JP6684462B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関するものである。
従来から、ウォームアップ時間が短く、消費電力の少ない定着装置として、定着ベルトを挟んだ状態で加圧部材をニップ形成部材に圧接させてニップ部を形成する定着装置を備えた画像形成装置が知られている。
この種の定着装置として、特許文献1には、ニップ形成部材における定着ベルトとの接触部分に、シリコーンオイルなどの潤滑剤を含浸する潤滑剤含浸部材たる摺動シートを貼り付けた定着装置が記載されている。
しかしながら摺動シートに含浸された潤滑剤が、定着ベルトの幅方向の端部から定着装置の外部に漏れ出す不具合が生じることがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、回転可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、前記ニップ部の前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材とを備える定着装置において、前記潤滑剤含浸部材は、前記定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、前記ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部を備え、前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部における前記ベルト幅方向の端部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して前記定着ベルトの径方向の内側に位置し、前記潤滑剤含浸部材における前記非ニップ部の少なくとも一部は、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分よりも密度が高い構成であることを特徴とするものである。
本発明によれば、定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となるという優れた効果がある。
定着装置のベルト幅方向の一方の端部近傍における定着ベルトとこれを支持する部材とのニップ部での断面を模式的に示した説明図。 本実施形態に係るプリンタの概略構成図。 定着装置の拡大説明図。 定着ベルトを支持する部材の説明図、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は断面図。 ニップ被挟持部に対する非ニップ部の傾斜角度が小さい定着装置の摺動シートの非ニップ部近傍の拡大断面図。 摺動シートの非ニップ部の一部が定着ベルトに接触している定着装置の非ニップ部近傍の拡大断面図。 ニップ形成部材の他の形状例の説明図。 ニップ形成部材の形状が異なる場合のニップ部とニップ部の外側に相当する範囲との境界部分についての圧力分布の比較の一例を示す説明図。 摺動シートの他の構成例の説明図。 摺動シートのベルト幅方向の長さが、定着ベルト及びニップ形成部材のベルト幅方向の長さよりも短い構成を備えた定着装置のニップ部での断面を模式的に示した説明図。 ニップ形成部材に対する摺動シートの固定方向の一例を説明図。 変形例にかかる定着装置における摺動シートの非ニップ部近傍の拡大断面図。 折り曲げた非ニップ部の先端が定着ベルトの内周面に接触している状態の説明図。 変形例にかかる摺動シートの説明図。
以下、本発明を適用した定着装置を備えた、電子写真方式の画像形成装置の一実施形態について説明する。
図2は本実施形態に係る画像形成装置であるカラーレーザープリンタ(以下、「プリンタ1」と呼ぶ)の概略構成図である。
プリンタ1は、その装置本体の中央には、四つの作像部4(Y,M,C,K)が設けられている。それぞれの作像部4(Y,M,C,K)は、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、それぞれの作像部4(Y,M,C,K)は、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。
図2では、ブラック用作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しているが、その他三つの作像部4(Y,M,C)も同様の構成を備えている。
四つの作像部4(Y,M,C,K)の下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいてそれぞれの感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
四つの作像部4(Y,M,C,K)の上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写ベルト30と、四つの一次転写ローラ31と、二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34と、ベルトクリーニング装置35とを備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
四つの一次転写ローラ31は、それぞれの感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、四つの一次転写ローラ31には、電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方が、それぞれの一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、二次転写ローラ36にも電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方が、二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有する。このベルトクリーニング装置35は廃トナー移送ホースを備えており、廃トナー収容器に接続されている。
プリンタ1本体の上部には、ボトル収容部15が設けられており、ボトル収容部15には補給用のトナーを収容した四つのトナーボトル2(Y,M,C,K)が着脱可能に装着されている。四つのトナーボトル2(Y,M,C,K)と四つの現像装置7との間には、補給路が設けてあり、この補給路を介してそれぞれのトナーボトル2(Y,M,C,K)からそれぞれの現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
プリンタ1本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けられている。記録媒体としては、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等を用いることができる。また、記録媒体を給紙する構成として手差し給紙機構が設けてあってもよい。
プリンタ1本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが設けられている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としてのレジストローラ対12が設けられている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。定着装置20に対して搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙Pを装置外へ排出するための排紙ローラ対13が設けられている。また、プリンタ1本体の上面部には、装置外に排出された用紙Pをストックするための排紙トレイ14が設けてある。
図2に示すプリンタ1の基本動作は次の通りである。
作像動作が開始されると、それぞれの作像部4(Y,M,C,K)におけるそれぞれの感光体5が駆動装置によって図2中の時計回り方向に回転駆動され、それぞれの感光体5の表面がそれぞれの帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。
帯電されたそれぞれの感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、それぞれの感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、それぞれの感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように、それぞれの感光体5上に形成された静電潜像に、それぞれの現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図2中の反時計回り方向に回転駆動し、中間転写ベルト30を図2中の矢印「A」で示す方向に周回走行させる。そして、それぞれの一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性とは逆極性の定電圧制御または定電流制御された電圧が印加される。これにより、それぞれの一次転写ローラ31とそれぞれの感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、それぞれの感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー像が一次転写ニップに達したときに、一次転写ニップでの転写電界によって、それぞれの感光体5上のトナー像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。このようにして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー像が担持される。
中間転写ベルト30に転写しきれなかった感光体5上のトナーは、それぞれのクリーニング装置8によって除去される。その後、除電装置によってそれぞれの感光体5の表面が除電され、表面電位が初期化される。
プリンタ1本体の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ対12によってタイミングを計られて、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー像のトナー帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト30の周回走行に伴って、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ニップに達したときに、二次転写ニップでの転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー像が用紙P上に一括して転写される。このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーは廃トナー収容器へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ対13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、四つの作像部4(Y,M,C,K)の何れか一つを使用して単色画像を形成したり、二つまたは三つの作像部4を使用して、二色又は三色の画像を形成したりすることも可能である。
図3は、定着装置20の拡大説明図である。
定着装置20は、内部が中空な表面無端移動体である定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向回転体からなる加圧部材としての加圧ローラ22とを備えている。
定着ベルト21の内側には、ハロゲンヒータ23と、ニップ形成部材24と、ステー25と、反射部材26とが設けられている。ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21を加熱する熱源である。ニップ形成部材24は、定着ベルト21を挟んで加圧ローラ22と対向する部材であり、加圧ローラ22が定着ベルト21及び摺動シート29を介してニップ形成部材24に当接してニップ部Nを形成する。ステー25は、ニップ形成部材24を支持する支持部材であり、反射部材26は、ハロゲンヒータ23から放射される光を定着ベルト21へ反射する部材である。
また、定着装置20は、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ27と、定着ベルト21から用紙Pを分離する記録媒体分離手段としての分離部材28と、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する加圧手段等を備えている。
定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)が用いられる。
定着ベルト21は、内周側の基材と、外周側の離型層とを有する。基材としては、ニッケルもしくはステンレス鋼等の金属材料またはポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成されたものを用いることができる。離型層としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成されたものを用いることができる。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
加圧ローラ22は、芯金22a、弾性層22b及び離型層22cによって構成されている。弾性層22bは芯金22aの表面に配置されており、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、またはフッ素ゴム等を用いることができる。また、離型層22cは弾性層22bの表面に設けられており、PFAまたはPTFE等を用いることができる。加圧ローラ22は、加圧手段によって定着ベルト21側に向けて加圧されることにより、定着ベルト21及び摺動シート29を介してニップ形成部材24に当接している。
加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、用紙搬送方向について所定の長さのニップ部Nが形成されている。
加圧ローラ22は、プリンタ1本体に設けられているモータ等の駆動源によって回転駆動される。加圧ローラ22が回転駆動されると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転する。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を設けてもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上する。しかし、未定着トナーを押し潰して定着させるときに、定着ベルト21表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラを生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100[μm]以上の弾性層22bを設けることが望ましい。
厚さ100[μm]以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。また、定着回転体と対向回転体は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
ハロゲンヒータ23は、定着ベルト21の幅方向であるベルト幅方向(図3中の紙面に直交する方向)の両端部が定着装置20の側板に固定されている。ハロゲンヒータ23は、プリンタ1本体に配置された電源部により出力制御されて発熱する。出力制御は、温度センサ27による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなハロゲンヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に維持できるようになっている。また、定着ベルト21を加熱する加熱源として、ハロゲンヒータ以外に、IH(電磁誘導)、抵抗発熱体、またはカーボンヒータ等を用いてもよい。
ニップ形成部材24は、加圧ローラ22の加圧力を受けてニップ部Nの形状を決める部材である。このため、定着ベルト21の軸方向または加圧ローラ22の軸方向に平行して配置され、ステー25によって固定支持されている。
ニップ形成部材24をステー25で支持することにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じることを抑制し、加圧ローラ22の軸方向に平行して均一なニップ幅が得られるようにしている。
ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレス鋼や鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましいが、ステー25を樹脂製とすることも可能である。
ニップ形成部材24は、耐熱温度が200[℃]以上の耐熱性部材で構成されている。これにより、トナー定着温度域で、熱によるニップ形成部材24の変形を防止し、安定したニップ部Nの状態を確保することができる。この結果、出力画質の安定化が得られる。
ニップ形成部材24には、一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを用いることができる。
ニップ形成部材24の表面における少なくとも定着ベルト21の内周面と対向する表面には、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材である摺動シート29が貼り付けられている。
摺動シート29は、定着ベルト21が回転する際、定着ベルト21の表面を摺動させる。摺動シート29は、摺動する定着ベルト21に生じる駆動トルクを低減するとともに定着ベルト21への摩擦力による負荷を軽減させるために用いられる。
摺動シート29に含浸される潤滑剤としては、例えばシリコーンオイルが挙げられる。シリコーンオイルは、耐熱性及び耐久性及び潤滑能力としては望ましく、使用条件により様々な粘度のものを選択することが可能なため好ましい。
その他の潤滑剤としては、フッ素系・シリコン系のグリスも挙げられる。潤滑剤については、摺動シート29の全体に一種類のものを塗布することだけに限らず、長手方向(ベルト幅方向)の中央部と端部とで異なる粘性のものを複数種類用いることも挙げられる。また、シリコーンオイルとシリコーングリスなど、潤滑特性の異なる複数種類の潤滑剤を塗布することも挙げられる。
ニップ形成部材24は、摺動シート29及び定着ベルト21を挟んで対向する加圧ローラ22とで構成されるニップ部Nの形状を決める機能を有している。このため、ニップ部Nに対向する面がほぼ平坦、換言すればストレート状の形状であり、この形状を維持するための材料として、ある程度硬い材料を用いる。
具体的には、液晶ポリマー(LCP)等に用いられる結晶性熱可塑性プラスチックス、例えばアラミド繊維などの成型品を用いることができる。また、樹脂に代えて、金属やセラミックスなどの形状保持が可能な材料を用いてもよい。
反射部材26は、反射面として表面を利用できるアルミニウムやステンレス鋼などが用いられてステー25とハロゲンヒータ23との間に配設されている。
反射部材26は、ハロゲンヒータ23によって直接加熱されるため、高融点の金属材料等で形成されることが望ましい。このように反射部材26が配設されていることにより、ハロゲンヒータ23からステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。また、ハロゲンヒータ23からの輻射熱がステー25等に伝達されることを抑制することができるので、省エネルギー化を図ることができる。
本実施形態ではステー25とは別部材の反射部材26を設けた構成であるが、このような構成に限らず、ステー25の表面におけるハロゲンヒータ23と対向する側の面を研磨または塗装などの鏡面処理をし、反射面を形成してもよい。
ただし、ステー25はその強度を確保するために形状や材質が自由に選択できない。このため、本実施形態のように反射部材26をステー25とは別部材で設けた方が、反射部材26の形状や材質の選択の自由度が広がり、反射部材26とステー25とはそれぞれの機能に特化することができる。また、反射部材26はハロゲンヒータ23とステー25との間に設けられることにより、ハロゲンヒータ23に対する反射部材26の位置が近くなるので、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。
反射部材26の反射面またはステー25の鏡面処理を行った反射面の反射率は、90[%]以上であることが望ましい。
本実施形態に係る定着装置20は、さらなる省エネルギー性の向上及びファーストプリントタイムの短縮化のために、構成に種々の工夫が施されている。
具体的には、ハロゲンヒータ23によって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。
図3に示すように、定着装置20では、定着ベルト21の図中の左側に位置する部分の内周面と、この部分の内周面に対向するハロゲンヒータ23との間に、何も介在させないようにしている。これにより、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21とが対向する位置では、ハロゲンヒータ23からの輻射熱が定着ベルト21に直接与えられるようになる。
定着装置20では、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21は薄く且つ小径化されている。
具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層及び離型層のそれぞれの厚さを、20[μm]〜50[μm]、100[μm]〜300[μm]、5[μm]〜50[μm]の範囲に、そして全体としての厚さが1[mm]以下に設定されている。また、定着ベルト21の直径は、20[mm]〜40[mm]の直径に設定されている。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2[mm]以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16[mm]以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30[mm]以下とするのが望ましい。
本実施形態の定着装置20では、加圧ローラ22の直径が20[mm]〜40[mm]に設定されており、定着ベルト21の直径と加圧ローラ22の直径とは等しくされている。ただし、この構成に限定されるものではない。例えば、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。その場合、ニップ部Nにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ22の曲率よりも小さくなるため、ニップ部Nから排出される用紙Pが定着ベルト21から分離されやすくなる。
図4は、定着ベルト21を支持する部材の説明図である。図4(a)は、定着装置20におけるベルト幅方向の一方の端部近傍の斜視図である。図4(b)は定着装置20のベルト幅方向の一方の端部近傍の上面図である。図4(c)は定着装置20をベルト幅方向から見た、ニップ部Nよりも端部側における定着装置の断面図である。図4(a)及び図4(b)では、定着ベルト21の内側の部材を説明するために、定着ベルト21を便宜的に透明とし、その輪郭を二点差線で示している。
図4(a)〜図4(c)では、定着装置20のベルト幅方向の一方側の端部近傍の構成のみを示している。しかしながら、定着装置20の反対側の端部も同様の構成となっているので、以下、図4を用いて、定着装置20のベルト幅方向の一方の端部の構成についてのみ説明する。
図4(a)や図4(b)に示すように、定着ベルト21のベルト幅方向端部の内側には、ベルト保持部材であるフランジ40の回転ガイド部40aが挿入されている。定着ベルト21のベルト幅方向端部の内周面は、この回転ガイド部40aによって回転可能に保持されている。なお、フランジ40は、定着ベルト21のベルト幅方向端部の端面に接触する寄り止めガイド部40bと定着ベルト21の内周面に接触する回転ガイド部40aとを有する。
図4(c)に示すように、フランジ40の回転ガイド部40aは、ニップ部の位置(ニップ形成部材24を配設した位置)で開口したC字形に形成されている。また、ステー25のベルト幅方向の端部は、フランジ40に固定され位置決めされている。
図4(a)や図4(b)に示すように、定着ベルト21の端面とそれに対向するフランジ40の対向面との間には、定着ベルト21のベルト幅方向端部を保護する端部保護部材としてのスリップリング41が設けられている。
フランジ40の寄り止めガイド部40bは非回転であるため、定着ベルト21の端部が寄り止めガイド部40bに接触すると、定着ベルト21の回転に伴って定着ベルト21の端部に摩耗が生じるおそれがある。本実施形態の定着装置20では、定着ベルト21の回転に伴って回転可能なスリップリング41を、定着ベルト21の端面と寄り止めガイド部40bとの間に配置している。このような構成により、定着ベルト21がベルト幅方向に移動する寄りが生じた場合に、定着ベルト21の端面が寄り止めガイド部40bに直接当接することを防止でき、定着ベルト21の端部の摩耗や破損を防ぐことができる。
スリップリング41は、回転ガイド部40aの外周面に対して余裕を持って嵌められている。このため、定着ベルト21の端面がスリップリング41に接触した際に、スリップリング41は定着ベルト21とともに連れ回り可能となっている。しかし、スリップリング41が連れ回りせず、静止する構成であっても構わない。
スリップリング41の材料としては、耐熱性に優れた所謂スーパーエンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)を用いることができる。例えば、PEEK、PPS、PAI、PTFE等を用いることが好ましい。
本実施形態の定着装置20では、フランジ40、ハロゲンヒータ23及びステー25は、定着装置20のベルト幅方向の両端部の側板に固定支持されている。
定着ベルト21のベルト幅方向の両端部には、定着ベルト21とハロゲンヒータ23との間に、ハロゲンヒータ23からの熱を遮蔽する遮蔽部材が配設されている。これにより、特に、連続通紙時の定着ベルトの非通紙領域における過剰な温度上昇を抑制することができ、定着ベルト21の熱による劣化や損傷を防止することができる。
また、本実施形態の定着装置20では、定着ベルト21の内周面と接触する部材は、フランジ40の回転ガイド部40aとニップ形成部材24に固定された摺動シート29のみである。そして、これらの部材以外に定着ベルト21の内周面と接触して回転をガイドするようなベルトガイドは存在しない構成となっている。
以下、本実施形態に係る定着装置20の基本動作について説明する。
プリンタ1本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ23に電力が供給されると共に、加圧ローラ22が図3中の時計回り(図3中の矢印「B1」方向)に回転駆動を開始される。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図3中の反時計回り(図3中の矢印「B2」方向)に従動回転する。
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー像Tが担持された用紙Pが、搬送路Rを形成するガイド板に案内されながら図3の矢印「C1」で示す方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21と加圧ローラ22とのニップ部Nに送入される。そして、ハロゲンヒータ23によって加熱された定着ベルト21による熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー像Tが定着される。
トナー像Tが定着された用紙Pは、ニップ部Nから図3中の矢印「C2」で示す方向に搬出される。このとき、用紙Pの先端が分離部材28の先端に接触することにより、用紙Pが定着ベルト21から分離される。その後、分離された用紙Pは、上述のように、排紙ローラ対13(図2参照)によってプリンタ1の機外に排出され、排紙トレイ14(図2参照)の上にストックされる。
図1は、定着装置20のベルト幅方向の一方の端部近傍における定着ベルト21とこれを支持する部材とを上方から見たときのニップ部Nでの断面を模式的に示した説明図である。
摺動シート29は、ベルト幅方向について、ニップ部Nの端部よりも外側に位置する非ニップ部29aを備える。また、摺動シート29は、非ニップ部29aにおけるベルト幅方向の端部であるシート端部29eが、ニップ部Nで定着ベルト21の内周面に接触する部分であるニップ被挟持部29bに対して、定着ベルト21の径方向の内側に位置する形状である。
ニップ形成部材24上に設けられた摺動シート29は摺動面の摩擦係数低減のためにあり、例えば摺動特性に優れたPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)繊維で織られた織物が挙げられる。繊維間には空隙があるので、摺動部の摩擦係数低減のために摺動シート29には潤滑剤を予め含浸させることができ、徐々に染み出すようにして摺動面に適宜、潤滑を与える。
摺動シート29の材質としては、PTFEの他に摺動性に優れたPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)であってもよい。また、繊維からなる織物であるだけでなく、潤滑剤を保持できるものであれば、発泡体のように内部に潤滑剤を保持できる形態であってもよい。
図1に示すように、摺動シート29が加圧ローラ22とニップ形成部材24との間で狭持される範囲はニップ部Nである。そして、定着装置20の長手方向(ベルト幅方向)でニップ部Nの外側に相当する範囲(図1中の矢印「W」で示す範囲)については、摺動シート29と定着ベルト21の内周面とが接触していない。
本来は、ベルト幅方向について、ニップ部Nの内外の境界ラインと、摺動シート29が定着ベルト21の内面と接触する境界ラインとが同じであることが好ましい。しかし、組み立て上困難であるため、ベルト幅方向の摺動シート29の長さがニップ部Nの長さよりも長い構成が一般的である。しかしながら、加圧ローラ22とニップ形成部材24との間で狭持されることで、ニップ部N内に位置するニップ被挟持部29bからニップ部Nの外側に位置する非ニップ部29aへと押し出された潤滑剤が、外部に漏洩することがある。
これは、以下の理由による。
すなわち、ニップ部Nで加圧されることによって、ニップ部Nから定着ベルト21の幅方向の外側に押し出された潤滑剤は、摺動シート29におけるニップ部Nの外側にはみ出た非ニップ部29aに含浸される。この非ニップ部29aのシート端部29eまで潤滑剤が含浸した状態で、シート端部29eが定着ベルト21に接触すると、非ニップ部29aに含浸された潤滑剤も定着ベルト21に接触する。潤滑剤が定着ベルト21に接触するとその表面張力によって定着ベルト21へ移動する。さらに、移動した潤滑剤によってシート端部29eの内部に生じた隙間には毛細管現象により、新たな潤滑剤がベルト幅方向の内側から補充され、この新たな潤滑剤も定着ベルト21と接触し、定着ベルト21へ移動する。これが繰り返されることにより、ニップ被挟持部29bから摺動シート29の非ニップ部29aに押し出された潤滑剤が定着ベルト21の内周面に漏れ出る。そして、定着ベルト21の内周面やこれを保持するフランジ40を伝って定着ベルト21のベルト幅方向端部から定着装置20の外部へと潤滑剤が漏洩してしまう。
一方、本実施形態の定着装置20では、図1に示すように、摺動シート29のシート端部29eが、ニップ被挟持部29bに対して、定着ベルト21の径方向の内側に位置しており、定着ベルト21の内周面から離間している。これにより、ニップ部Nの外側へと押し出された潤滑剤を、回転する定着ベルト21の内周面へは流出させず、定着ベルト21の内周面とは接触しない摺動シート29の非ニップ部29a内に留めることができる。
よって、加圧ローラ22とニップ形成部材24とに狭持されることでニップ部N内からニップ部Nの外へと押し出された潤滑剤が、定着ベルト21の内周面に漏れ出ることを抑制できる。このため、定着ベルト21の内周面やフランジ40を伝ってベルト幅方向の端部から定着装置20の外部へと潤滑剤が漏洩することを抑制することができる。
これにより、潤滑剤が経時でも摺動シート29に多く残量しているため、定着ベルト21とニップ形成部材24との摺動部の摩擦係数が低い状態を維持することができ、定着装置20の駆動トルク上昇を抑制することができる。また、経時に摺動抵抗が上昇したことに起因する用紙スリップによるジャムの発生を抑制することができる。
本実施形態のプリンタ1は、上述した定着装置20を備えることにより、経時でも用紙スリップジャムといった不具合のない、高品質な画像を作像することができ、信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
図1に示すように、摺動シート29における非ニップ部29aはニップ被挟持部29bに対して角度「θ」だけ定着ベルト21の径方向の内側に傾斜している。これにより、非ニップ部29aの先端であるシート端部29eが定着ベルト21から離間する構成を実現できる。
図5は、ニップ被挟持部29bに対する非ニップ部29aの傾斜角度「θ」が図1の構成に比べて十分に小さい構成の摺動シート29の非ニップ部29a近傍の拡大断面図である。図5に示す構成では、傾斜角度「θ」が小さいため、定着ベルト21の内周面に対するシート端部29eの離間量が小さい。しかし、図5に示すように、定着ベルト21の内周面に対してシート端部29eがわずかでも離間していれば、摺動シート29の非ニップ部29a内に潤滑剤を留めることができ、定着装置20の外部へと潤滑剤が漏洩することを抑制することができる。
図6は、摺動シート29の非ニップ部29aの一部(図6中の「W1」で示す範囲)が定着ベルト21に接触している構成の非ニップ部29a近傍の拡大断面図である。
図1に示す構成では、ニップ部Nを形成する範囲外に当たる領域「W」の全体で摺動シート29が定着ベルト21から離間している。一方、図6に示す構成では、ニップ部Nを形成する範囲外に当たる領域「W」の一部「W1」で摺動シート29が定着ベルト21に接触し、他の部分「W2」で摺動シート29が定着ベルト21から離間している。
図6に示すように、ニップ部Nよりもベルト幅方向外側の領域で摺動シート29と定着ベルト21とが接触する領域が存在する構成であっても、定着ベルト21の内周面に対してシート端部29eが離間していれば潤滑剤の漏洩を抑制することができる。
図1に示す定着装置20では、摺動シート29は、ベルト幅方向の全域に渡ってニップ形成部材24の定着ベルト21の内周面と対向する面に固定されている。また、ベルト幅方向について、ニップ形成部材24の端部(24e)はニップ部Nの端部よりも外側に位置する。ニップ形成部材24は、ニップ部Nよりもベルト幅方向で外側となる部分の定着ベルト21の内周面と対向する面であるニップ外対向面24bが、ニップ部Nを形成するニップ形成面24aに対して定着ベルト21の径方向の内側に向かって傾斜する形状である。
このような構成により、ニップ外対向面24bに貼り付けられた摺動シート29における非ニップ部29aが、ニップ形成面24aに貼り付けられたニップ被挟持部29bに対して定着ベルト21の径方向の内側に傾斜する構成を実現することができる。よって、非ニップ部29aの先端であるシート端部29eが定着ベルト21から離間する構成を実現できる。
図7は、図1に示す定着装置20のニップ形成部材24の代わりに適用可能なニップ形成部材24の他の形状例の説明図である。
図7に示すニップ形成部材24の端部(24e)は、ベルト幅方向について、ニップ部Nの端部よりも外側に位置する。また、図7に示すニップ形成部材24は、ニップ部Nよりもベルト幅方向で外側となる部分の前記定着ベルトの内周面と対向する面であるニップ外対向面24bが、ニップ形成面24aに対して、定着ベルト21の径方向の内側に向かって湾曲する形状である。
図7に示す構成では、ニップ形成部材24における定着ベルト21との対向面は、ニップ部N(ニップ形成面24a)では図1に示す構成と同様に平面状である。一方、ニップ部Nの外(ニップ外対向面24b)については、ニップ形成部材24の表面に設置する摺動シート29と定着ベルト21の内周面との接触を回避するため、湾曲した曲線(曲面)形状をしている。図7に示す構成では、ニップ部Nとニップ部Nの外側に相当する範囲「W」との境界部分については定着ベルト21とニップ形成部材24とが徐々に離れていくため、加圧ローラ22で加圧したときのベルト幅方向における圧力の変化が緩やかになる。
このため、境界部分についての極端な圧力変化に伴う潤滑剤の溜まりや、部品に対するエッジ当り(角当り)を回避することができ、潤滑剤の漏洩防止効果が高く、また定着ベルト21の内周面をニップ形成部材24のエッジ部で破損させることもない。例えば、ニップ形成部材24のエッジ当りによる定着ベルト21のクラックが発生しない。
図8は、ニップ形成部材24の形状が異なる場合のニップ部Nとニップ部Nの外側に相当する範囲との境界部分についての圧力分布の比較の一例を示す説明図である。図8(a)は、図1に示すニップ形成部材24を用いた場合の説明図であり、図8(b)は、図7に示すニップ形成部材24を用いた場合の説明図である。
図8に示すように、図7に示すニップ形成部材24のように湾曲の曲線(曲面)形状のほうが、ベルト幅方向の端部に行くにしたがって徐々に圧力が小さくなっており、急激な圧力変動が抑えられる。
摺動シート29のニップ被挟持部29bと、非ニップ部29aとは、厚みのみ異なる同質の材料でも良いが、この限りではなく、異なる材料からなる別部材でも良い。
図9は、図1に示す定着装置20の摺動シート29の代わりに適用可能な摺動シート29の他の構成例の説明図である。図9に示す摺動シート29では、非ニップ部29aがニップ被挟持部29bよりも密度が高い構成となっている。
定着ベルト21と摺動接触しない部分に相当する摺動シート29は、ニップ部Nの外側の領域「W」にあたる。上述したように、ニップ部Nで加圧されることでニップ部Nの外側へ押し出された潤滑剤は、ベルト幅方向の端部から外部へ漏洩するか、またはニップ部Nの外側の領域「W」に停滞するか、またはニップ部N内へ移動するかの三通りに区分される。この三通りのうち最も回避すべきは、潤滑剤がベルト幅方向の端部から外部へ漏洩することである。シート端部29eを定着ベルト21と摺動接触しないようにしても、軸方向での変位により、潤滑剤がベルト幅方向の端部から漏洩する場合もある。漏洩してしまうと定着ベルト21の内部の潤滑剤の絶対量が減ることとなり、経時になるにつれて潤滑機能が衰えるため摺動部の摺動抵抗が上昇してしまう。
このことを回避するために、ベルト幅方向の端部へ潤滑剤が移動しないようにする必要があり、そのために摺動シート29の密度を高密度化して移動速度を低下させることが望ましい。また、これとは反対に、ニップ部Nで加圧されることでニップ部Nの外側へ押し出された潤滑剤をニップ部Nへ再移動(摺動面の摩擦係数低減のために)するためには、潤滑剤がニップ部Nの外側の領域「W」の摺動シート29へ滞留しにくい状態とする必要がある。
このため、図9に示す摺動シート29では、ニップ部Nの外側の領域「W」にあたる摺動シート29の非ニップ部29aにおける空隙率を減らす(繊維密度を高密度化する)構成となっている。このような構成により、非ニップ部29a内から行き場のなくなった潤滑剤は、ニップ被挟持部29b内へ再移動し易くなり、潤滑剤のベルト幅方向端部からの漏洩をより確実に防ぐことができる。
摺動シート29の非ニップ部29aとニップ被挟持部29bとを別部材とする場合には、非ニップ部29aよりもニップ被挟持部29bのほうが、多くの潤滑剤を含浸させることのできる特性とするのがより望ましい。
つまり、「ニップ被挟持部29bの潤滑剤保持能力>非ニップ部29aの潤滑剤保持能力」の関係を満たすことで、潤滑剤の漏洩を防ぐ能力を高めることができるため望ましい。
ニップ部Nの外側の領域であれば、加圧ローラ22によって定着ベルト21が押圧されない。このため、非ニップ部29aで定着ベルト21の内周面に接触する部分であっても定着ベルト21の内周面と摺動シート29との間の摩擦抵抗は、定着ベルト21の内周面とニップ被挟持部29bとの間の摩擦抵抗よりも低くなる。また、非ニップ部29aで定着ベルト21の内周面に接触しない部分については上記摩擦抵抗は生じない。
このため、ニップ被挟持部29bに比べて非ニップ部29aの表面性(摺動性、表面粗さ)は、それほど良好である必要がなく、摺動シート29の非ニップ部29aに用いる材料として、より多くの種類の材料を選択することができる。
また、摺動シート29のニップ被挟持部29bに用いる材料としては、潤滑剤の保持力がより高いもののほうが、潤滑剤の漏洩を抑制することができるため、この特性を優先して材質の選定をすることが望ましい。摺動シート29としては、PTFEや耐熱樹脂を含んだ繊維状物質を編みこんでシート状にしたものが挙げられる。このような摺動シート29であれば、耐熱性が得られるとともに、潤滑剤を経時でも保持することができため摺動性にも優れ、望ましい。
図10は、摺動シート29のベルト幅方向の長さが、定着ベルト21及びニップ形成部材24のベルト幅方向の長さよりも短い構成を備えた定着装置20のニップ部Nでの断面を模式的に示した説明図である。
図10では、ベルト幅方向における摺動シート29の端部「29e」と、定着ベルト21の端部「21e」と、ニップ形成部材24の端部「24e」との位置関係を示している。図10に示すように、定着ベルト21の端部「21e」やニップ形成部材24の端部「24e」よりも、摺動シート29の端部「29e」の方が、ベルト幅方向の内側に位置する。このような構成により、摺動シート29の最端部「29e」にまで到達した潤滑剤が、さらに端部側(長い)となる定着ベルト21の端部「21e」から外部へ漏洩することを抑制できる。また、摺動シート29の長さよりもニップ形成部材24の長さのほうが長いことで、摺動シート29内にある潤滑剤は、ニップ形成部材24の最端部「24e」にも到達しにくい構成となっている。
ベルト幅方向の長さとしては、図10に示すように、「定着ベルト21>ニップ形成部材24>摺動シート29」の順の長さとなっていることが、最も望ましく、外部への潤滑剤の漏洩を最も低減できる。図10に示す定着装置20は、潤滑剤は摺動シート29内に留まり、ニップ形成部材24の端部「24e」や定着ベルト21の端部「21e」へ漏れる(移動する)ことが生じにくい構成である。
加圧されたニップ部N内からニップ部Nの外側へと押し出された潤滑剤をできるだけたくさん蓄積させておくためには、ニップ部Nの外側における摺動シート29の体積を可能な限り大きくする必要がある。このため、ニップ部Nの外側の摺動シート29の体積は大きいほど望ましい。つまり、ベルト幅方向について、ニップ形成部材24の長さは、摺動シート29の長さよりもわずかに長くしておくことが望ましく、かつ、定着ベルト21の長さはニップ形成部材24の長さよりもわずかに長くしておくことが望ましい。これにより、ニップ部Nの外側の摺動シート29の体積を最も大きく取ることが可能となる。
図11は、ニップ形成部材24に対する摺動シート29の固定方向の一例を説明図である。図11(a)は、摺動シート29が固定されたニップ形成部材24を定着ベルト21の内周面と対向する面の側から見た斜視図であり、図11(b)は、ニップ形成部材24をステー25に取り付ける側から見た斜視図である。
図11に示すように、摺動シート29は、ニップ形成部材24に巻きつけられる。そして、摺動シート29は、固定部材242を介して締結部材であるねじ243でニップ形成部材24に締結される。また、ニップ形成部材24のニップ形成面24aとは反対側面のベルト幅方向の中央には、ニップ形成部材24を支持するためのステー25に当接する複数の突起部240が設けられている。
図5に示す構成は、ニップ被挟持部29bに対する非ニップ部29aの傾斜角度「θ」が図1の構成に比べて十分に小さい構成である。このような構成では、ニップ形成部材24のニップ部Nを形成するニップ形成面24aに対して定着ベルト21の径方向の内側に向かうニップ外対向面24bの傾斜角度を傾斜角度「θ」にあわせて小さくしても良い。また、摺動シート29の剛性を高めることで傾斜角度「θ」を実現してもよい。
摺動シート29のコスト低減のためには、摺動シート29の体積をできる限り減らす(部材の使用量を減らす)ことが必要である。摺動シート29の体積を減らすことができる固定方法としては、摺動シート29とニップ形成部材24とを接着剤を用いて直接接着する方法を挙げることができる。このような接着方法の場合、ニップ部Nは高温になるので、接着部の剥離を回避するために、耐熱性の接着剤であることが望ましい。
上述した実施形態の定着装置20では、シート端部29eは定着ベルト21からは離間しているが、ニップ形成部材24には接触している。摺動シート29の非ニップ部29a内の潤滑剤がシート端部29eからニップ形成部材24側に移動しても、潤滑剤がニップ形成部材24を伝って、ニップ部Nに移動するため、潤滑剤の漏洩は生じない。
〔変形例〕
次に、潤滑剤の蒸散を抑制できる変形例の定着装置20について説明する。
図12は、変形例にかかる定着装置20における摺動シート29の非ニップ部29a近傍の拡大断面図である。
図12に示すように、変形例の摺動シート29における非ニップ部29aは、ベルト幅方向の途中で折り曲げた形状となっている。このような形状により、非ニップ部29aは、ニップ被挟持部29bの外側にベルト幅方向の外側ほど定着ベルト21の径方向の内側に向かうように傾斜する内向傾斜部29a1を有する。さらに、非ニップ部29aは、内向傾斜部29a1よりもベルト幅方向の外側で、ベルト幅方向の外側ほど定着ベルト21の径方向の外側に向かうように傾斜する外向傾斜部29a2を有する。
このような構成により、内向傾斜部29a1、外向傾斜部29a2及び定着ベルト21に囲まれた空間αを形成している。
定着装置20の内部は高温になるため、潤滑剤が気化し易い条件である。定着ベルト21のベルト幅方向の端部近傍で潤滑剤が気化すると、定着装置20の内部に潤滑剤が付着し、不具合の発生の原因となるだけでなく、気化した潤滑剤が定着ベルト21のベルト幅方向端部から外部に流出するおそれがある。
これに対して、変形例の定着装置20では、空間αを形成することより、定着ベルト21のベルト幅方向の端部近傍で気化した潤滑剤を空間α内に閉じ込め、摺動シート29の非ニップ部29aで気化した潤滑剤を捕集することが可能となっている。
これにより、揮発した潤滑剤の蒸散を防ぐことができ、潤滑剤の減少を防ぐとともに定着装置20の内部への潤滑剤の付着を防ぐことができる。
変形例の定着装置20では、摺動シート29の非ニップ部29aの先端(29e)が定着ベルト21の内周面に接触しない程度に折り曲げる。図13は、折り曲げた非ニップ部29aの先端(29e)が定着ベルト21の内周面に接触している状態の説明図である。非ニップ部29aの先端であるシート端部29eが定着ベルト21に接触していると、非ニップ部29aに含浸された潤滑剤がシート端部29eから定着ベルト21の方へ移動し、定着装置20の外部へと潤滑剤が漏洩するおそれがある。よって、図12に示すように、摺動シート29の非ニップ部29aを折り曲げる場合は、シート端部29eが定着ベルト21の内周面に接触しない程度に折り曲げる必要がある。
図14は、変形例にかかる摺動シート29を図12中の下側(図3に示す定着装置20に適用した場合には図3中の右側)から見た説明図である。
図14に示すように、変形例の摺動シート29は、ベルト幅方向の端部が図14中の矢印「B2」で示す定着ベルト21の移動方向の下流側ほど外側に広がった形状となっている。定着ベルト21の内周面近傍には定着ベルト21の移動方向に沿った気流が生じているため、ニップ部Nの近傍で気化した潤滑剤は定着ベルト21の移動方向の下流側に向かって移動する。よって、摺動シート29の形状を、図14に示すように、定着ベルト21の移動方向の下流側ほど外側に広がった形状とすることにより、気化した潤滑剤と摺動シート29との接触機会が増え、潤滑剤の枯渇をさらに抑制することができる。
摺動シート29のベルト幅方向の端部がニップ部Nで定着ベルト21の内周面に接触する部分に対して、定着ベルト21の径方向の位置が同じ構成であっても摺動シート29のベルト幅方向の端部が定着ベルト21の内周面から離間する場合がある。
これは、加圧部材で定着ベルト21を加圧してニップ部を形成したときに、定着ベルト21のニップ部を形成する部分が幅方向外側の部分よりも径方向の内側に変位するように定着ベルト21が変形するためである。このとき、定着ベルト21のベルト幅方向の端部は、ニップ部を形成する部分よりも定着ベルト21の径方向の外側に位置し、この部分の内周面と対向する摺動シート29は定着ベルト21に対して離間する。
しかし、このように定着ベルト21の変形によって摺動シート29と定着ベルト21とが離間するのは、定着ベルト21の厚みが薄い場合など、ベルトの剛性が低い場合に限られる。これに対して、本実施形態の定着装置20では、摺動シート29のシート端部29eが、ニップ部Nで定着ベルト21の内周面に接触するニップ被挟持部29bに対して、定着ベルト21の径方向の内側に位置する形状となっている。
これにより、定着ベルト21の剛性が低い場合に限らず、定着ベルト21の剛性が高い場合であっても、摺動シート29のシート端部29eが定着ベルト21の内周面から離間する構成を実現することができる。
また、ニップ部Nの外側に相当する範囲「W」では摺動シート29及びニップ形成部材24の形状が、ベルト幅方向の外側ほど定着ベルト21から離れる形状となっている。これにより、摺動シート29の定着ベルト21に対する離間量を、定着ベルト21の剛性に寄らず最も望ましい数値に設定することが可能となる。
本実施形態の定着装置20では摺動シート29のシート端部29eが定着ベルト21に対して非接触となるように設定することで、摺動シート29の潤滑剤保持能力を最大限引き出し、飽和状態でも潤滑剤を保持できるようにしている。そのため、図1に示す定着装置20のように、ニップ形成部材24の表面がベルト幅方向の外側ほど径方向の内側に位置する形状に限らず、シート端部29eが定着ベルト21に非接触であれば、潤滑剤の漏洩を抑制することが可能となる。
例えば、ニップ形成部材24のニップ外対向面24bが径方向の内側に傾斜や湾曲する形状でなく、ニップ形成面24aに対して垂直になっていても、シート端部29eが定着ベルト21に非接触であればよい。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
回転可能な無端状の定着ベルト21等の定着ベルトと、定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材24等のニップ形成部材と、定着ベルトの外周面に接触し、定着ベルトを挟んでニップ形成部材と当接してニップ部N等のニップ部を形成する加圧ローラ22等の加圧部材と、ニップ部の定着ベルトの内周面に接触するようにニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された摺動シート29等の潤滑剤含浸部材とを備える定着装置20等の定着装置において、潤滑剤含浸部材は、定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部29a等の非ニップ部を備え、潤滑剤含浸部材は、非ニップ部におけるベルト幅方向の端部(シート端部29e等)が、ニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して定着ベルトの径方向の内側に位置する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、定着ベルトの端部から外部へ潤滑剤が漏れ出すことを抑制することが可能となる。これは以下の理由による。
すなわち、潤滑剤含浸部材がニップ部の全域に渡ってニップ形成部材における定着ベルトとの接触部分を覆うように、定着ベルトの幅方向における摺動潤滑剤含浸部材の長さはニップ部の長さよりも長く設定されるのが一般的である。
このような設定の場合、ニップ部で加圧されることによって、ニップ部から定着ベルトの幅方向の外側に押し出された潤滑剤は、摺動潤滑剤含浸部材におけるニップ部の外側にはみ出た非ニップ部に含浸される。この非ニップ部に含浸された潤滑剤が定着ベルトの内周面に漏れ出し、定着ベルトを伝って定着ベルトの幅方向の端部から定着装置の外部に漏れ出す不具合が生じることがあった。
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、非ニップ部のベルト幅方向の端部を定着ベルトから離間させることによって、非ニップ部に含浸された潤滑剤が定着ベルトの内周面に漏れ出すことを抑制できることを見出した。態様Aでは、潤滑剤含浸部材のニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分に対して非ニップ部の端部が定着ベルトの径方向の内側に位置するため、非ニップ部の端部は定着ベルトの内周面に対して離間する。このため、非ニップ部内の潤滑剤が定着ベルトの内周面に漏れ出ることを抑制することができる。これにより、潤滑剤が定着ベルトの内周面を伝って定着ベルトの端部から外部へ漏れ出すことを抑制することが可能となる。
(態様B)
態様Aにおいて、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材は、非ニップ部29a等の非ニップ部の少なくとも一部が、ニップ部N等のニップ部で定着ベルト21等の定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して、定着ベルトの径方向の内側に向かうように角度(角度「θ」等)を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部の端部(シート端部29e)が定着ベルトから離間する構成を実現できる。
(態様C)
態様AまたはBにおいて、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材の非ニップ部29a等の非ニップ部は、ベルト幅方向の外側ほど定着ベルト21等の定着ベルトの径方向の内側に向かうように傾斜する部分(内向傾斜部29a1等)と、この部分よりもベルト幅方向の外側で、ベルト幅方向の外側ほど定着ベルトの径方向の外側に向かうように傾斜する部分(外向傾斜部29a2等)とを有する。
これによれば、上記変形例について説明したように、潤滑剤含浸部材と定着ベルトとに囲まれた空間α等の空間を形成することができ、揮発した潤滑剤の蒸散を防ぐことができ、潤滑剤の減少を防ぐことができる。また、定着装置の内部への潤滑剤の付着を防ぐことができる。
(態様D)
態様A乃至Cの何れかの態様において、ベルト幅方向について、ニップ形成部材24等のニップ形成部材の端部はニップ部N等のニップ部の端部よりも外側に位置し、ニップ形成部材は、ニップ部よりもベルト幅方向で外側となる部分の定着ベルト21等の定着ベルトの内周面と対向する面(ニップ外対向面24b等)が、ニップ形成面24a等のニップ部を形成する面に対して、定着ベルトの径方向の内側に向かって傾斜する形状である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部29a等の非ニップ部が、ニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して定着ベルト21の径方向の内側に傾斜する構成を実現することができる。よって、非ニップ部の端部(シート端部29e等)が定着ベルトから離間する構成を実現できる。
(態様E)
態様A乃至Cの何れかの態様において、ベルト幅方向について、ニップ形成部材24等のニップ形成部材の端部はニップ部N等のニップ部の端部よりも外側に位置し、ニップ形成部材は、ニップ部よりもベルト幅方向で外側となる部分の定着ベルト21等の定着ベルトの内周面と対向する面(ニップ外対向面24b等)が、ニップ形成面24a等のニップ部を形成する面に対して、定着ベルトの径方向の内側に向かって湾曲する形状である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部29a等の非ニップ部が、ニップ部で定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)に対して定着ベルト21の径方向の内側に湾曲する構成を実現することができる。よって、非ニップ部の端部(シート端部29e等)が定着ベルトから離間する構成を実現できる。
また、ニップ形成部材のニップ部よりもベルト幅方向で外側となる部分の表面が湾曲していることで、ニップ部とニップ部の外との境界部の圧力の変化が滑らかになる。これにより、ニップ部の外側へ押し出された潤滑剤を摺動シート等の潤滑剤含浸部材に滞留させることができ、潤滑剤が定着ベルトの内周面に付着しにくい構成となる。よって、潤滑剤が定着ベルトのベルト幅方向端部から外部へ漏れ出ることを抑制することが可能となる。
(態様F)
態様A乃至Eの何れかの態様において、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材における非ニップ部29a等の非ニップ部の少なくとも一部は、ニップ部N等のニップ部で定着ベルト21等の定着ベルトの内周面に接触する部分(ニップ被挟持部29b等)よりも密度が高い構成である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、非ニップ部の方が高密度であることより、ニップ部の外側へ押し出された潤滑剤が潤滑剤含浸部材内でベルト幅方向の端部側へ移動しにくくなる。これにより、潤滑剤を潤滑剤含浸部材内に滞留し易くすることができ、潤滑剤が外部へ漏れ出ることを抑制できる。
(態様G)
態様A乃至Fの何れかの態様において、摺動シート29等の潤滑剤含浸部材のベルト幅方向の長さは、定着ベルト21等の定着ベルト及びニップ形成部材24等のニップ形成部材のベルト幅方向の長さよりも短い。
これによれば、上記実施形態について説明したように、潤滑剤を潤滑剤含浸部材内に留め、潤滑剤含浸部材内にある潤滑剤が定着ベルトやニップ形成部材を伝ってベルト幅方向の端部に向かって移動することを抑制することが可能となる。
(態様H)
感光体5等の潜像担持体と、潜像担持体上にトナー像を形成する作像部4等のトナー像形成手段と、トナー像を潜像担持体上から用紙P等の記録材上に転写する転写装置3等の転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を記録材に定着させる定着手段とを備えたプリンタ1等の画像形成装置において、定着手段として、態様A乃至Gの何れかの態様に係る定着装置20等の定着装置を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、経時でも高品質な画像を作像することができ、信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
1 プリンタ
2 トナーボトル
3 転写装置
4 作像部
4K ブラック用作像部
5 感光体
6 帯電装置
7 現像装置
8 クリーニング装置
9 露光装置
10 給紙トレイ
11 給紙ローラ
12 レジストローラ対
13 排紙ローラ対
14 排紙トレイ
15 ボトル収容部
20 定着装置
21 定着ベルト
22 加圧ローラ
22a 芯金
22b 弾性層
22c 離型層
23 ハロゲンヒータ
24 ニップ形成部材
24a ニップ形成面
24b ニップ外対向面
25 ステー
26 反射部材
27 温度センサ
28 分離部材
29 摺動シート
29a 非ニップ部
29a1 内向傾斜部
29a2 外向傾斜部
29b ニップ被挟持部
29e シート端部
30 中間転写ベルト
31 一次転写ローラ
32 二次転写バックアップローラ
33 クリーニングバックアップローラ
34 テンションローラ
35 ベルトクリーニング装置
36 二次転写ローラ
40 フランジ
40a 回転ガイド部
40b ガイド部
41 スリップリング
240 突起部
242 固定部材
N ニップ部
P 用紙
R 搬送路
T トナー像
α 空間
特開2015−031777号公報

Claims (8)

  1. 回転可能な無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、
    前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、
    前記ニップ部の前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材と、を備える定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、前記ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部を備え、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部における前記ベルト幅方向の端部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して前記定着ベルトの径方向の内側に位置し、
    前記潤滑剤含浸部材における前記非ニップ部の少なくとも一部は、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分よりも密度が高い構成であることを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1に記載の定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材の前記ベルト幅方向の長さは、前記定着ベルト及び前記ニップ形成部材の前記ベルト幅方向の長さよりも短いことを特徴とする定着装置。
  3. 回転可能な無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、
    前記定着ベルトの外周面に接触し、前記定着ベルトを挟んで前記ニップ形成部材と当接してニップ部を形成する加圧部材と、
    前記ニップ部の前記定着ベルトの内周面に接触するように前記ニップ形成部材の表面に設けられ、潤滑剤が含浸された潤滑剤含浸部材と、を備える定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記定着ベルトの幅方向であるベルト幅方向について、前記ニップ部の端部よりも外側に位置する非ニップ部を備え、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部における前記ベルト幅方向の端部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して前記定着ベルトの径方向の内側に位置し、
    前記潤滑剤含浸部材の前記ベルト幅方向の長さは、前記定着ベルト及び前記ニップ形成部材の前記ベルト幅方向の長さよりも短いことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材は、前記非ニップ部の少なくとも一部が、前記ニップ部で前記定着ベルトの内周面に接触する部分に対して、前記定着ベルトの径方向の内側に向かうように角度を有することを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の定着装置において、
    前記潤滑剤含浸部材の前記非ニップ部は、前記ベルト幅方向の外側ほど前記定着ベルトの径方向の内側に向かうように傾斜する部分と、この部分よりも前記ベルト幅方向の外側で、前記ベルト幅方向の外側ほど前記定着ベルトの径方向の外側に向かうように傾斜する部分とを有することを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至の何れかに記載の定着装置において、
    前記ベルト幅方向について、前記ニップ形成部材の端部は前記ニップ部の端部よりも外側に位置し、
    前記ニップ形成部材は、前記ニップ部よりも前記ベルト幅方向で外側となる部分の前記定着ベルトの内周面と対向する面が、前記ニップ部を形成する面に対して、前記定着ベルトの径方向の内側に向かって傾斜する形状であることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1乃至の何れかに記載の定着装置において、
    前記ベルト幅方向について、前記ニップ形成部材の端部は前記ニップ部の端部よりも外側に位置し、
    前記ニップ形成部材は、前記ニップ部よりも前記ベルト幅方向で外側となる部分の前記定着ベルトの内周面と対向する面が、前記ニップ部を形成する面に対して、前記定着ベルトの径方向の内側に向かって湾曲する形状であることを特徴とする定着装置
  8. 像担持体と、
    潜像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像を前記潜像担持体上から記録材上に転写する転写手段と、
    前記記録材上に転写されたトナー像を該記録材に定着させる定着手段と、を備えた画像形成装置において、
    前記定着手段として、請求項1乃至7の何れかに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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