JP6191652B2 - 中間転写ベルトおよび画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、中間転写ベルトおよびこの中間転写ベルトを備えた画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、例えば、像担持体(感光体)上に形成された潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を無端ベルト状の中間転写ベルトに一時的に保持させ、中間転写ベルト上のトナー像を紙などの画像支持体上に転写することが行われている。
このような中間転写ベルトを用いた画像形成装置における更なる高画質化の手段として、基材上にゴムなどの弾性体によって弾性層を形成させ、凹凸紙との密着性を高めることによって転写性を向上させた中間転写ベルトを用いることが提案されている。
然るに、弾性層が露出された中間転写ベルトは、表面がゴムなどの柔らかい物質からなるために耐摩耗性が低く、使用時に表面が削れてしまうという問題がある。
このような問題を解決するために、弾性層上に例えば架橋性モノマーを重合反応によって硬化した架橋型樹脂による表面層を形成することが行われており、このような架橋型樹脂を得るためのモノマーとしては、例えば、多官能アクリレートとウレタンアクリレートとの組み合わせなどが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、多官能アクリレートとウレタンアクリレートとの共重合体からなる架橋型樹脂による表面層は、弾性層に対する追従性が低く、従って中間転写ベルトを循環移動させて用いたときに屈曲部において表面層の割れなどの損傷が発生してしまう、という問題がある。
特開2009−62499号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、優れた凹凸紙への転写性を有しながらも、優れた耐摩耗性を有し、しかも、十分な耐割れ性が得られる中間転写ベルトおよびこれを備える画像形成装置を提供することにある。
本発明の中間転写ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に備えられる中間転写ベルトであって、
基材上に弾性層および表面層がこの順に積層されてなり、
前記表面層が、ウレタンアクリレートと、脂環構造を有する単官能アクリレートおよび複素環構造を有する単官能アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上との共重合体からなるアクリル樹脂を含有するものであり、
前記脂環構造を有する単官能アクリレートにおける脂環構造が、シクロアルキル基またはジシクロアルキル基からなることを特徴とする。
本発明の中間転写ベルトにおいては、前記複素環構造を有する単官能アクリレートにおける複素環構造が、飽和複素環からなることが好ましい。
本発明の中間転写ベルトにおいては、前記脂環構造を有する単官能アクリレートおよび複素環構造を有する単官能アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上に対するウレタンアクリレートの質量比が、10/90〜50/50の範囲であることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、像担持体上に静電的に形成されたトナー像を、循環移動する中間転写ベルトに一次転写する一次転写手段と、中間転写ベルト上に形成される中間トナー像を画像支持体に二次転写する二次転写手段とを具える電子写真方式の画像形成装置において、
中間転写ベルトが上記の中間転写ベルトからなることを特徴とする。
本発明の中間転写ベルトによれば、表面層が、ウレタンアクリレートと、脂環構造を有する単官能アクリレートおよび複素環構造を有する単官能アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上との共重合体からなるアクリル樹脂を含有するので、優れた凹凸紙への転写性を有しながらも、優れた耐摩耗性を有し、しかも、十分な耐割れ性が得られる。
本発明の中間転写ベルトの構成の一例を示す説明用断面図である。 本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔中間転写ベルト〕
本発明の中間転写ベルトは、電子写真方式の画像形成装置に備えられる、例えば無端ベルト状のものであって、具体的には、図1に示すように、基材2上に弾性層3が形成され、この弾性層3上に表面層4が形成されてなる。
〔基材2〕
本発明の中間転写ベルトを構成する基材2は、例えば無端ベルト状のものであり、単層構成であっても、2層以上の複数層構成であってもよい。
基材2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)などの高強度および高耐久性を有するものを用いることが好ましい。
また、基材2は、上記のような樹脂に導電性フィラーを分散させ、導電性を有するものであることが好ましい。
導電性フィラーとしては、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどを用いることができる。
基材2の層厚は、機械的強度、画質などを考慮し、50〜250μmであることが好ましい。
〔弾性層3〕
本発明の中間転写ベルトを構成する弾性層3は、弾性体よりなり、その構成材料としては、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂などが挙げられる。特に、硬度および耐久性の観点から、例えばクロロプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、水素添加ニトリルブタジエンゴムなどが好ましく挙げられる。
これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
弾性層3の層厚は、機械的強度、画質などを考慮し、200〜500μmであることが好ましい。
〔表面層4〕
本発明の中間転写ベルトを構成する表面層4は、(A)脂環構造を有する単官能アクリレートおよび複素環構造を有する単官能アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上(以下、「特定の単官能アクリレート」ともいう。)と、(B)ウレタンアクリレートとの共重合体からなるアクリル樹脂(以下、「特定のアクリル樹脂」ともいう。)を含有するものである。
〔(A)特定の単官能アクリレート〕
特定のアクリル樹脂を形成するための特定の単官能アクリレートは、1分子中に1個のアクリロイル基と、脂環構造および/または複素環構造とを有するものである。
脂環構造を有する単官能アクリレートとしては、当該脂環構造がシクロアルキル基またはジシクロアルキル基からなる化合物を用いることが好ましく、特に脂環構造がシクロアルキル基からなる化合物を用いることが好ましい。
脂環構造を有する単官能アクリレートの具体例としては、シクロヘキシルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどが挙げられる。
複素環構造を有する単官能アクリレートとしては、当該複素環構造が飽和複素環からなる化合物を用いることが好ましい。また、複素環構造を有する単官能アクリレートとしては、当該複素環構造が五員環、六員環および七員環のいずれかからなる化合物を用いることが好ましい。
複素環構造を有する単官能アクリレートの具体例としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ピペリジルアクリレート、ペンタメチルピペリジルアクリレート、4−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
以上の特定の単官能アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔(B)ウレタンアクリレート〕
(B)ウレタンアクリレートとしては、ウレタン結合を有し、かつ、1分子中に1個以上のアクリロイルオキシ基を有する化合物であれば特に限定されずに用いることができる。
(B)ウレタンアクリレートとしては、例えば、主鎖にウレタン結合を有し、1個以上のアクリロイルオキシ基が主鎖の末端または側鎖に結合しているオリゴマーやポリマーを用いることができる。
(B)ウレタンアクリレートの数平均分子量は、3,000以上30,000以下であることが好ましく、特に好ましくは10,000以上20,000以下である。
(B)ウレタンアクリレートの数平均分子量が上記範囲内にあることにより、特定のアクリル樹脂に柔軟性と伸張性を確実に与えることができ、また、強度低下を抑えることができる。
(B)ウレタンアクリレートの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)法により測定される値である。
以上のウレタンアクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような特定のアクリル樹脂を構成する共重合体における(A)特定の単官能アクリレートおよび(B)ウレタンアクリレートの共重合比、すなわち(A)特定の単官能アクリレートに対する(B)ウレタンアクリレートの質量比は、10/90〜50/50の範囲であることが好ましい。
特定のアクリル樹脂を構成する共重合体における(A)特定の単官能アクリレートおよび(B)ウレタンアクリレートの共重合比が上記の範囲にあることにより、凹凸紙への転写性、耐摩耗性および耐割れ性を確実に両立して得ることができる。(B)ウレタンアクリレートの共重合比が50質量%未満である場合は、得られる表面層に靭性が不足し、脆いものとなって耐摩耗性を満足に得ることができない。一方、(B)ウレタンアクリレートの共重合比が90質量%を超える場合は、得られる表面層に十分な硬度が確保されず、耐摩耗性に劣り、紙などの画像支持体や感光体などの摺擦部材により削られてしまう。
特定のアクリル樹脂を構成する共重合体は、上記の(A)特定の単官能アクリレートおよび(B)ウレタンアクリレートのみからなる共重合体であることに限定されず、耐割れ性および耐摩耗性などの特性を阻害しない少量の範囲においてその他の重合性成分が共に重合されたものであってもよい。その他の重合性成分としては、3官能以上の多官能アクリレートなどが挙げられる。
表面層4中には、必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤などの添加成分が含有されていてもよい。
表面層4の摩擦係数は、0.5以下であることが好ましい。
表面層4の摩擦係数が0.5以下であることによって、表面にタック性が残ることを確実に抑制することができる。
表面層4の摩擦係数は、ポータブル摩擦計「TYPE94i−II」(新東科学社製)を用い、接触子にネル生地を取り付けた条件で測定されるものである。
また、表面層4は、破断伸びが15〜200%であることが好ましい。
表面層4の破断伸びが15%以上のものであることにより、高い耐割れ性が得られる。一方、表面層4の破断伸びが200%以下のものであることにより、高い耐摩耗性が得られる。
表面層4の破断伸びは、単膜として形成したものについてJIS K7161に準拠して測定されるものとされる。
表面層4の層厚は、機械的強度、画質などを考慮し、0.5〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
以上のような中間転写ベルトによれば、表面層4が、(A)特定の単官能アクリレートと(B)ウレタンアクリレートとの共重合体からなる特定のアクリル樹脂を含有するので、優れた凹凸紙への転写性を有しながらも、優れた耐摩耗性を有し、しかも、十分な耐割れ性が得られる。
これは、(A)特定の単官能アクリレートが脂環構造および/または複素環構造を有するものであるので、鎖状の単官能アクリレートを用いた場合に比較して表面層4を構成する樹脂内において分子運動が拘束され、表面層4に硬さが得られて所期の耐摩耗性が得られ、かつ、多官能アクリレートを用いた場合に比較して表面層4を構成する樹脂に架橋構造が形成されることがなく、表面層4の硬さが大きすぎずに屈曲部においても弾性層3に追従させることができて所期の耐割れ性が得られることによるものと推測される。
また、芳香族環を有する単官能アクリレートや直鎖構造を有する単官能メタクリレートを用いた場合に比較して共重合に係るランダム性が高く、その結果、得られる共重合体が極度に硬い部分や柔らかい部分を有さずに全体的に優れた耐摩耗性および耐割れ性が得られる。
さらに、(A)特定の単官能アクリレートと(B)ウレタンアクリレートとの共重合体は適度に高いガラス転移点を有するので、表面にタック性が残ることが抑制される。
〔中間転写ベルトの製造方法〕
本発明の中間転写ベルトは、例えば、基材2上に弾性層3を形成するための弾性層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥させることにより、弾性層3を形成し、当該弾性層3上に表面層4を形成するための、(A)特定の単官能アクリレートおよび(B)ウレタンアクリレートを含む重合性成分と、重合開始剤とを含有する塗布液(以下、「表面層形成用塗布液」ともいう。)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に活性エネルギー線を照射するなどして重合性成分を重合させることにより、表面層4を形成し、これにより、製造することができる。
基材2の作製方法としては、構成材料としてポリイミド樹脂を用いる場合においては、例えば、ポリアミド酸溶液を円筒状金型の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式やさらに遠心する方式、または注形型に充填する方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベル卜形に成形し、その成形物を加熱処理してポリアミド酸をイミドに転化して型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる(特開昭61−95361号公報、特開昭64−22514号公報、特開平3−180309号公報など)。無端ベルト状の基体の製造に際しては、型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
弾性層形成用塗布液は、例えば、弾性層を形成する構成材料を溶剤に固形分濃度20〜30質量%の割合で添加することにより調製される。
弾性層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ディッピング塗布などが挙げられる。
表面層形成用塗布液に含有される重合開始剤は、光などの活性エネルギー線によって重合性成分を重合させることができるものであれば特に限定されずに用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物などの光重合開始剤を用いることができる。
具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などが挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、光安定性、光開裂の高効率性、表面硬化性、特定のアクリル樹脂との相溶性、低揮発性および低臭気性が得られるという観点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンを用いることが好ましい。
表面層形成用塗布液における重合開始剤の含有割合は、1〜10質量%であることが好ましく、硬化性に優れ、得られる表面層に十分な硬度が得られながら弾性層への高い密着性が得られるという理由から、2〜8質量%であることがより好ましく、3〜6質量%であることがさらに好ましい。
表面層形成用塗布液は、塗布性(作業性)が良好となるという理由から、溶剤を含有することが好ましい。
溶剤としては、具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
表面層形成用塗布液は、例えば、(A)特定の単官能アクリレートおよび(B)ウレタンアクリレートを含む重合性成分および重合開始剤、並びに必要に応じてその他の成分を溶剤に添加して溶解または分散させることにより、調製することができる。
表面層形成用塗布液の粘度は、10〜100cPであることが好ましい。
表面層形成用塗布液の固形分濃度は、5〜40質量%であることが好ましい。なお、表面層形成用塗布液において、固形分は、(A)特定の単官能アクリレートおよび(B)ウレタンアクリレートとされる。
表面層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬塗布法やスプレー塗布法などが挙げられる。
重合性成分の硬化方法としては、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線などを用いることができ、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であればいずれも使用でき、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光なども用いることができる。スポット状の活性エネルギー線を照射するには、紫外線レーザーを使用することが好ましい。
活性エネルギー線の照射条件はそれぞれの活性エネルギー線源によって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、500mJ/cm2 以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5J/cm2 、特に好ましくは1〜3J/cm2 である。
照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
活性エネルギー線の照射時間は10秒間〜8分間が好ましく、硬化効率、作業効率などからさらに好ましくは30秒間〜5分間である。
活性エネルギー線の照射時の雰囲気は、空気雰囲気であっても支障なく硬化することができるが、硬化ムラ、硬化時間などを考慮すると、雰囲気中の酸素濃度が1%以下、特に500ppm以下とされることが好ましい。このような雰囲気にするには、照射時の雰囲気を、窒素ガスなどを導入して形成することが有効である。
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計「OX100」(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
表面層形成用塗布液を弾性層上に塗布した後、乾燥させることが好ましい。これにより溶剤が除去される。
塗膜の乾燥は、重合性成分の重合の前後、およびその重合中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択することができるが、具体的には、塗膜の流動性がなくなる程度まで一次乾燥した後、重合性成分の重合を行い、その後、さらに表面層中の揮発性物質の量を規定量にするために二次乾燥を行うことが好ましい。
塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、形成すべき表面層の層厚などよって適宜選択することができるが、乾燥温度は、例えば60〜120℃であることが好ましく、より好ましくは60〜100℃である。乾燥時間は、例えば1〜10分間であることが好ましく、より好ましくは5分間程度である。
〔画像形成装置〕
本発明の画像形成装置は、以上のような中間転写ベルトを備えるものである。本発明の画像形成装置は、モノクロの画像形成装置やフルカラーの画像形成装置など電子写真方式の公知の種々の画像形成装置とすることができる。
図2は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置は、複数組の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkと、これらの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkにおいて形成されたトナー像を画像支持体P上に転写する中間転写部10と、加熱しながら加圧して画像支持体Pにトナー像を定着させる定着装置30とを有する。
画像形成ユニット20Yにおいてはイエローのトナー像形成が行われ、画像形成ユニット20Mにおいてはマゼンタ色のトナー像形成が行われ、画像形成ユニット20Cにおいてはシアン色のトナー像形成が行われ、画像形成ユニット20Bkにおいては黒色のトナー像形成が行われる。
画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkは、像担持体である感光体11Y,11M,11C,11Bkと、当該感光体11Y,11M,11C,11Bkの表面に一様な電位を与える帯電手段23Y,23M,23C,23Bkと、一様に帯電された感光体11Y,11M,11C,11Bk上に所望の形状の静電潜像を形成する露光手段22Y,22M,22C,22Bkと、有彩色トナーを感光体11Y,11M,11C,11Bk上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段21Y,21M,21C,21Bkと、一次転写後に感光体11Y,11M,11C,11Bk上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段25Y,25M,25C,25Bkとを備えるものである。
中間転写部10は、循環移動する中間転写ベルト16と、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkによって形成されたトナー像を中間転写ベルト16に転写する、一次転写手段としての一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkと、一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkによって中間転写ベルト16上に転写された有彩色トナー像を画像支持体P上に転写する、二次転写手段としての二次転写ローラ13Aと、中間転写ベルト16上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段12とを有する。
中間転写ベルト16として本発明の中間転写ベルトが用いられている。
この中間転写ベルト16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
そして、中間転写ベルト16は、基材2の外周面に弾性層3および特定のアクリル樹脂を含有する表面層4が形成されてなる構造を有するものである。
画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Bkにより形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ13Y,13M,13C,13Bkにより、回動する無端の中間転写ベルト16上に逐次転写されて、重畳されたカラー像が形成される。給紙カセット41内に収容された画像支持体Pは、給紙搬送手段42により給紙され、複数の中間ローラ44a〜44d、レジストローラ46を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ13Aに搬送され、画像支持体P上にカラー像が一括転写される。
カラー像が転写された画像支持体Pは、熱ローラ定着器が装着された定着装置30により定着処理され、排紙ローラに挟持されて機外の排紙トレイ上に載置される。
一方、二次転写ローラ13Aにより画像支持体Pにカラー像を転写した後、画像支持体Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト16は、クリーニング手段12により残留トナーが除去される。
以上のような画像形成装置によれば、上記の中間転写ベルトを備えることにより、優れた凹凸紙への転写性を有しながらも、中間転写ベルトに優れた耐摩耗性が得られ、しかも、十分な耐割れ性が得られる。
〔現像剤〕
本発明の画像形成装置において用いられる現像剤は、磁性または非磁性のトナーによる一成分現像剤であってもよく、トナーとキャリアとが混合された二成分現像剤であってもよい。
現像剤を構成するトナーとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が3〜9μmであり、重合法によって得られたいわゆる重合トナーを用いることが好ましい。重合トナーを用いることにより、形成される画像において高い解像力および安定した画像濃度が得られると共に画像カブリの発生が極めて抑制される。
二成分現像剤を構成する場合のキャリアとしては、特に限定されずに公知の種々のものを使用することができるが、例えば体積基準のメジアン径が30〜65μmであり、磁化量が20〜70emu/gの磁性粒子からなるフェライトキャリアが好ましい。体積基準のメジアン径が30μm未満のキャリアを用いた場合は、キャリア付着が発生して白抜け画像が生じるおそれがあり、また、体積基準のメジアン径が65μmよりも大きなキャリアを用いた場合は、均一な画像濃度の画像が形成されない場合が生じうる。
〔画像支持体〕
本発明の画像形成装置に使用される画像支持体Pとしては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、レザック紙などの凹凸紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
特に、この画像形成装置は、本発明の中間転写ベルトを備えているために、画像支持体Pとしてレザック紙などの凹凸紙を用いた場合にも、優れた凹凸紙への転写性が得られる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:中間転写ベルトの製造例1〕
(1)基材の準備
基材として、「bizhub PRESS C6000」(コニカミノルタ社製)に使用されているベルトを用意した。このベルトは、ポリイミド樹脂中に導電剤(カーボンブラック)を含有する、厚さ60μmの無端状ベルトである。これを無端ベルト状基材〔1〕とする。
(2)弾性層の形成
カーボンブラックをクロロプレンゴムに混錬し、そのコンパウンドをトルエン中に溶解、分散させることにより、弾性層形成用塗布液〔1〕を調製した。
次いで、この弾性層形成用塗布液〔1〕を上記の無端ベルト状基材〔1〕の外周面上に、ディッピング塗布法により塗布、乾燥し、乾燥膜厚が200μmの弾性層〔1〕を形成した。
(3)表面層の形成
(3−1)表面層形成用塗布液の調製
・特定の単官能アクリレート:アクリル酸シクロヘキシル 20質量部
・ウレタンアクリレート:「UV06630B」(日本合成化学工業社製)80質量部
・重合開始剤:「IRGACURE184」(BASF社製) 4質量部
からなる単量体組成物および重合開始剤を、溶剤:酢酸エチルに添加して溶解させることにより、表面層形成用塗布液〔1〕を調製した。
(3−2)表面層の形成
表面層形成用塗布液〔1〕を、上記の弾性層〔1〕の外周面上に塗布装置を使用した浸漬塗布法によって乾燥膜厚が2μmとなるように塗膜を形成し、この塗膜に、紫外線を下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成し、これにより、中間転写ベルト〔1〕を得た。
−紫外線の照射条件−
光源の種類:高圧水銀ランプ「H04−L41」(アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm2
固定光源に対する塗膜の移動速度(周速度):60mm/秒
照射時間(塗膜を回転させている時間):240秒間
〔実施例2〜4、比較例1〜3:中間転写ベルトの製造例2〜7〕
中間転写ベルトの製造例1において、表面層の形成に係る単量体組成物を表1に従ったものを用いたこと以外は同様にして、中間転写ベルト〔2〕〜〔7〕を作製した。
(1)耐摩耗性の評価
中間転写ベルト〔1〕〜〔7〕を、それぞれ画像形成装置「bizhub PRESS C6000」(コニカミノルタ社製)に中間転写体として搭載し、印字率10%の画像を100万枚形成する耐久試験を行った。この耐久試験後に、中間転写ベルトの表面の状態を、光学顕微鏡を用いて1000倍の倍率で観察し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:摩耗なし(表面層に摩耗に特異的な傷や削れなどの損傷が認められない)(合格)
B:摩耗あり(表面層に摩耗に特異的な傷や削れなどの損傷が認められる)(不合格)
(2)耐割れ性の評価
上記の耐久試験後の各中間転写ベルトにおける任意の10箇所の単位面積(1mm2 )内のクラック数を数え、10箇所の平均値(平均クラック数)を算出し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:平均クラック数が0個(合格)
B:平均クラック数が0個より多く10個未満(不合格)
C:平均クラック数が10個以上(不合格)
(3)凹凸紙への転写性の評価
画像形成装置「bizhub PRESS C6000」(コニカミノルタ社製)に上記の中間転写ベルト〔1〕〜〔7〕を取り付けた評価機をそれぞれ作製し、これを用いてレザック紙上にトナー濃度100%のベタ画像を10枚ずつ出力した。
得られた各ベタ画像を、スキャナーによってデジタル情報化し、画像編集、加工ソフト「フォトショップ」(アドビ システムズ社製)を用い、画像処理により各ベタ画像の画像濃度の平均値を求めた。そして、各ベタ画像における、当該平均値の90%以下の領域の面積率を求め、当該面積率の中間転写ベルトごとの平均値を算出した。これを画像濃度90%以下の面積率とする。これを下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
−評価基準−
A:画像濃度90%以下の面積率が3%以下(合格)
B:画像濃度90%以下の面積率が3%より大きく5%以下(不合格)
C:画像濃度90%以下の面積率が5%より大きい(不合格)
(4)摩擦係数の評価
上記の中間転写ベルト〔1〕〜〔7〕について、上記と同様にして摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。本発明においては、摩擦係数が0.5以下である場合が、タック性が残らない(合格)と判断する。
Figure 0006191652
2 基材
3 弾性層
4 表面層
10 中間転写部
11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラ
13A 二次転写ローラ
16 中間転写ベルト
16a〜16d 支持ローラ
20Y,20M,20C,20Bk 画像形成ユニット
21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
30 定着装置
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 中間ローラ
46 レジストローラ
P 画像支持体

Claims (4)

  1. 電子写真方式の画像形成装置に備えられる中間転写ベルトであって、
    基材上に弾性層および表面層がこの順に積層されてなり、
    前記表面層が、ウレタンアクリレートと、脂環構造を有する単官能アクリレートおよび複素環構造を有する単官能アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上との共重合体からなるアクリル樹脂を含有するものであり、
    前記脂環構造を有する単官能アクリレートにおける脂環構造が、シクロアルキル基またはジシクロアルキル基からなることを特徴とする中間転写ベルト。
  2. 前記複素環構造を有する単官能アクリレートにおける複素環構造が、飽和複素環からなることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ベルト。
  3. 前記脂環構造を有する単官能アクリレートおよび複素環構造を有する単官能アクリレートよりなる群から選ばれる1種以上に対するウレタンアクリレートの質量比が、10/90〜50/50の範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の中間転写ベルト。
  4. 像担持体上に静電的に形成されたトナー像を、循環移動する中間転写ベルトに一次転写する一次転写手段と、中間転写ベルト上に形成される中間トナー像を画像支持体に二次転写する二次転写手段とを具える電子写真方式の画像形成装置において、
    中間転写ベルトが請求項1〜請求項3のいずれかに記載の中間転写ベルトからなることを特徴とする画像形成装置
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