JP2724843B2 - 摺動部材用樹脂組成物 - Google Patents

摺動部材用樹脂組成物

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JP2724843B2 JP22447288A JP22447288A JP2724843B2 JP 2724843 B2 JP2724843 B2 JP 2724843B2 JP 22447288 A JP22447288 A JP 22447288A JP 22447288 A JP22447288 A JP 22447288A JP 2724843 B2 JP2724843 B2 JP 2724843B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、改良された摺動特性および機械的特性を有
する樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、軟質金属また
は軟質合金製部品を相手材とする摺動部材用樹脂組成物
の改良に関する。
(従来技術) 近年、各種合成樹脂を用いた摺動部材が開発されてい
る。ところが、アルミニウムやアルミニウム合金などの
軟質金属または軟質合金からなる部品を相手材とする合
成樹脂製の摺動部材については、いまだ充分満足できる
性能を有するものは提供されていない。
すなわち、油圧機器の軽量化等にともない、アルミニ
ウム合金などの軟質金属または軟質合金が各種部品とし
て広く使用されているが、これら軟質合金製部品等を相
手とする摺動部材として、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFEと略記)製などの合成樹脂製の摺動部材を使用す
ると、相手材の損傷や摩耗が急速に進行するという問題
がある。
ところで、ポリフェニレンスルフィド(PPSと略記)
は、耐熱性や耐薬品性に優れた樹脂であり、また、充填
材等を用いて強化することにより優れた機械的強度およ
び寸法安定性を示すことが知られている。
しかし、PPSは、それ自体の自己潤滑性は乏しいた
め、摺動部材として使用する場合においては、潤滑剤等
を配合している。例えば、PPSに、二硫化モリブデンと
炭素繊維(特公昭57−13586号公報)、PTFEや金属酸化
物、芳香族ポリアミド繊維、金属粉末(特公昭60−1106
1号公報)、PTFEや二硫化モリブデン、ヘキ開性を有す
る無機充填材(特開昭60−228558号公報)などを配合す
ることにより、潤滑性、耐摩耗性、機械的強度等を付与
している。
また、PTFEをベース樹脂とし、これに充填材としてPP
Sの粉末を25〜35容積%を配合してなる摺動部品用材料
が提案されている(特開昭58−1740号公報)。
しかしながら、これら公知の摺動部材では、軟質金属
などの柔らかい相手材に対する摺動部材としては必ずし
も充分ではない。
一方、PPSよりも耐熱性に優れたポリアリーレンチオ
エーテルケトン(PTKと略記)を用いるものとしては、P
TFEをベース樹脂としこれにPTKと炭素繊維あるいはPTK
と黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステンを配合
した摺動部材が提案されている(特願昭63−109917号)
が軟質合金などの柔らかい相手材を目的としたものでは
ない。
(発明が解決しようとする課題) このように、従来の摺動部材では、相手材がアルミニ
ウム等の軟質金属または軟質合金である場合、相手材を
損傷してしまい、それに伴って摩耗が加速されてしまう
という問題があった。
本発明の目的は、軟質金属または軟質合金を相手材と
した時の損傷の問題点を解決し、かつ、高負荷条件、高
温度条件下での使用においても良好な摺動特性と耐久性
を有する摺動部材用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の有する問題点を克服するた
めに鋭意研究した結果、耐熱性熱可塑性樹脂であるポリ
アリーレンスルフィド(PASと略記)および/またはPTK
を使用し、これにPTFE粉末、高強度のピッチ系炭素繊維
および特定の粒径をもつカーボンビーズを配合した樹脂
組成物が、摺動部材とした場合、上記目的を達成するこ
とができることを見出し、その知見に基づいて本発明を
完全するに至った。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明の要旨は、PASおよびPTKから選ばれ
る少なくとも1種の耐熱性熱可塑性樹脂55〜70重量%、
PTFE粉末5〜20重量%、引張強度150kgf/mm2以上のピッ
チ系炭素繊維10〜30重量%、および平均粒径10〜100μ
mのカーボンビーズ5〜15重量%を含有してなる摺動部
材用樹脂組成物、にある。
本発明においては、耐熱性のよいPAS、PTKまたはこれ
らの混合物に、機械的強度向上のための補強用繊維とし
てピッチ系炭素繊維を配合し、固体潤滑剤としてPTFEと
カーボンビーズを組合わせて使用することにより、軟質
金属または軟質合金製部品を相手材とした場合に、優れ
た摺動特性を示すのである。
以下、本発明の構成要素について詳述する。
(耐熱性熱可塑性樹脂) 本発明で使用する耐熱性熱可塑性樹脂は、PPSに代表
されるPASおよび/またはPTKである。
PAS 本発明で用いるPASは、ポリマーの主構成単位として
p−フェニレンスルフィドの繰返し単位 を50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに
好ましくは90重量%以上含むポリアリーレンスルフィド
であり、実質的に線状構造を有するものが好ましい。実
質的に線状構造とは、低重合物の酸化架橋などによる溶
融粘度の増大処理(キュアー)で得られるような架橋・
分枝構造を有するポリマーではなく、実質的に二官能性
モノマーを主体とするモノマーから得られたポリマーで
ある。p−フェニレンスルフィド単位が50重量%以上で
あることに対応して、このPASは、50重量%未満の他の
共重合構成単位を含んでいても良い。このような構成単
位としては、m−フェニレンスルフィド単位、ジフェニ
ルスルフォンスルフィド単位、ジフェニルスルフィド単
位、ジフェニルエーテルスルフィド単位、2,6ナフタレ
ンスルフィド単位などがある。また、p−フェニレンス
ルフィド繰返し単位70〜95重量%と、m−フェニレンス
ルフィド繰返し単位5〜30重量%とからなるブロック共
重合体も好ましく用いられる。
本発明のPASとしては、融点が250℃を超えるものが好
ましい。融点が250℃以下では耐熱性樹脂としての特徴
が損なわれてしまうので好ましくない。
本発明で使用するPASは、溶融粘度が500ポイズ(310
℃、剪断速度200sec-1で測定)以上、好ましくは2,500
〜30,000ポイズの高分子量のポリマーである。溶融粘度
が500ポイズ未満では、機械的な強度が低い成形体とな
り好ましくない。
このようなPASは、公知の方法で製造することができ
る。例えば、特開昭61−7332号公報に記載されているよ
うに、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とをN
−メチルピロリドンなどの有機アミド溶媒中で水の存在
下に特定の二段階昇温重合する方法により好適に得るこ
とができる。
PTK 本発明で用いるPTKは、繰返し単位 〔式中、−CO−基および−S−基は、ベンゼン環を介し
てパラ位に結合〕を主構成単位とするポリアリーレンチ
オエーテルケトンである。本発明で使用するPTKは、上
記繰返し単位が50重量%以上、好ましくは60重量%以
上、さらに好ましくは70重量%以上含むポリマーである
ことが好ましい。上記繰返し単位が50重量%未満では、
結晶性が低下し、それに伴って耐熱性も低下するおそれ
がある。
上記繰返し単位以外の異種繰返し単位としては、ジフ
ェニルスルフォンスルフィド単位、ジフェニルスルフィ
ド単位、ジフェニルエーテルスルフィド単位、2,6−ナ
フタレンスルフィド単位などの各種のものがある。
本発明で使用するPTKは、未キュアーポリマー、より
好ましくは未キュアー線状ポリマーであることが好まし
い。しかし、熱安定性や流動性、結晶性を損なわない限
度において、若干の架橋・分枝構造を導入したPTKであ
ってもよい。
本発明で使用するPTKは、高耐熱性で、溶融加工が可
能であり、かつ、機械的強度に優れたポリマーであるた
めに、次のような物性を有するものであることが好まし
い。
(イ)耐熱性が優れている指標として、融点Tmが310〜3
80℃であること。
(ロ)ポリマーの溶融状態での熱安定性を示す指標とし
て、溶融結晶化温度Tmc(420℃/10分)が210℃以上であ
り、その時の残留溶融結晶化エンタルピーΔHmc(420℃
/10分)が10J/g以上であること。
なお、Tmc(420℃/10分)およびΔHmc(420℃/10分)
は、差動走査熱量計(DSCと略記)でPTKを不活性ガス雰
囲気下で50℃に5分間保持後、75℃/分の速度で420℃
まで昇温し、420℃で10分間保持し、しかる後10℃/分
の速度で降温した際の溶融結晶化のピーク時の温度およ
びピーク面積から計算される溶融結晶化エンタルピーで
ある。
(ハ)ポリマーの分子量を示す指標である還元粘度η
redが0.2〜2dl/gであること。
なお、還元粘度ηredは、98%硫酸を溶媒とし、濃度
0.5g/dlの溶液の25℃における値である。
(ニ)結晶性ポリマーの特性を示す指標として、結晶化
物(280℃/30分アニーリングしたもの)の密度(25℃)
が1.34g/cm3以上であること。
このような耐熱性で熱安定性に優れたPTKは、例え
ば、アプロチック極性有機溶媒、好ましくは有機アミド
溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物、
好ましくは4,4′−ジクロロベンゾフェノンおよび/ま
たは4,4′−ジブロモベンゾフェノンを主体とするジハ
ロ芳香族化合物とを、下記(a)〜(c)の条件で脱ハ
ロゲン化/硫化反応させることにより好適に製造するこ
とができる。
(a)共存水分量/有機アミド溶媒仕込量の比が2.5〜1
5(モル/kg)の範囲であること。
(b)ジハロ芳香族化合物仕込量/アルカリ金属硫化物
仕込量の比が0.95〜1.2(モル/モル)の範囲であるこ
と。
(c)反応を60〜300℃の範囲で行なうこと。ただし、2
10℃以上での反応時間は、10時間以内であること。
また、反応装置として、少なくとも反応液との接液部
がチタン材で構成された装置を使用すれば、より好適に
熱安定性PTKを得ることができる。
さらに、重合末期において、−CO−基と同等またはそ
れ以上の電子吸引性を有する置換基を1個以上含む少な
くとも1つのハロゲン置換芳香族化合物(モノマーとし
て用いたジハロ芳香族化合物が好ましい)を添加して反
応させること(重合末期の安定化処理)によって、熱安
定性がさらに改良されたPTKを得ることができる。
このようなPTKは、例えば特願昭63−109916号に記載
の方法により製造することができる。
本発明のPTKは、耐熱性で高熱安定性であるため、摺
動時の熱による寸法変化が小さく、炭素繊維やカーボン
ビーズの脱落防止能に優れる。その上、PTKは、潤滑性
も優れており、耐熱性熱可塑性樹脂として好ましい特徴
を有している。
(PTFE粉末) 本発明で使用するPTFE粉末は、通常、成形用あるいは
固体潤滑剤として市販されている微粉末の樹脂であり、
PASやPTKに配合することにより、特に軟質金属または軟
質合金製部品を相手材とした場合に摩擦係数を低下させ
る効果がある。
(炭素繊維) 本発明で使用する炭素繊維は、ピッチ系に属する炭素
繊維であり、引張強度(JIS R−7601)が150kgf/mm2
上、好ましくは200kgf/mm2以上の高強度のものである。
ピッチ系炭素繊維を配合することにより、耐熱性熱可
塑性樹脂を補強し機械的強度を向上させ、耐摩耗性を低
減させる。ピッチ系炭素繊維の引張強度が150kgf/mm2
満であると、強度への寄与が少なくなるため、摺動部材
の耐摩耗性および強度が低下する。
炭素繊維の原料は主に、ピッチとポリアクリロニトリ
ル(PANと略記)であり、それによりピッチ系とPAN系に
大別されるが、本発明で用いる炭素繊維は、ピッチ系炭
素繊維である。PAN系炭素繊維は、耐熱性熱可塑性樹
脂、特にPASやPTKに配合した場合、ピッチ系炭素繊維を
使用した場合と比較して、摩擦係数や摩耗量が大きくな
り、摺動部材用樹脂組成物の充填材としては好ましくな
い。
ピッチ系炭素繊維は、繊維長0.1〜6mm、糸径5〜20μ
mのものが好ましい。繊維長が短すぎると補強効果が少
なくなり、逆に長すぎると樹脂中への分散性が悪くなる
ので、いずれも好ましくない。糸径が太すぎると繊維の
引張強度が低下し補強効果が少なくなり、細すぎると繊
維同士の絡み合いが多くなり樹脂中への分散性が悪くな
るので好ましくない。
ところで、補強用繊維としてガラス繊維が一般に使用
されることが多いが、軟質金属または軟質合金製部品を
相手材とする場合には、相手材の損傷が激しくなるので
好ましくない。
(カーボンビーズ) 本発明で用いるカーボンビーズは、平均粒径が10〜10
0μmのものである。カーボンビーズを配合すると、摺
動部材の摺動面に一部露出し、この球状面が他部材に接
触して円滑に摺動する。
平均粒径が10μm未満ではカーボンビーズの脱落によ
る摺動部材の摩耗が起こる。逆に、100μmを超える
と、混練時にカーボンビーズの破砕が起こり、球状以外
の形状のものが多くできるため、摩擦・摩耗特性が低下
し、相手材の摺動面の損傷を激しくする原因となる。
また、カーボンビーズは、黒鉛質では層剥離によって
摺動部材の摩耗量が多くなるため、炭素質であることが
好ましい。なお、カーボンブラックなどの粉状炭素材料
では形状的に摩擦面に対して滑らかさに欠け、また、摺
動部材の摩耗量が増大するため好ましくない。球状充填
材として、ガラスビーズや球状シリカ等も一般的である
が、これらの充填材を使用すると、相手材である軟質金
属または軟質合金製部品を損傷するため好ましくない。
(配合割合) 本発明における組成物を構成する各成分の配合割合
は、耐熱性熱可塑性樹脂55〜70重量%、PTFE粉末5〜20
重量%、ピッチ系炭素繊維10〜30重量%およびカーボン
ビーズ5〜15重量%である。
耐熱性、強度等の物性や成形性に優れ、かつ、充分な
摺動特性を有し、しかも軟質金属または軟質合金製部品
を損傷しない樹脂組成物とするためには、PTFE粉末、ピ
ッチ系炭素繊維および球状炭素材料としてカーボンビー
ズを前記特定割合で耐熱性熱可塑性樹脂であるPASおよ
/またはPTKに配合することが必要である。なお、耐熱
性熱可塑性樹脂がPTKを50重量%以上含むものは、PASを
50重量%以上含むものに比べて特に耐熱性の点で好まし
い組成物となる特徴がある。
PTFE粉末の配合割合は、5〜20重量%、好ましくは10
〜15重量%である。この配合割合が5重量%未満では、
摩擦特性を改善する効果が少なく、逆に、20重量%を超
えて配合すると、機械的強度の低下につながるので好ま
しくない。
ピッチ系炭素繊維とカーボンビーズは、それぞれ単独
で使用した場合と比較して、両者を併用すると耐摩耗性
が飛躍的に改善され、摩擦特性も改善される。
ピッチ系炭素繊維の配合割合は、10〜30重量%、好ま
しくは15〜25重量%である。この配合割合が、10重量%
未満では機械的強度が低下し、30重量%を超える量では
摩擦特性や耐摩擦性などの摺動特性が悪化し、さらに成
形性不良の要因となる。
カーボンビーズの配合割合は、5重量%未満では摺動
特性が充分でなく、15重量%を超える量では機械的強度
が低下する。
また、PTFE粉末とカーボンビーズの過多、ピッチ系炭
素繊維の過小は、機械的強度の低下につながり、一方、
PTFEとカーボンビーズの過小は、耐摩耗性の改善効果が
得られず好ましくない。
そして、前記配合割合の範囲内において、耐熱性、摩
擦・摩耗特性などの摺動特性、および軟質金属または軟
質合金製部品を相手材とした場合に相手材を損傷するこ
とがない優れた摺動部材を得ることができる。この結
果、摩耗量を3×10-2mm3/kg・km以下(ただし、スラス
ト型摩擦摩耗試験機を使用し、相手材としてアルミニウ
ムダイキャスト材を使用。摩擦速度12m/分、面圧1.0kg/
cm2、試験時間15時間)にすることが可能となる。
ここで各成分を混合する方法は、特に限定されるもの
ではなく、通常広く使用されている方法、例えば、各成
分をヘンシェルミキサー等の混合機で混合するなどの方
法を利用すればよい。また、組成物の成形にあたって
は、特にその方法を限定するものではなく、射出成形等
の通常の溶融加工方法で成形することができる。
また、安定剤、剥離剤、着色剤、その他の添加剤等
を、本発明の目的を阻害しない範囲で添加することがで
きる。
(実施例) 以下、本発明の摺動部材組成物について、合成実験
例、実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、
本発明は、これら実施例のみに限定されるものではな
い。
合成実験例1(PTKの合成) 4,4′−ジクロロベンゾフェノン(DCBPと略記)(イ
ハラケミカル工業社製)90モル、含水硫化ソーダ(水分
53.6重量%)(三協化成社製)90モルおよびN−メチル
ピロリドン(NMPと略記)90kgをチタン製重合缶に仕込
み(共存水分量/NMP=5.0モル/kg)、窒素置換後、室温
から240℃まで1.5時間で昇温し、240℃で2時間保持し
て反応させた。ついで、重合末期の安定化処理のため
に、DCBP4.5モル、NMP18kgおよび水90モルを追加し、24
0℃でさらに1時間反応させた。
重合缶を冷却し、反応液であるスラリーを取り卸し約
200リットルのアセトンに投入し、ポリマーを沈殿さ
せ、ロ別し、アセトンと水で2回ずつ洗浄し、脱液し
て、ウエットポリマーを得た。得られたウエットポリマ
ーを80℃で12時間減圧乾燥して、PTK(アイボリー色粉
末)を得た。
このPTKの融点は360℃、Tmc(420℃/10分)は290℃、
ΔHmc(420℃/10分)は43J/g、非晶物の密度(25℃)は
1.30g/cm3、アニール物の密度(25℃)は1.35g/cm3、η
redは0.63dl/gであった。
<物性の測定方法> 融点、Tm:PTK(粉末)を約10mg秤量し、DSC(Mettler
社製TC10A型)を用い、不活性ガス雰囲気中で50℃に5
分間保持後、10℃/分の速度で昇温加熱して測定した。
残留溶融結晶化エンタルピー、ΔHmcおよび溶融結晶
化温度、Tmc:PTK(粉末)を約10mg秤量し、DSCを用い、
不活性ガス雰囲気中で50℃に5分間保持後、75℃/分の
速度で420℃まで昇温し、420℃で10分間保持したのち、
10℃/分の速度で降温して、残留溶融結晶化エンタルピ
ーΔHmc(420℃/10分)、また、その溶融結晶化温度Tmc
を測定した。
密度:PTK(粉末)を2枚のポリイミド・フィルム
(“カプトン”デュポン社製)の間にはさみ、ホットプ
レスを用い、385℃で2分予熱し、385℃で0.5分加圧し
て賦形し、急冷して厚さ約0.15mmの非晶シートを調製し
た。非晶シートの一部はそのままサンプルとして用い。
また、他の一部は、280℃/30分のアニーリングをするこ
とにより結晶化度を高めたアニール物サンプルとして用
いた。密度は、[臭化リチウム/水]系の密度勾配管を
用い、25℃で測定した。
溶液粘度、ηred:PTKサンプルを、98%硫酸に濃度0.5
g/dlとなるように溶解し、ウベローデ型粘度管を用い、
25℃で粘度を測定した。
実施例1 ポリフェニレンスルフィド(呉羽化学工業社製PPS;モ
ノマーとしてパラジクロロベンゼンと硫化ソーダを用
い、特開昭61−7332号公報により製造したもので、310
℃、剪断速度200sec-1での溶融粘度3,000ポイズ)を60
重量%、PTFE粉末(喜多村社製、KTL−610)を15重量
%、引張強度200kgf/mm2のピッチ系炭素繊維(特開昭61
−83317号公報記載の方法で製造;繊維長6mm、糸径12μ
m)を15重量%、平均粒径60μmのカーボンビーズ(特
公昭59−10930号公報に記載の方法に準じて製造)を10
重量%となる割合で各成分を配合し、押出機で混練して
成形用組成物とし、ついで樹脂温度320℃、金型温度150
℃の条件で射出成形して、内径20mm、外径25mm、長さ15
mmのシリンダー状物を得た。
摺動試験の相手材として、同一寸法、同一形状のアル
ミニウムの成形体を使用して摺動特性を評価した。結果
を第1表に示す。
実施例2 引張強度260kgf/mm2のピッチ系炭素繊維(実施例1と
同じ方法で製造;繊維長3mm、糸径8μm)を使用した
以外は実施例1と同様にしてシリンダー状物を得た。
実施例3 引張強度150kgf/mm2のピッチ系炭素繊維(実施例1と
同じ方法で製造;繊維長6mm、糸径18μm)を使用した
以外は実施例1と同様にしてシリンダー状物を得た。
比較例1 PPS70重量%、PTFE粉末15重量%、引張強度200kgf/mm
2のピッチ系炭素繊維15重量%の配合割合とした以外は
実施例1と同様に混練成形してシリンダー状物を得た。
比較例2 PPS60重量%、PTFE粉末15重量%、市販のPAN系炭素繊
維(東邦ベスロン社製ベスファイト、引張強度300kgf/m
m2以上)15重量%、平均粒径60μmのカーボンビーズ10
重量%を実施例1と同様に混練成形してシリンダー状物
を得た。
比較例3 PPS60重量%、PTFE粉末15重量%、市販のガラス繊維
(日本電気硝子社製;繊維長3mm、糸径13μm)15重量
%、平均粒径60μmのカーボンビーズ10重量%を実施例
1と同様に混練成形してシリンダー状物を得た。
比較例4 カーボンビーズとして実施例1と同じ方法で製造した
平均粒径200μmのものを使用した以外は実施例1と同
様の組成で混練成形してシリンダー状物を得た。
比較例5 PPS60重量%、PTFE粉末15重量%、引張強度200kgf/mm
2のピッチ系炭素繊維15重量%、平均粒径60μmのガラ
スビーズ(東芝バロディーニ社製、EGB−371)10重量%
を実施例1と同様に混練成形してシリンダー状物を得
た。
実施例4 PPS70重量%、PTFE粉末15重量%、引張強度200kgf/mm
2のピッチ系炭素繊維10重量%、平均粒径60μmのカー
ボンビーズ5重量%を実施例1と同様に混練成形してシ
リンダー状物を得た。
実施例5 PPS65重量%、PTFE粉末5重量%、引張強度200kgf/mm
2のピッチ系炭素繊維25重量%、平均粒径60μmのカー
ボンビーズ5重量%を実施例1と同様に混練成形しシリ
ンダー状物を得た。
実施例6 PPS60重量%、PTFE粉末20重量%、引張強度200kgf/mm
2のピッチ系炭素繊維15重量%、平均粒径60μmのカー
ボンビーズ5重量%を実施例1と同様に混練成形しシリ
ンダー状物を得た。
比較例6 PPS55重量%、PTFE粉末5重量%、引張強度200kgf/mm
2のピッチ系炭素繊維35重量%、平均粒径60μmのカー
ボンビーズ5重量%を実施例1と同様に押出機で混練し
たが、樹脂組成物を射出成形することは出来なかった。
実施例7 PPS80重量%とPTK(合成実験例1で得たPTK)20重量
部の混合物を60重量%使用した以外は実施例1と同一配
合処方の各成分を押出機で混練して成形用組成物とし、
樹脂温度380℃、金型温度200℃の条件で射出成形して実
施例1と同様にしてシリンダー状物を得た。
実施例8 PPS40重量%とPTK(合成実験例1で得たPTK)60重量
部の混合物を60重量%使用した以外は実施例1と同一配
合処方の各成分を押出機で混練して成形用組成物とし、
樹脂温度380℃、金型温度200℃の条件で射出成形して、
実施例1と同様にしてシリンダー状物を成形し、評価し
た。
実施例9 PPSの代わりにPTK(合成実験例1で得たPTK)を使用
した以外は実施例1と同一組成の各成分を押出機で混練
して成形用組成物とし、樹脂温度380℃、金型200℃の条
件で射出成形して実施例1と同様のシリンダー状物を得
て、同様に評価をした。
比較例7 引張強度70kgf/mm2の市販のピッチ系炭素繊維(呉羽
化学工業社製クレハカーボンファイバー;繊維長3mm、
糸径12.5μm)を用いた以外は実施例1と同様にしてシ
リンダー状物を得た。
実施例1〜9、比較例1〜7の結果を第一表に示す。
<物性の測定方法> 熱変形温度:ASTM D−648 限界PV値:スラスト型摩擦摩耗試験機(オリエンテッ
ク社製EFM−III−EN)を使用し、相手材としてアルミダ
イキャスト材を使用した。試料、相手材共に内径20mm、
外径25mm、長さ15mmのシリンダー状とし、相手材を固定
して試料を回転させて摩擦させた。
測定条件は、摩擦速度を12m/分に一定して面圧を変化
させていって限界PV値を求めた。
摩擦係数:摩擦速度12m/分、面圧1.0kg/cm2で測定し
た。測定機、測定試料、相手材は、限界PV値測定の場合
と同じ。
摩耗量:摩擦速度12m/分、面圧1.0kg/cm2、試験時間1
5時間として測定した。測定機、測定試料、相手材は、
限界PV値測定の場合と同じ。
相手材の損傷の有無:試験終了後相手材の摩擦面を清
浄した後、顕微鏡で観察し、未使用品の表面と比較し
た。
第1表から明らかなように、本発明の摺動用樹脂組成
物から得られた摺動部材は、熱変形温度が高く耐熱性が
良好であり、摩擦係数・摩耗量とも少なく摺動特性に優
れている。しかも、相手材のアルミニウム製成形体を損
傷することはない。
これに対し、比較例のものは、いずれも耐摩耗性に劣
り、相手材に損傷を与えるなど、所期の目的を達成でき
ないものであった。また、炭素繊維を多量に配合すると
成形不能になった(比較例6)。
(発明の効果) 本発明により、軟質金属または軟質合金を相手材とす
る摺動部材として使用した場合、相手材に損傷を与える
ことがなく、しかも高負荷条件、高温条件下での使用に
おいても、良好な摺動特性と耐久性を有する摺動部材用
樹脂組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27:18)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリ
    ーレンチオエーテルケトンから選ばれる少なくとも1種
    の耐熱性熱可塑性樹脂55〜70重量%、ポリテトラフルオ
    ロエチレン樹脂粉末5〜20重量%、引張強度150kgf/mm2
    以上のピッチ系炭素繊維10〜30重量%、および平均粒径
    10〜100μmのカーボンビーズ5〜15重量%を含有して
    なる摺動部材用樹脂組成物。
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