JP6988208B2 - 粒子分散ポリイミド前駆体溶液、多孔質ポリイミドフィルムの製造方法、および多孔質ポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
例えば、アルキレン基、アルキレンオキシ基及びシロキサン基のいずれの連結基も有さないテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを、それぞれ1種ずつのみ用いて合成した従来のポリイミド前駆体では、脱泡したときに、溶存した空気が排出されにくく、気泡が残存しやすくなると考えられる。
溶媒、下記式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び粒子を含む粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(1):Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
(2):Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
前記(1)及び前記(2)の少なくとも一方の条件を満たし、前記A1/A2のモル比が1/99以上15/85以下、及び前記B1/B2のモル比が1/99以上15/85以下である<1>記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
<3>
前記(1)の条件を満たすとき下記(I−2)で示される条件を満足し、前記(2)の条件を満たすとき下記(I−1)で示される条件を満足する<1>又は<2>に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(I−1)A1/A2のモル比が0/100、かつB1/B2のモル比が1/99以上15/85以下
(I−2)A1/A2のモル比が1/99以上15/85以下、かつB1/B2のモル比が0/100
前記A1および前記B1の少なくとも一方は、下記の有機基である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基
B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基
前記A1を構成する原料単量体のテトラカルボン酸二無水物の重量平均分子量、および前記B1を構成する原料単量体のジアミン化合物の重量平均分子量が、それぞれ1000以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
<6>
前記A2を構成する原料単量体のテトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、前記B2を構成する原料単量体のジアミン化合物が、p−フェニレンジアミンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルである<1>〜<5>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記粒子が樹脂粒子である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
さらに有機アミン化合物を含有し、全溶媒中の水の占める割合が50質量%以上である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
<9>
前記有機アミン化合物が、3級アミン化合物である<8>に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
さらに非プロトン性極性溶剤を、ポリイミド前駆体溶液中の粒子とポリイミド前駆体の合計量に対して3質量%以上50質量%以下で含有する<8>又は<9>に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記粒子の体積平均粒径が、0.1μm以上0.5μm以下である<1>〜<10>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
<12>
前記粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子の体積粒度分布指標が、1.30以下である<1>〜<11>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記粒子の含有量が、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して30質量%以上85質量%以下である<1>〜<12>のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
<14>
さらに、前記ポリイミド前駆体において、前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が0.002mmol/g以上であり、前記各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が9mmol/g以下である<1>〜<13>のいずれかに記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
<1>〜<14>いずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程と、
前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有する球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
下記式(III)で示される繰り返し単位を有するポリイミドを含有する球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルム。
(1):Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
(2):Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
前記(1)及び前記(2)の少なくとも一方の条件を満たし、式(III)中、前記A1/(前記A1+前記A2)のモル比が1モル%以上15モル%以下、及びB1/(B1+B2)のモル比が1モル%以上15モル%以下である<16>に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
<18>
前記A1および前記B1の少なくとも一方は、下記の有機基である<16>又は<17>に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基
B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基
さらに、ポリイミド以外の樹脂を、前記多孔質ポリイミドフィルム全体に対して0.005質量%以上1質量%以下で含有する<16>〜<18>のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
<14>に係る発明によれば、式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体において、A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率が0.002mmol/g未満である場合、又は、A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の粒子に対する比率と、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率との差が9mmol/gを超える場合に比べ、脱泡性が向上する粒子分散ポリイミド前駆体溶液が提供される。
本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、溶媒、上記の式(I)(一般式(I))で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び粒子を含む。
溶媒は、ポリイミド前駆体を溶解し、粒子を溶解しない溶媒である。また、粒子はポリイミド前駆体溶液中で分散されている状態となっている。
このような、空孔が球状に近く、かつ空孔径が均一に近い多孔質ポリイミドフィルムは、相分離法で作製された不均一な多孔質ポリイミドフィルムと比較し、多くの産業用途で利点を有する。
しかし、例えば、粒子を用いて、均一に近い空孔を有する多孔質ポリイミドフィルムを作製する場合に、粒子を含むポリイミド前駆体溶液に対し脱泡処理を施す場合がある。そして、粒子を含むポリイミド前駆体溶液を脱泡したときに、粒子を含むポリイミド前駆体溶液中に、気泡が残存する場合があることが分かってきた。
また、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を脱泡処理する場合、従来の粒子を含むポリイミド前駆体溶液では、液面の最表面で少量の溶媒が揮発し、局所的に濃度が上昇しやすい。そして、ポリイミド前駆体が剛直であることにより、ポリイミド前駆体同士の凝集とともに粒子同士の凝集が進みやすくなるため、粒子析出が発生しやすくなる場合がある。
ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(ポリアミック酸)である。
(1):Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
(2):Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
さらに、上記(1)の条件を満たしていれば、Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1を含んでいてもよい。同様に、上記(2)の条件を満たしていれば、Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1を含んでいてもよい。そして、AとBとは、上記(1)の条件および上記(2)の条件のいずれの条件を満足していてもよい。
また、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基は、化学構造中に、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有するジアミン化合物から、2つのアミノ基を除いた残基を表す。
式(A−1):O(CO)2A11(CO)2O
A11は、アルキレン基、アルキレンオキシ基、又はシロキサン基の連結基を有する4価の有機基を表す。式(A−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が、芳香族である場合、A11は、例えば、ph−L11−phで表される基でもよい。phは置換されてもよいフェニル基を表す。L11はアルキレン基、アルキレンオキシ基、又はシロキサン基の連結基を表す。
式(B−1):H2NB21NH2
B21は、アルキレン基、アルキレンオキシ基、又はシロキサン基の連結基を有する2価の有機基を表す。式(B−1)で表されるジアミン化合物が、芳香族である場合、B21は、例えば、ph−L21−phで表される基でもよい。phは置換されてもよいフェニル基を表す。L21はアルキレン基、アルキレンオキシ基、又はシロキサン基の連結基を表す。
連結基は、分岐上、直鎖状のいずれにも限定されないが、直鎖状の連結基であることが好ましい。なお、連結基の主鎖とは、例えば、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有するテトラカルボン酸二無水物またはジアミン化合物が、上記式(A−1)または式(B−1)で表される場合、ph−L11−ph、またはph−L21−phで表される基のうち、phとphとを連結しているL11またはL21の連結鎖を表す。
A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基
B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基
つまり、A1およびB1中のアルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基は、シロキサン基であることが好ましい。シロキサン基の連結基のうち、ケイ素原子上に置換する置換基としては、具体的にはメチル基、エチル基、nプロピル基、nブチル基などの炭素数10未満のアルキル基、フェニル基、4−メチルフェニル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基が挙げられる。このうち、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
ここで、エチレンオキシ基やプロピレンオキシ基の総数(繰り返し数)は、連結基の主鎖を構成する原子(アルキレンオキシ基の場合、主鎖中の炭素原子と酸素原子)の総数が、上述した数字になるものが好ましいものとして挙げられる。
ここで、エチレンオキシ基やプロピレンオキシ基の繰り返し数は、連結基の主鎖を構成する原子(アルキレンオキシ基の場合、主鎖中の炭素原子と酸素原子)の総数が、上述した数字になるものが挙げられる。
これらのポリ(アルキレンオキシ)ジアミン化合物の多くは、ハンツマン社製のジェファーミンシリーズとして入手可能である。例えば、ジェファーミンD−230、ジェファーミンD−400、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000、ジェファーミンHK−511、ジェファーミンED−600、ジェファーミンED−900、ジェファーミンED−2003、ジェファーミンEDR−148、ジェファーミンEDR−176などが挙げられる。
ここで、シロキサンの繰り返し数は、連結基の主鎖を構成する原子(シロキサンの場合、主鎖中のケイ素原子と酸素原子)の総数が、上述した数字になるものが挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族、脂肪族いずれの化合物も挙げられるが、芳香族の化合物であることがよい。つまり、一般式(I)中、Aが表す4価の有機基は、芳香族の有機基であることがよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
(I−1):A1/A2のモル比が0/100、かつB1/B2のモル比が1/99以上15/85以下
(I−2):A1/A2のモル比が1/99以上15/85以下、かつB1/B2のモル比が0/100
条件(3)としては、前記ポリイミド前駆体において、A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率は、0.002mmol/g以上であることがよい。この比率は、0.005mmol/g以上が好ましく、0.02mmol/g以上がより好ましい。この比率が0.002mmol/g以上であると、粒子の量に対して該各原料単量体の含有比率が低すぎることがなく、脱泡性が向上しやすい。
なお、「ゼロを除く」は、上記A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、含有しない成分を除くことを表す。
また、上記の各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の粒子に対する比率と最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率との差は、9mmol/g以下であることがよい。この両者の差は、7mmol/g以下が好ましく、5mmol/g以下がより好ましく、3mmol/g以下が最も好ましい。この値が9mmol/g以下であると、粒子の量に対してポリイミド前駆体の繰り返し単位の規則性が大きくなりすぎることがなく、脱泡性が向上しやすくなる。
まず、測定対象となる粒子分散ポリイミド前駆体溶液から、粒子を分離する。次に、粒子を分離したポリイミド前駆体溶液に対して、メタノールを加えて、ポリイミド前駆体の再沈物を得る。この再沈殿物を耐圧容器に入れて、1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、100℃で2時間処理を行い、ポリイミド前駆体の加水分解物を得る。次に、この加水分解物をクロロホルムで抽出作業を行い、クロロホルム相の濃縮液から、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びガスクロマトグラフィー法によって分析し、ジアミン化合物由来の成分の構造および量を測定する。また、この加水分解物のクロロホルム不溶相である水相を中和し、凍結乾燥後、乾燥固形分を得る。これにメタノールによる抽出作業を行い、その溶解物を、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びガスクロマトグラフィー法によって分析し、テトラカルボン酸二無水物由来の成分の構造および量を測定する。
なお、ポリイミドフィルム中のA1、A2、B1、およびB2は、ポリイミドフィルムを、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びガスクロマトグラフィー法によって分析する。
また、分離した粒子から、粒子分散ポリイミド前駆体溶液に含まれる粒子の固形分含有量を測定する。そして、粒子の含有量の測定結果と、上記A1、A2、B1、およびB2の測定結果とから、単位粒子質量当たりに対する上記A1、A2、B1、およびB2の各原料単量体成分のうちの0(ゼロ)を除く最も含有量の少ないモル量の比と、単位粒子質量当たりに対する上記A1、A2、B1、およびB2の各原料単量体成分のうちの最も含有量の多いモル量の比を下記式1および下記式2にしたがって算出する。また、最も含有量の多い成分の粒子に対する比率と最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率との差を下記式3にしたがって算出する。
式1:各原料単量体成分のうち0を除く最も含有量の少ない成分のモル量/粒子の質量
式2:各原料単量体成分のうち最も含有量の多い成分のモル量/粒子の質量
式3:(上記の各原料単量体成分のうち最も含有量の多い成分のモル量/粒子の質量)−(上記の各原料単量体成分のうち0を除く最も含有量の少ない成分のモル量/粒子の質量)
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
粒子は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液中に、粒子が溶解せず分散している状態であり、さらに、多孔質ポリイミドフィルムを作製するときに、後述する粒子除去工程で除去可能であれば、粒子の材質は特に限定されない。粒子は、後述する樹脂粒子および無機粒子に大別される。
また、粒子の体積粒度分布指標(GSDv)は、1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましく、1.20以下が最も好ましい。粒子の体積粒度分布指標は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子の粒度分布から、(D84v/D16v)1/2として算出される。
そして、小径側から描いた体積累積分布のうち、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vとする。
なお、本明細書中において、粒子における「球状」とは、球状、及びほぼ球状(球状に近い形状)の両者の形状を包含するものである。具体的には、長径と短径の比(長径/短径)が1以上1.5以下である粒子の割合が90%以上存在することを意味する。長径と短径の比が1に近づくほど真球状に近くなる。
樹脂粒子は、後述するように乳化重合などの公知の製造法により、球状に近い粒子を作製しやすくなる。さらに、樹脂粒子およびポリイミド前駆体は有機材料なので、無機粒子を使用する場合と比較し、塗膜中の粒子分散性やポリイミド前駆体との界面密着が向上しやすくなる。また、多孔質ポリイミドフィルムを作製するときに、空孔および空孔径がより均一に近い多孔質ポリイミドフィルムが得られやすくなる。これらの理由で樹脂粒子を用いることが好ましい。
樹脂粒子としては、具体的には、例えば、ポリスチレン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテルなどに代表されるビニル系ポリマー;ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドなどに代表される縮合系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンなどに代表される炭化水素系ポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオリドなどに代表されるフッ素系ポリマー;などの樹脂粒子が挙げられる。
ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」のいずれをも含むことを意味する。また、(メタ)アクリル酸類とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドを含む。
その他の単量体として、酢酸ビニルなどの単官能単量体を併用してもよい。
また、ビニル樹脂は、これらの単量体を単独で用いた樹脂でもよいし、2種以上の単量体を用いた共重合体である樹脂であってもよい。
無機粒子としては、例えば、具体的には、シリカ(二酸化ケイ素)粒子、酸化マグネシウム粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化カルシウム粒子、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子などの無機粒子が挙げられる。粒子の形状は、上述した通り、球状であることがよい。この観点で、無機粒子としては、シリカ粒子、酸化マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化マグネシウム粒子、アルミナ粒子の無機粒子が好ましく、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子の無機粒子がより好ましく、シリカ粒子がさらに好ましい。これらの無機粒子は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液中で、ポリイミド前駆体が溶解し、かつ粒子が溶解せずに分散している状態となるのであれば、特に限定されるものではない。溶媒は、有機系溶媒および水系溶媒のいずれでもよい。溶媒は、ポリイミド前駆体は溶解し、粒子は溶解せずに分散している状態に応じて選択すればよい。
有機系溶媒は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液中において、ポリイミド前駆体は溶解し、粒子は溶解せず分散している状態が得られるように選択される。有機系溶媒を選択する場合、ポリイミド前駆体に対する良溶媒(S1)と、良溶媒(S1)以外の溶媒(S2)との混合溶媒が好ましい。
これらの中でも、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトンが好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトンがより好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ―ブチロラクトンがさらに好ましい。
本明細書において水系溶媒とは、具体的には、以下に示す水性溶剤である。
水性溶剤は、水を含む水性溶剤である。具体的には、水性溶剤は、全水性溶剤に対して水を50質量%以上含有する溶剤であることがよい。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
粒子として樹脂粒子を用いる場合、上記水溶性の有機溶剤としては、樹脂粒子が溶解しないものが好ましい。この理由は、例えば、水と水溶性の有機溶剤とを含む水性溶剤とした場合に、樹脂粒子分散液中で樹脂粒子を溶解していなくても、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の塗膜を得る過程で樹脂粒子が溶解してしまうことが懸念されるためである。
ここで、溶媒として水性溶剤を用いるとき、後述の有機アミン化合物を含有し、全溶媒中に示す水の割合が50質量%以上である水性溶剤であることがよい。また、この水性溶剤に、非プロトン性極性溶剤を、粒子とポリイミド前駆体の合計量に対し3質量%以上50質量%以下含有する水性溶剤でもよい。
溶媒が水系溶媒の場合、ポリイミド前駆体を溶解させるために、有機アミン化合物を添加して水溶化させる。有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体(そのカルボキシ基)をアミン塩化して、その水性溶剤に対する溶解性を高めると共に、イミド化促進剤としても機能する化合物である。具体的には、有機アミン化合物は、分子量170以下のアミン化合物であることがよい。有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体の原料となるジアミン化合物を除く化合物であることがよい。
なお、有機アミン化合物は、水溶性の化合物であることがよい。水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
これらの中でも、有機アミン化合物としては、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種(特に、3級アミン化合物)がよい。有機アミン化合物として、3級アミン化合物又は2級アミン化合物を適用すると(特に、3級アミン化合物)、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなり、また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性が向上し易くなる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
ル類(イミダゾール骨格を有するアミン化合物)、モルホリン類(モルホリン骨格を有するアミン化合物)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリアミンなどが挙げられる。
有機アミン化合物の含有量を上記範囲とすると、ポリイミド前駆体の水性溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなる。また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性も向上し易くなる。
本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、イミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材などを含んでいてもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、酸無水物など脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック(例えばpH5.0以下の酸性カーボンブラック);金属(例えばアルミニウムやニッケル等);金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等);イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等);等が挙げられる。これら導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
脱泡したときの気泡の残存を抑制する点で、本実施形態の粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、以下の態様が好ましい態様として挙げられる。
本実施形態の粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、樹脂粒子、前述の式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、水性溶剤を含む溶媒、及び3級アミン化合物を含む。そして、ポリイミド前駆体は、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)およびアルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が下記(I−1)および(I−2)のいずれかの条件を満たすことが好ましい。
(I−1):A1/A2のモル比が0/100、かつ、B1/B2のモル比が1/99以上15/85以下
(I−2):A1/A2のモル比が1/99以上15/85以下、かつ、B1/B2のモル比が0/100
前述の式(I)で示されるポリイミド前駆体のA1およびB1の少なくとも一方が、下記に示す有機基である。A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基、B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基。
溶媒は有機アミン化合物を含有し、全溶媒中に示す水の割合が50質量%以上である水性溶剤であることがよい。また、水性溶剤には、非プロトン性極性溶剤を、粒子とポリイミド前駆体の合計量に対し3質量%以上50質量%以下含有していてもよい。このうち、有機アミンとしては、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンからなる群から選択される少なくとも一種を用いることが最も好ましい。
本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液の作製方法としては、下記の(i)、(ii)による方法が挙げられる。
(i)ポリイミド前駆体溶液を作製した後、粒子と混合、分散する方法
(ii)粒子分散液を作製し、その分散液中でポリイミド前駆体を合成する方法
まず、粒子を分散する前のポリイミド前駆体溶液は、公知の方法を用い、溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成してポリイミド前駆体溶液を得る方法が挙げられる。
なお、水系溶媒の場合は、上述の水性溶剤を使用し、有機アミンの存在下で重合してポリイミド前駆体溶液が得られる。他の例としては、非プロトン性極性溶剤等(例えば、N−メチルピロリドン(NMP)等)の有機溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成した後、水や、アルコール等の水性溶剤に投入して樹脂(ポリイミド前駆体)を析出させる。その後、水性溶剤に、ポリイミド前駆体と有機アミン化合物とを溶解させ、ポリイミド前駆体溶液を得る方法が挙げられる。
樹脂粒子を作製する場合、例えば、樹脂粒子がビニル樹脂粒子である場合には、公知の重合法(乳化重合、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合等のラジカル重合法)により、水性溶剤中で作製できる。
なお、混合、攪拌、及び分散の方法は特に制限されない。また、粒子の分散性を向上させるため、公知の非イオン性またはイオン性の界面活性剤を添加してもよい。
有機系溶媒で、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を作製する場合は、まず、粒子が溶解せず、ポリイミド前駆体は溶解する有機系溶媒に、粒子が分散された溶液を準備する。次に、その溶液中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成して粒子分散ポリイミド前駆体溶液を得る。
水系溶媒(水性溶剤)で、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を作製する場合は、まず、粒子の水性溶剤分散液を準備する。次に、その溶液中で、かつ有機アミンの存在下で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成して粒子分散ポリイミド前駆体溶液を得る。
粒子含有ポリイミドフィルムは、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、塗膜を加熱することで得られる。
なお、粒子含有ポリイミドフィルムは、イミド化が完了した粒子含有ポリイミドフィルムのみならず、イミド化が完了する前の部分的にイミド化された粒子含有ポリイミドフィルムも含む。
まず、上述の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を準備する。次に、粒子分散ポリイミド前駆体溶液を基板上に塗布し、塗膜を形成する。
基板としては、例えば、樹脂製基板;ガラス製基板;セラミック製基板;金属基板;これらの材料が組み合わされた複合材料基板が挙げられる。なお、基板は、剥離処理が施された剥離層を備えていてもよい。
また、粒子分散ポリイミド前駆体溶液を基板に塗布する方法としては、特に制限はなく、例えば、スプレー塗布、回転塗布法、ロール塗布法、バー塗布法、スリットダイ塗布法、インクジェット塗布法等の各種の方法が挙げられる。
次に、上記の塗膜形成工程で得られた塗膜に対して、乾燥処理を行う。この乾燥処理により、被膜(乾燥したイミド化前の被膜)を形成する。
乾燥処理の加熱条件は、例えば80℃以上200℃以下の温度で10分間以上60分間以下がよく、温度が高いほど加熱時間は短くてよい。加熱するときには、熱風を当てることも有効である。加熱のときは、温度を段階的に上昇させてもよく、速度を変化させずに上昇させてもよい。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上450℃以下(好ましくは200℃以上430℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミドフィルムが形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。
なお、加熱温度は、式(I)で示されるポリイミド前駆体中のA1およびB1の少なくとも一方に有する連結基の種類(アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基のいずれか)が熱分解しないような温度に設定することが好ましい。
本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムの製造方法は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程と、前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有する。
ここで、本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムの製造方法によれば、球状の粒子を用いることで、球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルムが得られる。
第1の工程は、まず、上述の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を準備する。次に、基板上に、粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布し、ポリイミド前駆体溶液と、粒子とを含む塗膜を形成する。そして、基板上に形成された塗膜を乾燥して、ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する。
第2の工程は、第1の工程で得られたポリイミド前駆体及び粒子を含む被膜を加熱して、ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する工程である。そして、第2の工程には、粒子を除去する処理を含んでいる。粒子を除去する処理を経て、多孔質ポリイミドフィルムが得られる。
なお、本実施形態において、ポリイミド前駆体をイミド化する過程とは、第1の工程で得られたポリイミド前駆体及び粒子を含む被膜を加熱して、イミド化を進行させ、イミド化が完了した後のポリイミドフィルムとなるよりも前の状態となる過程を示す。
初めに、樹脂粒子を除去する処理について説明する。
樹脂粒子を除去する処理としては、例えば、樹脂粒子を加熱により除去する方法、樹脂粒子を溶解する有機溶剤により除去する方法、樹脂粒子をレーザ等による分解により除去する方法等が挙げられる。これらのうち、樹脂粒子を加熱により除去する方法、樹脂粒子を溶解する有機溶剤により除去する方法が好ましい。
また、加熱により樹脂粒子を除去して多孔質化する場合は、塗布後の乾燥温度では分解せず、ポリイミド前駆体の皮膜をイミド化させる温度により熱分解させる。この観点から、樹脂粒子の熱分解開始温度は、150℃以上320℃以下であることがよく、180℃以上300℃以下であることが好ましく、200℃以上280℃以下であることがより好ましい。
無機粒子を除去する処理としては、無機粒子は溶解するがポリイミド前駆体またはポリイミドは溶解しない液体(以下、「粒子除去液」と称することがある)を用いて除去する方法が挙げられる。粒子除去液は、使用する無機粒子により選択される。例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ホウ酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸などの酸の水溶液;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、上述の有機アミンなどの塩基の水溶液;が挙げられる。また、使用する無機粒子とポリイミド前駆体によっては、水単独でも使用可能である。
ポリイミド膜中のポリイミド前駆体のイミド化率が10%未満であるとき(すなわち、ポリイミド膜が溶媒に溶解できる状態)に粒子を露出させる処理を行う場合、上記のポリイミド膜中に埋没している粒子を露出させる処理としては、拭き取る処理、溶媒に浸漬する処理等が挙げられる。その際に使用する溶媒としては、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液に用いた溶媒と同じものでも、異なるものでもよい。
例えば、機械的に切削する場合には、ポリイミド膜に埋没している粒子の上部の領域(つまり、粒子の基板から離れた側の領域)に存在する粒子の一部分が、粒子の上部に存在しているポリイミド膜とともに切削され、切削された粒子がポリイミド膜の表面から露出される。
なお、ガス分離膜のように表面に開孔していないスキン層を持つことが好ましく、この場合には粒子を露出させる処理は行わないことがよい。
すなわち、多孔質ポリイミドフィルムの製造方法は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程であって、塗膜を形成する前に、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の脱泡処理を含む第1の工程と、前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有するものであってもよい。
一部がイミド化したポリイミド前駆体は、例えば、下記一般式(V−1)、下記一般式(V−2)、及び下記一般式(V−3)で表される繰り返し単位を有する構造の前駆体が挙げられる。
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコーンウェハー上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製する。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶媒をテトラヒドロフラン(THF)に置換する。浸漬させる溶媒は、THFに限定されることなく、ポリイミド前駆体を溶解せず、ポリイミド前駆体組成物に含まれている溶媒成分と混和し得る溶媒より選択できる。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、ジオキサンなどのエーテル化合物が使用できる。
(iii)塗膜試料を、THF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにN2ガスを吹き付け、取り除く。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製する。
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコーンウェハー上に塗布して、塗膜試料を作製する。
(v)塗膜試料を380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製する。
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定する。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求める。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求める。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率=I(x)/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))
以下、本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムについて説明する。
(1):Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
(2):Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基
B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基
本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムは、特に限定されないが、空孔率が30%以上であることがよい。また、空孔率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。空孔率の上限は、特に限定されないが、90%以下の範囲であることがよい。
また、空孔は、空孔どうしが互いに連結されて連なった形状であることが好ましい。空孔どうしが互いに連結されている部分の空孔径は、例えば、空孔の最大径の1/100以上1/2以下であることがよく、1/50以上1/3以下であることが好ましく、1/20以上1/4以下であることがより好ましい。具体的には、空孔どうしが互いに連結されて連なっている部分の空孔径の平均値は、5nm以上1500nm以下であることがよい。
「空孔の最大径と最小径の比率」とは、空孔の最大径を最小径で除した値(つまり、空孔径の最大値/最小値)で表される比率である。
多孔質ポリイミドフィルムに含有するポリイミド樹脂以外の樹脂の存在状態は、特に限定されない。例えば、多孔質ポリイミドフィルムの内部、多孔質ポリイミドフィルムの表面(多孔質ポリイミドフィルムの空孔の表面を含む)の少なくとも一方に存在していればよい。
多孔質ポリイミドフィルム中のポリイミド以外の樹脂の存在およびその含有量は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって検出される成分を分析および定量することで測定することができる。具体的には、以下のように測定する。
多孔質ポリイミドフィルム中の含有成分を、落下型の熱分解装置(フロンティアラボ社製、PY−2020D)を設置したガスクロマトグラフ質量分析計(島津社製、GCMS QP−2010)により分析する。
ポリイミド以外の樹脂の成分について、多孔質ポリイミドフィルム0.20mgを精確に秤量し、熱分解温度600℃で測定する。ポリイミド以外の樹脂については、熱分解温度400℃と熱分解温度600℃のクロマトグラムを比較し、例えば、ポリスチレンの解重合によるスチレンモノマーが熱分解温度400℃よりも熱分解温度600℃で多く検出されることでポリマー由来であることを確認できる。
熱分解装置:フロンティアラボ社製、PY−2020D
ガスクロマトグラフ質量分析計:島津社製、GCMS QP−2010
熱分解温度:400℃、600℃
ガスクロマト導入温度:280℃
Inject方法:スプリット比1:50
カラム:フロンティアラボ社製:Ultra ALLOY−5,0.25μm、0.25μm ID、30m
ガスクロマト温度プログラム:40℃→20℃/min→280℃・10min保持
マスレンジ:EI、m/z=29−600(ポリイミド樹脂以外の樹脂の含有量)
本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムが適用される用途としては、例えば、リチウム電池等の電池セパレータ;電解コンデンサー用のセパレータ;燃料電池等の電解質膜;電池電極材;気体又は液体の分離膜;低誘電率材料;ろ過膜;等が挙げられる。
これは、本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムの空孔の形状、空孔径のバラつきが抑制されるためと推測される。
また、例えば、電池電極材に適用した場合には、電解液に接触する機会が増加するため、電池の容量が増えると考えられる。これは、多孔質ポリイミドフィルムに含有させた電極用のカーボンブラック等の材料が、多孔質ポリイミドフィルムの空孔径の表面や、フィルムの表面に露出する量が増加するためと推測される。
さらに、例えば、多孔質ポリイミドフィルムの空孔内に、例えば、いわゆるイオン性液体をゲル化したイオン性ゲル等を充填して電解質膜として適用することも可能である。本実施形態の製造方法により、工程が簡略化されるため、より低コストの電解質膜が得られると考えられる。
また、別の例として、フィルターに適用した場合には、ろ過速度を低下させずにろ過効率を向上させることが可能となると考えられる。
例えば、リチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する場合、電池の種類によっては、セパレータをつづら折り状に折り畳んで使用することがある。本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムは、上記のような利点を有するため、リチウムイオン二次電池用セパレータの用途として好適に使用し得る。
本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムは、ポリイミドの化学構造の主鎖中に、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基から選択される少なくとも一種の連結基を特定の比率で有している。このため、ポリイミドの化学構造中に剛直な部分と柔軟性の高い部分が共存することで、熱軟化耐性の低下が抑制されると考えられる。また、多孔質ポリイミドフィルムを製造する過程において、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の塗膜を形成した後のポリイミド前駆体と粒子との界面密着性が向上すると考えられる。そのため、イミド化の過程において、収縮に伴う粒子(または空孔)との界面で発生する細かな亀裂が加熱によって修復されるため、多孔質ポリイミドフィルムをつづら折り状に折り畳んで保持したときの破損を抑制することができると考えられる。
また、多孔質ポリイミドフィルムを製造する過程において、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の塗膜を形成した後のポリイミド前駆体と粒子との界面密着性が低いと考えられる。そのため、イミド化の過程において、収縮に伴う粒子(または空孔)との界面で発生する細かな亀裂が加熱によって修復され難く、多孔質ポリイミドフィルムをつづら折り状に折り畳んで保持した場合に破損が生じると考えられる。
粒子分散ポリイミド前駆体溶液の初期粘度と、25℃で60日保管した後の粘度から、下記の式から粘度変化率(%)を算出した。この数値の絶対値が小さいほど、保管後の粘度安定性が良好であることを意味する。(||は、絶対値を示す。)
式:粘度変化率(%)=|(60日後の粘度)−(初期粘度)|/(初期粘度)×100
−評価基準−
A+: 絶対値が10%未満
A : 絶対値が10%以上15%未満
B : 絶対値が15%以上40%未満
C : 絶対値が40%以上
粒子分散ポリイミド前駆体溶液を減圧下(0.05MPa)で12時間脱泡した後、溶液の内部と表面を観察し、以下の基準で評価した。A+が最も良好な特性であることを意味する。
−評価基準−
A+:液表面に粒子の析出が無く、液の内部・表面ともに気泡の残存が無い
A :液表面に粒子の析出が無いが、気泡の残存が液表面近傍に見られる
B :液表面に粒子の析出が見られ、気泡の残存が液表面近傍に見られる
C :液表面に粒子の析出が見られ、気泡の残存が液の内部・表面に見られる
既述の方法により、GC−MSを用いて各成分の含有量を測定した。
空孔形状の指標として、長径と短径の比率を算出し、長径と短径の比率が1以上1.5以下の割合を算出した。また、空孔分布の指標として、最大径と最小径の比率を算出した。算出は、いずれも既述の方法で行った。
−長径と短径の比率の評価基準−
A+:95%以上
A :90%以上95%未満
B :85%以上90%未満
C :85%未満
−最大径と最小径の比率の評価基準−
A+:1以上1.8以下
A :1.8超1.9以下
B :1.9超2以下
C :2を超える
作製した多孔質ポリイミドフィルムを1cm2角に切りだし、評価用試料を20枚採取した。試料を減圧濾過用フィルターホルダー(ADVANTEC社製、KGS−04)のファンネルとベース部との間に挟み込んでセットし、試料を挟み込んだフィルターホルダーを逆さに向けて水中に漬け、ファンネル内の予め決められた位置まで水を満たした。ベース部のファンネルとベース部とが接していない側分から0.5気圧(0.05MPas)の空気圧を負荷し、50mlの空気が通過する時間(秒)を測定し、ガス透過時間の最大値と最小値、平均値を求め、以下の式よりガス透過性のバラつきを算出した。この値が小さい方がガス透過性のバラつきが小さく、良好な特性である。
(式)ガス透過性のバラつき
=(ガス透過時間の最大値−ガス透過時間の最小値)/ガス透過時間の平均値
−評価基準−
A+:バラつきが0.3未満
A :バラつきが0.3以上0.4未満
B :バラつきが0.4以上0.5未満
C :バラつきが0.5以上
作製した多孔質ポリイミドフィルムをホットプレート上で、それぞれ370℃、380℃、及び390℃で、それぞれ15分加熱し、加熱後の多孔質膜について既述のSEM観察で空孔形状を観察し、以下の基準で評価した。
−評価基準−
A+:390℃加熱でも空孔形状・空孔径に変化が見られない
A :390℃加熱で空孔形状に変化が見られるが、空孔径は同等
B :380℃加熱で空孔形状に変化が見られ、空孔径が変化する
C :370℃加熱で空孔形状に変化が見られ、空孔径が変化する
作製した幅50mm、長さ180mmの多孔質ポリイミドフィルムを、長さ方向に30mm間隔で、山折および谷折を5回行い(山折3回および谷折2回)、つづら折り状(ジグザグ状)に折り畳んで試験片を作製した。そして、つづら折り状に折り畳んだ山折部および谷折部が試験片の断面方向から見て水平に沿う方向になるように置き、試験片の上面方向(山折部および谷折部方向に対して垂直に沿う方向の上面側)から200gの荷重をかけて、0℃および25℃の条件で、それぞれ1週間保持した。その後、荷重を解き、折れ曲げていた部分(山折部および谷折部)を目視で観察し、以下の基準で評価した(図1を参照。図1は、多孔質ポリイミドフィルムの折れ曲げ耐性試験を表す模式図である。図1において、Tは試験片、Fは荷重を表す。)。
−評価基準−
A+:折り曲げた跡が付かず、膜の破損も見られない
A :折り曲げた跡が付くが、膜の破損は見られない
B :折り曲げた跡が付き、折り曲げた部分の一部で膜割れが見られる
C :折り曲げた部分で膜が割れる
(PMMA粒子分散液−1の作製)
メタクリル酸メチル670質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)25.0質量部、イオン交換水670質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、モノマー乳化液を作製した。続いて、Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1500質量部を反応容器に投入した。窒素気流下、75℃に加熱した後、モノマー乳化液のうち75質量部を添加した後に、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させ
た後に、残りのモノマー乳化液を220分かけて滴下し、さらに50分間反応させた後、冷却して、樹脂粒子の分散液であるPMMA粒子分散液−1を得た。固形分濃度は22.8質量%であった。この樹脂粒子の平均粒径は0.42μmであった。
(PMMA粒子分散液−2の作製)
メタクリル酸メチル670質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)31.4質量部、イオン交換水670質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、モノマー乳化液を作製した。続いて、Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1500質量部を反応容器に投入した。窒素気流下、75℃に加熱した後、モノマー乳化液のうち75質量部を添加した後に、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させ
た後に、残りのモノマー乳化液を220分かけて滴下し、さらに50分間反応させた後、冷却して、樹脂粒子の分散液であるPMMA粒子分散液−2を得た。固形分濃度は23.2質量%であった。この樹脂粒子の平均粒径は0.33μmであった。
(PSt粒子分散液−1の合成)
スチレン670質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)17.0質量部、イオン交換水670質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、モノマー乳化液を作製した。続いて、Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1500質量部を反応容器に投入した。窒素気流下、75℃に加熱した後、モノマー乳化液のうち75質量部を添加した後に、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させた後に、残りのモノマー乳化液を220分かけて滴下し、さらに50分間反応させた後、冷却して、PSt粒子分散液−1を得た。固形分濃度は22.8質量%であった。この樹脂粒子の平均粒径は0.4μmであった。
(PSt粒子粉体−1の作製)
合成例3で得られたPSt粒子分散液−1:固形分換算で樹脂粒子100質量部(水:338.6質量部含有)を凍結乾燥し、粉体を取り出した。得られた粉体100質量部に脱イオン水20質量部を加えて撹拌した後、遠心分離にかけて粒子を沈降させ、上澄みを取り除いた。この操作を3回繰り返した後、再び凍結乾燥し、PSt粒子粉体−1を取り出した。この樹脂粒子の平均粒径は、もとの分散液中の平均粒径の場合と同じ0.4μmであった。
(既述の作製法(ii)による、水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A1)の作製)
PMMA粒子分散液−1:固形分換算で樹脂粒子100g(水:338.6g含有)に、イオン交換水:40.66g、N−メチルピロリドン:2.14g、ジアミン−1(信越化学工業製、KF−8010 分子量860):0.39g(0.0004565モル)、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):9.82g(0.0908435モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):26.86g(0.0913モル)とを添加し、20℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、N−メチルモルホリン(有機アミン化合物):27.7g(0.2739モル)を、ゆっくりと添加し、反応温度60℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A1)を得た。粒子の質量/(全固形分の質量)は0.74、固形分濃度:25質量%。得られた粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A1)を水で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、PMMA粒子分散液−1と同様に平均粒径は0.42μmの単一のピークを持ち、良好な分散状態であった。また、既述の方法により算出した体積粒度分布指標(GSDv)は1.18であった。
なお、上記条件では、PMMA粒子分散液−1の添加量は、PMMA粒子(固形分)の質量/溶液の全固形分の質量が0.74となるように計算された量である。テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量が同モルとなるように計算された量である。ジアミン−1とp−フェニレンジアミンとの添加量は、両者のモル比が0.5/99.5となるように計算された量である。N−メチルピロリドンの量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して15質量%となるように計算された量である。添加したイオン交換水の量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が25質量%となるように計算された量である。添加したN−メチルモルホリンの量は、生成するポリイミド前駆体(ポリアミック酸)のカルボキシル基に対して150モル%となるように計算された量である。
用いる材料と各種比率を表1〜表3に記載した値に変更する以外は実施例A1と同様にして、水系のポリイミド前駆体溶液の作製および製膜評価を行った。
(実施例A−21に使用する水系のポリイミド前駆体溶液−1の合成)
イオン交換水:36.74質量部、ジアミン−1(信越化学工業製、KF−8010 分子量860):2.58質量部、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):7.79質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):21.18質量部を添加し、20℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、N−メチルモルホリン(有機アミン化合物):21.85質量部を、ゆっくりと添加し、反応温度60℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、水系のポリイミド前駆体溶液−1を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0.96/1となるように計算された量である。ジアミン−1とp−フェニレンジアミンの添加量は、両者のモル比(ジアミン−1/p−フェニレンジアミン)が4/96となるように計算された量である。添加したイオン交換水の量は、得られるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度(有機アミン化合物を除く)が35質量%となるように計算された量である。添加したN−メチルモルホリンの量は、生成するポリイミド前駆体(ポリアミック酸)のカルボキシル基に対して150モル%となるように計算された量である。
(既述の作製法(i)による水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A21)の作製)
上記の合成例5で得た水系のポリイミド前駆体溶液−1:固形分換算で7.00g(溶液として20g)に、イオン交換水:0.777g、N−メチルピロリドン:4.02gを添加し、60℃に加温しながら混合した。その後、PMMA粒子分散液−1:固形分換算で樹脂粒子19.92g(水:67.46g含有)を添加し、60℃に加温した後、撹拌装置「泡取り練太郎」(シンキー製)で2000rpmで2分間、2200rpmで2分間混合撹拌した。その後、再度60℃に加温し、さらに2000rpmで2分間、2200rpmで2分間混合撹拌し、水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A21)を得た。粒子の質量/(溶液の全固形分の質量)は0.74、固形分濃度:24質量%。得られた粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A21)を水で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、PMMA粒子分散液−1と同様に平均粒径は0.42μmの単一のピークを持ち、良好な分散状態であった。また、既述の方法により算出した体積粒度分布指標(GSDv)は1.18であった。
なお、上記条件では、PMMA粒子分散液−1の添加量は、PMMA粒子(固形分)の質量/溶液の全固形分の質量が0.74となるように計算された量である。N−メチルピロリドンの量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して15質量%となるように計算された量である。添加したイオン交換水の量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が24質量%となるように計算された量である。
用いる材料と各種比率を表2に記載した値に変更する以外は実施例A21と同様にして、水系のポリイミド前駆体溶液の作製および製膜評価を行った。
(有機系溶媒での粒子分散ポリイミド前駆体溶液(B1)の作製)
N,N−ジメチルアセトアミド:90.58質量部、ハンツマン社製ジェファーミンD−2000(分子量2000)(ジアミン−7):9.00質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):14.12質量部とを添加し、50℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、ピロメリット酸二無水物(分子量218.12):15.70質量部を添加し、反応温度50℃に保持しながら、15時間攪拌して溶解、反応を行い、固形分濃度30質量%の有機系溶媒でのポリイミド前駆体溶液を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0.96/1となるように計算された量である。ジェファーミンD−2000(ジアミン−7)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量は、両者のモル比(ジアミン−7/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)が6/94となるように計算された量である。添加したN,N−ジメチルアセトアミドの量は、得られるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が30質量%となるように計算された量である。
得られた粒子分散ポリイミド前駆体溶液(B1)を同組成の有機系溶媒で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、PSt粒子分散液−1と同様に平均粒径は0.4μmの単一のピークを持ち、良好な分散状態であった。また、既述の方法により算出した体積粒度分布指標(GSDv)は1.17であった。
なお、上記条件では、PSt粒子粉体−1の添加量は、PMMA粒子(固形分)の質量/溶液の全固形分の質量が0.73となるように計算された量である。N,N−ジメチルアセトアミドおよびトリグライムの添加量は、固形分濃度が30質量%となり、N,N−ジメチルアセトアミド/トリグライムの質量比率が50/50となるように計算された量である。
用いる材料と各種比率を表4〜表5に記載した値に変更する以外は実施例B1と同様にして、有機系溶媒でのポリイミド前駆体溶液の作製および製膜評価を行った。
(熱分解により粒子を除去する場合)
上記で得た粒子含有ポリイミド前駆体溶液を、アプリケータを用いて幅50mmのガラス基材に、焼成後の膜厚が25μmとなるよう塗布し、70℃で1時間送風乾燥を行った後、窒素気流中、70℃から昇温速度5℃/分で、各表に示す温度まで昇温し、さらにその温度で30分保持した。その後、室温(25℃)まで放冷し、水に浸漬して多孔質ポリイミドフィルムを得た。
上記で得た粒子含有ポリイミド前駆体溶液を、アプリケータを用いて76mm×52mmの大きさのガラス基材に、焼成後の膜厚が25μmとなるよう塗布し、70℃で1時間送風乾燥を行った後、表1に示す溶媒に2時間浸漬した。膜を風乾した後、窒素気流中、70℃から昇温速度5℃/分で、各表に示す温度まで昇温し、さらにその温度で30分保持した。その後、室温まで放冷し、水に浸漬して多孔質ポリイミドフィルムを得た。
(空孔が球状でない多孔質ポリイミドフィルムの作製)
N,N−ジメチルアセトアミド:22.65質量部、テトラグライム:67.94質量部、ハンツマン社製ジェファーミンD−2000(分子量2000)(ジアミン−7):9.00質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):14.12質量部とを添加し、50℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、ピロメリット酸二無水物(分子量218.12):15.70質量部を添加し、反応温度50℃に保持しながら、15時間攪拌して溶解、反応を行い、固形分濃度30質量%の有機系溶媒でのポリイミド前駆体溶液を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0.96/1となるように計算された量である。ジェファーミンD−2000と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量は、両者のモル比(ジアミン−7/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)が6/94となるように計算された量である。N,N−ジメチルアセトアミドとテトラグライムの添加量は、両社の質量比が25/75となるように計算された量である。N,N−ジメチルアセトアミドとテトラグライムの合計質量は、得られるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が30質量%となるように計算された量である。
・「PI」:ポリイミド
−テトラカルボン酸二無水物−
・「PMDA」:ピロメリット酸二無水物
・「BPDA」:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・「酸無水物−1」:X−22−168AS
(SiO連結 Mw1000)
・「酸無水物−2」:エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート
(アルキレン連結 Mw410.29)
−ジアミン化合物−
・「PDA」:p−フェニレンジアミン
・「ODA」:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
・「ジアミン−1」:信越化学工業製、KF−8010
(Mw860)
・「ジアミン−2」:信越化学工業製、X−22−161A
(Mw1600)
・「ジアミン−3」:ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル
(Mw220.31)
・「ジアミン−4」:ハンツマン社製、ジェファーミンD−400
(Mw430)
・「ジアミン−5」:デカメチレンジアミン
(Mw172.32)
・「ジアミン−6」:1,2−ビス(4−アミノフェノキシ)エタン
(Mw244.29)
・「ジアミン−7」: ハンツマン社製、ジェファーミンD−2000
(Mw2000)
−有機アミン化合物−
・「MMO」:N−メチルモルホリン
・「DMAEt」:ジメチルアミノエタノール
・「DMIz」:1,2−ジメチルイミダゾール
・「2E4MIz」:2−エチル−4−メチルイミダゾール
−粒子−
・「PMMA−1」:PMMA粒子分散液−1
・「PMMA−2」:PMMA粒子分散液−2
・「PSt−1」:PSt粒子分散液−1
・「PSt」:PSt粒子粉体−1
・「シリカ−1」:シリカ粒子(日本触媒製シーホスターKE−P30 球状 平均粒径0.3μm)
−溶媒−
・「NMP」:N−メチルピロリドン
・「DMAc」:N,N−ジメチルアセトアミド
・「EG」:エチレングリコール
−分散剤−
・「Dowfax」:Dowfax2A1
・「C12EO」:ポリオキシエチレンドデシルエーテル
−粒子除去のための溶剤−
・「THF」テトラヒドロフラン
・「10%HF」:10質量%濃度フッ酸
・「THF/tol」:テトラヒドロフラン/トルエン=50/50(質量比)混合溶媒
Claims (20)
- 溶媒、下記式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び粒子を含み、全溶媒中の水の占める割合が50質量%以上である粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(式(I)中、Aは4価の有機基、Bは2価の有機基であり、かつ、下記条件(1)および(2)の少なくとも一方を満たし、
条件(1)を満たし、条件(2)を満たさない場合は、Bは芳香族ジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基であり、
条件(2)を満たし、条件(1)を満たさない場合は、Aは芳香族テトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基である。
(1):Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が0.5/99.5以上20/80以下であり、
前記A2が芳香族テトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基であり、
前記Aは、前記有機基A1及び前記有機基A2から選択される少なくとも一つである。
(2):Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が0.5/99.5以上20/80以下であり、
前記B2が芳香族ジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基であり、
前記Bは、前記有機基B1及び前記有機基B2から選択される少なくとも一つである。) - 前記(1)及び前記(2)の少なくとも一方の条件を満たし、前記A1/A2のモル比が1/99以上15/85以下、及び前記B1/B2のモル比が1/99以上15/85以下である請求項1記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記(1)の条件を満たすとき下記(I−2)で示される条件を満足し、前記(2)の条件を満たすとき下記(I−1)で示される条件を満足する請求項1又は請求項2に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(I−1)A1/A2のモル比が0/100、かつB1/B2のモル比が1/99以上15/85以下
(I−2)A1/A2のモル比が1/99以上15/85以下、かつB1/B2のモル比が0/100 - 前記A1および前記B1の少なくとも一方は、下記の有機基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基
B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基 - 前記A1を構成する原料単量体のテトラカルボン酸二無水物の重量平均分子量、および前記B1を構成する原料単量体のジアミン化合物の重量平均分子量が、それぞれ1000以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記A2を構成する原料単量体のテトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であり、前記B2を構成する原料単量体のジアミン化合物が、p−フェニレンジアミンまたは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子が樹脂粒子である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- さらに有機アミン化合物を含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記有機アミン化合物が、3級アミン化合物である請求項8に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- さらに非プロトン性極性溶剤を、ポリイミド前駆体溶液中の粒子とポリイミド前駆体の合計量に対して3質量%以上50質量%以下で含有する請求項8又は請求項9に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子の体積平均粒径が、0.1μm以上0.5μm以下である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子の体積粒度分布指標が、1.30以下である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子の含有量が、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して30質量%以上85質量%以下である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- さらに、前記ポリイミド前駆体において、前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が0.002mmol/g以上であり、前記各原料単量体成分のうち、前記最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が9mmol/g以下である請求項1〜13のいずれかに記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記ポリイミド前駆体において、前記A2がピロメリット酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基、且つ、前記B2が4,4’−ジアミノジフェニルエーテルより2つのアミノ基を除いたその残基、
又は、前記A2が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基、且つ、前記B2がp−フェニレンジアミンより2つのアミノ基を除いたその残基である請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。 - 請求項1〜請求項15いずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程と、
前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有する球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。 - 下記式(III)で示される繰り返し単位を有するポリイミドを含有する球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルム。
(式(III)中、Aは4価の有機基、Bは2価の有機基であり、かつ、下記条件(1)および(2)の少なくとも一方を満たし、
条件(1)を満たし、条件(2)を満たさない場合は、Bは芳香族ジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基であり、
条件(2)を満たし、条件(1)を満たさない場合は、Aは芳香族テトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基である。
(1):Aは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する4価の有機基A1と前記A1以外の4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が0.5/99.5以上20/80以下であり、
前記A2が芳香族テトラカルボン酸二無水物より4つのカルボキシル基を除いたその残基であり、
前記Aは、前記有機基A1及び前記有機基A2から選択される少なくとも一つである。
(2):Bは、アルキレン基、アルキレンオキシ基、及びシロキサン基からなる群から選択される少なくとも一種の連結基を有する2価の有機基B1と前記B1以外の2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が0.5/99.5以上20/80以下である。
前記B2が芳香族ジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基であり、
前記Bは、前記有機基B1及び前記有機基B2から選択される少なくとも一つである。) - 前記(1)及び前記(2)の少なくとも一方の条件を満たし、式(III)中、前記A1/(前記A1+前記A2)のモル比が1モル%以上15モル%以下、及びB1/(B1+B2)のモル比が1モル%以上15モル%以下である請求項17に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
- 前記A1および前記B1の少なくとも一方は、下記の有機基である請求項17又は請求項18記載の多孔質ポリイミドフィルム。
A1:シロキサン基の連結基を有する4価の有機基
B1:シロキサン基の連結基を有する2価の有機基 - さらに、ポリイミド以外の樹脂を、前記多孔質ポリイミドフィルム全体に対して0.005質量%以上1質量%以下で含有する請求項17〜請求項19のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
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