JP2013057898A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高グロス化定着条件下で発生するグロスむらを抑制することができる定着装置、および該定着装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転可能な定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能な定着ベルト62と、定着ベルト62を介して対向するように配置され、定着ベルト62を定着ロール61に圧接させて定着ロール61と定着ベルト62との間に用紙Pが通過するニップ部Nを形成する圧力パッド64とを備え、坪量が127gsmのOSコート紙を用紙Pとして、高グロス化定着条件を設定することができ、定着ベルト62は、基材層と、定着ロール61側の前記基材層上に設けられ、少なくとも離型層を有する表面層と、を備え、前記表面層をフローコート法により形成する際に、前記表面層の表面に発生する周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分が3μm以下である定着装置である。
【選択図】図2
【解決手段】回転可能な定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能な定着ベルト62と、定着ベルト62を介して対向するように配置され、定着ベルト62を定着ロール61に圧接させて定着ロール61と定着ベルト62との間に用紙Pが通過するニップ部Nを形成する圧力パッド64とを備え、坪量が127gsmのOSコート紙を用紙Pとして、高グロス化定着条件を設定することができ、定着ベルト62は、基材層と、定着ロール61側の前記基材層上に設けられ、少なくとも離型層を有する表面層と、を備え、前記表面層をフローコート法により形成する際に、前記表面層の表面に発生する周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分が3μm以下である定着装置である。
【選択図】図2
Description
本発明は、定着装置及び画像形成装置の技術に関する。
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体(感光体ドラム)を帯電し、この感光体ドラムを画像情報に基づいて制御された光で露光して、感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、このトナー像を感光体ドラム上から記録紙に転写した後、定着装置によってこのトナー像を記録紙に定着させる。このようなプロセスによって画像形成が行われる。
昨今の省エネルギ化の要求を受け、画像形成装置において消費電力のかなりの部分を占める定着装置の省電力化に加え、画像形成装置の高速化に対応した定着装置を実現するべく、本出願人は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能な無端ベルトと、この無端ベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるように無端ベルトを定着ロールに圧接させ、無端ベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成した定着装置に関する技術を提案している(例えば、特許文献1参照)。
かかる特許文献1に記載した定着装置(「フリーベルトニップ方式」という。)では、従来の加熱ロール方式の定着装置における加圧ロールに代えて、圧力パッドを用いて無端ベルトを定着ロールに圧接させている。圧力パッドは単一もしくは複数の押圧パッド部にて構成され、少なくともそのうちの1つは押圧面に弾性層を持たない高剛性材質のパッドであることを特徴としている。
また、例えば、特許文献2では、無端ベルト表面層の粗さや材料を規定した定着装置が開示されている。
ところで、画像形成装置に用いられる無端ベルトは、ポリイミド(以下PIと表記)などの高強度耐熱樹脂製の基材層上に、トナーとの離型性を有するフッ素樹脂層等の表面層が形成され、場合によってはその間に弾性層としてシリコーンゴム製の材料の層が形成されている。
無端ベルトの基材層の形成方法としては、例えば、円筒体の内面にPI前駆体溶液等を塗布し、回転しながら乾燥させる遠心成形法や、円筒体内面にPI前駆体溶液をスプレー塗布などで展開する内面塗布法がある。
また、例えば、特許文献3には、円筒体の軸方向に移動しながら高粘度の樹脂溶液をディスペンサにより、回転する円筒体上に供給し、また、ディスペンサと一緒にスライドするブレードにより、円筒体上の樹脂溶液の塗膜を平滑にする塗布方法(ブレードフローコート法)が開示されている。
ところで、昨今の電子写真方式の画像形成装置は、前述した省エネルギ化の要求に加え、デジタル化、高画質化・高速化により、グラフィックアーツ市場や、軽印刷市場に対応した画像形成装置が求められており、画像の高グロス化の対応が求められてきている。
本発明の課題は、高グロス化定着条件下で発生するグロスむらを抑制することができる定着装置、および該定着装置を備える画像形成装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、回転可能な回転部材と、前記回転部材に接触しながら移動可能な定着ベルトと、前記定着ベルトを介して対向するように配置され、当該定着ベルトを前記回転部材に圧接させて当該回転部材と当該定着ベルトとの間に記録媒体が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、坪量が127gsmのOSコート紙を記録媒体として、前記OSコート紙上のトナー像の光沢度が、60度光沢度計で、単色黒トナー100%像密度にて、グロス40以上となるように、前記OSコート紙に保持されたトナー像を定着する際の定着条件を設定することができ、前記定着ベルトは、基材層と、前記回転部材側の前記基材層上に設けられ、少なくとも離型層を有する表面層と、を備え、前記表面層の表面の周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分が3μm以下である定着装置である。
請求項2に係る発明は、前記トナー像を形成するトナーは、100℃以上150℃以下の温度範囲における正接損失tanδが1.5以上3.0以下である請求項1記載の定着装置である。
請求項3に係る発明は、像保持体と、前記像保持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像しトナー像を形成する現像手段と、少なくとも前記トナー像と接する側に受像層を有する記録媒体に前記トナー像を転写する転写手段と、請求項1又は2記載の定着装置と、を備える画像形成装置である。
本発明の請求項1によると、本構成を有さない場合と比べて、高グロス化定着条件下で発生するグロスむらが抑制される。
本発明の請求項2によると、本構成を有さない場合と比べて、高グロス化定着条件下で発生するグロスむらが抑制される。
本発明の請求項3によると、本構成を有さない場合と比べて、高グロス化定着条件下で発生するグロスむらが抑制される。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は本実施の形態に限定されない。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示した概略構成図である。図1には、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置100が示されている。図1に示された画像形成装置100は、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
本実施の形態において、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kには、矢印A方向に回転する感光体ドラム11の周囲に、これらの感光体ドラム11を帯電する帯電器12と、感光体ドラム11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図1中、露光ビームを符号Bmで示す)と、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14と、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16と、感光体ドラム11上の残留トナーが除去されるドラムクリーナ17等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、例えば、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルト(エンドレスベルト)で構成さている。そして、中間転写ベルト15の体積抵抗率は、例えば、106Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。中間転写ベルト15は、各種ロールによって、図1に示すB方向に所定の速度で循環駆動されている。本実施形態では、各種ロールとして、定速性に優れたモーター(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31と、各感光体ドラム11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32と、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能するテンションロール33と、二次転写部20に設けられるバックアップロール25と、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニングバックアップロール34と、を有している。
本実施形態では、一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向して配置される一次転写ロール16により構成されている。一次転写ロール16は、シャフト(不図示)と、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層(不図示)とで構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)とエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が例えば107Ωcm以上109Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。そして、一次転写ロール16は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に圧接配置され、さらに一次転写ロール16には、トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
本実施形態では、二次転写部20は、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25と、によって構成される。バックアップロール25は、例えば、EPDMゴムからなる内層部とカーボンを分散したEPDM及びNBRのブレンドゴムからなるチューブ状の表面層とから構成されている。そして、その表面抵抗率は、例えば、107Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば70°(アスカーC)に設定されている。このバックアップロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極をなし、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
本実施形態では、二次転写ロール22は、シャフト(不図示)と、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層(不図示)と、によって構成されている。シャフトは、例えば、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層は、例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムから形成され、体積抵抗率が例えば107Ωcm以上109Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。そして、二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接配置され、さらに二次転写ロール22は接地されてバックアップロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像を二次転写する。
また、本実施形態では、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側に、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。また、本実施形態では、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側に、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられた所定のマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。さらに、本実施形態では、黒の画像形成ユニット1Kの下流側に、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
さらに、本実施形態の画像形成装置100では、用紙搬送系として、用紙Pを収容する用紙トレイ50と、この用紙トレイ50に集積された用紙Pを所定のタイミングで取り出して搬送するピックアップロール51と、ピックアップロール51により繰り出された用紙Pを搬送する搬送ロール52と、搬送ロール52により搬送された用紙Pを二次転写部20へと送り込む搬送シュート53と、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Pを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55と、用紙Pを定着装置60に導く定着入口ガイド56と、を備えている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置100の基本的な作像プロセスについて説明する。
図1に示すような画像形成装置100では、画像読取装置(IIT)(図示せず)やパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等から出力される画像データは、画像処理装置(IPS)(図示せず)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。具体的には、IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。そして、画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば、半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体ドラム11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により、中間転写ベルト15の基材に対し、トナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
そして、トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、用紙搬送系では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせてピックアップロール51が回転し、用紙トレイ50から所定サイズの用紙Pが供給される。ピックアップロール51により供給された用紙Pは、搬送ロール52により搬送され、搬送シュート53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Pは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Pの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22がバックアップロール25に押圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22とバックアップロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22及びバックアップロール25によって押圧され、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Pは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Pが定着装置60まで搬送される。
定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、後述するように、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙部に搬送される。一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100に用いられる定着装置60について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置100に用いられる定着装置60の構成の一例を示す側断面模式図である。定着装置60は、回転部材の一例としての定着ロール61と、定着ベルトの一例としての定着ベルト62と、定着ベルト62を定着ロール61に圧接させる圧力部材の一例としての圧力パッド64と、により主要部が構成されている。
本実施形態では、定着ロール61は、金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612、および離型層613を積層して構成された円筒状ロールであり、回転自在に支持されて所定の表面速度(例えば、194mm/sec)で回転する。本実施形態では、定着ロール61は、外径が軸方向で一様な所謂ストレートロールで形成されている。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば、定格600Wのハロゲンヒータ66が設けられている。また、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が予め定めた設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
本実施形態では、定着ベルト62は、定着ベルト62の内部に配置された圧力パッド64とベルトガイド部材63と、さらには定着ベルト62の両端部に配置されたエッジガイド部材80(後段の図3参照)と、によって回転自在に支持されている。そして、ニップ部Nにおいて定着ロール61に対して圧接されるように配置され、定着ロール61に従動して回転(例えば、194mm/sec)する。
また、定着ベルト62の両端部を除く長手方向の領域では、定着ベルト62は、圧力パッド64とベルトガイド部材63とに支持されている。そして、定着ベルト62の両端部を除く領域では、定着ベルト62の内周面が圧力パッド64とベルトガイド部材63とに摺擦しながら回転する。
ベルトガイド部材63は、定着ベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、本実施形態では、ベルトガイド部材63には、定着ベルト62の回転方向に向けて複数のリブ(不図示)が形成され、定着ベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。ベルトガイド部材63は、定着ベルト62がスムーズに回転することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、定着ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されていることが好ましい。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
本実施形態では、圧力パッド64は、定着ベルト62の内側において金属製のホルダ65に支持されている。そして、定着ベルト62を介して定着ロール61に押圧される状態で配置され、定着ロール61との間でニップ部Nを形成している。圧力パッド64は、ニップ部Nの入口側(上流側)に、幅の広いニップ部Nを確保するためのプレニップ部材64aを配置している。また、ニップ部Nの出口側(下流側)には、定着ロール61表面を局所的に押圧することで、トナー像表面を平滑化して画像光沢を付与するとともに、定着ロール61表面に歪み(凹み)を与えて用紙Pにダウンカールを形成するための剥離ニップ部材64bを配置している。さらに、圧力パッド64には、定着ベルト62の内周面と圧力パッド64との摺動抵抗を小さくするために、定着ベルト62と接する面に摺擦部材の一例としての低摩擦の摺動シート68が設けられている。
本実施形態では、摺動シート68は、ニップ部Nの上流側端部が摺動シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、定着ベルト62の回転方向に沿って、圧力パッド64と定着ベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、本実施形態では、摺動シート68のニップ部N下流側は、摺動シート68に歪みができるだけ生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、摺動シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、定着ベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
次に、定着装置60における定着ベルト62を支持する構成の一例について説明する。
図3は、定着ベルト62が支持された状態を説明する定着装置60の一部断面模式図である。図3は、用紙Pの搬送方向下流側から見た定着装置60の一方の端部領域を示している。図3に示すように、定着ベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。本実施形態では、エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801と、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、定着ベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802と、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803と、で構成されている。
そして、定着ベルト62の両端部では、ニップ部Nとその近傍を除いて、両端部の内周面がベルト走行ガイド部801の外周面に支持され、定着ベルト62はベルト走行ガイド部801の外周面に沿って回転する。したがって、ベルト走行ガイド部801は、定着ベルト62がスムーズに回転することができるように摩擦係数の小さな材質で形成されることが好ましく、さらには、定着ベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率の低い材質で形成されることが好ましい。
また、本実施形態では、フランジ部802は、ホルダ65の両端部において対向するように配置された両フランジ部802の内側面が、定着ベルト62の幅と略一致する間隔を持つように配置されている。そして、定着ベルト62が回転する際には、定着ベルト62の端部がフランジ部802の内側面に接触することによって、定着ベルト62の幅方向への移動(ベルトウォーク)が制限されている。このように、定着ベルト62は、エッジガイド部材80によって片寄りが規制されるように支持されている。
このような構成の定着装置60では、定着ロール61が図示しない駆動モータに連結されて矢印C方向に回転し、この回転に従動して定着ベルト62も定着ロール61と同じ方向に回転する。図1に示した画像形成装置の二次転写部20においてトナー像が静電転写された用紙Pは、定着入口ガイド56によって導かれて、ニップ部Nに搬送される。そして、用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上のトナー像はニップ部Nに作用する圧力と、定着ロール61から供給される熱とによって定着される。本実施形態の定着装置60では、定着ロール61の外周面に倣う凹形状のプレニップ部材64aによりニップ部Nを広く構成することができ、例えば、安定した定着性能を確保することができる。
なお、ニップ部Nの下流側近傍には、剥離ニップ部材64bによって定着ロール61から剥離された用紙Pを完全に定着ロール61から分離し、画像形成装置の排出部へ向かう排紙通路に誘導するための剥離補助部材70が配設されている。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール61と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
次に、定着ベルト62の構造及び製法について説明する。本実施形態の定着ベルト62は、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルト(エンドレスベルト)であることが好ましいが、無端ベルトに限定されるものではなく、ベルトに継ぎ目(シーム)があるもの等でもよい。
図4は、本実施形態の定着ベルト62の構成の一例を示す一部断面模式図である。図4に示すように、定着ベルト62は、基材層101と、この基材層101の定着ロール61側の面に被覆された表面層103とから構成されている。表面層103は主に定着ベルト62にトナーが固着するのを防ぐための離型層を少なくとも有するものである。また、図での説明は省略するが、表面層103は基材層101の定着ロール61側の面だけでなく、その面と反対側の面にも被覆されてよい。すなわち、基材層101の両面に表面層103が被覆されてもよい。
図4の定着ベルト62の表面層103の表面には、周期的な凹凸が形成されている。この周期的な凹凸は、後述するフローコート法による層形成の際に形成されるものである。ここで、本実施形態の定着ベルト62の基材層101及び表面層103は、フローコート法により形成されたものであるが、本実施形態では、少なくとも、表面層103がフローコート法により形成されたものであればよい。以下に、層の表面に形成される凹凸について説明する。
一般的に、定着ベルト62の各層は、浸漬塗布法やスプレー塗布法や後述するフローコート法等の層形成方法により形成される。フローコート法による層形成の詳細は後述するが、例えば、層の材料となる樹脂溶液を回転する円筒体上に流下させることにより行われる。この際、樹脂溶液を円筒体に流下させるディスペンサは回転する円筒体の一端から他端へ移動するため、樹脂溶液は円筒体上の軸方向に沿ってらせん状に供給される。その結果、フローコート法によって形成された層の表面には、図4に示すような周期的な凹凸が形成される。上記のフローコート法の場合には、円筒体軸方向に沿ったらせん状の凹凸が周期的に形成される。そして、表面に周期的な凹凸を有する定着ベルト62を用いて、高グロス化定着条件下で、用紙P上のトナー像の定着を行うと、周期的な凹凸が画像のグロスむらとして認識される。この高グロス化定着条件とは、坪量が127gsmのOSコート紙を記録媒体(用紙P)として、OSコート紙上のトナー像の光沢度が、60度光沢度計で、単色黒トナー100%像密度にて、グロス40以上となるように設定された定着条件である。60度光沢度計は、例えば、Gardner社製 micro−TRI−gloss4520の装置が用いられ、JIS Z 8741−1997の60度鏡面光沢測定法により測定される。一方、浸漬塗布方法等の層形成方法によって形成された層の表面には、図4に示すような周期的な凹凸は形成され難く、グロスむらはほとんど発生しない。しかし、フローコート法は、浸漬塗布方法に比べて、形成される層の膜厚範囲を広くすることができ、また、スプレー塗布法に比べて塗布効率が高いこと、さらに、浸漬塗布方法やスプレー塗布方法に比べて連続生産が可能である等、製造上のメリットが多く、有用である。
また、本発明者は鋭意検討の結果、定着ベルト62の表面に形成される周期的な凹凸と、上記高グロス化定着条件におけるグロスむらの発生との関係を見出した。高グロス化定着条件におけるグロスむらの発生を抑制するためには、図4に示すように、定着ベルト62の定着ロール61側の面に形成される周期的な凹凸、具体的には定着ロール61側の表面層103の表面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下にする必要がある。また、グロスむらの発生を防止する点で、上記隣り合う凹凸の差分を2.2μm以下にすることが好ましく、1.5μm以下にすることがより好ましい。ここで、表面層103の表面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分とは、凸部の最頂点と凹部の最低点との垂直距離であり、例えば、渦電流式膜厚計(キーエンス社製、EX−V)等により測定される。また、この隣り合う凹凸の差分は平均値ではなく、全ての隣り合う凹凸の差分が上記範囲を満たす必要がある。
また、フローコート法の層形成により、定着ロール61側の基材層101の面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分は、特に制限されるものではない。しかし、フローコート法の層形成では、表面層103に形成される凹凸は、表面層103の下の基材層101の凹凸の影響を受けるため、定着ロール61側の基材層101の面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下にすることが好ましい。
図5は、本実施形態の定着ベルト62aの構成の他の一例を示す一部断面模式図である。図5に示す定着ベルト62aは、ベルト表面もしくは裏面に周期的な凹凸が形成され、図5(1)が波状となっているのは、図4と同様であるが、基材層の凹凸の影響が表面まで影響しているものであり、図5(2)は、基材層の凹凸が内面側に出ているものである。すなわち、定着ロール61側の表面層103aの表面または基材層101aの圧力パッド64側の面に周期的な凹凸が形成されている。このような定着ベルト62aにおいても、定着ベルト62aの定着ロール61側の面に形成される周期的な凹凸、具体的には定着ロール61側の表面層103aの表面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下の粗さにすることにより、高グロス化定着条件におけるグロスむらの発生を抑制することができる。なお、定着ベルト62aの圧力パッド64側の面に形成される周期的な凹凸、具体的には、圧力パッド側の基材層101aの面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分は、特に制限されるものではないが、グロスむらの発生を防止する点で、3μm以下にすることが好ましい。
基材層101(101a)を構成する材料としては特に制限されず、通常、公知の各種樹脂材料等から適宜選択されるものであるが、可撓性、耐熱性、機械特性等の観点から、例えば、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂等から選ばれた1または複数の混合体が好適に用いられる。特に耐熱性や強度の観点から、基材層101(101a)を構成する材料として、ポリイミド樹脂がより好適に用いられる。
基材層101(101a)の表面に被覆される表面層103(103a)は、定着ベルト62と用紙Pとの剥離性を考慮して少なくとも離型層を有するものである。離型層(表面層103又は103a)を構成する材料としては、例えば、フッ素樹脂が用いられる。フッ素樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。さらに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。離型層(表面層103又は103a)の厚さは、通常、5μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上40μm以下程度に設定される。
次に、これらの各層の形成方法について、ブレードフローコート法を例に説明する。本明細書において、フローコート法とは、層の材料となる樹脂溶液を円筒体等の基体上に流下、滴下等して塗膜を形成する塗膜形成方法である。また、ブレードフローコート法とは、層の材料となる樹脂溶液を円筒体等の基体上に流下、滴下した後、基体上の塗膜をブレードにより平滑化する塗膜形成方法である。以下に、ブレードフローコート法について説明する。
図6は、基材層101及び表面層103を形成するための塗布装置の主要部の構成を示す概略図である。図6の塗布装置8は、円筒体1と、円筒体1の中心軸を中心に円筒体1を回転(矢印A方向に回転)させるモータ7と、基材層101又は表面層103の材料となる樹脂溶液5を円筒体1上に流下させるディスペンサ4(ノズル)と、円筒体1上の樹脂溶液の塗膜6を平滑化するブレード2と、を有する。ディスペンサ4には樹脂溶液5が充填された容器3が接続されている。なお、両者を離して管で連結し、容器3を別置きに固定してもよい。ブレード2は円筒体1上に接している。
以下に、塗布装置8の動作の一例を説明する。
まず、中心軸を水平にした円筒体1をモータ7により回転させ、基材層の材料となる樹脂溶液5(以下、ポリイミド前駆体分散液として説明する)を容器3からディスペンサ4を通して、円筒体1上に流下させる。そして、円筒体1上のポリイミド前駆体分散液の塗膜6がブレードを通過する時に、円筒体1に接触しているブレード2がある隙間をもって離れ、その際にポリイミド前駆体分散液の塗膜6を押し広げながら平滑化する。そして、ディスペンサ4とブレード2とを連動させ、円筒体1の一端から他の一端(矢印B方向)へ水平方向に移動させることにより、円筒体1の表面全面にわたってポリイミド前駆体分散液を塗布することができる。
ブレード2によりポリイミド前駆体分散液の塗膜6を平滑化した直後は、ポリイミド前駆体分散液のらせん状の筋(らせん状の凹凸)が残るが、液のレベリング性が高い場合は、この凹凸は時間と共に減少していく。但し、本実施形態では、後述する塗布条件によって、層に形成されるらせん状の凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下に制御している。
ポリイミド前駆体分散液を円筒体1上に塗布した後、円筒体1を回転させながら円筒体1上のポリイミド前駆体溶液の塗膜6の乾燥を行い、基材層を形成する。次に、容器3に代えて、表面層の材料となるフッ素樹脂分散液等の樹脂溶液を充填した容器をディスペンサ4にセットする。そして、前述した基材層の形成と同様に、円筒体1上に形成した基材層上に、フッ素樹脂分散液等の樹脂溶液を塗布、平滑化、及び乾燥を行い、表面層を形成する。
このように、回転する円筒体1上に樹脂溶液を塗布することにより形成された定着ベルトの各層の表面には、前述したように、らせん状の凹凸等の周期的な凹凸が発生する。しかし、本実施形態では、塗布条件として、円筒体1の回転速度を20rpm以上600rpm以下の範囲、塗布速度Vを0.1m/分以上2.5m/分以下の範囲に設定することで、各層のらせん状の周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下に制御することができる。ここで、塗布速度とは、円筒体1の一端から他の一端へ移動するディスペンサ4の移動速度である。円筒体1の回転速度及び塗布速度が上記範囲外である場合には、ブレード2により円筒体1上の塗膜の平滑化を行っても、隣り合う凹凸の差分を3μm以下に制御することが困難となる。
また、前述したように、本実施形態の定着ベルトの表面層の表面に形成される周期的な凹凸の差分が3μm以下であれば、高グロス化定着条件でのグロスむらを抑制することができる。そのため、表面層の形成においては、円筒体1の回転速度及び塗布速度の範囲を必ず満たす必要があるが、基材層101の形成においては、必ずしも上記円筒体1の回転速度及び塗布速度の範囲を満たす必要はない。
また、樹脂分散液の濃度及び粘度も凹凸の差分に影響を与える。隣り合う凹凸の差分を小さくするためには、樹脂分散液中の樹脂濃度を10重量%以上30重量%以下の範囲に設定し、樹脂分散液の粘度を1Pa・s以上1000Pa・s以下の範囲に設定することが好ましい。また、例えば、各層の材料となる樹脂溶液(例えばポリイミド前駆体分散液)が非プロトン系極性溶剤である場合には、乾燥に時間が掛かるため、塗膜を乾燥する際の乾燥温度を上げると、樹脂溶液の粘度が低下し、塗膜は重力の影響を受けて、乾燥する前に垂れが生じる場合がある。その結果、層表面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下の粗さに制御することができない場合がある。このような場合には、乾燥時において、円筒体1を10rpm以上60rpm以下程度で回転させながら、塗膜を乾燥させることが好ましい。これにより、乾燥時に、層表面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分が3μmを超えることを防止することができる。乾燥時に円筒体1を回転させる場合には、層の形成から乾燥までの移行の間も円筒体1を回転させ続けることが好ましい。
以下に、フローコート法による層形成の他の条件等について説明する。
ディスペンサ4と円筒体1の流下点との距離は特に限定されるものではないが、円筒体1上へ樹脂溶液5を途切れることなく連続的に供給することができるように、10mm以上100mm以下程度に設定されることが好ましい。ディスペンサ4と円筒体1の流下点との距離が100mmを超えると、樹脂溶液の供給が途切れ、泡を巻き込むことがある。なお、基材層の形成において、ポリイミド前駆体分散液を円筒体1に流下させる場合、ポリイミド前駆体分散液は、粘度が高いため、重力だけでは自然に流下し難い。そのため、ディスペンサ4にポンプを設置してエア圧等により、ポリイミド前駆体分散液をディスペンサ4から押し出すことも有効である。
ブレード2は、樹脂溶液に侵されない材料から構成されることが好ましい。特に、ポリイミド前駆体分散液等は浸食性が高い液体であるため、ブレード2を構成する材料は、例えば、ポリエチレンやフッソ樹脂等のプラスチック、または、真鍮やステンレス等の金属の薄い板等が好ましい。また、膜厚を安定させる点から、ブレード2は弾力性を有するもので形成されることが好ましい。ブレード2の幅は特に制限されるものではないが、例えば、10mm以上50mm以下である。
樹脂溶液の乾燥温度及び乾燥時間は、例えば、分散液の種類や量によって設定される。乾燥温度は、例えば50℃以上200℃以下の範囲に設定されることが好ましく、乾燥時間は、例えば30分以上200分以下の間に設定されることが好ましい。
樹脂溶液5が塗布される円筒体1上の塗布面は、円筒体1の全面であっても、円筒体1の両端に、樹脂溶液が塗布されない不塗布部面が残されてもよい。但し、円筒体1の全面に樹脂溶液を塗布する場合、円筒体1の両端に、円筒体1の外径と同じ外径の筒体を取り付けて、その筒体にも塗布することが好ましい。その場合は、例えば、塗布後に筒体を取り外し、塗膜を洗浄すればよい。
以下に、定着装置60を構成するその他の部材について説明する。
まず、定着ロール61のコア611は、例えば、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、FRMで形成される。そして、コア611は、例えば外径φ30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒体である。
また、定着ロール61の耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15°以上45°以下(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。なかでも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。本実施形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。耐熱性弾性体層612の厚さは、通常、3mm以下、好ましくは、0.1mm以上1.5mm以下の範囲内である。耐熱性弾性体層612のコア611の表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、公知のコーティング法、成型などが採用できる。
本実施形態では、定着ロール61の耐熱性弾性体層612の外周面には、離型層613が形成されているため、トナー像のオフセットを効果的に防止でき、安定した状態で定着装置60を稼動させることができる。離型層613の材質としては、トナー像に対し適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの材質の中でもフッ素樹脂が好適に挙げられる。フッ素樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。さらに、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性、機械特性等の面から、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及び、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)等のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適に用いられる。
離型層613の厚さは、通常、10μm以上50μm以下、好ましくは15μm以上30μm以下の範囲内であるが、上記厚さに制限されるものではない。離型層613を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上述したブレードフローコート法などが挙げられる。
圧力パッド64による定着ロール61の押圧力は、特に制限されるものではないが、例えば、バネや弾性体によって定着ロール61を、35kgfの荷重で押圧するようにホルダ65に支持されている。
圧力パッド64に配置されるプレニップ部材64aには、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体や板バネ等を用いることができ、定着ロール61側の面は、ほぼ定着ロール61の外周面に倣う凹状曲面で形成されている。本実施形態の定着装置60では、例えば、幅5mm、厚さ5mm、長さ320mmのシリコーンゴムを用いている。圧力パッド64の硬さは、特に限定されず、通常、JIS−A硬度が10°以上40°以下の範囲である。
また、圧力パッド64に配置される剥離ニップ部材64bは、例えば、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属などの高剛性の材料で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。そして、本実施形態の定着装置60では、例えば、定着ベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約25°の巻き付き角度でラップされ、約6mm幅のニップ部Nが形成されている。
圧力パッド64の押圧面側(定着ベルト62側)に弾性層が形成されていないと、定着ベルト62に形成された周期的な凹凸をそのまま圧力むらとして拾い、高グロス化定着条件下により得られる高密度の高グロス画像では、グロスむらとして問題となる場合がある。本実施形態のように、定着ベルト62の定着ロール61側の面に形成される周期的な凹凸、具体的には定着ロール61側の表面層103の表面に形成される周期的な凹凸において、隣り合う凹凸の差分を3μm以下にすることにより、高グロス化定着条件下により得られる高密度の高グロス画像でも、グロスむらの発生は抑制される。
トナーとしては、低温定着性と高グロス化の両立を図ることができる点で、100℃以上150℃以下の温度範囲における正接損失tanδが1.5以上3.0以下である静電荷像現像用トナーを用いることが好ましい。正接損失tanδが1.5未満であると、損失弾性率(溶融粘度)より貯蔵弾性率が高くなり、トナーの弾性反発力が強く、高グロス化を実現できなくなる場合がある。また、正接損失tanδが3より大きいと、損失弾性率(溶融粘度)に比して貯蔵弾性率が弱くなり、トナーの自己凝集力が低下してグロスむらが発生する場合がある。また、このトナーの100℃以上150℃以下の温度範囲における損失弾性率G''が5×103以上5×104Pa以下であることがより好ましい。また、100℃以上150℃以下の温度範囲における損失弾性率G''が5×103以上5×104Pa以下であり、正接損失tanδが1.5以上3.0以下とすることにより、高温での粘度変化が少なく、ホットオフセットやグロスむらを発生しにくくしている。
貯蔵弾性率及び損失弾性率は、例えば、正弦波振動法により測定した動的粘弾性から求められる。動的粘弾性の測定には、例えば、レオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置が用いられる。
動的粘弾性の測定方法について説明する。まず、トナーを錠剤に成形した後、25mm 径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に、6.28rad/secの振動周波数で正弦波振動を与える。測定は50℃から開始し、180℃まで継続する。測定時間インターバルは30秒、昇温は1℃/minとする。また、測定中各測定温度におけるひずみ量を0.01%以上1.0%以下の範囲に維持し、適正な測定値が得られるように適宜調整して、損失弾性率及び正接損失を求める。
定着した画像の光沢度(グロス)は、Gardner社製 micro−TRI−gloss4520の装置を用いて、JIS Z 8741−1997の60度鏡面光沢測定法により測定される。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、以下のように無端ベルト(定着ベルト)を作製した。前述したブレードフローコート法によって、φ29.8mmの円筒体上に、粘度140Pa・s、固形分比18%のポリアミック酸溶液を塗布し、塗膜を平滑化、乾燥させ、基材層を作製した。さらにその上に、前述したブレードフローコート法によって、水系フッ素樹脂分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製EN−710CL、固形分比58%、粘度350mPa・s(粘度はB型粘度計でロータ回転数30rpm時である))を塗布し、塗膜を乾燥・焼成し、表面層(離型層)を作製した。なお、このフッ素樹脂分散液の低せん断速度から高せん断速度までの粘度特性を確認した結果、レベリングに関係する低せん断速度0.1(1/s)で、10Pa・sであった。この粘度特性は、Hakke社marsIIレオメータ及び25mmのコーンプレートを使用して測定された。
実施例1では、以下のように無端ベルト(定着ベルト)を作製した。前述したブレードフローコート法によって、φ29.8mmの円筒体上に、粘度140Pa・s、固形分比18%のポリアミック酸溶液を塗布し、塗膜を平滑化、乾燥させ、基材層を作製した。さらにその上に、前述したブレードフローコート法によって、水系フッ素樹脂分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製EN−710CL、固形分比58%、粘度350mPa・s(粘度はB型粘度計でロータ回転数30rpm時である))を塗布し、塗膜を乾燥・焼成し、表面層(離型層)を作製した。なお、このフッ素樹脂分散液の低せん断速度から高せん断速度までの粘度特性を確認した結果、レベリングに関係する低せん断速度0.1(1/s)で、10Pa・sであった。この粘度特性は、Hakke社marsIIレオメータ及び25mmのコーンプレートを使用して測定された。
ブレードフローコート時の円筒体の回転速度を300rpmとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を0.5m/分、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.1g/secとした。
上記のように作製した無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計(キーエンス社製、渦電流式 EX−V)にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は1.5μm以下であった。
この無端ベルトを図1に示す画像形成装置の定着装置にセットし、また用紙として、OSコート紙127gsm−A3と、J紙A3(いずれも富士ゼロックス社製)を通紙し、画像形成を行った。定着条件をOSコート紙上のトナー像の光沢度が、60度光沢度計で、単色黒トナー100%像密度にて、グロス40以上となるように設定した。使用したトナーは、100℃以上150℃以下の温度範囲における正接損失tanδが1.7であった。正接損失tanδはレオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置により測定した。
実施例1のOSコート紙の単色黒トナー100%画像密度の光沢度(画像グロス)、OSコート紙及びJ紙のフローピッチのグロスむらの結果を表1にまとめた。
(実施例2)
ブレードフローコート時の円筒体の回転速度を420rpmとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を1m/分、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.22g/secとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。実施例2の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は3μm以下であった。
ブレードフローコート時の円筒体の回転速度を420rpmとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を1m/分、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.22g/secとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。実施例2の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は3μm以下であった。
実施例2のOSコート紙の単色黒トナー100%画像密度の光沢度(画像グロス)、OSコート紙及びJ紙のフローピッチのグロスむらの結果を表1にまとめた。
(実施例3)
実施例1で用いたフッ素樹脂分散液に界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5%添加して、低せん断速度0.1(1/s)での粘度を1.25Pa・sとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を2m/min、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.45g/secとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。実施例3の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は2.2μm以下であった。
実施例1で用いたフッ素樹脂分散液に界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.5%添加して、低せん断速度0.1(1/s)での粘度を1.25Pa・sとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を2m/min、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.45g/secとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。実施例3の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は2.2μm以下であった。
実施例3のOSコート紙の単色黒トナー100%画像密度の光沢度(画像グロス)、OSコート紙及びJ紙のフローピッチのグロスむらの結果を表1にまとめた。
(比較例1)
比較例1は、ブレードフローコート時の円筒体の回転速度を550rpmとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を2m/分、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.45g/secとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。比較例1の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は4.5μm以上であった。
比較例1は、ブレードフローコート時の円筒体の回転速度を550rpmとし、塗布速度(円筒体軸方向のノズル移動速度)を2m/分、ポリアミック酸溶液及び水系フッ素樹脂分散液の吐出量を0.45g/secとしたこと以外は、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。比較例1の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は4.5μm以上であった。
(比較例2)
比較例2は、比較例1と同じ条件で無端ベルトを作製した。但し、画像形成においては、100℃以上150℃以下の温度範囲における正接損失tanδが1.2のトナーを用いた(それ以外は実施例1と同じ条件で画像形成を行った)。
比較例2は、比較例1と同じ条件で無端ベルトを作製した。但し、画像形成においては、100℃以上150℃以下の温度範囲における正接損失tanδが1.2のトナーを用いた(それ以外は実施例1と同じ条件で画像形成を行った)。
(比較例3)
比較例3は、実施例1と同様に基材層を形成した後、浸漬塗布方法によって、表面層を形成した。この浸漬塗布方法では、水系フッ素樹脂分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製EN−710CL、固形分比58%、粘度350mPa・s(粘度はB型粘度計でロータ回転数30rpm時である))を充填した液槽内に、基材層を形成した円筒体を浸漬させた後、0.3m/分の引上げ速度で円筒体を引き上げ、基材層上に表面層を形成した。比較例3の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は1μm以下であった。そして、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。
比較例3は、実施例1と同様に基材層を形成した後、浸漬塗布方法によって、表面層を形成した。この浸漬塗布方法では、水系フッ素樹脂分散液(三井・デュポンフロロケミカル社製EN−710CL、固形分比58%、粘度350mPa・s(粘度はB型粘度計でロータ回転数30rpm時である))を充填した液槽内に、基材層を形成した円筒体を浸漬させた後、0.3m/分の引上げ速度で円筒体を引き上げ、基材層上に表面層を形成した。比較例3の無端ベルトの基材層(ポリイミド基材層)の膜厚は75μmであり、表面層(フッ素樹脂層)の膜厚は30μmであった。この無端ベルトの表面層において発生した周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分を膜厚計にて測定したところ、隣り合う凹凸の差分は1μm以下であった。そして、実施例1と同様の条件で無端ベルトの作製及び画像形成を行った。
比較例1〜3のOSコート紙の単色黒トナー100%画像密度の光沢度(画像グロス)、OSコート紙及びJ紙のフローピッチのグロスむらの結果を表1にまとめた。
〇: 画像グロスが45以上である。
△: 画像グロスが40以上である。
×: 画像グロスが40未満である。
<グロスむらの評価>
〇: 目視観察でフローピッチのグロスむらが無く良好である。
△: 目視観察でフローピッチのグロスむらが若干認められる。
×: 目視観察でフローピッチのグロスむらが顕著に認められる。
<連続生産化の評価>
○:基材層と表面層の連続生産が低コストで可能である。
×:基材層と表面層の連続生産が高コストとなる。
表1の結果から判るように、実施例1〜3では、OSコート紙の単色黒トナー100%画像密度の画像グロスが45となり、高グロス化において満足行く値が得られた。そして、OSコート紙におけるフローピッチのグロスむらについては、実施例1〜3いずれも実用上問題ないレベルに達していた。特に凹凸の差分が1.5μm、2.2μmの実施例1、3は、OSコート紙におけるフローピッチのグロスむらが全く観察されなかった。すなわち、実施例1〜3いずれも、高グロス化の要求を満たした上で、グロスむらの発生を抑制することができたと言える。一方、J紙の場合はOSコート紙と異なり、得られる画像グロスは低いこともあり、実施例1〜3いずれもフローピッチのグロスむらが全く観察されなかった。また、実施例1〜3のように、ブレードフローコート法を用いて無端ベルトを作製することにより、基材層と表面層とを連続的に低コストで生産することが可能となった。
また、表1の結果から判るように、比較例1では、OSコート紙での高グロス化の要求を満足するものの、無端ベルトの表面層における凹凸の差分が4.5μm以上あるため、OSコート紙におけるフローピッチのグロスむらが画像として認められた。これは実用上問題となるレベルであった。また、比較例2では、使用したトナーの正接損失tanδの影響もあり、OSコート紙の単色黒トナー100%画像密度の画像グロスが32と低く、高グロス化の要求を満足するものではなかった。そして、比較例2では、画像グロスが低い分、OSコート紙におけるフローピッチのグロスむらは認められなかった。比較例3のように浸漬塗布法では、高グロス化の要求を満たし、また、表面層の表面に層形成に伴う周期的凹凸は形成されないため、OSコート紙におけるフローピッチのグロスむらについても、実用上問題ないレベルに達していた。しかし、浸漬塗布方法では、基材層と表面層との連続形成は、設備費が掛かるため高コストとなり、製品に導入するコストに合致しない。
1 円筒体、2 ブレード、3 容器、4 ディスペンサ、5 樹脂溶液、6 塗膜、7 モータ、8 塗布装置、10 一次転写部、11 感光体ドラム、12 帯電器、13 レーザ露光器、14 現像器、15 中間転写ベルト、16 一次転写ロール、17ドラムクリーナ、20 二次転写部、22 二次転写ロール、25 バックアップロール、26 給電ロール、31 駆動ロール、32 支持ロール、33 テンションロール、34 クリーニングバックアップロール、35 中間転写ベルトクリーナ、42 基準センサ、43 画像濃度センサ、50 用紙トレイ、51 ピックアップロール、52 搬送ロール、53 搬送シュート、55 搬送ベルト、56 定着入口ガイド、60 定着装置、61 定着ロール、62,62a 定着ベルト、63 ベルトガイド部材、64 圧力パッド、64a プレニップ部材、64b 剥離ニップ部材、65ホルダ、66 ハロゲンヒータ、68 摺動シート、68a 摺動シート固定部材、69温度センサ、70 剥離補助部材、71 剥離バッフル、72 バッフルホルダ、80 エッジガイド部材、100 画像形成装置、101,101a 基材層、103,103a 表面層、612 耐熱性弾性体層、613 離型層、801 ベルト走行ガイド部、802 フランジ部、803 保持部。
Claims (3)
- 回転可能な回転部材と、前記回転部材に接触しながら移動可能な定着ベルトと、前記定着ベルトを介して対向するように配置され、当該定着ベルトを前記回転部材に圧接させて当該回転部材と当該定着ベルトとの間に記録媒体が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
坪量が127gsmのOSコート紙を記録媒体として、前記OSコート紙上のトナー像の光沢度が、60度光沢度計で、単色黒トナー100%像密度にて、グロス40以上となるように前記OSコート紙に保持されたトナー像を定着する際の定着条件を設定することができ、
前記定着ベルトは、基材層と、前記回転部材側の前記基材層上に設けられ、少なくとも離型層を有する表面層と、を備え、
前記表面層の表面の周期的な凹凸について、隣り合う凹凸の差分が3μm以下であることを特徴とする定着装置。 - 前記トナー像を形成するトナーは、100℃以上150℃以下の温度範囲における正接損失tanδが1.5以上3.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 像保持体と、前記像保持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電させた前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像を現像剤により現像しトナー像を形成する現像手段と、少なくとも前記トナー像と接する側に受像層を有する記録媒体に前記トナー像を転写する転写手段と、請求項1又は2のいずれか1項に記載の定着装置と、を備える画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011197429A JP2013057898A (ja) | 2011-09-09 | 2011-09-09 | 定着装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2011197429A JP2013057898A (ja) | 2011-09-09 | 2011-09-09 | 定着装置及び画像形成装置 |
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ID=48133810
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JP2011197429A Withdrawn JP2013057898A (ja) | 2011-09-09 | 2011-09-09 | 定着装置及び画像形成装置 |
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JP (1) | JP2013057898A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015040896A (ja) * | 2013-08-20 | 2015-03-02 | 富士ゼロックス株式会社 | 画像定着用の管状体、定着装置、画像形成装置、及び管状体の製造方法 |
JP2015125277A (ja) * | 2013-12-26 | 2015-07-06 | キヤノン株式会社 | トナー及び二成分系現像剤 |
-
2011
- 2011-09-09 JP JP2011197429A patent/JP2013057898A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20141202 |