JP2016161656A - 定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置 - Google Patents

定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置 Download PDF

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Yoshitaka Kurosawa
慶能 黒澤
矢島 健太郎
Kentaro Yajima
健太郎 矢島
弘明 丸林
Hiroaki Marubayashi
弘明 丸林
田中 大介
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大介 田中
周平 伊澤
Shuhei Izawa
周平 伊澤
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Norihiko Yasuse
徳彦 安瀬
篤 高井
Atsushi Takai
篤 高井
剛史 遠藤
Takashi Endo
剛史 遠藤
一郎 中宗
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一郎 中宗
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Abstract

【課題】耐久性を損なわずに、定着ベルト等のニップを形成する相手側部材の軸方向の寄りを低減させることが可能な定着装置用ローラ、このようなローラを有する定着装置、および、画像形成装置を提供する。
【解決手段】円柱状または円筒状の芯金の外周面に、複数の気泡が部分的に互いに重なり合って複合して形成された複合気泡を有する多孔質体により構成された発泡弾性層を備えた定着装置用ローラにおいて、前記多孔質体の、前記芯金の軸を含む平面における断面に存在する前記複合気泡の大きさが0.1μm以上50μm以下で、かつ、前記複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、前記軸に対する配向角が、前記軸方向中央部付近を境界として互いに反転している定着装置用ローラ。
【選択図】図10

Description

本発明は、定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置に関する。
従来、複写機やプリンタといった画像形成装置には、ベルトを有する定着装置が用いられている。このような定着装置では、定着ベルトと定着装置用ローラとの間に形成されるニップに、トナーが付着した記録媒体を通過させることにより、ニップにおける熱と圧力によってトナーが記録媒体に定着される。
このような定着装置において、上記の定着装置用ローラには、ニップの温度を低下させないように断熱性が求められ、このような性能を満たす一例として、発泡弾性層が設けられたローラが挙げられる。断熱性を備えたローラによれば、ニップが定着可能温度に達するまでの時間の短縮が可能となり、発泡弾性層は硬度が比較的低いので、幅広いニップが形成されやすくなり、良好な定着性を可能とする。このような発泡弾性層として、最近の技術によるものとして、断熱効果を付与する気泡同士が連なった連泡構造を有する発泡弾性層が挙げられる(特許文献1)。
最近のベルト式定着装置では、画像形成装置の小型化、高速化の要求等から、細径のローラが用いられているにもかかわらず、比較的大きい力での付勢によりニップ幅が広くなるように設計される。このため、定着ベルトの軸方向の寄りが生じやすく、この寄りにより定着ベルトの破断やしわの発生が懸念される。
定着ベルトの寄りを防止する手段として、特許文献2では、定着ベルトに寄りが生じたときに突起部材が定着ベルトの端部に当接して、それ以上の寄りを防止する技術が提案されている。その他、定着ベルトの両端部近くの内周面への寄り規制部材の貼付、ローラ軸端部へのベルト寄り止めリングの設置、ベルトの支持部材制御機構の搭載なども提案されてきた。しかし、これらの方法では、速いベルト寄り、すなわち、強い寄り力が発生した場合に、部材の剥離やベルトの乗り上げの発生、あるいは、ベルト端部の座屈等各種不具合の発生の懸念があった。
また、押出成形により筒状の発泡弾性体を作製し、その発泡体の気泡が一方向に配向しているのを利用し、これを分割して配向の影響を互いに打ち消し合うようにして接着して発泡弾性層を形成する技術も提案されていた(特許文献3)。しかし、この方法では、定着装置用ローラの製造工程が多くなる上、接着部が弱く、定着装置用ローラとしての耐久性が低くなりやすかった。
本発明は、上記の問題を解決する、すなわち、耐久性を損なわずに、定着ベルト等のニップを形成する相手側部材の軸方向の寄りを低減させることが可能な定着装置用ローラ、このようなローラを有する定着装置、および、画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の定着装置用ローラは、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、円柱状または円筒状の芯金の外周面に、複数の気泡が部分的に互いに重なり合って複合して形成された複合気泡を有する多孔質体により構成された発泡弾性層を備えた定着装置用ローラにおいて、前記多孔質体の、前記芯金の軸を含む平面における断面に存在する前記複合気泡の大きさが0.1μm以上50μm以下で、かつ、前記複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、前記軸に対する配向角が、前記軸方向中央部付近を境界として互いに反転していることを特徴とする。
本発明の定着装置用ローラは、前記多孔質体の、前記芯金の軸を含む平面における断面に存在する前記複合気泡の大きさが0.1μm以上50μm以下で、かつ、前記複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、前記軸に対する配向角が、前記軸方向中央部付近を境界として互いに反転している構成により、分割や接着等を必要とせず、発泡弾性層全体を一体に形成できる。そのためローラ自体の耐久性を損なわずに、ニップを形成する相手側部材を軸方向へ移動させる力が前記中央付近を境界として反転して生じるので、相手側部材の軸方向の寄りを低減させることが可能となる。
本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 本発明の定着装置の一例を示す図である。 本発明の定着装置で用いる定着ベルトの一例のモデル断面図である。 本発明の定着装置用ローラの一例のモデル断面図である。 水発泡シリコーンにおける未硬化組成物における油中水滴型のエマルションを示すモデル図である。 図6(a):複合気泡の連泡構造を示すモデル図である。図6(b):実際の水発泡シリコーンによる多孔質体の断面の観察画像である。パターンの周期性について説明する説明図である。 複合気泡の配列の周期性を評価する方法をモデル的に説明した説明図である。 図6(a):水発泡シリコーンにより形成された多孔質体の断面写真である。図6(b):図6(a)の断面写真を白黒二値化した画像データである。 図9(a):定着ベルトの寄りが顕著に発現した定着ローラの発泡弾性層の断面の顕微鏡写真である。(図9(b)):図9(a)の写真の複合気泡の配列の周期性の解析結果を示す画像である。 本発明の定着装置用ローラの一例の中間品について、その複合気泡(連泡構造)の配列傾向をモデル的に示す図である。 実施例1および比較例1〜2の定着装置用ローラの発泡弾性層の両端近く(L、R)および中央部(C)の断面の顕微鏡写真である。 実施例1及び比較例1〜3の定着装置用ローラの発泡弾性層の軸方向中央部の断面の顕微鏡写真である。
以下、本発明について図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための画像形成装置の一例の全体の概略構成図である。
本例では画像形成装置としてタンデム型カラープリンタを挙げる。
図1において、画像形成装置90本体の上方に設置されたボトル収容部101には、各色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y,102M,102C,102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
中間転写ユニット85に設置された中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー,マゼンタ,シアン,ブラック)に対応した作像部4Y,4M,4C,4Kが並設されている。各作像部4Y,4M,4C,4Kには、それぞれ感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75(図1には感光体ドラム5Kに対応したものみに符号を付している。以下同じ。),現像装置76,クリーニング部77,除電部(図示せず)などが配設されている。
そして、各感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kが回転し、各感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kの表面に対して、下記の作像プロセス(帯電工程,露光工程,現像工程,転写工程,クリーニング工程)が行われる。そして、各感光体ドラム5Y,5M,5C,5K上に各色の画像が形成される。
以下に感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kに対する作像プロセスについて説明する。
感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kは、図示しない駆動モータによって、図1において時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75において、感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程)。
帯電された後、感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kの表面は、露光部3aから発せられるレーザ光により照射・露光され、各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程)。制電潜像が形成された感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kは、現像装置76により静電潜像がトナー現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程)。
感光体ドラム5Y,5M,5C,5K表面のトナー像は、中間転写ベルト78および第1転写バイアスローラ79Y,79M,79C,79Kにより、中間転写ベルト78周面に転写される(一次転写工程)。このようにして中間転写ベルト78周面に順次重ねて各色のトナー像が転写されることにより、中間転写ベルト78周面にカラー画像が形成される。
前記転写の後、感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kは、クリーニング部77に達して、感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kの表面に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程)。
そして、除電部により感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kの表面の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kによる一連の作像プロセスが終了する。
次に、中間転写ベルト78周面で行われる一連の転写プロセスについて説明する。
中間転写ユニット85は、たとえば次の部材から構成されている。すなわち、無端状の中間転写ベルト78、4つの一次転写バイアスローラ79Y,79M,79C,79K、二次転写ローラ89、二次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80である。
中間転写ベルト78は、二次転写バックアップローラ82とクリーニングバックアップローラ83とテンションローラ84とに張架・支持され、二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって、図1における矢印A方向に移動される。一次転写バイアスローラ79Y,79M,79C,79Kは、それぞれ感光体ドラム5Y,5M,5C,5Kとで中間転写ベルト78を挟み込むようにして一次転写ニップを形成している。一次転写バイアスローラ79Y,79M,79C,79Kには、トナーとは逆の極性の転写バイアスが印加される。
中間転写ベルト78は、矢印A方向に走行して、中間転写ベルト78と感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間にそれぞれ形成された一次転写ニップを順次通過する。こうして感光体ドラム5Y,5M,5C,5K表面の各色のトナー像が、中間転写ベルト78周面に順次重ねられて一次転写が行われる。
一次転写後、中間転写ベルト78周面に形成されている4色のトナー像が積層されたカラー画像(以下、単に「トナー像」と云う場合がある。)は二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置で二次転写バックアップローラ82は、二次転写ローラ89との間で中間転写ベルト78を挟み込むようにして二次転写ニップを形成している。二次転写ニップにおいて、トナー像が搬送されてくる記録媒体Pの表面に転写される。
転写後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80に達して、中間転写ベルト78周面の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト78の周面で行われる一連の転写プロセスが終了する。
二次転写ニップの位置に搬送される記録媒体Pは、画像形成装置90本体の下方に配設された給紙部12aから、給紙ローラ97およびレジストローラ98を経由して搬送される。給紙部12aには、転写紙などの記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。
給紙ローラ97が図1において反時計方向に回転駆動されると、最上位の記録媒体Pから順にレジストローラ98に給送される。レジストローラ98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ98のローラニップの位置で一旦停止する。
そして、中間転写ベルト78周面に形成されたトナー像にタイミングを合わせて、レジストローラ98が回転駆動されることにより、記録媒体Pが前記二次転写ニップに向けて搬送される。このようにして、記録媒体P表面にトナー像が転写される。
二次転写ニップでトナー画像が転写された記録媒体Pは、その後、定着装置20に搬送される。定着装置20において定着ベルト4と定着装置用ローラ(加圧ローラ)1とによる加熱および加圧を受けて、表面に転写されたトナー像が記録媒体P表面に定着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ99を経て画像形成装置90本体外へと排出され、スタック部100上に順次スタックされる。
ここで、本発明の定着装置の一例である上記の定着装置20について図2を用いて説明する。
図2において、定着装置20内に、定着部材としての無端ベルト状部材からなる定着ベルト4と、定着ベルト4内に設けられたパイプ状の熱伝導部材22と、加熱部材であるハロゲンヒータ25と、定着ベルト4に接して表面温度を検知する温度センサであるサーミスタ(図示せず)と、定着ベルト4と接して定着ニップNを形成する加圧部材としての加圧ローラ1と、定着ベルト4の外周一部に対向設置された断面円弧状の放熱部材40などにより構成されている。
熱伝導部材22の定着ニップNに対向する位置に凹部22aが形成され、凹部22aに、ニップ形成部材26と、定着ベルト4とニップ形成部材26の間に配されたメッシュ状の潤滑シート23と、熱伝導部材22の凹部22a底部とニップ形成部材26の間に配された断熱材27とが配設されている。
ニップ形成部材26は、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性体から構成されており、定着ベルト4の内面に対して潤滑シート23を介して間接的に摺動するようになっている。なお、ニップ形成部材26が定着ベルト4の内面に直接摺動する構成であってもよい。
中空の熱伝導部材22は材質としてアルミニウム,鉄,ステンレスなどのパイプ状金属を用いる。本実施形態の熱伝導部材22は、定着ベルト4の直径より1mm程度直径の小さい円形の断面を有している。
熱伝導部材22の凹部22aの内部には、ニップ形成部材26と断熱材27が収納されており、熱伝導部材22の内部には、これらを支持するための断面が略T字状の保持部材30が設けられている。
熱伝導部材22を昇温させる熱源としては、図示したハロゲンヒータ25でもよいが、IH(誘導加熱)方式、抵抗発熱体やカーボンヒータなども使用することができる。
定着ベルト4について図3の断面図を用いて詳細に説明する。図3に示すように、基材41aの上に弾性層42a、離型層43aを積層しており、その全体の厚さは1mm以下となっている。また、その直径は15〜120mm程度になるように設定されており、本実施の形態では30mm程度に設定されている。
定着ベルトの基材層41aは、厚さが30〜50μmであって、ニッケルもしくはステンレス等の金属材料またはポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成されている。弾性層42aは光沢むらのない均一な画像を得るために、ベルト表面に柔軟性を与える目的で形成され、厚さは100〜300μmが好ましい。また、定着温度における耐熱性を有する必要性から、材質としてはシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が用いられる。離型層43aに使用される材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、および四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂、もしくはこれらの樹脂の混合物、耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。
加圧ローラ1は、本発明の定着装置用ローラの例であり、その構成を、図4を用いて説明する。この例では円柱状の金属製部材からなる芯金11上に、発泡シリコーンゴムからなる発泡弾性層12、PFAまたはPTFEからなる表面離型層13の順にそれぞれ積層され、さらに発泡弾性層12の両端部付近には表面離型層13の代わりに、定着ベルトとの滑りの発生を防止する、ゴム材料によって形成されるグリップ層14が形成されている。
芯金11にはステンレス鋼、炭素鋼など剛性の高い金属材料を用いる。芯金の肉厚については本発明では発泡弾性層に発泡シリコーンゴムを適用することで断熱性を有しており、中空(円柱状体)、中実(円筒状体)は問わない。
発泡弾性層12には発泡シリコーンゴムを用いて形成することで断熱性を得ることができ、加圧ローラへの伝熱を低減することで機器の立ち上げ時間短縮や省エネ(TEC値低減)が可能である。
発泡弾性層12を構成する多孔質体は、複数の気泡が部分的に互いに重なり合って複合して形成された複合気泡を有し、かつ、芯金11の軸を含む平面における断面に存在する複合気泡の大きさが0.1μm以上50μm以下で、かつ、複合気泡の配列の周期性が、軸方向中央部付近を境界として互いに反転しているものである。
上記発泡弾性層12では、発泡シリコーンとして水発泡シリコーンを用いている。ここで、水発泡シリコーンについて説明する。水発泡シリコーンは、使用時にはW/O型、すなわち、油中水滴型のエマルションとなる。図5のモデル説明図に示すように未硬化のシリコーンゴム成分31内に水粒子32が分散した状態となっている。このエマルションを金型に注型した後、加熱硬化させることで、発泡弾性層が形成される。この際、ゴム成分内に分散した水は加熱によって蒸発し、その結果、シリコーンゴム内に気泡(独立気泡)が形成される。そして、発生した水蒸気はさらにこれら気泡間の壁を破り、隣り合う気泡同士が連結する。このようにして、多孔質体内部に、気泡同士が連なった、複合気泡(以下、単に「気泡」とも云う。)の連泡構造が形成される。
図6(a)にこのような多孔質体の複合気泡の連泡構造を示すモデル図、図6(b)に実際の水発泡シリコーンによる多孔質体の断面の観察画像を示す。図6(a)では符号33を付して多孔質体内で連泡となった気泡を示している。また、図6(b)の画像観察は、キーエンス社のレーザ顕微鏡VK−9500を使い、観察倍率は1000倍で行ったものである。
本発明者らは、発泡弾性層を形成する多孔質体内の複合気泡の連泡構造を調べてみた。これまで、これらは異方性を持たず、ランダムに分布していると考えられてきたが、実際には異方性を持っていることが判った。そして、これら気泡がローラの軸方向に配向しており、その配列の周期性が定着ベルトの寄りに関与していると考えられた。
ここで、複合気泡は、その断面を観察することで、単独気泡の球形状とは異なり、球形が互いに部分的に重なり合って形成された形状となっているので、多孔質体の断面を顕微鏡などで観察することで、単独気泡と容易に区別できる。
複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、軸に対する配向角の評価方法について記す。例えば、水発泡シリコーンにより形成された多孔質体の場合、その気泡は分散剤である水(及び、アルコール)が成形体から抜けるときに形成された微細な通路によりつながっている、いわゆる連泡体となっている。しかし、断面の撮影画像(図6(b)参照)を目視しても、気泡(連泡体)がいずれの方向に周期性を持っているかの判別は困難である。
そこで、画像の二次元フーリエ解析により複合気泡の配列の周期性を評価することとした。評価方法の例を、モデルを使って説明する。
モデルの一例として斜め135度方向に白黒のパターンを配列させた画像(図7(a))について二次元フーリエ解析を行った結果を図7(b)に示す。図7(a)を目視した場合に容易に理解されるようにその白黒のパターンの周期性は図7(b)で解析されたように135度方向にピークを持つ。ここで、図7(a)の画像に目視ではどの方向に白黒のパターンが並んでいるか判別困難となるように白線を重ねた画像を図7(c)に示す。図7(c)について、同様に二次元フーリエ解析を行うと周期性のピークは135度方向に抽出される(図7(d))。
このように、目視では判別困難であった気泡(連泡体)の周期性について、上述した二次元フーリエ解析による評価方法(図7(c)の白線を複合気泡(連泡体)、黒線を固層(シリコーンゴム)と見立て)を適用することで、複合気泡(連泡体)の配列の周期性(気泡の連泡方向)が評価可能となる。
実際の評価手順としては、鋭利な刃物で発泡弾性層を構成する多孔質体をローラの軸を含む断面が得られるように切断し、その断面をレーザ顕微鏡(LSM)、あるいは、電子顕微鏡(SEM)により一辺が200μmの正方形の領域を、鮮明に見えるように撮影する(図8(a)参照)。
得られた画像を市販の画像処理ソフトにより、気泡部分が黒く、固層(シリコーンゴム)部分が白くなるようにして白黒二値化(図8(b)参照)する。
このように白黒二値化した画像に対して二次元フーリエ解析を行い、白黒(それぞれ固層と気泡とに対応する。)の配列の最も強い周期性を示す、ローラの軸に対する角度(配向角)を抽出する。以上の方法により複合気泡の配列の周期性を評価した。
ここで、図9(a)に定着ベルトの寄りが顕著に発現した定着ローラの発泡弾性層の、軸を含む断面での顕微鏡写真を示す。この写真においては判別が難しいが、この写真を画像解析ソフトウェアでフーリエ変換を行って、写真中の各連泡構造の定着ローラの軸に対する傾き(角度)を解析して、その傾きの発現頻度の傾向を示す、気泡の配列の周期性の解析結果を示す画像(図9(b))を得た。図9(b)によれば、図9(a)の発泡弾性層の断面写真において、ベルトの寄りが進行する軸方向を0度としたときに130度方向に配向する気泡(連泡)が他の方向に配向する気泡よりも多いことが理解される。なお、この定着ローラの発泡弾性層について、複数の、異なる位置における角度周期性を調べてみると、この定着ローラでは配列の周期性が最も強くなる、ローラの軸に対する角度(配向角)が120度を超える箇所が多いことが判った。
本発明では、この異方性を持った気泡の配列を制御してベルトの寄りを低減可能な定着装置用ローラを実現している。
ここで、本発明の定着装置用ローラの一例の、芯金11の外周面に発泡弾性層12を形成した段階の中間品について、その気泡(連泡構造)の配列傾向をモデル的に図10に示す。この図では、発泡弾性層12において、気泡の配列(連泡構造)の周期性の方向をモデル的に太線で示した。具体的には、複合気泡の配列の配向傾向(周期性)が、軸方向中央部(以下、単に「中央部」とも云う。)で軸に対して放射方向を向いており、この中央部を境界として、それぞれ部分PaおよびPbの気泡はそれぞれの気泡が属する側の軸先方向に多く配向している傾向があることを示している。
実際にこのような気泡配列の配向傾向を有する発泡弾性層を成形し、その発泡弾性層の2箇所のサンプリング箇所と、その複合気泡の配列の周期性を示す、図9(b)と同様の手法により得た解析画像を図10に併記した。これら解析画像により複合気泡の配列の周期性が発泡弾性層12の軸方向中央部付近を境界として互いに反転していることが理解される。
複合気泡の配列の周期性を有する発泡弾性層を備えた定着装置用ローラを定着装置に組み込んだ場合、発泡弾性層にニップ形成のための押し込み圧(軸方向への荷重)が加わると、気泡の配列に沿った力の分解が起こり、軸方向に分力が生じる。この分力が定着ベルトを寄らせる力となる。しかし、解析結果示す画像により確認されるように、複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、軸に対する配向角が中央部付近を境界として互いに反転している、図10にモデル的に示した発泡弾性層を有する定着装置用ローラでは定着ベルトの寄りが抑制される。すなわち、図10のPa領域の気泡の配列による定着ベルトを寄らせる力をFa、Pb領域の気泡の配列による定着ベルトを寄らせる力をFbとすると、FaとFbとは方向が逆でかつ等しい大きさ(|Fa|=|Fb|)になる。つまり、発泡弾性層全体で見ると軸方向のベルトを寄らせる力はFa+(−Fb)=0となるので、定着装置として実際に駆動した場合に定着ベルトの寄りは生じないこととなる。
次に、複合気泡の大きさ、複合気泡の個数、および、その大きさの分布の測定方法について説明する。
上述の複合気泡の周期性の測定の際と同様にして、発泡弾性層の断面の画像撮影を行い、その一辺が200μmの正方形の領域について、上記同様に、複合気泡と樹脂部とがともに明瞭になるように画像の二値化処理を行う。得られた二値化画像に対して、画像処理の手法の一つであるオープニング処理を、その消去対象とする複合気泡の大きさ(円相当径)を徐々に大きいものとしながら繰り返す。それぞれのオープニング処理で画像から消去された複合気泡が、その消去条件とその一つ前の消去条件との間の大きさを有する複合気泡である。
各オープニング処理で消去された画素数を、その消去条件で設定した複合気泡の大きさに相当する画素数で除することで、各処理で画像が削除された複合気泡の個数を知ることができる。このように、条件を変更しながらオープニング処理を繰り返すことにより、複合気泡の個数、および、その大きさの分布を求めることができる。
また、上記の断面における一辺が200μmの正方形領域に存在する複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、軸に対する配向角を、前記中央部付近でθbとし、そして、前記軸方向の両端付近でθaおよびθcとしたときに、θbは70°以上110°以下、θaが20°以上90°以下、θcが90°以上160°以下であり、θa<θb<θcの不等式を満足することが、ニップを形成する相手側部材の軸方向の寄りをより効果的に低減させることができるので好ましい。
さらに、前記断面における一辺が200μmの正方形領域に存在する前記複合気泡の面積の和が、前記正方形領域の面積に対して、60%以上70%以下であると、さらに高い寄り防止効果を得ることが可能となるので好ましい。なお、このような面積割合は上記顕微鏡による画像データにおいて、一辺が200μmの正方形領域における、部分的に重なり合って形成された複合気泡以外の気泡(すなわち、球形の単独気泡)の画像を目視で確認しながら消去したのち、白黒二値化し、これら領域における全体における黒の部分(複合気泡部分)の面積比(画像処理ソフトによって算出される)を用いた。
また、上記の正方形領域に存在する前記複合気泡の大きさが5μm以上50μm以下の範囲で5μmごとに分画したときに、5μm以上10μm以下の大きさの複合気泡の数が最も多いと前記寄り防止効果を高めることが可能となるので好ましい。さらに、このとき、前記5μm以上10μm以下の大きさの複合気泡の数を100としたときに、10μm超20μm以下の大きさの複合気泡の数が50以上であると加圧の応力をより均等に分散できるために、より高い耐久性を得ることができる。
また、発泡弾性層12を構成する多孔質体の熱伝導率は、0.1W/(m・K)以上0.2W/(m・K)以下、硬度は20°以上60°以下(アスカーC)であることが好ましい。
ここで、多孔質体の製造方法としては、発泡剤を添加させ発泡構造を形成する化学発泡と、液状シリコーンゴム中に水を乳化させて混在させ、加熱することで水を揮発させて発泡構造を形成する水発泡シリコーン法が一般的に知られている。
このうち、化学発泡では得られる気泡のサイズが大きくなるために、複写機の定着用回転体として用いた場合、トナーに対して均一な圧力負荷ができない、画像むらや耐久不足(硬度低下、破断など)が起こりやすいという問題がある。一方、水発泡シリコーン法では微細なセルを均一に形成することできるため、トナーに対して均一な圧力負荷ができ、圧力負荷を均等に受けることができるため、耐久不足が起きにくいので好ましい。このために、本発明における発泡弾性層を形成する多孔質体は、例えば水発泡シリコーンとして提案された技術を応用して得ることが好ましい。
具体的には、例えば東レ・ダウコーニング社のビニルメチルシリコーンゴム(VMQ)DY35−9334等の水発泡シリコーン組成物を用い、ただし、最終的に形成される多孔質体からなる発泡弾性層の上述の断面に存在する複合気泡が0.1μm以上50μm以下の大きさの範囲となるように攪拌条件を調整する。ここで、この範囲より小さい範囲の複合気泡が生じる攪拌条件では、最終的に得られる定着装置用のローラとしたときに、
(下限が現状の乳化限界)となりやすく、この範囲よりも大きい複合気泡が生じる攪拌条件では、発泡体全体での硬度の不均一化や断熱性の低下など、ローラ特性を低下させる原因となりやすい。
さらに、この攪拌条件を詳細に設定することにより好ましい複合気泡の大きさの分布である5μm以上50μm以下の大きさの気泡について5μm毎に分画したときに5μm以上10μm以下の大きさの気泡が最も多く存在するようにすることができる。そして、攪拌条件の最適化を行うことで、より好ましい分布である、5μm以上10μm以下の大きさの複合気泡の数を100としたときに、10μm超20μm以下の大きさの複合気泡の数が50以上とすることも可能である。
より具体的には、市販されている2液型の液状シリコーン主剤に触媒、界面活性剤、架橋剤を添加して攪拌した液状シリコーン液に、水(必要に応じてアルコールを加える)に添加剤、充填剤、分散剤等を混ぜて上記の液状シリコーンゴムと同等の粘度に調整した混合溶液を、混合した後、攪拌してエマルション組成物を調製する。
ここで、液状シリコーンゴムと混合溶液との配合比率は、得たい空孔率により調整する。例えば、液状シリコーンゴムと混合溶液との配合比率を1:1にすると、エマルション中の微粒子状の水分が蒸発しセルとなるので空孔率50%の多孔質体を得ることができる。
エマルション組成物は、ホモジナイザーや、必要に応じて超音波処理を伴う攪拌機を用い、上記条件を満足するような気泡分布が得られるよう攪拌手段、攪拌時間、攪拌速度(例えば300〜1500回転/分(rpm))などの各種攪拌条件を調整する。
その後、調製されたエマルション組成物を、予め芯金をセットした金型に充填し、加熱することでエマルション組成物内の水分を蒸発させずにシリコーンゴムを硬化させる(一次加熱)。
通常、上記の充填は金型容量の90〜100%の範囲で行い、加熱温度は80〜130℃の範囲、加熱時間は30〜120分の範囲で行う。好ましい範囲としては、それぞれ、充填率95〜100%、加熱温度90〜110℃、加熱時間60〜90分である。
次に、一次加熱後の多孔質体から水分を除去するために二次加熱を行う。加熱温度は150〜300℃、加熱時間は1〜24時間の範囲で行う。好ましい範囲としては、それぞれ、加熱温度200〜250℃、加熱時間3〜5時間である。このような二次加熱を行うことで、多孔質体から水分を除去し、気泡を複合気泡(連泡タイプ)とするとともに、シリコーンゴムの最終的な硬化を終了させる。
なお、本発明の定着装置用ローラの多孔質体により構成された発泡弾性層では、複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、軸に対する配向角が、前記軸方向中央部付近を境界として互いに反転している。このように複合気泡の配列の周期性を調整するためには、金型形状の最適化や1次加硫における金型に加わる熱量制御を行うことで、上記の構成を達成できる。
このように、成形した発泡弾性層の外周に例えば一液熱硬化型の接着剤を塗布し、PFAチューブで被覆して離型層を形成する。離型層にはその他、PTFE、FEPなどの離型性及び耐熱性の良い材料を用いても構わない。
グリップ層はローラ端部側、離型層側の通紙領域外に形成する。形成方法として、スプレー塗装、ディップ塗装、ロールコートなどを用いる。
このグリップ層の材料には、グリップ力を得るため、タック性を有すること、ニップ部の形成を阻害しないために弾性体であること、定着温度に対する耐熱性を有すること、の3つの特性が必要となる。そうした材料として、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料を用いることが好ましい。
本発明により、耐久性に優位性をもちながら定着ベルトの寄り速度を低減させることで定着ベルトの高寿命化を達成でき、さらに、鼓状形状とすることなく良好な紙搬送性が得られるため、定着装置において軸方向に均一なニップ幅を形成でき、画質向上を見込める定着装置用ローラ及びかかるローラを有する定着装置を提供することが可能となる。
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置は上記実施形態の構成に限定されるものではない。
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置を適宜改変することができる。このような改変によってもなお本発明の定着装置用ローラ、定着装置、および、画像形成装置の構成を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
芯金として外径(φ)が24mm、厚さが2mmのSTKM材を用い、その外周面に発泡弾性層として、厚さが4mmの発泡シリコーンゴム層を市販の水発泡シリコーンゴム組成物(東レ・ダウコーニング社のビニルメチルシリコーンゴム(VMQ)DY35−9334)を用いて形成した。次いで、通紙領域に表面離型層として厚さが30μmのPFAチューブを被覆し、ローラ両端の露出している発泡弾性層に弾性体(ゴム材料)からなる50μmの厚さのグリップ層を形成した。
発泡弾性層形成時に、発泡シリコーン組成物に対する攪拌条件および加硫条件(昇温および加熱条件)を調整して、実施例1、比較例1および2の計3種類のローラを作製した。また、比較例3として発泡弾性層を、連泡構造を持たない独泡構造(気泡同士が独立あるいは連なりが極めて微小)を持つ状態で形成した以外には上記と同様にして作成したローラを準備した。なお、これらローラは、鼓形状とせずに、円柱形状とした。
これらローラを図2にモデル的に示した定着装置に組み込み、各々のローラによる定着ベルトの寄り速度を測定した後に通紙を行い、この通紙した紙のしわの発生の有無を確認した。その後、発泡弾性層である多孔質体を軸方向でかつ、芯金の軸を含む平面で切断した断面について走査型電子顕微鏡による写真を撮影し、各々の気泡のおおきさ、分布及び複合気泡の周期性を評価した。以下にその詳細について説明する。
図11(a)〜(i)に実施例1および比較例1〜2の定着装置用ローラの発泡弾性層の両端近く(L、R)および中央部(C)の断面の顕微鏡写真を示すと共に、表1に図11(a)〜(i)の各写真における気泡の配列の周期性が最も強くなる角度を示す。
図12(a)〜(d)に実施例1及び比較例1〜2の定着装置用ローラの発泡弾性層の軸方向中央部の断面の顕微鏡写真をそれぞれ示す。また、これら断面における気泡の大きさの分布調査結果、気泡の大きさの範囲(A)、球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡が前記断面中の一辺が200μmの正方形領域において占める面積割合(B)、前記多孔質体を切断したときに得られる断面に存在する5μm以上50μm以下の大きさの気泡について5μm毎に分画したときにもっとも大きい分画範囲(C)、前記最も多い分画範囲の気泡の数を100としたときに、その分画より一段大きい分画の気泡の数割合(D)について表2に示す。
なお、表2における(A)〜(D)の項目に関しては、全ての定着装置用ローラにおいて両端付近(L、R)および中央部(C)で同じレベルであった。また、実施例1、比較例1〜2のローラの発泡弾性層の熱伝導率は0.100〜0.110W/(m・K)の範囲、硬度は34〜38°(アスカーC)の範囲にあり、これらは同じレベルであった。
各実施例および比較例のローラにおいて耐久試験及びベルト寄り速度の計測を実施した。試験には図2の定着ユニットにおいて、ニップ幅が10mmとなるように加圧ローラを押し込んだ状態でベルト表面の温度を140℃、線速を256mm/秒に制御した状態で試験を実施した。
試験実施に際しては同じ定着装置を用い、加圧ローラを交換して行った。ベルトの寄り速度は定着ベルトの片端の位置をレーザ変位計で計測し、その移動距離を経過時間で除することで算出した。しわ発生の有無に関しては通紙後の紙の状態を目視で確認した。
なお、耐久試験については上記、試験条件下において300時間行い、加圧ローラ硬度低下は試験実施前後の硬度変化を示している。通紙時には異音の発生の有無を調べ、耐久試験後に各ローラの発泡弾性層の気泡について、観察を行った。
結果を表3に示す。
今回の実験では全ての実施例、比較例においてベルト寄り自体は発生したが、寄り速度には差異が生じた。比較例2においてはベルト端面が規制部材と干渉することにより異音の発生、および端面破壊に至った。一方、実施例1においては寄り速度が低減していることが確認でき、実施例1の定着装置用ローラが寄り速度低減に効果があることが確認できた。
ここで、実施例の定着装置用ローラの寄り速度低減の理由は以下のように考えられる。このローラで用いられている発泡ゴムの気泡は連泡形態となっており、また、その気泡の配列の周期性評価より気泡はある角度に対して最も多く連なっていることが判る。
気泡がローラの軸に対して斜め方向に連なっていると、ニップ圧によるローラが加圧されたときに垂直成分の力のみならず、軸方向の力も生じる。この軸方向の力によってベルトが押され、ベルトの片寄りが引き起こされると考えられる。本発明においては気泡が最も多く連なっている角度(気泡の配列の周期性)を軸方向中央付近で互いに反転させている構造により、軸方向に働く力を軸方向左右で逆向きになるよう制御しているため、軸方向左右でベルトに働く力を打ち消しあい、結果としてベルト寄り速度の低減、ベルトの高寿命化に繋がっていると考えられる。
また、通紙時の紙の状態に関しては、比較例1〜3において、しわの発生が確認された。本発明においてしわの発生が無かったのは、気泡が最も多く連なっている角度(気泡の配列の周期性)を軸方向に働く力を軸方向左右それぞれが外側を向くよう制御しているため、軸方向左右で紙が外側に引っ張られ、結果としてしわの防止に繋がっていると考えられる。
また、耐久試験の結果としては、比較例3は実施例と比較し硬度低下が大きく、耐久性能が劣っていることが見受けられる。これは一般に発泡弾性体は通気性が高いほど(いわゆる連泡タイプ)、圧縮やせん断応力を受けた際に耐ストレス性が高いとされており、独泡やごく細い通路で連結されているタイプ(比較例3)では気泡が圧縮されるので気泡周囲の壁に圧力(ストレス)が繰り返し加わって破壊しやすいが、実施例1、および比較例1〜2の定着装置用ローラの発泡弾性層を構成する多孔質体の場合、球状の気泡が互いに部分的に重なり合って形成された複合気泡では、気泡自体が小さく、その大きさも様々なものがあり、かつ、気泡周囲の壁の形状が複雑であるために上記ストレスの集中が生じにくくなるためと考えられる。
ここで、従来の、押出成形による筒状の発泡弾性体を分割して配向の影響が互いに打ち消し合うようにして接着して発泡弾性層を形成した定着装置用ローラについても、耐久性について、上記同様に通紙テストを行った。その結果、この定着装置用ローラでは接着部付近の発泡弾性体が劣化し、接着せずに、全体が一体に形成された発泡弾性層を有している上記実施例の定着装置用ローラより、格段に短寿命であった。
1 加圧ローラ
2 熱伝導部材
3 加熱部材
4 定着ベルト
11 芯金
12 発泡弾性層
13 離型層
14 グリップ層
20 定着装置
90 画像形成装置
特開2004−70159号公報 特開2002−372872号公報 特開2009−300637号公報

Claims (10)

  1. 円柱状または円筒状の芯金の外周面に、複数の気泡が部分的に互いに重なり合って複合して形成された複合気泡を有する多孔質体により構成された発泡弾性層を備えた定着装置用ローラにおいて、
    前記多孔質体の、前記芯金の軸を含む平面における断面に存在する前記複合気泡の大きさが0.1μm以上50μm以下で、かつ、
    前記複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、前記軸に対する配向角が、前記軸方向中央部付近を境界として互いに反転していることを特徴とする定着装置用ローラ。
  2. 前記断面における一辺が200μmの正方形領域に存在する前記複合気泡の配列が最も強い周期性を示す、前記軸に対する配向角を、前記軸方向中央部付近でθbとし、そして、前記軸方向の両端付近でθaおよびθcとしたときに、θbは70°以上110°以下、θaが20°以上90°以下、θcが90°以上160°以下であり、かつ、θa<θb<θcの不等式を満足することを特徴とする請求項1に記載の定着装置用ローラ。
  3. 前記断面における一辺が200μmの正方形領域に存在する前記複合気泡の面積の和が、前記正方形領域の面積に対して、60%以上70%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置用ローラ。
  4. 前記正方形領域に存在する前記複合気泡の大きさが5μm以上50μm以下の範囲で5μmごとに分画したときに、5μm以上10μm以下の大きさの複合気泡の数が最も多いことを特徴とする請求項3に記載の定着装置用ローラ。
  5. 前記5μm以上10μm以下の大きさの複合気泡の数を100としたときに、10μm超20μm以下の大きさの複合気泡の数が50以上であることを特徴とする請求項4に記載の定着装置用ローラ。
  6. 前記多孔質体が水発泡シリコーンゴムにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置用ローラ。
  7. 最外層として、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、または、ポリテトラフルオロエチレンにより構成された離型層を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の定着装置用ローラ。
  8. 通紙領域外となる軸方向両端部に弾性体からなるグリップ層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置用ローラ。
  9. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置用ローラを備えることを特徴とする定着装置。
  10. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置用ローラを備えることを特徴とする画像形成装置。
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