JP5214171B2 - 半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物、半導電性樹脂成形物及び電荷制御部材 - Google Patents

半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物、半導電性樹脂成形物及び電荷制御部材 Download PDF

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本発明は、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物とこれを用いた半導電性樹脂成形物に関し、更に詳しくは、電子写真方式の画像形成装置である複写機又はプリンターその他オフィス自動化機器等に使用される体積抵抗率が半導電性領域になるように制御された電荷制御部材に関する。
電気・電子機器の技術分野において、体積抵抗率が1.0×10〜1.0×1010Ωmの半導電性領域になるように精密に制御された樹脂成形物が求められている。
例えば、電子写真方式の複写機やファクシミリ、レーザービームプリンタ等の画像形成装置(電子写真複写機や静電記録装置)では、帯電、露光、現像、転写、定着、除電の各工程を経て、画像が形成されている。これら各工程では、電荷制御のために体積抵抗率が半導電性領域にある樹脂成形物が使用されている。このような用途に使用される半導電性樹脂成形物の体積抵抗率は、所定の範囲内に精密に制御されていることが求められる。
例えば、画像形成装置に使用されているロール部材(例えば、帯電ロール、転写ロール、搬送ロール、現像ロール)、ベルト部材(例えば、帯電ベルト、転写ベルト、搬送ベルト)、現像装置内のトナー層厚規制ブレード等の部材は、部材全体又はその表面層が半導電性領域内の所定の体積抵抗率を有することが求められる。
帯電ロールを用いた帯電方式では、電圧を印加した帯電ロールを感光体ドラムと接触させて、感光体ドラム表面に一様且つ均一な電荷を直接与えている。現像ロールを用いた現像方式では、現像ロールとトナー供給ロールとの間の摩擦力により、トナーを現像ロール表面に帯電状態で付着させ、これをトナー層厚規制ブレードで一様にならした後、感光体ドラム表面の静電潜像に対し、静電気吸引力により付着させて現像している。現像に際し、感光体ドラムと現像ロールとの間にバイアス電圧が印加される。転写ベルトを用いる転写方式では、転写ベルトにトナーとは逆極性の電圧を印加して電界を発生させ、この電界によって生ずる静電気吸引力によって、感光体ドラム上のトナーを転写材上に転写させている。
そのため、画像形成装置に配置されている樹脂部材には、半導電性領域の体積抵抗率を有し、電荷制御機能を発揮することが求められている。このような電荷制御機能を有する部材(以下、「電荷制御部材」と記載する。)は、場所による体積抵抗率のばらつきがなく、均一であることが必要とされている。例えば、帯電ロールの体積抵抗率の均一性が高くないと、感光体ドラム表面を一様且つ均一に帯電させることができないため、高品質の画像を得ることが困難である。
また、使用環境下での湿度変化によって電荷制御部材の体積抵抗率が大幅に変化すると、安定して高品質の画像を得ることができないため、電荷制御部材は湿度の変化による体積抵抗率の変化が小さいことも要求される。
画像形成装置の他に例を挙げると、樹脂成形物からなるオフィス自動化機器の外装材や部品等は、塵埃やトナー等を吸引すると、外観を損ねたり、故障を生じたりする原因となる。電子工業における半導体デバイスや液晶表示具等の製造工程で使用される樹脂製の装置や部品、集積回路(IC又はLSI)を備える電子部品を包装又は搬送するためのシートや袋、容器等は、静電気の発生により塵埃を吸着すると電子部品の品質を損なう恐れがある。そのため、これらの用途に使用される樹脂材料には、半導電性領域の体積抵抗率を持ち、電荷制御機能を有することが求められている。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性、非粘着性、成形加工性等の物性が優れているため、電荷制御部材の樹脂材料として好適である。しかしポリフッ化ビニリデン系樹脂は絶縁体であるため、電荷制御部材として使用するためにはその電気抵抗を下げる必要がある。
絶縁性樹脂の電気抵抗を下げる方法として、成形物表面に有機系帯電防止剤を塗布する方法(例えば、特許文献1を参照。);樹脂に有機系帯電防止剤を練り込む方法;樹脂に導電性カーボンブラックや金属粉等の導電性フィラーを練り込む方法;及び樹脂にイオン性導電剤(以下、イオン電解質とも記載する。)を練り込む方法が提案されている。
しかし、成形物表面に有機系帯電防止剤を塗布する方法は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が非粘着性に優れているため、成形物表面を拭いたり、洗浄したりすることによって、帯電防止剤が容易に脱落してしまうという問題がある。
有機系帯電防止剤として界面活性剤を練りこむ方法は、成形物表面から界面活性剤を析出させることにより帯電防止性を付与する機構を採用しているため、温度や湿度等の環境の変化によって体積抵抗率や帯電防止性が大きく変化し、しかもポリフッ化ビニリデン系樹脂の耐汚染性が損なわれる。
有機系帯電防止剤として親水性樹脂を練り込む方法では、所望の帯電防止効果を得るにあたって親水性樹脂を多量に配合する必要があるため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性等の特性が損なわれ、更に体積抵抗率や帯電防止性の湿度依存性が大きいという問題がある。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂に導電性フィラーを練り込む方法は、この樹脂の組成物における導電性フィラーの分布が均一でなくなり、その体積抵抗率がばらつくこともあった。
イオン性導電剤の塩として塩化リチウムや塩化カリウム等の無機金属塩を練り込む方法は、これらの無機金属塩がポリフッ化ビニリデン系樹脂に僅かしか溶解しないため、体積抵抗率を所望の水準にまで下げることが難しく、また未溶解の無機金属塩が凝集物を形成して、視覚的なフィッシュアイの原因になることがある。一方、無機金属塩をポリフッ化ビニリデン系樹脂に充分に溶解させるために混練温度を上げたり、混練時間を長くしたりすると、樹脂又は無機金属塩が分解して成形物の物性や外観を損なうこともある。
更に、リチウム塩のような潮解性のある無機金属塩を多量に添加すると、樹脂組成物が吸湿性を持つようになるため、湿度の変化によって体積抵抗率が大きく変化したり、析出した無機金属塩の潮解物により成形物表面がべたついたりするという問題が生じる。
イオン性導電剤として第四級アンモニウム塩を使用する方法が提案されている。例えば、第四級アンモニウム塩と樹脂を有機溶剤に溶解した帯電防止コーティング材が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。前記コーティング材は、洗浄によって成形物表面から容易に脱落するため、帯電防止効果を持続させるのが困難である。
第四級アンモニウム塩をポリオレフィンに練り込んだ帯電防止性シートが提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。しかし、この帯電防止性シートは、第四級アンモニウム塩が樹脂から析出することによって帯電防止効果を発揮する機構を有するものであるため、温度や湿度等の環境変化によって導電性と帯電防止効果が大きく変動する。
第四級アンモニウム塩の中でもハロゲン化第四級アンモニウム塩は、熱安定性に劣るため、加工温度が高いポリフッ化ビニリデン系樹脂と混練して溶融成形すると、成形物に発泡や着色等の不具合が生ずる。
熱安定性が比較的良好なイオン性導電剤の場合でも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の体積抵抗率を所望の半導電性領域にまで低下させるには、多量に添加する必要がある。ポリフッ化ビニリデン系樹脂に多量のイオン性導電剤を添加すると、成形物の弾性率等の機械的強度が低下したり、成形物表面にイオン性導電剤が析出したり、成形加工に支障を生じたりする等の問題があった。
多くの無機金属塩や第四級アンモニウム塩は、高湿度環境下で析出し易い性質がある。そのため、これらを練り込んだ樹脂成形物を半導体デバイスの製造工程において包装や搬送に用いられる制電性包装材料に使用すると、その表面に無機金属塩や第四級アンモニウム塩が析出してべたついた表面になることがあり、金属不純物が付着し易く、製品不良の発生する原因となることもある。電子写真方式の画像形成装置に装着される樹脂部材は、イオン性導電剤の析出による含有量の減少によって表面層の体積抵抗率が変化するため、電荷制御部材として充分な機能を発揮できないことがある。
本発明者等はポリフッ化ビニリデン系樹脂にテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩等特定の第四級アンモニウム塩を添加することにより、半導電性領域の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現し、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が小さいポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が得られることを見出した(特許文献4を参照。)。
特許文献4に開示されている樹脂組成物は、半導電性領域内での体積抵抗率を低く設計するために第四級アンモニウム塩の配合割合を大きくする必要がある。しかし、第四級アンモニウム塩の配合割合を大きくすると、その可塑化効果によって樹脂組成物の引張弾性率は低下する傾向を示す。更に、第四級アンモニウム塩の配合割合が過度に大きくすると、高温高湿環境下で第四級アンモニウム塩のブリード現象が生じ易くなる等の不都合が見られた。
本発明者らは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂にテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩等の第四級アンモニウム塩とアセチレンブラック等の導電性カーボンブラックとを添加することにより、第四級アンモニウム塩の配合割合を小さくしても、体積抵抗率を半導電性に保つことができ、且つ所望の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現し、体積抵抗率の場所によるばらつきも小さい半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が得られることを見出している(特許文献5を参照。)。
しかし、特許文献5で開示されている樹脂組成物は、引張弾性率が必ずしも充分ではない場合があることが見出された。また、シート状成形物の第四級アンモニウム塩の配合割合を、特許文献5で開示されている範囲内で小さくして、導電性カーボンブラックの配合割合を大きくすると半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を溶融成形してなる成形物は、体積抵抗率の電圧依存性が大きくなり、電圧に対する耐久性が低下し、電圧を印加した後の体積抵抗率が変動する等の問題が判明した。
これらの問題点を解決するために、本発明者らは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に添加するテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩等特定の第四級アンモニウム塩と導電性カーボンブラックとの適切な配合比率を見出すことによって、引張弾性率を高め且つ高電圧印加に対する体積抵抗率の安定性を高め得ることを見出した(特許文献6を参照。)。
一方、耐久性のある樹脂成形体を得る目的で、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・六フッ化プロピレン三元共重合体であるフッ化ビニリデン系樹脂に、粒径が比較的大きいASTM:D1765に基づくN990級のカーボンブラックを大きい配合割合で添加した例では、引張弾性率が極めて小さく、エラストマーの性質には変わりがない。(例えば、特許文献7を参照。)。
近年の電子写真方式の画像形成装置の高速化及び高画像化の要求に対応するため、高速度で回すときの僅かな伸びを抑えるためにベルト部材が割れない程度の適度の柔軟性の引張弾性率を有すること、またその駆動応力に対する歪量を小さくすることが求められてきている。
更に、前記画像形成装置の市場への一層の普及のために、各種組み付け部材を廉価にすることが求められている。そこで、装置単価に占めるポリフッ化ビニリデン系樹脂の使用割合を小さくするために、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に占めるポリフッ化ビニリデン系樹脂の使用割合も減らすことが課題になっている。
特開平3−192186号公報 特開昭47−3835号公報 特開昭61−72061 特許平11−323052号公報 特開2000−319470号公報 特開2005−350621号公報 米国特許第RE35466号公報
しかし、特許文献6の半導電性樹脂組成物から押出成形したシートをベルト状にシーム加工すると、シートの再溶融部分の体積抵抗率の変化が大きくなるときがあり、均一な体積抵抗率のベルトを再現できないこともある。これは、導電性カーボンブラックの高次構造(粒子の凝集の程度を表す。以下、ストラクチャーとも記載する。)の配列が緩和することにより導電性が変化するためと考えられる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂にイオン性導電剤と導電性カーボンブラックとを同時に配合した樹脂組成物において、その引張弾性率を増すために導電性カーボンブラックの配合割合を大きくすると、前記高次構造の接点が増え過ぎて前記樹脂組成物の体積抵抗率が小さくなり、半導電性が失われる不都合があった。
そこで本発明の課題は、体積抵抗率が1.0×10〜1.0×1010Ωmの範囲の半導電性領域で所望の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現することができ、更にシート、チューブ、ロール、射出成形品等の成形物の加工方法に拠らず、体積抵抗率が安定且つ均一な半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を廉価に提供することにある。
また本発明の課題は、ベルト部材を高速度で回すときの伸びを抑えるための適度な引張弾性率を示し、体積抵抗率の場所によるばらつきが小さい半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を提供することにある。
更に本発明の課題は、成形後にその一部又は全部を再溶融して再成形した場合に、再成形の前後における体積低効率の変化が小さく且つ均一である電荷制御部材を提供することにある。例えば、上記半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から成る押出シートの一部又は全部を再溶融させてベルト状にシーム加工してもシートの再溶融部分の体積抵抗率変化が小さく且つ均一な抵抗のベルトを提供することにある。
本発明者等は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂にイオン性導電剤と各種性状のカーボンブラックとを同時に配合した樹脂組成物において、前記の諸問題を解決するための検討を行った。
その結果、前記樹脂組成物の引張弾性率を増すために、通常の比較的小さい粒子径の導電性カーボンブラックの配合割合を大きくすると、前記高次構造の接点が増え過ぎて前記樹脂組成物の体積抵抗率が小さくなり半導電性が失われるが、ASTM:D1765に基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラックは、比較的高濃度(10〜45質量部)に配合しても体積抵抗率は小さくならず、半導電性を維持できることを見出した。その要因としては、前記高次構造の接点の増加が僅かであることや、カーボンブラックの濡れ性状や、カーボンブラック自体の抵抗があるようである。
本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、実質的にフッ化ビニリデン単量体のみから誘導される重合単位からなるフッ化ビニリデン単独重合体又はフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体或いはこれらの混合物であるポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)とイオン性導電剤(B)とASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)とを含有し、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100質量部に対して、前記イオン性導電剤(B)が0.1〜8質量部及び前記カーボンブラック(C)が10〜45質量部添加された組成を有し、
前記イオン性導電剤(B)が、化3
Figure 0005214171
(化3中、R 〜R は、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R は、アルキル基、フルオロアルキル基又は水素原子である。)で表される第四級アンモニウム硫酸塩(B1)、及び化4
Figure 0005214171
(化4中、R 〜R は、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R 10 は、アルキル基、フルオロアルキル基又は水素原子である。)で表される第四級アンモニウム亜硫酸塩(B2)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩(B3)、であることを特徴とする。ポリフッ化ビニリデン系樹脂に添加することで半導電性を与えるとともに、熱安定性が高いため成形物に不具合を与えることがない。
本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物では、JIS:K6911‐2006「熱硬化性プラスチック一般試験法」に基づいて測定された体積抵抗率が1.0×10〜1.0×1010Ωmの半導電性領域の範囲内であることを特徴とする。
本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、含有するイオン性導電剤(B)の第四級アンモニウム塩(B3)がテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩〔(CN(HSO)〕である場合が含まれる。
本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)が、コモノマー成分の六フッ化プロピレンが樹脂組成として8モル%未満であるフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体であることが好ましい。この組成であれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂のフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体は結晶性樹脂であるため、適度な剛性を有する樹脂組成物を得ることができる。
本発明に係る半導電性樹脂成形物は、本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明に係る半導電性樹脂成形物は、シート、チューブ、シームレスベルト、ファイバー、ロール又は容器である場合が含まれる。
本発明に係る電荷制御部材は、少なくとも表面層が、前記半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物又は前記半導電性樹脂成形物からなることを特徴とする。
本発明に係る電荷制御部材は、形状が、シート、チューブ又はシームレスベルトであり、その厚みが20〜200μmである場合が含まれる。尚、本発明においてシートとは、厚みが200μm以下のいわゆるフィルムも含まれる。
本発明に係る電荷制御部材では、JIS:K7127‐1995「プラスチック‐引張特性の試験方法‐第3部:フィルム及びシートの試験方法」に基づいて測定された引張弾性率が1.5〜5GPaを満たすことが好ましい。電子写真方式の画像形成装置のおけるロール部材やベルト部材等に使用した場合に、歪みが少なくトナー画像の歪みや色ずれを防止するとともに、異物の巻き込み等によって部材が割れない程度の適度な柔軟性を有する。
本発明に係る電荷制御部材では、最初に成形した時点の体積抵抗率の中央値Roと該電荷制御部材を一旦溶融して再度成形した電荷制御部材の体積抵抗率の中央値Rmの比である体積抵抗率の変化率Rm/Roが0.5〜5であることが好ましい。成形物を再溶融する二次加工をしたロール部材やベルト部材等の電荷制御部材を電子写真方式の画像形成装置に使用した場合に、電荷制御部材表面の電荷のばらつきに起因するトナー付着量のばらつきによって生じる印字濃淡のばらつきを視覚的に許容できるレベルにすることができる。
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物によれば、体積抵抗率が1.0×10〜1.0×1010Ωmの範囲の半導電性領域で所望の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現することができ、更にシート、チューブ、ロール、射出成形品等の成形物に加工した場合に、その加工方法に拠らず体積抵抗率が安定且つ均一な半導電性樹脂成形物を提供することができる。
また、本発明の半導電性フッ化ビニリデン系樹脂組成物を溶融加工して得られるポリフッ化ビニリデン系樹脂成形物若しくは電荷制御部材は、ベルト部材を高速度で回すときの伸びを抑えるための適度な引張弾性率を示し、破断し難く、体積抵抗率の場所によるばらつきを小さくすることができる。
更に、本発明の電荷制御部材は、成形後にその一部又は全部を再溶融して再成形した場合に、再成形の前後における体積低効率の変化が小さく且つ均一である。例えば、本発明による半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から成る押出シートの一部又は全部を再溶融させてベルト状にシーム加工してもシートの再溶融部分の体積抵抗率の変化が小さく且つ均一な抵抗のベルトを電荷制御部材として提供することができる。
加えて、本発明によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と比べて一般に廉価なASTM:D1765に基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラックを比較的多く充填することによって、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を廉価にできる。
以下、本発明について実施形態を示して詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、実質的にフッ化ビニリデン単量体のみから誘導される重合単位からなるフッ化ビニリデン単独重合体又はフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体或いはこれらの混合物であるポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)とイオン性導電剤(B)とASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)とを含有し、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100質量部に対して、前記イオン性導電剤(B)が0.1〜8質量部及び前記カーボンブラック(C)が10〜45質量部添加された組成を有する。ここで、前記イオン性導電剤(B)が、化3
Figure 0005214171
(化3中、R 〜R は、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R は、アルキル基、フルオロアルキル基又は水素原子である。)で表される第四級アンモニウム硫酸塩(B1)、及び化2
Figure 0005214171
(化4中、R 〜R は、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R 10 は、アルキル基、フルオロアルキル基又は水素原子である。)で表される第四級アンモニウム亜硫酸塩(B2)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩(B3)、である。
[ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)]
本実施形態で用いる前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)としては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の中でも、実質的にフッ化ビニリデン単量体のみから誘導される重合単位からなるフッ化ビニリデン単独重合体((vinylidenefluoride homopolymer)、すなわち、ポリフッ化ビニリデン樹脂(以下、PVDFとも記載する。))又はフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体(poly(vinylidenefluoride・hexafluoropropylene))の二種類である。これらポリフッ化ビニリデン系樹脂は、それぞれ単独で、或いは混合して使用することができる。尚、「実質的にフッ化ビニリデン単量体のみから誘導される重合単位からなるフッ化ビニリデン単独重合体」とは、重合時の条件によって微量の意図しない共重合物がフッ化ビニリデン単独重合体に含まれる場合を指し、以後、フッ化ビニリデン単独重合体(PVDF)とも略記する。
本実施形態で使用するフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体としては、示差走査熱量計(DSC)による熱分析(JIS:K7122‐1987「プラスチックの転移熱測定方法」に基づく。)で120〜220℃の範囲に15J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を1つ以上有する結晶性樹脂を用いる。
フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体は、共単量体(コモノマー)である六フッ化プロピレンの共重合割合が大きくなるとエラストマーとなる。六フッ化プロピレンの共重合割合が12モル%を超えて、通常20〜50モル%の範囲でエラストマーとなる。これに対して、本実施形態で使用するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、結晶性樹脂であることが好ましく、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体のコモノマー成分の六フッ化プロピレンは樹脂組成として8モル%未満、更に好ましくは6モル%未満である。
本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン系樹脂であるフッ化ビニリデン単独重合体若しくはフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体のメルトフローレイト(JIS:K7210‐1999「プラスチック‐熱可塑性プラスチックのメルトフローレイト及びメルトボリュームフローレイトの試験方法」に準拠し、温度230℃及び荷重49.03Nの条件で測定する。以下、MFRとも記載する。)は、好ましくは2〜60g/10分、より好ましくは5〜30g/10分、特に好ましくは5〜10g/10分である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂のMFRが小さ過ぎると、カーボンブラックの分散が悪くなり、加工温度も高くなるので、イオン性導電剤の熱分解を生じ易くなる。一方、ポリフッ化ビニリデン系樹脂のMFRが大き過ぎると、分子量の小さな成分を含むのでその成形物は脆くなるため、例えば、厚み斑を抑えるシート加工が難しくなるのみならず、引裂強度等の機械物性が低下する。
本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン系樹脂は、耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性の観点からは、フッ化ビニリデン単独重合体(PVDF)が用いられる。一方、柔軟性や引裂強度の観点からは、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体が単独で、若しくはPVDFと混合して用いられる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の他材料に対する接着性を向上させるには、官能基を導入したフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体を好適に使用することができる。本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、アクリル樹脂や他のフッ素系樹脂等その他の熱可塑性樹脂を、本発明の目的を妨げない範囲内で混合してもよい。
[イオン性導電剤(B)]
本実施形態で使用するイオン性導電剤は、アニオンとカチオンからなる塩で、そのイオン性導電剤を単独で樹脂に配合した場合でも樹脂組成物の体積抵抗率を1×1011Ωm未満にすることができるものが好ましい。且つポリフッ化ビニリデン系樹脂の加工温度で熱分解しないものが好ましい。また、本実施形態で用いるイオン導電剤はオニウム(onium)塩であって、その中心原子には窒素原子又は燐原子があるが、ヘテロ原子上に陽電荷がある窒素原子であることが分極特性から好ましい。
本実施形態で使用するイオン性導電剤として好ましいものは、第四級アンモニウム硫酸塩(B1)化5
Figure 0005214171
(化5中、R〜Rは、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、又は水素原子である)
で表される第四級アンモニウム塩、又は第四級アンモニウム亜硫酸塩(B2)化6
Figure 0005214171
(化6中、R〜Rは、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基、又は水素原子である)
で表される第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
これらの第四級アンモニウム塩(B3)において、R〜R及びR〜Rにおけるアルキル基の炭素原子数の合計は、4以上であり、好ましくは8〜30、より好ましくは12〜24、特に好ましくは15〜20である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の短鎖アルキル基を挙げることができる。R及びR10がアルキル基である場合には、メチル基やエチル基等の短鎖アルキル基が代表的なものである。R及びR10がフルオロアルキル基である場合には、CF、C等の短鎖フルオロアルキル基が代表的なものである。
第四級アンモニウム塩(B3)の具体例としては、例えば、(C、(C、(C、(C11等の第四級アンモニウムカチオンと、CFSO 、CHSO 、HSO 、CFSO 、CHSO 、HSO 等の硫酸又は亜硫酸を含むアニオンとからなる塩を挙げることができる。これらの第四級アンモニウム塩(B3)は、2種類以上のアニオン及びカチオンを組み合わせた塩であってもよい。第四級アンモニウムカチオンが有する4つのアルキル基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
[ASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)]
本実施形態で使用するASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)は、ミディアムサーマルカーボンブラックとも呼ばれ、天然ガスの熱分解或いはクラッキングによって生産されたカーボンブラックである。(以下、N990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)を、ミディアムサーマルカーボンブラックとも記載する。)
カーボンブラックは、米国材料試験協会(ASTM)によって定義、分類されており、ASTM:D1765−96a「Standard Classification System for Carbon Blacks Used in Rubber Products」の分類によると、N990級又はN991級のカーボンブラックは
両者共に平均粒子径が201〜500nmの範囲であり、大粒子径且つストラクチャーの発達度が小さいカーボンブラックである。尚、N990級は、N991級を造粒して取扱い性を改良した物であり、両者の性能的に殆ど同一である。
通常、ミディアムサーマルカーボンブラックは、樹脂に配合した場合の導電付与性が低いことから、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等の製法由来の通常の導電性カーボンブラックとは区別され、導電性カーボンブラックと呼ばれることはないが、カーボンブラック自体の抵抗は10Ωm未満であり、導電性を有する。
ミディアムサーマルカーボンブラックとしては、市販品を使用することができる。例えば、Cancarb社製の商品名称サーマックスMT(ASTM:N990)(Thermax MT(ASTM:N990))、Columbian Chemicals社製の商品名称セバカーブMT‐CL(Sevacarb MT‐CL)、Degussa社製の商品名称アロスパース15(Arosperse 15)等を挙げることができる。
[半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物]
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、フッ化ビニリデン単独重合体又はフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体であるポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)とイオン性導電剤(B)及びASTM:D1765に基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)(ミディアムサーマルカーボンブラック)を含有する。
イオン性導電剤(B)の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜5.0質量部、より好ましくは1.0〜3.0質量部、特に好ましくは1.5〜2.5質量部である。イオン性導電剤の配合割合が小さ過ぎると、体積抵抗率の耐電圧性状が劣り、体積抵抗率の面内位置によるばらつきが大きくなる。イオン性導電剤の配合割合が大き過ぎると、析出したり、溶融成形時に分解したりする。
ミディアムサーマルカーボンブラック(C)の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100質量部に対して、10〜45質量部、好ましくは20質量部〜35質量部、より好ましくは20〜30質量部である。ミディアムサーマルカーボンブラック(C)の配合割合が小さすぎると、ベルト部材を高速度で回すときに生じる伸びを抑えるために必要な引張弾性率を適正にできないばかりか、体積抵抗率を半導電性に保つこともできない。ミディアムサーマルカーボンブラックの配合割合が大きくなりすぎると、樹脂組成物の溶融粘度が高くなり過ぎて成形加工が難しくなり、また、その成形物の引裂強度や屈曲強度も小さくなることがある。また、その体積抵抗率が半導電性よりも小さくなることもある。
本実施形態では、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であるフッ化ビニリデン単独重合体若しくはフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体100質量部に対してミディアムサーマルカーボンブラックを10〜45質量部という高水準に配合することで樹脂組成物に求められる適正な引張弾性率を得ることができ、且つイオン性導電剤0.1〜8質量部を更に加えることによって、所望の半導電性領域の体積抵抗率を安定して均一に精度よく得ることができる。
製法由来の通常の導電性カーボンブラックを配合した樹脂組成物を溶融押出で成形するときに、ダイス内部の溶融流れの速さ若しくは引き取りの速さに負うシートの流動配向によって前記導電性カーボンブラックのストラクチャーと、二次加工のために再び溶融したときの導電性カーボンブラックのストラクチャーとが、異なるためと考えている。また、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラックは小さい粒子であるため嵩高くて比表面積が大きいので樹脂組成物が溶融流動し難く、そのため、これらの導電性カーボンブラックの配合割合を大きくすることは困難であった。
ミディアムサーマルカーボンブラックに属するASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラックは、ストラクチャーをあまり形成しないので、流動配向の状態が変わってもその体積抵抗率の変化は小さい。またN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラックは、単位質量当りの表面積が小さいので、その樹脂組成物は溶融粘度が押出成形に適正な範囲に留まる。
このため、本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、所望の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現することができ、加工方法に拠らず体積抵抗率が安定且つ均一なシートや成形物を得ることができる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂のように表面エネルギーが比較的小さい樹脂に、イオン性導電剤と一次粒子径が小さいカーボンブラックを添加した部材に高電圧を繰り返し印加するとき、この粒子径の小さいカーボンブラックが樹脂中を強制的に移動させられることで、この樹脂組成物の体積抵抗率が変動する不都合を生じることがあるが、このミディアムサーマルカーボンブラックに属するASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラックを用いることにより上記の問題を防ぐことができる。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の体積抵抗率は、半導電性領域の体積抵抗率、すなわち1.0×10〜1.0×1010Ωmの範囲内に制御されるが、好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωm、特に好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωmの範囲内に制御することもできる。
[その他の添加物]
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、所望により、その他の添加物を含有させることができる。その他の添加物としては、例えば、フェライト、酸化亜鉛、酸化鉄、黒鉛、無機顔料、有機金属塩、酸化金属等の粒状若しくは粉末状フィラー又は繊維状フィラー等が挙げられる。これらのフィラーは、本発明の目的を阻害しない範囲で使用目的に応じて適宜配合することができる。
更に、本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、例えば、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、有機顔料、無機顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、無機酸、有機酸、pH調整剤、カップリング剤、或いはステアリン酸リチウムやステアリン酸カルシウム等の脂肪酸の金属塩を、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜配合することができる。
[半導電性樹脂成形物及び電荷制御部材]
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を成形して得られるシート、チューブ、ベルト、ファイバー、ロール、容器等の半導電性樹脂成形物を、電子写真方式の画像形成装置におけるロール部材(例えば、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール)やベルト部材(例えば、帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルト)、トナー層厚規制部材等の電荷制御部材として使用する場合、その厚みは、通常20μm〜1mm、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは30μm〜200μm、特に好ましくは50μm〜150μmである。シートの場合、厚みが200μm以下であることが好ましく、50μm〜150μmの範囲内であることがより好ましい。
本実施形態に係る電荷制御部材は、少なくとも表面層が半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物若しくは半導電性樹脂成形物、例えば、シート、チューブ、ベルト、ファイバー、ロール、容器等からなる。この電荷制御部材の体積抵抗率は、通常1.0×10〜1.0×1010Ωmの範囲内であるが、好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωm、特に好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωmの範囲内にすることができる。特に、体積抵抗率を1.0×10〜1.0×10Ωmの範囲内に制御することによって、電子写真方式の画像形成装置における電荷制御部材として使用する場合に、電荷のばらつきが少なくトナーによる画像転写の品質が向上する。
本実施形態に係る電荷制御部材が、例えば、シート、チューブ、ベルト、ファイバー、ロール、容器等の半導体樹脂成形物からなる場合に、成形物の表面の各位置における体積抵抗率の最大値をRMAX、最小値をRMINとしたとき、ばらつきRMAX/RMINは、通常1〜10、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3、特に好ましくは1〜2である。
本実施形態に係る電荷制御部材を最初に成形した時点の体積抵抗率の中央値をRo、該電荷制御部材を一旦溶融して再度成形した後の体積抵抗率の中央値をRmとしたとき、変化率Rm/Roは、通常0.5〜5、好ましくは0.5〜3、更に好ましくは0.5〜2である。変化率Rm/Roが1に近ければ、成形加工樹脂の配向や内部応力に拠らず体積抵抗率が安定していることを意味している。例えば、電荷制御部材がシートの場合に熱溶着加工してシームベルトを製造する場合に、溶着部分の体積抵抗率変化が小さい。したがって、変化率Rm/Roが0.5〜5の範囲にあれば、成形物を再溶融する二次加工をしたロール部材やベルト部材等の電荷制御部材を電子写真方式の画像形成装置に使用した場合に、電荷制御部材表面の電荷のばらつきに起因するトナー付着量のばらつきによって生じる印字濃淡のばらつきは、変化率Rm/Roが1に近いほど少なく、良好な印字品質を得るには好ましいが、変化率Rm/Roが0.5〜5の範囲であれば、視覚的に許容できるレベルであり好適である。
本実施形態に係る電荷制御部材の引張弾性率は、好ましくは1.5〜5GPa、更に好ましくは1.8〜5GPa、特に好ましくは2〜5GPaである。引張破壊伸びは、好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、特に好ましくは100%以上である。
電荷制御部材が例えば転写ベルトである場合、転写ベルトが歪むとベルト上に形成されるトナー画像の歪みや色ずれの原因になる。そのため、転写ベルト部材は、充分に大きい引張弾性率を有することが望ましい。また、ベルト部材は、異物の巻き込み等によって割れたりすることが無いように適度な柔軟性を有することが望ましい。本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を成形して得られるフィルム、シート、チューブ、ベルト等の成形物は、引張弾性率と引張破壊伸びが共に優れており、電荷制御部材としての使用する場合の上記要求に応えることができるものである。
[樹脂組成物の調製法及び成形物の製造方法]
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の調製法には、特に制限がなく、好適な方法としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であるフッ化ビニリデン単独重合体若しくはフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体の粉末又はペレットと、イオン性導電剤及びミディアムサーマルカーボンブラックとを固液ミキサー等の混合機で混合する方法;各成分を混合機で混合した後、混合物を溶融押出法によってペレット化する方法;各成分を、水又は水と水溶性溶剤との混合溶剤に溶解ないしは分散させ、固液ミキサー等により混合した後、乾燥し、得られた乾燥物を溶融押出してペレット化する方法;ポリフッ化ビニリデン系樹脂とイオン性導電剤とを混合しペレット化したものと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であるフッ化ビニリデン単独重合体若しくはフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体とミディアムサーマルカーボンブラックとを混合しペレット化したものとを、ミキサー等の混合機で混合する方法;等が挙げられる。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、プレス成形法、溶融押出法、射出成形法、溶液流延法、塗布法等の各種成形法により、各種成形物や被覆成形物に加工することができる。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂であるフッ化ビニリデン単独重合体若しくはフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体にイオン性導電剤及びミディアムサーマルカーボンブラックを高濃度で含有させたマスターバッチペレットを作成しておき、成形時に、各成分が必要な濃度となるように前記樹脂で希釈してから成形加工することもできる。或いは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂であるフッ化ビニリデン単独重合体若しくはフッ化ビニリデン・六フッ化ビニリデン共重合体にイオン性導電剤及びミディアムサーマルカーボンブラックを異なる配合率で2種類以上マスターバッチペレットを作成しておき、成形時に、それらのペレットをブレンドして成形加工することもできる。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物をシームレスベルトに押出成形する場合は、連続溶融押出成形法が好ましく用いられる。シームレスベルトの望ましい連続溶融押出成形法としては、単軸スクリュー押出機とスパイラル環状ダイスを用いて、ダイスのリップから直下に押し出し、内部冷却マンドレル方式によって内径を制御しながら引き取る方法等が挙げられる。
本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いてフィルム又はシートを製造する方法としては、単軸又は2軸スクリュー押出機とTダイスとを用い、溶融状態の樹脂組成物をリップから直下に押し出し、冷却ドラム上にエアーナイフ等により密着させつつ冷却固化する連続押出成形法を挙げることができる。本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を溶融状態から固化させる際には、冷却温度を通常−30〜170℃、好ましくは90〜140℃の範囲内に制御することが望ましい。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、押出成形や射出成形によりロールに成形することができる。また、チューブ、フィルム又はシートに成形した後に、これらを芯金上に被覆することにより、被覆ロールのような電荷制御部材を得ることができる。溶液流延法や塗布法により、芯金上に樹脂組成物からなる被覆層を形成してもよい。このような被覆層は、芯金上に直接設けることができるが、必要に応じて、他の樹脂層若しくはゴム層、又は樹脂層とゴム層の両方を介して設けてもよい。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いて、押出成形等の溶融成形加工法により成形物を製造する場合、該樹脂組成物の加工温度を、好ましくは190〜250℃、より好ましくは190〜240℃、特に好ましくは190〜230℃という低い温度にすることが、イオン性導電剤の熱分解による臭気の発生と発泡を効果的に抑制する上で望ましい。加工温度は、溶融成形時の樹脂温度(最高樹脂温度)であり、一般に、Tダイスでの樹脂温度である。
[用途]
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール等のロール部材;帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルト等のベルト部材;トナー層厚規制部材等の電荷制御部材として好適である。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子部品包装用の静電気防止シート、静電気防止容器等の様々なオフィス自動化機器に対する塵埃吸着防止部材、除電部材、導電部材に好適に用いられる。
本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から成るフィルム、シート、ファイバー等の成形物は、一次加工後、更に延伸や熱固定することも可能である。本実施形態に係るポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、それ単独で使用してもよく、また、必要に応じて他の樹脂層等と複合化させて、積層フィルム、積層シート、積層ベルト、複合糸等にして使用することができる。
更に、本実施形態に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、ミディアムサーマルカーボンブラックの配合割合を大きくすることによって1.5GPa以上の引張弾性率を示す。併せて、高価なポリフッ化ビニリデン系樹脂の配合割合を小さくできるので、シートをより廉価とすることもできる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。物性の測定法は下記のとおりである。本実施形態に係るサンプルは、少なくとも成形後7日間、室内温度23℃且つ相対湿度(RH)50%で調整して、後述の測定に用いた。
(1)厚み測定
成形物の厚みは、ダイヤルゲージ厚み計(小野測器社製、商品名称DG−925)で測定した。
(2)体積抵抗率
JIS:K6911‐2006「熱硬化性プラスチック一般試験法」に基づいて、リング電極法による体積抵抗率を測定した。体積抵抗率ρvは、体積抵抗率の測定装置である三菱化学社製、商品名称ハイレスタUPを用い、その測定条件としてはリング状プローブ(三菱化学社製、商品名称URSプローブ;内側電極の直径5.9mm、外側電極の内径11.0mm、外側電極の外径17.8mm)と測定ステージ(三菱化学社製、商品名称レジテーブルFL)との間に試料を挟み、約30Nの荷重で押さえつつ、プローブの内側電極と測定ステージとの間に100Vの電圧を10秒間印加して求めた。
プローブの内側の電極と測定ステージの表面に、各々の電極サイズと同じサイズの導電性ゴム(コクゴ社製、商品名称REP−2、厚み1mm、体積抵抗率0.87Ωcm)を導電性粘着シート(応研商事社製、商品名称T−9181、厚み0.13mm)で貼り付けてある。
(3)体積抵抗率の最大値、最小値、中央値
上記した体積抵抗率の測定では、これらの値を測定すべき試料の表面積1m当たり任意に選んだ21点を測定し、その最大値、最小値、中央値(メジアン)を求めた。
(4)引張弾性率、引張破壊伸び
JIS:K7127−1999「プラスチック‐引張特性の試験方法」に準拠し、幅10mm、長さ100mmの短冊型試験片を用い、引張試験機(島津製作所社製、商品名称オートグラフAGS−1KNJ型)により、引張速度50mm/分、つかみ具間距離50mmの条件で測定した。試験片は、シートの長手方向に対して並行方向と直角方向で各5枚切り出し、合計10枚の試験結果の算術平均値を求めた。
(5)1%引張応力
前項目(4)の測定で得られた応力‐歪曲線を測定し、その歪量1%のときの応力を用
いた。
(実施例1)
<樹脂組成物の作製>
ポリフッ化ビニリデン(フッ化ビニリデン単独重合体;(株)クレハ製、商品名称KF#1000;MFR=8g/10分)100質量部に対し、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(「TBAHS」と略記)2.0質量部、N990級ミディアムサーマルカーボンブラック(Columbian Chemicals社製、商品名称セバカーブMT−CL;「N990」と略記する。)11.3質量部、及びステアリン酸リチウム0.05質量部を撹拌混合した。次いで、混合物を2軸押出機に供給し混練及び造粒して、直径約5mmのペレットを作製した。
<成膜シートの成形>
ペレットを単軸スクリュー押出機(プラ技研社製)を用いて、リップクリアランス0.
7mmのT型ダイス(加工温度(ダイス温度)220〜240℃)に供給し、ダイスから溶融樹脂を押し出し、100℃の冷却ロールによって冷却して、厚み50〜55μmの成膜シートを成形した。
<再溶融シートの成形>
予め体積抵抗率を測定した成膜シートの試験片を、厚さ0.5mmの平滑な2枚の加熱板の間に挟み、220℃のオーブンで5分間加熱して溶融させた後、23℃の室温で自然冷却し、再溶融シートを成形した。加熱板の表面には、予め離型シートである商品名称テフロン(登録商標)シートを挟んでおいた。成膜シート及び再溶融シートの配合処方及び物性の測定結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
(実施例2〜6、及び比較例1、2、4、5)
各成分の種類と配合割合を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様にして、成膜シート及び再溶融シートを成形した。配合処方及び物性の測定結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
(比較例3)
比較例3は、フッ化ビニリデン単独重合体の代わりに、フッ素系ゴム(フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・六フッ化プロピレン三元共重合体)を使用した。このフッ素系ゴムの樹脂組成は、フッ化ビニリデン成分が50質量%、テトラフルオロエチレン成分が10質量%、六フッ化プロピレン成分が40質量%であり、非晶性を示す。このフッ素系ゴムの100質量部に対して、TBAHSを2質量部、ミディアムサーマルカーボンブラック(N990)を30質量部加え、更にpH調整剤として酸化マグネシウムの3質量部と水酸化カルシウムの6質量部を加えて、室温の24度程度にて15分間ロールで混練した。次いで、常法のホットプレス機にて、混練した樹脂組成物を190℃で5分間加熱圧縮して、厚み100±50μmのシートを得た。配合処方及び物性の測定結果をそれぞれ表1及び表2に示す。
Figure 0005214171
Figure 0005214171
脚注:
(1)KF#1000:フッ化ビニリデン単独重合体(クレハ社製、商品名称KF#1000;MFR=8g/10分)
(2)TBAHS:(CN(HSO)(広栄化学工業社製)
(3)N990:N990級ミディアムサーマルカーボンブラック(Columbian Chemicals社製、商品名称Sevacarb MT−CL;DBP吸油量=41ml/100g、カタログによる平均粒径350nm)
(4)AB:アセチレンブラック(電気化学工業社製 商品名称デンカブラック;DBP吸油量=190ml/100g、カタログによる平均粒径42nm)
(5)AC:カーボンブラック(旭カーボン社製 商品名称旭カーボンブラック#50;DBP吸油量=63ml/100g、カタログによる平均粒径80nm)
(6)F114:パーフルオロアルキルスルホン酸カリウム(大日本インキ化学工業社製、商品名称メガファック)
(7)PEEA:ポリエーテルエステルアミド(三洋化成工業社製、商品名称ペレスタット6500)
(8)Li−st:ステアリン酸リチウム(和光純薬社製、試薬1級)
(9)2F・4F・6Fフッ素ゴム:フッ化ビニリデン(2F)・テトラフルオロエチレン(4F)・六フッ化プロピレン(6F)からなる三元共重合体(poly(vinylidenefluoride・tetrafluoroethylene・hexafluoropropylene))であり、樹脂組成比が、2F成分50質量%、4F成分10質量%、6F成分40質量%の非晶性ゴムを用いた。
表2の結果から明らかなように、実施例の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、体積抵抗率が適度に低く、すべて1.0×10〜1010Ωmの半導電性領域内にあった。また、場所による体積抵抗率のばらつきも少なかった。
更に、成膜シートと再溶融シート体積抵抗率の中央値の変化率Rm/Roは、すべて0.5〜5の範囲内にあり、且つ引張弾性率も1.5〜5GPaの範囲内にあるため電荷制御部材として好適な物性を有していた。
一方、比較例1及び2は、導電性カーボンブラックを添加したものであるが、成膜シートから再溶融シートに再成形した場合の体積抵抗率の中央値の変化率Rm/Roが、0.008未満(比較例1)及び0.012未満(比較例2)というように、いずれも0.5以上を満足せず、電荷制御部材としての使用に適するものではなかった。
また、比較例3は、フッ化ビニリデン単独重合体の代わりに、フッ素系ゴム(フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・六フッ化プロピレン三元共重合体)を使用し、イオン性導電剤とミディアムサーマルカーボンブラックを添加したものであるが、表1に示すように引張弾性率が0.1GPa未満であり、剛性が小さかった。同様に比較例4は、ミディアムサーマルカーボンブラックを添加しなかった以外は、実施例1と同じ処方であるが、引張弾性率が1.5GPa未満であり、要求される物性を満足しなかった。
更に、比較例5は、イオン性導電剤を添加しなかった以外は、実施例1と同じ処方であるが、体積抵抗率が1.0×1010Ωmより高く、要求される物性を満足しなかった。また各実施例は、成形加工性も良好で、添加剤の析出も観察されなかった。
上記の結果からわかるように、各実施例は比較例に比べて、半導電性、再溶融前後の体積抵抗率の変化率及び引張弾性率のすべての要求物性を満足し、電荷制御部材に使用する材料として優れていた。
本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、体積抵抗率のばらつきが小さく、引張弾性率が高いので、これらの特徴を活かした用途、例えば、電子写真方式の画像形成装置におけるロール部材(例えば、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール)やベルト部材(例えば、帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルト)等の電荷制御部材の少なくとも表面層を形成する樹脂材料として利用することができる。
また、本発明に係る半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、制電性、帯電防止性、塵埃吸着防止性等を活かした用途、例えば、電子部品包装材料(フィルム、シート、袋、容器等)、壁紙、オフィス自動化機器の外装材、帯電防止の間仕切り等の電荷制御部材として利用することができる。

Claims (11)

  1. 実質的にフッ化ビニリデン単量体のみから誘導される重合単位からなるフッ化ビニリデン単独重合体又はフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体或いはこれらの混合物であるポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と;
    イオン性導電剤(B)と;
    ASTM:D1765‐96aに基づくN990級若しくはN991級の粒子径のカーボンブラック(C)と;
    を含有し、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100質量部に対して、前記イオン性導電剤(B)が0.1〜8質量部及び前記カーボンブラック(C)が10〜45質量部添加された組成を有し、
    前記イオン性導電剤(B)が、化1
    Figure 0005214171
    (化1中、R 〜R は、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R は、アルキル基、フルオロアルキル基又は水素原子である。)で表される第四級アンモニウム硫酸塩(B1)、及び化2
    Figure 0005214171
    (化2中、R 〜R は、互いに同一又は相異なるアルキル基であり、R 10 は、アルキル基、フルオロアルキル基又は水素原子である。)で表される第四級アンモニウム亜硫酸塩(B2)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩(B3)、であることを特徴とする半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  2. JIS:K6911‐2006「熱硬化性プラスチック一般試験法」に基づいて測定された体積抵抗率が1.0×10〜1.0×1010Ωmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  3. 前記第四級アンモニウム塩(B3)が、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩〔(CN(HSO)〕である請求項1又は2に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  4. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)が、共単量体成分の六フッ化プロピレンが樹脂組成として8モル%未満であるフッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体である請求項1、2又は3のいずれか一に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
  5. 請求項1、2、3又は4のいずれか一に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を成形してなる半導電性樹脂成形物。
  6. シート、チューブ、シームレスベルト、ファイバー、ロール又は容器である請求項に記載の半導電性樹脂成形物。
  7. 少なくとも表面層が、請求項1、2、3又は4のいずれか一に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる電荷制御部材。
  8. 少なくとも表面層が請求項5又は6に記載の半導電性樹脂成形物からなる電荷制御部材。
  9. 形状が、シート、チューブ又はシームレスベルトであり、その厚みが20〜200μmであることを特徴とする請求項7又は8に記載の電荷制御部材。
  10. JIS:K7127‐1995「プラスチック‐引張特性の試験方法‐第3部:フィルム及びシートの試験方法」に基づいて測定された引張弾性率が1.5〜5GPaを満たすことを特徴とする請求項7、8又は9のいずれか一に記載の電荷制御部材。
  11. 前記電荷制御部材を最初に成形した時点の体積抵抗率の中央値Roと該電荷制御部材を一旦溶融して再度成形した電荷制御部材の体積抵抗率の中央値Rmの比である体積抵抗率の変化率Rm/Roが0.5〜5であることを特徴とする請求項7、8、9又は10のいずれか一に記載の電荷制御部材。
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