JP2012168269A - 加圧ローラ、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】形成される画像の不良発生の防止に効果のあるグリップを有しながらも、連続気泡を有する多孔質シリコーンゴムからなる弾性断熱層に破泡などの問題を生じない、耐久性の高い加圧ローラを提供する。
【解決手段】芯金上に、連続気泡を有する多孔質シリコーンゴムからなる弾性断熱層と、離型層と、が順次積層されて形成されている加圧ローラにおいて、前記離型層の前記加圧ローラの軸方向両端が、前記弾性断熱層の該軸方向両端より該加圧ローラ中心側に位置するように、該離型層が該弾性断熱層に積層され、前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されている加圧ローラ。
【選択図】図4
【解決手段】芯金上に、連続気泡を有する多孔質シリコーンゴムからなる弾性断熱層と、離型層と、が順次積層されて形成されている加圧ローラにおいて、前記離型層の前記加圧ローラの軸方向両端が、前記弾性断熱層の該軸方向両端より該加圧ローラ中心側に位置するように、該離型層が該弾性断熱層に積層され、前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されている加圧ローラ。
【選択図】図4
Description
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどに用いられ、未定着トナー画像を定着させる定着装置において加圧ローラなどとして用いられる加圧ローラに関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式を採用する画像形成装置では、記録紙の上に形成されたトナーにより形成される画像をニップ部で加圧・加熱して定着する定着装置を備えている。
ニップ部には加圧ローラが備えられて、この加圧ローラによりニップ部が形成されるが、この際、トナーの付着を防止しながら、ニップ部を形成するとともに、ニップを画像定着に必要な温度に加熱する際に必要な時間を短縮し、あるいは、熱伝導による熱損失を防止するために、加圧ローラには耐熱性の他に、離型性、断熱性、及び、弾性が求められ、このために、通常、芯金上に連続気泡を有する発泡弾性断熱層と、離型層と、が順次積層されて形成されている加圧ローラが用いられることが多い。
ここで、連続気泡を有する弾性断熱層は、断熱性に優れているために、ニップ部を加熱する際に必要な時間を短縮する効果が大きい。
このような連続気泡を有する発泡弾性断熱層は発泡シリコーンゴム(シリコーンエラストマー)を使用し、例えばシリコーンコンパウンドに発泡剤、架橋剤、連通化剤を練り、発泡加硫させて得る。または、液状シリコーンゴムに水、吸水ポリマー、硬化触媒を添加攪拌し、金型内で硬化させて得る。上記のような発泡シリコーンゴムにおいて、発泡倍率が1.5〜3.0であれば、低熱容量と充分な強度とを確保できるので好ましい。
ここで上記における後者の、水、アルコール類などの沸点が室温より高い液状化合物を配した発泡性シリコーン組成物を発泡されて得る、いわゆる水発泡シリコーンとして特開2003−96223号公報等で提案された技術によって形成されていると、気泡が微細となり、かつ、連続気泡となるので、加熱時の熱膨張によるローラ外径の増加や破泡による硬化低下を防止でき、耐久性が向上するので好ましい。
ここで、特開2005−031660号公報(特許文献1)、特開2003−208055号公報(特許文献2)、及び、特開2008−165102号公報(特許文献3)等で、形成される画像の不良発生の防止のために、加圧ローラの胴部端部(非通紙部)に滑り防止のグリップを設ける技術が提案されている。
特に特開2008−165102号公報では図5および図6に示す形式のグリップが提案されている。すなわち、図5では芯金461’の上に、弾性断熱層462’に、弾性断熱層462’より幅の狭い離型層463’が順次積層され、離型層463’が設けられていない両端の弾性断熱層462’部分にグリップ層454’が設けられている例が、図6では芯金461“の上に、弾性断熱層462”、離型層463“が順次積層され、それらの層のローラ軸方向両端にグリップ層454”が接して設けられている。
しかしながら、このようなグリップによる技術を上記発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層を備えたローラに応用した場合、長期期間使用すると、発泡シリコーンゴムのグリップに隣接する部分から破泡が生じ、定着に必要な圧力が得られなくなると云う問題があった。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、形成される画像の不良発生の防止に効果のあるグリップを有しながらも、発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層に破泡などの問題を生じない、耐久性の高い加圧ローラを提供することを目的とする。
本発明の加圧ローラは、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、芯金上に、連続気泡を有する多孔質シリコーンゴムからなる弾性断熱層と、離型層と、が順次積層されて形成されている加圧ローラにおいて、前記離型層の前記加圧ローラの軸方向両端が、前記弾性断熱層の該軸方向両端より該加圧ローラ中心側に位置するように、該離型層が該弾性断熱層に積層され、
前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されていることを特徴とする加圧ローラである。
前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されていることを特徴とする加圧ローラである。
また、本発明の加圧ローラは、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の加圧ローラにおいて、前記グリップ層の表面摩擦係数が、前記離型層の表面摩擦係数よりも大きいことを特徴とする。
また、本発明の加圧ローラは、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の加圧ローラにおいて、前記グリップ層部分の前記加圧ローラの外径が、前記加圧ローラの軸方向両端に向かって太くされていることを特徴とする。
本発明の定着装置は、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の加圧ローラを有することを特徴とする定着装置である。
本発明の画像形成装置は、請求項5に記載の通り、請求項4に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の加圧ローラは、前記離型層の前記加圧ローラの軸方向両端が、前記弾性断熱層の該軸方向両端より該加圧ローラ中心側に位置するように、該離型層が該弾性断熱層に積層され、前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されていることにより、画像不良の防止に効果のあるグリップを有しながらも、発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層に破泡などの問題を生じない、耐久性の高い加圧ローラとなる。
また、前記グリップ層がシリコーンゴム、フッ素ゴムから選ばれる耐熱性ゴムにより構成されていることによりグリップ層においても充分な幅のニップが形成され、グリップ力が向上し、スリップを防止できる。
また、前記グリップ層の外径が、前記加圧ローラの軸方向両端に向かって太くされていることにより、グリップ部での接触面積が大きくなり、グリップ力が向上し、スリップをより効果的に防止できる。
本発明の定着装置は上記定着ベルトローラを有しているために、寿命の長い定着装置となる。
本発明の画像形成装置は、上記の定着装置を有しているので、メンテナンスフリーの、耐久性の高い画像形成装置となる。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は、画像形成装置(プリンタ)全体の構成・動作について説明する。
このプリンタは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像をそれぞれ対応した感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bk(像担持体)の表面上に形成するために電子写真方式の4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bk(像形成手段)を備えている。
これら画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの下方には、各画像形成部を通して用紙(記録材)を搬送するための搬送ベルト20が張架されている。
各画像形成部10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、搬送ベルト20にそれぞれ転接配置され,用紙(記録材)は搬送ベルト20の表面に静電的に吸着される。
4組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、略同じ構造を有する。よって、ここでは用紙の搬送方向最上流側に配設されたイエロー用の画像形成部10Yについて代表して説明し、他の色用の画像形成部10M、10C、10Bkについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。
画像形成部10Yは、その略中央位置に搬送ベルト20に転接された感光体ドラム1Yを有する。感光体ドラム1Yの周囲には、感光体ドラム1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電装置2Y、帯電されたドラム表面を色分解された画像信号に基づいて露光し、ドラム表面上に静電潜像を形成する露光装置3Y、ドラム表面上に形成された静電潜像にイエロートナーを供給して現像する現像装置4Y、現像したトナー像を搬送ベルト20を介して搬送される用紙上に転写する転写ローラ5Y(転写装置)、転写されずにドラム表面に残留した残留トナーを除去するクリーナ6Y、および図示しないドラム表面に残留した電荷を除去する除電ランプが、感光体ドラム1Yの回転方向に沿って順に配設されている。
搬送ベルト20の図中右下方には、用紙を搬送ベルト20上に給紙するための給紙機構30が配設されている。
搬送ベルト20の図中左側には、後述する本発明の実施の形態に係る定着装置40が配設されている。搬送ベルト20によって搬送された用紙は、搬送ベルト20から連続して定着装置40を通って延びた搬送路を搬送され、定着装置40を通過する。
定着装置40は、搬送された用紙、すなわちその表面上に各色のトナー像が転写された状態の用紙を加熱および加圧する。そして、各色のトナー像を溶融して用紙に浸透させて定着させる。また、定着装置40の搬送経路下流側に排紙ローラを介して排紙する。
次に、本発明に係る定着装置40を図2にて説明する。
この定着装置40は、加圧ローラ駆動、定着ベルト従動タイプの定着装置であり、ベルト部材として定着ベルト41、固定部材45、加熱部材42、補強部材43、ヒータ44、加圧回転体として本発明に係る加圧ローラからなる加圧ローラ46から構成されている。
定着装置40の通常時の動作は以下のようになっている。
定着装置40本体の電源スイッチが投入されるとヒータ44に電力が供給されるとともに、加圧ローラ46が図示しない付勢機構により定着ベルト1側に付勢されてニップが形成され、図示しない駆動機構により回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ6との摩擦力によって定着ベルト1も従動回転する。
定着ベルト1について図4の断面図を用いて詳細に説明する。すなわち、基材11の上に弾性層12、離型層13が順次積層されており、その全体の厚さは本例では1mm以下となっている。また、その直径は15〜120mm程度になるように設定されており、本実施の形態では30mm程度に設定されている。
定着ベルトの基材11は層厚が30〜50μmで、ニッケル、ステンレス等の金属材料で形成されている。弾性層12は光沢むらのない均一な画像を得るために、ベルト表面に柔軟性を与える目的で形成されている。このために弾性層の厚さは100〜300μmが望ましい。また、定着温度における耐熱性が求められることから、材質としてはシリコーンゴム、発泡シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等が用いられる。
離型層13に使用される材料として、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、および、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂、もしくは、これらの樹脂の混合物、耐熱性樹脂にこれらフッ素系樹脂を分散させたものが挙げられる。
加熱部材42は肉厚が0.1mmのパイプ状部材である。加熱部材42はヒータ44の輻射熱により加熱されて定着ベルト41を加熱する。すなわち、定着ベルト41は加熱パイプを介して間接的に加熱される。加熱部材42の材料としてはアルミニウム、鉄、ステンレスなどの熱伝導率の良い金属材料を用いることができ、ヒータ44としてハロゲンヒータやカーボンヒータを用いることができる。加熱部材42の肉厚を0.2mm以下に設定することで、定着ベルト1の加熱効率を上げることが可能となる。
補強部材43はニップ部を形成する固定部材45を補強・支持するためのもので、固定部材45が加圧ローラ46の加圧力を受けて大きく変形することを抑止している。補強部材43はこのような機能を満たすためにステンレスや鉄などの機械強度の大きい金属材料で形成することが望ましい。
固定部材45は前述したとおり加圧ローラ46との圧接によってニップを形成するためのものであり、金属材料からなる剛体部、ゴム材料からなる弾性部、剛体部及び弾性部を覆う潤滑シート等で構成される。剛体部はニップ部での加圧に耐えうるように、高剛性の金属、セラミックなどで形成される。弾性部は加圧ローラ46側の面が加圧ローラ46の曲率にならうように凹状に形成されている。
ニップ部で定着ベルトの外周面に当接する加圧回転体としての加圧ローラ46は直径が20〜30mm程度であって内周側から芯金、弾性断熱層、及び、離型層がこの順で積層されて構成されており、さらにローラ(胴部の)両端部の通紙領域外に定着ベルトを従動させるため摩擦力確保を目的としたグリップ層を設けている。
本発明の加圧ローラは、前記離型層の前記加圧ローラの軸方向両端が、前記弾性断熱層の該軸方向両端より該加圧ローラ中心側に位置するように、該離型層が該弾性断熱層に積層され、前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されている。
このような本発明に係る加圧ローラの一例の断面図を図2にモデル的に示す。
図中の芯金461にはステンレス鋼、炭素鋼など剛性の高い金属材料を用いる。
芯金の肉厚については本発明では弾性断熱層に発泡シリコーンゴムを適用することで断熱性を有しているために、芯金の熱容量による、消費電力や、加熱開始から画像定着可能温度に達するまでの時間への影響が事実上ないために、中空であっても、中実であっても良い。
このような弾性断熱層462には熱伝導率0.1〜0.2W/(m・K)、硬度35〜60°(アスカーC)のセル径5〜100μmの発泡シリコーンゴムを用いる。発泡シリコーンゴムを用いることで優れた断熱性を得ることができ、加熱ローラへの伝熱を低減することで機器の立ち上げ時間短縮や省エネ(TEC値低減)が可能である。
上記のような発泡シリコーンゴムを得る方法としては発泡剤を添加させ発泡構造を形成する化学発泡と液状シリコーンゴム中に水を乳化させ加熱することで水を揮発させ発泡構造を形成する水発泡が一般的に知られている。化学発泡ではセルのサイズが大きいため複写機の定着用回転体として用いた場合、トナーに対して均一な圧力負荷ができないため画像ムラや耐久不足(硬度低下、破断など)が起こりやすいという問題がある。
ここで、後者のエマルジョン組成物から成形された発泡構造を有するシリコーンゴム、すなわち、水、アルコール類などの沸点が室温より高い液状化合物を配した発泡性シリコーン組成物を発泡されて得る、いわゆる水発泡シリコーンとして特開2003−96223号公報等で提案された技術によって形成されていると、気泡が微細で均一となり、かつ、連続気泡となるので、加熱時の熱膨張によるローラ外径の増加や破泡による硬化低下を防止でき、耐久性が向上するので好ましい。
このような連続気泡を有する発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層462は芯金461の周りにエマルジョン組成物である液状シリコーンゴムを注型・加硫することで形成することができる。
次いで、上記で成形した連続気泡を有する発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層462上に、一液熱硬化型の接着剤を内側面に均一に塗布したPTFEやPFAなどのフッ素樹脂製チューブを被覆し離型層463とする。
上記において、連続気泡を有する発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層462の全体に離型層463を積層するのではなく、離型層463のローラ軸方向の幅を弾性断熱層462の幅より狭くし、離型層463のローラ軸方向の両端のそれぞれを離型層463のローラ軸方向の両端から離間させて離型層を積層させる。
次いでグリップ層464を弾性断熱層462端部から離型層非積層部及び積層部とこの離型層非積層部に隣接する離型層の両端部付近とのそれぞれの上に、すなわち、前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されているように形成する。このとき、離型層と弾性断熱層との境界はグリップ層により覆われる。その結果、従来技術に係る定着用ローラで発生していた、離型層端部とグリップ部との境界で発生するせん断応力による弾性断熱層に生じる破壊をあらかじめ防止することができ、耐久性が向上される。
グリップ層と離型層との重なり部分の幅(ローラの軸方向)は1〜10mm程度とし、グリップ層はローラ端部まで成形する。このとき、離型層のうちグリップ層が積層されていない部分が、この加圧ローラの通紙領域より大きくなるように各寸法を調整する。
グリップ層の成形方法は、注型、スプレー塗装、ディップ塗装、ブレードコート、ロールコートなどの方法を用いることができる。
グリップ層を構成する材料としては、可撓性回転体がスリップすることなく従動駆動されるために充分なグリップ力が得るようにタック性を有すること、加圧ローラとして用いられたときにその通紙領域でのニップ部の形成を妨げないように弾性体であること、定着温度における充分な耐熱性を有すること、の3つの特性が必要となる。
ここで離型層463として使用されるフッ素樹脂は摩擦係数が0.01〜0.5程度と非常に摩擦係数が小さい、滑り性の良い材料として知られており、従動駆動される可撓性回転体表層もまたフッ素樹脂で成形されているために、外接面における摩擦力が小さく回転体間でのスリップの発生が懸念される。したがって可撓性回転体を駆動させるためには摩擦力を大きくする必要があり、そこで、グリップ層には離型層以上の表面摩擦係数をもつ材料を用いることで前述の課題が解決される。ここで、このような上記条件を満たすグリップ層材料として、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどのゴム材料が挙げられる。
以下に本発明の実施例について説明する。
<加圧ローラ(実施例1)の作製>
芯金として、外径24mm、肉厚2mmのSTKM材(炭素鋼鋼管)を用いた。
芯金として、外径24mm、肉厚2mmのSTKM材(炭素鋼鋼管)を用いた。
その外周の軸方向中央部に、注型法により東レ・ダウコーニングシリコーン社製の特開2003−96223号公報記載の技術に係る水発泡シリコーンにより、肉厚3mm、軸方向長さ342mmの連続気泡を有する発泡シリコーンによる弾性断熱層を形成した。
この発泡シリコーン層の中央部の幅322mmの範囲に、離型層として厚さが30μmのPFAチューブを接着剤として信越化学工業製KE1880を介して被覆した。
発泡シリコーン層の両端に形成された幅10mmの離型層非積層部と、それに隣接する離型層積層部の端部(幅:5mm)と、の上にグリップ層を形成した。
すなわち、硬度60°(アスカーC硬度)となるシリコーンゴムを用い、膜厚50μmとなる厚さ(ただし離型層の上では20μm)でグリップ層をスプレー塗装により積層した(グリップ部分の外径がローラの中央側端とローラの端側端とで等しくなるようにした)。このとき、グリップ層が形成されていない離型層がローラ表面に露出している部分の幅は、加圧ローラとして用いられるときに、通紙領域となる部分より大きい。
<加圧ローラ(実施例2)の作製>
上記実施例1に係る加圧ローラと同様に、ただし、グリップ層形成後にグリップ層表面を粒度F100の砥石を用いた研削により表面粗し加工を施した。その表面粗し度合いはRa5.0μmであった。
上記実施例1に係る加圧ローラと同様に、ただし、グリップ層形成後にグリップ層表面を粒度F100の砥石を用いた研削により表面粗し加工を施した。その表面粗し度合いはRa5.0μmであった。
<加圧ローラ(実施例3)の作製>
上記実施例1に係る加圧ローラと同様に、ただし、グリップ層の厚さが、ローラ軸方向中央側端で15μm(グリップ層の上なので、両者を合わせると45μm)、ローラ軸方向端側端(グリップ層のない部分)で55μmとなるように、ディップ塗装速度に勾配をもたせることによりグリップ層の厚さを変化させ、グリップ部分の外径がローラの中央側端よりローラの端側端が20μm太くなるようにした。
上記実施例1に係る加圧ローラと同様に、ただし、グリップ層の厚さが、ローラ軸方向中央側端で15μm(グリップ層の上なので、両者を合わせると45μm)、ローラ軸方向端側端(グリップ層のない部分)で55μmとなるように、ディップ塗装速度に勾配をもたせることによりグリップ層の厚さを変化させ、グリップ部分の外径がローラの中央側端よりローラの端側端が20μm太くなるようにした。
<加圧ローラ(実施例4)の作製>
実施例3と同様に、ただし、グリップ部成形後に実施例2同様に表面粗し加工を行った。
実施例3と同様に、ただし、グリップ部成形後に実施例2同様に表面粗し加工を行った。
<加圧ローラ(比較例1(従来技術))の作製>
実施例1と同様に、ただし、加圧ローラとして用いられるときに、通紙領域となる部分、すなわち、中央部の幅312mmの領域外を離型層非積層部とし、この離型層非積層部のみにグリップ層を厚さ50μmとなるように形成し、比較例1の加圧ローラ(図5参照)を得た。
実施例1と同様に、ただし、加圧ローラとして用いられるときに、通紙領域となる部分、すなわち、中央部の幅312mmの領域外を離型層非積層部とし、この離型層非積層部のみにグリップ層を厚さ50μmとなるように形成し、比較例1の加圧ローラ(図5参照)を得た。
<加圧ローラ(比較例2(従来技術))の作製>
比較例1と同様に、ただし、加圧ローラとして用いられるときに、通紙領域となる部分、すなわち、中央部の幅312mmの領域外には弾性断熱層及び離型層をともに形成せず、この積層部両端にグリップ層を形成して外観が比較例1と同じ比較例2の加圧ローラ(図6参照)を得た。
比較例1と同様に、ただし、加圧ローラとして用いられるときに、通紙領域となる部分、すなわち、中央部の幅312mmの領域外には弾性断熱層及び離型層をともに形成せず、この積層部両端にグリップ層を形成して外観が比較例1と同じ比較例2の加圧ローラ(図6参照)を得た。
<弾性ローラの評価>
実施例1〜4および比較例1、2の弾性ローラを用いて、耐久試験を実施した。
実施例1〜4および比較例1、2の弾性ローラを用いて、耐久試験を実施した。
耐久試験は図2の定着ユニット構成を有する画像形成装置imagio MPC 2201を用いて行った。
この画像形成装置の定着装置の加圧ローラを上記加圧ローラのそれぞれと交換して試験を行った。
40万枚のA4サイズ用紙を通紙する耐久試験を実施し、その後、離型層と弾性断熱層との境界における亀裂の発生の有無を確認した。
このとき、比較例1及び2の弾性ローラのみに亀裂発生が確認された。このことより、本発明によれば、PFA端部とグリップ部境界で発生するせん断応力による弾性断熱層破壊を抑制し、耐久性を向上できることが確認できた。
上記実験では実施例1〜4のローラでは、いずれでも亀裂は発生しなかったが、可撓性回転体、すなわち、図3における定着ベルトに対するグリップ力が小さいとニップ部でのスリップが起こり、定着画像不良が発生する懸念がある。したがって、グリップ力の向上は肝要な問題となっている。
ここで、実施例のローラ1〜4についてグリップ力の確認実験を行った。使用する定着装置・試験条件については先の耐久試験と同様であり、始動時の回転トルクを計測することでグリップ力計測に代えた。
実施例2のローラにおいてはグリップ層表面粗さを粗くしたことで、表面摩擦係数が大きくなるために実施例1のローラに比して回転トルクの向上が確認された。
また、実施例3のローラについてはグリップ層の外径をローラ端部に向かって太くなるテーパー形状としたことにより、ストレート形状の実施例1の加圧ローラに比較してニップ形成部での定着ベルトを介した固定部材45に対する同じ押し込み量に対して接触面に対する圧力が高くなり、結果として、回転トルクの向上が確認された。
実施例4のローラについては実施例2及び3でのグリップ力向上対策を組み合わせたものであり、実施例1〜4のローラ中最大の回転トルクが得られた。
この様に、本発明の加圧ローラによれば、耐久性が向上し、グリップ力が向上することが確認された。
46 本発明に係る加圧ローラ
461 芯金
462 連続気泡を有する発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層
463 離型層
464 グリップ層
461 芯金
462 連続気泡を有する発泡シリコーンゴムからなる弾性断熱層
463 離型層
464 グリップ層
Claims (5)
- 芯金上に、連続気泡を有する多孔質シリコーンゴムからなる弾性断熱層と、離型層と、が順次積層されて形成されている加圧ローラにおいて、
前記離型層の前記加圧ローラの軸方向両端が、前記弾性断熱層の該軸方向両端より該加圧ローラ中心側に位置するように、該離型層が該弾性断熱層に積層され、
前記弾性断熱層の該軸方向両端から前記離型層の前記両端近傍に亘って、該弾性断熱層と該離型層との上にそれぞれグリップ層が積層されている
ことを特徴とする加圧ローラ。 - 前記グリップ層の表面摩擦係数が、前記離型層の表面摩擦係数よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の加圧ローラ。
- 前記グリップ層部分の前記加圧ローラの外径が、前記加圧ローラの軸方向両端に向かって太くされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加圧ローラ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の加圧ローラを有することを特徴とする定着装置。
- 請求項4に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2011
- 2011-02-10 JP JP2011027464A patent/JP2012168269A/ja not_active Withdrawn
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JP7491806B2 (ja) | 2020-10-14 | 2024-05-28 | 日星電気株式会社 | 定着装置用部材 |
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