JP6906996B2 - 定着用部材、および定着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンター等の電子写真画像形成装置における定着技術の分野において利用される定着用部材、およびその定着用部材を備えた定着装置に関するものである。
一般に、複写機やプリンター等の電子写真画像形成装置に用いられる加熱定着装置では、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が圧接されている。これら回転体は定着用部材と呼ばれる。
そして、未定着トナーによって形成された画像を保持した被記録材が、この回転体間に形成された圧接部位(定着ニップ)に導入され、被記録材とともに未定着トナーが加熱される。加熱されたトナーが軟化・溶融しつつ被記録材に加圧されることで、被記録材に画像として定着される。
被記録材上に保持されたトナーが直に接する回転体は定着部材と称され、その形態に応じて定着ローラ、定着フィルム、定着ベルト等と呼ばれる。定着部材と圧接される回転体は加圧部材と称され、その形態に応じて加圧ローラ、加圧フィルム、加圧ベルト等と呼ばれる。
定着用部材としては、金属または耐熱性樹脂などで形成された基体上に、耐熱性を有するシリコーンゴム含有弾性層を配し、さらに接着剤を介してフッ素樹脂が被覆または薄層形成された構成が一般的に知られている。
上記構成を有する定着部材は、シリコーンゴム含有弾性層が低硬度である場合、その優れた柔軟性を利用して、定着ニップにおいて被記録材である紙繊維の凹凸に追従し、トナーの軟化・溶融ムラが発生しにくく、高画質な画像を得られるという利点がある。
また、定着用部材の機能としては、定着ニップにおいて瞬間的に、被記録材とトナーに対し、トナーを軟化・溶融させるだけの十分な熱量を供給することが求められる。特に高速印刷する場合は、定着用部材の熱容量を大きくし、被記録材とトナーに対する熱供給量を大きくする必要がある。このような観点から、シリコーンゴム含有弾性層の熱容量を大きくすることが望まれる。
さらに、定着用部材には耐久性が求められる。特に、被記録材とトナーが通過しない非通紙部と呼ばれる領域において、熱が被記録材とトナーに奪われないために240℃程度の高温になることがある。低硬度シリコーンゴム含有弾性層は、このような高温状態での定着ニップにおける繰り返し圧縮変形に対する耐久性が求められる。
シリコーンゴム含有弾性層の熱容量を大きくする手段としては、熱容量の大きなフィラーを弾性層に含ませることが考えられ、熱容量の大きなフィラーとしては、例えば酸化マグネシウムを挙げることができる。
特許文献1は、JIS A 硬度が75°以下の、酸化マグネシウムを含むシリコーンゴム含有ゴム層を備えた定着ロールを開示している。
特開平3−221982公報
本発明者らの検討によれば、特許文献1に記載されたゴム層は、そのゴム硬度を、例えば、JIS A 硬度(JIS K6253)で、15°の如き、柔らかさとした場合、高温状態で繰り返し圧縮したときに当該弾性層の破壊や、塑性変形することがあった。
そこで、本発明の一態様は、酸化マグネシウムを含有しつつ、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破壊・塑性変形しにくい低硬度ゴム層を備えた定着用部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成し得る定着装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、基体と、該基体上のシリコーンゴム含有弾性層とを有する定着用部材であって、該弾性層は、シリコーンゴム、および、該シリコーンゴムに分散されたフィラーとを含み、該弾性層は、0.12MPa以上、0.25MPa以下の弾性率を有し、かつ、該フィラーは酸化マグネシウム粉体であり該弾性層に対する該酸化マグネシウム粉体の含有量が40体積%以上、55体積%以下であり、該酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1が100以上、118以下である定着用部材が提供される。
また、さらに本発明の他の態様によれば、上記の定着用部材を具備する定着装置が提供される。
酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1の説明図である。 本発明の作用効果に関する推定メカニズムの説明図である。 (a)はベルト形態、(b)はローラ形態の、本発明に係る定着用部材の概略断面模式図である。 フッ素樹脂表層を積層する工程を説明するための一例の模式図である。 本発明の定着用部材を備えた定着装置の一例の概略断面模式図である。 本発明にかかわるシリコーンゴム含有弾性層の耐圧耐久性を評価する治具の概略斜視図である。
本発明者らは、弾性層中のシリコーンゴムに、形状が球形または略球形の酸化マグネシウム粉体を分散させることで、ゴム硬度が低く、高温状態で繰り返し圧縮されてもゴムが破壊・塑性変形しにくいことを見い出した。
酸化マグネシウム粉体の球形からの偏差をあらわす形状係数SF1は、粒子の二次元画像の輪郭上の2点における最大長さDmax、粒子の二次元画像の粒子面積Sを用いて次式であらわされる。
SF1=Dmax/S×π/4×100
SF1は100が最小で最も球形に近く、値が大きくなるほど球形からの偏差が大きくなることをあらわしている(図1参照)。酸化マグネシウム粉体1個1個の形状は異なっており、分布をもっていることから、代表値として最大長さDmax、粒子面積Sのそれぞれについて累積頻度が50%となる値を用いてSF1を算出する。このようにして得られる形状係数SF1が100以上、120以下である球形に近い酸化マグネシウム粉体をシリコーンゴム含有弾性層に配合することで、ゴム硬度が低く、高温状態で繰り返し圧縮されてもゴムが破壊・塑性変形しにくいことを見い出した。
その理由としては、より球形に近い酸化マグネシウム粉体は、その周囲のシリコーンゴムに局所的な応力がかかりにくくなり、粉体とシリコーンゴムとの界面付近からのゴム破壊・塑性変形が起こりにくくなるからではないかと考えられる(図2参照)。
シリコーンゴム含有弾性層は、0.10MPa以上、0.40MPa以下の弾性率を有する。かかる数値範囲の弾性率を有する弾性層は、優れた柔軟性を有し、また、例えば、温度240℃の高温条件下での繰り返し圧縮した場合にも、弾性層の破壊や塑性変形を有効に抑制し得る。
シリコーンゴム含有弾性層は、酸化マグネシウム粉体とは異なる他のフィラーをさらに含んでもよい。酸化マグネシウム粉体は熱容量が大きいが、熱伝導率はそれほど高くなく、弾性層の熱伝導率を高める目的で、他のフィラーをさらに含むことが好ましい。具体的には、グラファイト、金属ケイ素、炭化ケイ素、アルミナが例示され、これらのうち少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。
シリコーンゴム含有弾性層中のすべてのフィラーの含有量(以下総フィラー量ともいう)は体積割合で、10%以上、55%以下であることが好ましい。総フィラー量を体積割合で55%以下とすることが、シリコーンゴム含有弾性層のゴムとしての弾性機能を維持する観点から好ましい。また、総フィラー量を体積割合で10%以上とすることが、シリコーンゴム含有弾性層の熱容量を高める観点から好ましい。
また、すべてのフィラーを基準として、酸化マグネシウムの占める割合が、50体積%超、95体積%以下であることが好ましい。酸化マグネシウムの総フィラーのなかでの占める割合が50体積%を超えると、総フィラーのなかで最も体積を占めるフィラーが酸化マグネシウムとなる。そのため、本発明の酸化マグネシウム粉体の形状が球形に近いものをシリコーンゴム含有弾性層に配合することで、ゴム硬度が低く、高温状態で繰り返し圧縮されてもゴムが破壊・塑性変形しにくい効果が得られやすくなるので好ましい。また、酸化マグネシウムを含み、さらに他のフィラーを弾性層が含む場合には、酸化マグネシウムの占める割合を95体積%以下とすることが、他のフィラーによる熱伝導率向上効果を得る観点から好ましい。
シリコーンゴム含有弾性層の単位体積あたりの熱容量は1.7MJ/m3・K以上、2.6MJ/m3・K以下であることが好ましい。また、2.0MJ/m3・K以上、2.6MJ/m3・K以下であることがより好ましい。酸化マグネシウム粉体のみを体積割合でシリコーンゴムに55%含有させると単位体積あたりの熱容量は2.6MJ/m3・Kとなる。シリコーンゴム含有弾性層のゴムとしての弾性機能を維持するため、フィラーの含有量を55%以下とすることが好ましく、熱容量については2.6MJ/m3・K以下であることが好ましい。また、単位体積あたりの熱容量が1.7MJ/m3・K以上とすることが、定着用部材の熱容量を大きくし、被記録材とトナーに対する熱供給量を大きくする観点から好ましい。
以下、本発明について詳細に説明する。
(1)定着用部材の構成概略
本発明の詳細について図面を用いて説明する。
図3(a)および(b)は、本発明に係る定着用部材を示す概略断面模式図である。図3(a)はベルト形態の定着用部材の一例を表し、図3(b)はローラ形態の定着用部材の一例を表す。本発明に係る定着用部材は、基体1および前記基体1上のシリコーンゴム含有弾性層2を有する。なお、これらの図に示すように、定着用部材はシリコーンゴム含有弾性層2上に表層4を有することができる。また、シリコーンゴム含有弾性層2と表層4との間に、接着層3を有することもでき、この場合、表層4は、シリコーンゴム含有弾性層2の外周面に接着層3により固定される。
(2)定着用部材の基体
定着用部材が図3(a)に示すようなベルト形状である場合、基体には、電鋳ニッケルスリーブやステンレススリーブなどの金属、ポリイミドなどの耐熱性樹脂を用いることができる。基体の外面(シリコーンゴム含有弾性層側の面)には、弾性層との接着性を向上させる機能を付与するための層を設けることができる。即ち、シリコーンゴム含有弾性層は、基体の外周面上に設けられればよく、シリコーンゴム含有弾性層と基体との間に他の層を設けることができる。また、基体の内面(上記外面とは反対側の面)には、耐摩耗性や潤滑性などの機能を付与するための層をさらに設けることができる。
定着用部材が図3(b)に示すようなローラ形状である場合、基体には、アルミニウム、鉄などの金属や合金からなる芯金を用いることができ、定着装置での加熱・加圧に耐える強度を有していればよい。図3(b)では、基体として中実の芯金を用いているが、基体には中空の芯金を用いてもよく、内部にハロゲンランプなどの熱源を有していてもよい。
(3)定着用部材のシリコーンゴム含有弾性層
本発明の定着用部材(定着ローラ、定着フィルム、定着ベルト、加圧ローラ、加圧フィルム、加圧ベルト)は、定着部材および加圧部材のいずれか一方または両方として用いることができる。定着用部材を定着部材として用いる場合には、シリコーンゴム含有弾性層は、定着時に紙の凹凸に追従するための優れた柔軟性を付与する層として機能する。また、定着用部材を加圧部材として用いる場合には、シリコーンゴム含有弾性層は、定着ニップを確保するための柔軟性を付与する層として機能する。これらの機能を、非通紙部領域で240℃程度の高温になる環境において発現させる上で、弾性層にはシリコーンゴムを用いることが好ましい。また、本発明のシリコーンゴム含有弾性層は、前述したように、0.10MPa以上、0.40MPa以下の弾性率を有する。
シリコーンゴム含有弾性層は、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を硬化せしめて形成することができる。前記液状付加硬化型シリコーンゴム組成物は、少なくとも、形状係数SF1が100以上、120以下である酸化マグネシウム粉体と、例えば液状付加硬化型シリコーンゴム成分とを含む。即ち、上記シリコーンゴム含有弾性層は、少なくとも、液状付加硬化型シリコーンゴムの硬化物と、形状係数SF1が100以上、120以下である酸化マグネシウム粉体とを含むことができる。
なお、液状付加硬化型シリコーンゴムは、(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン、(b)架橋剤としてのケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン(c)触媒(例えば白金化合物)、および(d)硬化遅延剤を含むことができる。
(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンは、ビニル基等の不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン(以降、a成分と称することがある)であればいずれのものも用いることができる。例えば、以下構造式1と構造式2に示すものをa成分として用いることができる。
・RSiOで表わされる中間単位およびRSiOで表わされる中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記構造式1参照)
Figure 0006906996
・RSiOで表わされる中間単位およびRSiOで表わされる中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記構造式2参照)
Figure 0006906996
(構造式1と構造式2において、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を表し、mおよびnは各々独立して0以上の整数を表す。)
なお、構造式1と構造式2においてRで表される、ケイ素原子に結合した、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基としては、例えば以下のものがあげられる。メチル基、エチル基、プロピル基、アリール基(例えば、フェニル基等)等。中でもメチル基であることが好ましい。
また、構造式1と構造式2において、Rで表される、ケイ素原子に結合した不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基等を例示することができるが、ビニル基であることが好ましい。
構造式1においてn=0の直鎖状オルガノシロキサンは、両末端にのみ不飽和脂肪族基を有するものであり、n=1以上の直鎖状オルガノシロキサンは、両末端と側鎖に不飽和脂肪族基を有するものである。また、構造式2の直鎖状オルガノシロキサンは、側鎖にのみ不飽和脂肪族基を有するものである。a成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、a成分を定着用部材の弾性層に用いる場合、成形性の観点から、粘度は100mm/s以上、5万mm/s以下であることが好ましい。
(b)ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン(架橋剤)
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン(以降、b成分と称することがある)は、白金化合物の触媒作用により、a成分中の不飽和脂肪族基との反応によって架橋構造を形成させる架橋剤である。
b成分は、Si−H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができるが、例えば、以下の条件を満たすものを好適に用いることができる。なお、b成分は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
・不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとの反応による架橋構造形成の観点から、ケイ素原子に結合した水素原子の数が1分子中に平均3個以上のもの。
・ケイ素原子に結合した有機基が、例えば上記のような不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基であるものを例示することができるが、メチル基であることが好ましい。
・シロキサン骨格(−Si−O−Si−)は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。
・Si−H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよい。
たとえば、下記構造式3と構造式4に示す直鎖状のオルガノポリシロキサンをb成分として用いることができる。
Figure 0006906996
Figure 0006906996
(構造式3と構造式4において、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表す。)
なお、Rは構造式1と構造式2で説明したとおり、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基であるが、メチル基であることが好ましい。
(c)触媒
ヒドロシリル化(付加硬化)触媒としては、例えば、白金化合物を用いることができる。具体的には、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体等を挙げることができる。
(d)硬化遅延剤
ヒドロシリル化(付加硬化)の硬化反応速度を調製するために、硬化遅延剤と呼ばれるものを配合することができる。具体的には、2−メチル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等を挙げることができる。
シリコーンゴム含有弾性層の弾性率は、前記(a)から(d)の4成分の種類および配合量によって、ある程度調製することができる。
酸化マグネシウム粉体は、例えば以下に示す方法で製造することができる。海水と石灰との反応によって生成した水酸化マグネシウムを精製・濃縮し、脱水、焼成、粉砕等することで酸化マグネシウム粉体を得ることができる。酸化マグネシウム粉体は、単位体積あたりの熱容量が3.2〜3.4MJ/m3・K程度で、シリコーンゴム含有弾性層の熱物性向上のために多用されているアルミナの単位体積あたりの熱容量約3.0MJ/m3・Kよりも大きい。また、酸化マグネシウムの熱伝導率は45〜60W/m・K程度である。
本発明で用いる形状係数SF1が100以上、120以下である酸化マグネシウム粉体は市販されており、例えば神島化学工業株式会社製のSL−WR、協和化学工業株式会社製のパイロキスマ5301Kを挙げることができる。
本発明に用いる他のフィラーとしては、まずグラファイトを挙げることができる。グラファイトは黒鉛粒子とも呼ばれ、人造黒鉛と天然黒鉛とに分類される。天然黒鉛は、自然から産出される黒鉛を粉砕して微粒子化したものをグラファイトとして用いることができる。また、人造黒鉛は、原料となるコークスを粉砕した後、ロッド状などに成形し、高温により黒鉛化処理したものである。このように黒鉛化処理した人造黒鉛をその後粉砕し、分級したものをグラファイトとして用いることができる。なお、グラファイトにおける炭素原子の結晶構造は、六角形の板状結晶であり、層状構造となっている。グラファイトは1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。グラファイトの単位体積あたりの熱容量は約1.6MJ/m3・Kと小さいが、熱伝導率は100〜250W/m・Kと大きく、酸化マグネシウム粉体とグラファイトを併用することで、シリコーンゴム含有弾性層の単位体積あたりの熱容量を大きくしつつ、かつ熱伝導率を高くすることができる。
その他フィラーとしては、金属ケイ素、炭化ケイ素、アルミナを挙げることができる。金属ケイ素の熱伝導率は150W/m・K程度で、単位体積あたりの熱容量は約1.7MJ/m3・Kである。炭化ケイ素の熱伝導率は270W/m・K程度で、単位体積あたりの熱容量は約2.3MJ/m3・Kである。アルミナの熱伝導率は40W/m・K程度で、単位体積あたりの熱容量は前述したとおり約3.0MJ/m3・Kである。これらのフィラーは単位体積あたりの熱容量は酸化マグネシウムに及ばないが、酸化マグネシウム粉体と併用することで、熱伝導率を高める効果が期待できる。
(4)定着用部材の表層
表層としては、例えば、フッ素樹脂層、より具体的には、以下に例示列挙する樹脂による層を用いることができる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等を挙げることができる。
また、表層中には成形性やトナー剥離性を損なわない範囲において、熱物性や耐摩耗性を向上する目的でフィラーを含有してもよい。
表層(例えばフッ素樹脂層)の厚みは、10μm以上100μm以下とすることが好ましい。耐久性を維持する観点から、表層の厚みは10μm以上であることが好ましい。また、シリコーンゴム含有弾性層の柔軟性を機能させる観点から、表層の厚みは100μm以下であることが好ましい。
表層の形成方法は特に限定されず、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、フッ素樹脂をチューブ状に成形したものを、接着剤層を介してシリコーンゴム含有弾性層上に被覆する方法、フッ素樹脂の微粒子を直接、または溶媒中に分散し塗料化されたものをシリコーンゴム含有弾性層上にコーティング後、乾燥および加熱溶融する方法。以下、これらの方法をより詳しく説明する。
フッ素樹脂チューブ被覆による表層の形成について説明する。フッ素樹脂チューブの内面は、あらかじめナトリウム処理やエキシマレーザー処理、アンモニア処理等を施すことで、表面を活性化し、接着性を向上させることができる。図4は、シリコーンゴム含有弾性層2上に、接着剤層5を介してフッ素樹脂チューブ6を表層として被覆する工程の一例を説明するための模式図である。具体的には、シリコーンゴム含有弾性層2の表面に、接着剤を塗布して接着剤層5を形成する。接着剤については後述する。この接着剤層5の外面に、表層としてのフッ素樹脂チューブを被覆し、積層させる。
上記接着剤としては、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを用いることが好ましい。このシリコーンゴムとしては、具体的にはビニル基に代表される不飽和脂肪族基を分子鎖中に複数有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと、架橋反応触媒としての白金化合物とを含有するものを用いることができる。このシリコーンゴムは、付加反応により硬化する。このような付加硬化型シリコーンゴムからなる接着剤としては、既知のものを使用することができる。
なお、基体1が形状保持可能な芯金の場合には必要ないが、ベルト形状の定着用部材に用いられる樹脂ベルトや金属スリーブのような薄肉の基体を用いる際には、加工時の変形を防ぐために、基体1を中子に外嵌させて保持することが好ましい。フッ素樹脂チューブの被覆方法は特に限定されないが、接着剤を潤滑剤として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法等を用いることができる。被覆後、不図示の手段を用いて、シリコーンゴム含有弾性層2とフッ素樹脂チューブ6との間に残った、余剰の接着剤を、扱き出すことで除去することができる。扱き出した後の接着剤層5の厚みは、20μm以下であることが好ましい。接着剤層の厚みが20μm以下であれば、定着用部材の硬度上昇を抑制しやすく、定着部材として用いた場合は、紙の凹凸に対する追従性に優れ、加圧部材として用いた場合は、定着ニップ幅が狭くならずに、良好な定着画像を得やすい。次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、接着剤層を硬化させ、必要に応じて両端部を所望の長さに加工することで、本発明の定着用部材を得ることができる。
フッ素樹脂コーティングによる表層の形成について説明する。表層形成のためのフッ素樹脂コーティング加工には、フッ素樹脂微粒子の静電塗工方法や、フッ素樹脂塗料のスプレーコーティングなどの方法を用いることができる。静電塗工方法を用いる場合には、まず、金型内面にフッ素樹脂微粒子の静電塗工を施し、金型をフッ素樹脂の融点以上まで加熱することで、金型内面にフッ素樹脂の薄膜を形成する。この後、内面を接着処理したうえで、基体を挿入する。続いて、基体とフッ素樹脂との間に、少なくとも形状係数SF1が100以上、120以下である酸化マグネシウム粉体と、例えば液状付加硬化型シリコーンゴム成分とを含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を注入する。注入した液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を硬化させた後、脱型することで、本発明の定着用部材を得ることができる。
(5)定着用部材の製造方法
本発明の定着用部材の製造方法は、例えば以下のシリコーンゴム含有弾性層形成工程を含む。基体の外周面上に、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を塗布、加熱硬化させることによりシリコーンゴム含有弾性層を形成する工程。
また、本発明の製造方法は、以下の(a)から(d)の4成分を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製する工程を含むこともできる。(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン。(b)架橋剤としてのケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン。(c)触媒(例えば白金化合物)。(d)硬化遅延剤および形状係数SF1が100以上、120以下である酸化マグネシウム粉体。シリコーンゴム含有弾性層上に、表層(例えばフッ素樹脂表層)を積層する工程。
なお、本発明の製造方法において、各工程の順序は適宜設定することができ、これらの工程を同時に(並行して)行うこともできる。シリコーンゴム含有弾性層および表層を形成する際には、上記のシリコーンゴム含有弾性層および表層の形成方法を用いることができる。
(6)本発明の定着用部材を備えた定着装置
本発明の定着装置について説明する。本発明の定着装置は、電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、本発明の定着用部材を定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして備えているものである。電子写真画像形成装置としては、感光体、潜像形成手段、形成した潜像をトナーで現像する手段、現像したトナー像を記録材に転写する手段、および、記録材上のトナー像を定着する手段等を有する電子写真画像形成装置が挙げられる。
本発明の定着装置における一例について図5に概略構成図を示す。図5において、7はエンドレスベルト状の定着ベルトであり、ベルトガイド部材8とステー9に対して周長に余裕を持たせて内接している。10は加熱体であり、アルミナ、セラミックなどからなる加熱体基板上に電流が流れることにより発熱する銀パラジウム(Ag/Pd)などの電気抵抗材料をスクリーン印刷等により線状あるいは帯状に塗工した層がある。さらにこの上に電気抵抗材料の保護と絶縁性を確保するために、厚み10μm程度のガラスコーティング層を順次形成している。また、加熱体基板の裏面にはサーミスタが当接されており、このサーミスタの検知温度に従って、電気抵抗材料への電力制御を行うことで、定着ベルト7の表面温度を定着可能な温度に保つことができる。
加圧ローラ11は定着ベルト7を介して加熱体に圧接されており、加圧ローラ駆動手段により回転駆動される。加圧ローラ11が回転駆動され、これに従動して定着ベルト7が回転する。定着ベルト7と加圧ローラ11の間に、未定着画像の形成された紙などの記録材が狭持搬送されることで、未定着画像は記録材に加熱定着される。この定着器は、比較的低加圧力タイプの定着器である。
なお、ここでは、定着ベルトと加圧ローラの定着装置を例としてあげたが、本発明の定着装置は本発明の定着用部材を定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして有していればよく、図5に示したものに限られない。
以下に、本発明について実施例を用いてより詳細に説明する。
まず、酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1の算出方法について説明する。まず酸化マグネシウム粉体の水分散溶液を調製する。具体的には、50ccのガラス瓶に容積で1/4〜1/3程度の酸化マグネシウムを入れ、酸化マグネシウムとあわせた容積で8割程度になるように純水を加え、さらに界面活性剤を少量添加し、よく撹拌して酸化マグネシウムの水分散溶液を調製した。この溶液について、フロー式粒子形状分析装置(FPIA−3000、シスメックス株式会社製)にて粒子の画像撮像を以下の条件で5回行った。測定モード:HPF、カウント方式:定量カウント、シース液:パーティクルシース、撹拌モード:する、対物レンズ:10倍、光学システム:明視野、トータルカウント数:36000、繰り返し測定回数:1回。この装置は、粒子懸濁液を透明なフローセルに導いて偏平な試料流を形成し、偏平流にパルス光を照射して、粒子像を撮像するもので、撮像した各粒子像を画像解析することで、粒子の大きさや形状に関する情報が得られる。5回測定した各回について粒子の画像解析を行った(HPF画素寸法:0.37μm、BG補償:する、平滑化フィルタ:メディアン、エッジ強調レベル:2Dフィルタ)。その結果得られる二次元画像の輪郭上の2点における最大長さDmax、粒子の二次元画像の粒子面積Sのそれぞれについて累積頻度が50%となる値を代表値として用いて次式からSF1を算出し、その平均値を採用した。
SF1=Dmax2/S×π/4×100
なお、定着用部材のシリコーンゴム含有弾性層を高温に熱し、シリコーン成分を分解・除去、酸化マグネシウムを分離し、分離した酸化マグネシウムを同様に分析することで、同じSF1の値が得られると考えられる。
なお、以下に記載する実施例4〜8は、補正後の請求項1で規定される発明の範囲に含まれないこととなり、参考例である。
〔実施例1〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、a成分として分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(粘度1万mm/s、以降「Vi」と称する)を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を240.5質量部計量し、Viに添加した。
次いで、d成分として硬化遅延剤である1−エチニル−1−シクロヘキサノール(東京化成工業株式会社製)0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体の混合物中に添加した。
次いで、c成分としてヒドロシリル化触媒0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体と硬化遅延剤の混合物中に添加した。用いたヒドロシリル化触媒は白金触媒:1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、および2−プロパノールの混合物である。
さらに、b成分としてシロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンポリマー(粘度30mm/s、以降「SiH」と称する)を、2.0質量部計量した。その後、軽量したシリコーンポリマーを、Vi、酸化マグネシウム粉体、硬化遅延剤および白金触媒の混合物に添加し、十分に混合することで、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
次に、得られた酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いて、以下のように定着ベルトを作製した。
基体として、内径30mm、幅400mm、厚さ40μmのニッケル電鋳製エンドレススリーブを用意した。なお、一連の製造工程中、エンドレススリーブ(無端状スリーブ)は、その内部に中子を挿入して取り扱った。
まず、基体の外周面に、プライマー(商品名:DY39−051 A/B,東レ・ダウコーニング株式会社製)を略均一に塗布し、溶媒を乾燥させた後、160℃の電気炉で30分間焼付け処理を行った。
プライマー処理された基体上に、リングコート法で、上記酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を厚さ300μm狙いで塗布した。このシリコーンゴム組成物が付与されたエンドレスベルトを160℃の電気炉で1分間加熱した(一次硬化)。その後、200℃の電気炉で4時間加熱して(二次硬化)、シリコーンゴム組成物を硬化させ、酸化マグネシウム粉体を含むシリコーンゴム含有弾性層を形成した。
次に、得られたエンドレスベルトの表面を周方向に20mm/secの移動速度で回転させながら、表面から10mmの距離に設置した紫外線ランプを用いて、酸化マグネシウム粉体を含むシリコーンゴム表面に対し紫外線照射を行った。紫外線ランプには、低圧水銀紫外線ランプ(商品名:GLQ500US/11、東芝ライテック株式会社(旧:ハリソン東芝ライティング株式会社)製)を用い、大気雰囲気中、室温で6分間の照射を行った。
次に、このエンドレスベルトの弾性層の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV A/B、東レ・ダウコーニング株式会社製)を厚さが20μmになるように略均一塗布した。
次いで、内径29mm、厚み30μmのフッ素樹脂チューブ(商品名:KURANFLON−LT、倉敷紡績株式会社製)をこの接着剤上に積層した。その後、フッ素樹脂チューブの上からベルトを均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層とフッ素樹脂チューブの間から、十分に薄くなるように扱き出した。
得られたエンドレスベルトを200℃電気炉にて1時間加熱することで接着剤を硬化させてフッ素樹脂チューブからなる表層を弾性層上に固定した。得られたエンドレスベルトの両端部を切断し、幅が341mmの定着ベルトを得た。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
はじめに、上記定着ベルトの作製方法と同じ方法により、基体上にプライマー処理を行った後、リングコート法で厚さ300μmの弾性層(二次硬化後の弾性層)を形成した。
(3−1)弾性層の引張り弾性率
弾性層が低硬度であることを確認するために、弾性層の引張り弾性率を測定した。
具体的には、弾性層を打ち抜き型(JIS3号ダンベル型)により切り出し、測定箇所である中央付近のゴム厚みを測定した。次に、切り出した弾性層を、引張試験機(装置名:ストログラフEII−L1、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度500mm/min、室温にて試験した。なお、引張り弾性率は、測定結果から横軸にサンプルの歪み、縦軸に引張り応力をとったグラフを作成し、歪みが0〜100%の範囲において測定データを線形近似したときの傾きとした。
その結果、弾性層の引張り弾性率は0.25MPaであった。
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量
単位体積あたりの熱容量Cは、以下の式から算出した。
=C×ρ
式中、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)をあらわす。
ここで、定圧比熱と密度の値は以下の方法により求めた。
・定圧比熱C
弾性層の定圧比熱は、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC823e、メトラー・トレド株式会社製)を用いて測定した。
具体的には、サンプル用のパンおよびリファレンス用のパンとして、アルミニウム製のパンを用いた。まず、ブランク測定として、両方のパンが空の状態で、10分間、15℃の定温に保った後、215℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、さらに10分間、215℃の定温で保つプログラムで測定を実施した。次に、定圧比熱が既知である10mgの合成サファイアを基準物質に用い、同じプログラムで測定を行った。次いで、リファレンスのサファイアと同量の10mgの測定サンプルを弾性層部分から切り出した後、サンプルパンにセットし、同じプログラムで測定を実施した。これらの測定結果を上記示差走査熱量測定装置に付属の比熱解析ソフトウェアを用いて解析し、5回の測定結果の平均値から、25℃における定圧比熱Cを算出した。
その結果、シリコーンゴム含有弾性層の定圧比熱は、1.16J/(g・K)であった。
・密度ρ
弾性層の密度は、乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330−01、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、10cmの試料セルを用い、セル容積のおおよそ8割程度を満たすようにサンプルを弾性層から切り出し、このサンプルの質量を測定した後、試料セルに入れた。
この試料セルを装置内の測定部にセットし、測定用のガスとしてヘリウムを用い、ガス置換の後、容積測定を10回実施した。各回についてサンプルの質量と測定された容積から、サンプルの密度を算出し、その平均値を求めた。
その結果、シリコーンゴム含有弾性層の密度は1.98g/cmであった。
このようにして求めたシリコーンゴム含有弾性層の定圧比熱Cと密度ρから単位体積あたりの熱容量Cを算出した結果、2.3MJ/m3・Kであった。
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率
弾性層の厚み方向の熱伝導率λは、以下の式から算出した。
λ=α×C×ρ
式中、λは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m
ここで、弾性層の定圧比熱Cと密度ρに関しては前述の方法で求めた値を単位換算した。厚み方向の熱拡散率の値は、以下の方法により求めた。
・熱拡散率α
弾性層の厚み方向の熱拡散率は、周期加熱法熱物性測定装置(商品名:FTC−1、アルバック理工株式会社製)を用いて、室温(25℃)で測定した。サンプルは、弾性層を面積が8mm×12mmのサンプル片にカッターで切り取り、計5個サンプルを作製し、それぞれのサンプルの厚みを測定した。次に、それぞれのサンプルに対し、計5回測定し、その平均値(m/s)を求めた。
単位換算した弾性層の定圧比熱C(J/(kg・K))と密度ρ(kg/m)、および測定した熱拡散率α(m/s)から、シリコーンゴム含有弾性層の熱伝導率λを算出した結果、0.8W/(m・K)であった。
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
はじめに、50mm×50mmのステンレス板(図6の符号12)上にプライマー処理を行った後、金型を用いてプレス成型により厚さ1mmの弾性層(二次硬化後の弾性層)を形成した。
このサンプル4個の弾性層について図6に示す治具を用いて耐圧耐久性を評価した。評価条件はサンプル表面温度240℃、荷重15Nで、符号13の押し付けコロ(幅10mm、直径15mm)を相対的に左右に往復させ、ゴムが破壊、または塑性変形する時間の平均値で評価した。
その結果、600分間経過後もゴムの破壊や塑性変形は認められず、耐圧耐久性の非常に優秀であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
上記(2)で記載した方法によって得られた定着ベルトをオフィス向け複合機(商品名:imageRUNNER ADVANCE C5051、キヤノン株式会社製)の定着装置に組み込んだ。
この定着装置を、上記複合機に装着した。この複合機を用いて、普通紙にて通紙耐久評価を行った。通紙耐久性は、定着ベルトの非通紙部におけるシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められることなく、30万枚通紙できたときに良好であるとした。また、画質は、定着後の画像を光沢ムラの観点で目視により評価した。その結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例2〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:SL−WR、形状係数SF1:107、神島化学工業株式会社製)および、実施例1と同じb成分を1.44質量部用いた。それ以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体を体積割合で40%含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.18MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.8W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
500分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は優れていた。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例3〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を441質量部計量し、Viに添加し、実施例1と同じb成分を適当量用いた。それ以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体を体積割合で55%含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.12MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.6MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
100分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例4〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を40質量部および、Viに添加することと、実施例1と同じb成分を適当量用いた。それ以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体を体積割合で10%含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.35MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 1.7MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.3W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
600分間経過後もゴムの破壊や塑性変形は認められず、耐圧耐久性に優れていることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例5〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、実施例1と同じa成分を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を201.9質量部計量し、Viに添加した。
次いで、グラファイト(商品名:ニカビーズ P10B−AZ、日本カーボン株式会社製)を31.3質量部計量し、Viと酸化マグネシウム粉体の混合物中に添加した。
次いで、実施例1と同じd成分0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体とグラファイトの混合物中に添加した。
次いで、実施例1と同じc成分0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体とグラファイトと硬化遅延剤の混合物中に添加した。
さらに、実施例1と同じb成分を、適当量用い、Viと酸化マグネシウム粉体とグラファイトと硬化遅延剤と白金触媒の混合物に添加した。その後十分に混合することで、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.21MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
200分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例6〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:SL−WR、形状係数SF1:107、神島化学工業株式会社製)および、実施例1と同じb成分を、1.37質量部用いた。それ以外は実施例5と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.22MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
140分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性の良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例7〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、a成分として分子鎖両末端および側鎖に不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(粘度2万mm/s、以降「Vi−2」と称する)を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:SL−WR、形状係数SF1:107、神島化学工業株式会社製)および、実施例1と同じb成分を、1.21質量部用いた。それ以外は実施例5と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.13MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
150分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例8〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
実施例1と同じb成分を適当量用いること以外は、実施例6と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.38MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
400分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性に優れていることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔実施例9〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、実施例1と同じa成分を100質量部準備した。次いで、2種類の酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製、および商品名:RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)を用いた。2種類の酸化マグネシウム粉体は合計で240.5質量部、形状係数SF1が118になるような配合比で用いた。また、実施例1と同じb成分を適当量用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.19MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.9W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
100分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
〔比較例1〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、実施例1と同じa成分を100質量部準備した。次いで、2種類の酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製、および商品名:RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)を用いた。2種類の酸化マグネシウム粉体は合計で240.5質量部、形状係数SF1が123になるような配合比で用いた。それ以外は、実施例9と同様にして、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.20MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.9W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
90分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性がやや劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、25万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、通紙耐久性が不十分であることがわかった。
〔比較例2〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)および、実施例1と同じb成分を1.28質量部用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.20MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
30分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性が劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、7万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、通紙耐久性が不十分であることがわかった。
〔比較例3〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名::RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)および、実施例1と同じb成分を1.37質量部用いた。それ以外は、実施例5と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.23MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.2W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
70分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性がやや劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、15万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、耐久性がやや不十分であることがわかった。
〔比較例4〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
実施例1と同じb成分を1.22質量部用いること以外は、実施例6と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.08MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
40分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性が劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、9万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、耐久性が不十分であることがわかった。
〔比較例5〕
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
実施例1と同じb成分を適当量用いること以外は、実施例6と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.43MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
500分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性に優れていることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められず、耐久性は良好であった。しかしながら、耐久初期においても、シリコーンゴム含有弾性層の弾性率が高い、すなわち硬度が高いために、トナーの軟化・溶融ムラに起因すると考えられる画像光沢ムラが認められ、画質は劣っていた。
Figure 0006906996
〔評価結果〕
以下、表1に示す実施例と比較例の評価結果について説明する。実施例1〜9は、シリコーンゴム含有弾性層の弾性率が0.10MPa以上、0.40MPa以下(JIS A硬度(JIS K6253)では15°程度以下)であり、柔軟性に優れている。さらに、定着ベルトの画質評価結果から、定着ニップにおいて被記録材である紙繊維の凹凸に追従し、トナーの軟化・溶融ムラが発生しにくく、高画質な画像が得られることがわかる。また、シリコーンゴム含有弾性層は形状係数SF1が100以上、120以下の酸化マグネシウム粉体を含み、弾性層の耐圧耐久性が100分間以上と良好であった。また、定着ベルトの通紙耐久評価の結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性が良好であることがわかった。
これらに対して比較例1〜3は、シリコーンゴム含有弾性層に含まれる酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1が120を超えている。そのため、弾性層の耐圧耐久性が100分間未満であった。また、定着ベルトの通紙耐久評価の結果、30万枚未満で定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、耐久性が不十分であることがわかった。比較例4は、シリコーンゴム含有弾性層の弾性率が0.10MPa未満であり、形状係数SF1が100以上、120以下の酸化マグネシウム粉体を含むシリコーンゴム含有弾性層である。しかし、弾性層の耐圧耐久性が40分間と100分間未満であった。また、定着ベルトの通紙耐久評価の結果、9万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、通紙耐久性が劣ることがわかった。比較例5は、耐圧耐久性は優れているが、シリコーンゴム含有弾性層の弾性率が0.40MPaを超えており、柔軟性に劣っている。そのため、被記録材である紙の繊維による凹凸に定着ベルトが追従できず、トナーの軟化・溶融ムラに起因すると考えられる画像光沢ムラが認められ、画質は他よりも劣ることがわかった。
1基体
2シリコーンゴム含有弾性層
3接着層
4表層
5接着剤層
6フッ素樹脂チューブ
7定着ベルト
8ベルトガイド部材
9ステー
10加熱体
11加圧ローラ
12ステンレス板
13押し付けコロ

Claims (4)

  1. 基体と、該基体上のシリコーンゴム含有弾性層とを有する定着用部材であって、
    該弾性層は、
    シリコーンゴム、および、
    該シリコーンゴムに分散されたフィラー、を含み、
    該弾性層は、0.12MPa以上、0.25MPa以下の弾性率を有し、かつ、
    該フィラーは、酸化マグネシウム粉体であり
    該弾性層に対する該酸化マグネシウム粉体の含有量が40体積%以上、55体積%以下であり、
    該酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1が100以上、118以下であることを特徴とする定着用部材。
  2. 前記弾性層の単位体積あたりの熱容量が2.3MJ/m3・K以上、2.6MJ/m3・K以下である請求項1に記載の定着用部材。
  3. 前記弾性層上に表面層としてのフッ素樹脂層を更に有する請求項1または2に記載の定着用部材。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の定着用部材を具備していることを特徴とする定着装置。
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