JP2004331725A - 半導電性フッ素系樹脂管状フィルムとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カラープリンター等の半導電フッ素系樹脂ベルトにおいて、より安定した電気抵抗特性を有し、電気抵抗の固有化を容易に行うことのできる半導電性フッ素系ベルトの提供。
【解決手段】MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂に導電性カーボンブラックが均一分散されてなることを特徴とする半導電性フッ素系樹脂管状フィルム。成形原料は複数回反復溶融混練ペレットとし、実質的無延伸成形が良い。例えばρsとρvとが1×1010〜5×1014の範囲にあって、各々のバラツキが1.5桁以内で且つρvの桁数がρsの桁数より0.5〜4桁大きくする。
【選択図】 なし
【解決手段】MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂に導電性カーボンブラックが均一分散されてなることを特徴とする半導電性フッ素系樹脂管状フィルム。成形原料は複数回反復溶融混練ペレットとし、実質的無延伸成形が良い。例えばρsとρvとが1×1010〜5×1014の範囲にあって、各々のバラツキが1.5桁以内で且つρvの桁数がρsの桁数より0.5〜4桁大きくする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された半導電性フッ素系樹脂管状フィルムとその製造方法に関する。該フィルムは、例えばカラープリンターの用紙搬送ベルトまたは中間転写ベルトとして有効に使用される。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導電性フッ素系樹脂管状フィルムがカラ−プリンターの用紙搬送ベルトまたは中間転写ベルトとして使用される場合に、性能上必要な条件は、優れた耐久性(特にベルト回転での端縁部への亀裂と摺動摩耗の発生に対する)と経時変化(使用、保存)に対する電気抵抗の安定性(画質への影響)が挙げられるが、この要素を課題として検討された特許技術も公開されている。それは例えば、MFR(メルトフローレート)8g/10min未満のエチレンテトラフルオロエチレン共重合体97〜75重量%とカーボンブラック3〜25重量%からなり、表面及び裏面の導電性が1×100〜1×1013Ω/□のシームレスベルトというものである(例えば、特許文献1参照。)。そして該特許文献1には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の成分、例えば熱可塑性樹脂の混合も許容され、具体的に各種列挙もされている。その中でフッ素樹脂も挙げられ、具体的にポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレンポリマ、ヘキサフルオロプロピレンポリマ、パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマが列記されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−114973号公報(1頁、3頁)
【0004】
又、最近では画質、両面プリント機能、プリント速度等のより一層の改善要求の他に、前記ベルトによる方式を採用しているプリント機にあっては、各機種(各メーカー)毎に電気抵抗の異なる該ベルトの提供を要求されることが多い。つまり表面抵抗率と体積抵抗率との両者を狭い範囲で特定して要求するという厳しいものである(以後これを電気抵抗の固有化と呼ぶ。)。従って、該ベルトを供給する側では、これに臨機応変に迅速に対応しなけねばならない。
【0005】
前記電気抵抗の固有化の要求に対する対応については、本発明者等も従来技術をもとに種々検討した。それは導電性カーボンブラックを含め種々の導電材について、その種類と混合量とを変えることであった。しかし、その結果、確かに表面抵抗率と体積抵抗率とは変化はするが、両者狭い範囲で特定された、つまり固有化された電気抵抗を有する前記ベルトの取得は困難であり、更にはバラツキも大きくて、安定したものは得られないのが実情であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明等は、新たな観点のもとで、更に鋭意検討を続けた。その結果、2種の異なるフッ素樹脂を使用すると前記問題解決ができることが判った。そこで更に詳細について検討した。
本発明はその更なる検討の結果、遂に見出されたものであり、その解決手段が次のものである。これにより、例えばカラープリンターの重要な部材である、前記ベルトが、電気抵抗バラツキもなく、より安定化された電気抵抗の下に、主たる課題である電気抵抗の固有化が容易に迅速に対応できるというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、まず、MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂に導電性カーボンブラックが均一分散されてなることを特徴とする半導電性フッ素系樹脂管状フィルムである。
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムは、MFRが小さいフッ素系樹脂40〜90重量%とMFRが大きいフッ素系樹脂60〜10重量%との混合フッ素系樹脂に対して、導電性カーボンブラック5〜20重量%が含有されてなる事も特徴として提供する。
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムは、2種のフッ素系樹脂が共に、フッ化ビニリデンを主成分としてなるポリフッ化ビニリデン系樹脂である事も特徴として提供する。
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムの有する電気抵抗特性に関し、表面抵抗率(以下ρsと記す。)と体積抵抗率(以下ρvと記す。)とが1×1010〜5×1014の範囲にあって、且つ該両抵抗率のバラツキが1.5桁以内で、更には該表面抵抗率の桁数よりも体積抵抗率の桁数の方が0.5〜4桁大きい範囲にあるのが好ましいことも特徴として提供する。
【0008】
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムの製造方法に関し、まずMFRが小さいフッ素系樹脂とMFR大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂と導電性カーボンブラックとを複数回反復溶融混練してペレット状で得、これを丸ダイ付き溶融押出機に供給して、実質的に無延伸にて溶融押出成形するのが有効である事も特徴として提供する。
以下本各発明を次の実施形態で詳述する。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず選択される2種のフッ素系樹脂は、MFR(メルトフローレート)によって特定される。このMFRは、JIS K7210に記載される測定方法(溶融温度と荷重とは、その樹脂の融点を下に独自に設定)により測定し、g/10分を単位として示したものである。
従って、MFRの大きいものは溶融粘度が低く、小さいものは高いということになる。
このMFRは、小さいものと大きいものの2種のフッ素系樹脂が基本になるが、更にこの大小は、大きい方のMFRの値が小さい方のMFRの値の2〜25倍、好ましくは2.3〜23倍、更には2.5〜20倍であることが必要である。つまりこの範囲を外れたものでは、狭い範囲でのρsとρvの制御と共に、電気抵抗の固有化が容易に出来なくなる。つまりρs、ρv各々のバラツキが大きくなり、安定した帯電又は除電ができなくなること、更には前記ベルトの連続使用において該電気抵抗の低下が見られるようになること、そして特に2倍未満では、耐電圧性能への影響も出るようになる。一方、25倍を超えて大きくなると導電性カーボンブラック(以下CB粉体と呼ぶ。)の分散性と共に、成形性と表面精度への影響も出るようになる。
尚、特定される2種混合フッ素系樹脂では、(後述の実施例からも判るように)ρsとρvとが実使用により変化し、両者の値の差が小さくなり、更にその抵抗値で安定化してくる。これも特長的なことである。
【0010】
前記MFRの条件を満たす2種のフッ素系樹脂であれば、その種類は特に問わないが、具体的には次のようなものである。
まず熱可塑性のパーフルオロ若しくは部分フルオロの単独ポリマ又は他のコモノマとの共重合フッ素樹脂であり、この中から、該条件に合う2種が適宜選択される。
尚、この2種の混合によって新たにもたらされるブレンド樹脂の特性を失わない範囲であれば、MFRに関係なく他のフッ素系樹脂や、フッ素系樹脂に一般的に使用される各添加剤の少量添加は許容される。
【0011】
そして詳細には、融点が約150〜300℃の範囲にある、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等の部分フッ化単独樹脂、エチレンと4フッ化エチレン、エチレンと3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレンと6フッ化プロピレン、4フッ化エチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデンと4フッ化エチレン等の2成分共重合樹脂、4フッ化エチレンと6フッ化プロピレンとフッ化ビニリデン等との3成分共重合樹脂によるパーフルオロ、部分フルオロの共重合樹脂等が例示できる。MFRは、例えば結晶化度、分子量、分子量分布等に影響されるので、同種の樹脂であっても異なるものがある。従って本発明でいう前記条件の2種のフッ素系樹脂は、同種の樹脂であっても前記MFRの条件を満たせば、それも一つの組合せであり、むしろ同種のフッ素系樹脂の中で、MFRの異なるものを選択するのがより好ましい。
尚、ここで同種とは、同一成分での単独樹脂か又はその同一成分を主成分とする共重合フッ素樹脂のことである。
【0012】
MFRの異なる2種のフッ素系樹脂については前記の通りであるが、更に好ましいのはポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデンを主成分とする6フッ化プロピレン等との共重合樹脂の中からの選択である。このポリフッ化ビニリデン系による2種ブレンド樹脂は、前記効果に加えて無端管状フィルムとしての成形性、より長期間ベルト回転を行う場合の強度(特に端縁部でのクラックの発生)に優れ、更に複写における用紙搬送性と転写後の用紙離脱性にも一層優れてもいる。
尚、該ポリフッ化ビニリデン系のMFRは、例えば3〜20g/10分の間にあり、単独ポリマもあれば、共重合ポリマもある。
【0013】
そして、選択された前記2種による混合フッ素系樹脂に半導電性を付与するために、CB粉体が混合分散される。この選択に際しては、まず一義的にはρvが100Ω・cm前後の導電性を有する、一般に知られているアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックの中から選ぶ。しかしこのCB粉体といっても他に種々の特性(例えばPH値/揮発分、ストラクチャーの発達程度/吸油量/分散性、粒径等)を有しているので、実際の選択では、更に、これらの特性との関係も考慮して決めるのが良い。
該フッ素系樹脂にあっては、例えばPH値は6〜8(中性的で、揮発分も少ない)、ストラクチャーの発達したCB粉体が有効である。この特性はアセチレンブラックに多い。このアセチレンブラックによると、該混合フッ素系樹脂との分散性と共に成形性にも優れていること、そして得られるフッ素系管状フィルム(以下F管状フィルムと記す。)の表面精度、強度等への悪影響もなく、且つρsとρvのバラツキもより小さいものにもなる。
【0014】
尚、前記ストラクチャーの発達したCB粉体がより有効である理由は明白ではないが、次のようなことが考えられる。
一般に樹脂中におけるCB粉体の有するストラクチャーは、可能な限り破壊せずに分散している方が良いとされている。しかしながら、前記2種の混合フッ素系樹脂にあっては、後述するように、CB粉体との混合は十分な混練が望ましいとされ、これは逆にストラクチャーの破壊に繋がることになる。本発明にあっては、この一般的見解と異なる結果になっている。つまり特にこの2種の混合フッ素系樹脂にあっては、ストラクチャーは破壊されて1次粒子化又は1次粒子に近い状態の粒子状態で分散していることが考えられ、これが本発明の効果により大きく作用するではないかと考えられる。
【0015】
前記各成分の混合における量的関係は、次の通りである。
MFRが小さいフッ素系樹脂40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%とMFRが大きいフッ素系樹脂60〜10重量%、好ましくは50〜20重量%との混合フッ素系樹脂に対して、CB粉体が5〜20重量%である。
ここでMFRが小さいフッ素系樹脂は、主として得られるF管状フィルムの物性面(ベルトとしての回転耐久性等)構築に作用し、MFRが大きいフッ素系樹脂は、主としてバラツキのない下での電気抵抗の固有化に作用する。従っていずれの場合もこの混合比から外れると、少なくともこの両作用は有効に働かなくなる傾向にある。
尚、一般に2種ブレンドのベルトでは、1種のそれよりも回転耐久性は良くない傾向になるが、本発明では、そのような傾向もなく、少なくとも1種による場合の該耐久性を維持している。
【0016】
MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の作用効果は、前記の通りであるが、これらが混合され一つのブレンド樹脂になって行く過程と、それによる電気的特性形成の過程は、次のように考えられる。
まず混合フッ素系樹脂の成形機中における挙動は、両者の流動速度の差によって、MFRが大きいフッ素系樹脂がMFRが小さいフッ素系樹脂を薄く覆った状態で壁面を流れる。この状態の中で分散するCB粉体は、MFRが大きいフッ素系樹脂中でより動き易くなり、それが安定した電気抵抗を採り易くしている。つまりこの安定した電気抵抗は、希望する該抵抗の設定の容易さと共に、その固有化も容易になるということに繋がってゆく。前記混合比においてMFRが大きい該樹脂が、MFRが小さいフッ素系樹脂よりも少ない方が好ましいのも、この作用によるものと考えられる。
一方、CB粉体は、MFRが大きいフッ素系樹脂中でより動き易くなっていることで、そこに存在するCB粉体は、むしろ少なくなっていることが考えられる。
従って、電気抵抗は大きくなる方向になり、電気絶縁層的な作用を行い、その結果が耐電圧性能の改善にも繋がっていると考えられる。
尚、この耐電圧性能は、より高い電圧印加でも絶縁破壊することなく、蓄電荷する事ができる特性であるが、電圧条件の変動に対して有効に作用する。
【0017】
前記混合組成比によって付与されるF管状フィルムは、ρs(Ω/□)とρv(Ω・cm)とが1×105〜1×1015、好ましくは1×108〜1×1015、更に好ましくは1×1010〜5×1014、最も好ましくは1×1010〜1×1014範囲であり、そしてρsの方が小さくなってもいる。
実際の設定は、例えばカラープリンターの場合、その操作機能、機構、電気設定等により異なる。本発明ではこれに迅速に対応ができ、所望する電気抵抗特性を有するベルトの供給ができる。
【0018】
ρsとρvとが前記1×1010〜5×1014、好ましくは1×1010〜1×1014の範囲にあって、且つ各抵抗率のバラツキが1.5桁、好ましくは1.0桁以内、且つ該ρvの桁数がρsのそれよりも0.5〜4桁、好ましくは1〜3桁大きく設定されたF管状フィルムを容易に得ることができる。ここで例えば「0.5桁」とは、抵抗率の値の対数をとった場合に0.5となるという意味である。
このような特性を有するベルトは、表面層部分と共に内部に適当な帯電量が安定して保たれるので、例えば用紙搬送ベルトや中間転写ベルトとしての使用がより有効である。該ρvの桁数がρsのそれよりも大きいと、特に感光ドラム上のトナー顕像の(該ベルト上に静電吸着されて運ばれてきた)用紙への転写性をより完全なものへと近づけることができるが、その効果は該ρvの方がρsよりも0.5〜4桁大きいときにより有効に発揮される。
【0019】
前記各成分の混合分散手段は、例えば次のような手順で行われる。
まず前記MFRの異なる2種のフッ素系樹脂粉体の所定量を羽根付きミキサー等を使って混合し、この中にCB粉体の所定量を添加して同様に、又はボールミルを使って十分に混合して分散する。勿論各成分を同時に混合分散しても良いが、いずれの場合も、より大きいせん断力の作用の下でミキシングをするのが望ましく、これにより、更に混合成分自身がより微細化されて、分散も良くなる。分散性の良化は、表面精度は勿論、電気抵抗のより安定化へと繋がることにもなる。
この各成分の混合粉末は、そのまま以後のF管状フィルム用の原料とすることもできるが、より混合分散を良化し、更なる電気抵抗安定性等の向上のためには、混練用2軸押出機に供給して溶融混練してペレットとし、これを一回に限らず、複数回反復するのが良い。
【0020】
次に前記F管状フィルムの製造方法について説明する。
まず前記例示するMFRの小さいフッ素系樹脂と、MFRの大きい該樹脂とを選び、更に該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種のフッ素系樹脂を特定する。勿論前記例示する中で、ポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデンを主成分とする6フッ化プロピレン等との共重合樹脂の中から選択し、大きいMFRが小さいMFRの2.5〜20倍の2種の該樹脂を選んで行うのが最も良いのである。
そして選ばれた両フッ素樹脂は粉体状態が良く、これに適当なCB粉体を選択し、前記例示する各混合比でまず一時混合(粉体混合)する。この時の混合も前記するように、できるだけ高いせん断力が負荷されるような攪拌混合機を使って混合するのが良い。
【0021】
次に、前記得られた1次粉体混合体を2軸溶融押出機にて溶融混練しつつペレット状で得る事で2次混合するが、この溶融混練も前記するように、1回よりも2回以上の反復溶融混練をした方が良い。これはよりバラツキのない安定した、ρs及びρvを得るのに有効に作用するからである。
ここで反復溶融混練回数の上限であるが、せいぜい4回までであり、それ以上行っても上記効果は発現しない。2〜3回が好ましい範囲である。
【0022】
そして前記複数回の反復溶融混練で得たペレットは、丸ダイ付き溶融押出機に供給して、実質的に無延伸にて溶融押出成形される。
ここでの成形条件は、次の通りである。
まず溶融押出温度は、前記2種のフッ素樹脂の中の融点の高い方を基準にして、その融点よりも約20〜40℃高く設定する。
押出速度は余り遅くても、速くても好ましくない。遅いとF管状フィルムの表面精度が悪くなり、速いと前記電気固有抵抗のバラツキと共に、表面精度も悪くなる傾向になる。このような傾向の出ない範囲は、約20〜60g/分、好ましくは35〜50g/分である。
そして、上記により丸ダイから押出されたならば、好ましくはインナーサイジングを行いつつ、実質的無延伸で常温に冷却して引き取る。この実質的の意味は、縦、横とも積極的な延伸操作は行わないということであり、インナーサイジングと引き取り動作に伴って若干延伸されるのは許容される。この積極的延伸は、該固有抵抗の安定性の維持を妨げるからである。
【0023】
前記成形によるF管状フィルムは無端状であり、その厚さは、用途、ハンドリング性(例えばベルト状で使用した場合の耐屈曲性)及び電気抵抗率も考慮して選ばれる。例えば用紙搬送ベルトや中間転写ベルトとして使用する場合では、100〜200μm程度が良い。
【0024】
かくして得られたF管状フィルムは、用紙搬送ベルトや中間転写ベルト等に使われるが、中でもより優れた電気抵抗機能を有することから、カラープリンターの用紙搬送兼中間転写用ベルト部材としての使用が有効である。
尚、該ベルトのカラープリンターへの装着及び可動操作は、一般に行われている方法の中で行われ、特別なものはない。
【0025】
【実施例】
以下比較例と共に、実施例によって更に詳述する。
尚、本例で測定したρs、ρv、画質、耐久性、耐電圧は次の条件で行ったものである。
【0026】
●ρs、ρv
三菱油化株式会社製、電気抵抗測定機器、ハイレスタHRプローブを使って、各々印加電圧250Vの下で測定した。
尚、測定は各例で得た250mm幅のカット品をベルトとして、カラープリンターに実装してプリントテストを行ない、そのテストの前後で行った。測定値は、該カット品の横5箇所、縦(円周方)10箇所の合計50箇所を測定しその平均値とした。
【0027】
●画質
得られた無端F管状フィルムを幅250mmにカットし、これを用紙搬送兼中間転写ベルト採用のタンデム型カラープリンター(以下実装機と呼ぶ。)に装着し、次の条件で連続プリントして、画像のカスレと共に、感光ドラムに転写残り(転写不良)の有無を5000枚の印刷の中で観察した。ある場合は画像カスレ、転写不良とした。
◎コピー用紙…A4、
◎原画像原稿……85線の全平網、
◎コピー速度…12枚/分、
◎帯電…2kVを印加した帯電器をベルト裏面にセットし、表面に向って帯電する。
【0028】
●耐久性
前記画質評価において、5000枚印刷した時点でベルトを脱着して、特にエッジでの亀裂の発生具合を原ベルトと比較観察した。発生の有無を○と×で表わした。
【0029】
●耐電圧(性能)
各例でのF管状フィルムをフラット状に切開して、これを2枚の金属板に挟持し、各板を通電クリップでクリップして、これを電圧発生装置(菊水電子工業株式会社製 TOS8750 Voltage Tester)に繋いて電圧を徐々に印加して行く。絶縁破壊が起こる時点の電圧を読み、耐電圧(使用前)とした。
【0030】
(実施例1)(MFR大小の差が約2.9倍の場合)
まず240℃、5kg加重下で測定されたMFR7g/10分(ポリフッ化ビニリデン粉体(呉羽化学株式会社製、品種KF#1000)と同20g/10分のポリフッ化ビニリデン粉体(呉羽化学株式会社製、品種KF#850)とを重量比で50対50で採取し、これを羽根付きミキサー内で混合し、引続き前記全混合量に対して10重量%のCB粉体(アセチレンブラック)(電気化学工業株式会社製、デンカブラック、PH7〜8、ρv10−1Ω・cm)を添加し再度混合した後、この混合粉体を2軸溶融混練押出機(バレル温度180〜220℃)に供給してストランド状で押出しつつチップカットし、更にこのチップをもう1度溶融混練してチップとして得た。これを次の成形用原料とした。
【0031】
そして前記成形用原料を次の条件で丸ダイス付き単軸溶融押出機に供給し所望する無端のF管状フィルムに成形した。
単軸溶融押出機のバレル温度・・180〜230℃、
丸ダイス・・内径255mm、スリット幅1.0mm、温度200℃、
成形速度・・45g/分、
サイジング・・インナーサイジング、
延伸・・積極的延伸なし、
冷却・・常温。
【0032】
前記により成形された無端のF管状フィルムは連続した長尺ものとして得られ、その厚さは150±15μm、内径250mmであり、裏表面共に平滑なものであった。
そして、これを幅250mmに輪切りにして、まず使用前のρs、ρv及び耐電圧を測定した。次に、 これを前記実装機に装着してプリントテストを行い、画質と耐久性をチェックした。最後に脱装して使用後のρs、ρvを測定し、結果を表1及び表2にまとめた。
【0033】
(表1)
【0034】
(表2)
【0035】
(実施例2)(MFR大小の差が約3倍の場合)
前記同様条件で測定されたMFR1.0g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1300)とMFR3.0g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1200)とを重量比で80対20で使用する以外は、実施例1と同一条件にて1次混合―混練ペレタイズ化―無端F管状フィルム成形へと実施した。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmに輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0036】
(実施例3)(MFR大小の差が約20倍の場合)
前記同様条件で測定されたMFR1.0g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1300)とMFR20g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#850)とを重量比で50対50で使用する以外は、実施例1と同一条件にて1次混合―混練ペレタイズ化―無端F管状フィルム成形へと実施した。得られた無端F管状フィルムの厚さは、130±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と前記実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0037】
(実施例4)(固有抵抗率の変更)
実施例1において、CB粉体の添加量を15重量%とすること以外は、該例と同一条件にて1次混合―混練ペレタイズ化―無端F管状フィルム成形へと実施した。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15m、内径250mmで、裏表面は平滑なものであった。同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0038】
(比較例1)(MFR大小の差が1.8倍の場合)
前記同様条件で測定されたMFR4g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1100)とMFR7g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1000)とを使用する以外は、実施例1と同一条件にて混練―成形して相当する管状フィルムを得た。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機によるプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0039】
(比較例2)(実施例1との比較)
前記実施例1で使用した、MFR20g/10分の品種KF#850の1種のみを使用する以外は、該例と同一条件で混練―成形して相当する管状フィルムを得た。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0040】
(比較例3)(実施例1との比較)
前記実施例1で使用した、MFR7g/10分の品種KF#1000の1種のみを使用する以外は、該例と同一条件にて混練―成形して相当する管状フィルムを得た。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑ではあった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機によるプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0041】
(比較例4)(実施例4との比較)
前記実施例4で使用した、MFR7g/10分の品種KF#1000の1種を用いる以外は、該例と同じ条件で無端管状フィルム成形、250mm幅カットした。これの、使用前後のρs、ρv及び耐電圧と実装機によるプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
尚、無端管状フィルムの裏表面は、実施例4のそれよりも若干荒れた状態であったが、厚さ、内径は同じであった。
尚、前記各例におけるρs、ρvのバラツキは、各実施例では1.3桁以下であったが、各比較例では1.5〜2桁であった。
【0042】
(参考例1)(請求項2に対応)
実施例1において、MFRの小さい品種KF#1000と大きい品種KF#850との混合重量比を95対5に変える以外は、全て同一条件にて行い、相当する無端管状フィルムを得た。得られた該フィルムの厚さは、150±15μm、内径250mmであり、以後も実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機によるプリントテストを行い、画質と耐久性とのチェックを行った。結果は表1及び表2にまとめた。
【0043】
前記両電気抵抗の固有化の容易さは、特に実施例1、4に対する比較例2、3、4の結果から良く理解できる。つまり狭い範囲で各々ρsとρvを特定するのは、1種のフッ素樹脂では容易でない。しかし、これがMFRの異なる2種のフッ素樹脂を組み合わせる事で、極めて容易に実現できるというものである。
又、該両抵抗は、1種のフッ素樹脂でもCB粉体の混合量によって変えられるが、狭い範囲での該抵抗の制御は困難であるばかりか、バラツキ、安定性の点でも良くないことも判る。
【0044】
【発明の効果】
本発明は前記の通り構成されているので、次のような効果を奏する。
【0045】
まず各カラープリンター固有のものとして求められる電気抵抗の固有化に対して、その対応がより容易になり、ユーザの要望に迅速に答えられるようになった。
【0046】
又、例えば用紙搬送兼中間転写ベルトとしての長期間の使用でも、該ベルトにエッジ亀裂とか表面ケズレ等の耐久性に係わる点を大きく改善され、より安定した電気抵抗率が維持し続けられるようになった。
【0047】
又、前記方式によるカラープリントで、画像のズレもなく、画質(カスレ、白抜け、カブリ、転写不良によるトナー残等)への影響もなく、よりシャープな画像で印刷できるようにもなった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良された半導電性フッ素系樹脂管状フィルムとその製造方法に関する。該フィルムは、例えばカラープリンターの用紙搬送ベルトまたは中間転写ベルトとして有効に使用される。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導電性フッ素系樹脂管状フィルムがカラ−プリンターの用紙搬送ベルトまたは中間転写ベルトとして使用される場合に、性能上必要な条件は、優れた耐久性(特にベルト回転での端縁部への亀裂と摺動摩耗の発生に対する)と経時変化(使用、保存)に対する電気抵抗の安定性(画質への影響)が挙げられるが、この要素を課題として検討された特許技術も公開されている。それは例えば、MFR(メルトフローレート)8g/10min未満のエチレンテトラフルオロエチレン共重合体97〜75重量%とカーボンブラック3〜25重量%からなり、表面及び裏面の導電性が1×100〜1×1013Ω/□のシームレスベルトというものである(例えば、特許文献1参照。)。そして該特許文献1には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の成分、例えば熱可塑性樹脂の混合も許容され、具体的に各種列挙もされている。その中でフッ素樹脂も挙げられ、具体的にポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレンポリマ、ヘキサフルオロプロピレンポリマ、パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマが列記されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−114973号公報(1頁、3頁)
【0004】
又、最近では画質、両面プリント機能、プリント速度等のより一層の改善要求の他に、前記ベルトによる方式を採用しているプリント機にあっては、各機種(各メーカー)毎に電気抵抗の異なる該ベルトの提供を要求されることが多い。つまり表面抵抗率と体積抵抗率との両者を狭い範囲で特定して要求するという厳しいものである(以後これを電気抵抗の固有化と呼ぶ。)。従って、該ベルトを供給する側では、これに臨機応変に迅速に対応しなけねばならない。
【0005】
前記電気抵抗の固有化の要求に対する対応については、本発明者等も従来技術をもとに種々検討した。それは導電性カーボンブラックを含め種々の導電材について、その種類と混合量とを変えることであった。しかし、その結果、確かに表面抵抗率と体積抵抗率とは変化はするが、両者狭い範囲で特定された、つまり固有化された電気抵抗を有する前記ベルトの取得は困難であり、更にはバラツキも大きくて、安定したものは得られないのが実情であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明等は、新たな観点のもとで、更に鋭意検討を続けた。その結果、2種の異なるフッ素樹脂を使用すると前記問題解決ができることが判った。そこで更に詳細について検討した。
本発明はその更なる検討の結果、遂に見出されたものであり、その解決手段が次のものである。これにより、例えばカラープリンターの重要な部材である、前記ベルトが、電気抵抗バラツキもなく、より安定化された電気抵抗の下に、主たる課題である電気抵抗の固有化が容易に迅速に対応できるというものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、まず、MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂に導電性カーボンブラックが均一分散されてなることを特徴とする半導電性フッ素系樹脂管状フィルムである。
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムは、MFRが小さいフッ素系樹脂40〜90重量%とMFRが大きいフッ素系樹脂60〜10重量%との混合フッ素系樹脂に対して、導電性カーボンブラック5〜20重量%が含有されてなる事も特徴として提供する。
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムは、2種のフッ素系樹脂が共に、フッ化ビニリデンを主成分としてなるポリフッ化ビニリデン系樹脂である事も特徴として提供する。
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムの有する電気抵抗特性に関し、表面抵抗率(以下ρsと記す。)と体積抵抗率(以下ρvと記す。)とが1×1010〜5×1014の範囲にあって、且つ該両抵抗率のバラツキが1.5桁以内で、更には該表面抵抗率の桁数よりも体積抵抗率の桁数の方が0.5〜4桁大きい範囲にあるのが好ましいことも特徴として提供する。
【0008】
又、前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムの製造方法に関し、まずMFRが小さいフッ素系樹脂とMFR大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂と導電性カーボンブラックとを複数回反復溶融混練してペレット状で得、これを丸ダイ付き溶融押出機に供給して、実質的に無延伸にて溶融押出成形するのが有効である事も特徴として提供する。
以下本各発明を次の実施形態で詳述する。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず選択される2種のフッ素系樹脂は、MFR(メルトフローレート)によって特定される。このMFRは、JIS K7210に記載される測定方法(溶融温度と荷重とは、その樹脂の融点を下に独自に設定)により測定し、g/10分を単位として示したものである。
従って、MFRの大きいものは溶融粘度が低く、小さいものは高いということになる。
このMFRは、小さいものと大きいものの2種のフッ素系樹脂が基本になるが、更にこの大小は、大きい方のMFRの値が小さい方のMFRの値の2〜25倍、好ましくは2.3〜23倍、更には2.5〜20倍であることが必要である。つまりこの範囲を外れたものでは、狭い範囲でのρsとρvの制御と共に、電気抵抗の固有化が容易に出来なくなる。つまりρs、ρv各々のバラツキが大きくなり、安定した帯電又は除電ができなくなること、更には前記ベルトの連続使用において該電気抵抗の低下が見られるようになること、そして特に2倍未満では、耐電圧性能への影響も出るようになる。一方、25倍を超えて大きくなると導電性カーボンブラック(以下CB粉体と呼ぶ。)の分散性と共に、成形性と表面精度への影響も出るようになる。
尚、特定される2種混合フッ素系樹脂では、(後述の実施例からも判るように)ρsとρvとが実使用により変化し、両者の値の差が小さくなり、更にその抵抗値で安定化してくる。これも特長的なことである。
【0010】
前記MFRの条件を満たす2種のフッ素系樹脂であれば、その種類は特に問わないが、具体的には次のようなものである。
まず熱可塑性のパーフルオロ若しくは部分フルオロの単独ポリマ又は他のコモノマとの共重合フッ素樹脂であり、この中から、該条件に合う2種が適宜選択される。
尚、この2種の混合によって新たにもたらされるブレンド樹脂の特性を失わない範囲であれば、MFRに関係なく他のフッ素系樹脂や、フッ素系樹脂に一般的に使用される各添加剤の少量添加は許容される。
【0011】
そして詳細には、融点が約150〜300℃の範囲にある、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等の部分フッ化単独樹脂、エチレンと4フッ化エチレン、エチレンと3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレンと6フッ化プロピレン、4フッ化エチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデンと4フッ化エチレン等の2成分共重合樹脂、4フッ化エチレンと6フッ化プロピレンとフッ化ビニリデン等との3成分共重合樹脂によるパーフルオロ、部分フルオロの共重合樹脂等が例示できる。MFRは、例えば結晶化度、分子量、分子量分布等に影響されるので、同種の樹脂であっても異なるものがある。従って本発明でいう前記条件の2種のフッ素系樹脂は、同種の樹脂であっても前記MFRの条件を満たせば、それも一つの組合せであり、むしろ同種のフッ素系樹脂の中で、MFRの異なるものを選択するのがより好ましい。
尚、ここで同種とは、同一成分での単独樹脂か又はその同一成分を主成分とする共重合フッ素樹脂のことである。
【0012】
MFRの異なる2種のフッ素系樹脂については前記の通りであるが、更に好ましいのはポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデンを主成分とする6フッ化プロピレン等との共重合樹脂の中からの選択である。このポリフッ化ビニリデン系による2種ブレンド樹脂は、前記効果に加えて無端管状フィルムとしての成形性、より長期間ベルト回転を行う場合の強度(特に端縁部でのクラックの発生)に優れ、更に複写における用紙搬送性と転写後の用紙離脱性にも一層優れてもいる。
尚、該ポリフッ化ビニリデン系のMFRは、例えば3〜20g/10分の間にあり、単独ポリマもあれば、共重合ポリマもある。
【0013】
そして、選択された前記2種による混合フッ素系樹脂に半導電性を付与するために、CB粉体が混合分散される。この選択に際しては、まず一義的にはρvが100Ω・cm前後の導電性を有する、一般に知られているアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラックの中から選ぶ。しかしこのCB粉体といっても他に種々の特性(例えばPH値/揮発分、ストラクチャーの発達程度/吸油量/分散性、粒径等)を有しているので、実際の選択では、更に、これらの特性との関係も考慮して決めるのが良い。
該フッ素系樹脂にあっては、例えばPH値は6〜8(中性的で、揮発分も少ない)、ストラクチャーの発達したCB粉体が有効である。この特性はアセチレンブラックに多い。このアセチレンブラックによると、該混合フッ素系樹脂との分散性と共に成形性にも優れていること、そして得られるフッ素系管状フィルム(以下F管状フィルムと記す。)の表面精度、強度等への悪影響もなく、且つρsとρvのバラツキもより小さいものにもなる。
【0014】
尚、前記ストラクチャーの発達したCB粉体がより有効である理由は明白ではないが、次のようなことが考えられる。
一般に樹脂中におけるCB粉体の有するストラクチャーは、可能な限り破壊せずに分散している方が良いとされている。しかしながら、前記2種の混合フッ素系樹脂にあっては、後述するように、CB粉体との混合は十分な混練が望ましいとされ、これは逆にストラクチャーの破壊に繋がることになる。本発明にあっては、この一般的見解と異なる結果になっている。つまり特にこの2種の混合フッ素系樹脂にあっては、ストラクチャーは破壊されて1次粒子化又は1次粒子に近い状態の粒子状態で分散していることが考えられ、これが本発明の効果により大きく作用するではないかと考えられる。
【0015】
前記各成分の混合における量的関係は、次の通りである。
MFRが小さいフッ素系樹脂40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%とMFRが大きいフッ素系樹脂60〜10重量%、好ましくは50〜20重量%との混合フッ素系樹脂に対して、CB粉体が5〜20重量%である。
ここでMFRが小さいフッ素系樹脂は、主として得られるF管状フィルムの物性面(ベルトとしての回転耐久性等)構築に作用し、MFRが大きいフッ素系樹脂は、主としてバラツキのない下での電気抵抗の固有化に作用する。従っていずれの場合もこの混合比から外れると、少なくともこの両作用は有効に働かなくなる傾向にある。
尚、一般に2種ブレンドのベルトでは、1種のそれよりも回転耐久性は良くない傾向になるが、本発明では、そのような傾向もなく、少なくとも1種による場合の該耐久性を維持している。
【0016】
MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の作用効果は、前記の通りであるが、これらが混合され一つのブレンド樹脂になって行く過程と、それによる電気的特性形成の過程は、次のように考えられる。
まず混合フッ素系樹脂の成形機中における挙動は、両者の流動速度の差によって、MFRが大きいフッ素系樹脂がMFRが小さいフッ素系樹脂を薄く覆った状態で壁面を流れる。この状態の中で分散するCB粉体は、MFRが大きいフッ素系樹脂中でより動き易くなり、それが安定した電気抵抗を採り易くしている。つまりこの安定した電気抵抗は、希望する該抵抗の設定の容易さと共に、その固有化も容易になるということに繋がってゆく。前記混合比においてMFRが大きい該樹脂が、MFRが小さいフッ素系樹脂よりも少ない方が好ましいのも、この作用によるものと考えられる。
一方、CB粉体は、MFRが大きいフッ素系樹脂中でより動き易くなっていることで、そこに存在するCB粉体は、むしろ少なくなっていることが考えられる。
従って、電気抵抗は大きくなる方向になり、電気絶縁層的な作用を行い、その結果が耐電圧性能の改善にも繋がっていると考えられる。
尚、この耐電圧性能は、より高い電圧印加でも絶縁破壊することなく、蓄電荷する事ができる特性であるが、電圧条件の変動に対して有効に作用する。
【0017】
前記混合組成比によって付与されるF管状フィルムは、ρs(Ω/□)とρv(Ω・cm)とが1×105〜1×1015、好ましくは1×108〜1×1015、更に好ましくは1×1010〜5×1014、最も好ましくは1×1010〜1×1014範囲であり、そしてρsの方が小さくなってもいる。
実際の設定は、例えばカラープリンターの場合、その操作機能、機構、電気設定等により異なる。本発明ではこれに迅速に対応ができ、所望する電気抵抗特性を有するベルトの供給ができる。
【0018】
ρsとρvとが前記1×1010〜5×1014、好ましくは1×1010〜1×1014の範囲にあって、且つ各抵抗率のバラツキが1.5桁、好ましくは1.0桁以内、且つ該ρvの桁数がρsのそれよりも0.5〜4桁、好ましくは1〜3桁大きく設定されたF管状フィルムを容易に得ることができる。ここで例えば「0.5桁」とは、抵抗率の値の対数をとった場合に0.5となるという意味である。
このような特性を有するベルトは、表面層部分と共に内部に適当な帯電量が安定して保たれるので、例えば用紙搬送ベルトや中間転写ベルトとしての使用がより有効である。該ρvの桁数がρsのそれよりも大きいと、特に感光ドラム上のトナー顕像の(該ベルト上に静電吸着されて運ばれてきた)用紙への転写性をより完全なものへと近づけることができるが、その効果は該ρvの方がρsよりも0.5〜4桁大きいときにより有効に発揮される。
【0019】
前記各成分の混合分散手段は、例えば次のような手順で行われる。
まず前記MFRの異なる2種のフッ素系樹脂粉体の所定量を羽根付きミキサー等を使って混合し、この中にCB粉体の所定量を添加して同様に、又はボールミルを使って十分に混合して分散する。勿論各成分を同時に混合分散しても良いが、いずれの場合も、より大きいせん断力の作用の下でミキシングをするのが望ましく、これにより、更に混合成分自身がより微細化されて、分散も良くなる。分散性の良化は、表面精度は勿論、電気抵抗のより安定化へと繋がることにもなる。
この各成分の混合粉末は、そのまま以後のF管状フィルム用の原料とすることもできるが、より混合分散を良化し、更なる電気抵抗安定性等の向上のためには、混練用2軸押出機に供給して溶融混練してペレットとし、これを一回に限らず、複数回反復するのが良い。
【0020】
次に前記F管状フィルムの製造方法について説明する。
まず前記例示するMFRの小さいフッ素系樹脂と、MFRの大きい該樹脂とを選び、更に該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種のフッ素系樹脂を特定する。勿論前記例示する中で、ポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデンを主成分とする6フッ化プロピレン等との共重合樹脂の中から選択し、大きいMFRが小さいMFRの2.5〜20倍の2種の該樹脂を選んで行うのが最も良いのである。
そして選ばれた両フッ素樹脂は粉体状態が良く、これに適当なCB粉体を選択し、前記例示する各混合比でまず一時混合(粉体混合)する。この時の混合も前記するように、できるだけ高いせん断力が負荷されるような攪拌混合機を使って混合するのが良い。
【0021】
次に、前記得られた1次粉体混合体を2軸溶融押出機にて溶融混練しつつペレット状で得る事で2次混合するが、この溶融混練も前記するように、1回よりも2回以上の反復溶融混練をした方が良い。これはよりバラツキのない安定した、ρs及びρvを得るのに有効に作用するからである。
ここで反復溶融混練回数の上限であるが、せいぜい4回までであり、それ以上行っても上記効果は発現しない。2〜3回が好ましい範囲である。
【0022】
そして前記複数回の反復溶融混練で得たペレットは、丸ダイ付き溶融押出機に供給して、実質的に無延伸にて溶融押出成形される。
ここでの成形条件は、次の通りである。
まず溶融押出温度は、前記2種のフッ素樹脂の中の融点の高い方を基準にして、その融点よりも約20〜40℃高く設定する。
押出速度は余り遅くても、速くても好ましくない。遅いとF管状フィルムの表面精度が悪くなり、速いと前記電気固有抵抗のバラツキと共に、表面精度も悪くなる傾向になる。このような傾向の出ない範囲は、約20〜60g/分、好ましくは35〜50g/分である。
そして、上記により丸ダイから押出されたならば、好ましくはインナーサイジングを行いつつ、実質的無延伸で常温に冷却して引き取る。この実質的の意味は、縦、横とも積極的な延伸操作は行わないということであり、インナーサイジングと引き取り動作に伴って若干延伸されるのは許容される。この積極的延伸は、該固有抵抗の安定性の維持を妨げるからである。
【0023】
前記成形によるF管状フィルムは無端状であり、その厚さは、用途、ハンドリング性(例えばベルト状で使用した場合の耐屈曲性)及び電気抵抗率も考慮して選ばれる。例えば用紙搬送ベルトや中間転写ベルトとして使用する場合では、100〜200μm程度が良い。
【0024】
かくして得られたF管状フィルムは、用紙搬送ベルトや中間転写ベルト等に使われるが、中でもより優れた電気抵抗機能を有することから、カラープリンターの用紙搬送兼中間転写用ベルト部材としての使用が有効である。
尚、該ベルトのカラープリンターへの装着及び可動操作は、一般に行われている方法の中で行われ、特別なものはない。
【0025】
【実施例】
以下比較例と共に、実施例によって更に詳述する。
尚、本例で測定したρs、ρv、画質、耐久性、耐電圧は次の条件で行ったものである。
【0026】
●ρs、ρv
三菱油化株式会社製、電気抵抗測定機器、ハイレスタHRプローブを使って、各々印加電圧250Vの下で測定した。
尚、測定は各例で得た250mm幅のカット品をベルトとして、カラープリンターに実装してプリントテストを行ない、そのテストの前後で行った。測定値は、該カット品の横5箇所、縦(円周方)10箇所の合計50箇所を測定しその平均値とした。
【0027】
●画質
得られた無端F管状フィルムを幅250mmにカットし、これを用紙搬送兼中間転写ベルト採用のタンデム型カラープリンター(以下実装機と呼ぶ。)に装着し、次の条件で連続プリントして、画像のカスレと共に、感光ドラムに転写残り(転写不良)の有無を5000枚の印刷の中で観察した。ある場合は画像カスレ、転写不良とした。
◎コピー用紙…A4、
◎原画像原稿……85線の全平網、
◎コピー速度…12枚/分、
◎帯電…2kVを印加した帯電器をベルト裏面にセットし、表面に向って帯電する。
【0028】
●耐久性
前記画質評価において、5000枚印刷した時点でベルトを脱着して、特にエッジでの亀裂の発生具合を原ベルトと比較観察した。発生の有無を○と×で表わした。
【0029】
●耐電圧(性能)
各例でのF管状フィルムをフラット状に切開して、これを2枚の金属板に挟持し、各板を通電クリップでクリップして、これを電圧発生装置(菊水電子工業株式会社製 TOS8750 Voltage Tester)に繋いて電圧を徐々に印加して行く。絶縁破壊が起こる時点の電圧を読み、耐電圧(使用前)とした。
【0030】
(実施例1)(MFR大小の差が約2.9倍の場合)
まず240℃、5kg加重下で測定されたMFR7g/10分(ポリフッ化ビニリデン粉体(呉羽化学株式会社製、品種KF#1000)と同20g/10分のポリフッ化ビニリデン粉体(呉羽化学株式会社製、品種KF#850)とを重量比で50対50で採取し、これを羽根付きミキサー内で混合し、引続き前記全混合量に対して10重量%のCB粉体(アセチレンブラック)(電気化学工業株式会社製、デンカブラック、PH7〜8、ρv10−1Ω・cm)を添加し再度混合した後、この混合粉体を2軸溶融混練押出機(バレル温度180〜220℃)に供給してストランド状で押出しつつチップカットし、更にこのチップをもう1度溶融混練してチップとして得た。これを次の成形用原料とした。
【0031】
そして前記成形用原料を次の条件で丸ダイス付き単軸溶融押出機に供給し所望する無端のF管状フィルムに成形した。
単軸溶融押出機のバレル温度・・180〜230℃、
丸ダイス・・内径255mm、スリット幅1.0mm、温度200℃、
成形速度・・45g/分、
サイジング・・インナーサイジング、
延伸・・積極的延伸なし、
冷却・・常温。
【0032】
前記により成形された無端のF管状フィルムは連続した長尺ものとして得られ、その厚さは150±15μm、内径250mmであり、裏表面共に平滑なものであった。
そして、これを幅250mmに輪切りにして、まず使用前のρs、ρv及び耐電圧を測定した。次に、 これを前記実装機に装着してプリントテストを行い、画質と耐久性をチェックした。最後に脱装して使用後のρs、ρvを測定し、結果を表1及び表2にまとめた。
【0033】
(表1)
【0034】
(表2)
【0035】
(実施例2)(MFR大小の差が約3倍の場合)
前記同様条件で測定されたMFR1.0g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1300)とMFR3.0g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1200)とを重量比で80対20で使用する以外は、実施例1と同一条件にて1次混合―混練ペレタイズ化―無端F管状フィルム成形へと実施した。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmに輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0036】
(実施例3)(MFR大小の差が約20倍の場合)
前記同様条件で測定されたMFR1.0g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1300)とMFR20g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#850)とを重量比で50対50で使用する以外は、実施例1と同一条件にて1次混合―混練ペレタイズ化―無端F管状フィルム成形へと実施した。得られた無端F管状フィルムの厚さは、130±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と前記実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0037】
(実施例4)(固有抵抗率の変更)
実施例1において、CB粉体の添加量を15重量%とすること以外は、該例と同一条件にて1次混合―混練ペレタイズ化―無端F管状フィルム成形へと実施した。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15m、内径250mmで、裏表面は平滑なものであった。同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0038】
(比較例1)(MFR大小の差が1.8倍の場合)
前記同様条件で測定されたMFR4g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1100)とMFR7g/10分のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学株式会社製、品種KF#1000)とを使用する以外は、実施例1と同一条件にて混練―成形して相当する管状フィルムを得た。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機によるプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0039】
(比較例2)(実施例1との比較)
前記実施例1で使用した、MFR20g/10分の品種KF#850の1種のみを使用する以外は、該例と同一条件で混練―成形して相当する管状フィルムを得た。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑なものであった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機でのプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0040】
(比較例3)(実施例1との比較)
前記実施例1で使用した、MFR7g/10分の品種KF#1000の1種のみを使用する以外は、該例と同一条件にて混練―成形して相当する管状フィルムを得た。得られた無端F管状フィルムの厚さは、150±15μm、内径250.2mmで、裏表面は平滑ではあった。
以後実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機によるプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
【0041】
(比較例4)(実施例4との比較)
前記実施例4で使用した、MFR7g/10分の品種KF#1000の1種を用いる以外は、該例と同じ条件で無端管状フィルム成形、250mm幅カットした。これの、使用前後のρs、ρv及び耐電圧と実装機によるプリントテストとを行い、画質と耐久性をチェックした。結果は表1及び表2にまとめた。
尚、無端管状フィルムの裏表面は、実施例4のそれよりも若干荒れた状態であったが、厚さ、内径は同じであった。
尚、前記各例におけるρs、ρvのバラツキは、各実施例では1.3桁以下であったが、各比較例では1.5〜2桁であった。
【0042】
(参考例1)(請求項2に対応)
実施例1において、MFRの小さい品種KF#1000と大きい品種KF#850との混合重量比を95対5に変える以外は、全て同一条件にて行い、相当する無端管状フィルムを得た。得られた該フィルムの厚さは、150±15μm、内径250mmであり、以後も実施例1と同様に幅250mmの輪切りカット、使用前後のρs、ρv及び耐電圧の測定と実装機によるプリントテストを行い、画質と耐久性とのチェックを行った。結果は表1及び表2にまとめた。
【0043】
前記両電気抵抗の固有化の容易さは、特に実施例1、4に対する比較例2、3、4の結果から良く理解できる。つまり狭い範囲で各々ρsとρvを特定するのは、1種のフッ素樹脂では容易でない。しかし、これがMFRの異なる2種のフッ素樹脂を組み合わせる事で、極めて容易に実現できるというものである。
又、該両抵抗は、1種のフッ素樹脂でもCB粉体の混合量によって変えられるが、狭い範囲での該抵抗の制御は困難であるばかりか、バラツキ、安定性の点でも良くないことも判る。
【0044】
【発明の効果】
本発明は前記の通り構成されているので、次のような効果を奏する。
【0045】
まず各カラープリンター固有のものとして求められる電気抵抗の固有化に対して、その対応がより容易になり、ユーザの要望に迅速に答えられるようになった。
【0046】
又、例えば用紙搬送兼中間転写ベルトとしての長期間の使用でも、該ベルトにエッジ亀裂とか表面ケズレ等の耐久性に係わる点を大きく改善され、より安定した電気抵抗率が維持し続けられるようになった。
【0047】
又、前記方式によるカラープリントで、画像のズレもなく、画質(カスレ、白抜け、カブリ、転写不良によるトナー残等)への影響もなく、よりシャープな画像で印刷できるようにもなった。
Claims (5)
- MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の2種を使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂に導電性カーボンブラックが均一分散されてなることを特徴とする半導電性フッ素系樹脂管状フィルム。
- MFRが小さいフッ素系樹脂40〜90重量%とMFRが大きいフッ素系樹脂60〜10重量%との混合フッ素系樹脂に対して、導電性カーボンブラックが5〜20重量%含有されてなる請求項1に記載の半導電性フッ素系樹脂管状フィルム。
- 前記2種のフッ素系樹脂が共に、フッ化ビニリデンを主成分としてなるポリフッ化ビニリデン系樹脂である請求項1又は2に記載の半導電性フッ素系樹脂管状フィルム。
- 前記半導電性フッ素系樹脂管状フィルムの有する表面抵抗率と体積抵抗率とが1×1010〜5×1014の範囲にあって、且つ該両抵抗率のバラツキが1.5桁以内で、更には該表面抵抗率の桁数よりも体積抵抗率の桁数の方が0.5〜4桁大きい請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導電性フッ素系樹脂管状フィルム。
- MFRが小さいフッ素系樹脂とMFRが大きいフッ素系樹脂の2種のフッ素系樹脂とを使用し、且つ該大きいMFRが該小さいMFRの2〜25倍である2種の混合フッ素系樹脂と導電性カーボンブラックとを複数回反復溶融混練してペレット状で得、これを丸ダイ付き溶融押出機に供給して、実質的に無延伸にて溶融押出成形することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フッ素系樹脂管状フィルムの製造方法。
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-
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- 2003-04-30 JP JP2003126077A patent/JP2004331725A/ja active Pending
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