JP6904109B2 - ポリイミド前駆体溶液、及び多孔質ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
に関する。
特許文献2には、ポリイミドからなる孔を有する有機多孔体と、孔内にカチオン成分とアニオン成分とを含有する電解質材料を保持したイオン伝導体が記載されている。
特許文献3には、ポリアミド酸若しくはポリイミド、シリカ粒子及び溶媒を混合してワニスを製造する、又はシリカ粒子が分散した溶剤中でポリアミド酸若しくはポリイミドを重合してワニスを製造するワニス製造工程、ワニス製造工程で製造されたワニスを基板に製膜後、イミド化を完結させて、ポリイミド−シリカ複合膜を製造する複合膜製造工程、及び、複合膜製造工程で製造されたポリイミド−シリカ複合膜のシリカを除去するシリカ除去工程を有する多孔質ポリイミド膜の製造方法が記載されている。
特許文献4には、シリカ粒子を充填後、焼結して、多孔質シリカ製鋳型を得る多孔質シリカ製鋳型の製造工程、多孔質シリカ製鋳型の製造工程で得られた多孔質シリカ製鋳型の空隙にポリイミドを充填するポリイミド充填工程およびポリイミドが充填された多孔質シリカ製鋳型からシリカを除去して、多孔質ポリイミドを得るシリカ除去工程を有する多孔質ポリイミドの製造方法が記載されている。
特許文献6には、ポリイミド等の耐熱性樹脂、ポリオキシアルキレン樹脂を含有する加熱消滅性樹脂粒子、及び、溶媒を混合し、フィルム用樹脂組成物を調製する工程、フィルム用樹脂組成物を製膜する工程、及び、製膜されたフィルム用樹脂組成物を加熱する工程を有する多孔質樹脂の製造方法によって得られた多孔質ポリイミドフィルムが記載されている。
特許文献7には、ポリイミド前駆体溶液に、水溶性のポリエチレングリコールなどの樹脂を溶解した溶液を用いて膜状にしたのち、水などの貧溶剤と接触させ、ポリアミック酸を析出、多孔化を促進し、イミド化する方法も記載されている。
本発明は、粒子径分布曲線において極大を一つだけ有する樹脂粒子のみを含有する場合に比べ、樹脂粒子の沈降が抑制されたポリイミド前駆体溶液を提供することを課題とする。
<1>に係る発明は、
水性溶媒と、粒子径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]及びより大径側に存在する極大[PH]の少なくとも2つの極大を有する樹脂粒子と、ポリイミド前駆体と、を含有するポリイミド前駆体溶液。
前記極大[PH]における粒子径に対する、前記極大[PL]における粒子径の比(%)が10%以上60%以下の範囲である<1>に記載のポリイミド前駆体溶液。
前記樹脂粒子の全体の体積平均粒子径が100nm以上1000nm以下である<1>又は<2>に記載のポリイミド前駆体溶液。
前記極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の量[VH]と、前記極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の量[VL]と、の比[V L /V H ]が体積比で1/4以上2/3以下である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
前記極大[PL]における粒子径が10nm以上200nm以下、前記極大[PH]における粒子径が300nm以上500nm以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
前記極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の変動係数、及び前記極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の変動係数が、いずれも15%以下である<1>〜<5>のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
前記樹脂粒子の含有量が、前記ポリイミド前駆体の固形分100質量部に対して、20質量部以上600質量部以下である<1>〜<6>のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
前記水性溶媒中における水の含有量が50質量%以上100質量%以下である<1>〜<7>のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
<1>〜<8>に記載のポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記樹脂粒子を含む皮膜を形成する第1の工程と、
前記皮膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化しポリイミドフィルムを形成すると共に、前記樹脂粒子を除去する処理を施す第2の工程と、
を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
前記樹脂粒子を除去する処理が、前記樹脂粒子を有機溶剤に溶解することで除去する処理である<9>に記載の多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
前記樹脂粒子を除去する処理が、前記樹脂粒子を加熱により除去する処理である<9>に記載の多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
孔径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]及びより大径側に存在する極大[PH]の少なくとも2つの極大を有する多孔質構造を備える多孔質ポリイミドフィルム。
<2>に係る発明によれば、極大[PH]における粒子径に対する極大[PL]における粒子径の比が10%未満である場合に比べ、樹脂粒子の沈降が抑制されたポリイミド前駆体溶液が提供される。
<4>に係る発明によれば、極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の量[VH]と極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の量[VL]との比[V L /V H ]が体積比で2/3未満である場合に比べ、樹脂粒子の沈降が抑制されたポリイミド前駆体溶液が提供される。
<6>に係る発明によれば、極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の変動係数、及び極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の変動係数の少なくとも一方が15%超えである場合に比べ、樹脂粒子の沈降が抑制されたポリイミド前駆体溶液が提供される。
本実施形態に係るポリイミド前駆体溶液は、水性溶媒と、樹脂粒子と、ポリイミド前駆体と、を含有する。
そして、樹脂粒子が、粒子径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]及びより大径側に存在する極大[PH]の少なくとも2つの極大を有する。
その理由は、以下のように推察される。
以上の点から、本実施形態に係るポリイミド前駆体溶液は、樹脂粒子の沈降が抑制されるものと推察される。
さらに、小径粒子が存在することで、樹脂粒子の凝集塊同士の間を埋めるようにこの小径粒子が入り込むため、フィルムにおいては空孔の連結が良好に形成される。よって、この観点からも、凝集塊が孤立して存在することが抑制される。
本実施形態では、樹脂粒子の粒子径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]と、より大径側に存在する極大[PH]と、の少なくとも2つの極大を有する。
こうした粒子径分布曲線の一態様として、例えば、図1に示す粒子径分布曲線ように、極大(PL)を最高点とするピーク(PL1)と、極大(PH)を最高点とするピーク(PH1)とが存在し、かつこの両ピークが底T1を挟んで別々に存在している態様が挙げられる。
なお、図1では、ピーク(PL1)のピーク面積は底T1より粒子径が小さい側の領域におけるピーク部分の面積を指し、かつピーク(PH1)のピーク面積は底T1より粒子径が大きい側の領域におけるピーク部分の面積を指す。
また、図2に示す粒子径分布曲線ように、極大(PL)を最高点とするピーク(PL2)と極大(PH)を最高点とするピーク(PH2)とが存在するが、この両ピークが極小点T2を挟んで繋がっている場合態様が挙げられる。
なお、図2では、ピーク(PL2)のピーク面積は極小点T2より粒子径が小さい側の領域におけるピーク部分の面積を指し、かつピーク(PH2)のピーク面積は極小点T2より粒子径が大きい側の領域におけるピーク部分の面積を指す。
また、図3に示す粒子径分布曲線ように、極大(PL)を最高点とするピーク(PL3)と極大(PH)を最高点とするピーク(PH3)とが存在するが、この両ピークの間にも高さが低い極大が1つ又は複数存在した態様が挙げられる。
なお、図3では、ピーク(PL3)とピーク(PH3)との境界が明確でないため、極大(PL)と極大(PH)との中間点(T3)をピークの境界とする。つまり、ピーク(PL3)のピーク面積は中間点T3より粒子径が小さい側の領域におけるピーク部分の面積を指し、かつピーク(PH3)のピーク面積は中間点T3より粒子径が大きい側の領域におけるピーク部分の面積を指す。
極大[PH]における粒子径に対する、極大[PL]における粒子径の比(%)は、10%以上60%以下が好ましく、20%以上50%以下がより好ましく、25%以上40%以下がさらに好ましい。
上記粒子径の比が10%以上であることで、小径粒子と大径粒子との粒子径が十分に離れており、沈降がより抑制され易くなる。
上記粒子径の比が60%以下であることで、小径粒子と大径粒子との粒子径が離れ過ぎず、粒子間の隙間を埋めやすくなる点で優れる。
極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の量(つまりピーク面積)[VH]と、前記極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の量(つまりピーク面積)[VL]と、の比[V L /V H ]は、体積比で1/4以上2/3以下が好ましく、1/3以上1/2以下がより好ましく、1.1/3以上0.95/2以下がさらに好ましい。
上記ピーク面積の比が1/4以上2/3以下であることで、小径粒子と大径粒子との一方のみが多く存在し過ぎることが抑制され、沈降がより抑制され易くなると共に、多孔質ポリイミドフィルムにおける空孔が良好に形成される。
極大[PL]は、粒子径10nm以上200nm以下の範囲に存在していることが好ましく、30nm以上150nm以下がより好ましく、50nm以上100nm以下がさらに好ましい。
小径粒子の極大[PL]の粒子径が10nm以上200nm以下であることで、適度な粒子径の小径粒子が存在することで、沈降がより抑制され易くなる。
大径粒子の極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の変動係数、及び小径粒子の極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の変動係数は、いずれも15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、0%に近いほど好ましい。
大径粒子及び小径粒子における変動係数がいずれも15%以下であることで、どちらの粒子もその粒度分布がシャープであることを表し、沈降がより抑制され易くなる。
樹脂粒子の全体の体積平均粒子径は、100nm以上1000nm以下であることが好ましく、150nm以上500nm以下がより好ましく、200nm以上400nm以下がさらに好ましい。
全体の体積平均粒子径が100nm以上1000nm以下であることで、適度な粒子径の樹脂粒子が存在し、多孔質ポリイミドフィルムにおける空孔が良好に形成される。
ポリイミド前駆体溶液には、水性溶剤及びポリイミド前駆体を含み、さらに有機アミン化合物を含んでいてもよい。また、多孔質構造を形成するために、前記の構成を有する樹脂粒子を含有するが、樹脂粒子は表面に酸性基を有する樹脂粒子であってもよい。
一方、高極性有機溶剤に溶解したポリイミド前駆体溶液に樹脂粒子を混合する場合、一般的な樹脂粒子(例えば、ポリスチレン樹脂粒子等)では、高極性有機溶剤により、樹脂粒子が溶解する場合があり、このポリイミド前駆体溶液中において、樹脂粒子の分散性は低い。また、例えば、高極性有機溶剤に溶解し難い樹脂粒子を乳化重合等により作製した場合には、高極性有機溶剤に溶解したポリイミド前駆体溶液と混合するために、高極性有機溶剤に置換する場合がある。この場合、高極性有機溶剤に置換するために、樹脂粒子の分散液から樹脂粒子を取り出す場合があり、取り出された樹脂粒子は、凝集することがあり、分散性が低い場合がある。また、表面に酸性基を有さない樹脂粒子を、水性溶剤のポリイミド前駆体溶液に分散する場合、ポリイミド前駆体を水性溶剤に溶解するために有機アミン等の多量の塩基性物質と塩を形成させる必要があるため、樹脂粒子の粒径や濃度によっては分散性が低い場合がある。
また、表面に酸性基を有する樹脂粒子を用いることにより、空孔の形状、空孔径等はバラつきが抑制されやすいと考えられる。これは、ポリイミド前駆体のイミド化工程において、残留応力の緩和に有効に寄与しているためであると考えられる。
さらに、水性溶剤に、ポリイミド前駆体を溶解させているため、ポリイミド前駆体溶液の沸点は100℃程度になる。そのため、ポリイミド前駆体と樹脂粒子とを含む皮膜を加熱するに伴って、速やかに溶剤が揮発した後、イミド化反応が進行する。そして、皮膜中の樹脂粒子が熱による変形が生じる前に、流動性を失うとともに有機溶剤に不溶となる。そのため、空孔の形状が保持されやすくなるためとも考えられる。
そして、シリカ粒子を用いた場合には、イミド化工程において、体積収縮を吸収し難いため、イミド化後の多孔質ポリイミドフィルムに亀裂が生じやすいと考えられる。また、シリカ粒子を用いた場合には、フッ酸等の薬品を使用するために、イオンが不純物として残留しやすくなると考えられる。
これに対し、シリカ粒子ではなく樹脂粒子を用いる方法で得られた多孔質ポリイミドフィルムは、樹脂粒子の除去にフッ酸を使用することがないため、イオンが不純物として残留することが抑制される。
まず、水性溶剤に、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する。その後、前記樹脂粒子分散液中で、有機アミン化合物の存在下、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合してポリイミド前駆体を形成する。
樹脂粒子分散液準備工程は、水性溶剤に、樹脂粒子が分散している樹脂粒子分散液が得られるのであれば、その方法は特に限定されない。
例えば、ポリイミド前駆体溶液に溶解しない樹脂粒子、樹脂粒子分散液用の水性溶剤、をそれぞれ計量し、これらを混合、攪拌して得る方法が挙げられる。樹脂粒子と水性溶剤とを混合、攪拌する方法は特に制限されない。例えば、水性溶剤を攪拌しながら樹脂粒子を混合する方法などが挙げられる。また、樹脂粒子の分散性を高める点で、例えば、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との少なくとも一方を混合してもよい。
次に、樹脂粒子分散液中で、有機アミン化合物の存在下、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成してポリイミド前駆体溶液を得る。
この方法によれば、水性溶剤を適用するため、生産性も高く、ポリイミド前駆体溶液が1段階で製造される点で工程の簡略化の点で有利である。
水性溶剤は、樹脂粒子分散液中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合する際に、樹脂粒子分散液の作製に用いた樹脂粒子分散液中の水性溶剤をそのまま利用してもよい。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合する際に、水性溶剤を重合に適するように調製してもよい。
上記水溶性の有機溶剤としては、後述の樹脂粒子が溶解しないものが好ましい。この理由は、例えば、水と水溶性の有機溶剤とを含む水性溶剤とした場合に、樹脂粒子分散液中で樹脂粒子を溶解していなくても、製膜の過程で樹脂粒子が溶解してしまう懸念があるためであるが、製膜の過程で樹脂粒子の溶解、膨潤が抑制できる範囲で使用してもよい。
樹脂粒子としては、粒子径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]及びより大径側に存在する極大[PH]の少なくとも2つの極大を有する樹脂粒子が用いられる。具体的には、平均粒径の異なる2種以上の樹脂粒子を準備して用いる方法が挙げられる。
これらの中でも、樹脂粒子としては、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン・(メタ)アクリル樹脂、及びポリスチレン樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
また、樹脂粒子は、架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよい。ポリイミド前駆体のイミド化工程において、残留応力の緩和に有効に寄与する点で、架橋されていない樹脂粒子が好ましい。さらに、樹脂粒子分散液は、ポリイミド前駆体溶液を製造する工程を簡略化する点で、乳化重合によって得られたビニル樹脂粒子分散液であることがより好ましい。
その他の単量体として、酢酸ビニルなどの単官能単量体、エチレングリコールジメタクリレート、ノナンジアクリレート、デカンジオールジアクリレートなどの二官能単量体、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能単量体を併用してもよい。
また、ビニル樹脂は、これらの単量体を単独で用いた樹脂でもよいし、2種以上の単量体を用いた共重合体である樹脂であってもよい。
具体的には、例えば、p−スチレンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体;4−ビニルジヒドロケイヒ酸、4−ビニルフェノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシ−1−プロペニルベンゼン等のフェノール性水酸基を有する単量体;アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、3−メチルクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルイソクロトン酸、2,4−ヘキサジエン二酸、2−ペンテン酸、ソルビン酸、シトラコン酸、2−ヘキセン酸、フマル酸モノエチル等のカルボキシ基を有する単量体;及びそれらの塩;が挙げられる。これら酸性基を有する単量体は、酸性基を有さない単量体と混合して重合してもよいし、酸性基を有さない単量体を重合、粒子化した後に、表面に酸性基を有する単量体を重合してもよい。また、これらの単量体は1種単独、又は2種以上を併用してもよい。
つまり、表面に酸性基を有する樹脂粒子は、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、3−メチルクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルイソクロトン酸、2,4−ヘキサジエン二酸、2−ペンテン酸、ソルビン酸、シトラコン酸、2−ヘキセン酸、フマル酸モノエチル等、及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも一つのカルボキシ基を有する単量体に由来する骨格を持つことが好ましい。
一方、酸性基を有さない単量体を乳化重合した後に、さらに酸性基を有する単量体を追加して、重合する場合、同様の点で、酸性基を有する単量体の量は、単量体全体の0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上7質量%以下がより好ましく、0.07質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
また、架橋されていない樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル(MB−シリーズ、積水化成品工業社製)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(FS−シリーズ:日本ペイント社製)等が挙げられる。
ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる。具体的には、ポリイミド前駆体一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(ポリアミック酸)である。
一方、Bが表す2価の有機基としては、原料となるジアミン化合物から2つのアミノ基を除いたその残基である。
また、2種以上を組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
ポリイミド前駆体の数平均分子量を上記範囲とすると、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性の低下が抑制され、製膜性が確保され易くなる。
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体(そのカルボキシ基)をアミン塩化して、その水性溶剤に対する溶解性を高めると共に、イミド化促進剤としても機能する化合物である。具体的には、有機アミン化合物は、分子量170以下のアミン化合物であることがよい。有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体の原料となるジアミン化合物を除く化合物であることがよい。
なお、有機アミン化合物は、水溶性の化合物であることがよい。水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
これらの中でも、有機アミン化合物としては、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種(特に、3級アミン化合物)がよい。有機アミン化合物として、3級アミン化合物又は2級アミン化合物を適用すると(特に、3級アミン化合物)、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなり、またポリイミド前駆体溶液の保存安定性が向上し易くなる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
ポリイミド前駆体溶液のポットライフ、層膜厚均一性の観点で、3級アミン化合物が好ましい。この点で、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
有機アミン化合物の含有量を上記範囲とすると、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなる。また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性も向上し易くなる。
ポリイミド前駆体溶液において、樹脂粒子とポリイミド前駆体との割合としては、ポリイミド前駆体溶液の固形分を100とした場合の質量比で、ポリイミド前駆体溶液固形分:樹脂粒子=100:20以上100:600以下の範囲であることがよい。100:25以上100:550以下の範囲であることが好ましく、100:30以上100:500以下の範囲であることがより好ましい。この比率を調整することで、開孔率を任意に設定できる。
ポリイミド前駆体溶液には、イミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材などを含んでもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、酸無水物など脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック(例えばpH5.0以下の酸性カーボンブラック);金属(例えばアルミニウムやニッケル等);金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等);イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等);等が挙げられる。これら導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
次いで、本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。
・皮膜形成工程
基板上に、前記ポリイミド前駆体溶液を用いて皮膜を形成する皮膜形成工程
・イミド化工程
前記皮膜を加熱してイミド化するイミド化工程
・樹脂粒子除去工程
前記皮膜から樹脂粒子を除去する樹脂粒子除去工程
皮膜形成工程は、基板上に、ポリイミド前駆体溶液によって皮膜を形成する工程である。そして、皮膜形成工程後、樹脂粒子を除去する工程を行う。樹脂粒子を除去する工程を経て、多孔質ポリイミドフィルムが得られる。
基板としては、特に制限されない。例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製基板;ガラス製基板;セラミック製基板;鉄、ステンレス鋼(SUS)等の金属基板;これらの材料が組み合わされた複合材料基板等が挙げられる。また、基板には、必要に応じて、例えば、シリコーン系やフッ素系の剥離剤等による剥離処理を行って剥離層を設けてもよい。
さらに、この塗膜に対して乾燥処理を行う。この乾燥処理により皮膜を形成する。
乾燥処理の加熱条件は、例えば30℃以上200℃以下の温度で10分間以上60分間以下がよく、温度が高いほど加熱時間は短くてよい。加熱の際、熱風を当てることも有効である。加熱のときは、温度を段階的に上昇させたり、速度を変化させずに上昇させてもよい。
次いでイミド化工程を行う。
例えば、皮膜を加熱して、イミド化を進行させる。加熱の温度や時間は、樹脂の種類、イミド化させる度合い等によって調整する。なお、イミド化が進行し、イミド化率が高くなるにしたがい、有機溶剤に溶解し難くなる。
皮膜中のポリイミド前駆体のイミド化率が10%未満であるとき(すなわち、皮膜が水に溶解できる状態)に樹脂粒子を露出させる処理を行う場合、上記の皮膜中に埋没している樹脂粒子を露出させる処理としては、拭き取る処理、水に浸漬する処理等が挙げられる。
例えば、機械的に切削する場合には、皮膜に埋没している樹脂粒子の上部の領域(つまり、樹脂粒子の基板から離れた側の領域)に存在する樹脂粒子の一部分が、樹脂粒子の上部に存在している皮膜とともに切削され、切削された樹脂粒子が皮膜の表面から露出される。
次いで樹脂粒子を除去する工程を行う。
なお、樹脂粒子の除去する工程は、皮膜を加熱して、ポリイミド前駆体をイミド化する工程において除去してもよく、イミド化が完了した後(イミド化工程後)の皮膜から除去してもよい。
一方で、樹脂粒子の種類によっては、加熱による分解ガスが発生する場合があり、破断、亀裂等の原因ともなり得る。そのため、この場合には、樹脂粒子を溶解する有機溶剤により除去する方法が望ましい。
一部がイミド化したポリイミド前駆体は、例えば、下記一般式(I−1)、下記一般式(I−2)、及び下記一般式(I−3)で表される繰り返し単位を有する構造の前駆体が挙げられる。
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコーンウェハー上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製する。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶媒をテトラヒドロフラン(THF)に置換する。浸漬させる溶媒は、THFに限定されることなく、ポリイミド前駆体を溶解せず、ポリイミド前駆体組成物に含まれている溶媒成分と混和し得る溶媒より選択できる。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、ジオキサンなどのエーテル化合物が使用できる。
(iii)塗膜試料を、THF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにN2ガスを吹き付け、取り除く。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製する。
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコーンウェハー上に塗布して、塗膜試料を作製する。
(v)塗膜試料を380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製する。
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定する。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求める。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求める。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率=I(x)/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))
上記の方法により、孔径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]及びより大径側に存在する極大[PH]の少なくとも2つの極大を有する多孔質構造を備える多孔質ポリイミドフィルムを製造し得る。
なお、多孔質ポリイミドフィルムにおける、孔径分布曲線での極大[PL]及び極大[PH]の好ましい態様は、前述のポリイミド前駆体溶液における、樹脂粒子の粒子径分布曲線での極大[PL]及び極大[PH]と同様である。
つまり、多孔質ポリイミドフィルムの空孔に関する孔径分布曲線での「極大[PH]と極大[PL]との孔径の比」、「極大[PH]と極大[PL]とのピーク面積の比」、「大孔径孔の極大[PH]の孔径」、「小孔径孔の極大[PL]の孔径」、「変動係数」、「全体の平均孔径」は、前述の樹脂粒子における「極大[PH]と極大[PL]との粒子径の比」、「極大[PH]と極大[PL]とのピーク面積の比」、「大径粒子の極大[PH]の粒子径」、「小径粒子の極大[PL]の粒子径」、「変動係数」、「全体の体積平均粒子径」と同じである。
多孔質ポリイミドフィルムの平均膜厚は、特に限定されるものでないが、15μm以上500μm以下であることがよい。
本実施形態では、空孔の形状が球状であることが好ましい。本実施形態において、空孔の形状が「球状」とは、球状、及びほぼ球状(球状に近い形状)の両者の形状を包含するものである。具体的には、長径と短径の比(長径/短径)が1以上1.5以下である空孔の割合が90%以上存在することを意味する。この空孔の存在割合が多いほど、球状の空孔の割合が増加する。長径と短径の比(長径/短径)が1以上1.5以下である空孔は、93%以上100%以下であることが好ましく、95%以上100%以下であることがさらに好ましい。また、長径と短径の比が1に近づくほど真球状に近くなる。
なお、「空孔の最大径と最小径の比率」とは、空孔の最大径を最小径で除した値(つまり、空孔径の最大値/最小値)で表される比率である。
本実施形態では、空隙率は30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。なお、空隙率の上限値としては、好ましくは90%以下である。
空隙率が30%以上であることで、より低誘電率の膜とし得る。また、空隙率が90%以下であることで、より機械強度を高め易くなる。
本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムが適用される用途としては、例えば、リチウム電池等の電池セパレータ;電解コンデンサー用のセパレータ;燃料電池等の電解質膜;電池電極材;気体又は液体の分離膜;低誘電率材料;ろ過膜;等が挙げられる。
また、例えば、電池電極材に適用した場合には、電解液に接触する機会が増加するため、電池の容量が増えると考えられる。これは、多孔質ポリイミドフィルムに含有させた電極用のカーボンブラック等の材料が、多孔質ポリイミドフィルムの空孔径の表面や、フィルムの表面に露出する量が増加するためと推測される。
さらに、例えば、多孔質ポリイミドフィルムの空孔内に、例えば、いわゆるイオン性液体をゲル化したイオン性ゲル等を充填して電解質膜として適用することも可能である。本実施形態の製造方法により、工程が簡略化されるため、より低コストの電解質膜が得られると考えられる。
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、水:900gを充填した。ここに、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):27.28g(252.27ミリモル)と、メチルモルホリン(有機アミン化合物):50.00g(494.32ミリモル)とを添加し、20℃で10分間攪拌して分散させた。更に、この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):72.72g(247.16ミリモル)を添加し、反応温度20℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、ポリイミド前駆体「水」溶液(PAA−1)を得た。
攪拌棒、温度計、滴下ロートを取り付けたフラスコに、N−メチルピロリドン:900gを充填した。ここに、p−フェニレンジアミン:27.28g(252.27ミリモル)を添加し、20℃で10分間攪拌して分散させた。この溶液に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物:72.72g(247.16ミリモル)を添加し、反応温度を20℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、ポリイミド前駆体「N−メチルピロリドン」溶液(RPAA−1)を得た。
ポリイミド前駆体「N−メチルピロリドン」溶液(RPAA−1)の500gを水:3000gに撹拌しながら滴下し、ポリイミド前駆体を析出させた。このポリイミド前駆体:30gを、水:243g、イソプロパノール:27gに加え、さらに、メチルモルホリン:15g加えて撹拌、溶解させ、ポリイミド前駆体「水/イソプロパノール」溶液(PAA−2)を得た。
ポリイミド前駆体「N−メチルピロリドン」溶液(RPAA−1)の500gを水:3000gに撹拌しながら滴下し、ポリイミド前駆体を析出させた。このポリイミド前駆体:30gを、水:243g、イソプロパノール:27gに加え、さらに、1,2−ジメチルイミダゾール(DMIz):15g加えて撹拌、溶解させ、ポリイミド前駆体「水/イソプロパノール」溶液(PAA−3)を得た。
ポリイミド前駆体「N−メチルピロリドン」溶液(RPAA−1)の500gを水:3000gに撹拌しながら滴下し、ポリイミド前駆体を析出させた。このポリイミド前駆体:30gを、水:243g、N−メチルピロリドン:27gに加え、さらに、1,2−ジメチルイミダゾール:15g加えて撹拌、溶解させ、ポリイミド前駆体「水/N−メチルピロリドン」溶液(PAA−4)を得た。
[樹脂粒子分散液の調製]
−樹脂粒子分散液(1−1)の調製−
スチレン770質量部、アクリル酸ブチル230質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47質量%溶液、ダウ・ケミカル社製)25.0質量部、イオン交換水576質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、単量体乳化液を作製した。
続いて、Dowfax2A1(47質量%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1270質量部を反応容器に投入した。反応容器内を、窒素気流下、75℃に加熱した後、ここに得られた単量体乳化液のうち75質量%を添加した。その後、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させた後に、残り25質量%の単量体乳化液を220分かけて滴下し、さらに180分間反応させたのち、冷却して、スチレン・アクリル樹脂粒子の分散液である樹脂粒子分散液(1)を得た。
樹脂粒子分散液(1)の固形分濃度は34.4質量%であった。また、この樹脂粒子の平均粒径は300nmであった。なお、樹脂粒子の平均粒径は、既述の方法により測定した体積平均粒径である(以下同様)。
樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例1の樹脂粒子分散液(1−2)を作製した。
ポリイミド前駆体「水」溶液(PAA−1)を10倍に希釈し、これにポリイミド前駆体10部に対する割合で、樹脂粒子分散液(1−1)(体積平均粒径300nmのアクリル酸ブチル・スチレン共重合体):22部、樹脂粒子分散液(1−2)(体積平均粒径150nmのアクリル酸ブチル・スチレン共重合体):5部を加え、ウエブローター上で撹拌し、分散溶液を作製した。
これをガラス製の基板上に乾燥後の膜厚が30μmになるように形成し、室温(20℃、以下同じ)で1時間乾燥した後、ガラス製の基板からはがし、テトラヒドロフランに30分間浸漬した。90℃で1時間乾燥した後、90℃から380℃まで10℃/分の速度で昇温し、380℃で1時間保持したのち、室温に冷却して多孔質ポリイミドフィルム(PIF−1)を得た。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例2の樹脂粒子分散液(2−1)及び(2−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例3の樹脂粒子分散液(3−1)及び(3−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例4の樹脂粒子分散液(4−1)及び(4−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例5の樹脂粒子分散液(5−1)及び(5−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例6の樹脂粒子分散液(6−1)及び(6−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例7の樹脂粒子分散液(7−1)及び(7−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例8の樹脂粒子分散液(8−1)及び(8−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で実施例9の樹脂粒子分散液(9−1)及び(9−2)を作製した。
実施例1の樹脂粒子分散液(1−1)の調製において、ディゾルバーによる回転数を下記表1に記載の数値に変更したこと以外、同様の手法で比較例1の樹脂粒子分散液(10−1)を作製した。
実施例1〜9、及び、比較例1で得た樹脂粒子分散ポリイミド前駆体溶液について、樹脂粒子の沈降の発生度合いを、以下の基準で評価した。
−評価基準−
A:粒子が高い均一性で分散され、混ざり合っていて、沈降は確認されない
B:粒子が多少沈降していて、
C:粒子が分離し、沈降している
実施例1〜9、及び、比較例1で得た多孔質ポリイミドフィルムについて、空孔径の分布の評価(最大径、最小径、平均径、及び、長径と短径との比率)を行った。具体的には、既述の方法で評価を行った。
実施例1〜9、及び、比較例1で得た多孔質ポリイミドフィルムについて、亀裂の評価を行った。具体的な方法は以下のとおりである。ポリイミドフィルム1cm2角の面積を倍率500の顕微鏡で0.1mm以上を亀裂とし、有無を目視により観察した。
−評価基準−
A:亀裂なし
B:1か所以上3か所以下
C:4か所以上
・「PDA」 :p−フェニレンジアミン
・「BPDA」:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
・「MMO」 :メチルモルホリン
・「DMIz」:1,2−ジメチルイミダゾール
・「PMMA/St」:非架橋ポリメタクリル酸メチル・スチレン共重合体
・「IPA」 :イソプロパノール
・「NMP」 :N−メチルピロリドン
Claims (11)
- 水性溶媒と、粒子径分布曲線において、より小径側に存在する極大[PL]及びより大径側に存在する極大[PH]の少なくとも2つの極大を有する樹脂粒子と、ポリイミド前駆体と、を含有し、
前記極大[P H ]における粒子径に対する、前記極大[P L ]における粒子径の比(%)が10%以上80%以下の範囲であり、
前記樹脂粒子の全体の体積平均粒子径が100nm以上1000nm以下であり、
前記極大[P H ]を有するピークに含まれる粒子の量[V H ]と、前記極大[P L ]を有するピークに含まれる粒子の量[V L ]と、の比[V L /V H ]が体積比で1/4以上35/48以下であるポリイミド前駆体溶液。 - 前記極大[PH]における粒子径に対する、前記極大[PL]における粒子径の比(%)が10%以上60%以下の範囲である請求項1に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 前記樹脂粒子の全体の体積平均粒子径が100nm以上500nm以下である請求項1又は請求項2に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 前記極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の量[VH]と、前記極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の量[VL]と、の比[V L /V H ]が体積比で1/4以上2/3以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 前記極大[PL]における粒子径が10nm以上200nm以下、前記極大[PH]における粒子径が300nm以上500nm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 前記極大[PL]を有するピークに含まれる粒子の変動係数、及び前記極大[PH]を有するピークに含まれる粒子の変動係数が、いずれも15%以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 前記樹脂粒子の含有量が、前記ポリイミド前駆体の固形分100質量部に対して、20質量部以上600質量部以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 前記水性溶媒中における水の含有量が50質量%以上100質量%以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のポリイミド前駆体溶液。
- 請求項1〜請求項8に記載のポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記樹脂粒子を含む皮膜を形成する第1の工程と、
前記皮膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化しポリイミドフィルムを形成すると共に、前記樹脂粒子を除去する処理を施す第2の工程と、
を有する多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。 - 前記樹脂粒子を除去する処理が、前記樹脂粒子を有機溶剤に溶解することで除去する処理である請求項9に記載の多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
- 前記樹脂粒子を除去する処理が、前記樹脂粒子を加熱により除去する処理である請求項9に記載の多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
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