JP6693268B2 - 定着装置、画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタなどの静電記録式画像形成装置に使用される定着装置に関し、より具体的には無端状の定着部材と加圧部材間にニップを形成し、前記ニップを通る被定着材に対し定着処理を行う定着装置、その定着装置を搭載した画像形成装置に関するものである。
プリンタ、複写機、ファクシミリなど、定着装置を備えた画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化や画像形成の高速化についての市場要求が強くなってきている。この画像形成装置では、電子写真記録、静電記録、磁気記録などの画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式により未定着トナー画像が記録材シート、印刷紙、感光紙、静電記録紙などの記録媒体に形成される。この画像形成装置においては、記録媒体に形成された未定着トナー画像は、定着装置により加熱、加圧されて記録媒体に定着するようになっている。定着装置としては、市場要求を満たすよう、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式などの接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
このような定着装置の一例として、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されるニップ部を、未定着像が形成された記録媒体が通過することにより記録媒体の未定着像を定着させるベルト方式の定着装置が知られている。また、セラミックヒータなどの熱源からの熱を、フィルムを介して記録媒体に与えるフィルム定着やサーフ定着による定着装置も知られている。
ベルト方式の定着装置では、近年、さらなるウォームアップ時間(電源投入時など、常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)になるまでに要する時間)の短縮化が望まれている。また、ファーストプリント時間(印刷要求を受けた後、印刷準備を経て印字動作を行い、記録媒体を排出するいわゆる排紙が完了するまでの時間)の短縮化も望まれている。また、画像形成装置においては、その高速化に伴い、単位時間当たりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷の始めに熱量が不足するいわゆる、温度落ち込みが問題となっている。
このウォームアップ時間やファーストプリント時間の短縮化を図る方法として、セラミックヒータの熱を、フィルムを介して記録媒体に与えるサーフ定着が挙げられる。このサーフ定着を採用した定着装置においては、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化、小型化を可能とし短縮化が図られる。
しかしながら、サーフ定着を採用した定着装置は、ニップ部のみを局所加熱しているため、その他の部分が加熱されておらず、ニップ部の記録媒体が進入する入口部分において、定着ベルトは最も冷えた状態にあるため、定着不良が発生し易くなるという問題がある。特に、高速の画像形成装置においては、定着ベルトの回転が速く、ニップ部以外での定着ベルトの放熱が多くなるため、より定着不良が発生し易くなるという問題がある。
以上のような温度落ち込みや定着不良の問題を解決するために、無端状のベルトで定着ベルトを構成する定着装置が提案されている。この無端状のベルトで定着ベルトを構成する定着装置は、定着ベルトと、パイプ状の金属熱伝導体と、ヒータからなる熱源と、定着ベルトを介して金属熱伝導体に接してニップ部を形成する加圧ローラとを有している。この定着装置においては、金属熱伝導体が定着ベルトの内部に、定着ベルトの移動をガイドすることが可能に設けられるとともに、金属熱伝導体の内部に熱源が設けられており、定着ベルトは熱源により加熱されるようになっている。この定着ベルトは、加圧ローラの回転により連れ回るようにして周方向に移動するようになっている。
この構成により、定着ベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリント時間を短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することを可能とし、良好な定着性を得ることができるようにしている。
しかしながら、更なる省エネルギー化およびファーストプリント時間の短縮のためには熱効率を更に向上させる必要がある。このような要請に応えるべく、無端状の定着ベルトを、金属熱伝導体を介して間接的に加熱する構成から、定着ベルトを、金属熱伝導体を介さずに、直接加熱する構成の定着装置が提案されている。この定着ベルトの直接加熱による定着装置では、伝熱効率が向上し消費電力が低減されるとともに、加熱待機時からのファーストプリント時間が更に短縮されることになる。また、金属熱伝導体レスによりコストダウンも可能となる。
このように直接加熱されるとともに高速で回転する無端状の定着ベルトの場合、定着ベルトの内周面に潤滑剤を塗布することにより、ニップ部における定着ベルトの内周面の接触抵抗を低減させ、定着ベルトの滑り性や耐久性を高めるようにしている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、従来の直接加熱される定着ベルトの定着装置においては、塗布された潤滑剤が記録媒体の搬送方向に直交する幅方向に移動し、幅方向の端部から漏れ出してしまい、この端部から潤滑剤が漏れてしまうと、定着装置の汚損や潤滑剤の不足によるトルクの上昇のおそれがあるという問題がある。
また、より高速化、高寿命化のために定着ベルト内面との摺動抵抗を低減させ、トルクを低減させる必要がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、定着ベルトの摺動抵抗を低く保ちつつ、潤滑剤の漏れを防止することができる、高い耐久性を有する定着装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る定着装置は、回動可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する熱源と、前記定着ベルトの内部に配置される非回転のニップ形成部材と前記定着ベルトの外周面に当接しニップを形成する加圧部材とを備え、未定着画像を、前記ニップを通して定着させる定着装置において、前記非回転のニップ形成部材には潤滑剤を含浸させた織物からなる低摩擦部材を摺動部材として備え、前記織物の糸は編み目を有する糸を用いてなり、前記織物を構成する糸は筒状に編み込まれている、ことを特徴とする定着装置として構成される。
本発明によれば、定着ベルトの摺動抵抗を低く保ちつつ、潤滑剤の漏れを防止することができる、高い耐久性を有する定着装置を提供することができる。
本実施形態に係る定着装置を備えたカラー画像形成装置の断面を示す模式図である。 本実施形態に係る定着装置の定着ベルトおよび加圧ローラを示す断面図である。 本実施形態に係る定着装置のニップ形成部材、低摩擦部材および定着ベルトの拡大断面図である。 従来の定着装置の図であり、(a)は、ニップ形成部材および低摩擦部材の断面図を示し、(b)は、低摩擦部材の正面図及び低摩擦部材に使用の糸の例を示す。 本実施形態に係る定着装置の図であり、低摩擦部材の正面図、及び実施例2で用いる糸の中心部に空間を設けた糸の例を示す。 本実施形態に係る定着装置の図であり、低摩擦部材の正面図、及び実施例2で用いる糸の中心部に空間を設けた糸の例を示す(断面図)。 本発明の実施形態に係る定着装置の図であり、低摩擦部材の正面図、実施例3を示す。 本発明の実施形態に係る定着装置の図であり、低摩擦部材の正面図、実施例3を示す(変形例)。 本発明の実施形態に係る定着装置の図であり、低摩擦部材の正面図、実施例6を示す。 本発明の実施形態に係る定着装置の図であり、低摩擦部材の正面図、実施例7を示す。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる定着装置、及び画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置をカラー画像形成装置1に適用した場合について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るカラー画像形成装置1は、装置本体2と、光書込装置3と、プロセスユニット4と、転写装置5とを含んで構成されている。カラー画像形成装置1は、さらに、ベルトクリーニング装置6と、シート給送装置7と、排紙トレイ8と、レジストローラ9と、定着装置10とを含んで構成されている。
このカラー画像形成装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)およびブラック(Bk)の各色に色分解された色にそれぞれ対応する画像を形成する像担持体からなる感光体ドラムが並設されたタンデム構造で構成されている。なお、本発明に係る画像形成装置は、タンデム構造に限定されることはなく、他の構造であってもよい。また、本発明に係る画像形成装置は、カラー画像形成装置1に限定されることはなく、他の画像形成装置であってもよい。例えば、複写機やファクシミリ装置であってもよい。
装置本体2は、各構成要素を収容する筐体で構成されており、シート給送装置7に収容された記録媒体としての記録紙Sを搬送する搬送経路Rが筐体内部に形成されている。
装置本体2の排紙トレイ8の下部には、イエロー、シアン、マゼンダおよびブラックの各色のトナーが充填されたトナーボトル2aY、2aC、2aM、2aBkが着脱可能に装着されている。また、装置本体2の内部には、図示しない廃トナー収容器が設けられており、その入り口部には、トナー移送ホースが接続され、トナー移送ホースから入った廃トナーが収容されるようになっている。
光書込装置3は、光源としての図示しない半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび回転多面鏡を含んで構成されている。
この光書込装置3は、プロセスユニット4に対して色毎に対応した書き込み光Lbを照射してプロセスユニット4に静電潜像を形成するよう構成されている。照射されるレーザー光に含まれる画像情報は、所望のフルカラー画像をイエロー、シアン、マゼンダおよびブラックの各色情報に分解した単色の画像情報で構成されている。
プロセスユニット4は、プロセスユニット4Y、4C、4M、4Bkの4つのプロセスユニットで構成されている。プロセスユニット4Yは、感光体ドラム4dと、帯電ローラ4rと、現像装置4gと、クリーニングブレード4bとを有している。このプロセスユニット4Yは、帯電、光書込、現像、転写、クリーニングおよび除電が順に行われるよう構成されている。
このプロセスユニット4Yにおいては、まず、帯電ローラ4rにより感光体ドラム4dに静電気を蓄える帯電がなされ、帯電した感光体ドラム4dの表面へ光書込装置3による光書込がなされ、感光体ドラム4dに静電気のパターンからなる静電潜像が形成される。そして、現像装置4gにより感光体ドラム4d上の静電潜像にイエロートナーの付着、すなわち現像がなされトナー像が形成され、転写装置5へトナー像が形成される転写が行われる。そして、次の転写に備えて、クリーニングブレード4bにより感光体ドラム4d上に残ったトナーが取り除かれ、さらに、感光体ドラム4d上に残った静電気が取り除かれる除電が行われる。
感光体ドラム4dは、円筒形の表面に、無機や有機の感光体からなる感光層を有しており、帯電ローラ4rは、感光体ドラム4dに近接して配置され感光体ドラム4dとの間の放電により感光体ドラム4dを帯電させるようになっている。
現像装置4gは、イエロートナーを供給する供給部分と、感光体ドラム4dにイエロートナーを付着させる現像部分により構成されている。クリーニングブレード4bは、ゴムなどの弾力性のある帯状部材とブラシなどのトナー除去部材とを有している。現像装置4gは、装置本体2に着脱可能に収容されている。
プロセスユニット4C、4M、4Bkも、それぞれプロセスユニット4Yと同様に構成されている。プロセスユニット4Cは、シアンのトナー像を、プロセスユニット4Mは、マゼンダのトナー像を、プロセスユニット4Bkは、ブラックのトナー像をそれぞれ転写装置5に転写するようになっている。
転写装置5は、転写ベルト5aと、駆動ローラ5bと、従動ローラ5cと、一次転写ローラ5dと、二次転写ローラ5eとを有している。転写ベルト5aは、端末の無いいわゆる無端状のベルトから構成されており、駆動ローラ5bと従動ローラ5cと間に張力がかかった状態で掛け渡されている。また、転写ベルト5aは、駆動ローラ5bおよび従動ローラ5cにより、図の矢印A1の方向に回転可能、すなわち周回走行可能に構成されている。
一次転写ローラ5dは、プロセスユニット4Yの感光体ドラム4dを転写ベルト5aを介して押し付ける一次転写ローラ5dYと、プロセスユニット4C、4M、4Bkの感光体ドラム4dを同様に押し付ける一次転写ローラ5dC、5dM、5dBkを有している。プロセスユニット4Y、4C、4M、4Bkと押し付けられた転写ベルト5aとの接触部分に、それぞれ一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ5eは、転写ベルト5aの外周面を介して押し付けることにより駆動ローラ5bを押し付けており、二次転写ローラ5eと転写ベルト5aとの接触部分に、二次転写ニップが形成されている。
ベルトクリーニング装置6は、二次転写ニップとプロセスユニット4Yとの間に配置されている。このベルトクリーニング装置6は、二次転写ニップにおける転写の際に、転写ベルト5aの外周表面に残ったトナーを取り除く図示しないトナー除去部材と、除去された廃トナーを廃トナー収容器に移送するトナー移送ホースとを有している。
シート給送装置7は、装置本体2の下部に配置されており、記録紙Sを収容する給紙カセット7aと、給紙ローラ7bとを有している。シート給送装置7においては、給紙ローラ7bにより給紙カセット7aから記録紙Sが1枚ずつ取り出され搬送経路Rに送り出すようになっている。
排紙トレイ8は、光書込装置3の上方で装置本体2の上部に配置されており、記録された記録紙Sを収容するトレイ8aと、一対の排紙ローラ8bとを有している。
排紙トレイ8においては、一対の排紙ローラ8bにより搬送経路Rから排出された記録紙Sをトレイ8aに1枚ずつ順次載せて重ね合わせるようになっている。
レジストローラ9は、一対のローラを有しており、シート給送装置7の給紙ローラ7bにより送り出され搬送経路Rにある記録紙Sの搬送を調節するよう構成されている。
搬送経路R上のレジストローラ9と給紙ローラ7bとの間で、図示しないレジストセンサが装置本体2に配置されており、記録紙Sの先端部分の通過が検知されるようになっている。このレジストセンサが記録紙Sの先端部分の通過を検知した後、所定時間が経過すると、記録紙Sはレジストローラ9に突き当てられて一端停止する。このレジストローラ9は、突き当てられた記録紙Sを所定のタイミングで挟み込んで回転し、二次転写ニップまで搬送するようになっている。所定のタイミングとしては、例えば、転写ベルト5aの回転によりフルカラーで重ね合わさったトナー画像が二次転写ニップの位置まで搬送された時機が挙げられる。
定着装置10は、図2に示すように、定着ベルト21と、加圧ローラ22と、ヒータ23と、ニップ形成部材24と、低摩擦部材25と、支持部材26と、保持部材27と、反射部材28と、遮光部材29と、ベルト保護部材31とを含んで構成されている。定着装置10は、定着ベルト21などの構成要素における定着温度などの温度制御を実行させる図示しない制御部を有している。なお、第1実施形態における定着ベルト21、加圧ローラ22およびヒータ23は、それぞれ本発明に係る定着装置の定着ベルト、加圧部材および熱源を構成している。
この定着装置10においては、トナー画像が転写された記録紙Sが、定着ベルト21と加圧ローラ22との間に形成されるニップ部Nを通過中に加熱および加圧されてトナー画像が記録紙Sに定着されるようになっている。そして、記録紙Sが、ニップ部Nから排出される際に定着ベルト21から分離し、搬送経路Rを通って排紙ローラ8bに向かって搬送されるようになっている。
定着ベルト21は、ベルト基材21aと、ベルト基材21aの外周面に形成された弾性層21bと、弾性層21bの外周面に形成された離型層21cとを有している。定着ベルト21は、厚みが1mm程度で形成され可撓性を有している。定着ベルト21は、外周面を通過する記録紙Sの幅方向に細長く形成され、幅方向に直交する断面が直径25mm程度になるよう環状に形成されている。
なお、定着ベルト21においては、弾性層21bのない構造であってもよい。弾性層21bがない場合は定着ベルト21の熱容量が小さくなり、熱応答および省エネ性を向上させることができる。定着ベルト21における前述の直径は、定着装置10の設定諸元に応じて適宜15〜120mm程度の範囲内の寸法で選択される。
定着ベルト21は、加圧ローラ22の矢印B1方向の回転に連れ回り、矢印B2方向に回転するようになっている。したがって、この定着ベルト21は、加圧ローラ22を駆動源としている。定着ベルト21および加圧ローラ22の回転により、記録紙Sは、ニップ部Nに対して矢印B3方向に進入しニップ部Nから排出されるようになっている。
ベルト基材21aは、所要の機械的強度を有する材料、例えば、ニッケル(Ni)、ステンレス鋼(SUS)などの金属材料や、ポリイミド(Polyimide)などの樹脂材料で形成されている。このベルト基材21aは、20〜100μm程度の厚みを有する金属フィルムや樹脂フィルムで形成されている。弾性層21bは、シリコーンゴム(Q)やフッ素ゴム(FKM)などのゴム材料で形成されており、20〜900μm程度の厚みを有している。この弾性層21bが設けられていると、ニップ部Nを通過中の記録紙Sに熱および圧力を加える際に、記録紙Sおよび定着ベルト21の表面に凹凸があることによる加圧力および熱伝導の不均一化が改善される。
すなわち、記録紙S上の未定着像を押し潰して記録紙Sに定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じることがある。弾性層21bが、例えば、100μm以上設けられていると、弾性層21bの変形により、微小な凹凸が吸収されこのようなユズ肌画像の課題を解消させることができる。離型層21cは、記録紙Sおよびトナー画像に対する剥離性が高い材料、すなわち、トナーや金型などの製品の表面で、相手材料の粘着や焼付きを起こさないようにする性質、いわゆる離型性を良好とする材料で形成されている。離型性を良好とする材料として、具体的には、PFA(Tetra Fluoro ethylene-perfluoro Alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly Tetra Fluoro Ethylene)、PEI(Poly Ether Imide)、PES(Poly Ether Sulphone)などの樹脂材料が挙げられる。この離型層21cは、1〜200μmの厚みで形成されている。
加圧ローラ22は、心金からなるローラ22aと、ローラ22aの外周面に形成された弾性層22bと、弾性層22bの外周面に形成された離型層22cを有している。この加圧ローラ22は、装置本体2内に設けられた図示しない駆動機構から出力された駆動力により回転するよう構成されている。この駆動機構は、例えば、モータなどの駆動部と減速ギヤなどの減速部とにより構成されている。また、この加圧ローラ22は、図示しない加圧部材により定着ベルト21側に加圧され、弾性層22bが押し潰されて弾性変形することによりニップ部Nの一部を構成している。
ローラ22aは、所要の機械的強度を有し、熱伝導性の良好な炭素鋼材(例えば、SC、STKM)やアルミニウム材(Al)などの金属材料からなり、中実の円柱形に形成されている。なお、ローラ22aは、中空の円筒形で形成し、内部にハロゲンヒータなどの熱源を設け、この熱源によりローラ22a、弾性層22b、離型層22cを介してニップ部Nを通過中の記録紙Sを加熱するよう構成してもよい。
弾性層22bは、定着ベルト21の弾性層21bと同様、シリコーンゴム(Q)やフッ素ゴム(FKM)などの合成ゴムで形成されている。この合成ゴムは、比較的硬質で発泡がされていない、いわゆるソリッドゴムで構成されている。ローラ22aの内部に、熱源が設けられていない構造で構成された場合には、この合成ゴムに代えて、発泡がなされ、発泡弾性層からなる、いわゆるスポンジゴムで構成するようにしてもよい。このスポンジゴムは、内部に気泡を有しているので、断熱性が高められ、加熱された定着ベルト21の熱が加圧ローラ22に伝熱され難くなり、すなわち熱が奪われ難くなるので省エネルギー化がより図られる。
離型層22cは、定着ベルト21の弾性層21bと同様、いわゆる離型性を良好とするとともに、弾性層22bの耐久性を高める機能を有し、熱伝導率が高く耐久性に富む材料で形成される。例えば、PEIやPFAまたはPTFEからなるフッ素樹脂塗料を塗布したもの、あるいはシリコーンゴム層やフッ素ゴム層を形成したものが用いられる。
ヒータ23は、定着ベルト21の内周側で、かつ定着ベルト21から離隔した位置で装置本体2に固定されている。このヒータ23は、定着ベルト21を輻射熱で直接加熱するよう単一の発光領域を有する公知の熱源で構成されている。この熱源としてはいわゆる輻射熱ヒータで構成され、例えば、ハロゲンランプの放射熱を直接利用したハロゲンヒータ、不活性ガス中に炭素繊維を封入した石英管で構成されるカーボンヒータ、セラミック内部に埋め込まれた抵抗配線で構成されるセラミックヒータが挙げられる。ヒータ23への通電および非通電の制御は、前述の制御部によって行われる。
なお、ヒータ23は、単一の発光領域を有する公知の熱源以外の熱源で構成するようにしてもよい。例えば、ヒータ23を、電磁誘導の原理を利用して発熱させる公知の電磁誘導加熱ヒータで構成するようにしてもよい。この電磁誘導加熱ヒータは、例えば、国際公開第2005/38533号に記載された加熱装置や特開2007−334205号公報に記載された加熱装置が挙げられる。これらの加熱装置は、具体的には、定着ベルトの外周側に配置され、励磁コイルおよびフェライトで形成されたコアからなる励磁装置を備えている。これらの加熱装置は、さらに、定着ベルトの内周側に配置され、定着ベルトを挟んでコアと対向する対向コアと、励磁装置を制御する制御ユニットを備えている。
この電磁誘導加熱ヒータにおいては、制御ユニットにより、励磁コイルに高周波の交番電流を流されると、励磁コイルの周囲に磁界が形成されて、定着ベルト21の金属からなるベルト基材21aに渦電流が生じる。渦電流が生じると、ベルト基材21a自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する、いわゆる相互誘導加熱により発熱する。
したがって、この場合、ベルト基材21aは、いわゆる発熱層となる。この発熱層は、例えば、10μm程度の厚みで形成され、比較的効率の良い銅(Cu)で形成されることが好ましい。このジュール熱によって、ベルト基材21a全体が加熱される。この電磁誘導加熱ヒータで構成される定着装置10は、少ないエネルギー消費と短い立ち上げ時間とで、定着ベルト21の表面温度、すなわち定着温度を所望の温度まで昇温させることができる。
ニップ形成部材24は、高い剛性を有する材料からなり、図2、図3に示すニップ部Nを通過する記録紙Sの幅方向に細長く形成され、幅方向に直交する断面が略長方形に形成されている。この定着ベルト21の内周側で加圧ローラ22と対向してニップ部Nを形成するようになっている。このニップ部Nは、平坦な形状で形成されているが、加圧ローラ22と反対方向に凹んだ凹形状や、その他の湾曲した形状で形成されていてもよい。ニップ部Nの形状は、凹形状の方が、記録紙Sの先端の排出方向が加圧ローラ22の側に寄る方向になるので、記録紙Sのニップ部Nからの分離性が向上し、いわゆるジャムの発生が抑制される。このニップ形成部材24の外周面には、低摩擦部材25が接合されるようになっており、支持部材26と連結される連結部24aを介して装置本体2に固定されている。
低摩擦部材25は、耐摩耗性、耐熱性、摩擦係数などの機械的強度の高い材料、例えば、PFA、PTFEなどの樹脂材料で構成されている。低摩擦部材25はその他にもPAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維等を用いることができる。これらの中でもピッチ系炭素繊維を用いることが好ましい。また、低摩擦部材25は、厚みが50μmないし2500μm程度のシートで構成されており、図3、図4(a)に示すように、ニップ形成部材24の外周面に密着して接合されている。なお、この低摩擦部材25は、PFA、PTFEなどの樹脂材料をニップ形成部材24の外周面に塗布して所定の厚みを有する膜を形成するようにしてもよい。
図4(a)に示すように、加圧ローラ22により加圧される加圧面部41と、定着ベルト21とによりニップ部Nが形成されている。
支持部材26は、ニップ形成部材24と同様に、記録紙Sの幅方向に細長く形成され、幅方向に直交する断面がヒータ23側に開口する溝で形成されている。この支持部材26は、ニップ形成部材24を支持する支持部26aと、ヒータ23および反射部材28を収容する収容部26bとを有している。支持部26aは、ニップ形成部材24の連結部24bに連結され、ニップ形成部材24が加圧ローラ22の加圧力によって紙幅方向に撓まないよう支持している。すなわち、記録紙Sの幅方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。支持部材26は、ニップ形成部材24と同様に、定着ベルト21の内周側に配置され、装置本体2に固定されている。
保持部材27は、定着ベルト21の外周側に配置され、装置本体2に固定されている。この保持部材27は、支持部材26の紙幅方向の両端部を保持する保持機能と、支持部材26の装置本体2に対する位置を決める位置決め機能とを有している。また、保持部材27は、回転走行する定着ベルト21の紙幅方向のズレが発生しないよう、定着ベルト21の紙幅方向の両端側を案内する走行ガイドとしての機能も有している。
反射部材28は、装置本体2に固定される固定部28aとヒータ23から出射される光を定着ベルト21の内周側に向けて反射する反射面部28bと、支持部材26を覆うカバー部28cとを有している。固定部28aは、紙幅方向の両端部に形成されており、両端部で装置本体2に固定されている。反射面部28bは、支持部材26とヒータ23との間に位置し、ヒータ23に対向する側でヒータ23を囲むよう湾曲した湾曲面を有している。
カバー部28cは、支持部材26の支持部26aの反対側で開口する開口部分の紙幅方向のほぼ全体を覆うよう構成されている。この反射部材28により、ヒータ23からの輻射熱などにより支持部材26が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギーの消費が抑制される。なお、反射部材28を備える代わりに、支持部材26の収容部26bの内周面に鏡面処理を行っても同様の反射効果を得ることが可能となる。また、支持部材26の収容部26bの内周面側を、ヒータ23から伝わる熱を断熱する断熱材で形成してもヒータ23の断熱効果を得ることが可能となる。
(実施例1)
本実施例において、摺動部材である摺動シートに低摩擦部材を用い、その低摩擦部材を構成する糸は編み目を有する糸である。従来、図4(b)に示したように、低摩擦部材に用いられる糸は、複数本の糸を撚り合わせたより糸(撚糸)や溶融押し出し機から細い孔が多数開いたノズルを用いて繊維形状に押し出す溶融紡績装置を用いる合成繊維糸などが用いられている(以下、従来糸と称する)。
今回、これらの従来糸を編むことで作成した糸(以下編み糸と称する)を織ることで作成した織物からなる低摩擦部材を用いる。
従来糸は、具体的にはPTFEやPFAなどのフッ素樹脂繊維、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維などが挙げられるが、これに限られず、織ることができる程度の柔軟性を有するものであれば、金属製の繊維であってもよい。
編み糸は縦糸61または横糸62のいずれかまたはその両方に用いることができる。編み糸の編み方としては、1本の従来糸を用いて編むこまあみやくさり編みなどでも良いし、複数の糸を用いて編むみつあみなどの編みでも良い。また、編み糸に用いる糸として従来糸に限られず、編み糸を更に編むことで編み糸を作成しても良い。このようにすることで、摺動シート幅方向の非ニップ部(加圧で押しつぶされない部分)では、編み目と編み目の間に潤滑剤を保持することができ、定着ベルトの抵抗摺動を低く保つことができる。ニップ部(加圧により押しつぶされる部分)では、脱圧の瞬間に加圧により押し出された潤滑剤が編み目と編み目の間にふたたび吸い取られるので、編み糸でない場合に比べ、潤滑剤の流出を防ぐことができる。もっとも、低摩擦部材は従来糸を織らずとも、斜め巻き結びや縦巻き結びによる構成としても良く、シート形状であればよい。
(実施例2)
本実施例では、図5Aのように、糸が中心に空間を設けるよう筒状に編みこんだ従来糸または編み糸を使用し、低摩擦部材を形成する。なお、従来糸は図4や6Aに示すものである。本実施例では、図5A右写真に示すように、筒状に編み込まれた中央部空間Cを有するように、従来糸または編み糸を編み込んでいる。上記空間は必ずしも円筒である必要は無く、楕円や四角の筒、あるいは多角形の多面体により構成される筒状の空間でも良い。すなわち、編み込まれた糸の内部に、長手方向に一定程度の空間が形成されるように編み込まれていればよい。また、上記空間は、編み込まれた糸の短手断面の中心部分にある必要はなく、例えば、図5B左に示すように、編み込まれた糸の短手断面を上部から見たときの片側(図では左斜め上側)に空間が片寄っていても良い。すなわち、編み込まれた糸により形成される周と同心円に空間Cが設けられていなくてもよい。また、空間Cは、図5B右に示すように、編み込まれた糸の長手方向で必ずしも連続している必要はなく、例えば、図5B中央に示すように、不連続であってもよい。ここで言う不連続というのは、各空間Cがそれぞれ独立しているということである。
このように、織物からなる摺動シートの糸は筒状の中心部に空間を設けた構成であるため、その中心部に潤滑剤を保持でき、より多くの潤滑剤を保持できる。そのため、経時でも摺動抵抗を低く保ち、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
従来は、摺動シートの潤滑剤保持量が小さく、経時で摺動抵抗が大きくなり、トルク上昇して寿命が短くなっていたが、本実施例では、織物からなる低摩擦部材の糸は筒状の中心部に空間を設けた構成のため、その中心部に潤滑剤を保持でき、より多くの潤滑剤を保持できる。そのため、経時でも摺動抵抗を低く保ち、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
(実施例3)
本実施例では、摺動方向の糸を編み糸とし、摺動方向と直交する方向の糸を従来糸とし、低摩擦部材を織る。図6Aに示すように、本実施例では、図5に示した場合と同様に、織り方としては、縦糸61と横糸62がそれぞれ等本ずつ上下直角に交わる織り方である。この例では、縦糸61および横糸62のうち、縦糸61を、実施例2のような筒状の編み糸により構成する。編み糸の太さは摺動シート幅方向ですべて同一である必要は無く、図6Bに示すように、摺動シート幅方向端部の糸を太くした縦糸61’とすることも可能である。この場合、端部からの潤滑剤もれの抑制に効果的である。端部の糸を太くすることとして、例えば、編み糸に用いる従来糸の本数を増やすことや、編み糸を構成する編み方を変えることが考えられる。もっとも、低摩擦部材はこれらの糸を織らずとも、斜め巻き結びや縦巻き結びにより織り物とする際に、従来糸と編み糸を組み合わせた構成としても良い。
従来は、摺動方向に対して直角方向(横糸長手方向)のどちらかの端部一方または両方に潤滑剤が流れ、潤滑剤がその端部からこぼれて摺動抵抗が大きくなり、トルク上昇を生じさせていた。
本実施例では、摺動シートに塗布された潤滑剤が染み出す場合、編み糸である縦糸61内部の筒状の空間に入っている潤滑剤は、その縦糸61の方向に沿って染み出す。このため、ベルトの回転とともに染み出した潤滑剤は元の位置に回収される。すなわち、従来糸である横糸62の方向には潤滑剤が染み出さず、再び、縦糸61に塗布され、潤滑剤が循環することとなる。また、従来糸である横糸62は、潤滑剤の保持量が少ないため、その長手方向に潤滑剤が染み出しにくく、上述した端部に潤滑剤は行き難い。したがって、その端部から潤滑剤のモレを防止し、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
(実施例4)
本実施例では、実施例3において、摺動方向の糸である縦糸61と摺動方向に直交する方向の糸である横糸62の太さを異ならせ、摺動方向の糸をより太くする。糸の太さを変える具体的な例としては、例えば、編み糸に用いる従来糸の本数を増やすことや、編み糸を構成する編み方を変えることが考えられる。縦糸61の太さは摺動シートの幅方向で異ならせても良い。この場合、一本の縦糸61の中で太さが異なる編み糸を用いれば、摺動シートの幅方向から見た場合、縦糸61の太さが一定となることがなくなる。また、常に上記幅方向の端部が中央部に比べ太くなるとは限らないため、定着スリーブとの接触面積が増え好ましい。
このように、摺動方向の糸が摺動方向に直交する方向の糸より太いため、摺動方向の糸が定着スリーブに強く接触する一方、上記直交する方向の糸は弱い接触のため、定着ベルトとの摺動抵抗を小さくできる。また、実施例3の場合と同様、筒状の空間に潤滑剤を保持することができるとともに、その潤滑剤は、その編み糸の方向に染み出すため、端部から潤滑剤のモレを防止し、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
(実施例5)
本実施例では、実施例3において、摺動方向の糸である縦糸61と摺動方向に直交する方向の糸である横糸62の質量を異ならせ、摺動方向の糸をより重くする。糸の質量に変化をつけることとして、例えば、縦糸61として、編み糸の編み目密度をより細かくすることや横糸62である従来糸より重量の重い糸を用いて編み糸を構成する方法がある。なお、ここで言う「重量」は平均重量のことであるので、縦糸61を構成する織り糸1本1本が横糸62である従来糸1本1本より重い必要は無い。平均して重量が重ければ潤滑剤を保持する能力が高いからである。
このように、摺動方向の糸が直交方向の糸より単位長さあたりの質量が大きいので、摺動方向の糸の潤滑剤の保持量が大きく、摺動シートから潤滑剤が染み出す場合、摺動方向への染み出しの方が大きくなる。したがって、実施例3の場合と同様に、ベルトの回転とともに潤滑剤は元の位置に回収され、端部から潤滑剤のモレを防止し、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
(実施例6)
本実施例では、実施例3において、図7に示すように、定着ベルト側に露出する面積を、摺動方向に対して平行に配置される編み糸である縦糸61のほうが、直交に配置される従来糸である横糸62に比べて露出面積が多くなる(つまり縦糸61が横糸62よりも長くなる)ように低摩擦部材を織る。例えば、摺動方向に対して平行な縦糸61が横糸62に対して多く露出するため、縦糸61の編み目の長さを従来糸である横糸62の編み目の長さよりも長くなるように、低摩擦部材を織る。または、横糸62の比率が縦糸61に対して少なく露出するように、縦糸61の編み目の長さを横糸62の編み目の長さよりも短くなるように、低摩擦部材を織ってもよい。
このように、摺動方向の糸がその直交方向の糸より長くなるため、摺動方向の糸のほうがその直交方向の糸よりも多く定着スリーブに接触し、定着ベルトとの摺動抵抗を小さくしつつ、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
(実施例7)
本実施例では、実施例3において、図8に示すように、畳の一般的な織り方を真似て繊維を織り込んでいる。このような織り込み方法では、編み糸は摺動方向に平行な縦糸しか定着スリーブ側に出てこないため、摺動方向に直交する向き(白抜矢印B)への潤滑剤の移動はほぼ無くなる。畳の織り方では、摺動方向と直交する横糸62を、摺動方向に平行の編み糸である縦糸61に比べて太くすることや、複数本の糸を用いることで、強度を確保できる。
なお、畳の一般的な織り方に限られず、目積み織りという織り方を採用してもよい。この織り方は、縦糸の織り目一つに対して横糸が一箇所でよいため、一般的な織り方に比べて簡単に低摩擦部材を織ることができる。
このように、摺動方向の糸のみが露出して定着スリーブに接触するため、定着ベルトとの摺動抵抗を小さくすることができ、トルクの上昇を小さく抑えることができる。また、圧が加わった場合でも潤滑剤は摺動方向に染み出すので、実施例3の場合と同様、ベルトの回転とともに、潤滑剤は元の位置に回収され、端部から潤滑剤のモレを防止し、トルクの上昇を小さく抑えることができる。
(実施例8)
本実施例では、実施例1やその他の実施例において、織物を構成する糸の少なくとも一部をピッチ系炭素繊維としている。ピッチ系炭素繊維は従来のPTFE等の熱伝導率よりも良好な熱伝導率を有している。従来のPTFEの糸の熱伝導率が0.2〜0.4W/mK、PPS(Polyphenylenesulfide)の糸の熱伝導率が0.2〜0.5W/mKと悪いのに対し、ピッチ系炭素繊維は熱伝導率が100〜800W/mKと格段に良い。このため、ピッチ系炭素繊維を用いることにより、摺動シートの熱伝導率を良くできる。
また本実施例では、縦糸61の少なくとも一部をピッチ系炭素繊維とし、横糸62の少なくとも一部を従来糸としてもよい。これにより、摺動方向の熱伝導を向上させることができ、小サイズ通紙時の温度上昇を抑え、小サイズ生産性の低下を抑えることができる。
この場合、縦糸61として、全てをピッチ系炭素繊維としてもよいし、ピッチ系炭素繊維で編み込んだ糸と、従来糸で編み込んだ糸とを交互に配置してもよいし、ピッチ系炭素繊維の糸と従来糸を編み込んだ糸を用いてもよい。
またこの場合、横糸62として、全てを従来糸としてもよいし、ピッチ系炭素繊維の糸と従来糸を編み込んだ糸を用いてもよい。安価なPTFE等(従来糸)を用いることにより、コストを低減させることができる。この場合、安価なPTFE等を多く用いるほどコストがより低減される。なお、横糸62として従来糸を用いる場合、従来糸の中でも耐熱と強度のある糸を用いることが好ましい。
本実施例によれば、摺動方向の熱伝導を向上させることができ、小サイズ通紙時の温度上昇を抑え、小サイズ生産性の低下を抑えることができる。また、定着ベルトとの摺動性向上、トルク低減、定着ベルトの磨耗低減が期待できる。また、安価なPTFE等を用いることにより、コストを低減させることができる。
なお、上記各実施例では、摺動部材が従来用いられる素材を用いたシート形状である場合について説明したが、これに限られず、多孔質で可撓性を有する樹脂シートや樹脂板のように、オイルを保持することができる性質を有する部材であってもよい。また、上記実施例1〜7に示した構成を、適宜組み合わせて実施してもよい。
1、カラー画像形成装置(画像形成装置)
10、100、200 定着装置
21、定着ベルト
22、加圧ローラ(加圧部材)
23、123、223 ヒータ(熱源)
24、74、124、224 ニップ形成部材
25、25A、75、125、225 摺動部材
41、41A、81 加圧面部
42、42A、43、43A、82、83 非加圧面部
52、第1の傾斜溝
54、56 第2の傾斜溝
61、縦糸
62、横糸
N、ニップ部(ニップ)
S、記録紙(記録媒体)
特開2014−164245号公報

Claims (9)

  1. 回動可能な無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する熱源と、前記定着ベルトの内部に配置される非回転のニップ形成部材と前記定着ベルトの外周面に当接しニップを形成する加圧部材とを備え、未定着画像を、前記ニップを通して定着させる定着装置において、
    前記非回転のニップ形成部材には潤滑剤を含浸させた織物からなる低摩擦部材を摺動部材として備え、前記織物の糸は編み目を有する糸を用いてなり、前記織物を構成する糸は筒状に編み込まれている、
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 請求項に記載の定着装置において、
    前記織物を構成する摺動方向の糸が筒状に編み込まれ、前記摺動方向と直交方向の糸が従来糸であり、
    前記従来糸は、編み目を有する糸ではない、
    ことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項に記載の定着装置において、
    前記摺動方向の糸が、前記摺動方向と直交方向の糸よりも太い糸で構成されている、
    ことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項に記載の定着装置において、
    前記摺動方向の糸が、前記摺動方向と直交方向の糸よりも単位長さあたりの質量が大きい糸で構成されている、
    ことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項に記載の定着装置において、
    前記摺動方向の糸が、前記摺動方向と直交方向の糸よりも露出するように、前記織物が織り込まれている、
    ことを特徴とする定着装置。
  6. 請求項に記載の定着装置において、
    前記摺動方向の糸のみが露出する織り方で前記織物が織り込まれている、
    ことを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の定着装置において、
    前記織物を構成する糸の少なくとも一部がピッチ系炭素繊維である、
    ことを特徴とする定着装置。
  8. 請求項に記載の定着装置において、
    前記織物を構成する摺動方向の糸の少なくとも一部がピッチ系炭素繊維であり、前記摺動方向と直交方向の糸の少なくとも一部が従来糸であり、
    前記従来糸は、編み目を有する糸ではない、
    ことを特徴とする定着装置。
  9. 請求項1からのいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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