JPH06194981A - 加熱装置 - Google Patents

加熱装置

Info

Publication number
JPH06194981A
JPH06194981A JP35777992A JP35777992A JPH06194981A JP H06194981 A JPH06194981 A JP H06194981A JP 35777992 A JP35777992 A JP 35777992A JP 35777992 A JP35777992 A JP 35777992A JP H06194981 A JPH06194981 A JP H06194981A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
heat
heating
fixing
fixing film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35777992A
Other languages
English (en)
Inventor
Daizo Fukuzawa
大三 福沢
Yasumasa Otsuka
康正 大塚
Motoi Kato
基 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP35777992A priority Critical patent/JPH06194981A/ja
Publication of JPH06194981A publication Critical patent/JPH06194981A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Surface Heating Bodies (AREA)
  • Control Of Resistance Heating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的の一つは、ガラスクロスフィル
ムを使用した場合でも、ニップ部における熱の逃げ、非
通紙部昇温によるフィルムのねじれを発生することのな
い加熱装置を提供することにある。 【構成】 加熱体とローラ間に耐熱性フィルムを張設し
て構成される加熱装置において、加熱体と直接接触する
フィルムの基層に、熱伝導性、耐久性に優れた直径約2
〜20μmのガラス繊維の細線をクロス状に略直行させ
て編み込み、厚さ20〜150μmのエンドレスフィル
ム状にしたガラスクロスフィルムを用い、横糸jが加熱
装置の長手方向と平行になるように配設し、横糸jには
ガラスでも比較的熱伝導率の高い石英ガラス等を、縦糸
kには横糸jのものと比べ熱伝導性がやや落ちるソーダ
ガラス、鉛ガラス等を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性のフィルムを介し
て記録材シート等の被加熱材に熱エネルギを付与する加
熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真を用いた複写機、プリン
タ、ファクシミリ等の画像出力装置の定着装置には、熱
ローラ方式が広く使われてきた。
【0003】この方式は、内部にヒータを備えた金属製
のローラと、それに圧接する弾性を持つ加圧ローラを基
本構成として、この一対のローラによりできる定着ニッ
プ部に記録材を通過させることにより、トナー像を加熱
・加圧して定着させるものである。
【0004】しかし、このような熱ローラ方式では、ロ
ーラの熱容量が大きいため、ローラ表面を定着温度まで
上げるのには非常に多くの時間を要していた。
【0005】またこのため、画像出力動作を速やかに実
行するためには、装置を使用していないときにもローラ
表面をある程度の温度に温調していなければならないと
いう問題があった。
【0006】そこでこれらの問題を解決するために考案
された定着方法として本出願人の先の出願に係る例えば
特開昭63-313182 号公報、特開平2-157878号公報に開示
の方式・装置等がある。
【0007】この方式を用いた装置は、通常、薄肉の耐
熱性フィルムと、このフィルムの一方面側に固定支持し
て配されたヒータと、他方面側にヒータに対向して配置
され、ヒータに対してフィルムを介して画像定着すべき
記録材を密着させる加圧部材とから成っている。
【0008】その代表例を図6に示す。図6において0
は加熱体であり、良熱伝導性基板1と、通電により発熱
する抵抗層2を有する。7はヒータを断熱支持するヒー
タ支持体、5はフィルム4を駆動する駆動ローラ、6は
従動ローラ、8は加圧ローラである。
【0009】また、図7に示すような、フィルム駆動ロ
ーラを加圧ローラと兼ねる構成の装置も考案されてい
る。
【0010】以上のようなフィルム加熱方式の定着装置
における定着動作は、フィルムを挟んでヒータと加圧部
材との圧接で形成される定着ニップ部に、記録材を通過
させることにより、記録材の顕画像担持体面をフィルム
を介してヒータで加熱して、未定着トナー像に熱エネル
ギを付与し、トナーを軟化・溶融させることで行なわれ
る。
【0011】このようなフィルム加熱方式の定着装置に
は、低熱容量のヒータを用いることができるため、従来
の熱ローラ方式に比べ、ウェイトタイムの短縮化(クイ
ックスタート)が可能となる。
【0012】また、クイックスタートができることによ
り、非プリント動作時の予熱が必要なくなり、総合的な
意味での省電力化も図ることができる。
【0013】しかしながら、上記フィルム加熱方式の加
熱装置の定着フィルムには、厚さ20〜40μmのポリイミ
ドの基材の外面に厚さ5 〜20μmのPTFEやPFAの
離型層をコートしたもの等が使われており、このような
構成では強度が充分でなく、また熱伝導性が悪いため、
高速で定着しようとするとフィルム内面と外面との間で
温度差が大きくなり、画像の定着性にむらが生じたり、
光沢むらとして現われるという問題点があった。
【0014】そこで、本出願人はポリイミドフィルムよ
りもフィルムの強度、熱伝導性に優れたガラスクロスフ
ィルムを提案した。これはガラス繊維の細線を織物加工
し、その表面にPTFEなどの離型層をコートしたもの
である。
【0015】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、ガ
ラスクロスフィルムは熱伝導が良すぎるため、定着に必
要なニップ部の熱がフィルムの周方向、すなわちニップ
から遠ざかる方向に逃げてしまうといった問題があっ
た。
【0016】このためガラスクロスフィルムは熱伝導性
が極めて高いにも拘らず、画像定着においてはその高熱
伝導性が画像の定着性に比例してはいなかった。
【0017】また、図7に示すような加圧ローラをフィ
ルム駆動ローラと兼用する構成の加熱装置で、小サイズ
紙を連続通紙した場合には、非通紙部昇温により長手方
向で加圧ローラの熱膨張量が違ってくるため、長手方向
でフィルムの送りスピードに差が生じ、フィルムが捩じ
れてしまうという問題もあった。
【0018】また、上記のようなガラスクロスフィルム
において、織布の糸の方向を駆動ローラ等の軸方向ある
いは周方向と一致させると、端部の屈曲強度、ローラの
捩じれに対する強度が不充分で破損することがあった。
【0019】一方、このフィルム加熱方式の定着装置に
よれば、熱容量の少ない定着フィルムは定着ニッブ部通
過後に直ちに放熱による冷却がなされるため、固定状態
のトナーと固体定着ベルト表面で界面破壊による分離が
行われることにより原理的にトナーオフセットを防止す
ることができる。そのため、従来、ローラ定着では離型
性の高いシリコーンゴムやフッ素樹脂被覆のローラを用
いてもシリコーンオイル等の離型剤を常時ローラに塗布
しなければオフセット性の高いカラートナーを定着する
ことは不可能であったのに対し、ベルト加熱方式ではオ
イルレスでカラー画像定着が可能である。
【0020】しかしながら、従来の定着フィルムは、上
述のように耐熱性と機械的強度を備えたポリイミドある
いはPEEK等の高硬度のベース層の表面にPTFE,
PFA等のフッ素樹脂離型層を設けた構造となってい
る。そのため、定着フィルム表面は弾性を有していない
ので、カラー画像を定着すると、多色重ねのトナー像の
凹凸に対して剛性ベルトが加熱圧接するため、トナーの
谷間のハーフトーン像の定着性が悪く、特にOHTシー
トはOHP投射像で暗い輪郭が現れてしまうという問題
点があった。
【0021】さらに、定着フィルムを弾性を有するシリ
コーンゴムの厚い離型層を設けた場合には、上記問題は
解決されるが、表面にシリコーンオイル等の離型剤を常
時供給しないとオフセットし易くなるため、オイル塗布
機構が必要であるという問題点があった。
【0022】本発明の第一の目的は、上記問題点を解決
し、優れた強度及び熱伝導性を有するガラスクロスフィ
ルムを使用した場合でも、ニップ部における熱の逃げが
なく、また、非通紙部昇温によりフィルムの捩じれを発
生することのない加熱装置を提供することにある。
【0023】また、本発明の第二の目的は、上記問題点
を解決し、繊維を編み込んだ場合でも、充分な強度を得
ることのできるフィルムを備えた加熱装置を提供するこ
とにある。
【0024】さらに、本発明の第三の目的は、上記問題
点を解決し、オイル塗布機構を設けることなく、OHT
シートを用いてハーフトーン画像を定着させた場合に
も、画像に暗い輪郭を生じることのない定着フィルム式
の加熱装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本願第一発明によれば、
上記第一の目的は、耐熱性フィルムの一方面側を加熱
し、他方面側に被加熱材を密着させて上記フィルムを介
して被加熱材に熱エネルギを付与する加熱装置におい
て、上記耐熱性フィルムは、耐熱繊維を直交させて編み
込むことにより形成される耐熱織布を基層とし、該耐熱
織布の横糸成分は、加熱装置長手方向と略平行に配設さ
れ、上記耐熱織布の横糸の単位時間当たりの熱伝達性能
は、縦糸の単位時間当りの熱伝達性能を上回っているこ
とにより達成される。
【0026】また、本願第二発明によれば、上記第二の
目的は、加熱体及び支持体の間に張設された定着フィル
ムと、該定着フィルムを介して上記加熱体に圧接するよ
うに配設された加圧部材とを備え、該加圧部材と加熱体
の圧接部に記録材を挟持することにより上記加熱体から
の熱で記録材の上の未定着現像剤像を加熱する加熱装置
において、上記定着フィルムは、耐熱性繊維の織布を基
材とし、該織布の織り糸の配列がフィルムの移動方向と
交差するようにしたことにより達成される。
【0027】さらに、本願第三発明によれば、加熱体と
摺動するように有端または無端移動自在に配設された定
着フィルムと、該定着フィルムを介して上記加熱体に圧
接するように配設された加圧部材とを備え、上記定着フ
ィルムと加圧部材で記録材を挟持搬送することにより記
録材及び記録材上の未定着現像剤像を加熱する定着装置
において、上記定着フィルムは、耐熱性で剛性の高いベ
ース層と、該ベース層上に少なくとも繊維状もしくは多
孔質状の弾性層を有していることにより達成される。
【0028】
【作用】本願第一発明によれば、耐熱性フィルムの基層
を耐熱繊布で形成し、加熱装置の長手方向と略平行に配
設した該耐熱織布の横糸の単位時間当りの熱伝導性能を
縦糸よりも高くすることで、加熱動作実行時には装置の
長手方向での熱の伝達を熱伝導性の高い横糸で素早く均
一に行ない、また長手方向と直交する方向への熱の伝達
を熱伝導性の低い縦糸により抑える。その結果、記録材
を耐熱性フィルムで挟持する圧接部におけるフィルムの
周方向への熱の逃げを抑え、圧接部での記録材への加熱
効率をより高める。また、上記横糸方向の良好な熱伝導
によって上記長手方向における温度分布が均一化され、
幅の狭い記録材を通紙した際の非通紙部の昇温を防ぎ、
耐熱性フィルムと接触する加圧部材の熱膨張に差を生じ
させることがなくなり、フィルムのシワ、捩じれを防止
する。
【0029】また、本願第二発明によれば、定着フィル
ムの基材を耐熱性繊維の織布で形成し、該織布の糸の配
列をフィルムの移動方向と交差するようにしたことによ
って、フィルムの座屈強度及び捩じれ力に対する強度が
向上することが判かった。
【0030】さらに、本願第三発明によれば、定着フィ
ルムのベース層は、耐熱性及び剛性の高い部材で形成さ
れているので、ローラ及び加熱体間に張設され高温に加
熱された状態で長期間使用しても延びることはない。し
かも、上記ベース層上には繊維状または多孔質状の弾性
層が設けられているので、記録材を挟持搬送する際にも
該記録材上の多層の未定着現像剤像の凹凸に追従して変
形し、未定着現像剤像層の厚さに拘らず良好な定着を行
う。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面について説
明する。
【0032】〈実施例1〉先ず、本発明の実施例1を図
1ないし図4に基づいて説明する。図1は本発明の実施
例1における画像加熱定着装置の断面図である。
【0033】図1において4はエンドレスベルト状の定
着フィルムであり、左側の駆動ローラ5と、右側の従動
ローラ6と、その両ローラ5、6間の下方に配置した加
熱体としての低熱容量線状加熱体0との間に懸回張設し
てある。
【0034】従動ローラ6はエンドレスベルト状の定着
フィルム4のテンションローラを兼ねさせており、定着
フィルム4は駆動ローラ5の時計方向回転駆動に伴い時
計方向に所定の周速度、すなわち画像形成部(G)側か
ら搬送されてくる未定着トナー画像Taを上面に担持し
た画像担持体たる記録材シートPの搬送速度と同じ周速
度をもってシワや蛇行、速度遅れなく回転駆動される。
【0035】8は加圧部材としてのシリコーンゴム等の
離型性の良いゴム弾性層を有する加圧ローラであり、上
記のエンドレスベルト状定着フィルム4の下流側フィル
ム部分を介して上記加熱体0の下面に対して付勢手段
(図示せず)により例えば4〜7kgの当接力をもって
対向圧接させてあり、記録材シートPの搬送方向に順方
向の反時計方向回転する。
【0036】加熱体としての低熱容量線状加熱体0は本
実施例のものは定着フィルム横断方向を長手方向とする
横長の剛性,高耐熱性,断熱性を有するヒータ支持体7
と、この支持体の下面側に長手に沿って一体に取り付け
保持されたヒータ基板1があり、ヒータ基板1には発熱
体2、検温素子3等を具備させている。
【0037】ヒータ支持体7は加熱体0を定着装置及び
画像形成装置全体に対し断熱支持するもので例えばPP
S(ポリフェニレンサルファイド)、PAI(ポリアミ
ドイミド)、PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエー
テルエーテルケトン)、液晶ポリマ等の高耐熱性樹脂や
これらに樹脂とセラミックス,金属,ガラス等との複合
材料などで構成できる。発熱体2は耐熱性のあるセラミ
ックス等でできた基板1の下面に長手方向に沿って、例
えばAg/Pd(銀パラジウム)等の電気抵抗材料を厚
み約10μm、幅1〜3mmにスクリーン印刷等により
塗工し、その上に表面保護層としてのガラス層等をコー
トする。
【0038】本実施例での定着フィルム4は、複合層フ
ィルムであり図2に示したフィルム断面図のように、4
aと4bの二層から成っている。
【0039】4aは定着フィルムの基層であり、定着フ
ィルム内面で直接加熱体に接触する高耐熱高耐久高熱伝
導層、4bはフィルム外面であり、非通紙時には加圧ロ
ーラと、通紙時には記録材シートPと接し、フィルム外
面へのトナー付着を防止する離型層である。
【0040】具体的には、フィルムの基層4aは熱伝導
性、耐久性に優れた直径約2〜20μmのガラス繊維の
細線を織物加工し、厚み20〜150μmのエンドレス
フィルム状にしたもの(ガラスクロスフィルム)を用い
ることができる。
【0041】これらのガラスクロスは絶縁部材であるた
め、加熱体上に配置された発熱体からの電流のリークの
心配がなく、特別な漏電防護機構をフィルム及びヒータ
に施さなくともよい。
【0042】離型層4bは、例えばPTFE(ポリテト
ラフルオロエチレン)、PFA、FEP等のフッ素樹脂
や、シリコーン樹脂などが好ましい。基層4aに対する
離型層4bの積層形成は、離型層フィルムの接着ラミネ
ート、離型層材料の静電塗装、スプレー塗装、ディッピ
ング等の成膜技術による積層、などで行なうことができ
る。
【0043】図3は基層4aを構成するガラスクロスの
表面の一部を拡大して示したものである。ξはこのガラ
スクロスフィルムを定着装置に取り付けた時に、定着装
置の長手方向と平行になる方向、ηは長手方向と直交す
る方向をそれぞれ示している。
【0044】本実施例のガラスクロスフィルムはガラス
繊維をクロス状にほぼ直交させて編みこんでおり、図3
に示す通りその横糸j、縦糸kの長手方向はそれぞれ定
着装置の長手方向ξ、直交方向ηと一致する。
【0045】ここで、横糸jにはガラスでも比較的、熱
伝導率の高い石英ガラス等を用い、縦糸kには横糸jの
ものと比べ熱伝導性がやや落ちるソーダガラス、鉛ガラ
ス等を使用する。このように、横糸と縦糸とで材料を変
え、横糸の熱伝導性を縦糸よりも高くすることで、加熱
動作実行時には装置の長手方向での熱の伝達を熱伝導性
の高い横糸で素早く均一に行ない、また長手方向と直交
する方向への熱の伝達を熱伝導性の低い縦糸により抑え
る効果がある。すなわち装置のニップ部からフィルムの
周方向への熱の逃げを抑え、ニップ部での記録材への加
熱効率をより高めることができる。
【0046】さらに、図7に示したような加圧ローラを
駆動ローラと兼用する構成の装置においては、非通紙部
昇温によるフィルムの捩じれ、紙のシワ等を防止する効
果もある。
【0047】なお、上記の例ではガラス繊維を編んだガ
ラスクロスを用いたが、当然、他の耐熱繊維を用いるこ
ともできる。また、横糸と縦糸で全く性質の異なる耐熱
繊維を組み合わせることもできる。その際にも、横糸に
縦糸よりも熱伝導率の高い材質を用いねばならないのは
当然である。
【0048】図4は各種物質の熱伝導率について記した
表である。この表では熱伝導率の高い物質が上から順に
並べてある。これを参考に耐熱繊維の組み合わせについ
て一例を示すならば、横糸に炭素繊維を用いた際には、
縦糸には表の炭素よりも下に並ぶ物質−石英ガラス・ア
ラミッド等−を用いることができる。また、この表は全
ての耐熱繊維を網羅するものではないのだから、当然こ
の表にない物質との組み合わせも可能である。
【0049】このように、耐熱繊維の組み合わせで耐熱
織布のヴァリエーションを多く持つことは、定着装置の
記録材搬送速度や、ヒータの発熱量の組み合わせに応じ
て、最もその加熱装置に適した定着フィルムを作成する
ことを可能にし、様々な加熱装置において常に良好な温
度分布及び画像定着性を確保せしめるものである。
【0050】なお、以上の例では、1本の糸は単一の繊
維でできていたが、複数種の繊維を混紡した糸を用いて
も、本発明の目的を達することが可能である。
【0051】〈実施例2〉次に、本発明の実施例2を図
5に基づいて説明する。なお、実施例1との共通箇所に
は同一符号を付して説明を省略する。
【0052】図5は本発明の実施例2を示すガラスクロ
スの拡大図である。本実施例では図5に示すように横
糸、縦糸とも材質は全く同じものを用い、その太さのみ
を変え、横糸を縦糸よりも太くする。
【0053】ところで、ここでいう横糸、縦糸は、太さ
数μmのガラス繊維の細線を数多く束ねることで太さ50
〜100 μmにしたものをその一本と数えるものであり、
そのため横糸を縦糸よりも太くするには2通りの方法が
考えられる。
【0054】一つは横糸一本に用いるガラス繊維の数を
縦糸一本に比べて多くする方法である。例えば、横糸一
本を太さ5 μmのガラス繊維四百本で構成し、縦糸一本
を太さ5 μmのガラス繊維百本で構成する。
【0055】もう一つは、横糸を構成するガラス繊維の
太さ自体を太くする方法であり、例えば横糸一本には太
さ10μmのガラス繊維を百本、縦糸には太さ5 μmのガ
ラス繊維を百本といった構成である。
【0056】またあるいは、この両者を組み合わせた構
成も考えられる。すなわち、横糸一本には太さ7 μmの
ガラス繊維二百本、縦糸には太さ5 μmのガラス繊維百
本という具合である。本実施例では上記のどちらの方法
も用いることができる。
【0057】本実施例のように横糸を縦糸よりも太くす
ると、横糸の熱伝達性能は縦糸の熱伝達性能を上回る。
物質の熱の伝わりやすさを示す熱伝導率は厚さ1 mの板
の両面に1 Kの温度差があるとき、その板の面積1 m2
の面を通して1 sの間に流れる熱量で表される。糸を太
くすることは熱の流れる面積を増やすことになるのだか
ら、熱伝達が良くなるのは当然のことである。
【0058】すなわち本構成を用いれば、実施例1と同
様に加熱装置のニップ部において、加熱時には熱伝達性
能の良い横糸により装置長手方向に熱を素早く伝え長手
方向の温度を均一にし、熱伝達性能の劣る縦糸によりフ
ィルム周方向への熱の逃げを抑えニップ部での加熱効率
を高めることができる。
【0059】なお、本実施例ではガラス繊維のみについ
て説明したが、他の耐熱繊維でも同様の効果があること
は言うまでもない。
【0060】〈実施例3〉次に、本発明の実施例3を図
8ないし図11に基づいて説明する。図8は本発明の実
施例3における加熱装置としての定着装置を有する画像
形成装置の概略断面図である。
【0061】図8において21は画像形成部Aに配設さ
れた感光ドラムであり、該感光ドラム21の表面には現
像像が形成されるようになっている。また、該感光ドラ
ム21の下方には、転写帯電手段22が配設されてお
り、上記感光ドラム21と転写紙帯電手段22との対向
部に搬送されてきた記録材Pの背面に、トナー帯電極性
と逆極性の電荷(例えば負帯電トナーの場合には正の電
荷)を与えることによって、上記感光ドラム21上の現
像像を上記記録材Pに転写するようになっている。この
ように転写トナー像Taを静電気的に担持した記録材P
は、定着装置へ搬送され、加熱定着される。以下、該定
着装置について説明する。
【0062】4はエンドレスベルト状の加熱フィルムと
しての定着フィルム(耐熱性フィルム)であり、左側の
駆動ローラ5と、右側の従動ローラ6と、該両ローラ
5,6間の下方に配置した低熱容量線状加熱体0との間
に懸回張設してある。定着フィルム4についての層構成
の詳細は後述する。
【0063】従動ローラ6はエンドレスベルト状の定着
フィルム4のテンションローラを兼ねさせており、該定
着フィルム4は駆動ローラ5の時計方向回転駆動に伴い
時計方向に所定の周速度、すなわち画像形成部A側から
搬送されてくる未定着トナー画像Taを上面に担持した
記録材シート)Pの搬送速度と同じ周速度をもってシワ
や蛇行、速度遅れなく回動駆動される。
【0064】8は鉄・ステンレス等の芯金9にシリコー
ンゴム等の離型性の良いゴム弾性層10を形成した加圧
部材としての加圧ローラであり、上記エンドレスベルト
状の定着フィルム4の下行側フィルム部分を介して加熱
体0の下面に対して付勢手段(図示せず)により例えば
4〜12kgの当接力をもって対向圧接させてあり、記
録材Pの搬送方向に順方向の反時計方向に回転する。な
お、芯金9はノイズ防止のために接地してある。
【0065】加熱体0はフィルム4の面移動方向と交差
する方向を長手方向とする低熱容量線状加熱体であり、
ヒータ基板1、通電発熱抵抗層2、サーミスタ3等より
成り、ヒータ支持体7に取付け保持させて固定支持させ
てある。
【0066】該ヒータ支持体7は加熱体0を定着装置及
び画像形成装置全体に対し断熱支持する断熱性・高耐熱
性・剛性を有するもので構成できる。
【0067】また、ヒータ基板1は耐熱性・絶縁性・低
熱容量の部材であり、本実施例では厚み1.0mm、幅
10mm,長さ240mmのアルミナ基板である。
【0068】抵抗層2はヒータ基板1の下面(フィルム
4との対面側)の略中央部に長手方向に沿って、例え
ば、Ag/Pd(銀パラジウム)、Ta2N等の電気抵
抗材料を厚み約10μm、幅1〜3mmにスクリーン印
刷等により塗工し、その上に表面保護層として耐熱ガラ
ス6を約10μmコートしたものである。
【0069】また、サーミスタ3はヒータ基板1の上面
(抵抗層2を設けた面とは反対側の面)の略中央部にス
クリーン印刷等により塗工して具備させたPt膜等の低
熱容量の測温抵抗体である。サーミスタは、他に低熱容
量のサーミスタなどをヒータ基板1に当接配置する構成
にしてもよい。
【0070】本実施例においては、線状または帯状をな
す抵抗層2に対し、その長手方向両端部より通電し、抵
抗層2を略全長に亘って発熱させる。そして、この抵抗
層2の温度をサーミスタ3によって検知し、トライアッ
クを含む通電制御回路(図示せず)により上記検知した
温度が所定の定着温度に維持されるように通電電力を制
御するようになっている。
【0071】以上のような画像形成装置においては、像
形成スタート信号により画像形成部Aにて画像形成動作
が開始され、上述のように記録材P上に未定着トナー画
像Taが転写される。そして定着装置へ搬送された記録
材Pは、ガイド18に案内され、定着フィルム4を介し
て形成された加熱体0と加圧ローラ8との圧接部(定着
ニップ部)Nに進入し、上記記録材Pの搬送速度と同一
速度で同方向に回動する定着フィルム4の下面に上記未
定着トナー画像Taを密着させ、面ずれやシワ・寄りを
生じることなく該定着フィルム4と一緒の重なり状態で
上記定着ニップ部Nを挟圧力を受けつつ通過する。この
とき加熱体0は、像形成スタート信号に応じて所定のタ
イミングで通電加熱されており、上記未定着トナー画像
Taは定着ニップ部Nにおいて加熱を受け、軟化・溶融
像Tbとなる。
【0072】一方、定着フィルム4は、ヒータ支持体7
の曲率の大きいエッジ部S(曲率半径が約2mm)にお
いて、急角度(屈折角度θが略45°)で走行方向が転
向する。したがって、定着フィルム4と重なった状態で
定着ニップ部Nを通過して搬送された記録材Pは、エッ
ジ部Sにおいて定着フィルム4から曲率分離し、排紙ト
レイへ排紙される。そして、排紙される時までにトナー
は充分冷却固化し、記録材Pに完全に定着した状態(ト
ナー画像Tc)となる。
【0073】なお、本実施例においては、加熱体0のう
ち抵抗層2及びヒータ基板1の熱容量が小さく、かつこ
れらがヒータ支持体7により断熱支持されているので、
定着ニップ部Nにおける加熱体0の表面温度は短時間に
トナーの融点(または記録材Pへの定着可能温度)に対
して充分な高温に昇温するので、加熱体0を予め昇温さ
せておく(いわゆるスタンバイ状態とする)必要がな
く、省エネルギーが実現でき、しかも機内昇温も防止で
きる。
【0074】次に加熱フィルムである定着フィルム4に
ついて説明する。基材は線径数μmのガラス繊維を数十
本束にして直径50〜100μmの糸とする。この糸を
織ってスリーブを作る。次いで接着剤を塗布し、乾燥さ
せてから外周面の離型性層、内周面の低摩擦層をコーテ
ィングして焼成する。
【0075】このような基材において織り糸の方向によ
って定着フィルムの破損に対する強度が著しく異なるこ
とが判かった。具体例として、線径5μmのガラス繊維
を集めて直径70μmの糸とし、これを図9(a)に示
す矢印の方向に糸が並ぶようにした。この場合には、ス
リーブ軸方向、スリーブの周方向に対して糸は交差する
ようになる。スリーブ径として直径24mmとした。
【0076】一方、比較例として同じ糸を用いて図9
(b)の矢印のように糸が並ぶようにした。この場合は
スリーブ軸方向、スリーブ周方向と糸は同一方向に並ぶ
ことになる。
【0077】上記二例に対して端部の座屈強度及び捩じ
れ力に対する強度を試験した結果を下表に示す。
【0078】
【表1】
【0079】座屈強度測定は図10に示すように、スリ
ーブ端部一箇所をピン30で支えた時に折れ曲がらない
限界の力F1で定義した。また、捩じれ強度は図11に
示すように0.2mm程フィルムより径の小さいシャフ
ト31にフィルムを通し、フィルムの片側半分を加圧板
32で固定し、もう片側を引っ張った場合に捩じれが発
生し始める引っ張り力F2で定義した。
【0080】表から明らかなように糸の織り方向をスリ
ーブ軸、周方向と交差させることがいずれの強度も改善
が見られ、実用に適するものとすることができた。
【0081】また糸の織り方向とスリーブ軸との交差角
は45°が最も良く、0°または90°に近づくにした
がって強度は低下する。したがって45°にできる近い
範囲に織ることが好ましい。なお、織布を作成する繊維
はガラスに限るものではなく炭素繊維、セラミックス繊
維、金属繊維等、ポリイミドに比較して熱伝導性の良い
物質であれば使用できる。
【0082】〈実施例4〉次に、本発明の実施例4を図
12に基づいて説明する。なお、実施例3との共通箇所
には同一符号を付して説明を省略する。
【0083】実施例3では、単一繊維にて織布スリーブ
を作り定着用フィルムに加工したが、複数の繊維を混合
して糸にしたものを織っても良い。あるいは異なる材質
の糸を複数混合して織布にしても良い。
【0084】このようにすることで、それぞれの繊維の
長所を加え合わせ短所を補うことが可能である。
【0085】例えば、アラミド繊維(例えばDuPon
t社のケブラー)の糸とガラス繊維の糸とを図12
(a)のように織ることができる。これによってアラミ
ド繊維の高温時の強度とガラスの熱伝導性と両方を兼ね
備えることができる。特に図12(b)のように同一方
向にも一部他の繊維の糸を入れるだけでも良く、これに
よって捩じれに対してどちらの捩じれ方向に対しても等
しい強度となる。この点図12(a)では捩じれに対し
て強い方向と弱い方向とができる。装置内での捩じれ力
(例えば非通紙部昇温による加圧ローラ外径差に起因す
るもの)が一定方向ならば、図12(a)のもので捩じ
れに対して強い方向を利用して装着すると良い。
【0086】〈実施例5〉次に、本発明の実施例5を図
13ないし図17に基づいて説明する。図13は本発明
の実施例5装置の概略構成を示す図である。図13にお
いて601は定着装置全体を示し、602はエンドレス
ベルト状の定着フィルム、603は図面上左側のフィル
ム駆動ローラ、604は右側のフィルムターンローラ、
605は上記左右のローラ603,604間の下方に配
設した加熱体(以下、ヒータと記す)、606は該加熱
体の左側に配設した冷却部としての冷却器、607は該
冷却器の左側に配設した分離部としての分離ローラであ
る。
【0087】上記のフィルム駆動ローラ603,フィル
ムターンローラ604,ヒータ605,冷却器606,
分離ローラ607は互いに略平行に配設してあり、これ
らの部材間にエンドレスベルト状の定着フィルム602
を懸回張設してある。フィルムターンローラ604は定
着フィルムのテンションローラを兼ねさせてある。
【0088】ヒータ605と冷却器606は近接させて
配設してあり、その両者間には熱損失を防ぐために断熱
材層もしくは数百μm以下のギャップを設けてもよい。
【0089】608は定着フィルム602を介してヒー
タ605の下面と冷却器606の下面とに両面部分にま
たがらせて圧接させた加圧部材として加圧ローラ、60
9は定着フィルム602を介して分離ローラ607の下
面に圧接させた分離加圧ローラ、610は加圧ローラ6
08と分離加圧ローラ609圧対する冷却ファンであ
る。
【0090】本実施例において加圧ローラ608は、ヒ
ータ605に対する定着フィルム圧接部材と、冷却器6
06に対する定着フィルム圧接部材とを兼用しており、
ヒータ605の下面と該加圧ローラ608とが定着フィ
ルム602を挟んで圧接している部分aが定着ニップ部
であり、冷却器606の下面と該加圧ローラ608とが
定着フィルム602を挟んで圧接している部分bが冷却
ニップ部である。
【0091】図14のごとく定着フィルム602は、耐
熱性を有し、薄肉(低熱容量)のフィルム材であり、一
例として、厚み20μmの耐熱ベースフィルム、例えば
ポリイミド・ポリエーテルイミド・PES・PFA等の
フィルム材602aと、そのトナーが当接面側にPTF
EやPFAもしくはフッ素ゴム等の繊維状もしくは多孔
質状の弾性層602bを設けた構造となっている。弾性
層の構造粗さは、トナー平均粒径7〜8μmであるか
ら、数μm以下とする必要がある。また、弾性層厚みは
トナー径より大きい15μm以上とする必要がある。厚
すぎると熱効率が悪いため100μm以下が良い。表面
粗さについては、Rz〜数μm以下とすると画像の光沢
性、OHT透過性を高める作用があるため、表面加熱処
理、研磨等で平滑性を弾性を失わない程度に加工するの
が離型性の面から好ましい。また、弾性離型層は、静電
オフセット防止のため導電材を添加するのが好ましい。
定着フィルム602はフィルム駆動ローラ603が矢印
で示すように時計方向に回転駆動されることにより、該
ローラ603との摩擦力で該ローラ603,ターンロー
ラ604,ヒータ605,冷却器606,分離ローラ6
07間を時計方向に所定の周速度(プロセススピード)
をもってヒータ605の下面及び冷却器606の下面を
摺動しながら回転駆動される。
【0092】ヒータ605は装置に固定支持された低熱
容量線状加熱体であって、一例として厚み1.0mm、
幅10mm、長さ240mmのアルミナ基板に通電発熱
抵抗材料を幅1.0mmに塗工したものでその長手方向
両端より通電される。
【0093】通電は、DC100Vの周期20msec
のパルス状波形でサーミスタ611によりコントロール
された所望の温度エネルギー放出量に応じたパルスをそ
のパルス幅を変化させて与える。パルス幅は略0.5m
sec〜5msecとなる。このように、エネルギー・
温度制御されたヒータ605に対して当接して定着フィ
ルム602は摺動移動する。
【0094】冷却器606はパイプ中に空気流あるいは
水流を通すラジエータ構成でも良いし、ヒータパイプを
用いても良い。冷却温度差をとるためにペルチェ冷却素
子を併用するのも良い。本実施例では、一定温度(室
温)の水流を循環する方式を用いており、ヒータ発熱量
400Wに対して冷却熱量150W程度であった。ま
た、本実施例では冷却器606の温度をサーミスタ61
2で検知してその検知温度情報により冷却器606の温
度を所定に管理している。
【0095】加圧ローラ608は、シリコーンゴム等の
離型性の良いゴム弾性層を有するものであり、4〜7k
gの当接力で定着フィルム602を介してヒータ605
及び冷却器606の下面に対して圧接し、定着フィルム
602の回転駆動に伴い従動回転する。加熱及び冷却の
ニップ長を大きくとるためには、スポンジ構造のローラ
とするのが良い。
【0096】この加圧ローラ608により定着フィルム
602のヒータ605及び冷却器606に対する熱接触
が充分とられ、定着ニップ部a及び冷却ニップ部bでの
加熱効率または冷却効率が高められる。また、記録材P
が導入されたときの、定着ニップ部a及び冷却ニップ部
bにおける定着フィルム602と記録材Pとの熱接触が
充分とられて加熱効率または冷却効率が高められる。
【0097】冷却ファン610は、加圧ローラ608、
分離加圧ローラ609が装置の連続的運転に伴い昇温し
て定着条件が変動しないように加圧ローラ608、分離
加圧ローラ609に冷却風を送るものであり、本実施例
では加圧ローラ608の温度をサーミスタ613で検知
してその温度情報により冷却ファン610を連続駆動制
御・簡潔駆動制御してローラ608、609の温度を管
理させている。
【0098】而して、定着フィルム602の回転駆動が
なされ、ヒータ605に通電がなされ、冷却器606に
水流循環がなされている状態において、作像プロセス機
構(図示せず)から搬送された未定着トナー画像Taを
担持さた記録材Pがトナー画像面上向きで定着ニップ部
aの定着フィルム602と加圧ローラ608との間に導
入されることにより、該記録材Pは定着フィルム602
面に加圧密着されて定着フィルム602と一緒に定着ニ
ップ部a、次いで冷却ニップ部bを通過し、引き続き定
着フィルム602面に密着した状態で分離ローラ607
と分離加圧ローラ609とのニップ部へ至り、該ニップ
部を通過すると定着フィルム602が大きく屈曲変更さ
れることで、記録材が定着フィルム602面から順次に
曲率分離される。。
【0099】記録材P上の未定着トナー画像は図15の
如く定着ニップ部を通過する過程でヒータ605により
定着フィルムベース層602a、弾性層602bを介し
て加熱され溶融定着がなされる。弾性層は、画像上のト
ナー分布に追随して変形し、トナーの包み込み効果をも
たらすので、トナーが一色あるいは三色重ねであろうと
同様に良好な定着を行う。トナー像の厚い部分には加圧
により圧縮されて弾性層602bの空隙がつぶれるた
め、ベース層602aからトナー像への熱の伝達効率が
高まり、定着性が増す。ハーフトーン画像については通
常のハードタイプのベルト定着では高温オフセットが厳
しくベタ多色重ねより定着温度設定を低くしないとオフ
セットしてしまうという問題点があったが、本発明の構
成によれば、トナー重ね量(厚み)に応じてベース層か
らトナーへの熱伝達がコントロールされる。すなわち、
トナー厚みが厚い程熱供給がなされる。したがって、い
かなる画像パターンに対しても均一均質な高画質なカラ
ー定着画像を得るものである。
【0100】一方、従来のハードタイプフィルム定着
は、図16の如くハードタイプの離型層602dがトナ
ーの厚み変化に対応しきれないため、厚いトナー部位の
周辺の薄いトナー部分(矢印部)が不完全定着となり、
発色性、混色性が落ち、画像品質が低下している。とり
わけ、この現象は、OHTシートのOHP透過像にて不
完全定着部が光散乱、光吸収の原因となり暗輪郭のよう
な透過不良をもたらす。本発明においては、ソフトタイ
プであるため不完全定着部は発生せず、したがってOH
Tシートも透過不良のない高画質、高透過性の像を得
る。
【0101】また、一旦トナー像の凹凸に追従してつぶ
れ変形した弾性体部は図17に示すように記録材分離時
にトナー固化面とフィルム表面間にて矢印で示すように
引き剥し力が働くため、繊維または多孔質の空隙602
cは回復して永久変形を起こすことなく繰り返して定着
プロセスを行うものである。
【0102】〈実施例6〉次に、本発明の実施例6を図
18及び図19に基づいて説明する。なお、実施例5と
の共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0103】図18は本発明の実施例6装置の概略構成
を示す図である。本実施例は、定着ニップaの直後に自
然冷却区間cを設けた後に分離する構成である。冷却フ
ァン610にて送風冷却するのも良い。
【0104】図19は定着ニップ部aの直後より冷却器
606を離して配置し、冷却加圧ローラ614を設けた
場合を示している。加熱部と冷却部を離して熱効率を高
めている。
【0105】〈実施例7〉次に、本発明の実施例7を図
20に基づいて説明する。図20は本発明の実施例7装
置の概略構成を示しており、図13に示した定着装置を
使用したカラープリンタの一例である。
【0106】図20において、621は導電基板上の感
光層を設けた感光ドラムであり、矢印の時計方向に所定
の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動され
る。
【0107】該感光ドラム621は、その回転過程で帯
電器622により一様に帯電処理を受け、次いでレーザ
ビームスキャナ623によりカラー画像情報の先ずイエ
ロー成分像の時系列電気デジタル画像信号に対応して変
調されて出力されるレーザビームLによる走査露光を受
けることで、イエロー成分像に対応した静電潜像が形成
される。この静電潜像は、イエロートナー現像装置62
4Yにより現像される。
【0108】一方、給紙部(図示せず)から記録材Pが
回転転写ドラム625に給送されて該ドラムに巻き付く
ように保持され、その保持記録材面に感光ドラム621
面側のイエロートナー像が転写帯電器626により転写
される。また、トナー像転写後の感光ドラム625面は
クリーナ630により転写残りトナー等の付着残留物が
除去されて清浄面化される。以下、同様にこのような過
程でマゼンタ、シアン、ブラックのトナーによる画像形
成が行われ、4色のトナー成分像が回転転写ドラム62
5に保持されている同一の記録材P面に順次に重畳転写
されることで、フルカラー画像が合成形成される。
【0109】この記録材Pは分離帯電器627と分離爪
628とにより転写ドラム625から分離されて定着装
置601に導入され、上述したプロセスでトナー画像定
着がなされ、カラー画像形成物として出力される。
【0110】記録材Pの分離された転写ドラム625は
クリーナ629によりクリーニングされ、次ぎの画像形
成に備える。クリーナ629は転写ドラム625面に対
して接離移動するように駆動され、例えば回転ファーブ
ラシであり、クリーニング時のみ転写ドラム625に当
接し、クリーニングを行う。
【0111】本カラー画像形成装置は、図13に示す定
着装置601を用いているため、トラペンの画像も、未
定着トナーによる疑似輪郭、画像ぼけのない高画質のプ
リントが、シリコーンオイルが付着していない状態で得
られ、かつ従来の熱ローラ定着装置を用いたカラー画像
形成装置に比べて、小型、低コストであり、シリコーン
オイルの補充といったメンテナンスも不要となる。また
感光ドラム周囲に帯電器・現像装置・クリーニング等を
一体に設けたプロセスカートリッジとすることで、定着
装置以外のメンテナンスも不要とすることができる。
【0112】定着装置601の定着ベルト602はエン
ドレスベルト状のものに限らず、ローラ巻きの有端の長
尺ウェブ状ベルトを繰り出し走行駆動させて用いる構成
のものとすることもできる。
【0113】
【発明の効果】以上説明したように、本願第一発明によ
れば、耐熱性フィルムの一方面側を加熱し、他方面側に
被加熱材を密着させて上記フィルムを介して被加熱材に
熱エネルギを付与する加熱装置において、上記耐熱性フ
ィルムが耐熱織布を基層としているとともに、上記耐熱
織布の横糸の単位時間当たりの熱伝達性能が縦糸の単位
時間当りの熱伝達性能を上回ることにより、定着ニップ
部から周方向への熱の逃げを抑え、ニップ部での加熱効
率を高め、画像の定着性を向上させる効果がある。ま
た、非通紙部昇温を低減させる効果もある。
【0114】また、本願第二発明によれば、耐熱性繊維
を織布としてスリーブ状に形成し、コーティングによっ
て離型層等を設けて定着用フィルムとする場合に、織糸
の方向をスリーブの軸方向、周方向と交差させることに
よって強度を向上させることが可能となり、かつ高い熱
伝導率を得ることによって高速プリンタへの適用が可能
となった。
【0115】さらに、本願第三発明によれば、定着フィ
ルムを耐熱性及び剛性の高い部材で形成したベース層上
に、少なくとも繊維状または多孔質状の弾性層を有する
ように形成したので、ハーフトーンのある画像でも良好
に定着を行うことができる。特に、記録材にOHTシー
トを用いた場合に、透過不良のない高画質な画像を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における加熱装置を示す縦断
面図である。
【図2】本発明の実施例1に用いられる定着用フィルム
の断面図である。
【図3】本発明の実施例1の定着フィルムの拡大図であ
る。
【図4】各種物質の熱伝導率について記した表である。
【図5】本発明の実施例2の定着フィルムの拡大図であ
る。
【図6】従来のフィルム加熱方式の加熱装置の一例を示
す図である。
【図7】従来のフィルム加熱方式の加熱装置の他の例を
示す図である。
【図9】本発明の実施例3における定着フィルムの織糸
の方向を示す図である。
【図8】本発明の実施例3における画像形成装置の構成
断面図である。
【図10】本発明の実施例3における座屈強度の試験法
を示す図である。
【図11】本発明の実施例3における捩じれ強度の試験
法を示す図である。
【図12】本発明の実施例4における混合繊維を用いた
定着フィルムの拡大図である。
【図13】本発明の実施例5装置の概略構成を示す断面
図である。
【図14】図13装置の定着フィルムの概略構成を示す
図である。
【図15】図13装置に未定着現像剤を担持した記録材
を挟持させた場合の定着フィルムの状態を示す図であ
る。
【図16】従来の定着フィルムを用いた定着装置に記録
材を挟持させた場合の定着フィルムの状態を示す図であ
る。
【図17】図13装置における記録材分離時の定着フィ
ルムの状態を示す図である。
【図18】本発明の実施例6装置の概略構成を示す断面
図である。
【図19】図18装置の変形例の概略構成を示す断面図
である。
【図20】本発明の実施例7装置の概略構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
0 加熱体 4 定着フィルム(耐熱性フィルム) 4a 基層 5 駆動ローラ(支持体) 6 従動ローラ(支持体) 8 加圧ローラ(加圧部材) j 横糸 k 縦糸 P 記録材 Ta 未定着現像剤像(未定着トナー画像) 602 定着フィルム 602a ベース層 602b 弾性層 605 ヒータ(加熱体) 609 加圧ローラ(加圧部材)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性フィルムの一方面側を加熱し、他
    方面側に被加熱材を密着させて上記フィルムを介して被
    加熱材に熱エネルギを付与する加熱装置において、上記
    耐熱性フィルムは、耐熱繊維を直交させて編み込むこと
    により形成される耐熱織布を基層とし、該耐熱織布の横
    糸成分は、加熱装置長手方向と略平行に配設され、上記
    耐熱織布の横糸の単位時間当たりの熱伝達性能は、縦糸
    の単位時間当りの熱伝達性能を上回っていることを特徴
    とする加熱装置。
  2. 【請求項2】 耐熱性織布の横糸と縦糸はそれぞれ異な
    る材質が用いられていることとする請求項1に記載の加
    熱装置
  3. 【請求項3】 耐熱織布の横糸の直径は、縦糸の直径よ
    りも大であることとする請求項1または請求項2に記載
    の加熱装置。
  4. 【請求項4】 加熱体及び支持体の間に張設された定着
    フィルムと、該定着フィルムを介して上記加熱体に圧接
    するように配設された加圧部材とを備え、該加圧部材と
    加熱体の圧接部に記録材を挟持することにより上記加熱
    体からの熱で記録材の上の未定着現像剤像を加熱する加
    熱装置において、上記定着フィルムは、耐熱性繊維の織
    布を基材とし、該織布の織り糸の配列がフィルムの移動
    方向と交差するようにしたことを特徴とする加熱装置。
  5. 【請求項5】 定着フィルムの基材の織布は、二種類以
    上の繊維を混合した糸で形成したこととする請求項4に
    記載の加熱装置。
  6. 【請求項6】 定着フィルムの基材の織布は、異なる繊
    維から成る二種類以上の糸で形成したこととする請求項
    4に記載の加熱装置。
  7. 【請求項7】 加熱体と摺動するように有端または無端
    移動自在に配設された定着フィルムと、該定着フィルム
    を介して上記加熱体に圧接するように配設された加圧部
    材とを備え、上記定着フィルムと加圧部材で記録材を挟
    持搬送することにより記録材及び記録材上の未定着現像
    剤像を加熱する定着装置において、上記定着フィルム
    は、耐熱性で剛性の高いベース層と、該ベース層上に少
    なくとも繊維状もしくは多孔質状の弾性層を有している
    ことを特徴とする加熱装置。
  8. 【請求項8】 弾性層の表面には平滑化処理が施されて
    いることとする請求項7に記載の加熱装置。
  9. 【請求項9】 弾性層はフッ素樹脂、フッ素ゴム等の離
    型剤で形成されていることとする請求項7または請求項
    8に記載の加熱装置。
JP35777992A 1992-12-25 1992-12-25 加熱装置 Pending JPH06194981A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35777992A JPH06194981A (ja) 1992-12-25 1992-12-25 加熱装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35777992A JPH06194981A (ja) 1992-12-25 1992-12-25 加熱装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06194981A true JPH06194981A (ja) 1994-07-15

Family

ID=18455879

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35777992A Pending JPH06194981A (ja) 1992-12-25 1992-12-25 加熱装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06194981A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0947890A2 (en) * 1998-03-30 1999-10-06 Xerox Corporation Fabric fuser film
JP2001117393A (ja) * 1999-10-04 2001-04-27 Xerox Corp 多層定着ベルト
JP2008107464A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2014228729A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 キヤノン株式会社 定着ベルトおよび定着装置
JP2015127726A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 富士ゼロックス株式会社 無端ベルト、定着装置、及び画像形成装置
JP2016065918A (ja) * 2014-09-24 2016-04-28 富士ゼロックス株式会社 樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置
JP2017107154A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 株式会社リコー 定着装置、画像形成装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0947890A2 (en) * 1998-03-30 1999-10-06 Xerox Corporation Fabric fuser film
EP0947890A3 (en) * 1998-03-30 1999-10-13 Xerox Corporation Fabric fuser film
EP0947890B1 (en) * 1998-03-30 2004-05-12 Xerox Corporation Fabric fuser film
JP2001117393A (ja) * 1999-10-04 2001-04-27 Xerox Corp 多層定着ベルト
JP2008107464A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Fuji Xerox Co Ltd 定着装置及び画像形成装置
JP2014228729A (ja) * 2013-05-23 2014-12-08 キヤノン株式会社 定着ベルトおよび定着装置
JP2015127726A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 富士ゼロックス株式会社 無端ベルト、定着装置、及び画像形成装置
JP2016065918A (ja) * 2014-09-24 2016-04-28 富士ゼロックス株式会社 樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置
JP2017107154A (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 株式会社リコー 定着装置、画像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5016803B2 (ja) 画像加熱装置
JP2014199417A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6111657B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2017211574A (ja) 加熱回転体、及びこの加熱回転体を備える画像加熱装置
JP2004226815A (ja) 加熱装置及び画像形成装置
JPH06194981A (ja) 加熱装置
JP2006078578A (ja) 像加熱装置
US6718155B2 (en) Fixing apparatus in which fixing speed is switched during cleaning
JP2006092785A (ja) 板状発熱体および像加熱装置
JP2003029563A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP3576760B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2017125935A (ja) 定着装置および画像形成装置
JP2005055470A (ja) 無端状定着ベルト及び定着装置
JPH07271220A (ja) 像加熱装置及び定着装置
JP6693268B2 (ja) 定着装置、画像形成装置
JPH02158780A (ja) 画像加熱定着装置
JP3164695B2 (ja) 定着装置
JP2000131977A (ja) 定着装置
JPH03210587A (ja) 定着装置
JP2003005564A (ja) 定着装置
JP2000181267A (ja) 定着装置
JP3363700B2 (ja) 定着装置
JPH03282577A (ja) 定着装置
JP2000029335A (ja) 加熱装置及び画像形成装置
JPH03289690A (ja) 定着装置