジ17の第1規制部17aの内面に突き当たる。これにより金属製フィルム11の移動が規制される。つまり第1規制部17aにより金属製フィルム11のスラスト方向への移動を規制することができる。また、金属製フィルム11は、回転開始時あるいは回転中において、金属製フィルム11のラジアル方向へ変形する可能性がある。この場合、金属製フィルム11端部の外周面が端部フランジ17の外周部側の第2規制部17bの内面に接触する。これにより金属製フィルム11の変形が規制される。つまり第2規制部17bにより金属製フィルム11のラジアル方向への変形を規制することができる。
加圧ローラ25、断熱性ベルト15及び金属製フィルム11の回転状態において温調制御回路30は温度検知素子19から検知信号を取り込む。温調制御回路30はその検知信号に基づいて金属製フィルム11の表面温度が所定の加熱温度(目標温度)に維持されるようにトライアック31を制御する。これにより金属製フィルム11が温調制御され、加熱ニップ部N1の温度は所定の加熱温度に維持される。この金属製フィルム11は加熱ニップ部N1を通じて断熱性ベルト15に熱を伝達して加熱する。断熱性ベルト15は金属製フィルム11により金属製フィルム11の加熱温度に応じた温度に加熱されて昇温し、所定の定着温度に維持される。
金属製フィルム11の温調制御状態で定着ニップ部N2に未定着トナー画像tを形成担持させた記録材Pが導入されると、記録材Pは定着ニップ部N2において断熱性ベルト15と加圧ローラ16とで挟持搬送される。この搬送過程で未定着トナー画像tに対して断熱性ベルト15により熱を付与して未定着トナー画像tを溶融加熱すると共に、定着ニップ部N2により圧力を付与してその未定着トナー画像tを記録材P上に加圧定着させる。これにより未定着トナー画像tは記録材P上に永久画像として固着される。
定着ニップ部N2を出た記録材Pは、断熱性ベルト15を巻き掛けたテンションローラ14の曲率に従う分離ポイントSpにおいて断熱性ベルト15表面から分離されて定着装置7の外部に排出される。
(5)性能比較
本実施例の定着装置と比較例の定着装置について、安全性、耐久性、立ち上がり時間の各項目について比較を行った。図6は比較例1の定着装置7Aである。図7は比較例2の定着装置7Bである。図8は比較例3の定着装置7Cである。
本実施例の定着装置と比較例の定着装置について、安全性、耐久性、立ち上がり時間の各項目について比較を行った。図6は比較例1の定着装置7Aである。図7は比較例2の定着装置7Bである。図8は比較例3の定着装置7Cである。
比較例1の定着装置7Aは、発熱体としてのハロゲンヒータ21と反射板22とにより加熱手段9Aを構成した他は本実施例の加熱定着装置7と同じ構成である。定着装置7Aにおいて断熱性ベルト15は反射板22により反射されるハロゲンヒータ21の放射熱によって加熱される。
比較例2の定着装置7Bは、発熱体としてのセラミックヒータ23とヒータホルダ24とにより加熱手段9Bを構成した他は本実施例の定着装置7と同じ構成である。定着装置7Bにおいて断熱性ベルト15は断熱性ベルト15表面と接触して加熱ニップ部N1を形成するセラミックヒータ22によって加熱される。ヒータホルダ24に保持されているセラミックヒータ23は面状発熱体であり、セラミック基板上に通電発熱抵抗層を有するものである。
比較例3の定着装置7Cは、発熱体としてのセラミックヒータ25とヒータホルダ26とポリイミドフィルム27とにより加熱手段9Cを構成した他は本実施例の定着装置7と同じ構成である。定着装置7Cにおいて断熱性ベルト15は断熱性ベルト15表面と接触して加熱ニップ部N1を形成するポリイミドフィルム23によって加熱される。ヒータホルダ26に保持されているセラミックヒータ25は比較例2のセラミックヒータ23と同じ構成の面状発熱体である。
安全性、耐久性、立ち上がり時間の評価方法と結果について以下に述べる。
1)安全性(暴走時のサーモスイッチ応答性)
定着装置7において、故障により回転駆動系Mや温度検知素子19が動作しなくなった場合の最悪の状態は、モーターが回転せず、ヒータ10に最大電力が投入される場合である。以上のような暴走状態に陥った場合のために本実施例ではサーモスイッチ20が配設されており、サーモスイッチ20が通常使用では到達しないような高温(本実施例では250℃)を検知すると動作し、ヒータ10への通電が切断されるようになっている。暴走時はヒータ10の昇温が非常に速いためサーモスイッチ20の動作が遅くなるとヒータ温度がサーモスイッチ20の動作温度より非常に高くなり、金属製フィルム11や断熱性ベルト15へのダメージも大きくなる。サーモスイッチ20が動作するまでの時間はサーモスイッチ20の位置に大きく関っており、昇温が速い位置ほど動作時間は短い。
定着装置7において、故障により回転駆動系Mや温度検知素子19が動作しなくなった場合の最悪の状態は、モーターが回転せず、ヒータ10に最大電力が投入される場合である。以上のような暴走状態に陥った場合のために本実施例ではサーモスイッチ20が配設されており、サーモスイッチ20が通常使用では到達しないような高温(本実施例では250℃)を検知すると動作し、ヒータ10への通電が切断されるようになっている。暴走時はヒータ10の昇温が非常に速いためサーモスイッチ20の動作が遅くなるとヒータ温度がサーモスイッチ20の動作温度より非常に高くなり、金属製フィルム11や断熱性ベルト15へのダメージも大きくなる。サーモスイッチ20が動作するまでの時間はサーモスイッチ20の位置に大きく関っており、昇温が速い位置ほど動作時間は短い。
本評価では本実施例および比較例1〜3の各定着装置7・7A〜7Cにおいて暴走した場合にサーモスイッチ20が動作するまでの時間と暴走試験後の断熱性ベルト15のダメージを観察した。
評価方法としては各定着装置7・7A〜7Cにおいて加圧ローラ16を停止させた状態で温度検知素子19を動作させず、ヒータ10・21・23・25に1500W投入した場合の電力投入開始からサーモスイッチ20が動作するまでの時間を比較した。また、試験後の金属製フィルム11、断熱性ベルト15の状態についても観察を行った。その結果を表1に示す。
比較例1の定着装置7Aでは、サーモスイッチ20の位置は反射板22の裏または断熱性ベルト15表面に限定される。しかしながら、反射板22の裏や断熱性ベルト15表面はヒータ21からの放射熱に対して応答性が悪い。したがって、1500Wが投入されてヒータ21にフル通電を行った場合、反射板22裏にサーモスイッチ20を当接した場合はサーモスイッチ20が動作するまでに約50秒かかった。また、温度が最も高くなっている断熱性ベルト15表面はその間はるかに高温状態となっていたため融けてしまっていた。また、断熱性ベルト15表面において放射熱を受ける領域以外の領域にサーモスイッチ20を当接させた場合は更に昇温が遅く、サーモスイッチ20が動作する前に断熱性ベルト15が完全に融けてしまっていた。
比較例2の定着装置7Bでは、サーモスイッチ20をヒータ23裏面に直接配設することが構成的には可能である。この場合、断熱性ベルト15を定着可能な温度にするためにはヒータ23の温度を高温で制御する必要があり、通常使用でサーモスイッチ20の動作温度を超えてしまわないように本実施例の定着装置7よりもサーモスイッチ20の動作温度を高くする必要がある。したがって1500Wの電力を投入してからサーモスイッチ20が動作する時間は長くなってしまう。そのため、試験後の加熱ニップ部N1において、断熱性ベルト15及びヒータホルダ24が熱により融けてしまった。
比較例3の定着装置7Cの加熱手段9Cは、比較例2の加熱手段9Bのヒータ23部分をポリイミドフィルム23で覆った構成である。この構成にすることにより、断熱性ベルト15への熱伝導性は更に悪化するため、比較例2の加熱手段9Bのヒータ23よりも更に高温でヒータ25を制御する必要があり、サーモスイッチ20の動作温度も比較例2よりも高くする必要がある。そのためサーモスイッチ20が動作するための時間も更に長くなり、試験後の加熱ニップ部N1において、断熱性ベルト15、ヒータホルダ24、ポリイミドフィルム23が融けてしまった。
また、比較例2及び比較例3の定着装置7B・7Cにおいてサーモスイッチ20をヒータ23・25ではなく断熱性ベルト15に当接させた。この場合においても比較例1の定着装置7Aと同様にサーモスイッチ20が動作する前に、断熱性ベルト15、ヒータホルダ24、ポリイミドフィルム23が完全に融けてしまった。
これに対して本実施例の定着装置7では、ヒータ10とサーモスイッチ20の間には熱伝導の良い金属製フィルム11しか存在しないため、ヒータ10が過昇温した場合の応答性については非常に優れている。また、金属製フィルム11は、局所的に加熱されるのではなく、ヒータ10の放射熱により金属製フィルム11全体が昇温するため、昇温の温度勾配も抑えられ最高到達温度を低減できる。さらに、金属製フィルム11により加熱ニップ部N1を広くとる事ができるため、断熱性ベルト15へも比較的熱が拡散し、昇温を抑えることができる。したがって、本実施例の定着装置7では暴走によるダメージを最小限に抑えることができた。
2)耐久性
本実施例および比較例1〜3の各定着装置7・7A〜7Cにおいて連続通紙耐久を行った。結果を表2に示す。
本実施例および比較例1〜3の各定着装置7・7A〜7Cにおいて連続通紙耐久を行った。結果を表2に示す。
比較例1の定着装置7Aの場合は、加熱手段9Aが断熱性ベルト15と非接触である。このため、比較例1の定着装置7Aでは、加熱手段9Aが断熱性ベルト15に与えるダメージが全く無く、耐久による問題は発生しなかった。
一方、比較例2の定着装置7Bでは、加熱手段9Bのヒータ23が断熱性ベルト15表面に直に接触し摺動している。このため、比較例2の定着装置7Bでは、断熱性ベルト15表面に摺擦によるスジ状の傷が発生し、画像を悪化させてしまった。また、定着しきれずに断熱性ベルト15上に残ったオフセットトナーがヒータ23と断熱性ベルト15との接触面に蓄積してトナー塊となり、それが吐き出された時に記録材上に画像不良となる汚れが発生していた。
比較例3の定着装置7Cでは、ヒータ25と断熱性ベルト15との間に摺動回転するポリイミドフィルム27を介在させているため、断熱性ベルト15への傷やトナー汚れで画像不良が発生することはなかった。
また、本実施例の定着装置7においても、金属製フィルム11が断熱性ベルト15と従動回転しているだけであるため、耐久による問題は発生しなかった。
3)立ち上がり時間
本実施例および比較例1〜3の各定着装置7・7A〜7Cにおいて熱効率の良さを表す指標の一つである立ち上がり時間について比較を行った。
本実施例および比較例1〜3の各定着装置7・7A〜7Cにおいて熱効率の良さを表す指標の一つである立ち上がり時間について比較を行った。
各定着装置7・7A〜7Cにおいて、ヒータ10・21・23・25に800Wの電力を投入した場合に、断熱性ベルト15表面が200℃に到達するまでの時間を測定した。結果を表3に示す。
比較例1および比較例2の定着装置7A・7Bにおいては、ヒータ21・23の熱を効率よく断熱性ベルト15に伝えているため、200℃に達する時間が5.5秒前後であった。
これに対し、比較例3の加熱定着装置7Cでは、ヒータ25から熱伝導性の悪いポリイミドフィルム27を介して断熱性ベルト15を温めている。このためポリイミドフィルム27を介していない比較例2の定着装置7Bよりも立ちあがり時間が1秒ほど遅くなっている。
一方、本実施例の定着装置7では、ヒータ10の放射熱を金属製フィルム11を介して断熱性ベルト15に伝えているが、ヒータ10と金属製フィルム11との間に熱伝達を妨げるものが存在せず、また金属製フィルム11の熱伝導性も良い。このため、ヒータ10の熱を効率よく断熱性ベルト15に伝えることができ、立ち上がり時間は比較例1及び比較例2の定着装置7A・7Bと比較しても大きく劣ることはなかった。
4)まとめ
以上の3つの比較実験を簡単にまとめたものを表4に示す。
以上の3つの比較実験を簡単にまとめたものを表4に示す。
表4から分かるように比較例1および比較例3の定着装置7A・7Cでは安全性において満足のいく結果は得られなかった。
比較例2の定着装置7Bでは耐久性において満足のいく結果は得られなかった。
一方、本実施例の定着装置7では安全性、耐久性、熱効率ともに良好な結果が得られ、加熱手段9の構成が総合的に優れていることが確認された。
すなわち、本実施例の定着装置7では、断熱性ベルト15を断熱性ベルト15表面側の外部から加熱する加熱手段9において放射熱により非接触で加熱するヒータ10を内蔵したエンドレス状の金属製フィルム11を端部フランジ17・17により保持している。そのため、加熱ニップ部N1形成時に金属製フィルム11の弾性変形により加圧力を大きくすること無く断熱性ベルト15との接触面積を大きくすることができる。これにより、ヒータ10の放射熱によって加熱される金属製フィルム11の熱を効率的に断熱性ベルト15に伝えることができる。
また、金属製フィルム11の内部において定着ニップ部N2の通紙域に相当する部分にはヒータ10のみしか存在しない。そのため、ヒータ10の熱を効率よく金属製フィルム11に伝達することができる。
また、ヒータ10の周囲をエンドレス状の金属製フィルム11で覆うことにより、高温のヒータ10が記録材Pなど燃えやすいものと接触する可能性をゼロにすることができる。
また、サーミスタやサーモプロテクタ等の温度検知素子19や安全素子であるサーモスイッチ20を金属製フィルム11上に接触することが可能となる。そのため、精度の良い温度制御や異常時の対応を早くすることができる。
本実施例では定着装置7の他の例を説明する。
図9は本実施例の定着装置7の横断側面模型図である。実施例1の定着装置7と共通する部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
実施例1の定着装置7においては、高速プリントを可能とするために、記録材Pが通過する定着ニップ部N2を広くとり、記録材Pへの未定着トナー画像tの定着性を向上させるために断熱性ベルト15を用いていた。一方、低速プリントの場合は、断熱性ベルト15に代えて断熱ローラ28を用いても十分定着性を確保することができる。
そこで、本実施例の定着装置7では、定着部材として断熱性ローラ28を用いている。断熱性ローラ28は外部から供給された熱を内部に伝達しないような構成であればどのようなものでも良い。断熱性ローラ28としては、例えばSUS、SUM、Al等の金属製芯金28aの外周にシリコーンゴムやシリコーンゴムを発泡して形成したシリコーンスポンジゴム等の弾性層28bを設けている。弾性層28bの他の例として、シリコーンゴム中に中空フィラー、ガラスビーズなどを含有させたバルーンゴム等を適宜用いることができる。さらに弾性層28b上にPFA、PTFE、FEPなどの離型性層を形成してあるローラを断熱性ローラ28として用いても良い。この断熱性ローラ28も前記の長手方向に細長い部材であり、金属製芯金28aの両端が装置フレームの側板対に回転可能に軸受け支持されている。
加熱手段9の金属性フィルム11は断熱性ローラ28表面に接触して、断熱性ローラ28に熱を供給している。この金属製フィルム11は図示しない端部フランジ17により保持されて断熱性ローラ28の外周面形状(曲面形状)にならうように弾性変形している。これにより加熱ニップ部N1の幅を広くとる事が可能となり、ヒータ10により加熱される金属製フィルム11の熱を効率的に断熱性ローラ28に伝えることができる。したがって、本実施例の定着装置7においても、実施例1の定着装置7と同様な作用・効果を得ることができる。
〔その他〕
1)定着装置7において、断熱性ベルト15の回転は加圧ローラ16による従動回転に限られず、上ローラ13、或いはテンションローラ14による回転駆動でも良い。
1)定着装置7において、断熱性ベルト15の回転は加圧ローラ16による従動回転に限られず、上ローラ13、或いはテンションローラ14による回転駆動でも良い。
2)本発明の画像加熱装置は、未定着画像を記録材上に永久画像として加熱定着させる定着装置ばかりでなく、未定着画像を記録材上に仮定着させる画像加熱装置、画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する画像加熱装置なども包含される。
9‥‥加熱手段、10‥‥ヒータ、11・・・・金属製フィルム、15・・・・断熱性ベルト
16‥‥加圧ローラ、17・・・・端部フランジ、28‥‥断熱性ローラ、P・・・・記録材、
N1・・・・加熱ニップ部、N2‥‥定着ニップ部
16‥‥加圧ローラ、17・・・・端部フランジ、28‥‥断熱性ローラ、P・・・・記録材、
N1・・・・加熱ニップ部、N2‥‥定着ニップ部
Claims (10)
- 加熱部材と、前記加熱部材と接触してニップ部を形成する加圧部材と、前記加熱部材を前記加熱部材の外部から加熱する加熱手段と、を有し、前記ニップ部で記録材を挟持搬送しつつ記録材上の画像を加熱する画像加熱装置において、
前記加熱手段は、金属製の可撓性部材と、前記可撓性部材を放射熱により加熱する発熱体と、前記可撓性部材の記録材搬送方向と直交する長手方向の両端を保持する保持部材と、を有し、前記可撓性部材が前記加熱部材と接触して加熱ニップ部を形成するように前記保持部材に保持されることを特徴とする画像加熱装置。 - 前記発熱体がハロゲンランプであることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
- 前記発熱体がカーボンヒータであることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
- 前記可撓性部材は前記加熱部材と接触する面がフッ素樹脂でコーティングされていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の画像加熱装置。
- 前記可撓性部材は前記加熱部材と接触する面がフッ素樹脂からなるチューブで被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の画像加熱装置。
- 前記可撓性部材は前記加熱部材と接触する面と反対側の面が前記発熱体の放射熱を80〜100%吸収する材料でコーティングされていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の画像加熱装置。
- 前記加熱部材は断熱層を有し、前記断熱層がオルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して平均粒径500μm以下の中空フィラーを0.1〜200重量部配合した配合物、あるいは、オルガノポリシロキサン組成物100重量部に対して吸水性ポリマーを0.1〜50重量部、水を10〜200重量部配合した配合物を形成後に焼成および硬化して形成されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の画像加熱装置。
- 前記加熱部材は断熱層を有し、前記断熱層がシリコーンゴムを発泡してなる発泡シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の画像加熱装置。
- 前記発熱体は前記可撓性部材を挟んで前記加熱ニップ部と対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れかに記載の画像加熱装置。
- 前記可撓性部材はエンドレス状のフィルムであることを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の画像加熱装置。
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JP2010266694A (ja) * | 2009-05-14 | 2010-11-25 | Oki Data Corp | 加熱装置およびそれを備えた画像形成装置 |
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-
2006
- 2006-04-21 JP JP2006117923A patent/JP2007292848A/ja active Pending
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