JP6123532B2 - 中間転写体及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置に好適に用いられる中間転写体及び画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置に用いられる中間転写体としての中間転写ベルトは、電気抵抗の均一性、表面平滑性、機械特性(高屈曲、高弾性、高伸度)、高寸法精度(膜厚、周長)が要求される。
前記中間転写ベルトは、電子写真方式の画像形成装置の中でも高価格の部品であり、コストダウンが強く要求されている。前記中間転写ベルトを低コスト化するためには、熱可塑性樹脂を用いて、押出成形又はインフレーション成形できれば、非常に安価に製造できる。
しかしながら、前記熱可塑性樹脂を用いた中間転写ベルトにおいて、初期の光沢度が高い場合、濃度センサによるトナー検知が上手くいかないという問題がある。
例えば、特許文献1には、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び/又はフッ素ゴム、カーボンブラック、及びポリアルキレンエーテル系共重合体からなる半導電性樹脂組成物が提案されている。この提案では、カーボンブラックの量とポリアルキレンエーテルの量と体積抵抗率の範囲を規定しているが、光沢度や表面性、外観については何ら触れられてはいない。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及び/フッ素ゴムと表現しているが、ポリフッ化ビニリデン系樹脂については、ホモポリマーでもコポリマーでもよいとしているだけで、光沢度や表面性、外観を得るためにホモポリマーとコポリマーとの配合比率については何ら記載されていない。
熱可塑性樹脂からなる導電性樹脂組成物は光沢度が低下しやすく、これは、樹脂の屈折率が小さいことや、導電剤であるカーボンブラックの添加、添加剤として導電性樹脂を添加することにより、成型時に表面粗さが大きくなってしまうことが原因である。このような導電性樹脂組成物は外観を損ないやすく、また、例えば、電子写真方式の画像形成装置の中間転写ベルトに使用する場合には、トナーの反射率との差異が小さくなってトナー濃度センサによる光学的検知が難しくなるという問題がある。
また、中間転写ベルトを高電圧部に使用する場合、放電による発火を抑えるため、V−1(フィルムの場合にはUL94規格でVTM−1)以上の難燃性が必要となる。樹脂そのものが難燃性を有しているものや難燃剤を添加する場合があるが、難燃剤を添加すると環境問題やブリードによる外観への影響、接触する他の部材への影響が懸念される。
また、熱硬化性樹脂であるポリイミドやポリアミドイミドを用いる場合、成型方法が注型や遠心成型となるので、高温成型かつバッチ処理で生産性に劣り、コストがかかるという問題がある。この場合、コーティングして光沢度を得ることも可能であるが、割れが生じたり、コストがかかるという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光沢度が高く、トナー濃度センサによるトナー濃度調整を良好に行うことができる中間転写体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の中間転写体は、ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とからなるポリフッ化ビニリデン系樹脂、添加剤、及び導電剤を含有してなり、
前記添加剤が、数平均分子量が1,000以上のポリアルキレンオキサイド構造を含むポリマーを含み、
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂における前記フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン100質量部に対して、5質量部〜30質量部であり、
前記導電剤の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜20質量部であり、
前記添加剤の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜10質量部である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、光沢度が高く、トナー濃度センサによるトナー濃度調整を良好に行うことができる中間転写体を提供することができる。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 図2は、図1の画像形成装置における作像部の構成の一例を示す概略断面図である。
(中間転写体)
本発明の中間転写体は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、添加剤、及び導電剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中間転写体は、中間転写ベルト方式の画像形成装置(いわゆる、像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の装置)における中間転写ベルトとして好適に用いられる。
本発明者らは、前記中間転写体において、導電剤の局所的な導通経路が形成されると、放電やリークを起こすため、導通経路の形成を抑制する添加剤としてポリアルキレンオキサイド構造を含むポリマーを用いることが効果的であることを知見した。
この場合、熱可塑性樹脂であって難燃性を有し、かつ低温で連続成型が可能なPVDF(ポリビニリデンフルオライド)と、表面光沢度を出すために樹脂流動性を良好にするPVDFとHFP(ヘキサフルオロプロピレン)の共重合体と、導電剤と、添加剤としてポリアルキレンオキサイド構造を含むポリマーとを用いることにより、光沢度が高く、トナー濃度センサによるトナー濃度調整を良好に行うことができる中間転写体が得られることを知見した。
<ポリフッ化ビニリデン系樹脂>
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、ホモポリマー(ポリフッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(VDFとHFPとの共重合体)などが挙げられる。
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、乳化重合法又は懸濁重合法により製造される。
前記ホモポリマーとしては、例えば、Kynar710、711、720、721、740、741、760、761、761A、HSV900、466、461、301F、370、9000HD、6000HD、1000HD(いずれも、アルケマ社製)、Solef Visc.8、10、12、15、20(いずれも、ソルベイ社製)、などが挙げられる。
前記共重合体としては、例えば、Kynar Flex2850−00、2851−00、2800−00、2801−00、2800−20、2821−00、2750−01、2751−00、2500−20、2501−20、3120−50(いずれも、アルケマ社製)、Solef flex Visc.8、10、SuperFlex Visc8(ソルベイ社製)、などが挙げられる
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂における前記フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有量は、前記ポリフッ化ビニリデン100質量部に対して、5質量部〜30質量部であり、10質量部〜20質量部が好ましい。前記含有量が、5質量部未満であると、引張破断伸びが低下し、割れやすくなり、また、表面抵抗率の制御も不安定となることがあり、30質量部を超えると、引張強度、弾性率が低下し伸びによる色ずれ、ひずみによるトナー濃度センサの読み取り誤検知となることがある。
<添加剤>
前記添加剤としては、数平均分子量が1,000以上のポリアルキレンオキサイド構造を含むポリマーを用いることが好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイド構造としては、数平均分子量が1,000以上であれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキサイド構造、などが挙げられる。
前記添加剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型化合物、などが挙げられる。
前記添加剤のポリアルキレンオキサイド構造の数平均分子量は、1,000以上であり、1,000〜5,000が好ましい。前記数平均分子量が、1,000未満であると、導電性を低抵抗側に制御する際に、添加剤の添加量が多くなり、その結果、中間転写体の表面光沢度を低下させてしまうことがある。
前記数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)及びH−NMRによる重量換算により測定することができる。
前記添加剤の屈折率は、1.55以上が好ましい。屈折率の高い添加剤を用いることで光沢度を高くすることができる。前記屈折率が、1.55未満であると、中間転写体の表面光沢度を高くすることができず、トナー濃度調整が困難になることがある。
そこで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF単体の場合の屈折率は1.42)より屈折率の高い添加剤を用いることで、中間転写体の光沢度を高くすることができる。
前記屈折率は、POLYMER HANDBOOK(fourth Edition)Volume2,6/574 Table2の値を用いた。これより、添加剤の材料が特定できれば、屈折率が分かる。なお、材料の特定は、例えば、FT−IR、NMR、LC−MS、GC−MS、場合によっては、樹脂を溶解させ、抽出した上でFT−IR、NMRで分析し、特定することができる。
前記添加剤は、芳香族基を有することが好ましい。前記添加剤が芳香族基を有することにより、中間転写体の光沢度を向上させることができる。
前記芳香族基を有する添加剤としては、例えば、下記に示すPEO−PMMA中のPMMAのRで表される基などが挙げられる。
前記添加剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜10質量部である。前記含有量が、1.0質量部未満であると、光沢度が低下してしまうことがあり、10質量部を超えると、引張破断伸びが低下することがある。
<導電剤>
前記導電剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びグラフェンから選択される少なくとも1種が好ましい。
−カーボンブラック−
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック等の導電性カーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイトなどが挙げられる。これらの中でも、導電性カーボンブラックが好ましく、ケッチェンブラックが特に好ましい。前記ケッチェンブラックは単位重量当りの粒子数が多いので、少ない含有量で所望の抵抗値が得られ、機械特性の低下を最小限にできる。
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、デンカブラック(電気化学工業株式会社製)、ケッチェンブラックEC300J(ライオン株式会社製)、などが挙げられる。
ただし、前記カーボンブラックは、添加量が増えると光沢度が低下するという課題がある。
−グラファイト−
前記グラファイトは、炭素からなる元素鉱物であり、六方晶系、六角板状結晶である。構造は層状物質で層毎の面内は、強い共有結合で炭素間が繋がっているが、層と層の間(面間)は、弱いファンデルワールス力で結合している。それゆえ、層状に剥がれる。グラファイトが剥がれて厚さが原子一個分しかない単一層となったものがグラフェンと呼ばれる。
前記グラファイトは屈折率が2であり、光沢度を向上させる効果がある。また、熱伝導率が良好であり、中間転写体として用いる場合、クリーニングブレードなどによる摺擦熱によるトナー付着を抑制することができる。
−グラフェン−
前記グラフェンは、1原子の厚さのsp結合炭素原子のシートである。炭素原子とその結合からできた蜂の巣のような六角形格子構造をとっている。
前記グラフェンは、カーボンブラックよりも添加量を抑えることができるので、光沢度の低下を抑制できる。
−フラーレン−
前記フラーレンとしては、フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレン及びフラーレン誘導体の混合物、などが挙げられる。
前記フラーレンとは、求殻状炭素分子を指し、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C96、C100、又はこれら化合物の2量体、3量体等を挙げることができる。これらフラーレンの中でも好ましいのは、C60、C70、又はこれらの2量体、3量体である。
前記フラーレン誘導体とは、上記のフラーレンを構成する少なくとも1つの炭素に有機化合物の一部分を形成する原子団や無機元素からなる原子団が結合した化合物をいう。
前記フラーレン誘導体としては、例えば、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン等を用いることができる。
前記フラーレン誘導体を得るために用いるフラーレンとしては、本発明の目的を満たす限り限定されず、前記フラーレンのいずれを用いてもよい。
中間転写ベルトを成型時、溶融混練物を流す際に、母体樹脂や添加剤が熱劣化を起こし、表面にブツが生じ光沢度を低下させ、外観を損なうおそれがあり、中間転写体を中間転写ベルトとして使用するにあたっては、トナー濃度センサの検知異常を招くおそれがある。そこで、熱安定性に優れた前記フラーレンを用いることにより熱劣化を抑制することができる。
−カーボンナノチューブ−
前記カーボンナノチューブの形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記カーボンナノチューブとしては、例えば、単層カーボンナノチューブ(SWNT)であってもよいし、多層カーボンナノチューブ(MWNT)であってもよい。
前記単層カーボンナノチューブ(SWNT)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、直径が10nm〜200nm程度であり、長さが0.5μm〜10μm程度であることが好ましい。
前記単層カーボンナノチューブとしては、例えば、アームチェアー型カーボンナノチューブ、ジグザグ型カーボンナノチューブ及びカイラル型カーボンナノチューブから選択されるものが好適に挙げられる。
前記多層カーボンナノチューブ(MWNT)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、直径が10nm〜200nm程度であり、長さが0.5μm〜10μm程度であり、その層数が2層〜100層程度であることが好ましい。
前記カーボンナノチューブの中でも、アスペクト比の大きなものは、少ない含有量で導電性が得られ、また、分散性も良好である。
前記カーボンナノチューブの直径が10nm〜200nm、長さが0.5μm〜10μmであって、前記カーボンナノチューブの含有量が1質量%〜3質量%で、体積抵抗値10Ω・cm〜1011Ω・cmを達成でき、前記カーボンブラックよりも含有量を低減でき、良好な機械特性を達成できる。
前記導電剤の含有量は、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜20質量部であり、5質量部〜15質量部がより好ましい。前記含有量が、1.0質量部未満であると、高抵抗となることがあり、20質量部を超えると、低抵抗となることがある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、滑剤、電気抵抗調整剤、酸化防止剤、補強剤、充填剤、加硫促進剤、増量剤、各種顔料、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、などが挙げられる。
<中間転写体の成形方法>
本発明の中間転写体は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と、添加剤と、導電剤と、更に必要に応じてその他の成分とを溶融混練した溶融混練物を、例えば、溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、インフレーション成形法などによって成形することができる。
前記溶融混練は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー等の混練機を用いて行うことができる。
本発明の中間転写体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm〜200μmが好ましく、50μm〜150μmがより好ましい。前記平均厚みが、30μm未満であると、強度が小さくなり、ベルトが裂けやすくなることがあり、200μmを超えると、可撓性が失われベルト走行性が低下するとともに、ベルトが割れやすくなることがある。
前記中間転写体の平均厚みの測定方法としては、例えば、接触型(指針型)乃至渦電流式の膜厚計、例えば、電子メイクロメーター(アンリツ株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明の中間転写体は、入射角60°での表面光沢度が40°以上が好ましく、70°〜90°がより好ましい。前記表面光沢度が、40°未満であると、トナー付着量検知センサのLED発光電流値がオーバーとなることがある。
前記表面光沢度は、例えば、光沢度計(PG−IIM、日本電色工業株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記中間転写体の表面抵抗率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1×10Ω/□〜1×1011Ω/□(ただし、10V〜500Vの間)が好ましい。
前記中間転写体の体積抵抗率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cm(ただし、10V〜500Vの間)が好ましい。
前記表面抵抗率は、例えば、ハイレスタUP MCP−HT450型(株式会社三菱化学アナリテック製)を用いて、温度20℃±3℃、相対湿度50%±10%で測定することができる。
前記体積抵抗率(Ω・cm)は、100V、10sec印加後の値を測定し、表面抵抗率(Ω/□)は100V、10sec印加後の値、及び500V、10sec印加後の値を測定し、5箇所の測定地点の平均を測定値とした。
前記中間転写体の反射出力電圧Vsg(V)の標準偏差σをVsgで除した値(σ/Vsg)は、0.10以下が好ましい。
ここで、「反射出力電圧」とは、前記中間転写体の表面に光を照射したときの反射光量を電圧値に変換して測定した電圧値である。前記反射出力電圧は、光量を電圧値に変換可能なフォトセンサにより測定した。また、その平均値としては、中間転写体1周分の反射出力電圧の平均値で表した。
前記値(σ/Vsg)が、0.10以下(即ち、標準偏差σが反射出力電圧Vsgの1/10以下)であると、地肌部の反射光量測定の精度が向上し、優れる画像品質を提供可能な中間転写体を提供することができる。
センサとしてはセンサ自体の公差により基準ガラス基板に対して、例えば、3.3Vの電圧出力を得るための発光電流値は異なり、本発明ではガラス基板に対し3.3Vを得るのに5.7mA要するセンサを用いた。
本発明の中間転写体は、中間転写ベルト、搬送ベルト、転写ベルト、定着ベルト、現像ベルト等の各種用途に好適に用いられるが、以下に説明する画像形成装置の中間転写ベルトや転写手段に好適に用いられる。
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、第1の形態では、像担持体と、該像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
前記像担持体上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する一次転写手段と、
前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、を有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記中間転写ベルトが、本発明の前記中間転写体である。
本発明の画像形成装置は、第2の形態では、像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
前記像担持体上のトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、を有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記転写手段が、本発明の前記中間転写体である。
ここで、図1は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。この図1の画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
まず、複数の像担持体を備え、前記複数の像担持体を表面移動部材の移動方向に並列させる画像形成装置(いわゆる「タンデム型画像形成装置」と称することもある。)の基本的な構成について説明する。
図1に示す画像形成装置は、像担持体として4つの感光体1Y、1C、1M、1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図1中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図1中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、前記感光層上に保護層を形成したものであり、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
図2は、図1における感光体を配設する作像部2の構成の一例を示す概略断面図である。なお、作像部2Y、2C、2M、2Kにおける各感光体1Y、1C、1M、1K周りの構成はすべて同じであるため、1つの作像部についてのみ図示し、色分け用の符号Y、C、M、Kについては省略してある。感光体1の周りには、その表面移動方向に沿って、帯電手段としての帯電手段3、現像手段5、感光体1上のトナー像を記録媒体又は中間転写ベルト10に転写する転写手段6、感光体1上の未転写トナーを除去するクリーニング手段7の順に配置されている。帯電手段3と現像手段5との間には、帯電した感光体1の表面の画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段4から発せられる光が感光体1まで通過できるようにスペースが確保されている。
帯電手段3は、感光体1の表面を負極性に帯電する。この帯電手段3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラを備えている。即ち、この帯電手段3は、帯電ローラを感光体1の表面に接触又は近接させ、前記帯電ローラに負極性バイアスを印加することで、感光体1の表面を帯電する。感光体1の表面電位が−500Vとなるような直流の帯電バイアスを帯電ローラに印加している。
なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。また、帯電手段3には、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニングブラシを設けてもよい。なお、帯電手段3として、帯電ローラの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラの表面と感光体1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラの表面と感光体の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体の表面が帯電される。
このようにして帯電した感光体1の表面には、露光手段4によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光手段4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体1に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、露光手段4は、レーザ方式であるが、LEDアレイと結像手段とからなる他の方式を採用することもできる。
トナーボトル31Y、31C、31M、31Kから現像手段5内に補給されたトナーは、現像剤供給ローラ5bによって搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、感光体1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、感光体1と対向する領域(以下、「現像領域」と称することもある。)において感光体1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上のトナーが、感光体1の表面を摺擦しながら、トナーを感光体1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300Vの現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
転写手段6における中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11、12、13に張架されており、図1中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、ここでは転写チリの発生が少ない転写ローラ14を用いた構成を採用している。具体的には、各感光体1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写手段6としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kを配置している。ここでは、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体1Y、1C、1M、1Kとによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各一次転写ローラ14に正極性のバイアスが印加される。これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
感光体1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト10に転写させる場合、感光体1と中間転写ベルト10は、圧接していることが好ましい。このときの圧接力は、10N/m〜60N/mの範囲であることが好ましい。
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング手段15が設けられている。このベルトクリーニング手段15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要なトナーは、ベルトクリーニング手段15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録媒体としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光手段4の図3中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。
二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
現像手段5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。また、ここでは、キャリアを含まない一成分現像剤を使用している。現像手段5は、図1に示したトナーボトル31Y、31C、31M、31Kから、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31Y、31C、31M、31Kは、それぞれが単体で交換できるように、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31Y、31C、31M、31Kだけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命に達していない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
現像剤収納器5d中の現像剤(トナー)は、供給ローラ5bで攪拌されながら、感光体1に供給する前記現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ5aのニップ部分に運ばれる。このとき供給ローラ5bと現像ローラ5aは、ニップ部で逆方向(カウンタ回転)に回転している。更に、現像ローラ5aに当接するように設けられた現像剤層規制部材としての規制ブレード5cで現像ローラ5a上のトナー量が規制され、現像ローラ5a上にトナー薄層が形成される。また、トナーは、供給ローラ5bと現像ローラ5aのニップ部と規制ブレード5cと現像ローラ5aの間で摺擦され、適正な帯電量に制御される。
前記画像形成装置においては、潜像担持体、帯電手段、現像手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機、プリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(添加剤の製造例1)
<添加剤No.2の製造>
−無水マレイン酸変性ポリプロピレンの合成−
ガラス容器中に、ポリプロピレン(製品番号428116、シグマ・アルドリッチ社製、数平均分子量Mn:約5,000)800質量部、無水マレイン酸320質量部、及びキシレン80質量部を仕込み、120℃で均一な溶液とした後、少量のキシレンに溶かした過酸化ベンゾイル40質量部を滴下し、120℃で6時間反応させた。反応終了後、アセトン中でポリマーを析出させ、ろ過乾燥して無水マレイン酸変性ポリプロピレン(数平均分子量Mn:2,000)を得た。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの粉末を、押出機(ラボプラストミル2D25S、株式会社東洋精機製作所製、押出条件:130℃)によりペレット化した。
−添加剤No.2の合成−
ステンレススチール製オートクレーブ内に、上記で得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン60質量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ブラウノンP−101M、青木油脂工業社製、数平均分子量Mn:1,100)33質量部、及び酢酸ジルコニル0.5質量部を加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で4時間重合し、粘稠なポリマーを得た。
得られたポリマーをベルト上にストランド状で取り出し、ペレット化することによって、添加剤No.2を得た。得られた添加剤No.2の数平均分子量Mnは、23,000、屈折率1.49であった。添加剤No.2のポリアルキレンオキサイド構造の数平均分子量は1,000であった(H−NMRで算出)。
(添加剤の製造例2)
<添加剤No.4の製造>
−ブロモ化ポリエチレンオキシドの調製−
蒸留した4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.915質量部、及びドライ塩化メチレン20質量部にトリエチルアミン0.505質量部を混合した。これを窒素雰囲気下の三口フラスコに入れ、スターラーで攪拌しながら0℃に冷却し、2−ブロモイソブチリルブロミド2.875質量部を塩化メチレン20質量部に溶解させた溶液を加えた。次いで、ドライ塩化メチレン100質量部にポリエチレンオキシド(PEO)としてポリエチレングリコール(製品番号202444、シグマアルドリッチ社製、数平均分子量Mn:3,350)25質量部を室温下で一時間かけて滴下し、18時間撹拌した。これをフィルタリングし、溶媒を半分減圧下により溜去し、ブロモ化ポリエチレンオキシド(PEO−Br)のマクロイニシエーターを冷却したジエチルエーテルで沈殿させた。得られた沈殿物を無水アルコールに溶解させ、1日かけて再結晶化させた。得られたマクロイニシエーターをフィルタリングし、冷却したジエチルエーテルで洗浄した後、吸引乾燥させた。
−添加剤No.4(PEO−b−ポリ(イソプロピルメタアクリレート))の合成−
原子移動ラジカル重合(ATRP)による重合をクロロベンゼン溶液下で行った。ガラス管チューブにPEO−Br0.250質量部、メタクリル酸イソプロピル0.500質量部、CuBr0.0072質量部、ビピリジン0.0234質量部、及びクロロベンゼン1.125質量部を充填させた。凍結脱気し、減圧下でシールした後、50℃に加熱し、しばらくして室温下まで冷却した。得られた混合溶液をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、カラムを通して触媒を分離して精製し、エーテルで沈殿させた。このようにして得られたポリマーを、室温下で一晩減圧乾燥させた後、精製することにより、PEOとメタクリル酸イソプロピルとのブロックポリマーからなる添加剤No.4を得た。得られた添加剤No.4の数平均分子量Mnは、19,700、屈折率1.47であった。添加剤No.4のポリアルキレンオキサイド構造の数平均分子量は3,000であった(H−NMRで算出した)。
(実施例1)
<中間転写ベルトの作製>
ポリフッ化ビニリデン(Kynar720、アルケマ社製)100質量部、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(Kynar Flex2850、アルケマ社製)5質量部、ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体の混合物100質量部に対して、導電剤(デンカブラック、電気化学工業社製)1質量部、及び添加剤No.1〔ポリエーテルエステルアミド、ペレクトロンAS、三洋化成工業社製〕10質量部をホッパーに送り、二軸混練機(KZW06、テクノベル社製)を用いて180℃〜230℃の間で温度調整を適宜行い、また、回転数を50rpm〜200rpmで適宜調整を行い、溶融混練押出を行った。押し出された樹脂は冷却水に通した後、ペレタイザー(TSM−125、株式会社タナカ製、毎時100kg)によりペレット状の樹脂組成物を得た。
次いで、単軸溶融混練機(GT−32、プラスチック工学研究所製)にて直径250mmの円筒状金型を用い、円筒状のフィルムを押出成型により作製した。
溶融混練及び金型温度を180℃〜250℃の範囲で適宜調整しながら行った。得られた円筒状のフィルムの厚みは130μmであった。
次に、得られた円筒状のフィルムを幅330mmにカットし、周長750mmの中間転写ベルトを得た。
次に、得られた中間転写ベルトについて、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
<光沢度の測定>
各中間転写ベルトの光沢度は、光沢度計(PG−IIM、日本電色工業株式会社製)を用いて、入射角度60°での3点測定の平均値を求めた。
<トナー濃度センサのばらつき(反射出力電圧Vsg及び標準偏差σ)の測定>
各中間転写ベルトについてトナー濃度センサ(オムロン社製、型番なし)により、中間転写べルト1周分の反射出力電圧の値を測定し、平均値Vsgを求めた。次いで、前記反射出力電圧のばらつきの指標として、反射出力電圧の標準偏差σを平均値Vsgで除した値(σ/Vsg)を求め、下記評価基準により評価した。なお、σ/Vsgが0.40以下であれば、実使用上問題ないレベルである。
〔評価基準〕
◎:σ/Vsgが0.10以下
○:σ/Vsgが0.10超えかつ0.30以下
△:σ/Vsgが0.30超えかつ0.40以下
×:σ/Vsgが0.40超え
<発光電流値>
各中間転写ベルトの発光電流値は2.64Vに正反射光が返ってくるようなLEDの発光電流値をプリンタであるIpsio C730(株式会社リコー製)からオシロスコープにより測定した。
<引張破断伸び>
中間転写ベルトの引張破断伸びは、JIS K7127に準拠して測定した。なお、引張破断伸びが20%未満は不合格とした。
<降伏点応力>
各中間転写ベルトの降伏点応力は、JIS K7127に準拠して測定し、算出した。なお、降伏点応力が35MPa未満は不合格とした。
<外観>
各中間転写ベルトの外観を目視観察し、高さ30μm以上の突起物が認められるものを×、突起が認められないもの(高さ30μm未満の突起が認められる場合を含む)を〇とした。
<表面抵抗率>
各中間転写ベルトについて、ハイレスタ(三菱化学アナリテック社製)を用い、絶縁板のレジテーブルにて表面抵抗率を測定した。なお、印加電圧は500Vとした。
<総合評価>
各評価項目のいずれかについて、不合格又は×があるものは×と評価した。それ以外は〇と評価した。
(実施例2〜6及び比較例1〜7)
表1に示すように、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(Kynar Flex2850、アルケマ社製)、導電剤、添加剤の種類又は量を変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜7の中間転写ベルトを作製した。
作製した各中間転写ベルトについて、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
(実施例7〜12)
表2に示すように、導電剤の種類又は量を変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜12の中間転写ベルトを作製した。
作製した各中間転写ベルトについて、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
*なお、表1中の導電剤及び添加剤の含有量は、ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体との混合物100質量部に対する含有量である。
*PVDF(ポリフッ化ビニリデン、Kynar720、アルケマ社製)
*PVDFとHFPとの共重合体(Kynar Flex2850、アルケマ社製)
*導電剤No.1(デンカブラック、電気化学工業社製)
*添加剤No.1(ポリエーテルエステルアミド、ペレクトロンAS、三洋化成工業社製、屈折率:1.51、ポリエチレンオキサイド構造の数平均分子量は約4,000(H−NMRより算出)。
*添加剤No.2(数平均分子量Mn:23,000、屈折率:1.49、ポリエチレンオキサイド構造の数平均分子量は1,000(H−NMRより算出))
*添加剤No.3(ポリプロピレングリコール、数平均分子量Mn:430、シグマアルドリッチ社製、屈折率1.45)
*添加剤No.4(PEO−b−ポリ(イソプロピルメタクリレート)、数平均分子量Mn=19,700、屈折率:1.47、ポリアルキレンオキサイド構造の数平均分子量は3,000であった(H−NMRで算出))
*添加剤No.5(PS−b−PEO、製品番号686476、PSの数平均分子量Mn:21,000、ポリエチレンオキサイド構造の数平均分子量Mn:1,100、シグマアルドリッチ社製、屈折率:1.56)
*なお、表2中の導電剤及び添加剤の含有量は、ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体との混合物100質量部に対する含有量である。
*PVDF(ポリフッ化ビニリデン、Kynar720、アルケマ社製)
*PVDFとHFPとの共重合体(Kynar Flex2850、アルケマ社製)
*導電剤No.1:デンカブラック、電気化学工業社製
*導電剤No.2:グラファイト、SGP、SECカーボン社製
*導電剤No.3:フラーレン、nanom mix ST−F、フロンティアカーボン社製
*導電剤No.4:カーボンナノチューブ、VGCF−H、昭和電工社製
*導電剤No.5:鱗片状グラフェン粉末、XG Sciences社製
*添加剤No.1〔ポリエーテルエステルアミド、ペレクトロンAS、三洋化成工業社製、屈折率:1.51、ポリエチレンオキサイド構造の数平均分子量は約4,000(H−NMRより算出)〕
*表面抵抗率の「アンダー」はハイレスタの測定で10Ω/□以下を表す。
(実施例13)
−実機評価−
実施例1で得られた中間転写ベルトをプリンタ(IPSIO C730、株式会社リコー製)の転写ユニットに組付けた。この転写ユニットをプリンタ本体に装着し電源を入れ、まず、トナー濃度センサ(オムロン社製、型番なし)によるトナー濃度調整を行った。このときのσ/Vsgは0.1と良好な結果を得た。このときのVsgは3.3Vであった。そして、トナー濃度センサによるトナー濃度調整は正常に行うことができ、トナー濃度調整が一回で完了した。
(比較例8)
−実機評価−
比較例1で得られた中間転写ベルトをプリンタ(IPSIO C730、株式会社リコー製)の転写ユニットに組付けた。この転写ユニットをプリンタ本体に装着し電源を入れ、まず、トナー濃度センサ(オムロン社製、型番なし)によるトナー濃度調整を行った。しかし、トナー濃度調整は一回では成功しなかった。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とからなるポリフッ化ビニリデン系樹脂、添加剤、及び導電剤を含有してなり、
前記添加剤が、数平均分子量が1,000以上のポリアルキレンオキサイド構造を含むポリマーを含み、
前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂における前記フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン100質量部に対して、5質量部〜30質量部であり、
前記導電剤の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜20質量部であり、
前記添加剤の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜10質量部であることを特徴とする中間転写体である。
<2> 添加剤の屈折率が1.55以上である前記<1>に記載の中間転写体である。
<3> 添加剤が、芳香族基を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の中間転写体である。
<4> 導電剤が、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びグラフェンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の中間転写体である。
<5> 入射角60°での表面光沢度が40°以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の中間転写体である。
<6> トナー濃度センサによりベルト1周分の反射出力電圧を測定し、反射出力電圧の平均値Vsgと標準偏差σを求め、前記標準偏差σを前記Vsgで除した値(σ/Vsg)が、0.10以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の中間転写体である。
<7> 像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
前記像担持体上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する一次転写手段と、
前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記中間転写ベルトが、前記<1>から<6>のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置である。
<8> 像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
前記像担持体上のトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記転写手段が、前記<1>から<6>のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置である。
1 感光体
3 帯電手段
4 露光手段
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
10 中間転写ベルト
23 加熱定着装置
特許第3295745号公報

Claims (8)

  1. ポリフッ化ビニリデンとフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体とからなるポリフッ化ビニリデン系樹脂、添加剤、及び導電剤を含有してなり、
    前記添加剤が、数平均分子量が1,000以上のポリアルキレンオキサイド構造を含むポリマーを含み、
    前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂における前記フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン100質量部に対して、5質量部〜30質量部であり、
    前記導電剤の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜20質量部であり、
    前記添加剤の含有量が、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂100質量部に対して、1.0質量部〜10質量部であることを特徴とする中間転写体。
  2. 添加剤の屈折率が1.55以上である請求項1に記載の中間転写体。
  3. 添加剤が、芳香族基を有する請求項1から2のいずれかに記載の中間転写体。
  4. 導電剤が、カーボンブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、及びグラフェンから選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の中間転写体。
  5. 入射角60°での表面光沢度が40°以上である請求項1から4のいずれかに記載の中間転写体。
  6. トナー濃度センサによりベルト1周分の反射出力電圧を測定し、反射出力電圧の平均値Vsgと標準偏差σを求め、前記標準偏差σを前記Vsgで除した値(σ/Vsg)が、0.10以下である請求項1から5のいずれかに記載の中間転写体。
  7. 像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
    前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
    前記像担持体上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する一次転写手段と、
    前記中間転写ベルト上のトナー像を記録媒体上に転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記中間転写ベルトが、請求項1から6のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
    前記像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
    前記像担持体上のトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
    前記記録媒体上のトナー像を定着する定着手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記転写手段が、請求項1から6のいずれかに記載の中間転写体であることを特徴とする画像形成装置。
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