JP2014157223A - 透明トナー、画像形成用現像剤及びプロセスカートリッジ - Google Patents

透明トナー、画像形成用現像剤及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】離型性、低温定着性及び耐熱保存性が良好な透明トナーを提供する。
【解決手段】母体樹脂、および離型剤から構成され、該母体樹脂の少なくとも1種類はポリエステル樹脂であり、該離型剤がエステル結合を含んだものであり、着色度が0.5未満、かつ該離型剤含有表面溶剤抽出成分が12mg/g以上、19mg/g未満である透明トナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、レーザープリンターあるいはファクシミリ等の電子写真プロセスに用いる乾式静電荷像現像用の透明トナー、現像剤及び該透明トナーを現像手段に収容したプロセスカートリッジに関する。
レーザープリンター、乾式静電複写機等の画像形成装置に用いられる電子写真法は、光導電性層などの像担持体表面を一様に帯電させ、次いでその像担持体表面を露光し、露光された部分の電荷を消散させることにより電気的な潜像を形成し、更に該潜像にトナーと呼ばれる電荷を持った微粉末等を付着させることによって可視化し、得られた可視像を転写紙等の記録媒体に転写した後、加熱、加圧などにより永久定着させるとともに、転写できずに像担持体表面に残った微粉末等を清掃する工程からなる。
近年の画像形成装置では、トナー定着時の省エネルギー化の要求や高速で処理できる画像形成装置の要求が高まっており、トナー自体に低温で溶融する特性が求められている。
また高画質化の要求も大きく、写真画像等の高品位な画像形成の要求に対しては記録用紙等の被記録媒体表面に光沢性を付与することによって、鮮明な高光沢画像を提供できることが知られている。
これらは例えば有彩色トナーのない非画像部に透明トナー(色素を持たず無色透明な画像を付加するために用いられる透明記録剤)を配置することにより、被記録媒体上の有彩色トナーのある部分と有彩色トナーのない部分との光沢差をなくしたり、被記録媒体上の全面に透明トナーを配置したりする方法などが用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
そして、これまでの透明トナーにおいては、トナーの組成を変えることで光沢性を制御する方法はトナーに用いる樹脂の粘性を制御するものがほとんどであり、それだけでは充分な画像品質、保存性、定着特性を満たすには不十分であるのが実情である。
ところで、特許文献4(特開2012−018249号公報)には、離型性、低温定着性に優れ、かつ機内汚染性が低く製造が容易なトナー並びに、該トナーを用いた現像剤、現像剤入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを課題とする発明が開示されている。
この文献によると、このトナーは、結着樹脂及び離型剤を含有するトナー材料が有機溶媒に溶解乃至分散されている液を水系媒体中に乳化乃至分散させることにより製造されている母体粒子を有するトナーであって、前記結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含有し、前記離型剤は、合成エステル系ワックスに対して炭化水素系ワックスを重量比1/9〜9/1で混合したものであって、前記炭化水素系ワックスは、透明融点60〜95℃であり、かつ、前記合成エステル系ワックスは、透明融点65〜90℃であり、直鎖状モノエステルおよび分岐構造を有するエリスリトール系エステルからなり、前記離型剤のDSC測定を行った際に、二回目の昇温時における炭化水素ワックスのガラス転移温度(Tg)をTg1、合成エステルワックスのTgをTg2、前記離型剤のTgをTg1+2としたとき、Tg1>Tg1+2、かつ、Tg2>Tg1+2という関係を有することを特徴とする。
しかしながら、樹脂と相溶させるためと、必要品質を出す為に、エステル系と非エステル系低融点離型剤を共に用いる必要があった。また顔料を含まないトナーにおける場合、相対的に表面露出する離型剤の量が増加してしまう問題が残る。
透明トナーは、上記の問題点等に加え、有彩色トナーに比べ耐熱保存性が低くなってしまう欠点もあった。耐熱保存性は表面近傍の離型剤が溶融または溶出してくることが一因である。
本発明の目的は、上記の問題点・欠点を解消し、離型性、低温定着性及び耐熱保存性が良好な透明トナーを提供することにある。
本発明者等は、上記の課題は、少なくとも母体樹脂、離型剤を含む乾式静電荷像現像用透明トナーにおいて、本発明においては離型剤と相溶性が高い母体樹脂を用いること、及び離型剤含有表面溶剤抽出成分量が規定されること、望ましくは更に離型剤中の分子量に対するエステルの数を規定することで、離型剤の表面露出を抑えることに成功した。本発明トナーは低温定着性を阻害しない、かつ耐熱保存性が高いトナーおよび透明トナーが得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
即ち、本発明は、少なくとも1種類以上の母体樹脂、および離型剤から構成されるトナーであって、該母体樹脂の少なくとも1種類はポリエステル樹脂であり、該離型剤がエステル結合を含んだものであり、着色度(X−Rite社製 Model 938にて測定される反射濃度ID)が0.5未満、かつ該離型剤含有表面溶剤抽出成分が12mg/g以上、19mg/g未満である透明トナーである。
離型剤に母体樹脂と高い親和性/相溶性を持つ官能基を持たせ、予め前処理を行った樹脂−離型剤混合溶液を用いてトナーを作成することで、離型剤を内包したトナーを作成することを可能にする。トナー中に離型剤は微小な大きさで分散して状態で存在しており、かつトナー表面近傍にも離型剤が配置しているので、定着時に離型性を阻害しない。
本発明の画像形成装置の一例の概略正面図である。 図1に示した画像形成装置に備えられた定着装置に用いられている定着ベルトの層構成の一例の概略正面図である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
<トナー>
本発明のトナーとしては、少なくとも一種類はポリエステル系樹脂を含む母体樹脂、エステル系離型剤を必須成分とする。なお、トナーには、流動性や現像性、帯電性を補助するため必要に応じて、外添剤を添加したり、異形化剤を添加したり、帯電制御剤を添加したり、また別の樹脂により表面を覆ったコアシェル構造や、表層に別の樹脂を配置して海島構造を有していたりしてもよい。
〈母体樹脂〉
母体樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。また、異なる樹脂が化学的に結合したハイブリッド樹脂を使用してもよい。さらに、トナーを水系媒体中で製造する方法(少なくとも結着樹脂成分及び離型剤を有機溶媒中に含んでなる油相が水系媒体(水相)中に分散されたO/W型分散液から、有機溶媒を除去することでトナーを造粒する方法)が採られる場合には、樹脂の末端もしくは側鎖に反応性官能基を導入し、トナーの製造過程において結合させることにより伸長させてもよい。
母体樹脂としては、有機溶媒に少なくとも一部は溶解するようなものを用いるが、その酸価は2〜24mgKOH/gであるのが好ましい。酸価が24mgKOH/gを超える場合、水相への移行が起こりやすくなり、その結果製造の過程で物質収支にロスが発生してしまう、あるいは油滴の分散安定性が悪化してしまうなどの問題が発生しやすくなる。またトナーの水分吸着性が高まり、帯電能力の低下だけでなく、高温高湿環境での保存性が悪化する。一方、酸価が2mgKOH/g未満になると、樹脂の極性が低くなるため、均一に分散することが難しくなる。
なお、前記酸価は、JIS K1557−1970に準じて測定される。
樹脂の種類としては特に限定はないが、本発明においてはポリエステル樹脂を少なくとも1種類以上含む必要がある。ポリエステル骨格を有する樹脂としては、ポリエステル樹脂や、ポリエステルと他の骨格を有する樹脂とのブロックポリマーがあるが、ポリエステル樹脂を用いたほうが得られるトナーの均一性が高く好ましい。ポリエステル樹脂としてはフェノール素ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂としては、ラクトン類の開環重合物、ヒドロキシカルボン酸の縮重合物、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられ、設計の自由度の観点からポリオールとポリカルボン酸との重縮合物が好ましい。ポリエステル樹脂のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、30000を超えると静電潜像現像用トナーとしては低温定着性が悪化する。また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度は45〜70℃、好ましくは50〜65℃の範囲にあるのが良い。
必要に応じて、トナー母体を表層樹脂(母体樹脂とは異なる樹脂)で被覆する場合には、高温高湿環境下で保管されたとき大気中の水分により表層樹脂の樹脂が可塑化され、母体樹脂はガラス転移温度の低下を引き起こしかねない。トナー、またはトナーカートリッジの輸送中は40℃90%の高温高湿環境が想定され、得られたトナーが一定圧力下に置かれたときに変形する、あるいはトナー同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなる可能性があるため45℃未満は好ましくない。また70℃を超えるような場合、低温定着性が悪化するため好ましくない。
(ポリオール)
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)と3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;3,3′−ジフルオロ−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、等の4,4′−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラフルオロビスフェノールA)、2,2−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等のビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)と3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、または(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルキレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)、3−フルオロイソフタル酸、2−フルオロイソフタル酸、2−フルオロテレフタル酸、2,4,5,6−テトラフルオロイソフタル酸、2,3,5,6−テトラフルオロテレフタル酸、5−トリフルオロメチルイソフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ビフェニルジカルボン酸、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′−ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルキレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.3/1〜1/1.3である。
〈変性樹脂〉
また、得られるトナーの力学的強度を高めたり、静電潜像現像用トナーとして用いる場合においては先の力学的強度に加え定着時における高温オフセットを防止したりする目的で、油相中に末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を溶解してトナーを得ても良い。変性樹脂を得る方法としては、イソシアネート基を含有するモノマーとともに重合反応をしてイソシアネート基を有する樹脂を得る方法、末端に活性水素を有する樹脂を重合して得た後、ポリイソシアネートと反応させることでポリマー末端にイソシアネート基を導入する方法などが挙げられるが、末端にイソシアネート基を導入するという制御性から後者の方法が好ましく採用されうる。
活性水素としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。変性樹脂の骨格としては、粒子の均一性を考慮すると有機溶媒に溶解する樹脂と同じものを用いるのが好ましく、ポリエステル骨格を有するものが良い。アルコール性水酸基をポリエステルの末端に有する樹脂を得る方法としては、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合において、ポリオールの官能基数をポリカルボン酸の官能基数よりも多めにして重縮合反応を行えばよい。
(アミン化合物)
変性樹脂のイソシアネート基は、水相中で油相を分散させ粒子を得る過程で加水分解をして一部はアミノ基となり、生成したアミノ基は未反応のイソシアネート基を反応していき、伸長反応が進行していく。上記の反応以外にも伸長反応を確実に反応させる、もしくは架橋点を導入する目的で、アミン化合物を併用することができる。アミン化合物(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′ジアミノジフェニルメタン、テトラフルオロ−p−キシリレンジアミン、テトラフルオロ−p−フェニレンジアミンなど);脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ドデカフルオロヘキシレンジアミン、テトラコサフルオロドデシレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)とアミン類(B)の比率は、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の数がイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]の数の4倍以下、好ましくは2倍以下、より好ましくは1.5倍以下、さらに好ましくは1.2倍以下である。4倍を超えると、過剰のアミノ基がイソシアネートをブロックしてしまい変性樹脂の伸長反応が起きないため、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
〈結晶性ポリエステル樹脂〉
本発明のトナーには、低温定着性を向上させるために結晶性ポリエステルが含有されていてもよい。結晶性ポリエステルも前述のポリオールとポリカルボン酸の重縮合物として得られるが、ポリオールとしては脂肪族ジオールが好ましく具体的にはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、その中でも1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールや1,8−オクタンジオールが好ましく、さらに好ましくは1,6−ヘキサンジオールである。
ポリカルボン酸としてはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸や炭素数2〜8の脂肪族カルボン酸が好ましいが、結晶化度を高くするためには脂肪族カルボン酸がより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量が大きいとシャープメルト性を維持することが困難となるため、1,000〜30,000が好ましく、1,200〜20,000がより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500〜6,000が好ましく、700〜5,500がより好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)と前記数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2〜8が好ましい。
前記分子量分布(Mw/Mn)が、2未満であると、製造が困難で、コストがかかることがあり、8を超えると、シャープメルト性が悪化することがある。
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、60℃〜130℃が好ましく、70℃〜110℃がより好ましい。前記融点が、60℃未満であると、低温でトナーの粘弾性が低下してしまうため、耐熱保存性が悪化することがあり、130℃を超えると、粘弾性を下げる効果が不十分であり、低温定着性が不十分となることがある。
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点は、例えば、示差走査型熱量測定(DSC)により得られるDSC曲線により測定することができる。
なお、結晶性樹脂(結晶性ポリエステル)と非結晶性樹脂とは熱特性で判別される。結晶性樹脂は、例えばDSC測定においてワックスのように明確な吸熱ピークを有する樹脂を指す。一方、非結晶性樹脂はガラス転移に基づく緩やかなカーブが観測される。
<表層樹脂(シェル粒子)>
帯電性、保存性をより高めるために、シェル粒子をトナー表面近傍に配置させても良い。シェル粒子は、水系媒体中に分散されたものを用いることができる。シェル粒子を構成する樹脂としてはビニル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、エポキシ樹脂等が挙げられる。この中で水系媒体に分散したシェル粒子を簡便に得られることからビニル系樹脂が好ましい。シェル粒子の水系分散体を得る方法としては、乳化凝集法、懸濁重合法、分散重合法など公知の重合法によれば良い。
また、シェル粒子は、帯電性を高めるために、スチレン系モノマーからなるモノマー混合物を重合させて得られる樹脂が好ましい。シェル粒子は帯電しやすい構造を有しているのがよく、そのためには芳香環構造のように電子を安定に存在できるような電子軌道を持つスチレン系モノマーがモノマー混合物のうち50〜100重量%、好ましくは70〜90重量%用いられるのが良い。スチレン系モノマーが50重量%未満であると、得られたトナーの帯電性が乏しくなり、トナーのアプリケーションが限定される。
ここで、スチレン系モノマーというのは、ビニル重合性官能基を有する芳香族化合物のことを指す。重合可能な官能基としては、ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。具体的なスチレン系モノマーとしては、スチレン、αメチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−カルボキシスチレンもしくはその金属塩、4−スチレンスルホン酸もしくはその金属塩、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、アリルベンゼン、フェノキシアルキレングリコールアクリレート、フェノキシアルキレングリコールメタクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールアクリレート、フェノキシポリアルキレングリコールメタクリレート等が挙げられる。この中では、入手が容易で反応性に優れ帯電性の高いスチレンを主に用いるのが好ましい。
また、本発明に用いられるビニル系樹脂には、酸モノマーがモノマー混合物のうち0〜30質量%、好ましくは10〜20質量%使用するのがよい。酸モノマーが30質量%を超えて使用されると、スチレン系モノマーの比率が小さくなり帯電付与機能が下がったり、酸が存在することでトナー化されたりしたときに環境変動の大きいものになってしまう。酸モノマーの使用量が10〜20質量%にすることで、母体樹脂との親和性を高めることができ、表層樹脂をトナー表面に対し薄膜状に覆うことが出来る。
ここで、酸モノマーというのは、アレニウス酸として定義できるモノマーのことをいい、酸基としては、カルボキシル酸、スルホニル酸、ホスフォニル酸などが挙げられる。酸モノマーとしては、例えばカルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩((メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキル、桂皮酸等)、スルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル及びこれらの塩、リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩などがある。この中では、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、フマル酸、フマル酸モノアルキルが好ましい。
一方、トナー母体との相溶性の制御、ガラス転移点制御のためエステル結合を有するモノマーを同時に用いてもよい。その際の使用量は、モノマー全体の5〜25質量%、好ましくは10〜20質量%が良い。25質量%以上用いると、トナー表面の極性基の増加により帯電の環境安定性が著しく低下するため好ましくない。
シェル粒子を得る方法としては特に限定されないが、以下の(a)〜(f)が挙げられる。
(a)モノマー混合物を懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により反応させ、シェル粒子の分散液を製造する。
(b)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによってシェル粒子を製造する。
(c)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することによりシェル粒子を製造する。
(d)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することによりシェル粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去してシェル粒子を製造する。
(e)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する。
(f)あらかじめモノマー混合物を重合し、得られた樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する。
この中で、製造が容易であり、シェル粒子を分散液として得られることから次工程への適用がスムーズに行うことができる(a)の方法が好ましい。(a)の方法において、重合反応を行う際には、水系媒体中に分散安定剤を添加する、もしくは重合反応を行うモノマー中に、重合してできたシェル粒子の分散安定性を付与できるようなモノマー(いわゆる反応性乳化剤)を添加する、またはこれら2つの手段を併用し、できあがったシェル粒子の分散安定性を付与するのがよい。分散安定剤や反応性乳化剤を使用しないと、粒子の分散状態を維持できないために樹脂を微粒子として得ることができなかったり、得られたシェル粒子の分散安定性が低いために保存安定性に乏しく保管中に凝集してしまったり、あるいは後述のシェル粒子付着工程での粒子の分散安定性が低下するために、トナー母体同士が凝集・合一しやすくなり最終的に得られるトナーの粒径や形状・表面などの均一性が悪くなるため好ましくない。
分散安定剤としては、界面活性剤、無機分散剤などが挙げられ、界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
表層樹脂の重量平均分子量は3,000〜300,000、好ましくは4,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000の範囲が良い。重量平均分子量が3,000に満たないと、シェル粒子の力学的強度が弱く脆弱であるため、最終的に得られるトナーのアプリケーションによっては使用状況によってトナー表面が容易に変化してしまい、例えば帯電性の著しい変化や周辺部剤への付着などの汚染、それに伴う品質問題の発生を引き起こすため好ましくない。また、300,000を超えるような場合、分子末端が少なくなるためトナー母体との分子鎖の絡み合いが少なくなり、トナー母体への付着性が低下するため好ましくない。
また、表層樹脂のガラス転移温度(Tg)は、45〜100℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは55〜80℃が良い。高温高湿環境下で保管されたとき、大気中の水分により表層樹脂の樹脂が可塑化され、ガラス転移温度の低下を引き起こしかねない。トナー、またはトナーカートリッジの輸送中は40℃90%の高温高湿環境が想定され、得られたトナーが一定圧力下に置かれたときに変形する、あるいはトナー同士がくっついてしまい本来の粒子としての振る舞いができなくなる可能性があるため45℃より以下は好ましくない。
〈離型剤〉
本発明において、離型剤は必須になる。一般に離型剤を加えることで定着離型性を高めることが出来る。離型剤としては、ワックスやシリコーンオイルなどの、定着プロセスで加熱されたときに十分に粘度が低く、かつトナーのほかの物質とも定着部材表面に相溶あるいは膨潤しにくい物質が使用される。保存安定性を考えると、通常保管時にトナー中で固体として存在するワックスを用いるのか好ましい。
ワックスとしては、長鎖炭化水素、カルボニル基含有ワックスなどがあるが、本発明としてはエステル結合を持つ炭化水素が必須になる。エステル結合を持つワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど)等が挙げられる。この中で、特に離型性がよいポリアルカン酸エステルが好ましい。
本発明で用いられる離型剤は、分子量に対するエステル基の数の比率(エステル基の数/分子量)が0.0010〜0.0040個/(g・mol−1)の範囲にあるものが好ましい。この範囲を上限に逸脱していると離型剤本来の目的である離型性の低下といった不具合を生じ、下限に逸脱していると、母体樹脂との親和性の低下という不具合が生じることがある。
前記分子量に対するエステル基の数は以下の式に従い求めることができる。
[エステル基の数]
={([鹸化価]―[酸価])/56.11}×[離型剤重量平均分子量]÷1000
酸価はJIS K1557−1970に準じて測定される。
鹸化価は次のようにして測定される。
即ち、離型剤の鹸化価はJIS K0070−1992に準じて測定される。離型剤1gをTHF10mlに溶解させる。このTHF溶解液全量と、0.5mol・L-1の水酸化カリウム・エタノール溶液25mlを、冷却管を付けた三角フラスコに加え、スターラーで攪拌しながら穏やかに加熱し還流しながら反応させる。常温に放冷後、指示薬としてフェノールフタレイン指示薬を1ml加え0.5mol・L-1の塩酸を徐々に加え、指示薬の淡紅色が現れなくなるまで中和を行った。このときの塩酸の体積をAとする。
次に空滴定を行う。先ほどの還流に用いた0.5mol・L-1の水酸化カリウム・エタノール溶液25mlに対し、フェノールフタレイン指示薬を1ml加え0.5mol・L-1の塩酸を徐々に加え、指示薬の淡紅色が現れなくなるまで中和を行った。このときの塩酸の体積をBとする。すると鹸化価は以下の式で算出される。
[鹸化価]={(B−A)×[塩酸溶液ファクター]×28.05}
また、前記エステル基を含む離型剤の重量平均分子量は450〜700の範囲にあるが好ましい。この範囲を逸脱していると離型性の低下、樹脂親和性の低下といった不具合を生じることがある。
前記エステル基を含む離型剤の重量平均分子量は、後記〔分子量測定(GPC)〕の測定法により求めることができる。
離型剤はその全てがエステル基を含む離型剤であるのが望ましいが、その他の離型剤は併用されてもかまわない。ただし本発明の効果を配慮すれば、離型剤全体の80質量%以上はエステル基を含む離型剤であるのが好ましい。
離型剤はトナー中に2〜25重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは4〜15重量%含まれているのが良い。2重量%未満であると、定着離型性向上効果が発揮できず、また25重量%を超えるとトナーの機械強度が低下する。
〈有機溶剤〉
有機溶剤は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。
有機溶媒中に溶解あるいは分散させる樹脂がポリエステル骨格を有する樹脂である場合、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系の溶媒もしくはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系の溶媒を用いたほうが溶解性は高く好ましく、このなかでは溶媒除去性の高い酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
〈水系媒体〉
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
〈界面活性剤〉
水系媒体中に油相を分散させて液滴を作成するために界面活性剤が用いられる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
〈無機分散剤〉
上記水系媒体中に、トナー組成物の溶解物または分散物を、無機分散剤またはトナーの存在する中分散させてもよい。無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
〈保護コロイド〉
高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナーからリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
〈帯電制御剤〉
帯電制御剤は公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩、カリックスアレーン誘導体、等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、E−108、E−304(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
カリックスアレーン誘導体としては構成単位がフェノールの誘導体であるものを含め、公知のものが全て使用でき、例えば構成単位としては、フェノール系誘導体、レゾルシノール系誘導体、ピロガロール系誘導体などの誘導体や、ピロール系誘導体、チオール系誘導体などの複素環式五員環芳香族化合物系誘導体等である。それぞれ、一般にカリックスアレーン、レゾルシンアレーン、ピロガロールアレーン、カリックスピロール、カリックスチオールなどと呼ばれるが、本文中ではこれら誘導体全て包括してカリックスアレーンと呼ぶこととする。カリックスアレーンの構成単位の数として制限はないが、分散性、溶解性の観点より、4〜16、好ましくは4〜8が良い。カリックスアレーンにはいくつかの立体配座を取るが、コーン型、または全てのオルタネート型を問わない。
帯電制御剤はその性能を発現し定着性などへの阻害がない範囲の量で用いられればよく、トナー中に0.1〜5重量%、好ましくは0.8〜3重量%含まれるのが良い。
〈外添剤〉
外添剤としては、公知の無機微粒子および高分子系微粒子を好ましく用いることができる。この外添加剤の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この外添加剤の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
高分子系微粒子としては、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン(登録商標)などの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は表面処理(疎水化処理)を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。疎水化処理には、例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
<1成分現像剤、2成分現像剤>
本発明の現像剤は、キャリアを有さない一成分系現像剤、即ち、磁性トナー又は非磁性トナーであってもよいが、キャリアをさらに有する二成分系現像剤であることが好ましい。二成分系現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100質量部に対してトナー1〜10質量部が好ましい。キャリアとしては、粒子径が20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉等を用いることができる。
キャリアは、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ系樹脂;エポキシ樹脂;アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂;ポリビニリデン系樹脂;ポリスチレン、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂等の被覆樹脂で被覆されていてもよい。
また、被覆樹脂は、必要に応じて、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛等の導電粉等を含有していてもよい。
導電粉は、平均粒子径が1μm以下であることが好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
<トナーの製造方法>
〔混練・粉砕法〕
混練・粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂及び離型剤を含有するトナー材料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、分級することにより、トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、株式会社池貝製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
次いで、外添剤のトナー母体粒子への外添が行われて本発明のトナーが得られる。この際、トナー母体粒子と外添剤とをミキサーを用い、混合及び攪拌することにより外添剤が解砕されながらトナー母体粒子表面に被覆される。この時、無機微粒子や樹脂微粒子等の外添剤を均一かつ強固にトナー母体粒子に付着させることが耐久性の点で重要である。
〔水系媒体中での製造方法〕
本発明のトナーの製造方法としては、粉砕法に比べシャープな粒度分布が得られ、画像の均一性を向上させることができる点で、水系媒体中でトナーを造粒する方法が好ましく、少なくとも結着樹脂成分及び離型剤を有機溶媒中に含んでなる油相が水系媒体中に分散されたO/W型分散液から、有機溶媒を除去することでトナーを造粒する方法が好ましい。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子を形成する、結着樹脂前駆体、離型剤、結晶性ポリエステル分散液、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめ、これらのトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜60分である。分散時の温度としては、通常、0〜80℃(加圧下)、好ましくは10〜40℃である。
トナー組成物100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常100〜1000質量部である。100質量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。1000質量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記の方法により核となるトナー母体を得る場合、それぞれの公知の方法にて核となるトナー母体を得ている工程、もしくはトナー母体を得た後の工程でシェル粒子を系中に添加し、核となるトナー母体表面にシェル粒子を付着・融着させるのが好ましい。付着・融着を促進させるために加熱を行っても良い。また、金属塩を添加することも付着・融着を促す上で有効である。
(油相作成工程)
有機溶媒中に樹脂などを溶解あるいは分散させた油相を作成する方法としては、有機溶媒中に攪拌をしながら樹脂などを徐々に添加していき、溶解あるいは分散させればよい。有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、離型剤、帯電制御剤を湿式で分散を行い、ウエットマスターを得ることが望ましい。さらに別の手段として、有機溶媒の沸点未満で溶融するようなものを分散するのであれば、有機溶媒中で、必要に応じて分散助剤を添加し、分散質とともに攪拌しながら加熱を行い、一旦溶解させた後、攪拌もしくはせん断しながら冷却を行うことによって晶析を行い、分散質の微結晶を生成させる方法を行っても良い。以上の手段を用いて分散された離型剤、帯電制御剤は、有機溶媒中に樹脂とともに溶解あるいは分散された後、さらに分散を行っても良い。分散に際しては公知のビーズミルやディスクミルなどの分散機を用いることができる。
(トナー母体作製工程)
水系媒体中に前述の工程で得られた油相を分散させ、油相からなるトナー母体が分散した分散液を作成する方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。5分を超えて分散を行うと、望ましくない小径の粒子が残存してしまったり、分散が過分散状態になって系が不安定になり凝集体や粗大粒子が発生したりすることがあるので好ましくない。分散時の温度としては、通常、0〜40℃、好ましくは10〜30℃である。40℃を超えると分子運動が活発になることから分散安定性が低下し凝集体や粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。また、0℃未満になると分散体の粘度が高くなり、分散に必要なせん断エネルギーが増大するため製造効率が低下する。界面活性剤は、前述のシェル粒子の製造法に関する説明で記載したものと同じものが使用できるが、溶媒を含む油滴を効率よく分散するためには、HLBが高めのジスルホン酸塩のものが好ましい。界面活性剤は、水系媒体中での濃度が1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、より好ましくは3〜7重量%の範囲にあるのが良い。10重量%を超えると、油滴が小さくなりすぎたり、逆ミセル構造を形成して逆に分散安定性が低下して油滴の粗大化が発生したりするため好ましくない。また1重量%未満では油滴の分散を安定に行うことができずに油滴が粗大化してしまうため好ましくはない。帯電制御剤は、油相に予め分散させた状態で添加しておくことが望ましい。
(表層樹脂層の形成方法)
ここにいう表層樹脂層とは、トナー母体表面が持つ隆起した部分もしくは、トナー表面を覆ったシェル粒子の凝集集合体である。シェル粒子の融着の仕方は限定されず、例えば球体でその一部または全てが埋没している形状、溶解し、複数の粒子が凝集、結着することにより作られたペースト状が挙げられる。
表層樹脂層の形成方法としては、少なくとも母体樹脂からなるトナー母体に別途少なくとも樹脂からなるシェル粒子を付着・融着させる方法が挙げられる。核となるトナー母体とシェル粒子との付着・融着を効率よく行わせるためには、水系媒体中にこれらの粒子を分散させ、分散安定剤を制御しながら行うのが良い。ここで、表層樹脂の形状及び均一性を決定するのは、水系媒体中の界面活性剤の存在割合、表層樹脂微粒子の組成、融着工程のタイミングである。
溶解懸濁法を用いる場合、上記方法によっても良いが、有機溶媒中に核となるトナー母体の構成材料を溶解もしくは分散した油相を水系媒体中に分散させた状態において、表層樹脂微粒子を添加して油相液滴の表面に表層樹脂微粒子を付着・融着させた方が核となるトナー母体と表層樹脂微粒子が強固に付着・融着できるため好ましい。トナー母体作製工程中に表層樹脂微粒子を添加すると、表層樹脂が粗大、不均一になるため好ましくない。
得られたトナー母体分散液は、攪拌を行っている間は安定にトナー母体の液滴を存在させておくことができる。その状態に前記表層樹脂微粒子分散液を投入してトナー母体上に付着させる。シェル粒子分散液の投入は、30秒以上かけて行うのが良い。30秒未満で投入を行うと、分散系が急激に変化するために凝集粒子が発生したり、表層樹脂微粒子の付着が不均一になったりするため好ましくない。一方闇雲に長い時間、例えば60分を超えて添加するのは生産効率の面から好ましくはない。
シェル粒子分散液は、トナー母体分散液に投入する前に、適宜濃度調整のために希釈あるいは濃縮しても良い。表層樹脂微粒子分散液の濃度は、5〜30重量%が好ましく、8〜20重量%がより好ましい。5%未満では、分散液の投入に伴う有機溶媒濃度の変化が大きく、表層樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。また30重量%を超えるような場合、表層樹脂微粒子がトナー母体分散液中に偏在しやすくなり、その結果表層樹脂微粒子の付着が不均一になるため避けたほうが良い。
また、油相液滴を製造する場合の界面活性剤の重量は、水相全体の重量に対して7%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下がよい。界面活性剤の重量が水相全体の重量に対して7%以上となると、表層樹脂の長辺長さの均一性が著しく低下するため好ましくない。トナー母体に対して表層樹脂微粒子が十分な強度で付着するのは、表層樹脂微粒子がトナー母体の液滴に付着したときに、トナー母体が自由に変形できるためにシェル粒子界面と接触面を十分に形成すること、および、有機溶媒によって表層樹脂微粒子が膨潤もしくは溶解し、表層樹脂微粒子とトナー母体内の樹脂とが接着しやすい状況になることだと思われる。したがって、この状態において有機溶媒は系内に十分に存在することが必要である。
具体的には、トナー母体分散液の状態において、固形分(樹脂、離型剤、および必要に応じて帯電制御剤など)に対して50重量%〜150重量%、好ましくは70重量%〜125重量%の範囲にあるのがよい。150重量%を超えると、一度の製造工程で得られるトナーが少なくなり生産効率が低いこと、また有機溶媒が多いと分散安定性が低下して安定した製造が難しくなることなどから好ましくない。トナー母体に表層樹脂微粒子を付着するときの温度としては、10〜60℃、好ましくは20〜45℃である。60℃を超えると、製造に必要なエネルギーが増大するために製造環境負荷が大きくなることに加え、低酸価の表層樹脂微粒子が液滴表面に存在することもあり分散が不安定になり粗大粒子が発生する可能性もあるため好ましくない。一方10℃未満では分散体の粘度が高くなり、表層樹脂微粒子の付着が不十分になるため好ましくない。
トナーの全重量のうち表層樹脂微粒子を構成する樹脂の重量が占める割合は1%〜20%、好ましくは3%〜15%、より好ましくは5%〜10%である。1%以下となるとその効果が不十分であり、20%以上となると、過剰となった表層樹脂微粒子がトナートナー母体に弱く付着しフィルミング等の原因となる。
このほかにトナー母体と表層樹脂微粒子を混合攪拌し、機械的に付着、被覆させる方法がある。
(脱溶剤工程)
得られた樹脂分散体から有機溶剤を除去するためには、系全体を攪拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、得られた樹脂分散体を攪拌しながら乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の有機溶剤を完全に除去することも可能である。もしくは、樹脂分散体を攪拌しながら減圧し、有機溶媒を蒸発除去しても良い。後の2つの手段は、最初の手段と併用することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレードライヤー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分、目的とする品質が得られる。
(熟成工程)
末端にイソシアネート基を有する変性樹脂を添加している場合は、イソシアネートの伸長・架橋反応を進めるために熟成工程を行っても良い。熟成時間は通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜65℃、好ましくは35〜50℃である。
(洗浄工程)
上記の方法で得られたトナーの分散液には、副材料が含まれているため、これからかトナーのみを取り出すために洗浄を行う。トナーの洗浄方法としては、遠心分離法、減圧濾過法、フィルタープレス法などの方法があるが、特に限定されるものではない。いずれの方法によっても、トナーと10倍等量の水を混合させた際の溶液のイオン伝道度が10 μS/cm以下になるようにトナー洗浄する必要がある。この洗浄に用いる水系溶媒は水あるいは水にメタノール、エタノールなどのアルコールを混合した混合溶媒を用いるが、コストや排水処理などによる環境負荷を考えると、水を用いるのが好ましい。
(乾燥工程)
洗浄されたトナーは水系媒体を多く抱き込んでいるため、乾燥を行い、水系媒体を除去することでトナーのみを得ることができる。乾燥方法としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動槽乾燥機、回転式乾燥機、攪拌式乾燥機などの乾燥機を使用することができる。乾燥されたトナーは最終的に水分が1%未満になるまで乾燥を行うのが好ましい。また、乾燥後のトナーは軟凝集をしており使用に際して不都合が生じる場合には、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、コーヒーミル、オースターブレンダー、フードプロセッサーなどの装置を利用して解砕を行い、軟凝集をほぐしても良い。
〔トナーの粒径〕
本発明のトナーにおいては、なるべく均一な粒子径であることが望ましい。トナーの体積平均粒径が3〜9μm、好ましくは4〜7μmの範囲にあることが好ましい。3μm未満ではトナー付着力が相対的に増大し、電界によるトナー操作性が落ちるため好ましくない。また、9μmを超える場合は、細線の再現性など画像品位が低下する。また、前記トナーの体積平均粒径と個数平均粒径の比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、1.25以下が好ましく、1.20以下がより好ましく、1.17以下がさらに好ましい。1.25を超えると、繰り返し使用するうちに粒径の大きなトナーもしくは場合によっては小さなトナーが消費され、現像装置内に残存するトナーの平均粒径が変化するため、残存したトナーを現像するための最適な現像条件がずれてしまい、その結果、帯電不良、搬送量の極端な増加もしくは減少、トナー詰まり、トナーこぼれなど諸現象が発生しやすくなる。
トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上ないし40.30μm未満の粒子を対象とする。
〔トナーの形状〕
トナーの平均円形度は0.930〜0.990、好ましくは0.950〜0.980、さらに好ましくは0.960〜0.970とするのがよい。平均円形度が0.930未満であると、トナーの流動性が低いため現像における不具合を起こしやすく、また転写効率も低下する。円形度が0.990を超えると、クリーニング不良を引き起こしやすくなるので好ましくない。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000により測定される。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3,000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状および分布を測定することによって得られる。湿式造粒法で製造されたトナーの場合、イオン性のトナー構成材料が表面近傍に偏在するため、トナー表層が比較的低抵抗となる結果、トナーの帯電速度が大きくなり帯電立ち上がり性が向上するが、帯電保持性が乏しく、即ちトナー電荷量が急速に減衰しやすいという問題を有する。これを改善するために、例えば表面改質材をトナー表面に担持させる方法が挙げられる。
[トナーのTHF可溶成分〕
トナーのTHF可溶成分の重量平均分子量は5000〜15000、好ましくは7000〜11000であるのが望ましい。5000未満であると保管性が悪くなり、15000を超えると定着を阻害する傾向がみられる。
また、THF可溶成分の標準偏差は3.80未満、好ましくは3.10未満であるのが望ましい。3.80以上であると保存性が悪く、定着をも阻害する傾向がみられる。
前記のTHF可溶成分の重量平均分子量、標準偏差は、後記〔分子量測定(GPC)〕の測定法により求めることができる。
〔離型剤含有表面溶剤抽出成分〕
離型剤含有表面溶剤抽出成分とは、表面近傍に配置されている離型剤が有機溶剤により抽出された成分のことであり、その成分量の多い、少ないは表面に配置された離型剤の量の目安として意味をもつものである。
本発明のトナーにおいては、離型剤含有表面溶剤抽出成分量は12mg/g以上、19mg/g未満、好ましくは14mg/g以上、17mg/g未満である。12mg/g以上未満であるとトナーの離型性が得られなくなるといった不具合が見受けられる。また、19mg/g以上であると保管性の悪化といった不具合が見受けられる。この抽出成分量を12mg/g以上、19mg/g未満にするには、例えば離型剤と樹脂とのそれぞれの官能基を持つ樹脂を添加したり、表面樹脂により被覆させたりすることで可能である。なお、離型剤含有表面溶剤抽出成分量の算出については後記のとおりである。
〔トナーの着色度〕
本発明の透明トナーは、着色度(X−Rite社製色度計、Model 938にて測定される反射濃度ID)が0.5未満、好ましくは0.3未満である。0.5以上では透明トナーとしては不適である。
〔固形分濃度測定〕
油相の固形分濃度の測定は以下のようにして行った。あらかじめ質量が正確に秤量されたアルミ皿(1〜3g程度)の上に、油相2g程度を30秒以内に乗せ、乗せた油相の質量を正確に秤量する。これを150℃のオーブンに1時間入れ溶媒を蒸発させた後、オーブンから取り出し放置冷却し、アルミ皿と油相固形分を合わせた質量を電子天秤で測定する。アルミ皿と油相固形分を合わせた質量からアルミ皿の質量を引いて油相固形分の質量を算出し、それを乗せた油相の質量で除して油相の固形分濃度を算出する。また、油相中の固形分に対する溶媒の量の割合は、油相の質量から油相固形分の質量を引いた値(溶媒の質量)を油相固形分の質量で除した値である。
〔酸価測定〕
樹脂および離型剤の酸価はJIS K1557−1970に準じて測定される。具体的な測定方法を以下に示す。試料の粉砕品約2gを精秤する(W(g))。200mlの三角フラスコに試料を入れ、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mlを加え、5時間溶解した後、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加える。0.1規定の水酸化カリウムアルコール溶液を用いて上記溶液をビュレットを用いて滴定する。この時のKOH溶液の量をS(ml)とする。ブランクテストをし、この時のKOH溶液の量をB(ml)とする。次式により酸価を計算する。
酸価=〔(S−B)×f×5.61〕/W
(f:KOH溶液のファクター)
〔熱特性測定方法〕
使用するポリエステル樹脂などの熱特性を測定する方法としては、例えば示差走査熱量計(例えばDSC−6220R:セイコーインスツル社)を用いて、まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して、ガラス転移点以下のベースラインと、ガラス転移を示す曲線部分の接線との交点で求めることができる。
〔分子量測定(GPC)〕
樹脂、トナーのTHF抽出成分および離型剤の分子量測定は、GPC(gel permeation chromatography)によって、以下の条件で測定した。
・装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
・カラム:KF801〜807(ショウデックス社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
・試料:濃度0.05〜0.6%の試料を0.1mL注入した。
以上の条件で測定した樹脂の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して樹脂の数平均分子量および重量平均分子量を算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。ファーストピークを用いて分子量を求めた。また重量平均分子量の標準偏差はファーストピークのそれぞれの電位値に対して算出した。
〔ATR法 離型剤相対強度測定方法〕
トナー0.1 gを6,000 kg重の付加となるように、1分間プレスしディスク化したものを用い、ディスクの表面をPerkin Elmer社製FT−IRにて、ATR法(Geクリスタル使用)により測定した。吸光度において828cm−1のピーク強度(樹脂成分)に対する2850cm−1のピーク強度(Wax成分)の相対強度比(P2850/P828)を離型剤相対強度とした。
<画像形成方法・画像形成装置>
図1に本発明を適用した画像形成装置の概略を示す。
画像形成装置100は、カラーレーザプリンタであるが、他のタイプのプリンタ、ファクシミリ、複写機、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
画像形成装置100は、元々BKトナー用ステーションに透明トナーを代替する。図面中でBKと記載している部分は説明文にW(無色透明)と代替して記載する。また、紙上の画像トナー層において色トナーの上に透明トナー層を設けるように、試作機作像段階では中間転写ベルトを2周回転して、1周目は透明トナーを現像し、2周目は色トナーを現像する方法を取っている。
画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、無色透明(W)の各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な第1の像担持体としての潜像担持体である感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wを平行配設したタンデム構造、言い換えるとタンデム方式を採用している。
表面移動部材たる感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wは、画像形成装置100の本体99の図示しないフレームに回転自在に支持され、第2の像担持体としての中間転写体である転写ベルト11の移動方向であって図1において時計回り方向であるA1方向の上流側からこの順で並んでいる。各符号の数字の後に付されたY、M、C、Wは、イエロー、マゼンタ、シアン、無色透明用の部材であることを示している。
各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、無色透明(W)の画像を形成するための画像形成ユニット画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Wに備えられている。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wは、本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端のベルトとして構成された転写ベルト11の外周面側すなわち作像面側に位置している。
転写ベルト11は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20BKに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト11に対しそれぞれ重畳転写され、その後、記録媒体である転写紙Sに一括転写されるようになっている。よって画像形成装置100は中間転写方式の画像形成装置となっている。
転写ベルト11は、その上側の部分が各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに対向しており、この対向した部分が、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20W上のトナー像を転写ベルト11に転写する1次転写部58を形成している。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに形成されたトナー像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに対向する位置に配設された1次転写装置としての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Wによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
転写ベルト11は、ベース層を伸びの少ない材質で構成し、ベース層の表面を平滑性の良い材質によって覆ったコート層とし、ベース層にコート層を重ねて形成した多層構造となっている。ベース層の材質としては、たとえばフッ素樹脂、PVDシート、ポリイミド系樹脂が挙げられる。コート層の材質としては、たとえばフッ素系樹脂等が挙げられる。
画像形成装置100は、本体99内に、4つの画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Wと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wの下方に対向して配設され、転写ベルト11を備えた中間転写装置である中間転写ユニットとしての転写ベルトユニット10と、図1における転写ベルト11の下側において転写ベルト11に対向して配設された2次転写装置5と、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Wの上方に対向して配設された潜像形成手段としての光書込みユニット光書き込み装置としての露光手段たる光走査装置8とを有している。
画像形成装置100はまた、本体99内に、転写ベルト11と2次転写装置5との間の2次転写部57に向けて搬送される転写紙Sを多数枚積載可能な給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録紙Sを、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Wによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、2次転写部57に向けて繰り出すレジストローラ対4と、転写紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
画像形成装置100はまた、本体99内に、トナー像を転写された転写紙Sに同トナー像を定着させるためのベルト定着方式の定着ユニットとしての定着装置6と、2次転写部57を経た記録紙Sを定着装置6に搬送するベルト搬送装置87と、定着済みの転写紙Sを本体99の外部に排出する排出ローラである排紙ローラ対としての排紙ローラ7と、本排出ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙部としての排紙トレイ17と、本体99の上部に配設され、イエロー、シアン、マゼンタ、無色透明の各色の画像形成用トナーすなわちトナーを充填されたトナーボトル9Y、9M、9C、9Wを有している。
画像形成装置100はまた、光走査装置8を締結固定した光走査装置支持フレーム97と、光走査装置支持フレーム97を位置決め固定した板状の側板98と、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wのそれぞれに対応して設けられ各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wを回転駆動する図示しない駆動装置と、画像形成装置100の動作全般を制御する図示しないCPU、メモリ等を含む制御手段64とを有している。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11の他に、1次転写バイアスローラとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Wと、転写ベルト11を巻き掛けられた、駆動部材である駆動ローラ72と、張架ローラとしてのクリーニング対向ローラ74と、駆動ローラ72及びクリーニング対向ローラ74とともに転写ベルト11を張架する支持ローラとしての張架ローラ33、66、67、75と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11表面をクリーニングする中間転写体クリーニング装置であるベルトクリーニング装置としてのクリーニング装置13とを有している。
転写ベルトユニット10はまた、駆動ローラ72を回転駆動する図示しない駆動系と、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Wに1次転写バイアスを印加する図示しないバイアス印加手段としての電源及びバイアス制御手段とを有している。
クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、66、67、75は、駆動ローラ72によって回転駆動される転写ベルト11に連れ回りする従動ローラとなっている。1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Wは、転写ベルト11をその裏面から感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに向けて押圧してそれぞれ1次転写ニップを形成する。この1次転写ニップは、転写ベルト11の、張架ローラ75相互間に張り渡した部分において形成されている。張架ローラ75は、1次転写ニップを安定化する機能を有する。
各1次転写ニップには、1次転写バイアスの影響により、感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wと1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Wとの間に1次転写電界が形成される。感光体ドラム20Y、20M、20C、20W上に形成された各色のトナー像は、この1次転写電界やニップ圧の影響によって転写ベルト11上に1次転写される。
張架ローラ33は、転写ベルト11を介して2次転写装置5を当接されており、2次転写部57を形成している。張架ローラ66は、転写ベルト11に、転写に適した所定の張力を与える加圧部材としてのテンションローラたる機能を有している。
クリーニング装置13は、クリーニング対向ローラ74に対向する位置で転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブレード76と、A1方向においてクリーニングブレード76より上流側においてクリーニング対向ローラ74に対向する転写ベルト11に対向して配設されたブラシローラ68と、クリーニングブレード76及びブラシローラ68をその内部に収容したケース77を有している。
クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をブラシローラ68及びクリーニングブレード76で掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングする。
転写ベルト11は、駆動系の動作により、450mm/secの線速で回転するようになっている。ただし、この線速は、画像形成装置100のシステム速度に一致するように調整されるものである。かかるシステム線速は400mm/sec以上、1700mm/sec以下で設定されるものである。このように、画像形成装置100は高速機となっており、この高速機の中でもかかるシステム線速が超高速システム速度である超高速機となっている。これにより、画像形成装置100は、その搬送方向に縦長で搬送される転写紙SがA4サイズの場合において1分間に70枚以上画像形成可能となっている。
シート給送装置61は、転写紙Sを複数枚重ねた転写紙束の状態で収容するものであり、本体99の下部において光走査装置8の下方に多段で配設されている。多段のシート給送装置61により、本体99の底部にペーパーバンク31が形成されている。
シート給送装置61は、最上位の転写紙Sの上面に押圧される給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が所定のタイミングで反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の転写紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
シート給送装置61から送り出された転写紙Sは、給紙路32を経てレジストローラ対4に至り、レジストローラ対4のローラ間に挟まれる。レジストローラ対4はその後、転写紙Sを2次転写部57に向けて給送する。
2次転写装置5は、張架ローラ33に対向して配置されている。2次転写装置5は、2次転写ローラ69を転写ベルト11に当接させることによって、2次転写部57であるニップ部を形成するようになっており、このニップ部である2次転写部57に転写紙Sを通して、転写ベルト11上のトナー像を転写紙Sに転写するようになっている。
定着装置6は、熱源としての加熱手段であるヒータランプ81と、ヒータランプ81を内部に有する加熱ローラ91と、加熱ローラ91に巻き掛けた無端状の定着ベルト92と、加熱ローラ91とともに定着ベルト92を巻き掛けられた定着ローラ93及びテンションローラである補助ローラ95と、定着ベルト92を介して定着ローラ93に対向する位置に設けられ定着ローラ93との間で定着ベルト92を圧接する加圧部材としての加圧ローラ94と、加圧ローラ94の内部に配設された熱源としての加熱手段であるヒータランプ82とを有している。
定着装置6はまた、加熱ローラ91に一体のヒートパイプ83と、加熱ローラ91に巻き掛けられた位置の定着ベルト92に離型剤としてのオイルを塗布するオイル塗布機構84と、加熱ローラ91に巻き掛けられた位置の定着ベルト92に対向して配設されたサーモパイル85と、サーモパイル85に接続され定着ベルト92の表面温度を検出する温度検出手段86と、定着ローラ93を回転駆動し、これによって定着ベルト92、加熱ローラ91、補助ローラ95、加圧ローラ94を従動回転させる図示しない駆動手段とを有している。
加熱ローラ91は、ヒータランプ81によって加熱されるとともに、定着ベルト92を内側から加熱するためのローラとなっている。補助ローラ95は、定着ベルト92の外周面に、定着ベルト92に対してオフセットする状態で当接するように配設されており、定着ベルト92を張架している。
加圧部材は、回転体であれば、加圧ローラ94のようなローラ状でなくベルト状であっても良い。定着ローラ93、定着ベルト92はそれぞれ単独で、あるいはこれらの総称で、定着部材と言われるものである。
定着ベルト92は、回転時の蛇行防止のために、その両端部に図示しない蛇行寄り止めリブを有している。定着ベルト92は、駆動手段によって定着ローラ93を介して回転駆動されることにより、450mm/secの線速で回転するようになっている。ただし、この線速は、画像形成装置100のシステム速度に一致するように適宜調整されるものである。
このような構成の定着装置6においては、トナー像を担持した転写紙Sを定着ベルト92と加圧ローラ94との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像をシートの表面に永久定着するようになっている。
その際、温度検出手段86によって検出した温度に基づいて、ヒータランプ81の駆動が制御される。温度検出手段86は、サーモパイル85が定着ベルト92を介して加熱ローラ91に対向する位置に配設されていることから、実質的にこの位置に配設され、この位置において定着ベルト92の表面温度を検出するものとなっている。温度検出手段86がこの位置で温度を検出することにより、定着ベルト92の表面温度が良好に検出される。なお、温度検出手段は、少なくともこの位置に配設されていれば、他の位置にも配設可能である。定着装置6のその余については後述する。
光走査装置8は、画像形成装置100の外部から入力される画像情報に従って光ビームであるレーザ光を偏向走査して感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに同時に照射する。なお、画像形成装置100が複写機である場合には、光走査装置8は、その複写機に備えられた原稿読取装置におけるコンタクトガラス上にセット等された原稿が、コピースイッチの押下などをトリガーとして、光学的に読み取られ、これによって生成された画像情報に従って、レーザ光を感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wに照射し、露光することで、静電潜像を形成する。露光手段は、光走査装置8の方式に限らず、LEDを感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wの長手方向である図1の紙面に垂直な主走査方向に沿って並べたLEDアレイを用いたものであっても良い。
トナーボトル9Y、9M、9C、9W内のイエロー、シアン、マゼンタ、透明の各色のトナーは、重合トナーであって、図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ、画像形成ユニット60Y、60M、60C、60Wに備えられた現像装置80Y、80M、80C、80Wに補給される。
画像形成ユニット60W、60Y、60M、60Cについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像形成ユニット60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像形成ユニットの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像形成ユニット60Wの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像形成ユニットの構成に付し、また詳細な説明については適宜省略することとし、符号の末尾にW、Y、M、Cが付されたものはそれぞれ、無色透明、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成を行うための構成であることを示すこととする。
画像形成ユニット60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、図1中反時計方向であるその回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、クリーニング手段としてのクリーニング装置71Yと、除電手段としての図示しない除電装置と、AC帯電を行なう帯電手段としての帯電装置79Yと、画像形成用現像剤である2成分現像剤により現像を行う現像手段としての現像装置80Yとを有している。
感光体ドラム20Yは、駆動装置によって駆動されB1方向に所定の周速度で回転する。
クリーニング装置71Yは感光体ドラム20Yに対してカウンター方向で当接した図示しないクリーニングブレードである弾性ゴムブレードを備えており、1次転写ローラ12Yによる1次転写後に感光体ドラム20Y上に残留しているトナーをクリーニングブレードによって感光体ドラム20Yから掻き落として除去し感光体ドラム20Yをクリーニングする。
除電装置は、クリーニング装置71Yによりクリーニングされた感光体ドラム20Y表面に残留している電荷を除去して感光体ドラム20Yの表面電位を初期化する除電ランプを備えている。
帯電装置79Yは、感光体ドラム20Yに当接した図示しない帯電部材としての帯電ローラを有しており、除電装置によって除電された感光体ドラム20Y表面を一様に帯電させる。
クリーニング装置71Yがかかる弾性ゴムブレードを備えているとともに、帯電装置79Yがかかる帯電ローラを備えていることで、感光体ドラム20Yのクリーニング及び帯電が良好に行われる。
現像装置80Yは、感光体ドラム20Yに対向した図示しない現像ローラを有し、この現像ローラに担持された現像剤中に含まれるトナーを感光体ドラム20Yに供給する現像領域において、光走査装置8によって形成された静電潜像を構成する非画像部と画像形成部とのうち、画像形成部にのみトナーを付着させて静電潜像を現像して顕像化し、感光体ドラム20Y表面にトナー像を形成する。
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置71Yと、除電装置と、帯電装置79Yと、現像装置80Yとは、本体99に着脱自在のプロセスカートリッジ88Yを構成している。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことが可能であるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。なお、プロセスカートリッジは、感光体ドラム20Yと、クリーニング装置71Y、除電装置、帯電装置79Y、現像装置80Yのうちの少なくとも現像装置80Yとを有するように構成することが、2成分現像剤に含まれるキャリアを現像装置80Yの交換時に交換することとなる等のため、好ましい。
このような構成の画像形成装置100において、カラー画像を形成すべき旨の信号が入力されると、駆動ローラ72が駆動され、転写ベルト11、クリーニング対向ローラ74、張架ローラ33、66、67、75が従動回転するとともに、感光体ドラム20Y、20M、20C、20WがB1方向に回転駆動される。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wはそれぞれ、B1方向への回転に伴い、帯電装置79Y、79M、79C、79Wにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのレーザ光の露光走査によりイエロー、マゼンタ、シアン、無色透明の各色に対応した静電潜像を形成され、この静電潜像を現像装置80Y、80M、80C、80Wによりイエロー、マゼンタ、シアン、無色透明の各色のトナーにより現像される。
現像により得られたイエロー、マゼンタ、シアン、無色透明の各色のトナー像は、順次、1次転写ローラ12W、12Y、12M、12Cによって、A1方向に回転している転写ベルト11上の同じ位置に多重転写され、転写ベルト11上には合成カラー画像が形成される。
一方、カラー画像を形成すべき旨の信号の入力、あるいは画像形成装置100が複写機である場合にはコピースイッチの押下等に伴い、ペーパーバンク31に備えられたシート給送装置61のいずれかが選択され、選択されたシート給送装置61に備えられた給送ローラ3が回転して転写紙Sを繰り出すとともに1枚ずつ分離して給紙路32に送り込み、給紙路32に送り込まれた転写紙Sは図示しない搬送ローラでさらに搬送されレジストローラ対4に突き当てられた状態で停止する。
転写ベルト11上に重ね合わされた合成カラー画像が転写ベルト11のA1方向の回転に伴って2次転写部57まで移動するタイミングに合わせて、レジストローラ対4が回転し、2次転写部57では、合成カラー画像が、2次転写部57に送り込まれた転写紙Sに密着し、ニップ圧及び電源によって形成されたバイアスの作用によって転写紙Sに2次転写され、記録される。
転写紙Sはベルト搬送装置87によって定着装置6に送り込まれ、定着装置6において定着ベルト92と加圧ローラ94との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像すなわち合成カラー画像を定着される。この定着は、後述するように、良好に行われる。
定着装置6を通過した、合成カラー画像を定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て本体99外に排出され、本体99の上部の排紙トレイ17上にスタックされる。
感光体ドラム20Y、20M、20C、20Wは、転写後に残留した転写残トナーをクリーニング装置71Y、71M、71C、71Wにより除去され、除電装置によって除電され、帯電装置79Y、79M、79C、79Wによる次の帯電に供される。
2次転写を終えた2次転写部57通過後の転写ベルト11は、クリーニング装置13に備えられたクリーニングブレード76によってその表面をクリーニングされ、次の転写に備える。
画像形成装置100における画像形成動作は以上のようにして行われる。そこで、画像形成装置100は、定着装置6において、定着ベルト92が、図2に示すように、少なくとも、基材層92aと、ゴム層92bと、離型層92cとを有するとともに、ゴム層92bの厚さL1は、400μm以上、1000μm以下であり、離型層92cの厚さL2は、2μm以上、20μm以下であるとともに、トナーが、後述する組成、特性を有するものとなっている。
基材層92aの材質としては、ポリイミド樹脂等の樹脂、ニッケル等の金属から、耐熱
性に優れたものが選択される。
ゴム層92bの材質は、基材層92aの材質と異なる材質であって、熱容量が大きくしかも熱輸送量の高い材料から選択される、蓄熱層として機能するものとなっている。ゴム層92bの材質は、具体的には、ゴム系の材料が適しており、とくにシリコーンゴムが好ましい。
離型層92cは、定着ベルト92の最上面をなしトナーと接する定着面として用いられるので、離型性が特に重要視される。そこで、離型層92cは離型性を担保するのに非常に有用なフッ素系の材料によって構成される。本形態では、離型層92cは、フッ素樹脂、具体的にはPFAによって構成されており、フッ素樹脂層となっている。
定着装置6では、離型性を高めるため、定着ベルト92表面に離型剤としてのオイルを塗布するオイル塗布機構84を備えている。この点、最上層である離型層92cをフッ素樹脂と異なる材質で形成するとオイルの馴染みが悪く、オイルの効果が十分発揮されないが、離型層92cはフッ素樹脂であるPFAによって形成されているため、オイルとの相性がよく、離型性が十分発揮される。
層厚L1、L2について説明する。
ゴム層92bは蓄熱機能を重視するため、その層厚L1は400μm以上、1000μm以下の範囲とすることが好ましいことが分かった。これは、層厚L1が400μmより小さいと蓄熱効果が十分現われず、トナーへの熱量が不十分になりやすく、光沢ムラが発生しやすくなるとともに、逆に、1000μmより大きいと熱慣性が大きくなりすぎ、立ち上がり特性が悪くなることによるものである。
これに対し、離型層92cは離型性を重視して用いるので、その層厚L2は層厚L1に比べ小さくても十分その機能を果たすものであり、2μm以上、20μm以下の範囲とすることが好ましいことが分かった。これは、層厚L2が2μmより小さいと、耐久性が不足するとともに、逆に、20μmより大きいと熱輸送量に問題が生じ、光沢ムラが発生しやすくなることによるものである。
なお図2に示した例では、基材層92aの上にゴム層92bを重ね、ゴム層92bの上にフッ素樹脂層92cを重ねているが、これら基材層92a、ゴム層92b、フッ素樹脂層92cの相互間に、これらの層の機能が十分に発揮されるのであれば、他の層を介在させることを排除するものではない。また、同図に示されている基材層92a、ゴム層92b、フッ素樹脂層92cそれぞれの厚さ、厚さの比は、実際のそれとは必ずしも一致しない。
以上述べた定着装置6は、それ自体及び画像形成装置100を大型化、複雑化することなく、且つ、安価で、安定した定着画質を出力する画像形成装置の提供に寄与するものとなっている。
以下に実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって制限されるものではない。また、実施例における部は質量部を示す。
<ポリエステル1の合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、シクロヘキサン−1,4−ジオール100部、テレフタル酸123部、アジピン酸173部およびジブチルチンオキサイド1部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で8時間反応した。その後、反応容器に無水トリメリット酸26部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル1]を得た。[ポリエステル1]は、数平均分子量3800、重量平均分子量27000、ガラス転移温度(Tg)44℃、酸価12mgKOH/gであった。
<ポリエステル2の合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物264部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物523部、テレフタル酸123部、アジピン酸173部およびジブチルチンオキサイド1部を入れ、常圧230℃で3時間反応した。その後、反応容器に無水トリメリット酸26部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル2]を得た。[ポリエステル2]は、数平均分子量3000、重量平均分子量30000、Tg52℃、酸価14mgKOH/gであった。
<ポリエステル3の合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物264部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物523部、テレフタル酸123部、アジピン酸173部およびジブチルチンオキサイド1部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で8時聞反応した。その後、反応容器に無水トリメリット酸26部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル3]を得た。[ポリエステル3]は、数平均分子量4000、重量平均分子量47000、Tg65℃、酸価12mgKOH/gであった。
<結晶性ポリエステルの合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、1,6−ヘキサンジオール500部、セバシン酸857部、ジブチルチンオキサイド2.5部を入れ、常圧200℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で1時聞反応し、[結晶性ポリエステル]を得た。
[結晶性ポリエステル]は、DSC測定にて64℃で吸熱ピークを示した。
<イソシアネート変性ポリエステル1の合成>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルスズオキシド2部を仕込み、常圧下、230℃で8時間反応させた。次に、10〜15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、[中間体ポリエステル1]を合成した。得られた[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量が2200、重量平均分子量が9700、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が52mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[イソシアネート変性ポリエステル1]を得た。
<離型剤1>
中京油脂社製の、SELOSOL R−585(パラフィンワックス)を[離型剤1]として用いた。
<離型剤2の合成>
ノナノール、デカノールおよびウンデカノール混合体620部およびノナン二酸、デカン二酸およびウンデカン二酸混合体340部を反応釜に加え硫酸マグネシウム20部と共に8時間加熱し脱水反応させ、合成エステルを得た。得られた結晶は[離型剤2]として用いた。
[離型剤2]は、その分子量に対するエステル基の数の比率(エステル基の数/分子量)は0.0041個/(g・mol−1)であり、平均分子量は490であった。
<離型剤3の合成>
ノナノール、デカノールおよびウンデカノール混合体310部およびノナン酸、デカン酸およびウンデカン酸混合体340部を反応釜に加え硫酸マグネシウム10部と共に8時間加熱し脱水反応させ、合成エステルを得た。得られた結晶は[離型剤3]として用いた。
[離型剤3]は、その分子量に対するエステル基の数の比率(エステル基の数/分子量)は0.0029個/(g・mol−1)であり、平均分子量は348であった。
<離型剤4の合成>
イコサノール、ヘンイコサノールおよびドコサノール混合体310部およびイコサン酸、ヘンイコサ酸およびドコサン酸混合体340部を反応釜に加え硫酸マグネシウム10部と共に8時間加熱し脱水反応させ、合成エステルを得た。得られた結晶は[離型剤4]として用いた。
[離型剤4]は、その分子量に対するエステル基の数の比率(エステル基の数/分子量)は0.0016個/(g・mol−1)であり、平均分子量は624であった。
〔実施例1〕
(トナー製造工程)
〈油相作成工程〉
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル1]545部、[離型剤2]272部、酢酸エチル1450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、さらに1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1500部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、5パスの条件で分散を行った。次いで、[ポリエステル1]の66%酢酸エチル溶液655部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[離型剤分散液1]を得た。
[離型剤分散液1]976部をTKホモミキサー(特殊機化社製)で5,000rpmにて1分間混合した後、[イソシアネート変性ポリエステル1]88部加えTKホモミキサーで5,000rpmにて1分間混合し[プレーン油相1]を得た。得られた[プレーン油相1]の固形分を測定したところ52.0質量%であった。[プレーン油相1]の固形分質量に対し、6質量%のLR−147(日本カーリット社製)を加えTKホモミキサーで5,000rpmにて10分間混合し[油相1]を得た。
〈水相作成工程〉
イオン交換水970部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25wt%水性分散液40部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液95部、酢酸エチル98部を混合撹拌し[水相1]を得た。
〈トナー作成工程〉
得られた[油相1]1200部に[水相1]1200部を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより液中温度を20〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数8,000〜15,000rpmで調整して2分間混合したのち、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整しながら10分間攪拌し、トナーとなる油相の液滴が水相に分散された[トナースラリー1]を得た。
〈脱溶剤工程〉
撹拌機および温度計をセットした容器に、[トナースラリー1]を投入し、攪拌を行いながら30℃で8時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。[分散スラリー1]を少量スライドグラス上に置き、カバーガラスを挟んで光学顕微鏡にて200倍の倍率で様子を観察したところ、均一なトナーが観察された。また[分散スラリー1]を1ml取って10mlに希釈し、遠心分離を行ったところ、上澄み液は透明であった。
〈洗浄・乾燥工程〉
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキにイオン交換水900部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した。
(3):(2)のリスラリー液のpHが4となる様に10%塩酸を加え、そのままスリーワンモーターで攪拌30分後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返し[濾過ケーキ1]を得た。[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体1]が得られた。
〈外添剤混合〉
上記で得た[トナー母体1]100部に、シリカ1(平均一次粒径が20nmの疎水性シリカHDK−2000(旭化成ワッカーシリコーン社製))0.7部をヘンシェルミキサーにて混合し、[トナー1]を得た。
[トナー1]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.189であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は4800であり、その可溶成分の標準偏差は3.70であった。
〔実施例2〕
実施例1中、[離型剤2]272部を[離型剤2]181部に変更したこと以外は同様の方法で[トナー2]を得た。
[トナー2]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.178であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は4800であり、その可溶成分の標準偏差は3.71であった。
〔実施例3〕
実施例1中、 [離型剤2] 272部を[離型剤3]181部に変更したこと以外は同様の方法で[トナー3]を得た。
[トナー3]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.168であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は4800であり、その可溶成分の標準偏差は3.70であった。
〔実施例4〕
実施例1中、[離型剤2]を[離型剤4]に変更したこと以外は同様の方法で[トナー4]を得た。
[トナー4]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.149であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は4800であり、その可溶成分の標準偏差は3.71であった。
〔実施例5〕
実施例2中、[ポリエステル1]を[ポリエステル2]に変更したこと以外は同様の方法で[トナー5]を得た。
[トナー5]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.971、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.166であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は5500であり、その可溶成分の標準偏差は3.88であった。
〔実施例6〕
実施例5中、 [離型剤2]を[離型剤4]に変更したこと以外は同様の方法で[トナー6]を得た。
[トナー6]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.971、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.148であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は5500であり、その可溶成分の標準偏差は3.88であった。
〔実施例7〕
実施例6中、[ポリエステル2]を[ポリエステル3]に変更したこと以外は同様の方法で[トナー7]を得た。
[トナー7]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.148であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は11000であり、その可溶成分の標準偏差は3.55であった。
〔実施例8〕
実施例2中、[ポリエステル1]545部を[ポリエステル1]490部、[結晶性ポリエステル]550部に変更したこと以外は同様の方法で[トナー8]を得た。
[トナー8]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.169であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は5200であり、その可溶成分の標準偏差は3.83であった。
〔実施例9〕
実施例7中、[ポリエステル1]545部を[ポリエステル3]490部、[結晶性ポリエステル]550部に変更したこと以外は同様の方法で[トナー8]を得た。
[トナー9]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.139であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は12000であり、その可溶成分の標準偏差は3.62であった。
〔実施例10〕
(シェル剤の作成)
イオン交換水498部に、ドデシル硫酸ナトリウム0.7部を入れて80℃に加熱して溶解させ、水系媒体を得た。別途スチレン170部、アクリル酸ブチル30部入れて攪拌し、均一なモノマー溶液を得た。得られたモノマー溶液を水系媒体中に投入し、超音波ホモジナイザーVCX750(SONICS & MATERIALS Inc.)を用い、90〜110Wで10分間超音波照射を行いモノマー溶液を水系媒体中に分散させた。途中、超音波照射により液温が上昇するが、ウォーターバスなどにより、水温が50℃を超えないように調整した。得られた分散液を、冷却間、攪拌機および窒素導入管のついた反応容器中に移し、攪拌しながら60℃に保持し、過硫酸カリウム2.6部をイオン交換水104部に溶解させたものを加え、120分間重合反応を行った。その後冷却して、体積平均粒子径126 nmの白色の[シェル剤]を得た。得られた[シェル剤]を2mlシャーレに取り、分散媒を蒸発させて得られた乾固物を測定したところ、重量平均分子量が60000、Tgが52℃であった。
実施例2中、〈トナー作成工程〉を以下のように変更し、[トナー10]を得た。
「得られた[油相1]1200部に[水相1]1200部を加え、ミキサーのせん断熱による温度上昇を抑えるために水浴で冷却をすることにより液中温度を20〜23℃の範囲になるように調整しながら、TKホモミキサーを用い回転数8,000〜15,000rpmで調整して2分間混合したのち、アンカー翼を取り付けたスリーワンモーターで回転数130〜350rpmの間に調整しながら10分間攪拌した。その後[シェル剤]を、トナー質量に対しシェル剤の固形分質量比が6%となるように加え、さらに10分間攪拌した。トナーとなる油相の液滴が水相に分散された[トナースラリー1]を得た。」
[トナー10]は、体積平均粒径が5.6μm、円形度が0.973、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.168であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は14500であり、その可溶成分の標準偏差は3.92であった。
〔実施例11〕
実施例9中、〈トナー作成工程〉を実施例10のように変更し、[トナー11]を得た
[トナー11]は、体積平均粒径が5.6μm、円形度が0.973、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.149であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は14900であり、その可溶成分の標準偏差は3.79であった。
〔比較例1〕
実施例1の[離型剤2]を[離型剤1]へ変更し、[トナー0]を得た。
[トナー0]は、体積平均粒径が5.5μm、円形度が0.970、FTIR−ATR法により求められる(P2850/P828)が0.222であった。
また、THF可溶成分の重量平均分子量は4800であり、その可溶成分の標準偏差は3.70であった。
[評価方法]
次に、得られた各[トナー0]〜[トナー11]を用いて、以下のように評価した。
<着色度評価>
−キャリアの作製−
トルエン100部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5部、及びカーボンブラック10部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が50μmの球状マグネタイト1,000部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、[キャリア1]を作製した。
−現像剤の作製−
各トナー5部と、前記[キャリア1]95部とを混合して、実施例1〜11及び比較例1の二成分現像剤を作製した。
各二成分現像剤を用いてアルミ基板上にカスケード現像にてトナー付着量0.3mg/cmとなるように現像した後、アルミ基板から特菱アート両面紙(三菱製紙社製)へ静電転写し、ベルト定着機(線速282mm/sec、ニップ時間40.1msec、ニップ圧37N/cm)にて、定着温度180℃で定着した画像を作成した。 前記画像について、着色度(X−Rite社製Model938にてID測定)を測定した。
−評価−
結果、12種類全てのトナー([トナー0]〜[トナー11])に対し、着色度が0.5未満であることを確認した。
<離型剤含有表面溶剤抽出成分量>
離型剤含有表面溶剤抽出成分量は、室温にてトナー1gにn−ヘキサン3ml、メチルエチルケトン4 mlを加え、回転数120rpmで60 min、ジルコニアビーズ(φ=1mm)5gと共にロールミルで攪拌し、攪拌後の溶液をただちに吸引濾過し、濾液を40℃で30min真空乾燥して、表面より溶出した離型剤を定量することで得ることができる。濾別に用いるフィルターとしては、目開き1μmのPTFE製メンブランフィルター等を用いることが出来る。以下の評価基準で評価した。
◎:12mg/g以上15mg/g未満
○:15mg/g以上17mg/g未満
△:17mg/g以上19mg/g未満
×:19mg/g以上
<低温定着性>
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した複写機MF2200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)に、ベタ画像をトナー付着量0.8mg/cmの条件で複写テストを行なった。
具体的には、定着温度を変化させて定着試験を行い、コールドオフセット温度(定着下限温度)を求めた。定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を150mm/秒間〜200mm/秒間、面圧を1.2kgf/cm、ニップ幅を4mmとした。
定着下限温度を以下の評価基準で評価した。
◎:130℃未満
○:130℃以上135℃未満
△:135℃以上140℃未満
×:140℃以上
<耐熱保存性>
トナーを10gずつ計量し、20mLのガラス容器に入れ、ガラス瓶をタッピング装置で100回タッピングした後、温度50℃、湿度80%にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度試験器(日科エンジニアリング社製、マニュアル記載条件)で針入度を測定し、以下の評価基準で評価した。
◎:針入度が20mm以上
○:針入度が15mm以上20mm未満
△:針入度が10mm以上15mm未満
×:針入度が10mm未満
結果を表1にまとめた。
6 定着装置
20Y、20M、20C、20BK 像担持体
72Y、72M、72C、72BK クリーニング手段
79Y、79M、79C、79BK 帯電手段
81 加熱手段
86 温度検出手段
88Y、88M、88C、88BK プロセスカートリッジ
91 加熱ローラ
92 定着ベルト
92a 基材層
92b ゴム層
92c フッ素樹脂層
93 定着ローラ
94 加圧ローラ
99 画像形成装置本体
100 画像形成装置
L1 ゴム層の厚さ
L2 フッ素樹脂層の厚さ
S 記録媒体
特開平4−278967号公報 特開平4−362960号公報(特許第3146367号公報) 特開平9−200551号公報 特開2012−018249号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも1種類以上の母体樹脂、および離型剤から構成されるトナーであって、該母体樹脂の少なくとも1種類はポリエステル樹脂であり、該離型剤がエステル結合を含んだものであり、着色度が0.5未満、かつ該離型剤含有表面溶剤抽出成分が12mg/g以上、19mg/g未満であることを特徴とする透明トナー。
  2. FTIR−ATR法により求められる2850cm−1のピークと828cm−1のピークとの強度比(P2850/P828)が、0.09〜0.18の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透明トナー。
  3. 前記離型剤の分子量に対するエステル基の数の比率(エステル基の数/分子量)が0.0010〜0.0040個/(g・mol−1)の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明トナー。
  4. 前記離型剤の重量平均分子量が450〜700の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明トナー。
  5. 前記ポリエステル樹脂がフェノール系ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明トナー。
  6. トナーのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるTHF可溶成分の重量平均分子量分布が5000〜15000であり、その可溶成分の標準偏差が3.80未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透明トナー。
  7. 結晶性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明トナー。
  8. 前記母体樹脂とは異なる樹脂により表面コーティングされている、または海島模様を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透明トナー。
  9. 画像形成装置に用いられる現像剤が、請求項1〜8のいずれかに記載の透明トナーを含む現像剤であることを特徴とする画像形成用現像剤。
  10. 画像形成装置に用いられ、像担持体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段のうちの少なくとも現像手段とを一体に有し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、該現像手段において用いられるトナーが請求項1〜8のいずれかに記載の透明トナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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