JP2022186614A - 加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022186614A
JP2022186614A JP2022081093A JP2022081093A JP2022186614A JP 2022186614 A JP2022186614 A JP 2022186614A JP 2022081093 A JP2022081093 A JP 2022081093A JP 2022081093 A JP2022081093 A JP 2022081093A JP 2022186614 A JP2022186614 A JP 2022186614A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
surface layer
pressure member
layer
fluororesin
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022081093A
Other languages
English (en)
Inventor
涼 石藤
Ryo Ishifuji
弘紀 村松
Hiroki Muramatsu
康晴 能登屋
Yasuharu Notoya
陽平 宮内
Yohei Miyauchi
奈緒子 笠井
Naoko Kasai
祐介 馬場
Yusuke Baba
正明 高橋
Masaaki Takahashi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Publication of JP2022186614A publication Critical patent/JP2022186614A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/206Structural details or chemical composition of the pressure elements and layers thereof
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/20Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat
    • G03G15/2003Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat
    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2064Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat combined with pressure

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】表面層の外表面における表面抵抗の増加を抑制しつつ、厚み方向の断熱性を向上させた加圧部材の提供。【解決手段】基体と、前記基体の上に形成された弾性層と、前記弾性層の上に形成されたフッ素樹脂を含む表面層を有し、該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が1×1011[Ω/□]以下、厚み方向の熱伝導率λが0.093[W/mK]以下である加圧部材が提供される。【選択図】図1

Description

本開示は、加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置に関する。
複写機やレーザープリンタといった電子写真画像形成装置(以下、「画像形成装置」とも称する。)には、記録材上に形成した未定着トナー像を加熱及び加圧することによって記録材に定着させるための定着装置が備えられている。定着装置は、対向配置された加熱部材と加圧部材とを有する。加熱部材と加圧部材とが、互いに反対方向に回転しながら圧接し、記録材を挟持搬送するニップを形成する。そして、記録材がニップ部を通過する際に、未定着トナーが加熱及び加圧されて定着画像として記録材に定着される。
電子写真用の定着装置に用いられる加圧部材において、トナーの付着を抑制するために、加圧部材の外表面を構成する表面層(以下、「表面層」と称する。)に、フッ素樹脂、具体的にはテトラフルオロエチレン(-C-)と、パーフルオロアルキルビニルエーテル(-CF-CF(OR)-)との共重合体(以降、「PFA」とも称する。)を含む表面層が用いられることがある。ここで、「R」はパーフルオロアルキル基を表す。
近年、ファーストプリントタイムの短縮化の観点から、加熱部材がトナー画像を定着し得る十分な温度に達するまでの時間(以下、「起動時間」と称する)の短縮化が求められている。そのためには、加圧部材の表面層の多孔化して熱伝導率を下げることにより、定着時の加熱部材から加圧部材への熱の伝達を抑えることが有効である。そして、特許文献1には、フッ素樹脂と、外殻が無機材料で形成された中空粒子と、を含む層によって表面が構成されている加圧用部材が開示されている。
ところで、定着工程においては、静電オフセットと呼ばれる現象が起きる場合がある。
これは、加熱部材と加圧部材とが摺動した結果、加圧部材の加熱部材との対向面(以降、単に「外表面」ともいう)が未定着トナーと同極性に帯電し、ニップ部又はその近傍において未定着トナーに対して反発力が生じ、未定着トナーが加熱部材に飛翔する現象である。静電オフセットの防止には、加圧部材の外表面の帯電を防止することが有効である。
特開2014-232208号公報
ここで本発明者らは、表面層の厚み方向の熱伝導率をより低下させるために、表面層をより多孔化することを検討した。その過程で、表面層の多孔化を進めるにしたがって、カーボンブラックの如き導電材を含んでいる表面層であっても、その外表面の表面抵抗率が高くなり、静電オフセットを生じやすくなる場合があることを見出した。すなわち、表面層の厚み方向のより一層の高断熱化と、外表面の表面抵抗率の低減との両立が困難であるとの知見を得た。
そこで、本開示の一態様は、外表面の高抵抗化を抑えつつ、厚み方向の断熱性を高めた電子写真用の加圧部材の提供に向けたものである。
また、本開示の他の態様は、ファーストプリントタイムのより一層の短縮と、静電オフセットの発生とをより良く防止し得る定着装置の提供に向けたものである。更に、本開示の更に他の態様は、ファーストプリントタイムがより短縮され、かつ、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、基体と、該基体の上の弾性層と、該弾性層の上のフッ素樹脂を含む表面層を有し、該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が、1×1011[Ω/□]以下であり、かつ、該表面層の厚み方向の熱伝導率λが、0.093[W/mK]以下である加圧部材が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、上記の加圧部材と、該加圧部材と対向配置された加熱部材とを有する定着装置が提供される。また、本開示の更に他の態様によれば、上記の定着装置を備えた電子写真画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、外表面の高抵抗化を抑えつつ、厚み方向の熱伝導率を低減させた電子写真用の加圧部材を得ることができる。また、本開示の他の態様によれば、ファーストプリントタイムのより一層の短縮と、静電オフセットの発生とをより良く防止し得る定着装置を得ることができる。また、本開示の更に他の態様によれば、ファーストプリントタイムがより短縮され、かつ、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる電子写真画像形成装置を得ることができる。
本開示の一態様に係る加圧部材の表面層の厚み方向の概略断面図である。 実施例に記載の表層近傍の孔をつぶす工程の概略模式図である。 本開示の一例である加圧部材の断面模式図である。 本開示に係る加圧部材を用いた定着装置の断面模式図である。 本開示の電子写真画像形成装置の一態様を示す概略模式図である。
本発明者等は、静電オフセットの発生を防止でき、また、加熱部材からの熱量の移動を低減できる加圧部材を得るべく検討を重ねた。その結果、以下の構成を有する加圧部材が、上記した課題の解決に資することを見出した。すなわち、本開示の一態様に係る加圧部材は、基体と、該基体の上の弾性層と、該弾性層の上のフッ素樹脂を含む表面層を有する。そして、該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が、1×1011[Ω/□]以下であり、かつ、該表面層の厚み方向の熱伝導率λが、0.093[W/mK]以下である。
以下に、図面を用いて本開示の詳細を説明する。
1.加圧部材
図3は、本開示の一態様に係るローラ形状の加圧部材(以降、「加圧ローラ」とも称する)19の周方向の断面図である。加圧ローラ19は、円柱状の基体19aの外周面の上に、基体19aと同心かつ円筒状に形成された弾性層19bを有する。弾性層19bの外周面は、最外層としての表面層19cで被覆されている。なお、弾性層19bは、基体19aの外周面に不図示の接着層で接着されていても良く、表面層19cは弾性層19bの外周面に不図示の接着層で接着されていても良い。
1-1.基体
基体19aには、鉄やアルミニウム製の基体が好適に用いられ、予めサンドブラスト等で表面を活性化した後、メチレンクロライドや炭化水素系洗浄剤あるいは水系洗浄剤等で脱脂しても良い。
1-2.弾性層
弾性層19bは、2.定着装置において後述する定着ニップ部Nを形成するための層であり、ソリッドゴム層、発泡ゴム層としても良い。加圧部材19に用いられる弾性層19bの厚さは所望の幅の定着ニップ部Nを形成することができる厚さであれば特に限定はされないが、2~10mmであることが好ましい。
弾性層19bのメインポリマーとしては以下のいずれのものも好適に用いられる。例えば、高温加硫型シリコーンゴム(HTV;High Temperature Vulcanizing)、付加反応硬化型シリコーンゴム(LTV;Low Temperature Vulcanizing)、縮合反応硬化型シリコーンゴム(RTV;Room Temperature Vulcanizing)、フッ素ゴム、又はこれらの混合物等が挙げられる。具体的には、例えばジメチルシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、メチルフェニルシリコーンゴム、ビニルシリコーンゴム等のシリコーンゴム、フッ化ビニリデンゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、テトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、ホスファゼン系フッ素ゴム、フルオロポリエーテル等のフッ素ゴム等を使用することができる。これらのメインポリマーは、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。カーボンブラック及び湿式シリカや乾式シリカ等の補強充填剤、炭酸カルシウム、石英粉などの増量充填剤を上記メインポリマーに付与しても良い。
1-3.表面層
表面層19cは、その厚さ方向の熱伝導率λが、0.093[W/m・K]以下である。このことにより、定着工程における加熱部材からの加圧部材への熱伝導を抑制し得る。
更に、該表面層は、その外表面において測定される、温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が1×1011[Ω/□]以下である。このことにより、加熱部材との摺動によっても外表面が帯電しにくく、静電オフセットを有意に抑制し得る加圧部材とすることができる。
このような物性を満たす表面層は、例えば、空孔を有するフッ素樹脂の層によって構成することができる。図1は、本開示の一態様に係る加圧ローラの周方向に直交する方向、すなわち、該加圧ローラの長手方向に平行な方向に表面層を切断したときの表面層の厚み方向断面の模式図である。図1に示すように、加圧ローラの外表面を構成する表面層19cの外表面101から深さ方向に5μmまでの領域を「領域A」103とし、外表面101から深さ方向に5μmから外表面101とは反対側の表面102までの領域を「領域B」105とする。そして、該断面における領域Aの任意の位置に一辺が5μmの正方形の観察領域(以降、「第1の観察領域」ともいう)を置いたとき、該第1の観察領域内に観察される空孔107の面積の総和の該第1の観察領域の面積に対する割合を空孔率ΦA(%)とする。また、該断面における領域Bの任意の位置に一辺が10μmの正方形の観察領域(以降、「第2の観察領域」ともいう)を置いたとき、該第2の観察領域内に観察される該空孔の面積の総和の該第2の観察領域の面積に対する割合を空孔率ΦB(%)とする。そして、ΦA<ΦBとすることで、外表面101の表面抵抗率を上昇させることなく表面層の厚さ方向の熱伝導率を低減させることが可能である。空孔率ΦAが0%以上、13%以下であり、領域Aよりも弾性層に近い側の領域Bの空孔率ΦBが28%以上、50%以下であることが好ましい。
このような構成は、例えば、空孔率を外表面101から表面102に向かって増加するように構成されてなる単層膜で達成してもよく、また、領域Aを為すフッ素樹脂層と領域Bをなすフッ素樹脂層との積層膜によっても実現し得る。しかしながら、表面層内での界面のない単層膜によって表面層19cを構成することが好ましい。かかる単層膜を表面層として有する加圧ローラの非限定的な製造方法の一例として、下記工程(i)~(v)を含む方法を挙げる。
(i)基層上に形成された弾性層の外周面を、カーボンブラックの如き導電材を含むフッ素樹脂チューブで被覆した積層体を得る工程、
(ii)該積層体を、フッ素樹脂の融点近傍、例えば、フッ素樹脂PFAである場合においては、300℃±50℃、好ましくは、290~325℃に加熱したパーフルオロポリエーテル(以降、「PFPE」)の浴に該積層体を浸漬し、好ましくは20秒~5分、より好ましくは30秒~2分放置し、フッ素樹脂チューブの弾性層に対向する側とは反対側の外表面からフッ素樹脂チューブ内にPFPEを含浸させる工程、
(iii)工程(ii)によってPFPEがフッ素樹脂チューブ内に含浸した積層体を浴から取り出し、室温、例えば、20~35℃、好ましくは25~30℃まで冷却する工程、
(iv)工程(iii)を経て得られた積層膜を、PFPEを溶解可能な溶媒中に浸漬し、PFAチューブ内に含浸されたPFPEをフッ素樹脂チューブの外表面から除去して、フッ素樹脂チューブの外表面に開口し、かつ、フッ素樹脂チューブ内に厚み方向に延びる空孔を形成する工程、及び、
(v)工程(iv)を経て得られた積層体を、所定の温度(例えば、200℃)に加熱された金属板上を転動させて、フッ素樹脂チューブの外表面近傍の空孔をつぶすことで、領域A及び領域Bを有する表面層を形成する工程。
上記した工程(i)~(v)を含む方法によって、本開示の一態様に係る表面層を備えた加圧ローラを得られる理由を本発明者らは以下のように推測している。まず、工程(ii)において、樹脂層が含むフッ素樹脂の融点近傍の温度(例えば、フッ素樹脂がPFAの場合、温度300℃±50℃(好ましくは290℃~325℃))で、フッ素樹脂チューブの外表面をPFPEと接触させることにより、PFPEがフッ素樹脂チューブ内に含浸されていく。次いで、工程(iii)において、樹脂層を室温に冷却するが、その過程において、工程(ii)で膨張していたフッ素樹脂チューブが収縮する。それに伴って、フッ素樹脂チューブの外表面近傍のPFPEがフッ素樹脂チューブの外に放出される。一方、フッ素樹脂チューブの外表面から浸透し、フッ素樹脂チューブの外表面から離れた内部にまで浸透したPFPEは、フッ素樹脂チューブの冷却に伴う収縮によっても放出されず、フッ素樹脂チューブ内に留まる。次に、工程(iv)で行われる溶剤による樹脂層からのPFPEの除去によりPFPEが存在していた部位に樹脂層の第1の面に開口した空孔が形成される。上記の理由により、フッ素樹脂チューブの外表面側よりも、外表面とは反対側、すなわち弾性層に近い側の方が、空孔率が高い多孔質のフッ素樹脂チューブが形成される。更に、工程(v)で多孔化されたフッ素樹脂チューブの外表面を加熱下で加圧することでフッ素樹脂チューブの外表面近傍の空孔をつぶす。これにより、単層であるフッ素樹脂チューブ内に空孔の少ない領域Aと空孔の多い領域Bとを形成することができる。
工程(ii)における、フッ素樹脂チューブへのPFPEの含浸量は、例えば、含浸時のPFPEの温度、粘度、フッ素樹脂チューブとPFPEとの接触時間によって調整することができる。具体的には、フッ素樹脂の融点近傍の温度範囲(フッ素樹脂がPFAの場合、温度250~350℃)の内で高いほど、PFPEの粘度が低いほど、また、接触時間が長いほど、フッ素樹脂チューブへのPFPEの含浸量を増加させることができる。ここで、PFPEの好ましい粘度としては、好ましくは10mPa・s~400mPa・s、より好ましくは30mPa・s~350mPa・sである。このような粘度範囲の市販のPFPEとしては、「KrytoxGPL-101」(粘度12mPa・s)、「KrytoxGPL-102」(粘度26mPa・s)、「KrytoxGPL-103」(粘度54mPa・s)、「KrytoxGPL-104」(粘度111mPa・s)、「フォンブリンM03」(粘度30mPa・s)、「KrytoxGPL-105」(粘度301mPa・s)が挙げられる。
工程(iv)において、フッ素樹脂チューブに含浸させたPFPEを除去するためには、PFPEを溶解可能であり、フッ素樹脂を溶解しない溶剤中に、フッ素樹脂チューブの表面が濡れるように浸漬する。ここで、「PFPEを溶解する溶剤」とは、例えば、温度25℃において、溶剤100gに対しPFPEの溶解量が10g以上の溶剤が挙げられる。一方、「フッ素樹脂を溶解しない溶剤」とは、25℃において、溶剤100gに対しフッ素樹脂の溶解量が1g以下の溶剤が挙げられる。フッ素樹脂がPFAである場合、上記の溶媒としては、例えば、ハイドロフルオロエーテル(商品名:NoveC7600;スリーエム社製)を用いることができる。また、工程(iv)における、フッ素樹脂チューブからのPFPEの除去の際に、フッ素樹脂チューブに超音波を印加することは、フッ素樹脂チューブからのPFPEの除去を促進するうえで好ましい。
なお、上記の工程(ii)~(iv)においては、弾性層上にフッ素樹脂チューブを被覆した積層体を形成したのち、当該フッ素樹脂チューブの多孔化を行った。しかしながら、本開示に係る表面層の形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、フッ素樹脂チューブ単体を上記したようにPFPEへの含浸と含浸されたPFPEの除去を行って多孔化し、多孔化されたフッ素樹脂チューブを弾性層上に接着固定する方法によっても本開示に係る表面層を形成することができる。なお、フッ素樹脂チューブへのPFPEの含浸を、フッ素樹脂チューブをPFPEに浸漬して行う場合は、フッ素樹脂チューブの内周面からのPFPEの含浸が生じないように、フッ素樹脂チューブのPFPEへの浸漬に先立って、フッ素樹脂チューブの内周面をマスキングしておくことが好ましい。
工程(v)は、多孔化されたフッ素樹脂チューブの外表面101近傍の空孔をつぶし、表面層の外表面における表面抵抗率を低下させる処理である。本発明者らの検討によれば、金属板の温度を上げるほど、外表面近傍の空孔をより多くつぶすことができる。ここで、金属板の温度、表層を多孔化した積層体の金属板への押圧力処理時間は、表面層の外表面で測定される表面抵抗率が、本開示に係る値を満たすように空孔がつぶすことができる限り適宜選択すればよい。また、外表面近傍の空孔をつぶす方法は、これに限定されるものではなく、例えば温風を外表面に当て、表面層の外表面側を加熱する方法も挙げられる。
<フッ素樹脂>
表面層の構成材料であるフッ素樹脂の例としては、PFA、ポリテトラフルオロエチレン(以降、「PTFE」)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体(以降、「FEP」)を挙げられる。中でも、PFAは、トナー等に対する高い離型性を示す外表面を備えた表面層を形成し得ること、また、前記したPFPEを用いた含浸と除去とによって効率的に多孔化することができるため、より好適に用い得る。
ここで、PFAは前記した通り、パーフルオロアルキルビニルエーテル(以下、「PAVE」と称する。)とテトラフルオロエチレン(以下、「TFE」と称する。)の共重合体である。PAVEにおけるパーフルオロアルキル鎖の炭素数は好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4であり、更に好ましくは1~3である。 PAVEは、好ましくはパーフルオロメチルビニルエーテル(CF=CF-O-CF)、パーフルオロエチルビニルエーテル(CF=CF-O-CFCF)及びパーフルオロプロピルビニルエーテル(CF=CF-O-CFCFCF)から選択される。PFAの融点は、好ましくは280℃~320℃であり、より好ましくは290℃~310℃である。
PFAとしては、市販のものを用いることができ、以下に具体例を挙げる。
・「451HP-J」「959HP-Plus」「350-J」「950HP-Plus」(いずれも商品名、三井・ケマーズ フロロプロダクツ社製);
・「P-66P」、「P-66PT」、「P-802UP」(いずれも商品名、AGC社製);
・「AP-230」「AP-231SH」等(いずれも商品名、ダイキン工業社製); ・「6502N」(商品名、スリーエム社製)。
<パーフルオロポリエーテル(PFPE)>
PFPEは、パーフルオロポリエーテル構造を有する。具体的には、例えば、下記構造式(1)で示される構造を有する。
Figure 2022186614000002
(構造式(1)中、a、b、c、d、e、及びfは、それぞれ独立に0又は正の整数であり、1≦a+b+c+d+e+f≦600を満たし、a、b、c、及びdの少なくとも1つは正の整数である。)
また、構造式(1)中の各繰り返し単位の存在順序は、構造式(1)における記載の順序に限定されるものではない。更に、各繰り返し単位は、構造式(1)で表されるPFPE中の複数個所に存在してもよい。すなわち、構造式(1)で表されるPFPEはブロックコポリマーであってもよく、ランダムコポリマーであってもよい。
PFPEとしては、市販のものを用いることができるが、フッ素樹脂の融点においてオイル状であるものがより好適に用いられる。フッ素樹脂がPFAである場合、上記の構造式を有するPFPEとしては、具体的には、「Krytox GPL103」「Krytox GPL104」「Krytox GPL105」(いずれも商品名、ケマーズ社製)等を用いることができる。
表面層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常は、12μm以上100μm以下、特には、20μm以上85μm以下が好ましい。
2.定着装置
図4はベルト加熱方式の定着装置の概略構成の例の断面を示す模式図である。
定着ベルト11はベルトガイド部材16にルーズに外嵌させてある。加圧用剛性ステイ18はベルトガイド部材16の内側に挿通してある。ベルトガイド部材16は、例えば、耐熱性・断熱性を有する樹脂によって形成されている。
ベルトガイド部材16と定着ベルト11の内面とが接触する位置に熱源としてのセラミックヒータ17を具備する。セラミックヒータ17はベルトガイド部材16の長手方向に沿って設けられている溝部に嵌入され、固定されている。セラミックヒータ17は、不図示の手段によって通電され発熱する。
ローラ状の加圧部材19は、本開示の一態様に係る加圧部材である。加圧用剛性ステイ18の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設している。これによって、加圧用剛性ステイ18に押し下げ力を付与することでベルトガイド部材16の下面に配設したセラミックヒータ17の下面と加圧部材19上面とが定着ベルト11を挟んで圧接され、所定の定着ニップ部Nが形成される。すなわち、セラミックヒータ17の下面は、定着ベルト11の内周面に接して配置されている。
この定着ニップ部Nに未定着トナーGによって画像が形成された、被加熱体となる記録媒体Pを搬送速度Vで挟持搬送させる。これにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色、その後、冷却されることによって記録媒体P上にトナー像が定着される。
ここで、本例のようなベルト加熱方式以外の方式、例えば熱ローラ方式などにおいても本開示に係る加圧部材を有する構成にすることで、同様な効果を得ることができる。
3.画像形成装置
画像形成装置としては、電子写真方式を用いた複合機、コピー、ファックス、プリンタなどがある。ここではカラーレーザープリンタを例に用い、画像形成装置の全体構成について概略説明する。
図5は、本開示の一様態に係るレーザープリンタ40の概略断面図である。図5に示したレーザープリンタ40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に一定速度で回転する電子写真感光体ドラム39(以下、「感光体ドラム39」と称する。)を有する画像形成部を有する。また、画像形成部で現像され多重転写されたカラー画像を保持し、給送部から給送された記録媒体Pに更に転写する中間転写体38を有する。
感光体ドラム39(39Y、39M、39C、39K)は、駆動手段(不図示)によって、図5に示すように反時計回りに回転駆動される。
感光体ドラム39の周囲には、その回転方向にしたがって、順に、感光体ドラム39の表面を均一に帯電する帯電装置21(21Y、21M、21C、21K)、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム39上に静電潜像を形成するスキャナユニット22(22Y、22M、22C、22K)、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像ユニット23(23Y、23M、23C、23K)、感光体ドラム39上のトナー像を一次転写部T1で中間転写体38に転写させる一次転写ローラ24(24Y、24M、24C、24K)、転写後の感光体ドラム39の表面に残った転写残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニット25(25Y、25M、25C、25K)が配置されている。
画像形成に際しては、ローラ26、27及び28に張架されたベルト状の中間転写体38が回転すると共に各感光体ドラム39に形成された各色トナー像が前記中間転写体38に重畳して一次転写されることでカラー画像が形成される。
前記中間転写体38への一次転写と同期するように搬送手段によって記録媒体Pが二次転写部T2へ搬送される。搬送手段は複数枚の記録媒体Pを収納した給送カセット29、給送ローラ30、分離パッド31、レジストローラ対32を有する。画像形成時には給送ローラ30が画像形成動作に応じて駆動回転し、給送カセット29内の記録媒体Pを一枚ずつ分離し、該レジストローラ対32によって画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部T2へ搬送する。
二次転写部T2には移動可能な二次転写ローラ33が配置されている。二次転写ローラ33は、略上下方向に移動可能である。そして、像転写に際して、二次転写ローラ33は記録媒体Pを介して中間転写体38に所定の圧で押しつけられる。この時同時に二次転写ローラ33にはバイアスが印加され中間転写体38上のトナー像は記録媒体Pに転写される。
中間転写体38と二次転写ローラ33とはそれぞれ駆動されているため、両者に挟まれた状態の記録媒体Pは、図5に示す左矢印方向に所定の搬送速度Vで搬送され、更に搬送ベルト34により次工程である定着部35に搬送される。定着部35では熱及び圧力が印加されて転写トナー像が記録媒体Pに定着される。その記録媒体Pは排出ローラ対36によって装置上面の排出トレイ37上へ排出される。
以下に、実施例を用いて本開示を具体的に説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(積層体の作製)
まず、PFA(商品名:959HP-Plus、三井・ケマーズ フロロプロダクツ社製)とカーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC300J、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)と共に溶融混錬し、円筒状に押出し成形して、厚みが20μm、外表面で測定される表面抵抗率が1×10[Ω/□]であるPFAチューブを作製した。なお、このPFAの融点は296℃であった。
次に、表面をサンドブラスト処理した直径が23mmの鉄製の軸芯体の外周に、接着層として付加硬化型液状導電性シリコーンゴム用プライマー(商品名:SILASTIC DY35-051 A&B;ダウ・東レ社製)の「A液」及び「B液」を等量混合をスプレー塗布し温度150℃で30分間焼成した。
次に、鉄製の軸芯体を中心に装着した内径30mmのキャビティを有する成形金型内に、付加型液状シリコーンゴム(商品名:SILASTIC DY35-1349SC、ダウ・東レ社製;(体積抵抗値は10Ω・cm品)のA液(主剤)/B液(硬化剤))各50部を注型し、150℃で1時間、1次加硫を行った後、金型から脱型して軸芯体の周面に弾性層を形成した。次いで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:DOWSIL SE1819CV、ダウ・東レ社製)の「A液」及び「B液」を等量混合100部にペンタフルオロエタンスルホン酸カリウム(CSOK)0.5部を添加したものを該弾性層の外周面に5μmの厚さで塗布した。そして、その上に先に作製したPFAチューブを被せた。そして、温度200℃に設定した電気炉に、弾性層及びPFAチューブが積層された軸芯体を入れ、4時間加熱して、接着剤を硬化させて積層体を得た。
(加圧部材の作成)
(含浸)
PFPE(商品名:Krytox GPL104、ケマーズ社製、粘度111mPa・s(40℃))を硼珪酸ガラス製メスシリンダに入れ、PFPEを300℃に加熱した。300℃のPFPE中に上記で作製した積層体を1分間浸漬した後、取出し、室温(温度25℃)になるまで放置した。
(空孔形成)
次に、別途用意したフッ素溶剤(商品名:Novec7300、スリーエム社製)を入れたメスシリンダに入れ、室温になるまで放置した積層体を10分間浸漬し、次いで、積層体を入れたままの該メスシリンダを超音波洗浄装置(商品名:ブランソニック(形式2510J-DTH)、日本エマソン社製)の水槽内に入れ、60分間超音波を印加した。
その後、該メスシリンダから積層体を取り出し、温度25℃の環境下で60分間乾燥させた。なお、得られた積層体は、目視で表面層が白濁しており、PFAチューブ内に空孔が形成されたことが確認できた。
(加熱圧縮)
次いで、図2に示すように、温度200℃に加熱した金属板50上で、積層体を周速90mm/sのスピードで1秒間回転させ、PFAチューブを外表面から圧縮した。こうして、本実施例に係る加圧ローラ1を得た。
<評価>
得られた加圧ローラ1を下記の評価1~評価5に供した。
(測定サンプルの調製)
加圧ローラ1から、弾性層と表面層との評価用積層体を切り出した。次いで、該評価用積層体を、シリコーン樹脂の溶解剤(商品名:eソルブ21RS、カネコ化学社製)に浸漬して弾性層中のシリコーンゴムを溶解させて、評価用積層体から弾性層を除去し、PFAチューブからなる表面層の全厚さ部分を含む測定サンプルを得た。
(評価1:表面層の厚み方向の熱伝導率)
表面層の厚み方向の熱伝導率λは、以下の式から算出した。
λ=α×C×ρ
式中、λは表面層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。
ここで、厚み方向の熱拡散率α、定圧比熱C、及び密度ρの値は、以下の方法により求めた。
(熱拡散率α)
表面層の厚み方向の熱拡散率αは、周期加熱法熱物性測定装置(商品名:FTC-1、アドバンス理工社製)を用いて、室温(25℃)で測定した。測定サンプルから、面積が8×12mmの試料片をカッターで切り取り、計5個の試料片を作製し、それぞれの試料片の厚みをデジタル測長器(商品名:DIGIMICRO MF-501、フラット測定子Φ4mm、ニコン社製)を用いて測定した。次に、それぞれの試料片に対し、計5回測定し、その平均値(m/s)を求めた。なお、測定は、1kgの重りを使用して試料片を加圧しながら行った。
(定圧比熱C
表面層の定圧比熱は、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC823e、メトラー・トレド社製)を用いて測定した。
具体的には、試料用のパン及び参照用のパンとして、アルミニウム製のパンを用いた。
まず、ブランク測定として、両方のパンが空の状態で、10分間、15℃の定温に保った後、215℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、更に10分間、215℃の定温で保つプログラムで測定を実施した。次に、定圧比熱が既知である10mgの合成サファイアを基準物質に用い、同じプログラムで測定を行った。次いで、基準物質の合成サファイアと同量の10mgの測定試料を測定サンプルから切り出した後、試料パンにセットし、同じプログラムで測定を実施した。これらの測定結果を上記示差走査熱量測定装置に付属の比熱解析ソフトウェアを用いて解析し、5回の測定結果の平均値から、25℃における定圧比熱Cを算出した。
(密度ρ)
表面層の密度は、乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330-01、島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、10cmの試料セルを用い、セル容積のおおよそ8割程度を満たすように試料片を測定サンプルから切り出し、この試料片の質量を測定した後、試料セルに入れた。この試料セルを装置内の測定部にセットし、測定用のガスとしてヘリウムを用い、ガス置換の後、容積測定を10回実施した。各回について試料片の質量と測定された容積から、表面層の密度を算出し、その平均値を求めた。
最後に単位換算した表面層の定圧比熱C(J/(kg・K))と密度ρ(kg/m)、及び測定した熱拡散率α(m/s)から、表面層の厚み方向の熱伝導率λを算出した。
(評価2:表面抵抗率の評価)
表面層の厚みはマイクロメータを用いて測定した。また、表面層の表面抵抗率は、JIS K 6911に準拠した方法で実施した。具体的には、日東精工アナリテック社製、ハイレスターUX MCP-HT800により、UR-SSプローブを各サンプルに当てて表面抵抗率を測定した。測定の際はDC500Vを印加して、20秒間印加したのちに測定することにより得られる値を表面抵抗率とした。
(評価3:起動時間の評価)
加圧ローラ1を、電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNER-ADVANCE C5051;キヤノン社製)の定着装置に装着した。定着ベルトと加圧ローラとの間にかかる加圧力を20Kgfに設定した。そして、定着装置のセラミックヒータに1200Wで通電し、定着ベルトの表面温度が、定着可能温度である200℃になるまでの時間を計測し、起動時間とした。起動時間の評価基準は以下のように行った。
(評価基準)
ランクA:7.5秒未満
ランクB:7.5秒以上8.5秒以下
ランクC:8.5秒以上
(評価4:静電オフセットの評価)
加圧ローラ1を用いて図4に示す加熱定着装置を組み立て、未定着トナー像を形成した紙を通して定着させて、電子写真画像を形成した。定着条件としては、定着温度160℃、通紙速度を50mm/secで300枚連続通紙した後に、300枚目の電子写真画像について目視で観察して、静電オフセットの有無を下記基準で評価した。
(評価基準)
ランクA:トナーオフセット及びトナー欠落が共にない。
ランクB:トナーオフセット及びトナー欠落が微量確認される
ランクC:トナーオフセット及びトナー欠落が共に確認される。
(評価5:表面層の空孔率の算出)
加圧ローラ1の表面層の領域Aの空孔率ΦAと領域Bの空孔率ΦBを以下のようにして算出した。
加圧ローラ1から、クライオウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、加圧ローラの周方向と直交する方向と平行な厚さ方向の断面を切り出した。
得られた断面サンプルの表面層の断面に相当する面を、走査型電子顕微鏡で観察し該断面のSEM画像(倍率:10000倍)を取得した。SEM画像の取得位置は、該断面の表面層の厚み方向について、以下の通りとした。
(1)該断面の表面層の外表面側から反対側の表面に向かって5μmの領域に、縦5μm、横5μmの正方形の第1観察領域を、その上端が外表面と一致し、かつ、該第1観察領域の上端が外表面と平行となるように設定した。
(2)該断面の表面層の外表面とは反対側の表面から外表面に向かって10μmの領域に、縦10μm、横10μmの正方形の第2観察領域を、その下端が外表面とは反対側の表面と一致し、かつ、該第2観察領域の下端が外表面とは反対側の表面と平行となるように設定した。
SEM画像の解像度は、断面の空孔がSEM画像において観察できるように縦717ピクセル、横986ピクセルとした。なお、観察領域の横方向が第一の表面と平行になるようにした。SEM画像について、数値計算ソフト(商品名:MATLAB(登録商標);MathWork社製)を用いて2値化処理し、2値化画像を得た。2値化処理は、SEM画像内の空孔に相当する部分とPFAに相当する部分とを判別するために大津の方法を用いた。
そして、得られた2値化画像における空孔に相当する部分のピクセル数の全体のピクセル数に対する比率を求めた。
(実施例2~9)
表面層に用いるPFAチューブの膜厚、積層体を浸漬するPFPEの温度、及び多孔化したPFAチューブの外表面を加熱圧縮する際の金属板の温度のうちの少なくとも1つを表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして加圧ローラ2~9を作製した。
(実施例10)
実施例1と同様にして、PFAチューブの被覆前までの積層体を作製した。次いで、弾性層上に形成した接着層の外表面に下記の塗料1を塗布し、焼成することによって厚さ20μmの多孔質PFA膜を形成した。塗料1としては、PFA塗料(パーフルオロエチレンプロピレン共重合体;三井・デュポンフロロケミカル社製「EM-560CL」)100質量部に対し、中空粒子(商品名:3MグラスバブルズiM30K、3M社製)を65質量部混合したものを用いた。次いで、多孔質PFA膜の外周面上に下記の塗料2を塗布し、焼成することによって厚さ20μmのソリッドなPFA膜を形成した。塗料2としてはPFA塗料(パーフルオロエチレンプロピレン共重合体;三井・デュポンフロロケミカル社製「EM-560CL」)を用いた。こうして、2層のPFA膜からなる表面層を備えた加圧ローラ10を得た。
(比較例1)
実施例1において作製した積層体を本比較例1に係る加圧ローラA-1とした。
(比較例2~4)
比較例1に係る加圧ローラA-1の表層(PFAチューブ)の厚さを表1に示す通りに変更したものを比較例2~4に係る加圧ローラA-2~4とした。
(比較例5~6)
表面層に用いるPFAチューブの膜厚、積層体を浸漬するPFPEの温度、及び多孔化したPFAチューブの外表面を加熱圧縮する際の金属板の温度を表1に示す通りとした。
それら以外は実施例1と同様にして加圧ローラB-1~B-2を作製した。
(比較例7)
実施例1と同様にして、PFAチューブの被覆前までの積層体を作製した。次いで、弾性層上に形成した接着層の外表面に下記の塗料1を塗布し、焼成することによって厚さ20μmの多孔質PFA膜を形成した。塗料1としては、PFA塗料(パーフルオロエチレンプロピレン共重合体;三井・デュポンフロロケミカル社製「EM-560CL」)100質量部に対し、中空粒子(商品名:3MグラスバブルズiM30K、3M社製)を65質量部混合したものを用いた。こうして、1層の多孔質PFA膜からなる表面層を備えた加圧ローラCを作製した。
(比較例8)
実施例1に係る加圧ローラ1の製造工程において、多孔化したPFAチューブの外表面の加熱圧縮を行わない以外は実施例1と同様にして加圧ローラDを作製した。
上記で作製した実施例1~10に係る加圧ローラ1~10、比較例1~8に係る加圧ローラA-1~A-4、B-1~B-2、C及びDを前記した評価1~評価5に供した。評価結果を表1~表2に示す。
Figure 2022186614000003
Figure 2022186614000004
表2から、本態様に係る加圧部材が、優れた表面抵抗率を示し、且つ優れた熱伝導率を示すため、その結果、静電オフセットを防ぎつつ、起動時間を短縮できることが分かった。
また領域Aの空孔率ΦAを0%以上、13%以下にすれば表面抵抗率を1×1011[Ω/□]以下にすることができ、領域Bの空孔率ΦBを28%以上、50%以下にすれば熱伝導率を0.093[W/mK]以下にすることができることが分かった。
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
基体と、該基体の上の弾性層と、該弾性層の上のフッ素樹脂を含む表面層を有する加圧部材であって、
該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が、1×1011[Ω/□]以下であり、かつ、該表面層の厚み方向の熱伝導率λが、0.093[W/mK]以下である、加圧部材。
(構成2)
前記表面層が単層である構成1に記載の加圧部材。
(構成3)
前記表面層が少なくとも2つの層の積層体から構成される構成1に記載の加圧部材。
(構成4)
前記表面層の、前記加圧部材の長手方向と平行に切断したときの該表面層の全厚さ方向の断面において、該表面層の外表面から、該外表面から深さ5μmの位置までの間の領域Aの任意の位置に置いた一辺が5μmの正方形の第1の観察領域における空孔率ΦAが、
0%以上、13%以下である構成1~3のいずれかに記載の加圧部材。
(構成5)
前記表面層の、前記加圧部材の長手方向と平行に切断したときの該表面層の全厚さ方向の断面において、該表面層の外表面から深さ5μmの位置から該外表面とは反対側の表面までの間の領域Bの任意の位置に置いた一辺が10μmの正方形の第2の観察領域における空孔率ΦBが28%以上、50%以下である構成1~4のいずれかに記載の加圧部材。
(構成6)
前記表面層の厚さが12μm以上である構成1~5のいずれかに記載の加圧部材。
(構成7)
前記表面層が、導電材を含む構成1~6のいずれかに記載の加圧部材。
(構成8)
前記フッ素樹脂がPFAである構成」1~7のいずれかに記載の加圧部材。
(構成9)
前記弾性層がソリッドゴム層である構成1~8のいずれかに記載の加圧部材。
(構成10)
前記加圧部材が加圧ローラである構成1~9のいずれかに記載に記載の加圧部材。
(構成11)
加圧部材と、該加圧部材に対向して配置されている定着ベルトと、を具備する定着装置であって、該加圧部材が、
基体と、該基体の上の弾性層と、該弾性層の上のフッ素樹脂を含む表面層を有し、該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が、1×1011[Ω/□]以下であり、かつ、該表面層の厚み方向の熱伝導率λが、0.093[W/mK]以下である、ことを特徴とする定着装置。
(構成12)
定着装置を備える電子写真画像形成装置であって、該定着装置が、加圧部材と、該加圧部材に対向して配置されている定着ベルトと、を具備し、該加圧部材が、
基体と、該基体の上の弾性層と、該弾性層の上のフッ素樹脂を含む表面層を有し、該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が、1×1011[Ω/□]以下であり、かつ、該表面層の厚み方向の熱伝導率λが、0.093[W/mK]以下である、電子写真画像形成装置。
101 外表面
102 外表面とは反対側の表面
103 領域A
105 領域B
107 空孔
19 加圧ローラ(ローラ形状の加圧部材)
19a 基体
19b 弾性層
19c 表面層
50 加熱した金属板
35 定着部

Claims (12)

  1. 基体と、該基体の上の弾性層と、該弾性層の上のフッ素樹脂を含む表面層を有する加圧部材であって、
    該表面層の温度25℃におけるDC500V印加時の表面抵抗率が、1×1011[Ω/□]以下であり、かつ、該表面層の厚み方向の熱伝導率λが、0.093[W/mK]以下である、ことを特徴とする加圧部材。
  2. 前記表面層が単層である請求項1に記載の加圧部材。
  3. 前記表面層が少なくとも2つの層の積層体から構成される請求項1に記載の加圧部材。
  4. 前記表面層の、前記加圧部材の長手方向と平行に切断したときの該表面層の全厚さ方向の断面において、該表面層の外表面から、該外表面から深さ5μmの位置までの間の領域Aの任意の位置に置いた一辺が5μmの正方形の第1の観察領域における空孔率ΦAが、
    0%以上、13%以下である請求項1に記載の加圧部材。
  5. 前記表面層の、前記加圧部材の長手方向と平行に切断したときの該表面層の全厚さ方向の断面において、該表面層の外表面から深さ5μmの位置から該外表面とは反対側の表面までの間の領域Bの任意の位置に置いた一辺が10μmの正方形の第2の観察領域における空孔率ΦBが28%以上、50%以下である請求項1に記載の加圧部材。
  6. 前記表面層の厚さが12μm以上である請求項1に記載の加圧部材。
  7. 前記表面層が、導電材を含む請求項1に記載の加圧部材。
  8. 前記フッ素樹脂がPFAである請求項1に記載の加圧部材。
  9. 前記弾性層がソリッドゴム層である請求項1に記載の加圧部材。
  10. 前記加圧部材が加圧ローラである請求項1に記載の加圧部材。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の加圧部材と、該加圧部材に対向して配置されている定着ベルトと、を具備することを特徴とする定着装置。
  12. 請求項11に記載の定着装置を備えることを特徴とする電子写真画像形成装置。
JP2022081093A 2021-06-04 2022-05-17 加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 Pending JP2022186614A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021094732 2021-06-04
JP2021094732 2021-06-04

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022186614A true JP2022186614A (ja) 2022-12-15

Family

ID=84284032

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022081093A Pending JP2022186614A (ja) 2021-06-04 2022-05-17 加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11644777B2 (ja)
JP (1) JP2022186614A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4160317A1 (en) 2021-10-04 2023-04-05 Canon Kabushiki Kaisha Fixing member, method for producing the same, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4478342B2 (ja) * 2000-01-25 2010-06-09 キヤノン株式会社 定着装置
JP4587152B2 (ja) 2001-03-05 2010-11-24 キヤノン株式会社 加圧ローラ、加熱装置および画像形成装置
JP2003084609A (ja) 2001-06-04 2003-03-19 Ricoh Co Ltd 定着装置および画像形成装置
JP6171574B2 (ja) 2013-05-29 2017-08-02 富士ゼロックス株式会社 定着用加圧ベルト、定着装置、及び画像形成装置
JP2017223793A (ja) 2016-06-14 2017-12-21 コニカミノルタ株式会社 定着装置、画像形成装置、画像形成システム、および、進入位置移動方法
US20220206421A1 (en) 2020-12-25 2022-06-30 Canon Kabushiki Kaisha Fixing rotating member, fixing apparatus, electrophotographic image forming apparatus, and method for producing fixing rotating member
US11561495B2 (en) 2020-12-25 2023-01-24 Canon Kabushiki Kaisha Pressing rotating member and production method thereof, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
US20220206419A1 (en) 2020-12-25 2022-06-30 Canon Kabushiki Kaisha Fixing rotating member, fixing apparatus and electrophotographic image forming apparatus, and method for producing fixing rotating member

Also Published As

Publication number Publication date
US11644777B2 (en) 2023-05-09
US20220390885A1 (en) 2022-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6909040B2 (ja) 電子写真用の定着部材、定着装置および電子写真画像形成装置
US8801883B2 (en) Method for producing fixing-unit member and fixing-unit member
JP5761064B2 (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
WO2019181796A1 (ja) 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
CN108345200B (zh) 电子照相用构件、电子照相用构件的制造方法和定影设备
JP7301571B2 (ja) 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
CN114690606A (zh) 定影用转动构件及其生产方法、定影设备、图像形成设备
JP2022186614A (ja) 加圧部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
JP2001295830A (ja) ゴム被覆ローラ及びその製造方法
JP2014178470A (ja) ローラ体、定着装置及び画像形成装置、並びに、ローラ体の製造方法
US11561495B2 (en) Pressing rotating member and production method thereof, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus
JP7286340B2 (ja) 像加熱装置および画像形成装置
JP2011237681A (ja) 定着部材及びその製造方法、定着装置並びに画像形成装置
WO2019181805A1 (ja) 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
JP6946780B2 (ja) 定着ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
JP2016161656A (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置
JP2014174535A (ja) 加圧ローラ、定着装置及び画像形成装置
CN110865527B (zh) 用于定影设备的加压辊、定影设备和成像设备
JP2022103079A (ja) 加圧用回転体及びその製造方法、定着装置、並びに電子写真画像形成装置
JP5012012B2 (ja) 定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置
JP7301572B2 (ja) 定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置
JP6748676B2 (ja) 熱定着用ゴムローラ、および、その製造方法
JP2012150270A (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
JP2013073066A (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
JP7155551B2 (ja) 定着部材、定着装置、及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20220630