JP6879066B2 - 中間転写体、その製造方法および画像形成装置 - Google Patents

中間転写体、その製造方法および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、中間転写体、その製造方法、および、当該中間転写体を有する画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、例えば、感光体上に形成された潜像をトナーにより現像し、得られたトナー画像を無端ベルト状の中間転写体に一時的に保持させ、この中間転写体上のトナー画像を紙などの記録媒体上に転写することが行われている。
このような中間転写体には、その耐久性を高めるために、塗膜を構成するモノマーを重合させてなるアクリル樹脂製の一体の表面層を有する中間転写体が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、上記中間転写体には、チタンブラックが分散された樹脂溶液の塗膜を加熱、固化してなる表面層を有する無端状の中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、上記中間転写体には、酸窒化チタンが分散された表面層を有する無端状の中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2016−194666号公報 特開平11−268147号公報 特開2017−40871号公報
ところで、例えば、印刷業として上記電子写真方式の画像形成装置を用いる場合では、画質や装置の耐久性などの種々の特性についてより高い性能が求められる。したがって、上記中間転写体に要求される特性については、画像形成装置の利用形態に応じて、さらなる向上が求められている。
このような状況において、従来の中間転写体は、耐久性が不十分であったり、あるいは環境によって耐久性が不十分になることがあり、あるいは長期使用に伴い画質が低下することがある。たとえば、特許文献2に記載の中間転写体は、耐久性が不十分となることがある。また、特許文献1に記載の中間転写体は、環境によっては耐久性が不十分になることがあり、例えば、画像形成装置の利用の初期では十分な画質の画像を形成し得るが、高温高湿環境において長期間使用すると画質が不十分となることがある。
また、特許文献3に記載の中間転写体は、酸窒化チタンを併用することで画質の改善および機械的な耐久性の改善が図られている。しかしながら、当該中間転写体には、少なくとも次の2つの問題が挙げられる。
第1の問題は、酸窒化チタンの共存によって重合開始剤由来の光ラジカル発生率が下がる問題があり、反応率が低下しやすいことである。すなわち、酸窒化チタン類は、紫外光、可視光のいずれについても、特別に吸光係数が大きく、数μmの厚さで10〜30%程度の重量配合比率で配合された場合でも、通常、紫外、可視を問わず光が全く透過しないほどの光吸収性を示す。このため、IRGACURE 184(BASF社製、「IRGACURE」は同社の登録商標)などの一般的な重合開始剤を用いる場合であれば、酸窒化チタンの共存によって重合開始剤由来の光ラジカル発生率が下がる問題があり、反応率が低下しやすい。
第2の問題は、数μm以下の膜厚の場合には、重合開始剤由来の光ラジカルが酸素阻害の影響を受けてしまい、それによって反応率が低下しやすいことである。
反応率の低下によって、表面層を構成する樹脂のモノマー中の重合性の部位がそのまま残留しやすくなり、この場合に、当該モノマー中の重合性の部位が、中間転写体の使用時における通電により生じる放電生成物(例えばオゾンなど)によって劣化して、カルボニル基などを有する酸化物に変わることで、電気抵抗が変化してしまい、長期間使用すると画質が不十分となることがある。このように、従来の中間転写体には、通電と機械的な駆動との両方を併用する場合の連続使用による画質の低下の抑制およびその環境依存性の抑制の観点から検討の余地が残されている。
本発明は、電子写真方式によって、環境に関わらず長期に亘り高画質の画像を形成可能な中間転写体を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、電子写真方式によって、環境に関わらず長期に亘り高画質の画像を形成可能な画像形成装置を提供することを第2の課題とする。
本発明は、前述の第1の課題を解決するための一手段として、樹脂製の基材層と、上記基材層上に配置された表面層とを有する中間転写体であって、上記表面層は、多官能のモノマーの重合物による一体物であり、上記表面層に分散している黒色チタン化合物と、オキシムエステル系重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系重合開始剤、およびこれらの重合開始剤の残渣、からなる群から選ばれる一以上の成分とを含有する中間転写体、を提供する。
また、本発明は、前述の第1の課題を解決するための他の手段として、上記中間転写体を製造する方法であって、上記樹脂製の上記基材層の上における、多官能の上記モノマーおよび上記黒色チタン化合物を含有する塗料の塗膜中の上記モノマーを重合させて上記基材層上に上記表面層を作製する工程を含み、上記塗料は、オキシムエステル系重合開始剤およびアシルホスフィンオキシド系重合開始剤の一方または両方を含み、上記モノマーを重合させるエネルギーを付与する高エネルギー光線を上記塗膜に照射して上記モノマーを重合させる中間転写体の製造方法、を提供する。
さらに、本発明は、前述の第2の課題を解決するための一手段として、上記中間転写体を有する電子写真方式の画像形成装置、を提供する。
本発明によれば、電子写真方式によって、環境に関わらず長期に亘り高画質の画像を形成可能な中間転写体および画像形成装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態における画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
本発明の一実施の形態に係る中間転写体は、樹脂製の基材層と、上記基材層上に配置された表面層とを有する。当該中間転写体の形態は、所期の機能が発現される範囲において適宜に決めることができ、例えば、円筒状の中間転写ドラムであってもよいし、無端ベルト状の中間転写ベルトであってもよい。上記中間転写体は、画像形成装置における作像部の配置の省スペース化の観点から、上記中間転写ベルトであることが好ましい。
上記基材層を構成する樹脂は、中間転写体の使用温度の範囲内において、変性および変形を生じない樹脂から適宜に選択することできる。このような樹脂例には、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体およびポリアミドなどが含まれる。上記ポリアルキレンテレフタレートの例には、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートが含まれる。
上記樹脂は、耐久性の観点から、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミドまたはポリアルキレンテレフタレートであることが好ましく、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドまたはポリアミドイミドであることがより好ましい。
上記基材層の電気抵抗値は、体積抵抗率で10〜1011Ω・cmであることが、感光体から中間転写体へのトナー画像の転写の条件、中間転写体から次の媒体へのトナー画像の転写の条件の適性化、および、トナー画像の濃度の適正化などの観点から好ましい。上記電気抵抗値は、例えば、公知の方法によって測定することが可能であり、また例えば、基材層中に導電性物質を添加することによって調整することが可能である。
上記導電性物質の例には、カーボンブラックが含まれる。当該カーボンブラックは、中性のカーボンブラックであってもよいし、酸性のカーボンブラックであってもよい。上記基材層における上記導電性物質の含有量は、所期の上記電気抵抗値を実現する範囲において適宜に決めることができ、上記樹脂100質量部に対して10〜20質量部であることが好ましく、10〜16質量部であることがより好ましい。
また、上記基材層の厚みは、薄すぎると、その強度や耐久性が不十分となることがあり、厚すぎると、温度変化による膨張、収縮、曲げ応力が連続して印加されることによるひずみの蓄積からクラックが生じることがある。上記基材層の厚みは、50〜200μmであることが、中間転写体の強度、力学的な耐久性の確保、および、温度変化による変形や曲げ応力の連続によるクラックの防止、の観点から好ましい。
上記基材層は、本実施の形態の効果が得られる範囲において上記の樹脂以外の他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、上記導電性物質、および、ナイロンコンパウンドなどの分散剤、が含まれる。
上記基材層は、公知の方法により製造することができる。たとえば、上記基材層は、上記樹脂を押出機により溶融、混練し、環状ダイから押し出し、生成した筒状の基材層を輪切りにすることによって製造することが可能である。このような基材層の製造方法は、例えば上記樹脂がPPSまたは可溶性ポリイミドである場合に有利である。また、上記基材層は、筒状の基体の外周面に基材層用の塗料を塗布し、形成された塗膜を固化することによって製造することができる。このような基材層の製造方法は、例えば上記樹脂がPIまたはPAIである場合で有効である。
ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸の加熱により得ることができる。ポリアミック酸は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを等モルで反応させることにより得ることができる。なお、上記基材層におけるポリイミドの含有量は、例えば、51質量%以上である。
上記表面層は、多官能のモノマーの重合物による一体物である。「多官能」とは、上記モノマー一分子当たり二以上の重合性の官能基を有することを意味する。上記モノマーは、一種でもそれ以上でもよい。上記官能基数は、表面層中での三次元架橋構造の構築およびそれによる耐久性の向上、の観点から、2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。また、上記モノマーは、光や電子線などの後述の高エネルギー光線の照射によって重合する化合物であることが、製造過程における黒色チタン化合物の熱による劣化を抑制する観点から好ましい。上記モノマーの例には、(メタ)アクリル酸系化合物が含まれる。
上記(メタ)アクリル酸系化合物は、アクリル酸系化合物およびメタクリル酸系化合物の総称であり、これらの一方または両方を意味する。当該(メタ)アクリル酸系化合物は、一分子当たり二以上の(メタ)アクリロイル基を有する。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称であり、これらの一方または両方を意味する。上記(メタ)アクリル酸系化合物の例には、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートおよびネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが含まれる。
上記表面層は、それに分散している黒色チタン化合物を含有する。当該黒色チタン化合物は、四価未満のチタン化合物である。このチタン化合物は、黒または黒に近い濃色を示す。上記黒色チタン化合物は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、三価チタンおよび低次酸化チタンが含まれる。
上記三価チタンは、その価数が3であるチタンを含有する化合物であり、その例には、Tiなどの酸化物、および、TiClなどの塩、が含まれる。常温および一般雰囲気中での安定性の観点から、上記三価チタンは、Tiなどの酸化物であることが好ましい。
上記低次酸化チタンは、その価数が4未満のチタンを含有する酸化チタン化合物であり、前述の三価チタンの酸化物を含む。当該低次酸化チタンの例には、TiO、Ti、TiおよびTiまたは、Ti2n−1の組成を有するチタン化合物が含まれる。低次酸化チタンは、複数種の酸化チタンの組成物として構成されてもよく、例えば、「Ti」は、TiOとTiOとの等モル含有物であってもよいし、「Ti」は、TiOとTiとの等モル含有物、あるいは、2モル当量のTiOと1モル当量のTiOとの含有物であってもよい。上記低次酸化チタンは、全体の価数が4未満になる範囲において、四価のチタン化合物を含んでいてもよい。
上記黒色チタン化合物は、窒素原子を含有すると、紫外域およびその近傍の波長の光の吸収が強くなる傾向にあり、その結果、前述したモノマーの重合性部位が残留しやすくなることがあり、あるいは、より多量の重合開始剤を要することがある。このような観点から、黒色チタン化合物中の窒素原子の含有量は、少ないことが好ましく、黒色チタン化合物が窒素原子を含有しないことがより好ましい。黒色チタン化合物中の窒素原子は、例えば、黒色チタン化合物の製造に伴い(例えば還元剤としてアンモニアを利用する製造により)混入し得る。
上記黒色チタン化合物は、公知の方法、例えば、各種の還元剤(水素、アンモニア、カーボンブラック、チタン金属など)を用いて酸化チタンを還元する方法、や、非特許文献「Synthesis of Ti4O7 Nanoparticles by Carbothermal Reduction Using Microwave Rapid Heating (Catalysts 2017、7、65〜)」に示すようなマイクロ波による合成法を行うことによって製造することが可能であり、あるいは、市販品として入手することが可能である。当該市販品の例には、「チタンブラック」(三菱マテリアル電子化成株式会社製)および「Tilack D」(赤穂化成株式会社製、同社の登録商標)が含まれる。
上記黒色チタン化合物は、前述したように黒または濃色を呈することから、その黒色度から所期の性能を有することを確認することが可能である。上記黒色チタン化合物の黒色度は、L値で40以下であることが好ましく、7〜22であることがより好ましく、8〜16であることが特に好ましい。上記黒色度が低すぎると、すなわちL値が大きすぎると、黒色チタン化合物の電気抵抗が大きくなりすぎて、連続使用に伴い画質が不十分になることがある。また、黒色度が高いと、すなわちL値が小さいと、表面層の重合を紫外線の照射で行う場合に重合が生じにくくなることがある。
TiOの還元による黒色チタン化合物の合成においては、Ti15、Ti、Ti、Ti、Tiなどのように、4価未満のチタンイオンの酸化物を含むような還元を行う場合に着色が強くなり、黒または濃色を呈することが明らかであり、この場合のL値は、通常、8〜16であり、粉末の比抵抗は、通常、0.1〜3000Ωcmである。
しかしながら、さらに還元を進めてTiOまで還元を進めた場合には、材料としてこれ以上濃色化せず、L値がむしろ増加して、おおむね9〜22に変わってしまう。この時の粉末の比抵抗は0.001〜0.1である。
以上のように、L値については、還元度合いによって無制限に小さくなることもなく、ゆえにL値を7以下にすることは特に難しい。
電気抵抗については、還元度合いを増やすことによる低抵抗化が可能で有り、低抵抗な黒色チタン化合物を用いる場合は、上記基材層における黒色チタン化合物の体積配合比率を減らすことで、転写ベルトとしての抵抗条件を満たす設計が可能である。しかしながら、上記体積配合比率が少ない場合には、配合ムラが顕著化しやすくなり、仮に配合ムラが起こったときには、電気抵抗のムラを発生してしまうことがあるので、転写電流のムラの発生による画像欠陥(濃度ムラ)を起こしてしまうことがある。すなわち、画像欠陥を防ぐための生産条件の設計が難しくなる。上記体積配合比率を増やして、多少の電気抵抗の低下を容認する設計の場合には、トナーの帯電の維持が難しくなり、画像濃度の低下などの不具合の起こる可能性もある。
以上のような理由で、電気抵抗の設計と生産条件の設計との両立を考えると、適度な比抵抗を持つ黒色チタン化合物を、体積配合比率で1%以上の配合をするような設計が望ましく、これを満たすときの上記L値は、一般に8〜16となり、黒色チタン化合物の粉体の比抵抗は、一般に0.1〜3000Ωcmとなる。
上記L値は、検出すべき粉体でサンプル板の一部を被覆し、この被覆した部分の明度を分光測色計で測定することにより求めることができる。また、上記L値は、黒色チタン化合物のさらなる還元または加熱によって増減させることが可能である。
上記黒色チタン化合物は、粉末の状態であれば、X線高電位分光法(ESCA、XPS)によって、Ti3+などに由来するピークの検知や、あるいは、Ti2n−1(n=3〜9)の場合には、マグネリ相を持つ低次酸化チタンに由来する結晶パターンが公知であることから、X線回折分析を行うことによっても検知することが可能であり、X線吸収微細構造解析(XAFS)によっても同様にTi3+などを検知することが可能である。
また、黒色チタン化合物は、加熱することにより酸化され、白色酸化チタンに変質することから、熱重量分析(TG)を行うことにより、黒色チタン化合物から白色酸化チタンへ酸化によって増加した重量が検出されるとともに、黒色から白色への色の変化が確認される。このような方法によっても、表面層中の粉体が黒色チタン化合物であることを確認することが可能である。
なお、黒色チタン化合物は、アクリル樹脂製の表面層から金属無機酸化物製のフィラーのみを取り出す公知の方法、例えば、表面層を構成する樹脂を酸または塩基性触媒を用いて分解して表面層中から当該フィラーを取り出す方法、によって表面層中から取り出すことが可能である。
なお、黒色チタン化合物は、ある程度の、例えば300℃を超える熱を加えると、あるいは、可視領域から近赤外領域の波長を有するレーザー(例えばYAGレーザーなど)光を照射すると、酸化されて白色酸化チタンに変質する。よって、Ti元素を含むことが明らかになっている場合には、上記のような簡易な方法によって、その存在を確認することが可能である。チタン元素の有無は、表面層中のフィラーをフッ酸含有の酸の溶液で全て溶解し、得られた溶液を、例えば高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP)によって分析することによって確認することが可能である。
上記黒色チタン化合物の粒径は、個数平均粒径で5〜300nmであることが、黒色チタン化合物の表面層中における分散性の向上の観点から好ましく、20〜200nmであることがより好ましい。上記粒径が大きすぎると黒色チタン化合物が表面層用の塗料またはその塗膜中で沈降しやすくなり、小さすぎると、特に表面処理を施した場合に、局所的な表面処理の不均一や欠陥による分散不良が生じ、例えば表面処理不足の黒色チタン化合物が沈降することがあり、いずれも分散性が不十分になることがある。
上記黒色チタン化合物は、表面処理されていることが好ましい。黒色チタン化合物の表面処理は、黒色チタン化合物の表面に直接、表面処理剤を作用させて、有機官能基を結合させる処理であることが、表面層作製時の変性を抑制する観点、分散性の向上の観点、および、画質の向上の観点、から好ましい。上記表面処理剤は、シランカップリング剤であることが、表面処理時における黒色チタン化合物の熱による変性を抑制する観点から好ましく、上記有機官能基は、(メタ)アクリロイル基であることが、表面層の機械的強度を高める観点、および、上記表面層中での上記黒色チタン化合物の移動(マイグレーション)を抑制して電気特性を維持し、あるいは高める観点、から好ましい。上記の観点から、例えば、上記黒色チタン化合物は、上記表面層において、当該黒色チタン化合物の表面に(メタ)アクリロイル基およびその残基の一方または両方を有していることが好ましい。
上記表面処理剤としての(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤の例には、以下のS−1〜S−33で表される化合物が含まれる。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OC
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
Figure 0006879066
また、上記表面処理剤は、エポキシ系化合物であってもよい。当該エポキシ系化合物の例には、下記式(S−34)〜(S−36)で表される化合物が含まれる。
Figure 0006879066
上記黒色チタン化合物の表面処理は、公知の方法によって行うことができ、例えば、黒色酸化チタン100質量部と、表面処理剤0.1〜200質量部と、溶媒50〜5000質量部とを、湿式メディア分散型装置で混合することによって行うことができる。あるいは、黒色チタン化合物および表面処理剤を含むスラリーを攪拌し、次いで当該スラリーの分散媒を除去して黒色チタン化合物を取り出すことによって行うことができる。表面処理された黒色チタン化合物における表面処理剤の量(表面処理量)は、0.1〜60質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
上記表面層は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。上記表面層における当該他の成分の含有量は、本実施の形態の効果とその成分による効果の両方が得られる範囲において適宜に決めることができ、例えば数質量%程度である。上記他の成分の例には、黒色チタン化合物以外のフィラーおよび酸化防止剤が含まれる。当該フィラーの例には、導電性粒子および白色酸化チタンが含まれる。
上記導電性粒子は、例えば、導電性を有する金属酸化物粒子であり、画像形成装置の構成部材における導電性を有する層に添加することが公知の粒子から適宜に選ぶことができる。上記導電性粒子は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)粒子、酸化スズ粒子、白色酸化チタンのナノ粒子および酸化亜鉛粒子が含まれる。中でも、酸化スズ粒子または白色酸化チタンのナノ粒子が好ましい。
上記白色酸化チタンは、大まかには、上記黒色チタン化合物に含まれないチタン酸化物であり、粒径や結晶形にもよるが、一般に、白色で(L値が70以上)、かつ、黒色チタン化合物に比べて電気伝導性が低い。
なお、上記白色酸化チタンを還元すると、上記黒色チタン化合物とすることが可能である。たとえば、還元度が小さな白色酸化チタンは、一般に、色味が白と黒の中間であり、かつ還元されていない白色酸化チタンに比べると、その導電性は比抵抗で103.5〜10Ωcm程度と、電気伝導性がやや高い。
還元度がより大きな酸化チタン(例えば、Ti、Tiなど)は、一般に、色味が黒色であり、L値で7〜20となり、その導電性は比抵抗で10−1〜103.5Ωcm程度であり、上記黒色チタン化合物に該当する。
還元度がさらに大きな酸化チタン(例えば、酸素原子に対するTiのモル比が1〜1.5など)は、一般に、上記の還元度がより大きな酸化チタンに比べるとその黒色度が低く、L値で9〜22程度であり、その導電性は比抵抗で10−1〜10−3Ωcm程度であり、上記黒色チタン化合物に該当する。ただし、この酸化チタンの黒色度と上記還元度がより大きな酸化チタンの黒色度との差は、混合粉体中では、通常、認めることが難しい程度の小さな差である。
上記フィラーは、いずれも、表面処理剤によって表面処理されていてもよい。当該表面処理は、前述した黒色チタン化合物に対するそれと同様に行うことができる。
上記白色酸化チタンのナノ粒子などの上記導電性粒子は、その導電性の均一性が高いことから、局所的な導電性のムラが発生しにくく、それによる画像ムラが発生しにくい。また、上記表面層の機械的強度を高める機能も発現する。上記導電性粒子のような任意に配合されるフィラー(無機物)の含有量は、表面層中の無機の分散質100体積部に対して、5〜40体積部であることが好ましく、10〜30体積部であることがより好ましい。上記無機物の上記含有量が少なすぎると、表面層の強度の向上効果が不十分となることがあり、導電パスの不均一の原因になることがある。上記含有量が多すぎると、上記無機物同士の直接の接触による特異的な導電パスが形成されやすくなり、その結果、局所的な画像ムラが発生することがある。
上記無機物の数平均一次粒径は、表面層の耐摩耗性を高める観点、および、表面層中の無機物の分散性を高める観点、から、1〜300nmであることが好ましく、3〜100nmであることがより好ましい。
なお、上記表面層中に含まれる成分は、公知の方法によって同定、定量することが可能であり、例えば、有機成分であれば、熱分解GC−MSや、エステル結合を加水分解処理した後で得られる分解物のGC−MSなどにより、分析することができる。このような分析において、標準硬化物の分析結果との照合を利用することも可能である。なお、上記表面層中に含まれる成分の例には、上記表面層の材料、その反応物(多官能モノマーなど)、その反応補助成分(重合開始剤など)およびその残渣が含まれる。
また、上記表面層中の粒子の粒径も、公知の方法によって求めることが可能であり、例えば、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社)により10000倍の拡大写真を撮影し、凝集粒子以外の300個の粒子を無作為にスキャナーにより取り込み、得られた写真画像を自動画像処理解析装置(LUZEXAP;株式会社ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を用いて解析することによって、その数平均一次粒径を算出することが可能である。なお、当該粒径は、これらの粒子の分級あるいは分級品の混合によって調整することが可能である。
上記表面層における上記黒色チタン化合物の含有量は、少なすぎると、他の材料(例えばフィラーなど)の特性がより強く発現され、本実施形態の効果が弱まることがあり、あるいは、局所的に導電性が不均一となり、その結果、画像欠陥を起こす可能性がある。上記含有量が多すぎると、紫外線照射による表面層の形成の条件が厳しくなることがある。このような観点から、上記含有量は、上記表面層中の無機物100体積部に対して2〜90体積部であることが好ましく、5〜60体積部であることがより好ましい。
上記表面層の厚さは、薄すぎると、表面層の組成の均一さが不十分になることがあり、このような観点から、表面層の厚さは、表面層中の黒色チタン化合物およびその他のフィラーの粒径の5倍以上であることが好ましく、10倍以上であることがより好ましい。
また、上記表面層の厚さは、薄すぎると、表面層の機械的強度が不十分となって耐久性が不十分になることがあり、また、多官能モノマーの重合反応が十分に進行せずに重合性官能基が表面層中に残留し、放電生成物などによる経時的な劣化が生じやすくなる。このような観点から、上記厚さは、例えば0.5μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることがさらに好ましい。
また、上記表面層の厚さは、厚すぎると、黒色チタン化合物を含むことによる吸光係数の増加により、特に基層界面近傍の硬化が難しくなり、膜の強度が下がる可能性があり、また、耐久性の効果が頭打ちになることがあるので、このような観点から10μm以下であることが好ましい。
上記中間転写体は、上記基材層上に直接上記表面層を配置した構成であってもよいし、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の構成をさらに有していてもよい。たとえば、上記中間転写体は、転写性の向上の目的で、基材層と表面層との間に弾性層をさらに有していてもよい。このような弾性層を有することは、ラフ紙を含めた種々の記録媒体に対する二次転写における転写性を高める観点から有利であり、中間転写体の価値をさらに高めることになり得る。
上記中間転写体は、公知の方法を利用して製造することが可能である。たとえば、上記中間転写体は、上記基材層の上における、多官能の上記モノマーおよび上記黒色チタン化合物を含有する塗料の塗膜中の上記モノマーを重合させて上記基材層上に上記表面層を作製する工程を含む方法によって製造することができる。
上記塗料は、上記モノマー、重合開始剤、および上記表面層の材料を含有する液体の組成物である。当該材料には、上記黒色酸化チタンおよび前述の他の成分が含まれる。
上記重合開始剤は、一種でもそれ以上でもよく、上記モノマーの重合(硬化)効率の観点から、アシルホスフィンオキシド系の骨格を有する重合開始剤(アシルホスフィンオキシド系重合開始剤)、または、オキシムエステル系の骨格を持つ充填開始剤(オキシムエステル系重合開始剤)、であることは、紫外線の照射で上記モノマーを重合させる際の上記塗料における重合反応の反応率を高める観点から好ましい。いずれも市販品として入手可能であり、前者の例には、IRGACURE TPOおよびIRGACURE 819(いずれもBASF社製)が含まれ、後者の例には、IRGACURE OXE 02およびIRGACURE OXE 01(いずれもBASF社製)が含まれる。
上記黒色チタン化合物は、波長350〜450nmの、特には波長400〜450nmの光の吸収が相対的に弱い。よって、上記高エネルギー光線による上記モノマーの重合は、波長350〜450nmに主発光を有するビーム源を用い、重合開始剤には、オキシムエステル系の骨格を持つ高感度の重合開始剤(上記のOXE02、OXE01など)を選ぶことが好ましい。ビーム源の主発光の波長は、360〜410nmであることがより好ましい。
より詳しくは、上記重合開始剤は、濃着色材料を含有するアクリル系モノマーの塗料においても高い重合反応率での反応を実現する観点から、オキシムエステル系の重合開始剤(例えば上記のOXE01、OXE02など)が好ましく、カルバゾール骨格含有オキシムエステル系の重合開始剤(例えばOXE02)がより好ましい。また、汎用性、紫外領域およびその周辺の波長域における全体的な光吸収性、および、特に405nmの波長の光におけるラジカル生成能、および、アシルホスフィンオキシド系の重合開始剤の中では酸素阻害による重合開始剤の劣化が相対的に少なく、薄膜の硬化に向いているなどの観点から、モノアシルホスフィンオキシド系の重合開始剤(例えば上記のIRGACURE TPOなど)が好ましい。
上記塗料は、上記塗膜の形成や上記重合に有利なさらなる成分を含有していてもよい。このようなさらなる成分の例には、有機溶剤、反応促進剤および単官能モノマーが含まれる。
上記有機溶剤は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルおよびテトラヒドロフランが含まれる。
上記モノマーの重合方法は、加熱による重合であってもよいし、高エネルギー光線の照射による重合であってもよい。上記高エネルギー光線は、上記モノマーを重合させるエネルギーを付与するビームであり、その例には、電子線および紫外線が含まれる。加熱による重合は、黒色チタン化合物の熱変性が生じることがあり、また、温度変化による表面層の膨張、収縮により表面層が劣化することがある。これらを抑制する観点から、上記モノマーの重合は、上記高エネルギー光線を上記塗膜に照射することによって行うことが好ましい。
上記重合開始剤は、上記モノマーの重合方法に応じて適宜に選ぶことが可能である。また、上記黒色チタン化合物は、波長350nm未満の光の透過率が特に低いことから、硬化のためのビーム源には、波長350〜450nmに主発光を有するビームを照射する装置であることが好ましく、上記重合開始剤も、上記ビーム源に応じて適宜に選ぶことが好ましい。
上記反応促進剤は、紫外線によるモノマーの重合における反応率を高めるために上記塗料に添加される。当該反応促進剤は、一種でもそれ以上でもよく、少量で反応促進効果が得られる観点、および、酸素による重合の阻害を抑制する観点、から、芳香族三級アミン化合物であることが好ましく、その例には、KAYACURE EPA(日本化薬株式会社製、「KAYACURE」は同社の登録商標)が含まれる。
上記単官能モノマーは、上記塗料の物性(例えば粘度など)の調整を目的として上記塗料に添加することができる。当該単管能モノマーは、上記多官能モノマーと同じ重合反応を呈するモノマーであればよく、例えば単官能の(メタ)アクリレートであり、その例には、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸イソブチルが含まれる。
上記製造方法において、上記表面層は、上記黒色チタン化合物が高温環境では酸化されて通常の酸化チタン(四価のチタンの酸化物)に変化するため、200℃以下の環境で作製されることが、黒色チタン化合物の変性を抑制する観点から好ましく、180℃以下の環境で作製されることがより好ましい。
高温環境による黒色チタン化合物の白色酸化チタンへの変化は、上記表面層においては、白色酸化チタンの高い親水性によって、元は黒色チタン化合物であった白色酸化チタンと上記モノマーの重合物との界面の破壊が進行し、耐久性または高温高湿環境下での電気特性が不十分になる可能性がある。上記変化は、不可逆的な変化であり、白色酸化チタンと黒色チタン化合物とを区別可能な分析方法によって検出することが可能である。
ただし、上記の変化は、温度にもよるが、数分間程度の短い時間では実質的に生じず、200℃付近の温度の環境に長時間放置されることより、あるいは、300℃以上の十分に高い温度の環境を経由することにより、上記の特性の低下をもたらすことがある。よって、上記製造方法は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、200℃以上の製造環境を含んでいてもよい。
上記モノマーの重合反応では、当該重合反応に対する酸素による阻害を抑制することが好ましい。たとえば、上記塗料に、特定の構造を有する芳香族三級アミンを添加することが好ましい。当該芳香族三級アミンは、窒素の隣の炭素原子に対して、水素原子が結合しているような構造を有する芳香族三級アミンであり、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルである。上記塗料が上記芳香族三級アミンを含有することは、酸素阻害によって失活した上記モノマー中のラジカルを復活させるため、重合反応の反応率を高める観点、および、酸素阻害による悪影響を低減する観点、から好ましい。
また、上記塗膜への高エネルギー光線の照射に際して、当該塗膜の雰囲気の酸素濃度を低くする、例えば5000ppm以下に低減する、ことが好ましい。このような雰囲気の酸素濃度の低下は、当該雰囲気を窒素ガスで置換することによって行うことが可能である。
上記製造方法は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、上記の表面層を作製する工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。このような他の工程の例には、上記表面層の作製に先立って上記基材層を作製する工程、および、上記表面層との界面となる基材層の表面の接着性を高める工程、が含まれる。上記基材層を作製する工程は、前述したように、公知の方法によって行うことができる。
上記の接着性を高める工程は、上記基材層を構成する樹脂の種類に応じて公知の方法から適宜に選ぶことができ、例えば、基材層の上記表面への紫外線の照射(UV照射)であってもよいし、上記表面へのオゾンの接触(オゾン処理)であってもよいし、上記表面へのコロナ放電の照射(コロナ処理)であってもよい。
上記中間転写体は、電子写真方式の画像形成装置における中間転写体として用いることができる。当該画像形成装置は、中間転写体に、上記の本実施の形態の中間転写体を用いる以外は、公知の画像形成装置と同様に構成することができ、同様に画像形成に供することができる。
以下、本発明の一実施の形態の画像形成装置を図1に基づき説明する。図1は、本実施の形態の画像形成装置の構成の一例を模式的に示す図である。画像形成装置1は、図1に示されるように、画像プロセス部10と、転写部20と、給紙部30と、定着部40と、制御部45とを有する。
画像プロセス部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の現像色に対応した作像部10Y、10M、10C、10Kを有する。作像部10Yは、静電潜像担持体である感光体ドラム11と、感光体ドラム11の表面を帯電させるための帯電器12と、帯電した感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成するための露光装置13と、静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面にトナー粒子を供給して当該静電潜像を現像するための現像部14と、形成されたトナー画像を感光体ドラム11の表面から中間転写体に転写させるための一次転写ローラ15と、転写後に感光体ドラム11の表面に残存するトナー粒子を当該表面から除去するためのクリーナ16とを有している。図1では、他の作像部10M、10C、10K中の構成の符号は省略されているが、図1に示されているように、これらの作像部も、作像部10Yと同様の構成を有している。
帯電器12は、例えば、感光体ドラム11に接触して帯電させる接触帯電装置である。露光装置13は、例えば、形成すべき画像に応じたレーザー光を照射する装置である。現像部14は、例えば、二成分現像剤用の現像装置である。クリーナ16は、例えば、ゴム製の弾性ブレードである。
転写部20は、一次転写ローラ15を無端軌道内に含むように配置されている無端状のベルトである中間転写体21と、中間転写体21を張架する駆動ローラ24および従動ローラ25と、中間転写体21に一次転写されたトナー画像の画像濃度を検出するための濃度検出センサ23と、中間転写体21を介して駆動ローラ24に対向して配置されている二次転写ローラ22と、従動ローラ25に張架する中間転写体21の表面に当接して当該表面に残留するトナー粒子を除去するためのクリーニングブレード26とを有する。
中間転写体21は、シームレスベルト(無端ベルト)であって、設計で決まる所望の周長になるように樹脂材料を射出成型もしくは遠心成型して作製されている。中間転写体21は、本実施の形態における中間転写体に相当する。濃度検出センサ23は、例えば、反射型の光電センサである。クリーニングブレード26は、例えばゴム製の弾性ブレードである。
給紙部30は、給紙カセットに収容されており記録媒体であるシートSを二次転写ローラ22および定着部40へ搬送するための搬送路31と、定着後のシートSを画像形成装置1の機外に排出するめの排出ローラ32と、機外に排出されたシートSを収容するための排紙トレイ33とを有している。
定着部40は、二次転写によりシートSの表面に担持されている未定着のトナー画像をシートSの表面に加熱、加圧するための加熱部材および加圧部材を有する。
制御部45は、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置(不図示)に接続されている。また、画像形成装置1は、操作パネル35を有している。
画像形成装置1では、制御部45が外部の端末装置から受け付けた、あるいは操作パネル35から受け付けたプリントジョブに基づき、カラーおよびモノクロのプリントを選択する。
感光体ドラム11は、矢印で示される方向に回転し、帯電器12は、感光体ドラム11の周面を帯電させる。露光装置13は、帯電している感光体ドラム11をレーザー光により露光走査して、感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。現像部14は、その内部にトナー粒子を含む二成分現像剤を収容しており、感光体ドラム11上の静電潜像をトナー粒子で現像する。これにより、例えば作像部10Yでは感光体ドラム11上に黄色のトナー画像が作像され、これにより感光体ドラム11にトナー画像が担持される。
中間転写体21は、駆動ローラ24と従動ローラ25に張架されて矢印方向に循環走行する。感光体ドラム11上の黄色トナー画像は、一次転写ローラ15による静電作用により中間転写体21上に転写させる。こうして、上記のトナー画像が中間転写体21に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム11上に残った残留トナーは、感光体ドラム11からクリーナ16によって除去される。中間転写体21に形成されたトナー画像の画像濃度は、濃度検出センサ23によって検出される。
カラーのプリントを実行する場合には、作像部10M、10C、10Kのそれぞれで、対応する色のトナー画像が感光体ドラム11上に作像され、その作像された各色のトナー画像が中間転写体21上に転写される。この各色の作像動作は、各色のトナー画像が、走行する中間転写体21の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写体21の移動方向における上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
一方、給紙部30は、上記の作像タイミングに合わせて、給紙カセットからシートSを1枚ずつ繰り出して、二次転写ローラ22に向けて搬送路31上を搬送する。二次転写ローラ22に搬送されたシートSが二次転写ローラ22と中間転写体21の間を通過する際に、中間転写体21の上に形成されたトナー画像が2次転写ローラ22の静電作用によりシートSに一括して転写される。すなわち、トナー画像が、中間転写体21からシートSへ二次転写される。
なお、二次転写後に中間転写体21上に残留するトナー粒子は、クリーニングブレード26により中間転写体21から除去される。
二次転写されたトナー画像を担持するシートSは、定着部40まで搬送され、定着部40において加熱、加圧されることにより、シートSの表面のトナー粒子が当該表面に融着して定着される。こうして、未定着のトナー画像がシートSに定着される。定着したトナー画像を有するシートSは、排紙ローラ32によって排紙トレイ33上に排出される。このようにして、シートS上に所望のトナー画像が形成される。
なお、モノクロ、例えば黒色のプリントを実行する場合には、作像部10Kだけが駆動する以外は上記と同様の動作により、黒色の所望のトナー画像がシートSに形成される。
画像形成装置1は、中間転写体21を有することから、転写不良による画像欠陥が防止された高画質の画像を長期に亘って形成することができる。その理由について、以下に説明する。
中間転写体21は、前述したように、アクリル樹脂製の一体型の表面層中に分散しているフィラーに、黒色チタン化合物を含んでいる。四価の価数のチタン原子は、他の価数のそれに比べて安定である。黒色チタン化合物は、3価チタンまたは低次酸化チタンの成分を含んでいる。
チタン原子に注目すると、3価のチタンおよび酸素欠損の酸化チタン(低次酸化チタン)は、いずれも、TiOに比べて導電に寄与する電子の含有量が多い。したがって、黒色チタン化合物の粉体は、TiOの粉体に比べて低い電気抵抗を示す。
また、3価チタンの酸化物および低次酸化チタンの酸素原子の含有比率は、いずれも、SnOやTiOなどの四価のフィラーに比べて少ない。よって、上記の黒色チタン化合物の親水性は、上記四価のフィラーに比べて低く、水による影響も受けにくくなる。また、酸素原子の含有量が少ないことから、黒色チタン化合物は、通常の無機酸化物(四価のフィラー)に比べて極性が低いため、凝集やクラスター化もしにくく、表面層中への均一な分散にも好適である。さらに、黒色チタン化合物は、TiOと異なり、光触媒性を有していない。よって、光触媒機能の発現による電気特性の変化、悪化が発生しない。
このように、黒色チタン化合物は、TiOよりも、粉体として低抵抗であり、かつ、親水性が低く、表面層用塗料への分散におけるクラスター化が起こりにくく、中間転写体を形成した後の表面層の電気特性の変化、悪化が生じさせない。よって、表面層にフィラーとして黒色チタン化合物が分散されていることによって、表面層に、電子写真での画像形成における環境の変動に依らない微細かつ均一な導電パスを形成することができる。このため、上記中間転写体では、四価のフィラーを主に含有する従来の表面層に比べて、表面層の体積抵抗率がやや低く、表面方向における体積抵抗のばらつきも少なくなる。
しかも、黒色チタン化合物は、良好な分散性を有する。このため、黒色チタン化合物の粒子同士が接触しない程度の配合比率(例えば、表面層の40体積%以下)で表面層に黒色チタン化合物が含まれている場合は、その表面層の電気抵抗を、粉末状態の黒色チタン化合物の電気抵抗にと比べて高くすることができ、表面層の表面の電気抵抗をより大きくすることができる。その結果、中間転写体に転写電流を加えたときも、当該中間転写体の内部の電荷の残留が少なく、かつ、電流の横流れを防ぐことができ、よって、環境に依らない良好な画質の画像の長期作製が可能となる、と考えられる。
ここで、「横流れ」について説明する。中間転写体の表面上の一点と裏面上の一点との間で電位差を加えたとき、通常は表裏の間の最短距離で電位差が加わり、最短距離になるように電気が流れる。しかしながら、上記表裏の点を結ぶ最短経路に局所的に電気抵抗の大きい部分が存在する場合、上記電気は、上記最短経路から外れた点を経由して流れる。その結果、中間転写体の表面方向に沿う方向へ、上記最短経路から外れた距離の意図しない位置まで上記電気が流れる。これを電流の「横流れ」という。
以上の理由により、中間転写体21を有する画像形成装置1は、転写不良による画像欠陥が防止された高画質の画像を、画像形成の環境に拘わらず、長期に亘って形成することができる。
なお、中間転写体21の表面層において、上記の特色を有する黒色チタン化合物を、UV硬化性を有する多官能のモノマーの重合による樹脂と組み合わせて用いることにより、長期の画像形成に伴うフィラーの移動、すなわちマイグレーション、を防いで、前述の画質向上効果に加えて耐久性の向上効果が図られる。
また、黒色チタン化合物は、可視光の吸収のみならず近赤外光の光の吸収も強いため、濃度検出センサ23に、可視〜近赤外光(波長600〜1000nm)に感度を持つ光学センサを用いて中間転写体21上のトナー濃度を計測すると、基材層の表面での反射光の影響が少なくなり、光学センサの検出も安定化される。
また、黒色チタン化合物の表面に、前述の重合に対する反応性を有する官能基を導入すると、表面層を形成する樹脂と酸化チタン化合物との間に架橋構造が形成される。このため、表面層の膜の強度がより高まり、さらには黒色チタン化合物のマイグレーションが防止され、表面層の電気抵抗の特性をより長期に亘り維持することが可能となる。このように、上記のような表面処理された黒色チタン化合物の使用は、長期に亘る機械特性と電気特性との両方の維持に有用である。
また、上記表面処理により、モノマーへの分散性がより高まることから、表面層の上記樹脂中での分散性がより一層高まり、表面層中での黒色チタン化合物同士の接触が極限まで減らされる(実質的になくなる)。このため、表面抵抗の低下の防止による、また、局所的な異常な電界集中による画像変質を防止する観点から効果的である。
また、上記黒色チタン化合物は、可視光を吸収することから一般に黒色を呈するが、前述したように、波長350〜450nmにおいては多少の光の透過性を有している。ゆえに、上記表面層の重合を紫外線の照射によって行うことにより、モノマーの重合反応(硬化反応)を好適に進行させることが可能である。また、上記モノマーに多官能の(メタ)アクリレートを原料に用いることで、三次元的な架橋構造による表面層を形成することができ、耐久性の向上効果を得る観点から有効である。
なお、黒色チタン化合物は、通常、常温では組成変化や変質などの変性を生じない。しかしながら、前述したように、例えば200℃以上では、チタンの酸化が進行しやすくなり、温度およびその経過時間によっては、一般的な空気の雰囲気中であっても、最終的にはTiOまで変化してしまい、その電気特性が変わる。このため、上記表面層の製造におけるプロセス温度が200℃を超えることを要する構成の表面層(PIなどの熱硬化性樹脂など)では、本実施の形態において得られる効果が限定されることがある。これは、前述したように、TiOは、黒色チタン化合物に比べて、酸素欠損が少なく導電性が低いことや、黒色チタン化合物からTiOに変化することで親水化してしまい、外の水分の影響を受けやすくなることによる。
よって、表面層の製造に係る塗布、乾燥、硬化の各工程は、いずれも、200℃未満の温度で行われることが好ましく、表面層の作製時におけるこのような高温の環境を回避するためには、紫外線の照射によるモノマーの重合(UV硬化)が望ましい。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態の中間転写体は、樹脂製の基材層と、上記基材層上に配置された表面層とを有し、上記表面層は、多官能のモノマーの重合物による一体物であり、上記表面層に分散している黒色チタン化合物と、オキシムエステル系重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系重合開始剤、およびこれらの重合開始剤の残渣、からなる群から選ばれる一以上の成分とを含有する。よって、上記中間転写体は、電子写真方式によって、環境に関わらず長期に亘り高画質の画像を形成することができる。
上記黒色チタン化合物が三価チタンおよび低次酸化チタンの一方または両方を含むことは、上記黒色チタン化合物の安定性の向上の観点からより一層効果的である。
また、上記黒色チタン化合物がその表面に(メタ)アクリロイル基およびその残基の一方または両方を有することは、黒色チタン化合物の表面層中でのマイグレーションを抑制する観点からより一層効果的である。
また、上記黒色チタン化合物が窒素原子を有さないことは、上記多官能モノマーの重合反応率を高める観点、および、中間転写体の経時的な性能低下を抑制する観点、からより一層効果的である。
また、上記表面層における上記黒色チタン化合物の含有量が上記表面層中の無機物100体積部に対して2〜90体積部であることは、黒色チタン化合物による効果を十分に発現させ、かつ表面層を構成する樹脂の十分な重合(硬化)を実現させる観点から、より効果的であり、上記含有量が5〜60体積部であることは、上記観点からより一層効果的である。
また、上記基材層の上記樹脂がポリイミド、ポリフェニレンスルフィドまたはポリアミドイミドであることは、基材層の機械的強度を高める観点、および、中間転写体の耐久性を高める観点、からより一層効果的である。
また、上記表面層の厚さが0.8〜10μmであることは、表面層の耐久性を高める観点、および、重合反応における未反応の上記多官能モノマーの発生を抑制する観点、からより一層効果的である。
より詳細には、0.8μmを下回る場合、酸素阻害による反応率の不足が起こりやすくなり、モノマー由来の未反応官能基が残留するために、画像形成装置内で連続耐久する場合に特性劣化が起こりやすくなることがある。また、10μmを超える場合は、酸素阻害の問題は特に問題がないが、吸光係数が大きすぎることによる反応率の不足の問題が起こり、同様の特性劣化が起こりやすくなることがある。モノマーの反応率の低下による特性の劣化を抑制する観点から、上記表面層の厚さが0.8〜10μmであることがより一層効果的である。
また、上記中間転写体を製造する方法は、上記樹脂製の上記基材層の上における、多官能の上記モノマーおよび上記黒色チタン化合物を含有する塗料の塗膜中の上記モノマーを重合させて上記基材層上に上記表面層を作製する工程を含み上記塗料は、オキシムエステル系重合開始剤およびアシルホスフィンオキシド系重合開始剤の一方または両方を含み、上記モノマーを重合させるエネルギーを付与する高エネルギー光線を上記塗膜に照射して上記モノマーを重合させる。よって、電子写真方式によって環境に関わらず長期に亘り高画質の画像を形成可能な中間転写体を提供することができる。
上記製造方法において、200℃以下の環境で上記表面層を作製することは、黒色チタン化合物の変性を抑制する観点からより一層効果的である。
また、上記画像形成装置は、上記中間転写体を有する。よって、上記画像形成装置は、電子写真方式によって環境に関わらず長期に亘り高画質の画像を形成することができる。
このように、上記中間転写体は、その表面層の作製において、黒色チタン化合物の使用とともに、重合開始剤の反応性、吸光係数、黒色チタン化合物により吸収される光の波長域、などの諸条件において適した重合開始剤を用い、また、必要に応じて上記諸条件において適した他の材料を併せて用いることにより、力学耐久と通電耐久の相乗負荷に対する効果を発現することを可能としている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[基材層1の作製]
ポリフェニレンサルファイド樹脂(「E2180」、東レ株式会社製)100体積部と、導電フィラー(「カーボンブラック#3030B」、三菱化学株式会社製)16体積部と、グラフト共重合体(「モディパー(登録商標)A4400」、日本油脂株式会社製)1体積部と、滑材(モンタン酸カルシウム)0.2体積部とを単軸押出機に投入し、溶融混練させて樹脂混合物を得た。
次いで、得られた上記樹脂混合物を、スリット状でシームレスベルト形状の吐出口を有する環状ダイスを先端に有する単軸押出機に投入し、シームレスベルト形状に押し出した。次いで、押し出されたシームレスベルト形状の樹脂混合物を、吐出先に設けた円筒状の冷却筒に外挿させて冷却して固化した。こうして、厚さ120μm、周長750mm、幅359mmでシームレス円筒状(無端ベルト状)のPPS製の基材層1を作製した。
[基材層2の作製]
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)とからなるポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(「ユーワニスS」、宇部興産社製、固形分18質量%)に、乾燥した酸化処理カーボンブラック(「SPECIAL BLACK4」、Degussa社製、pH3.0、揮発分:14.0%)をポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して、23質量部になるよう添加した。得られた混合物を2分割し、次いで、衝突型分散機「GeanusPY」(シーナス製)を用い、圧力200MPa、最小面積が1.4mmで衝突させて混合し、この分割と混合をさらに6回繰り返してカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を得た。
得られたカーボンブラック入りポリアミド酸溶液を円筒状金型の内周面に、ディスペンサーを介して0.5mmに塗布し、当該金型を1500rpmで15分間回転させて、均一な厚さを有する上記溶液の展開層を作製した。さらに上記金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間当て、次いで、当該金型を150℃で60分間加熱した。次いで、2℃/分の昇温速度で360℃まで昇温し、さらに360℃で30分間加熱して、溶媒の除去、脱水閉環、その際に生成した水の除去、およびイミド転化反応の完結を図った。その後、金型を室温まで冷却し、生成した樹脂製のベルトを金型の内周面から剥がした。こうして、厚さ100μm、周長750mm、幅359mmの無端ベルト状のPI製の基材層2を作製した。
[基材層3の作製]
ポリアミドイミドワニス(「バイロマックス(登録商標)HR−11NN」、東洋紡株式会社製)963.86gと、カーボンナノファイバー分散液(「AMC(登録商標)」、宇部興産株式会社製)36.145gとを混合し、数回分に分けて自転公転ミキサー(「AR−250」、株式会社シンキー製)で脱泡して、塗布液を作製した。上記ポリアミドイミドワニスの溶媒はNMPであり、含まれるポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量は7.2万であり、含まれるポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は1.9万である。また、上記カーボンナノファイバー分散液の分散質(カーボンナノファイバー)の濃度は5.0質量%であり、分散媒はNMPであり、カーボンナノファイバーの平均粒径は11nmである。
得られた塗布液を、円筒状の金型の外周面にディスペンサーで塗布後、回転させ均一な塗膜を得た。金型の外側より60℃の熱風を30分間当て、次いで、当該金型を150℃で60分間加熱し、次いで、250℃で60分間焼成した。その後、2℃/分の速度で上記金型を室温(25℃)まで冷却し、生成した樹脂製のベルトを金型から剥がした。こうして、厚さ80μm、周長750mm、幅359mmの無端ベルト状のPAI製の基材層3を作製した。
[黒色チタン化合物1の調製]
前述の非特許文献「Synthesis of Ti4O7 Nanoparticles by Carbothermal Reduction Using Microwave Rapid Heating (Catalysts 2017、7、65〜)」に示す方法で合成を行い、Tiの組成を持つ黒色チタン化合物(平均粒径60nm)を得た。この黒色チタン化合物のL値をコニカミノルタ社製、色彩色差計「CR−400」により測定したところ、当該L値は14.0であった。
上記の方法で合成した黒色チタン化合物 100体積部と、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−5103」、信越化学工業株式会社製)12体積部と、メタノール400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、次いで、メタノールを除去し、次いで、得られた粉体を150℃で20分間乾燥した。こうして、表面処理されている黒色チタン化合物である黒色チタン化合物1を得た。黒色チタン化合物1のL値は14.6であった。
[黒色チタン化合物2の調製]
二酸化チタン(数平均粒径100nm)と、Ti粉末(数平均粒径100nm)を3:1のモル比になるように混合して、10〜2torrの真空中で800℃、15時間加熱して、Tiを主成分とする低次酸化チタンの粒子を得た。この低次酸化チタン粒子のBET値は、14.5m/gであった。主成分の同定にはX線回折法を用いた。また、上記低次酸化チタン粒子のL値は9.1であった。
上記低次酸化チタン粒子 100体積部と、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−5103」、信越化学工業株式会社製)11体積部と、メタノール400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、次いで、メタノールを除去し、次いで、得られた粉体を150℃で20分間乾燥した。こうして、表面処理されている黒色チタン化合物である黒色チタン化合物2を得た。黒色チタン化合物2のL値は9.3であった。
[黒色チタン化合物3の調製]
「チタンブラック 13M−T」(三菱マテリアル社製、L値は9.6)100体積部と、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−5103」、信越化学工業株式会社製)10体積部と、メタノール400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、次いで、メタノールを除去し、次いで、得られた粉体を150℃で10分間乾燥した。こうして、表面処理されている黒色チタン化合物である黒色チタン化合物3を得た。黒色チタン化合物3のL値は10.0であった。
[黒色酸化チタン化合物4の調製]
二酸化チタン(数平均粒径100nm)と、Ti粉末(数平均粒径100nm)を1:1のモル比になるように混合して、10〜2torrの真空中で900℃、30時間加熱して、TiOを主成分とする低次酸化チタンの粒子を得た。この低次酸化チタン粒子のBET値は、16.7m/gであった。主成分の同定にはX線回折法を用いた。また、上記低次酸化チタン粒子のL値は20.7であった。
上記低次酸化チタン粒子 100体積部と、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−5103」、信越化学工業株式会社製)12体積部と、メタノール400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、次いで、メタノールを除去し、次いで、得られた粉体を150℃で20分間乾燥した。こうして、表面処理されている黒色チタン化合物である黒色チタン化合物4を得た。黒色チタン化合物4のL値は21.8であった。
[酸化スズ1の調製]
平均粒径30nmの酸化スズ粒子100体積部と、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103;信越化学工業株式会社)16体積部と、トルエンとメタノールをこの順での体積比1:3で混合してなる混合液400体積部とを混合し、湿式メディア分散型装置を使用して45分間分散し、次いで、上記混合液を除去し、次いで、得られた粉体を150℃で10分間乾燥した。こうして、表面処理されている酸化スズである酸化スズ1を得た。
[酸化スズ2の調製]
平均粒径30nmの酸化スズ粒子に代えて平均粒径50nmの酸化スズ粒子を用いる以外は酸化スズ1の調製と同様にして、表面処理されている酸化スズである酸化スズ2を得た。
[ITO−1の調製]
平均粒径30nmの酸化スズ粒子に代えて平均粒径30nmの酸化インジウムスズ(ITO)粒子を用いる以外は酸化スズ1の調製と同様にして、表面処理されているITOであるITO−1を得た。
[白色酸化チタン1の調製]
平均粒径30nmの酸化スズ粒子に代えて「TTO−55」(石原産業株式会社製、平均粒径35nm)を用いる以外は酸化スズ1の調製と同様にして、表面処理されている白色酸化チタンである白色酸化チタン1を得た。
[塗布液1の調製]
下記成分を下記の量で、固形分濃度が10質量%となるようにMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させた。こうして、表面層作製用の塗布液1を調製した。
モノマー1 74.5体積部
黒色チタン化合物1 1体積部
酸化スズ1 19体積部
重合開始剤 4.3体積部
添加剤 1.2体積部
モノマー1は、下記式(1)で表される化合物であり、多官能のモノマーに該当する。重合開始剤は、BASF社製の「IRGACURE OXE 02」である。添加剤は、日本化薬株式会社製の「KAYACURE EPA」(「KAYACURE」は同社の登録商標)である。
Figure 0006879066
[塗布液2〜7の調製]
黒色チタン化合物1の量を2、5、8、12および18体積部にそれぞれ変更し、酸化スズ1の量を18、15、12、8および2体積部にそれぞれ変更する以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液2〜6のそれぞれを調製した。また、黒色チタン化合物1の量を20体積部に変更し、酸化スズ1を添加しない以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液7を調製した。
[塗布液8、9の調製]
黒色チタン化合物1の量を10体積部に変更し、酸化スズ1に代えて10体積部の酸化スズ2を用いる以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液8を調製した。また、黒色チタン化合物1および酸化スズ1の量をそれぞれ10体積部に変更し、モノマー1に代えてモノマー2を用いる以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液9を調製した。モノマー2は、「エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(アクリロイル基1個あたり、平均して2個のエチレンオキシド基で変性した化合物)」である。下記式(2)で表される化合物であり、多官能のモノマーに該当する。下記式(2)中、nは、独立して2である。なお、nは、平均値である。
Figure 0006879066
[塗布液10〜12の調製]
黒色チタン化合物1に代えて黒色チタン化合物2を用い、かつ重合開始剤をオキシムエステル系開始剤である「IRGACURE OXE 01」(BASF社製)に変更する以外は、塗布液4の調製と同様にして、塗布液10を調製した。また、黒色チタン化合物1に代えて黒色チタン化合物3を用い、かつ重合開始剤をモノアシルホスフィンオキシド系開始剤である「IRGACURE TPO」(BASF社製)に変更する以外は、塗布液4の調製と同様にして、塗布液11を調製した。さらに、黒色チタン化合物1に代えて黒色チタン化合物4を用い、かつ重合開始剤をアシルホスフィンオキシド系開始剤である「IRGACURE 819」(BASF社製)に変更する以外は、塗布液4の調製と同様にして、塗布液12を調製した。
[塗布液13、14の調製]
酸化スズ1に代えて白色酸化チタン1を用いる以外は、塗布液2の調製または塗布液4の調製と同様にして、塗布液13、14のそれぞれを調製した。
[塗布液15〜17の調製]
黒色チタン化合物1を添加せず、酸化スズ1に代えて20体積部のITO−1を用いる以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液15を調製した。また、黒色チタン化合物1を添加せず、酸化スズ1に代えて20体積部の白色酸化チタン1を用いる以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液16を調製した。さらに、黒色チタン化合物1に代えて10体積部の白色酸化チタン1を用い、酸化スズ1の量を10体積部に変更する以外は塗布液1の調製と同様にして、塗布液17を調製した。
[塗布液18の調製]
重合開始剤を「IRGACURE 500」(BASF社製)に変更する以外は、塗布液1の調製と同様にして、塗布液18を調製した。「IRGACURE 500」は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンとベンゾフェノンとの混合物である。
塗布液1〜18の組成を表1に示す。表1中、「OXE02」は「IRGACURE OXE 02」を、「OXE01」は「IRGACURE OXE 01」を、「TPO」は「IRGACURE TPO」を、「819」は「IRGACURE 819」を、そして、「500」は「IRGACURE 500」を、それぞれ示す。
Figure 0006879066
[実施例1]
基材層1の外周面上に塗布液1を、塗布装置を使用して浸漬塗布方法(塗布液(循環)供給量:1L/分)によって、乾燥膜厚が4.5μmとなるように塗布することによって塗膜を形成した。次いで、形成した塗膜を40℃、5分間の熱風乾燥により乾燥させ、次いで、当該塗膜に活性光線(高エネルギー光線)として紫外線を下記の照射条件で照射し、塗布液1中のモノマーをラジカル重合させた。こうして、塗膜が当該重合によって硬化した一体物で構成されている表面層1を基材層1上に有する中間転写体1を作製した。なお、紫外線の照射は、光源を固定し、樹脂基材層の外周面上に塗膜が形成された前駆体を周速度60mm/秒で回転しながら行った。
(紫外線の照射条件)
光源の種類:365nm LED光源(SPX−TA;アイグラフィックス社)
照射口から塗膜の表面までの距離:50mm
雰囲気:窒素(酸素濃度 600ppm以下)
照射光量:2.8J/cm
照射時間(前駆体の回転時間):240秒間
[実施例2〜5]
塗布液1に代えて塗布液2〜5のそれぞれを用いる以外は実施例1と同様にして、中間転写体2〜5のそれぞれを作製した。
[実施例6]
塗布液1に代えて塗布液6を用い、紫外線照射時の雰囲気中の酸素濃度を100ppm以下とする以外は実施例1と同様にして、中間転写体6を作製した。
[実施例7、8、9]
塗布液1に代えて塗布液7、8、9のそれぞれを用いる以外は実施例1と同様にして、中間転写体7、8、9のそれぞれを作製した。
[実施例10、11]
塗布液3を、乾燥膜厚が2.3μmおよび6.5μmのそれぞれとなるように基材層1に塗布する以外は実施例3と同様にして、中間転写体10、11のそれぞれを作製した。
[実施例12〜14]
基材層1に代えて基材層2を用いる以外は実施例3と同様にして、中間転写体12を作製した。また、塗布液3に代えて塗布液4を用いる以外は実施例12と同様にして、中間転写体13を作製した。さらに、基材層1に代えて基材層3を用いる以外は実施例3と同様にして、中間転写体14を作製した。
[実施例15、16]
塗布液3の塗布直後の乾燥を、40℃、5分間の熱風乾燥から、180℃、30分間の熱乾燥、および、220℃、30分間の熱乾燥、のそれぞれに変更した以外は実施例3と同様にして、中間転写体15、16のそれぞれを作製した。
[実施例17〜19]
塗布液1に代えて塗布液10〜12のそれぞれを用いる以外は実施例1と同様にして、中間転写体17〜19のそれぞれを作製した。
[実施例20、21]
塗布液1に代えて塗布液13、14のそれぞれを用いる以外は実施例1と同様にして、中間転写体20、21のそれぞれを作製した。
[実施例22、23]
塗布液1を、乾燥膜厚が0.8μmおよび10μmのそれぞれとなるように基材層1に塗布する以外は実施例1と同様にして、中間転写体22、23のそれぞれを作製した。
[比較例1〜4]
塗布液1に代えて塗布液15〜18のそれぞれを用いる以外は実施例1と同様にして、中間転写体24〜27のそれぞれを作製した。
中間転写体1〜27の構成を表2に示す。
Figure 0006879066
[画像形成装置の準備]
画像形成装置「Bizhub C658」(コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)の正規の中間転写体に代えて、中間転写体1〜27をそれぞれ搭載し、中間転写体1〜27のそれぞれを有する画像形成装置を用意した。
[評価]
(1)画質(初期)
まず、中間転写体1〜27のそれぞれについて、常温常湿(NN)環境(20℃50%RH)、低温低湿(LL)環境(10℃15%RH)および高温高湿(HH)環境(30℃85%RH)のそれぞれの環境で12時間以上の調湿を行った。次いで、上中間転写体1〜22のそれぞれを有する記画像形成装置の電源を入れ、新品の現像剤(新品のトナー粒子と新品のキャリア粒子とから成る二成分現像剤)を充てんした新品の現像器、実験用の中間転写体、新品の感光体ユニットの組み合わせで最適の画像を得るために、初期化と画像安定化を実施した。
次に、シアン色のベタ画像を1枚、ブルー色のベタ画像を1枚印刷した。記録媒体には、A3、コニカミノルタ製CFペーパーを使用した。この紙の秤量は、80g/mであるが、上記ベタ画像の印刷では、印刷速度を遅くして画像ムラを目立たせるため(条件をより厳しくするため)、紙種登録を厚紙3相当とした。
上記の各色のベタ画像の画質を下記の基準により評価した。ムラとは、画像濃度が不均一であることに由来する現象の全般を指している。
◎ 目視のムラが全くなく、優れている。
○ 目視のムラは、注意して観察することでわずかに見られるが、合格である
△ 目視のムラがあり、合格下限に相当する
× 誰の目にも見える画像ムラがあり、不合格である
×× 画像ムラがひどく、濃度の均一性が欠落しており、問題外である。
(2)画質(耐久後)
中間転写体1〜27のそれぞれを有する画像形成装置によって、YMCKの各色5%(合計20%)のA4の文字チャートを、NN環境で10万枚、HH環境で5万枚、LL環境で5万枚の印刷、合計20万枚、連続モードで印刷した。次いで、感光体および現像器を新品に交換する一方で、中間転写体は連続印刷で使用したものをそのまま用い、前述した方法でシアン色のベタ画像を1枚、ブルー色のベタ画像を1枚、それぞれ印刷し、それらの画質を評価した。
評価結果を表3に示す。
Figure 0006879066
表3から明らかなように、中間転写体1〜23を用いる画像形成では、初期および耐久後のいずれの画質も十分に良好である。
特に、実施例3〜5、8〜15、17、20および21の中間転写体では、初期および耐久後のいずれにおいても、また、いずれの環境においても、シアン、ブルーの両ベタ画像において優れた画質の画像が形成されている。その理由は、以下の条件をすべて満たしていることによる、と考えられる。
まず、表面層における黒色チタン化合物の含有量が好ましい下限を上回っているために、黒色酸化チタン化合物の配合不足による局所的な濃度ムラが発生しなくなり、ゆえに、電気抵抗の均一性が確保されている。ゆえに、耐久を通じて均一に転写電流が加わり、電流集中による劣化や変化も起こらず、耐久に関係なく良好な画像が形成されている。
また、表面層における黒色チタン化合物の含有量が好ましい上限を下回っているために、表面層形成の硬化反応において、黒色チタン化合物の配合過多による表面層の硬化不足が防止されており、ゆえに、耐久後においても、表面層としての組成劣化もなく、その結果、耐久後も良好な画像が形成されている。なお、表面層において黒色チタン化合物の配合が過多になると、黒色チタン化合物が硬化をもたらす光をより多く吸収してしまい、重合開始剤によって表面層の硬化に供される光が少なくなる分だけ硬化が進まなくなることがある。
さらに、硬化反応のプロセスが200℃以下で行われているため、硬化反応に伴う黒色チタン化合物の劣化もなく、黒色チタン化合物による効果が最大限に発揮されている。
さらに、重合開始剤についても、反応率の向上に適した選択を行っているため、未反応のアクリロイル基の残留が少なく、未反応のアクリロイル基の残留物が通電、印刷の影響で酸化劣化することもなく、この結果、画像形成装置による耐久を行っても、良好な効果が得られていると判断される。
一方、比較例1〜4の中間転写体は、耐久後の画像ムラがひどく、合格レベルにほど遠い。
比較例1では、ITOを表面層における導電材料に使っているので、初期の電気特性は良好であるが、素材としての硬度、耐久性、化学的な安定性が十分十分ではない。このため、比較例1では、導電性や転写特性が変化してしまい、耐久後では画質が不十分になっている、と考えられる。
比較例2では、白色酸化チタンを表面層における導電材料に使っているので、導電性が不十分となっている。このため、比較例2では、画像の連続形成によって、表面層における導電の優れる部分に電界集中が続き、その結果、当該部分において樹脂の劣化が進行し、さらなる低抵抗化が進行することにより、画質が低下していった、と考えられる。
比較例3では、白色酸化チタンと酸化スズとを併用していることから、その表面層の導電性は、比較例2のそれに比べては高いが、各実施例のそれに比べると不十分であり、特に、白色酸化チタンが局所的に多く含まれる部分で導電性が不足しやすい。このため、比較例3では、画像の連続形成によって、比較例2と同様の導電に優れる部分での樹脂の劣化が進み、画質が低下している、と考えられる。
比較例4では、重合開始剤の選択が好適でないために、モノマーの反応が不十分に終わり、未反応モノマーが多く残留した結果、初期の特性は合格であるものの、画像形成装置内で、機械的な耐久と通電耐久の両方を行った場合に、画質が低下したものと考えられる。
本発明によれば、電子写真方式において、転写不良に伴う画像欠陥の発生が抑制された高画質の画像を、画像形成の環境に拘わらず長期に亘り形成することが可能となる。よって、本発明によれば、上記画像形成装置のさらなる普及が期待される。
1 画像形成装置
10 画像プロセス部
10Y、10M、10C、10K 作像部
11 感光体ドラム
12 帯電器
13 露光装置
14 現像部
15 一次転写ローラ
16 クリーナ
20 転写部
21 中間転写体
22 二次転写ローラ
23 濃度検出センサ
24 駆動ローラ
25 従動ローラ
26 クリーニングブレード
30 給紙部
31 搬送路
32 排紙ローラ
33 排紙トレイ
35 操作パネル
40 定着部
45 制御部
S シート

Claims (11)

  1. 樹脂製の基材層と、前記基材層上に配置された表面層とを有する中間転写体であって、
    前記表面層は、多官能のモノマーの重合物による一体物であり、前記表面層に分散している黒色チタン化合物と、オキシムエステル系重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系重合開始剤、およびこれらの重合開始剤の残渣、からなる群から選ばれる一以上の成分と、を含有する、
    中間転写体。
  2. 前記黒色チタン化合物は、三価チタンおよび低次酸化チタンの一方または両方を含む、請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記黒色チタン化合物は、その表面に(メタ)アクリロイル基およびその残基の一方または両方を有する、請求項1または2に記載の中間転写体。
  4. 前記黒色チタン化合物は、窒素原子を有さない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記表面層における前記黒色チタン化合物の含有量は、前記表面層中の無機物100体積部に対して2〜90体積部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 前記表面層における前記黒色チタン化合物の含有量は、前記表面層中の無機物100体積部に対して5〜60体積部である、請求項5に記載の中間転写体。
  7. 前記基材層の前記樹脂は、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィドまたはポリアミドイミドである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中間転写体。
  8. 前記表面層の厚さは、0.8〜10μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の中間転写体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の中間転写体を製造する方法であって、
    前記樹脂製の前記基材層の上における、多官能の前記モノマーおよび前記黒色チタン化合物を含有する塗料の塗膜中の前記モノマーを重合させて前記基材層上に前記表面層を作製する工程を含み、
    前記塗料は、オキシムエステル系重合開始剤およびアシルホスフィンオキシド系重合開始剤の一方または両方を含み、
    前記モノマーを重合させるエネルギーを付与する高エネルギー光線を前記塗膜に照射して前記モノマーを重合させる、
    中間転写体の製造方法。
  10. 200℃以下の環境で前記表面層を作製する、請求項9に記載の中間転写体の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の中間転写体を有する電子写真方式の画像形成装置。
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