JP6684462B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
プリンタ1は、その装置本体の中央には、四つの作像部4(Y,M,C,K)が設けられている。それぞれの作像部4(Y,M,C,K)は、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、それぞれの作像部4(Y,M,C,K)は、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。
四つの作像部4(Y,M,C,K)の下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいてそれぞれの感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
四つの作像部4(Y,M,C,K)の上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写ベルト30と、四つの一次転写ローラ31と、二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34と、ベルトクリーニング装置35とを備える。
四つの一次転写ローラ31は、それぞれの感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、四つの一次転写ローラ31には、電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方が、それぞれの一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有する。このベルトクリーニング装置35は廃トナー移送ホースを備えており、廃トナー収容器に接続されている。
作像動作が開始されると、それぞれの作像部4(Y,M,C,K)におけるそれぞれの感光体5が駆動装置によって図2中の時計回り方向に回転駆動され、それぞれの感光体5の表面がそれぞれの帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。
帯電されたそれぞれの感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、それぞれの感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように、それぞれの感光体5上に形成された静電潜像に、それぞれの現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー像として顕像化(可視像化)される。
その後、それぞれの感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー像が一次転写ニップに達したときに、一次転写ニップでの転写電界によって、それぞれの感光体5上のトナー像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。このようにして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー像が担持される。
プリンタ1本体の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ対12によってタイミングを計られて、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー像のトナー帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ対13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
定着装置20は、内部が中空な表面無端移動体である定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向回転体からなる加圧部材としての加圧ローラ22とを備えている。
加圧ローラ22は、プリンタ1本体に設けられているモータ等の駆動源によって回転駆動される。加圧ローラ22が回転駆動されると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転する。
ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレス鋼や鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましいが、ステー25を樹脂製とすることも可能である。
ニップ形成部材24には、一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを用いることができる。
摺動シート29は、定着ベルト21が回転する際、定着ベルト21の表面を摺動させる。摺動シート29は、摺動する定着ベルト21に生じる駆動トルクを低減するとともに定着ベルト21への摩擦力による負荷を軽減させるために用いられる。
その他の潤滑剤としては、フッ素系・シリコン系のグリスも挙げられる。潤滑剤については、摺動シート29の全体に一種類のものを塗布することだけに限らず、長手方向(ベルト幅方向)の中央部と端部とで異なる粘性のものを複数種類用いることも挙げられる。また、シリコーンオイルとシリコーングリスなど、潤滑特性の異なる複数種類の潤滑剤を塗布することも挙げられる。
具体的には、液晶ポリマー(LCP)等に用いられる結晶性熱可塑性プラスチックス、例えばアラミド繊維などの成型品を用いることができる。また、樹脂に代えて、金属やセラミックスなどの形状保持が可能な材料を用いてもよい。
反射部材26は、ハロゲンヒータ23によって直接加熱されるため、高融点の金属材料等で形成されることが望ましい。このように反射部材26が配設されていることにより、ハロゲンヒータ23からステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。また、ハロゲンヒータ23からの輻射熱がステー25等に伝達されることを抑制することができるので、省エネルギー化を図ることができる。
反射部材26の反射面またはステー25の鏡面処理を行った反射面の反射率は、90[%]以上であることが望ましい。
具体的には、ハロゲンヒータ23によって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。
図3に示すように、定着装置20では、定着ベルト21の図中の左側に位置する部分の内周面と、この部分の内周面に対向するハロゲンヒータ23との間に、何も介在させないようにしている。これにより、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21とが対向する位置では、ハロゲンヒータ23からの輻射熱が定着ベルト21に直接与えられるようになる。
具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層及び離型層のそれぞれの厚さを、20[μm]〜50[μm]、100[μm]〜300[μm]、5[μm]〜50[μm]の範囲に、そして全体としての厚さが1[mm]以下に設定されている。また、定着ベルト21の直径は、20[mm]〜40[mm]の直径に設定されている。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2[mm]以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16[mm]以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30[mm]以下とするのが望ましい。
図4(a)や図4(b)に示すように、定着ベルト21の端面とそれに対向するフランジ40の対向面との間には、定着ベルト21のベルト幅方向端部を保護する端部保護部材としてのスリップリング41が設けられている。
スリップリング41の材料としては、耐熱性に優れた所謂スーパーエンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)を用いることができる。例えば、PEEK、PPS、PAI、PTFE等を用いることが好ましい。
定着ベルト21のベルト幅方向の両端部には、定着ベルト21とハロゲンヒータ23との間に、ハロゲンヒータ23からの熱を遮蔽する遮蔽部材が配設されている。これにより、特に、連続通紙時の定着ベルトの非通紙領域における過剰な温度上昇を抑制することができ、定着ベルト21の熱による劣化や損傷を防止することができる。
プリンタ1本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ23に電力が供給されると共に、加圧ローラ22が図3中の時計回り(図3中の矢印「B1」方向)に回転駆動を開始される。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図3中の反時計回り(図3中の矢印「B2」方向)に従動回転する。
摺動シート29は、ベルト幅方向について、ニップ部Nの端部よりも外側に位置する非ニップ部29aを備える。また、摺動シート29は、非ニップ部29aにおけるベルト幅方向の端部であるシート端部29eが、ニップ部Nで定着ベルト21の内周面に接触する部分であるニップ被挟持部29bに対して、定着ベルト21の径方向の内側に位置する形状である。
摺動シート29の材質としては、PTFEの他に摺動性に優れたPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)であってもよい。また、繊維からなる織物であるだけでなく、潤滑剤を保持できるものであれば、発泡体のように内部に潤滑剤を保持できる形態であってもよい。
これは、以下の理由による。
よって、加圧ローラ22とニップ形成部材24とに狭持されることでニップ部N内からニップ部Nの外へと押し出された潤滑剤が、定着ベルト21の内周面に漏れ出ることを抑制できる。このため、定着ベルト21の内周面やフランジ40を伝ってベルト幅方向の端部から定着装置20の外部へと潤滑剤が漏洩することを抑制することができる。
本実施形態のプリンタ1は、上述した定着装置20を備えることにより、経時でも用紙スリップジャムといった不具合のない、高品質な画像を作像することができ、信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
図1に示す構成では、ニップ部Nを形成する範囲外に当たる領域「W」の全体で摺動シート29が定着ベルト21から離間している。一方、図6に示す構成では、ニップ部Nを形成する範囲外に当たる領域「W」の一部「W1」で摺動シート29が定着ベルト21に接触し、他の部分「W2」で摺動シート29が定着ベルト21から離間している。
図6に示すように、ニップ部Nよりもベルト幅方向外側の領域で摺動シート29と定着ベルト21とが接触する領域が存在する構成であっても、定着ベルト21の内周面に対してシート端部29eが離間していれば潤滑剤の漏洩を抑制することができる。
このような構成により、ニップ外対向面24bに貼り付けられた摺動シート29における非ニップ部29aが、ニップ形成面24aに貼り付けられたニップ被挟持部29bに対して定着ベルト21の径方向の内側に傾斜する構成を実現することができる。よって、非ニップ部29aの先端であるシート端部29eが定着ベルト21から離間する構成を実現できる。
図7に示すニップ形成部材24の端部(24e)は、ベルト幅方向について、ニップ部Nの端部よりも外側に位置する。また、図7に示すニップ形成部材24は、ニップ部Nよりもベルト幅方向で外側となる部分の前記定着ベルトの内周面と対向する面であるニップ外対向面24bが、ニップ形成面24aに対して、定着ベルト21の径方向の内側に向かって湾曲する形状である。
このため、境界部分についての極端な圧力変化に伴う潤滑剤の溜まりや、部品に対するエッジ当り(角当り)を回避することができ、潤滑剤の漏洩防止効果が高く、また定着ベルト21の内周面をニップ形成部材24のエッジ部で破損させることもない。例えば、ニップ形成部材24のエッジ当りによる定着ベルト21のクラックが発生しない。
図8に示すように、図7に示すニップ形成部材24のように湾曲の曲線(曲面)形状のほうが、ベルト幅方向の端部に行くにしたがって徐々に圧力が小さくなっており、急激な圧力変動が抑えられる。
このため、図9に示す摺動シート29では、ニップ部Nの外側の領域「W」にあたる摺動シート29の非ニップ部29aにおける空隙率を減らす(繊維密度を高密度化する)構成となっている。このような構成により、非ニップ部29a内から行き場のなくなった潤滑剤は、ニップ被挟持部29b内へ再移動し易くなり、潤滑剤のベルト幅方向端部からの漏洩をより確実に防ぐことができる。
つまり、「ニップ被挟持部29bの潤滑剤保持能力>非ニップ部29aの潤滑剤保持能力」の関係を満たすことで、潤滑剤の漏洩を防ぐ能力を高めることができるため望ましい。
このため、ニップ被挟持部29bに比べて非ニップ部29aの表面性(摺動性、表面粗さ)は、それほど良好である必要がなく、摺動シート29の非ニップ部29aに用いる材料として、より多くの種類の材料を選択することができる。
図10では、ベルト幅方向における摺動シート29の端部「29e」と、定着ベルト21の端部「21e」と、ニップ形成部材24の端部「24e」との位置関係を示している。図10に示すように、定着ベルト21の端部「21e」やニップ形成部材24の端部「24e」よりも、摺動シート29の端部「29e」の方が、ベルト幅方向の内側に位置する。このような構成により、摺動シート29の最端部「29e」にまで到達した潤滑剤が、さらに端部側(長い)となる定着ベルト21の端部「21e」から外部へ漏洩することを抑制できる。また、摺動シート29の長さよりもニップ形成部材24の長さのほうが長いことで、摺動シート29内にある潤滑剤は、ニップ形成部材24の最端部「24e」にも到達しにくい構成となっている。
図11に示すように、摺動シート29は、ニップ形成部材24に巻きつけられる。そして、摺動シート29は、固定部材242を介して締結部材であるねじ243でニップ形成部材24に締結される。また、ニップ形成部材24のニップ形成面24aとは反対側面のベルト幅方向の中央には、ニップ形成部材24を支持するためのステー25に当接する複数の突起部240が設けられている。
次に、潤滑剤の蒸散を抑制できる変形例の定着装置20について説明する。
図12は、変形例にかかる定着装置20における摺動シート29の非ニップ部29a近傍の拡大断面図である。
このような構成により、内向傾斜部29a1、外向傾斜部29a2及び定着ベルト21に囲まれた空間αを形成している。
これに対して、変形例の定着装置20では、空間αを形成することより、定着ベルト21のベルト幅方向の端部近傍で気化した潤滑剤を空間α内に閉じ込め、摺動シート29の非ニップ部29aで気化した潤滑剤を捕集することが可能となっている。
これにより、揮発した潤滑剤の蒸散を防ぐことができ、潤滑剤の減少を防ぐとともに定着装置20の内部への潤滑剤の付着を防ぐことができる。
図14に示すように、変形例の摺動シート29は、ベルト幅方向の端部が図14中の矢印「B2」で示す定着ベルト21の移動方向の下流側ほど外側に広がった形状となっている。定着ベルト21の内周面近傍には定着ベルト21の移動方向に沿った気流が生じているため、ニップ部Nの近傍で気化した潤滑剤は定着ベルト21の移動方向の下流側に向かって移動する。よって、摺動シート29の形状を、図14に示すように、定着ベルト21の移動方向の下流側ほど外側に広がった形状とすることにより、気化した潤滑剤と摺動シート29との接触機会が増え、潤滑剤の枯渇をさらに抑制することができる。
これは、加圧部材で定着ベルト21を加圧してニップ部を形成したときに、定着ベルト21のニップ部を形成する部分が幅方向外側の部分よりも径方向の内側に変位するように定着ベルト21が変形するためである。このとき、定着ベルト21のベルト幅方向の端部は、ニップ部を形成する部分よりも定着ベルト21の径方向の外側に位置し、この部分の内周面と対向する摺動シート29は定着ベルト21に対して離間する。
これにより、定着ベルト21の剛性が低い場合に限らず、定着ベルト21の剛性が高い場合であっても、摺動シート29のシート端部29eが定着ベルト21の内周面から離間する構成を実現することができる。
例えば、ニップ形成部材24のニップ外対向面24bが径方向の内側に傾斜や湾曲する形状でなく、ニップ形成面24aに対して垂直になっていても、シート端部29eが定着ベルト21に非接触であればよい。
回転可能な無端状の定着ベルト21等の定着ベルトと、定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材24等のニップ形成部材と、定着ベルトの外周面に接触し、定着ベルトを挟んでニップ形成部材と当接してニップ部N等のニップ部を形成する加圧ローラ22等の加圧部材と、ニップ部の定着ベルトの内周面に接触するようにニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された摺動シート29等の潤滑剤含浸部材とを備える定着装置20等の定着装置において、潤滑剤含浸部材は、定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部29a等の非ニップ部を備え、潤滑剤含浸部材は、非ニップ部におけるベルト幅方向の端部(シート端部29e等)が、ニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して定着ベルトの径方向の内側に位置する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となる。これは以下の理由による。
すなわち、潤滑剤含浸部材がニップ部の全域に渡ってニップ形成部材における定着ベルトとの接触部分を覆うように、定着ベルトの幅方向における摺動潤滑剤含浸部材の長さはニップ部の長さよりも長く設定されるのが一般的である。
このような設定の場合、ニップ部で加圧されることによって、ニップ部から定着ベルトの幅方向の外側に押し出された潤滑剤は、摺動潤滑剤含浸部材におけるニップ部の外側にはみ出た非ニップ部に含浸される。この非ニップ部に含浸された潤滑剤が定着ベルトの内周面に漏れ出し、定着ベルトを伝って定着ベルトの幅方向の端部から定着装置の外部に漏れ出す不具合が生じることがあった。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、非ニップ部のベルト幅方向の端部を定着ベルトから離間させることによって、非ニップ部に含浸された潤滑剤が定着ベルトの内周面に漏れ出すことを抑制できることを見出した。態様Aでは、潤滑剤含浸部材のニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分に対して非ニップ部の端部が定着ベルトの径方向の内側に位置するため、非ニップ部の端部は定着ベルトの内周面に対して離間する。このため、非ニップ部内の潤滑剤が定着ベルトの内周面に漏れ出ることを抑制することができる。これにより、潤滑剤が定着ベルトの内周面を伝って定着ベルトの端部から外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。
態様Aにおいて、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材は、非ニップ部29a等の非ニップ部の少なくとも一部が、ニップ部N等のニップ部で定着ベルト21等の定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して、定着ベルトの径方向の内側に向かうように角度(角度「θ」等)を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部の端部(シート端部29e)が定着ベルトから離間する構成を実現できる。
態様AまたはBにおいて、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材の非ニップ部29a等の非ニップ部は、ベルト幅方向の外側ほど定着ベルト21等の定着ベルトの径方向の内側に向かうように傾斜する部分(内向傾斜部29a1等)と、この部分よりもベルト幅方向の外側で、ベルト幅方向の外側ほど定着ベルトの径方向の外側に向かうように傾斜する部分(外向傾斜部29a2等)とを有する。
これによれば、上記変形例について説明したように、潤滑剤含浸部材と定着ベルトとに囲まれた空間α等の空間を形成することができ、揮発した潤滑剤の蒸散を防ぐことができ、潤滑剤の減少を防ぐことができる。また、定着装置の内部への潤滑剤の付着を防ぐことができる。
態様A乃至Cの何れかの態様において、ベルト幅方向について、ニップ形成部材24等のニップ形成部材の端部はニップ部N等のニップ部の端部よりも外側に位置し、ニップ形成部材は、ニップ部よりもベルト幅方向で外側となる部分の定着ベルト21等の定着ベルトの内周面と対向する面(ニップ外対向面24b等)が、ニップ形成面24a等のニップ部を形成する面に対して、定着ベルトの径方向の内側に向かって傾斜する形状である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部29a等の非ニップ部が、ニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して定着ベルト21の径方向の内側に傾斜する構成を実現することができる。よって、非ニップ部の端部(シート端部29e等)が定着ベルトから離間する構成を実現できる。
態様A乃至Cの何れかの態様において、ベルト幅方向について、ニップ形成部材24等のニップ形成部材の端部はニップ部N等のニップ部の端部よりも外側に位置し、ニップ形成部材は、ニップ部よりもベルト幅方向で外側となる部分の定着ベルト21等の定着ベルトの内周面と対向する面(ニップ外対向面24b等)が、ニップ形成面24a等のニップ部を形成する面に対して、定着ベルトの径方向の内側に向かって湾曲する形状である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部29a等の非ニップ部が、ニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して定着ベルト21の径方向の内側に湾曲する構成を実現することができる。よって、非ニップ部の端部(シート端部29e等)が定着ベルトから離間する構成を実現できる。
また、ニップ形成部材のニップ部よりもベルト幅方向で外側となる部分の表面が湾曲していることで、ニップ部とニップ部の外との境界部の圧力の変化が滑らかになる。これにより、ニップ部の外側へ押し出された潤滑剤を摺動シート等の潤滑剤含浸部材に滞留させることができ、潤滑剤が定着ベルトの内周面に付着しにくい構成となる。よって、潤滑剤が定着ベルトのベルト幅方向端部から外部へ漏れ出ることを抑制することが可能となる。
態様A乃至Eの何れかの態様において、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材における非ニップ部29a等の非ニップ部の少なくとも一部は、ニップ部N等のニップ部で定着ベルト21等の定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)よりも密度が高い構成である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部の方が高密度であることより、ニップ部の外側へ押し出された潤滑剤が潤滑剤含浸部材内でベルト幅方向の端部側へ移動しにくくなる。これにより、潤滑剤を潤滑剤含浸部材内に滞留し易くすることができ、潤滑剤が外部へ漏れ出ることを抑制できる。
態様A乃至Fの何れかの態様において、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材のベルト幅方向の長さは、定着ベルト21等の定着ベルト及びニップ形成部材24等のニップ形成部材のベルト幅方向の長さよりも短い。
これによれば、上記実施形態について説明したように、潤滑剤を潤滑剤含浸部材内に留め、潤滑剤含浸部材内にある潤滑剤が定着ベルトやニップ形成部材を伝ってベルト幅方向の端部に向かって移動することを抑制することが可能となる。
感光体5等の潜像担持体と、潜像担持体上にトナー像を形成する作像部4等のトナー像形成手段と、トナー像を潜像担持体上から用紙P等の記録材上に転写する転写装置3等の転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着させる定着手段とを備えたプリンタ1等の画像形成装置において、定着手段として、態様A乃至Gの何れかの態様に係る定着装置20等の定着装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、経時でも高品質な画像を作像することができ、信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
2 トナーボトル
3 転写装置
4 作像部
4K ブラック用作像部
5 感光体
6 帯電装置
7 現像装置
8 クリーニング装置
9 露光装置
10 給紙トレイ
11 給紙ローラ
12 レジストローラ対
13 排紙ローラ対
14 排紙トレイ
15 ボトル収容部
20 定着装置
21 定着ベルト
22 加圧ローラ
22a 芯金
22b 弾性層
22c 離型層
23 ハロゲンヒータ
24 ニップ形成部材
24a ニップ形成面
24b ニップ外対向面
25 ステー
26 反射部材
27 温度センサ
28 分離部材
29 摺動シート
29a 非ニップ部
29a1 内向傾斜部
29a2 外向傾斜部
29b ニップ被挟持部
29e シート端部
30 中間転写ベルト
31 一次転写ローラ
32 二次転写バックアップローラ
33 クリーニングバックアップローラ
34 テンションローラ
35 ベルトクリーニング装置
36 二次転写ローラ
40 フランジ
40a 回転ガイド部
40b ガイド部
41 スリップリング
240 突起部
242 固定部材
N ニップ部
P 用紙
R 搬送路
T トナー像
α 空間
Claims (8)
- 回転可能な無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、
前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部の前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材と、を備える定着装置において、
前記潤滑剤含浸部材は、前記定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、前記ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部を備え、
前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部における前記ベルト幅方向の端部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して前記定着ベルトの径方向の内側に位置し、
前記潤滑剤含浸部材における前記非ニップ部の少なくとも一部は、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分よりも密度が高い構成であることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置において、
前記潤滑剤含浸部材の前記ベルト幅方向の長さは、前記定着ベルト及び前記ニップ形成部材の前記ベルト幅方向の長さよりも短いことを特徴とする定着装置。 - 回転可能な無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、
前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部の前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材と、を備える定着装置において、
前記潤滑剤含浸部材は、前記定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、前記ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部を備え、
前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部における前記ベルト幅方向の端部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して前記定着ベルトの径方向の内側に位置し、
前記潤滑剤含浸部材の前記ベルト幅方向の長さは、前記定着ベルト及び前記ニップ形成部材の前記ベルト幅方向の長さよりも短いことを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の定着装置において、
前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部の少なくとも一部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して、前記定着ベルトの径方向の内側に向かうように角度を有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至3の何れかに記載の定着装置において、
前記潤滑剤含浸部材の前記非ニップ部は、前記ベルト幅方向の外側ほど前記定着ベルトの径方向の内側に向かうように傾斜する部分と、この部分よりも前記ベルト幅方向の外側で、前記ベルト幅方向の外側ほど前記定着ベルトの径方向の外側に向かうように傾斜する部分とを有することを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の定着装置において、
前記ベルト幅方向について、前記ニップ形成部材の端部は前記ニップ部の端部よりも外側に位置し、
前記ニップ形成部材は、前記ニップ部よりも前記ベルト幅方向で外側となる部分の前記定着ベルトの内周面と対向する面が、前記ニップ部を形成する面に対して、前記定着ベルトの径方向の内側に向かって傾斜する形状であることを特徴とする定着装置。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の定着装置において、
前記ベルト幅方向について、前記ニップ形成部材の端部は前記ニップ部の端部よりも外側に位置し、
前記ニップ形成部材は、前記ニップ部よりも前記ベルト幅方向で外側となる部分の前記定着ベルトの内周面と対向する面が、前記ニップ部を形成する面に対して、前記定着ベルトの径方向の内側に向かって湾曲する形状であることを特徴とする定着装置。 - 潜像担持体と、
潜像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像を前記潜像担持体上から記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を該記録材に定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、
前記定着手段として、請求項1乃至7の何れかに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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