JP5531674B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような不具合に対して、定着部材を小さくすることで、定着後の曲率を大きくし、定着部材と記録用紙とを分離させることが行われていた。また、それ以前は、定着ローラ上にオイルを塗布しトナーと定着部材間に離型層を形成し、定着部材と記録用紙とを分離させることが行われていた。また、トナーにワックス等の離型剤を含有させることにより、定着部材と記録用紙との分離を促進させることが行われていた。
定着性が改善された定着装置として、特許文献1ないし3には、定着ローラ、加圧ローラともに軸方向にクラウン形状を少なくとも2個以上持ち、定着ローラのクラウン部分と加圧ローラの逆クラウン部分の組み合わせと定着ローラの逆クラウン部分と加圧ローラのクラウン部分の組み合わせで定着ニップを形成する構成を有する定着装置が開示されている。
しかしながら、記録用紙として薄紙を用いる場合や、隙間なく画像先端から全面にトナーが付着している印字パターン等の条件が重なると、定着ジャム等は完全には改善されないという問題がある。
しかし、この定着装置においては、通紙方向に沿って縞模様のように光沢差を生じる画像ノイズが発生する場合がある。
本発明者らはさらに検討を行ったところ、定着ニップにおいて定着ローラがクラウン形状になっている部分、すなわち定着ローラの回転中心から定着ニップまでの距離が大きい部分を通過した画像の光沢が著しく低下することがわかった。このことから、次のように考えられる。
定着ニップにおいて、定着ローラの回転中心からクラウン形状の頂点までの距離をRt、定着ローラの回転中心から逆クラウン形状の谷底までの距離をRb、定着ローラの回転の角速度をωとすると、クラウン形状の頂点部分における定着ローラの線速度はRtω、逆クラウン形状の谷底部分における定着ローラの線速度はRbωとなり、Rt>Rbであるから、定着ローラ表面の線速度は逆クラウン形状の谷底部分よりもクラウン形状の頂点部分のほうが大きい。
このように定着ローラと加圧ローラの表面線速度が異なる定着装置を紙やシート等などの記録媒体が通過するとき、紙やシート等などの記録媒体がこのようなローラ表面の線速度が部分的に異なる定着装置を通過するとき、記録媒体はローラから摩擦抵抗を受けながら定着ニップを通過するため、ローラ表面の平均線速度よりも若干遅い速度で定着される。このとき、定着ニップにおいて定着ローラがクラウン形状になっている部分では記録媒体表面のトナーは、記録媒体の線速度よりも速く動く定着ローラ表面によって、記録媒体の進行方向にずりの力を受ける。このずり力がトナーの凝集力と拮抗すると、定着ローラ表面との離型時に、画像表面がローラに引っ張られるために荒れ、その結果画像の光沢が著しく低下する。
そこで、本発明者らはさらに検討を重ね、ずり緩衝剤を12質量%以上含むトナーを用いることにより、上記の定着装置特有の画像ノイズを低減することに成功し、本発明に至った。
1.少なくとも樹脂と着色剤とずり緩衝剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー画像を接触加熱方式の定着装置を用いて支持体上に定着する工程を有する画像形成方法において、前記トナーに含まれるずり緩衝剤の割合がトナー全量中12質量%以上であり、前記定着装置が、加熱源によって加熱される定着ローラと、当該定着ローラに圧接して配設された加圧ローラを備え、前記定着ローラと前記加圧ローラが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させることにより、当該記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置であって、前記定着ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記加圧ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記定着ローラの前記クラウン部と前記加圧ローラの前記逆クラウン部を対応させると共に、前記定着ローラの前記逆クラウン部と前記加圧ローラの前記クラウン部を対応させて、前記定着ローラと前記加圧ローラを互いに圧接させて、前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの軸方向の同じ側の端部を、軸方向に位置決めすると共に、前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの前記位置決めされた端部と反対側の端部を軸方向に変位可能にし、前記定着ローラと前記加圧ローラとを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、軸方向の任意の断面における前記定着ローラ及び前記加圧ローラの前記弾性層の厚みの和が一定となるように設定したことを特徴とする画像形成方法である。
2.前記トナーに含まれるずり緩衝剤の割合がトナー全量中15質量%以上であることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法である。
3.前記ずり緩衝剤が液晶性化合物であることを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成方法である。
4.前記ずり緩衝剤がワックスであることを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成方法である。
5.前記定着ローラと前記加圧ローラとを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、対応させて配設した前記クラウン部と前記逆クラウン部との間に隙間が生じないように構成したことを特徴とする前記1ないし4のいずれかに記載の画像形成方法である。
6.前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの前記クラウン部と前記逆クラウン部を、軸方向に連続して形成したことを特徴とする前記1ないし5のいずれかに記載の画像形成方法である。
7.前記クラウン部及び前記逆クラウン部を、前記定着ローラ及び前記加圧ローラの少なくとも記録媒体の最大通過幅全体に対応する部分に渡って配設したことを特徴とする前記1ないし6のいずれかに記載の画像形成方法。
8.前記クラウン部及び前記逆クラウン部を、前記定着ローラ及び前記加圧ローラの記録媒体の最大通過幅の一部に対応する部分に配設したことを特徴とする前記1ないし7のいずれかに記載の画像形成方法である。
9.前記定着ローラの前記クラウン部及び前記逆クラウン部の少なくとも一方と、前記加圧ローラの前記クラウン部及び前記逆クラウン部の少なくとも一方に、直線部を形成したことを特徴とする前記1ないし8のいずれかに記載の画像形成方法である。
11.前記定着ローラ及び前記加圧ローラは、金属製の芯材の外周面に弾性層を被覆して構成されたものであって、前記芯材及び前記弾性層の少なくとも一方の厚さを軸方向に渡って変化させて前記クラウン部及び逆クラウン部を形成したことを特徴とする前記1ないし10のいずれかに記載の画像形成方法である。
12.前記定着ローラを、芯材の外周面に弾性層を有しないローラで構成すると共に、当該定着ローラの前記芯材の外周面を軸方向に渡って湾曲させることにより、前記クラウン部と前記逆クラウン部を形成したことを特徴とする前記1ないし3のいずれかに記載の画像形成方法である。
13.前記加圧ローラは、芯材の外周面に弾性層を被覆して構成されたものであって、当該加圧ローラの前記芯材の外周面を軸方向に渡って湾曲させることにより、前記クラウン部と前記逆クラウン部を形成したことを特徴とする前記12に記載の画像形成方法である。
14.少なくとも樹脂と着色剤とずり緩衝剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー画像を接触加熱方式の定着装置を用いて支持体上に定着する工程を有する画像形成方法において、前記トナーに含まれるずり緩衝剤の割合がトナー全量中12質量%以上であり、前記定着装置が、加熱源によって加熱される定着ローラと、無端状の加圧ベルトと、当該加圧ベルトの内周面を押圧して加圧ベルトを前記定着ローラに圧接させる押圧部材を備え、前記定着ローラと前記加圧ベルトが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させることにより、当該記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置であって、前記定着ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記押圧部材の前記加圧ベルトを押圧する押圧面に、凸状に形成した凸面部と、凹状に形成した凹面部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、前記定着ローラの前記クラウン部と前記押圧部材の前記凹面部を対応させて配設すると共に、前記定着ローラの前記逆クラウン部と前記押圧部材の前記凸面部を対応させて配設して、前記押圧部材によって前記加圧ベルトを押圧し、前記定着ローラと前記加圧ベルトを互いに圧接させて、前記定着ローラと前記押圧部材のそれぞれの軸方向の同じ側の端部を、軸方向に位置決めすると共に、前記定着ローラと前記押圧部材のそれぞれの前記位置決めされた端部と反対側の端部を軸方向に変位可能にし、前記定着ローラと前記押圧部材とを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、軸方向の任意の断面における前記定着ローラ及び前記押圧部材の前記弾性層の厚みの和が一定となるように設定したことを特徴とする画像形成方法である。
図1は、本発明に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す本発明の画像形成装置1は、タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置1の本体の上方にあるボトル収容部2には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル2Y、2M、2C、2Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。ボトル収容部2の下方には中間転写ユニット3が配設されている。その中間転写ユニット3の中間転写ベルト30に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
図2に本発明の実施形態1に係る定着装置の構成を示す。図2に示すように、定着装置27は、定着ローラ61と、その定着ローラ61に圧接して配設された加圧ローラ62を備える。定着ローラ61と加圧ローラ62が互いに圧接された箇所には定着ニップNが形成されている。
図7に、本発明の実施形態2に係る定着ローラ61と加圧ローラ62を示す。図7に示すように、実施形態2に係る定着ローラ61及び加圧ローラ62は、実施形態1の定着ローラ61及び加圧ローラ62と異なり、それぞれの弾性層612,622の厚さを、軸方向に渡って変化させている。一方、定着ローラ61及び加圧ローラ62の芯材611,621及び離型層613,623は、それぞれ均一な厚さに形成されている。すなわち、実施形態2では、弾性層612,622の厚さを軸方向に渡って変化させることによって、定着ローラ61及び加圧ローラ62に、クラウン部61a,62aと逆クラウン部61b,62bを構成している。
図8に、本発明の実施形態3に係る定着ローラ61と加圧ローラ62を示す。実施形態3は、上記本発明の実施形態1及び実施形態2と異なり、定着ローラ61及び加圧ローラ62のそれぞれの外周面に、直線部61c,62cが形成されている。この場合、直線部61c,62cは、定着ローラ61のクラウン部61aと加圧ローラ62の逆クラウン部62bのそれぞれの一部に形成されている。詳しくは、定着ローラ61に形成された直線部61cは、クラウン部61aの頂部を構成するように配設され、加圧ローラ62に形成された直線部62cは、逆クラウン部62bの底部を構成するように配設されている。さらに、これら直線部61c,62cは、定着ローラ61又は加圧ローラ62の軸方向に対して平行を成すように配設されている。
図10に、本発明の実施形態4に係る定着ローラ61と加圧ローラ62を示す。実施形態4は、上記本発明の各実施形態と異なり、定着ローラ61は弾性層を有していない。すなわち、定着ローラ61は、円筒状に形成された金属製の芯材611と、その芯材611の外周面を被覆する離型層613によって構成されている。また、この場合、定着ローラ61の芯材611の外周面を軸方向に渡って湾曲させて、クラウン部61aと逆クラウン部61bを形成している。
図11に本発明の実施形態5に係る定着装置の構成を示す。図11に示す定着装置27は、定着ローラ61と、加圧ベルト65と、その加圧ベルト65の内周面を押圧して加圧ベルト65を定着ローラ61に圧接させる押圧部材66を備える。また、定着ローラ61と加圧ベルト65が互いに圧接された箇所には定着ニップNが形成されている。
本発明の実施形態1〜4に係る定着装置は、図2に示すように、定着ローラ61と加圧ローラ62を有する。この定着装置によって画像の定着を行う場合は、加熱源63を発熱させて、図示しない制御装置が温度検知装置46の検知温度に基づいて加熱源63の発熱量を制御し、定着ローラ61の表面温度が所定の温度となるようにする。そして、矢印X方向に回転する定着ローラ61と、矢印Y方向に回転する加圧ローラ62との間に、未定着のトナー画像Tが形成された記録用紙Pを矢印A方向に侵入させる。記録用紙Pを定着ローラ61と加圧ローラ62の間に侵入させることによって、定着ニップNにおいて記録用紙Pが加熱及び加圧され、記録用紙P上の未定着トナー画像Tが記録用紙Pに定着される。
12質量%以上のずり緩衝剤をトナーに含有させることにより、記録媒体上のトナーが、クラウン形状になっている部分の定着ローラ表面から受けるずり力が低減されるので、定着ニップにおいて定着ローラがクラウン形状になっている部分の画像光沢低下が抑制される。12質量%以上のずり緩衝剤を含有するトナーにより、記録媒体上のトナーと定着ローラ表面との間に低粘度の薄層が形成され、ずり力を逃がすことができる。
ずり緩衝剤の具体例としては、固体状態からネマチック状態もしくはツイストネマチック状態への転移温度が50〜100℃の範囲にある液晶性化合物、融点が50〜100℃であるワックス(カルナウバワックス、ライスワックス、石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、合成エステルワックスなど)、脂肪酸、高級アルコール及びシリコーンオイルなどが挙げられる。
トナー中に上記の範囲のずり緩衝剤を含有させる方法としては、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化会合法などの既知の湿式造粒法において、ずり緩衝剤を多く含有させる方法、混練粉砕法において、オープンロールなどの混練能力の高い混練機を用い、大量にずり緩衝剤を微分散させる方法などが挙げられる。
この方法は、定着溶融時におけるトナーが十分な弾性を持つようにする方法であり、具体的には、150℃における貯蔵弾性率〔G’(150)〕を1.0×104Pa・s以上とする。150℃における貯蔵弾性率〔G’(150)〕は、好ましくは1.3×104Pa・s以上、より好ましくは1.5×104Pa・s以上である。
定着溶融時にトナーに十分な弾性を持たせるためには、結着樹脂中に高分子量の樹脂や架橋構造を有する樹脂を存在させることが好ましい。
上記のようなトナーを得るためには、トナーを構成する結着樹脂に、架橋点間距離の長い架橋成分を十分に多く存在させることが必要になる。
トナー中に架橋構造を持たせる方法としては、トナー粒子を得る過程で結着樹脂中に架橋構造を形成するのがよく、具体的には、溶解懸濁法において、懸濁液的中で分岐構造を有する樹脂を伸長させていく方法(例えばエステル伸長法)、懸濁重合法において、架橋点間距離のある程度長い多官能モノマーやマクロモノマーを導入して架橋構造を形成する方法、乳化凝集法においても、架橋点間距離のある程度長い多官能モノマーやマクロモノマーを導入して架橋構造を形成する方法や、凝集させるのに多価のイオンを用い金属架橋を積極的に導入する方法などが考えられる。
溶解懸濁法を用いてトナーを製造する方法としては、少なくとも、樹脂及び着色剤からなるトナー組成物を、有機溶媒に溶解又は分散させることにより得られる溶解液又は分散液を、分散剤の存在する水性溶媒中で、通常の撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて、所望の粒度分布を有するトナーが得られるように分散させた後、有機溶媒を除去することによりトナースラリーを得る方法が挙げられる。トナーは、公知の方法に従い、洗浄・濾過により回収し、乾燥させることにより単離することができる。
溶解懸濁法では、溶媒に溶解させることができる樹脂であれば製造上利用することができる。具体的には、従来よりトナーに用いられている樹脂が挙げられ、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリオール樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などがある。定着性の観点から、ポリエステル樹脂が好適に用いられる。
また、本発明の範囲の粘弾性特性を有するトナーを得るためには、ポリエステル樹脂の末端にイソシアネート基を有するイソシアネート変性ポリエステル樹脂を用い、トナーの製造過程でイソシアネート基同士を反応させて伸長させてトナー中に適度な架橋構造を持たせることが好ましい。
イソシアネート変性ポリエステルとしては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、または(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると残留するポリイソシアネート化合物がトナーの帯電性に悪影響を及ぼす。
イソシアネート変性ポリエステルを伸長させるために、伸長剤としてアミン類(B)を用いてもよい。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミンなど)、脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート変性ポリエステル中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満では、イソシアネート変性ポリエステルの伸長反応が十分に進行せず、本発明の粘弾性特性が得られないおそれがある。
イソシアネート変性ポリエステルは、1種類のみ用いてもよいが、例えば1種類以上の直鎖上のイソシアネート変性ポリエステルと、1種類以上の分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルを組み合わせて使用することにより、トナーの粘弾性設計を好ましく行うことができる。特にトナー中に架橋点間距離を広く取った架橋構造を均一に存在させるためには、分岐構造を有するイソシアネート変性ポリエステルは比較的低分子量に設計し、それとともに直鎖上のイソシアネート変性ポリエステルを併用するのが好ましい。イソシアネート変性ポリエステルの分子鎖を長く設計すると、トナーの熱特性が悪化することがあるからである。その原因としては、トナー製造過程の油相中において分子鎖がランダムコイル状に収縮し、局所的に架橋構造を形成するか、分子内でイソシアネート基が反応を完結してしまい、トナー全体にわたって架橋構造を持たせることができないためであると考えられる。
<未変性ポリエステル>
本発明においては、イソシアネート変性ポリエステルとともに、イソシアネート変性されていないポリエステル(未変性ポリエステル)を用いてもよい。未変性ポリエステルを用いることにより、トナーの粘弾性の設計がより行いやすくなる。未変性ポリエステルとしては、前述のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられる。
有機溶媒は、容易に除去することを可能とするため、沸点が100℃未満であるものを用いることが好ましい。このような有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、単独又は2種以上を組合せて用いることができる。
水性溶媒は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶媒を併用することもできる。混和可能な溶媒としては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類等が挙げられる。トナー材料100質量部に対する水性溶媒の使用量は、通常、50〜2000質量部であり、100〜1000質量部が好ましい。水性溶媒の使用量が50質量部未満では、トナー材料の分散状態が悪くなるおそれがある。また、2000質量部を超えると経済的でない。
<無機分散剤>
無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ及びヒドロキシアパタイト等を用いることができる。
乳化凝集法を用いてトナーを製造する方法としては、少なくとも樹脂微粒子を水系媒体中に分散してなる樹脂分散体を、着色剤の分散体、少なくともワックスを有するワックスの分散体等と凝集、融着させることによりトナースラリーを得る方法が挙げられる。トナーは、公知の方法に従い、洗浄・濾過により回収し、乾燥することにより単離することができる。
樹脂分散体中の樹脂微粒子に用いられる樹脂は、トナー用結着樹脂として公知のものが使用でき、具体的にはポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオール樹脂などが挙げられる。分散体としての樹脂の設計のしやすさという観点から、重合反応の制御が容易な乳化重合を行うことができるスチレン−アクリル樹脂が好ましい。
乳化重合による樹脂分散体を得る方法としては、少なくとも、モノマーを乳化剤を用いて水性溶媒中で乳化させ、重合開始剤を用いて重合すればよい。
また、樹脂中に共有結合による架橋構造を形成させるためには、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート等の多官能モノマーを併用するとよく、架橋点間距離がある程度長い1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレートがこの中では好ましい。
この中で、水溶性の重合開始剤、もしくは水溶性の重合開始剤と油溶性の重合開始剤の併用が好ましい。
金属架橋点を多く導入する場合、トナーの強靭性が高まりすぎ、定着時に十分に溶融できず紙などへの定着強度が十分ではなくなる。その場合には、金属架橋構造をとりにくい樹脂を共存させることにより、定着時にはその樹脂が溶融、紙へ含浸してアンカリングすることにより定着機能も同時に持たせることが可能となる。金属架橋構造をとりにくい樹脂としては、具体的にはアニオン性官能基を有さない、もしくはアニオン性官能基の少ない樹脂などが挙げられる。アニオン性官能基は、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などに由来するカルボキシル基、p−スチレンスルホン酸塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのモノマーや過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの開始剤に由来するスルホニル基があるが、これらのモノマーや開始剤を使用しない、もしくは使用量を抑えることにより、金属架橋構造をとりにくい樹脂を得ることができる。
懸濁重合法を用いてトナーを製造する方法としては、モノマー中に着色剤、重合開始剤、その他の添加剤を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等を用いて均一に溶解又は分散させた溶解液又は分散液を、通常の撹拌機、ホモミキサー、ホモジナイザー等を用いて、分散安定剤を含有する水性溶媒中で分散させ、重合する方法が挙げられる。モノマーの液滴が所望のトナーの粒子径を有するように撹拌速度及び時間を調整し、造粒することが好ましい。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、粒子が沈降しないように撹拌すればよい。重合温度は、通常、40℃以上であり、50〜90℃が好ましい。また、重合反応の後半に昇温してもよい。さらに、トナーを定着させる際の臭気の原因等となる未反応のモノマー、副生成物等を除去するために、重合反応の後半又は終了後に、水性溶媒を留去してもよい。重合反応の終了後に、生成したトナーは、洗浄・濾過により回収し、乾燥させる。
さらに、架橋構造を形成させるために用いる多官能モノマーも乳化重合法と同様のものが使用できるが、前述の理由と同じく分子量の大きい多官能モノマーも使用できる。より具体的には、末端残基として水酸基が残るようにモノマー比率を調整して重合したポリエステルに、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボン酸を有するビニルモノマーを反応させてできる、末端が(メタ)アクリロイル基のポリエステルを多官能ポリエステルとして使用してもよい。
重合開始剤も乳化重合法と同様のものが使用できるが、好ましいものは油溶性の重合開始剤、もしくは油溶性の重合開始剤と水溶性の重合開始剤の併用である。
(トナー1の製造)
<シアン着色剤分散液>
シアン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:3 50質量部(以下、「部」と記す)及びドデシル硫酸ナトリウム10部をイオン交換水200部にサンドグラインダーミルで分散させ、体積平均粒子径(D50)が170nmのシアン着色剤分散液を得た。
<ラテックスの調製>
(ラテックス1HMLの調製)
(1)核粒子の調製(第一段重合)
(単量体溶液1)
スチレン568.00部、n−ブチルアクリレート164.00部、メタクリル酸68.00部及びn−オクチルメルカプタン16.51部を混合して単量体溶液1を調製した。
(分散媒1)
ドデシル硫酸ナトリウム4.05部をイオン交換水2500.00部に溶解させて分散媒1を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000m1のセパラブルフラスコに、上記分散媒1を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させ、活性剤溶液を調製した。
この活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム)9.62部をイオン交換水200部に溶解させた開始剤溶液を添加し、上記単量体溶液1を90分間かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱し、撹拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックスを調製した。これを[ラテックス(1H)]とする。[ラテックス(1H)]の重量平均粒径は68nmであった。
(単量体溶液2)
スチレン123.81部、n−ブチルアクリレート39.51部、メタクリル酸12.29部、n−オクチルメルカプタン0.72部、パラフィンワックス(融点75℃)73.00部及びエステルワツクス(日本油脂社製 WEP−5)73.00部を、撹拌装置を取り付けたフラスコ内に仕込み、80℃に加熱し溶解させて単量体溶液2を調製した。
(分散媒2)
構造式C10H21(OCH2CH2)2OSO3 −Na+で表される界面活性剤0.60部をイオン交換水2700.00部に溶解させて分散媒2を調製した。
上記分散媒2を98℃に加熱し、この分散媒に、核粒子の分散媒である前記[ラテックス(1H)]を固形分換算で32部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミツクス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)により、単量体溶液2を8時間かけて混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(過硫酸カリウム)6.12部をイオン交換水250部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて12時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックスを得た。これを[ラテックス(1HM)]とする。
[ラテックス(1HM)]に、重合開始剤(過硫酸カリウム)8.8部をイオン交換水350部に溶解させた開始剤溶液を添加し、82℃の温度条件下、スチレン350部、n―ブチルアクリレート95部、メタクリル酸5部、及び上記単量体の1.0モル%に相当する量のn−オクチルメルカプタンを加えて均一に攪拌した単量体溶液を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、82℃において2時間にわたり加熱撹拌することにより、重合(第三段重合)を行なった後、28℃まで冷却し、ラテックスを得た。このラテックスを[ラテックス(1HML)]とする。
この第三段重合で重合される樹脂はアニオン性官能基を有さない単量体及び開始剤によって重合されている。
<トナー粒子の調製>
[ラテックス(1HML)]420.0部(固形分換算)、イオン交換水900部及び上記シアン着色剤分散液150部を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に仕込み、撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜10.0に調整した。
次いで、塩化マグネシウム六水和物65部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に92℃まで昇温し、凝集粒子の生成を行った。その状態で、コールターカウンターTA−II(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6.1μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度94℃にて加熱撹拌することにより、粒子の融着及び結晶性物質の相分離を継続させた(熟成工程)。その状態で、測定器FPIA−2000(シスメックス社製)にて融着粒子の形状を測定し、形状係数が0.960になった時点で30℃まで冷却し、撹拌を停止した。
生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥させることにより、シアントナー母粒子を得た。シアントナー母粒子の個数平均粒径と形状係数を再度測定したところ、それぞれ6.0μm、0.962であった。次いで、トナー母粒子100部に疎水性シリカ0.8部と、疎水化酸化チタン0.2部をヘンシェルミキサーにて混合して、[トナー1]を得た。
(トナー2の製造)
パラフィンワックス(融点75℃)を95部、エステルワックス(日本精鑞社製 WEP−5)を95部に変更した以外は[トナー1]の製造と同様にして、[トナー2]を得た。
(トナー3の製造)
パラフィンワックス(融点75℃)を66部、エステルワックス(日本精鑞社製 WEP−5)を65部に変更した以外は[トナー1]の製造と同様にして、[トナー3]を得た。
(トナー4の製造)
(イソシアネート変性ポリエステル1の合成)
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、1.3〜2.0kPa(10〜15mmHg)の減圧下で5時間反応させて、[中間体ポリエステル1]を合成した。
得られた[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量が2200、重量平均分子量が9700、ガラス転移温度が54℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応させ、[イソシアネート変性ポリエステル1]を得た。
冷却管撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物241部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物514部、テレフタル酸106部、イソフタル酸102部、アジピン酸46部及びジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で9時間反応させた。
次に、1.3〜2.3kPa(10〜18mmHg)の減圧下で6時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸41部を添加し、常圧下、180℃で2時間反応させて、[未変性ポリエステル1]を合成した。
得られた[未変性ポリエステル1]は、数平均分子量が2600、重量平均分子量が7100、酸価が22mgKOH/gであった。
(マスターバッチ1)
シアン顔料であるピグメントブルー15:3 40部、[未変性ポリエステル1]60部、水30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行い、パルベライザーで1mmの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[未変性ポリエステル1]504部、パラフィンワックス(融点74℃)305部、酢酸エチル920部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで、容器に[マスターバッチ1]284部、酢酸エチル100部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1800部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、顔料、ワックスの分散を行った。次いで、[未変性ポリエステル1]の60質量%酢酸エチル溶液890部、酢酸エチル90部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)が50質量%となるように酢酸エチルを加えて調整した。
<水相の調製>
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25質量%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液140部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、[水相1]を得た。
[顔料・WAX分散液1]959部、イソホロンジアミン7.5部をTKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[イソシアネート変性ポリエステル1]150部を加えTKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000〜13,000rpmで調整しながら20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
<脱溶剤>
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、以下の操作を行った。
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μS/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となるように10質量%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μS/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて42℃で48時間乾燥させ、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体1]を得た。次いで、このトナー母体100部に疎水性シリカ0.8部と、疎水化酸化チタン0.2部をヘンシェルミキサーにて混合して、[トナー4]を得た。
(トナー5の製造)
(水系分散媒体)
四つ口容器中にイオン交換水360部と0.1モル/リットルのNa3PO4水溶液430部を添加し、高速撹拌装置ホモミキサーを用いて15,000rpmで撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/リットルのCaCl2水溶液34部を徐々に添加し、微細な難水溶性分散安定剤Ca3(PO4)2を含む水系分散媒体を調製した。
(重合性単量体組成物)
スチレンモノマー83部、n−ブチルアクリレート17部、銅フタロシアニン顔料.5部、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム0.8部、ジビニルベンゼン2部、パラフィンワックス(融点75℃)27部及びポリエステル樹脂(Mw=25,000、酸価15mgKOH/g)5部からなる混合物を、アトライター(三井金属社製)を用い3時間分散させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
(重合)
前記水系分散媒体中に前記重合性単量体組成物を投入し、内温60℃の窒素雰囲気下で、高速撹拌装置の回転数を15000rpmに維持しつつ、4分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、撹拌装置を、パドル撹拌羽根を具備したものに換え、200rpmで撹拌しながら同温度に保持し、5時間重合を行った。
重合終了後、内温を80℃に昇温し、さらに重合を行なった。次いで、冷却後に希塩酸を添加して水系分散媒体のpHを1.2にして難水溶性分散剤を溶解せしめた。更に加圧濾過による固液分離の後、18000部の水で洗浄を行った。その後、真空乾燥装置を用いて充分に乾燥させシアン色のトナー母体を得た。次いで、トナー母体100部に疎水性シリカ0.8部と、疎水化酸化チタン0.2部をヘンシェルミキサーにて混合して、[トナー5]を得た。
(トナー101の製造)
パラフィンワックス(融点75℃)を40部、エステルワックス(日本精鑞社製 WEP−5)を39部に変更した以外は[トナー1]の製造と同様にして、[トナー101]を得た。
(トナー6の製造)
パラフィンワックス(融点75℃)を98部に変更し、エステルワックス(日本精鑞社製 WEP−5)を添加しないこと以外は[トナー1]の製造と同様にして、[トナー6]を得た。
(トナー7の製造)
パラフィンワックス(融点75℃)と、エステルワックス(日本精鑞社製 WEP−5)の両方を、化合物1 nC5H11−Ph−COO−Ph−OCH2−CyH−nC3H7(Phはフェニル基、CyHはシクロヘキシル基を示し、いずれも1,4位置換である。固体状態からネマチック状態への転移温度は74℃である。)に変更した以外は[トナー1]の製造と同様にして、[トナー7]を得た。
(トナー8の製造)
パラフィンワックス(融点75℃)と、エステルワックス(日本精鑞社製 WEP−5)の両方を、化合物2 C2H5−CyH−COO−Ph−CH2CH2−CyH−nC3H7(Phはフェニル基、CyHはシクロヘキシル基を示し、いずれも1,4位置換である。固体状態からネマチック状態への転移温度は80℃である。)に変更した以外は[トナー1]の製造と同様にして、[トナー8]を得た。
定着後の画像を見ると、トナー1,2,3,4,5,6,7,8については、光沢が著しく異なる境界線は観察されなかったが、トナー101では通紙方向と平行に帯状の顕著な光沢ムラが見られ、光沢がある部分と無い部分の境界線が顕著に見られ、実用に耐えがたいものであった。
実施例及び比較例で用いた離型剤及びその配合量を表1に示す。
本発明の画像形成方法は、定着装置において、前記定着ローラと前記加圧ローラとを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、対応させて配設した前記クラウン部と前記逆クラウン部との間に隙間が生じないように構成することにより、対応するクラウン部と逆クラウン部との間に隙間が生じていると、定着ローラと加圧ローラを圧接して負荷状態とした際に、軸方向に渡って定着ニップに圧力ムラが生じ、画像ノイズの発生する虞がある。そこで、上記のように、定着ローラと加圧ローラを無負荷状態で互いに接触させた場合に、対応するクラウン部と逆クラウン部との間に隙間が生じないようにすることによって、画像ノイズの発生を抑制することができると共に、記録用紙の分離性を確保することが可能である。 本発明の画像形成方法は、定着装置において、クラウン部と逆クラウン部を軸方向に連続して形成することにより、記録媒体にシワの発生を抑制することができると共に、記録用紙の分離性を確保することができる。 本発明の画像形成方法は、定着装置において、定着ローラと加圧ローラを無負荷状態で接触させた場合に、各ローラの弾性層の厚みの和を一定にすることによって、定着ローラ及び加圧ローラの回転方向における圧力ピーク値を軸方向に渡って一定にすることができる。これにより、定着ニップにおける圧力ムラを抑制することができ、画像ノイズの発生を抑制することが可能である。 本発明の画像形成方法は、定着装置において、クラウン部及び逆クラウン部を、定着ローラ及び加圧ローラの少なくとも記録媒体の最大通過幅全体に対応する部分に渡って配設することにより、記録媒体を湾曲させて定着ニップから搬出することができ、記録媒体の定着ローラへの巻き付きを抑制することができる。 本発明の画像形成方法は、定着装置において、クラウン部及び逆クラウン部を、定着ローラ及び加圧ローラの記録媒体の最大通過幅の一部に対応する部分に配設することにより、記録媒体を湾曲させて定着ニップから搬出することができ、記録媒体の定着ローラへの巻き付きを抑制することができる。 本発明の画像形成方法は、定着装置において、クラウン部及び逆クラウン部の少なくとも一方に直線部を形成することが可能である。
61 定着ローラ
61a クラウン部
61b 逆クラウン部
61c 直線部
62 加圧ローラ
62a クラウン部
62b 逆クラウン部
62c 直線部
63 加熱源
65 加圧ベルト
66 押圧部材
66a 凸面部
66b 凹面部
660 押圧面
611 芯材
612 弾性層
621 芯材
622 弾性層
H 高低差
N 定着ニップ
P 記録用紙
Q 頂部
U 底部
W 記録媒体の最大通過幅
Claims (14)
- 少なくとも樹脂と着色剤とずり緩衝剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー画像を接触加熱方式の定着装置を用いて支持体上に定着する工程を有する画像形成方法において、
前記トナーに含まれるずり緩衝剤の割合がトナー全量中12質量%以上であり、
前記定着装置が、
加熱源によって加熱される定着ローラと、当該定着ローラに圧接して配設された加圧ローラを備え、前記定着ローラと前記加圧ローラが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させることにより、当該記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置であって、
前記定着ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、
前記加圧ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、
前記定着ローラの前記クラウン部と前記加圧ローラの前記逆クラウン部を対応させると共に、前記定着ローラの前記逆クラウン部と前記加圧ローラの前記クラウン部を対応させて、前記定着ローラと前記加圧ローラを互いに圧接させて、
前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの軸方向の同じ側の端部を、軸方向に位置決めすると共に、前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの前記位置決めされた端部と反対側の端部を軸方向に変位可能にし、
前記定着ローラと前記加圧ローラとを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、軸方向の任意の断面における前記定着ローラ及び前記加圧ローラの前記弾性層の厚みの和が一定となるように設定した
ことを特徴とする画像形成方法。 - 前記トナーに含まれるずり緩衝剤の割合がトナー全量中15質量%以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。 - 前記ずり緩衝剤が液晶性化合物である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。 - 前記ずり緩衝剤がワックスである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。 - 前記定着ローラと前記加圧ローラとを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、対応させて配設した前記クラウン部と前記逆クラウン部との間に隙間が生じないように構成した
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記定着ローラと前記加圧ローラのそれぞれの前記クラウン部と前記逆クラウン部を、軸方向に連続して形成した
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記クラウン部及び前記逆クラウン部を、前記定着ローラ及び前記加圧ローラの少なくとも記録媒体の最大通過幅全体に対応する部分に渡って配設した
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記クラウン部及び前記逆クラウン部を、前記定着ローラ及び前記加圧ローラの記録媒体の最大通過幅の一部に対応する部分に配設した
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記定着ローラの前記クラウン部及び前記逆クラウン部の少なくとも一方と、前記加圧ローラの前記クラウン部及び前記逆クラウン部の少なくとも一方に、直線部を形成した
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記定着ローラと前記加圧ローラを互いに圧接させた負荷状態において、前記定着ニップにおける前記クラウン部の頂部と前記逆クラウン部の底部との高低差を、0.16mm以上であって0.8mm以下に設定した
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記定着ローラ及び前記加圧ローラは、金属製の芯材の外周面に弾性層を被覆して構成されたものであって、前記芯材及び前記弾性層の少なくとも一方の厚さを軸方向に渡って変化させて前記クラウン部及び逆クラウン部を形成した
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記定着ローラを、芯材の外周面に弾性層を有しないローラで構成すると共に、当該定着ローラの前記芯材の外周面を軸方向に渡って湾曲させることにより、前記クラウン部と前記逆クラウン部を形成した
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成方法。 - 前記加圧ローラは、芯材の外周面に弾性層を被覆して構成されたものであって、当該加圧ローラの前記芯材の外周面を軸方向に渡って湾曲させることにより、前記クラウン部と前記逆クラウン部を形成した
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。 - 少なくとも樹脂と着色剤とずり緩衝剤を含有するトナーを用いて形成されたトナー画像を接触加熱方式の定着装置を用いて記録媒体上に定着する工程を有する画像形成方法において、
前記トナーに含まれるずり緩衝剤の割合がトナー全量中12質量%以上であり、
前記定着装置が、
加熱源によって加熱される定着ローラと、無端状の加圧ベルトと、当該加圧ベルトの内周面を押圧して加圧ベルトを前記定着ローラに圧接させる押圧部材を備え、前記定着ローラと前記加圧ベルトが互いに圧接して形成された定着ニップに記録媒体を通過させることにより、当該記録媒体上の未定着画像を記録媒体に定着させる定着装置であって、
前記定着ローラは、外周面がクラウン状に形成されたクラウン部と、外周面が逆クラウン状に形成された逆クラウン部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、
前記押圧部材の前記加圧ベルトを押圧する押圧面に、凸状に形成した凸面部と、凹状に形成した凹面部を、それぞれ少なくとも1つずつ有し、
前記定着ローラの前記クラウン部と前記押圧部材の前記凹面部を対応させて配設すると共に、前記定着ローラの前記逆クラウン部と前記押圧部材の前記凸面部を対応させて配設して、前記押圧部材によって前記加圧ベルトを押圧し、前記定着ローラと前記加圧ベルトを互いに圧接させて、
前記定着ローラと前記押圧部材のそれぞれの軸方向の同じ側の端部を、軸方向に位置決めすると共に、前記定着ローラと前記押圧部材のそれぞれの前記位置決めされた端部と反対側の端部を軸方向に変位可能にし、
前記定着ローラと前記押圧部材とを無負荷状態で互いの前記クラウン部と前記逆クラウン部を接触させて配設した場合に、軸方向の任意の断面における前記定着ローラ及び前記押圧部材の前記弾性層の厚みの和が一定となるように設定した
ことを特徴とする画像形成方法。
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