以下、図面により本発明を実施するための形態について説明する。
なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
まず、図2を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置1の全体構成及び動作について説明する。
図2に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。
なお、図2では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配設されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射するようになっている。
各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配設されている。転写装置3は、中間転写ベルト30と、4つの一次転写ローラ31と、二次転写ローラ36と、二次転写バックアップローラ32と、クリーニングバックアップローラ33と、テンションローラ34と、ベルトクリーニング装置35とを備える。
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、二次転写バックアップローラ32、クリーニングバックアップローラ33及びテンションローラ34によって張架されている。ここでは、二次転写バックアップローラ32が回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)するようになっている。
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方が、各一次転写ローラ31に印加されるようになっている。
二次転写ローラ36は、二次転写バックアップローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも図示しない電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との少なくとも一方が、二次転写ローラ36に印加されるようになっている。
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35から伸びた図示しない廃トナー移送ホースは、図示しない廃トナー収容器の入口部に接続されている。
プリンタ本体の上部には、ボトル収容部が設けられており、ボトル収容部には補給用のトナーを収容した4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと各現像装置7との間には、図示しない補給路が設けてあり、この補給路を介して各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7へトナーが補給されるようになっている。
一方、プリンタ本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けられている。ここで、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、図示しないが、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
プリンタ本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配設されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、二次転写ニップへ用紙Pを搬送する搬送手段としての一対のレジストローラ12が配設されている。
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配設されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、プリンタ本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
以上の構成を備えた画像形成装置の基本動作は次の通りである。
作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図示しない駆動装置によって図中時計回り方向に回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。
帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
また、作像動作が開始されると、二次転写バックアップローラ32が図中反時計回り方向に回転駆動し、中間転写ベルト30を図中矢印で示す方向に周回走行させる。そして、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧または定電流制御された電圧が印加される。これにより、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。このようにして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。
また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。その後、図示しない除電装置によって各感光体5の表面が除電され、表面電位が初期化される。
画像形成装置の下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によってタイミングを計られて、二次転写ローラ36と二次転写バックアップローラ32との間の二次転写ニップに送られる。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。
その後、中間転写ベルト30の周回走行に伴って、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達したときに、上記二次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、除去されたトナーは図示しない廃トナー収容器へと搬送され回収される。
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つまたは3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
ここで、周知のように、電子写真方式による画像形成装置は、次の工程を経て複写画像を出力する。つまり、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像がトナーにより可視像処理され、トナー像が記録紙などの記録媒体に転写されたうえで定着されることにより複写画像が出力される。
画像形成装置に用いられる定着方式には、熱ローラ定着方式、ベルト定着方式、フィルム定着方式および電磁誘導加熱定着方式などがある。
熱定着ローラ方式には、記録紙の搬送路を挟んで対向しながら当接する定着ローラ及び加圧ローラが用いられる。この方式では、定着ローラ内に設けられている熱源からの熱と加圧ローラからの加圧力に相当する圧力との作用によってトナー像が記録紙に融解浸透される。記録紙に対してトナー像が融解浸透される現象は以下の構成を備えた定着方式においても同じである。
ベルト定着方式には、定着ローラに代えて熱良導体となる定着ベルトと加圧ローラおよびベルトを捲装されるローラそしてベルトに対する加熱源が用いられる(例えば、特許文献4)。
フィルム定着方式には、定着ローラに代えて熱良導体となる定着ベルトと加圧ローラおよびベルトを捲装されるローラそしてベルトに対する加熱源が用いられる(例えば、特許文献5)。
電磁誘導加熱定着方式には、発熱効率を高める電磁誘導コイルを加熱部材に設ける構成が用いられる(例えば、特許文献4)。
定着方式には、次に挙げる要求課題がある。
ウォームアップ時間を短縮すること、さらには、ファーストプリント時間を短縮することである。なお、ウォームアップ時間とは、電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定温度(リロード温度)までに要する時間のことである。また、ファーストプリント時間とは、印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでに必要な時間のことである。
定着装置では、次の理由により定着不良が発生することがある。
画像形成装置は、高速処理が行える装置である。高速処理により単位時間あたりの定着枚数、つまり、定着装置を通過する通紙枚数が増加すると、高速移動する記録紙への供給熱量も増加させなければならない。これは、記録紙が定着装置を通過する時間が短くなるのに合わせて定着に必要な熱量を記録紙に与えるためである。
しかし、連続印刷のはじめに必要な熱量の確保ができていないと温度の落ち込みが大きく、高速化された連続印刷時に必要な熱量に達しないままで通紙されると定着不良を発生する虞がある。
また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間あたりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷のはじめに熱量が不足する、いわゆる温度落ち込みが問題となることがあり、高速化した場合の定着不良を起こす問題がある。
一方、上記に挙げた定着方式とは別に、セラミックヒータを用いたサーフ定着方式と称される定着方式がある。
サーフ定着方式は、ニップ部のみを局所加熱され、その他の部分では加熱されない構成が用いられる。この定着方式では、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化,小型化が可能となるため、所定温度への立ち上がりやファーストプリント時間の短縮が可能となる反面、次の問題がある。
つまり、サーフ定着方式は、局所以外の部分では加熱されていないので、ニップの用紙などの入口において定着ベルトは最も冷えた状態にあり、定着不良が発生しやすくなるという問題がある。特に、高速機においては、定着ベルトの回転が速く、ニップ部以外でのベルトの放熱が多くなるため、より定着不良が発生しやすくなるという問題がある。
そこで、このような問題に対処するため、定着ベルトを用いる構成において、高生産の画像形成装置に搭載されても、良好な定着性を得ることができるようにした定着装置が提案されている(例えば、特許文献6)。
特許文献6に開示された定着装置では、図3に示す構成が用いられている。
定着ベルト100、定着ベルト100の内部に配設されたパイプ状の金属熱伝導体200、金属熱伝導体200内に配設された熱源300、及び、定着ベルト100を介して金属熱伝導体200に当接してニップ部Nを形成する加圧ローラ400を備えている。
加圧ローラ400の回転により定着ベルト100は連れ回りし、このとき、金属熱伝導体200は定着ベルト100の移動をガイドする。また、金属熱伝導体200内の熱源300により金属熱伝導体200を介して定着ベルト100が加熱されることで、定着ベルト100全体を温めることを可能にしている。これにより、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することが可能となっている。
しかし、さらなる省エネ性及びファーストプリントタイム向上のためには、熱効率をより一層向上させる必要がある。
そこで、本実施形態の定着装置20では、定着ベルト21を、金属熱伝導体(図3において符号200で示す部材)を介して間接的に加熱するのではなく、定着ベルト21を金属熱伝導体を介さずに直接加熱する構成を採用している。これにより、消費電力の低減を図ることができると共に、加熱待機時からのファーストプリントタイムをさらに短縮することができる。また、金属熱伝導体を設けないことによるコストダウンも期待できる。
次に、図4に基づき、定着装置20の構成について説明する。図4は、本実施形態に係る定着装置20のニップ部Nにおける断面図である。
定着装置20は、内部が中空な表面無端移動体である定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21に対向して回転可能に設けられた対向回転体からなる加圧部材としての加圧ローラ22とを備えている。
定着ベルト21の内側には、定着ベルト21を加熱する熱源としてのハロゲンヒータ23と、定着ベルト21を介して対向する加圧ローラ22とニップ部Nを形成するニップ形成部材24とが設けられている。さらに、定着ベルト21の内側には、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、ハロゲンヒータ23から放射される光を定着ベルト21へ反射する反射部材26とが設けられている。
また、定着装置20は、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ27と、定着ベルト21から用紙Pを分離する記録媒体分離手段としての分離部材28と、加圧ローラ22を定着ベルト21へ加圧する不図示の加圧手段等を備えている。
定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)が用いられる。
定着ベルト21は、ニッケルもしくはステンレス鋼等の金属材料またはポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材を有している。また、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層を備えている。また、基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
加圧ローラ22は、芯金22s、弾性層22b及び離型層22cによって構成されている。なお、弾性層22bは芯金22aの表面に配置されており、発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、またはフッ素ゴム等が用いられる。また、離型層22は弾性層22bの表面に設けられ、PFAまたはPTFE等が用いられる。加圧ローラ22は、図示しない加圧手段によって定着ベルト21側に向けて加圧されることにより、定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。
この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。
加圧ローラ22は、プリンタ本体に設けられているモータ等の駆動源(不図示)によって回転駆動される。加圧ローラ22が回転駆動されると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転するようになっている。
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。また、弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上する。しかし、未定着トナーを押し潰して定着させるときに、ベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラを生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100[μm]以上の弾性層を設けることが望ましい。
厚さ100[μm]以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。また、定着回転体と対向回転体は、互いに圧接する場合に限らず、加圧を行わず単に接触させるだけの構成とすることも可能である。
ハロゲンヒータ23は、両端部が定着装置20の側板(不図示)に固定されている。ハロゲンヒータ23は、プリンタ本体に配置された電源部により出力制御されて発熱する。出力制御は、温度センサ27による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなハロゲンヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21の温度(定着温度)を所望の温度に維持できるようになっている。また、定着ベルト21を加熱する加熱源として、ハロゲンヒータ以外に、IH(電磁誘導)、抵抗発熱体、またはカーボンヒータ等を用いてもよい。
ニップ形成部材24は、ベースパッド241と、ベースパッド241の表面に巻き付けて設けられた低摩擦性の摺動シート29とを有する。
ベースパッド241は、加圧ローラ22の加圧力を受けてニップ部Nの形状を決める部材である。このため、定着ベルト21の軸方向または加圧ローラ22の軸方向に平行して配置され、ニップ形成部材24の支持部材として用いられるステー25によって固定支持されている。このベースパッド241は、後述するが、液晶ポリマー(LCP)等の樹脂、金属あるいはセラミックなどの材料が用いられる。
このように、ニップ形成部材24をステー25で支持することにより、加圧ローラ22による圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを抑制し、加圧ローラ22の軸方向に平行して均一なニップ幅が得られるようにしている。
なお、ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレス鋼や鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましいが、ステー25を樹脂製とすることも可能である。
また、ベースパッド241は、耐熱温度200[℃]以上の耐熱性部材で構成されている。これにより、トナー定着温度域で、熱によるベースパッド241の変形を防止し、安定したニップ部Nの状態を確保することができる。この結果、出力画質の安定化が得られる。
ベースパッド241には、一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。例えば、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを用いることができる。
また、ベースパッド241の少なくとも定着ベルト21と対向する表面には、低摩擦係数を有する摺動シート29が配置されている。
摺動シート29は、定着ベルト21が回転する際、定着ベルト21の表面を摺動させる。摺動シート29は、摺動する定着ベルト21に生じる駆動トルクを低減するとともに定着ベルト21への摩擦力による負荷を軽減させるために用いられる。
また、摺動シート29には潤滑剤が含浸されている。潤滑剤としては、例えばシリコーンオイルが挙げられ、耐熱性及び耐久性及び潤滑能力としては望ましく、使用条件により様々な粘度のものを選択することが可能なため良い。
その他の潤滑剤としては、フッ素系・シリコン系のグリスも挙げられる。潤滑剤については、摺動シート29全体に1種類のものを塗布することだけに限らず、長手方向の中央部と端部で異なる粘性のものを複数種類用いることも挙げられる。また、シリコーンオイルとシリコーングリスなど、潤滑特性の異なる複数種類の潤滑剤を塗布することも挙げられる。
ベースパッド241は、摺動シート29を挟んで対向する加圧ローラ22とで構成されるニップ部Nの形状を決める機能を有している。このため、ニップ部Nに対向する面がほぼ平坦、換言すればストレート状の形状であり、この形状を維持するための材料として、ある程度硬い材料が用いられる。
具体的には、液晶ポリマー(LCP)等に用いられる結晶性熱可塑性プラスチックス、例えばアラミド繊維などの成型品が用いられる。また樹脂に代えて、金属やセラミックスなどの形状保持が可能な材料が用いられることもある。
反射部材26は、反射面として表面を利用できるアルミニウムやステンレス鋼などが用いられてステー25とハロゲンヒータ23との間に配設されている。
ここで、反射部材26は、ハロゲンヒータ23によって直接加熱されるため、高融点の金属材料等で形成されることが望ましい。このように反射部材26が配設されていることにより、ハロゲンヒータ23からステー25側に放射された光が定着ベルト21へ反射される。これにより、定着ベルト21に照射される光量を多くすることができ、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。また、ハロゲンヒータ23からの輻射熱がステー25等に伝達されるのを抑制することができるので、省エネルギー化も図れる。
また、本実施形態のような反射部材26を設けずに、ステー25のハロゲンヒータ23側の面を研磨または塗装などの鏡面処理をし、反射面を形成してもよい
ただし、ステー25はその強度を確保するために形状や材質が自由に選択できない。このため、本実施形態のように反射部材26を別途設けた方が、形状や材質の選択の自由度が広がり、反射部材26とステー25はそれぞれの機能に特化することができる。また、反射部材26はハロゲンヒータ23とステー25との間に設けられることにより、ハロゲンヒータ23に対する反射部材26の位置が近くなるので、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。
本実施形態に係る定着装置20は、さらなる省エネ性及びファーストプリントタイムなどの向上のために、構成に種々の工夫が施されている。
具体的には、ハロゲンヒータ23によって定着ベルト21をニップ部N以外の箇所において直接加熱できるようにしている(直接加熱方式)。
本実施形態では、図4において、定着ベルト21の図中左側の部分と、この位置に対向するハロゲンヒータ23との間に、何も介在させないようにしている。これにより、ハロゲンヒータ23と定着ベルト21とが対向する位置では、ハロゲンヒータ23からの輻射熱が定着ベルト21に直接与えられるようになる。
定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21は薄く且つ小径化されている。
具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20[μm]〜50[μm]、100[μm]〜300[μm]、5[μm]〜50[μm]の範囲に、そして全体としての厚さが1[mm]以下に設定されている。また、定着ベルト21の直径は、20[mm]〜40[mm]の直径に設定されている。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2[mm]以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16[mm]以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト21の直径は、30[mm]以下とするのが望ましい。
なお、本実施形態では、加圧ローラ22の直径が20[mm]〜40[mm]に設定されており、定着ベルト21の直径と加圧ローラ22の直径は等しくされている。ただし、この構成に限定されるものではない。例えば、定着ベルト21の直径が加圧ローラ22の直径よりも小さくなるように形成してもよい。その場合、ニップ部Nにおける定着ベルト21の曲率が加圧ローラ22の曲率よりも小さくなるため、ニップ部Nから排出される記録媒体が定着ベルト21から分離されやすくなる。
図5(a)は、定着装置20の定着ベルト幅方向(軸方向)端部側の斜視図である。図5(b)は定着装置20の定着ベルト幅方向(軸方向)端部側の平面図である。図5(c)は定着装置20を定着ベルト幅方向(軸方向)から見た、ニップ部Nよりも端部側における定着装置の断面図である。
なお、図5(a)〜図5(c)では、定着装置20の定着ベルト幅方向(軸方向)片側の端部の構成のみを図示している。しなしながら、定着装置20の反対側の端部も同様の構成となっているので、以下、図5に基づき、定着装置20の定着ベルト幅方向(軸方向)片側の端部の構成についてのみ説明する。
図5(a)や図5(b)に示すように、定着ベルト21の幅方向端部にはベルト保持部材であるフランジ40が挿入されており、定着ベルト21の幅方向端部は、このフランジ40によって回転可能に保持されている。なお、フランジ40は、定着ベルト21の寄り止めガイド部と定着ベルト21の回転ガイド部とからなる。
図5(c)に示すように、フランジ40は、ニップ部の位置(ニップ形成部材24を配設した位置)で開口したC字形に形成されている。また、ステー25の端部は、フランジ40に固定され位置決めされている。
図5(a)や図5(b)に示すように、定着ベルト21の端面とそれに対向するフランジ40の対向面との間には、定着ベルト21の幅方向端部を保護する保護部材としてのスリップリング41が設けられている。
定着ベルト21の寄り止めガイド部は非回転のため、定着ベルト21の端部との接触、回転に伴って摩耗が生じるので、定着ベルト21の回転に伴って回転可能なスリップリング41を、定着ベルト21と寄り止めガイド部との間に備える。このことにより、定着ベルト21に幅方向(軸方向)の寄りが生じた場合に、定着ベルト21の端部が寄り止めガイド部に直接当接するのを防止することができ、定着ベルト21の端部の摩耗や破損を防ぐことができる。
また、スリップリング41は、フランジ40の外周面に対して余裕を持って嵌められている。このため、定着ベルト21の端部がスリップリング41に接触した際に、スリップリング41は定着ベルト21と連れ回り可能となっているが、スリップリング41が連れ回りせず、静止していても構わない。
スリップリング41の材料としては、耐熱性に優れた所謂スーパーエンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)、例えば、PEEK、PPS、PAI、PTFE等を適用することが好ましい。
また、フランジ40、ハロゲンヒータ23及びステー25は、定着装置20の側板に固定支持されている。
なお、図示省略するが、定着ベルト21の軸方向両端部には、定着ベルト21とハロゲンヒータ23との間に、ハロゲンヒータ23からの熱を遮蔽する遮蔽部材が配設されている。これにより、特に、連続通紙時の定着ベルトの非通紙領域における過剰な温度上昇を抑制することができ、定着ベルトの熱による劣化や損傷を防止することができる。
また、本実施形態では定着ベルト21の内周面と接触する部材は、フランジ40とニップ形成部材24のみであり、これら部材以外に定着ベルト21の内周面と接触して回転をガイドするようなベルトガイドは存在しない。
以下、図4を参照しつつ、本実施形態に係る定着装置20の基本動作について説明する。
プリンタ本体の電源スイッチが投入されると、ハロゲンヒータ23に電力が供給されると共に、加圧ローラ22が図4中の時計回りに回転駆動を開始される。これにより、定着ベルト21は、加圧ローラ22との摩擦力によって、図4中の反時計回りに従動回転する。
その後、上述の画像形成工程により未定着のトナー画像Tが担持された用紙Pが、不図示のガイド板に案内されながら図4の矢印F1方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ22のニップ部Nに送入される。そして、ハロゲンヒータ23によって加熱された定着ベルト21による熱と、定着ベルト21と加圧ローラ22との間の加圧力とによって、用紙Pの表面にトナー画像Tが定着される。
トナー画像Tが定着された用紙Pは、ニップ部Nから図4中の矢印F2方向に搬出される。このとき、用紙Pの先端が分離部材28の先端に接触することにより、用紙Pが定着ベルト21から分離される。その後、分離された用紙Pは、上述のように、排紙ローラ13(図2参照)によって機外に排出され、排紙トレイ14(図2参照)にストックされる。
また、本実施形態のような反射部材26を設けずに、ステー25のハロゲンヒータ23側の面を研磨または塗装などの鏡面処理をし、反射面を形成してもよい。さらに加えて、反射部材26またはステー25の反射面の反射率は、90[%]以上であることが望ましい。
ただし、ステー25はその強度を確保するために形状や材質が自由に選択できない。このため、本実施形態のように反射部材26を別途設けた方が、形状や材質の選択の自由度が広がり、反射部材26とステー25はそれぞれの機能に特化することができる。また、反射部材26はハロゲンヒータ23とステー25との間に設けられることにより、ハロゲンヒータ23に対する反射部材26の位置が近くなるので、定着ベルト21を効率良く加熱することが可能となる。
ここで、図9を用いて従来構成の定着装置について生じ得る問題について説明する。
図9に示す従来構成の定着装置では、ニップ部Nよりも定着ベルト幅方向両端側で、定着ベルト21と摺動シート29との間に隙間があり、定着ベルト21と摺動シート29とが接触していない。
この隙間が発生する理由としては、次の通りである。ニップ部Nにおいては、加圧ローラ22により定着ベルト21及び摺動シート29が加圧されているが故に、定着ベルト21と摺動シート29との間には隙間がない。一方、ニップ部Nよりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部では、加圧ローラ22により定着ベルト21及び摺動シート29が加圧されない。そして、このように加圧ローラ22によって加圧されない場所では、定着ベルト21を押圧する力が作用しない。そのため、定着ベルト21は元の形状である円筒形状を維持しようとし、その結果、非ニップ部で定着ベルト21と摺動シート29とが接触せず、両者間に隙間が発生する。
つまり、ニップ部Nでは、図4からわかるように加圧ローラ22により定着ベルト21が押圧されるので、ニップ形成部材24に設けられた摺動シート29に接触するような形状へと定着ベルト21が変形する。
一方、非ニップ部では、定着ベルト21と加圧ローラ22とが対向しておらず、図5(c)からわかるように定着ベルト21は変形せず、フランジ40の形状にならう形にある。そのため、非ニップ部では、ニップ形成部材24に設けられた摺動シートと定着ベルト21とが接触せず、定着ベルト21と摺動シートとの間に隙間が生じている。
そのため、ニップ部Nで加圧ローラ22により摺動シート29が押圧されることで、摺動シート29に含浸された潤滑剤が定着ベルト幅方向両端側へ押し出され、非ニップ部に定着ベルト21と摺動シート29との間に形成された隙間に溜まってしまう。
そして、この溜まった潤滑剤は、定着ベルト21が回転した際に定着ベルト21の幅方向両端を支持するフランジ40を伝って、経時で定着ベルト21の幅方向両端部から漏洩してしまっていた。
次に、本実施形態に係る画像形成装置1に設けられた定着装置20の特徴部について説明する。
[構成例1]
図1は構成例1に係る定着装置20において、ニップ形成部材24が定着ベルト21の内面側に設置され、ニップ形成部材24のベースパッド241と定着ベルト21との間に摺動シート29が設けられた状態を示している。
図1からわかるように、本構成例の定着装置20においては、ニップ部Nよりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、定着ベルト21の内面と摺動シート29との間に隙間がなく、定着ベルト21の内面と摺動シート29とが接触している。
本構成例では、図1に示すように、摺動シート29の厚みを定着ベルト幅方向で中央部よりも両端部を厚くすることにより、非ニップ部で定着ベルト21の内面と摺動シート29との間に隙間が生じないようにしている。
このように、非ニップ部で定着ベルト21の内面と摺動シート29との間に隙間を生じさせず両者を接触させることにより、定着ベルト21の幅方向両端部に潤滑剤が溜まってしまうことなく、経時で潤滑剤が定着ベルト両端部から漏洩してしまうのを抑制できる。
[構成例2]
図6は構成例2に係る定着装置20において、ニップ形成部材24が定着ベルト21の内面側に設置され、ニップ形成部材24のベースパッド241と定着ベルト21との間に摺動シート29が設けられた状態を示している。
本構成例においては、図6に示すように、定着ベルト21と加圧ローラ22とで形成されたニップ部Nよりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、ベースパッド241の形状が定着ベルト幅方向中央部よりも加圧ローラ側に出た凸形状を有している。これにより、摺動シート29の定着ベルト幅方向両端側は、ベースパッド241の凸形状にならって定着ベルト幅方向中央部よりも定着ベルト側に向かって曲るため、定着ベルト21の内面と摺動シート29とを接触させることができる。
よって、非ニップ部で定着ベルト21の内面と摺動シート29との間に隙間を生じさせず両者を接触させることにより、定着ベルト21の幅方向両端部に潤滑剤が溜まってしまうことなく、経時で潤滑剤が定着ベルト両端部から漏洩してしまうのを抑制できる。
[構成例3]
図7は構成例3に係る定着装置20において、ニップ形成部材24が定着ベルト21の内面側に設置され、ニップ形成部材24のベースパッド241と定着ベルト21との間に摺動シート29が設けられた状態を示している。
本構成例においては、図7に示すように、摺動シート29を定着ベルト幅方向において、ニップ部Nに対応する箇所と、ニップ部Nと対応しない箇所とで、摺動シート29aと摺動シート29bとに分割している。
定着ベルト幅方向でニップ部N内にある摺動シート29aと、定着ベルト幅方向で非ニップ部内にある摺動シート29bとは、厚みのみ異なる同質の材料でも良いが、この限りではなく、異なる材料からなる別部材でも良い。
摺動シート29aと摺動シート29bとを別部材とする場合には、摺動シート29aよりも摺動シート29bのほうが、多くの潤滑剤を含浸させることのできる特性とするのがより望ましい。
つまり、「摺動シート29bの潤滑剤保持能力>摺動シート29aの潤滑剤保持能力」の関係を満たすことで、潤滑剤の漏洩を防ぐ能力を高めることができるため望ましい。
ニップ部N外であれば、加圧ローラ22によって定着ベルト21が押圧されないため、定着ベルト21の内面と摺動シート29bとの間の摩擦抵抗は、定着ベルト21の内面と摺動シート29aとの間の摩擦抵抗よりも低くなる。そのため、摺動シート29aに比べて摺動シート29bの表面性(摺動性、表面粗さ)は、それほど良好である必要がなく、摺動シート29bに用いる材料として、より多くの種類の材料を選択することができる。
また、摺動シート29bに用いる材料としては、潤滑剤の保持力がより高いもののほうが、潤滑剤の漏洩を抑制することができるため、この特性を優先して材質の選定をすることが望ましい。シート材としては、PTFEや耐熱樹脂を含んだ繊維状物質を編みこんでシート状にしたものが挙げられ、耐熱性が得られるとともに、潤滑剤を経時でも保持することができため摺動性にも優れ、望ましい。
[構成例4]
図8は構成例4に係る定着装置20において、ニップ形成部材24が定着ベルト21の内面側に設置され、ニップ形成部材24のベースパッド241と定着ベルト21との間に摺動シート29が設けられた状態を示している。
本構成例においては、図8に示すように、ニップ部Nよりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、摺動シート29の定着ベルト21と接触する面とは反対側の面である裏面に、摺動シート29とは別の摺動シート29cを設けている。
すなわち、非ニップ部の摺動シート29とベースパッド241との間に、摺動シート29とは別の摺動シート29cを設けている。これにより、摺動シート29の定着ベルト幅方向両端部の厚みが増加したことと同等となる。そのため、非ニップ部内にある摺動シート29の定着ベルト幅方向両端部が、ニップ部N内にある定着ベルト幅方向中央部よりも定着ベルト21の内面側に出て、非ニップ部で定着ベルト21の内面と摺動シート29とを接触させることができる。
図8においては、摺動シート29とベースパッド241との間に、摺動シート29とは別部材の摺動シート29cを設けているが、摺動シート29と摺動シート29cとは全く同じ部材であっても良いが、これに限るものではない。すなわち、摺動シート29とは別材質や別特性を有するシート部材を摺動シート29cとして用いても良い。
摺動シート29cを摺動シート29とは別特性とする場合には、摺動シート29よりも潤滑剤の保持能力が高い材料とすることで、潤滑剤の漏洩を防ぐ能力を高めることができるため望ましい。
また、摺動シート29cは、相手部材である摺動シート29やベースパッド241と摺擦することがないので、表面性や摺動性については特に高い能力を要求されることはなく、様々な種類の材質を選定することが可能である。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
回転可能な無端状の定着ベルト21などの定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱するハロゲンヒータ23などの加熱手段と、前記定着ベルトの外周面と当接する加圧ローラ22などの加圧部材と、ベースパッド241などの基材の表面に定着ベルトの内周面と摺擦する、潤滑剤が含浸された摺動シート29などのシート部材を有し、定着ベルトの内周側に配置され定着ベルトを介して加圧部材と当接しニップ部を形成するニップ形成部材24などのニップ形成部材と、定着ベルトの幅方向両端部の内周面と接触可能に設けられ、定着ベルトの回転をガイドするフランジ40などのガイド部材とを備えた定着装置20などの定着装置において、ニップ形成部材は加圧部材よりも定着ベルト幅方向で長尺であり、ニップ形成部材の厚みは、ニップ部よりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部のほうが、ニップ部よりも厚い。これよれば、上記実施形態について説明したように、シート部材に含浸させた潤滑剤が定着ベルト幅方向両端部から漏洩し、経時でシート部材の潤滑機能が低下するのを抑制できる。
(態様B)
(態様A)において、上記シート部材の定着ベルト幅方向で非ニップ部内にある部分の厚さが、シート部材の定着ベルト幅方向でニップ部内にある部分の厚さよりも厚い。これによれば、上記実施形態について説明したように、ニップ部よりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、定着ベルトの内面とシート部材とを接触させることができる。
(態様C)
(態様A)において、上記基材の定着ベルト幅方向で非ニップ部内にある部分が、基材の定着ベルト幅方向でニップ部内にある部分よりも加圧部材側に出ている。これによれば、上記実施形態について説明したように、ニップ部よりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、定着ベルトの内面とシート部材とを接触させることができる。
(態様D)
(態様A)において、上記シート部材の定着ベルト幅方向の長さは、上記ニップ部の定着ベルト幅方向の長さよりも長く、上記定着ベルトの定着ベルト幅方向の長さよりも短い範囲にあり、上記非ニップ部に前記シート部材よりも厚い、シート部材とは別の摺動シート29bなどのシート部材を設けた。これによれば、上記実施形態について説明したように、ニップ部よりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、定着ベルトの内面とシート部材とを接触させることができる。
(態様E)
(態様D)において、定着ベルト幅方向でニップ部内にある摺動シート29aなどのシート部材よりも、定着ベルト幅方向で非ニップ部内にある摺動シート29bなどのシート部材のほうが、潤滑剤の保持能力が高い。これによれば、上記実施形態について説明したように、潤滑剤の漏洩を防ぐ能力を高めることができる。
(態様F)
(態様A)において、上記非ニップ部で上記定着ベルトと上記シート部材との間に、前記シート部材とは別の摺動シート29cなどのシート部材を設けた。これによれば、上記実施形態について説明したように、ニップ部よりも定着ベルト幅方向両端側の非ニップ部で、定着ベルトの内面とシート部材とを接触させることができる。
(態様G)
感光体5などの像担持体と、像担持体上にトナー像を形成する作像部4などのトナー像形成手段と、前記トナー像を前記像担持体上から用紙Pなどの記録媒体上に転写する転写装置3などの転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる定着装置20などの定着手段とを備えた画像形成装置1などの画像形成装置において、前記定着手段として、(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)などの定着装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、シート部材に含浸させた潤滑剤が定着ベルト幅方向両端部から漏洩し、経時でシート部材の潤滑機能が低下するのを抑制し、良好な画像形成を行うことができる。