JP2019219557A - 定着装置および定着装置の製造方法 - Google Patents

定着装置および定着装置の製造方法 Download PDF

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康弘 宮原
Yasuhiro Miyahara
康弘 宮原
直紀 秋山
Naoki Akiyama
直紀 秋山
凡人 杉本
Tsuneto Sugimoto
凡人 杉本
弘紀 村松
Hiroki Muramatsu
弘紀 村松
明志 浅香
Akishi Asaka
明志 浅香
憲明 小林
Noriaki Kobayashi
憲明 小林
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Abstract

【課題】定着部材と加圧部材におけるマイクロ硬度として耐久性と画像性において好ましい定着装置および定着装置の製造方法を提供する。【解決手段】定着部材20と、定着部材と共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する加圧部材30と、を備え、定着部材の長手方向に関し、定着部材の長手方向の長さは加圧部材の長手方向の長さより長く、ニップ部において、加圧部材の長手方向の端部と接触する第1の位置における定着部材のマイクロ硬度をHμ1、第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における定着部材のマイクロ硬度をHμ2とし、加圧部材のマイクロ硬度をHμ3とするとき、Hμ2<90、Hμ2<Hμ3<Hμ1、なる条件式を満足する。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば電子写真方式を採用した複写機やプリンタ、あるいはファクシミリ等、記録材上に画像形成可能な画像形成装置に用いられる定着装置および定着装置の製造方法に関する。
一般に、電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置においては、シート状の記録材上に未定着のトナー画像を形成し、そのトナー画像を定着装置により加熱・加圧して記録材上にトナー画像を定着している。
例えば、特許文献1、2に示されるように、近年では、定着部材としてベルトを用い、装置の小型化を図りつつ定着ニップ部を幅広にすることができるベルト定着方式の定着装置がある。
特開2009−116141号公報 特開2009−63861号公報
ところで、定着装置では、定着部材と加圧部材がニップ部を形成しているが、加圧部材の長手方向の長さよりも定着部材の長手方向の長さの方が長く構成されていることがある。定着部材の端部からの放熱により記録材の通過領域の端部にて温度が下がり気味になるのを抑制し、安定的にメディアに熱を供給させることができるためである。
しかしながら、このような構成では、加圧部材の長手方向端部が定着部材に食い込むことになり、定着部材において、加圧部材の端部と当接する位置に応力が集中してしまう恐れがある。その結果、ひどい場合には応力発生位置を起点として定着部材が破損する恐れがあった。
ここで、定着部材の破損に関しては、定着部材のマイクロ硬度を全体的に高くすることで耐久性を向上することができるが、通紙領域のマイクロ硬度を高くすると紙の繊維の凹凸への追従性が劣化してしまい、結果として、トナー溶融ムラが目立ってしまう。そのため、耐久性と画像性はトレードオフの関係となっている。
本発明の目的は、定着部材と加圧部材におけるマイクロ硬度として耐久性と画像性において好ましい定着装置および定着装置の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、定着部材と、前記定着部材と共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、を備え、前記定着部材の長手方向に関し、前記定着部材の前記長手方向の長さは前記加圧部材の前記長手方向の長さより長く、前記ニップ部において、前記加圧部材の前記長手方向の端部と接触する第1の位置における前記定着部材のマイクロ硬度をHμ1、前記第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における前記定着部材のマイクロ硬度をHμ2とし、前記加圧部材のマイクロ硬度をHμ3とするとき、
Hμ2<90
Hμ2<Hμ3<Hμ1
なる条件式を満足することを特徴とする。
また、本発明に係る別の定着装置は、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトと共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する無端状の加圧ベルトと、
を回転可能に備え、前記定着ベルトの長手方向に関し、前記定着ベルトの前記長手方向の長さは前記加圧ベルトの前記長手方向の長さより長く、前記ニップ部において、前記加圧ベルトの前記長手方向の端部と接触する第1の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ1、前記第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ2とし、前記加圧ベルトのマイクロ硬度をHμ3とするとき、
Hμ2<90
Hμ1−Hμ3≧3
Hμ2<Hμ3<Hμ1
なる条件式を満足することを特徴とする。
また、本発明に係る定着装置の製造方法は、シリコーンゴム弾性層を備える無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトと共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する無端状の加圧ベルトと、を回転可能に備え、前記定着ベルトの長手方向に関し、前記定着ベルトの前記長手方向の長さは前記加圧ベルトの前記長手方向の長さより長く、前記ニップ部において、前記加圧ベルトの前記長手方向の端部と接触する第1の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ1、前記第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ2とし、前記加圧ベルトのマイクロ硬度をHμ3とするとき、
Hμ2<90
Hμ1−Hμ3≧3
Hμ2<Hμ3<Hμ1
なる条件式を満足する定着装置の製造方法であって、前記シリコーンゴム弾性層の架橋進行度を制御する工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、定着部材と加圧部材におけるマイクロ硬度として耐久性と画像性において好ましい定着装置および定着装置の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る定着装置で使用する定着部材の断面模式図 本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の断面模式図 本発明の実施形態に係る定着装置の断面模式図 本発明の実施形態に係る定着装置の定着部材、加圧部材の位置関係と長手硬度分布を説明するための模式図 本発明の実施形態に係る定着装置で使用する定着部材を、硬化物層の表面に紫外線を照射する方法で製造する場合の紫外線(UV)の光量分布を説明するための模式図 本発明の実施形態に係る定着装置で使用する定着部材を硬化物層の表面に紫外線を照射する場合の工程の一例の模式図 本発明の実施形態に係る定着装置で使用する定着部材をプライマー層の塗布厚みを領域によって制御する方法で製造する場合のプライマー塗布厚み分布を説明するための模式図 本発明の実施形態に係る定着装置で使用する定着部材をプライマー層の塗布厚みを領域によって制御する方法で製造する場合の工程の一例の模式図
以下に、本発明の実施形態を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施形態は、本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
《第1の実施形態》
(画像形成部)
図2は、本発明の実施形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置の概略の構成模式図である。この画像形成装置1は電子写真方式レーザープリンタであり、潜像を担持する像担持体として感光体ドラム2を備えている。感光体ドラム2は矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動され、その外面が帯電器3によって所定の極性・電位に一様に帯電される。その一様帯電面に対してレーザースキャナ(光学装置)4により画像情報のレーザー走査露光5がなされる。これにより、感光体ドラム2の面には走査露光した画像情報の静電潜像が形成される。
そして、その静電潜像が現像器6によってトナー画像として現像される。そのトナー画像が、感光体ドラム2と転写ローラ7との当接部である転写部において、該転写部に導入された記録材(シート)Sに対して順次に転写される。
記録材Sは、装置下部の給紙カセット9内に積載収納されている。所定の給紙タイミングで給紙ローラ10が駆動されると、給紙カセット9内の記録材が1枚分離給紙されて、搬送路10aを通ってレジストローラ対11に至る。レジストローラ対11は、記録材Sの先端部を受け止めて記録材の斜行修正をする。また、感光体ドラム上のトナー画像の先端部が転写部に到達したときに、記録材の先端部も転写部に丁度到達するタイミングとなるように、感光体ドラム上のトナー画像と同期をとって、記録材Sを転写部に給送する。
転写部を通った記録材Sは感光体ドラム2の面から分離されて、定着装置Aへと搬送される。この定着装置Aにより、記録材S上の未定着トナー画像が加熱・加圧により固着画像として記録材面に定着される。そして、その記録材が搬送路10bを通って排出ローラ対12によって装置上部の排出トレイ13へと排出、積載される。また、記録材分離後の感光体ドラム2の面は、クリーニング装置8によって転写残トナー等の残留付着物が除去されて清掃され、繰り返して作像に供される。
(定着装置)
図3は、本実施形態における定着装置Aの概略の構成模式図である。この定着装置Aは、ツインベルト方式-電磁誘導加熱方式の装置である。
ここで、定着装置Aまたはこれを構成している部材について、長手または長手方向とは、記録材搬送路面内において、記録材搬送方向に直交する方向に平行な方向である。また、定着装置について、正面とは、記録材導入側の面である。また、左右とは、装置を正面から見て左または右である。ベルトの幅とは、記録材搬送方向に直交する方向のベルト寸法(ベルト長手方向の寸法)である。また、記録材の幅とは、記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。また、上流または下流とは、記録材の搬送方向に関して上流または下流である。
この定着装置Aは、定着用部材として、その間において記録材を挟持搬送しつつ加熱及び加圧する定着ニップ部(ニップ部)を形成する、それぞれ回転可能であって無端状の定着ベルト(加熱部材)20と加圧ベルト(加圧部材)30を備えている。本例では、定着ベルト20と加圧ベルト30の両者は、共に可撓性を有するエンドレスベルト(無端ベルト)である。
定着ベルト20の構成については、後に詳述する。本実施形態の定着ベルト20は、複数のローラに懸架されている。すなわち、ベルト懸架部材としての間隔をあけて平行に配列されたテンションローラ51および定着ローラ52と、この両ローラ51・52間に配設された第1の加圧パッドとしての下向きの定着パッド53との間に懸回張設されている。テンションローラ51と定着ローラ52は、それぞれ、定着装置筐体(不図示)の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。定着パッド53は、定着装置筐体の左右の側板間に支持されて配設されている。
テンションローラ51は、外径が20mm、内径が18mmである厚さ1mmの鉄製の中空ローラであり、定着ベルト20に張りを与える。
定着ローラ52は、外径が20mm、内径が18mmである厚さ1mmの鉄合金製の中空芯金に、弾性層としてのシリコーンゴム弾性層が設けられた高摺動性の弾性ローラである。この定着ローラ52は駆動ローラとして駆動源(モータ)Mから不図示の駆動ギア列を介して駆動力が入力されて、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。
この定着ローラ52に前述したシリコーンゴム弾性層を設けることで、定着ローラ52に入力された駆動力を定着ベルト20へ良好に伝達することができると共に、定着ベルト20からの記録材Sの分離性を確保するための定着ニップ部を形成できる。シリコーンゴム弾性層によって、内部への熱伝導も少なくなるためウォーミングアップタイムの短縮にも効果がある。
加圧ベルト30は、本実施形態においては、電鋳ニッケルを基層とし、表面は離型層としてフッ素樹脂であるPFAチューブを40μmの厚みで設けられている。加圧ベルト30は、図面上、定着ベルト20の下側に位置させて次のようにして配設されている。即ち、加圧ベルト30は、ベルト懸架部材としての間隔をあけて並行に配列されたテンションローラ54および加圧ローラ55と、この両ローラ54・55間に配設された第2の加圧パッドとしての上向きの加圧パッド56との間に懸回張設されている。
テンションローラ54と加圧ローラ55は、それぞれ、定着装置筐体(不図示)の左右の側板間に回転自由に軸受されて支持されている。テンションローラ54は、外径が20mm、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製の中空芯金に、熱伝導率を小さくして加圧ベルト30からの熱伝導を少なくするためにシリコーンスポンジ層を設けてあり、加圧ベルト30に張りを与える。加圧ローラ55は、外径が20mm、内径が16mmである厚さ2mmの鉄合金製とされた低摺動性の中空剛性ローラである。加圧パッド56は、定着装置筐体の左右の側板間に支持されて配設されている。
そして、定着ベルト20と加圧ベルト30との間に画像加熱部としての定着ニップ部60を形成するために、加圧ローラ55は、回転軸の左右両端側がそれぞれ加圧機構(不図示)により矢印Fの方向に所定の加圧力にて定着ローラ52に向けて加圧されている。
また、装置を大型化することなく幅広い定着ニップ部60を得るために、加圧パッドを採用している。すなわち、定着パッド53により定着ベルト20を加圧ベルト30に向けて加圧させると共に、加圧パッド56により加圧ベルト30を定着ベルト20に向けて加圧させている。加圧パッド56は、加圧機構(不図示)により矢印Gの方向に所定の加圧力にて定着パッド53に向けて加圧されている。定着パッド53と加圧パッド56との間に定着ベルト20と加圧ベルト30が圧着されることで、記録材搬送方向において幅広の定着ニップ部60が形成されている。
ベルトニップ方式の定着ベルトと加圧ベルトの長手方向の長さは、ベルト寄りが発生してもニップ面積に変動が少なくなるように、どちらかのベルト長が長くなっているのが一般的である。また、本実施形態の定着ベルト20は加圧ベルト30よりベルト長が長くなっている。定着ベルトの端部では、端部からの放熱により定着ベルトの温度が比較的低い領域(温度垂れ領域)が生じるが、定着ベルトの長手長さを長くする。これによって、その影響が通紙領域にまで及ぶのを抑制することができ、安定的にメディアに熱を供給させることができるためである。
定着パッド53は、パッド基体と定着ベルト内面に接する摺動シート(低摩擦シート)58を有する。加圧パッド56も、パッド基体と加圧ベルト内面に接する摺動シート59を有する。これを設けるのは、ベルト基層を金属層にした場合には、パッドのベルト内周面と摺擦する部分の削れが大きくなるという問題があるためである。ベルトとパッド基体の間に、摺動シート58と59を介在させることで、パッドの削れを防止し、摺動抵抗も低減できるので、良好なベルト走行性、ベルト耐久性を確保できる。
定着ベルト20の加熱手段として、エネルギー効率の高い電磁誘導加熱方式の加熱源(誘導加熱部材、励磁コイル)を採用している。加熱源としての誘導加熱部材57は、定着ベルト20の上行側ベルト部分の外面に対して所定の隙間をもって対向させて配設されている。
誘導加熱部材57は、誘導コイル57aと、励磁コア57bと、それらを保持するコイルホルダー57cと、を備える。誘導コイル57aは、長円状に扁平巻きされたリッツ線を用い、誘導コイルの中心と両脇に突起した横E型の励磁コア57bの中に配置されている。励磁コア57bは、フェライト、パーマロイといった高透磁率で残留磁速密度の低いものを用い、誘導コイル57aや励磁コア57bでの損失が抑えられ、効率的に定着ベルト20を加熱することができる。
定着動作は、次の通りである。制御回路部63は、少なくとも画像形成実行時にはモータMを駆動する。また、励磁回路64から誘導加熱部材57の誘導コイル57aに高周波電流を流す。
モータMが駆動されることで、定着ローラ52が回転駆動される。これにより、定着ベルト20が定着ローラ52と同じ方向に回転駆動される。定着ベルト20の周速度は、定着ニップ部60の記録材入口側において記録材Sにループを形成するため画像形成部側から搬送されてくるシートSの搬送速度に比して僅かに遅い周速とされている。本実施形態の場合、定着ベルト20の周速は348mm/secとされ、A4サイズのフルカラー画像を1分間に80枚定着することが可能である。
加圧ベルト30は、定着ニップ部60における定着ベルト20との摩擦力で定着ベルト20に従動して回転する。ここで、定着ニップ部における最下流の部分をローラ対52・55により、定着ベルト20と加圧ベルト30を挟んで搬送する構成としたことで、ベルトのスリップを防止することができる。定着ニップ部における最下流の部分は、定着ニップ部での圧分布(記録材搬送方向)が最大となる部分である。
一方、励磁回路64から誘導加熱部材57の誘導コイル57aに高周波電流が流されることで、定着ベルト20の金属層が誘導発熱して定着ベルト20が加熱される。定着ベルト20の表面温度が、サーミスタ等の温度検知素子62により検知される。この温度検知素子62で検知される定着ベルト20の温度に関する信号が、制御回路部63に入力する。制御回路部63は、温度検知素子62から入力する温度情報が所定の定着温度に維持されるように、励磁回路64から誘導コイル57aに対する供給電力を制御して、定着ベルト20の温度を所定の定着温度に温調する。
定着ベルト20が回転駆動され、また所定の定着温度に立ち上がって温調された状態において、定着ベルト20と加圧ベルト30間の定着ニップ部60に、未定着トナー画像tを有する記録材Sが搬送される。記録材Sは、未定着トナー画像tを担持した面を定着ベルト20側にして導入される。そして、記録材Sは未定着トナー画像担持面が定着ベルト20の外周面に密着したまま定着ニップ部60で挟持搬送されていくことにより、定着ベルト20から熱が付与され、また加圧力を受けて未定着トナー画像tが記録材Sの表面に定着される。
また、定着ベルト20内の定着ローラ52がゴム層を有する弾性ローラであり、加圧ベルト30内の加圧ローラ55は鉄合金製の剛性ローラであるため、定着ベルト20と加圧ベルト30との定着ニップ部の出口では定着ローラ52の変形が大きくなっている。その結果、定着ベルト20も大きく変形し、定着トナー画像を担持した記録材Sは定着ベルト20から自らのこしにより曲率分離される。61は、分離補助爪部材である。
(定着ベルト20)
図1は、本実施形態における定着用部材である定着ベルト20の層構成を示す断面模式図である。20bは定着ベルト20の基材(円筒状基体)、20aはその基体20bの内周面に配された内面摺動層である。また、20cは基材20bの外周面を被覆したプライマー層(接着剤層)、20dはプライマー層20c上に配されたシリコーンゴム弾性層(円筒状の弾性材)である。20eは、シリコーンゴム弾性層20dの周面に塗工された接着剤層である。
20fはフッ素樹脂離型層(フッ素樹脂チューブ)であり、樹脂チューブ、本例ではフッ素樹脂チューブが、シリコーンゴム弾性層20dの周面に塗工された接着剤層20eにより固定されている。
本実施形態の定着ベルト20は、上記6層の積層複合層部材であり、全体に可撓性を有する薄肉の低熱容量の定着用部材である。そして、この定着ベルト20は、自由状態においてはほぼ円筒形状を保持している。以下、上記6層の各層について具体的に説明する。
1)定着ベルトの基材20b
本実施形態においては、定着ベルト20の基材20bは、誘導加熱部材57によって加熱させるために、SUS合金、ニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等の金属層で形成されている。本実施形態においては、内径が55mmで、厚みが65μmの電鋳ニッケルベルトを基材としている。
その厚みは好ましくは20〜100μmがよい。基材20bの厚みが20μmよりも小さいと剛性が低く、多数枚耐久に耐えることが困難となる。また、基材20bが100μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が低下して、ベルト状回転体として使用するには現実的ではない。
2)定着ベルトの内面摺動層20a
内面摺動層20aとしては、ポリイミド樹脂のような高耐久性、高耐熱性を持つ樹脂が適している。本実施形態では、芳香族テトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液を、基材20bの内面に塗工する。そして、乾燥、加熱し、脱水閉環反応により形成したポリイミド樹脂層を形成して内面摺動層20aとした。
3)定着ベルトのプライマー層20c
プライマー層20cの形成用の原料としては、(A)シランカップリング剤、(B)触媒、(C)溶剤、(D)添加剤、(E)活性水素基含有ポリシロキサンとを含む混合物が挙げられる。 以下、プライマー層20cにおける(A)乃至(E)について、順に具体的に説明する。
(A)シランカップリング剤
シランカップリング剤は、加水分解性官能基、反応性有機官能基のうち少なくとも一方をもつものが挙げられる。加水分解性官能基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、金属やゴムのフィラー等と反応し、結合する。反応性有機官能基としては、ビニル基やアリル基、エポキシ基等が挙げられ、シリコーンゴムと反応し、結合する。
具体的なシランカップリング剤の例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(B)触媒
触媒としては、白金系化合物が挙げられ、シリコーンゴム層とプライマー層との間の付加反応を促進し、接着性を向上させる働きをする。白金系化合物は、具体的な例として、塩化白金酸やジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体化合物やカルボニルシクロビニルメチルシロキサンの錯体化合物が挙げられる。
(C)溶剤
溶剤としては、有機溶媒が挙げられ、揮発し易く、基体に対して濡れ性の良いものがよい。具体的には、上述した基体の材質に対しては、n−ヘプタンやn−ヘキサン、トルエン、酢酸エチル等が挙げられる。
(D)添加剤
添加剤は、プライマーの塗膜を可視化させ、塗膜の表面を目視観察する目的で添加される。具体的には、酸化鉄等の顔料が挙げられる。
(E)活性水素基含有ポリシロキサン
活性水素基含有ポリシロキサンは、シリコーンゴム弾性層20dに含まれるビニル基等の不飽和脂肪族基と反応し、接着性を向上させる目的で添加されている。具体的には、直鎖状、分岐状や環状等が挙げられる。メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチル−メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
4)定着ベルトのシリコーンゴム弾性層20d
定着ベルト20の基材20bの外周には、プライマー層20cを介してシリコーンゴム弾性層20dが設けられている。シリコーンゴム弾性層20dは、定着時にトナー画像と用紙の凹凸に対して均一な圧力を与えるという、定着ベルトに担持させるべき機能を有する。かかる機能を発現させる上で、シリコーンゴム弾性層20dは、特に限定しないが、加工性にも鑑み付加硬化型シリコーンゴムを硬化させたものとすることが好ましい。
一般に、付加硬化型シリコーンゴムには、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサン、および架橋触媒として白金化合物が含まれている。ケイ素に結合した活性水素を有するオルガノポリシロキサンは白金化合物の触媒作用により、不飽和脂肪族基を有するオルガノポリシロキサン成分のアルケニル基との反応によって架橋構造を形成する。
シリコーンゴム弾性層20dは、定着ベルトの熱伝導性の向上、補強、耐熱性の向上等のためにフィラーを含んでいる。特に、熱伝導性を向上させる目的では、フィラーとしては高熱伝導性であるものが好ましい。具体的には、無機物、特に金属、金属化合物等を挙げることができる。高熱伝導性フィラーの具体例としては、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられる。
あるいは、シリカ(SiO)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。
シリコーンゴム弾性層20dの厚さは、画像を印刷する場合に記録材Sの凹凸或いはトナー層の凹凸に定着ベルトの加熱面が追従できないことによる光沢ムラを予防するために、100μm以上にするのが好ましい。シリコーンゴム弾性層20dの厚さが100μm未満では、弾性部材としての機能が発揮され難く、定着時の圧力分布が不均一となる。これによって、特にフルカラー画像定着時に二次色の未定着トナーを十分に加熱定着することができずに定着画像のグロスにおいてムラを生じる。また、溶融不十分なことによってトナーの混色性が低下し、高精細なフルカラー画像が得られず好ましくない。
本実施形態においては、シリコーンゴムを用い、硬さはAsker−Cで30、熱伝導率は1.0W/mK、厚みは450μmである。
シリコーンゴム弾性層20dについては、金型成形法や、ブレードコート法、ノズルコート法、リングコート法等の加工法が、特開2001−62380号公報や特開2002−213432号公報に開示されるように、広く知られている。これらの方法により基材20bの上に担持された原料混和物を加熱・架橋することで、シリコーンゴム弾性層20dを形成することができる。
プライマー層20cが塗布された円筒状基体20b上に形成された付加硬化型シリコーンゴム組成物層は、電気炉などの加熱手段によって一定時間加熱して、架橋反応を進行させることにより、シリコーンゴム弾性層20dとすることができる。本実施形態においては、電気炉で200℃、30分加熱した。
(シリコーンゴム弾性層20dに関連した定着ベルトのマイクロ硬度)
本実施形態の定着ベルトは、シリコーンゴム弾性層20dの架橋進行度を制御することで、定着ベルトの長手方向においてマイクロ硬度(試料に加えた荷重を試料にできたくぼみの面積で割った値で,単位なしもしくはkgf/mm))が異なる領域を有する。マイクロ硬度については、マイクロゴム硬度計(マイクロゴム硬度計MD−1 capaタイプC;高分子計器株式会社製)を用いて測定することができる。
このマイクロ硬度に関し、具体的には、加圧ベルトの長手方向の端部と接触する位置における定着ベルトのマイクロ硬度をHμ1、加圧ベルトの端部と接触しない位置であって最大通過領域内の位置における定着ベルトのマイクロ硬度をHμ2とする。。また、加圧ベルトのマイクロ硬度をHμ3とする。なお、ニップ部において、最大通過領域とは画像形成装置にて使用可能な最大幅サイズ(定着部材の長手方向のサイズ)の記録材が通過しうる領域のことである。本実施例では、最大通過領域内のすべての位置においてマイクロ硬度が以下のHμ2が満たすべき関係を満たしている。また、加圧ベルトのマイクロ硬度Hμ3とは、加圧部材の両端を2点として含み、長手方向に等間隔となるように計10点測定した平均値の値である。このとき、本実施形態では、以下の条件式(1)乃至(3)を満足する。
Hμ2<90 ・・・・・・(1)
Hμ1−Hμ3≧3 ・・・(2)
Hμ2<Hμ3<Hμ1・・(3)
ここで、Hμ2<90、Hμ2<Hμ3<Hμ1は、紙の繊維の凹凸に対する追従性良化をもたらすために必要な要件である。マイクロ硬度が90未満となっていることで、追従性の劣化によるトナー溶融ムラを顕著に抑えられる。また、加圧ベルトのマイクロ硬度Hμ3が定着ベルトの通紙域(加圧ベルト端と接触しない領域)のマイクロ硬度Hμ2より高くなっていることで、加圧した際に加圧ベルトより定着ベルトの方より押圧方向に縮む構成になるため、紙繊維への追従性が向上される。
なお、上記において、実施形態の一例として、加圧部材として加圧ベルトを用いた事例を想定して加圧ベルト端という表現をしているが、端部というのは、定着部材に食い込むエッジ部を意味している。このため、加圧部材としてローラを用いる場合は、軸受けで支持されている軸部分ではなく、弾性層や表層が塗工されて定着部材とニップを形成している領域の端部のことを示す。
また、Hμ2<Hμ3<Hμ1、Hμ1−Hμ3≧3は、定着ベルトが加圧ベルト端と接触する部分の破損抑制のために必要な要件である。加圧ベルト端は定着ベルトに食い込みながら回転駆動、ベルト寄り制御機構などの往復運動されることにより、定着ベルトには繰り返し応力がかかってしまう。定着ベルトの該当位置におけるマイクロ硬度Hμ1を加圧ベルトのマイクロHμ3よりも十分に高くすることで、加圧ベルト端の定着ベルトの食い込みを軽減させることができ、繰り返しかかる応力を小さくすることができる。
このような定着ベルト、加圧ベルトの位置関係、定着ベルト、加圧ベルトの長手硬度分布は、それぞれ図4に示すようになっている。
本実施形態に係る定着ベルトにおけるマイクロ硬度を達成するための、シリコーンゴム弾性層20dの架橋進行度を制御する処理方法(定着装置の製造方法における工程)としては、例えば、以下の2つの方法ア)、イ)が挙げられる。
ア)硬化物層の表面に紫外線を照射する方法(特開2008−176300号公報)
この方法では、紫外線が照射されたシリコーンゴム弾性層20dの表面が部分的に酸化され、緻密なシロキサン結合を形成することにより、後述の接着剤成分(特には、活性水素を有するオルガノポリシロキサン)のシリコーンゴム層への浸透が抑えられる。その結果、紫外線照射領域においては、接着剤浸透によるシリコーンゴム弾性層20dの硬度上昇を低減することができる。
更に、加圧ベルトと当接する部分と当接しない部分にあたる定着ベルトの長手位置に応じて、マスキングによる紫外線領域を変えることにより、加圧ベルトと当接しない部分のみ紫外線を照射する。これにより、前述した式である
Hμ2<90、Hμ1−Hμ3≧3、Hμ2<Hμ3<Hμ1
を達成することができる。このときの定着ベルト、加圧ベルトの位置関係、定着ベルトの長手硬度分布、紫外線光量(UV光量)の長手分布は、それぞれ図5に示すようになっている。
図6は、本実施形態における定着ベルトのシリコーンゴム弾性層20dに紫外線を照射する工程の一例の模式図である。基材20b上にプライマー層20cを介してシリコーンゴム弾性層20dが形成された状態で、中子21を挿入・保持させ、紫外線ランプ22から約10mm離れた位置で、ほぼ平行になるようにセットする。
不図示の手段を用いて中子21を一定速度で回転させた状態で、紫外線ランプ22に一定時間電力を投入し、硬化せしめたシリコーンゴム層表面に紫外線をマスク23を介して領域的に照射させる。紫外線の中でも、特に短波長の紫外線は高いエネルギーを有する為、様々な結合を活性化することが知られている。ここでは、硬化シリコーンゴム表面に対して照射した場合の現象について説明する。
定圧水銀紫外線ランプを用いた際に発光する185nm付近の波長の紫外線は、環境中に存在する空気中の酸素分子の結合エネルギーよりも高いエネルギーを与え、活性酸素が発生する。
O2+紫外線(185nm)→O+O (酸素分子の分解)
活性酸素は酸素分子と更に反応することで環境中にオゾン分子を生成する。
O+O2→O3 (オゾン分子の生成)
このオゾン分子は254nm付近の紫外線を吸収し、再度酸素分子と活性酸素に分解される。
O3+紫外線(254nm)→O2+O (オゾン分子の分解)
このようにオゾン分子の生成と分解を繰り返す過程で、活性酸素が紫外線照射環境中に発生する。
さらに、シリコーンゴム層表面に高エネルギーの紫外線が照射されることで、シリコーンゴム層表面のジメチルシロキサンに起因するSi−C結合が活性化され、解離される。そして、ここに活性酸素が反応することで、Si−O結合が新たに生成する。この反応が進行することにより、シリコーンゴム表面付近における網目構造が発達する。網目構造を表面付近に発達させることで、次工程で用いられる付加型シリコーンゴム接着剤の、硬化シリコーンゴム層内部への浸透を低減することが可能となる。
以上の理由から、大気中での紫外線照射による、シリコーンゴム層への後述する付加硬化型シリコーンゴム接着剤の浸透低減効果を得る為には、185nmの波長の紫外線を照射することが好ましい。具体的には、シリコーンゴム層の表面に波長185nmの紫外線の積算光量が、300mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下となるように紫外線を照射することが好ましい。紫外線の照射量は、紫外線積算光量計(商品名:「C8026 H8025−185」、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて測定することができる。

イ)プライマー層の塗布厚みを領域によって制御し、シリコーンゴム弾性層の不飽和脂肪族基と反応する活性水素基含有ポリシロキサンの存在量によってマイクロ硬度を制御する方法
前述のプライマー層20cに含まれる活性水素基含有ポリシロキサンは、シリコーンゴム弾性層20dに含まれるビニル基等の不飽和脂肪族基と反応し、接着性を向上させる目的で添加されている。ここで、プライマー層の塗布厚みを領域によって制御し、活性水素基含有ポリシロキサンの存在量を変えることでマイクロ硬度を制御することができる。
具体的には、加圧ベルトと当接する部分と当接しない部分にあたる定着ベルトの長手位置に応じてプライマー塗布厚みを変え、加圧ベルトと当接する部分の塗布厚みを厚くする。これにより、以下に示す前述の式を達成することができる。
Hμ2<90、Hμ1−Hμ3≧3、Hμ2<Hμ3<Hμ1
このときの定着ベルト、加圧ベルトの位置関係、定着ベルトの長手硬度分布、プライマー塗布厚みの長手分布は、図7のようになっている。
プライマーの塗布厚みを領域によって変えるには、厚みを厚くしたい領域のみプライマー塗工を繰り返し、プライマーを塗り重ねることで厚みを変えることができる。図8は、本実施形態における定着ベルトのプライマー層の塗工工程の一例の模式図である。まず、既存の方法などでプライマーを塗工する。本実施形態では特開2014−111253号公報の方法で塗布した。その次に、プライマーを含浸させた部材をプライマー塗布済の基材の外径を有する円筒状基体20bを、回転治具(保持部材)としての中子24に固定する。
そして、図8(c)のように、加圧ベルト端部と当接する部分にあたる長手位置のみプライマーが含浸された含浸部材であるプライマー塗工部材25が、中子24に外嵌して固定された円筒状基体20bに当接される。そして、円筒状基体を回転させることで、プライマー20c’を塗り重ねる。プライマー塗布後、焼成することで、領域によってプライマー塗布厚みが制御された円筒状基体を得ることができる。
この外層にシリコーンゴム弾性層20dを塗工することで、プライマー塗布厚みに応じてシリコーンゴム弾性層20dの架橋進行度を長手領域で制御することができる。
5)接着剤層20e
シリコーンゴム弾性層20dである硬化シリコーンゴム層上に、フッ素樹脂離型層20fであるフッ素チューブを固定する接着剤層20eは、シリコーンゴム弾性層20dの表面に1〜10μmの厚みで均一に塗布した。すなわち、円筒弾性層の外周面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程が行われる。本実施形態において、接着剤層20eは付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物からなっている。付加硬化型シリコーンゴムの接着剤層20eは、自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。
具体的には、付加硬化型シリコーンゴムの接着剤層20eは、ビニル基に代表される不飽和炭化水素基を有するオルガノポリシロキサンと、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン及び架橋触媒としての白金化合物を含有する。そして、付加反応により硬化する。このような接着剤としては、既知のものを使用することができる。
6)フッ素樹脂離型層20f
フッ素樹脂離型層20fの形成には、例えば、以下に例示列挙する樹脂をチューブ状に成形したものが用いられる。
テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等。
上記例示列挙した材料中、成形性やトナー離型性の観点からPFAが好ましい。フッ素樹脂層の厚みは、50μm以下とするのが好ましい。積層した際に下層のシリコーンゴム層の弾性を維持し、定着ベルトとしての表面硬度が高くなりすぎることを抑制できるからである。フッ素樹脂チューブの内面は、予め、ナトリウム処理やエキシマレーザ処理、アンモニア処理等を施すことで、接着性を向上させることが出来る。
そして、前述したシリコーンゴム弾性層20d上の表面に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤層20eを塗布する。この外面に、フッ素樹脂チューブを被覆し、積層させる。被覆方法は特に限定されないが、付加型シリコーンゴム接着剤を潤滑材として被覆する方法や、フッ素樹脂チューブを外側から拡張し、被覆する方法等を用いることが出来る。
ここで、不図示の手段を用いて、硬化シリコーンゴム層とフッ素樹脂層との間に残った、余剰の付加硬化型シリコーンゴム接着剤を、扱き出すことで除去する。扱き出した後の接着層の厚みは、20μm以下であることが好ましい。
シリコーンゴム弾性層20dに、フッ素樹脂チューブを固定するシリコーンゴム接着剤は、シリコーンゴム弾性層20dの表面に塗布した付加硬化型シリコーンゴム接着剤の硬化物からなっている。そして、付加硬化型シリコーンゴム接着剤は、アクリロキシ基、ヒドロシリル基(SiH基)、エポキシ基、アルコキシシリル基等の官能基を有するシランに代表される自己接着成分が配合された付加硬化型シリコーンゴムを含む。
そして、電気炉などの加熱手段にて所定の時間加熱することで、付加硬化型シリコーンゴム接着剤を硬化させ、接着剤層20eとする。その後、両端部を所望の長さに切断することで定着ベルト20を得る。
以下、比較例1乃至3と共に、実施例1乃至4および変形例を具体的に示す。
(実施例1)
(定着ベルト)
図1に示した構成を有する定着部材、特には定着ベルトを作製した。基材として国際公開第05/054960号で開示されているニッケル−鉄合金からなる内径φ(直径)55mm、厚み65μm、長さ440mmの無端円筒状基材を用いた。
ポリイミド前駆体溶液として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリイミド前駆体をN−メチル−2−ピロリドンで5倍(質量基準)希釈した溶液を用意した。この前駆体溶液を、前記円筒状基材内面にリングコート法にて塗工し、200℃で20分間焼成することで、イミド化させ、厚み15μmの内面摺動層を形成した。
円筒状基材の表面にはヒドロシリル系のシリコーンプライマー「信越化学製;DY39−051 A/B(商品名)」を塗工し、200℃にて5分間焼成し、膜厚1μmのプライマー層を得た。
その外側に、450μm厚の付加硬化型シリコーンゴムを塗工し、200℃にて30分間焼成した。このとき、付加硬化型シリコーンゴムの原液は、下記の材料(a)および(b)を、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)が、0.4となるように配合した。そして、球形の酸化アルミニウムを47vol%、触媒量の白金化合物、および、硬化速度を制御するための硬化抑止剤を加えることによって得た。
(a)1分子中にビニル基を2個以上有する、ビニル化ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000(ポリスチレン換算))
(b)1分子中にSi−H結合を2個以上有する、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン(重量平均分子量1500(ポリスチレン換算))
シリコーンゴム弾性層20dまで形成されたエンドレスベルトを周方向に20mm/secの移動速度で回転させながら、表面から10mmの距離に設置した紫外線ランプを用いて、シリコーンゴム弾性層20dに対し紫外線照射を行なった。
紫外線照射の際には、定着器に組み上がった際、対向する加圧ベルトの端部が当接する位置にはマスクで紫外線を遮蔽し、加圧ベルト端部が当接しない位置のみ紫外線が照射されるようにした。紫外線ランプには、低圧水銀紫外線ランプ(商品名:GLQ500US/11;ハリソン東芝ライティング株式会社製)を用い、大気雰囲気中100℃で5分間の照射を行なった。
これを室温まで冷却後、更に、付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV;東レ・ダウコーニング社製の「A液」及び「B液」を等量混合)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。
当該エンドレスベルトの、シリコーンゴム弾性層の表面に、接着層として付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV A/B;東レ・ダウコーニング株式会社製)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。そして、離型層として内径52mm、厚み40μmのフッ素樹脂チューブ(フッ素樹脂材料名:451HP−J;デュポンフロロケミカル製、フッ素樹脂チューブ商品名:NSE;グンゼ株式会社製)を拡径しつつ積層した。
その後、フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤をシリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂チューブの間から、5μm程度まで薄くなるように扱き出した。
そして、当該エンドレスベルトを200℃に設定した電気炉にて5分加熱することで接着剤を硬化させて当該フッ素樹脂チューブをシリコーンゴム弾性層上に接着固定した。そして、エンドレスベルトの両端部を切断し、幅が368mmの定着ベルトを得た。
シリコーンゴム弾性層20dは、紫外線照射された領域と、紫外線照射されてない領域とで接着剤の浸透状態が異なっている。このため、紫外線照射の有無によって、定着ベルトにおけるマイクロ硬度の制御ができる。本実施形態における定着ベルトは、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1が92、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2が86であった。
(加圧ベルト)
また、加圧ベルトに関しては、基材として国際公開第05/054960号で開示されているニッケル−鉄合金からなる内径φ(直径)55mm、厚み50μm、長さ440mmの円筒状(無端状)基材を用いた。
そして、ポリイミド前駆体溶液として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリイミド前駆体をN−メチル−2−ピロリドンで5倍(質量基準)希釈した溶液を用意した。そして、この前駆体溶液を、前記円筒状基材内面にリングコート法にて塗工し、200℃で20分間焼成することで、イミド化させ、厚み15μmの内面摺動層を形成した。
円筒状基材の表面にはヒドロシリル系のシリコーンプライマー「信越化学製;DY39−051 A/B(商品名)」を塗工し、200℃にて5分間焼成し、膜厚1μmのプライマー層を得た。そして、その外側に、300μm厚の付加硬化型シリコーンゴムを塗工し、200℃にて30分間焼成した。このとき、付加硬化型シリコーンゴムの原液は、下記の材料(c)および(d)を、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)が、1.3となるように配合した。そして、酸化亜鉛を18vol%、触媒量の白金化合物、および、硬化速度を制御するための硬化抑止剤を加えた。
(c)1分子中にビニル基を2個以上有する、ビニル化ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000(ポリスチレン換算))
(d)1分子中にSi−H結合を2個以上有する、ハイドロジェンオルガノポリシロキサン(重量平均分子量1500(ポリスチレン換算))
当該エンドレスベルトの、シリコーンゴム弾性層の表面に、接着層として付加硬化型シリコーンゴム接着剤(商品名:SE1819CV A/B;東レ・ダウコーニング株式会社製)を厚さがおよそ20μm程度になるように略均一に塗布した。そして、離型層として、内径52mm、厚み30μmのフッ素樹脂チューブ(フッ素樹脂材料名:AP−230AS;ダイキン製、フッ素樹脂チューブ商品名:NSE;グンゼ株式会社製)を拡径しつつ積層した。
その後、フッ素樹脂チューブの上からベルト表面を均一に扱くことにより、過剰の接着剤をシリコーンゴム弾性層とフッ素樹脂チューブの間から、5μm程度まで薄くなるように扱き出した。
そして、当該エンドレスベルトを200℃に設定した電気炉にて5分加熱することで接着剤を硬化させて当該フッ素樹脂チューブをシリコーンゴム弾性層上に接着固定した。そして、エンドレスベルトの両端部を切断し、幅が348mmの加圧ベルトを得た。得られた加圧ベルトのマイクロ硬度Hμ3は89であった。
また、この定着ベルト、加圧ベルトを電子写真画像形成装置(キヤノン株式会社製、商品名:imagePRESS C850)に搭載し、後述の溶融ムラ評価試験、耐久試験を行った。
(実施例2)
定着ベルトの弾性層と、加圧ベルトの弾性層の、ビニル化ポリジメチルシロキサンの分子量、および、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)を調整した。これにより、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1が86、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2が80の定着ベルト、および、マイクロ硬度Hμ3が83の加圧ベルトを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
(実施例3)
定着ベルトの弾性層と、加圧ベルトの弾性層の、ビニル化ポリジメチルシロキサンの分子量、および、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)を調整した。これにより、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1が94、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2が89の定着ベルト、および、マイクロ硬度Hμ3が91の加圧ベルトを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
(実施例4)
定着ベルトの弾性層と、加圧ベルトの弾性層の、ビニル化ポリジメチルシロキサンの分子量、および、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)を調整した。これにより、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1が90、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2が85の定着ベルト、および、マイクロ硬度Hμ3が87の加圧ベルトを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
(比較例1)
定着ベルトの弾性層を形成後、マスクをせずに長手全域に紫外線照射を行い、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2がともに86の定着ベルトを作製した。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
(比較例2)
定着ベルトの弾性層と、加圧ベルトの弾性層の、ビニル化ポリジメチルシロキサンの分子量、および、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)を調整し、硬度を調整した。更に、定着ベルトの弾性層を形成後、マスクをせずに長手全域に紫外線照射を行なった。そして、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2がともに88の定着ベルト、および、マイクロ硬度Hμ3が89の加圧ベルトを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
(比較例3)
定着ベルトの弾性層と、加圧ベルトの弾性層の、ビニル化ポリジメチルシロキサンの分子量、および、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)を調整した。これにより、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1が95、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2が91の定着ベルト、および、マイクロ硬度Hμ3が92の加圧ベルトを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
(変形例)
定着ベルトの弾性層と、加圧ベルトの弾性層の、ビニル化ポリジメチルシロキサンの分子量、および、Si−H基に対するビニル基の個数の割合(H/Vi)を調整した。これにより、加圧ベルト端と当接する位置のマイクロ硬度Hμ1が90、当接しない位置のマイクロ硬度Hμ2が86の定着ベルト、および、マイクロ硬度Hμ3が89の加圧ベルトを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、評価した。
上述した実施例1乃至4、比較例1乃至3、変形例について、溶融ムラ評価試験および耐久試験の結果を表1に示す。ここで、溶融ムラ評価試験および耐久試験については、以下に示す通りである。
(溶融ムラ評価試験)
紙上に形成されたトナー像を定着させた後の、トナーの溶融状態を観察することで、定着ベルトの紙凹凸への追従性の指標とすることができる。
定着ベルトを装着したカラーレーザープリンタ(キヤノン株式会社製、商品名:imagePRESS C850))で、温度10℃相対湿度50%の環境下、入力電圧100Vにて、溶融ムラ評価画像を10枚連続して定着する。
紙は、A4サイズの再生紙(商品名:リサイクルペーパー GF−R100;キヤノン株式会社製、厚さ92μm、坪量66g/m、古紙配合率70%、ベック平滑度23秒(JIS P8119準拠した方法で計測))を用いる。溶融ムラ評価画像とは、シアントナーとマゼンタトナーを100%濃度で形成した10mm×10mmのパッチ画像を、紙面中央部付近に配置した画像である。
溶融ムラの目安としては、2色が形成された画像部で十分に熱と圧力が加わることでトナーが溶融し混色する。特に紙凹凸の凹部において、熱が加わっていても圧力が加わっていない場合には、トナーの粒界が定着後に残存するため、十分に混色しない状態で溶融ムラを生ずる。定着ベルトが凹凸に十分追従できない場合には、凸部は圧力が加わり混色するものの、凹部においては混色が不十分となる。そのため凹凸への追従性の判定は画像形成域の溶融状態を観察することで確認した。
溶融ムラ評価画像を10枚連続して印刷した後、10枚目のサンプルを抜き取り、画像形成部を光学顕微鏡で観察し溶融ムラを評価した。評価基準は以下の通りである。
評価ランク
A:紙繊維の凹部においてもトナー粒界がほぼ見えず、凹部凸部共に混色している状態
B:紙繊維の凹部において一部トナー粒界が観察されるものの、凹部凸部共におおむね混色している状態
C:紙繊維の凸部のみが混色され、凹部ではトナー粒界が多く観察される状態
(耐久試験)
定着ベルトをキヤノン製フルカラーコピー機である『imagePRESS C850』の定着装置に組み込み、加圧力75kgf、定着ニップ16mm×230mm、定着温度190℃、プロセススピード348mm/secに設定する。そして、70万枚通紙耐久試験を行った。
表1から分かるように、実施例1〜4の定着装置に関しては、いずれも溶融ムラ(AまたはB)、耐久性(○:70万枚非破壊)を満足する定着装置が得られた。また、変形例の定着装置に関しては、溶融ムラ(B)、耐久性(△:50万枚で破壊)を満足する定着装置が得られた。
以上、本発明によれば、紙の繊維の凹凸への追従性良化によるトナーの溶融ムラ抑制、及び、加熱定着枚数の増加に伴う定着部材の破壊を抑制できる定着装置が提供される。
上述した実施形態では、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上述した実施形態では、加圧部材として複数のローラに懸架される加圧ベルトを用いたが、加圧ローラであっても良い。また、定着部材として複数のローラに懸架される定着ベルトを用いたが、複数のローラに懸架されない定着ベルトや定着ローラを用いても良い。
これらの場合においても、加圧部材の長手方向の長さよりも定着部材の長手方向の長さの方が長い構成において、同様の課題が生じ得るため、上述した硬度の関係となるようにすることが好ましい。尚、加圧部材が加圧ローラである場合の長手方向の長さとは、表層や弾性層が形成されている領域の長手方向の長さであって、芯金のみの部分(例えば、軸受によって側板等に支持されている部分)を含まない。また、定着部材が定着ローラである場合も、同様である。
一方、ニップ領域における加圧部材の端部とは、定着部材に食い込むエッジ部を意味している。このため、加圧部材としてローラを用いる場合は、軸受けで支持されている軸部分ではなく、弾性層や表層が塗工されて定着部材とニップを形成している領域の端部のことを示す。
上述した実施形態では、未定着トナー像をシートに定着する定着装置を例に説明したが、本発明は、これに限らず、画像の光沢を向上させるべく、シートに仮定着されたトナー像を加熱加圧する装置(この場合も定着装置と呼ぶ)にも同様に適用可能である。
20・・定着部材(定着ベルト)、30・・加圧部材(加圧ベルト)

Claims (10)

  1. 定着部材と、
    前記定着部材と共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
    を備え、
    前記定着部材の長手方向に関し、前記定着部材の前記長手方向の長さは前記加圧部材の前記長手方向の長さより長く、
    前記ニップ部において、前記加圧部材の前記長手方向の端部と接触する第1の位置における前記定着部材のマイクロ硬度をHμ1、前記第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における前記定着部材のマイクロ硬度をHμ2とし、前記加圧部材のマイクロ硬度をHμ3とするとき、
    Hμ2<90
    Hμ2<Hμ3<Hμ1
    なる条件式を満足することを特徴とする定着装置。
  2. Hμ1−Hμ3≧3
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着部材は無端状の定着ベルトであり、前記加圧部材は無端状の加圧ベルトであり、前記定着ベルトと前記加圧ベルトをそれぞれ回転可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記加圧ベルトは複数のローラに懸架されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記定着ベルトは複数のローラに懸架されていることを特徴とする請求項3または4に記載の定着装置。
  6. 無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトと共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する無端状の加圧ベルトと、
    を回転可能に備え、
    前記定着ベルトの長手方向に関し、前記定着ベルトの前記長手方向の長さは前記加圧ベルトの前記長手方向の長さより長く、
    前記ニップ部において、前記加圧ベルトの前記長手方向の端部と接触する第1の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ1、前記第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ2とし、前記加圧ベルトのマイクロ硬度をHμ3とするとき、
    Hμ2<90
    Hμ1−Hμ3≧3
    Hμ2<Hμ3<Hμ1
    なる条件式を満足することを特徴とする定着装置。
  7. 前記加圧ベルトは複数のローラに懸架されていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記定着ベルトは複数のローラに懸架されていることを特徴とする請求項6または7に記載の定着装置。
  9. 前記定着ベルトは、シリコーンゴム弾性層を備えることを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
  10. シリコーンゴム弾性層を備える無端状の定着ベルトと、
    前記定着ベルトと共にトナー画像を担持した記録材が挟持搬送されるニップ部を形成する無端状の加圧ベルトと、
    を回転可能に備え、
    前記定着ベルトの長手方向に関し、前記定着ベルトの前記長手方向の長さは前記加圧ベルトの前記長手方向の長さより長く、
    前記ニップ部において、前記加圧ベルトの前記長手方向の端部と接触する第1の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ1、前記第1の位置と異なり且つ最大幅の記録材が通過しうる領域内に位置する第2の位置における前記定着ベルトのマイクロ硬度をHμ2とし、前記加圧ベルトのマイクロ硬度をHμ3とするとき、
    Hμ2<90
    Hμ1−Hμ3≧3
    Hμ2<Hμ3<Hμ1
    なる条件式を満足する定着装置の製造方法であって、
    前記シリコーンゴム弾性層の架橋進行度を制御する工程を有することを特徴とする定着装置の製造方法。
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