JP6906996B2 - 定着用部材、および定着装置 - Google Patents
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そこで、本発明の一態様は、酸化マグネシウムを含有しつつ、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破壊・塑性変形しにくい低硬度ゴム層を備えた定着用部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成し得る定着装置の提供に向けたものである。
また、さらに本発明の他の態様によれば、上記の定着用部材を具備する定着装置が提供される。
SF1=Dmax2/S×π/4×100
(1)定着用部材の構成概略
本発明の詳細について図面を用いて説明する。
図3(a)および(b)は、本発明に係る定着用部材を示す概略断面模式図である。図3(a)はベルト形態の定着用部材の一例を表し、図3(b)はローラ形態の定着用部材の一例を表す。本発明に係る定着用部材は、基体1および前記基体1上のシリコーンゴム含有弾性層2を有する。なお、これらの図に示すように、定着用部材はシリコーンゴム含有弾性層2上に表層4を有することができる。また、シリコーンゴム含有弾性層2と表層4との間に、接着層3を有することもでき、この場合、表層4は、シリコーンゴム含有弾性層2の外周面に接着層3により固定される。
定着用部材が図3(a)に示すようなベルト形状である場合、基体には、電鋳ニッケルスリーブやステンレススリーブなどの金属、ポリイミドなどの耐熱性樹脂を用いることができる。基体の外面(シリコーンゴム含有弾性層側の面)には、弾性層との接着性を向上させる機能を付与するための層を設けることができる。即ち、シリコーンゴム含有弾性層は、基体の外周面上に設けられればよく、シリコーンゴム含有弾性層と基体との間に他の層を設けることができる。また、基体の内面(上記外面とは反対側の面)には、耐摩耗性や潤滑性などの機能を付与するための層をさらに設けることができる。
本発明の定着用部材(定着ローラ、定着フィルム、定着ベルト、加圧ローラ、加圧フィルム、加圧ベルト)は、定着部材および加圧部材のいずれか一方または両方として用いることができる。定着用部材を定着部材として用いる場合には、シリコーンゴム含有弾性層は、定着時に紙の凹凸に追従するための優れた柔軟性を付与する層として機能する。また、定着用部材を加圧部材として用いる場合には、シリコーンゴム含有弾性層は、定着ニップを確保するための柔軟性を付与する層として機能する。これらの機能を、非通紙部領域で240℃程度の高温になる環境において発現させる上で、弾性層にはシリコーンゴムを用いることが好ましい。また、本発明のシリコーンゴム含有弾性層は、前述したように、0.10MPa以上、0.40MPa以下の弾性率を有する。
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンは、ビニル基等の不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン(以降、a成分と称することがある)であればいずれのものも用いることができる。例えば、以下構造式1と構造式2に示すものをa成分として用いることができる。
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン(以降、b成分と称することがある)は、白金化合物の触媒作用により、a成分中の不飽和脂肪族基との反応によって架橋構造を形成させる架橋剤である。
・不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとの反応による架橋構造形成の観点から、ケイ素原子に結合した水素原子の数が1分子中に平均3個以上のもの。
・ケイ素原子に結合した有機基が、例えば上記のような不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基であるものを例示することができるが、メチル基であることが好ましい。
・シロキサン骨格(−Si−O−Si−)は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。
・Si−H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよい。
なお、R1は構造式1と構造式2で説明したとおり、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基であるが、メチル基であることが好ましい。
ヒドロシリル化(付加硬化)触媒としては、例えば、白金化合物を用いることができる。具体的には、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体等を挙げることができる。
ヒドロシリル化(付加硬化)の硬化反応速度を調製するために、硬化遅延剤と呼ばれるものを配合することができる。具体的には、2−メチル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等を挙げることができる。
表層としては、例えば、フッ素樹脂層、より具体的には、以下に例示列挙する樹脂による層を用いることができる。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等を挙げることができる。
本発明の定着用部材の製造方法は、例えば以下のシリコーンゴム含有弾性層形成工程を含む。基体の外周面上に、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を塗布、加熱硬化させることによりシリコーンゴム含有弾性層を形成する工程。
本発明の定着装置について説明する。本発明の定着装置は、電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、本発明の定着用部材を定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして備えているものである。電子写真画像形成装置としては、感光体、潜像形成手段、形成した潜像をトナーで現像する手段、現像したトナー像を記録材に転写する手段、および、記録材上のトナー像を定着する手段等を有する電子写真画像形成装置が挙げられる。
まず、酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1の算出方法について説明する。まず酸化マグネシウム粉体の水分散溶液を調製する。具体的には、50ccのガラス瓶に容積で1/4〜1/3程度の酸化マグネシウムを入れ、酸化マグネシウムとあわせた容積で8割程度になるように純水を加え、さらに界面活性剤を少量添加し、よく撹拌して酸化マグネシウムの水分散溶液を調製した。この溶液について、フロー式粒子形状分析装置(FPIA−3000、シスメックス株式会社製)にて粒子の画像撮像を以下の条件で5回行った。測定モード:HPF、カウント方式:定量カウント、シース液:パーティクルシース、撹拌モード:する、対物レンズ:10倍、光学システム:明視野、トータルカウント数:36000、繰り返し測定回数:1回。この装置は、粒子懸濁液を透明なフローセルに導いて偏平な試料流を形成し、偏平流にパルス光を照射して、粒子像を撮像するもので、撮像した各粒子像を画像解析することで、粒子の大きさや形状に関する情報が得られる。5回測定した各回について粒子の画像解析を行った(HPF画素寸法:0.37μm、BG補償:する、平滑化フィルタ:メディアン、エッジ強調レベル:2Dフィルタ)。その結果得られる二次元画像の輪郭上の2点における最大長さDmax、粒子の二次元画像の粒子面積Sのそれぞれについて累積頻度が50%となる値を代表値として用いて次式からSF1を算出し、その平均値を採用した。
SF1=Dmax2/S×π/4×100
なお、定着用部材のシリコーンゴム含有弾性層を高温に熱し、シリコーン成分を分解・除去、酸化マグネシウムを分離し、分離した酸化マグネシウムを同様に分析することで、同じSF1の値が得られると考えられる。
なお、以下に記載する実施例4〜8は、補正後の請求項1で規定される発明の範囲に含まれないこととなり、参考例である。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、a成分として分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(粘度1万mm2/s、以降「Vi」と称する)を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を240.5質量部計量し、Viに添加した。
次いで、d成分として硬化遅延剤である1−エチニル−1−シクロヘキサノール(東京化成工業株式会社製)0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体の混合物中に添加した。
次いで、c成分としてヒドロシリル化触媒0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体と硬化遅延剤の混合物中に添加した。用いたヒドロシリル化触媒は白金触媒:1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、および2−プロパノールの混合物である。
さらに、b成分としてシロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンポリマー(粘度30mm2/s、以降「SiH」と称する)を、2.0質量部計量した。その後、軽量したシリコーンポリマーを、Vi、酸化マグネシウム粉体、硬化遅延剤および白金触媒の混合物に添加し、十分に混合することで、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
次に、得られた酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いて、以下のように定着ベルトを作製した。
基体として、内径30mm、幅400mm、厚さ40μmのニッケル電鋳製エンドレススリーブを用意した。なお、一連の製造工程中、エンドレススリーブ(無端状スリーブ)は、その内部に中子を挿入して取り扱った。
まず、基体の外周面に、プライマー(商品名:DY39−051 A/B,東レ・ダウコーニング株式会社製)を略均一に塗布し、溶媒を乾燥させた後、160℃の電気炉で30分間焼付け処理を行った。
プライマー処理された基体上に、リングコート法で、上記酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を厚さ300μm狙いで塗布した。このシリコーンゴム組成物が付与されたエンドレスベルトを160℃の電気炉で1分間加熱した(一次硬化)。その後、200℃の電気炉で4時間加熱して(二次硬化)、シリコーンゴム組成物を硬化させ、酸化マグネシウム粉体を含むシリコーンゴム含有弾性層を形成した。
次いで、内径29mm、厚み30μmのフッ素樹脂チューブ(商品名:KURANFLON−LT、倉敷紡績株式会社製)をこの接着剤上に積層した。その後、フッ素樹脂チューブの上からベルトを均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層とフッ素樹脂チューブの間から、十分に薄くなるように扱き出した。
得られたエンドレスベルトを200℃電気炉にて1時間加熱することで接着剤を硬化させてフッ素樹脂チューブからなる表層を弾性層上に固定した。得られたエンドレスベルトの両端部を切断し、幅が341mmの定着ベルトを得た。
はじめに、上記定着ベルトの作製方法と同じ方法により、基体上にプライマー処理を行った後、リングコート法で厚さ300μmの弾性層(二次硬化後の弾性層)を形成した。
弾性層が低硬度であることを確認するために、弾性層の引張り弾性率を測定した。
具体的には、弾性層を打ち抜き型(JIS3号ダンベル型)により切り出し、測定箇所である中央付近のゴム厚みを測定した。次に、切り出した弾性層を、引張試験機(装置名:ストログラフEII−L1、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度500mm/min、室温にて試験した。なお、引張り弾性率は、測定結果から横軸にサンプルの歪み、縦軸に引張り応力をとったグラフを作成し、歪みが0〜100%の範囲において測定データを線形近似したときの傾きとした。
その結果、弾性層の引張り弾性率は0.25MPaであった。
単位体積あたりの熱容量CVは、以下の式から算出した。
CV=CP×ρ
式中、Cpは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m3)をあらわす。
ここで、定圧比熱と密度の値は以下の方法により求めた。
弾性層の定圧比熱は、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC823e、メトラー・トレド株式会社製)を用いて測定した。
その結果、シリコーンゴム含有弾性層の定圧比熱は、1.16J/(g・K)であった。
弾性層の密度は、乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330−01、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、10cm3の試料セルを用い、セル容積のおおよそ8割程度を満たすようにサンプルを弾性層から切り出し、このサンプルの質量を測定した後、試料セルに入れた。
この試料セルを装置内の測定部にセットし、測定用のガスとしてヘリウムを用い、ガス置換の後、容積測定を10回実施した。各回についてサンプルの質量と測定された容積から、サンプルの密度を算出し、その平均値を求めた。
その結果、シリコーンゴム含有弾性層の密度は1.98g/cm3であった。
このようにして求めたシリコーンゴム含有弾性層の定圧比熱CPと密度ρから単位体積あたりの熱容量CVを算出した結果、2.3MJ/m3・Kであった。
弾性層の厚み方向の熱伝導率λは、以下の式から算出した。
λ=α×Cp×ρ
式中、λは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m2/s)、Cpは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m3)
ここで、弾性層の定圧比熱Cpと密度ρに関しては前述の方法で求めた値を単位換算した。厚み方向の熱拡散率の値は、以下の方法により求めた。
弾性層の厚み方向の熱拡散率は、周期加熱法熱物性測定装置(商品名:FTC−1、アルバック理工株式会社製)を用いて、室温(25℃)で測定した。サンプルは、弾性層を面積が8mm×12mmのサンプル片にカッターで切り取り、計5個サンプルを作製し、それぞれのサンプルの厚みを測定した。次に、それぞれのサンプルに対し、計5回測定し、その平均値(m2/s)を求めた。
はじめに、50mm×50mmのステンレス板(図6の符号12)上にプライマー処理を行った後、金型を用いてプレス成型により厚さ1mmの弾性層(二次硬化後の弾性層)を形成した。
このサンプル4個の弾性層について図6に示す治具を用いて耐圧耐久性を評価した。評価条件はサンプル表面温度240℃、荷重15Nで、符号13の押し付けコロ(幅10mm、直径15mm)を相対的に左右に往復させ、ゴムが破壊、または塑性変形する時間の平均値で評価した。
その結果、600分間経過後もゴムの破壊や塑性変形は認められず、耐圧耐久性の非常に優秀であることがわかった。
上記(2)で記載した方法によって得られた定着ベルトをオフィス向け複合機(商品名:imageRUNNER ADVANCE C5051、キヤノン株式会社製)の定着装置に組み込んだ。
この定着装置を、上記複合機に装着した。この複合機を用いて、普通紙にて通紙耐久評価を行った。通紙耐久性は、定着ベルトの非通紙部におけるシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められることなく、30万枚通紙できたときに良好であるとした。また、画質は、定着後の画像を光沢ムラの観点で目視により評価した。その結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:SL−WR、形状係数SF1:107、神島化学工業株式会社製)および、実施例1と同じb成分を1.44質量部用いた。それ以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体を体積割合で40%含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.18MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.8W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
500分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は優れていた。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を441質量部計量し、Viに添加し、実施例1と同じb成分を適当量用いた。それ以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体を体積割合で55%含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.12MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.6MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
100分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を40質量部および、Viに添加することと、実施例1と同じb成分を適当量用いた。それ以外は実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体を体積割合で10%含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.35MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 1.7MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.3W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
600分間経過後もゴムの破壊や塑性変形は認められず、耐圧耐久性に優れていることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、実施例1と同じa成分を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製)を201.9質量部計量し、Viに添加した。
次いで、グラファイト(商品名:ニカビーズ P10B−AZ、日本カーボン株式会社製)を31.3質量部計量し、Viと酸化マグネシウム粉体の混合物中に添加した。
次いで、実施例1と同じd成分0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体とグラファイトの混合物中に添加した。
次いで、実施例1と同じc成分0.1質量部を、Viと酸化マグネシウム粉体とグラファイトと硬化遅延剤の混合物中に添加した。
さらに、実施例1と同じb成分を、適当量用い、Viと酸化マグネシウム粉体とグラファイトと硬化遅延剤と白金触媒の混合物に添加した。その後十分に混合することで、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.21MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
200分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:SL−WR、形状係数SF1:107、神島化学工業株式会社製)および、実施例1と同じb成分を、1.37質量部用いた。それ以外は実施例5と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.22MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
140分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性の良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、a成分として分子鎖両末端および側鎖に不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンポリマー(粘度2万mm2/s、以降「Vi−2」と称する)を100質量部準備した。
次いで、酸化マグネシウム粉体(商品名:SL−WR、形状係数SF1:107、神島化学工業株式会社製)および、実施例1と同じb成分を、1.21質量部用いた。それ以外は実施例5と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.13MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
150分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
実施例1と同じb成分を適当量用いること以外は、実施例6と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.38MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
400分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性に優れていることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、実施例1と同じa成分を100質量部準備した。次いで、2種類の酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製、および商品名:RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)を用いた。2種類の酸化マグネシウム粉体は合計で240.5質量部、形状係数SF1が118になるような配合比で用いた。また、実施例1と同じb成分を適当量用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.19MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.9W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
100分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性は良好であることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性は良好であり、画質も優れていた。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、実施例1と同じa成分を100質量部準備した。次いで、2種類の酸化マグネシウム粉体(商品名:パイロキスマ5301K、形状係数SF1:108、協和化学工業株式会社製、および商品名:RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)を用いた。2種類の酸化マグネシウム粉体は合計で240.5質量部、形状係数SF1が123になるような配合比で用いた。それ以外は、実施例9と同様にして、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.20MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 0.9W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
90分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性がやや劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、25万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、通紙耐久性が不十分であることがわかった。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名:RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)および、実施例1と同じb成分を1.28質量部用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、酸化マグネシム粉体40体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.20MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.3MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
30分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性が劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、7万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、通紙耐久性が不十分であることがわかった。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
酸化マグネシウム粉体(商品名::RF−10C−FC、形状係数SF1:150、宇部マテリアルズ株式会社製)および、実施例1と同じb成分を1.37質量部用いた。それ以外は、実施例5と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.23MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.2W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
70分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性がやや劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、15万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、耐久性がやや不十分であることがわかった。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
実施例1と同じb成分を1.22質量部用いること以外は、実施例6と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.08MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
40分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められ、耐圧耐久性が劣ることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、画質は優れているが、9万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められ、耐久性が不十分であることがわかった。
(1)酸化マグネシウム粉体を含む液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
実施例1と同じb成分を適当量用いること以外は、実施例6と同様にして、酸化マグネシム粉体33体積%配合、グラファイト8体積%配合の液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
上記で得た液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を用いること以外は実施例1と同様にして定着ベルトを作製した。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
実施例1と同様にして評価した結果を以下に示す。
(3−1)弾性層の引張り弾性率 0.43MPa
(3−2)弾性層の単位体積あたりの熱容量 2.1MJ/m3・K
(3−3)弾性層の厚み方向の熱伝導率 1.0W/(m・K)
(4)定着ベルト弾性層の耐圧耐久性評価
500分間経過後にゴムの破壊や塑性変形が認められたが、耐圧耐久性に優れていることがわかった。
(5)定着ベルトの評価
実施例1と同様にして評価した結果、30万枚通紙後に定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形が認められず、耐久性は良好であった。しかしながら、耐久初期においても、シリコーンゴム含有弾性層の弾性率が高い、すなわち硬度が高いために、トナーの軟化・溶融ムラに起因すると考えられる画像光沢ムラが認められ、画質は劣っていた。
以下、表1に示す実施例と比較例の評価結果について説明する。実施例1〜9は、シリコーンゴム含有弾性層の弾性率が0.10MPa以上、0.40MPa以下(JIS A硬度(JIS K6253)では15°程度以下)であり、柔軟性に優れている。さらに、定着ベルトの画質評価結果から、定着ニップにおいて被記録材である紙繊維の凹凸に追従し、トナーの軟化・溶融ムラが発生しにくく、高画質な画像が得られることがわかる。また、シリコーンゴム含有弾性層は形状係数SF1が100以上、120以下の酸化マグネシウム粉体を含み、弾性層の耐圧耐久性が100分間以上と良好であった。また、定着ベルトの通紙耐久評価の結果、30万枚通紙しても定着ベルトの非通紙部においてシリコーンゴム含有弾性層の破壊や塑性変形は認められず、通紙耐久性が良好であることがわかった。
2シリコーンゴム含有弾性層
3接着層
4表層
5接着剤層
6フッ素樹脂チューブ
7定着ベルト
8ベルトガイド部材
9ステー
10加熱体
11加圧ローラ
12ステンレス板
13押し付けコロ
Claims (4)
- 基体と、該基体上のシリコーンゴム含有弾性層とを有する定着用部材であって、
該弾性層は、
シリコーンゴム、および、
該シリコーンゴムに分散されたフィラー、を含み、
該弾性層は、0.12MPa以上、0.25MPa以下の弾性率を有し、かつ、
該フィラーは、酸化マグネシウム粉体であり、
該弾性層に対する該酸化マグネシウム粉体の含有量が40体積%以上、55体積%以下であり、
該酸化マグネシウム粉体の形状係数SF1が100以上、118以下であることを特徴とする定着用部材。 - 前記弾性層の単位体積あたりの熱容量が2.3MJ/m3・K以上、2.6MJ/m3・K以下である請求項1に記載の定着用部材。
- 前記弾性層上に表面層としてのフッ素樹脂層を更に有する請求項1または2に記載の定着用部材。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の定着用部材を具備していることを特徴とする定着装置。
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