JP2020034728A - 中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルト及び画像形成装置 Download PDF

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崇之 鈴木
Takayuki Suzuki
崇之 鈴木
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Junji Ujihara
淳二 氏原
下田 剛士
Takeshi Shimoda
剛士 下田
浩史 小賀
Hiroshi Koga
浩史 小賀
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Abstract

【課題】長期間使用した場合であっても画像欠陥の発生を抑制することができる中間転写ベルトを提供すること。【解決手段】本発明の中間転写ベルトの製造方法は、少なくとも基材層および前記基材層の表面に接して形成された表面層を有する中間転写ベルトを製造する方法であって、前記基材層の表面に反応性ガスを供給しながら、前記基材層の表面にレーザーを照射する工程と、前記レーザーを照射された基材層の表面に表面層を形成する工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルトおよび当該方法で製造された中間転写ベルトを有する画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、通常、感光体で形成されたトナー画像は、中間転写体に一次転写され、次に、普通紙などの記録媒体に二次転写される。中間転写体としては、無端状のベルト(中間転写ベルト)が知られている。中間転写ベルトとしては、樹脂製の基材層と、当該基材層上に配置されてトナーの離型性および中間転写ベルトの耐久性を高める表面層とを有するものが知られている(たとえば、特許文献1)。
なお、特許文献2には、ベルト本体と、当該ベルト本体の転写材が載置される側の面に積層された耐摩耗層と、を有する転写搬送ベルトにおいて、ベルト本体の表面を研磨して粗面化し、その表面粗さ(Rz)を1.8〜15.0μmとすることで、アンカー効果により耐摩耗層の密着性が高まり、かつ、クリーニングの際の耐摩耗層の摩耗を抑制できることが記載されている。
特開2014−109586号公報 特開平11−352802号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような表面層を有する中間転写ベルトを備えた画像形成装置であっても、長期使用時の画像欠陥の発生を完全には抑制できていない。これに対し、特許文献2に記載のように基材層の表面を研磨して粗面化すれば、表面層の密着性および耐摩耗性が高まって、表面層の部分剥離またはクラックが抑制され、これらに由来する画像欠陥も抑制できるとも思われる。しかし、本発明者らの知見によれば、特許文献2に記載のように基材層の表面を研磨して粗面化しても、長期使用時の画像欠陥は十分には抑制できていなかった。
本発明の目的は、かかる点に鑑みてなされたものであり、長期間使用した場合であっても画像欠陥の発生を抑制することができる中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルトおよび当該方法で製造された中間転写ベルトを備える画像形成装置を提供することである。
本発明の中間転写ベルトの製造方法は、少なくとも基材層および前記基材層の表面に接して形成された表面層を有する中間転写ベルトを製造する方法であって、前記基材層の表面に反応性ガスを供給しながら、前記基材層の表面にレーザーを照射する工程と、前記レーザーを照射された基材層の表面に表面層を形成する工程と、を有する。
本発明の中間転写ベルトは、少なくとも基材層および前記基材層の表面に接して形成された表面層を有する中間転写ベルトであって、前記表面層における無機化合物粒子の含有量は、前記表面層を構成する塗布液の全質量に対して10質量部以上80質量部以下であり、前記基材層の表面のRz(JIS−B0601−2001に準拠)は、0.2μm以上、かつ、前記表面層の膜厚の半分以下であり、前記基材層の表面に接して形成された表面層の付着性は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6に準拠)による試験結果の分類において0または1である。
本発明の画像形成装置は、上記方法で製造された中間転写ベルトを有する。
本発明によれば、長期間使用した場合であっても画像欠陥の発生を抑制することができる中間転写ベルトの製造方法、中間転写ベルトおよび当該方法で製造された中間転写ベルトを有する画像形成装置を提供することができる。
図1は、実施の形態に係る製造方法で製造された中間転写ベルトを有する画像形成装置の一例の構成を概略的に示す図である。
[中間転写ベルトの製造方法]
本発明の一実施の形態は、少なくとも基材層および上記基材層の表面に接して形成された表面層を有する中間転写ベルトの製造方法に関する。本実施の形態では、前記基材層の表面に反応性ガスを供給しながら、前記基材層の表面にレーザーを照射する工程と、前記レーザーを照射された基材層の表面に表面層を形成する工程と、を有する。
(レーザーを照射する工程)
本工程では、基材層の表面に反応性ガスを供給しながら、レーザーを照射する。このとき、レーザー照射を開始する前から反応性ガスの供給を開始し、レーザーの照射エリアに存在する空気を反応性ガスに置換する。さらに、レーザー照射が完了するまで反応性ガスの供給を続ける。
上記基材層は、電子写真方式による画像形成装置が備えうる中間転写ベルトに用いられる基材層であればよい。たとえば、上記基材層は、樹脂および導電性フィラーを含む。上記樹脂に導電性フィラーを添加することにより、導電性を付与することができるので、電気的な機能を持たせることができる。
上記基材層を形成するための樹脂は、特に限定されず、種々の樹脂を用いることができる。上記樹脂の例には、芳香族ポリイミド(PI)、芳香族ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、芳香族ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエーテルケトンなどのベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの混合物や共重合物などが含まれる。これらの中でも、難燃性、強度および耐久性をより高める観点から、ベンゼン環を含む構造単位を有する樹脂を用いて基材層を形成することが好ましく、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)からなる群から選択される樹脂を用いて基材層を形成することがより好ましい。さらに、生産コストをより低くする観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いて基材層を形成することが好ましい。
なお、上記基材層は、結晶性樹脂から形成されていてもよい。ここで、「結晶性樹脂」とは、分子鎖が規則正しく配列した「結晶」が存在し、ガラス転移温度と融点を有する樹脂のことである。上記結晶性樹脂は、例えば、示差走査熱量計(DSC)およびX線回折装置によって基材層中において確認することができる。上記結晶性樹脂の例には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が含まれる。
上記ポリフェニレンサルファイド(PPS)におけるフェニレンは、p−フェニレンを含むことが好ましく、無置換のp−フェニレンであることがより好ましい。また、上記ポリフェニレンサルファイドにおける置換または無置換のp−フェニレンの含有量は、上記フェニレン全体の50%以上であることが好ましい。
上記導電性フィラーの例には、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の導電性炭素系物質、アルミニウム、銅合金等の金属または合金、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が含まれる。これらの導電性フィラーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記導電性フィラーの中では、導電性炭素系物質であるカーボンブラックが好ましい。上記カーボンブラックは、表面を酸化処理されたものであってもよい。
また、上記基材層は、必要に応じて、その他の材料を含むことができる。その他の材料の例には、分散剤および滑材が含まれる。
上記分散剤は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されない。たとえば、樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いる場合、上記分散剤は、樹脂との相溶性および導電性フィラーの分散性の観点から、エチレングリシジルメタクリレート−アクリロニトリルスチレン共重合体であることが好ましい。
上記滑材の例には、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス等の脂肪族炭化水素系、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸またはその金属塩などが含まれる。これらの滑材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらに、上記基材層には、弾性材料を添加することもできる。上記弾性材料の例には、ポリウレタン、塩素化ポリイソプレン、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、クロロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、水素添加ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム等が含まれる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記基材層の形状は、製造しようとする中間転写ベルトと略同一形状であればよく、例えば、無端状のベルトの形状であればよい。
上記基材層の厚さは、機械的強度をより高め、一方では製造コストをより低くする観点から、50〜250μmであることが好ましい。
上記レーザーは、基材層のうち、表面層が形成される表面に照射される。たとえば、基材層が無端状のベルトの形状であれば、その外側を向いた表面に周方向に照射すればよい。
上記基材層の表面に照射するレーザーの例には、波長が10.6μmであるCOレーザー、波長が1064nmであるYVOレーザーおよびYAGレーザー、波長が532nmであるSHGレーザーなどが含まれる。上記基材層全体への熱による影響を抑制し、照射された光を基材層の表面で効率よく吸収させるため、上記レーザーは、照射する波長が可視光領域であるSHGレーザーであることがより好ましい。ここで、可視光域とは、380nm〜780nmの波長の範囲をいう。
また、上記レーザーの照射は、上記基材層の表面に反応性ガスが供給されている状態で開始される。ここで、「反応性ガス」とは、通常の空気(構成は、窒素:約78.1体積%、酸素:約20.9体積%、Ar:約1.0体積%である)と酸素ガス(純度:≧99.7%)とを任意の割合で混合したガスのことをいう。また、レーザーの照射中に供給する反応性ガスに含まれる酸素の体積比は、反応性ガスの全体積100%に対して25%以上100%以下であることが好ましく、30%以上100%以下であることがより好ましい。
このように、反応性ガスの雰囲気下において基材層の表面にレーザーを照射することで、画像欠陥が生じにくくなる。これは、酸素濃度が高い反応性ガスの供給下においてレーザーの照射が行われることにより、基材層と表面層との間にアンカー効果が発現するだけでなく、レーザーの照射中に基材層の表面の化学的組成の変化も促進させていることから強い密着性が得られると考えられる。
上記レーザーは、上記反応性ガスの供給下において基材層の表面のRzが0.2μm以上となるように照射される。これにより、表面のRzを0.2μm以上にすることで、表面層の剥離が生じにくくなると考えられる。
また、上記レーザーは、基材層のRzが後の工程で形成される表面層の膜厚の半分以下となるように、照射される。ここで、上記Rzは、表面層の膜厚の半分以下であることが好ましく、表面層の膜厚の10分の1以下であることがより好ましい。Rzが表面層の膜厚の半分以下であれば、表面処理された基材層の表面粗さ(表面の凹凸)の影響を受けにくく、表面層の膜厚を均一にすることができるため、膜厚のバラツキが原因である耐久性が劣る部分の発生や抵抗ムラの発生を抑制できるからであると考えられる。
レーザーの照射条件は、基材層の表面のRzが上記範囲となるように、適宜設定できる。
上記基材層のRzは、JIS−B0601−2001に準拠して測定される。ここで、Rzとは、「最大高さ」と呼ばれる高さ方向のパラメータであり、粗さ計で測定した粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出したときの、もっとも高い部分(最大山高さ:Rp)ともっとも深い部分(最大谷深さ:Rv)との和(Rz=Rp+Rv)を示す。
(表面層を形成する工程)
本工程では、上記レーザーを照射された基材層の表面に表面層を形成する。
表面層を形成する方法は特に限定されない。たとえば、上記表面層を形成する工程は、レーザーが照射された基材層の表面に光硬化性モノマーを含有する塗布液を付与する工程と、上記付与された塗布液に活性光線を照射する工程と、を含む。
上記表面層を形成する工程では、表面層の膜厚が0.5μm以上6.0μm以下である表面層を形成することが好ましい。表面層の膜厚が0.5μm以上であると、表面層による耐久性向上の効果が十分に発揮される。また、表面層の膜厚が6.0μm以下であると、積層した中間転写ベルト全体の電気抵抗が高くなりにくいため、画像欠陥の発生を抑制することができる。
上記表面層は、上記レーザーを照射する工程の後、10時間以内に形成されることが好ましく、7時間以内に形成されることがより好ましく、5時間以内に形成されることがさらに好ましい。
上記塗布液は、光硬化性モノマーと無機化合物粒子とを含むことが好ましい。上記塗布液は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含むことができる。上記他の成分の例には、溶剤、滑性助剤、光重合開始剤および安定化剤などが含まれる。
上記光硬化性モノマーは、活性光線(主に紫外線)照射により重合および架橋する樹脂材料である。上記光硬化性モノマーの例には、ラジカル重合性モノマーが含まれる。
上記ラジカル重合性モノマーの例には、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマーおよびN−ビニルピロリドン系モノマー等の各種モノマーが含まれる。
上記ラジカル重合性モノマーとしては、活性光線の照射エネルギーの省略化、または製造作業時間の短縮の観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であることが好ましい。また、上記ラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート系モノマーであることが好ましい。また、上記基材層と密着性を有し、上記基材層を保護するのに十分な機械的強度と、上記基材層の変形に追従できる可撓性とを有する表面層を形成するには、多官能(メタ)アクリレート系モノマーがより好ましい。なお、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基の総称であり、これらの一方または両方を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。
上記多官能(メタ)アクリレート系モノマーの例には、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEA)、プロピレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPPA)およびカプロラクトン変性ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPCA)等が含まれる。特に、3官能以上のペンタエリスリトールトリアクリレートなどは、活性光線を照射されたときに速やかに反応して硬化することから、硬化時間を大幅に短縮するために有効であり、耐溶剤性や耐擦傷性といった機械的な強度を高めることができる。
上記無機化合物粒子は、表面層の耐久性を高める観点から1種またはそれ以上添加することが好ましい。ここで、表面層に対する無機化合物粒子の含有量は、10質量部以上80質量以下であることが好ましく、30質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。表面層に上記範囲の無機化合物粒子を含有することにより、表面層の耐久性を向上させるだけでなく、基材層の変形に追従できる可撓性も有することができるからである。
上記無機化合物粒子に例には、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウムおよび酸化亜鉛等無機フィラーが含まれる。その中で、金属酸化物である酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズが好ましく、酸化スズがより好ましい。上記金属酸化物の場合、表面層の硬さだけでなく、伝熱性および導電性などの向上にも寄与するからである。
また、上記無機化合物粒子は、表面処理されていることが好ましい。上記表面処理は、樹脂などの被覆成分を金属酸化物の表面に物理的に担持する処理であってもよいし、反応性の化合物を無機化合物粒子の表面と化学的に結合させる処理であってもよい。たとえば、反応性の化合物を無機化合物粒子の表面と化学的に結合させる処理方法としては、シランカップリング剤によるカップリング処理がある。上記シランカップリング剤は、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合性官能基を有することが、表面層における無機化合物粒子の分散性と表面層の機械的強度とを向上させる観点から好ましい。上記シランカップリング剤の例には、以下の化合物S−1〜S−31が含まれる。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
上記溶剤は、上記ラジカル重合性モノマーを含む上記塗布液に含まれる材料に対する相溶性を有する化合物から適宜選択することができる。上記溶剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記溶剤の例には、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどが含まれる。上記塗布液における上記溶剤の含有量は、例えば、上記塗布液の塗布性に基づいて決めることができる。上記塗布液中の溶剤の含有量は、固形分の濃度が3〜30質量%となる量であることが好ましい。
上記滑性助剤は、表面層への付着部の付着を防止する観点、または表面層の表面における滑り性を高める観点から、フルオロ基を含むことが好ましい。フルオロ基を含有する滑性助剤は、フルオロ基が表面層の表面に位置するときに当該表面の表面エネルギーを下げる方向に寄与するからである。また、上記滑性助剤は、表面層中での分散性を高める観点から、ラジカル重合性官能基を有することが好ましい。このような滑性助剤の例には、メガファックRS−55、RS−56、RS−72−K、RS−75、RS−76−E、RS−76−NS、RS−78およびRS−90(いずれもDIC株式会社製、「メガファック」は同社の登録商標)が含まれる。
上記表面層における上記滑性助剤の含有量は、上記滑性助剤による効果が得られる範囲において適宜に決めることができ、例えば、上記ラジカル重合性モノマー100質量部に対して1〜20質量部である。
上記光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記光重合開始剤の例には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、チオキサントン、ベンゾブチルエーテル、アシロキシムエステル、ジベンゾスロベンおよびビスアシルフォスフィンオキサイドが含まれる。上記塗布液における上記光重合開始剤の含有量は、例えば、上記ラジカル重合性モノマー100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。
上記安定化剤は、例えば、表面層の安定化(変性防止)に寄与する成分であり、一種でもそれ以上でもよい。上記安定化剤の例には、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤およびリン酸系防止剤が含まれる。上記塗布液中における上記安定化剤の含有量は、例えば、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して2〜10質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがさらに好ましい。
上記中間転写ベルトの上記表面層を形成する上記光硬化性モノマーは、多官能(メタ)アクリレートであり、上記基材層を形成する樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であることが好ましい。
上記塗布液は、バーコーターおよびロールコーターなどを用いる方法、浸漬法などで、上記レーザーが照射された基材層の表面に塗布することができる。
上記活性光線としては、光硬化性モノマー、すなわち、ラジカル重合性モノマーをラジカル重合させる電磁波であり、例えば、紫外線、電子線およびγ線が挙げられる。その中においては、紫外線または電子線であることが好ましく、取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという観点から紫外線であることが好ましい。
上記活性光線の光源の種類としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、UV―LEDを含むUV−LED照射装置であることが好ましい。
(基材層を形成する工程)
上記中間転写ベルトの製造方法は、レーザーを照射する工程の前に、基材層を形成する工程を有してもよい。上記基材層は、上述した材料となる樹脂と導電性フィラーとを含む混合物を溶融混練する工程と、押出法などにより中間転写ベルトの形状に成形する工程と、を有する。
(画像形成装置)
本発明の別の実施の形態は、上記製造方法で製造された中間転写ベルトを備える画像形成装置に関する。
図1は、上記画像形成装置の構成の一例を模式的に示す図である。図1に示す画像形成装置100は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50および定着装置60を有する。
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cおよび41Kを有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42および二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、前述の像担持体413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を有する。帯電装置414は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を像担持体413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザーを像担持体413に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモータ)とを含む。現像装置412は、二成分現像方式の現像装置であり、二成分現像剤を収容している。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、中間転写ベルト421を像担持体413に圧接させる一次転写ローラー422、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423、およびベルトクリーニング装置426を有する。
中間転写ベルト421は、前述の製造方法によって製造された基材層および表面層によって構成されている。ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421に当接する、弾性を有するクリーニングブレード426aを有する。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
二次転写ユニット43は、無端状の二次転写ベルト432、および二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431を有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431Aおよび支持ローラー431によってループ状に張架される。
定着装置60は、例えば、定着ローラー62と、定着ローラー62の外周面を覆い、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解するための無端状の発熱ベルト10と、用紙Sを定着ローラー62および発熱ベルト10に向けて押圧する加圧ローラー63と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
画像読取部110は、給紙装置111およびスキャナー112を有する。用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する三つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
画像形成装置100による画像の形成を説明する。スキャナー112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサ112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
像担持体413は一定の周速度で回転する。帯電装置414は、像担持体413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411では、ポリゴンモータのポリゴンミラーが高速で回転し、各色成分の入力画像データに対応するレーザーが、像担持体413の軸方向に沿って展開し、当該軸方向に沿って像担持体413の外周面に照射される。こうして像担持体413の表面には、静電潜像が形成される。
現像装置412では、上記現像容器内の二成分現像剤の撹拌、搬送によってトナー粒子が帯電し、二成分現像剤は現像ローラーに搬送され、当該現像ローラーの表面で磁性ブラシを形成する。帯電したトナー粒子は、上記磁性ブラシから像担持体413における静電潜像の部分に静電的に付着する。こうして、像担持体413の表面の静電潜像が可視化され、像担持体413の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。なお、「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態を言う。
像担持体413の表面のトナー画像は、中間転写ユニット42によって中間転写ベルト421に転写される。転写後に像担持体413の表面に残存する転写残トナーは、像担持体413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有するドラムクリーニング装置415によって除去される。
一次転写ローラー422によって中間転写ベルト421が像担持体413に圧接することにより、像担持体413と中間転写ベルト421とによって、一次転写ニップが像担持体ごとに形成される。当該一次転写ニップにおいて、各色のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重なって転写される。
一方、二次転写ローラー431Aは、中間転写ベルト421および二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。それにより、中間転写ベルト421と二次転写ベルト432とによって、二次転写ニップが形成される。当該二次転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって二次転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正および搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
上記二次転写ニップに用紙Sが搬送されると、二次転写ローラー431Aへ転写バイアスが印加される。この転写バイアスの印加によって、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
定着装置60は、発熱ベルト10と加圧ローラー63とによって、定着ニップを形成し、搬送されてきた用紙Sを当該定着ニップ部で加熱、加圧する。こうしてトナー画像が用紙Sに定着する。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
なお、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、クリーニングブレード426aによって除去される。中間転写ベルト421の表面層は、クリーニングブレード426aとの摩擦によって摩耗する。しかしながら、前述したように、中間転写ベルト421は、その面方向において均一に硬化してなる表面層を有することから、クリーニングブレード426aとの摩擦によって均一に摩耗し、偏摩耗が防止される。よって、中間転写ベルト421による所期の転写性能が長期に亘って発現され、偏摩耗による転写不良およびそれに伴う画像不良の発生が長期にわたって抑制される。
本発明を、以下の試験を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の試験に限定されない。
[試験1]
(基材層の作製)
下記の成分を下記の量で単軸押出機に投入し、溶融混練させて樹脂混合物を作製した。
樹脂 100 体積部
導電性フィラー 16 体積部
分散剤 1 体積部
滑剤 0.2 体積部
樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)であり、トレリナ E2180(東レ株式会社製、「トレリナ」は同社の登録商標)である。導電性フィラーは、カーボンブラックであり、ファーネス#3030B(三菱ケミカル株式会社製)であり、基材層に電気抵抗値を付与するものである。分散剤は、モディパーA4400(日油株式会社製、「モディパー」は同社の登録商標)であり、エンジニアリングプラスチックスの耐衝撃性を付与し、顔料の分散剤として機能するものである。滑剤は、モンタン酸カルシウムであり、セリダスト5551(クラリアント社製、「セリダスト」は同社の登録商標)である。溶融混練には、単軸混練押出機「IPM−65」(株式会社シーティーイー製)を用いた。
上記樹脂混合物を130℃で8時間乾燥し、直径150mm、リップ幅1mmの6条スパイラル型環状ダイス付き40mm径の押出機により溶融し、上記樹脂混合物の溶融物を、上記環状ダイスと同一軸線上に支持棒を介して配置されている外径239mmの冷却マンドレルの外表面に接触させて冷却固化させて筒状の成形体を作製した。この成形体の筒の内側に配置されている中子と、当該筒の外側に配置されているロールとによって上記成形体を円筒形に保持した状態で引っ張りつつ、360mmの長さで切断し、無端状の中間転写ベルトの基材層を得た。得られた基材層の厚さは、120μmであった。
(基材層のレーザー処理)
上記で作製した基材層に、空気44L/minと酸素6L/min(反応性ガス中の酸素の割合が30.4%)を混合したガスを50L/minの流量で供給し、上記基材層の表面を空気から混合ガスに置換した。次に、上記流量で上記基材層の表面に混合ガスの供給を続けながら、上記表面に照射波長が1064nmであるレーザーマーカ「MD−X1020(株式会社キーエンス製)」を用いてレーザーを照射した。なお、以下の試験において、上記装置の出力を1.2〜6W、スキャン速度を2000〜8000mm/s、Qスイッチ周波数を20〜80kHz、デフォーカス値を−21〜+21mm、線間隔を20〜400μmの範囲で調整してレーザーを照射した。
レーザーを照射した基材層の表面のRzを「サーフコム1400D」(株式会社東京精密製、「サーフコム」は同社の登録商標)を用いて下記条件下で測定したところ、0.33μmだった。
(測定条件)
ピックアップ(検出器) E−DT−S03A
測定子 DM43801(先端半径2μm、60°円錐ダイヤ)
パラメータ算出規格 JIS B 0601−2001
カットオフ種別 ガウシアン
傾斜補正 最小二乗直線補正
測定長さ 8.0mm
カットオフ波長 0.25mm
測定速度 0.3mm/s
(表面層の塗布液の作製)
下記の成分を下記の量で混合して、塗布液を調製した。
光硬化性モノマー 85 質量部
滑性助剤 5 質量部
無機化合物の粒子 10 質量部
上記光硬化性モノマーは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)であり、KAYARAD DPHA(日本化薬株式会社製、「KAYARAD」は同社の登録商標)である。また、滑性助剤は、フッ素系添加剤である、メガファックRS−56(DIC株式会社製)であり、低表面エネルギー基を有する重合成分である。無機化合物の粒子は、酸化スズの超微粒子である、「ナノテック(CIKナノテック株式会社製)」(100質量部)を、シランカップリング剤である「KBM−503(信越化学工業株式会社製)」(5質量部)でカップリング処理したものである。
上記塗布液の粘度が1mPa・sになるように、溶剤であるメチルエチルケトン(MEK)中にDPHA、滑性助剤、表面処理酸化スズを溶解させ、その後、分散させることにより、塗布液を調製した。塗布液の粘度は、液温20℃で粘度計「DV3TL(英弘精機株式会社製)」にて計測した。
(表面層の形成)
浸漬塗布用の塗布装置を使用して、上記基材層の表面に塗布液を塗布するまでの時間を15分として、中間転写体用の樹脂基材層の表面上に表面層形成用塗布液を塗布し、塗膜を形成した。次に、塗膜が形成された基材層を2軸ローラーにて把持し、回転速度10mm/secで回転させながら、塗膜に活性光線として紫外線を下記の照射条件で照射し、膜厚が4.3μmである表面層を形成した。
(紫外線の照射条件)
光源の種類:UV−LEDランプ「UV−SPVシリーズ」(レボックス株式会社製)
光源の波長:365nm
照射口から塗膜の表面までの距離:40mm
照射光量:100mw/cm
照射時間(基材を回転させている時間):150秒
[試験2]
塗布液を構成する成分を下記のように変更し、基材層のRzが0.32μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.5μmになるように表面層を形成した以外は、試験1と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
光硬化性モノマー 46 質量部
滑性助剤 4 質量部
無機化合物の粒子 50 質量部
[試験3]
塗布液を構成する成分を下記のように変更し、基材層のRzが0.33μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.2μmになるように表面層を形成した以外は、試験1と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
光硬化性モノマー 18 質量部
滑性助剤 2 質量部
無機化合物の粒子 80 質量部
[試験4]
基材層のレーザー処理条件を1064nmから532nmに変更し、基材層のRzが0.35μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.3μmになるように表面層を形成した以外は、試験2と同様にして、中間転写ベルトを製造した。なお、使用したレーザーマーカは、MD−S9920A(株式会社キーエンス製)である。
[試験5]
基材層のRzが1.22μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が2.5μmになるように表面層を形成した以外は、試験2と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験6]
基材層のRzが0.21μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が0.52μmになるように表面層を形成した以外は、試験2と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験7]
基材層のRzが0.36μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が6.0μmになるように表面層を形成した以外は、試験2と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験8]
基材層のRzが0.21μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が0.45μmになるように表面層を形成した以外は、試験2と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験9]
基材層のRzが0.37μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が6.8μmになるように表面層を形成した以外は、試験2と同様に、中間転写ベルトを製造した。
[試験10]
レーザーを照射する工程の後、基材層の表面に塗布液を塗布するまでの時間を15分から10時間に変更し、基材層のRzが0.33μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.0μmになるように表面層を形成した以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験11]
レーザーを照射する工程の後、基材層の表面に塗布液を塗布するまでの時間を15分から12時間に変更し、基材層のRzが0.31μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.4μmになるように表面層を形成した以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験12]
基材層に供給するガスを、空気44L/minと酸素6L/min(反応性ガス中の酸素の割合が30.4%)を混合したガスから空気47L/minと酸素3L/min(反応性ガス中の酸素の割合が25.7%)を混合したガスに変更し、基材層のRzが0.33μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.1μmになるように表面層を形成した以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験13]
基材層に供給するガスを、空気44L/minと酸素6L/min(反応性ガス中の酸素の割合が30.4%)を混合したガスから空気35L/minと酸素15L/min(反応性ガス中の酸素の割合が44.7%)を混合したガスに変更し、基材層のRzが0.34μmになるように基材層の表面をレーザー処理し、基材層の表面に形成された表面層の膜厚が4.3μmになるように表面層を形成した以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験14]
基材層に供給するガスを混合ガス(空気44L/minと酸素6L/min(反応性ガス中の酸素の割合が30.4%)を混合したガス)から空気(空気中の酸素の割合は約20.9%)に変更した以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験15]
2軸の金属ローラーをアースし、コロナ放電処理機の電極を上記アースした金属ローラー上の試験1で作製した基材層から2mm離して設置した。基材層表面への単位面積当たりの印加エネルギーが365kJ/mとなる条件で基材層の表面をコロナ処理した。上記工程以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験16]
基材層を2軸の金属ローラーで把持し、線速130mm/secで回転させながら、ラッピングフィルムシート「粒度15μm(#1000)(スリーエム ジャパン株式会社製)」をゴムパッドを介してローラー上の基材に押し当てて研磨した。上記工程以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験17]
基材層を2軸ローラーで把持し、線速130mm/secで回転させながら、ラッピングフィルムシート「粒度15μm(#1000)(スリーエム ジャパン株式会社製)」を、ゴムパッドを介してローラー上の基材に押し当てて研磨した。次に、基材層を把持した2軸の金属ローラーをアースし、コロナ放電処理機の電極を上記アースした金属ローラー上の試験1で作製した基材層から2mm離して設置した。次に、基材層表面への単位面積当たりの印加エネルギーが365kJ/mとなる条件で、基材層の表面をコロナ処理した。上記工程以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験18]
基材層を把持した2軸の誘電体で被覆した金属ローラーをアースし、誘電体で被覆した電極をアースした金属ローラー上の基材層から1mm離して設置した。基材層と誘電体で被覆した電極の間にヘリウムと酸素の混合ガス(混合ガス中の割合はヘリウムが98%、酸素が2%である)を供給しながら、基材層表面への単位面積当たりの印加エネルギーが500kJ/mとなる条件で、基材層の表面をプラズマ処理した。上記工程以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
[試験19]
(基材層の外面形状矯正)
無端状の中間転写ベルトの内面に平滑な金属板を挿入し、中間転写ベルトと接する面を粗面化した。次に、85℃に加熱した金属板を中間転写ベルトの外面に押し当て、基材層の表面に微小な凹凸形状を形成した。上記工程以外は、試験4と同様にして、中間転写ベルトを製造した。
上記試験1〜19で得られた中間転写ベルトのクロスカット法による付着性試験を行った。
(付着性試験)
上記クロスカット法は、JISK 5600−5−6に準拠して行った。その評価基準を下記に示す。
(評価基準)
評価基準は、JISK 5600−5−6に準拠した。
また、上記試験1〜19で得られた中間転写ベルトの耐久試験および画像評価を下記条件で行った。
(耐久性試験方法)
カラー複合機「bizhub C368(コニカミノルタ株式会社製)」に、試験1〜19で得られた中間転写ベルトを搭載し、20℃50%RHにて印字率5.0%の画像を中性紙に100万枚印字した。その後、以下の画像評価を行った。
(画像評価)
カラー複合機「bizhub C368」(コニカミノルタ社製)を準備し、本機器に試験1〜24で得られた中間転写ベルトを搭載し、シアンのハーフトーン(階調120)のベタ画像を中性紙に出力した。次に、ベタ画像の画像濃度をスキャナーで取り込み、フォトショップ(登録商標)(「Photoshop」Adobe社製)を用いた画像処理により平均濃度を算出して、以下の評価基準により転写性を評価した。
(評価基準)
下記に示すA〜Eの基準のうちC以上を合格とした。
A:平均濃度90%以下の面積率が2.0%以下
B:平均濃度90%以下の面積率が2.0%超2.5%以下
C:平均濃度90%以下の面積率が2.5%超3.0%以下
D:平均濃度90%以下の面積率が3.0%超5.0%以下
E:平均濃度90%以下の面積率が5.0%超
中間転写ベルトの耐久性試験後の画像評価結果を表1に示す。
Figure 2020034728
表1から明らかなように、反応性ガスを供給しながらレーザーを照射した中間転写ベルトは、良好な耐久性試験後の画像評価を得られた。
レーザーの波長(532nmと1064nm)を比較した場合、波長を532nmにした場合には、無機化合物粒子の配合量が多くなった場合であっても良好な結果が得られた。それに対して、1064nmでは無機化合物粒子の配合量を増やすにつれて、532nmよりも評価結果が劣った。理由としては、レーザー波長が532nmである方が、基材表面での吸収率が高く、基材層のより深い部分までレーザー照射で生じる熱の影響を受けにくいことが考えられる。さらに、レーザーの照射スポットの中心の最もエネルギーが高い部分での導電性フィラーの分散性の悪化を防ぐことが可能となることから評価結果が安定していると考えられる。したがって、無機化合物粒子の配合量を広く選択できるという観点からは、レーザーの波長は532nmが適していると考えられる。
基材層の表面処理の方法として、レーザーを採用することにより、その他の表面処理方法(試験16、17)のように表面粗さ(Rz)を大きくしなくても、評価基準を満たす良好な耐久性を得ることができることがわかった。これは、表面処理の影響による膜厚ムラが抑制されるとともに、表面層の部分剥離や剥離に起因するクラックによる抵抗ムラも抑制されるので、画像欠陥が生じにくくなると考えられる。
基材層の表面処理方法としてコロナ処理、プラズマ処理を選択した場合には、いずれも評価基準を満たす結果を得ることができなかった。これは、表1に示されるように、表面粗さ(Rz)がレーザー処理よりもかなり小さく、表面に化学変化が起こっていたとしても、基材層の表面に十分な凹凸が形成されていないため評価基準を満たせなかったと考えられる。また、金型転写を選択した場合においても、評価基準を満たす結果を得ることができなかった。これは、基材層の表面を加熱した金属板で凹凸形状を形成しているのみであるためであると考えられる。
以上により、基材層の表面をレーザー照射することにより、表面に凹凸が形成されるだけでなく、表面で化学変化を生じさせながら粗面化することで、基材層と表面層に高い密着性が得られるものと考えられる。
また、試験1〜13に示されるように、反応性ガスを供給しながらレーザー照射をすることにより、良好な評価結果が得られた。特に、反応性ガス中の酸素の体積比率が30%以上であるときが良好であった。この結果により、酸素濃度が高いガスを供給しながらレーザーを照射すると、基材層の表面で生じる化学変化が促進されることにより高い密着性が発現されたと考えられる。
また、基材層の表面に塗布液を塗布するまでの時間は、レーザー照射から10時間以内に行うことにより、良好な耐久性試験後の画像評価を得られることがわかった。これにより、レーザー照射から10時間以内であれば、基材層の表面に形成された凹凸や、表面が改質された状態が持続していると推測される。
本発明によれば、表面層の部分剥離やクラックが生じることのない中間転写ベルトを製造する方法として有用である。
10 発熱ベルト
30 画像処理部
40 画像形成部
41Y、41M、41C、41K 画像形成ユニット
42 中間転写ユニット
43 二次転写ユニット
50 用紙搬送部
51 給紙部
51a、51b、51c 給紙トレイユニット
52 排紙部
52a 排紙ローラー
53 搬送経路部
53a レジストローラー対
60 定着装置
62 定着ローラー
63 加圧ローラー
100 画像形成装置
110 画像読取部
111 給紙装置
112 スキャナー
112a CCDセンサ
411 露光装置
412 現像装置
413 像担持体
414 帯電装置
415 ドラムクリーニング装置
421 中間転写ベルト
422 一次転写ローラー
423 支持ローラー
423A バックアップローラー
426 ベルトクリーニング装置
426a クリーニングブレード
431 支持ローラー
431A 二次転写ローラー
432 二次転写ベルト
D 原稿
S 用紙

Claims (11)

  1. 少なくとも基材層および前記基材層の表面に接して形成された表面層を有する中間転写ベルトを製造する方法であって、
    前記基材層の表面に反応性ガスを供給しながら、前記基材層の表面にレーザーを照射する工程と、
    前記レーザーを照射された基材層の表面に表面層を形成する工程と、
    を有する中間転写ベルトの製造方法。
  2. 前記レーザーは、前記基材層の表面のRz(JIS−B0601−2001に準拠)が、0.2μm以上であり、かつ、前記表面層の膜厚の半分以下となるように照射される、
    請求項1に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  3. 前記表面層を形成する工程は、膜厚が0.5μm以上6.0μm以下である表面層を形成する工程である、請求項1または請求項2に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  4. 前記照射されるレーザーは、波長が可視光域に含まれるレーザーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  5. 前記表面層を形成する工程は、前記レーザーを照射する工程の後、10時間以内に行われる工程である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  6. 前記レーザーを照射する工程は、前記レーザーを照射する前に前記基材層の表面へ反応性ガスの供給を開始し、前記レーザーの照射が完了するまで前記反応性ガスの供給を続ける工程を含む工程である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  7. 前記反応性ガスに含まれる酸素の体積比は、前記反応性ガス全体積に対して30%以上100%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の中間転写ベルトの製造方法。
  8. 少なくとも基材層および前記基材層の表面に接して形成された表面層を有する中間転写ベルトであって、
    前記表面層における無機化合物粒子の含有量は、前記表面層を構成する塗布液の全質量に対して10質量部以上80質量部以下であり、
    前記基材層の表面のRz(JIS−B0601−2001に準拠)は、0.2μm以上、かつ、前記表面層の膜厚の半分以下であり、
    前記基材層の表面に接して形成された表面層の付着性は、クロスカット法(JIS K 5600−5−6に準拠)による試験結果の分類において0または1である、中間転写ベルト。
  9. 前記表面層の膜厚は、0.5μm以上6.0μm以下である、請求項8に記載の中間転写ベルト。
  10. 前記表面層における無機化合物粒子の含有量は、前記表面層を構成する塗布液の全質量に対して30質量部以上60質量部以下である、請求項8または請求項9に記載の中間転写ベルト。
  11. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法で製造した中間転写ベルトを備える、画像形成装置。
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JP2021137097A (ja) * 2020-03-02 2021-09-16 株式会社三共 遊技機
JP2021137099A (ja) * 2020-03-02 2021-09-16 株式会社三共 遊技機

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