JP2007047810A - シームレスベルト、画像形成装置用ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

シームレスベルト、画像形成装置用ベルト及び画像形成装置 Download PDF

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佐子川  広一
Makoto Morikoshi
誠 森越
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紀宏 大津
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Abstract

【課題】 樹脂の劣化が抑制されているので発泡傷などが無く外観が良好で、樹脂劣化に起因した機械特性低下のない、カーボンブラックを含有するシームレスベルトと、このシームレスベルトを用いた画像形成装置用ベルトと、この画像形成装置用ベルトを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤の中から選ばれる少なくとも1種と、カーボンブラックと、合成樹脂を含む組成物を成形してなるシームレスベルト。このシームレスベルトを用いた画像形成装置用ベルトと、この画像形成装置用ベルトを用いた画像形成装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カーボンブラックが配合された合成樹脂製のシームレスベルト及び該シームレスベルトを用いた、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等に利用される中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルト等の画像形成装置用ベルト並びにこの画像形成装置用ベルトを含む画像形成装置に関する。
従来よりOA機器等などの画像形成装置として、感光体、トナーを用いた電子写真方式や感光体を用いずにトナーを直接シームレスベルト上に転写させるトナージェット方式が考案され上市されている。これらの装置には継ぎ目の有無に関わらず感光体ベルト、中間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写分離ベルト、帯電チューブ、現像スリーブ、定着用ベルト、トナー転写ベルト等の導電性、半導電性、絶縁性の各種電気抵抗に制御したシームレスベルトが用いられている。
例えば、中間転写装置は、中間転写体上にトナー像を一旦形成し、次に紙等へトナーを転写させるように構成されている。この中間転写体の表層におけるトナーへの帯電、除電のためにシームレスベルトよりなるシームレスベルトが用いられている。このシームレスベルトは、マシーンの機種毎に異なった表面電気抵抗や厚み方向電気抵抗(体積電気抵抗)に設定(導電、半導電、絶縁)されている。
また、搬送転写装置は、紙を一旦搬送転写体上に保持した上で感光体からのトナーを搬送転写体上に保持した紙上へ転写させ、さらに除電により紙を搬送転写体より離すように構成されている。この搬送転写体表層においては紙への帯電、除電のためにシーム有り、無しのシームレスベルトが用いられている。このシームレスベルトは、上記と同様にマシーン機種毎に異なった表面電気抵抗や厚み方向電気抵抗(体積電気抵抗)に設定されている。
図1は従来のシームレスベルトよりなる中間転写ベルトを用いた電子写真装置の側面図である。図中、1は感光ドラム、6は導電性シームレスベルトである。1の感光ドラムの周囲には、帯電器2、半導体レーザー等を光源とする露光光学系3、トナーが収納されている現像器4及び残留トナーを除去するためのクリーナー5よりなる電子写真プロセスユニットが配置されている。導電性シームレスベルト6は、搬送ローラ7,8,9に掛け渡されて、矢印方向に回転する感光ドラムと同調して矢印方向に移動するようになっている。
次に、動作について説明する。まず矢印A方向に回転する感光ドラム1の表面を帯電器2により一様に帯電する。次に、光学系3により図示しない画像読み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像を感光ドラム1上に形成する。静電潜像は現像器4でトナー像に現像される。このトナー像を、静電転写機10により導電性シームレスベルト6へ静電転写し、搬送ローラ9と押圧ローラ12の間で記録紙11に転写する。
ところで、電子写真式複写機等の画像形成装置の導電性シームレスベルトの場合には、機能上2本以上のロールにより高張力で長時間駆動されるため、十分な耐久性が要求される。さらに、中間転写装置等に使用される場合は、ベルト上でトナーによる画像を形成して紙へ転写するため、駆動時にベルトが弛んだり、伸びたりすると、画像ズレの原因となる。また、トナーの転写を静電気的に行うため、ある程度の導電性も必要である。
このようなシームレスベルトは、トナー画像を決定する重要部品であり、感光体、トナーとともに3大重要部品の一つと考えられている。
そのため中間転写ベルトには次の(1)〜(7)が要求される。
(1) 半導体領域にて所定の表面抵抗率と体積抵抗率を有していること。
(2) トナー離型性を有していること。
(3) 厚みが薄く均一であること。
(4) 機械的強度が強い(割れにくい)こと。
(5) 環境(温度湿度)による抵抗値の変動が少ないこと。
(6) 低コストであること。
(7) シームレスで真円なベルトであること。
また、近年のマシーンの高速印刷化に伴い、ベルトを駆動する速度が速まり、ベルトの耐久性を向上させる必要が出てきている。
特に、感光体を4つ並べたタンデム型の搬送転写、中間転写ベルトやトナージェット用ベルトでは高速で印刷できる点で注目されており、特に耐久性と画像ズレが重要となっている。
現在までシームレスベルトとしては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル等の樹脂組成物中に、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを添加し、これを数十〜数百μm程度の厚さに成形することで所定の電気抵抗率(表面抵抗率、体積抵抗率)に設定したベルトを中間転写体用ベルト、紙搬送とトナー転写を兼ねた搬送転写用ベルトを得ていることが知られている(特開昭63−311267号公報、特開平5−170946号公報、特開平6−228335号公報等)
なお、シームレスベルトの作製方法としては次のような方法が考えられている。
(i) 回転成形法(又は遠心成形法とも表現する場合がある)
円筒状金型の内周面に溶液を溶かした樹脂を入れ、金型を回転させながら温度を加え、溶媒を半分以上揮発させてから金型の内部よりシームレス状のチューブを取り出す工程と、別の円筒状金型の外部にシームレスチューブを装着し、温度を加えて熱硬化反応をさせる工程とからなる(特開昭60−170862号公報)。この方法は、主にポリイミド製転写ベルトの製造に用いられる。
(ii) 押出成形法
導電性フィラーをコンパウンドした樹脂を環状に溶融押出しする方法である。この方法は、主にエチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリイミド系転写ベルトの作製方法に用いられている。
(iii) ディッピング法
樹脂溶液を円筒状又は円柱状金型外面にディッピング塗布等により一定厚みに塗布し、加熱成膜した後、金型より成膜したチューブ状フィルムを引き抜く方法である。この方法は、主にポリフッ化ビニリデン製転写フィルムの作製に用いられている。
(iv) ゴム押出し成形法
ポリウレタンゴムを筒状に押し出し加硫した後、表面研磨し、再外層表面にフッ素樹脂等をコートする方法が報告されている(電子写真学会誌33(1)43(1994))。
従来、このような導電性シームレスベルトとしては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂にカーボンブラックなどの導電性フィラーを配合して成形したものが主として用いられている。なかでも、熱可塑性樹脂を主成分にしたものは、連続成形が容易であり、広く用いられてきた。熱可塑性樹脂の中でも熱可塑性非晶性樹脂は、熱可塑性結晶性樹脂よりも寸法精度に優れる。このような熱可塑性非晶性樹脂製シームレスベルトとしては、例えばポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に導電性のカーボンブラックを配合し、円筒ダイを用いて筒状フィルムに押出成形し、この筒状フィルムを輪切りにしたものが知られている(特開平3−89357号公報等)。
なお、熱可塑性樹脂非晶性樹脂は熱可塑性結晶性樹脂よりも寸法精度には優れるが、耐屈曲性に劣り、例えば中間転写ベルトなどとして電子写真に用いた場合、使用中にクラックが発生しやすい。そこで、この問題点を解決すべく、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレートとを配合してなるシームレスベルトが提案されている(特開平4−313757号公報、特開平6−149083号公報)。
特開昭63−311267号公報 特開平5−170946号公報 特開平6−228335号公報 特開昭60−170862号公報 特開平3−89357号公報 特開平4−313757号公報 特開平6−149083号公報 電子写真学会誌33(1)43(1994)
上記のように、シームレスベルトに導電性を付与するために、熱可塑性樹脂にカーボンブラックを分散させるようにしている。
一般にカーボンブラックは表面に不純物や官能基を多く有し、熱可塑性樹脂とともに溶融加工すると、表面の不純物や官能基が熱可塑性樹脂の熱分解を促進するため、熱可塑性樹脂の分子量低下に伴う物性低下や発泡などの外観不良を引き起こすとされてきた。
これらの問題を解決するため、表面の官能基の少ないカーボンブラックが提案されたり、樹脂組成物の溶融加工を低温で実施したり、溶融時間を短くするなどの工夫がなされ、一定の効果が得られてきた。
しかしながら、表面の官能基の少ないカーボンブラックでは樹脂との親和性が不足することから場合によっては望ましい導電特性が得られないことがあり、樹脂組成物の溶融加工の温度や時間を制限すると思うように分散できなかったり成形できる形状に制限が出来るなど不十分なものであった。
本発明の目的は、溶融加工時の熱分解や発泡などの少ないシームレスベルトを提供することにある。
本発明のシームレスベルトは、シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカップリング剤と、カーボンブラックと、合成樹脂とを含む組成物よりなることを特徴とするものである。
このように特定のカップリング剤を存在させることにより、合成樹脂とくに熱可塑性樹脂の溶融加工時の熱分解が著しく抑制されることが見出された。
なお、カーボンブラックを合成樹脂に配合するのに先立ってカップリング剤とカーボンブラックとを接触させておいてもよく、カップリング剤とカーボンブラックとを別々に合成樹脂に配合してもよい。ただし、少量でもカップリング剤の作用を十分に発揮できるようにするために、カーボンブラックを予めカップリング剤と接触させておくのが好ましい。具体的には、カップリング剤を溶媒に溶解させて溶液とし、この溶液とカーボンブラック(カーボンブラックの粉末又はスラリー)とを接触させ、その後乾燥するのが好適である。
本発明のシームレスベルトは、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等の画像形成装置に中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルトなどとして用いられる。
本発明の画像形成装置用ベルトは、このシームレスベルトからなる中間転写ベルト、搬送転写ベルト又は感光体ベルトである。
本発明の画像形成装置は、この画像形成装置用ベルトを備えてなるものである。
本発明によると、樹脂の劣化が抑制されているので発泡傷などが無く外観が良好で、樹脂劣化に起因した機械特性低下のない、カーボンブラックを含有するシームレスベルトと、このシームレスベルトを用いた画像形成装置用ベルトと、この画像形成装置用ベルトを用いた画像形成装置が提供される。
以下本発明について詳細に説明する。
(1) まず、本発明のシームレスベルトを構成する組成物について説明する。
本発明のシームレスベルトは合成樹脂と、カーボンブラックと、特定のカップリング剤とを含有することが必要で、フッ素も含有しているとなお好ましい。それぞれの物性は下記の通りである。
(カーボンブラック)
〈カーボンブラックの種類〉
本発明に用いるカーボンブラックの種類に特に制限はなく、例えば、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラックなどが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。
〈比表面積〉
本発明に用いるカーボンブラックは導電性発現を目的とするものである。一般にカーボンブラックは比表面積が大きいほど粉体抵抗は低く、導電性を発現しやすいので、少量のカーボンブラック添加で導電性を発現させるには比表面積は大きい方が好ましい。具体的にはBET法による測定値で10m/g以上が好ましく、50m/g以上であるとさらに好ましい。
一方、比表面積が大きすぎると、樹脂中でのカーボンブラックの分散不良が発生したり、カーボンブラック単位重量あたりの樹脂との接触面積も大きくなることに起因するカーボンブラックの触媒作用による樹脂の分解反応が生じるなどの問題点を有する。具体的には1000m/g以下が好ましく、500m/g以下であると特に好ましく、80〜400m/gが最も好ましい。
また、比表面積が比較的大きいカーボンブラックの場合、アルキルシラン等による処理をせずに用いると樹脂の分解反応が生じやすいのに対し、アルキルシラン等による処理をしてから用いることにより樹脂の分解反応を大幅に抑制できる。
〈粒径〉
カーボンブラックの粒径にも特に制限はないが、一般に粒径の小さいカーボンブラックの方が比表面積が大きく、導電性が高く、樹脂の分解反応をさせやすいので、本発明の効果がもっとも有効に発現できる範囲として15〜40nmを例示することが出来る。
〈DBP吸油量〉
DBP吸油量にも特に制限はないが、本発明に用いるカーボンブラックは導電性発現を目的とするものであり、一般にカーボンブラックはDBP吸油量が大きいほど粉体抵抗は低く、導電性を発現しやすいので、少量のカーボンブラック添加で導電性を発現させるにはDBP吸油量は大きい方が好ましい。具体的にはJIS K6221によるDBP吸油量が35mL/100g以上が好ましく、45mL/100g以上であるとさらに好ましい。
また、DBP吸油量が大きすぎるカーボンブラックは、経時的に樹脂中で分散不良を起こすことがあるので、ある程度は小さい方が好ましく、具体的には500mL/100g以下が好ましく、300mL/100g以下であるとさらに好ましく、200mL/100g以下であると特に好ましい。
〈揮発分〉
一般にカーボンブラック表面は水酸基、カルボン酸基などの官能基が存在し、これらが樹脂の溶融加工などの高温時に樹脂の劣化を促進すると考えられる。これらの官能基が多いカーボンブラックほど樹脂の劣化を促進するので、本発明による抑制効果が顕著に得られる。また、官能基の少ないカーボンブラックは樹脂の劣化を促進することは少ないが、そのかわり樹脂との界面での親和性が小さくなることから、分散不良が発生したり、樹脂組成物としての機械物性が低下したりすることもあるので、官能基をある程度有するカーボンブラックの方が好ましい。
水酸基、カルボン酸基は加熱により水、炭酸などとなるので、揮発分の測定により、官能基の多少を評価することが出来る。
本発明の効果が有効に現れるためには揮発分は1%以上が好ましく、3%以上であるとさらに好ましく、5%以上であると特に好ましい。
また、揮発分が多すぎると、充分な効果が得られないことがあるので、ある程度は小さい方が好ましい。具体的には20%以下が好ましく、15%以下であるとさらに好ましく、10%以下であると特に好ましい。
〈カーボンブラックの配合量〉
組成物中の適切なカーボンブラックの配合量はカーボンブラックの導電性、所望する抵抗レベル、製造条件により変化するので一概には規定できないが、配合量が少なすぎると導電性が充分に発現しないことがあるので3重量%以上が好ましく、10重量%以上であるとさらに好ましい。また、配合量が多すぎると樹脂組成物としての機械物性が低下することがあるのである程度は少ない方が好ましく、具体的には30重量%以下が好ましく、20重量%以下であるとさらに好ましい。
また、使用するカーボンブラックは1種類であっても2種類以上であっても良い。
(カップリング剤)
〈カップリング剤の種類〉
カップリング剤は、シラン系、アルミネート系、チタネート系、及びジルコネート系のカップリング剤の中から選ばれる少なくとも1種類で、構造的には以下のものが好適に使用できる。
・シラン系カップリング剤
シラン系カップリング剤は例えば下記一般式で表されるものである。
(R−)−Si−X4−n
上記一般式において、Rは置換されていても良いアルキル基、Xは水酸基、アルコキシ基、又はハロゲンを表す。
Rがエポキシ基やアミノ基などの樹脂との反応性を有する場合は、“シランカップリング剤”、有さない場合は、“アルキルシラン”と呼び分けることがあるが、本発明では両方を含めてシラン系カップリング剤と称す。
シラン系カップリング剤のなかでも、カーボンブラックとの結合性の面から、Xがアルコキシ基のものが好ましく、アルコキシ基のなかでも、下記式で表されるXがメトキシ基でnが1であるものが特に好ましい。
R−Si−(−OCH
これは、Xが水酸基では反応性が高すぎ、エトキシ基よりも炭素数の多いアルコキシ基では立体障害が大きすぎてカーボンブラック表面の官能基にSiが近づけない場合があるためである。
特に反応性、安定性のバランスに優れる点から、下記式で表されるRがフッ素で置換されたアルキル基であることが特に好ましい。
CF(CFCHCH−Si−(−OCH
フッ素化されているものが好ましい理由としては、他の官能基と悪影響を生じうる反応性が小さいためである。また、パーフロロアルキル基がSiに直接結合していると、立体障害の影響から熱的に不安定で分解しやすくなるので、上記の如く、エチレン基を介するものであるとより一層好ましい。
これらのアルキルシランは市場で容易に入手することができる。
例えば、信越化学工業(株)製のKBM−7103{CFCHCHSi(OCH}として市場から容易に入手することができる。
・アルミネート系カップリング剤
アルミネート系カップリング剤は例えば下記一般式で表されるものである。なお、R,R,R,R,Rはアルキル基又は水素であり、矢印←は配位結合を示す。
Figure 2007047810
このようなアルミネート系カップリング剤は、市販品としては味の素(株)製AL−M等として入手することができる。
・チタネート系カップリング剤
チタネート系カップリング剤は例えば下記一般式で表されるものである。なお、R,Rはアルキル基又は水素であり、a+b=4である。
Figure 2007047810
このようなチタネート系カップリング剤は、市販品としては味の素(株)製プレンアクト等として入手することが出来る。
・ジルコネート系カップリング剤
ジルコネート系カップリング剤は例えば下記一般式で表されるものである。なお、R,R,R,Rはアルキル基又は水素である。
Figure 2007047810
このようなジルコネート系カップリング剤は、市販品としては日本曹達(株)製ZR−181等として入手することが出来る。
〈カップリング剤の効果〉
樹脂組成物にカーボンブラックを配合することにより溶融加工時の劣化が促進される現象が上記特定のカップリング剤により抑制できる理由は明らかではないが次のような機構によると考えられる。
即ち、カーボンブラックの配合による樹脂組成物の溶融加工時の劣化促進は、カーボンブラックの表面の官能基が悪影響するためと考えられる。カップリング剤は、カーボンブラック表面の官能基に吸着されたり、あるいは、脱水反応などを起こして化学結合を形成する結果、カーボンブラック表面の官能基が封止され、これによりカーボンブラックが合成樹脂に悪影響を与えなくなると考えられる。
〈カップリング剤の含有量〉
カーボンブラックの種類が同一である場合、カップリング剤により封止できるカーボンブラック表面の官能基の数は、カップリング剤の重量ではなくカップリング剤の分子数に依存する。
カーボンブラックに対するカップリング剤の含有量が小さいと充分な効果が得られないので、カーボンブラック1gあたり0.001mmol(ミリモル)以上が好ましく、0.01mmol以上であるとさらに好ましい。
また、カップリング剤の数が多すぎると、反応しきれず残る残査が溶融加工時に樹脂に対して悪影響を及ぼすことがあるので、ある程度は少ない方が好ましく、具体的にはカーボンブラック1gあたり100mmol以下が好ましく、10mmol以下であるとさらに好ましい。
(カップリング剤を含有するカーボンブラックの製造方法)
この製造方法に特に制限はないが、例えばスクリュー攪拌機付き容器にカーボンブラックの溶媒スラリーを収容し、攪拌下にカップリング剤溶液を少量ずつ添加する方法を採用することが出来る。溶媒としては、カーボンやカップリング剤分散性、カップリング剤との副反応の少なさから考慮すると、例えばメタノールなどが好適である。その後、溶媒を除去することにより、カップリング剤含有カーボンブラックを得ることが出来る。
溶媒を除去する際に、加熱乾燥、あるいは減圧乾燥を施すと、カップリング剤とカーボンブラック表面の水酸基やカルボン酸などの官能基と縮合するなどして、化学結合生成が促進されるので特に好ましい。
(合成樹脂)
〈合成樹脂の種類〉
本発明では熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂のいずれも用いることが出来るが、熱可塑性樹脂の方が好ましい。
〈熱可塑性樹脂〉
熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンスチレンブロック共重合体又は、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。
なかでも、溶融加工時に高い温度を必要とする熱可塑性樹脂を選択したときにより有効な効果が得られるのでより好ましい。
具体的には、結晶性熱可塑性樹脂の場合は樹脂融点を指標として180℃以上の熱可塑性樹脂を用いた場合により有効なので好ましく、200℃以上の場合でより好ましい。また、非結晶性熱可塑性樹脂の場合は樹脂融点を示さないのでガラス転移温度を目安にして、100℃以上の熱可塑性樹脂の場合が好ましく、130℃以上であるとさらに好ましい。
この熱可塑性樹脂の中でも、ポリエステル樹脂はエステル結合を有し、カーボンブラック表面の水酸基やカルボン酸基により分解反応を起しやすいので、本発明の効果を得るにはより好ましい。ポリエステル樹脂の中でも、ポリカーボネートおよび/またはポリアルキレンテレフタレートが特に好ましい。
このポリカーボネートに特に制限はなく、例えば重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であればさらに好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
また、ポリアルキレンテレフタラレートにも特に制限はなく、なかでもPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)などを選択することが出来、なかでもPBTは結晶加速度が速いので成形条件による結晶化度の変化が少なく、一般に30%前後と結晶化度で安定しているので特に好ましい。
ポリアルキレンテレフタレートの分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であればさらに好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
〈熱硬化性樹脂〉
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメリットイミド、メラミン、フェノール、不飽和ポリエステルの1種またはこれらの混合物からなるものが使用できる。
(重合触媒)
重合触媒を配合し、製造条件を適正化すると、樹脂の高分子量化,アロイ化が促進できるので好ましい。
(付加的配合剤;任意成分)
樹脂組成物には、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
具体的には、商品名がイルガホス168,イルガノックス1010などの酸化防止剤、PEPQ(商品名)などの熱安定剤のほか、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の各種添加物を添加することができる。
また、各種フィラー、例えば炭酸カルシウム(重質、軽質)、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラス繊維、ガラスビーズ、ベントナイト、アスベスト、中空ガラス玉、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、炭酸繊維、アルミニウム繊維、スチレンスチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、グラファイト、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等のフィラーの他、添加剤として酸化防止剤(フェノール系、硫黄系、リン酸エステル系など)、滑剤、有機・無機の各種顔料、紫外線防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架橋剤、流れ性改良剤等をあげることができる。
(加熱混練)
本発明においては、カーボンブラック、合成樹脂、重合触媒を加熱混練して樹脂組成物とした後にシームレスベルトを成形してもよく、カーボンブラック、合成樹脂、重合触媒を加熱混練してそのままシームレスベルトを得ることもできる。
加熱混練の手段にも特に制限はなく、各種の手段を用いることができる。例えば、カーボンブラック、合成樹脂、重合触媒を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。
(熱処理)
得られたシームレスベルトを熱処理することにより、より物性を向上させることが可能となる。特に、耐折回数や引張弾性率の向上が見られる。
熱処理条件は用いる原料樹脂にもよるが、通常60〜200℃の温度、好ましくは70〜120℃の温度で5〜60分、好ましくは10〜30分程度である。
シームレスベルトを得るには、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を例えば二軸混練押出機により混合し、ペレット化した後にシームレスベルトとなるように成形する手法が特に好ましく用いられる。
(成形方法)
成形方法については、特に限定されるものではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、あるいはインフレーション成形法など公知の方法を採用して得ることができるが、特に望ましいのは、連続溶融押出成形法である。特に押し出したチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式あるいはバキュームサイジング方式が好ましく、内部冷却マンドレル方式が最も好ましい。
熱硬化性合成樹脂の場合であれば、例えばこの合成樹脂の溶液にカーボンブラックを分散させ、筒状シリンダーの内面に塗布し、筒状シリンダーを回転させてその遠心力により筒状のシームレスベルトを得る遠心成形があげられる(特開平5―77252号公報参照)。さらに、例えば、溶剤可溶性の合成樹脂を溶剤に溶解し、カーボンブラックを分散させ、この液を金属製円筒体上に塗布し、乾燥した後、円筒体を抜き取る事により筒状のシームレスベルトを得るディッピング方式があげられる(特開平7―092825号公報参照)。
また、この成形時の温度,滞留時間の適正化により、より良好な物性のシームレスベルトを得ることができるので各配合にあわせて条件を調整することが好ましい。
本発明のシームレスベルトはそのままベルトとして使用しても良いし、ドラムあるいはロール等に巻き付けて使用しても良い。
さらに蛇行防止や端面補強等の目的のために、所定の寸法のシームレスベルトの内側及び/又は外側端部近傍に耐熱テープを貼り付けたり、或いはウレタンゴムやシリコンゴム等のテープをベルト内側の端部近傍に貼り合わせても良い。
(表面抵抗率)
本発明のシームレスベルトには必要に応じて導電性フィラーあるいは導電性を発現する物質を配合してもよい。
抵抗領域は目的により異なるが、表面抵抗率1×10〜1×1016Ω又は体積抵抗率1×10〜1×1016Ω・cmの範囲から選定される。
さらに好ましい範囲は用途により異なるが、例えば感光体ベルトとして用いる場合には外表面の電荷を内表面に逃がせるように表面抵抗率1×10〜1×10Ω又は体積抵抗率1×10〜1×10Ω・cmと低い抵抗率が好ましく、中間転写ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる表面抵抗率1×10〜1×1013Ω又は体積抵抗率1×10〜1×1013Ω・cmが好ましく、搬送転写ベルトとして用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにくい1×1010〜1×1016Ω又は体積抵抗率1×1010〜1×1016Ω・cmと高い領域が好ましい。
また、シームレスベルト1本中の表面抵抗率の分布は狭い方が好ましく、それぞれの好ましい表面抵抗率領域において、1本中の最大値と最小値の差が2桁以内であること(最大値が最小値の100倍以下であること)が好ましい。
フィルムの表面抵抗率や体積抵抗率は例えばダイヤインスツルメント(株)製ハイレスタ,ロレスタやアドバンテスト(株)製R8340Aなどにより容易に測定することができる。
(シームレスベルトの厚み)
シームレスベルトの厚みが過度に大きいと、ローラとの曲率が大きい場合、ベルト外側と内側の変形差が大きく割れ易くなる。また、外側部に転写されたトナーが変形し、飛散し画像が変形するようになる。一方、シームレスベルトの厚みが過度に小さいと、わずかなローラーとベルト間に入り込んだゴミ、或いは感光体等との接触による傷によりクラックが入り易くベルトが破損し易くなる。従って、シームレスベルトの厚みは70〜300μmであることが必要であり、100〜200μmであれば特に好ましい。
(シームレスベルトの用途)
このシームレスベルトの用途に特に制限はないが、寸法精度,耐屈曲性,引張破断伸など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材には好適に用いることができる。このシームレスベルトをシームレスベルト形状とした場合、割れ,伸びなど不具合が少ないので好適である。
このシームレスベルトは、例えば電子写真の中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルトとして好適に用いることができる。
このシームレスベルトには、必要に応じて側縁に沿って補強テープを貼着してもよい。補強テープとしては、2軸延伸ポリエステルテープがコスト、強度の点で好ましく、そのテープ幅は4mm以上20mm以下が装置レイアウト状コンパクトになり好ましい。補強テープの厚みは、20μm以上200μm以下がフレキシブルを維持するため低テンションでシームレスベルトが駆動できる点と耐クラック発生防止の点で好ましい。
本発明を実施例、比較例を用いて、より具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例で用いた材料は次の通りである。
(カーボンブラック)
・カップリング剤を含有しないカーボンブラック(以下CB−Aと略記する)
三菱化学株式会社製 MA100
比表面積 110m/g、DBP吸油量100mL/100g、一次粒径24nm
・シラン系カップリング剤を含有するカーボンブラック
CB−Aを500gとメタノール1Lをホモミキサーを用いて6000rpm30分混合してスラリーを調製した。一方信越化学株式会社製 KBM−7103{CFCHCHSi(OCH}15gをメタノール150mLに溶解してアルキルシラン溶液を調製した。スクリュー型攪拌機付き容器に上記スラリーを移し、約1000rpmの攪拌条件下、上記アルキルシラン溶液を少量ずつ添加した。約15分攪拌後、トラップを具備した減圧乾燥機にて1mmHg70℃7時間乾燥し、メタノールを除去した(得られたカーボンブラックをCB−X1と略記する)。
・アルミネート系カップリング剤を含有するカーボンブラック
CB−Aを500gとメタノール1Lをホモミキサーを用いて6000rpm30分混合してスラリーを調製した。一方味の素(株)製AL−M15gをメタノール150mLに溶解してAL−M溶液を調製した。スクリュー型攪拌機付き容器に上記スラリーを移し、約1000rpmの攪拌条件下、上記AL−M溶液を少量ずつ添加した。約15分攪拌後、トラップを具備した減圧乾燥機にて1mmHg70℃7時間乾燥し、メタノールを除去した(得られたカーボンブラックをCB−X2と略記する)。
・チタネート系カップリング剤を含有するカーボンブラック
CB−Aを500gとメタノール1Lをホモミキサーを用いて6000rpm30分混合してスラリーを調製した。一方味の素(株)製プレンアクトTTS45gをメタノール150mLに溶解してTTS溶液を調製した。スクリュー型攪拌機付き容器に上記スラリーを移し、約1000rpmの攪拌条件下、上記TTS溶液を少量ずつ添加した。約15分攪拌後、トラップを具備した減圧乾燥機にて1mmHg70℃7時間乾燥し、メタノールを除去した(得られたカーボンブラックをCB−X3と略記する)。
・ジルコネート系カップリング剤を含有するカーボンブラック
CB−Aを500gとメタノール1Lをホモミキサーを用いて6000rpm30分混合してスラリーを調製した。一方日本曹達(株)製ZR−181 45gをメタノール150mLに溶解してZR−181溶液を調製した。スクリュー型攪拌機付き容器に上記スラリーを移し、約1000rpmの攪拌条件下、上記ZR−181溶液を少量ずつ添加した。約15分攪拌後、トラップを具備した減圧乾燥機にて1mmHg70℃7時間乾燥し、メタノールを除去した(得られたカーボンブラックをCB−X4と略記する)。
(合成樹脂)
・PC(ポリカーボネート)
三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製 ユーピロンE2000
・PBT(ポリブチレンテレフタレート)
三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製 ノバドゥール5040ZS
・ETFE(エチレン四フッ化エチレン共重合体)
旭硝子株式会社製 アフロンCOP C55AP
(熱安定剤)
クラリアントジャパン株式会社製 PEPQ
(シームレスベルトの製造方法)
表1,2に示した熱可塑性樹脂/カーボンブラックの配合で、二軸混練押出機(池貝機販株式会社製PCM45)にて混練ペレット化した。
得られたペレットを環状ダイ付き直径40mmの押出機を用い、環状ダイより下方に溶融チューブ状態で押し出した。
押し出した溶融チューブを環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した冷却マンドレルの外表面に接しめて冷却固化させてシームレスベルトとした。
(評価)
評価は必要に応じ、シームレスベルトを必要な大きさに切り開いて実施した。
・表面抵抗率 Ω
表面抵抗率は測定器により好適に測定できる領域が異なるので以下のように使い分けた。
表面抵抗率が1〜1×10Ωとなるサンプルは、ダイヤインスツルメント(株)製 ロレスタを使用した。
表面抵抗率が10〜1×1013Ωとなるサンプルは、ダイヤインスツルメント(株)製 ハイレスタを使用した。
表面抵抗率が1013〜1×1016Ωとなるサンプルは、アドバンテスト(株) 微小電流測定器R8340Aを使用した。
測定時間は10秒値とし、シームレスベルト1本あたり、40ヶ所測定し、最大値,最小値,全測定値の相乗平均値を得た。
・外観
得られたシームレスベルトの外観を目視にて樹脂劣化に起因する発泡傷の有無を評価した。
(実施例1)
PC/CB−X1からなるシームレスベルトである。
樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好なサンプルを得た。
表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(比較例1)
カーボン種を変えたこと以外は実施例1と同じ手法で製造したPC/CB−Aからなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトには、樹脂劣化に起因すると考えられる発泡傷などの外観不良が確認された。表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
しかしながら、本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところベタ画像出力時に発泡傷に対応した画像不良が発生した。
(実施例2)
熱可塑性樹脂の配合を変えたこと以外は実施例1と同じ手法で製造したPBT/PC/CB−X1からなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトは、外観も樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(比較例2)
カーボン種を変えたこと以外は実施例2と同じ手法で製造したPBT/PC/CB−Aからなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトには、樹脂劣化に起因すると考えられる発泡傷などの外観不良が確認できた。
表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
しかしながら、本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところベタ画像出力時に発泡傷に対応した画像不良が発生した。
(実施例3)
カーボンブラック濃度を変えたこと以外は実施例2と同じ手法で製造したPBT/PC/CB−X1からなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトは、樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は1012Ω程度と搬送転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを搬送転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(比較例3)
カーボンブラック濃度を変えたこと以外は比較例2と同じ手法で製造したPBT/PC/CB−Aからなるシームレスベルトである。
比較例2同様、樹脂劣化に起因すると考えられる発泡傷などの外観不良が確認できたが、比較例2のシームレスベルトよりも軽微であった。樹脂劣化の原因となるCB−Aの濃度が低い分、樹脂劣化の程度も軽微になったと考えられる。
(実施例4)
カーボンブラック濃度を変えたこと以外は実施例2,3と同じ手法で製造したPBT/PC/CB−X1からなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトは、樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は10Ω程度と感光体転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトの外層に電荷輸送層、電荷発生層を形成し、感光体ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(比較例4)
カーボンブラック濃度を変えたこと以外は比較例2,3と同じ手法で製造したPBT/PC/CB−Aからなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトは、比較例2,3同様の樹脂劣化に起因すると考えられる発泡傷などの外観不良が比較例2,3のシームレスベルトよりも多く生じた。樹脂劣化の原因となるCB−Aの濃度が高くなった分、樹脂劣化の程度も激しくなったと考えられる。
(実施例5)
熱可塑性樹脂の配合を変えたこと以外は実施例1,2と同じ手法で製造したETFE/CB−X1からなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトは、樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(比較例5)
熱可塑性樹脂の配合を変えたこと以外は比較例1,2と同じ手法で製造したETFE/CB−Aからなるシームレスベルトである。
このシームレスベルトは、比較例1,2同様の樹脂劣化に起因すると考えられる発泡傷などの外観不良が比較例1,2のシームレスベルトよりも多く生じた。
ETFEは融点が265℃と高く、シームレスベルト成形時に300〜330℃程度の温度を必要とするため、260〜280℃程度の加工温度で成形できたPBT/PCからなるシームレスベルトよりも溶融加工時の樹脂劣化の程度もさらに激しくなったと考えられる。
(実施例6)
PBT/PC/CB−A/アルキルシランからなるシームレスベルトである。
事前にCB−Aをアルキルシランで処理するのではなく、混練時にPBT,PC,CB−Aとともにアルキルシランを加えた。
このシームレスベルトは、実施例2と比べてCB−Aに対するアルキルシランの量を多くすることにより、事前の処理が無くても発泡などによる外観不良を抑制することが出来た。また、表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(実施例7)
PBT/PC/CB−X2からなるシームレスベルトである。
カーボンブラックに、CB−Aをアルミネート系カップリング剤で処理したCB−X2を用いた以外は実施例2と同じ手法で製造した。
このシームレスベルトは、外観も樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(実施例8)
PBT/PC/CB−X3からなるシームレスベルトである。
カーボンブラックに、CB−Aをチタネート系カップリング剤で処理したCB−X3を用いた以外は実施例2と同じ手法で製造した。
このシームレスベルトは、外観も樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
(実施例9)
PBT/PC/CB−X4からなるシームレスベルトである。
カーボンブラックに、CB−Aをジルコネート系カップリング剤で処理したCB−X4を用いた以外は実施例2と同じ手法で製造した。
このシームレスベルトは、外観も樹脂劣化に起因する発泡傷などの外観不良もなく、良好であった。また、表面抵抗率は10Ω程度と中間転写ベルトに好適なレベルであった。
本シームレスベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、画像評価を行ったところ良好な画像を得た。
実施例及び比較例の評価結果を表1,2にまとめて示す。
Figure 2007047810
Figure 2007047810
従来の中間転写装置の側面図である。
符号の説明
1 感光ドラム
2 帯電器
3 露光光学系
4 現像器
5 クリーナー
6 導電性シームレスベルト
7,8,9 搬送ローラ

Claims (17)

  1. シラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤及びジルコネート系カップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種のカップリング剤と、カーボンブラックと、合成樹脂とを含む組成物よりなることを特徴とするシームレスベルト。
  2. カップリング剤を含有するカーボンブラックと、合成樹脂とを含む組成物よりなることを特徴とするシームレスベルト。
  3. 該カップリング剤とカーボンブラックとが化学結合を有することを特徴とする請求項2に記載のシームレスベルト。
  4. 該カップリング剤がフッ素を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシームレスベルト。
  5. 該カーボンブラックの比表面積が50〜500m/gであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のシームレスベルト。
  6. 該カップリング剤の含有量が、カーボンブラック1gに対して0.001〜100mmolであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のシームレスベルト。
  7. 該カップリング剤がシラン系カップリング剤であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のシームレスベルト。
  8. 前記組成物中のカーボンブラックの含有量が3〜30重量%であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のシームレスベルト。
  9. 該合成樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のシームレスベルト。
  10. 該熱可塑性樹脂のTm(融点)が180℃以上であることを特徴とする請求項9に記載のシームレスベルト。
  11. 該熱可塑性樹脂のTg(ガラス転移温度)が100℃以上であることを特徴とする請求項9に記載のシームレスベルト。
  12. 熱可塑性樹脂がポリエステルであることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載のシームレスベルト。
  13. 該熱可塑性樹脂がポリカーボネート及び/又はアルキレンテレフタレートであることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載のシームレスベルト。
  14. 表面抵抗率が10〜1016Ωであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のシームレスベルト。
  15. 表面抵抗率が10〜1016Ωで、且つ、1本中の最大値/最小値が100以下であることを特徴とする請求項14に記載のシームレスベルト。
  16. 請求項1ないし15のいずれか1項に記載のシームレスベルトからなる画像形成装置用中間転写ベルト、搬送転写ベルト、又は感光体ベルトである画像形成装置用ベルト。
  17. 請求項16に記載の画像形成装置用ベルトを備えてなることを特徴とする画像形成装置。
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