JP2019219475A - 中間転写体および画像形成装置 - Google Patents

中間転写体および画像形成装置 Download PDF

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昭博 本谷
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和典 栗本
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Abstract

【課題】単色だけでなく複合色の印刷であっても高画質の画像が得られる中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置を提供すること。【解決手段】少なくとも基材層および表面層を含んで構成される中間転写体である。前記表面層は、酸化数が3未満である酸化チタンを含み、複数の帯電部材の接触または近接配置により、少なくとも2通り以上の電位を有することが可能であり、前記帯電部材の電圧制御により、トナー画像を外部から受容すること、および外部から受容したトナー画像を次の記録材に受け渡すことが可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、通常、感光体で形成されたトナー画像は、中間転写体に一次転写され、次いで、普通紙などの記録媒体に二次転写される。上記トナー画像の一次転写および二次転写は、通常、中間転写体の表面の電荷の制御によるトナーの付着および離脱によって行われる。中間転写体としては、無端状のベルトであって、樹脂製の基材層と、当該基材層上に配置されて中間転写体の耐久性を高める表面層とを有するものが知られている。
上記中間転写体の表面電荷を制御するため、画像形成装置の各構成部材に、酸化チタンなどの導電性材料を用いることが知られている。
たとえば、特許文献1には、表面電荷の制御を行うための導電性材料として、酸窒化チタンを主成分として含むコート層が積層されているエンドレスベルト(中間転写体)が開示されている。当該エンドレスベルト(中間転写体)は、トナー転写性が良好で、高耐久性で高品質の画像を安定して得ることができると記載されている。
また、特許文献2には、中間転写体ではないが、導電性材料として一酸化チタンを含む抵抗層が積層されている帯電部材が開示されている。当該帯電部材は、抵抗ムラがなく、半導電領域で抵抗値を安定させることができ、かつ、環境依存性も抑制することができると記載されている。
特開2017−40871号公報 特開平5−150617号公報
特許文献1では、表面電荷を制御するため導電性材料を含むエンドレスベルト(中間転写体)を作製することにより、特許文献2では、導電性材料を含む帯電部材を作製することにより、それぞれ単色(黒ベタ)では画像の高画質化を達成している。しかし、本発明者らの検討によると両者ともに複合色を用いた画像の高画質化は達成できていない。
本発明の目的は、かかる点に鑑みてなされたものであり、単色だけでなく複合色の印刷であっても高画質の画像が得られる中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置を提供することである。
本発明の一実施形態に係る中間転写体は、少なくとも基材層および表面層を含んで構成される中間転写体である。前記表面層は、酸化数が3未満である酸化チタンを含み、複数の帯電部材の接触または近接配置により、少なくとも2通り以上の電位を有することが可能であり、前記帯電部材の電圧制御により、トナー画像を外部から受容すること、および外部から受容した前記トナー画像を次の記録材に受け渡すことが可能である。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、本発明に係る中間転写体を有する。
本発明によれば、単色だけでなく複合色の印刷であっても高画質の画像が得られる中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る中間転写体を有する画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る中間転写体および当該中間転写体を有する画像形成装置について説明する。
[中間転写体]
中間転写体は、基材層および表面層を含んで構成される無端状のベルトである。また、当該中間転写体は、複数の帯電部材の接触または近接配置により、少なくとも2通り以上の電位を有し、複数の帯電部材の電圧制御により、トナー画像を外部から受容して、外部から受容したトナー画像を次の記録材に受け渡すことができる。なお、基材層と表面層の間には、弾性層を含んでいてもよい。
(基材層)
基材層は、所期の導電性と可撓性を有する無端状のベルトである。基材層は、例えば、可撓性を有する樹脂によって構成されている。基材層を形成する樹脂の例には、芳香族ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエーテルケトンなどのベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの混合物や共重合物が含まれる。これらの中でも、難燃性、強度および耐久性をより高める観点から、基材層には、ベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂を用いることが好ましく、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)からなる群から選択される樹脂を用いることがより好ましい。生産コストをより低くする観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いて基材層を形成することがさらに好ましい。
なお、上記基材層は、結晶性樹脂から形成されていてもよい。ここで、結晶性樹脂とは、分子鎖が規則正しく配列した「結晶」が存在し、ガラス転移温度と融点を有する樹脂である。上記結晶性樹脂は、例えば、示差走査熱量計(DSC)およびX線回折装置によって基材層中において確認することが可能である。上記結晶性樹脂の例には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれる。
上記ポリフェニレンサルファイド(PPS)におけるフェニレンは、p−フェニレンを含むことが好ましく、無置換のp−フェニレンであることがより好ましい。また、上記ポリフェニレンサルファイドにおける置換または無置換のp−フェニレンの含有量は、上記フェニレン全体の50%以上であることが好ましい。
また、基材層は、上記樹脂以外の成分を含んでいてもよい。たとえば、基材層はフィラーを含有していてもよい。フィラーは、例えば、基材層の硬さ、伝熱性および導電性の少なくともいずれかの向上に寄与する成分である。フィラーの例には、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボンおよび黒鉛が含まれる。フィラーは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
基材層は、従来公知の一般的な方法により製造できる。たとえば、基材層は材料となる耐熱性樹脂を押出機により溶融し、環状ダイを使用したインフレーション法により筒状に成形した後、輪切りにすることで環状(無端状のベルト)に製造できる。
また、基材層は表面処理されてもよい。基材層の表面処理方法は、特に限定されないが、UV照射、コロナ処理、オゾン処理、ブラスト処理、テクスチャー処理、カップリング剤塗布による表面処理をしてもよい。
また、基材層の厚さは、30〜140μmであることが好ましく、50〜130μmであることがより好ましい。基材層の厚さは、例えば、中間転写体を積層方向に切断したときの断面から得られる測定値またはその平均値として決定されうる。
(表面層)
表面層は、基材層の外周面上に配置される層である。表面層は、活性光線(主に紫外線)照射により重合および架橋する樹脂材料が硬化してなる樹脂および表面電荷の制御を行うための導電性材料などを含む。
表面層を構成する樹脂材料の例には、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂などが含まれる。
表面層に含まれるフィラーは、例えば、基材層の硬さ、伝熱性および導電性の少なくともいずれかの向上に寄与する材料から選択されうる。このようなフィラーの例には、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素系フィラー;アルミニウム、銅、亜鉛、これらの合金などの金属系フィラー;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、アルミドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化スズ、リンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、酸化アンチモン−酸化スズ複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化スズ複合酸化物(ITO)などの金属酸化物系フィラーが含まれる。
上記フィラーの中では、表面電荷の制御を行うため、導電性フィラーである金属酸化物系フィラーが好ましく、酸化チタンがより好ましい。本発明の表面層は、酸化数が3未満である酸化チタンを含む。
ここで、フィラーとして使用される酸化チタンは、その酸化数が小さいほど、チタン原子由来の自由電子の数を増やすことができる。ここで、チタン元素として安定化合物を形成できる酸化数の最小値は2であることは知られている。たとえば、平均酸化数が2以上2.5以下であれば、1モルのチタン原子から、1.5モル以上の自由電子を発生させることができるとともに、チタン原子あたりの自由電子のエネルギー量も大きくすることができる。
酸化数が3未満の酸化チタンの結晶構造としては、例えば、TiO(Hongquiite)、Ti、Tiなどが知られている。ここで、TiO(Hongquiite)とは、立方晶系のhexoctahedralの結晶型を持つ酸化チタンが知られている。TiO(Hongquiite)は、粉末X線回折(集中法によるX線回折)のデータベースにおいて、回折角および強度比率が公知である。
TiO(Hongquiite)の検知は、粉末X線回折測定を行い、粉末X線回折装置の専用のデータベースとの整合を行うことで可能である。ここで、粉末X線回折の場合は、Braggの法則に基づいた回折ピークが検出され、回折角と強度については、材料と結晶構造によって決まる固有の値になる。上記データベースにおいては、各結晶に固有の回折ピークの角度と、各ピークの強度比率の情報がデータベース化されているので、容易に判断する事ができる。異種結晶の複合の場合でも、例えば、結晶Aと結晶Bの混晶の場合は、結晶A由来のピークと結晶B由来のピークが全て独立に検知される事になるので、例えば、TiO(Hongquiite)と、その他の結晶の混晶の場合であっても、TiO(Hongquiite)の検知は可能である。
粉末X線回折装置に用いるデータベースとしては、例えば、非営利化学組織であるICDD(International Centre for Diffraction Data)が刊行しているデータベースの、PDF−4+2018,PDF−4,PDF−2を用いることができる。あるいは、ウェブ上で公開されているデータベースの、例えば、Mineralogy Database(http://webmineral.com)を用いることができる。ここで、データベース化の間に合っていない新規結晶の場合についても、結晶型、格子定数などの情報が公知化されている限りにおいては、回折角や強度比率を計算予測することも可能であり、計算予測に基づいた回折スペクトルを参照することで検知性の評価は可能である。Ti、Tiについても、結晶型、格子定数、回折角、強度比率などの情報が公知であるため、同様の方法で検知することができる。
また、TiO(Hongquiite)、Ti、Tiなどの酸化数が3未満であるような微結晶構造を含む場合には、次の理由で電気的な効果を大きくできる。
酸化チタンの最表面には、チタンの酸化数に関係なく、OH基が存在する。一般に金属酸化物におけるOH基には、塩基性の「ターミナルOH基」および酸性の「ブリッジOH基」がある。ここで、「ターミナルOH基」とは、M−OH(OHがMに配位したもの)であり、「ブリッジOH基」とは、M−OH−M(M−O−M結合の酸素に、Hが配位したもの)であり、「M」は金属原子である。
酸化チタンを得る方法として、例えば、二酸化チタンを得る方法には、1000℃以上の高温で焼成する方法がある。1000℃以上の高温で焼成することにより、ターミナルOH基、ブリッジOH基に関係なく、OH基の総量が少なくなる傾向にある。また、一酸化チタンを得る方法には、合成難易度の観点から、水素源を含んだ還元条件を用いて二酸化チタンを還元する方法がある。この方法では、OH基の総量は、多くなる傾向にあり、酸性のブリッジOH基の総量も多くなる傾向にある。
酸化チタンの最表面にOH基の総量が多くなることや、酸化チタンの最表面が酸性のブリッジOH基を多く含むことは、導電キャリアに関する特性においては全く影響がない。しかしながら、酸化チタンを樹脂に分散する際に、OH基の総量などが障害になりやすく、樹脂に混ぜた場合に所望する物性などを有する完成品を得ることが難しくなる。たとえば、酸化チタンを未処理のままで溶媒に分散する場合において、酸性のブリッジOH基が多い場合は、有機溶媒への分散が難しく、塩基性の極性溶媒以外の選択肢がなくなる。また、他の材料との相溶性が悪くなりやすく、均一な樹脂組成物を得ることが難しい。ここで、シランカップリング剤などの表面処理を行うことにより、酸化チタンを容易に分散させることができるが、酸性のブリッジOH基を多く有する粒子では、次の理由からシランカップリング剤の処理は難しく、所望する分散性を得られにくい。
高品位のシランカップリング処理方法として、一般に、液相法が知られている。液相法の場合には、酸性の粒子のシランカップリング剤処理のために「塩基性溶媒に分散したフィラー分散液」と、「酸性条件で安定なシランカップリング剤の処理液」の混合が必要となる。ところが、上記分散液と処理液を混合することにより、溶液のpHが中性に近づいてしまうことから、両方の成分が共に不安定化しやすいため、定性的な反応が難しく、シランカップリング剤の自己凝集物と未反応のフィラーの沈殿の混合物が作製される可能性がある。また、シランカップリング剤の自己凝集物がフィラーの表面に固定化される場合でも、自己凝集物によるフィラー表面の固定化および被覆は、一般的な表面処理に比べて非常に不安定であるため、分散の際に被覆物が剥がれてしまい、表面処理の効果を損なう可能性も大きい。さらに、酸性、塩基性に関係なくOH基の総量が多い場合には、フィラー分散液の作製工程も難しくなり、不完全化な状態のフィラー分散液が作製されるおそれがある。
また、気相法もシランカップリング処理方法として知られている。この方法は、液相法に比べて酸塩基による影響は少ないが、その代わりに事前分散が液相法に比べて難しく、高品位の表面処理に向かないことが知られている。酸性フィラーの分散助剤についても、公知例がいくつかあるが、そのほとんどは、COOH基を想定したカーボンブラック用助剤の選択肢しかなく、ブリッジOH基に対する効果も限られる。
また、完全なアモルファス化したフィラーの場合には、アモルファス化の影響で表面活性が抑えられるが、代わりに、自由電子がフィラー内部でトラップされる確率が増えるため、自由電子の増量効果は限られてしまう。
したがって、TiOの単結晶組成であるフィラーよりも、種々の酸化数が3未満であるような微結晶を混在した形で構成されて、表面極性や内部自由電子の活性について最適化を図ったフィラーが最良であると思われる。また、フィラーを混ぜることにより、フィラーを混ぜない場合に比べて表面層の膜の硬度が増加するので、転写性も向上する。
上記フィラー(酸化チタン)の酸化数は、チタン、酸素、窒素(不純物)の組成比率を個別に計測することにより求めることができる。ここで、チタンはICP発光分光分析法により、酸素は不活性ガス容器−赤外線吸収法により、窒素は不活性ガス融解―熱伝導法(酸素と同様の装置で)により定量することができる。チタンの定量は、ICP発光分光分析装置「SPS3520UV」(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)で、酸素および窒素の定量はともに、酸素・窒素・アルゴン分析装置「TC−436AR」(LECOジャパン合同会社製)を用いて行った。なお、酸素・窒素・アルゴン分析装置では、黒鉛るつぼ中の試料をヘリウム気流中で、インパルス加熱することで、窒素をN、酸素をCOとして抽出して、COは加熱した酸化銅でCOに酸化させて赤外線吸収検出器で測定し、窒素は熱伝導度検出器で測定するものである。
酸化数が3未満である酸化チタンの平均粒径は15〜300nmが好ましく、15〜200nmがより好ましい。15〜300nmの粒径を有する酸化チタン化合物を使用した場合には、酸化チタン化合物の粒子間距離は短くなるので、電気抵抗に関するばらつきを抑制することができる。また、酸化数が3未満である酸化チタンの平均粒径が15〜300nmである場合には、酸化チタン粒子が凝集することを抑制できるため、酸化チタンの分散状態を維持しやすくなる。
上記フィラー(酸化チタン)の粒径を測定する方法の例には、「球相当径」、「沈降法」および「レーザー回折・散乱法」が含まれる。粒子の形状が真球状であれば、その粒子の直径が粒径である。しかし、粒子の形状が真球状でない場合には、上述したいずれかの方法で、その粒子が真球状であると想定して測定できる。ここで、「球相当径」とは、特定の粒子を測定した場合、同じ結果を示す球体の直径をもって、その被測定粒子の粒径とする方法である。「沈降法」とは、被測定粒子と同じ物質の直径1μmの球と同じ沈降速度をもった被測定粒子の粒子径を1μmとする方法である。「レーザー回折・散乱法」とは、直径1μmの球と同じ回折・散乱光のパターンを示す被測定粒子の粒子径は、その形状に関わらず1μmとする方法である。
本発明の一実施形態に係る表面層に含まれるフィラー(酸化チタン)および使用前の粉末状態におけるフィラー(酸化チタン)の粒径は、1次粒子の判別の可能な倍率での観察が可能であるSEM(走査型電子顕微鏡)や、TEM(透過型電子顕微鏡)などにより計測される。
表面層に対する酸化数が3未満である酸化チタンの配合比率は、特に限定されないが、表面層の全体積を100体積部として、0.5体積部〜20体積部が好ましく、2体積部〜10体積部がより好ましい。表面層の硬度を調整する観点から、配合量は少なくとも0.5体積部であることが好ましい。
また、酸化数が3未満である酸化チタンは、X線回折スペクトルにおいて検知されるO/Tiの組成比率が1以上1.5未満を有することが好ましい。X線回折では、使用する酸化チタンのO/Tiの組成比率を検知することができるため、アモルファス材料に固有の不安定性の問題も生じにくい。これにより、酸化数が3未満である酸化チタンを安定的に使用できる。
酸化数が3未満である酸化チタンは、表面処理されていることが好ましい。上記表面処理は、樹脂などの被覆成分を金属酸化物の表面に物理的に担持する処理であってもよいし、反応性の化合物を金属酸化物の表面と化学的に結合させる処理であってもよい。たとえば、反応性の化合物を金属酸化物の表面と化学的に結合させる処理方法としては、シランカップリング剤によるカップリング処理がある。上記シランカップリング剤は、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性官能基を有することが、表面層における金属酸化物の分散性と表面層の機械的強度とを向上させる観点から好ましい。上記シランカップリング剤の例には、以下の化合物S−1〜S−31が含まれる。なお、フィラーの表面処理の条件については、別途詳細に説明する。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
さらに、酸化数が3未満であるフィラー以外の別の無機フィラーを併用することができる。併用できる別の無機フィラーの種類は、特に限定されない。別の無機フィラーの例には、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ、酸化チタン、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、金属ケイ素などが含まれる。
このなかで、酸化チタンが好ましく、白色酸化チタンがより好ましい。ここで、「白色酸化チタン」とは、TiOx(xは1.75以上2以下)の組成を有し、チタンの平均酸化数が3.5以上4以下である、白色または白色に近い淡色(薄い黄色、透明に近い白色)の酸化チタンのことである。白色酸化チタンには、ルチル型構造(正方晶)、アナターゼ型構造(正方晶)およびブルッカイト型構造(斜方晶)が含まれる。このなかで、ルチル型構造(正方晶)が好ましい。併用するフィラーが白色酸化チタンの場合、酸化数が3未満の酸化チタンと材料組成が特に類似していることから、酸化数が3未満の酸化チタンを単独で用いる場合に比べて、容易に均一に混合でき、かつ、分散させることができるという混合性や分散性の改善効果を得られるので電気特性や転写性に関する改善効果をさらに高めることができる。
また、併用する別の無機フィラーの平均粒径は10〜200nmであることが好ましく、酸化数が3未満である酸化チタンと混合した場合において、良好な混合性を有する。また、平均粒径が異なる粒子を混合することにより表面層の硬さを調整しやすくなる。一方で、併用する別の無機フィラーの平均粒径が10nmを下回ってしまうと、シランカップリング剤などの表面処理を行ったとしても凝集力が依然として強いままであり、混ぜたときの分散効果を確保できない。また、平均粒径が200nmを超える場合には、単独での分散性には問題はないが、酸化数が3未満である酸化チタンとの配合において、粒子の個数比率が少なくなりすぎてしまうため、混合性や硬さ調整機能が十分に得られない可能性がある。
また、表面層に対する上記別の無機フィラーの配合比率は、表面層の全体積を100体積部として、2〜50体積部が好ましく、10〜30体積部がより好ましい。硬度を調整する観点から、併用フィラーを多量に入れすぎると(たとえば50体積部超)、中間転写体としての折り曲げ性の低下や、折り目が残りやすくなるため、所望する画像を得ることが困難となる。
上記別の無機フィラーは、酸化数が3未満である酸化チタンと同様に表面処理されていることが好ましい。白色酸化チタンの表面処理方法は、酸化数が3未満である酸化チタンと同様の方法で表面処理することができる。
酸化数が3未満の酸化チタンと別の無機フィラーを併用する場合には、酸化数が3未満の酸化チタンの体積比率/別の無機フィラーの体積比率が0.1以上10以下となることが好ましい。
形成される表面層の厚さは、特に限定されないが、0.5〜10μmが好ましく、1.0〜8.0μmがより好ましい。表面層の厚さが不十分であると、耐久性が足りない可能性がある。特に、活性光線による硬化を行う場合には、表面酸素による硬化阻害が起こりやすくなるために、表面層の膜質が悪くなり、膜厚不足から予想される以上の強度不足の原因になるおそれがある。また、10μmを超える厚膜化を行った場合であっても、耐久性の向上につながらないだけでなく、硬化時に用いる活性光線について、表面層の表面近傍における吸収、散乱の影響を受けやすくなり、表面層−基材層界面近傍の表面層の深部に到達する活性光線の強度が不足する事で、表面層−基材層界面近傍の硬化不足が起こり、硬化不足による強度不足の問題が起こる可能性もある。
上記表面層は、樹脂材料、重合開始剤などの添加剤、フィラー、溶剤などを含む混合物(塗布液)を基材層上に塗布して硬化させることにより形成される。
上記混合物(塗布液)は、活性光線(主に紫外線)照射により重合および架橋する樹脂材料を含む。活性光線照射により重合する樹脂材料の例には、光硬化性モノマー、例えば、ラジカル重合性モノマーが含まれる。
上記ラジカル重合性モノマーの例には、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマーおよびN−ビニルピロリドン系モノマー等の各種モノマーが含まれる。
上記ラジカル重合性モノマーとしては、活性光線の照射エネルギーの省略化、または製造作業時間の短縮の観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基を有することが好ましい。さらに、上記ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート系モノマーであることが好ましく、上記基材層と密着性を有し、上記基材層を保護するのに十分な機械的強度と、上記基材層の変形に追従できる可撓性とを有する表面層を形成するには、特に、多官能(メタ)アクリレート系モノマーであることがより好ましい。なお、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基の総称であり、これらの一方または両方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。
また、多官能モノマーおよび架橋剤は、2官能〜6官能のモノマーが好ましい。形成した樹脂膜に強靱性を付与することができるからである。
多官能モノマーの例には、脂環式モノマー、エチレンオキシド変性またはプロピレンオキシド変性のアクリレートなどが好ましい。脂環式モノマーや、エチレンオキシド変性モノマー、プロピレンオキシド変性モノマーなどは、硬化収縮性が少ないからである。
上記多官能(メタ)アクリレート系モノマーの例には、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEA)、プロピレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPPA)およびカプロラクトン変性ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPCA)、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性グリセリントリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセリントリアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート(DCP−A)、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアオクリレートなどが含まれる。特に、3官能以上のペンタエリスリトールトリアクリレートなどは、活性光線を照射されたときに速やかに反応して硬化することから、硬化時間を大幅に短縮するために有効であり、耐溶剤性や耐擦傷性といった機械的な強度を高めることができるからである。
また、ラジカル重合性組成物の重合硬化物を作製する際には、重合開始剤を用いる。ここで、重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)などのオキシムエステル類;(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類が含まれる。
上記重合開始剤のなかでは、オキシムエステル化合物が好ましい。これらの開始剤の例には、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02(BASF社製、「イルガキュア」は同社の登録商標)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料社製)、TR−PBG−305(常州強力電子新材料社製)などが含まれる。また、別のラジカル重合開始剤であるアシルフォスフィンオキサイド類(たとえば、イルガキュアTPO(BASF社製))を用いてもよいし、光アニオン重合、光カチオン重合に対応した開始剤を用いてもよい。本発明の一実施形態に係る中間転写体は、黒または黒に近い濃色であるので、硬化反応の品質を確保する観点より、量子収率や反応性の優れた、オキシムエステル系の開始剤(イルガキュアOXE01、OXE02など)がより好ましい。これらの重合開始剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤の配合量は、ラジカル重合性組成物の総量に対して、0.3〜25質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%がさらに好ましい。ここで、重合開始剤の配合量が0.3質量%未満の場合、開始剤由来の光ラジカルの総生成量が不足するために十分に重合反応が進行せず、硬化不足による硬度低下、強度低下や、未反応モノマー残留に由来するブリード問題の不具合を起こす恐れがある。また、重合開始剤の配合量が25質量%超の場合、重合硬化物の物性がさらに向上することはなく、むしろ、表面層の表面近傍において、高濃度に配合された開始剤によって、活性光線がほぼ全て吸収されてしまい、基層界面の近傍の表面層深部の開始剤から光ラジカルを十分に発生できなくなってしまう。この状態で光ラジカル反応を進めた場合は、基層界面の近傍の硬化反応率が下がるために、表面層−基層界面の接着強度低下による剥離のおそれや、表面層−基層界面に残留する未反応モノマーに由来するブリード問題の不具合を起こすおそれがある。
ラジカル重合においては、各種の有機のアミン化合物を併用できる。ラジカル重合では、酸素阻害が課題になるが、これらの材料を混合することにより、酸素阻害を低減できるので、反応条件の緩和などが可能となる。
上記ラジカル重合以外にも、アニオン重合およびカチオン重合を用いることもできる。アニオン重合およびカチオン重合の場合には、対応するアニオン発生剤、カチオン発生剤を用いることができる。アニオン重合で用いることができる光アニオン発生剤の例には、カルバマート類、アシルオキシム類、アンモニウム塩などが含まれる。また、カチオン重合で用いることができる光カチオン発生剤の例には、有機スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系などが含まれる。
溶剤は、上記ラジカル重合性モノマーを含む上記塗布液に含まれる材料に対する相溶性を有し、フィラーの分散性を阻害しない化合物から適宜に選ぶことができる。上記溶剤の例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、s−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロリド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンが含まれる。上記溶剤は、1種であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記塗布液における上記溶剤の含有量は、例えば、上記塗布液の塗布性に基づいて決めることが可能であり、例えば上記塗布液中の固形分の濃度が5〜90質量%となる量である。
混合物(塗布液)の塗布方法は、特に限定されないが、バーコーターおよびロールコーターなどを用いる方法、浸漬法などで、例えば、レーザーを照射された基材層の表面に塗布することができる。塗布方法は、作業性、塗布液の粘度に応じて適切な方法を選ぶことができる。
上記混合物(塗布液)の硬化方法は、活性光線(主に紫外線)を照射することが好ましい。上記活性光線としては、光硬化性モノマー、すなわち、ラジカル重合性モノマーをラジカル重合させる電磁波であり、例えば、紫外線、電子線およびγ線が挙げられる。その中においては、紫外線または電子線であることが好ましく、取り扱いが簡単で高エネルギーを容易に得られるという観点から紫外線であることが好ましい。
上記活性光線の光源の種類には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、UV―LEDを含むUV−LED照射装置が含まれる。この中で、UV―LEDを含むUV−LED照射装置が好ましい。表面層の硬化条件については、別途実施例にて説明する。
(弾性層)
本発明の一実施形態に係る中間転写体は、目的に応じて、基層と表面層の間に弾性層を有していてもよい。
弾性層の材料は、耐熱性ゴムが好ましい。耐熱性ゴムの例には、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、フッ素ゴム、液状フッ素エラストマーが含まれる。耐熱性ゴムは、耐熱性の観点から、シロキサン結合を主鎖とする弾性ゴムが好ましく、シリコーンゴムが好ましい。耐熱性ゴムは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
弾性層の厚さは、例えば、記録媒体に対する追従性および伝熱性を十分に発現させる観点から、50〜500μmが好ましい。弾性層の厚さが50μm未満の場合、紙の凹凸に対する追従性が不十分となることがある。一方、弾性層の厚さが500μm超の場合、トナー画像の定着に必要な熱量を蓄積するための時間が必要となるため、伝熱性が悪くなることがある。
弾性層は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、弾性樹脂材料以外の成分をさらに含んでいてもよい。たとえば、弾性材料は、弾性層の伝熱性を高めるための伝熱性のフィラーをさらに含んでいてもよい。伝熱性のフィラーの例には、シリカ、金属シリカ、アルミナ、亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、カーボンおよび黒鉛が含まれる。伝熱性のフィラーの形態は、特に限定はされないが、例えば、球状粉末、不定形粉末、扁平粉末または繊維が好ましい。
弾性材料における弾性樹脂材料の含有量は、伝熱性と弾性とを両立させる観点から、例えば、60〜100体積%が好ましく、75〜100体積%がより好ましく、80〜100体積%がさらに好ましい。
[画像形成装置]
本発明の一実施形態に係る画像形成装置は、感光体に形成されたトナー画像を記録媒体に転写するための中間転写体を有する。ここで、記録媒体の例には、薄紙および厚紙を含む普通紙と、アート紙およびコート紙を含む印刷用紙と、和紙と、はがき用紙と、OHP用のプラスチックフィルムと、布と、を含む。
図1は、上記画像形成装置の構成の一例を模式的に示す図である。図1に示す画像形成装置100は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50および定着装置60を有する。
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cおよび41Kを有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42および二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、像担持体413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を有する。帯電装置414は、例えば、コロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を像担持体413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザーを像担持体413に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモータ)とを含む。現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、二成分現像剤を収容している。
中間転写ユニット42は、中間転写体421、中間転写体421を像担持体413に圧接させる一次転写ローラー422、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423、およびベルトクリーニング装置426を有する。
中間転写体421は、基材層および前述の構成を有する表面層によって構成されている。ベルトクリーニング装置426は、中間転写体421に当接する、弾性を有するクリーニングブレード426aを有する。中間転写体421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写体421は矢印A方向に一定速度で走行する。
二次転写ユニット43は、無端状の二次転写ベルト432、および二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431を有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431Aおよび支持ローラー431によってループ状に張架される。
定着装置60は、例えば、定着ローラー62と、定着ローラー62の外周面を覆い、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解するための無端状の発熱ベルト10と、用紙Sを定着ローラー62および発熱ベルト10に向けて押圧する加圧ローラー63と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
画像読取部110は、給紙装置111およびスキャナー112を有する。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する三つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
画像形成装置100による画像の形成を説明する。
スキャナー112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサ112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
像担持体413は一定の周速度で回転する。帯電装置414は、像担持体413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411では、ポリゴンモータのポリゴンミラーが高速で回転し、各色成分の入力画像データに対応するレーザーが、像担持体413の軸方向に沿って展開し、当該軸方向に沿って像担持体413の外周面に照射される。こうして像担持体413の表面には、静電潜像が形成される。
現像装置412では、上記現像容器内の二成分現像剤の撹拌、搬送によってトナー粒子が帯電し、二成分現像剤は現像ローラーに搬送され、当該現像ローラーの表面で磁性ブラシを形成する。帯電したトナー粒子は、上記磁性ブラシから像担持体413における静電潜像の部分に静電的に付着する。こうして、像担持体413の表面の静電潜像が可視化され、像担持体413の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。なお、「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態を言う。
像担持体413の表面のトナー画像は、像担持体413が回転すると、像担持体413と中間転写体421が当接する一次転写領域に移動する。中間転写体421には図示しない電源により負極性の電圧が印加され、所定の表面電位に帯電する。また、この印加電圧によって発生した電界でトナーが移動することで、像担持体413の表面のトナー像が中間転写体421の表面に一次転写される。一次転写後、像担持体413に残存する液体現像剤はベルトクリーニング装置426により除去され、帯電装置414によって像担持体413の表面は再び所定の表面電位に一様に帯電する。
一次転写ローラー422によって中間転写体421が像担持体413に圧接することにより、像担持体413と中間転写体421とによって、一次転写ニップが像担持体ごとに形成される。当該一次転写ニップにおいて、各色のトナー画像が中間転写体421に順次重なって転写される。
一方、二次転写ローラー431Aは、中間転写体421および二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。それにより、中間転写体421と二次転写ベルト432とによって、二次転写ニップが形成される。当該二次転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって二次転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正および搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
上記二次転写ニップに用紙Sが搬送されると、二次転写ローラー431Aへ転写バイアスが印加される。この転写バイアスの印加によって、中間転写体421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
中間転写体421の表面に形成されたフルカラーのトナー像は、中間転写体421が矢印方向に回転することで、中間転写体421と用紙Sが当接する二次転写領域に移動する。二次転写領域では、用紙Sの裏面にある二次転写ローラー431Aによって中間転写体421と用紙Sとの間に線圧が加えられながら、二次転写ローラー431Aには図示しない電源によって負極性の電圧が印加される。また、このとき中間転写体421の表面も所定の表面電位に帯電させられる。この電圧印加により、用紙Sの中間転写体421と向き合う表面も負極性の電位となり、用紙Sの表面電位と中間転写体421の表面電位との間の電位差により、トナー像は用紙Sの表面に引き付けられ、この状態で用紙Sが矢印方向に搬送されて二次転写領域を出ると用紙S上へのトナー像の二次転写が完了する。トナー像が転写された用紙Sは定着ローラー62により定着処理がなされ、画像出力が完成する。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
なお、二次転写後に中間転写体421の表面に残存する転写残トナーは、クリーニングブレード426aによって除去される。中間転写体421の表面層は、クリーニングブレード426aとの摩擦によって摩耗する。しかしながら、前述したように、中間転写体421は、その面方向において均一に硬化してなる表面層を有することから、クリーニングブレード426aとの摩擦によって均一に摩耗し、偏摩耗が防止される。よって、中間転写体421による所期の転写性能が長期に亘って発現され、偏摩耗による転写不良およびそれに伴う画像不良の発生が長期にわたって抑制される。
本発明を、以下の試験を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の試験に限定されない。
[基材層の作製]
(基材層1の作製)
下記の成分を下記の量で単軸押出機に投入し、溶融混練させて樹脂混合物を作製した。
樹脂 100 体積部
導電性フィラー 16 体積部
分散剤 1 体積部
滑剤 0.2 体積部
樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、トレリナ E2180(東レ株式会社製)である。導電性フィラーは、カーボンブラックであり、ファーネス#3030B(三菱ケミカル株式会社製)であり、基材層に電気抵抗値を付与するものである。分散剤は、モディパーA4400(日油株式会社製)であり、エンジニアリングプラスチックスの耐衝撃性を付与し、顔料の分散剤として機能するものである。滑剤は、モンタン酸カルシウムであり、セリダスト5551(クラリアント社製)である。溶融混練には、単軸混練押出機「IPM−65」(株式会社シーティーイー製)を用いた。
上記樹脂混合物を130℃で8時間乾燥し、直径150mm、リップ幅1mmの6条スパイラル型環状ダイス付き40mm径の押出機により溶融した。次いで、単軸押出機の先端にスリット状でシームレスベルト形状の吐出口を有する環状ダイスを取り付け、混練された上記樹脂混合物を、シームレスベルト形状に押し出した。押し出されたシームレスベルト形状の樹脂混合物を吐出先に設けた円筒状の冷却筒に外挿させて冷却して固化することにより、厚さが120μmであり、周長が750mmであり、幅が359mmである基材層1を作製した。
(基材層2の作製)
ユピアST(固形分18質量%)(宇部興産株式会社製、「ユピア」は同社の登録商標)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(「SPECIAL BLACK4」(Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%))をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加した。この組成物を2分割後、衝突型分散機「GeanusPY」(株式会社ジーナス製)を用いて、圧力200MPa、最小面積が1.4mmで衝突させ、再度2分割する経路を6回通過させて、混合することによりカーボンブラックを含むポリアミド酸溶液を得た。
カーボンブラックを含むポリアミド酸溶液を円筒状金型内面に、ディスペンサーで0.5mmに塗布し、1500rpmで15分間回転させて均一な厚さを有する展開層とした。さらに、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃にて60分間加熱した。その後、360℃に到達するまで2℃/分の昇温速度で昇温し、さらに360℃で30分加熱して溶剤の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化反応の完結を図った。その後、室温に戻し、金型から剥離し、総厚:80μm、周長:750mm、幅:359mmである基材層2を得た。ここで、「ユピアST」は、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液のことをいう。
(基材層3の作製)
バイロマックスHR−11NN(溶剤:NMP、含まれるポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量(Mn):72000、含まれるポリアミドイミド樹脂の数平均分子量(Mn):19000):(東洋紡株式会社製、「バイロマックス」は同社の登録商標)963.86gと、カーボンナノファイバー分散液:5.0質量%分散液、溶剤:NMP、カーボンナノファイバーの平均粒径:11nm(宇部興産株式会社製、「AMC」は同社の登録商標)36.145gとを混合し、数回分に分けて自転公転ミキサー「AR−250」(株式会社シンキー製)で脱泡して、塗布液を得た。
得られた上記塗布液を、円筒状金型の外面にディスペンサーで塗布後、回転させることにより、均一な塗布面を得た。金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱、その後250℃で60分間焼成を実施した。その後、2℃/分の速度で冷却を行って、室温(25℃)に戻し、金型から剥離し、厚さ:90μm、周長:750mm、幅:359mmである基材層3を得た。ここで、「バイロマックス」はポリアミドイミドワニスのことをいう。
[表面層の作製]
(フィラー1の作製)
二酸化チタンの粒子(平均粒径70nm)10gに、水素化ホウ素ナトリウム5gを加え、混合した後、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/分で流しながら、700℃で4時間、焼成を行った。次いで、当該粒子を常温に戻した後、水洗浄し、余分な材料を除去して、真空乾燥を行った。これにより、X線回折スペクトルにおいて検知されるO/Tiの組成比率が1.1であり、平均1次粒径が60nmであり、チタンの平均酸化数が2.2である黒色酸化チタン(フィラー1)を得た。また、X線回折スペクトルを分析したところ、当該黒色酸化チタンには、TiO(Hongquiite)に相当する結晶構造が含まれていることが確認された。
(フィラー2の作製)
二酸化チタンの粒子の平均粒径を70nmから250nmに変更した以外は、フィラー1と同様の方法で処理した。これにより、X線回折スペクトルにおいて検知されるO/Tiの組成比率が1.1であり、平均1次粒径が60nmであり、チタンの平均酸化数が2.2である黒色酸化チタン(フィラー2)を得た。また、X線回折スペクトルを分析したところ、当該黒色酸化チタンには、TiO(Hongquiite)などに相当する結晶構造が含まれていることが確認された。
(フィラー3の作製)
二酸化チタンの粒子(平均粒径70nm)10gに、水素化ホウ素ナトリウム3gを加え、混合した後、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/分で流しながら、600℃で1時間、焼成を行った。次いで、当該粒子を常温に戻した後、水洗浄し、余分な材料を除去して、真空乾燥を行った。これにより、X線回折スペクトルにおいて検知されるO/Tiの組成比率が1.45であり、平均1次粒径が60nmであり、チタンの平均酸化数が2.9である黒色酸化チタン(フィラー3)を得た。当該黒色酸化チタンは、X線回折スペクトルを分析したところ、アモルファス構造であり、TiO(Hongquiite)、Ti、Tiなどに相当する結晶構造が含まれていないことが確認された。
(フィラー4の作製)
二酸化チタンの粒子(平均粒径70nm)10gに、水素化ホウ素ナトリウム2.4gを加えて混合した後、窒素と水素の混合ガス(窒素:水素=1:1)を100ml/分で流しながら、550℃で2時間、焼成を行った。次いで、当該粒子を常温に戻した後、水洗浄し、余分な材料を除去して、真空乾燥を行った。これにより、X線回折スペクトルにおいて検知されるO/Tiの組成比率が1.6であり、平均1次粒径が60nmであり、チタンの平均酸化数が3.2である黒色酸化チタン(フィラー4)を得た。また、X線回折スペクトルを分析したところ、当該黒色酸化チタンには、TiO(Hongquiite)、Ti、Tiなどに相当する結晶構造が含まれていないことが確認された。
(フィラー5の作製)
チタンの平均酸化数が3以上であるチタンブラック13MC(組成式:TiN0.750.58、三菱マテリアル株式会社製)をフィラー5として使用した。X線回折スペクトルを分析したところ、当該粒子には、TiO(Hongquiite)などに相当する結晶構造が含まれていないことが確認された。
また、上記フィラー1〜5のX線回折(XRD)分析は、以下の方法で行った。
[X線回折測定]
装置 RINT−TTR2:株式会社リガク製
測定方法 集中法
X線源 CuKα(1.5418Å)
測定角 2θ=10〜80°
データベース ICDD PDF−2 2016
(フィラー1の表面処理方法)
フィラー1(100体積部)に対して、表面処理剤である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業株式会社)32体積部と、溶剤(トルエン:メタノール=1:1(体積比)の混合溶剤)300体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、その後溶剤を除去した。次いで、150℃で10分間乾燥させ、表面処理されたフィラー1を得た。当該フィラー1について、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は45%であった。
ここで、熱重量測定(TG)は、示差熱・熱重量同時測定装置「DTG−60A」(株式会社島津製作所製)を使用した。また、BET値は、比表面積測定装置「GEMINI2390」(株式会社島津製作所製)を使用した。測定条件は下記のとおりである。
[熱重量測定]
装置 DTG−60A
雰囲気 空気(毎分100ml)
昇温速度 20℃/分
温度制御 25℃から600℃まで等速昇温を実施、最後に、600℃で10分保持
重量変化率 処理済みフィラーの重量変化率−未処理フィラーの重量変化率
また、上記フィラーの被覆率は以下の式で算出できる。
被覆率(%)=ΔM×100/(S/A)
S 粒子1gあたりの表面積(m/g)
A シランカップリング剤の最小被覆面積(m/g)
M 重量減少比率(200℃から400℃の範囲のデータにおける、カップリング剤由来の脱離による重量減少量/カップリング剤が脱離する前の元重量)
(フィラー2の表面処理方法)
フィラー2(100体積部)に対して、表面処理剤である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業株式会社)4体積部と、溶剤(トルエン:メタノール=1:1(体積比)の混合溶剤)300体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、その後溶剤を除去した。次いで、150℃で10分間乾燥させ、表面処理されたフィラー2を得た。当該フィラー2について、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は66%であった。
(フィラー3の表面処理方法)
フィラー1を、フィラー3に変更した以外は、フィラー1と同様の表面処理を行った。これにより、表面処理されたフィラー3を得た。当該フィラー3について、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は48%であった。
(フィラー4の表面処理)
フィラー1を、フィラー4に変更した以外は、フィラー1と同様の表面処理を行った。これにより、表面処理されたフィラー4を得た。当該フィラー4について、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は53%であった。
(フィラー5の表面処理方法)
フィラー1を、フィラー5に変更した以外は、フィラー1と同様の表面処理を行った。これにより、表面処理されたフィラー5を得た。当該フィラー5について、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は52%であった。
(無機フィラー(白色酸化チタン)の表面処理方法)
白色酸化チタン(平均1次粒径:16nm)100体積部に対して、表面処理剤である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503;信越化学工業株式会社)200体積部と、溶剤(トルエン:メタノール=1:1(体積比)の混合溶剤)400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して60分間分散し、その後溶剤を除去した。次いで、150℃で10分間乾燥させ、表面処理された白色酸化チタンの粒子を得た。当該白色酸化チタンについて、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は35%であった。
(無機フィラー(アンチモンドープ酸化スズ)の表面処理)
白色酸化チタンを、アンチモンドープ酸化スズ(平均1次粒径:20nm)に変更した以外は、白色酸化チタンと同様の表面処理を行った。これにより、表面処理されたアンチモンドープ酸化スズの粒子を得た。当該白色酸化チタンについて、熱重量測定(TG)の結果と、BET法による比表面積測定の結果から、被覆率を求めたところ、被覆率は51%であった。
(塗布液1の作製)
表面処理されたフィラー1(7体積部)と、表面処理された白色酸化チタン1(10体積部)と、アクリルモノマー1(エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)56体積部と、アクリルモノマー2(エトキシ化グリセリントリアクリレート)20体積部と、光重合開始剤(イルガキュアOXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム));BASF社製)5体積部と、添加剤(KAYACURE EPA(4−(ジメチルアミノ)安息香酸,エチルエステル):日本化薬社製、「KAYACURE」は同社の登録商標)2体積部と、MIBK(メチルイソブチルケトン)200体積部とを混合した。次いで、超音波式のホモジナイザー「US−150AT」(株式会社日本精機製作所製)によりフィラー類を分散させることにより表面層形成用の塗布液1を調製した。
(塗布液2の作製)
表面処理されたフィラー1を表面処理されたフィラー2に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液2を調製した。
(塗布液3の作製)
表面処理されたフィラー1を表面処理されたフィラー3に変更した以外は、塗布液1と同様の方法で、塗布液3を調製した。
(塗布液4の作製)
表面処理されたフィラー1(7体積部)を1.6体積部に変更し、表面処理された無機フィラー(白色酸化チタン)10体積部を16.4体積部に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液4を調製した。
(塗布液5の作製)
表面処理されたフィラー1(7体積部)を16.4体積部に変更し、表面処理された無機フィラー(白色酸化チタン)10体積部を1.6体積部に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液5を調製した。
(塗布液6の作製)
表面処理された無機フィラー1(白色酸化チタン)10体積部を表面処理された無機フィラー3(アンチモンドープ酸化スズ)10体積部に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液6を調製した。
(塗布液7の作製)
表面処理されたフィラー1(7体積部)を11体積部に、無機フィラーの配合量を0体積部に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液7を調製した。
(塗布液8の作製)
表面処理されたフィラー1をフィラー4に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液8を調製した。
(塗布液9の作製方法)
表面処理されたフィラー1をフィラー5に変更した以外は、塗布液1と同様にして、塗布液9を調製した。
上記塗布液1〜9の配合を表1に示す。
Figure 2019219475
[中間転写体の作製]
(中間転写体1の作製)
基材層(PPS)の外周面上に、表面層形成用の塗布液1を、塗布装置を使用して浸漬塗布方法によって、20℃、相対湿度50%の環境において、乾燥膜厚が3.6μmとなるように塗布して、塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜に活性光線(活性エネルギー線)として紫外線を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して基材層の外周面上に表面層を形成した。上記工程により、中間転写体1を得た。なお、紫外線の照射は、光源を固定し、基材層の外周面上に塗膜が形成された前駆体を周速度60mm/sで回転させながら行なった。
(紫外線の照射条件)
波長 :365nm
光源の種類 :LED光源「SPX−TA」(アイグラフィックス株式会社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:50mm
雰囲気 :窒素(酸素濃度 500ppm以下)
照射光量 :4.2J/cm
照射時間(前駆体の回転時間) :240秒間
(中間転写体2の作製)
塗布液1を塗布液2に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体2を得た。
(中間転写体3の作製)
塗布液1を塗布液3に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体3を得た。
(中間転写体4の作製)
塗布液1を塗布液4に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体4を得た。
(中間転写体5の作製)
塗布液1を塗布液5に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体5を得た。
(中間転写体6の作製)
塗布液1を塗布液6に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体6を得た。
(中間転写体7の作製)
塗布液1を塗布液7に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体7を得た。
(中間転写体8の作製)
膜厚を3.6μmから5.7μmに変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体8を得た。
(中間転写体9の作製)
基材層をPPSからPIに、基材層の厚さを120μmから80μmに変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体9を得た。
(中間転写体10の作製)
基材層をPPSからPAIに、基材層の厚さを120μmから90μmに変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体10を得た。
(中間転写体11の作製)
塗布液1を塗布液8に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体11を得た。
(中間転写体12の作製)
塗布液1を塗布液9に変更した以外は、中間転写体1と同様にして、中間転写体12を得た。
上記中間転写体1〜12の構成を表2に示す。
Figure 2019219475
上記中間転写体1〜12を用いて画像評価を行った。
[画像評価方法]
以下の測定方法においては、断りがない限り、装置はBizhub C658(コニカミノルタ株式会社製)、画像評価で用いる紙は、A3のPODグロスコート紙(100g/m)(王子製紙株式会社製)である。ドラムユニット、現像ユニットは一連の評価の直前に新品を装着して、そのまま使用した。中間転写の構成における転写ローラー、クリーニングブレードは、正規品の新品をそのまま使用した。
(画像評価1)
20℃、20%RHの低温低湿度環境(以下、「LL環境」ともいう)に、Bizhub C658と、中間転写体1〜12を収納して、12時間以上調湿を行った。次いで、Bizhub C658に、中間転写体1〜12を据え付け、初期化と画像安定化を実施した後、画像安定化が行われないように切り替えを行った。無操作のまま1時間放置した後、レッドベタ(イエローベタとマゼンタベタの2色複合のベタ)の画像を、A3で連続5枚印刷した。
これらについて、「Bizhub C658で用いる従来の中間転写体(以下、「現行品」という)で同じ画像を採取した場合の画像」と比べた際の判定を◎〜××で行った。
(判定基準)
◎ :画像ムラが全くなく、現行品より優れており、非常に良好である。
〇 :画像ムラについて、現行品と同等で良好である。
△ :画像ムラについて、現行品よりはやや劣るが、合格範囲内である。
× :画像ムラについて、現行品より劣り、不合格である。
××:画像ムラについて、画像内のほぼ全域で認められて、現行品より特に劣り、問題外である。
(画像評価2)
上記画像評価1の印刷色を、レッドベタからブルーベタ(マゼンタベタとシアンベタの2色複合のベタ)に変更した以外は、画像評価1と同様に行った。
(画像評価3)
上記画像評価1の印刷色を、レッドベタからグリーンベタ(イエローベタとシアンベタの2色複合のベタ)に変更した以外は、画像評価1と同様に行った。
(画像評価4)
評価環境をLL環境から、30℃、80%RHの高温高湿度環境(以下、「HH環境」ともいう)に変更した以外は、画像評価1と同様の条件で行った。
(画像評価5)
評価環境をLL環境からHH環境に変更した以外は、画像評価2と同様の条件で行った。
(画像評価6)
評価環境をLL環境からHH環境に変更した以外は、画像評価3と同様の条件で行った。
画像評価1〜6の評価結果を表3に示す。
Figure 2019219475
表1に示した塗布液1〜7から構成される表面層を有する中間転写体1〜10は、すべての画像評価において良好な結果が得られた。特に、塗布液1から構成される表面層を有する中間転写体1、8〜10は、すべての画像評価が現行品よりも優れていることがわかる。ここで、塗布液1に含まれるような平均酸化数が3未満である酸化チタンは、1モルのチタン原子1個あたりで2個の導電キャリア数を確保できるだけでなく、チタン原子あたりの自由電子のエネルギー量も大きくすることができる。そのため、少ない電位差に対しても迅速に応答できるので、所望する電気的挙動を取ることができると考えられる。
また、塗布液1および塗布液2のようにTiO(Hongquiite)の微結晶構造を含む平均酸化数が3未満である酸化チタンを用いると良好な画像形成ができる。これは、平均酸化数が3未満である酸化チタンが、TiO組成の微結晶を含む場合には、当該微結晶が粒子内部構造を安定化させて、分散改善に影響する表面官能基の調整機能を果たすことから、表面処理が適正化されて、表面層内における分散性を改善するため、電気的な効果が向上される。フィラーが適正に分散されることで、表面層の硬度も向上かつ安定するため転写性も向上すると考えられる。さらに、平均酸化数が3未満である酸化チタンと、白色酸化チタンを併用することで、元素的な親和性の効果によって分散性が改善され、電気特性や転写特性の効果がさらに改善したと考えられる。
それに対して、平均酸化数が3以上である酸化チタンを含む塗布液8および9を含む表面層を有する中間転写体11および12は、現行品よりも画像評価の結果劣っている。これにより、酸化チタンの酸化数が複数色を用いた画像形成に影響を与えることがわかった。
本発明によれば、複合色の印刷の画像形成における高画質を目的とする画像形成装置の中間転写体として有用である。
10 発熱ベルト
30 画像処理部
40 画像形成部
41Y、41M、41C、41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a、51b、51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラー
53 搬送経路部
53a レジストローラー対
60 定着装置
62 定着ローラー
63 加圧ローラー
100 画像形成装置
110 画像読取部
111 給紙装置
112 スキャナー
112a CCDセンサ
411 露光装置
412 現像装置
413 像担持体
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写体
422 一次転写ローラー
423 支持ローラー
423A バックアップローラー
426 ベルトクリーニング装置
426a クリーニングブレード
431 支持ローラー
431A 二次転写ローラー
432 二次転写ベルト
D 原稿
S 用紙

Claims (8)

  1. 少なくとも基材層および表面層を含んで構成される中間転写体であって、
    前記表面層は、酸化数が3未満である酸化チタンを含み、
    複数の帯電部材の接触または近接配置により、少なくとも2通り以上の電位を有することが可能であり、
    前記帯電部材の電圧制御により、トナー画像を外部から受容すること、および外部から受容した前記トナー画像を次の記録材に受け渡すことが可能である、
    中間転写体。
  2. 前記酸化数が3未満である酸化チタンは、X線回折スペクトルにおいて検知されるO/Tiの組成比率が1以上1.5未満である酸化チタンを含む、請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記酸化数が3未満である酸化チタンは、酸化数が3未満であるような微結晶の酸化チタンを含む、請求項1または請求項2に記載の中間転写体。
  4. 前記表面層は、前記酸化数が3未満である酸化チタン以外の別の無機フィラーを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記別の無機フィラーは、白色酸化チタンである、請求項4に記載の中間転写体。
  6. 前記酸化数が3未満である酸化チタンと、前記別の無機フィラーの体積配合比率は、
    酸化数が3未満である酸化チタンフィラーの体積比率/別の無機フィラーの体積比率=0.1以上10以下である、請求項4または請求項5に記載の中間転写体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の中間転写体を有する、画像形成装置。
  8. カラー画像を形成可能な、請求項7に記載の画像形成装置。
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