JP2009251311A - 定着装置、及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

定着装置、及びこれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】固定された加熱部材と回転する定着ベルトとの摺動による摩擦を低減することができ、定着ベルトの駆動トルク増加を抑えることができる定着装置を実現する。
【解決手段】無端状の定着ベルト32は、定着ローラ30及び面状発熱体を有する湾曲した加熱部材33の凸面とに架けられている。この定着ベルト32と加熱部材33との間に、定着ベルト32の回転に伴って加熱部材33の周りを移動する無端状の摺動ベルト36が、設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、熱ローラ定着方式の定着装置が多用されている。熱ローラ定着方式の定着装置は、互いに圧接されたローラ対(定着ローラ及び加圧ローラ)と、このローラ対の両方或いは何れか一方の内部に配置されたハロゲンヒータ等からなる加熱手段とを備えている。そして、この加熱手段にてローラ対を所定の温度(定着目標温度)に加熱した後、未定着トナー画像が形成された記録紙をローラ対の圧接部(定着ニップ部)に給紙し、圧接部を通過させることで熱と圧力によりトナー画像の定着を行う。
ところで、カラー画像形成装置に備えられる定着装置では、定着ローラ表層にシリコンゴム等からなる弾性層を設けた弾性ローラを用いることが一般的である。定着ローラを弾性ローラとすることで、定着ローラ表面が、未定着トナー画像の凹凸に対応して弾性変形し、トナー画像面を覆い包むように接触する。そのため、モノクロに比べてトナー量の多いカラーの未定着トナー画像に対して、良好に加熱定着を行うことが可能となる。また、定着ニップ部での弾性層の歪み解放効果により、モノクロに比べてオフセットしやすいカラートナーに対して離型性を向上することができる。さらに、定着ニップ部のニップ形状が上(定着ローラ側)に凸(所謂、逆ニップ形状)となることから、用紙の剥離性能を向上させることができ、剥離爪等の剥離手段を用いずとも用紙の剥離が可能となり(セルフストリッピング)、剥離手段に起因する画像欠陥を解消することができる。
このようなカラー画像形成装置に備えられる定着装置において、高速化に対応するには、定着ニップ部のニップ幅を広くする必要がある。ニップ幅を広くする方法として、定着ローラの弾性層を厚くする方法と定着ローラ径を大きくする方法との2つがある。
しかしながら、弾性層を厚くすると、弾性層の熱伝導性は低いため、従来のように定着ローラ内部に加熱手段があると、厚い弾性層を有する定着ローラでは、プロセス速度を高速化した場合、熱供給が不十分で定着ローラの温度が追従しなくなるといった問題がある。
他方、定着ローラ径を大きくすると、定着ニップ部を形成する各ローラの曲率が大きくなり定着ニップ部を広くすることができる。しかし、各ローラの熱容量が大きくなり、ウォームアップ時間が長くなったり、消費電力が増大したりするといった問題がある。
このような問題を解決するために、近年、カラー画像形成装置に備えられる定着装置においては、加熱手段である加熱ローラを定着ローラの外部に配置し、定着ローラと加熱ローラとの間に定着ベルトを架け渡し、定着ベルトを介して定着ローラと加圧ローラを圧接させた構成のベルト定着方式が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
このベルト定着方式の定着装置では、熱容量が小さい定着ベルトを加熱するためウォームアップ時間が短く、また定着ローラにハロゲンランプ等の熱源を内蔵する必要がない。よってスポンジゴム等からなる低硬度の弾性層を厚く設けることができ、広いニップ幅を確保することができる。
更に、ベルト定着方式の定着装置において、加熱手段を面状発熱体とした(面状発熱ベルト定着方式の)定着装置がある(例えば、特許文献2参照)。この面状発熱ベルト定着方式の定着装置では、従来の加熱ローラに比べて、加熱手段の熱容量が小さくなると同時に、加熱手段としての面状発熱体を形成した加熱部材である加熱ローラが直接発熱する。このことから、ハロゲンランプを用いて間接的に加熱ローラを加熱する従来の定着装置に比べて熱応答性が向上し、ウォームアップ時間の更なる短縮や更なる省エネ化が達成できる。
特開平10−307496号公報(平成10年11月17日公開) 特開2002−333788号公報(平成14年11月22日公開) 特開平3―263073号公報(平成3年11月22日公開) 特開平5−19650号公報(平成5年1月29日公開)
しかしながら、上記従来の面状発熱ベルト定着方式の定着装置においては、次のような問題点を有している。すなわち、面状発熱ベルト定着方式の定着装置では、固定配置された面状発熱体を用いた加熱部材と回転する定着ベルトとの摺動による摩擦抵抗が大きくなり、定着ベルトの駆動トルクが増大する。駆動トルクの増加は、定着ローラや定着ベルトに大きな負荷がかかり、定着ローラや定着ベルトの破損、磨耗を引き起こしたり、定着ベルトの回転不良による過熱不良や画像欠陥を発生させたりする。
なお定着ベルトの摺動による摩擦抵抗を低減する方法として、特許文献3には、加熱体上に摩擦係数の小さい保護層を皮膜する事が開示されているが、保護層を皮膜してもベルトとの長期摺動により保護層が磨耗することがあり、保護層磨耗により加熱体自体を交換する必要がある。また、特許文献4には、ベルト内周面にグリスを塗布する事が開示されているが、ベルト内周面にグリスを塗布することにより、定着ベルトに駆動トルクを付与する駆動ローラである定着ローラ表面にもグリスが付着し、付着したグリスが定着ベルトと定着ローラとに滑りを発生させ、駆動トルク伝達を阻害し、定着ベルトの駆動不良が発生する可能性がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、固定された加熱部材と回転する定着ベルトとの摺動による摩擦を低減することができ、定着ベルトの駆動トルクの増加を抑制することができる定着装置、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明の定着装置は、上記課題を解決するために、回転可能な定着部材と、面状発熱体を有する湾曲した加熱部材と、当該加熱部材の凸面と当該定着部材とに架けられた無端状の定着ベルトと、前記定着部材に前記定着ベルトを介して圧接された加圧部材とを備えた定着装置において、前記定着ベルトと前記加熱部材との間に、前記定着ベルトの回転に伴って前記加熱部材の周りを移動する無端状の摺動ベルトを設けた定着ベルトの回転に伴って前記加熱部材の周りを移動する無端状の摺動ベルトを設けたことを特徴としている。
上記構成によると、定着ベルトは、湾曲した加熱部材と直接接触することなく、定着ベルトの回転に伴って摺り動く無端状の摺動ベルトを介して駆動する。定着ベルトは、固定配置された加熱部材よりも小さい摩擦抵抗の、フリーテンションの摺動ベルト上を移動することになる。また、摺動ベルト自体、定着ベルトに対して周速差を持って回転する。よって、摩擦抵抗による定着ベルトの駆動トルク増大を抑えることができる。
以上により、定着ベルトと加熱部材の間に摺動ベルトを設けることにより、固定され静止した加熱部材と回転する定着ベルトが接する加熱ニップでの摺動による摩擦を低減でき、定着ベルトの駆動トルク増加を抑えることができる。
よって、加熱部材との圧接力増加による磨耗増加による定着ベルト内周面の削れが抑制される。そのため、定着ローラや定着ベルトの破損や磨耗の発生を抑え、定着ベルトの回転不良による過熱不良や画像欠陥の発生を抑えることができる、高品質の定着装置を提供することができる。また、加熱部材との不均一な接触による加熱ムラを低減する為に、摺動ベルトが熱的緩衝材の役割を果たす。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記定着ベルトのベルト幅は、前記摺動ベルトのベルト幅と異なっていてもよい。
摩擦抵抗低減の目的で摺動ベルト内周面に潤滑剤を塗布する場合に、摺動ベルト端部から余剰の潤滑剤がはみ出して定着ベルトまで回り込むことがある。しかし、上記構成によると、定着ベルトのベルト幅と摺動ベルトのベルト幅とを異ならせると、余剰の潤滑剤がはみ出して定着ベルトまで回り込む距離を稼ぐことができ、このように、潤滑剤が定着ベルトに付着するのを抑制できる。よって、定着ベルト内周面に潤滑剤付着することで駆動トルクのロスが発生するのを抑制できる。また、定着ベルトや定着ローラなど周辺部材の汚れを防止したりできる。そのため、定着ベルトや定着部材への、不具合を抑制できる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記定着ベルトのベルト幅は、前記摺動ベルトのベルト幅よりも小さくなっていてもよい。
上記構成によると、定着ベルトの幅を摺動ベルトの幅よりも小さくすることで、定着ベルトが摺動ベルトの外周面(表面)上を常に摺動して、回転するようになる。このような構成により、定着ベルトには、摺動ベルトとの摩擦抵抗のみが支配的となり、摺動ベルトの周速差が小さくなれば、更に摩擦抵抗を低減することができる。よって、本来定着ベルトに全ての摩擦抵抗が作用してしまうところを、定着ベルトと摺動ベルトとに分散作用させ、駆動トルクの低減と、各ベルトへの負荷を減らすことができる。そのため、各ベルトや定着部材及び加熱部材への負荷を軽減することができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記摺動ベルトは、ベルト幅方向の両端部に、前記定着ベルトのベルト幅方向への移動を規制する定着ベルト規制部材を備えていてもよい。
上記構成によると、摺動ベルト外周面上の定着ベルトは、摺動抵抗が低減されるが、蛇行を完全になくすことは困難である。上記構成のように、摺動ベルト両端部に定着ベルト規制部材を設けることで、定着ベルトが摺動ベルト上を移動しても、定着ベルト端部が定着ベルト規制部材の端面に接触し、ベルト幅方向の移動が規制される。このように、定着ベルトの寄り力を、摺動ベルト端部に形成した定着ベルト規制部材で受けることで、定着ベルトの位置を規制して、蛇行を抑制することができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記摺動ベルトは、ベルト幅方向の両端部に、前記摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する第一摺動ベルト規制部材を備えていてもよい。
摺動ベルトは、加熱部材外周面と定着ベルト内周面とに挟まれており、ベルト幅方向(長手方向)の寄り力のバランスが崩れ、蛇行することがある。そこで、上記構成のように、第一摺動ベルト規制部材を、摺動ベルトのベルト幅方向の両端部に設けることで、摺動ベルトの寄りを規制して、摺動ベルトの蛇行を抑制することができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記摺動ベルトは、ベルト幅方向の両端部に、前記摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する第一摺動ベルト規制部材を備え、前記定着ベルト規制部材と前記第一摺動ベルト規制部材とは、一体に形成されていてもよい。
上記構成によると、摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する規制部材と定着ベルトのベルト幅方向への移動を規制する規制部材とを一体に形成することで、各々を別々に摺動ベルト端部に設ける場合に比べて、簡易に2つの機能を有するベルト規制部材を配置できる。また、個別にベルト規制部材を設ける場合に比べて、接着面積を広めにでき、寄り力の規制能力が向上させることができる。ここで、例えば、摺動ベルトの端部で摺動ベルトを挟み込む規制部材を形成することで、定着ベルト規制部材と第一摺動ベルト規制部材とを一体として形成することができる。このように、摺動ベルト表面(外周面)と裏面(内周面)とに対して、規制部材を一体的に形成し、表面に設けた方を定着ベルトの規制部材とし、裏面に設けた方を摺動ベルトの規制部材とすることができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記摺動ベルトの外周面あるいは内周面に当接し、前記摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する第二摺動ベルト規制部材を備えていてもよい。
上記構成によると、第二摺動ベルト規制部材を摺動ベルトの外周面或は内周面に当接させることで、その押圧によるベルト幅方向(長手方向)の寄り力を制御できる。よって、常に所定範囲に摺動ベルトが位置するようにでき、摺動ベルトの蛇行を抑制できる。また、規制部材が摺動ベルトの内周面に当接する場合には、摺動ベルトの内周面に潤滑剤を塗布すると、その塗布均一化部材として働く。よって、摺動ベルトの内周面に、潤滑剤をムラなく均一に再塗布することができ、潤滑剤塗布による摩擦抵抗低減効果を高めることができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記摺動ベルトの内周面に、潤滑剤を塗布してもよい。
上記構成によると、加熱部材と摺動ベルトとの間に、潤滑剤(例えば、グリスやオイル)を塗布することで、潤滑剤が作用して加熱部材と摺動ベルトとの摩擦係数が低下し、摩擦抵抗を低くすることができる。よって、定着ベルトの駆動トルクを下げることができる。特に、潤滑剤に、熱伝導性を向上させるカーボンやその同素体であるカーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどナノ材料や、金属微粒子などを混ぜることで、熱伝導率が大きくなり、加熱部材と摺動ベルトとの間に介在する空隙による熱抵抗増加も抑制することができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記潤滑剤は、熱伝導率の高い微粒子を含有していてもよい。
潤滑剤に、熱伝導率の高い微粒子を含有することで、潤滑剤が、摺動ベルトと加熱部材との接触面に介在する空隙を埋めて、熱伝導を促進し、空隙による熱抵抗を低減することができる。
例えば、潤滑剤であるオイルやグリスに、熱伝導率の高い微粒子として、カーボンやその同素体であるカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどの無機微粒子や、金属微粒子を含有すればよい。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記第一摺動ベルト規制部材には、前記潤滑剤が前記摺動ベルト端部から外部にはみ出した前記潤滑剤を受ける受容部が設けられていてもよい。
上記構成によると、摺動ベルトの内面に塗布した潤滑剤(例えば、オイルやグリス)が、余剰となって、摺動ベルトの両端部に移動してしまった場合に、前記第一摺動ベルト規制部材に設けた受容部に、前記余剰となった潤滑剤が溜まる。この受容部に溜まった潤滑剤は、それ以上移動することはないので、摺動ベルトの端部よりはみ出して、定着ベルトの外周面や内周面に付着することもなく、定着部材にも付着することはない。よって、余剰となって摺動ベルトからはみ出した潤滑剤が付着して、定着ベルトのスリップを発生させない。従って、安定した定着ベルトの回転が得られる。また、余剰の潤滑剤が摺動ベルトからはみ出して、その他の部材に付着して、周辺を汚すこともない。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記定着ベルトと前記摺動ベルトとの間の摩擦係数をμ1、前記摺動ベルトと前記加熱部材との間の摩擦係数をμ2とすると、
μ1<μ2
の関係を満していてもよい。
上記構成によると、常に摺動ベルト外周面上を、定着ベルトが回転し、摺動ベルトが加熱部材を摺動するよりも小さな力で回転させることが可能である。そのため、駆動トルクを付与しても、静止摩擦係数の小さい定着ベルトが、先に回転を始めて、定着ベルトの回転不良を抑制でき、駆動トルクの増加を抑えることができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記定着ベルトの熱伝導率をλ1、前記摺動ベルトの熱伝導率をλ2とすると、
λ1<λ2
の関係を満してもよい。
上記構成によると、摺動ベルト熱伝導率を定着ベルトの熱伝導率よりも大きくすることで、特に、摺動ベルトの厚み方向の熱伝導率を定着ベルトの厚み方向の熱伝導率よりも大きくすることで、加熱部材から定着ベルト表面へ伝熱していく過程で、摺動ベルトの面方向への熱の広がりを促進させることができる。これによって、摺動ベルトが熱的緩衝材となって、定着ベルトにおける非加熱部分に対応する部分へもその周辺からの伝熱で熱を伝えることができ、温度ムラを低減できる。
即ち、ベルトの厚み方向への伝熱の過程で、面方向への伝熱を増やして、摺動ベルトの熱抵抗を小さくして、より広い面積に伝熱するようにする。このことで、本来、加熱部材において発熱しない領域へも、積極的に熱を伝えることで、温度ムラを低減することができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記定着ベルトの熱貫流率をK1、前記摺動ベルトの熱貫流率をK2とすると、
K1<K2
の関係を満していてもよい。
上記構成により、摺動ベルトからの熱流速は、定着ベルトの熱流速よりも多く、かつ熱伝導率の大小関係(λ1<λ2)により、摺動ベルトからの多くの熱流速は、面方向へも広がって、定着ベルト上の温度ムラを低減することができる。また、加熱部材の発熱ムラに起因する温度ムラも低減することができる。この場合、定着ベルトの内周面や、摺動ベルトの外周面及び内周面に、熱伝導性に優れる銅をメッキするのがよい。このようにすることで、熱貫流率を小さくして、摺動ベルトの厚み方向の熱伝導性を向上させ、温度ムラを低減することができる。
本発明に係る定着装置では、上記構成に加え、前記定着ベルトの単位時間当たりに移動する熱容量をC1、前記摺動ベルトの単位時間当たりに移動する熱容量をC2とすると、
C1<C2
の関係を満していてもよい。
ここで、温度的に高く熱容量が大きい摺動ベルトが持つ熱量を、摺動ベルトよりも熱容量が小さく温度の低い定着ベルトに供給すると、面状発熱体からの加熱はあるが、摺動ベルトの温度低下が抑制される。逆に、熱容量の小さい摺動ベルトの場合、摺動ベルトの温度低下が激しくなり、定着ベルトへの熱量供給が少なくなり、加熱特性の良い面状発熱体からの加熱はあっても、定着ベルト表面温度を維持することが困難になり、定着性がばらついたり、画像劣化につながる。
そこで、安定的な熱量供給の為に、摺動ベルトと定着ベルトの熱容量を、上記の関係式ように規定することで、安定な熱供給システムを構成することができる。なお、摺動ベルトと定着ベルトとは、それぞれ異なる速度で回転しているので、単位時間あたりに移動する熱容量で、熱供給能力を現すのがよい。
つまり、定着ベルトの単位時間当たりに移動する熱容量よりも、摺動ベルトの単位時間当たりに移動する熱容量を大きくすると、加熱ニップ部での摺動ベルトから定着ベルトへ移動する熱流速を多くすることができる。よって、摺動ベルトを介した加熱における熱負荷の増加の影響を低減することができる。このように、ベルトが回転している状況でも、摺動ベルトが運ぶ熱容量を定着ベルトが運ぶ熱容量よりも大きくすることで、加熱ニップ部での摺動ベルトを介して加熱する時の熱エネルギーの移動量を相対的に大きくして、熱伝導を円滑に行えるようにするのが好ましい。
また、前記定着ベルトの単位時間当たりに移動する熱量をQ1、前記摺動ベルトの単位時間当たりに移動する熱量をQ2とすると、
Q1<Q2
の関係を満しているのが好ましい。このような関係を満たしているということは、加熱部材から、摺動ベルトを介して定着ベルトへの熱の移動がされやすくなっている、ということである。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る上記何れか1つの定着装置を備えている。よって、本発明により、定着ベルトの駆動トルクを低減し、安定した回転が得られる定着装置を備えた画像形成装置を提供できる。
本発明の定着装置は、以上のように、前記定着ベルトと前記加熱部材との間に、前記定着ベルトの回転に伴って前記加熱部材の周りを移動する無端状の摺動ベルトを設けている。
上記構成によると、定着ベルトは、湾曲した加熱部材と直接接触することなく、定着ベルトの回転に伴って摺り動く無端状の摺動ベルトを介して駆動する。定着ベルトは、固定配置された加熱部材よりも小さい摩擦抵抗の、フリーテンションの摺動ベルト上を移動することになる。また、摺動ベルト自体、定着ベルトに対して周速差を持って回転する。よって、摩擦抵抗による定着ベルトの駆動トルク増大を抑えることができる。
以上により、定着ベルトと加熱部材の間に摺動ベルトを設けることにより、固定され静止した加熱部材と回転する定着ベルトが接する加熱ニップでの摺動による摩擦を低減でき、定着ベルトの駆動トルク増加を抑えることができる。
よって、加熱部材との圧接力増加による磨耗増加による定着ベルト内周面の削れが抑制される。そのため、定着ローラや定着ベルトの破損や磨耗の発生を抑え、定着ベルトの回転不良による過熱不良や画像欠陥の発生を抑えることができる、高品質の定着装置を提供することができる。また、加熱部材との不均一な接触による加熱ムラを低減する為に、摺動ベルトが熱的緩衝材の役割を果たす。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について、以下に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明をカラー複合機/複写機及びカラープリンタに適用することを主体として説明するが、本発明は、モノクロ複合機/複写機及びモノクロプリンタに対しても適用することが可能である。図2は、画像形成装置100の内部構造を示した模式図である。画像形成装置100は、乾式電子写真方式のカラー画像形成装置であり、ネットワークを介して接続される各端末装置から送信される画像データまたはスキャナによって読み取られた画像データに基づいて、用紙(記録材、転写媒体、記録紙)に対してカラー画像またはモノクロ画像を形成するプリンタである。
本実施の形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、光学系ユニットE、4組の可視像形成ユニットpa、pb、pc、pd、中間転写ベルト11、二次転写ユニット14、定着ユニット15、内部給紙ユニット16及び手差し給紙ユニット17を備えている。
可視画像形成ユニットpaでは、像担持体となる感光体101aの周囲に、帯電ユニット103a、現像ユニット102a、クリーニングユニット104aが配置している。そして、一次転写ユニット13aが中間転写ベルト11を介して配置している。他の3組の可視像形成ユニットpb、pc、pdも可視画像形成ユニットpaと同様の構成であり、同じ構成部材には、同じ数字の部材番号と、各可視像形成ユニットに対応した英字(b,c,d)とを付すものとする。可視像形成ユニットpa,pb,pc,pdには、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色トナーが収容されている。
光学系ユニットEは光源4からのビームが4つの感光体101a、101b、101c、101dに届くように配置されている。光学系ユニットEには、それぞれ画像データにおける黄色成分、マゼンタ成分、シアン成分及び黒色成分に対応する画素信号が入力されるようになっている。そして、この入力された画像信号に基づいて、光源4から各ビームが出射され、ミラー8にて折り返されて、帯電された感光体101a、101b、101c、101dを露光し、静電潜像を生成する。
中間転写ベルト11はテンションローラ11a、11bによりたわむことなく配置される。また、中間転写ベルト11のテンションローラ11b側に、中間転写ベルト上の残トナーを回収する廃トナーBOX12、テンションローラ11a側に二次転写ユニット14が、それぞれ中間転写ベルト11に当接して配置されている。
定着ユニット15は、定着ローラ15aと加圧ローラ15bとが、図示していない加圧手段により所定の圧力で圧接され、二次転写ユニット14の下流に配置されている。本実施形態では、面状発熱ベルト定着方式の定着ユニット15を備えており、詳細については後述する。
画像形成装置100における画像形成の工程は以下のようになる。感光体101a表面を帯電ユニット103aで一様に帯電した後、光学系ユニットEにより感光体101a表面を画像情報に応じてレーザー露光し、静電潜像を形成する。本実施携帯の帯電ユニット103aとしては、感光体101a表面を一様に、またオゾンを極力発生させることなく帯電するために、帯電ローラ方式を採用している。その後、現像ユニット102aにより感光体101a上の静電潜像に対しトナー画像を現像し、この顕像化されたトナー画像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された一次転写ユニット13aにより中間転写ベルト11上に転写する。
他の3組の可視像形成ユニットpb、pc、pdも同様に動作し、順次中間転写ベルト11上にトナー画像を転写する。中間転写ベルト11上のトナー画像は二次転写ユニット14まで搬送される。そして、別途、内部給紙ユニット16の給紙ローラ16a、または手差し給紙ユニット17の給紙ローラ17aから給紙された記録紙は搬送ローラr、19によって搬送され、二次転写ユニット14にてトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加されて、トナー画像が転写される。記録紙上のトナー画像は定着ユニット15に搬送され、定着ユニット15を通過するときに十分に加熱・加圧されて記録紙上に融着する。そして、定着ユニット15によってトナー画像の定着処理が行われた後の記録紙は、搬送ローラ18aにて画像形成装置100の外部に排出される。これにより、画像形成処理が終了する。
次に、定着ユニット(定着装置)15の構成について図1、図3〜図8を用いて説明する。定着ユニット15は、記録紙(記録材)の表面に形成された未定着のトナー画像を、熱及び圧力によって記録紙上に定着させるものである。なお、この未定着のトナー画像は、例えば、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナー及びキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)等の現像剤(トナー)によって形成される。
図1に示すように、定着ユニット15は、面状発熱ベルト定着方式が用いられており、定着部材である定着ローラ30(上記定着ローラ15aと同じ)と、加圧部材である加圧ローラ31(上記加圧ローラ15bと同じ)と、無端状の定着ベルト32と、定着ベルト32を懸架し加熱するための加熱部材33と、加圧ローラ31を内部より加熱するための熱源であるヒータランプ34と、定着ベルト32、加圧ローラ31、定着ローラ30各々の温度を検出する温度検出手段を構成する温度センサとしてサーミスタ35A,35B、35Cとを備えている。
定着ローラ30及び加圧ローラ31は、所定の荷重(例えば、本実施形態では216N)で互いに圧接されて、両ローラ間に、定着ローラ30と加圧ローラ31とが互いに当接する部分である定着ニップ部Nを形成している。なお、本実施形態では、ニップ幅(定着ニップ部Nの記録紙搬送方向の幅)を7mmとしている。ただしこの数値に限定されない。
定着ニップ部Nに未定着トナー画像を形成した記録紙Pを搬送し、定着ニップ部Nを通過させることで、トナー画像が加熱溶融されて記録紙Pにトナー画像が定着される。記録紙Pが定着ニップ部Nを通過するときには、定着ベルト32は記録紙Pのトナー画像形成面に当接する一方、加圧ローラ31は記録紙Pにおけるトナー画像形成面とは反対側の面に当接するようになっている。
定着ローラ30は、定着ベルト32を介して、加圧ローラ31に圧接することで定着ニップ部Nを形成すると同時に、定着ベルト32の外周面との摩擦抵抗によって回転駆動することにより定着ベルト32を搬送する目的を有している。定着ローラ30としては、例えば、内側から順に芯金30a、弾性層30bが形成された2層構造のものを用いることができる。芯金30aには、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム等の金属或いはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層30bにはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有し、弾性変形可能なゴム材料が適している。なお、本実施形態では、定着ローラ30の直径は30mmであり、芯金30aに直径15mmの中空あるいは中実のステンレス鋼、弾性層30bに厚さ7.5mmのシリコンスポンジゴムを用いる。ただしこれらの数値に限定されない。
加圧ローラ31には、例えば、内側から順に芯金31a、弾性層31b、離型層31cが形成された3層構造のものを用いることができる。芯金31aには、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、チタン、マグネシウム等の金属或いはそれらの合金等が用いられる。また、弾性層31bにはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有し、弾性変形可能なゴム材料が用いられる。また、離型層31cには、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂が適している。なお、本実施形態では、加圧ローラ31の直径は30mmであり、芯金31aに直径24mm、肉厚2mmの鉄合金(STKM)、弾性層31bに厚さ3mmのシリコンソリッドゴム、離型層31cに厚さ30μmのPFAチューブを用いている。
また、加圧ローラ31の内部には、加圧ローラ31を内部から加熱するヒータランプ34が配置されている。制御手段(図示せず)が電源回路(図示せず)からヒータランプ34に電力を供給(通電)させることにより、ヒータランプ34が発光し、ヒータランプ34から赤外線が放射される。これにより、加圧ローラ31の内周面が赤外線を吸収して加熱され、加圧ローラ31全体が加熱される。なお、本実施形態では、定格電力400Wのヒータランプ34を使用している。また、加圧ローラ31の内面は、前記ヒータランプ34が放射する赤外線を吸収しやすくする為に、赤外線の波長域に良好な吸収特性を有する耐熱黒色塗装を施してもよい。
定着ベルト32は、加熱部材33が発生する熱によって所定の温度に加熱され、定着ニップ部Nを通過する未定着トナー画像が形成された記録紙Pを加熱するためのものである。本実施形態では、定着ベルト32は、直径45mmであり、加熱部材33と定着ローラ30とによって懸架され、定着ローラ30に所定の角度θで巻きかかっている。
定着ベルト32は、定着ローラ30の回転時には、定着ローラ30に従動して回転するようになっている。定着ベルト32としては、例えば、特に図示してはいないが、ポリイミド、ポリアミド、及びアラミド樹脂等の耐熱樹脂或いはステンレスやニッケル等の圧延や電鋳によって製作された金属材料からなる中空円筒状の基材の表面に、弾性層として耐熱性及び弾性に優れたエラストマー材料(例えばシリコンゴム)が形成され、さらにその表面に離型層として耐熱性及び離型性に優れた樹脂材料(例えばPFAやPTFE等のフッ素樹脂)が形成された3層構成のものを用いることができる。エラストマー材料及び離型層は、定着ベルト32の外周側に形成される。さらに、基材にポリイミド等の耐熱樹脂を用いる場合、フッ素樹脂を内添することがより好ましい。こうすることで、加熱部材33との摩擦抵抗をさらに低減することができる。本実施形態の定着ベルト32は、基材に厚さ70μmのポリイミド、弾性層に厚さ150μmのシリコンゴム、離型層に厚さ30μmのPFAチューブを用いている。離型層は、上記のPFAチューブだけでなく、PFAやPTFEなどをコーティングしてもよい。
加熱部材33は、定着ベルト32と接して、定着ベルト32を所定の温度に加熱するものであり、面状発熱体42を有している。まず、加熱部材33は、定着ベルト32の通紙領域に対応する胴部40aと、非通紙領域に対応する胴部40aよりも細いジャーナル部(図示せず)とからなる中空のロール形状の基材40を備えている。本実施形態では、胴部40aは、図1に示すように、軸方向断面である円の下半分がカットされた切り欠部41を有する、軸方向断面が湾曲しており、半円弧状をなす形状となっている。尚、本実施形態の基材40は、胴部40aの直径が28mm、ジャーナル部の直径が20mmであり、肉厚1mmのアルミニウム合金製パイプから作製されている。
そして、基材40の胴部40aの内周面(凹面)に、上記した面状発熱体42が形成されている。面状発熱体42は、発熱部43と発熱部43に給電する給電部44とからなる。本実施形態では、発熱部43は、例えば、図3に示すように、基材40の内側に形成された絶縁層43bとさらに絶縁層43bの表面に設けられた抵抗発熱層43aとからなる。また、基材40の発熱部43が形成される側とは反対の外周面(凸面)側には、コート層46が形成されている。
本実施形態では、抵抗発熱層43aとして厚さ15μmのステンレス箔、絶縁層43bとして厚さ30μmのポリイミド、基材40としては上記したアルミ製パイプである厚さ1mmのアルミニウム合金、コート層46として厚さ20μmのPTFE(四フッ化エチレン樹脂)コートを用いている。
抵抗発熱層43aは、図4の正面図に示すように、発熱部43の長手方向両端に形成された給電部44から長手方向に一定幅で延びて折り返すことを繰り返す配線(発熱パターン)を有している。本実施形態では、配線の線幅は2.4mm、隣り合う配線の間隔は2.4mm、折り返し長さは320mm、平行な配線の数は6本であり、給電部44・44間の抵抗は10Ωである。また、図1に示す、定着ベルト32との接触幅(加熱ニップ幅)Mは、44mmである。さらに、給電部44には電源回路(図示せず)が接続されており、制御手段(図示せず)により抵抗発熱層43aの発熱パターンに交流100Vを印加することで、約1000Wの熱エネルギーが発生する。
また、図1に示すように、定着ベルト32、加圧ローラ31及び定着ローラ30上の定着ベルト32の各々の周面には、温度検知手段としてのサーミスタ35A,35B、35Cが配設されており、それぞれの表面温度を検出するようになっている。そして、各サーミスタ35A,35B、35Cにより検出された温度データに基づいて、制御手段としての温度制御回路(図示せず)が、定着ベルト32、加圧ローラ31、定着ローラ30の表面温度を各々所定の温度になるように、加熱部材33の面状発熱体42及びヒータランプ34への通電を制御する。尚、本実施形態ではサーミスタ35Aは非接触式、サーミスタ35B及びサーミスタ35Cは接触式サーミスタを用いている。
また、加熱部材33における基材40は、その両側のジャーナル部が定着ユニット15のサイドフレーム(図示せず)に固定されている。これにより、加熱部材33は、定着ベルト32との摩擦力で回転しない構成となっている。
次に、本実施形態の定着ユニット15の動作を説明する。定着ユニット15では、定着ニップ部Nに所定の定着速度及び所定の用紙間隔での複写速度で未定着トナー画像が形成された記録紙Pが搬送されてくると、熱と圧力によって定着を行う。なお、定着速度とは所謂プロセス速度のことである。また、複写速度とは1分あたりの印刷枚数のことである。これらの速度は特に限定されるものではないが、本実施形態では、定着速度は220mm/sec、複写速度はA4サイズ用紙を横送りで1分あたり50枚としている。
定着ローラ30は、図示しない駆動モータ(駆動手段)によって回転駆動され、図1で示す時計方向に回転する。そして、定着ベルト32は時計方向に、加圧ローラ31は反時計方向に、定着ローラ30の回転に従動して回転する。この回転するローラ対及び定着ベルト32で形成される定着ニップ部Nにて、搬送されてきた記録紙Pの未定着トナーを加熱溶融する。なお、本実施形態での回転駆動は定着ローラ30に対して行っているが、加圧ローラ31に対して行ってもよく、または定着ローラ30と加圧ローラ31との両方を駆動してもよい。あるいは、熱容量で若干不利にはなるが、定着ベルト32の外周面に当接する別の駆動ローラで行ってもよい。
加熱部材33における抵抗発熱層43aで発生した熱は、アルミニウム合金製パイプよりなる基材40を介して、以下で説明する摺動ベルト36そして定着ベルト32に伝わるため、抵抗発熱層43aの配線パターンに起因する加熱ムラが生じるが、基材40の熱伝導性により緩和される。当然ながら、配線の幅や間隔、パターンの配置方法などによっても緩和することが可能である。
また、内周側に発熱部43が配されている基材40の外周面には、PTFEよりなるコート層46が設けられており、加熱部材33と摺動ベルト36との間の摩擦係数が抑制されスムーズに摺動することができる。さらに、基材が樹脂よりなる摺動ベルト36であれば、樹脂の基材にフッ素樹脂を内添することで、フッ素樹脂の摩擦係数低減効果により加熱部材33と摺動ベルト36とを、より一層スムーズに摺動することができる。
また、アルミニウム合金製パイプよりなる基材40により、面状発熱体42が発生する熱の長手方向の熱移動(熱伝導性)も向上するため、小サイズ紙を連続通紙した場合の非通紙部昇温も低減することができる。
また、基材40は、定着ベルト32との非接触領域、つまり、基材40中で定着ベルト32の加熱に寄与しない領域が切除されており、軸方向断面が円弧状をなす部分に、面状発熱体42が形成されている構成である。よって、基材40の熱容量が低減され、ウォームアップ時間の短縮や温度追従性の改善、消費電力の削減が可能となる。
本実施形態では、更に、定着ベルト32と加熱部材33との間に、定着ベルト32とは構成の異なる無端状の摺動ベルト36を設けている。即ち、摺動ベルト36を、定着ベルト32と加熱部材33とで挟み、摺動ベルト36を介して、加熱部材33からの熱エネルギーを定着ベルト32に供給する。そして、この摺動ベルト36は、直接記録紙Pに接触する訳ではないので、定着ベルト32と同じ定着速度で回転する必要はなく、加熱部材33と定着ベルト32とに対して周速差を持って回転する。この摺動ベルト36は、定着ベルトと加熱部材33とで挟まれた加熱ニップ部Mでのみ保持されており、摺動ベルト36自体には、テンションを付与しないフリーテンションとしている。
摺動ベルト36がない場合の定着ベルト32と加熱部材33との摩擦抵抗は、定着速度に相当する周速差の状態であり、同じ摩擦係数でも周速差が大きいほうが摩擦抵抗も大きくなる。本実施形態では、摺動ベルト36を定着ベルト32と加熱部材33との間に入れることで、定着ベルト32と摺動ベルト36との周速差は、前述した摺動ベルト36がない場合の周速差よりも小さくなり、その結果、定着ベルト32の摩擦抵抗は小さくなって、駆動トルクが低減される。
ここで、
摺動ベルト36がない場合の定着ベルト32と加熱部材33との周速差をΔV1
摺動ベルト36がある場合の定着ベルト32と摺動ベルト36との周速差をΔV2
摺動ベルト36がある場合の摺動ベルト36と加熱部材33との周速差をΔV3
とすると、
V1≧V2+V3
となり、摺動ベルト36がある場合には、ΔV2は、ΔV1よりも常に小さくなり、ΔV3に相当する分だけ摩擦抵抗を小さくすることができる。
摺動ベルト36としては、ポリイミド、ポリアミド、及びアラミド樹脂等の耐熱樹脂或いはステンレスやニッケル等の圧延や電鋳によって製作された金属材料からなる中空円筒状の基材で、定着ベルト32と同様のものが使用できる。ただし、外周面(定着ベルト32と接する面)には、弾性層がなく、さらに離型層もない。代わりに、加熱部材33の表面処理と同様に、定着ベルト32との摩擦抵抗を低減する為に、摩擦係数を小さくするコート層を設ける。このコート層は、耐熱性を有し、摩擦係数を小さくする樹脂材料(例えばPFAやPTFE等のフッ素樹脂など)で形成し、摺動ベルト36を2層構成として形勢してもよい。また、内周面(加熱部材33と接する面)にも、摺動ベルト36と加熱部材33との摩擦抵抗を低減する為に、表面と同様のコート層を形成することも可能で、この場合は摺動くベルト36は3層構成となる。コート層の代りに、摺動ベルトの基材に、フッ素樹脂など摩擦係数を低減する材料を内添してもよい。この場合は、摺動ベルト36を単層で構成することができる。本実施形態では、摺動ベルト36の基材として、厚さ50μmのポリイミドで、フッ素樹脂を内添している。
摺動ベルト36は、前述のように、定着ベルト32と加熱部材33との双方に対して周速差を持っており、かつフリーテンションである。よって、定着ベルト32よりも遅い周速で、定着ベルトと同じ方向に従動回転し、定着ベルト32への摩擦抵抗を低減する。
摺動ベルト36と加熱部材33とは、ΔV3の周速差があるが、摺動ベルト36のベルト構成により摩擦係数は低く抑えられており、摺動ベルト36が回転している間は、摩擦抵抗を低くする。更には、摺動ベルト36の加熱部材33との摩擦抵抗を減らす為に、摺動ベルト36内周面にすべり性を付与する潤滑剤であるグリスやオイルを塗布することも可能である。このグリスやオイルは、高温環境下でも安定した潤滑性を付与できるものが望ましく、高温状態でも適度な粘度を保持できるものがよい。グリスやオイルとしては、例えば、シリコンやフッ素を主成分とするものがあり、シリコンオイルやフッ素オイル、シリコングリスなどが市販されており、定着ユニットの構成や各部材の構成に応じて、種類や粘度を適宜選択して用いればよい。
本実施形態では、例えばコンピュータ機器のCPU(中央演算装置)の冷却時に用いるものと同様の成分のシリコングリスを用いている。このシリコングリスは、摺動ベルト36と加熱部材33との摩擦抵抗を低減する効果だけでなく、次のような効果もある。摺動ベルト36と加熱部材33との間は、通常完全には密着されず、各々に微小な凹凸があり、それらの接触で空隙が形成されており、この空隙により熱伝導性が若干低下する。しかし、摺動ベルト36と加熱部材33との間に空気よりも熱伝導率の大きいシリコングリスを介在させることで、上記空隙はシリコングリスで埋まり、通常状態よりも熱伝導性を向上させることができる。よって、摺動ベルト36を設けたことによる熱抵抗の増加分を補うことができる。また、上述のグリスやオイルに、カーボンや金属を初めとする高熱伝導性の微粒子を含有させることも可能である。これらカーボンや金属微粒子により熱伝導が促進され、空隙が介在することによる熱抵抗を下げることができる。なお、含有する部材は、良熱伝導性の材料であればよく、カーボンの同素体であるカーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどナノテク材料を用いることができる。
ここで、図5に示すように、定着ベルト32の幅は、摺動ベルト36の幅よりも短くしておき、定着ベルト32が摺動ベルト36の外周面(表面)上を常に摺動して、回転するようにする。このような構成とすることで、定着ベルト32には、摺動ベルト36との摩擦抵抗のみが支配的となり、摺動ベルト36の周速差が小さくなれば、更に摩擦抵抗を低減することができる。よって、本来定着ベルト32に全ての摩擦抵抗が作用してしまうところを、定着ベルト32と摺動ベルト36とに分散作用させ、駆動トルクの低減と、各ベルトへの負荷を減らすことができる。そのため、各ベルトや定着ローラ30及び加熱部材33への負荷を軽減することができる。また、定着ベルト32の幅が短いことで、摺動ベルト36の内周面に摩擦抵抗を低減するグリスやオイルを塗布した場合に、継続使用している過程で、余剰になったり両端部に移動してしまったグリスやオイルが、摺動ベルト36の端部よりはみ出してしまうことによる弊害を低減することができる。はみ出したグリスやオイルが、定着ベルト32外周面や内周面、定着ローラ30や摺動ベルト36の外周面に付着してしまうと、不要な滑りを発生させて、駆動ロスや定着ベルト32のスリップあるいは回転不能といった弊害を発生させる。しかし、摺動ベルト36の端部と定着ベルト32の端部との間に距離を置くことで、グリスやオイルがはみ出しても、影響され難くすることができる。
ここで、摺動ベルト36の外周面(表面)を定着ベルト32が摺擦されて回転するが、その際にベルト幅方向である長手方向の力のバランスによって、一定方向への寄り力が定着ベルト32に作用し、定着ベルト32が蛇行する場合がある。本実施形態では、摺動ベルト36の外周面を、定着ベルト32が移動するので、従来のような、定着ベルト32の内周面に蛇行による位置規制する定着ベルト規制部材である定着ベルト蛇行規制ビードを配置することができない。そこで、本実施形態では、摺動ベルト36の幅方向の両端部と一致するか、僅かに内側に寄った場所に、定着ベルト蛇行規制ビード(定着ベルト規制部材)37を設ける。こうすることで、摺動ベルト36上の定着ベルト32が、蛇行して、摺動ベルト36の一方の端部に移動してしまう場合に、端部に設けた定着ベルト蛇行規制ビード37の端面に、定着ベルトの端部が接触して、それ以上の移動を規制するように作用する。
また、図6のように、定着ベルト32の端部の断面をL字状に成形して、定着ベルト32の蛇行による寄り力を面で受けて、それ以上は移動させないようにしてもよい。この場合は、定着ベルト32の端部と、定着ベルト蛇行規制ビード37の端面は、線接触ではなく面接触となるので、より大きな寄り力を受けることができ、定着ベルト32の端面の変形や破れを防止することができる。
一方、摺動ベルト36も、加熱部材33上を定着ベルト32に挟まれて保持されるが、定着ベルト32と同様に、ベルト幅方向である長手方向の力のバランスによって、一定方向への寄り力が作用する場合がある。この場合、摺動ベルト36自身も蛇行することになる。そこで、本実施形態では、摺動ベルト36の内周面に、第一摺動ベルト規制部材である摺動ベルト蛇行規制ビード38を設けて蛇行を抑制する。摺動ベルト蛇行規制ビード38の端面と、加熱部材33に設けた段差や、加熱部材33の両端部に配置したボールベアリングやコロ軸受などのラジアルベアリングやスラストベアリングを用いた蛇行抑制機構、ステンレス鋼やPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の耐熱樹脂などのカラーによる蛇行抑制機構を当接させ、摺動ベルト36の寄り力を規制して、蛇行を抑制する。
これらの蛇行規制ビード37,38は、ポリウレタンゴム、ネオプレンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、二トリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム等の合成ゴムや天然ゴムを1種あるいは複数種を混合したものを用いることができる。使用環境における耐熱性を有し、耐磨耗性があり、熱的安定性を有するものが好適であり、この蛇行規制ビード37,38をそれぞれ、摺動ベルト36に接着剤等で貼り付ける。
定着ベルト蛇行規制ビード37の断面形状は、特に規制されないが、定着ベルト32の端面を受けることができる平面が備わっていればよく、正方形、長方形、三角形等種々の断面形状を用いることができる。他方、摺動ベルト蛇行規制ビード38についても、定着ベルト蛇行規制ビード37と同様の断面形状を用いることができる。
摺動ベルト36の内周面に摩擦抵抗低減の為のグリスやオイルを塗布する場合、摺動ベルト36の端部から、これらグリスやオイルがはみ出して、定着ベルト32や定着ローラ30に回り込んで、不具合を生じることがある。そこで、摺動ベルト蛇行規制ビード38に、例えば、図7(a),(b)に示すような、溝部(受容部)36aや切り欠部(受容部)36bを設けてもよい。この溝部や切り欠部36bにより、余剰なグリスやオイルが溜められるので、摺動ベルト36の内周面からはみ出さない。これらのように、摺動ベルト蛇行規制ビード38は、摺動ベルト36に貼り合わせられた状態で、余剰なグリスやオイルを、その溝部や切り欠部36bで保持して、摺動ベルト36の内周面からはみ出さないようにした断面形状のものを用いてもよい。
上述した定着ベルト蛇行規制ビード37と摺動ベルト蛇行規制ビード38は、各々別の部材である。しかし例えば、図8に示すような断面のビード39を用意し、一端面の切り込み部分に、摺動ベルト36を入れて、接着剤等で固定してもよい。この場合、単一の部材(ビート39)で、定着ベルト蛇行規制ビード37と摺動ベルト蛇行規制ビード38との2つの機能を持たせることができる。
〔実施形態2〕
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、実施の形態1の定着ユニット15の構成に加え、図9(a)に示すように、更に、第2の摺動ベルト規制部材である規制ローラ50を、摺動ベルト36に当接させる。この規制ローラ50は、長手方向の一端、本実施形態ではフロント側(紙面の手前側)に固定されるものとする。また、長手方向の他端であるリア側(紙面の奥側)では、ソレノイドやピエゾなどの可動アクチュエータや、ウォームギアを用いた可動機構などが形成されており、規制ローラ50を摺動ベルト36の半径方向に僅かに可動させるものとする。この構成により、摺動ベルト36に僅かな長手方向(ベルト幅方向)の力を付与し、長手方向の寄り力のバランスをコントロールして、摺動ベルト36の蛇行を制御する。例えば、規制ローラ50のリア側を、図9(a)のAの方向に僅かに移動させると、フロント側に比べてリア側の寄り力が大きくなり、摺動ベルト36は、徐々にフロント側に移動する。他方、規制ローラのリア側を、図9のBの方向に僅かに移動させると、リア側に比べてフロント側の寄り力が大きくなり、摺動ベルト36は、徐々にリア側に移動する。
摺動ベルト36の蛇行状態は、例えば反射式あるいは透過式の光学センサや、磁気センサなどで、摺動ベルト36の寄り状態を検知し、その情報を基にして、前記のアクチュエータを制御して、常に摺動ベルト36が、所定の位置近傍に留まるようにするのがよい。ここで、規制ローラ50の目的は、摺動ベルト36の蛇行を制御することであるので、摺動ベルト36への当接により熱負荷とならないようにするのが好ましい。しかし、完全に熱負荷とならないようにすることは困難であるので、極力規制ローラ50の熱容量を小さくすることが望ましい。
前記のアクチュエータの制御や、摺動ベルト36の寄り状態の検知は、前記温度制御回路に包含させても良いし、独立した制御回路としてもよい。
定着ベルト32や摺動ベルト36の基材としては、前述のような、ポリイミド、ポリアミド、及びアラミド樹脂等の耐熱樹脂或いはステンレスやニッケル、アルミニウム等の圧延や、電鋳によって製作された金属材料からなる中空円筒状の基材であってもよい。あるいは、CFRP、GFRPなど繊維強化された耐熱樹脂や金属材料も用いることができる。
繊維強化されたベルトでは、特定の方向への引張や圧縮に対して強度を持たせることも可能である。例えば、蛇行により各々のベルト規制部材と接触するが、ベルトの長手方向の座屈強度が低いと、過剰は寄り力が作用し、ベルト規制部材との接触圧が異常に高くなった場合に、ベルトが座屈したり、ベルト端部が変形したり、最悪は破断してしまい、ベルトの耐久性を著しく縮めてしまう。しかし、ベルトの長手方向に繊維方向を合わせることで、ベルト自身の柔軟性を損なわずに、座屈強度を高めることも可能である。
なお、上記では、規制ローラ50が摺動ベルト36の外周面に当接する構成として説明したが、図9(b)に示すように、摺動ベルトの内周面に当接させても、同様の効果が得られる。この場合、フロント側を固定した状態では、図9(b)のA方向に移動させると、リア側に移動し、図9(b)のB方向に移動させると、フロント側に移動する。
規制ローラ50を摺動ベルト36の内周面に当接した場合には、摺動ベルト36の内周面に塗布したグリスやオイルは、規制ローラ50によって、摺動ベルト36の内周面に均一化され、摺動ベルト36の端部に集まる余剰なグリスやオイルは少なくなる。よって、過剰にグリスやオイルを塗布することもなく、ライフが経過しても、オイルやグリスが不足して駆動トルクが増加する、といった不具合が抑制される。
〔実施の形態3〕
さらに本発明の別の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態では、図10に示すように、定着ベルト32と摺動ベルト36との間の摩擦係数、摺動ベルト36と加熱部材33との間の摩擦係数を、それぞれμ1、μ2とした場合
μ1<μ2
との関係式が成り立つものとする。本実施形態では、上記関係式が成り立てばよく、例えば、定着ベルト32における摺動ベルト36と接する側の面(内周面)、摺動ベルト36の外周面及び内周面、加熱部材33における摺動ベルト36と接する側の(外周面)に、フッ素樹脂などをコーティングすればよい。
本実施形態では、摺動ベルト36と加熱部材33との摩擦係数(μ2)が、定着ベルト32と摺動ベルト36との摩擦係数(μ1)、よりも大きくすることで、常に摺動ベルト36上を定着ベルト32が回転し、摺動ベルト36が加熱部材33を摺動するよりも小さな力で回転させることが可能となる。よって、駆動トルクを付与しても、静止摩擦係数の小さい定着ベルト32が、先に回転を始めて、定着ベルト32の回転不良を抑制でき、駆動トルクの増加を抑えることができる。
また、本実施形態では、図11のように、摺動ベルト36の熱伝導率λ2を定着ベルト32の熱伝導率λ1よりも大きく(λ1<λ2)して、加熱部材33から摺動ベルト36、摺動ベルト36から定着ベルト32へそれぞれが伝熱によって熱が伝わる時の温度ムラを軽減する。加熱部材33の発熱部43は、常に全面で発熱している場合もあれば、特定の配線パターンを配置して、その配線パターンが発熱する場合もあり、後者の場合、発熱しない部分が存在し、発熱ムラとして現れ、定着ベルト32上で温度ムラが生じやすい。
そこで、摺動ベルト36の厚み方向の熱伝導率λ2を、定着ベルト32の厚み方向の熱伝導率λ1よりも大きくしておき、加熱部材33から定着ベルト32の外周面(表面)へ伝熱していく過程で、摺動ベルト36の面方向への熱の広がりを促進させて、表面へ伝熱していく。これによって、摺動ベルト36が熱的緩衝材となって、定着ベルト32における発熱部43の非加熱部分に対応する部分へも、その周辺からの伝熱で熱を伝えて、温度ムラを低減することができる。
このように、本実施形態では、厚み方向への伝熱の過程で、面方向への伝熱を増やして、摺動ベルト36の熱抵抗を小さくして、より広い面積に伝熱するようにしている。よって、本来、加熱部材33で加熱されない領域へも、積極的に熱を伝えることで、温度ムラを低減する。
上記熱伝導率の大小関係は、ベルトの厚みが同じ場合を想定しているが、ベルトの厚みが異なる場合には、ベルトの厚みを考慮して、熱貫流率の大小関係を規定する。例えば、図12に示すように、定着ベルト32の熱貫流率K1に対して、摺動ベルト36の熱貫流率K2として、
K1<K2、かつ、λ1<λ2
とする。
上記関係式を満たすことで、摺動ベルト36からの熱流速は、定着ベルト32の熱流速よりも多く、かつ熱伝導率の大小関係により、摺動ベルト36からの多くの熱流速は、面方向へも広がって、定着ベルト32上の温度ムラを低減することができる。
また、加熱部材33の発熱ムラに起因する温度ムラを低減する為に、定着ベルト32における摺動36ベルトと接する側の面や、摺動ベルト36の外周面及び内周面に、熱伝導性に優れる銅をメッキし、ベルトの厚み方向の熱伝導性を向上させ、温度ムラを低減するようにしてもよい。耐熱樹脂などの非金属ベルトや、通常の電解による銅メッキができない場合には、無電解銅メッキを行うことも可能である。
また、図13に示すように、記録紙に定着を行うときの、定着ベルト32の単位時間当たりに移動する熱容量C1よりも、摺動ベルト36の単位時間当たりに移動する熱容量C2を大きくして(C1<C2)、加熱ニップ部での摺動ベルト36から定着ベルト32へ移動する熱流速を多くして、摺動ベルト36を介した加熱の影響を低減するようにしてもよい。
本実施形態では、定着ベルト32と摺動ベルト36との周速差が生じることで、定着ベルト32の加熱部材33に対する摺動抵抗を低減し、駆動トルクを小さくしている。さらに、ベルトが回転している状況でも、摺動ベルト36が運ぶ熱容量を定着ベルト32が運ぶ熱容量よりも大きくすることで、加熱ニップ部Mでの摺動ベルト36を介して加熱する時の熱エネルギーの移動量を相対的に大きくして、熱伝導を円滑に行えるようにしている。
〔実施の形態4〕
さらに本発明の別の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。実施の形態1で述べた構成では、図5に示すように、定着ベルト32の幅を、摺動ベルト36の幅よりも短くしていた。本実施形態は、図14に示すように、定着ベルト32の幅を、摺動ベルト36の幅よりも僅かに長くした点が、実施の形態1と異なる点である。
定着ベルト32の幅が、摺動ベルト36の幅よりも僅かに長い場合、図15のように、定着ベルト32が摺動ベルト36を、僅かに覆うように配置される。よって、定着ベルト32の摺動ベルト36に接しない両端部の僅かな部分が、定着ベルト32の半径方法に、僅かに撓んで、摺動ベルト36の端部を包むようになる。このようになっていると、定着ベルト32の長手方向の規制が、蛇行による移動方向とは反対側の摺動ベルト36の端部と定着ベルト32の端部の内周面部分との接触による規制によって行われる。つまり、定着ベルト32の端部が、摺動ベルト36の厚みに応じて撓んで、その撓みによる抵抗が長手方向への定着ベルト32の移動を規制するように作用する。このとき、摺動ベルト36の外周面(表面)は、定着ベルト32の内周面よりも滑りやすくしておき、摩擦係数を小さくして、定着ベルト32の内周面(内側)で、摺動ベルト36が常に回転できるようにしておくのが好ましい。
また、図16(a)に示すように、摺動ベルト36の両端部に僅かに厚い部分(予め成形による方法やビードなど別の部材の貼り付け、ベルト成形時に両端部を局部的に厚く成形するなど)を持たせておいてもよい。この場合も、定着ベルト32を摺動ベルト36の幅よりも僅かに広くしておき、定着ベルト32における摺動ベルト36外周面側への撓みによる抵抗で、定着ベルト32の位置を規制する。
ここで、上記構成は、摺動ベルト36の両端部における定着ベルト32の摺動抵抗を局部的に大きくして、位置規制しているものである。よって、同様の効果が得られる構成として、例えば、図16(b)に示すように、摺動ベルト36の両端部を塑性加工して、凹凸部を形成する構成が挙げられる。定着ベルト32の端部が、この凹凸部にかかることで、長手方向の寄り力のバランスが変化して、定着ベルト32の蛇行を軽減させることができる。この場合の定着ベルト32の幅は、実施の形態1と同じく、定着ベルト32の幅を、摺動ベルト36の幅よりも短くするのがよい。また、例えば、図16(c)に示すように、摺動ベルト36の両端部に僅かに厚い部分を持たせておき、かつ、凹凸部を形成する構成となっていてもよい。この場合も、定着ベルト32を摺動ベルト36の幅よりも僅かに広くしておくのがよい。
以上、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に開示した範囲で、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ、MFP(Multi Function Printer)等の電子写真方式の画像形成装置に備えられる定着装置に、また、その画像形成装置に適用可能である。
本発明の実施形態を示すものであり、画像形成装置に備えられた定着ユニットの構成を示す軸方向の断面図である。 上記画像形成装置の概略構成図である。 上記定着ユニットの加熱部材の面状発熱体が形成されている部位の断面構成を示す拡大図である。 上記定着ユニットの加熱部材に形成された面状発熱体の正面図である。 上記定着ユニットでの定着ベルトの幅と摺動ベルトの幅との差を説明するための図である。 (a),(b)は、定着ローラ端部の拡大図である。 (a)は、溝部を設けた摺動ベルト規制部材の例を示す図であり、(b)は切り欠部を設けた摺動ベルト規制部材の例を示す図である。 別の規制部材の例を示す図である。 (a),(b)は、それぞれ本発明の他の実施形態であり、摺動ベルトに規制ローラを当接させた定着ユニットの構成を示す軸方向の断面図である。 加熱部材、摺動ベルト、及び定着ベルトが接触している部分の拡大図である。 定着ベルトと摺動ベルトとの熱伝導率の差を説明するための図である。 定着ベルトと摺動ベルトとの熱貫流率の差を説明するための図である。 定着ベルトと摺動ベルトとの熱容量の差を説明するための図である。 他の実施形態での定着ベルトの幅と摺動ベルトの幅との差を説明するための図である。 定着ベルトと摺動ベルトと端部付近の拡大図である。 (a),(b),(c)は、摺動ベルトの端部の形状を説明する図である。
符号の説明
15 定着ユニット(定着装置)
30 定着ローラ(定着部材)
31 加圧ローラ(加圧部材)
33 加熱部材
32 定着ベルト
36 摺動ベルト
37 定着ベルト蛇行規制ビード(定着ベルト規制部材)
38 摺動ベルト蛇行規制ビード(第一摺動ベルト規制部材)
38a 溝部(受容部)
38b 切り欠部(受容部)
40 基材
42 面状発熱体
50 規制ローラ(第二摺動ベルト規制部材)
P 記録紙

Claims (16)

  1. 回転可能な定着部材と、面状発熱体を有する湾曲した加熱部材と、当該加熱部材の凸面と当該定着部材とに架けられた無端状の定着ベルトと、前記定着部材に前記定着ベルトを介して圧接された加圧部材とを備えた定着装置において、
    前記定着ベルトと前記加熱部材との間に、前記定着ベルトの回転に伴って前記加熱部材の周りを移動する無端状の摺動ベルトを設けたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着ベルトのベルト幅は、前記摺動ベルトのベルト幅と異なることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着ベルトのベルト幅は、前記摺動ベルトのベルト幅よりも小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記摺動ベルトは、ベルト幅方向の両端部に、前記定着ベルトのベルト幅方向への移動を規制する定着ベルト規制部材を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記摺動ベルトは、ベルト幅方向の両端部に、前記摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する第一摺動ベルト規制部材を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記摺動ベルトは、ベルト幅方向の両端部に、前記摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する第一摺動ベルト規制部材を備え、
    前記定着ベルト規制部材と前記第一摺動ベルト規制部材とは、一体に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  7. 前記摺動ベルトの外周面あるいは内周面に当接し、前記摺動ベルトのベルト幅方向への移動を規制する第二摺動ベルト規制部材を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の定着装置。
  8. 前記摺動ベルトの内周面に、潤滑剤を塗布したことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の定着装置。
  9. 前記潤滑剤は、熱伝導率の高い微粒子を含有することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. 前記第一摺動ベルト規制部材には、前記潤滑剤が前記摺動ベルト端部から外部にはみ出した前記潤滑剤を受ける受容部が設けられていることを特徴とする請求項8または9に記載の定着装置。
  11. 前記定着ベルトと前記摺動ベルトとの間の摩擦係数をμ1、前記摺動ベルトと前記加熱部材との間の摩擦係数をμ2とすると、
    μ1<μ2
    の関係を満すことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の定着装置。
  12. 前記定着ベルトの熱伝導率をλ1、前記摺動ベルトの熱伝導率をλ2とすると、
    λ1<λ2
    の関係を満すことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の定着装置。
  13. 前記定着ベルトの熱貫流率をK1、前記摺動ベルトの熱貫流率をK2とすると、
    K1<K2
    の関係を満すことを特徴とする請求項12に記載の定着装置。
  14. 前記定着ベルトの単位時間当たりに移動する熱容量をC1、前記摺動ベルトの単位時間当たりに移動する熱容量をC2とすると、
    C1<C2
    の関係を満すことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の定着装置。
  15. 前記定着ベルトの単位時間当たりに移動する熱量をQ1、前記摺動ベルトの単位時間当たりに移動する熱量をQ2とすると、
    Q1<Q2
    の関係を満すことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の定着装置。
  16. 請求項1から15のいずれか1項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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