JP2012150270A - 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】起動直後から、温度のばらつきが少なく、光沢むらのない画像を形成することができる定着装置用ローラ及び定着装置を提供する。
【解決手段】芯金上に、第1のソリッド弾性層、発泡弾性層、第2のソリッド弾性層、及び、離型層をこの順で積層してなる定着装置用ローラにおいて、前記第2のソリッド弾性層に、アルミナ、結晶性シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、及び、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種の高熱伝導性フィラーが配されている定着装置用ローラ。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどに用いられ、未定着トナー画像を定着させる定着装置において用いられる加圧ローラなどの定着装置用ローラに関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式を採用する画像形成装置では、転写紙やOHP用シートなどの記録材上の未定着トナー画像を加熱定着する定着装置を備えている。定着装置には、これまでヒートロール方式が広く用いられてきた。ヒートロール方式では、加熱された定着ローラに加圧ローラを圧接させてニップ部を形成し、ニップ部に記録材を通過させて未定着トナー画像を定着する。
このような定着装置の一部ではウォーミングアップタイムの短縮による省エネ効果を出すために、定着ローラもしくは加圧ローラを発泡体から構成することにより低熱容量化させている。また、この様な構成により低硬度化による広いニップ幅が確保できるので、優れた定着性を得ることができる。
前述のようにローラに発泡弾性層を組み込んだ場合に、ソリッドな弾性体と比較して強度が低下するために発泡弾性層の芯金近傍や表層部に破泡が発生し、必要なニップが確保できなくなる。また、さらなるウォームアップタイムの短縮を目的として低熱容量化を進めるために発泡倍率を高くすると、表面平滑性がなくなり、その結果、形成される画像に画像むらなどの不具合が発生する。
このような問題発生に対する対策として、特開2007−86134公報(特許文献1)では芯金に接する部分と表層部とを空孔のない弾性体材料からなるソリッド層により形成している。しかし、表層部に通常のソリッド層を設けると、特に起動直後に、加熱源の位置に起因する温度のばらつきが生じ、得られる画像に光沢むら等の不具合が発生する。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、起動直後から、温度のばらつきが少なく、光沢むらのない画像を形成することができる定着装置用ローラを提供することを目的としている。
本発明の定着装置用ローラは、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、芯金上に、第1のソリッド弾性層、発泡弾性層、第2のソリッド弾性層、及び、離型層をこの順で積層してなる定着装置用ローラにおいて、前記第2のソリッド弾性層に、アルミナ、結晶性シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、及び、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種の高熱伝導性フィラーが配されていることを特徴とする定着装置用ローラである。
また、本発明の定着装置用ローラは、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の定着装置用ローラにおいて、前記第1のソリッド弾性層の厚さ、及び、前記第2のソリッド弾性層の厚さが、ともに0.2mm以上2mm以下であることを特徴とする。
また、本発明の定着装置用ローラは、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の定着装置用ローラにおいて、前記発泡弾性層が、連続気泡構造を有していることを特徴とする。
また、本発明の定着装置用ローラは、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の定着装置用ローラにおいて、前記発泡弾性層が、水発泡シリコーンにより形成されていることを特徴する。
また、本発明の定着装置用ローラは、請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の定着装置用ローラにおいて、前記離型層が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体またはポリテトラフルオロエチレンから構成されていることを特徴とする。
本発明の定着装置は、請求項6に記載の通り、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置用ローラを備えたことを特徴とする定着装置である。
本発明の画像形成装置は、請求項7に記載の通り、請求項6に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の定着装置用ローラでは、図1にモデル的に示すように、第2のソリッド弾性層4に、高熱伝導性フィラー4aが配されている構成により、離型層5を通過して第2のソリッド弾性層4に直接、あるいは、定着ベルト等を介して間接的に供給される熱が、高熱伝導性フィラー4aによって第2のソリッド弾性層4内に細実線の矢印で示したように熱伝導されるために、定着装置用ローラへの熱の供給が不均一であった場合でさえも、第2のソリッド弾性層4は(特に定着装置用ローラの軸方向に)均一に加温される。このために、起動直後(加熱開始直後)から、温度のばらつきが少なく、光沢むらのない画像を形成することができる定着装置用ローラとなる。
なお、高熱伝導性フィラーとしては、第2ソリッド弾性層のマトリックスであるエラストマーよりも高い熱伝導を有するものであれば良く、そのようなものとしては、アルミナ、結晶性シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、及び、窒化ホウ素が挙げられ、これらより少なくとも1つ選択して第2ソリッド弾性層に配合する。
さらに、前記第1のソリッド弾性層の厚さ、及び、前記第2のソリッド弾性層の厚さが、ともに0.2mm以上2mm以下であることにより芯金近傍や表層部の破泡を防ぐことができ、ローラの表面平滑性が得られ、かつ、硬度の上昇を抑えることが可能となるために、充分なニップ幅の確保が可能となる。
さらに、前記発泡弾性層が、連続気泡構造を有していることにより、熱膨張によるローラ外径の増加や破泡による硬度低下を防止することができる。
さらに、前記発泡弾性層が、水発泡により形成されていることにより、加熱時の熱膨張によるローラ外径の増加や破泡による硬化低下を防止でき、耐久性が向上する。
さらに、前記離型層が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体またはポリテトラフルオロエチレンから構成されているので、高い離型性を有し、その結果、ローラへのトナー固着を防ぎ、両面印刷時などでも高い紙離型性を確保することができる。
本発明の定着装置は、上記の定着装置用ローラを有しているので、耐久性と表面平滑性、そして、起動直後からの高い表面温度むら防止のすべてを満足させることができる。
本発明の画像形成装置は、上記の定着装置を有しているので、起動直後から光沢むらのない画像を形成することができる。
図1は、本発明の原理を説明するためのモデル図である。 本発明のローラを応用する画像形成装置の一例を示すモデル図である。 本発明に係る定着装置の一例をモデル的に示す図である。 定着ベルトの断面を示すモデル図である。 本発明に係るローラの一例の断面を示すモデル図である。 ローラの加熱方法の一例を示す図である。 ローラの加熱方法の他の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図2は、画像形成装置(プリンタ)全体の構成・動作について説明する。
このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ対応した感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk(像担持体)の表面上に形成するために電子写真方式の4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bk(像形成手段)を備えている。
これら画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの下方には、各画像形成部を通して用紙(記録材)を搬送するための搬送ベルト20が張架されている。
各画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、搬送ベルト20にそれぞれ転接配置され,用紙(記録材)は搬送ベルト20の表面に静電的に吸着される。
4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、略同じ構造を有する。よって、ここでは用紙の搬送方向最上流側に配設されたイエロー用の画像形成部10Yについて代表して説明し、他の色用の画像形成部10M、10C、10Bkについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部10Yは、その略中央位置に搬送ベルト20に転接された感光体ドラム1Yを有する。感光体ドラム1Yの周囲には、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電装置2Y、帯電されたドラム表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、ドラム表面上に静電潜像を形成する露光装置3Y、ドラム表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する現像装置4Y、現像したトナー像を搬送ベルト20を介して搬送される用紙上に転写する転写ローラ5Y(転写装置)、転写されずにドラム表面に残留した残留トナーを除去するクリーナ6Y、および図示しないドラム表面に残留した電荷を除去する除電ランプが、感光体ドラム1Yの回転方向に沿って順に配設されている。
搬送ベルト20の図中右下方には、用紙を搬送ベルト20上に給紙するための給紙機構30が配設されている。
搬送ベルト20の図中左側には、後述する本発明の実施の形態に係る定着装置40が配設されている(この図中では、励磁コイルなどは省略)。搬送ベルト20によって搬送された用紙は、搬送ベルト20から連続して定着装置40を通って延びた搬送路を搬送され、定着装置40を通過する。
定着装置40は、搬送された用紙、すなわちその表面上に各色のトナー像が転写された状態の用紙を加熱および加圧する。そして、各色のトナー像を溶融して用紙に浸透させて定着させる。また、定着装置40の搬送経路下流側に排紙ローラを介して排紙する。
次に、本発明に係る定着装置を図3にて説明する。
ハロゲンヒータ5を内部に備えた加熱ローラ1と、加熱ローラ1と並行に配置された定着ローラ2と、加熱ローラ1と定着ローラ2とで張り渡され、これらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の耐熱性ベルト3と、ベルト3を介して定着ローラ2に圧接されるとともにベルト3に対して順方向に回転する加圧ローラ4とから構成されている。
加熱ローラ1は、ローラ内部のハロゲンヒータ5からの熱を当接する定着ベルトへ伝熱することを目的とする。そのため、内面に黒色塗装を施すことで、ハロゲンヒータからの熱を効率良く集光しローラの発熱効率を向上させることができる。
材質はアルミニウム、炭素鋼等の金属からなり、特にアルミニウムは金属の中でも熱伝導率が高いことから、加熱ローラで使用するに適している。また、ベルト基材との摺動面にはフッ素樹脂等の摩擦係数の小さい樹脂で被覆し、磨耗を低減するのも好適である。
定着ローラ2は、例えばステンレス、炭素鋼等の金属製の芯金2aと、耐熱性を有するシリコーンゴム等をソリッド状または発泡状にして芯金を被覆した弾性部材2bとからなる。そして、加圧ローラ4からの押圧力で加圧ローラ4と定着ローラ2の間に所定幅の接触部(定着ニップ部N)を形成する。外径は30〜40mm程度、弾性部材は肉厚を3〜10mm程度、硬度を10〜50°(JIS−A)程度としている。
定着ベルト3について図4の断面図を用いて詳細に説明する。図4に示すように定着ベルト3は、基材31の上に弾性層32、離型層33をこの順で積層して構成されている。
基材31に求められる特性として、定着ベルト3を構成したときの耐久性、柔軟性、及び、定着温度での使用に耐え得る耐熱性が挙げられる。本発明では支持ローラ1を誘導加熱するため基材31は絶縁性の耐熱樹脂材料、すなわち、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂等が適している。厚さは定着ベルトを構成したときの要求される熱容量、強度の関係から30μm以上200μm以下であることが望ましい。
弾性層32は光沢むらのない均一な画像を得るために、ベルト表面に柔軟性を与える目的で形成され、ゴム硬度は5〜50°(JIS−A)、厚さは50〜500μmが望ましい。また、定着温度における耐熱性から、材質としてはシリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が用いられる。
また、離型層33に使用される材料として、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、および四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂、もしくはこれらの樹脂の混合物、あるいは一般的な耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。
弾性層32を離型層33が被覆すると、シリコーンオイル等を使用しなくともトナー離型性、紙粉固着防止が可能になる(オイルレス化)。しかし、これらの離型性を有する樹脂は一般にゴム材料のような弾性を持たないことから、弾性層32上に離型層33を厚く形成するとベルト表面の柔軟性を損ない、形成される画像に光沢むらが発生してしまう。離型性と柔軟性とを両立させるためには、離型層33の膜厚として5μm以上50μm以下、望ましくは10μm以上30μm以下とすることが好ましい。
また、必要に応じて、各層間にプライマー層を設けても良く、また、基材の内面に摺動時の耐久性を向上させる層、例えば、フッ素樹脂のPFAやPTFEからなる層を設けても良い。
加圧ローラ4は、金属製の円筒部材からなる芯金41上に、第1のソリッド弾性層42、発泡弾性層43、第2のソリッド弾性層44、離型層45の順にそれぞれ積層した構造を有しており、ベルト3を介して定着ローラ2を押圧して定着ニップ部Nを形成している。加圧ローラ4の外径は一般的に30〜40mm程度である。
本発明では、上記第2のソリッド弾性層44に高熱伝導ゴムを適用することが特徴である。第2のソリッド弾性層44の熱伝導率を高くすることで、加熱源からの熱を長手方向に効率よく伝熱させることができる。その結果、定着温度の長手方向のむらがなくなるので、画像の光沢むら等の不具合を防ぐことができる。
このような第2のソリッド弾性層44にはエラストマーとして例えばシリコーンゴムを使用し、このエラストマー中にアルミナ、結晶性シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、及び、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種の高熱伝導性フィラーを混練などにより均一分散させることで、上記のような熱伝導率ゴムが得られる。
第2のソリッド弾性層44は0.2mm以上2.0mm以下にすることにより、表面強度と表面平滑性とを得る。0.2mm以下では表層部では表面強度が十分でなく、発泡弾性層の凹凸を表面化させてしまうことで平滑性を失う。逆に、2.0mm以上では硬度が高くなりすぎてしまい、十分なニップが得られなくなる。特に十分なニップが必要な場合は低硬度を維持するために、第2のソリッド弾性層44の厚さを0.2〜1.0mmとすることが望ましい。
発泡弾性層43は発泡シリコーンゴムを使用し、例えばシリコーンコンパウンドに発泡剤、架橋剤、連通化剤を練り、発泡加硫させて得る。または、液状シリコーンゴムに水、吸水ポリマー、硬化触媒を添加攪拌し、金型内で硬化させて得る。上記のような発泡シリコーンゴムにおいて、発泡倍率が1.5〜3.0であれば、低熱容量と充分な強度とを確保できるので好ましい。
ここで上記における後者の、水、アルコール類などの沸点が室温より高い液状化合物を廃した発泡性シリコーン組成物を発泡されて得る、いわゆる水発泡シリコーンとして特開2003−96223号公報等で提案された技術によって形成されていると、気泡が微細となり、かつ、連続気泡となるので、加熱時の熱膨張によるローラ外径の増加や破泡による硬化低下を防止でき、耐久性が向上するので好ましい。
第1のソリッド弾性層42は厚さを0.2mm以上2.0mm以下にすることにより、芯金近傍の耐破泡性と高い接着強度とを得ることができる。材質は耐熱性を考慮し、シリコーンゴムとする。
離型層45は耐熱性とトナーの付着防止とを考慮し、フッ素樹脂等を用いる。例えば、PFAやPTFEが一般的である。厚さは表面硬度が上がるのを抑えるために、0.1mm以下とすることが好ましい。
このようなローラ製造方法としては、まず、芯金の上に接着剤を塗付し、その上に上記条件で選定された各材料を順次、塗装もしくは注型、あるいは、押出し成形により被覆することで、第1のソリッド弾性層、発泡弾性層、第2のソリッド弾性層(高熱伝導ソリッド弾性層)の順に形成する。その後、必要に応じて、ローラ表面を研磨する工程を追加しても良く、最後にPFAもしくはPTFEチューブを被覆・固着(接着)させて離型層とすることができる。
加圧ローラとしての要求特性に応じて、上記第1のソリッド弾性層や発泡弾性層、第2の弾性層の硬度や厚さを適宜選択する。
本実施の形態では、加圧ローラ4の硬度を定着ローラ2に比べて硬くすることによって、加圧ローラ4が定着ローラ2(及びベルト3)へ食い込む形となり、この食い込みにより記録材は、ニップ部出口において定着ベルト3の表面に沿うことができない曲率を持ち、記録材の定着ベルト3表面からの離型性を向上させることができる。
複写機において、定着装置を予熱状態に保ち新規のジョブに備える待機モードを設定することがある。その際、加圧ローラを予熱することが一般的である。
本発明における加圧ローラでは、ローラ内部(芯金内部)にヒータを備えた場合では、発泡弾性層が芯金とローラ表面との間に配置されているために、発泡弾性層の断熱効果によってローラ表面を効果的に加熱することができない。従って、ローラ内部にヒータを設けるのではなく、ローラ外部に加熱手段を設けて、ローラ外部よりローラ表面を加熱する必要がある。このような加圧ローラ外部から加熱する方法としては図6に示すような抵抗発熱体を使用した面状発熱体7を加圧ローラ4外部に配する方法が挙げられる。また、図7に示すようにハロゲンヒータ8aとハロゲンヒータ8aからの熱線を加圧ローラ4表面へ集光させる反射板8bを組み合わせたヒータ8などを用いることができる。
以下に本発明の実施例について説明する。
図2にモデル的に示した定着装置(本発明に係る加圧ローラを備える)を用いて、光沢むらの発生の有無と耐久性について評価した。
<実施例1>
直径20mmの芯金上にAseker−C硬度(以下、硬度は全てAseker−C硬度)30度、厚さ0.5mm、熱伝導率0.25W/m・kの第1ソリッド弾性層(シリコーンゴム製)、硬度20度、厚さ5mm、発泡倍率2.0、セル平均径200μmの発泡弾性層、硬度30度、厚さ0.5mm、熱伝導率0.8W/m・kの高熱伝導な第2のソリッド弾性層を順に形成し、最後にPTFEからなる厚さ0.05mmの離型層を被覆した外径φ40mmの加圧ローラ(実施例1)を作製した。
ここで、第1ソリッド弾性層は信越化学社製シリコーンゴム組成物を用い、その成形条件に従い注型法で成形し、発泡弾性層は、信越化学社製発泡性シリコーンゴム組成物を用いその成形条件に従い押出し法で成形し、第2のソリッド弾性層は、信越化学社製シリコーンゴム組成物100重量部に対して高熱伝導性フィラーとしてアルミナ(熱伝導率30W/m・k)粉末を30重量部、均一になるように混練した後、注型法で形成したものである。
<実施例2>
実施例1の加圧ローラ同様に、ただし、高熱伝導性フィラーとしてアルミナ粉末の代わりに窒化アルミニウム(熱伝導率300W/m・k)粉末を添加して加圧ローラ(実施例2)を得た。
<実施例3>
実施例1の加圧ローラ同様に、ただし、高熱伝導性フィラーとしてアルミナ粉末の代わりに結晶性シリカ(熱伝導率10W/m・k)粉末を添加して加圧ローラ(実施例3)を得た。
<実施例4>
実施例1の加圧ローラ同様に、ただし、発泡断熱層を特開2003−96223号公報の技術による水発泡性シリコーンゴム組成物(東レ・ダウコーニングス社製)を用い、硬度20度、厚さ5mm、発泡倍率2.0、セル平均径40mmの発泡断熱層とした加圧ローラ(実施例4)を得た。
<比較例>
実施例1の加圧ローラと同様に、ただし、第1のソリッド弾性層形成部分、及び、第2のソリッド弾性層形成部分を形成せずに発泡弾性層の厚さを厚くして、外径φ40mmの加圧ローラ(比較例)を作製した。
<評価>
上記で作製した実施例1〜3、あるいは、比較例の加圧ローラを組み込んだ定着装置を用いて、定着開始直後の光沢むらの発生に対する評価実験を行った。
定着装置を、ニップ部の最終加熱温度が150℃、ローラ荷重14N、ローラ回転数200mm/secの条件で、加熱及びローラ駆動同時開始後所定の温度に達したところで、ベタ画像、すなわち、紙全体への印刷を連続通紙させてトナーを定着させたときの、通紙1枚目及び500枚目の定着画像について光沢のむらの発生の有無について目視により評価した。
その結果、実施例1〜4の、本発明に係る加圧ローラによる通紙1枚目画像では、光沢むらの発生はなかったが比較例1に係る加圧ローラによる画像では温度むらによる光沢むらが発生した。ただし、いずれのローラでも通紙500枚目の定着画像では光沢むらは発生しなかった。
さらに耐久性についても、上記5種類の加圧ローラをセットした定着装置をそれぞれベンチ試験機により、通紙は行わずに空回し運転を行って評価した。運転条件は加熱温度150℃、ローラ荷重14N、ローラ回転数200mm/secで100時間連続運転したのちのローラの中央部を、軸に垂直な断面で切断したときのローラ断面状態を目視で観察し、発泡体の破泡の有無を評価した。
その結果、実施例1〜3、及び、比較例に係る加圧ローラでは形成される画像に影響を及ぼさない、わずかな数の破泡が観察されたが、実施例4に係る加圧ローラではこのような破泡も全く生じておらず、さらなる極めて優れた耐久性を有することが確認された。
1 加熱ローラ
2 定着ローラ
3 定着ベルト
4 加圧ローラ
41 芯金
42 第1のソリッド弾性層
43 発泡弾性層
44 第2のソリッド弾性層
45 離型層
5 ハロゲンヒータ
6 記録紙
N ニップ部
T トナー画像
特開2007−86134公報

Claims (7)

  1. 芯金上に、第1のソリッド弾性層、発泡弾性層、第2のソリッド弾性層、及び、離型層をこの順で積層してなる定着装置用ローラにおいて、
    前記第2のソリッド弾性層に、アルミナ、結晶性シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、及び、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種の高熱伝導性フィラーが配されていることを特徴とする定着装置用ローラ。
  2. 前記第1のソリッド弾性層の厚さ、及び、前記第2のソリッド弾性層の厚さが、ともに0.2mm以上2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置用ローラ。
  3. 前記発泡弾性層が、連続気泡構造を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置用ローラ。
  4. 前記発泡弾性層が、水発泡シリコーンにより形成されていることを特徴する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着装置用ローラ。
  5. 前記離型層が、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体またはポリテトラフルオロエチレンから構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に定着装置用ローラ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置用ローラを備えたことを特徴とする定着装置。
  7. 請求項6に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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