JP4597641B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置、例えば、電子写真式のプリンタにおいては、記録媒体としての用紙に転写されたトナー像を定着させるために熱ローラ式の定着装置が配設されるようになっていて、該定着装置は、定着ローラ及び加圧ローラを備え、前記用紙は、定着ローラと加圧ローラとの間に形成されるニップ部を通過し、その間に、トナー像は用紙に定着させられる。
これに対して、エンドレスのベルト(以下「定着ベルト」という。)を使用して定着を行うようにしたベルト式の定着装置においては、熱ローラ式の定着装置と比べて省電力化することができ、定着装置を待機状態から定着可能な状態にするのに必要な時間、すなわち、温度の立上り時間を短くすることができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
図2は従来のベルト式の定着装置の要部を示す断面図である。
図において、11は、ハロゲンランプ21が配設され、矢印a方向に回転させられる定着ベルト、12は該定着ベルト11と接触させて配設された加圧ローラ、13は、前記定着ベルト11の内側に配設され、定着ベルト11を加圧ローラ12に押圧し、定着ベルト11と加圧ローラ12との間にニップ部Nを形成する押圧部材である。
モータMを駆動し、加圧ローラ12を矢印R方向に回転させると、加圧ローラ12と定着ベルト11との間に作用する摩擦力によって、定着ベルト11は、押圧部材13と摺動しながら矢印a方向に従動して走行させられる。そして、ハロゲンランプ21によってニップ部Nを所定の温度にし、ニップ部Nにおいて用紙Pを矢印b方向に搬送すると、該用紙Pにトナー像Tが定着させられる。
この場合、定着ベルト11を張架ローラ等の複数の部材間に張設する必要がないので、押圧部材13の断熱性を高く、熱容量を小さくすることによって、ニップ部N以外における放熱を少なくすることができる。したがって、温度の立上り時間を短くし、クイックスタート性を向上させることができる。
なお、定着装置を高速化するために用紙Pの搬送速度を高くしようとすると、用紙Pに十分な熱を供給する必要がある。そこで、前記ニップ部Nの幅(以下「ニップ幅」という。)が大きくされ、ニップ部Nの圧力が高くされる。
ところで、前記定着ベルト11及び加圧ローラ12の外周面には、用紙Pが搬送されるのに伴ってトナー像Tを構成するトナー、紙粉等が付着するのを防止するために、離型性の高い材料、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系の樹脂から成る表面層を形成するようにしている。
また、用紙Pの搬送速度及び定着ベルト11の走行速度は、加圧ローラ12の周速度で決まるが、加圧ローラ12の熱膨張量が大きいと周速度が変化しやすく、用紙Pが画像形成部における転写部とニップ部Nとの間にまたがっているとき、前記加圧ローラ12の周速度の変化に伴って、用紙Pが定着装置に引っ張られることがあり、その場合、トナー像が伸びたり、ぶれたりして、画像品位を低下させてしまう。
この場合、熱膨張量を小さくするために、加圧ローラ12を構成する弾性層の肉厚を小さくすると、十分なニップ幅を得ることが困難になり、定着装置を高速化することができなくなってしまう。そこで、加圧ローラ12の外周面に、PFA等のフッ素系の樹脂から成るチューブを被覆し、加圧ローラ12に外側から応力を加え、加圧ローラ12の熱膨張量を小さくし、周速度が変化するのを抑制するようにしている。
特開平6−348156号公報
しかしながら、前記従来の定着装置においては、加圧ローラ12の外周面に、例えば、PFA等のフッ素系の樹脂から成るチューブを被覆すると、加圧ローラ12と定着ベルト11との間の摩擦力、及び加圧ローラ12と用紙Pとの間の摩擦力が小さくなり、用紙Pの種類、環境の変化等によっては、定着ベルト11を円滑に走行させたり、用紙Pを円滑に搬送したりすることができない場合が生じる。
本発明は、前記従来の定着装置の問題点を解決して、ベルトを円滑に走行させることができ、記録媒体を円滑に搬送することができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
そのために、本発明の定着装置においては、基材、該基材上に形成された弾性層及び該弾性層上に形成された離型層を備えたベルトと、該ベルトに接触させて配設された加圧部材と、前記ベルトより内側に配設され、該ベルトを押圧する押圧部材とを有する。
そして、前記ベルトの内周面の摩擦係数をμi とし、ベルトの外周面において、記録媒体の通過領域の摩擦係数をμ01とし、記録媒体の非通過領域であり、前記摩擦係数μ01より摩擦係数が大きくされた領域の摩擦係数をμ02としたとき、
μ01<μi <μ02
の関係が形成される。
また、前記記録媒体の非通過領域において前記弾性層が露出させられる。
そして、前記ベルトにおける最大通紙幅と弾性層露出幅との間に逃げ部が形成され、該逃げ部内に前記離型層の端部が位置させられる。
本発明によれば、定着装置においては、基材、該基材上に形成された弾性層及び該弾性層上に形成された離型層を備えたベルトと、該ベルトに接触させて配設された加圧部材と、前記ベルトより内側に配設され、該ベルトを押圧する押圧部材とを有する。
そして、前記ベルトの内周面の摩擦係数をμi とし、ベルトの外周面において、記録媒体の通過領域の摩擦係数をμ01とし、記録媒体の非通過領域であり、前記摩擦係数μ01より摩擦係数が大きくされた領域の摩擦係数をμ02としたとき、
μ01<μi <μ02
の関係が形成される。
また、前記記録媒体の非通過領域において前記弾性層が露出させられる。
そして、前記ベルトにおける最大通紙幅と弾性層露出幅との間に逃げ部が形成され、該逃げ部内に前記離型層の端部が位置させられる。
この場合、摩擦係数の小さい記録媒体が使用されても、また、離型性を有する加圧部材が使用されても、ベルトを走行させる走行力、及び記録媒体を搬送する搬送力を大きくすることができる。したがって、ベルトを円滑に走行させることができ、記録媒体を円滑に搬送することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としての電子写真式のプリンタについて説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図に示されるように、プリンタ60は、画像情報に応じてシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色ごとに現像剤像としてのトナー像を形成する作像装置61C、61M、61Y、61Bk、該各作像装置61C、61M、61Y、61Bkと対向させて配設され、各作像装置61C、61M、61Y、61Bkとの間に各色の転写領域を形成し、各色のトナー像を記録媒体としての用紙に転写するベルト式の転写装置62、前記転写領域に記録媒体としての用紙を給紙する第1の媒体供給部としての手差しトレイ63、用紙の種類ごとに配設され、前記転写領域に用紙を給紙する第2の媒体供給部としての給紙カセット64、前記手差しトレイ63又は給紙カセット64から給紙された用紙を、作像装置61C、61M、61Y、61Bkにおける画像の形成のタイミングに合わせて前記各転写領域に供給するレジストローラ70、並びに前記転写領域において転写された後のトナー像を定着させる定着装置30によって構成される。該定着装置30は、ベルトとしての定着ベルト11、該定着ベルト11に接触させて配設された加圧部材としての加圧ローラ12、前記定着ベルト11の内側に配設され、該定着ベルト11を押圧する押圧部材13、ガイド71等を備える。
なお、前記用紙には、一般にコピー等に使用される普通紙のほかに、OHPシート、カード、葉書、秤量約100〔g/m2 〕相当以上の厚紙、封筒等を使用することができるだけでなく、熱容量の大きいいわゆる特殊シートを使用することもできる。
前記各作像装置61C、61M、61Y、61Bkは、いずれも同じ構造を有し、矢印A方向に回転自在に配設された像担持体としての感光体ドラム65、該感光体ドラム65の回転方向に沿って順に配設された帯電装置としての帯電ローラ67、現像装置66、クリーニング装置68等から成り、前記帯電装置67と現像装置66との間で、図示されない露光装置からの露光光69を受けるようになっている。
なお、前記転写装置62は、第1、第2のローラ72、73、第1、第2のローラ72、73間に張設され、矢印B方向に走行させられるエンドレスの転写媒体としての転写ベルト74、該転写ベルト74の内側において、各作像装置61C、61M、61Y、61Bkと対向させて回転自在に配設された転写ローラ75を備える。
次に、前記構成のプリンタ60の動作について説明する。
まず、プリンタ60の図示されない電源が投入され、オペレータが画像の形成を開始する操作を行うと、各感光体ドラム65は矢印A方向に回転させられ、該各感光体ドラム65は、回転に伴って帯電ローラ67によって帯電させられる。続いて、前記各感光体ドラム65は、露光光69を受け、表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。そして、現像装置66によって感光体ドラム65に現像剤としてのトナーが付着させられ、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。
そして、前記転写ベルト74が矢印B方向に走行させられるのに伴って、用紙にシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が順に転写され、カラーのトナー像が形成される。続いて、前記用紙は、ガイド71に受け渡され、該ガイド71を介して定着装置30のニップ部に供給され、用紙上のカラーのトナー像は、加熱され、加圧されて用紙に定着させられる。また、転写後に感光体ドラム65上に残留しているトナーは、クリーニング装置68によって掻き取られて除去される。
なお、本実施の形態において、感光体ドラム65上のトナー像を直接用紙に転写するようになっているが、一旦エンドレスの転写媒体に転写した後に、用紙に転写することもできる。
ここで、まず、通常の定着装置において通紙中に発生する摩擦力について説明する。
図3は通常のベルト式の定着装置において通紙中に発生する摩擦力を示す図である。
図において、11は、矢印a方向に回転させられる定着ベルト、12は該定着ベルト11と接触させて配設された加圧ローラ、13は、前記定着ベルト11の内側に配設され、定着ベルト11を加圧ローラ12に押圧し、定着ベルト11と加圧ローラ12との間にニップ部Nを形成する押圧部材、L0 は定着装置に対して通紙可能な用紙Pの最大通紙幅、Lは定着ベルト11の全長であり、該全長Lは、本実施の形態においては、最大通紙幅L0 より長くされるが、最大通紙幅L0 と等しくすることもできる。
そして、定着ベルト11が矢印a方向に回転させられ、加圧ローラ12が矢印R方向に回転させられ、用紙Pが矢印b方向にニップ部Nを通過している場合、定着ベルト11の内周面と押圧部材13の当接面との間に、定着ベルト11の走行を阻止する方向に摩擦力f1 が作用するとともに、前記ニップ部Nにおける用紙Pが通過する領域、すなわち、通過領域内において、定着ベルト11の外周面と用紙Pの表面との間に、用紙Pを介して定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f2 が、加圧ローラ12の外周面と用紙Pの裏面との間に、用紙Pを搬送する方向に摩擦力f3 が作用し、用紙Pの通過領域の左右の領域、すなわち、非通過領域において、定着ベルト11の外周面と加圧ローラ12の外周面との間に、直接定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f4 が作用する。
この場合、定着ベルト11を円滑に走行させ、用紙Pを円滑に搬送するためには、各摩擦力f1 〜f4 において、
1 <f2 +f4 <f3
の関係を形成する必要がある。
ところが、前述されたように、前記定着ベルト11及び加圧ローラ12の外周面にフッ素系の樹脂から成る表面層を形成すると、摩擦力f2 、f4 の合力f2 +f4 を十分に大きくすることができない。
そこで、押圧部材13の当接面に低摩擦層をコーティングしたり、摺動用のグリス等を塗布したりして、摩擦力f1 を小さくするようにしているが、低摩擦層のコーティング、摺動用のグリス等は、耐久性が低いので、劣化が進むと、摩擦力f1 が大きくなり、
1 >f2 +f4
の関係が形成され、定着ベルト11を円滑に走行させることができず、定着ベルト11と用紙Pとの間で滑りが生じ、画像に大きな乱れが生じたり、用紙Pにしわが発生したりしてしまう。
また、摩擦係数の小さい用紙Pを高温・高湿の環境下で使用し、ニップ部Nを通紙させると、摩擦力f2 が極端に小さくなり、
1 >f2 +f4
の関係が形成され、同様に、定着ベルト11を円滑に走行させることができず、定着ベルト11と用紙Pとの間で滑りが生じ、画像に大きな乱れが生じたり、用紙Pにしわが発生したりしてしまう。
さらに、加圧ローラ12の外周面に、フッ素系の樹脂から成る前記表面層が形成されるので、摩擦力f3 が小さくなり、
2 >f3
の関係が形成され、加圧ローラ12と用紙Pとの間で滑りが発生し、該用紙Pを円滑に搬送することができなくなってしまう。この現象は、プリンタの画像形成速度(加圧ローラ12の周速度とほぼ等しい。)が高いほど発生しやすい。
ところで、定着ベルト11の外周面の摩擦係数μ1と加圧ローラ12の外周面の摩擦係数μ2は
μ1<μ2
の関係が形成されるようにするのが、好ましい。これは、用紙Pの画像が形成される側においては、定着ベルト11の摩擦係数μ1を小さくすることによって、定着ベルト11とトナー像との離型性を高くする必要があり、また、用紙Pの画像が形成されない側においては、両面印刷時の加圧ローラ12とトナー像との離型性を満足する範囲において摩擦係数μ2を大きくすることによって、加圧ローラ12の回転による用紙Pの搬送力を大きくする必要があるからである。
そこで、加圧ローラ12の外周面に、フッ素系の樹脂から成る前記表面層を形成することなく、加圧ローラとして、芯金の上にシリコーンゴム層を形成したり、該シリコーンゴム層の上にフッ素樹脂が混入されたフッ素ゴムラテックスを被覆したりすることもできるが、この場合、加圧ローラ12の耐久性が低くなってしまう。
また、摩擦係数の大きい樹脂が添加されたフッ素系の樹脂を被覆して、加圧ローラ12の外周面の摩擦係数を大きくすることが試みられているが、摩擦係数を大きくすることができても、離型性、耐久性等がその分低くなってしまう。
次に、このことを前提に、用紙Pを円滑に搬送することができようにした本発明の定着装置30について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す部分断面図、図4は本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す断面図、図5は本発明の第1の実施の形態における定着ベルトの断面図である。
図において、41、42は定着装置本体の左右の側板であり、加圧ローラ12は、芯金軸12aの両端において、それぞれ軸受41a、42aを介して側板41、42によって回転自在に支持される。前記芯金軸12aの一端には、歯車22が取り付けられ、該歯車22に駆動部としてのモータMから回転が伝達され、加圧ローラ12が回転させられる。
本実施の形態においては、定着ベルト11を加熱するために、熱源として出力800〔W〕のハロゲンランプ21が定着ベルト11内に配設される。そして、図示されない制御部は、ハロゲンランプ21を通電し、定着ベルト11を内側から加熱して、定着ベルト11の表面温度を定着に適当な所定の温度(例えば、150〜200〔℃〕)に保持する。なお、用紙の幅に対応させて、複数のハロゲンランプを配設し、通過する用紙に合わせて所定のハロゲンランプを選択的に通電することもできる。
そして、押圧部材13は、定着ベルト11の内側において、定着ベルト11の軸方向に沿って延在させられ、剛性及び耐熱性を有する材料から成り、本実施の形態においては、定着ベルト11の内周面に当接させて配設された耐熱樹脂部材13a、及び該耐熱樹脂部材13aより上方に配設され、耐熱樹脂部材13aを包囲して支持するU字型の金属製の剛性部材13bを備え、前記耐熱樹脂部材13aは定着ベルト11をニップ部Nに案内するガイド部材としても機能する。
本実施の形態においては、前記耐熱樹脂部材13aの周囲に、厚さが50〔μm〕の離型性の高いフッ素系の樹脂、例えば、PFAのチューブを被覆することによって、耐熱樹脂部材13aの定着ベルト11と当接する当接面に摺動部材としてPFAの表面層13cを形成し、押圧部材13と定着ベルト11の内周面との間の摩擦力を小さくし、定着ベルト11を円滑に走行させることができるようにしている。
また、前記摺動部材として、前記PFAに代えてPTFEの表面層を形成したり、フッ素コーティング付きのガラスクロス等を耐熱樹脂部材13aに被覆したりすることもできる。さらに、摺動部材として、耐熱樹脂部材13aに耐熱性の高いシリコーンゴム等から成る弾性層を形成することもできる。この場合、フッ素コーティング付きのガラスクロス等を弾性層に更に被覆するとともに、弾性層にフッ素オイル等を含浸させるのが好ましい。
また、31、32は定着ベルト11の両端に配設され、定着ベルト11の搬送を安定化させるためのガイドとして機能するフランジ部材であり、該フランジ部材31、32は、定着ベルト11と対向する規制面s1、s2を備え、定着ベルト11の端面との間に、所定の、本実施の形態においては、1〜2〔mm〕の距離を置いて配設され、前記規制面s1、s2によって定着ベルト11の長手方向の位置を規制する。前記規制面s1、s2は、定着ベルト11が正規の位置にあるときは定着ベルト11と接触せず、定着ベルト11が回転中に長手方向の一方側又は他方側に寄ったときに定着ベルト11の端面と当接することによって、定着ベルト11を所定の範囲内に位置させる役割を果たす。
前記加圧ローラ12には、芯金軸12aの外周面に、耐熱性及び断熱性の高いスポンジ材料から成るローラ状の弾性層12bが形成され、該弾性層12bの外周面に離型性及び耐久性の高い離型層12cが形成される。本実施の形態においては、前記離型層12cとして、厚さが30〔μm〕のPFAのチューブを被覆することによって形成される。前記加圧ローラ12は、外径が35〔mm〕、長さが450〔mm〕にされる。
前記ハロゲンランプ21、押圧部材13、フランジ部材31、32、定着ベルト11等から成る定着ベルトアッセンブリが、両端を左右の側板41、42の外側に突出させた状態で加圧ローラ12の上側に配設される。そして、左右の側板41、42の外側折り曲げ部p1、p2とフランジ部材31、32のばね受け面s3、s4との間に、付勢部材としての加圧ばね41b、42bが配設される。
該加圧ばね41b、42bの付勢力は、定着ベルトアセンブリを下方に向けて付勢し、フランジ部材31、32及び押圧部材13を、定着ベルト11を介して加圧ローラ12の上面に総圧10〜30〔kgf〕程度で圧接させ、ニップ部Nを形成する。
前記定着ベルト11は、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、ニッケル−コバルト合金等の強磁性の導電性金属から成るエンドレスの基材11cの外周面に、接着を強固にするためのプライマー層を塗布し、その上に、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等を薄く被覆することによって、弾性層11bが形成される。
さらに、該弾性層11bの外周面にプライマー層を塗布し、その上に、トナー等が付着するのを防止するために、通過領域に離型性及び耐熱性が高いPFA、PTFE、FEP等のフッ素系の樹脂から成る離型層11aが形成される。前記フッ素系の樹脂のほかに、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム等の材料を使用することができる。
前記基材11cは、薄いほど、ハロゲンランプ21の発熱エネルギーがトナー像に伝達される効率が高く、厚いほど、定着ベルト11の走行の安定性が高い。そこで、基材11cの厚さは10〔μm〕以上100〔μm〕未満とする。また、弾性層11bは、薄いほど、前記ハロゲンランプ21の発熱エネルギーがトナー像に伝達される効率が高く、厚いほど、定着ベルト11の走行の安定性が高く、トナー像の厚さの変化に追従し、画像品位を向上させることができる。そこで、弾性層11bの厚さは100〔μm〕以上1000〔μm〕未満とする。さらに、離型層11aは、薄いほど、前記ハロゲンランプ21の発熱エネルギーがトナー像に伝達される効率が高く、トナーの分離性が高く、トナー像の厚さの変化に対する追従性が高く、厚いほど、対摩耗性及び耐久性が高い。そこで、離型層11aの厚さは1〔μm〕以上100〔μm〕未満とする。
本実施の形態においては、基材11cとして、内径が35〔mm〕、厚さが40〔μm〕のステンレス鋼を使用し、弾性層11bとして、ゴム硬度が5度(JIS−A)の液状シリコーンゴムを厚さが200〔μm〕になるように形成し、離型層11aとして30〔μm〕の厚さのPFAのチューブを被覆し、プライマー層も含め総厚が約270〔μm〕、全長が450〔mm〕の外径寸法を有する定着ベルト11を形成した。
前記定着ベルト11には、前述されたように、用紙の通過領域に離型層11aが形成され、非通過領域には離型層11aを形成せず、弾性層11bを露出させられる。なお、前記離型層11aの離型層幅L1 は用紙Pの最大通紙幅L0 よりわずかに大きくされる。
本実施の形態においては、最大通紙幅L0 が330〔mm〕であるのに対して、左右に3〔mm〕の距離から成るマージンを置いて336〔mm〕の離型層幅L1 が形成され、その左右に約57〔mm〕の弾性層露出幅L2 、L2 ′が形成される。したがって、定着ベルト11の全長Lは
L=L1 +L2 +L2
=336+57×2
=450〔mm〕
になる。
次に、前記構成の定着装置30の動作について説明する。
まず、加圧ローラ12はモータMから回転が伝達され、所定の周速度で回転させられる。これに伴って、ニップ部Nにおける前記加圧ローラ12の外周面と定着ベルト11の外周面との間に作用する摩擦力で、定着ベルト11は、内周面を押圧部材13の当接面に密着させて摺動させながら、加圧ローラ12の周速度とほぼ等しい速度で走行せられる。
このとき、定着ベルト11は、ニップ部Nとその近傍以外の部分においてテンションが加わらない状態に置かれ、走行に伴って、押圧部材13の長手方向に移動しようとすると、前記規制面s1、s2に定着ベルト11の端面が当たる。したがって、定着ベルト11の幅方向の移動が規制される。
そして、ハロゲンランプ21が通電され、ハロゲンランプ21の発熱によって定着ベルト11の外周面(ニップ部N)が加熱され、所定の温度になると、ニップ部Nに用紙が供給され、ニップ部Nにおいてトナー像が定着ベルト11の外周面と密着し、定着ベルト11と共に移動する。その間に、ハロゲンランプ21の熱が定着ベルト11を介してトナー像に伝達され、トナー像が加熱され、加圧され、用紙に定着させられる。該用紙はニップ部Nを通過すると、定着ベルト11の外周面から曲率によって分離させられ、排出される。
次に、前記構成の定着装置30において通紙中に発生する摩擦力について説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態における通紙中に発生する摩擦力を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における定着装置の各部材の摩擦係数を示す図である。
前記ニップ部N(図1)を用紙Pが矢印b方向に搬送されるとき、用紙Pの通過領域内では定着ベルト11の離型層11aと用紙Pの表面との間に、用紙Pを介して定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f2 が作用し、用紙Pの非通過領域では加圧ローラ12の外周面と定着ベルト11の弾性層11bとの間に、直接定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f4 、f4 ′が作用する。
したがって、摩擦力f2 、f4 、f4 ′の合力f2 +f4 +f4 ′によって、定着ベルト11は矢印a方向に従動して走行させられる。このとき、定着ベルト11の内周面と押圧部材13の当接面との間に定着ベルト11の走行を阻止する方向に摩擦力f1 が作用するので、定着ベルト11を円滑に走行させるためには、前記合力f2 +f4 +f4 ′を摩擦力f1 より大きくする必要がある。
また、離型性及び耐久性を高くするために、加圧ローラ12の外周面にPFAの離型層12cが形成されるので、加圧ローラ12の外周面と用紙Pの裏面との間に、用紙Pを搬送する方向に作用する摩擦力f3 は、摩擦力f2 とほぼ等しくなる。さらに、仮に、摩擦係数の小さい用紙Pを使用すると、摩擦力f2 は小さくなり、同様に摩擦力f3 も小さくなるので、用紙Pの摩擦係数に依存することなく、定着ベルト11を円滑に走行させ、用紙Pを円滑に搬送するためには、摩擦力f1 、f2 、f4 、f4 ′を、
2 <f1 <f2 +f4 +f4
の関係に置く必要がある。
このような関係式で、前記摩擦力f2 が0に近似されると、
2 <f1 <f4 +f4 ′(f2 ≒0)
の関係が成立することになるので、定着ベルト11を円滑に走行させ、用紙Pを円滑に搬送することができる。
ここで、図8に示されるように、押圧部材13の当接面の摩擦係数をμ1 とし、定着ベルト11の内周面(加熱側の面)の摩擦係数をμi とし、ベルト11の外周面(加熱側の面と対向する面)において、離型層11aの摩擦係数をμ01とし、弾性層11bの摩擦係数をμ02とし、用紙Pの表面の摩擦係数をμ2 とし、用紙Pの裏面の摩擦係数をμ3 とし、加圧ローラ12の外周面の摩擦係数をμ4 とすると、本実施の形態においては、押圧部材13の当接面に表面層13cが形成されるので、
μ1 =μ01=μ4
になる。また、用紙Pの両面の摩擦係数μ2 、μ3 が、前記当接面の摩擦係数μ1 と等しいとすると(この場合、OHPシート、コート紙等の摩擦係数より小さくなる。)、
μ1 =μ01=μ2 =μ3 =μ4
になり、前述された摩擦力の関係を定着ベルト11の摩擦係数で表すことができる。
すなわち、ニップ幅をnとしたとき、ニップ幅n×定着ベルト11の全長Lの受ける加圧力をFとし、ニップ幅n×離型層幅L1 の受ける加圧力をF1 とし、ニップ幅n×弾性層露出幅L2 、L2 ′の受ける加圧力をF2 、F2 ′とすると、
μ01・F1 <μi ・F<μ01・F1 +μ02(F2 +F2 ′)
F=F1 +F2 +F2
となる。
ここで、各部材表面の受ける加圧力F、F1 、F2 、F2 ′は全長L、離型層幅L1 及び弾性層露出幅L2 、L2 ′の比となるので、
μ01・L1 <μi ・L<μ01・L1 +μ02(L2 +L2 ′)
となる。
本実施の形態において、PFAの摩擦係数は0.2であり、ステンレス鋼の摩擦係数は0.3であり、シリコーンゴムの摩擦係数は0.9であり、全長Lが450〔mm〕であり、離型層幅L1 が336〔mm〕であり、弾性層露出幅L2 、L2 ′が57〔mm〕である。したがって、前述された関係が成立する。
また、定着ベルト11において、摩擦係数μi 、μ01、μ02が、
μ01<μi <μ02
の関係を形成するように、基材11c、離型層11a及び弾性層11bの各材料が選択される。なお、この場合、単一の材料を選択して摩擦係数μi 、μ01、μ02を調整したり、複数の材料を組み合わせることによって摩擦係数μi 、μ01、μ02を調整したりすることができる。
このように、本実施の形態においては、摩擦係数μ2 、μ3 の小さい用紙Pが使用されて摩擦力f2 が小さくなっても、また、離型性を有する加圧ローラ12によって摩擦力f3 が小さくなっても、摩擦力f4 +f4 ′を大きくすることによって、定着ベルト11を走行させる力を表す走行力、及び用紙Pを搬送する力を表す搬送力を大きくすることができる。
そして、前記用紙Pの摩擦係数μ2 、μ3 が大きくなると、摩擦力f1 、f2 において、
2 >f1
の関係が成立することがあるが、このときも、摩擦力f1 、f4 、f4 ′において、
1 <f4 +f4
の関係が成立するので、定着ベルト11を円滑に走行させることができ、用紙Pを円滑に搬送することができる。
また、押圧部材13による摩擦力f1 が大きくなっても、前述された関係が成立するように弾性層11bの材料を変更することによって摩擦係数μ02を大きくしたり、弾性層露出幅L2 、L2 ′を大きくしたりすることによって、定着ベルト11の走行力及び用紙Pの搬送力を確保することができる。
このように、本実施の形態においては、定着ベルト11に離型層11aが、加圧ローラ12に離型層12cが形成されるので、長期にわたって、定着ベルト11及び加圧ローラ12の外周面が汚れることがなく、安定した離型性及び耐久性を確保することができ、定着ベルト11を円滑に走行させ、用紙Pを円滑に搬送することができる。その結果、ニップ部Nを通過する用紙Pと定着ベルト11又は加圧ローラ12との間で滑りが発生するのを防止することができ、画像品位を向上させることができる。
また、加圧ローラ12の外周面に、離型層12cとしてチューブが被覆されるので、加圧ローラ12に外側から応力を加え、加圧ローラ12の熱膨張量を小さくし、周速度が変化するのを抑制することができる。したがって、用紙Pを安定させて搬送することができる。
そして、定着ベルト11の弾性層11bの一部を露出するだけで、定着ベルト11の摩擦係数を大きくすることができるので、別部材を追加したり工程を追加したりする必要がなく、定着装置30のコストを低くすることができる。
ところで、本発明を、押圧部材及び張架ローラ等の複数の部材間に定着ベルトを張設するようにした定着装置に適用することができる。なお、図4の定着装置と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
図9は本発明の第1の実施の形態における他の定着装置の要部を示す断面図である。
この場合、定着ベルト11は、押圧部材13、第1のローラとしての定着ローラ91、及び第2のローラとしての張架ローラ92間に張設され、前記定着ローラ91内にハロゲンランプ21が配設される。なお、Mはモータ、Tはトナー像である。
図10は本発明の第1の実施の形態における更に他の定着装置の要部を示す断面図である。
この場合、定着ベルト11は、複数の、例えば、2つの第1、第2の張架ローラ93、94間に張設され、第1の張架ローラ93内にハロゲンランプ21が配設される。そして、前記第2の張架ローラ94は前記定着ベルト11を介して加圧ローラ12に押圧させられる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図11は本発明の第2の実施の形態における定着装置の要部を示す断面図である。
図において、81は押圧部材であり、該押圧部材81において、熱伝導性が高いセラミックから成るアルミナ基板の表面に、長手方向に配設された熱源としての、かつ、低熱容量の線状加熱体から成る図示されないセラミックヒータが形成される。なお、該セラミックヒータは、通電発熱抵抗材料を細帯状に塗工して形成され、発熱体層を構成する。
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図12は本発明の第3の実施の形態における定着装置の要部を示す断面図である。
図において、85はコア、86はコイルであり、前記定着ベルトの基材11c(図5)は、前述されたように、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、ニッケル−コバルト合金等の強磁性の導電性金属から成る。したがって、前記コイル86に所定の電流を流すと、磁界Q1が形成され、前記ベルトとしての定着ベルト11の基材11cに渦電流が発生し、ジュール熱によって基材11cが発熱し、加熱される。
なお、この場合、基材11c及びコイル86によって熱源が構成される。また、前記基材11cを、強磁性の導電性金属が添加された耐熱性の高い樹脂、すなわち、耐熱性樹脂、例えば、ポリイミドによって形成することもできる。さらに、弾性層11bに強磁性を有する導電性金属を添加することもできる。
ところで、前記第1の実施の形態においては、定着ベルト11の外周面の用紙Pの非通過領域の摩擦係数μ02(図8)を大きくするために、離型層11aを定着ベルト11の全長Lより短く形成し、弾性層11bを露出させるようになっている。ところが、弾性層露出幅L2 、L2 ′を大きくすると、プリンタが大型化してしまう。
そこで、プリンタを小型化することができるようにした本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態における定着装置30の構造については、前記第1の実施の形態における定着装置30の構造と同様であるので、図1を援用して説明する。
この場合、全長Lが404〔mm〕のベルトとしての定着ベルト11が使用される。最大通紙幅L0 が330〔mm〕であるのに対して、左右に3〔mm〕の距離から成るマージンを置いて離型層幅L1 を336〔mm〕で形成し、その左右に弾性層露出幅L2 、L2 ′を約34〔mm〕が形成される。したがって、定着ベルト11の全長Lは
L=L1 +L2 +L2
=336+34×2
=404〔mm〕
になる。
次に、前記構成の定着装置30において通紙中に発生する摩擦力について説明する。
前記ニップ部Nを記録媒体としての用紙Pが矢印b方向に搬送されるとき、図7に示されるように、用紙Pの通過領域内では前記離型層11aと用紙Pの表面との間に前記摩擦力f2 が作用し、用紙Pの非通過領域では加圧部材としての加圧ローラ12の外周面と前記弾性層11bとの間に前記摩擦力f4 、f4 ′が作用する。
したがって、摩擦力f2 、f4 、f4 ′の合力f2 +f4 +f4 ′によって、定着ベルト11は矢印a方向に従動して走行させられる。このとき、定着ベルト11の内周面と押圧部材13の当接面との間に前記摩擦力f1 が作用するので、定着ベルト11を円滑に走行させるためには、前記合力f2 +f4 +f4 ′を摩擦力f1 より大きくする必要がある。
また、離型性及び耐久性を高くするために、加圧ローラ12にPFAの離型層12cが形成されるので、加圧ローラ12の外周面と用紙Pの裏面との間に作用する摩擦力f3 は、摩擦力f2 とほぼ等しくなる。さらに、摩擦係数の小さい用紙Pを使用した場合には、摩擦力f2 は小さくなり、同様に摩擦力f3 も小さくなる。
ここで、用紙Pの摩擦係数に関係なく、定着ベルト11を円滑に走行させ、用紙Pを円滑に搬送するためには、摩擦力f1 、f2 、f4 、f4 ′を、
1 <f2 +f4 +f4
の関係に置く必要がある。
ここで、図8に示されるように、押圧部材13の当接面の摩擦係数をμ1 とし、定着ベルト11の内周面の摩擦係数をμi とし、離型層11aの摩擦係数をμ01とし、弾性層11bの摩擦係数をμ02とし、用紙Pの表面の摩擦係数をμ2 とし、用紙Pの裏面の摩擦係数をμ3 とし、加圧ローラ12の外周面の摩擦係数をμ4 とすると、本実施の形態においては、押圧部材13の当接面に表面層13cが形成されるので、
μ1 =μ01=μ4
になる。また、用紙Pの両面の摩擦係数μ2 、μ3 が前記当接面の摩擦係数μ1 と等しいとすると(用紙Pの定着ベルト11側の面の摩擦係数μ2 はOHPシート、コート紙等の摩擦係数より小さい。)、
μ1 =μ01=μ2 =μ3 =μ4
になり、前述された摩擦力の関係を定着ベルト11の摩擦係数で表すことができる。
すなわち、ニップ幅をnとしたとき、ニップ幅n×定着ベルト11の全長Lの受ける加圧力をFとし、ニップ幅n×離型層幅L1 の受ける加圧力をF1 とし、ニップ幅n×弾性層露出幅L2 、L2 ′の受ける加圧力をF2 、F2 ′とすると、
μ01・F1 <μi ・F<μ01・F1 +μ02(F2 +F2 ′)
F=F1 +F2 +F2
となる。
ここで、各部材表面の受ける加圧力F、F1 、F2 、F2 ′は全長L、離型層幅L1 及び弾性層露出幅L2 、L2 ′の比となるので、
μ01・L1 <μi ・L<μ01・L1 +μ02(L2 +L2 ′)
となる。
本実施の形態において、PFAの摩擦係数は0.2であり、ステンレス鋼の摩擦係数は0.3であり、シリコーンゴムの摩擦係数は0.9であり、全長Lが404〔mm〕であり、離型層幅L1 が336〔mm〕であり、弾性層露出幅L2 、L2 ′が34〔mm〕である。したがって、前述された関係が成立する。
このとき、定着ベルト11において、
L=L1 +L2 +L2
であるので、
(μi −μ01)×L1 /(μ02−μi )<L2 +L2
と表すことができる。
このように、本実施の形態においては、摩擦係数μ2 、μ3 の小さい用紙Pを使用することによって摩擦力f2 が小さくなっても、また、離型性の高い加圧ローラ12を使用することによって摩擦力f3 が小さくなっても、摩擦力f4 、f4 ′を大きくすることによって、定着ベルト11及び用紙Pの搬送力を大きくすることができる。
そして、前記用紙Pの摩擦係数μ2 、μ3 が小さくなり、
2 <f1
の関係になった場合でも、
1 <f2 +f4 +f4
が成立することによって、定着ベルト11を円滑に走行させることができ、用紙Pを円滑に搬送することができる。また、前記用紙Pの摩擦係数μ2 、μ3 が大きくなった場合、
2 >f1
の関係が成立することがあるが、このときも、
1 <f2 +f4 +f4
の関係が成立することによって、定着ベルト11を円滑に走行させることができ、用紙Pを円滑に搬送することができる。
さらに、押圧部材13による摩擦力f1 が大きくなっても、前述された関係が成立するように、摩擦係数μ02及び弾性層露出幅L2 、L2 ′を設定すると、定着ベルト11の走行力及び用紙Pの搬送力を確保することができる。
このように、本実施の形態においては、摩擦係数μi 、μ01、μ02、離型層幅L1 、及び弾性層露出幅L2 、L2 ′の合計について、
(μi −μ01)×L1 /(μ02−μi )<L2 +L2
の関係が成立するので、定着装置30を小型化することができる。
ところで、前記各実施の形態において、定着装置30においては、定着ベルト11が走行方向に対して直角の方向に移動して偏るのを規制するために、耐熱性及び摺動性の高い樹脂等によって成形されたガイドとしての前記フランジ部材31、32が配設される。該フランジ部材31、32は、定着ベルト11に寄りが発生すると、定着ベルト11と当接させられ、寄りを防止する構造を有する。ところが、前記定着ベルト11は、導電性金属から成るエンドレスの基材11cの外周面に、弾性層11bが形成され、該弾性層11bの上に離型層11aが形成されるようになっているので、定着ベルト11が偏るのに伴って、定着ベルト11の縁部がフランジ部材31、32と摺動すると、フランジ部材31、32が削られ、定着装置30の耐久性が低下してしまう。
図13は本発明の第5の実施の形態におけるベルト式の定着装置の要部を示す断面図、図14は本発明の第5の実施の形態における定着ベルトの断面図である。
図に示されるように、定着ベルト11の基材11dは耐熱性樹脂によって形成され、耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイド、ポリエーテルケトン等が使用される。前記基材11dの厚さは、熱伝導及び強度のバランスから30〜100〔μm〕にするのが好ましい。また、前記弾性層11bは、画像の均一性を得るためにシリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱ゴムによって形成され、厚さは100〜1000〔μm〕程度にされる。そして、前記離型層11aは、耐熱性及び耐久性の高いフッ素系の樹脂等によって形成され、弾性層11bに被覆される。
本実施の形態においては、基材11dとしては、内径が35〔mm〕、層厚が70〔μm〕のポリイミドを使用し、弾性層11bとしてゴム硬度が20度(ASKER−C)の液状シリコーンゴムを層厚が160〔μm〕になるように形成し、離型層11aとして30〔μm〕の厚さのPFAのチューブを被覆し、プライマー層も含め総厚が約270〔μm〕、全長が450〔mm〕の外径寸法を有する定着ベルト11を形成した。
また、51は熱伝導性及び耐熱性の高い材料、本実施の形態においては、金属材料から成る、案内部材としての金属薄板部材であり、該金属薄板部材51は、円弧状の形状を有し、押圧部材13より上方において定着ベルト11の内周面に沿って配設され、両端が押圧部材13に固定される。なお、本実施の形態において、金属薄板部材51は、厚さ0.8〔mm〕のステンレス鋼によって形成され、金属薄板部材51の内側に熱源としてのハロゲンランプ21が配設される。そして、前記金属薄板部材51は定着ベルト11を案内するとともに、ハロゲンランプ21からの熱を金属薄板部材51に伝達する。
次に、前記構成の定着装置30の動作について説明する。
まず、加圧部材としての加圧ローラ12はモータM(図1)から回転が伝達され、所定の周速度で回転させられる。これに伴って、ニップ部Nにおける前記加圧ローラ12の外周面と定着ベルト11の外周面との間に作用する摩擦力で、定着ベルト11は、固定された金属薄板部材51に沿って従動する回転状態になる。すなわち、前記定着ベルト11は内周面を金属薄板部材51及び押圧部材13の当接面に密着させて摺動させながら、加圧ローラ12の周速度とほぼ等しい速度で走行せられる。
そして、その間、定着ベルト11は、ハロゲンランプ21によって加熱された金属薄板部材51によって案内され、その間に伝達された熱によって、第1の実施の形態と同様に加熱され、同様な定着処理が行われる。
本実施の形態においては、特に、何らかの原因によって定着装置30が異常停止させられ、かつ、ハロゲンランプ21の暴走が起こった場合でも、定着ベルト11とハロゲンランプ21との間に金属薄板部材51が配設されるので、定着ベルト11が熱により破損するのを防止することができる。なお、定着ベルト11の内周面と金属薄板部材51及び押圧部材13の当接面との間に定着ベルト11の走行を阻止する方向に摩擦力f1 が作用するが、第1の実施の形態と同様に、定着ベルト11において、非通過領域には離型層11aが形成されず、弾性層11bが露出させられるので、加圧ローラ12の外周面と定着ベルト11の弾性層11bとの間に、直接定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f4 、f4 ′が作用する。その結果、定着ベルト11の走行力及び用紙Pの搬送力を確保することができる。
このように、本実施の形態においては、定着ベルト11の基材11dに耐熱性樹脂が使用されるので、定着ベルト11の走行に伴って、ガイド部材としてのフランジ部材31、32が削られることがなく、定着装置30の耐久性を向上させることができる。
なお、本実施の形態においては、基材11dに耐熱性樹脂が使用され、該耐熱性樹脂が弾性を有するので、定着ベルト11に加わる曲げストレスを小さくすることができるが、高速で走行させると、耐熱性樹脂が弾性を有するので、円形の形状を保持して走行させることが困難になり、定着ベルト11が振れてしまい、フランジ部材31、32に偏ってしまう。そこで、前記定着ベルト11dに、一定の間隔を設けて前記金属薄板部材51を配設するのが望ましい。その場合、定着ベルト11を、高速で走行させても、円形の形状を保持して走行させることができ、定着ベルト11が振れるのを防止することができ、フランジ部材31、32に偏るのを防止することができる。
ところで、第5の実施の形態において、高速で定着を行ったり、定着装置30のクイックスタートを行ったりしようとすると、金属薄板部材51から基材11dへの熱伝達性を高くする必要があり、そのために、定着ベルト11に対する金属薄板部材51によるテンションを大きくする必要がある。その場合、該テンションによって定着ベルト11の搬送を妨げる摩擦力f1 ′が大きくなり、弾性層露出幅L2 、L2 ′をその分広くする必要が生じる。
そこで、本発明の第6の実施の形態について説明する。
この場合、定着ベルト11は、基材11dを構成するポリイミド、ポリアミドイド、ポリエーテルケトン等の耐熱性樹脂に摩擦係数の小さいPFA、PTEF等のフッ素樹脂が添加される。該フッ素樹脂の耐熱性樹脂に対する混合割合は、耐熱性樹脂100重畳部に対して、5〜25重畳部にするのが好ましい。なお、基材11dの外径及び層厚、並びに弾性層11b及び離型層11aの材料、厚さ等は、第5の実施の形態と同じである。
また、金属薄板部材51は、定着ベルト11に対してテンションを加えるように配設される。そのために、前記押圧部材13及び金属薄板部材51の外周面によって形成される円形部分の外径が、定着ベルト11の内径とほぼ等しいか、又はわずかに小さくされる。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。そして、本実施の形態においては、ポリイミド100重畳部に対して15重畳部のPTFEを添加して基材11dを形成した。なお、金属薄板部材51における定着ベルト11の内周面との接触面側にフッ素樹脂によるコーティング層を形成することもできる。
この場合、基材11dを構成するポリイミドに添加されたPTFEによって、PTFEを添加しない場合と比べて、摩擦係数が小さくれ、0.3から0.1にされる。なお、ポリイミドにPTFEが分散されているので、基材11dが摩耗しても摩擦係数の変化はない。したがって、定着ベルト11の内周面と金属薄板部材51の外周面との間に作用し、前記テンションが加えられることによって、定着ベルト11の搬送を妨げる摩擦力f1 ′が大きくなるのを防止することができ、弾性層露出幅L2 、L2 ′を広くする必要がないだけでなく、定着装置30の耐久性を向上させることができ、定着ベルト11を安定して走行させることができる。
ところで、繰り返し印刷を行うのに伴って、前記弾性層11bが露出する部分の境界、すなわち、離型層11aの両縁に裂け、剥がれ等が発生すると、本来離型層11aであるべき部分において弾性層11bが露出し、その部分にトナー、紙粉等が付着してしまう。そこで、本来離型層11aであるべき部分において弾性層11bが露出することがないようにした本発明の第7の実施の形態について説明する。
図15は本発明の第7の実施の形態における定着ベルトの要部を示す断面図である。
この場合、基材11cとして、内径が35〔mm〕、層厚が40〔μm〕の強磁性ステンレス鋼を使用し、弾性層11bとしてゴム硬度が20度(ASKER−C)の液状シリコーンゴムを層厚が200〔μm〕になるように形成し、離型層11aとして30〔μm〕の厚さのPFAのチューブを被覆し、プライマー層も含め総厚が約270〔μm〕、全長が450〔mm〕の外径寸法を有する定着ベルト11を形成した。
ところで、本実施の形態においては、非通紙領域において前記弾性層11bが露出させられ、最大通紙幅L0 と弾性層露出幅L2 、L2 ′との間に、溝から成る逃げ部αが形成される。
すなわち、最大通紙幅L0 が330〔mm〕に対して、左右に3〔mm〕の距離から成るマージンを置いて実質的に336〔mm〕の離型層幅L1 を形成し、その左右の外側の箇所に幅3〔mm〕で定着ベルト11の外径より径が100〜150〔μm〕小さくなった逃げ部αが形成され、該逃げ部αより外側に約54〔mm〕の弾性層露出幅L2 、L2 ′が形成される。そして、該各逃げ部α間に、実質的に離型層11aが形成される。
この場合、各逃げ部α内に離型層11aの端部が位置させられるので、離型層11aの両縁に裂け、剥がれ等が発生するのを防止することができる。したがって、安定した離型層11aの領域を形成することができるので、本来離型層11aであるべき部分において弾性層11bが露出することがなくなり、その部分にトナー、紙粉等が付着することがなくなる。
ところで、前記各実施の形態においては、摩擦係数を大きくする範囲を弾性層11bを露出させることによって形成するようにしているが、弾性層11bを構成するシリコーンゴム等の耐熱性ゴムの表面の摩擦係数は、加熱されることによって小さくなる。したがって、加熱状態での定着ベルト11による記録媒体としての用紙P(図7)の搬送力が小さくなってしまう。
次に、加熱状態での定着ベルト11による用紙Pの搬送力が小さくなるのを防止することができるようにした本発明の第8の実施の形態について説明する。
図16は本発明の第8の実施の形態における定着ベルトの要部を示す断面図である。
この場合、非通紙領域において弾性層11bが露出させられ、定着ベルト11における最大通紙幅L0 と弾性層露出幅L2 、L2 ′との間に、基材11cを露出させることによって逃げ部βが形成される。
ところで、前記逃げ部βより外側において弾性層11bを形成するために塗布されるプライマー層の熱伝導率は、逃げ部βより内側において弾性層11bを形成するために塗布されるプライマー層の熱伝導率より低くされる。また、前記逃げ部βより外側の弾性層11bには、加熱時に摩擦係数が小さくなるのを防止するために、シリコーンゴム100重量部に対して、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニルサルファイド)、ガラスファイバー等の耐熱性が高く、摩擦係数が大きい樹脂を5〜25重量部の混合割合で添加する。
すなわち、最大通紙幅L0 が330〔mm〕に対して、左右に3〔mm〕の距離から成るマージンを置いて、実質的に336〔mm〕の離型層幅L1 を形成し、その左右の外側の箇所に幅3〔mm〕で弾性層が形成されず、基材11cが露出した逃げ部βが形成され、該各逃げ部βより外側に約54〔mm〕の弾性層露出幅L2 、L2 ′が形成される。そして、該各逃げ部β間に実質的に離型層11aが形成されることになる。また、逃げ部βより外側の弾性層11bにおいては、シリコーンゴム100重量部に対して15重量部のPEEKが混合される。
この場合、前記逃げ部βより内側の弾性層11bと逃げ部βより外側の弾性層11bとが分離させられるので、逃げ部βより内側の弾性層11bから逃げ部βより外側の弾性層11bに熱が伝達するのを抑制することができる。しかも、前記逃げ部βより外側においてプライマー層の熱伝導率が小さくされるので、基材11cから逃げ部βより外側の弾性層11bに熱が伝達するのを抑制することができる。
さらに、前記逃げ部βより外側の弾性層11bの摩擦係数が逃げ部βより内側の弾性層11bの摩擦係数より大きくされる。その結果、弾性層露出幅L2 、L2 ′における摩擦係数を安定的に大きく保持することができるので、定着ベルト11による記録媒体としての用紙P(図7)の搬送力を大きくすることができる。
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図17は本発明の第9の実施の形態における通紙中に発生する摩擦力を示す図である。
この場合、定着ベルト11が矢印a方向に回転させられ、加圧部材としての加圧ローラ12が矢印R方向に回転させられ、記録媒体としての用紙Pが矢印b方向にニップ部Nを通過している場合、定着ベルト11の内周面と押圧部材13の当接面との間に、定着ベルト11の走行を阻止する方向に摩擦力f1 が作用するとともに、前記ニップ部Nにおける用紙Pの通過領域内において、定着ベルト11の外周面と用紙Pの表面との間に、用紙Pを介して定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f2 が、加圧ローラ12の外周面と用紙Pの裏面との間に、用紙Pを搬送する方向に摩擦力f3 が作用し、用紙Pの通過領域外において、定着ベルト11の外周面と加圧ローラ12の外周面との間に、直接定着ベルト11を走行させる方向に摩擦力f4、f4 ′が作用する。
そして、本実施の形態においては、加圧ローラ12における前記用紙Pの非通過領域の摩擦係数が通過領域の摩擦係数より大きくされる。
この場合、前記加圧ローラ12は、芯金軸12a、該芯金軸12aと同心状にローラ状に形成され、耐熱性及び断熱性の高いスポンジ材料から成る弾性層12b、及び該弾性層12b上に被覆され、離型性及び耐久性の高い離型層12cを備える。前記弾性層12bとしては比重が0.9のシリコーンスポンジが使用され、離型層12cとして層厚が30〔μm〕のPFAのチューブが使用され、加圧ローラ12の全体の外径が35〔mm〕に、全長が450〔mm〕にされる。
ここで、前記加圧ローラ12においては、離型層幅L1 内に離型層12cが形成され、離型層幅L1 より外側の部分には離型層12cが形成されず、弾性層露出幅L3 、L3 ′で弾性層12bが露出される。
すなわち、最大通紙幅L0 が330〔mm〕に対して、左右に3〔mm〕の距離から成るマージンを置いて336〔mm〕の離型層幅L1 が形成され、その左右に約57〔mm〕の弾性層露出幅L3 、L3 ′が形成される。
本実施の形態においては、離型層12cを形成する際に弾性層12bを露出させるようにしているが、離型層12cを加圧ローラ12の全長にわたって被覆した後、用紙Pの非通過領域の外周面に、サンドブラスト処理、サンドペーパ処理、砥石研磨等を施すことによって、表面を所定の粗さにして摩擦係数を大きくことができる。
さらに、加圧ローラ12における用紙Pの非通過領域の外周面に、摩擦係数の大きい材料から成るコーティング層を形成することができる。また、摩擦係数の大きい材料のローラ状の部分を両端に別体で配設することができる。
このように、加圧ローラ12において弾性層露出幅L3 、L3 ′だけ摩擦係数を大きくすることができるので、加圧ローラ12による媒体Pの搬送力を大きくすることができる。
なお、本実施の形態においては、カラー画像を形成するプリンタについて説明しているが、本発明を単色の画像を形成するプリンタに適用することができる。
また、前記各実施の形態においては、熱源を定着ベルト11より内側に配設するようになっているが、熱源を定着ベルト11の外側に配設することもできる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す部分断面図である。 従来のベルト式の定着装置の要部を示す断面図である。 通常のベルト式の定着装置において通紙中に発生する摩擦力を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における定着装置の要部を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における定着ベルトの断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるプリンタの概略図である。 本発明の第1の実施の形態における通紙中に発生する摩擦力を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における定着装置の各部材の摩擦係数を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における他の定着装置の要部を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における更に他の定着装置の要部を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態における定着装置の要部を示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態における定着装置の要部を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態におけるベルト式の定着装置の要部を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態における定着ベルトの断面図である。 本発明の第7の実施の形態における定着ベルトの要部を示す断面図である。 本発明の第8の実施の形態における定着ベルトの要部を示す断面図である。 本発明の第9の実施の形態における通紙中に発生する摩擦力を示す図である。
符号の説明
11 定着ベルト
12 加圧ローラ
13、81 押圧部材
30 定着装置
P 用紙

Claims (5)

  1. (a)材、該基材上に形成された弾性層及び該弾性層上に形成された離型層を備えたベルトと、
    (b)該ベルトに接触させて配設された加圧部材と、
    (c)前記ベルトより内側に配設され、該ベルトを押圧する押圧部材とを有するとともに、
    (d)前記ベルトの内周面の摩擦係数をμi とし、ベルトの外周面において、記録媒体の通過領域の摩擦係数をμ01とし、記録媒体の非通過領域であり、前記摩擦係数μ01より摩擦係数が大きくされた領域の摩擦係数をμ02としたとき、
    μ01<μi <μ02
    の関係が形成され、
    (e)前記記録媒体の非通過領域において前記弾性層が露出させられ、
    (f)前記ベルトにおける最大通紙幅と弾性層露出幅との間に逃げ部が形成され、
    (g)該逃げ部内に前記離型層の端部が位置させられることを特徴とする定着装置。
  2. 前記逃げ部は前記弾性層に形成された溝である請求項に記載の定着装置。
  3. (a)前記逃げ部は基材を露出させることによって形成され、
    (b)前記逃げ部より外側の弾性層の摩擦係数が前記逃げ部より内側の弾性層の摩擦係数より大きくされる請求項に記載の定着装置。
  4. 前記加圧部材における記録媒体の非通過領域の摩擦係数が通過領域の摩擦係数より大きくされる請求項1〜のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. (a)記録媒体に現像剤像を形成する作像装置と、
    (b)前記請求項1〜のいずれか1項に記載の定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
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