JP6084403B2 - 多孔質ポリイミド被膜の製造方法 - Google Patents

多孔質ポリイミド被膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、多孔質ポリイミド被膜の製造方法に関する。
ポリイミドは、電気絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れるため、複写機、コピー機のOA機器用の部材として巾広く用いられている。特にポリイミドの耐熱性を利用し、電子写真方式の複写機やプリンターなどに用いられる画像形成装置の定着部材等に用いられている。
従来、定着用部材に用いられるポリイミドとしては、無孔のポリイミドのシームレスベルト成形体が定着用ローラとして広く実用化されている。このポリイミド成形体は無孔であるために、定着装置における摺動部材(例えば潤滑剤を供給もしくは保持の為の部材)として利用することは困難であった。この問題を解消する方法として、多孔質ポリイミド成形体や表面に凹凸を形成させたポリイミド成形体を用意し、この多孔や表面の凹凸内にシリコーン油などの潤滑剤を含浸させて使用する方法が開示されている。(特許文献1〜3参照)
特開2010−217517号公報 特開2009−186829号公報 特開2005−077847号公報
しかしながら、従来開示された方法で形成された多孔質ポリイミド被膜の潤滑油含浸性は不充分なものであり、改良すべき点があった。また、得られる多孔質ポリイミドの力学的特性も充分なものではなかった。
本発明は上記課題を解決するものであって、力学的特性、耐熱性に優れ、かつ良好な潤滑油含浸性を有するポリイミド被膜の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の特性を有するポリイミド被膜を特定の製造方法により得ることで上記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。即ち、本発明は下記を趣旨とするものである。
<1>基体表面にポリイミド前駆体溶液を塗布、乾燥、熱硬化し、表面に緻密層を有し内部が多孔質であるポリイミド被膜を形成した後、表面を多孔質化することを特徴とする、以下の1)〜3)の特性をすべて有する多孔質ポリイミド被膜の製造方法。
1)ポリイミドのTg(ガラス転移温度)が200℃以上である。
2)ポリイミド被膜の気孔率が30〜80%である。
3)明細書記載の方法で測定された液体含浸速度が25分以下である。
>表面を多孔質化する方法が湿式または乾式のエッチングであることを特徴とする<>に記載の多孔質ポリイミド被膜の製造方法。
>表面を多孔質化するポリイミド被膜の緻密層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする<>または<>に記載の多孔質ポリイミド被膜の製造方法
本発明により得られる多孔質ポリイミド被膜は、特定の気孔率と液体含浸性を有し、かつ耐熱性および力学的特性に優れる為、複写機やプリンターなどに用いられる画像形成装置の定着部材等に好適に用いることができる。
本発明における被膜表面の多孔質化の一例として、レーザ照射による表面多孔質化状態を示すSEM像である。(被膜表面付近の断面SEM像) 本発明における被膜表面の多孔質化の一例として、レーザ照射による表面多孔質化状態を示すSEM像である。(被膜の表面SEM像) 本発明における被膜表面の多孔質化の一例として、化学エッチングによる表面多孔質化状態を示すSEM像である。(被膜の断面SEM像) 本発明における被膜表面の多孔質化の一例として、化学エッチングによる表面多孔質化状態を示すSEM像である。(被膜の表面SEM像) 表面多孔質化処理前の多孔質ポリイミド被膜の一例としてのSEM像(断面)である。Mは緻密層、Pは多孔質部分、Sは被膜表面である。 図5の被膜の表面付近の断面を拡大したSEM像である。 液体含浸性を有する被膜に、含浸用の液体を滴下した直後の被膜表面の写真。L1は滴下した液体である。 液体含浸性を有する被膜に、含浸用の液体を滴下してから25分経過後、被膜表面をワイピングクロスで拭き取った後の被膜表面の写真。L2において、被膜に含浸した液体跡を目視にて確認できる。 液体含浸性を有さない被膜に、含浸用の液体を滴下した直後の被膜表面の写真。L3は滴下した液体である。 液体含浸性を有する被膜に、含浸用の液体を滴下してから25分経過後、被膜表面をワイピングクロスで拭き取った後の被膜表面の写真。L4において、被膜に含浸した液体跡が無いことが確認できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、多孔質ポリイミド被膜基体表面に形成される。基体としては、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等からなる金属の基体が好ましいが、ポリイミド等の耐熱性プラスチックやアルミナ等のセラミックも使用することができる。基体の形状としては、平板状、曲板状、円筒状、円柱状などの形状の基体を用いることができる。これらの基体はポリイミド被膜との密着性を向上させるために、粗面化処理や防錆処理がされていても良い。
本発明において、ポリイミドとは、下記構造式(1)で示す構造を有するものである。
ここで、R1は4価の芳香族残基、脂肪族残基、脂環族残基から選らばれる残基を表し、R2は2価の芳香族残基、脂肪族残基、脂環族残基から選らばれる残基を表す。
本発明では、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)が250℃以上のポリイミドが用いられ、Tgが280℃以上のポリイミドがより好ましく用いられる。Tgが200℃未満のポリイミドでは、被膜の耐熱性が低下するとともに、力学的特性も低下する傾向にある。
本発明により得られるポリイミド被膜は気孔を有しており、その気孔率は30〜80%であり、40〜70%がより好ましい。気孔率が30%未満であると、十分な液体含浸性が得られず、80%を超えると良好な力学的特性が確保されない。また、その気孔径は0.1〜10μmが好ましく、0.5〜5μmが特に好ましい。気孔率、気孔径をともに上記範囲とすることで、力学的特性と液体含浸性がさらに良好となる。
なお、ポリイミドの気孔率はポリイミド被膜の見掛け密度(A)と真密度(B)から下記の計算式を用いて算出される値である。
(数1)
気孔率=(B−A)/B×100(%)
また、本発明により得られる多孔質ポリイミド被膜は、以下の方法で測定された液体含浸速度が25分以下であり、より好ましくは10分以下であり、5分以下がさらに好ましく、2分以下が最も好ましい。このようにすることにより良好な液体含浸性が得られる。
<液体含浸速度の測定法>
含浸用の液体として信越シリコーン株式会社製アミノ変性シリコーンオイルKF−860(粘度:250mm/s(25℃))を用い、マイクロピペットとしてFinnpipette(フィンピペット) F2(Thermo Fisher Scientific社製)を使用し0.2μLを被膜表面に滴下して、内部に完全に浸透するまでの時間を測定することにより、この時間を液体含浸速度とする。
なお、液体が被膜内部に完全に浸透したかどうかは、被膜表面に滴下した液滴が、被膜内部に浸透することにより、被膜表面に残る液滴の光沢感が消失したことによって判定する。
ポリイミド被膜の厚みとしては、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。このように厚みを設定することにより、例えば複写機の定着部材等幅広い分野に適用することができる。
本発明により得られた多孔質ポリイミド被膜には、上記気孔に潤滑油を含浸させることができる。潤滑油としては、耐熱性に優れたフッ素系やシリコーン系の潤滑オイルを用いることができる。フッ素系の潤滑オイルとしては、パーフルオロポリエーテルオイル、シリコーン系の潤滑オイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイルなどが用いられる。これら潤滑オイルの25℃における粘度は含浸性の観点から、50〜5000mm/sが好ましく、100〜1500mm/sがより好ましい。
これらの潤滑油には、酸化防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を必要に応じ配合することができる。
多孔質ポリイミド被膜の潤滑油含有量は30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。このような潤滑油含有量とすることにより、この被膜は複写機の定着部の摺動部材として好適に使用することができる。
本発明により多孔質ポリイミド被膜を製造するには、先ず前記の基体表面にポリイミド前駆体溶液を塗布する。ここでポリイミドの前駆体溶液は、原料となるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの略等モルを、溶媒中で重合反応させて得られるポリアミック酸溶液が好ましく用いられる。このポリアミック酸溶液には、一回の塗布で、多孔質ポリイミド層及びポリイミド緻密層を基体側よりこの順に同時に形成せしめる溶媒を使用することが好ましい。
ここでポリイミド前駆体の原料となるテトラカルボン酸二無水物は例えばピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン、酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどの二無水物などを単体もしくは混合物として使用することができるがこれらに限定されるものではない。
また、ポリイミド前駆体の原料となるジアミンとしては例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエート、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン等を単体もしくは混合物として使用することができるがこれらに限定されるものではない。
前記ポリイミド前駆体溶液に用いられる溶媒としては、ポリイミド前駆体に対する良溶媒
と貧溶媒との混合物からなる溶媒が好ましく使用される。このようにすることにより一回の塗布で多孔質ポリイミド層及びポリイミド緻密層を基体側よりこの順に同時に形成せしめることが可能となる。また、所定の気孔率範囲の多孔質構造を有するポリイミド被膜を形成することができる。このようなポリイミド被膜は、例えば、特許第3414479号明細書、特開2007−211136号公報などに記載の方法によって形成することもできる。
ここで、ポリイミド前駆体に対する良溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒が単独または混合物として好ましく用いられる。
また、ポリイミド前駆体に対する貧溶媒としては、エーテル系溶媒が好ましく用いられ、具体的には、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が単独または混合物として使用できる。
これらの貧溶媒は、前記良溶媒よりも沸点が20℃以上高いことが好ましく、かつポリイミド前駆体溶液に対し30質量%以上含有されていることがさらに好ましい。このようにすることにより、容易に一回の塗布で多孔質ポリイミド層及びポリイミド緻密層をこの順に同時に形成せしめ、かつ緻密層の厚みを0.5〜10μmの範囲とすることができる。
なお、このように緻密層を形成させることにより、被膜の良好な力学的特性を確保することができる。
前記ポリイミド前駆体溶液は、溶媒(良溶媒と貧溶媒の混合物)中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合させることにより製造することができるが、良溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重合させポリイミド前駆体を形成させた後、貧溶媒を必要量添加、混合することによっても製造することができる。製造する際の、反応温度としては、−30〜60℃が好ましく、−20〜40℃がより好ましい。またこの反応において、モノマー及び溶媒の添加順序は特に制限はなく、いかなる順序でもよい。
前記ポリイミド前駆体溶液におけるポリイミド前駆体の濃度は、1〜60質量%が好ましく、3〜45質量%がより好ましく、5〜40質量%がさらに好ましい。またポリイミド前駆体溶液の25℃に於ける粘度は0.1〜60Pa・sが好ましく、0.5〜10Pa・sがより好ましい。
ポリイミド前駆体溶液には、必要に応じて例えば、各種界面活性剤、有機シラン、顔料、導電性のカーボンブラックおよび金属微粒子のような充填材、摩滅材、誘電体、潤滑材等の他公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
本発明においては、前記の如くして得られたポリイミド前駆体溶液を基体上に塗布、乾燥してポリイミド前駆体層を形成させる。乾燥工程において、ポリイミド前駆体層では、用いた混合溶媒の作用により相分離が起こるため、多孔質ポリイミド前駆体層及びポリイミド前駆体緻密層が基体上にこの順に同時に形成されたポリイミド前駆体被膜が得られる。乾燥工程の後、ポリイミド前駆体層を熱硬化してイミド化することにより、基体上に多孔質ポリイミド層及びポリイミド緻密層がこの順に形成されたポリイミド被膜を得ることができる。
ポリイミド前駆体溶液を平坦な基体へ塗布するに際しては、ロールツーロールによる連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法が採用出来、いずれの方法でも良い。この時に用いられる塗布装置としては、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等が使用できる。
また、ポリイミド前駆体溶液を円筒状の基体へ塗布するに際しては、ポリイミド前駆体溶液中に円筒状金属基体を浸潰して外面に塗布膜を形成しこれを円筒状ダイス等で成膜する方法等により均一な皮膜とする方法等が挙げられる。
本発明では、次に、前記の如くして得られたポリイミド被膜の表面を多孔質化させる。この際、前記ポリイミド被膜中の多孔質層と被膜表面を緻密層を介して連通させることができ、良好な液体浸透性を得ることができる。表面を多孔質化する方法や、微孔の大きさや形成状態は特に限定されず、所定の液体含浸速度が達成できるように被膜表面と多孔質層とが連通されていればよい。
表面を多孔質化する方法としては、例えばエッチング法を用いることができ、スクラッチブラスト法、ショットブラスト法、レーザ照射法、ローレット加工法、研磨処理法などの乾式エッチング法や、化学エッチング法などの湿式エッチング法などを用いることができるが、スクラッチブラスト法や化学エッチング法が好ましく用いられる。スクラッチブラスト法は、研磨物でポリイミド被膜表面を擦過処理することによって、被膜表面の多孔質化を行う方法であり、研磨物としては、紙、布、フィルム等の基材上に表面に炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化セリウム、ダイヤモンド等の研磨粒子を配した研磨シートを用いることができる。これらの研磨シートとしては、50〜1000メッシュ、好ましくは、60〜800メッシュの規格のもの(市販品)が好適に用いられる。化学エッチング法は、ポリイミド被膜を溶解させ得る溶液に被膜表面を浸漬させたり、溶液を被膜表面に塗布したりすることによって、被膜表面の多孔質化を行う方法である。ポリイミド被膜を溶解させ得る溶液としては特に限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウムやNMP/水/エタノールアミン混合液などを用いることができる。
上記の様にして得られた多孔質ポリイミド被膜に、潤滑油を表面から滴下したり、潤滑油の浴に浸漬させることにより、容易に潤滑油含浸させることができる。
かくして、液体含浸性に優れ、かつ耐熱性、力学的特性に優れた多孔質ポリイミド被膜を提供することができる。
なお、本発明により得られる多孔質ポリイミド被膜は、被膜を基体から剥離することにより、良好な力学的特性と液体浸透性を有するポリイミド多孔質フィルムやエンドレスベルトとして使用することもできる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
[測定方法]
(1)ガラス転移温度
パーキンエルマー製Pyris1 DSC(示差走査熱量計)により、窒素中、昇温速度20℃/minで測定して求めた。
(2)見かけ密度
面積25cmの多孔体を切り出し、マイクロメータにて厚みの平均値を求め、これにより体積を算出した。また多孔体の重量を測定し、重量を体積で割ることにより見かけ密度(g/cm)を算出した。測定温度を23℃とした。
(3)真密度
多孔体を形成しない通常のポリイミドフィルムを得るため、乾燥した空気雰囲気下で、ジ
アミンとテトラカルボン酸二無水物を、良溶媒中にて反応させ、ポリイミド前駆体溶液を作製し、このポリイミド前駆体溶液より所望の厚みのポリイミドフィルムを得た。そのポリイミドフィルムを面積25cmで切り出し、マイクロメータにて厚みの平均値を求め、これにより体積を算出した。また、このポリイミドフィルムの重量を測定し、重量を体積で割ることにより真密度(g/cm)を算出した。測定温度を23℃とした。
[実施例1]
乾燥した空気雰囲気下で、4,4' −ジフェニルジアミノエーテル(ODA)8.65gを、DMAc(沸点166℃)100gに溶解し、10℃に保った。これに3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)12.84gを徐々に加え、50℃で1時間攪拌を続けたところ、均一な褐色溶液が得られた。これにトリエチレングリコールジメチルエーテル(Trig、沸点216℃)100gを加え、50℃で16時間攪拌を続け、ポリイミド前駆体溶液を得た。このときポリイミド前駆体溶液の粘度は1.2Pa・s/25℃であった。
このポリイミド前駆体溶液を厚み0.15mmのアルミ基板上に、厚み700μmとなるよう均一に塗工し、熱風乾燥機にて、130℃×10分→定率昇温30分→350℃×60分の条件で乾燥・加熱イミド化した。
しかる後、このポリイミド表面を600メッシュの研磨シート(日本研紙社製品番P600 C−Cw)で研磨処理を行い多孔質ポリイミド被膜を得た。(これを被膜Aとする。)
[実施例2]
3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)12.84gをピロメリット酸二無水物(PMDA)9.52gに、塗工厚み700μmを1000μmに変更する以外は実施例1と同様に行い、多孔質ポリイミド被膜を得た。(これを被膜Bとする。)
[実施例3]
DMAc100gをDMAc50gに、Trig100gをテトラエチレングリコールジメチルエーテル(Tetrag、沸点275℃)150gに、600メッシュの研磨シートを80メッシュの研磨シート(岡田磨布工業社製品番G−P80)に変更する以外は実施例2同様に行い、多孔質ポリイミド被膜を得た。(これを被膜Cとする。)
[実施例4]
実施例1で作製した未研磨処理被膜に、UVレーザ(波長355nm)処理により、孔径80μm、ピッチ10μmで等間隔の微孔を形成する処理を行い、多孔質ポリイミド被膜を得た。(これを被膜Dとする。)
[実施例5]
実施例1で作製した未研磨処理被膜の代わりに、実施例3で作製した未研磨処理被膜を用いる以外は、実施例4と同様の方法により、多孔質ポリイミド被膜を得た。(これを被膜Eとする。)
[比較例1]
研磨処理を行わないこと以外は実施例3と同様にして行い、多孔質ポリイミド被膜を得た。(これを被膜Fとする。)
被膜A〜Fの各種特性値測定結果を表1に示す。
上表から、実施例1〜5で得られた被膜A〜Eはいずれも液体含浸性に優れている。
被膜A〜Cにおいては研磨処理によって、被膜D、Eはレーザ処理によって被膜表面が多孔質化されたことにより、所定の液体含浸速度を示すものであった。
一方、比較例1の被膜Fは、表面の多孔質化処理を施しておらず被膜表面全体を厚み2〜3μm程度の緻密層が覆っている。このため、液体の浸透が起こりにくい被膜となった。

Claims (3)

  1. 基体表面にポリイミド前駆体溶液を塗布、乾燥、熱硬化し、表面に緻密層を有し内部が多孔質であるポリイミド被膜を形成した後、表面を多孔質化することを特徴とする、以下の1)〜3)の特性をすべて有する多孔質ポリイミド被膜の製造方法。
    1)ポリイミドのTg(ガラス転移温度)が200℃以上である。
    2)ポリイミド被膜の気孔率が30〜80%である。
    3)明細書記載の方法で測定された液体含浸速度が25分以下である。
  2. 表面を多孔質化する方法が湿式または乾式のエッチングであることを特徴とする請求項に記載の多孔質ポリイミド被膜の製造方法。
  3. 表面を多孔質化するポリイミド被膜の緻密層の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項またはに記載の多孔質ポリイミド被膜の製造方法。
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