JP2020194156A - 定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】厚み方向の熱伝導性が高く、破壊や塑性変形が生じにくく、低硬度な弾性層を有する電子写真定着部材の提供。【解決手段】定着部材の基材外周上に設けられた弾性層4は無機酸化物を含むフィラーを含み(1)該弾性層の厚み−周方向の第1断面の二値化像、および、該弾性層の厚み−軸方向の第2断面の二値化像において、該フィラーの形状を楕円近似したときの長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合をAとし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合をBとしたとき、1.0≦(A/B)≦2.0、かつ、0.40≦(A+B)≦0.50であり、(2)長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの該弾性層の厚み方向に対する平均配向角度θAveが、50°≦θAve≦90°、である。【選択図】図4

Description

本開示は、複写機、プリンター等の電子写真画像形成装置に用いられる定着部材、定着装置及び画像形成装置に関する。
一般的に、画像形成装置に用いられる熱定着装置(以降、単に「定着装置」ともいう)では、一対の加熱されたローラとローラ、ベルトとローラといった定着部材としての回転体が圧接されている。そして、未定着のトナーによる画像を保持した記録媒体が、この回転体間に形成された圧接部位に導入されて加熱され、該トナーを溶融し、記録媒体に当該画像を定着させる。
定着装置用の部材には、定着部材や加圧部材等がある。記録媒体上に保持された未定着トナー像が接する回転体は定着部材と称し、その形態に応じて定着ローラ、定着ベルト等と呼ばれる。一方、未定着トナー像と接しない、記録媒体を挟んで対向側にある回転体は加圧部材と称し、その形態に応じて加圧ローラ、加圧ベルト等と呼ばれる。
定着部材としては、金属または耐熱性樹脂などで形成された基体上に、耐熱性を有するシリコーンゴムを含む弾性層を配し、さらに接着剤を介してフッ素樹脂が被覆または薄層形成された構成が一般的に知られている。
定着部材の弾性層はその弾性機能と同時に、高い熱伝導性を要求されている。そのため、弾性層には、シリコーンゴムの如きゴム中に熱伝導性フィラーとして熱伝導性が高い無機充填材が配合されている。しかしながら、より高い熱伝導性を弾性層に持たせるために弾性層中の熱伝導性フィラーの配合量を多くすると弾性層が固くなり、弾性層の弾性が低下する場合がある。
近年、プリントスピードの高速化や画質の向上などを目的として、定着部材の弾性層の厚み方向の熱伝導性をさらに向上することが求められている。そのため、弾性層には、熱伝導性フィラーの含有量を過度に増やすことなく、熱伝導性を上げるための技術が求められている。
特許文献1では、弾性層に含まれる熱伝導性フィラーを大粒径フィラーと小粒径フィラーとのブレンドにすることで、比較的少ないフィラー配合量で、弾性層の低硬度と高熱伝導性を両立させた定着部材が開示されている。
また、特許文献2では、炭素繊維フィラーを厚み方向に配向することで、弾性層を高熱伝導化させた定着ローラが開示されている。
さらに、特許文献3では、合成樹脂中に熱伝導性フィラーを充填させた樹脂組成物に、電場を用いることで電界印加方向にフィラーを配向させて、フィラー配合量を増やすことなく、高熱伝導性を付与した樹脂組成物が開示されている。ここで言う配向とは、アスペクト比を有するフィラーの長辺が電界印加方向に向きを揃えることを指す。
特開2005−300591号公報 特開2007−101736号公報 特開2013−159748号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る弾性層の熱伝導率を1.5W/(m・K)超とするためには、シリコーンゴムに対するフィラー配合量を60体積%以上とする必要があると考えられる。この場合、更なる高熱伝導化を達成するためには、低硬度とすることが困難となる。
また、本発明者らは、特許文献1に係る弾性層について、フィラーの体積配合量を50体積%超とし、かつ、架橋剤の量を低減することにより、例えば、JIS A 硬度(JIS K6253)で、15°の如き柔らかさとした。その結果、そのような弾性層は、例えば200℃の如き高温に加熱した状態で繰り返し圧縮した場合、弾性層の破断や塑性変形が生じることがあった。
また、特許文献2に係る発明においては、炭素繊維を厚み方向に配向させるために弾性層の厚みを1〜5mm程度にする必要があり、500μm以下の薄肉の弾性層を有する定着部材に対しては熱伝導率を向上させることが困難であった。
さらに、特許文献3に開示されている技術を定着部材の弾性層に適用した場合は、配向前は図1(a)に示す状態で混合されていたフィラーの全てが厚み方向に配向し、図1(b)に示すようなフィラー配向状態になった。そのため、硬度が高くなり、また弾性層内にフィラーが粗な部分と密な部分が生じ、硬度ムラが発生した。そのため、定着部材への当該技術の適用は困難であった。
本開示の一態様は、厚み方向の熱伝導性が高く、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破壊や塑性変形が生じにくく、かつ低硬度な弾性層を有する定着部材の提供に向けたものである。
また、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像の形成に資する熱定着装置の提供に向けたものである。さらに、本開示の他の態様は、高品位な電子写真画像を形成することができる画像形成装置の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、未定着トナー像が形成された記録媒体を加圧、加熱することにより、該未定着トナー像を定着画像として記録媒体上に定着させる定着部材であって、
基材と、
該基材の外周上の、無機酸化物を含むフィラーを含む弾性層と、を有し、
(1)該弾性層の厚み−周方向の第1断面の二値化像、および、該弾性層の厚み−軸方向の第2断面の二値化像において、
該フィラーのうち、該フィラーの形状を楕円近似したときに
長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合をAと、
長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合をBとしたとき、
1.0≦(A/B)≦2.0、かつ、0.40≦(A+B)≦0.50であり、
(2)長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの該弾性層の厚み方向に対する平均配向角度θAveが、50°≦ θAve ≦90°
である定着部材が提供される。
本開示の他の態様によれば、上記の定着部材を有する熱定着装置が提供される。
さらに、本開示の他の態様によれば、感光体と、該感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、上記熱定着装置と、を有する画像形成装置が提供される。
本開示の一態様によれば、厚み方向の熱伝導性が高く、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破壊や塑性変形が生じにくく、低硬度な弾性層を有する定着部材が提供される。また本開示の他の態様によれば、定着性に優れ、高品位な電子写真画像を形成でき、かつ通紙耐久性に優れる熱定着装置及び画像形成装置が提供される。
従来の定着部材における弾性層中のフィラーの分散状態を説明する概念図である。(a)は、フィラー未配向状態を示し、(b)は、従来のフィラー配向状態の一例を示す。 本開示における弾性層中のフィラーの分散状態を説明する概念図であり、(a)フィラー未配向状態、(b)フィラー配向状態の一例である。 弾性層中のフィラーにかかる配向トルクに関する概念図である。 本開示の実施形態に係る定着部材の概略断面模式図であり、(a)はベルト形態を示し、(b)はローラ形態を示す。 本開示の実施形態に係る定着部材の弾性層を形成するためのコロナ帯電器の俯瞰図と断面図である。 図4に示すローラ形態の定着部材の弾性層の第1断面と第2断面を示す図である。 弾性層中のフィラーの平均配向角度θAveの確認方法を示す模式図である。 表層を積層する工程の一例の模式図である。 定着ベルト及び加圧ベルトを用いた熱定着装置の一例を示す断面模式図である。 定着ベルト加圧ローラ方式の熱定着装置の一例を示す断面模式図である。 高温耐圧試験に関する模式図である。
以下に図面を参照して、本開示に係る定着部材、熱定着装置及び画像形成装置について例示的に詳しく説明する。ただし、本開示に係る技術的範囲は、以下に例示的に示す形態に限定されるものではない。
本発明者らは、厚み方向の熱伝導性が高く、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破壊や塑性変形が生じにくく、かつ低硬度な弾性層を備えた定着部材を得ることを目的として検討を行った。その結果、熱伝導性フィラーが特定の分散状態である弾性層が、上記の目的の達成に有効であることを見出した。
本開示に係る定着部材は、記録媒体上の未定着トナー像を電子写真定着部材で加熱して該記録媒体上に定着させる定着装置において、該未定着トナー像に接し、該未定着トナー像を加熱する。
この定着部材は、少なくとも、基材と、該基材の外周上に設けられた無機酸化物を含むフィラーを含む弾性層と、を有する。そして、
(1)該弾性層の厚み−周方向の第1断面の二値化像、および、該弾性層の厚み−軸方向の第2断面の二値化像において、
該フィラーのうち、該フィラーの形状を楕円近似したときに、
長軸と短軸の比(長軸/短軸)が1.5未満の無機酸化物を含むフィラー(以降、「第1のフィラー」ともいう)の面積割合をAとし、
長軸/短軸が1.5以上の無機酸化物を含むフィラー(以降、「第2のフィラー」ともいう)の面積割合をBとしたとき、
1.0≦(A/B)≦2.0、かつ、0.40≦(A+B)≦0.50であり、
(2)長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの該弾性層の厚み方向に対する平均配向角度θAveが、50°≦θAve≦90°
である。
弾性層の厚さ方向の熱伝導率は1.3W/(m・K)以上2.0W/(m・K)未満であることが好ましい。
フィラーの形状を楕円近似したときの長軸/短軸、平均配向角度θAve、及び面積割合は後述する画像処理より求めることができる。なお、面積割合はフィラー配合量の体積%と同義である。
図2(b)に示すように、本開示に係る弾性層は、当該弾性層の第1断面及び第2断面から観察されるフィラーの形状を楕円近似したときの長軸と短軸の比(長軸/短軸)が1.5未満である第1のフィラーと、長軸/短軸が1.5以上である第2のフィラーとを含む。なお、本明細書中において、長軸と短軸の比(長軸/短軸)を、「アスペクト比」と称する場合がある。
そして、アスペクト比が1.5以上である第2のフィラーは、弾性層の厚み方向に平均配向角度θAveが、50°≦θAve≦90°となるように配向している。これにより、弾性層中のフィラーの総含有量を過度に増加させることなく、厚み方向の熱伝導性を十分に高めることができる。また、フィラーの総含有量を抑えることにより、弾性層の硬度の過度の上昇を抑えることができる。その結果、厚み方向の高い熱伝導性と低硬度とが両立された弾性層を得ることができる。なお、図1及び図2においては、図の上下方向が弾性層の厚み方向である。
楕円近似の方法としては、最小二乗法による近似を利用することができる。
アスペクト比が1.5未満である第1のフィラーを含むシリコーンゴム組成物は、アスペクト比が1.5以上である第2のフィラーを含むシリコーン組成物と比較して、どの方向から圧力が掛かっても、相対的にフィラーとシリコーンゴムとの界面に発生する局所的な応力を軽減することができる。そして、上記「A/B」が、1.0〜2.0の範囲内にある弾性層においては、当該弾性層中の第1のフィラーの量は、第2のフィラーの量と同程度またはそれ以上となっていると考えられる。その結果、当該弾性層に大きな歪が加わった場合でも、少なくとも第1のフィラーとシリコーンゴムとの界面付近への応力集中が緩和され、フィラーとシリコーンゴムとの界面からの破壊や塑性変形が有効に抑制されるものと考えられる。
一方、弾性層中に配合される熱伝導性フィラーの量を増やすことなく、厚み方向の熱伝導性を上げる方法として、力場や磁場、電場等の外場によってフィラーを配向させる技術がある。
定着部材の弾性層に配合される熱伝導性フィラーの材料として一般的に用いられるものとしては、アルミナやシリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウムの如き不定形の無機酸化物が多く、誘電分極を推進力とする電場による配向との親和性が高い。特許文献3に開示されている電場配向技術は平行平板電極間に、熱伝導性フィラーを分散させた硬化性液体を挟み込み、交流電場を数十分〜数時間印加すると同時に、熱等で硬化させるものである。これにより、フィラーを誘電泳動させて、電極間方向にフィラーを配向させた硬化物を得ている。
しかしながら、上記のような方法では、図1(b)に示すように、配合されたフィラーがすべて厚み方向に配向し、硬度上昇や硬度ムラを招来する場合がある。
これに対して、後述する、未硬化のゴム組成物層の外表面への電荷付与工程を経て形成される、本開示に係る定着部材の弾性層においては、長軸/短軸が1.5未満である第1のフィラーは、弾性層の厚み方向の配向の程度が低い。
一方、長軸/短軸が1.5以上である第2のフィラーは、未硬化の弾性層の外表面に電荷を付与工程により、図3に示すように誘電分極による配向トルクにより回転し、配向する。その結果、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーは、図2(a)に示す分散状態から、図2(b)に示すような分散状態に変化する。そのため、硬化後の弾性層においては、配向した、長軸/短軸が1.5以上の第2フィラーによって形成された熱伝導パスにより、熱伝導性がより向上することとなる。このことにより、当該弾性層中の熱伝導性フィラーの含有量の増加を抑えつつ、厚さ方向の高い熱伝導性を高めることができる。その結果、弾性層の柔軟性も維持される。
本開示に係る弾性層は、例えば以下のような方法で製造することができる。基体上に熱伝導性フィラー及び未硬化のゴムを含むゴム組成物層を形成した後、該ゴム組成物層の硬化前に、該ゴム組成物層の表面を帯電させる。これにより、該ゴム組成物層中に含まれる、主に不定形でアスペクト比の大きいフィラーが誘電分極し、トルクを受けて配向する。帯電する方法としては、非接触方式が好ましく、より好ましくは簡便かつ安価に略一様な帯電が可能なコロナ帯電器が好ましい。
その後、該組成物層を硬化させる。その結果、アスペクト比の大きいフィラーが厚み方向に配向し、効率的に熱が伝わる熱伝導パスが形成された弾性層が形成される。
本開示に係る弾性層において、図1(b)のように全体的に配向するのではなく、図2(b)のように長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーが選択的に移動して配向するメカニズムについては定かではないが、下記のように推察する。すなわち、弾性層を平行平板電極で挟んで電場を付与する系では、電極からの電場でフィラー全体に誘電泳動現象が発現する。これに対し、本実施態様においては、例えばコロナ帯電器を用いて、弾性層を、弾性層に非接触で、かつ、短い時間で帯電させることで電場を付与している。このことにより、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーを誘電泳動させる程の力が働いていないものと推察する。
本開示の一実施形態に係る定着部材及び熱定着装置について以下に具体的な構成に基づき詳細に説明する。
(1)定着部材の構成概略
本開示の一態様に係る定着部材の詳細について図面を用いて説明する。
図4(a)及び図4(b)は、本態様に係る定着部材を示す概略断面模式図である。図4(a)はエンドレス形状を有する定着部材(以降、「定着ベルト」ともいう)の周方向に直交する方向の断面を表し、図4(b)はローラ形状を有する定着部材(以降、「定着ロール」ともいう)の周方向に直交する方向の断面を表す。なお、エンドレス形状とは、定着ベルトが、周方向に回転移動することで、同じ部位が何度も(エンドレスに)定着ニップ部を通過できる形状である。
図4(a)及び図4(b)において、シリコーンゴムをバインダーとして含む弾性層4が基体3の外周面を被覆している。図4(a)及び図4(b)においては、半径方向が弾性層の厚み方向となる。
このように、本実施形態に係る定着部材は、基体3および基体3の上のシリコーンゴムを含む弾性層4を有する。
なお、これらの図に示すように、定着部材はシリコーンゴムを含む弾性層4の上に表層6を有することができる。
また、該定着部材は、シリコーンゴムを含む弾性層4と表層6との間に、接着層5を有することもでき、この場合、表層6は、シリコーンゴムを含む弾性層4の外周面に接着層5により固定される。
(2)定着部材の基体
図4(a)に示す定着ベルトに用いられる基体3としては、ニッケルやステンレスの如き金属を含むエンドレス形状の基体、ポリイミドの如き樹脂を含むエンドレス形状の基体が挙げられる。
ここで、定着ベルトの加熱に電磁誘導加熱方式を用いる場合は、発熱効率が高いニッケルや鉄を主に含む基体が好適に用いられる。
基体3の外面(弾性層側の面)には、弾性層との接着性を向上させる機能を付与するための層を設けることができる。すなわち、弾性層4は、基体3の外周面上に設けられればよく、弾性層4と基体3との間に他の層を設けることができる。また、基体3の内面(上記外面とは反対側の面)には、耐摩耗性や潤滑性などの機能を付与するための層をさらに設けることができる。なお、ベルト形態である場合は、以下の製造工程中、スリーブの内部に中子を挿入して取り扱う。
図4(b)に示す定着ローラに用いられる基体3としては、アルミニウム、鉄などの金属や合金からなる軸芯体(以下、芯金とも記載する。)が挙げられる。定着ローラに用いられる基体3は、熱定着装置内において定着ローラに加圧部材を押圧する際の圧力に耐え得る強度を有することが求められる。図4(b)に示す定着ロールの基体3は、中実の芯金であるが、中空の軸芯体を用いることもできる。中空の軸芯体を用いた場合、その内部にハロゲンランプの如き熱源を配置することができる。
(3−1)シリコーンゴムを含む弾性層
シリコーンゴムを含む弾性層4は、定着時に定着部材が紙の凹凸に追従するための優れた柔軟性を付与する層として機能する。シリコーンゴムは、非通紙部領域で240℃程度の高温になる環境においても柔軟性を保持できる高い耐熱性を有しているため好ましい。また、シリコーンゴムは、ゴム硬化前に表面を帯電させてフィラーを配向させるため、電気絶縁性であることが好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば後述のように付加硬化型の液状シリコーンゴムの硬化物が用い得る。
シリコーンゴムを含む弾性層4は、弾性層の厚さ方向の熱伝熱性を向上させるために熱伝導性フィラーを含む。
フィラーの種類については、フィラー自体の熱伝導率、比熱容量、密度、粒径、形状、比誘電率等を考慮して選択される。熱伝導性フィラーの材質としては、アルミナ(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、シリカ(SiO)等が挙げられる。これらのフィラーは単独で用いても混合して用いてもよい。
また、金属フィラー及び炭素繊維フィラーは、電気抵抗値が低いため、電場を印加したときに誘電分極を起こしにくくなるため、単独で使用する分には不適である。ただし、酸化膜を形成する表面処理を行うことで電気抵抗値を制御できる場合はこの限りではない。
フィラーについては、母材となるシリコーンへの親和性や電気抵抗値を所望の値にするという観点から、表面処理を行っても良い。具体的にはアルミナやシリカ、酸化マグネシウム等のフィラー表面に水酸基等の活性基を持つものはシランカップリング剤やヘキサメチルジシラザン等で表面処理される。
弾性層中の無機酸化物を含むフィラーのうち、該フィラーの形状を楕円近似したときに、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合をAとし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合をBとしたとき、
1.0≦(A/B)≦2.0、かつ、0.40≦(A+B)≦0.50
である。
上記したように、(A/B)が、1.0〜2.0である場合、弾性層に大きな歪が加わってもフィラーとシリコーンゴムとの界面付近からの破壊や、弾性層の塑性変形が生じにくい。そのため、弾性層は高い耐久性を発現し得る。これは、長軸/短軸が1.5未満である、球状に近い形状のフィラーが、全フィラーに対して所定の割合で含まれることで、弾性層にどのような方向から歪が加わっても、当該フィラーとシリコーンゴムとの界面に発生する局所的な応力が緩和されるためであると考えられる。
また、本態様に係る弾性層中のフィラーのうち、長軸/短軸が1.5以上である第2のフィラーが、弾性層の厚み方向に対する平均配向角度θAveが、50°≦θAve≦90°となるように配向している。このことにより、弾性層中の総フィラー量を過度に増やすことなく厚み方向の熱伝導性を高めることができる。その結果、弾性層の過度の硬度上昇を招来することなしに、厚み方向の熱伝導性を高めた定着部材を得ることができる。
弾性層中の各フィラー群の面積割合A、Bは、シリコーンゴムとフィラーの混合物(弾性層)の体積に対しての比率であり、0〜1(0〜100体積%)の値を示す。
弾性層中の各フィラー群の面積割合比(A/B)は、1以上2以下とする。A/Bが1未満の時は耐久性が劣る場合がある。また、A/Bが2を超える場合は、熱伝導率が劣る場合がある。
弾性層中の各フィラー群の面積割合の和(A+B)は、0.4以上0.5以下とする。A+Bを0.4以上とすることで、弾性層の高熱伝導化が見込め、A+Bを0.5以下とすることで弾性層の過度の硬度上昇を抑制することができる。
長軸/短軸が1.5未満である第1のフィラーの例としては、例えば、市販されている以下のものが挙げられる。アルミナとしては、「アルナビーズCB」(商品名、昭和電工社製)、酸化亜鉛としては、「LPZINC」(商品名、堺化学工業社製)、酸化マグネシウムとしては、「SL−WR」(商品名、神島化学工業社製)、酸化ケイ素(シリカ)としては、「トスパール」(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)。
また、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
アルミナとしては、「LS−130」(商品名、日本軽金属社製)、酸化亜鉛としては、「パナテトラWZ−05F1」(商品名、アムテック社製)、酸化マグネシウムとしては、「RF−10C−FC」(商品名、宇部マテリアルズ社製)、酸化ケイ素(シリカ)としては、「S6−5」(商品名、丸東社製)。
すなわち、本開示に係る無機酸化物を含むフィラーとしては、好ましくは、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つである。
また、フィラー粉末を公知の球状化処理(機械的球状処理や、高温雰囲気での溶融に伴う球状化手法)や粉砕処理などで形状を調整してもよい。
弾性層の第1断面及び第2断面において測定されるフィラーの面積割合は、弾性層中のフィラーの体積割合に対応し、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーと長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーとの体積配合割合を調整することによって調整することができる。しかし厳密な形状分布が分からない場合には、後述の画像処理で最終的に面積割合比を算出する。
シリコーンゴムを含む弾性層は、例えば、付加硬化型液状シリコーンゴム(未加硫ゴム)とフィラーとを含む付加硬化型液状シリコーンゴム組成物(未加硫ゴム組成物)を硬化させて形成することができる。
付加硬化型液状シリコーンゴムは、(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン、(b)ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン、(c)触媒(例えば白金化合物)、および(d)硬化遅延剤を含むことができる。
(a)は硬化反応時に架橋点として機能する。(b)は架橋剤である。(c)は硬化反応を促進するための触媒である。(d)は反応開始時間を制御するためのインヒビター(硬化遅延剤)である。
さらに、これらに加え、耐熱性、補強性等を付与するために、それぞれの目的にあった充填剤を混練・分散することもできる。以下に(a)〜(d)について説明する。
(a)不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン
不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン(以降、a成分と称することがある)は、ビニル基等の不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンであればいずれのものも用いることができる。例えば、下記式1と式2に示すものをa成分として用いることができる。
・RSiOで表わされる中間単位およびRSiOで表わされる中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記式1参照)。
Figure 2020194156
・RSiOで表わされる中間単位およびRSiOで表わされる中間単位からなる群から選択されるいずれか一方または両方の中間単位と、RSiO1/2で表される分子末端とを有する直鎖状オルガノポリシロキサン(下記式2参照)。
Figure 2020194156
(式1と式2において、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を表し、mおよびnは各々独立して0以上の整数を表す。)
なお、式1と式2においてRで表される、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等、アリール基(例えば、フェニル基等)を挙げることができる。特に、メチル基であることが好ましい。
また、式1と式2において、Rで表される不飽和脂肪族基としては、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基等を例示することができるが、ビニル基であることが好ましい。
式1においてn=0の直鎖状オルガノシロキサンは、両末端にのみ不飽和脂肪族基を有するものであり、n=1以上の直鎖状オルガノシロキサンは、両末端と側鎖に不飽和脂肪族基を有するものである。また、式2の直鎖状オルガノシロキサンは、側鎖にのみ不飽和脂肪族基を有するものである。a成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、a成分を定着部材の弾性層に用いる場合、成形性に優れるという観点から、粘度は100mm/s以上、50000mm/s以下であることが好ましい。粘度(動粘度)は、JIS Z 8803:2011に基づき、毛管粘度計や回転粘度計等を用いて測定することができる。また、市販のa成分を使用する場合、カタログ値を参照することができる。
(b)ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン(架橋剤)
ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン(以降、b成分と称することがある)は、白金化合物の触媒作用により、a成分中の不飽和脂肪族基との反応によって架橋構造を形成させる架橋剤である。
b成分は、Si−H結合を有するオルガノポリシロキサンであれば、いずれのものも用いることができるが、例えば、以下の条件を満たすものを好適に用いることができる。なお、b成分は、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
・不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンとの反応による架橋構造の形成を促すという観点から、ケイ素原子に結合した水素原子の数が1分子中に平均3個以上のもの。・ケイ素原子に結合した有機基が、例えば上述したような非置換炭化水素基であるものを挙げることができるが、メチル基であることが好ましい。
・シロキサン骨格(−Si−O−Si−)は、直鎖状、分岐状および環状のいずれであってもよい。
・Si−H結合は、分子中のどのシロキサン単位に存在してもよい。
たとえば、下記式3と式4に示す直鎖状のオルガノポリシロキサンをb成分として用いることができる。
Figure 2020194156
Figure 2020194156
(式3と式4において、Rはそれぞれ独立に不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基を表し、pは0以上の整数を表し、qは1以上の整数を表す。)
なお、Rは式1と式2で説明したとおり、不飽和脂肪族を含まない非置換炭化水素基であるが、メチル基であることが好ましい。
(c)触媒
ヒドロシリル化(付加硬化)触媒としては、例えば、白金化合物を用いることができる。具体的には、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体等を挙げることができる。以下、これをc成分と称することがある。
(d)硬化遅延剤
ヒドロシリル化(付加硬化)の硬化反応速度を調整するために、硬化遅延剤と呼ばれるものを配合することができる。具体的には、2−メチル−3−ブチン−2−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等を挙げることができる。以下、これをd成分と称することがある。
シリコーンゴムを含む弾性層の弾性率は、(a)成分の種類や配合量、(b)成分の種類や配合量、(c)成分の種類や配合量、(d)成分の種類や配合量によって、ある程度調整することができる。シリコーンゴムを含む弾性層は、0.20MPa以上、1.20MPa以下の(引張り)弾性率を有することがより好ましい。弾性層の弾性率がこの範囲内であれば、低硬度(柔軟)な弾性層となり、高画質な画像を得ることができる。また、0.2MPa以上とすることで、後述する定着部材の製造工程における余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤の扱き出しの際に、弾性層が、変形することを防ぐことができる。
なお、弾性層に含有されるシリコーンゴムの組成は赤外分光分析装置(FT−IR)(例えば、商品名:Frontier FT IR,PerkinElmer社製)を用いた全反射(ATR)測定を行うことにより確認可能である。シリコーンの主鎖構造であるケイ素−酸素結合(Si−O)は、伸縮振動に伴い波数1020cm−1付近に強い赤外吸収を示す。さらに、ケイ素原子に結合したメチル基(Si−CH)は、その構造に起因する変角振動に伴い、波数1260cm−1付近に強い赤外吸収を示すことから、その存在を確認することが可能である。
弾性層における硬化シリコーンゴム及びフィラーの含有量は、熱重量測定装置(TGA)(例えば、商品名:TGA851,Mettler−Toledo社製)を用いることにより確認可能である。弾性層を剃刀等で切り出し、20mg程度を正確に秤量して、装置で使用するアルミナパンに入れる。試料の入ったアルミナパンを装置にセットし、窒素雰囲気のもと、室温から800℃まで20℃毎分の昇温速度で加熱し、さらに800℃で1時間定温する。窒素雰囲気中では、昇温に伴い、硬化シリコーンゴム成分は酸化されずにクラッキングにより分解・除去されるため、試料の質量が減少する。こうして測定前後の質量を比較することにより、弾性層に含まれていた硬化シリコーンゴム成分の含有量、およびフィラーの含有量を確認することができる。
(3−2)弾性層への電場付与工程
以下、一実施形態としてコロナ帯電器とそれを用いた弾性層への電場付与工程について説明する。コロナ帯電方式にはコロナワイヤーと被帯電体との間にグリッド電極を持つスコロトロン方式と、グリッド電極を持たないコロトロン方式があるが、被帯電体の表面電位の制御性が優れるという観点から、スコロトロン方式が好ましい。
図5(a)及び図5(b)に示すように、コロナ帯電器2は、前ブロック201、奥ブロック202、シールド203、204を備える。また、前ブロック201と奥ブロック202の間に放電ワイヤ205が張架され、高圧電源により帯電バイアスが印加されると、放電して被帯電体としての基体上の硬化前の弾性層4の表面を帯電する。
一般的なコロナ帯電器の構成と同様に、放電部材としての放電ワイヤ205に対して高電圧を印加する。そしてシールド203、204への放電によって得られるイオン流をグリッド206に高電圧を印加することによって制御して、弾性層4の表面電位を所望の電位に制御する。このとき、基体3もしくは基体3を保持する中子1が接地されているため(図示しない)、弾性層4の表面の表面電位を制御することで、弾性層4に所望の電場を発生させることが可能となる。
上記実施形態の定着部材の製造方法を詳述すると、まず基体3上に第1のフィラー及び第2のフィラーを含む付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の層(以降、「組成物層」ともいう)504を形成する。次にコロナ帯電器2を図5(a)に示すように、該組成物層504の幅方向に沿って近接して対向させて配置する。そしてコロナ帯電器2のグリッド206に電圧を印加し、該コロナ帯電器から放電させた状態で、基体3を、例えば100rpmで20秒間回転させる。こうして、組成物層504の表面を帯電させる。組成物層504の表面とグリッド206との距離は1mm〜10mmとすることができる。このようにして組成物層504の表面を帯電させることにより、組成物層504内に電場が生じ、特に長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーが誘電分極する。その結果、第2フィラートルクを受けて組成物層504の厚み方向に配向する。その後、組成物層504を硬化させて、第2のフィラーの配向が固定された弾性層4を得る。
グリッド206に印加する電圧は、第2のフィラーに有効な静電的相互作用を発生させる観点から、絶対値として0.3kV〜3kVの範囲で行うことが好ましい。電場を用いて組成物層504の厚み方向の不定形フィラーの配向を形成する場合においては、組成物層504の厚み方向に電界を発生させることが重要である。
グリッドに印加する電圧の符号はワイヤに印加する電圧の符号と等しくすれば、マイナスでもプラスでも電界の方向は逆になるものの、得られる効果は同じである。熱伝導性のフィラーの種類によっては、不定形フィラーの配向が形成されにくい場合があり、この場合はグリッド206に印加する電圧を大きくすることが好ましい。これはシリコーンゴム成分と熱伝導性のフィラーの誘電率が関係していると推測される。シリコーンゴムとフィラーの誘電率差が大きい場合は比較的小さな印加電圧で第2のフィラーを配向させることが可能である。一方、グリッド206に印加する電圧が大きすぎる場合、組成物層504の表面電荷による静電反発力が大きくなることで液面流動が起こり、組成物層504の表面性が低下する場合がある。したがって、グリッド206に印加する電圧は、絶対値として0.6kV〜2kVの範囲がさらに好ましい範囲である。
組成物504の表面の長手方向における電位制御の範囲としては、定着部材の通紙域よりも広いことが好ましい。例えば、図5(a)に示される構成を用いることができ、グリッド206に電圧を印加している間は、中子1の中心軸を回転軸として回転させることで組成物504の全体を帯電させることが可能である。なお、定着ベルトの回転数としては10rpm〜500rpm、処理時間としては、第2のフィラーを安定的に配向させる観点から5秒以上が好ましい。このようにして、組成物層504の表面電位を制御することで、第2のフィラーの配向の程度を制御することができる。
放電ワイヤ205として、ステンレススチール、ニッケル、モリブデン、タングステンなどを用いてもよいが、金属の中で非常に安定性の高いタングステンを用いることが好ましい。なお、シールドの内側に張架される放電ワイヤは円断面形状でもノコギリ歯のような形状であっても良い。
また、放電ワイヤ205の直径としては、40μm〜100μmが好ましい。放電ワイヤの直径をこのような範囲内にすることで、放電の際のイオンによる放電ワイヤの切断を抑制することができ、また、コロナ放電を生じさせるために必要な電圧を過度に高くする必要がないためである。放電ワイヤ205に印加する電圧は、直流電圧および交流電圧のいずれでも用いることができる。交流電圧の場合は周波数として1Hz〜1000Hz程度で行うことが好ましい。矩形波や正弦波などの波形の電圧は任意波形発生器で出力させることができる。
(3−3)弾性層中フィラーの平均配向角度θAveの確認方法
弾性層中の第2のフィラーの平均配向角度θAveの確認は、弾性層の断面画像から得られる二値化像を用いて、画像解析を行うことで可能となる。
事前準備として、測定用断面を形成する。
図6に示す、弾性層4の厚み方向−周方向(「厚み−周方向」とも記載する。)の第1断面4Aから5箇、厚み方向−軸方向(「厚み−軸方向」とも記載する。)の第2断面4Bから5箇、予め鋭利なナイフやはさみ等により断面試料片を取得することが好ましい。その後、イオンビームを用いた断面形成方法を用いることが好ましい。イオンビームを用いた断面形成方法を用いることで、断面研磨加工で発生しやすいフィラーの脱落や研磨剤などの余分な成分の混入を防ぐことができる上、研磨痕の少ない断面を形成することができる。イオンビームによる断面形成加工には、一例としてクロスセクションポリッシャを用いることができる。
次に、得られた断面をレーザー顕微鏡や走査型電子顕微鏡(SEM)等で観察し、150μm×100μm領域の断面画像を取得する(図7(a))。
得られた画像を市販の画像ソフトにより、フィラー部分を白く、シリコーンゴム部分を黒くなるように、白黒二値化処理を行う(図7(b))。二値化の手法としては、例えば大津法を用いることができる。
得られた二値化像の各フィラー7A、7Bについて、楕円近似を行い、長軸/短軸が1.5未満のフィラー7Aだけを残した第1画像(図7(c))、及び、長軸/短軸が1.5以上のフィラー7Bだけを残した第2画像(図7(d))を得る。なお、図7(d)は、楕円近似を行った場合に、長軸/短軸が1.5以上となるフィラー7Bの、楕円近似前の画像を示している。
そして、第1画像及び第2画像の各々から、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラー7Aの面積割合をAとし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラー7Bの面積割合をBとしたときのA/Bを算出する。
さらに楕円近似を行った場合に長軸/短軸が1.5以上となるフィラーのみを残したフィラー画像(図7(d))から各フィラーの配向角度を画像解析により算出する。配向角度θは、弾性層の厚み−周方向の第1断面4Aでは周方向を0°(厚み方向を90°)とし、厚み−軸方向の第2断面4Bでは軸方向を0°とした際の成す角度を示す。具体的には、0°から長半径までの角度が90°以下ならその角度を配向角度θとし(図7(e2))、0°から長半径までの角度が90°超なら長半径から180°までの角度を配向角度θとする(図7(e4))。このように、配向角度θは、0〜90°の範囲で定義される(図7(e2)、(e4))。したがって、配向角度が90°に近い程、厚み方向にフィラーが配向していることを示す。
フィラーの面積割合は、弾性層の厚み−周方向の第1断面4Aと、厚み−軸方向の第2断面4Bの各々で5箇所、計10箇所のフィラーの面積割合の平均値とする。平均配向角度θAveも同様に、弾性層の厚み−周方向の第1断面4Aと、厚み−軸方向の第2断面4Bの各々で5箇所、計10箇所の配向角度θの平均値とする。なおフィラーの面積割合はフィラーの体積配合割合と同義である。そのため、球状フィラーと不定形フィラーとの配合比を調整することによって、長軸/短軸が1.5未満のフィラーと長軸/短軸が1.5以上のフィラーとの体積配合割合(面積割合比)を調整することができる。しかし厳密な形状分布が分からない場合には、最終的に画像処理で面積割合比を算出する。
弾性層中の各フィラーの面積割合比(A/B)は、1以上2以下とする。面積割合比(A/B)が1未満のときは耐久性が劣る場合がある。また、面積割合比(A/B)が2を超えるときは、熱伝導率が劣る場合がある。
弾性層中の各フィラーの面積割合の和(A+B)は、0.4以上0.5以下とする。面積割合の和(A+B)を0.4以上にすることで、弾性層の高熱伝導化が見込め、面積割合の和(A+B)を0.5以下とすることで弾性層の低硬度を確保することができる。
長軸/短軸が1.5以上のフィラーの平均配向角度θAveは50°以上90°以下とする。90°方向が弾性層の厚み方向になるため、平均配向角度θAveが、90°に近いほど、該フィラーは、厚み方向に配向していることになる。そのため、該フィラーの平均配向角度θAveを50°以上90°以下とすることにより、厚み方向の熱伝導性を高くすることができる。
弾性層の厚み方向の熱伝導率λは、以下の式から算出することができる。
λ=α×C×ρ
ここで、λは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。
なお、各パラメータの測定方法は実施例において詳述する。
また、弾性層の柔軟性を評価する基準として硬度又は引張弾性率がある。
硬度は、例えば日本産業規格(JIS) K7312に基づいて測定、あるいはマイクロゴム硬度計(MD−1TYPE−C硬度計、高分子計器株式会社製)を用いて測定することができる。
引張弾性率は、弾性層から打ち抜き型(JIS K6251:2004にて規定されるダンベル状8号型)により試料片を切り出し、測定箇所の厚みを測定する。次に、切り出した試料片を、例えば引張試験機(装置名:ストログラフEII−L1、(株)東洋精機製作所製)を用いて、室温で引張り速度200mm/minで引っ張ることにより引張応力を測定する。引張弾性率は、測定結果から横軸に試料片の歪み、縦軸に引張り応力をとったグラフを作成し、歪みが0〜10%の範囲において測定データを線形近似したときの傾きとする。
弾性層の厚み方向の熱伝導率を1.30W/(m・K)以上とすることで良好な定着を行うことができる。また、2.00W/(m・K)以上にすると硬度が高くなることがあるため、2.00W/(m・K)未満が好ましい。
(4)定着部材の接着層
図4に示す接着層5は、弾性層4と表層(離型層)6とを接着するための接着剤の層である。接着剤としては、自己接着成分を含む付加硬化型液状シリコーンゴム混合物を含む接着剤を好適に用い得る。具体的には、ビニル基に代表される不飽和脂肪族基を分子鎖中に複数有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンおよび架橋触媒としての白金化合物とを含有する。そして、付加反応により硬化する。このような接着剤としては、既知のものを使用することができる。
自己接着成分の例は、以下のものを含む。
・ビニル基等のアルケニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、およびフェニル基からなる群から選択される少なくとも1種、好ましくは2種以上の官能基を有するシラン、
・ケイ素原子数が2個以上30個以下、好ましくは4個以上20個以下の、環状または直鎖状のシロキサン等の有機ケイ素化合物、
・分子中に酸素原子を含んでもよい、非ケイ素系(すなわち、分子中にケイ素原子を含有しない)有機化合物。該有機化合物は、好ましくは、1価以上4価以下、より好ましくは、2価以上4価以下のフェニレン構造等の芳香環を、好ましくは1分子中に1個以上4個以下、より好ましくは1個以上2個以下含有する。かつ、ヒドロシリル化付加反応に寄与しうる官能基(例えば、アルケニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基)を1分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上4個以下含有する。
上記の自己接着成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。接着剤中には、粘度を調整したり、耐熱性を確保したりするという観点から、本開示の趣旨に沿う範囲内においてフィラー成分を添加することができる。当該フィラー成分の例は、以下のものを含む。
・シリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、酸化セリウム、水酸化セリウム、カーボンブラック等。
このような付加硬化型シリコーンゴム接着剤は市販もされており、容易に入手することができる。
接着層の厚みは20μm以下であることが好ましい。20μm以下とすることで定着部材の熱抵抗を小さく設定でき、内面側(基体側)からの熱を効率的に未定着トナーや紙の如き記録媒体に伝えることができる。
(5)定着部材の表層
表層6は、フッ素樹脂からなり、成形方法としてはチューブ法やコート法が用いられる。以下に例示する樹脂をチューブ状に成形したものを被覆する、チューブ法について例示する。
・テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等。上記例示列挙した樹脂材料中、成形性やトナー離型性に優れるという観点からPFAが好ましい。
フッ素樹脂層(表層)の厚みは、10μm以上50μm以下とすることが好ましい。フッ素樹脂層を該弾性層上に積層した際に下層の弾性層の弾性を維持し、定着部材としての表面硬度が高くなりすぎることを抑制しつつ、耐摩耗性を確保できるからである。
フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施すことで、接着性を向上させることができる。
図8は、シリコーンゴムを含む弾性層4の上に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を介して表層6を積層する工程の一例を説明するための模式図である。基体3の外周面に形成された弾性層4の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を塗布する。さらにその外面に、表層6としてのフッ素樹脂チューブ6を被覆し、積層させる。
フッ素樹脂チューブの被覆方法は特に限定されないが、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を潤滑材として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法などを用いることができる。
不図示の手段を用いて、弾性層4とフッ素樹脂からなる表層6との間に残った、余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤を、扱き出すことで除去する。扱き出した後の接着層5の厚みは、伝熱性の低下を抑制するという観点から20μm以下とすることが好ましい。次に、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を硬化・接着させ、幅方向の両端部を所望の長さに切断することで、定着部材を得ることができる。
(6)熱定着装置
本実施形態に係る熱定着装置は、一対の加熱されたローラとローラ、ベルトとローラ、ベルトとベルト、といった回転体が互いに圧接されるように構成されている。熱定着装置の種類は、熱定着装置が搭載される画像形成装置全体としてのプロセス速度、大きさ等の条件を勘案して適宜選択される。
熱定着装置においては、加熱された定着部材と加圧部材とを圧接することで定着ニップNを形成し、この定着ニップNに未定着トナーによって画像が形成された、被加熱体となる記録媒体Sを挟持搬送させる。未定着トナーによって形成された画像をトナー像tと称する。これにより、トナー像tを加熱、加圧する。その結果、トナー像tは溶融・混色され、その後、冷却されることによって記録媒体上に画像が定着される。
(7)画像形成装置
本実施形態に係る画像形成装置は、
感光体と、
該感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、
該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
上記の熱定着装置と、を有する。
以下、熱定着装置の具体例を挙げて、その構成を説明するが、本開示の範囲並びに用途はこれに限定されるものではない。
(6−1)定着ベルト−加圧ベルト方式の熱定着装置
図9は一対の定着ベルト11と加圧ベルト12といった回転体が圧接されている、いわゆるツインベルト方式の熱定着装置であり、定着部材として定着ベルトを備えた熱定着装置の一例の断面模式図である。
なお、ここで、熱定着装置またはこれを構成している部材について幅方向とは図9の紙面に垂直な方向である。熱定着装置について正面とは記録媒体Sの導入側(図9の右側)の面である。熱定着装置について左または右とは熱定着装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは熱定着装置を正面から見たときの左右方向のベルトの寸法である。また記録媒体Sの幅とは搬送方向に直交する方向の記録媒体の寸法である。また上流または下流とは記録媒体の搬送方向に関して上流(図9の右側)または下流(図9の左側)である。
この熱定着装置は、定着部材としての定着ベルト11と、加圧ベルト12とを備えている。定着ベルト11と加圧ベルト12は、図4(a)に示すようなニッケルを主成分とした金属製の可撓性を有する基体を含むベルトを2つのローラに張架したものである。
定着ベルト11を加熱するための加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱により加熱可能な加熱源(誘導加熱部材、励磁コイル)を採用している。誘導加熱部材13は、誘導コイル13aと、励磁コア13bと、それらを保持するコイルホルダー13cと、から構成される。誘導コイル13aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア13bの中に配置されている。励磁コア13bはフェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用いるため、誘導コイル13aや励磁コア13bによる損失を抑えられ、効率的に定着ベルト11を加熱することができる。
励磁回路14から誘導加熱部材13の誘導コイル13aに高周波電流が流されると、定着ベルト11の基体が誘導発熱して基体側から定着ベルト11が加熱される。定着ベルト11の表面温度がサーミスタ等の温度検知素子15により検知される。この温度検知素子15で検知される定着ベルト11の温度に関する信号が制御回路部16に送られる。制御回路部16は温度検知素子15からの温度情報に基づき該定着ベルト11の温度が所定の温度に維持されるように、励磁回路14から誘導コイル13aに対する供給電力を制御する。
定着ベルト11は、ベルト回転部材としてのローラ17並びに加熱側ローラ18によって張架されている。ローラ17と加熱側ローラ18はそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。
ローラ17は、例えば、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、定着ベルト11に張りを与えるテンションローラとして機能している。加熱側ローラ18は、例えば、外径が20mmで、内径が18mmである厚さ1mmの鉄合金製の芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。
この加熱側ローラ18は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印で示す時計回り方向に所定の速度で回転駆動される。この加熱側ローラ18に上記のように弾性層を設けることで、加熱側ローラ18に入力された駆動力を定着ベルト11へ良好に伝達することができるとともに、定着ベルト11からの記録媒体の分離性を確保するための定着ニップを形成できる。加熱側ローラ18が弾性層を有することによって、加熱側ローラへの熱伝導も少なくなるためウォームアップタイムの短縮にも効果がある。
定着ベルト11は、加熱側ローラ18が回転駆動されると、加熱側ローラ18のシリコーンゴム表面と定着ベルト11の内面との間に生じる摩擦力によってローラ17と共に回転する。ローラ17および加熱側ローラ18の配置や大きさは、定着ベルト11の大きさに合わせて選択される。例えば上記ローラ17および加熱側ローラ18の寸法は、未装着時の内径が55mmの定着ベルト11を張架できるように選択されたものである。
加圧ベルト12は、ベルト回転部材としてのテンションローラ19と加圧側ローラ20とによって張架されている。加圧ベルトの未装着時の内径は例えば55mmである。テンションローラ19と加圧側ローラ20とはそれぞれ装置の不図示の左右の側板間に回転自由に軸受させて支持させている。
テンションローラ19は、例えば、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製の芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト12からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてある。
加圧側ローラ20は、例えば、外径が20mmで、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の剛性ローラである。テンションローラ19、加圧側ローラ20の寸法も同様に、加圧ベルト12の寸法に合わせて選択されたものである。
ここで、定着ベルト11と加圧ベルト12との間にニップ部Nを形成するために、加圧側ローラ20は、回転軸の左右両端側が不図示の加圧機構により矢印Fの方向に所定の加圧力にて加熱側ローラ18に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広いニップ部Nを得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、定着ベルト11を加圧ベルト12に向けて加圧する第1の加圧パッドとしての定着パッド21と、加圧ベルト12を定着ベルト11に向けて加圧する第2の加圧パッドとしての加圧パッド22である。定着パッド21及び加圧パッド22は装置の不図示の左右の側板間に支持させて配設してある。加圧パッド22は、不図示の加圧機構により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド21に向けて加圧されている。第1の加圧パッドである定着パッド21はパッド基体とベルトとに接する摺動シート(低摩擦シート)23を有する。第2の加圧パッドである加圧パッド22もパッド基体とベルトとに接する摺動シート24を有する。これはパッドのベルト内周面と摺擦する部分における削れを抑制するためである。ベルトとパッド基体との間に、摺動シート23と24を介在させることで、パッドの削れを抑制し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
なお、定着ベルトには非接触の除電ブラシ(不図示)、加圧ベルトには接触の除電ブラシ(不図示)を各々設けている。
制御回路部16は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。これにより加熱側ローラ18が回転駆動され、定着ベルト11が同じ方向に回転駆動される。加圧ベルト12は、定着ベルト11に従動して回転する。ここで、定着ニップ最下流の部分において、加熱側ローラ18と加圧側ローラ20とによって定着ベルト11と加圧ベルト12とを挟む構成とした。このことで、定着ベルト11のスリップを抑制することができる。定着ニップ最下流の部分は定着ニップにおける圧分布(記録媒体搬送方向)が最大となる部分である。
定着ベルト11が所定の定着温度に立ち上がって維持(以下、温調という)された状態において、定着ベルト11と加圧ベルト12との間のニップ部Nに、未定着トナー画像tを有する記録媒体Sが搬送される。記録媒体Sは、未定着トナー画像tを担持した面を、定着ベルト11側に向けて導入される。そして、記録媒体Sの未定着トナー画像tが定着ベルト11の外周面に密着したまま挟持搬送されていくことにより、定着ベルト11から熱が付与され、また加圧力を受けて記録媒体Sの表面にトナー画像が定着される。この際、定着ベルト11の加熱された基体からの熱は、厚み方向の熱伝導性を高めた弾性層を通じて記録媒体Sに向けて効率よく輸送される。その後、記録媒体Sは、分離部材25によって、定着ベルト11から分離されて、搬送される。
(6−2)定着ベルト−加圧ローラ方式の熱定着装置
図10は、本開示の一態様に係る、エンドレス形状を有する電子写真定着部材、すなわち、定着ベルト11と、加圧ローラ33と、定着ベルト11の内部に配置された、該定着ベルトを非輻射熱(non-radiant heating)によって加熱するための加熱体であるセラミックヒータ31とを具備する加熱ベルト−加圧ローラ方式の熱定着装置の例を示す模式図である。なお、本開示に係る熱定着装置において、該定着ベルトを加熱するためのヒータとしては、本態様に示す非輻射熱で該定着ベルトを加熱するヒータに限定されるものではない。例えば、輻射熱によって該定着ベルトを加熱することができる、ハロゲンヒータの如きヒータを用いることもできる。
図10において、円筒状もしくはエンドレス状の定着ベルト11として、上述のようなベルトが用いられる。定着ベルト11は、耐熱性・断熱性のベルトガイド30によって保持されている。ベルトガイド30が定着ベルト11と接触する位置(ベルトガイド30の下面のほぼ中央部)に、定着ベルト11を加熱するセラミックヒータ31が、ガイド長手方向(紙面に垂直な方向)に沿って形成具備させた溝部に嵌入して固定支持させている。そして、定着ベルト11はベルトガイド30にルーズに外嵌されている。また、加圧用剛性ステイ32はベルトガイド30の内側に挿通してある。
一方、定着ベルト11に対抗する加圧ローラ33が配設されている。なお加圧ローラ33は、本例では弾性加圧ローラ、すなわち、芯金33aにシリコーンゴムの弾性層33bを設けて硬度を下げたものである。加圧ローラ33は、芯金33aの両端部を装置の手前側のシャーシ側板(不図示)と奥側のシャーシ側板(不図示)との間に回転自由に軸受け保持されて配設されている。なお、弾性加圧ローラには、表面性を向上させるために、不図示のPFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)チューブを被覆している。
加圧用剛性ステイ32の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材(不図示)との間にそれぞれ加圧バネ(不図示)を縮設することで、加圧用剛性ステイ32に押し下げ力を作用させている。これにより、耐熱樹脂製のベルトガイド30の下面に配設したセラミックヒータ31の下面と加圧ローラ33の上面とが定着ベルト11を挟んで圧接して定着ニップ部Nが形成される。
加圧ローラ33は不図示の駆動手段により矢印で示す反時計回り方向に回転駆動される。この加圧ローラ33の回転駆動による加圧ローラ33と定着ベルト11の外面との間に作用する摩擦力によって定着ベルト11に回転力が作用する。そして、定着ニップ部Nにおいて、定着ベルト11は、その内周面と、セラミックヒータ31の下面とが接した状態で摺動しながら、時計回り方向に加圧ローラ33の回転周速度にほぼ対応した周速度でベルトガイド30の外回りに回転する。
(加圧ローラ駆動方式)。
プリントスタート信号に基づいて加圧ローラ33の回転が開始され、またセラミックヒータ31のヒートアップが開始される。加圧ローラ33の回転による定着ベルト11の回転周速度が定常化し、セラミックヒータの上面に設けた温度検知素子34の温度が所定温度に昇温した瞬間に、定着ベルト11と加圧ローラ33との間の定着ニップ部Nに記録媒体Sが導入され、加熱される。所定温度とは、例えば180℃である。被加熱材としての未定着トナー画像tを担持した記録媒体Sはトナー像担持面側を定着ベルト11側にして導入される。そして、記録媒体Sは定着ニップ部Nにおいて定着ベルト11を介してセラミックヒータ31の下面に密着し、定着ベルト11と一緒に定着ニップ部Nを移動通過していく。その移動通過の過程において、定着ベルト11の熱が記録媒体Sに付与され、トナー画像tが記録媒体S面に加熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録媒体Sは定着ベルト11の外面から分離して搬送される。
加熱体としてのセラミックヒータ31は、定着ベルト11、記録媒体Sの移動方向に直交する方向を長手方向とする低熱容量の横長の線状加熱体である。セラミックヒータ31は、チッ化アルミニウム等からなるヒータ基板31aと、このヒータ基板31aの表面にその長手に沿って設けた発熱層31bと、さらにその上に設けたガラスやフッ素樹脂等の保護層31cを基本構成とするものが好ましい。発熱層31bは、例えばAg/Pd(銀/パラジウム)等の電気抵抗材料をスクリーン印刷等により塗工して厚み約10μm、幅1〜5mmの層としたものが好ましい。なお、用いるセラミックヒータはこのようなものに限定されるわけではない。
そして、セラミックヒータ31の発熱層31bの両端間に通電されることで発熱層31bは発熱し、ヒータ31が急速に昇温する。
セラミックヒータ31は、ベルトガイド30の下面のほぼ中央部にガイド長手に沿って形成具備させた溝部に、保護層31c側を上向きに嵌入して固定支持させてある。ヒータ基板31aの下面に摺動部材31dを設け、定着ベルト11と接触する定着ニップ部Nにおいて、この摺動部材31dの下面と定着ベルト11の内面とが相互接触して摺動することが好ましい。
以上のように、定着ベルト11は、シリコーンゴムを含む弾性層の厚み方向の熱伝導率を高めるとともに硬度も低く抑えている。このような構成により、定着ベルト11は未定着トナー像を効率的に加熱でき、かつ低硬度であるため、記録媒体Sに高画質な画像を定着させることができる。
以上のように、本開示の一態様によれば、上記のような定着部材が配置された熱定着装置が提供される。したがって定着性能に優れ、かつ高画質な画像を定着させることができる定着部材を配置した熱定着装置を提供することができる。
以上説明したように、本開示の一態様によれば、厚み方向の熱伝導性が高く、高温状態における繰り返しの圧縮によっても破壊や塑性変形が生じにくく、低硬度な弾性層を有する定着部材が提供される。また本開示の他の態様によれば、定着性に優れ、高品位な電子写真画像を形成でき、かつ通紙耐久性に優れる熱定着装置及び画像形成装置が提供される。
以下に、実施例を用いてより詳細に本開示を説明する。
[硬度ムラ比較試験]
平行平板電極で作製した弾性層サンプルと、本開示の実施例であるコロナ帯電器で作製した弾性層サンプルとで硬度ムラの比較を行った。
(1)液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
まず、a成分として分子鎖両末端にのみ不飽和脂肪族基であるビニル基を有し、その他不飽和脂肪族基を含まない非置換炭化水素基としてメチル基を有するシリコーンゴムを98.6質量部準備した。このシリコーンゴム(商品名:DMS−V35、Gelest社製、粘度5,000mm/s)を以降「Vi」と称する。
次いで、このViに熱伝導性フィラーとして、球状アルミナ(商品名:CB−P10、昭和電工(株)製)を220質量部添加した。さらに、不定形アルミナ(商品名:LS−130、日本軽金属(株)製)を120質量部添加し、十分に混合して混合物1を得た。
次いで、d成分として硬化遅延剤である1−エチニル−1−シクロヘキサノール(東京化成工業(株)製)0.2質量部を同質量のトルエンに溶解したものを、混合物1中に添加して混合物2を得た。
次いで、c成分としてヒドロシリル化触媒(白金触媒:1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、および2−プロパノールの混合物)0.1質量部を、混合物2中に添加して混合物3を得た。
さらに、b成分としてシロキサン骨格が直鎖状で、ケイ素に結合した活性水素基を側鎖にのみ有するシリコーンゴム(商品名:HMS−301、Gelest社製、粘度30mm/s、以降「SiH」と称する)を、1.4質量部計量した。これを、混合物3に添加し、十分に混合することで、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2−1)平行平板電極サンプルの作製
上記シリコーンゴム組成物を厚み500μmのアクリルスペーサーと酸化インジウムスズ(以下「ITO」と称する)ガラス電極で挟み込み、一辺の長さ50mmの正方形かつ厚み500μmのサンプル片を作製した。
ITOガラス電極に電源を接続し、交流電圧950V、周波数60Hzを印加させながら、温度80℃の環境下に2時間静置してシリコーンゴムを硬化させた。その後、電極からシリコーンゴム硬化物を剥がし、温度200℃の環境下に30分間静置して二次硬化を行い、平行平板電極サンプルを得た。
(2−2)コロナ帯電サンプルの作製
ステンレス鋼製のフィルム(以降、「SUSフィルム」ともいう)上に、スリットコーター装置を用いて上記シリコーンゴム組成物の厚み500μmの未硬化膜を形成した。そのSUSフィルムを円筒形の中子に貼り付け、回転させながらコロナ帯電器で帯電処理を行った。条件は、回転速度100rpm、コロナ帯電器のワイヤへの供給電流が−150μA、グリッド電極電位が−950V、帯電時間20秒、グリッド電極と未硬化膜との距離が4mmであった。
この帯電させた未硬化サンプルを160℃の電気炉で1分間加熱した(一次硬化)後、200℃の電気炉で30分間加熱して(二次硬化)、シリコーンゴム組成物を硬化させることによりコロナ帯電サンプルを得た。
(3)サンプルの硬度ムラ評価
得られた各サンプルについて、一辺の長さが50mmの正方形となるように成形し、マイクロゴム硬度計(MD−1TYPE−C硬度計、高分子計器株式会社製)を用いて面内の10箇所にてゴム硬度を測定し、ゴム硬度の平均値と標準偏差を算出した。
結果は、以下のとおりであった。
コロナ帯電サンプル :ゴム硬度平均値64.1°、標準偏差1.7°
平行平板電極サンプル:ゴム硬度平均値65.5°、標準偏差7.3°
平行平板電極サンプルは硬度ムラが大きく、定着部材への適用は困難であることがわかった。
[実施例1]
(1)液状付加硬化型シリコーンゴム組成物の調製
硬度ムラ比較試験と同様にして、液状付加硬化型シリコーンゴム組成物を得た。
(2)定着ベルトの作製
基体として、内径55mm、幅420mm、厚さ65μmのニッケル電鋳製エンドレスベルトを用意した。なお、一連の製造工程中、エンドレスベルトは、その内部に中子を挿入して取り扱った。
基体の外周面に、プライマー(商品名:DY39−051A/B;東レ・ダウコーニング(株)製)を乾燥質量が50mgとなるように略均一に塗布し、溶媒を乾燥させた後160℃設定の電気炉で30分間の焼付け処理を行った。
このプライマー処理された基体の上に、リングコート法で上記シリコーンゴム組成物を厚さ450μmになるように塗布した。これを未硬化エンドレスベルトと称する。
次に、コロナ帯電器を、未硬化エンドレスベルトの母線に沿って対向配置し、未硬化エンドレスベルトを100rpmで回転させながら、硬化前の弾性層の表面を帯電させた。条件は、コロナ帯電器の放電ワイヤへの供給電流が−150μA、グリッド電極電位が−950V、帯電時間20秒、グリッド電極とベルトの距離が4mmとした。
この帯電させた未硬化エンドレスベルトを160℃の電気炉で1分間加熱した(一次硬化)後、200℃の電気炉で30分間加熱して(二次硬化)、シリコーンゴム組成物を硬化させることにより硬化した弾性層を備えたエンドレスベルトを得た。
次に、硬化したエンドレスベルトの弾性層の表面に、接着層として付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV A/B;東レ・ダウコーニング(株)製)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布して接着剤層を形成した。次いで、該接着層上に、離型層として内径52mm、厚み40μmのフッ素樹脂チューブ(商品名:NSE;グンゼ(株)製)を拡径しつつ積層した。その後、フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤を弾性層とフッ素樹脂チューブとの間から扱き出し、接着剤層の厚さが5μm程度まで薄くなるようにした。
このエンドレスベルトを200℃に設定した電気炉にて1時間加熱することで接着剤を硬化させて当該フッ素樹脂チューブを弾性層上に固定した。得られたエンドレスベルトの両端部を切断し、幅が368mmの定着ベルトを得た。
(3)定着ベルト弾性層の特性評価
(3−1)弾性層の厚み方向断面におけるフィラーの面積割合と配向性の評価
作製した定着ベルトの弾性層から、厚み−周方向の第1断面から5箇所、厚み−軸方向の第2断面から5箇所の計10箇所を5mm×5mmのサイズに切り出し、イオンビームによる観察断面形成を行った。断面形成にはクロスセクションポリッシャ(商品名:SM09010;日本電子(株)製)を用い、アルゴンガス雰囲気中で印加電圧を4.5Vに設定し、11時間に亘って基体側から定着ベルトの厚み方向に対してイオンビームを照射して観察断面を作製した。
基体側から定着ベルトの厚み方向に対してイオンビームを照射したのは、表層側から照射すると表層のフッ素樹脂の削りカスが表面に付着するためである。得られた観察断面をレーザー顕微鏡(商品名:OLS3000、オリンパス(株)製)で、50倍対物レンズを用いて観察し、150μm×100μmサイズの断面画像を得た。
続いて、その断面画像を画像処理ソフトImageJ(アメリカ国立衛生研究所製)にて二値化処理を行った。二値化法としては大津法を用いた。
得られた二値化像から、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合Aが0.30、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合Bが0.16であることがわかった。
次に、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーに対して平均配向角度θAveを画像処理により算出した結果、平均配向角度θAveは60°であった。
(3−2)弾性層の厚み方向の熱伝導率
弾性層の厚み方向の熱伝導率λは、以下の式から算出した。
λ=α×C×ρ
式中、λは弾性層の厚み方向の熱伝導率(W/(m・K))、αは厚み方向の熱拡散率(m/s)、Cは定圧比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)である。ここで、厚み方向の熱拡散率αと定圧比熱Cと密度ρの値は以下の方法により求めた。
・熱拡散率α
弾性層の厚み方向の熱拡散率αは、周期加熱法熱物性測定装置(商品名:FTC−1、アドバンス理工(株)製)を用いて、室温(25℃)で測定した。弾性層から面積が8mm×12mmの試料片にカッターで切り取り、計5個の試料片を作製し、それぞれの試料片の厚みをデジタル測長器(商品名:DIGIMICRO(登録商標) MF−501 フラット測定子φ4mm;(株)ニコン製)を用いて測定した。次に、それぞれの試料片に対し、計5回測定し、その平均値(m/s)を求めた。なお、測定は1kgの重りを使用して試料片を加圧しながら行った。
その結果、シリコーンゴム弾性層の厚み方向の熱拡散率αは6.33×10−7/sであった。
・定圧比熱C
弾性層の定圧比熱は、示差走査熱量測定装置(商品名:DSC823e、メトラー・トレド(株)製)を用いて測定した。
具体的には、試料用のパン及び参照用のパンとして、アルミニウム製のパンを用いた。まず、ブランク測定として、両方のパンが空の状態で、10分間、15℃の定温に保った後、215℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、さらに10分間、215℃の定温で保つプログラムで測定を実施した。次に、定圧比熱が既知である10mgの合成サファイアを基準物質に用い、同じプログラムで測定を行った。
次いで、基準物質の合成サファイアと同量の10mgの測定試料を弾性層から切り出した後、試料パンにセットし、同じプログラムで測定を実施した。これらの測定結果を上記示差走査熱量測定装置に付属の比熱解析ソフトウェアを用いて解析し、5回の測定結果の平均値から、25℃における定圧比熱Cを算出した。
その結果、シリコーンゴム弾性層の定圧比熱は、0.94J/(g・K)であった。
・密度ρ
弾性層の密度は、乾式自動密度計(商品名:アキュピック1330−01、(株)島津製作所製)を用いて測定した。
具体的には、10cmの試料セルを用い、セル容積のおおよそ8割程度を満たすように試料片を弾性層から切り出し、この試料片の質量を測定した後、試料セルに入れた。この試料セルを装置内の測定部にセットし、測定用のガスとしてヘリウムを用い、ガス置換の後、容積測定を10回実施した。各回について試料片の質量と測定された容積から、弾性層の密度を算出し、その平均値を求めた。
その結果、シリコーンゴム弾性層の密度は2.35g/cmであった。
単位換算した弾性層の定圧比熱C(J/(kg・K))と密度ρ(kg/m)、および測定した熱拡散率α(m/s)から、弾性層の厚み方向の熱伝導率λを算出した結果、1.40W/(m・K)であった。
(3−3)弾性層の引張り弾性率
弾性層が低硬度であることを確認するために、弾性層の引張り弾性率を測定した。具体的には、弾性層から打ち抜き型(JIS K6251:2004にて規定されるダンベル状8号型)により試料片を切り出し、測定箇所である中央付近の厚みを測定した。次に、切り出した試料片を、引張試験機(装置名:ストログラフEII−L1、(株)東洋精機製作所製)を用いて、引張り速度200mm/min、室温にて試験した。なお、引張り弾性率は、測定結果から横軸に試料片の歪み、縦軸に引張り応力をとったグラフを作成し、歪みが0〜10%の範囲において測定データを線形近似したときの傾きとした。
その結果、弾性層の引張り弾性率は0.63MPaであった。
(4)定着ベルト弾性層の高温耐圧性評価
得られた定着ベルトから、サイズが50mm×50mmのサンプル片を4個切り出し、各サンプル片をステンレス板(SUS板)40(図11)上に支持して4つの試験片を形成した。
この試験片4個について、図11に示す治具を用いて高温耐圧性を評価した。この治具ではヒータ41とサーミスタ42とによってサンプル(定着ベルト11)の表面温度を高温に設定した状態で押し付けコロ43(幅10mm、直径15mm)を相対的に左右に往復移動させて、高温耐圧性を評価できるようになっている。
この試験においては、各試験片の表面の温度240℃とし、荷重15Nで、押し付けコロ43を相対的に左右に往復移動させ、サンプル片が破壊、または塑性変形するまでの時間の平均値を求めた。また、試験時間が10時間経過した時点でサンプル片に破壊や塑性変形が生じなかった場合は、耐久性が良好であると評価して試験を終了した。
その結果、本実施例では10時間経過してもサンプル片の破壊や塑性変形が発生せず耐久性は良好だった。
(5)実機評価(定着性、画質、耐久性)
前記のようにして得られた定着ベルトを、電子写真方式の複写機(商品名:imagePRESS(登録商標) C850、キヤノン(株)製)の熱定着装置に組み込んだ。
この熱定着装置を装着した複写機を用いて、厚紙の定着性試験を行った。また、普通紙を用いて定着性評価、画質評価、及び通紙耐久試験を行った。
厚紙の定着性試験には、坪量300g/mの紙(UPM PAPER社製、UPM Finesse(登録商標) gloss 300g/m)を用いた。そして、標準温調(195℃)よりも温度を下げて青色ベタ画像を5枚連続通紙し、トナーが紙に定着しているか否かで定着性を評価した。
その結果、標準よりも10℃下げた185℃温調でもトナーが紙に定着しており、定着ベルト弾性層の熱伝導性が非常に優れていることがわかった。
また、その画像を光沢ムラが生じているかという観点で目視によって画質を評価した。
その結果、弾性層の低硬度や硬度ムラが無いことに起因して、光沢ムラがなく、画質は極めて優れていた。弾性層の硬度が高かったり、硬度ムラがあったりすると、紙繊維の凹凸への追従性が損なわれ、光沢ムラが生じるが、そのような光沢ムラは生じなかった。
通紙耐久試験においては、上質紙カラーレーザーコピア用紙80g/m(キヤノン(株)製)A4紙を短手方向に搬送で連続通紙(80枚/分)した。また、10万枚ごとにコート紙OKトップコート128g/m(王子製紙(株)製)の13×19インチの紙に、シアンのハーフトーン均一画像を形成した。この画像上に、傷やスジ、グロスムラ等の画像不良が存在するかを目視によって確認した。そして、画像不良を確認した時点の通紙枚数が60万枚未満の場合は、画像不良を確認した時点の通紙枚数を記録し、耐久性が良好でないと判断して試験を終了とした。画像不良を確認した時点の通紙枚数が60万枚を超える場合は耐久性が良好であると判断して試験を終了とした。
本実施例においては60万枚を超えても画像不良が発生しなかったため、耐久性が良好であると判断した。
[実施例2〜4]
フィラーの球状アルミナと不定形アルミナの混合比率を調整し、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合A、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合Bのそれぞれを表1に示す値とした。この点以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[実施例5]
フィラーの球状アルミナと不定形アルミナの混合比率を調整するとともに、球状フィラーのシリカ(商品名:トスパール、東芝シリコーン(株)製)を添加した。
そして、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラー(アルミナ+シリカ)の面積割合Aを0.25とし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラー(アルミナ)の面積割合Bを0.17とした。
上記の点以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[実施例6]
フィラーとして球状に近い酸化マグネシウム(商品名:SL−WR、神島化学工業(株)製)と不定形の酸化マグネシウム(商品名:RF−10C−FC、宇部マテリアルズ(株)製)を用いた。
そして、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合Aを0.20とし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合Bを0.20とした。
上記の点以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[実施例7]
フィラーとして球状に近い酸化亜鉛(商品名:LPZINC−11;堺化学工業(株)製)と不定形の酸化亜鉛(商品名:パナテトラWZ−05F1、松下アムテック(株)製)を用いた。
そして、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合Aを0.25とし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合Bを0.20とした。
上記の点以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例1]
電場付与を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例2]
電場付与を行わず、かつ、フィラーの球状アルミナと不定形アルミナの混合比率を調整し、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合Aを0.30とし、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合Bを0.25とした。
上記の点以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
[比較例3〜5]
フィラーの球状アルミナと不定形アルミナの混合比率を調整し、長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合A、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合Bのそれぞれを表1に示す値とした。この点以外は実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価した。
以上の結果を表1、表2に示す。なお、定着ベルトの評価の定着性、画質に関しては以下の基準で記載している。
(1)定着性
ランクA:標準温調(195℃)よりも15℃下げた温調にてトナーが紙に定着した。
ランクB:標準温調(195℃)よりも10℃下げた温調にてトナーが紙に定着した。
ランクD:標準温調(195℃)よりも10℃下げた温調にてトナーが紙に定着しなかった。
(2)画質
ランクA:光沢ムラがなく極めて優れていた。
ランクB:光沢ムラがなく優れていた。
ランクC:やや光沢ムラがあった。
ランクD:光沢ムラがあった。
− :画質未評価
Figure 2020194156
Figure 2020194156
表1、表2に示す結果から以下のことがわかる。
電場を付与していない比較例1は長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーが配向していない(平均配向角度θAveが50°未満)。
一方、電場を付与した実施例1は長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーが厚み方向に配向して(平均配向角度θAveが50°以上90°以下)、厚み方向の熱伝導率が高くなった。
また、実施例1〜7と比較例3〜5を比較すると、1.0≦(A/B)≦2.0、かつ、0.40≦(A+B)≦0.50のときに、長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーが厚み方向に配向している。そして、厚み方向の熱伝導率も高くなっている。その結果、実施例1〜7は定着性が良くなっていることがわかる。
具体的には、すべての実施例において、厚み方向の熱伝導率は1.30W/(m・K)以上であり定着性が良く、特に厚み方向の熱伝導率が1.60W/(m・K)以上のものはさらに定着性が良い。
一方、厚み方向の熱伝導率が1.30W/(m・K)未満である比較例1,3,5では定着性が低かった。
また、実施例1〜7に係る定着部材の弾性層は、引張弾性率が0.20MPa以上、1.20MPa以下(1.20MPaは、Asker C 硬度(JIS K7312)では50°程度)と低く、低硬度となっていることがわかる。
その結果、実施例1〜7に係る定着部材は、定着ニップにおいて記録媒体である紙の繊維の凹凸に追従することができ、トナーの軟化・溶融ムラが発生しにくく、高画質な画像が得られることがわかる。
一方、引張弾性率が1.20MPaを超える比較例2では高画質な画像が得られなかった。
さらに高温における耐圧耐久性の評価においてもすべての実施例で5時間以上であり、大半は10時間以上でも破壊や塑性変形を起こさず耐久性が良好である。その結果、高温状態における繰り返しの応力がかかる通紙耐久試験においても高い耐久性を発現することができる。
1 中子
2 コロナ帯電器
3 基体
4 弾性層
4A 第1断面
4B 第2断面
5 接着層
6 表層
7 フィラー
7A 長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラー
7B 長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラー
11 定着ベルト
12 加圧ベルト
13 誘導加熱部材
13a 誘導コイル
13b 励磁コア
13c コイルホルダー
14 励磁回路
15 温度検知素子
16 制御回路部
17 ローラ
18 加熱側ローラ
19 テンションローラ
20 加圧側ローラ
21 定着パッド
22 加圧パッド
23、24 摺動シート
25 分離部材
30 ベルトガイド
31 セラミックヒータ
31a ヒータ基板
31b 発熱層
31c 保護層
31d 摺動部材
32 ステイ
33 加圧ローラ
33a 芯金
33b 弾性層
34 温度検知素子
40 ステンレス板
41 ヒータ
42 サーミスタ
43 押し付けコロ
N 定着ニップ
t 未定着トナー
S 記録媒体
M モータ

Claims (9)

  1. 基材と、
    該基材の外周上に設けられた弾性層と、を有する電子写真定着部材であって、
    該弾性層は、無機酸化物を含むフィラーを含み、
    (1)該弾性層の厚み−周方向の第1断面の二値化像、および、該弾性層の厚み−軸方向の第2断面の二値化像において、
    該フィラーのうち、該フィラーの形状を楕円近似したときに
    長軸/短軸が1.5未満の第1のフィラーの面積割合をAとし、
    長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの面積割合をBとしたとき、
    1.0≦(A/B)≦2.0、かつ、0.40≦(A+B)≦0.50であり、
    (2)長軸/短軸が1.5以上の第2のフィラーの該弾性層の厚み方向に対する平均配向角度θAveが、50°≦θAve≦90°
    であることを特徴とする電子写真定着部材。
  2. 前記弾性層の厚み方向の熱伝導率が1.30W/(m・K)以上2.00W/(m・K)未満である請求項1に記載の電子写真定着部材。
  3. 前記フィラーが、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム及び酸化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一つを含む請求項1又は2に記載の電子写真定着部材。
  4. 前記弾性層が、シリコーンゴムをバインダーとして含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真定着部材。
  5. 前記電子写真定着部材が、エンドレス形状を有する定着ベルトである請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真定着部材。
  6. 前記電子写真定着部材が、非輻射熱によって加熱された定着ベルトを用いて記録媒体上の未定着トナー像を定着する定着装置の該定着ベルトとして用いられるものである請求項5に記載の電子写真定着部材。
  7. 記録媒体上の未定着トナー像を電子写真定着部材で加熱して該記録媒体上に定着させる定着装置であって、
    該電子写真定着部材が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真定着部材であることを特徴とする定着装置。
  8. 前記電子写真定着部材が、請求項5または6に記載の定着ベルトであって、
    該定着装置が、該定着ベルトと、該定着ベルトに対向して配置されている加圧部材と共に定着ニップを形成し、
    該定着ベルトを非輻射熱で加熱するヒータが該定着ベルトの内周面に接している請求項7に記載の定着装置。
  9. 感光体と、
    該感光体を帯電させる帯電装置と、
    帯電した感光体を露光して静電潜像を形成する露光装置と、
    該感光体に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像装置と、
    該感光体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
    定着装置と、
    を有する画像形成装置であって、
    該定着装置が、記録媒体上の未定着トナー像を電子写真定着部材で加熱して該記録媒体上に定着させる定着装置であって、
    該電子写真定着部材が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真定着部材である
    ことを特徴とする画像形成装置。

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