JP2022045326A - 電子写真用定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

電子写真用定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Yuji Kitano
健 鈴木
Takeshi Suzuki
松崇 前田
Matsutaka Maeda
真琴 相馬
Makoto Soma
康弘 宮原
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Abstract

【課題】高熱伝導率、高強度を維持しつつ、低硬度な弾性層であり、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破断しにくい弾性層を備えた電子写真用定着部材の提供。【解決手段】該電子写真用定着部材は、基体と、該基体上の弾性層と、表層と、をこの順番で有し、該弾性層は、シリコーンゴム、および該シリコーンゴムに分散された熱伝導性フィラーを含み、該熱伝導性フィラーは、金属酸化物粒子、または、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子であり、該弾性層は、該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤をさらに含む。【選択図】図3

Description

本開示は、電子写真画像形成装置に用いられる定着部材、定着装置及び電子写真画像形成装置に関する。
一般に、複写機やプリンター等の電子写真画像形成装置に用いられる加熱定着装置では、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が圧接されている。これら回転体は定着部材と呼ばれる。そして、未定着トナーによって形成された画像を保持した被記録材が、この回転体間に形成された圧接部位(定着ニップ)に導入される。そして、被記録材とともに未定着トナーが加熱され、トナーが軟化・溶融しつつ被記録材に加圧されることで、被記録材に画像として定着される。記録材上に保持されたトナーが直に接する回転体は加熱部材として機能し、その形態としては、例えば、ローラ形状、フィルム形状、ベルト形状のものがある。また、加熱部材と共に定着ニップを形成する回転体は加圧部材として機能し、その形態としては、加熱部材と同様にローラ形状、フィルム形状、ベルト形状のものがある。これらの定着部材の中でも、被記録材上に保持されたトナーと直接接して、当該トナーを加熱するための定着部材(加熱部材)には、定着ニップにおいて、被記録材およびトナーに対し、トナーを軟化・溶融させるための熱を供給できることが求められる。そのため、定着部材における弾性層には、その熱伝導率を高めるために、酸化マグネシウムや金属ケイ素の如き熱伝導性フィラーを含有させることが提案されている(特許文献1、2)。
特開平3-221982号公報 特開2007-171946号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、熱伝導率の向上のために熱伝導性フィラーを含有させた弾性層を有する定着部材は、高温下での長期に亘る使用によって弾性層が破断する場合があった。この傾向は、弾性層の硬度を低下させた場合に特に顕著であった。
従って、熱伝導性フィラーを含有させることによって熱伝導性を高めた弾性層を備えた定着部材の長寿命化を図るうえでは、熱伝導性フィラーを含有させたことに起因する弾性層の破断を防止するための新たな技術開発が必要であると認識するに至った。
本開示の一態様は、熱伝導性フィラーを含む弾性層を備えているにもかかわらず、長期の使用によっても弾性層に破断が生じない、耐久性に優れた電子写真用定着部材の提供に向けたものである。また、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる定着装置及び電子写真画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、基体と、該基体上の弾性層と、表層と、をこの順番で有する電子写真用定着部材であって、該弾性層は、シリコーンゴム、および該シリコーンゴムに分散された熱伝導性フィラーを含み、該熱伝導性フィラーは、金属酸化物粒子、または、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子であり、該弾性層は、該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤をさらに含む電子写真用定着部材が提供される。また、本開示の他の態様によれば、前記定着部材を具備した定着装置が提供ざれる。さらに、本開示の他の態様によれば、前記定着部材を具備した電子写真画像形成装置が提供される。
A及び図1Bは、本開示の一態様に係る定着部材に係る効果発現の推定メカニズムの説明図である。 Aは、本開示の一態様に係る定着部材の弾性層を形成するためのコロナ帯電器の俯瞰図である。 図2Bは、本開示の一態様に係る定着部材の弾性層を形成するためのコロナ帯電器の断面図である。 Aはベルト形態、図3Bはローラ形態の、本開示に係る定着部材の概略断面模式図である。 フッ素樹脂表層を積層する工程を説明するための一例の模式図である。 本開示の定着部材が配置される定着装置の一例の概略断面模式図である。 本開示にかかわる弾性層の耐圧耐久性を評価する治具の概略斜視図である。 表面を帯電させた混合物層中に形成される熱伝導性フィラーの配列状態の説明図である。
本発明者らは、特許文献1に係る定着ロールや、特許文献2に係る定着ベルトを高温下で長期に亘って使用したときに弾性層に破断が生じる理由を以下のように推測している。
図1Aに示すように、弾性層4中において、熱伝導性フィラー4bは、バインダーとしてのシリコーンゴム4a中に分散しているが、フィラー4bの凝集部401が存在していると考えられる。そして、弾性層4が繰り返し圧縮される過程で、フィラー4bの凝集部401を起点に弾性層4に破断が生じる。ここで、シリコーンゴム4aの架橋度を低下させて弾性層4の硬度を低下させた場合には、凝集部401の周囲のシリコーンゴム自体の強度が低くなるため、弾性層4の破断はより生じやすくなると考えられる。
かかる考察に基づき、本発明者らが更なる検討を重ねた結果、シリコーンゴム、熱導電層性フィラーと共に、該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤(以降、単に「荷電制御剤」ともいう)を含有させてなる弾性層が優れた耐久性を有し得ることを見出した。
このような弾性層が、優れた耐久性を有し得る理由は以下のように推定される。すなわち、弾性層は、熱伝導性フィラーを分散させた付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を硬化させることによって形成される。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物中において、熱伝導性フィラーは液状シリコーンゴムとのせん断によって正に帯電するが、熱伝導性フィラーの帯電量が不均一である。そのため、殆ど帯電していない熱伝導性フィラーや、帯電量の少ない熱伝導性フィラー同士が凝集部401を生じさせていると考えられる。一方、本開示の一態様に係る弾性層は、熱伝導性フィラー及び荷電制御剤を分散させた付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を硬化させることによって形成される。当該付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の調製工程においては、図1Bに示したように、熱伝導性フィラー4bと荷電制御剤4cとが互いに近接し、あるいは接触することで、熱伝導性フィラー4bは正電荷を帯びる。そして、荷電制御剤4cを用いて熱伝導性フィラー4bを能動的に正に帯電させることで、熱伝導性フィラー4bの帯電量に差が生じにくくなっていると考えられる。その結果、当該付加硬化型液状シリコーンゴム混合物中では、熱伝導性フィラー4b同士の凝集が抑制され、熱伝導フィラー4bの凝集部401(図1A参照)の形成が阻害される。その結果、弾性層4の破断エネルギーが大きくなるものと考えられる。なお、破断エネルギーとは、弾性層を引っ張り破断試験に供することによって得られる応力-歪み曲線の面積であり、破断エネルギーが大きいほど、弾性層は破断しにくい。
以下、本開示について図面を用いて詳細に説明する。
(1)定着部材
本開示に係る電子写真用定着部材の構成について図面を用いて説明する。
図3A及び図3Bは、本開示に係る定着部材の2つの態様を示す概略断面模式図である。図3Aはエンドレスベルト形状を有する定着部材(以降、「定着ベルト」ともいう)を表し、図3Bはローラ形状の定着部材(以降、「定着ローラ」ともいう)を表す。図3A及び図3Bに係る定着部材は、基体3と、基体3の外周面を被覆しているシリコーンゴムを含む弾性層4、弾性層4の外周面を被覆している表層6をこの順番で有する。なお、弾性層4と表層6との間の接着層5は、オプションであり、例えば、表層6が、弾性層4の外周面に付着させたフッ素樹脂粒子を溶融させることによって形成されたものであるような場合には、接着層5を有さない構成とすることができる。
(2)基体
定着部材が図3Aに示すような定着ベルトである場合、基体には、電鋳ニッケルスリーブやステンレススリーブなどの金属、ポリイミドなどの耐熱性樹脂を用いることができる。基体の外面(弾性層側の面)には、弾性層との接着性を向上させる機能を付与するための層を設けることができる。即ち、弾性層は、基体の外周面上に設けられればよく、弾性層と基体との間に他の層を設けることができる。また、基体の内面(上記外面とは反対側の面)には、耐摩耗性や潤滑性などの機能を付与するための層をさらに設けることができる。
定着部材が図3Bに示すような定着ローラである場合、基体としては、定着装置での加熱・加圧に耐える強度を有していればよく、例えば、アルミニウム、鉄などの金属や合金からなる芯金を用いることができる。図3Bでは、基体として中実の芯金を用いているが、基体には中空の芯金を用いてもよく、内部にハロゲンランプなどの熱源を設けてもよい。
(3)弾性層
本開示に係る定着部材は、定着装置における加熱部材および加圧部材のいずれにも用い得る。そして、加熱部材として用いる場合には、弾性層は、定着時に加熱部材の外表面を紙の凹凸に追従させるための層として機能する。また、加圧部材として用いる場合には、弾性層は、加圧部材との間に形成される定着ニップの幅を十分に確保するための層として機能する。これらの機能を、非通紙部領域で240℃の高温になる環境において発現させるために、弾性層は耐熱性に優れるシリコーンゴムをバインダーとして含む。すなわち、弾性層は、シリコーンゴム、および該シリコーンゴムに分散された熱伝導性フィラーを含む。
そして、弾性層は、例えば熱伝導性フィラーと、付加硬化型液状シリコーンゴムとを含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を硬化せしめることで形成することができる。すなわち、弾性層は、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の硬化物であることができる。また弾性層は、付加硬化型液状シリコーンゴムの硬化物と、該硬化物中に存在する熱伝導性フィラー及び該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤を含むものであることができる。
弾性層の日本産業規格(JIS)K7312:1996に基づくアスカー(Asker)C硬度(以降、単に「硬度」ともいう)は、50°以下であることが好ましい。硬度が50°以下であることで、高温状態で繰り返し圧縮されても弾性層が破壊・塑性変形することがなく、優れた柔軟性を有する。
弾性層の硬度は、例えば、後述する付加硬化型液状シリコーンゴム中の(a)成分の種類や配合量、(b)成分の種類や配合量、(c)成分の種類や配合量によって調整することができる。
以下に弾性層の構成成分であるシリコーンゴム、熱伝導性フィラー及び荷電制御剤について詳述する。
(3-1)シリコーンゴム
付加硬化型液状シリコーンゴムは、以下の(a)成分、(b)成分及び(c)成分を少なくとも含み、また、必要に応じて、(d)成分を含む。
(a)不飽和脂肪族基を分子内に有するオルガノポリシロキサン
(b)ケイ素原子に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン
(c)ヒドロシリル化触媒
(d)硬化遅延剤
(a)成分:不飽和脂肪族基を分子内に有するオルガノポリシロキサン
不飽和脂肪族基を分子内に有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する、ビニル基の如き不飽和脂肪族基を含有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。具体的には、例えば、下記(i)及び(ii)に係るオルガノポリシロキサンが挙げられる。
(i)ROで表される中間単位およびROで表される中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、R1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記構造式1参照)
Figure 2022045326000002
(ii)ROで表される中間単位およびRSiOで表される中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記構造式2参照)
Figure 2022045326000003
構造式1および構造式2において、Rは、それぞれ独立して不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、Rは、それぞれ独立して不飽和脂肪族基を表し、mおよびnは、それぞれ独立して0以上の整数を表す。
なお、構造式1及び構造式2においてRで表される、不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基を挙げることができる。これらの中でも、Rは、メチル基であることが好ましい。また、構造式1および2において、Rで表される不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基等のアルケニル基を例示することができる。これらの中でも、Rはビニル基であることが好ましい。
構造式1において、n=0の直鎖状オルガノポリシロキサンは、両末端にのみ不飽和脂肪族基を有するものであり、n=1以上の直鎖状オルガノポリシロキサンは、両末端と側鎖に不飽和脂肪族基を有するものである。また、構造式2の直鎖状オルガノポリシロキサンは、側鎖にのみ不飽和脂肪族基を有するものである。なお、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(A)成分を定着部材の弾性層に用いる場合、成形性の観点から、粘度は100mm/s以上、50000mm/s以下であることが好ましい。
(b)ケイ素原子に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン、
(a)成分の架橋剤である、ケイ素原子に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは、後述する(c)成分の触媒作用により、(a)成分中の不飽和脂肪族基とのヒドロシリル化反応により架橋構造を形成する架橋剤である。
(b)成分としては、Si-H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができるが、例えば、下記(iii)~(iv)のオルガノポリシロキサンが挙げられる。なお、(b)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(iii)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとの反応による架橋構造形成の観点から、ケイ素原子に結合した水素原子の数が1分子中に平均3個以上であるオルガノポリシロキサン。
(iv)ケイ素原子に結合した有機基が、上述したような不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基であるオルガノポリシロキサン。なお、該非置換炭化水素基は、メチル基であることが好ましい。
(b)成分であるオルガノポリシロキサンにおいて、シロキサン骨格(-Si-O-Si-)は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。また、Si-H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよい。そして、(b)成分として、具体的には、下記構造式3および構造式4に示す直鎖状オルガノポリシロキサンを用いることができる。
Figure 2022045326000004
Figure 2022045326000005
構造式3および構造式4において、Rは、それぞれ独立して不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表す。なお、該不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基としては、前記構造式1および2におけるRで示したものと同じものを挙げることができ、メチル基であることが好ましい。
(b)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して0.1~20質量部であることが好ましく、0.3~10質量部であることがより好ましい。
(c)ヒドロシリル化触媒
ヒドロシリル化(付加硬化)触媒としては、例えば、白金化合物を用いることができる。具体的には、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体等を挙げることができる。(c)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して0.0001~0.1質量部であることが好ましく、0.001~0.05質量部であることがより好ましい。
(d)硬化遅延剤
ヒドロシリル化(付加硬化)の硬化反応速度を調整するために、硬化遅延剤を配合することができる。硬化遅延剤としては、具体的に、1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、2-メチル-3-ブチン-2-オール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール等を挙げることができる。(d)成分の配合量は、(a)成分100質量部に対して0.01~2質量部であることが好ましく、0.05~1質量部であることがより好ましい。
(3-2)熱伝導性フィラー
熱伝導性フィラーは、金属酸化物粒子、及び、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
かかる熱伝導性フィラーとしては、たとえば、酸化マグネシウム、金属ケイ素、アルミナおよび酸化亜鉛が挙げられる。
酸化マグネシウムの熱伝導率は45~60W/m・K、金属ケイ素の熱伝導率は150W/m・K、酸化亜鉛の熱伝導率は50W/m・K、アルミナの熱伝導率は40W/m・Kである。
フィラーを配合していないシリコーンゴムの熱伝導率は0.2W/m・K程度であるので、これらの熱伝導性フィラーをシリコーンゴム中に含有させることで、弾性層の熱伝導率を高めることができる。
弾性層中の熱伝導性フィラーの含有量は、総フィラー量が体積割合で、10%以上、55%以下であることが好ましい。総フィラー量が体積割合で10%以上であると、シリコーンゴムからなる弾性層の熱伝導率を十分に高めることができ、55%以下であると、シリコーンゴムからなる弾性層のゴムとしての弾性機能を十分に発揮することができる。
(3-3)荷電制御剤
上記した熱伝導性フィラーとしての金属酸化物粒子、及び、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子は正帯電性を有し得る。正電荷の帯びやすさは、酸化マグネシウム、表面の少なくとも一部が酸化されている金属ケイ素、酸化亜鉛、アルミナの順であると考えられる。
そして、これらの熱伝導性フィラーに対して正電荷を付与し得る、負帯電性の荷電制御剤としては、たとえばサリチル酸金属錯体、アゾ金属錯体が挙げられる。
なかでも、耐熱性の観点からアゾ金属錯体がより好ましい。アゾ金属錯体としては、鉄系、クロム系錯体などを挙げることができる。耐熱性としては、定着部材の非通紙部で240℃程度になることがあるので、それ以上の温度範囲で安定であるという耐熱性が望ましく、荷電制御剤の熱分解開始温度が300℃以上であることが特に望ましい。このような耐熱性を有する荷電制御剤としては具体的には例えば下記構造式(i)及び構造式(ii)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2022045326000006
構造式(i)に係る化合物は、例えば、商品名「S-215S」(オリヱント化学工業社製)、構造式(ii)に係る化合物は、例えば、商品名「S-34」(オリヱント化学工業社製)として市販されている。その他、負帯電性の荷電制御剤としては、主にトナーで用いられているものを候補として挙げることができる。
荷電制御剤の配合量としては、シリコーンゴム100質量部に対して、1質量部以上、5質量部以下であることがより好ましい。配合量が1質量部以上であると破断エネルギーを大きくする効果が得られる。また、配合量が5質量部以下であるとシリコーンゴム弾性層の非通紙部における十分な硬度が得られる。
また、荷電制御剤の分散状態は特に限定されるものではないが、シリコーンゴムに直径1μm以下の粒子状に分散していると、破断エネルギーを大きくする効果を得やすい場合があり、より好ましい。
(3-4)弾性層の製造方法
本開示の一態様に係る弾性層の非限定的な製造方法としては、例えば、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の層(以下、「混合物層」ともいう)を硬化させる工程を経て形成することができる。ここで、混合物層層の硬化に先立って、混合物層の外表面を帯電させることが好ましい。これによって、混合物層中の熱伝導性フィラーを厚み方向に配列させることができ、弾性層の厚み方向の熱伝導率をより一層高めることができる。
混合物層中の熱伝導性フィラーを厚み方向に配列させる一実施形態として、コロナ帯電器を用いる方法を説明する。なお、コロナ帯電方式には、コロナワイヤーと被帯電体の間にグリッド電極を持つスコロトロン方式と、グリッド電極を持たないコロトロン方式があるが、被帯電体の表面電位の制御性の観点から、スコロトロン方式が好ましい。
コロナ帯電器2は、図2A及び図2Bに示すように、ブロック201及び202、シールド203及び204、並びに、グリッド206を備える。また、ブロック201とブロック202の間に放電ワイヤ205が張架されている。不図示の高圧電源により、放電ワイヤ205に高電圧を印加して、シールド203及び204への放電によって得られるイオン流を、グリッド206に高電圧を印加することによって制御して、混合物層401の表面を帯電させる。この時、基体3もしくは基体3を保持する中子1が接地されているため(不図示)、混合物層401の表面の表面電位を制御することで、混合物層401に所望の電場を発生させることが可能となる。
コロナ帯電器2を、図2Aに示すように、混合物層401の幅方向に沿って近接して対向させて配置する。そして、コロナ帯電器2のグリッド206に電圧を印加し、放電させた状態で、中子1を矢印A2の方向に回転させて、外周面に混合物層401を有する基体3を、例えば100rpmで20秒間回転させることによって、混合物層401の外表面を帯電させる。混合物層401の外表面とグリッド206との距離は1mm~10mmとすることができる。
このようにして混合物層401の表面を帯電させて、混合物層401内に電場を生じさせる。その結果、図7に示したように、混合物層401中の熱伝導性フィラーのうち、例えば、円相当径が5μm未満の小粒径フィラー701を混合物層401の厚さ方向に配列させることができる。一方、熱伝導性フィラーのうち、例えば、円相当径が5μm以上の大粒径フィラー703は、混合物層401中における位置は殆ど変化せず、分極し、大粒径フィラー間で局所的な電場を生じさせる。かかる電場によって、大粒径フィラー間に位置する小粒径フィラーを配列させることができる。なお、図7中、矢印705は混合物層の厚さ方向を示す。ここで、混合物層401の表面を帯電させることで、大粒径フィラーの配列を抑えつつ、小粒径フィラーを高度に配列させることができる理由は以下のように考えられる。すなわち、混合物層401の表面を帯電させても、大粒径フィラー703には、大粒径フィラー703の混合物層中における位置を誘電泳動により移動させられるだけの力を作用させることは困難と考えられる。しかしながら、大粒径フィラー703には誘電分極が生じ、大粒径フィラー703の間には局所的な電場が形成される。その結果、大粒径フィラー703の間に存在している小粒径フィラー701には、当該局所的な電場が作用し、大粒径フィラー703の間で高度に配列すると考えられる。その結果、混合物層の厚み方向には、大粒径フィラー703の間が小粒径フィラーによってつながれた熱伝導パスが形成されると考えられる。
グリッド206に印加する電圧は、熱伝導性フィラーに有効な静電的相互作用を発生さ せる観点から、絶対値として0.3kV~3kV、特には、0.6kV~2kVの範囲が好ましい。なお、図2A、図2Bにおいては、混合物層401の表面をプラスに帯電させた例を示しているが、印加する電圧の符号はワイヤに印加する電圧の符号と等しくすれば、マイナスでもプラスでも電界の方向は逆になるものの、得られる効果は同じである。
なお、混合物層401中の小粒径フィラーの配列のし易さは、例えば、バインダー原料と熱伝導性フィラーとの誘電率に依存すると考えられる。例えば、バインダー原料の誘電率と熱伝導性フィラーの誘電率との差が大きい場合、比較的小さな印加電圧で小粒径フィラーを配列させることができる。したがって、グリッドへの印加電圧は、バインダー原料に用いる材料と、熱伝導性フィラー種との組み合わせに応じて、適宜調整することが好ましい。
混合物層401の表面の長手方向における電位制御の範囲としては、定着部材の通紙領域以上で あることが好ましい。例えば、図2Aに示される構成を用いることができ、グリッド206に電圧を印加している間は、混合物層401を有する基体の中心軸を回転軸として回転させながら行うことで混合物層401の全体を帯電させることが可能である。なお、定着ベルトの回転数としては10rpm~500rpm、処理時間としては小粒径フィラーの配列を安定的に形成させる観点から5秒以上の処理時間を設けることが好ましい。以上より、表面電位と電場を付与する時間を制御することで、小粒径フィラーの配列の形成を制御することができる。
放電ワイヤ205には、ステンレススチール、ニッケル、モリブデン、タングステンな どの材質を適宜用いることができるが、金属の中で非常に安定性の高いタングステンを用いることが好ましい。なお、シールド203及び204の内側に張架される放電ワイヤ205の形状は特に限定されず、例えば、ノコギリ歯のような形状のものや、放電ワイヤを垂直に切断した際の断面形状が円形のもの(円断面形状)を用いることができる。放電ワイヤ205の(ワイヤに対して垂直に切断した際の切断面における)直径は、40μm以上、100μm以下とすることが好ましい。放電ワイヤ205の直径が40μm以上であれば、放電によるイオンの衝突による放電ワイヤの切断や断裂を容易に防ぐことができる。また、放電ワイヤ205の直径が100μm以下であれば、安定したコロナ放電を得る際に、放電ワイヤ205に対して適度な印加電圧をかけることができ、オゾンの発生を容易に防ぐことができる。
図2Bに示すように、平板状のグリッド206は、放電ワイヤ205と、基体3上に配される混合物層401との間に配置することができる。ここで、混合物層401表面の帯電電位を均一にする観点から、混合物層401の表面と、グリッド206との間の距離は、1mm以上10mm以下の範囲とすることが好ましい。
ところで、混合物層401が荷電制御剤を含まない場合、上記の帯電工程の結果、混合物層401の外表面に凸形状のブツが形成される場合があった。これは、混合物層401の外表面を帯電させたときに表面電位のムラが生じ、局所的に表面電位の低い部分で凸形状のブツが形成されたものと考えられる。表面電位のムラが生じる原因としては、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の調製工程における剪断ムラや、熱伝導性フィラーの表面組成のバラつきによるものと考えている。剪断ムラや、熱伝導性フィラーの表面組成のバラつきにより、熱伝導性フィラーの帯電量が局所的に高い部分が生じ、その部分の表面電位が低くなっているのではないかと推測している。
しかしながら、荷電制御剤を含む本開示に係る付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた場合には、外表面への凸形状のブツの発生を防止することができる。これは、荷電制御剤によって、熱伝導性フィラーの帯電量が均一化でき、帯電量が局所的に高い部分が生じにくくなっているためであると考えられる。
(4)定着部材の表層
表層としては、例えば、フッ素樹脂層、より具体的には、以下に例示列挙する樹脂による層を用いることができる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等を挙げることができる。
また、表層中には成形性やトナー剥離性を損なわない範囲において、熱物性や耐摩耗性を向上する目的でフィラーを含有してもよい。
表層(例えばフッ素樹脂層)の厚みは、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。表層の厚みが10μm以上であると十分な耐久性が得られる。100μm以下であると、シリコーンゴム含有弾性層の優れた柔軟性が機能することができる。
表層の形成方法は特に限定されず、例えば、以下の1)又は2)の方法を用いることができる。
1)フッ素樹脂チューブ被覆による表層の形成方法
図4は、前記1)の方法を説明するための模式図である。シリコーンゴムからなる弾性層4の表面に、接着剤を塗布して接着剤層5を形成する。接着剤については後述する。この接着剤層5の外面に、表層6として、フッ素樹脂をチューブ状に成型したものを被覆し、積層させる。フッ素樹脂チューブの内面は、あらかじめナトリウム処理やエキシマレーザー処理、アンモニア処理等を施すことで、表面を活性化し、接着性を向上することができる。
上記接着剤としては、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを用いることが好ましい。このシリコーンゴムとしては、具体的にはビニル基に代表される不飽和脂肪族基を分子鎖中に複数有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、架橋反応触媒としての白金化合物とを含有するものを用いることができる。このシリコーンゴムは、付加反応により硬化する。このような付加硬化型シリコーンゴムからなる接着剤としては、既知のものを使用することができる。
基体3が形状保持可能な芯金の場合には必要ないが、ベルト形状の定着部材に用いられる樹脂ベルトや金属スリーブのような薄肉の基体を用いる際には、加工時の変形を防ぐために、基体3を中子に外嵌させて保持することが好ましい。フッ素樹脂チューブの被覆方法は特に限定されないが、接着剤を潤滑剤として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法等を用いることができる。被覆後、不図示の手段を用いて、シリコーンゴムからなる弾性層4とフッ素樹脂チューブ6との間に残った、余剰の接着剤を、扱き出すことで除去することができる。扱き出した後の接着剤層5の厚みは、20μm以下であることが好ましい。接着剤層の厚みが20μm以下であれば、定着部材の硬度上昇を抑制しやすく、定着部材として用いた場合は、紙の凹凸に対する追従性に優れる。次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、接着剤層を硬化させ、必要に応じて両端部を所望の長さに加工することで、本開示に係る定着部材を得ることができる。
2)フッ素樹脂コーティングによる表層の形成について
表層形成のためのフッ素樹脂コーティング加工には、フッ素樹脂微粒子の静電塗工方法や、フッ素樹脂塗料のスプレーコーティングなどの方法を用いることができる。静電塗工方法を用いる場合には、まず、金型内面にフッ素樹脂微粒子の静電塗工を施し、金型をフッ素樹脂の融点以上まで加熱することで、金型内面にフッ素樹脂の薄膜を形成する。この後、内面を接着処理したうえで、基体を挿入する。基体とフッ素樹脂との間に、本開示に係る、熱伝導性フィラーと、負帯電性の荷電制御剤と、例えば付加硬化型液状シリコーンゴム成分とを少なくとも含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を注入する。その後、ゴム混合物を硬化させた後、脱型することで、本開示に係る定着部材を得ることができる。
(5)定着部材の製造方法
本開示に係る定着部材の製造方法は、例えば以下のシリコーンゴムを含む弾性層形成工程を含む。
液状シリコーンポリマーおよび該液状シリコーンポリマー中に分散された熱伝導性フィラーと熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤を含む液状シリコーン混合物を調製する工程;
エンドレス形状を有する基体の表面に該液状シリコーン混合物の層を形成する工程;
該液状シリコーン混合物の層の表面に対向して、コロナ帯電器を該基体の幅方向に沿って配置する工程;該コロナ帯電器を用いて、該液状シリコーン混合物の層の表面を帯電させる工程;
該液状シリコーン混合物の層を硬化させて、該弾性層を得る工程
また、本開示に係る定着部材の製造方法は、以下の工程を含むこともできる。
シリコーンゴムを含む弾性層上に、接着層および表層(例えばフッ素樹脂表層)を積層する工程。
なお、本開示に係る定着部材の製造方法において、各工程の順序は適宜設定することができ、これらの工程を同時に(並行して)行うこともできる。表層を形成する際には、前述した接着層と表層の形成方法を用いることができる。
(6)本開示の定着部材が配置された定着装置
本開示に係る定着装置について説明する。本開示に係る定着装置は、電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、本開示に係る定着部材が定着ベルト、定着ローラあるいは定着フィルムとして配置されているものである。電子写真画像形成装置としては、感光体、潜像形成手段、形成した潜像をトナーで現像する手段、現像したトナー像を記録材に転写する手段、および、記録材上のトナー像を定着する手段等を有する電子写真画像形成装置が挙げられる。
本開示に係る定着装置における一実施形態について図5に概略構成図を示す。
図5は加熱体としてセラミックヒータを用いた定着ベルト-加圧ローラ方式の熱定着装置の例を示す模式図である。図5において、501は本開示の一態様に係る定着ベルトである。定着ベルト501は、ベルトガイド503にルーズに外嵌されている。また、加圧用剛性ステイ507はベルトガイド503の内側に挿通されている。定着ベルト501の下側には、定着ベルト501に対向して加圧ローラ509が配置されている。加圧ローラ509は、芯金509a、その外周面に設けられた、シリコーンゴムを含む弾性層509bを有する。加圧ローラ509は、芯金509aの両端部を不図示の手前側のシャーシ側板と奥側のシャーシ側板との間に回転自由に軸受けに保持されている。なお、加圧ローラ509には、表面のトナー離型性を向上させるために、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)の如きフッ素樹脂を含む表面層(不図示)を具備することができる。
加圧用剛性ステイ507の両端部と定着装置のシャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にはそれぞれ加圧バネ(不図示)が配置され、加圧用剛性ステイ507に押し下げ力を作用させている。これにより、ベルトガイド503の下面に配設したセラミックヒータ505の下面と加圧ローラ509の上面とが定着ベルト501を間に挟んでいる定着ニップ部Nを形成する。
加圧ローラ509は不図示の駆動手段により矢印511が示す方向に回転駆動される。この加圧ローラ509の回転駆動による加圧ローラ509と定着ベルト501との外面との摩擦力によって定着ベルト501に回転力が作用する。そして、定着ベルト501はその内面が定着ニップ部Nにおいてセラミックヒータ505の下面に密着して摺動しながら、矢印513が示す向に加圧ローラ509の回転速度に対応した速度でベルトガイド503の回りを回転する。
プリントスタート信号に基づいて加圧ローラ509の回転が開始され、またセラミックヒータ505の加熱が開始される。その後、定着ニップ部Nの定着ベルト501と加圧ローラ509との間に被加熱材としての未定着トナー画像tを担持した記録媒体Sがトナー像担持面側を定着ベルト501側にして導入される。そして、記録媒体Sは定着ニップ部Nにおいて定着ベルト501を介してセラミックヒータ505の下面に密着し、定着ベルト501と一緒に定着ニップ部Nを移動していく。その過程において、定着ベルト501の熱が記録媒体Sに付与され、トナー画像tが記録媒体Sの表面に定着される。定着ニップ部Nを通過した記録媒体Sは定着ベルト501の外面から分離して搬送される。
加熱体としてのセラミックヒータ505は、例えば、チッ化アルミニウム製のヒータ基板505a、ヒータ基板505aの表面にその長手に沿って設けられた発熱層505b、さらにその上に設けられたガラスやフッ素樹脂の如き耐熱性に優れた材料で形成された保護層505cを有する。発熱層505bは、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料を、厚さ10μm、幅1~5mmにスクリーン印刷等で設けたものが用いられる。
そして、セラミックヒータ505の発熱層505bの両端に通電されることで発熱層505bは発熱し、セラミックヒータ505が昇温する。セラミックヒータ505は、ベルトガイド503の下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成された溝部に、保護層505cを上向きに嵌入して固定されている。定着ベルト501と接触する定着ニップ部Nにおいては、セラミックヒータ505の摺動部材505dの面と定着ベルト501の内周面とが相互に接触し、摺動する。なお、保護層505c上には、セラミックヒータ505の温度制御のための温度検知素子515が設けられている。
以上のように、本開示に係る定着ベルト501を加熱ベルトとして用いた、上記熱定着装置は、定着ベルト501の内周面に接して配置された加熱手段(ヒータ)によって該定着ベルトに供給された熱が、弾性層の厚さ方向に流れやすい。そのため、定着ベルトに投入されたエネルギーを効率よく未定着トナーの熱定着に利用することができる。
なお、ここでは、定着ベルトと加圧ローラの定着装置を例としてあげたが、本開示に係る定着装置は本開示に係る定着部材を定着ベルト、定着ローラあるいは定着フィルムとして有していればよく、図5に示したものに限られない。
本開示の一態様によれば、熱伝導性フィラーを含む弾性層を備えているにもかかわらず、長期の使用によっても弾性層に破断や塑性変形が生じない、耐久性に優れた電子写真用定着部材を得ることができる。また、本開示の他の態様によれば、高品位な電子写真画像を安定して形成することができる定着装置及び電子写真画像形成装置を得ることができる。
以下に、本開示について実施例を用いてより詳細に説明する。
まず、熱伝導性フィラーに対して荷電制御剤が負帯電型か正帯電型かを判断する方法について説明する。荷電制御剤を溶解した溶液をスピンコートし、荷電制御剤からなるフィルムを形成する。そのフィルム上に熱伝導性フィラーを置き、フィルムを動かす等により荷電制御剤と熱伝導性フィラーを摩擦させる。その際のフィルムの表面電位を測定し、マイナス側に帯電しているか、プラス側に帯電しているかの結果から、負帯電型か正帯電型かを判断することができる。
次に、荷電制御剤の熱分解開始温度の測定方法について説明する。熱重量分析装置(TGA/SDTA851e、メトラー・トレド(METTLER TOLEDO)社製)を用いて、40℃から400℃まで3℃/minで昇温する。昇温する際の、サンプル重量曲線のオンセット温度(曲線の変曲点における接線と基線の延長線との交点)を熱分解開始温度とした。
次に、荷電制御剤の分散状態の評価方法について説明する。まず、弾性層の断面を、イオンビームを用いて研磨加工する。イオンビームによる断面の研磨加工には、例えば、クロスセクションポリッシャを用いることができる。イオンビームによる断面の研磨加工では、試料からのフィラーの脱落や研磨剤の混入を防ぐことができ、また、研磨痕の少ない断面を形成することができる。このようにして形成した弾性層の断面を飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、試料表面のスパッタクリーニングを施してから荷電制御剤由来と考えられるイオンの分布を測定することで評価した。
〔実施例1〕
(1)付加硬化型液状シリコーンゴム混合物の調製;
まず、a成分として分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(粘度5000mm/s、以降「Vi」と称する)を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:SL-WR、神島化学工業株式会社製)を271.4質量部計量し、Viに添加した。
次いで、酸化マグネシウム粉体に対して負帯電型の荷電制御剤であるナトリウム=ビス{1-[(5-クロロ-2-ヒドロキシ-フェニル)アゾ]-フェニルカルバモイル)-2-ナフトラト}鉄(III)(商品名:S-215S、オリエント化学工業株式会社製、熱分解開始温度312℃)を3質量部計量し、Viに添加した。
次いで、d成分として硬化遅延剤である1,3,5,7-テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン(商品名:SIT7900.0、Gelest社製)0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体の混合物中に添加した。
次いで、c成分としてヒドロシリル化触媒(白金触媒、商品名:SIP6829.2、Gelest社製)0.03質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体と硬化遅延剤の混合物中に添加した。
さらに、b成分としてシロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンポリマー(粘度30mm/s、以降「SiH」と称する)を、1.2質量部計量した。これを、Viと酸化マグネシウム粉体と負帯電型の荷電制御剤と硬化遅延剤と白金触媒の混合物に添加し、十分に混合することで、酸化マグネシウム粉体43体積%配合の付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。
(2)弾性層の形成;
次に、得られた酸化マグネシウム粉体と負帯電型の荷電制御剤を含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いて、以下のように定着ベルトを作製した。
基体として、内径30mm、幅400mm、厚さ40μmのニッケル電鋳製エンドレススリーブを用意した。なお、一連の製造工程中、エンドレススリーブ(無端状スリーブ)は、その内部に中子を挿入して取り扱った。
まず、基体の外周面に、プライマー(商品名:DY39-051 A/B,東レ・ダウコーニング株式会社製)を略均一に塗布し、溶媒を乾燥させた後、温度160℃の電気炉で30分間焼付け処理を行った。
このプライマー処理された基体上に、リングコート法で上記シリコーンゴム混合物を厚さ300μmとなるように塗布して混合物層を形成した。
次に、コロナ帯電器2を、その長手方向が、混合物層を形成した基体3の軸方向(長手方向)と略平行になるように配置した(図2参照)。そして、混合物層を形成した基体を141rpmで回転させながら、コロナ帯電器を用いて、混合物層の表面を帯電させた。
帯電条件は、以下のとおりとした。
・コロナ帯電器のワイヤへの供給電流 交流0.7Hz ±150μA(矩形波)
・グリッド電極電位 交流0.7Hz ±900V(矩形波)
・帯電時間160秒
・グリッド電極と基体上にシリコーンゴム混合物を塗布した硬化前のもの1の距離3mm
次いで、表面を帯電させた混合物層を有する基体を電気炉に入れ、温度160℃で1分間加熱して混合物層を一次硬化させ、引き続いて、温度200℃で30分間加熱して混合物層を二次硬化させた。こうして、弾性層を形成した。得られた弾性層中において、荷電制御剤は、直径1μmで粒状に分散していた。
(3)弾性層の特性評価
(3-1)弾性層の硬度と破断エネルギー測定
弾性層の硬度は、マイクロゴム硬度計(MD-1 タイプC、高分子計器社製)を用いてピークホールドモードで測定した。測定は、弾性層の周方向8点、周方向に直交する方向に5点の計40点において、弾性層の基体側とは反対側の面にマイクロゴム硬度計の押針を接触させて行い、測定値の平均値を本評価の値とした。なお、硬度の測定は、温度23℃、相対湿度40%の環境で行った。
また、弾性層の破断エネルギーは、弾性層から、日本産業規格(JIS)K 6251-8に規定された打ち抜き型を用いて測定サンプルを切り出し、測定箇所である中央付近のゴム厚みを測定した。次に、測定サンプルを、室温(25℃)にて、引張試験機(商品名:ストログラフEII-L1、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度200mm/分にて試験した。破断エネルギーは、測定結果から横軸にサンプルの歪み、縦軸に引張り応力をとったグラフを作成し、歪みが0%からゴムが破断した歪みまでの範囲において測定データを積分したときの面積とした。その結果、弾性層の硬度は74°、破断エネルギーは23kJ/mであった。
(3-2)弾性層の単位体積あたりの熱容量
単位体積あたりの熱容量CVは、以下の式から算出した。
CV=CP×ρ
式中、Cpは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)を表す。
上記式中の定圧比熱と密度の値は以下の方法により求めた。
・定圧比熱CP
弾性層の定圧比熱は、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC823e、メトラー・トレド株式会社製)を用いて測定した。
具体的には、サンプル用のパン及びリファレンス用のパンとして、アルミニウム製のパンを用いた。まず、ブランク測定として、両方のパンが空の状態で、10分間、15℃の定温に保った後、215℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、さらに10分間、215℃の定温で保つプログラムで測定を実施した。次に、定圧比熱が既知である10mgの合成サファイアを基準物質に用い、同じプログラムで測定を行った。次いで、リファレンスのサファイアと同量の10mgの測定サンプルを弾性層部分から切り出した後、サンプルパンにセットし、同じプログラムで測定を実施した。これらの測定結果を上記示差走査熱量測定装置に付属の比熱解析ソフトウェアを用いて解析し、5回の測定結果の平均値から、25℃における定圧比熱CPを算出した。その結果、シリコーンゴム含有弾性層の定圧比熱は、1.12J/(g・K)であった。
・密度ρ
弾性層の密度は、乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330-01、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、10cmの試料セルを用い、セル容積のおおよそ8割程度を満たすようにサンプルを弾性層から切り出し、このサンプルの質量を測定した後、試料セルに入れた。
この試料セルを装置内の測定部にセットし、測定用のガスとしてヘリウムを用い、ガス置換の後、容積測定を10回実施した。各回についてサンプルの質量と測定された容積から、サンプルの密度を算出し、その平均値を求めた。その結果、シリコーンゴム含有弾性層の密度は2.05g/cmであった。このようにして求めたシリコーンゴム含有弾性層の定圧比熱CPと密度ρから単位体積あたりの熱容量CVを算出した結果、2.30MJ/m・Kであった。
(3-3)弾性層の厚み方向の熱伝導率
弾性層の厚み方向の熱伝導率λは、以下の式から算出した。
λ=α×Cp×ρ
式中、λは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m2/s)、Cpは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)ここで、弾性層の定圧比熱Cpと密度ρに関しては前述の方法で求めた値を単位換算した。厚み方向の熱拡散率の値は、以下の方法により求めた。
・熱拡散率α
弾性層の厚み方向の熱拡散率は、周期加熱法熱物性測定装置(商品名:FTC-1、アルバック理工株式会社製)を用いて、室温(25℃)で測定した。サンプルは、弾性層を面積が8×12mmのサンプル片にカッターで切り取り、計5個のサンプルを作製し、それぞれのサンプルの厚みを測定した。次に、それぞれのサンプルに対し、計5回測定し、その平均値(m/s)を求めた。単位換算した弾性層の定圧比熱Cp(J/(kg・K))と密度ρ(kg/m)、および測定した熱拡散率α(m/s)から、シリコーンゴム含有弾性層の熱伝導率λを算出した結果、1.3W/(m・K)であった。
(4)定着ベルトの作製
上記(1)~(3)と同様にして弾性層を有する基体を作製した。
次いで、基体を、弾性層の表面が、周方向に20mm/secの速度となるように回転させながら、弾性層の表面から10mmの距離に設置した紫外線ランプを用いて、弾性層の表面に紫外線を照射した。紫外線ランプには、低圧水銀紫外線ランプ(商品名:GLQ500US/11、東芝ライテック株式会社(旧:ハリソン東芝ライティング株式会社)製)を用い、大気雰囲気中、室温(温度25℃)で6分間照射した。
次に、弾性層の紫外線を照射した表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV A/B、東レ・ダウコーニング株式会社製)を厚さが20μmになるように塗布した。次いで、内径29mm、厚み30μmのフッ素樹脂チューブ(商品名:KURANFL ON-LT、倉敷紡績株式会社製)をこの接着剤上に積層して、エンドレスベルトを作製した。次いで、このエンドレスベルトを電気炉内で温度200℃で1時間加熱して、接着剤を硬化させてフッ素樹脂チューブからなる表層を弾性層上に固定した。次に、フッ素樹脂チューブを弾性層上に固定したエンドレスベルトの両端部を切断し、幅が341mmの定着ベルトを得た。
(5)定着ベルトの評価
(5-1)弾性層の耐圧耐久性の評価
上記(4)で作製した定着ベルトを、その周方向に直交する方向に切り開いて1枚のシートとし、当該シートからから、縦50mm×横50mmのサイズのサンプルを4つ切り出した。
このサンプルについて、図6に示す治具を用いて耐圧耐久性を評価した。具体的には、ヒータ603上においたステンレス板605上に、サンプル601を、その表面層側がステンレス板605と接するように置いた。そして、サンプル601の弾性層の表面601-1の温度を、当該表面601-1上に置いたサーミスタ607を用いて240℃に調整した。そして、当該表面601-1上に、荷重10Nで、押し付けコロ(幅10mm、直径15mm)609を押圧しつつ、押し付けコロ609を矢印611の方向に回転させて当該表面601-1上を矢印613の方向に往復移動させた。こうして、サンプル601の弾性層に目視で確認できる破壊が生じるまでに時間(以降、「破壊時間」ともいう)を計測した。4つのサンプルの破壊時間の平均値を算出し、本実施例に係る定着ベルトの弾性層の耐圧耐久性の評価結果とした。
(5-2)実機評価
(i)上記(4)と同様にして作製した定着ベルトをフルカラー電子写真画像形成装置(商品名:imageRUNNERADVANCE C5051;キヤノン株式会社製)の定着装置に装着した。この複合機を用いて、A4サイズの普通紙にシアンのベタ画像を30万枚連続で形成した。そして10枚目の画像(以降、「初期画像」)と30万枚目の画像(以降、「耐久画像」)とを目視で観察し、光沢ムラの有無を下記の基準で評価した。
ランクA:定着不良に起因する光沢ムラが認められない。
ランクB:定着不良に起因する光沢ムラがわずかに認められる。
ランクC:定着不良に起因する光沢ムラが明らかに認められる。
(ii)上記(i)において30万枚の画像形成に供した定着ベルトを定着装置から取り出した。取り出した定着ベルトの表面層の表面にマイクロゴム硬度計(MD-1 タイプC、高分子計器社製)の押針を接触させて硬度を測定した。硬度の測定は、温度23℃、相対湿度40%の環境で行った。そして、予め、上記と同じ方法にて測定しておいた、30万枚の画像形成に供する前の定着ベルトの表面層の表面における硬度との差を求めた。
〔実施例2~3〕
荷電制御剤の量を1質量部、または5質量部とした以外は実施例1と同様にして液状付加硬化型シリコーンゴム混合物を調製した。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
荷電制御剤として3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸アルミニウム(商品名:E-101、オリエント化学工業株式会社製、熱分解開始温度203℃)を用いた以外は実施例1と同様にして付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を調製した。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
a成分として分子鎖両末端および側鎖に不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(粘度20000mm/s、以降「Vi-2」と称する)を用い、熱伝導性フィラーとして、金属ケイ素粉体(商品名:#600WB、キンセイマテック株式会社製)を162.2質量部用いた以外は実施例1と同様にして付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。得られた付加硬化型液状シリコーンゴム混合物における金属ケイ素粉体の体積割合は40体積%であった。
この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
荷電制御剤としてビス[1-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニルアゾ)-2-ナフトラト]クロム(III)鉄(商品名:S-34、オリエント化学工業株式会社製、熱分解開始温度325℃)を用いた以外は実施例5と同様にして付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例7〕
熱伝導性フィラーとして酸化亜鉛粉体を317質量部用いた以外は実施例1と同様にして、酸化亜鉛粉体を体積割合で35%含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いたこと、及び、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物層の表面の帯電処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いたこと、及び、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物層の表面の帯電処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
熱伝導性フィラーとしてアルミナ粉体を350質量部用いた以外は実施例5と同様にして、アルミナ粉体を体積割合で46%含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例7と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例7と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例9〕
付加硬化型液状シリコーンゴム混合物層の表面の帯電処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。
また、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物層の表面の帯電処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
付加硬化型液状シリコーンゴム混合物層の表面の帯電処理を行わなかったこと以外は実施例5と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。
また、付加硬化型液状シリコーンゴム混合物層の表面の帯電処理を行わなかったこと以外は実施例5と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。
弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
荷電制御剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシウム粉体を43体積%の割合で含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
荷電制御剤を用いなかったこと以外は実施例5と同様にして、金属ケイ素粉体を40体積%の割合で含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例5と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例1と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例5と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔比較例3〕
荷電制御剤を用いなかったこと以外は実施例7と同様にして、酸化亜鉛粉体を35体積%の割合で含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例7と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例7と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例7と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
〔比較例4〕
荷電制御剤を用いなかったこと以外は実施例8と同様にして、アルミナ粉体を46体積%の割合で含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を得た。この付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例8と同様にして基体上に弾性層を形成した。得られた弾性層について、実施例8と同様にして特性評価を行った。また、上記で調製した付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を用いた以外は実施例8と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。弾性層の特性評価の結果、及び定着ベルトとしての評価結果を表1に示す。
Figure 2022045326000007
〔評価結果〕
上記表1に示した実施例と比較例の評価結果について説明する。
実施例1~10に係る弾性層は、負帯電性の荷電制御剤を含むことにより、比較例に係る弾性層と比較して大きな破断エネルギーを有し、耐圧耐久性が向上していた。また、実施例1~10に係る定着ベルトは、30万枚の画像形成後であっても、特に紙の端部が接触することで破断しやすい定着ベルトの非通紙部における弾性層の破壊は認められなかった。
3 基体
4 弾性層
4a シリコーンゴム
4b 熱伝導性フィラー
4c 負帯電性の荷電制御剤
6 表層

Claims (9)

  1. 基体と、該基体上の弾性層と、表層と、をこの順番で有する電子写真用定着部材であって、
    該弾性層は、シリコーンゴム、および該シリコーンゴムに分散された熱伝導性フィラーを含み、
    該熱伝導性フィラーは、金属酸化物粒子、または、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子であり、
    該弾性層は、該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤をさらに含むことを特徴とする電子写真用定着部材。
  2. 前記熱伝導性フィラーが、酸化マグネシウム、金属ケイ素、アルミナおよび酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1に記載の電子写真用定着部材。
  3. 前記荷電制御剤の熱分解開始温度が300℃以上である請求項1または2に記載の電子写真用定着部材。
  4. 前記荷電制御剤が、アゾ金属錯体である請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真用定着部材。
  5. 前記アゾ金属錯体が、下記構造式(i)または(ii)で示される化合物である請求項4に記載の電子写真用定着部材:
    Figure 2022045326000008
  6. 前記荷電制御剤の配合量が前記シリコーンゴム100質量部に対して、1質量部以上、5質量部以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真用定着部材。
  7. 前記荷電制御剤がシリコーンゴムに直径1μm以下の粒子状に分散している請求項1から6のいずれか1項に記載の電子写真用定着部材。
  8. 加熱部材と、該加熱部材に対向して配置されている加圧部材とを具備する定着装置であって、該加熱部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、基体と、該基体上の弾性層と、表層と、をこの順番で有する電子写真用定着部材であっ て、
    該弾性層は、シリコーンゴム、および該シリコーンゴムに分散された熱伝導性フィラーを含み、
    該熱伝導性フィラーは、金属酸化物粒子、または、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子であり、
    該弾性層は、該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤をさらに含む,
    ことを特徴とする定着装置。
  9. 定着装置を具備する電子写真画像形成装置であって、
    該定着装置は、加熱部材と、該加熱部材に対向して配置されている加圧部材とを具備し、
    該加熱部材及び該加圧部材の少なくとも一方が、基体と、該基体上の弾性層と、表層と、をこの順番で有する電子写真用定着部材であって、
    該弾性層は、シリコーンゴム、および該シリコーンゴムに分散された熱伝導性フィラーを含み、
    該熱伝導性フィラーは、金属酸化物粒子、または、表面の少なくとも一部が金属酸化物で構成されている金属粒子であり、
    該弾性層は、該熱伝導性フィラーに対して負帯電性の荷電制御剤をさらに含む、ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
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