JP6507710B2 - 画像形成方法、画像形成装置および滑剤固形物 - Google Patents
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Description
この帯電ローラに起因する感光体表面の劣化は、感光体の使用に係る初期においては感光体の表面粗さが小さく抑制されているために促進されにくく、従って像流れも発生しにくい。然るに、長期間にわたって使用した耐久後期においては、感光体の表面粗さが大きくなるので表面の劣化の程度が大きくなり、その結果、像流れが発生しやすくなる。
感光体の表面に形成された滑剤の皮膜によって、トナーの付着力が低減されてクリーニングブレードのトルクを低減することができ、クリーニング性が向上される。
また、感光体の表面に形成された滑剤の皮膜によって当該感光体の表面が放電劣化から保護される。
前記感光体として、重合性化合物を重合して得られる架橋型硬化樹脂による保護層を有するものを用い、
前記滑剤として脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とよりなるものが用いられ、
前記滑剤供給工程において、前記感光体の帯電履歴回数の増加に伴って無機潤滑剤の供給量が増大されることを特徴とする。
前記感光体が、重合性化合物を重合して得られる架橋型硬化樹脂による保護層を有するものであり、
前記滑剤が脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とよりなり、
前記滑剤供給手段が、前記感光体の帯電履歴回数の増加に伴って無機潤滑剤の供給量が増大するよう供給するものであることを特徴とする。
前記滑剤固形物の厚み方向に垂直な断面における当該ドメイン部の面積が、前記感光体に対向する表面から裏面に向かうに従って大きくなることが好ましい。
厚み方向に垂直な断面における当該ドメイン部の面積が、表面から裏面に向かうに従って大きくなることを特徴とする。
図1は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す説明用断面図、図2は、本発明の画像形成装置の要部の構成の一例を示す説明用断面図である。
この画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット110Y、110M、110C、110Bkと、給紙搬送手段150と、定着手段170とを有する。画像形成装置100の本体の上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
この例の滑剤供給手段116Yは、直方体形状を有する固形状の滑剤により構成された滑剤固形物22と、ブラシローラ21よりなる塗布部材とにより構成される。具体的には、滑剤供給手段116Yは、筐体20と、この筐体20内に収容された滑剤固形物22と、感光体111Y表面に当接し、滑剤固形物22の表面22aを摺擦することにより掻き取った滑剤を感光体111Y表面に塗布するブラシローラ21と、滑剤固形物22の裏面22bに接触して設けられた、滑剤固形物22をブラシローラ21に押圧する加圧バネ23と、ブラシローラ21を回転駆動させる駆動機構(図示せず)とにより構成される。ブラシローラ21は、ブラシの先端が感光体111Y表面に当接している。また、ブラシローラ21は、感光体111Yの回転方向とは逆回転で等速に回転駆動される。
帯電手段113Yによる感光体111Yの帯電履歴回数とは、感光体111Y上の任意の1点が帯電手段113Yによって帯電される回数の総計をいい、使用態様や帯電条件によっても異なるが、例えば感光体の帯電履歴回数が60万回〜500万回に達すると当該感光体の寿命とされる。
本発明の滑剤固形物22は、脂肪酸金属塩を主成分とする物質からなるマトリクス部中に、無機潤滑剤を含有する物質からなるドメイン部が分散されてなり、厚み方向に垂直な断面における当該ドメイン部の面積が、表面から裏面に向かうに従って大きくなるものである。
ドメイン部27を嵌合させる穴22Hの形状は、厚み方向に垂直な断面における当該穴22Hの面積が、表面22aから裏面22bに向かうに従って大きくなる形状であればよく、例えば表面22aから裏面22bに向かうに従ってその径が大きくなる円錐台形や角錐台形とすることができる。
マトリクス部25は、脂肪酸金属塩を主成分とする物質からなる。なお、「脂肪酸金属塩を主成分とする」とは、脂肪酸金属塩の含有割合が90質量%以上であることをいい、不純物を除く全てが脂肪酸金属塩からなることが好ましい。
脂肪酸金属塩は、クリーニング性に優れる物質である。
脂肪酸金属塩としては、例えば、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどを用いることができる。これらの中でも、滑性および延展性の観点から、ステアリン酸亜鉛を用いることが好ましい。
これらは1種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ドメイン部27は、無機潤滑剤を含有する物質からなり、脂肪酸金属塩を含有してもよい。
ドメイン部27における無機潤滑剤の含有割合は、50〜70質量%であることが好ましい。
ドメイン部27における無機潤滑剤の含有割合が50質量%以上であることによって、マトリクス部25と合わせた滑剤全体における無機潤滑剤の含有比率が適当なものとなって無機潤滑剤による感光体111Yの表面の放電劣化を抑制する効果を十分に得ることができる。一方、ドメイン部27における無機潤滑剤の含有割合が70質量%以下であることによって、ドメイン部27に十分な機械的強度を得ることができる。
無機潤滑剤は、脂肪酸金属塩よりも電気絶縁性に優れる物質である。
無機潤滑剤としては、例えば、窒化ホウ素、マイカ、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイトなどが挙げられる。これらの中でも窒化ホウ素を用いることが好ましい。
これらは1種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係る滑剤固形物22は、表面22aにおける無機潤滑剤の含有割合yが0.1〜0.2、かつ、裏面22bにおける無機潤滑剤の含有割合yが0.25〜0.6であることが好ましい。
表面22aにおける無機潤滑剤の含有割合yが0.1以上であることによって、感光体111Yの表面の放電劣化を抑制することができる。
表面22aにおける無機潤滑剤の含有割合yが0.2以下であることによって、滑剤固形物22に十分な機械的強度を得ることができる。
裏面22bにおける無機潤滑剤の含有割合yが0.25以上であることによって、長期間にわたって使用した耐久後期においても感光体111Yの表面の放電劣化を抑制することができる。
裏面22bにおける無機潤滑剤の含有割合yが0.6以下であることによって、長期間にわたって使用した耐久後期にも十分なクリーニング性が得られ、また、滑剤固形物22に十分な機械的強度を得ることができる。
ブラシ毛は金属製シャフトに対し垂直方向に起毛させる、直毛タイプが塗布能力の観点から好ましい。ブラシ毛に用いる糸は、フィラメント糸が望ましく、材料としては、6−ナイロン、12−ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン等の合成樹脂が挙げられ、導電性を高める目的でカーボン、ニッケル等の金属を練り込んだものでもよい。ブラシ繊維の太さは例えば3〜7デニール、ブラシ繊維の毛長は2〜5mm、ブラシ繊維の電気抵抗率は1×1010Ω以下、ブラシ繊維のヤング率は4900〜9800N/mm2 、ブラシ繊維の植設密度(単位面積あたりのブラシ繊維数)は例えば5万〜20万本/平方インチ(50k〜200k本/inch2 )が好ましい。ブラシローラ21の感光体に対する食込み量は、0.5〜1.5mmであることが好ましい。ブラシローラの回転速度は例えば感光体の周速比で0.3〜1.5とされ、感光体の回転方向と同じ方向の回転であっても、逆の方向の回転であってもよい。
感光体111Yは、重合性化合物を重合して得られる架橋型硬化樹脂による保護層を表面層として有するドラム状のものであることが好ましい。この例の感光体111Yは、具体的には、導電性支持体上に、中間層を有し、この中間層上に、電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層がこの順に積層されてなる感光層が形成され、この感光層(電荷輸送層)上に表面層として保護層が形成された層構成を有している。なお、感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質を含有する単層構造の層構成を有するものであってもよい。
保護層を構成する架橋重合体は、紫外線や電子線などの活性線の照射により、重合性官能基を2個以上有する重合性化合物を重合し、架橋反応による架橋結合を形成して硬化することにより得られる架橋型硬化樹脂である。重合性化合物としては、重合性官能基を2個以上有するものを用い、重合性官能基を1個有するものを併用することもできる。具体的には、重合性化合物としては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
保護層には、膜強度および導電性の観点から、金属酸化物微粒子が含有されていてもよい。また、この金属酸化物微粒子は、表面処理剤によって表面処理されたものであることが好ましい。
また、表面処理剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤が好ましい。ラジカル重合性反応基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。このようなラジカル重合性反応基は、本発明に係る重合性化合物とも反応して強固な保護層を形成することができる。ラジカル重合性反応基を有する表面処理剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましい。
S−2:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−3:CH2 =CHSiCl3
S−4:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−5:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−6:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OC2 H5 )(OCH3 )2
S−7:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−8:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−9:CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3
S−10:CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−11:CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3
S−12:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−13:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3
S−14:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2
S−15:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3
S−16:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2
S−17:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3
S−18:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2
S−19:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3
S−20:CH2 =CHSi(C2 H5 )(OCH3 )2
S−21:CH2 =C(CH3 )Si(OCH3 )3
S−22:CH2 =C(CH3 )Si(OC2 H5 )3
S−23:CH2 =CHSi(OCH3 )3
S−24:CH2 =C(CH3 )Si(CH3 )(OCH3 )2
S−25:CH2 =CHSi(CH3 )Cl2
S−26:CH2 =CHCOOSi(OCH3 )3
S−27:CH2 =CHCOOSi(OC2 H5 )3
S−28:CH2 =C(CH3 )COOSi(OCH3 )3
S−29:CH2 =C(CH3 )COOSi(OC2 H5 )3
S−30:CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OC2 H5 )3
S−31:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )2 (OCH3 )
S−32:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCOCH3 )2
S−33:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(ONHCH3 )2
S−34:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OC6 H5 )2
S−35:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(C10H21)(OCH3 )2
S−36:CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH2 C6 H5 )(OCH3 )2
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュアー369」:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。また、光重合促進効果を有する光重合促進剤を単独で、または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2 、好ましくは5〜100mJ/cm2 である。
ランプの電力は、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
具体的には、「フィッシャースコープH100」により試験荷重下でダイヤモンド四角錐のビッカーズ圧子に荷重Fをかけて感光体表面を押し込んだときの、押し込み深さhおよび荷重Fから下記式(1)により求める。
式(1):HU(ユニバーサル硬さ)=F/(26.45×h2 )
帯電手段113Yは、感光体111Y表面に対して帯電ローラにより帯電を行う手段である。この例の帯電手段113Yは、感光体111Yの表面に接触して配設された帯電ローラと、帯電ローラに電圧を印加する電源とからなる。
本発明において、帯電手段は、帯電ローラを感光体の表面に接触または近接した状態で帯電させる近接帯電方式による。
弾性層11bの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
抵抗制御層11cの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
表面層11dの体積抵抗率は、JIS K 6911に準拠して測定された値である。
帯電バイアス電圧は、例えば−2.5〜−1.5kV程度とすることができる。
露光手段115Yは、帯電手段113Yによって一様な電位を与えられた感光体111Y表面に、画像信号(イエローの画像信号)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段115Yは、感光体111Yの軸方向にアレイ状に発光素子が配列されたLEDと結像素子とから構成されるもの、あるいはレーザー光学系などが用いられる。
現像手段117Yは、感光体111Y表面にトナーを供給し、感光体111Y表面に形成された静電潜像を現像し、トナー画像を形成する手段である。この例の現像手段117Yは、具体的には、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブおよび感光体とこの現像スリーブとの間に直流および/または交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置により構成される。
転写手段を構成する一次転写ローラ133Yは、感光体111Y上に形成されたトナー画像を無端ベルト状の中間転写体131に転写する手段である。一次転写ローラ133Yは、中間転写体131と当接して配置されている。
クリーニング手段119Yは、感光体111Y表面に残存したトナーをクリーニングブレードにより除去する手段である。クリーニングブレードは、図2に示すように、支持部材31と、この支持部材31上に接着層(図示せず)を介して支持されたブレード部材30とにより構成される。ブレード部材30は、その先端が、感光体111Y表面との当接部分における当該感光体111Yの回転方向と反対方向(カウンター方向)に向く状態で配置されている。
中間転写体131上には、当該中間転写体131上に残存したトナーを除去するクリーニング手段135が配置されている。
そして、脂肪酸金属塩よりも無機潤滑剤の方が電気絶縁性に優れるために感光体の表面の放電劣化を抑制する効果が大きく得られるので、感光体の表面粗さが大きくなった耐久後期において無機潤滑剤の供給量が増大されることによって、感光体の使用に係る初期から耐久後期までの全期間にわたって高温高湿環境下における像流れの発生を抑制することができる。
本発明の画像形成方法は、上記の画像形成装置100を用いて画像形成を行う方法である。すなわち、具体的には、まず、近接帯電方式の帯電手段113Y、113M、113C、113Bkにより感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面に放電して負に帯電させる。次いで、露光手段115Y、115M、115C、115Bkで、感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段117Y、117M、117C、117Bkで、感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー画像を形成する。
このように、画像形成装置100においては、画像形成プロセス毎に、感光体111Y、111M、111C、111Bkの表面に滑剤が供給されるように構成されている。
そして、脂肪酸金属塩よりも無機潤滑剤の方が電気絶縁性に優れるために感光体の表面の放電劣化を抑制する効果が大きく得られるので、感光体の表面粗さが大きくなった耐久後期において無機潤滑剤の供給量が増大されることによって、感光体の使用に係る初期から耐久後期までの全期間にわたって高温高湿環境下における像流れの発生を抑制することができる。
本発明の画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、結着樹脂および着色剤が含有されるトナー粒子よりなり、当該トナー粒子には、所望により離型剤などの他の成分が含有されていてもよい。
トナーを構成するトナー粒子は、高画質化を企図する観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmであることが好ましい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物などの従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
例えば滑剤固形物は、上記の構成のものに限定されず、滑剤による層が複数積層された直方体形状のものであって、感光体に対向する表面側の層から裏面側の層に向かうに従って無機潤滑剤の濃度が大きくなるよう積層された構成のものであってもよい。
具体的には、図5に示されるように、例えば3つの滑剤層29A,29B,29Cが積層された滑剤固形物であって、感光体に対向する表面22a側の滑剤層29Aの無機潤滑剤の濃度よりも、中間の滑剤層29Bの無機潤滑剤の濃度が大きく、当該中間の滑剤層29Bの無機潤滑剤の濃度よりも、裏面22b側の滑剤層29Cの無機潤滑剤の濃度が大きいものとされている。
滑剤固形物がこのような構成を有することにより、滑剤供給手段において帯電手段による感光体の帯電履歴回数の増加に伴って段階的に無機潤滑剤の供給量が増大される。
ブラシ毛は金属製シャフトに対し垂直方向に起毛させる、直毛タイプが除去能力の観点から好ましい。ブラシ毛に用いる糸は、フィラメント糸が望ましく、材料としては、6−ナイロン、12−ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン等の合成樹脂が挙げられ、導電性を高める目的でカーボン、ニッケル等の金属を練り込んだものでもよい。ブラシ繊維の太さは3〜15デニールが好ましく、ブラシ繊維の毛長は2〜5mmが好ましい。また、ブラシ繊維の植設密度を4万〜50万本/平方インチ(40k〜500kF/inch2 )の範囲で設定することで、除去に必要な剛性を確保すると共に、ブラシ毛に疎な部分を作らず滑剤の除去ムラを引き起こさないようにすることができる。ブラシ繊維の電気抵抗率は1×107 Ω以下であることが好ましく、ブラシ繊維のヤング率は1500〜9800N/mm2 であることが好ましい。ブラシローラの感光体に対する食込み量は、0.5〜1.5mmであることが好ましい。ブラシローラの回転速度は例えば感光体速度比で0.3〜1.5とされ、感光体の回転方向と同じ方向の回転であっても、逆の方向の回転であってもよい。
直径60mmのアルミニウム製の円筒体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
下記組成の分散液を下記溶媒と同じ溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1部
金属酸化物粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 3部
溶媒:メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
中間層形成用塗布液〔1〕を用いて導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)20部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(電気化学工業社製)10部、溶媒:酢酸t−ブチル700部、溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2部をo−ジクロロベンゼン200部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250部中で1時間攪拌して溶解し、これを20℃の水5000部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8部(収率86%)を得た。
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトクロロベンゼン(ODB)200部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3部を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm-1付近のTi=O、630cm-1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
得られた顔料(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m2 /gであった。
電荷輸送物質:下記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(日本チバガイギー社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600部、溶媒:トルエン400部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
(1)金属酸化物微粒子の作製
酸化錫(CIKナノテック社製、数平均一次粒径:20nm)100部、表面処理剤として上記例示化合物(S−13)30部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌し、さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、ラジカル重合性官能基を有する化合物による酸化錫の表面処理を終了し、表面処理済み酸化錫を得た。これを金属酸化物微粒子〔1〕とする。上記のラジカル重合性官能基を有する化合物による表面処理により、酸化錫の粒子表面は上記例示化合物(S−13)により被覆されていた。
金属酸化物微粒子〔1〕100部、重合性化合物:上記例示化合物(M1)100部、溶媒:sec−ブタノール320部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)80部を遮光下で混合し、分散機としてサンドミルを用いて5時間分散した後、重合開始剤:「イルガキュアー」(BASFジャパン社製)10部を加え、遮光下で撹拌して溶解させ、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。この保護層形成用塗布液〔1〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成した。その後、この塗膜を室温で15分間乾燥し、キセノンランプを用いて窒素気流下において、光源と塗膜との間の離間距離を10mmとして、ランプ出力1kWで紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚3.0μmの保護層〔1〕を形成し感光体〔1〕を作製した。この感光体〔1〕における保護層のユニバーサル硬さは200N/mm2 であった。
まず、図3のような形状のマトリクス部を形成することができる金型を用意した。具体的には、縦10mm×横325mm×厚み10mmの直方体容器の底から、底部の半径が1mm、頂部の半径が0.6mm、高さが10mmである円錐台形の柱が、底部間距離が0.3mmとなるよう、縦横に多数並ぶ状態に形成された金型を用意した。
この金型に、ステアリン酸亜鉛100質量部を加熱して溶融したものを流し込み、その後、冷却して固形化させ、金型を外すことによって、多数の円錐台形の穴を有する、マトリクス部を供する固形物〔a〕を得た。次いで、固形物〔a〕の円錐台形の穴に、ドメイン部を供するべきステアリン酸亜鉛50質量部および窒化ホウ素50質量部を100℃に加熱して溶融・混合したものを、充填して冷却することにより、滑剤固形物〔1〕を作製した。
滑剤固形物の作製例1において、ドメイン部を構成する滑剤として表1に示されるものを用いたことの他は同様にして、滑剤固形物〔2〕〜〔6〕を作製した。
滑剤としてステアリン酸亜鉛80質量部および窒化ホウ素20質量部を加熱して溶融、混合し、四角柱の型に充填して冷却することにより比較用の滑剤固形物〔7〕を作製した。
画像形成装置「bizhub C353」(コニカミノルタ社製)に感光体〔1〕を搭載し、画像形成ユニットを帯電ローラによる帯電が行われるように改造した。また、転写手段の下流側かつクリーニング手段の上流側に下記仕様の滑剤供給手段を配置した。この評価機を用いて下記の像流れの評価を行った。結果を表1に示す。
滑剤供給手段には、図2に示すような、滑剤固形物と直毛タイプのブラシローラよりなる塗布部材とにより構成された装置を使用した。
滑剤固形物として、上記の滑剤固形物〔1〕を用いた。
ブラシローラは、フィラメント糸として炭素含有ナイロン繊維「SA−7」(東レ社製)を用い、ブラシ繊維の太さ3デニール、ブラシ繊維の植設密度120kF/inch2 、ブラシ繊維の毛長3.0mmのリボン状生地を外径6mmの金属製シャフト(SUM22)に螺旋状に巻き付け形成したものである。また、ブラシローラは感光体に対し、食込み量1mmとなるよう設置し、感光体の回転方向とは逆方向に周速比0.6で回転させた。また、ブラシローラは金属製シャフトを介して接地させた。
滑剤固形物のブラシローラに対する押圧力は2N/mとした。
高温高湿環境(温度30℃、湿度85%RH)で、印字率5%相当の文字チャートを2000枚連続で印字した後に電源を切り、8時間放置した後に電源を入れ、A3ハーフトーン画像を25枚連続で印字した。これを初期のハーフトーン画像とする。
次いで、高温高湿環境(温度30℃、湿度85%RH)で、印字率6%の文字チャートを100万枚連続で印字する耐久試験を実施した。
さらに、高温高湿環境(温度30℃、湿度85%RH)で、印字率5%相当の文字チャートを2000枚連続で印字した後に電源を切り、8時間放置した後に電源を入れ、A3ハーフトーン画像を25枚連続で印字した。これを耐久後のハーフトーン画像とする。
初期および耐久後の像流れは、それぞれのハーフトーン画像が放置前のレベルに回復したときの枚数によって評価した。1枚目または2枚目に回復した場合を「A」、7枚目以内に回復した場合を「B」、20枚目以内に回復した場合を「C」、21枚目以降に回復した場合を「D」と評価した。
本発明においては、耐久後において20枚目以内に回復したもの(A,BまたはC)を合格とする。
実施例1において、滑剤供給手段における滑剤固形物〔1〕の代わりに、滑剤固形物〔2〕〜〔7〕をそれぞれ用いたことの他は同様にして、上記の評価を行った。結果を表1に示す。
11a 芯金
11b 弾性層
11c 抵抗制御層
11d 表面層
11e 押圧バネ
20 筐体
21 ブラシローラ
22 滑剤固形物
22a 表面
22b 裏面
22H 穴
23 加圧バネ
25 マトリクス部
27 ドメイン部
29A〜29C 滑剤層
30 ブレード部材
31 支持部材
100 画像形成装置
110Y、110M、110C、110Bk 画像形成ユニット
111Y、111M、111C、111Bk 感光体
113Y、113M、113C、113Bk 帯電手段
114Y 滑剤除去手段
115Y、115M、115C、115Bk 露光手段
116Y 滑剤供給手段
117Y、117M、117C、117Bk 現像手段
118Y 均しブレード
119Y、119M、119C、119Bk クリーニング手段
131 中間転写体
133Y、133M、133C、133Bk 一次転写ローラ(転写手段)
135 クリーニング手段
137A、137B、137C、137D ローラ
150 給紙搬送手段
170 定着手段
200 プロセスカートリッジ
201 筐体
203R、203L 支持レール
211 給紙カセット
213A、213B、213C、213D 中間ローラ
215 レジストローラ
217 二次転写ローラ(転写手段)
219 排紙ローラ
221 排紙トレイ
P 転写材
SC 原稿画像読み取り装置
S1 電源
Claims (5)
- 回転する感光体の表面を近接帯電方式の帯電ローラによって帯電させる帯電工程と、帯電された感光体を露光することによって静電潜像を形成させる露光工程と、前記静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を転写材に転写する転写工程と、前記感光体の表面に滑剤を塗布して供給する滑剤供給工程と、前記感光体の表面に残存したトナーをクリーニングブレードにより除去するクリーニング工程とを有する画像形成方法において、
前記感光体として、重合性化合物を重合して得られる架橋型硬化樹脂による保護層を有するものを用い、
前記滑剤として脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とよりなるものが用いられ、
前記滑剤供給工程において、前記感光体の帯電履歴回数の増加に伴って無機潤滑剤の供給量が増大されることを特徴とする画像形成方法。 - 回転する感光体と、前記感光体の表面を帯電させる近接帯電方式の帯電ローラよりなる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像が形成された感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記感光体の表面に滑剤を塗布して供給する滑剤供給手段と、前記感光体の表面に残存したトナーをクリーニングブレードにより除去するクリーニング手段とを備える画像形成装置であって、
前記感光体が、重合性化合物を重合して得られる架橋型硬化樹脂による保護層を有するものであり、
前記滑剤が脂肪酸金属塩と無機潤滑剤とよりなり、
前記滑剤供給手段が、前記感光体の帯電履歴回数の増加に伴って無機潤滑剤の供給量が増大するよう供給するものであることを特徴とする画像形成装置。 - 前記無機潤滑剤が、窒化ホウ素、マイカ、二硫化タングステン、タルク、カオリン、モンモリロナイト、フッ化カルシウム、グラファイトのうちの1つ以上からなることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記滑剤供給手段の滑剤が、脂肪酸金属塩よりなるマトリクス部中に無機潤滑剤よりなるドメイン部が分散されてなる直方体形状の滑剤固形物からなり、
前記滑剤固形物の厚み方向に垂直な断面における当該ドメイン部の面積が、前記感光体に対向する表面から裏面に向かうに従って大きくなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。 - 脂肪酸金属塩よりなるマトリクス部中に無機潤滑剤よりなるドメイン部が分散されてなる直方体形状の滑剤固形物であって、
厚み方向に垂直な断面における当該ドメイン部の面積が、表面から裏面に向かうに従って大きくなることを特徴とする滑剤固形物。
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