JP2022165386A - 定着部材及び熱定着装置 - Google Patents

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康弘 宮原
Yasuhiro Miyahara
松崇 前田
Matsutaka Maeda
祐二 北野
Yuji Kitano
真琴 相馬
Makoto Soma
雄太郎 吉田
Yutaro Yoshida
茂夫 黒田
Shigeo Kuroda
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Abstract

【課題】1周目/2周目の光沢段差や、未定着トナーを熱定着させるための熱の利用効率のより一層の改善、ならびに、繰り返し圧縮などに対する高耐久性を有するために有効な熱定着装置用の定着部材を提供する。【解決手段】エンドレス形状を有する電子写真用の定着部材であって、エンドレス形状の基層と、該基層の外周面上の弾性層と、を有し、該弾性層は、シリコーンゴムおよび該シリコーンゴムに分散されたフィラーを含み、該弾性層の該フィラーの総配合量が該弾性層の総体積を基準として30体積%以下であり、該弾性層の、周方向の熱伝導率をλtd、厚み方向の熱伝導率をλnd、長手方向の熱伝導率をλmdとしたとき、λtd>λmd>λndの関係を満たし、λtdが2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上である。【選択図】図1

Description

本開示は、複写機、プリンター等の電子写真画像形成装置に用いられる定着部材及び熱定着装置に関する。
近年の有彩色の画像に対するニーズの高まりによって、有彩色の画像形成を行う画像形成装置に於いても均一な光沢画像の出力が要求されるようになっている。さらに、省エネルギー化を図るという観点から定着装置において消費するエネルギーを最大限有効に利用しようとする機運が高まっており、併せて、画像形成装置の小型化も要求されている。
均一な光沢画像を提供するために、定着装置の定着部材として、金属または耐熱性樹脂などで形成された基体上に、耐熱性を有するシリコーンゴムを含む弾性層を配し、さらに接着剤を介してフッ素樹脂が被覆または薄層形成された構成が一般的に用いられている。
定着部材が弾性層を有することにより、定着ニップ内で定着部材が紙の凹凸形状に追従し、均一に未定着トナー像に熱と圧力を加えることができる。
また、省エネルギー化を図るという観点より定着部材の弾性層はその弾性機能と同時に、高い熱伝導性を要求される。一般的にはシリコーンゴムのような耐熱性のゴム原料に、熱伝導性フィラーとして熱伝導性が高い無機充填材を配合し、所望の熱伝導性と弾性を得る。しかしながら、高い熱伝導性を持たせるために熱伝導性フィラーを多く配合していくと弾性層が固くなり、弾性機能が失われる場合がある。また、定着ニップ内での繰り返し圧縮により、熱伝導性フィラーとシリコーンゴムとの界面で局所的な応力集中が発生する箇所が増えるため、繰り返し大きい応力がかかる条件下では弾性層が破断することがあった。そのため、熱伝導性フィラーの配合量を増やすことなく、熱伝導性を上げる工夫が必要となる。
定着部材はトナーおよび記録材に熱を与えるので、その表面温度は温度調節回路による温調とのタイムラグにより記録材の通過に従い低下する。そのため、定着部材の2周目先端において記録材およびトナーに与える熱量が1周目後端よりも小さくなる。その結果、同一の記録材の画像面において記録材の搬送方向に関して定着部材の1周目後端の画像の光沢に比べ2周目先端の画像の光沢が低下し、画像に急峻な光沢差(グロスムラ:以下、光沢段差と称す)が発生する場合がある。すなわち、定着部材の温度差が1周目と2周目において特に大きくなり、1枚の定着画像内のうち、定着部材の1周目後端部で定着された部位と、定着部材の2周目先端部で定着された部位との間では大きな光沢段差を生じる場合がある。特に省エネルギー化を図るという観点から定着部材を小型化するほど、定着部材の周回時間(=定着部材の周長/搬送速度)が短くなるため、光沢段差が目立つ傾向にある。
この定着部材の1周目/2周目の光沢段差を改善する従来技術として、特許文献1では、記録材が挿通される以前に、加熱定着部材の表面を冷却手段によって冷却する加熱定着装置が提案されている。記録材を挿通する前に定着部材の温度を下げることで、定着部材の1周目後端と2周目先端との温度差を軽減し、光沢段差を軽減するものである。
また、特許文献2では、定着部材の内側に位置する加熱部材からの熱を記録材の搬送方向に伝熱させる伝熱シートを有し、記録材の搬送方向の熱量差を低減させる定着器が開示されている。
特開平11-038826号公報 特開2018-205336号公報
本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る加熱定着装置によれば、前記したような急峻な光沢段差を緩和することができる。しかしながら、一旦加熱した定着部材の温度を下げることとなり、定着部材に与えた熱量を最大限に利用できていない。また、特許文献2に係る定着器は、伝熱シートを有する分だけ、定着器としての熱容量が増加し、定着器を所定の温度に加熱するためにより多くのエネルギーを要する。
本開示の一態様は、熱の利用効率の低下を抑えつつ、定着部材の1周目と2周目の温度差に起因する電子写真画像への光沢段差の発生を防止し得る熱定着装置用の定着部材の提供に向けたものである。また、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することができる熱定着装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、
エンドレス形状を有する電子写真用の定着部材であって、
エンドレス形状の基層と、該基層の外周面上の弾性層と、を有し、
該弾性層はシリコーンゴムおよび該シリコーンゴムに分散されたフィラーを含み、
該弾性層の該フィラーの総配合量が該弾性層の総体積を基準として30体積%以下であり、
該弾性層の、周方向の熱伝導率をλtd、厚み方向の熱伝導率をλnd、長手方向の熱伝導率をλmdとしたとき、
λtd>λmd>λndの関係を満たし、
λtdが2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上である定着部材が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、加熱部材と、該加熱部材に対向して配置されている加圧部材と、を有する熱定着装置であって、該加熱部材が、上記の定着部材である熱定着装置が提供される。
本開示の一態様によれば、定着部材の1周目と2周目の温度差に起因する電子写真画像への光沢段差の発生を、熱の利用効率の低下を抑えつつ防止し得る熱定着装置用の定着部材を得ることができる。本開示の一態様によれば、高品位な電子写真画像を形成することができる熱定着装置を得ることができる。
本開示の一態様に係る定着部材の弾性層の熱伝導の方向の説明図である。 本開示の一態様に係る定着部材の製造方法における弾性層形成用組成物の層の帯電工程の説明図であり、(a)は俯瞰図であり、(b)は断面図である。 弾性層形成用組成物層を電場に置いたときのフィラーの配向のメカニズムの説明図であり、(a)は、周方向-厚み方向の断面におけるフィラーの配向状態の一例を示す模式図であり、(b)はフィラーに加わる力の説明図である。 弾性層形成用組成物層を電場に置く前の状態の説明図であり、(a)周方向‐厚み方向の断面図、(b)長手方向‐厚み方向の断面図である。 弾性層形成用組成物層を電場に置き、フィラーを配向させたときの状態の説明図であり、(a)周方向‐厚み方向の断面図、(b)長手方向‐厚み方向の断面図のである。 本開示に係るエンドレス形状の定着部材の例の説明図であり(a)はエンドレスベルト形状の定着部材の周方向に平行な断面図、(b)はローラ形状の定着部材の週報応に平行な断面図である。 本開示の一態様に係る定着部材の製造方法における表層の形成工程の説明図である。 本開示の一態様に係る熱定着装置の断面図である。 本開示の他の態様に係る熱定着装置の断面図である。
本発明者らは上記の目的を達成すべく検討を重ねた。その過程で、定着部材の弾性層中に熱伝導性のフィラーを含有させて、周方向の熱伝導率を高めることで、被記録材によって熱が奪われ、温度が低下した部分に、当該部分の周方向上流側及び下流側から熱が供給されるような構成とすることを検討した。以降、周方向の熱伝導率を「λtd」ともいう。ここで、多量の熱伝導性フィラーを弾性層中に含有させれば、λtdを向上させ得るものの、多量の熱伝導性フィラーの含有は弾性層の硬度上昇を招来する。そこで、弾性層の硬度上昇を抑制するうえで、弾性層中の熱伝導性フィラーの含有量を弾性層の総体積を基準として30体積%以下とすることを前提として、λtdを2.0W/(m・K)以上とすることを検討した。
その結果、熱伝導性フィラーとして、例えば、六方晶窒化ホウ素の如き板状の結晶構造を有するフィラーを用いることが有効であることを見出した。六方晶窒化ホウ素は窒素とホウ素が交互に共有結合してできた六員環が面方向に多数結合した二次元構造体が交互に積層された層状構造を有する。そして、面方向の熱伝導率が、例えば、600 W/(m・K)と極めて高い。また、六方晶窒化ホウ素は、板形状を有するため、弾性層中で周方向に配向して含有させることで、λtdを大きくすることができることを知見した。
しかしながら、六方晶窒化ホウ素を周方向に配向させた場合、六方晶窒化ホウ素は、結晶面と垂直な方向の熱伝導率が、約3W/(m・K)と極めて低く、弾性層の厚み方向の熱伝導率が低くなる。これは、定着部材の裏面に熱源を配した場合には、定着部材の表面への熱伝導が阻害されるため、熱を効率的に未定着トナーの熱定着させるうえでは好ましくない。
そこで、本発明者らは、さらなる検討を行った結果、熱伝導性フィラーの含有量を、弾性層の総体積に対して30体積%以下に抑えつつ、λtd及びλndを共に高い値とすることができる弾性層の構成を新たに見出した。
すなわち、本開示の一態様に係る、エンドレス形状を有する電子写真用の定着部材は、エンドレス形状の基層と、該基層の外周面上の弾性層と、を有する。該弾性層は、シリコーンゴムおよび該シリコーンゴムに分散されたフィラーを含み、該弾性層の該フィラーの総含有量が該弾性層の総体積を基準として30体積%以下である。また、該弾性層の、周方向の熱伝導率をλtd、厚み方向の熱伝導率をλnd、長手方向の熱伝導率をλmdとしたとき、λtd>λmd>λndの関係を満たし、λtdが2.0W/(m・K)以上であり、かつ、λndが1.3W/(m・K)以上である。
λtdが2.0W/(m・K)以上と高いため、記録材が通過して定着部材の表面温度が低下した領域(1周目後端部分)に記録材が通過していない領域(2周目先端部分)の熱が効率よく補充される。このため定着部材の1周目と2周目の境界部分の温度差を低減することができる。また、λndも、1.3W/(m・K)以上と高いため、加熱源から生成される熱を定着部材表面に伝熱する時間を短縮することも上記の温度差の低減に作用していると考えられる。
本開示の一実施形態に係る定着部材及び熱定着装置について以下に具体的な構成に基づき詳細に説明する。
(1)定着部材の構成概略
本実施形態の定着部材の詳細について図面を用いて説明する。
図6(a)及び(b)は、本実施形態に係る定着部材を示す概略断面模式図である。図6(a)はベルト形態の、図6(b)はローラ形態の定着部材の一例を表す。図6(a)及び(b)において、符号3は基体(基層)を示し、符号4は基体3の外周面を被覆しているシリコーンゴムを含む弾性層を示す。なお図6においては、半径方向が弾性層の厚み方向となる。
このように、本実施形態に係る定着部材は、基体3および基体3の上のシリコーンゴムを含む弾性層4を有する。なお、これらの図に示すように、定着部材はシリコーンゴムを含む弾性層4の上に表層6を有することができる。また、シリコーンゴムを含む弾性層4と表層6との間に、接着層5を有することもでき、この場合、表層6は、シリコーンゴムを含む弾性層4の外周面に接着層5により固定される。図6に示す定着部材はいずれもエンドレス形状を有する。エンドレス形状とは、周方向に回転移動することで、同じ部位が何度も(エンドレスに)定着ニップ部を通過できる形状である。具体的には、エンドレスベルト形状やローラ形状が挙げられる。
(2)基体
定着部材が図6(a)に示すようなベルト形態である場合、基体3には、電鋳ニッケルスリーブやステンレススリーブなどの金属、ポリイミドなどの耐熱性樹脂を用いることができる。特に熱定着装置が電磁誘導加熱方式の場合には、発熱効率を高めることができるという観点からニッケルや鉄を主成分とした合金が用いられる。基体3の外面(弾性層側の面)には、弾性層との接着性を向上させる機能を付与するための層を設けることができる。すなわち、弾性層4は、基体3の外周面上に設けられればよく、弾性層4と基体3との間に他の層を設けることができる。また、基体3の内面(上記外面とは反対側の面)には、耐摩耗性や潤滑性などの機能を付与するための層をさらに設けることができる。なお、ベルト形態である場合は、以下の製造工程中、スリーブの内部に中子を挿入して取り扱う。
定着部材が定着ベルトである場合、定着ベルトの内径が20mm以上130mm以下であることが好ましい。この範囲内とすることで、内部に挿入するヒーターやヒーターホルダーのダウンサイジング上の制約が少なく、また、定着装置のサイズが大きくなりすぎることを防止し得る。
定着部材が図6(b)に示すようなローラ形態である場合、基体3には、アルミニウム、鉄などの金属や合金からなる導電性の軸芯体(以下、芯金とも記載する。)を用いることができ、熱定着装置での加熱・加圧に耐える強度を有していればよい。図6(b)では、基体3として中実の芯金を用いているが、基体3には中空の芯金を用いてもよく、内部にハロゲンランプなどの熱源を有していてもよい。
(3)弾性層
弾性層4は、バインダーとしてのシリコーンゴムと、該シリコーンゴム中に分散されたフィラー7と、を含む。また、弾性層中におけるフィラーの含有量は、弾性層の体積を基準として、30体積%以下である。さらに、弾性層4の周方向の熱伝導率をλtd、厚み方向の熱伝導率をλnd、周方向に直交する方向の熱伝導率をλmdとしたとき、λtd>λmd>λndであり、λtdが、2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上である。
弾性層中のフィラーの総含有量は、弾性層の体積を基準として、30体積%以下であることで、弾性層中におけるゴム成分が少なくなりすぎることを防止できる。その結果、弾性層に十分な弾性を付与でき、また、長期の使用によっても破断することのない耐久性を付与し得る。ここで、弾性層の引張り弾性率としては、好ましくは、0.20MPa以上、1.20MPa以下とする。弾性層の弾性率をこの範囲内とすることによって、定着部材の外表面を紙の凹凸によく追従させることができ、より高品位な電子写真画像を形成することに資するものである。なお、弾性層の弾性率は、フィラーの含有量に加えて、後述する付加硬化型液状シリコーンゴムの各成分(a)~(d)の種類や配合量によって調整することができる。
また、前述した通り、本開示に係る弾性層は、λtdが2.0W/(m・K)以上と高いため、記録材が通過して定着部材の表面温度が低下した領域(1周目後端部分)に記録材が通過していない領域(2周目先端部分)の熱が効率よく補充される。このため定着部材の1周目と2周目の境界部分の温度差を低減することができる。また、λndも、1.3W/(m・K)以上と高いため、加熱源から生成される熱を定着部材表面に伝熱する時間を短縮することも上記の温度差の低減に作用していると考えられる。また、定着部材の内周側に熱源が配置された場合にも、当該熱源から定着部材に供給された熱が、効率良く定着部材の外周面側に伝達されるため、未定着トナーを熱定着させるための熱の利用効率の改善にも資する。
弾性層の厚み方向の熱伝導率λndは、以下の式(2)から算出できる。また、弾性層の幅方向の熱伝導率λmdと周方向の熱伝導率λtdは、以下の式(3)および式(4)から算出できる。
λnd=αnd×C×ρ 式(2)
式(2)中、λndは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αndは厚み方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。
λmd=αmd×C×ρ 式(3)
λtd=αtd×C×ρ。 式(4)
式(3)および式(4)中、αmdは幅方向の熱拡散率(m/s)、αtdは周方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。なお、各パラメータの測定方法は、実施例において詳述する。
本開示に係る、上記の熱的特性を備えた弾性層は、例えば、六方晶窒化ホウ素の如き板状の結晶構造を有するフィラーを、弾性層の周方向と厚み方向とに配向させることで達成し得る。かかる弾性層は、例えば、以下の方法によって製造することができる。基体上に、板状の結晶構造を有するフィラーと液状シリコーンゴムとを含む弾性層形成用の組成物の層(以降、「組成物層」ともいう)を形成する。このとき、フィラーは板状の結晶構造を有するため、組成物層中では、面内に配向する傾向がある。この状態の組成物層を硬化させた場合、λtdが大きく、λndが小さい弾性層となる。
そこで、面内に配向した状態でフィラーが存在している組成物層の外表面を帯電させる。これにより、該組成物層中のフィラーが誘電分極し、厚み方向に配向する。また、その過程で、フィラー同士が連結することにより、周方向の伝熱パスが形成されると考えられる。その結果、λtdが、2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上、かつ、λtd>λmd>λndなる関係を有する弾性層を作製することができる。
組成物層の外表面を帯電させることによるフィラーの配向についての想定メカニズム、及び帯電方法については、後述する。
なお、弾性層中のシリコーンゴムの組成は赤外分光分析装置(FT-IR)(例えば、商品名:Frontier FT IR,PerkinElmer社製)を用いた全反射(ATR)測定を行うことにより確認可能である。シリコーンの主鎖構造であるケイ素-酸素結合(Si-O)は、伸縮振動に伴い波数1020cm-1付近に強い赤外吸収を示す。さらに、ケイ素原子に結合したメチル基(Si-CH)は、その構造に起因する変角振動に伴い、波数1260cm-1付近に強い赤外吸収を示すことから、その存在を確認することが可能である。
また、弾性層における硬化シリコーンゴム及びフィラーの含有量は、熱重量測定装置(TGA)(例えば、商品名:TGA851,Mettler-Toledo社製)を用いることにより確認可能である。弾性層を剃刀等で切り出し、20mg程度を正確に秤量して、装置で使用するアルミナパンに入れる。試料の入ったアルミナパンを装置にセットし、窒素雰囲気のもと、室温から800℃まで20℃毎分の昇温速度で加熱し、さらに800℃で1時間定温する。窒素雰囲気中では、昇温に伴い、硬化シリコーンゴム成分は酸化されずにクラッキングにより分解・除去されるため、試料の質量が減少する。こうして測定前後の質量を比較することにより、弾性層に含まれていた硬化シリコーンゴム成分の含有量、およびフィラーの含有量を確認することができる。
(3-1)シリコーンゴム
シリコーンゴムを含む弾性層は、定着部材を加熱部材として用いる場合には、定着時に紙の凹凸に追従するための優れた柔軟性を付与する層として機能する。シリコーンゴムは、非通紙部領域で240℃程度の高温になる環境においても柔軟性を保持できる高い耐熱性を有しているため、弾性層のバインダーとして特に好適に用いられる。また、シリコーンゴムは、後述するフィラーの配向工程において、表面層形成用組成物の層の表面に電荷を付与して帯電させるため、電気絶縁性もしくは半導電性であることが好ましい。かかるシリコーンゴムとしては、付加硬化型液状シリコーンゴムの硬化物が挙げられる。
(3-1-1)付加硬化型液状シリコーンゴム
液状付加硬化型シリコーンゴムは、(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン、(b)ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン、(c)触媒(例えば白金化合物)、および(d)硬化遅延剤を含むことができる。
(a)は硬化反応時に架橋点として機能する。(b)は架橋剤である。(c)は硬化反応を促進するための触媒である。(d)は反応開始時間を制御するための硬化遅延剤(インヒビター)である。さらに、これらに加え、耐熱性、補強性等を付与するために、それぞれの目的にあった充填剤を混練・分散することもできる。
以下に(a)~(d)について説明する。
(3-1-2)成分(a)
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン(以降、a成分と称することがある)は、ビニル基等の不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンであればいずれのものも用いることができる。例えば、下記の式1と式2に示すものをa成分として用いることができる。
・RSiOで表される中間単位およびRSiOで表される中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記式1参照)。
Figure 2022165386000002
・RSiOで表される中間単位およびRSiOで表される中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記式2参照)。
Figure 2022165386000003
(式1と式2とにおいて、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を表し、mおよびnは各々独立して0以上の整数を表す。)
なお、式1と式2においてRで表される、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等、アリール基(例えば、フェニル基等)を例示することができる。特に、メチル基であることが好ましい。
また、式1と式2において、Rで表される不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基(CH=CH-CH-)、3-ブテニル基等を例示することができるが、ビニル基であることが好ましい。
式1においてn=0の直鎖状オルガノシロキサンは、両末端にのみ不飽和脂肪族基を有するものであり、n=1以上の直鎖状オルガノシロキサンは、両末端と側鎖に不飽和脂肪族基を有するものである。また、式2の直鎖状オルガノシロキサンは、側鎖にのみ不飽和脂肪族基を有するものである。a成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、成分(a)をシリコーンゴムの原料に用いる場合、優れた成形性を得ることができるという観点から、粘度は100mm/s以上、50000mm/s以下であることが好ましい。粘度(動粘度)は、JIS Z 8803:2011に基づき、毛管粘度計や回転粘度計等を用いて測定することができる。また、市販のa成分を使用する場合、カタログ値を参照することができる。
(3-1-3)成分(b)
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは、白金化合物の触媒作用により、a成分中の不飽和脂肪族基との反応によって架橋構造を形成させる架橋剤である。
成分(b)は、Si-H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができるが、例えば、以下の条件を満たすものを好適に用いることができる。
なお、b成分は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
・不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとの反応による架橋構造の形成を促進することができるという観点から、ケイ素原子に結合した水素原子の数が1分子中に平均3個以上のもの。
・ケイ素原子に結合した有機基が、例えば上述したような非置換炭化水素基であるものを例示することができるが、メチル基であることが好ましい。
・シロキサン骨格(-Si-O-Si-)は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。
・Si-H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよい。
たとえば、下記の式3と式4に示す直鎖状のオルガノポリシロキサンをb成分として用いることができる。
Figure 2022165386000004
Figure 2022165386000005
(式3と式4とにおいて、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表す。)
なお、Rは式1と式2で説明したとおり、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基であるが、メチル基であることが好ましい。
(3-1-4)成分(c)
ヒドロシリル化(付加硬化)触媒としては、例えば、白金化合物を用いることができる。具体的には、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体等を挙げることができる。以下、これをc成分と称することがある。
(3-1-5)成分(d)
ヒドロシリル化(付加硬化)の硬化反応速度を調整するために、硬化遅延剤と呼ばれるものを配合することができる。具体的には、2-メチル-3-ブチン-2-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等を挙げることができる。以下、これをd成分と称することがある。
(3-2)フィラー
弾性層4中のフィラー7は弾性層の熱伝導率を調整する機能を果たす。そして、本開示においては、フィラーとしては、六方晶窒化ホウ素の如き板状の結晶構造を有するものを用いることが好ましい。例えば、六方晶窒化ホウ素は窒素とホウ素が交互に共有結合してできた六員環が面方向に多数結合した二次元構造体が交互に積層された層状構造を有する。また、熱伝導率に異方性を有し、面方向には約600 W/(m・K)、面と垂直な方向には約3W/(m・K)である。
板状の結晶構造を有するフィラーとシリコーンゴムの原料とを含む弾性層形成用組成物の層を、例えば、100~500μm程度の厚みの弾性層が得られるように形成した場合について説明する。フィラーは、その板形状に起因して、図4(a)、(b)に示すように、周方向および周方向に直交する方向(以降、「長手方向」ともいう)に配向(以降、「面内配向」という場合がある)する傾向にある。その結果、当該組成物の層を硬化させて得られる弾性層のλtd、λmdは、非常に高いものとなり得る。一方、板状の結晶構造を有するフィラー厚み方向の熱伝導率が低いため、当該弾性層のλndは、非常に小さくなる。
そこで、本開示においては、λndを高めるため、当該フィラーを弾性層の厚み方向に配向して存在させることが好ましい。このような弾性層の非限定的な製造方法について図2及び図3を用いて以下に説明する。当該製造方法は、下記工程(i)~(iii)を有する。
工程(i)
基体3の外周面上に熱伝導性フィラーとシリコーンゴムの原料(例えば、前記した成分(a)、(b)及び(c))を含む弾性層形成用組成物の層(以降、「組成物層」ともいう)401を形成する。
工程(ii)
組成物層401を形成した基体3を、矢印A2の方向に回転させながら、組成物層の表面を帯電させる。なお、図2では、プラスの電荷を付与しているが、これに限定されるものではなく、マイナスに帯電させてもよい。
表面が帯電された組成物層には、その厚み方向に電場が形成される。これによりフィラーが誘電分極し、フィラーに生じた分極電荷により電場方向(組成物層の厚み方向)への回転トルクが生じる。また、組成物層が回転していることにより、図3に示すように弾性層4中のフィラー7には膜厚に対して電場方向の力と接線方向(回転方向とは逆向き)の慣性力とを足し合わせた斜め方向ベクトルの力が加わる。その結果、帯電前には、図4(a)、(b)に示すような状態で組成物層401中に存在していたフィラー7は、図5(a)、(b)に示すような状態になる。具体的には、長手方向が、電場方向の力と慣性力との合力の方向に配向し、かつ、フィラーが有する電荷によって組成物層中を徐々に移動していくことにより、隣接するフィラーが接触しているような状態に変化していく。その結果、λndを高めることができる。なお、フィラーが、組成物層401の厚み方向に回転することで、組成物層の周方向の熱伝導率(λtd)は相対的に低下するとも思われた。しかし、フィラーの回転に伴って隣接するフィラー同士が接触することで、周方向に伝熱パスが形成されるためか、周方向の熱伝導率λtdをも上昇させることができた。
工程(iii)
フィラーの存在状態が図5(a)、(b)に示すようになった組成物層を硬化させることによって、本開示に係る弾性層を形成する。
(3-3)帯電方法
上記工程(ii)における 組成物層の表面を帯電させる方法としては、非接触方式が好ましく、より好ましくは簡便かつ安価に略一様な帯電が可能なコロナ帯電器が好ましい。以下に、非限定的な帯電方法の例として、コロナ帯電器を用いた組成物層の帯電方法について、図2を用いて説明する。
コロナ帯電の方式にはコロナワイヤーと被帯電体との間にグリッド電極を持つスコロトロン方式と、グリッド電極を持たないコロトロン方式があるが、被帯電体の表面電位の制御性が優れるという観点から、スコロトロン方式が好ましい。
図2(a)及び図2(b)に示したように、コロナ帯電器2は、前ブロック201、奥ブロック202、シールド203、204を備える。また、前ブロック201と奥ブロック202との間に放電ワイヤ205が張架され、高圧電源により帯電バイアスが印加されると、放電して被帯電体としての基体上の組成物層401の表面を帯電させる。一般的なコロナ帯電器の構成と同様に、放電部材としての放電ワイヤ205に対して高電圧を印加する。そしてシールド203、204への放電によって得られるイオン流をグリッド206に高電圧を印加することによって制御して、組成物層401の表面を所定の電位に帯電させる。このとき、基体3もしくは基体3を保持する中子1が接地されているため(不図示)、組成物層401の表面の表面電位を制御することで、組成物層401に所定の電場を発生させることが可能となる。
上記のコロナ帯電器2を用いた弾性層の製造方法の一例について詳述すると、まず、基体3の外周面上に、組成物層を形成する。組成物層の形成方法は特に限定されず、リングコート法、ブレードコート法の如き公知の方法を用いることができる。但し、フィラーを組成物層の面内方向に配向させた状態で存在させやすいリングコート法が特に好適に用いられる。
次いで、コロナ帯電器2を、図2(a)に示すように、組成物層401の幅方向に沿って近接して対向配置する。そしてコロナ帯電器2のグリッド206に電圧を印加し、放電させた状態で、基体3を例えば141rpmで160秒間回転させることによって、組成物層の表面を帯電させる。組成物層401の表面とグリッド206との距離は1mm~10mmとすることができる。このようにして組成物層401の表面を帯電させることにより組成物層401内に電場が生じる。そして、組成物層が電場の中に置かれることによるフィラーの誘電分極に起因する回転力と、回転に伴う慣性力とによってフィラーを図5(a)、(b)に示すように配向させる。その後、組成物層を加熱等により硬化させて、フィラーの配向状態を固定し、本開示に係る弾性層となす。
グリッド206に印加する電圧は、フィラーにより有効な静電的相互作用を発生させる観点から、絶対値として0.6kV~3.0kV(AC印加の場合、Vp-p(ピーク間電圧)で1.2~6kV)の範囲で行うことが好ましい。電場を用いて弾性層の厚み方向のフィラーの配向を形成する場合においては、弾性層4の厚み方向に電界を発生させることが重要である。印加する電圧の符号はワイヤに印加する電圧の符号と等しくすれば、マイナスでもプラスでも電界の方向は逆になるものの、得られる効果は同じである。また、後述の液面流動を抑えるためにAC帯電させる場合はワイヤとグリッドの波形の位相を一致させることが好ましい。
フィラーの配向状態は、例えば、グリッド206に印加する電圧の制御によって調整することができる。これはシリコーンゴムの誘電率とフィラーの誘電率とが関係していると推測される。シリコーンゴムの誘電率とフィラーの誘電率との差が大きい場合は比較的小さな印加電圧であってもフィラーを、より大きく配向させることができる。なお、グリッド206に印加する電圧が大きすぎる場合、弾性層の表面電荷による静電反発力が大きくなることで液面流動が起こり、弾性層4の表面性が低下する場合がある。そのため、グリッド206に印加する電圧は、絶対値として0.6kV~1.5kV(AC印加の場合、Vp-p(ピーク間電圧)で1.2~3kV)の範囲がさらに好ましい範囲である。この液面流動については、AC帯電させることによって緩和させることができる。
工程(ii)の帯電工程における基体の回転数としては特に限定されるものではないが目安としては、10rpm~500rpmが好ましい。また、処理時間としては、組成物層を確実に帯電させるために、20秒以上とすることが好ましい。
放電ワイヤ205として、ステンレススチール、ニッケル、モリブデン、タングステンなどを用いてもよいが、金属の中で非常に安定性の高いタングステンを用いることが好ましい。なお、シールドの内側に張架される放電ワイヤは円断面形状でもノコギリ歯のような形状であっても良い。また、放電ワイヤ205の直径としては、40μm~100μmが好ましい。放電ワイヤの直径をこのような範囲内にすることで、放電の際のイオンによる放電ワイヤの切断を抑制することができ、また、コロナ放電を生じさせるために必要な電圧を過度に高くする必要がないためである。放電ワイヤ205に印加する電圧は、直流電圧および交流電圧のいずれでも用いることができる。交流電圧の場合は周波数として0.01Hz~1000Hz程度で行うことが好ましい。電圧は矩形波や正弦波などを任意波形発生器で出力させることで行うことができる。
(3-4)六方晶窒化ホウ素
六方晶窒化ホウ素は、伝熱性のフィラーの中でも低体積比熱であることから、弾性層の体積比熱を小さくし得る。そのため、定着装置のウォームアップタイムの短縮や省エネルギー化に対しても有効である。また、絶縁性を有するため、組成物層としても絶縁性を維持でき、コロナ帯電器を用いた高電界の付与にも適している。
フィラーとして六方晶窒化ホウ素を用いる場合、弾性層中の六方晶窒化ホウ素の含有量は、弾性層の総体積を基準として20体積%以上25体積%以下であることが好ましい。
20体積%以上とすることで、弾性層に十分に高い熱伝導率(λtd、λnd)を付与し得る。また、25体積%以下とすることで、組成物の粘度が高くなり過ぎることを防止し、組成物層の塗布、さらには、電場を付与したときのフィラーの配向が妨げられにくい。
なお、六方晶窒化ホウ素の配向状態については、X線回折(XRD)によって得られる(002)面の回折強度と(100)面の回折強度とを、以下の式に代入して算出される回折強度比によって評価することができる。
Intensity ratio = I(100)/(I(100)+I(002))
I(100):2θ=41.6°の回折強度
I(002):2θ=26.7°の回折強度
回折強度比(Intensity ratio)はフィラーが膜厚方向に配向しているほど高くなる。未帯電状態で硬化させたゴム層の回折強度比は0.007であったのに対し、本開示の帯電した後に硬化させたゴム層の回折強度比は1.222となっており、帯電の影響により厚み方向に配向するフィラーが多くなったことが確認できた。
メインの熱伝導性フィラー間の隙間を埋めるために、メインの熱伝導性フィラー以外のサブの熱伝導性フィラーをブレンドして用いてもよい。ブレンドするサブの熱伝導性フィラーとしては、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属ケイ素、炭化ケイ素、シリカ、カーボン等が挙げられる。熱伝導性フィラーについては、シリコーンへの優れた親和性や優れた電気抵抗値を得ることができるという観点から、表面処理を行っても良い。
(4)定着部材の接着層
図6に示すように、接着層5は、例えば付加硬化型シリコーンゴム接着剤によって弾性層4と表層(離型層)6とを接着することで生じる層である。接着剤としては、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを用いることが好ましい。具体的には、ビニル基に代表される不飽和脂肪族基を分子鎖中に複数有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンおよび架橋触媒としての白金化合物を含有する。そして、付加反応により硬化する。このような接着剤としては、既知のものを使用することができる。
自己接着成分の例は、以下のものを含む。
・ビニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、およびフェニル基からなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン、
・ケイ素原子数が2個以上30個以下、好ましくは4個以上20個以下の、環状または直鎖状のシロキサン等の有機ケイ素化合物、
・分子中に酸素原子を含んでもよい、非ケイ素系(すなわち、分子中にケイ素原子を含有しない)有機化合物。ただし、1価以上4価以下、好ましくは2価以上4価以下のフェニレン構造等の芳香環を1分子中に1個以上4個以下、好ましくは1個以上2個以下含有する。かつ、ヒドロシリル化付加反応に寄与しうる官能基(例えば、アルケニル基、(メタ)アクリロキシ基)を1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上4個以下含有する。
上記の自己接着成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
接着剤中には粘度を調整するためや耐熱性を確保するために、本開示の趣旨に沿う範囲内においてフィラー成分を添加することができる。当該フィラー成分の例は、以下のものを含む。
・シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウム、水酸化セリウム、カーボンブラック等。
このような付加硬化型シリコーンゴム接着剤は市販もされており、容易に入手することができる。
接着層の厚みは20μm以下であることが好ましい。20μm以下とすることで定着部材の熱抵抗を小さく設定でき、内面側(基体側)からの熱を効率的に被記録材(記録媒体)に伝えることができる。
(5)定着部材の表層
表層6は、フッ素樹脂からなり、成形方法としてはチューブ法やコート法が用いられる。以下に例示する樹脂をチューブ状に成形したものを被覆する、チューブ法について例示する。
・テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等。上記例示列挙した樹脂材料中、成形性やトナー離型性が優れるという観点からPFAが好ましい。
フッ素樹脂層(表層)の厚みは、10μm以上50μm以下とすることが好ましい。積層した際に下層の弾性層の弾性を維持し、定着部材としての表面硬度が高くなりすぎることを抑制しつつ、耐摩耗性を確保できるからである。
フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施すことで、接着性を向上させることができる。
図7は、シリコーンゴムを含む弾性層4上に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤5を介して表層6を積層する工程の一例の模式図である。基体3の外周面に形成された弾性層4の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤5を塗布する。さらにその外面に、表層6としてのフッ素樹脂チューブ6を被覆し、積層させる。
フッ素樹脂チューブの被覆方法は特に限定されないが、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を潤滑材として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法などを用いることができる。
不図示の手段を用いて、弾性層4とフッ素樹脂からなる表層6との間に残った、余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤5を、扱き出すことで除去する。扱き出した後の接着層5の厚みは、優れた伝熱性を得ることができるという観点から20μm以下とすることが好ましい。
次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤5を硬化・接着させ、幅方向の両端部を所望の長さに切断することで、定着部材を得ることができる。
(6)熱定着装置
本実施形態に係る熱定着装置は、一対の加熱されたローラとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が互いに圧接されるように構成されている。熱定着装置の種類は、熱定着装置が搭載される画像形成装置全体としてのプロセス速度、大きさ等の条件を勘案して適宜選択される。
熱定着装置においては、加熱された定着部材と加圧部材とを圧接することで定着ニップNを形成し、この定着ニップNに未定着トナーによって画像が形成された、被加熱体となる記録媒体Sを挟持搬送させる。未定着トナーによって形成された画像をトナー像tと称する。トナー像tを加熱、加圧すると、その結果、トナー像tは溶融・混色され、その後、冷却されることによって記録媒体上に画像が定着される。
以下、熱定着装置の具体例を挙げて、その構成を説明するが、本開示の範囲並びに用途はこれに限定されるものではない。
(6-1)定着ベルト-加圧ベルト方式の熱定着装置
図8は一対の定着ベルト11と加圧ベルト12といった回転体が圧接されている、いわゆるツインベルト方式の熱定着装置であり、定着部材として定着ベルトを備えた熱定着装置の一例の断面模式図である。
なお、ここで、熱定着装置またはこれを構成している部材について幅方向とは図8の紙面に垂直の方向である。熱定着装置について正面とは記録媒体Sの導入側の面である。左右とは装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは装置を正面から見たときの左右方向のベルト寸法である。また記録媒体Sの幅とは記録媒体Sの搬送方向に直交する方向の記録媒体Sの寸法である。また上流または下流とは記録媒体Sの搬送方向に関して上流または下流である。
この熱定着装置は、定着部材としての定着ベルト11と、加圧ベルト12とを備えている。定着ベルト11と加圧ベルト12とは、図6(a)に示すようなニッケルを主成分とした金属製の可撓性を有する基体を含む定着ベルトを2つのローラに張架したものである。
定着ベルト11の加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱により加熱可能な加熱源(誘導加熱部材、励磁コイル)を採用している。誘導加熱部材13は、誘導コイル13aと、励磁コア13bと、それらを保持するコイルホルダー13cと、から構成される。誘導コイル13aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア13bの中に配置されている。励磁コア13bはフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用いることによって、誘導コイル13aや励磁コア13bでの損失を抑えられ、効率的に定着ベルト11を加熱することができる。
励磁回路14から誘導加熱部材13の誘導コイル13aに高周波電流が流されると、定着ベルト11の基体が誘導発熱して基体側から定着ベルト11が加熱される。定着ベルト11の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子15により検知される。この温度検知素子15で検知される定着ベルト11の温度に関する信号が制御回路部16に送られる。制御回路部16は温度検知素子15から受信した温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路14から誘導コイル13aに対する供給電力を制御して、定着ベルト11の温度を所定の定着温度に調節する。
定着ベルト11は、ベルト回転部材としてのローラ17並びに加熱側ローラ18によって張架されている。ローラ17と加熱側ローラ18とはそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。
ローラ17は、例えば、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、定着ベルト11に張りを与えるテンションローラとして機能している。加熱側ローラ18は、例えば、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄合金製の芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。
この加熱側ローラ18は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印で示す時計回り方向に所定の速度で回転駆動される。
この加熱側ローラ18に上記のように弾性層を設けることで、加熱側ローラ18に入力された駆動力を定着ベルト11へ良好に伝達することができるとともに、定着ベルト11からの記録媒体の分離性を確保するための定着ニップを形成できる。加熱側ローラ18が弾性層を有することによって、加熱側ローラへの熱伝導も少なくなるためウォームアップタイムの短縮にも効果がある。
定着ベルト11は、加熱側ローラ18が回転駆動されると、加熱側ローラ18のシリコーンゴム表面と定着ベルト11の内面との摩擦によってローラ17と共に回転する。ローラ17および加熱側ローラ18の配置や大きさは、定着ベルト11の大きさに合わせて選択される。例えば上記ローラ17および加熱側ローラ18の寸法は、未装着時の内径が55mmの定着ベルト11を張架できるように選択されたものである。
加圧ベルト12は、ベルト回転部材としてのテンションローラ19と加圧側ローラ20によって張架されている。加圧ベルトの未装着時の内径は例えば55mmである。ローラ17と加熱側ローラ18と同様に、テンションローラ19と加圧側ローラ20も、それぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。
テンションローラ19は、例えば、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製の芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト12からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてある。
加圧側ローラ20は、例えば、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の剛性ローラである。テンションローラ19、加圧側ローラ20の寸法も同様に、加圧ベルト12の寸法に合わせて選択されたものである。
ここで、定着ベルト11と加圧ベルト12との間にニップ部Nを形成するために、加圧側ローラ20は、回転軸の左右両端側が不図示の加圧機構により矢印Fの方向に所定の加圧力にて加熱側ローラ18に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広いニップ部Nを得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、定着ベルト11を加圧ベルト12に向けて加圧する第1の加圧パッドとしての定着パッド21と、加圧ベルト12を定着ベルト11に向けて加圧する第2の加圧パッドとしての加圧パッド22である。定着パッド21及び加圧パッド22は装置の不図示の左右の側板間に支持させて配設してある。加圧パッド22は、不図示の加圧機構により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド21に向けて加圧されている。第1の加圧パッドである定着パッド21はパッド基体とベルトに接する摺動シート(低摩擦シート)23を有する。第2の加圧パッドである加圧パッド22もパッド基体とベルトに接する摺動シート24を有する。これはパッドのベルト内周面と摺擦する部分の削れが大きくなるという問題があるためである。ベルトとパッド基体との間に、摺動シート23と摺動シート24とを介在させることで、パッドの削れを抑制し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
なお、定着ベルトには非接触の除電ブラシ(不図示)、加圧ベルトには接触の除電ブラシ(不図示)を各々設けている。
制御回路部16は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。これにより加熱側ローラ18が回転駆動され、定着ベルト11が同じ方向に回転駆動される。加圧ベルト12は、定着ベルト11に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分を加熱側ローラ18と加圧側ローラ20とのローラ対によって定着ベルト11と加圧ベルト12とを挟んで搬送する構成としたことで、ベルトのスリップを抑制することができる。定着ニップ最下流の部分は定着ニップの記録媒体搬送方向での圧分布が最大となる部分である。
定着ベルト11が所定の定着温度に立ち上がって維持(温調という)された状態において、定着ベルト11と加圧ベルト12との間のニップ部Nに、未定着トナー画像tを有する記録媒体Sが搬送される。記録媒体Sは、未定着トナー画像tを担持した面を、定着ベルト11側に向けて導入される。そして、記録媒体Sの未定着トナー画像tが定着ベルト11の外周面に密着したまま挟持搬送されていくことにより、定着ベルト11から熱が付与され、また加圧力を受けて記録媒体Sの表面に定着される。この際、定着ベルト11の加熱された基体からの熱は、厚み方向の熱伝導性を高めた弾性層を通じて記録媒体Sに向けて効率よく輸送される。その後、記録媒体Sは、分離部材25によって、定着ベルトから分離されて、搬送される。
(6-2)定着ベルト-加圧ローラ方式の熱定着装置
図9は加熱体としてセラミックヒータを用いた定着ベルト-加圧ローラ方式の熱定着装置の例を示す模式図である。図9において、11は円筒状もしくはエンドレス状の定着ベルトであり、上述のようなものが用いられる。この定着ベルト11を保持するための耐熱性・断熱性のベルトガイド30がある。ベルトガイド30が定着ベルト11と接触する位置(ベルトガイド30の下面のほぼ中央部)に、定着ベルト11を加熱するセラミックヒータ31が、ガイド長手に沿って形成された溝部に嵌入して固定支持されている。そして、定着ベルト11はベルトガイド30にルーズに外嵌されている。また、加圧用剛性ステイ32はベルトガイド30の内側に挿通してある。
定着ベルト11の下側には、定着ベルト11に対抗する加圧ローラ33が配設されている。なお加圧ローラは、本例では弾性加圧ローラ、すなわち、芯金33aにシリコーンゴムの弾性層33bを設けて硬度を下げたものである。かかる弾性加圧ローラは、芯金33aの両端部を装置の不図示の手前側のシャーシ側板と奥側のシャーシ側板との間に回転自由に軸受け保持させて配設されている。なお、弾性加圧ローラには、表面性を向上させるために、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)チューブを被覆している。
加圧用剛性ステイ32の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用剛性ステイ32に押し下げ力を作用させている。これにより、耐熱樹脂製ベルトガイド30の下面に配設したセラミックヒータ31の下面と加圧ローラ33の上面とが定着ベルト11を挟んで圧接して定着ニップ部Nが形成される。
加圧ローラ33は不図示の駆動手段により矢印41が示す反時計回り方向に回転駆動される。この加圧ローラ33の回転駆動による加圧ローラ33と定着ベルト11との外面との摩擦力によって定着ベルト11に回転力が作用する。そして、定着ベルト11はその内面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ31の下面に密着して摺動しながら、矢印42が示す時計回り方向に加圧ローラ33の回転周速度にほぼ対応した周速度でベルトガイド30の外回りに回転する。
(加圧ローラ駆動方式)。
プリントスタート信号に基づいて加圧ローラ33の回転が開始され、またセラミックヒータ31のヒートアップが開始される。その後、所定の瞬間に、定着ニップ部Nの定着ベルト11と加圧ローラ33との間に被加熱材としての未定着トナー画像tを担持した記録媒体Sがトナー像担持面側を定着ベルト11側にして導入される。所定の瞬間とは、加圧ローラ33の回転による定着ベルト11の回転周速度が定常化し、セラミックヒータの上面に設けた温度検知素子34の温度が所定温度、例えば180℃に立ち上がった瞬間を意味する。そして、記録媒体Sは定着ニップ部Nにおいて定着ベルト11を介してセラミックヒータ31の下面に密着し、定着ベルト11と一緒に定着ニップ部Nを移動通過していく。その移動通過過程において、定着ベルト11の熱が記録媒体Sに付与され、トナー画像tが記録媒体S面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録媒体Sは定着ベルト11の外面から分離して搬送される。
加熱体としてのセラミックヒータ31は、定着ベルト11、記録媒体Sの移動方向に直交する方向を長手とする低熱容量の横長の線状加熱体である。セラミックヒータ31は、チッ化アルミニウム等でできたヒータ基板31aと、このヒータ基板31aの表面にその長手に沿って設けた発熱層31bと、さらにその上に設けたガラスやフッ素樹脂等の保護層31cを基本構成とするものが好ましい。発熱層31bは、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を、厚さ約10μm、幅1~5mmにスクリーン印刷等により塗工して設けたものが好ましい。なお、用いるセラミックヒータはこのようなものに限定されるわけではない。
そして、セラミックヒータ31の発熱層31bの両端間に通電されることで発熱層31bは発熱し、ヒータ31が急速に昇温する。
セラミックヒータ31は、ベルトガイド30の下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に、保護層31c側を上向きに嵌入して固定支持させてある。定着ベルト11と接触する定着ニップ部Nにおいては、セラミックヒータ31の摺動部材31dの面と定着ベルト11の内周面とが相互に接触し、摺動する。
以上のように、本開示に係る定着ベルト11を加熱ベルトとして用いた、上記熱定着装置は、定着ベルトの内周面に接して配置された加熱手段(ヒータ)によって該定着ベルトに供給された熱が、弾性層の周方向及び厚さ方向に流れやすい。そのため、定着部材の1周目と2周目の温度差に起因する電子写真画像への光沢段差の発生を抑制できるとともに、熱を効率よく未定着トナーの熱定着に利用することができる。
以下に、実施例を用いてより詳細に本開示を説明する。
[実施例1]
(1)付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の調製
まず、a成分として分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマーを98.6質量部準備した。このシリコーンポリマー(商品名:DMS-V35、Gelest社製、粘度5000mm/s)を以降「Vi」と称する。
次いで、このViに熱伝導性フィラーとして、六方晶窒化ホウ素(商品名:SGP、デンカ(株)製)を80質量部添加し、十分に混合して混合物1を得た。
次いで、d成分として硬化遅延剤である1-エチニル-1-シクロヘキサノール(東京化成工業(株)製)0.2質量部を同質量のトルエンに溶解したものを、混合物1中に添加して混合物2を得た。
次いで、c成分としてヒドロシリル化触媒(白金触媒:1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、および2-プロパノールの混合物)0.1質量部を、混合物2中に添加して混合物3を得た。
さらに、b成分としてシロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンポリマー(商品名:HMS-301、Gelest社製、粘度30mm/s、以降「SiH」と称する)を、1.4質量部計量した。これを、混合物3に添加し、十分に混合することで、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を得た。
シリコーンゴム組成物中の六方晶窒化ホウ素(フィラー)の含有割合は弾性層の総体積を基準として25体積%であった。
(2)定着ベルトの作製
基体として、内径55mm、幅420mm、厚さ65μmのニッケル電鋳製エンドレスベルトを用意した。なお、一連の製造工程中、エンドレスベルトは、その内部に中子を挿入して取り扱った。
基体の外周面に、プライマー(商品名:DY39-051A/B;東レ・ダウコーニング(株)製)を乾燥重量が50mgとなるように略均一に塗布し、溶媒を乾燥させた後に160℃設定の電気炉で30分間の焼付け処理を行った。このプライマー処理された基体上に、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム組成物をリングコート法で塗布し、厚さ450μmの当該付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層を形成した。これを未硬化エンドレスベルトと称する。
次に、コロナ帯電器を、未硬化エンドレスベルトの母線に沿って対向配置し、未硬化エンドレスベルトを100rpmで回転させながら、硬化前の弾性層表面にAC電界を印加して、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層の外表面を帯電させた。電界の印加条件としては、コロナ帯電器の放電ワイヤへの供給電流を±150μA、グリッド電極電位を±1500V(Vp-p:3000V)、周波数0.025Hz、帯電時間160秒、グリッド電極とベルトの距離を3mmとした。
この帯電させた未硬化エンドレスベルトを電気炉に入れ、温度160℃で1分間加熱し(一次硬化)、さらに、温度200℃で30分間加熱した(二次硬化)。こうして、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層を硬化させて弾性層を形成した。
次に、弾性層の表面に、接着層として付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV A/B;東レ・ダウコーニング(株)製)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。これに、離型層として内径52mm、厚み40μmのフッ素樹脂チューブ(商品名:NSE;グンゼ(株)製)を拡径しつつ積層した。その後、フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層とフッ素樹脂チューブとの間から、5μm程度まで薄くなるように扱き出した。
このエンドレスベルトを200℃に設定した電気炉にて1時間加熱することで接着剤を硬化させて当該フッ素樹脂チューブを弾性層上に固定した。得られたエンドレスベルトの両端部を切断し、幅が368mmの定着ベルトを得た。
(3)定着ベルトの特性評価
(3-1)弾性層の厚み方向の熱伝導率
弾性層の厚み方向の熱伝導率λndは、以下の式から算出した。
λnd=α×C×ρ
式中、λndは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。
ここで、厚み方向の熱拡散率αと定圧比熱Cと密度ρの値は以下の方法により求めた。
・熱拡散率α
弾性層の厚み方向の熱拡散率αは、周期加熱法熱物性測定装置(商品名:FTC-1、アドバンス理工(株)製)を用いて、室温(25℃)で測定した。弾性層から短辺8mm×長辺12mmの長方形の試料片をカッターで切り取り、計5個の試料片を作製し、それぞれの試料片の厚みを下記のデジタル測長器を用いて測定した。
・デジタル測長器:商品名:DIGIMICRO(登録商標) MF-501 フラット測定子φ4mm;(株)ニコン製
次に、それぞれの試料片の熱拡散率αを計5回測定し、その平均値(m/s)を求めた。なお、測定は1kgの重りを使用して試料片を加圧しながら行った。
その結果、シリコーンゴム弾性層の厚み方向の熱拡散率αは7.95×10-7/sであった。
・定圧比熱C
弾性層の定圧比熱は、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC823e、メトラー・トレド(株)製)を用いて測定した。
具体的には、試料用のパン及び参照用のパンとして、アルミニウム製のパンを用いた。
まず、ブランク測定として、両方のパンが空の状態で、10分間、15℃の定温に保った後、215℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、さらに10分間、215℃の定温で保つプログラムで測定を実施した。次に、定圧比熱が既知である10mgの合成サファイアを基準物質に用い、同じプログラムで測定を行った。次いで、基準物質の合成サファイアと同量の10mgの測定試料を弾性層から切り出した後、試料パンにセットし、同じプログラムで測定を実施した。これらの測定結果を上記示差走査熱量測定装置に付属の比熱解析ソフトウェアを用いて解析し、5回の測定結果の平均値から、25℃における定圧比熱Cを算出した。
その結果、シリコーンゴム弾性層の定圧比熱は、1.27J/(g・K)であった。
・密度ρ
弾性層の密度は、乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330-01、(株)島津製作所製)を用いて測定した。具体的には、10cmの試料セルを用い、セル容積のおおよそ8割程度を満たすように試料片を弾性層から切り出し、この試料片の質量を測定した後、試料セルに入れた。この試料セルを装置内の測定部にセットし、測定用のガスとしてヘリウムを用い、ガス置換の後、容積測定を10回実施した。各回について試料片の質量と測定された容積から、弾性層の密度を算出し、その平均値を求めた。
その結果、シリコーンゴム弾性層の密度は1.29g/cmであった。
以上より、単位換算した弾性層の定圧比熱C(J/(kg・K))と密度ρ(kg/m)、および測定した熱拡散率α(m/s)から、弾性層の厚み方向の熱伝導率λndを算出した結果、1.40W/(m・K)であった。
(3-2)弾性層の長手方向、周方向の熱伝導率
弾性層の長手方向の熱伝導率λmdと周方向の熱伝導率λtdは、以下の式から算出した。
λmd=αmd×Cp×ρ
λtd=αtd×Cp×ρ
式中、αmdは幅方向の熱拡散率(m/s)、αtdは周方向の熱拡散率(m/s)、Cpは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。
ここで、定圧比熱Cpと密度ρは、上述の方法で求めた値を用い、長手方向の熱拡散率αmdと周方向の熱拡散率αtdとは、以下の方法により求めた。
光交流法熱拡散率測定装置(商品名:LaserPIT、アドバンス理工(株)製)を用いて、室温(25℃)で測定した。まず、弾性層サンプルの長手方向あるいは周方向が30mmになるように、短辺5mm×長辺30mmの試料片にカッターで切り取った。
次に、試料片の表面に黒体塗料(商品名:JSC-3号、ジャパンセンサー(株)製)を塗布し、150℃設定の電気炉で20分間焼き付けした試料を作製した。それぞれの試料に対し、以下の条件で2回測定し、その平均値を求めた。測定条件は、室温、減圧下、Total Time(全測定時間)1500sec、Sampling 2、Period(1/周波数)5、Rate(試料取り付け台の移動速度)10μm/s、Level(試料取り付け台の移動距離)3000μmとした。
弾性層の定圧比熱Cp(J/(kg・K))と密度ρ(kg/m)、および測定した熱拡散率αmd(m/s)とαtd(m/s)から、弾性層の長手方向の熱伝導率λmdと周方向の熱伝導率λtdとを算出した。その結果、λmd=1.94W/(m・K)、λtd=2.47W/(m・K)であった。
(3-3)弾性層の弾性率
弾性層の引張り弾性率を測定した。具体的には、弾性層サンプルを打ち抜き型(JIS K6251 引張8号形ダンベル状)により切り出し、測定箇所である中央付近の試料片厚みを測定した。次に、切り出した試料片を、引張試験機(装置名:ストログラフEII-L1、(株)東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度200mm/min、室温にて試験した。なお、引張り弾性率は、測定結果から横軸に試料片の歪み、縦軸に引張り応力をとったグラフを作成し、歪みが0~10%の範囲において測定データを線形近似したときの傾きとした。
(4)実機評価(定着性、画質、耐久性)
<定着性評価(定着性)>
こうして得られた定着ベルトを、電子写真方式の複写機(商品名:imagePRESS C850、キヤノン(株)製)の熱定着装置に組み込んだ。そして、この熱定着装置を、上記複写機に装着した。この複写機を用いて、定着温度を標準の定着温度よりも低く設定して、坪量300g/mの厚紙(商品名:UPM Finesse gloss 300g/m2、UPM社製)にシアンのベタ画像の形成を行った。
具体的には、熱定着装置の定着温度を、上記複写機における標準の定着温度である195℃から185℃に調整して、シアンのベタ画像を5枚連続して形成し、5枚目のベタ画像について画像濃度を測定した。次いで、当該ベタ画像のトナー面を、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけたシルボン紙でトナー面を同一方向に3回摺擦し、摺擦後の画像濃度を測定した。そして、摺擦前後での画像濃度の低下率(=[摺擦前後での画像濃度差/摺擦前の画像濃度]×100)が、5%未満である場合に、トナーが厚紙に定着したものと判断した。
また、定着温度を180℃に調整した以外は、上記と同様にして厚紙へのトナーの定着状態を評価した。
それらの結果を下記の基準で評価した。画像濃度は、反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定した。
ランクA:定着温度180℃でトナーが厚紙に定着した。
ランクB:定着温度180℃ではトナーが厚紙に定着しなかったが、定着温度185℃ではトナーが厚紙に定着した。
ランクC:定着温度185℃でもトナーが厚紙に定着しなかった。
<画質評価(画質)>
上記定着性評価において作製した5枚目のベタ画像を目視で観察し、1周目後端と2周目先端部分の、光沢段差の程度を目視と光沢計(日本電色工業(株)製PG-1M)を用いて、下記の基準で評価した。
ランクA:光沢段差は認められなかった。すなわち、1周目後端と2周目先端部分の60°グロス差がΔ0であった。
ランクB:軽微な光沢段差が認められた。但し、1周目後端と2周目先端部分の60°グロス差がΔ0より大きく、但し、Δ2未満であった。
ランクC:光沢段差が認められた。また、1周目後端と2周目先端部分の60°グロス差がΔ2以上であった。
<耐久性評価(耐久性)>
定着温度を標準の定着温度(195℃)とした状態で、A4サイズの普通紙へのシアンのベタ画像の連続形成を行い、定着ベルトの弾性層の破壊や塑性変形が生じた時点における枚数を記録し、以下の基準で評価した。なお、画像の枚数が74万枚に至ってもなお定着ベルトの弾性層に破壊や塑性変形が生じなかった場合には、74万枚で画像形成を中止した。
ランクA:74万枚の画像形成によっても定着ベルトの弾性層に破壊や塑性変形が生じなかった。
ランクB:30万枚の画像形成によっても定着ベルトの弾性層に破壊や塑性変形は生じなかったが、74万枚の画像形成によって定着ベルトの弾性層に破壊や塑性変形は生じた。
ランクC:10万枚の画像形成によっても定着ベルトの弾性層に破壊や塑性変形は生じなかったが、30万枚の画像形成によって定着ベルトの弾性層に破壊や塑性変形は生じた。
[実施例2]
六方晶窒化ホウ素の体積比率を20体積%にしたこと以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[実施例3]
六方晶窒化ホウ素の体積比率を20体積%とし、他のフィラーとして球状アルミナ(商品名:CB-P02、昭和電工(株)製)を3体積%用いた以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[実施例4]
六方晶窒化ホウ素の体積比率を25体積%とし、他のフィラーとして、球状アルミナ(商品名:CB-P02、昭和電工(株)製)を3体積%用いた以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[実施例5]
六方晶窒化ホウ素の体積比率を30体積%にした以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例1]
付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層の表面への電荷付与を行わなかった以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例2]
グリッド電極電位を±200V(Vp-p:400V)に変更した以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例3]
六方晶窒化ホウ素の体積比率を18体積%にした以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例4]
フィラーの六方晶窒化ホウ素の体積比率を33体積%にした以外は実施例1と同様にして、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物を調製した。しかしながら、得られた付加硬化型液状シリコーンゴム組成物は、粘度が高く、定着ベルトの弾性層をリングコートで成形することが困難だった。
[比較例5]
六方晶窒化ホウ素を立方晶窒化ホウ素(商品名:SGPS、デンカ(株)製)に変えた。また、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層の表面への電荷付与を行わなかった。
これら以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例6]
六方晶窒化ホウ素を立方晶窒化ホウ素(商品名:SGPS、デンカ(株)製)に変えた以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例7]
六方晶窒化ホウ素を球状アルミナ(商品名:CB-P10、昭和電工(株)製)に変え、その含有量を57体積%とした。また、付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層の表面への電荷付与を行わなかった。これら以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2022165386000006
すべての実施例において、フィラーの総配合量が30体積%以下で、λtd>λmd>λndの関係を満たし、λtdが2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上である。このことによって、定着性、光沢段差、耐久性でAランクまたはBランクという良好な結果が得られた。特に六方晶窒化ホウ素フィラーが20体積%以上25体積%以下である実施例1~4においてはいずれの指標もAランクとなった。
一方で比較例ではフィラー配合量や熱伝導率が上記の範囲外であり、いずれかの項目でCランクの結果が得られた。
以上の実施例および比較例は定着ベルトについて説明したが、定着ローラの場合にも同様の傾向にあることは容易に理解できるものである。
1 中子
2 コロナ帯電器
3 基体(基層)
4 弾性層
5 接着層
6 表層
7 フィラー
100 定着部材
11 定着ベルト
12 加圧ベルト
13 誘導加熱部材
13a 誘導コイル
13b 励磁コア
13c コイルホルダー
14 励磁回路
15 温度検知素子
16 制御回路部
17 ローラ
18 加熱側ローラ
19 テンションローラ
20 加圧側ローラ
21 定着パッド
22 加圧パッド
23、24 摺動シート
25 分離部材
30 ベルトガイド
31 セラミックヒータ
31a ヒータ基板
31b 発熱層
31c 保護層
31d 摺動部材
32 ステイ
33 加圧ローラ
33a 芯金
33b 弾性層
34 温度検知素子
N 定着ニップ
t 未定着トナー
S 記録媒体
M モータ

Claims (8)

  1. エンドレス形状を有する電子写真用の定着部材であって、
    エンドレス形状の基層と、該基層の外周面上の弾性層と、を有し、
    該弾性層は、シリコーンゴムおよび該シリコーンゴムに分散されたフィラーを含み、
    該弾性層の該フィラーの含有量が該弾性層の体積を基準として30体積%以下であり、
    該弾性層の、周方向の熱伝導率をλtd、厚み方向の熱伝導率をλnd、長手方向の熱伝導率をλmdとしたとき、
    λtd>λmd>λndの関係を満たし、
    λtdが2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上であることを特徴とする定着部材。
  2. 前記弾性層の上に表層を有する請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記フィラーが六方晶窒化ホウ素を含む請求項1又は2に記載の定着部材。
  4. 前記六方晶窒化ホウ素の含有量が前記弾性層の体積を基準として20体積%以上25体積%以下である請求項3に記載の定着部材。
  5. 前記弾性層の弾性率が、0.20MPa以上、1.20MPa以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の定着部材。
  6. 前記定着部材が定着ベルトであって、該定着ベルトの内径が20mm以上130mm以下である請求項1~5のいずれか一項に記載の定着部材。
  7. 加熱部材と、該加熱部材に対向して配置されている加圧部材と、を有する熱定着装置であって、該加熱部材が定着部材であって、
    該定着部材は、
    エンドレス形状の基層と、該基層の外周面上の弾性層と、を有し、
    該弾性層は、シリコーンゴムおよび該シリコーンゴムに分散されたフィラーを含み、
    該弾性層の該フィラーの含有量が該弾性層の体積を基準として30体積%以下であり、
    該弾性層の、周方向の熱伝導率をλtd、厚み方向の熱伝導率をλnd、長手方向の熱伝導率をλmdとしたとき、
    λtd>λmd>λndの関係を満たし、
    λtdが2.0W/(m・K)以上、λndが1.3W/(m・K)以上である、エンドレス形状を有する定着部材、であることを特徴とする熱定着装置。
  8. 加熱部材と、該加熱部材に対向して配置されている加圧部材と、該加熱部材を加熱するヒータと、を有する熱定着装置であって、該加熱部材が、請求項6に記載の定着部材であり、該ヒータが該定着部材の基体の内周面に接して配置されている、ことを特徴とする熱定着装置。

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