JP6347727B2 - 定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置において用いられる定着部材及び定着装置と、これらを用いた画像形成装置に関する。
一般に、複写機やレーザープリンタといった電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」とも称す)に用いられる定着装置では、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が圧接されている。そして、この回転体間に形成された圧接部位(以下「定着ニップ部」と称す。)に、未定着トナーによって形成された画像(以下、「未定着トナー画像」ともいう)を保持した紙の如き記録媒体を導入し、該未定着トナーを加熱し、溶融させることにより、記録媒体に当該画像を定着させる。記録媒体上の未定着トナー画像が接する回転体は定着部材と称され、その形態に応じて定着ローラ、定着フィルム、定着ベルトと呼称される。
これら定着部材としては、金属または耐熱性樹脂で形成された基材上に、シリコーンゴムやフッ素ゴムを含む弾性層と、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)の如きフッ素樹脂を含む離型層とをこの順に積層してなるものが知られている(特許文献1)。
このような構成を有する定着部材における弾性層は、定着部材を、紙表面上の凹凸に対して追従させる機能を担っている。
すなわち、比較的大きな凹凸を表面に有する紙(所謂、ラフ紙)に電子写真画像を形成する際に、定着部材の表面が、当該凹凸に対して十分に追従できない場合、当該電子写真画像には光沢ムラが生じることがある。これは、紙の表面の凸部に載せられた未定着トナーは定着部材によってよく押しつぶされるのに対し、紙表面の凹部に載せられた未定着トナーは十分に押圧されないまま、定着される。その結果、紙表面の凹部に形成された画像は、紙表面の凸部に形成された画像と比較して光沢が低くなり、光沢ムラを有する電子写真画像となる。定着部材における弾性層は、当該凹凸に接した定着部材の表面を、その凹凸に追従可能なように変形させるための柔軟性を付与する機能を付与するためのものである。
特開2008−224835号公報
日本画像学会誌 第52巻 第3号 2013年 P.229〜234 「基礎から学ぶ紙の科学(I)」
ここで、本発明者らは、特許文献1に係るPFAの中でも、パーフルオロアルキルビニルエーテルの割合が、3.0モル%以上、5.8モル%以下のものは、結晶性が低く、熱定着の際の温度、例えば、150℃程度の温度においては、柔軟なゴム状態を示すとの知見を得ている。
そこで、本発明者らは、定着部材の表面を、紙の表面の凹凸により良く追従させるべく、フッ素樹脂を含む離型層として、パーフルオロアルキルビニルエーテルの割合が、3.0モル%以上、5.8モル%以下のPFAを用いた定着部材について検討を行った。その過程で、本発明者らは、このような柔軟なPFAを離型層として柔軟な弾性層上に設けてなる定着部材では依然として解決することのできない新たな課題を見出すに至った。
すなわち、近年、省資源化の潮流によりトナー消費量の低減や、高画質化の要請によりトナーの粒径の微小化が進められている。そのため、電子写真画像が形成される紙の表面に載せられるトナーの単位面積当たりの量が減る傾向にある。その結果、ラフ紙よりも平滑な表面を有する普通紙に電子写真画像を形成した場合であっても、当該電子写真画像の品位に低下が認められることがあった。
一般的な紙は、パルプ繊維が折り重なって形成された3次元状の網目構造を有しており、ラフ紙と比較して平滑な表面を有する普通紙であっても、その表面には、微視的には、当該網目構造に起因する凹凸が存在する。具体的には、電子写真用の普通紙において一般的に用いられる広葉樹クラフトパルプ繊維の太さは、約20μm程度であり(非特許文献1)、数十μmスケールの凹凸が紙表面に存在する。
図1は、このような普通紙の表面に載せられたトナー粒子の熱定着前(図1(A))、及び熱定着後(図1(B))におけるトナー粒子の状態を模式的に示した図である。
図1(A)中、繊維1−1及び繊維1−2は、普通紙を構成しているパルプの繊維であり、図1(A)においては、繊維1−1の長手方向断面、及び繊維1−2の長手方向に直交する方向の断面が現われている。そして、このような普通紙の表面には、繊維1−1及び1−2が重なっていることによる凹凸が存在している。また、図1(A)中、トナー粒子2は繊維1−2上に載っており、トナー粒子3−1及び3−2は繊維1−1上に載っている。
このような、トナー粒子2、3−1及び3−2が載った普通紙の表面に定着部材を接触させ加熱・加圧した場合、図1(B)に示したように、繊維1−2上のトナー粒子2は、定着部材と良く接触し、十分に加熱・加圧され、溶融して繊維1−2上に定着する。また、繊維1−1の、繊維1−2との交差部から離れた位置に載せられたトナー粒子3−1も、定着部材と良く接触し、十分に加熱・加圧され、溶融して繊維1−1上に定着する。一方、繊維1−1上の、繊維1−2との交差部の近傍に載っているトナー粒子3−2は、たとえ表面が柔軟な定着部材を用いたとしても、定着部材と接触せず、トナー粒子のまま繊維1−1上に残存する。その結果、繊維1−1の表面には、トナーで被覆されていない部分4が生じることになる。従来、紙の単位面積当たりに載せられるトナー粒子の量が多い場合には、繊維1−1と1−2の交差部近傍に溶融しないトナー粒子があっても、周囲から溶融したトナーが流れてくることにより、トナーで被覆されていない部分4は生じ難かった。しかしながら、上記したように、紙上の単位面積当たりのトナー粒子の量が少なくなってくると、トナーで被覆されていない領域4が、より生じやすくなる。
このように、繊維の交差部におけるトナーで被覆されていない部分4の発生は、例えば、ハーフトーン画像においては、画像ムラとして認識されやすい。このため、画像品質のより一層の向上の観点からは、是非とも解決すべき技術課題であると本発明者らは認識した。
そこで、本発明は、ラフ紙のような、比較的大きな凹凸を表面に有する紙に対する優れた追従性を有すると共に、紙を構成するパルプの繊維径レベルの凹凸を表面に有する普通紙に対しても優れた追従性を有し、さまざまな紙を用いた場合においても安定して高品位な電子写真画像を与えることのできる定着部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、多様な紙にも、安定して高品位な電子写真画像を形成することのできる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、基材、弾性層、及び離型層をこの順に有する定着部材であって、該離型層は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含み、該離型層における全てのPFAを基準として、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下であり、かつ、該定着部材の150℃における弾性層の表面の押込み弾性率EITsが、150℃における弾性層の表面から50μmの深さの押込み弾性率EITcよりも大きく、該押込み弾性率EITcは17MPa以上、24MPa以下である定着部材が提供される。
また、本発明によれば、記録媒体上に形成された未定着トナーを加熱及び加圧により記録媒体上に定着する定着装置であって、前記定着部材を備えている定着装置が提供される。更に、本発明によれば、記録媒体にトナー画像を形成する画像形成装置であって、前記定着装置を備えている画像形成装置が提供される。
本発明によれば、ラフ紙のような比較的大きな凹凸を表面に有する紙に対する優れた追従性を有するとともに、紙を構成するパルプの繊維径レベルの凹凸を表面に有する普通紙に対しても優れた追従し、さまざまな紙を用いた場合においても安定して高品位な電子写真画像を与えることが可能な定着部材を得ることができる。
また、本発明によれば、多様な紙に対して、安定して高品位な電子写真画像を形成することが可能な定着装置及び画像形成装置を得ることができる。
普通紙の表面に載せられたトナー粒子の熱定着前(A)及び熱定着後(B)におけるトナー粒子の状態を示す模式図 押込み弾性率EITsが比較的低い場合(A)及び押込み弾性率EITsが比較的高い場合(B)における、普通紙の表面に対する弾性層の追従性を示す模式図 本発明の一例である定着ベルト(A)及び定着ローラ(B)の断面模式図 非密着径の測定方法を示す概略模式図 本発明に係る定着ベルトを用いた定着装置の断面模式図 本発明に係る定着ローラを用いた定着装置の断面模式図 本発明の画像形成装置の一様態を示す概略断面模式図 PFAの構造式
本発明者らは、弾性層上に、柔軟な離型層を設けてなる定着部材が、普通紙の繊維径レベルの凹凸に対して十分に追従できない理由を突き止めるべく、当該定着部材が、普通紙表面に接したときの状態を詳細に観察した。その結果、以下の実験事実が確認された。
図2(A)は、柔軟なフッ素樹脂を含む離型層15が、シリコーンゴム弾性層14上に設けられてなる定着部材が、熱定着工程において、普通紙の表面に接した状態を模式的に示したものである。図2(A)において、繊維1−1及び繊維1−2は、普通紙を構成している繊維を示す。
図1(A)で説明したように、繊維1−1及び1−2の交差部分近傍の繊維1−1上に載せられているトナー3−2を定着部材と接触させるためには、定着部材の表面を、普通紙の繊維径レベルの小さな凹凸に対して十分に変形させる必要がある。
このとき、離型層の下層にある弾性層に、ラフ紙等の、比較的大きな表面の凹凸に対して追従可能な程度の柔軟さを持たせた場合、繊維1−2と接したことにより離型層15に加わった圧力によって、離型層15だけでなく、繊維1−2直下の弾性層をも変形させてしまう。その結果、離型層15には、繊維1−の周囲を十分に包み込むだけの変形が生じなかった。そのため、図1(A)におけるトナー3−2の定着を十分に行うことができず、画像ムラの目立つ電子写真画像が形成されているものと考えられる。
そこで、本発明者らは、繊維1−2と接することで、定着部材の表面に加わる圧力によって、離型層15を十分に変形させることができるような定着部材の構成を得るべく更なる検討を重ねた。その結果、離型層と接する側の弾性層の表面の弾性率を、弾性層の当該表面から深さ50μmの位置における弾性率よりも高めることによって、繊維1−2との接触により表面に加わった圧力によって、離型層15をより良く変形させ得ることを見出した。
以下に、本発明に係る定着部材を図2(B)を用いて詳細に説明する。
図2(B)は、本発明に係る定着部材が、熱定着工程において、普通紙の表面に接した状態を模式的に示した図である。図2(B)において、本発明に係る定着部材は、フッ素樹脂を含む離型層15が、シリコーンゴムを含む弾性層14上に設けられている。また、繊維1−1および繊維1−2は、普通紙を構成する繊維を示す。
そして、離型層に含まれるフッ素樹脂は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含み、離型層における全てのPFAを基準として、パーフルオロアルキルビニルエーテルの割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下である。
また、弾性層の、定着部材の150℃における表面の押込み弾性率EITsが、150℃における弾性層の表面から50μmの深さの押込み弾性率EITcよりも大きく、該押込み弾性率EITcが17MPa以上、24MPa以下である。
上記の構成を有することで、ラフ紙のような比較的大きな凹凸を表面に有する紙に対しては、離型層と接する側の表面から深さが50μmの位置における、定着部材の150℃における弾性率EITcが17MPa以上、24MPa以下である弾性層の存在により、優れた追従性を有する。
一方、離型層15と接する側の弾性層の表面の、定着部材の150℃における弾性率EITsを、弾性率EITcよりも高めることにより、繊維1−2との接触により表面に加わった圧力によって、離型層15をより良く変形させることができる。
すなわち、本発明に係る定着部材は、図2(B)に示したように、繊維1−2と接したときの弾性層1の変形量を、図2(A)の例と比較して小さく、また、離型層15の変形量を、図2(A)の例と比較して大きくすることができる。その結果として、繊維1−2をより十分に被覆することができる。
これは、E IT をE IT よりも高めたことによって、繊維1−2と接したときの定着部材表面に加わる圧力が柔軟な弾性層に局所的に作用することが抑制されているものと考えられる。その結果、定着部材に加わった圧力が、離型層を十分に変形させることに使用され、離型層15を、繊維1−2に対して、より確実に追従させることができるものと考えられる。
以下に、本発明の定着部材、定着装置及び画像形成装置について、具体的な構成に基づき詳細に説明する。
1.定着部材
本発明の定着部材を、図3を用いて説明する。図3において、(A)及び(B)は、それぞれ本発明の定着部材の例を表しており、(A)は、定着ベルト11、(B)は、定着ローラ12の断面模式図である。本発明の定着部材は、基材13の周囲を被覆して弾性層14が形成され、その表面を被覆して離型層15が形成されている。離型層15は、弾性層14の周面に接着層(不図示)により固定されている場合がある。
一般的に、定着部材は、弾性層と基材自体の両方が変形することにより定着ニップを形成する場合に定着ベルトと呼ばれ、基材自体はほとんど変形せず弾性層の弾性変形で定着ニップを形成する場合に定着ローラと呼ばれる。本発明の効果を得るためには定着ベルト形状である方がより好ましい。
(1)基材
基材13の材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレス、ニッケルの如き金属及び合金、並びに、ポリイミドの如き耐熱性樹脂が用いられる。
定着部材がローラ形状である場合、基材13には芯金が用いられる。芯金の材質としては、アルミニウム、鉄、ステンレスの如き金属又は合金が挙げられる。芯金の内部は中空状であっても中実であっても良く、定着装置での加圧に耐える強度を有していれば良い。この場合、中空状の場合には内部に熱源を設けることが可能となる。
定着部材がベルト形状を有する場合には、基材13としては、電鋳ニッケルスリーブ、ステンレススリーブ、ポリイミドからなる耐熱樹脂ベルトが挙げられる。基材13の内面には、耐摩耗性や断熱性などの機能を付与するための層(不図示)を更に設けてもよい。
基材13の外面には弾性層との接着性を付与するために表面処理を施してもよい。表面処理には、ブラスト・ラップ・研磨の如き物理的処理、酸化処理・カップリング剤処理・プライマー処理の如き化学的処理を、一つ又は複数組み合わせて用いることが可能である。
特に、弾性層としてシリコーンゴムを用いる場合には、基材と弾性層との接着性を確保するために、基材の面にプライマー処理を施すことが一般的に行われる。ここで用いられるプライマーとは、有機溶剤中に、シランカップリング剤、シリコーンポリマー、水素化メチルシロキサン、アルコキシシラン、反応促進触媒、ベンガラの如き着色剤が、適宜配合分散された塗料である。該プライマーとしては、市販品を用いることができる。プライマー処理は、このプライマーを基材の表面(弾性層との接着面)に塗布し、乾燥又は焼成させることによって、行われる。
プライマーは、基材の材質、弾性層の種類又は架橋反応の形態によって適宜選択可能である。特に、弾性層が不飽和脂肪族基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基との反応により接着性を付与するために、ヒドロシリル基を含有するプライマーが好適に用いられる。また、反対に、弾性層がヒドロシリル基を多く含む場合には、不飽和脂肪族基を含有するプライマーが好適に用いられる。プライマーとしてはそのほかにも、アルコキシ基を含有するものも挙げられる。
(2)弾性層
弾性層を構成する材料としては、シリコーンゴム、フッ素ゴムの如き耐熱性ゴムを用いることが好ましく、中でも付加硬化型のシリコーンゴムであることが好ましい。付加硬化型シリコーンゴムは、硬化させる前の組成物において、後述する充填剤(フィラー)を分散させやすく、また、フィラーの種類や添加量を変えて架橋度を調整することで、弾性層の弾性率を調整することが可能であるためである。
弾性層の厚さは、定着部材の表面硬度、及び、形成するニップ幅を考慮して、適宜設計可能である。定着部材がベルト形状を有する場合には、弾性層の厚みは、100μm以上、500μm以下が好ましく、更に好ましくは200μm以上、400μm以下である。また、定着部材がローラ形状を有する場合には、弾性層の厚みは、100μm以上、3mm以下が好ましく、更に好ましくは300μm以上、2mm以下である。弾性層の厚みをこの範囲にすることで、定着部材を定着装置に組み込んだときに、弾性層の変形により十分なニップ幅が確保できる。
(2−1)押込み弾性率
本発明に係る弾性層は、150℃における、弾性層の、離型層と接する側の表面(以下、単に「表面」ともいう)から深さ50μmの位置における押込み弾性率EITcが17MPa以上、24MPa以下、特に好ましくは、20MPa以上、21MPa以下である。
押込み弾性率EITcが24MPa以下であると、弾性層が十分な柔軟性を有するため、ラフ紙のような紙表面に存在する比較的大きな凹凸に対して、定着部材が良好に追従することができる。
また、本発明において、150℃での押込み弾性率EITcが17MPa以上である。押込み弾性率EITcが17MPa未満であると、弾性層が過度に柔軟になる。そのため、たとえ弾性層の表面の押込み弾性率が、表面から50μmの深い部分と比較して高くても、繊維との接触による圧力が弾性層に局所的に作用することを、十分に抑制しにくい。
ここでいう150℃という値は、一般的な定着部材の使用温度の代表値として設定した値であるが、本発明に係る定着部材を150℃以外の該使用温度範囲で使用する場合にも、本発明は当然に適用可能である。それは、定着部材の一般的な使用温度範囲、例えば、100℃以上、190℃以下の温度範囲においては、弾性層を構成するシリコーンゴムの押込み弾性率の温度依存性が小さいためである。
ラフ紙の表面に存在するような比較的大きな凹凸に対しては、薄い離型層のみの変形によって定着部材の表面を追従させることは困難であり、柔軟な弾性層を弾性変形させることによって追従させることが必要である。このとき、弾性層の表面から深さ50μmの位置における、定着温度域の温度域における弾性率EITcが、上記範囲内にあるような、柔軟性を有することが重要である。
また、本発明に係る弾性層の表面の押込み弾性率EITsは、EITcよりも大きい。すなわち、EITcが、EITsと同じである場合、図2(A)を用いて先に述べたように、普通紙の繊維レベルの凹凸に対して、柔軟なPFAで構成されてなる離型層を十分に変形させることが困難である。しかしながら、EITsをEITcよりも大きくすることで、離型層を大きく変形させることができる。
さらに、押込み弾性率EITcと押込み弾性率EITsは、EITs≧1.3×EITcなる関係を満たすことが好ましい。押込み弾性率EITcと押込み弾性率EITsが上記関係を満たすことで、より良好に普通紙の繊維レベルの凹凸に対して離型層を追従することができる。
弾性層の押込み弾性率EITs及び押込み弾性率EITc(以降、併せて「押込み弾性率EIT」と称すことがある)は、微小硬さ測定システム(商品名:FISCHERSCOPE HM2000 XYp; Fischer Instruments K.K.製)を用いて測定することができる。微小硬さ測定を用いるのは、同一の弾性層において、表面と表面から50μmの深さにおける弾性率の違いを把握するためである。
測定は、定着部材から切り出したサンプルを用いて以下のように行う。測定装置の測定ヘッドにISO14577に準拠した136゜の面角を持つ四角錐のダイヤモンドビッカース圧子を使用し、サンプルの表面から圧子押込み速度1μm/秒で20μmの深さまで押し込む。そして、押し込んだ状態で5秒間保持し、さらに1μm/秒で除荷を行う。このときの圧子にかかる荷重と変位の関係を表す荷重−変位曲線のうち、除荷時に得られた除荷曲線において、最大荷重の65%〜95%の荷重域における傾きから、押込み弾性率EITをISO14577に規定された下記式(1)に従って求める。
Figure 0006347727

ν:試験片のポアソン比
ν:圧子のポアソン比
:押込み接点の減少弾性率(除荷弾性率)
:圧子の弾性率
この押込み弾性率EITの算出にあたり試験片のポアソン比νを代入するが、弾性層にシリコーンゴムを用いる場合にはポアソン比として0.5を用いて算出する。
なお、測定は、サンプルをオプション加熱ステージ上に固定設置し、サンプルの表面が150℃になるように設定してから行う。測定方法の詳細は実施例にて記載する。
(2−2)弾性層の製造方法
本発明に係る弾性層の製造方法として、付加硬化型のシリコーンゴム組成物を用いる場合を例にとり、以下に説明する。
本発明に係る弾性層は、まず、以下に述べる材料を含むシリコーンゴム組成物の硬化物層を、基材上に形成した後、該硬化物層の、離型層を設ける側の表面を処理することによって、当該表面の弾性率を上昇させることにより製造することができる。
(2−2−1)シリコーンゴム組成物
弾性層の形成用の原料としての付加硬化型シリコーンゴム組成物は、基本的な構成成分として下記(a)、(b)及び(c)を含む。
(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン;
(b)ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン;
(c)架橋触媒としての白金化合物。
上記(a)成分である、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとしては以下のものが挙げられる。
・分子両末端がR1R2SiO1/2で表され、中間単位がR1SiO及びR1R2SiOで表される直鎖状オルガノポリシロキサン
・分子両末端がR1R2SiO1/2で表され、中間単位にR1SiO3/2及び/又はSiO4/2が含まれる分岐状ポリオルガノシロキサン
ここで、R1はケイ素原子に結合した、脂肪族不飽和基を含まない1価の非置換又は置換の炭化水素基を表す。具体例は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基)、アリール基(フェニル基、ナフチル基)、置換炭化水素基(例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−シアノプロピル基、3−メトキシプロピル基)が挙げられる。
特に、合成や取扱いが容易で、優れた耐熱性が得られることから、R1の50%以上がメチル基であることが好ましく、すべてのR1がメチル基であることがより好ましい。
また、R2はケイ素原子に結合した不飽和脂肪族基を表す。R2としては、ビニル基、アリール基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基が例示され、合成や取扱いが容易でシリコーンゴムの架橋反応も容易に行われることから、特にビニル基が好ましい。
上記(b)成分である、ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは、白金化合物の触媒作用により、上記(a)成分のアルケニル基との反応によって架橋構造を形成させる架橋剤である。
上記(b)成分において、ケイ素原子に結合した水素原子の数は、1分子中に平均して3個を越える数であることが好ましい。ケイ素原子に結合した有機基としては、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン成分のR1と同じ非置換又は置換の1価の炭化水素基が例示される。特に、合成及び取扱いが容易なことから、メチル基が好ましい。ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンの分子量は特に限定されない。
また、上記(b)成分の25℃における粘度は、好ましくは10mm/s以上100,000mm/s以下、さらに好ましくは15mm/s以上1,000mm/s以下の範囲である。粘度が10mm/s以上であると、該オルガノポリシロキサンが保存中に揮発しにくく、得られるシリコーンゴムにおいて所望の架橋度や物性を得ることができる。また、粘度が100,000mm/s以下であると、該オルガノポリシロキサンの取扱いが容易で系に容易に均一に分散させることができる。
上記(b)成分のシロキサン骨格は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも差支えなく、これらの混合物を用いてもよい。特に合成の容易性の観点から、直鎖状のものが好ましい。
また、上記(b)成分において、Si−H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよいが、少なくともその一部が、R1HSiO1/2単位のように、オルガノポリシロキサンの分子末端に存在することが好ましい。
更に、上記(a)成分および上記(b)成分は、付加硬化型シリコーンゴム組成物において、ケイ素原子数に対する不飽和脂肪族基数の割合が、0.001以上0.020以下、より好ましくは0.002以上0.010以下となるように配合されることが好ましい。また、不飽和脂肪族基に対する活性水素の数の割合が、0.3以上0.8以下となるように配合されていることが好ましい。不飽和脂肪族基数に対する活性水素数の割合が0.3以上であると、硬化後のシリコーンゴムにおいて安定して所望の硬度を得ることができる。また、不飽和脂肪族基数に対する活性水素数の割合が0.8以下であると、シリコーンゴムの硬度の過度の上昇を抑えられる。不飽和脂肪族基に対する活性水素の数の割合は、水素核磁気共鳴分析(1H−NMR(商品名:AL400型FT−NMR、日本電子株式会社製))を用いた測定により不飽和脂肪族基数及び活性水素数を定量して算出することができる。
本発明に係る付加硬化型シリコーンゴム組成物は、上記(a)〜(c)成分に加えて、フィラーを含んでいてもよい。フィラーは、熱伝導性、耐熱性及び弾性率を制御するために添加するものである。
本発明に係るフィラーの具体例を以下に示す。
炭化ケイ素(SiC);窒化ケイ素(Si);シリカ(SiO);窒化ホウ素(BN);窒化アルミニウム(AlN);アルミナ(Al);酸化鉄(Fe);酸化亜鉛(ZnO);酸化マグネシウム(MgO);酸化チタン(TiO);銅(Cu);アルミニウム(Al);銀(Ag);鉄(Fe);ニッケル(Ni);カーボンブラック(C);炭素繊維(C);カーボンナノチューブ(C)。
本発明に係る付加硬化型シリコーンゴム組成物は、更に、反応開始時間を制御するためのインヒビターと呼ばれる反応制御剤(阻害剤)を配合してもよい。反応制御剤としては、メチルビニルテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイドの如き公知の物質が用いられる。
(2−2−1)弾性層の製造
まず、上記したような材料を含む付加硬化型シリコーンゴム組成物を、金型成型法、ブレードコート法、ノズルコート法、リングコート法の如き加工法によって、基材の外周面に担持し、加熱により架橋反応を進行させることで、付加硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物の層(以降、単に「硬化物層」ともいう)を形成する。
ここで、硬化物層中におけるフィラーの含有量は、本発明に係る弾性層の押込み弾性率EITcを17MPa以上、24MPa以下に制御する上で重要である。
本発明に係る弾性層の押込み弾性率EITcを上記した範囲にするためには、フィラーとして球状フィラーを用いる場合は、硬化物層中の球状フィラーの量を、硬化物層の全体積を基準として、20体積%以上、50体積%以下の範囲、特には30体積%以上、40体積%以下の範囲とすることが好ましい。
また、フィラーとして、板状フィラー及び針形状フィラーの如き異形フィラーを用いる場合は、球状フィラーと比較して少ない含有量で、弾性層の押込み弾性率EITcを上記範囲にすることが可能である。本発明に係る弾性層の押込み弾性率EITcを上記した範囲にするための、異形フィラーの含有量は、異形フィラーのアスペクト比、サイズ、および弾性層中における異形フィラーの、弾性層の長手方向に対する配向度によって、適宜設定されることが好ましい。具体的には、異形フィラーのアスペクト比(=繊維長/繊維径)を大きくすることによって、また、異形フィラーの該配向度を高めることによって、弾性層の押込み弾性率EITcを高めることができる。異形フィラーの配向度は、弾性層の製造方法および製造条件によって異なる。
以下に、公知のリングコート法によって弾性層を形成する場合における、異形フィラーの含有量の例を挙げる。弾性層の異形フィラーとしてピッチ系炭素繊維(アスペクト比5〜30、平均長さ50μm〜300μm)を用いる場合は、硬化物層の全体積に対する該ピッチ系炭素繊維の含有量を、10体積%以上、30体積%以下の範囲とすることが好ましい。また、異形フィラーとして気相成長法炭素繊維(アスペクト比30〜100、平均長さ5μm〜10μm)を用いる場合は、硬化物層の全体積に対する気相成長法炭素繊維の含有量を、5体積%以上、10体積%以下の範囲とすることが好ましい。また、フィラーとして球状フィラー及び異形フィラーを併用して用いることがある。この場合、硬化物層の全体積に対する球状フィラーの含有量を、1体積%以上、5体積%以下、特には、1体積%以上、3体積%以下の範囲とすることが好ましく、異形フィラーの含有量は、20体積%以上、50体積%以下、特には、30体積%以上、40体積%以下の範囲とすることが好ましい。
なお、硬化物層中のフィラーの含有量を増やすことによって、押込み弾性率EITcを高めることができる。また、全フィラーにおける異形フィラーの比率を増やすことによって、押込み弾性率EITcを高めることができる。
次に、押込み弾性率が、17MPa以上、24MPa以下の硬化物層の、離型層と対向する側の表面を処理して、表面の押込み弾性率EITsを、弾性率EITcに対して高めることによって、本発明に係る弾性層を得ることができる。硬化物層の表面の押込み弾性率を上昇させる処理方法としては、以下の2つが挙げられる。
(i)硬化物層の表面に紫外線を照射する方法(特開2008−176300号公報);
この方法によれば、紫外線によって弾性層の表面が部分的に酸化されて弾性層表面の架橋が進み、弾性層の弾性率が上昇する。
照射する紫外線の光源としては、185nmの波長を有する紫外線を照射することが好ましい。185nmの波長の紫外線は、大気中に存在する空気中の酸素分子を分解して活性酸素を生成する。この生成した活性酸素によって弾性層の架橋反応が進行する。具体的な紫外線の光源としては、低圧水銀ランプが挙げられる。
紫外線は、波長185nmの紫外線の、単位面積当たりの積算光量が、300mJ/cm以上、1000mJ/cm以下となるように照射することが好ましい。紫外線の照射量は、紫外線積算光量計(商品名:「C8026 H8025−185」、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて測定することができる。
(ii)硬化物層の表面に、付加硬化型シリコーンゴムの架橋剤として作用するヒドロシリル基を分子中に複数個有するシリコーンポリマーを塗布し、加熱する方法;
該シリコーンポリマーとしては、東レダウコーニング株式会社製の「SH1107」(商品名)が挙げられる。この方法は、硬化物層の表面近傍に未反応のまま残存した付加硬化型シリコーンゴムの不飽和脂肪族基を、該架橋剤と反応させることによって、硬化物層の表面の架橋密度を上昇させるものである。弾性層の表面の押込み弾性率EITSを、該表面から深さ50μmの位置での押込み弾性率EITCよりも大きくするためには、架橋剤が、表面から深さ50μmの位置まで浸透しないように、架橋剤の塗布量を調整する必要がある。具体的には、硬化物層の表面への架橋剤の塗布量は、該硬化物層の表面に塗布する該架橋剤の層の厚さを、0.1μm以上、5.0μm以下、特には、0.5μm以上、2.5μm以下とすることが好ましい。
このようにして硬化物層の表面に塗布した架橋剤を、硬化物層の表面近傍の不飽和脂肪族基と反応させることで、本発明に係る弾性層を得ることができる。この際、好ましい反応条件としては、加熱温度を130℃前後、加熱時間は30分程度とすれば上記効果が得られる。
(3)離型層
本発明に係る離型層は、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含み、離型層における全てのPFAを基準として、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合が、3.0モル%以上5.8モル%以下である。PAVE骨格部はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)骨格部が形成する結晶化を阻害し、樹脂の結晶性を低下させる。このため、PAVEを3.0モル%以上含有しているPFA樹脂は、従来のPAVEを3.0モル%未満含有するPFA樹脂と比較して、樹脂の結晶性が低下し、樹脂のガラス転移温度が下がっている。このため、定着部材の使用温度付近においてより柔軟なゴム状態として存在する。その結果、普通紙に存在する紙繊維径レベルの凹凸に対する追従性が向上するものと考えられる。
なお、本発明において、離型層に含まれている、PFA樹脂は、複数種のPFAを混合したものでも構わない。すなわち、離型層における全てのPFAを基準としたPAVEの割合とは、PFAの共重合比率を必ずしも指すものではない。
PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が例示されるが、その合成の容易さから、PEVEであることが好ましい。
本発明に係るPFAの合成方法については公知の技術を利用することが可能であり、特開2004−161921号公報に記載された方法で合成することが可能である。また各種市販品を用いても良い。該市販品としては、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製の「テフロン(登録商標)PFA959HP−Plus」(商品名)が挙げられる。
離型層の形成手段としては、押し出し成形によりチューブ状に成形したもので弾性層を被覆して形成する方法が挙げられる。また、離型層の他の形成手段としては、フッ素樹脂の微粒子又はフッ素樹脂の微粒子が溶媒中に分散された塗料を弾性層表面にコーティングした後、乾燥し、溶融し焼き付ける方法(コーティング法)が挙げられる。
離型層の厚みは5μm以上50μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。5μm以上の厚みを有する離型層は形成が容易であり、かつ、離型層の厚みが50μm以下であれば定着部材から紙への伝熱性が良好であるためである。
なお、弾性層と離型層は不図示の接着層によって接着されることがある。接着層としては、弾性層をチューブ状に成形されたフッ素樹脂で被覆し離型層を形成する場合には、熱硬化型のシリコーンゴム接着剤が好適に用いられる。また、離型層をコーティング法によって形成する場合には、塗料状に調整されたプライマーを弾性層表面に塗布して乾燥させた後、さらにその上からフッ素樹脂を含む塗料をコーティングし、乾燥・溶融することで接着することが可能である。
2.定着装置
定着装置は、一対の加熱されたローラとローラ、フィルムとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が圧接されており、電子写真画像形成装置全体としてのプロセス速度、大きさ等の条件を勘案して適宜選択される。ここでは、定着装置の具体例を示して、その構成を説明する。
(1)ベルト形状の定着部材を用いた定着装置
図5には、本発明のベルト形状の定着部材を用いた、定着装置の一例における横方向断面模式図を示す。
この定着装置において、定着ベルト11は、本発明に係る定着部材としてのシームレス形状の定着ベルトである。この定着ベルト11を保持するために、耐熱性・断熱性を有する樹脂によって成型されたベルトガイド部材16が形成されている。
このベルトガイド部材16と定着ベルト11の内面とが接触する位置に熱源としてのセラミックヒータ17を具備する。
セラミックヒータ17はベルトガイド部材16の長手方向に沿って成型具備された溝部に嵌入して固定支持されている。セラミックヒータ17は、不図示の手段によって通電され発熱する。
シームレス形状の定着ベルト11はベルトガイド部材16にルーズに外嵌させてある。加圧用剛性ステイ18はベルトガイド16の内側に挿通してある。
加圧部材としての弾性加圧ローラ19はステンレス芯金19aにシリコーンゴムの弾性層19bを設けて表面硬度を低下させたものである。
芯金19aの両端部を装置に不図示の手前側と奥側のシャーシ側板との間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
弾性加圧ローラ19は、表面性及び離型性を向上させるために表層19cとして、厚さ50μmのフッ素樹脂チューブが被覆されている。
加圧用剛性ステイ18の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用剛性ステイ18に押し下げ力を付与している。これによってベルトガイド部材16の下面に配設したセラミックヒータ17の下面と加圧部材19の上面とが定着ベルト11を挟んで圧接して所定の定着ニップNが形成される。
この定着ニップNに未定着トナーGによって画像が形成された、被加熱体となる記録媒体Pを搬送速度Vで挟持搬送させる。これにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色、その後、冷却されることによって記録媒体P上にトナー像が定着される。
(2)ローラ形状の定着部材を用いた定着装置
図6には本発明に係るローラ形状の定着部材を用いた、定着装置の一例における横方向断面模式図を示す。
この定着装置において、定着ローラ12は、本発明に係る定着部材である。この定着ローラ12は基材13の外周面に弾性層14が形成され、更にその外側に離型層15が形成されている。
定着ローラ12と対向するように加圧部材としての弾性加圧ローラ19が配されており、不図示の加圧手段により、二つのローラが回転可能に押圧されることで、定着ニップNが形成されている。
定着ローラ12及び弾性加圧ローラ19の内部には、未定着トナーGを溶融するために必要な熱を供給する、熱源としてのヒータ20が設置されている。ヒータ20としてはハロゲンヒータが一般に用いられる。搬送されてくる記録媒体Pのサイズに合わせて、複数本のハロゲンヒータを内部に設置する場合もある。
定着ローラ12及び弾性加圧ローラ19は不図示の手段により基材13及び芯金19aの端部を通じて回転力が加えられ、定着ローラ12表面の移動速度が記録媒体搬送速度Vと略等速となるように回転が制御されている。この際、回転力は、定着ローラ12及び弾性加圧ローラ19のどちらかに付与され、もう一方が従動により回転していても良いし、両方に回転力が付与されていても良い。
このように形成された定着装置の定着ニップNに、未定着トナーGによって画像が形成された被加熱体となる記録媒体Pを挟持搬送させる。これにより、トナー像を加熱、加圧する。その結果、トナー像は溶融・混色、その後、冷却されることによって記録媒体上にトナー像が定着される。
3.画像形成装置
画像形成装置としては、電子写真方式を用いた複合機、コピー、ファックス、プリンタなどがある。ここではカラーレーザープリンタを例に用い、画像形成装置の全体構成について概略説明する。
図7は本発明の実施の形態の一様態であるカラーレーザープリンタの概略断面図である。
図7に示したカラーレーザープリンタ(以下「プリンタ」と称す)40は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色毎に一定速度で回転する電子写真感光体ドラム(以下「感光体ドラム」と称す)を有する画像形成部を有する。また、画像形成部で現像され多重転写されたカラー画像を保持し、給送部から給送された記録媒体Pにさらに転写する中間転写体38を有する。
感光体ドラム39(39Y、39M、39C、39K)は、駆動手段(不図示)によって、図7に示すように反時計回りに回転駆動される。
感光体ドラム39の周囲には、その回転方向にしたがって順に、感光体ドラム39表面を均一に帯電する帯電装置21(21Y、21M、21C、21K)、画像情報に基づいてレーザービームを照射し、感光体ドラム39上に静電潜像を形成するスキャナユニット22(22Y、22M、22C、22K)、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像ユニット23(23Y、23M、23C、23K)、感光体ドラム39上のトナー像を一次転写部T1で中間転写体38に転写させる一次転写ローラ24(24Y、24M、24C、24K)、転写後の感光体ドラム39表面に残った転写残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニット25(25Y、25M、25C、25K)が配置されている。
画像形成に際しては、ローラ26、27及び28に張架されたベルト状の中間転写体38が回転するとともに各感光体ドラム39に形成された各色トナー像が前記中間転写体38に重畳して一次転写されることでカラー画像が形成される。
前記中間転写体38への一次転写と同期するように搬送手段によって記録媒体Pが二次転写部T2へ搬送される。搬送手段は複数枚の記録媒体Pを収納した給送カセット29、給送ローラ30、分離パッド31、レジストローラ対32を有する。画像形成時には給送ローラ30が画像形成動作に応じて駆動回転し、給送カセット29内の記録媒体Pを一枚ずつ分離し、該レジストローラ対32によって画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部T2へ搬送する。
二次転写部T2には移動可能な二次転写ローラ33が配置されている。二次転写ローラ33は、略上下方向に移動可能である。そして、像転写に際して、二次転写ローラ33は記録媒体Pを介して中間転写体38に所定の圧で押しつけられる。この時同時に二次転写ローラ33にはバイアスが印加され中間転写体38上のトナー像は記録媒体Pに転写される。
中間転写体38と二次転写ローラ33とはそれぞれ駆動されているため、両者に挟まれた状態の記録媒体Pは、図7に示す左矢印方向に所定の搬送速度Vで搬送され、更に搬送ベルト34により次工程である定着部35に搬送される。定着部35では熱及び圧力が印加されて転写トナー像が記録媒体Pに定着される。その記録媒体Pは排出ローラ対36によって装置上面の排出トレイ37上へ排出される。
そして、図5や図6に例示した本発明の定着装置を、図7に例示した電子写真画像形成装置の定着部35に適用することにより、画像の均一性に優れた高品位な画像を提供可能な画像形成装置を得ることができる。
以下に、実施例を用いてより具体的に本発明を説明する。
[実施例a−1]
(1)フッ素樹脂チューブの調製;
本実施例で用いるフッ素樹脂チューブとして、フッ素樹脂ペレットa(商品名:テフロン(登録商標)PFA959HPPlus;三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を用いて、押出成型法を用いて、長さ400mm、内径29mm、厚み20μmのフッ素樹脂チューブを作製した。
フッ素樹脂ペレットaは、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなり、該共重合体は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)に対し、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)を4.3モル%含んでいる。
なお、PFAにおけるパーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合は、19F核についてNMRスペクトルを測定し(製品名:DSX400型;ブルカー・バイオスピン社製)求めた。測定は、室温環境下で、MAS周波数30kHz、積算256回の条件で行った。
例えば、TFEとPEVEの共重合体であるPFAにおいては、図8に示すように環境の異なるa〜fの6種類のフッ素原子が存在する。このうち、a、bおよびcに起因するフッ素原子は、19F−NMRにおいて−110〜−130ppm付近にピークが確認できる。一方、eおよびfに起因するフッ素原子は、−80〜−90ppm付近にピークが確認できる。これらの二つのピークの面積比からnに相当するPEVEの重合割合を算出した。
(2)弾性層の形成;
基材として、表面にプライマー処理を施した、内径30mm、幅400mm、厚さ40μmのニッケル電鋳製エンドレススリーブを用意した。
弾性層形成用の原料として、フィラーを含まない付加硬化型の液状シリコーンゴム(商品名:「SE1886」、東レ・ダウコーニング株式会社製)を用意した。この液状シリコーンゴム61体積部に対して、球状フィラーとして、球状アルミナ(商品名:「アルナビーズCB−A30S」、昭和電工株式会社製)を38体積部、異形フィラーとして、気相法炭素繊維(商品名:「VGCF−S」;昭和電工株式会社製、アスペクト比=100、平均繊維長=10μm)を1体積部加えた。こうして、弾性層形成用の付加硬化型シリコーンゴム組成物を調製した。これらを上記ニッケル電鋳製エンドレススリーブの外周面上にリングコート法を用いて塗布した後、温度200℃で4時間加熱して、付加硬化型シリコーンゴム組成物の層を架橋させて、厚さ300μmの硬化物層を形成した。
硬化物層が形成されたエンドレススリーブを、周方向に20mm/secの移動速度で回転させながら、硬化物層の表面からの離間距離が10mmの位置に配置した紫外線ランプを用いて、該硬化物層の表面に大気雰囲気下で紫外線を照射した。紫外線ランプには、低圧水銀紫外線ランプ(商品名:GLQ500US/11;ハリソン東芝ライティング株式会社製)を用い、照射面における、185nmの波長の積算光量が800mJ/cmとなるように照射した。これにより、表面の押込み弾性率E ITs が、表面から深さ50μmの位置における押込み弾性率E ITc よりも大きい、本発明に係る弾性層とした。
(3)定着ベルトの作製;
次いで、弾性層の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。なお、本実施例に係る構成においては、紫外線を照射することにより、離型層と弾性層との接着に用いる接着剤が弾性層に浸透し、弾性層の硬度が上昇することを抑制する効果がある。
次に、離型層として、上記(1)で作製したフッ素樹脂チューブを被せ、樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層と樹脂チューブの間から扱き出した。
そして、当該エンドレススリーブを200℃に設定した電気炉にて1時間加熱することで接着剤を硬化させて当該フッ素樹脂チューブを弾性層上に接着固定した。得られたエンドレスベルトの両端部を切断し、幅が343mmの定着ベルトを得た。
(4)弾性層の押込み弾性率
上記(3)で作製した弾性層について、押込み弾性率EITs及び押込み弾性率EITcを、以下の方法によって測定した。
まず、作製した定着ベルトを、縦2cm、横2cmの大きさで切り出し、表面に形成された離型層をクライオミクロトーム法の如き表面切削手段を用いて除去して、弾性層の表面部を露出させたサンプルを作製した。
また、同様の方法で、弾性層の表面から50μmの深さまで切削し、弾性層の表面から50μmの深さを表面に露出させたサンプルも作製した。
このように作製した2つのサンプルを、微小硬さ測定システム(商品名:FISCHERSCOPE HM2000 XYp;Fischer Instruments K.K.製)のオプション加熱ステージ上に固定設置し、サンプルの表面温度が150℃になるように設定した。測定装置の測定ヘッドにはISO14577に準拠した136゜の面角を持つ四角錐のダイヤモンドビッカース圧子を使用し、圧子の押し込み速度1μm/秒で各サンプルの表面から20μmの深さまで押し込み、5秒間保持し、さらに1μm/秒で除荷を行った。荷重と変位の関係を表す荷重−変位曲線のうち、除荷時に得られた負荷曲線において、上記したようにそれぞれ押込み弾性率を求めた。
弾性層表面を露出させたサンプルについて、上記の方法で任意の10カ所について測定を行い、その平均値から150℃での弾性層の表面の押込み弾性率EITsを求めた。また、弾性層の表面から50μmの深さまで切削したサンプルについても同様に任意の10カ所について測定を行い、その平均値から150℃での弾性層の表面から50μmの深さの押込み弾性率EITcを求めた。
上記定着ベルトについて各押し込み弾性率を測定したところ、押込み弾性率EITsは26MPa、押込み弾性率EITsは20MPaとなった。
(5)アルミナ粒子の非密着径
本発明者らは、普通紙を構成するパルプの繊維径レベルの凹凸に対する、定着部材の追従性を評価するために、図4に示すようなモデルを作製し、普通紙の繊維径レベルの凹凸に対する定着部材の追従性を評価した。
モデルについて図4を用いて以下に説明する。ガラス板5の上に、紙繊維と同等レベルのスケールを模擬した、直径20μmの球形のアルミナ粒子6(昭和電工株式会社製、商品名:アルナビーズCB−A20S、分級品)を互いに凝集しないように散布した。次いで、定着ベルト8の内部に加熱中子7を挿入し、この定着ベルト8を不図示の手段によって0.2MPaの圧力でガラス板5に当接させた。なお、定着ベルト8は、加熱中子7によって、150℃に加熱されている。この状態で、ガラス板5の対向側からアルミナ粒子6と定着ベルト8の接触している付近の領域を、顕微鏡の如き観察手段9にて観察すると、定着部材8とガラス板5が密着していない部分が、アルミナ粒子6を中心に略円形状に観察できる。この円形状の非密着部分の半径をアルミナ粒子10点について測定し、その算術平均値を「非密着径」と定義した。この非密着径が小さいほど、紙繊維径レベルの凹凸への追従性が良いと言える。なお、本実施例では、観察手段として、光学顕微鏡(商品名:デジタルマイクロスコープVHX−2000;株式会社キーエンス製)を用いた。その結果、上記定着ベルトの非密着径は、82μmであった。
(6)ラフ紙の表面凹凸に対する追従性の評価
ラフ紙の表面に存在する比較的大きな凹凸に対する追従性が十分でない場合、画像形成装置で出力した画像において、光沢ムラが発生する。この現象は、特に、トナーの単位面積当たりの載り量が多いベタ画像において顕著に観察される。
このため、ラフ紙上に存在する凹凸に対する定着部材の追従性は、ラフ紙上に形成されたベタ画像において、光沢ムラが見られるか否かによって評価した。
作製した定着ベルトを電子写真の画像形成装置(キヤノン株式会社製、商品名:imageRUNNER−ADVANCE C5051)に搭載し、A4サイズのラフ紙(商品名:Business4200;Xerox社製、厚さ102μm、坪量75g/m、算術平均うねりWa2.3μm)に、シアントナーとマゼンタトナーの二次色からなる画像を、紙のほぼ全面に100%濃度で形成した。この画像を評価用画像とし、5名の被験者によって目視観察を行い画像上に光沢ムラが見られるか否かを判断した。
評価結果は表2に示す。なお、表2における評価基準は以下である。
ランクA:5名の被験者のうち光沢ムラが少ないと判断した者が4名以上。
ランクB:5名の被験者のうち光沢ムラが少ないと判断した者が3名。
ランクC:5名の被験者のうち光沢ムラが少ないと判断した者が2名以下。
なお、上記したラフ紙における算術平均うねりWaとは、紙表面に存在する凹凸の程度を図る指標である。算術平均うねりWaは以下のようにして求めた。
表面粗さ測定器(商品名:SurcorderSE3500、株式会社小坂研究所製)を用いて、測定条件として評価長さ50mm、カットオフ値0.8〜8mmを設定し、画像形成面に対して任意の場所について5回測定した。その算術平均値を算術平均うねりWaとした。
(7)普通紙の紙繊維径レベルの凹凸に対する追従性の評価
次いで、作製した定着ベルトを同じ装置にて、普通紙における画像評価を行った。
A4サイズのプリント用紙(高白色用紙GF−C081;キヤノン株式会社製、厚さ93μm、坪量81g/m、算術平均うねりWa1.0μm)に、ブラックトナーをほぼ全面に50%濃度で形成した。この画像を評価用画像とし、5名の被験者によって、目視観察を行い画像上に濃度ムラが見られるか否かを、下記基準に基づき評価した。評価結果は表2に示す。
ランクA:5名の被験者のうち濃度ムラが少ないと判断した者が4名以上。
ランクB:5名の被験者のうち濃度ムラが少ないと判断した者が3名。
ランクC:5名の被験者のうち濃度ムラが少ないと判断した者が2名以下。
[実施例A−2〜4、比較例A−1〜4]
下記表1のようにフィラーの含有量を変え、150℃における弾性層の押込み弾性率EITcを変化させた以外は、実施例1と同様の手順で定着ベルトを作製し評価した。ただし、比較例A−4においては、離型層の形成に先だって、弾性層に紫外線の照射を行わなかった。評価結果は表2に示す。
[比較例B−1〜7]
フッ素樹脂ペレットb(商品名:テフロン(登録商標)PFA451HP−J;三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を用いて、押出成型により長さ400mm、内径29mm、厚み20μmのフッ素樹脂チューブを作製した。
フッ素樹脂ペレットbは、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなり、該共重合体は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)に対し、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を1.2モル%含んでいる。
このフッ素樹脂チューブを用いたこと、および、フィラーの含有量を下記表1に示すように変化させた付加硬化型の液状シリコーンゴム混合物を弾性層の形成に用いた以外は、実施例A−1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例C−1]
(1)フッ素樹脂ペレットcの調製;
フッ素樹脂ペレットaとフッ素樹脂ペレットe(商品名:テフロン(登録商標)PFA950HPPlus;三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)を13:87の割合で溶融・混練・押出を行い、フッ素樹脂ペレットcを作製した。
ここで用いたフッ素樹脂ペレットeはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなり、該共重合体は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)に対し、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を2.8モル%含んでいる。
そして、フッ素樹脂ペレットcが、樹脂中に、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)を3.0モル%含むことを核磁気共鳴装置による19F核の測定により確認した。
(2)定着ベルトの作製;
フッ素樹脂ペレットcを用いて、押出成型により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、のフッ素樹脂チューブを作製した。このフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例A−1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
[実施例C−2]
フィラーの含有量を下記表1に示すように変化させた付加硬化型の液状シリコーンゴム混合物を弾性層の形成に用いた以外は、実施例C−1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例D−1]
離型層の原料となるフッ素樹脂ペレットdを、特開2004−161921号公報に記載された方法で製造し、押出成型により長さ400mm、内径29mm、厚み20μm、のフッ素樹脂チューブを成形した。フッ素樹脂ペレットdはテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)からなり、該共重合体はテトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)に対し、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)としてパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)を5.8モル%含んでいることを核磁気共鳴装置での19F核の測定により確認した。
このフッ素樹脂チューブを用いた以外は、実施例A−1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。結果を表2に示す。
[実施例D−2]
フィラーの含有量を下記表1に示すように変化させた付加硬化型の液状シリコーンゴム混合物を弾性層の形成に用いた以外は、実施例D−1と同様にして定着ベルトを作製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006347727
Figure 0006347727
11 定着ベルト
12 定着ローラ
13 基材
14 弾性層
15 離型層

Claims (9)

  1. 基材と、弾性層と、該弾性層上に形成された離型層とをこの順に有する定着部材であって、
    該離型層は、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含み、
    該離型層における全てのPFAを基準として、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)の割合が3.0モル%以上、5.8モル%以下であり、かつ、
    該定着部材の150℃における弾性層の表面の押込み弾性率EITsが、150℃における弾性層の表面から50μmの深さの押込み弾性率EITcよりも大きく、該押込み弾性率EITcは17MPa以上、24MPa以下である定着部材。
  2. 前記押込み弾性率EITsと前記押込み弾性率EITcが、EITs≧1.3×EITcの関係を満たす請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記押込み弾性率EITcが20MPa以上、21MPa以下である請求項1又は2に記載の定着部材。
  4. 前記パーフルオロアルキルビニルエーテルがパーフルオロ(エチルビニルエーテル)である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着部材。
  5. 前記弾性層が付加硬化型シリコーンゴムを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の定着部材。
  6. 前記弾性層は、表面に紫外線が照射されてなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の定着部材。
  7. 弾性層の厚さが100μm以上、500μm以下である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の定着部材。
  8. 記録媒体上に形成された未定着トナーを加熱及び加圧により記録媒体上に定着する定着装置であって、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の定着部材を備えていることを特徴とする定着装置。
  9. 記録媒体にトナー像を形成する画像形成装置であって、請求項8に記載の定着装置を備えている画像形成装置。
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